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2 行動計画の策定例


 次世代育成支援対策推進法において、各特定事業主注)は、平成16年度末までに、行動計画策定指針に即して行動計画を策定し、公表しなければならないとされている。
 また、行動計画においては、
(1)  計画期間
(2)  次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標
(3)  実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期
を定めることとされている。
 そこで、各特定事業主においては、その実情を踏まえつつ、具体的な方策、目標等を検討し、仕事と子育ての両立支援や働き方の見直し等に関し実施可能な内容を幅広く記載した行動計画を策定することが求められる。
 本研究会においては、各特定事業主の検討に資するために、特定事業主行動計画に盛り込むことが考えられる事項等について検討し、以下、そのメニューを取りまとめたところである。

注)行動計画を策定することとなる特定事業主は、次世代育成支援対策推進法施行令(平成15年政令第372号 参照)において定められており、以下のとおりとされている。
 (国の機関)
 各議院事務局の事務総長
 各議院法制局の法制局長
 国立国会図書館長
 裁判官弾劾裁判所事務局の事務局長
 裁判官訴追委員会事務局の事務局長
 内閣総理大臣
 内閣法制局長官
 各省大臣
 会計検査院長
 人事院総裁
 宮内庁長官
 ・  国家公安委員会、中央労働委員会、
 船員労働委員会及び海難審判長以外
 の各外局の長
 ・  警察庁長官
 ・  高等海難審判庁長官
 ・  防衛施設庁長官
 ・  原子力安全・保安院長
 ・  最高裁判所事務総長

(地方公共団体の機関)
地方自治の本旨にかんがみ、原則として、長が定める規則で策定主体等を規定
(モデル規則である「次世代育成支援対策推進法の特定事業主等を定める規則(例)」(平成15年8月8日厚生労働省雇児発第0808001号 参照)では、地方公務員法に規定されている任命権者(地方公共団体の長、議会の議長、選挙管理委員会、代表監査委員、人事委員会又は公平委員会等)が策定することとされている。)
 法律により職種に応じた特別な身分取扱いに関する制度が定められている教育関係職員及び警察職員については、その特殊性にかんがみ、策定主体等がそれぞれ「地方公共団体の教育委員会(県費負担教職員については、市町村の教育委員会)」、「警視総監及び道府県警察本部長」と規定されている。

 なお、次世代育成支援対策推進法施行令は、それぞれの特定事業主が特定事業主行動計画を策定することを規定しているものであるが、各機関の実情(人事管理が同一で行われている等)に応じて連名で特定事業主行動計画を策定することも可能である。





特定事業主行動計画


I  総論
1 目的注1)
(計画記載例)

 行動計画策定指針に掲げられた基本的視点を踏まえつつ、職員が仕事と子育ての両立を図ることができるよう、職員のニーズに即した次世代育成支援対策を計画的かつ着実に推進するため、本行動計画を策定し、公表することとする。


2 計画期間
(計画記載例)

 平成17年4月1日から平成22年3月31日までの5年間注2)


3 計画の推進体制
(計画記載例)

(1)  次世代育成支援対策を効果的に推進するため、各部局における人事担当者等を構成員とした行動計画策定・推進委員会を設置する。
(2)  次世代育成支援対策に関する管理職や職員に対する研修・講習、情報提供等を実施する。
(3)  仕事と子育ての両立等についての相談・情報提供注3)を行う窓口の設置及び当該相談・情報提供等を適切に実施するための担当者の配置を行う。
(4)  啓発資料の作成・配布、研修・講習の実施注4)等により、行動計画の内容を周知徹底する注5)
(5)  本計画の実施状況については、各年度ごとに、行動計画策定・推進委員会において把握等をした結果や職員のニーズを踏まえて、その後の対策の実施や計画の見直し等を図る。



II  具体的な内容注6)

 職員の勤務環境に関するもの
(1)  妊娠中及び出産後における配慮
(計画記載例)

