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第5章 国民年金保険料の徴収対策の強化等

1.国民年金保険料の徴収対策の強化

 国民年金は国民皆年金の基本であり、国民年金の未納問題は、制度に対する信頼を損ね、社会連帯に基づく制度の根幹を揺るがしかねない重大な問題であり、制度面の整備を含めて徹底した対応を図っていく。

このため、以下のような制度的対応を行う。
 所得水準に応じた多段階免除制度の導入
 若年世代に多い単身世帯などを中心とした免除基準の見直し
 失業や就職困難な若年者について、親などの世帯主の所得にかかわらず一定期間保険料納付を猶予する仕組みの創設
 口座振替割引制度の導入
 効果的な保険料徴収のために必要となる所得情報等の収集のための法的整備の検討

 <保険料多段階免除制度の導入及び免除制度の見直し>

 (多段階免除制度の導入)

  ○ 今後国民年金保険料が段階的に引き上げられていく中、定額保険料を基本とする国民年金保険料について、被保険者の負担能力に応じた設定を行い、被保険者が納付しやすい環境整備を図る必要がある。
 このため、現在、全額免除と半額免除の2段階の免除制度となっている保険料免除制度について、所得水準に応じた多段階の免除制度とする見直しを行う。

 (免除基準の見直し)
  ○ 現在の免除制度は、消費支出の状況との対比などから見ると、単身世帯を中心に免除基準が厳しいものになっている面があり、こうした世帯類型の均衡を図るなど免除基準の見直しを行う。

 (納付猶予制度の創設)
  ○ 現在、就職が困難であったり失業中で所得が低い若年の者であっても、収入のある親と同居している場合には免除とならない。このような若年の者については、実際に負担できることとなった時点で保険料追納を可能とすることが適当であり、同居している世帯主の所得にかかわらず、本人及び配偶者の所得要件で、10年間は保険料納付を猶予し追納可能とする仕組みを設ける。

 (保険料追納等の仕組みの改善)
  ○ 現行制度において、免除や学生納付特例の措置を受けた者について、その後10年間に保険料の追納が可能とされているが、その際に付される年率4%の加算額について、実勢金利を反映した年率となるよう見直す等、免除制度、学生納付特例制度の仕組みの改善を行う。

 <前納制度を活用した口座振替割引制度の導入>
  ○ 口座振替による保険料納付は、確実かつ安定的な保険料収納を確保でき、納付率向上に有効な手段であり、また、効率的な保険料収納を行うことができ、さらには国民年金財政の安定化にも資する効果がある。一方で、その利用率は低い水準にとどまっていることから、その利用を促進するため、前納制度を活用した利用者に対する保険料額の割引制度を導入する。

 保険料徴収の効果的実施等に必要な所得情報等の収集のための制度面の整備>
  ○ 強制徴収の実施、保険料免除制度の勧奨等の効果的実施等に必要となる所得情報等の収集のための法的整備を行うことを検討する。

 <その他>
  ○ その他、保険料収納対策等に資する取組、仕組み及び実態調査について、制度面からの所要の措置を講じる。


2.年金制度の理解を深めるための取組

 被保険者に対し年金個人情報を定期的に通知することとする。

 その際、保険料納付実績を年ごとに点数化して表示していく。
(ポイント制)

 ○ 現役世代、特に若い世代の年金制度に対する理解を深め、信頼・安心を高めるため、将来の年金給付を実感できるわかりやすい仕組みや運営が必要であり、被保険者個々人が自らの拠出実績を確認し、将来受給する年金が着実に増加していくことを実感できるように、被保険者に、保険料拠出実績、年金額の見込み等の年金個人情報の定期的な通知を行うこととする。
 あわせて、その際に被保険者個々人の保険料納付実績を年ごとに点数化して表示していく(ポイント制)。


3.その他の見直し

 (1)第3号被保険者の特例届出


  ○ 第3号被保険者に係る届出の未届け期間の問題については、前回の平成7年4月から平成9年3月までの特例措置以降、過去に未届であった事実が新たに判明しているケースが多数に上ってきている。
 このことを踏まえ、これらの者の年金受給権の確保等を図る観点から、過去の未届期間について、特例届出を認め、現行で認められている遡り期間である2年間を超えて遡って保険料納付済期間とする特例措置を講じる。


 (2)特別支給の老齢厚生年金の定額部分等の算定上の被保険者期間の上限の見直し

  ○ 60歳台前半に支給される特別支給の老齢厚生年金の定額部分は、加入期間の伸びに対応して段階的に生年を追って低くなる仕組みとなっている。また、その算定を行う場合の被保険者期間については、段階的な単価の設定に合わせて、現在37年(444月)を上限とする措置が講じられている。
 このため、今後定額部分の額が老齢基礎年金の額を下回ることがないよう、算定上の被保険者期間の上限を見直す。


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