(1)  母性保護及び母性健康管理の観点から設けられている特別休暇等の制度注7)について周知徹底を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
(2)  出産費用の給付等の経済的支援措置注8)について周知徹底を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
(3)  妊娠中の職員の健康や安全に配慮し、業務分担の見直しを行う。
(実施時期;平成○○年度から)
(4)  妊娠中の職員に対しては、本人の希望に応じ、超過勤務を原則として命じないこととする。
(実施時期;平成○○年度から)


(2)  子どもの出生時における父親の休暇の取得の促進
(計画記載例)

(1)  父親が子どもの出生時に5日間の休暇を取得できるようにする。
(実施時期;平成○○年度から)
(2)  子どもの出生時における父親の特別休暇及び年次休暇の取得促進(例えば、5日間程度)注9)について周知徹底を図る。
(実施時期;平成○○年度から)


(3)  育児休業等を取得しやすい環境の整備等
(計画記載例)

育児休業及び部分休業制度等の周知

 (1)  育児休業等に関する資料を各部局に通知・配布し、制度の周知を図るとともに、特に男性職員の育児休業等の取得促進について周知徹底注10)を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  育児休業Q&A等を作成し、育児休業の取得手続や経済的な支援等について情報提供注11)を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (3)  妊娠を申し出た職員に対し、個別に育児休業等の制度・手続について説明を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (4)  研修等において、育児休業制度等の制度説明を行う。
(実施時期;平成○○年度から)

育児休業等体験談等に関する情報提供

 ○  育児休業等経験者の体験談や育児休業を取得しやすい職場環境づくりの取組例をまとめ、職員に情報提供を行う注12)
(実施時期;平成○○年度から)

育児休業及び部分休業を取得しやすい雰囲気の醸成

 (1)  3歳未満の子を養育する男性職員を対象とした「男性職員の育児参加プログラム」注13)を実施する。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  育児休業の取得の申出があった場合、事例ごとに当該部署において業務分担の見直しを行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (3)  幹部会議等の場において、担当部署から定期的に育児休業等の制度の趣旨を徹底させ、職場の意識改革を行う。
(実施時期;平成○○年度から)

育児休業を取得した職員の円滑な職場復帰の支援

 (1)  育児休業中の職員に対して、休業期間中の広報誌や通達等の送付等を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  復職時におけるOJT研修等注14)を実施する。
(実施時期;平成○○年度から)

育児休業に伴う任期付採用及び臨時的任用制度の活用

 ○  部内の人員配置等によって、育児休業中の職員の業務を遂行することが困難なときは、任期付採用及び臨時的任用制度の活用による適切な代替要員の確保を図る。
(実施時期;平成○○年度から)

その他

 (1)  早出・遅出勤務又は時差出勤を行っている職場においては、保育園送迎等を行う職員に配慮して勤務時間を割り振る。
(実施時期;平成○○年度中)
 (2)  テレワークの実施に向け、適する職種と対象職員の選定、実施方法・態様等について検討を行う。注15)
(検討時期;平成○○年度中)
 (2)  (車による通勤が一般的な地域においては、)育児中の職員のための通勤用駐車場の確保に配慮する。
(実施時期;平成○○年度)


 ◎  以上のような取組を通じて、育児休業等の取得率を、
 男性 ○○%
 女性 ○○%
とする注16)
(目標達成年度;平成○○年度)


(4)  庁内託児施設の設置等
(計画記載例)

(1)  庁内託児施設注17)について、職員のニーズ調査を実施し、設置に向けた検討を行う。
(検討時期;平成○○年度中)
(2)  職員が居住する付近の保育施設等に関する情報を収集し、電子媒体や冊子の作成による情報提供を行う。
(実施時期;平成○○年度から)


(5) 超過勤務の縮減注18)
(計画記載例)


小学校就学始期に達するまでの子どものいる職員の深夜勤務及び超過勤務の制限の制度の周知

 ○  小学校就学始期に達するまでの子どものいる職員の深夜勤務及び超過勤務を制限する制度注19)について周知徹底を図る。
(実施時期;平成○○年度から)

一斉定時退庁日等の実施

 (1)  定時退庁日を設定し、館内放送及び電子メール等による注意喚起を図るとともに、幹部職員による定時退庁の率先垂範を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  幹部職員の巡回指導による定時退庁の実施徹底を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (3)  定時退庁ができない職員が多い部署を人事当局が把握し、管理職員への指導の徹底を図る。
(実施時期;平成○○年度から)

事務の簡素合理化の推進

 (1)  各職員に業務処理計画表を作成させ、効率的な事務遂行を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  新たに行事等を実施する場合には、目的、効果、必要性等について十分検討の上実施し、併せて、既存の行事等との関係を整理し、代替的に廃止できるものは廃止する。
(実施時期;平成○○年度から)
 (3)  会議・打合せについては、極力電子メール、電子掲示板を活用する。
(実施時期;平成○○年度から)
 (4)  定例・恒常的業務に係る事務処理のマニュアル化を図る。
(実施時期;平成○○年度から)

超過勤務の縮減のための意識啓発等

 (1)  超過勤務の上限の目安時間(例えば、年間 360時間注20))の設定等を内容とする超過勤務縮減のための指針を策定する。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  部局・課室ごとの超過勤務の状況を、人事当局等で把握できるようにし、超過勤務の多い職場の管理職からのヒヤリングを行った上で、注意喚起を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (3)  管理職員に対する意識向上のための自己診断チェックリスト注21)の作成・配布を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (4)  人事当局は、各部局・課室ごとの超過勤務の状況及び超過勤務の特に多い職員の状況を把握して幹部職員に報告し、幹部職員の超過勤務に関する認識の徹底を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (5)  超過勤務縮減の取組の重要性について、超過勤務縮減キャンペーン週間等の実施を通じて管理職を含む職員への意識啓発を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (6)  各部署における超過勤務縮減のための取組事例を収集し、事例集の作成・配布を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (7)  「時短推進員」注22)等を各部署に設置し、組織的な取組を推進する。
(実施時期;平成○○年度から)

その他

 (1)  超過勤務の多い職員に対する健康診断の実施等健康面における配慮を充実させる。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  長時間の超過勤務者に対する遅出出勤を実施する。
(実施時期;平成○○年度から)

 ◎  以上のような取組を通じて、各職員の1年間の超過勤務時間数について、人事院指針等に定める上限目安時間の360時間の達成に努める。
(目標達成年度;平成○○年度)


(6) 休暇の取得の促進注23)
(計画記載例)

年次休暇の取得の促進

 (1)  職員が年間の年次休暇取得目標日数を設定し、その確実な実行を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  幹部会議等の場において、担当部署から、定期的に休暇の取得促進を徹底させ、職場の意識改革を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (3)  管理者に対して、部下の年次休暇の取得状況を把握させ、計画的な年次休暇の取得を指導させる。
(実施時期;平成○○年度から)
 (4)  人事当局による取得状況の確認を行い、取得率が低い部署の管理職からヒアリングを行った上で、注意喚起を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
 (5)  各部署の業務計画を策定・周知することにより、職員の計画的な年次休暇の取得促進を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (6)  各部署において、おおむね四半期毎に休暇計画表を作成し、計画的な年次休暇の取得促進を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (7)  休暇取得促進キャンペーン等注24)を実施し、取得促進の周知を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (8)  安心して職員が年次休暇の取得ができるよう、事務処理において相互応援ができる体制を整備する。
(実施時期;平成○○年度から)

連続休暇等の取得の促進

 (1)  月・金と休日を組み合わせて年次休暇を取得する「ハッピーマンデー」、「ハッピーフライデー」の促進を図る。
 (2)  子どもの予防接種実施日や授業参観日における年次休暇の取得促進を図る注25)
(実施時期;平成○○年度から)
 (3)  国民の祝日や夏季休暇とあわせた年次休暇の取得促進を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (4)  勤続10周年等の節目に、年次休暇を利用した1週間以上のメモリアル休暇の取得促進を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (5)  年1回、年次休暇を利用した1週間のリフレッシュ休暇の取得促進を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (6)  職員やその家族の誕生日、結婚記念日等の家族の記念日における年次休暇の取得促進を図る。
(実施時期;平成○○年度から)
 (7)  ゴールデン・ウィークやお盆期間における公式会議の自粛を行う。
(実施時期;平成○○年度から)

 ◎  以上のような取組を通じて、職員1人当たりの年次休暇の取得を対前年度比で○○%増加させる。
(実施時期;平成○○年度から)

子どもの看護を行う等のための特別休暇の取得の促進

 ○  子どもの看護休暇等の特別休暇を周知するとともに、その取得を希望する職員に対して、100%取得できる雰囲気の醸成を図る。
(実施時期;平成○○年度から)


(7)  転勤及び宿舎の貸与における配慮
(計画記載例)

 転勤についての配慮

 官署を異にする異動を命じる場合、当該職員からのヒヤリングを実施した上で、子育ての状況に応じた人事上の配慮を行う。
(実施時期;平成○○年度から)

 宿舎の貸与における配慮

 子育てをしている職員に対して、仕事と子育ての両立にも配慮した宿舎の貸与に努める。
(実施時期;平成○○年度から)


(8)  職場優先の環境や固定的な性別役割分担意識等の是正のための取組
(計画記載例)

(1)  「パートナーシップの日」注26)を設け、職場優先の環境や固定的な性別役割分担意識等の是正についての情報提供や意識啓発を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
(2)  女性の管理・監督職による「キャリア相談員」注27)を設置し、女性職員の相談に応じる。
(実施時期;平成○○年度から)
(3)  各年齢層に対して、研修を通じた意識啓発を行う。
(実施時期;平成○○年度から)
(4)  セクシュアルハラスメント防止のための研修会を開催する。
(実施時期;平成○○年度から)
(5)  「特定職員による職場でのお茶くみ廃止」等について周知徹底を図る。
(実施時期;平成○○年度から)


(9)  母子家庭の母等の雇入れの促進等
(計画記載例)

母子家庭の母等の公共的施設における雇入れの促進等を図る注28)
(実施時期;平成○○年度から)


 その他の次世代育成支援対策に関する事項
(1)  子育てバリアフリー
(計画記載例)

(1)  外部からの来庁者の多い庁舎において、乳幼児と一緒に安心して利用できるトイレやベビーベッドの設置等を計画的に行う。
(実施時期;平成○○年度から)
(2)  施設利用者等の実情を勘案して、授乳室の設置を必要に応じて行う。
(実施時期;平成○○年度から)
(3)  子どもを連れた人が気兼ねなく来庁できるよう、親切な応接対応等のソフト面でのバリアフリーの取組を推進する。
(実施時期;平成○○年度から)


(2)  子ども・子育てに関する地域貢献活動
(計画記載例)

子ども・子育てに関する地域貢献活動

 ○  子ども・子育てに関するボランティアリーダーを養成するための講座等を開設する注29)
(実施時期;平成○○年度から)

子どもの体験活動等の支援

 (1)  子ども・子育てに関する活動等の地域貢献活動に関するデータベースを作成し、職員の積極的な参加を支援する。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  子どもが参加する地域の活動に敷地や施設を提供する。
(実施時期;平成○○年度から)
 (3)  子どもが参加する学習会等の行事において、職員が専門分野を活かした指導を実施する注30)
(実施時期;平成○○年度から)
 (4)  小中学校等に職員を派遣し、特別授業等を実施する。
(実施時期;平成○○年度から)

子どもを交通事故から守る活動の実施や支援

 (1)  交通事故予防について綱紀粛正通知による呼びかけを実施する。
(実施時期;平成○○年度から)
 (2)  公用車の運転手に対し、交通安全講習会の実施や専門機関等による安全運転に関する研修注31)の受講を支援する。
(実施時期;平成○○年度から)

安全で安心して子どもを育てられる環境の整備

 ○  子どもを安全な環境で安心して育てることができるよう、地域住民等の自主的な防犯活動や少年非行防止、立ち直り支援の活動等への職員の積極的な参加を支援する注32)
(実施時期;平成○○年度から)

(3)  子どもとふれあう機会の充実
(計画記載例)

(1)  子どもを対象とした職場見学ツアーを実施する注33)
(実施時期;平成○○年度から)
(2)  職員の子ども等の家族を対象とした職場見学会を実施する。
(実施時期;平成○○年度から)
(3)  運動会等のレクレーション活動の実施に当たっては、子どもを含めた家族全員が参加できるようにする。
(実施時期;平成○○年度から)


(4)  学習機会の提供等による家庭の教育力の向上
(計画記載例)

 職員に対し、家庭における子育てやしつけのヒント集等注34)を活用し、家庭教育に関する講座・講演会等の実施や情報の提供を行う。
(実施時期;平成○○年度から)



注1)  行動計画策定指針(以下「指針」という。)においては、
(1)  職員の仕事と子育ての両立の推進という視点
(2)  機関全体で取り組むという視点
(3)  機関の実情を踏まえた取組の推進という視点
(4)  取組の効果という視点
(5)  社会全体による支援の視点
(6)  地域における子育ての支援の視点
を基本的な視点として、行動計画を策定することとされている。

注2)  指針においては、計画期間は各特定事業主の実情に応じて設定できるものの、平成17年度から平成26年度の10年間のうち、おおむね5年間を一期とし、おおむね3年ごとに見直すことが望ましいとされている。

注3)  情報提供の方法としては、庁内LANや職員用ホームページの活用が考えられる。

注4)  厚生労働省において、平成16年の夏頃までに職員配布等のための「啓発資料」や「制度のQ&A集」等を作成し、各機関に配布することを予定している。

注5)  指針においては、策定した特定事業主行動計画に定めた目標の達成に向けて機関全体で取り組むため、計画を機関内に周知し、機関全体で取組を推進することが重要であるとされている。

注6)  指針においては、「計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標並びに実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期を記載した特定事業主行動計画を策定する」とされており、また、「計画の策定に当たっては、次世代育成支援対策として重要なものと考えられる・・・事項を踏まえ、各特定事業主の実情に応じて、必要な事項をその内容に盛り込むことが望ましい」とされている。

注7)  母性保護及び母性健康管理の観点から設けられている制度の概要
(1)  国家公務員(一般職)に関する母性保護及び母性健康管理の制度(人事院規則10−7(女子職員及び年少職員の健康、安全及び福祉))
@) 妊娠中及び産後1年を経過していない女子職員の危険有害業務の就業制限(第3条)
A) 妊娠中及び産後1年を経過していない女子職員の深夜勤務及び時間外勤務の制限(第4条)
B) 妊娠中及び産後1年を経過していない女子職員の健康診査及び保健指導(第5条)
C) 妊娠中及び産後1年を経過していない女子職員の業務軽減等(第6条)
D) 妊娠中の女子職員の通勤緩和(第7条)
E) 産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)の就業制限(第8条)
F) 産後8週間の就業制限(第9条)
G) 生後1年に達しない子を育てる女子職員が請求した場合の保育時間(第10条)
 なお、上記に掲げたもののうち、E)、F)及びG)については、特別休暇を取得することができる(人事院規則15−14(職員の勤務時間、休日及び休暇)第22条)。
(2)  地方公務員及び国家公務員(現業職)に関する母性保護及び母性健康管理の制度
@) 労働基準法
 妊娠中及び産後1年を経過しない女性に係る危険有害業務の就業制限(第64条の3)
 産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)及び産後8週間の就業禁止(第65条)
 妊娠中及び産後1年を経過しない女性の時間外労働及び深夜勤務の制限(第66条)
 生後満1年に達しない生児を育てる女性の育児時間(第67条)
A) 男女雇用機会均等法
 妊娠中及び出産後の女性労働者の健康管理に関する措置(第22条及び第23条)

注8)  出産費用の給付等の経済的支援制度の概要
 国家公務員共済組合法及び地方公務員法等共済組合法に基づく法定給付
(1)  出産費
(2)  配偶出産費
(3)  出産手当金
 こうした法定給付以外にも、各共済組合の定款に基づき、出産費附加金や配偶者出産費附加金が支払われる場合がある。

注9)  子どもの出生という親子にとって最も大事な時期に、家庭において親子の時間を大切にするとともに、出産後の妻をサポートすることが重要であることから、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」(平成15年3月14日少子化対策推進関係閣僚会議決定)では、「子どもが生まれたら父親が休暇を取得(例えば、5日間)」の促進を図ることとされている。

注10)  男性職員が育児休業を取得しやすい職場環境づくりの配慮をするように通知を発出すること等が考えられる。
 なお、埼玉県では、平成15年1月に、所属長に対し、
(1)  育児休業制度の周知
(2)  男性職員が少なくとも1ヶ月程度の育児休業を取得できる職場環境づくりを行い、育児休業の積極的な取得促進に努めるべきこと
等を内容とする通知を発出している(参照)

注11)  財務省では、育児休業取得者を対象とするアンケートを実施し、その結果を参考に、Q&Aの作成・配布を行っている(参照)

注12)  情報提供する内容例としては、
(1)  職員夫婦が交代で育児休業を取得した事例
(2)  男性職員が育児休業を取得したモデル的な事例
(3)  職員が育児休業の取得を希望した場合の各課室における業務改善事例
等の紹介を、機関誌や職員用ホームページを通じて行うこと等が考えられる。

注13)  栃木県においては、「男性職員の育児参加プログラム」として、3歳未満の子を養育する男性職員が、
(1)  既存の休暇制度等を利用し、自分の生活スタイルや業務を勘案しながら、育児に参加するためのプログラムを職員本人が作成する。
(2)  所属長は、プログラムを作成した職員と面談を行い、業務分担の見直し等の措置を講じ、プログラムを実践しやすい環境づくりに努める。
という取組を行っている(参照)

注14)  取組例としては、直属の上司等からの育児休業期間中の業務の動き等の説明、最新のパソコンが導入された場合のOA研修等が考えられる。

注15)  国家公務員については、現在、「テレワークに関する関係省庁連絡会議」において、テレワーク導入に当たっての問題点等を整理しているところである。
 なお、地方公共団体に対しては、総務省自治行政局公務員部より、当該会議の検討内容を必要に応じて情報提供等をすることとされている。

注16)  「次世代育成支援に関する当面の取組方針」(平成15年3月14日少子化対策推進関係閣僚会議決定)における育児休業取得率の社会全体の目標値は、
  男性 10%  女性 80%
とされている。
 各機関の育児休業取得率の目標値としては、
(1)  男性については、社会全体の目標値である10%以上とすることが望ましい。
 また、育児休業制度に限らず、例えば、妻の産後8週間の期間における年次休暇を利用した2週間程度の休暇等も含めた「育児休業的休暇」として目標値を設定することも考えられるが、この場合における目標値は育児休業取得率の目標値よりも相当程度高い目標値を設定することが適当である。
(2)  女性については、既に公務員の取得率が社会全体の目標値である80%を超えていることから、それぞれの機関の実情を踏まえた目標値を設定することが適当である。

注17)  文部科学省では、共済組合による「かすみがせき保育室」を設置している(参照)

注18)  国家公務員については、総務省人事・恩給局において、「超過勤務の縮減に関する取組事例集」を作成している。

注19)  深夜勤務及び超過勤務を制限する制度の概要
(1)  国家公務員(一般職)における育児を行う職員の深夜勤務及び超過勤務の制限制度(人事院規則10−11(育児又は介護を行う職員の深夜勤務及び超過勤務の制限))
 小学校始期に達するまでの子を有する職員の請求による深夜勤務の制限(第2条)
 小学校始期に達するまでの子を有する職員の請求による超過勤務の制限(第6条)
  1月  24時間
  1年 150時間
(2)  地方公務員及び国家公務員(現業職)における職員の深夜勤務及び超過勤務の制限制度(育児・介護休業法第61条)
 小学校始期に達するまでの子を有する職員の請求による深夜勤務の制限
 小学校始期に達するまでの子を有する職員の請求による超過勤務の制限
  1月  24時間
  1年 150時間

注20)  人事院の「超過勤務の縮減に関する指針について」(平成11年人事院職員局長通知)では、超過勤務の上限の目安時間は、原則「職員に対し、1年につき、360時間を目安としてこれを超えて超過勤務をさせないよう努めること」とされている。
 また、「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」(平成10年労働省告示第154号)においても、1年間の延長限度時間は360時間とされている。

注21)  「自己診断チェックリスト」とは、超過勤務の縮減に関して管理者が自らの意識・取組を確認するための自己診断用に、超過勤務の縮減に欠かせない事項、あるいは縮減の阻害要因となっている事項等を盛り込んだものである。
 国においては、人事院において「超過勤務縮減意識チェックシート(課室長向け自己診断用)」が作成・配布されている。

注22)  茨城県では、「時短推進員」が置かれ、「スリーモア作戦」を組織的に推進している(参照)

注23)  男性職員の望ましい休暇取得の在り方の例については、「5 男性の育児のための休暇取得の在り方」を参照

注24)  取組例としては、年次休暇の取得日数を前年より1日でも増加させるための「ワンモア作戦」の実施等が考えられる。

注25)  大阪府等では、子どもの予防接種実施日や授業参観日における年次休暇取得促進を図っている。

注26)  農林水産省では、毎月22日を「農林水産省いきいきパートナーシップの日」として、農山漁村の男女共同参画関連施策等に関する情報提供や、農林水産省職員に対する意識啓発活動を実施している(参照)

注27)  兵庫県では、女性の管理・監督者を中心に「キャリア相談員」を置き、後輩女性職員からの仕事と家庭の両立などに関する相談に応じている(参照)

注28)  母子及び寡婦福祉法第29条第1項において、「国及び地方公共団体は、就職を希望する母子家庭の母及び児童の雇用の促進を図るため、事業主その他国民一般の理解を高めるとともに、職業訓練の実施、就職のあつせん、公共的施設における雇入れの促進等必要な措置を講ずるように努めるものとする」とされている。

注29)  滋賀県では、地域の課題解決に向け指導的役割を担える素養を身につけることができるよう「地域社会活動支援講座」を開催している(参照)

注30)  自衛隊では、子どもが参加する地域の活動に敷地や施設を提供するとともに、隊員が、個人的にスポーツ競技の審判や指導員を引き受けるなどして、地元の人々と交流を深めている(参照)

注31)  自動車安全運転センター等において、安全運転に関する各種研修を実施している。

注32)  職員が年次休暇を利用して、防犯ボランティア活動、少年非行防止活動に参加すること等を推奨することが考えられる。

注33)  国においては、各府省庁等ごとの特色を生かし、子どもたちを対象とした「子ども霞が関見学デー」を実施している(参照)
 また、地方公共団体においても、社会体験の機会として「こども県庁見学デー」等を実施している例がある(愛媛県で実施(参照))。

注34)  文部科学省においては、家庭における子育てやしつけについて分かりやすく解説した「家庭教育手帳」や「家庭教育ビデオ」を作成しており、これらを活用することが考えられる(「家庭教育手帳」や「家庭教育ビデオ」の内容や貸出先については、文部科学省ホームページ(URL;http;www.mext.go.jp)に掲載されている。)。


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