戻る  前ページ  次ページ

III 在宅就業者個人調査

1 在宅就業者に関する一般的事項

1−1 在宅就業者の年齢及び家族構成

 回答者の内訳は、男性3割(平均年齢44.5歳)、女性7割(平均年齢39.8歳)。
 女性では末子が未就学(6歳以下)である者が3割を占める(男性は18%)。

 回答のあった在宅就業者の男女比は、男性29.3%、女性70.1%であった。配偶者の有無については、男性の65.5%、女性の76.0%が配偶者ありであった。【図表1-1-1
 年齢構成は30代が43.7%、40代が33.3%で、この両者で全体の77%を占め、平均年齢は41.2歳であった。男女別で見ると、男性では40代が36.4%を占め、平均年齢は44.5歳であったのに対し、女性では30代が50.2%を占め、平均年齢は39.8歳であった。配偶者の有無別では、男性では配偶者ありの方が平均年齢が7歳高かったが、女性ではあまり差は見られなかった。【図表1-1-2】【図表1-1-3
 同居の子供については、回答者の60.8%が「ある」と回答し、末子が6歳までの未就学児である者の割合は26.1%であった。これを男女別で見ると、男性では同居の子供ありが48.2%、末子未就学が18.2%であるのに対し、女性では同居の子供ありが66.5%、末子未就学が29.7%と、いずれも女性の方が割合が高かった。【図表1-1-4


1−2 在宅就業を始めてからの期間及び始めた理由

 在宅就業を始めてからの期間は、「2〜3年未満」と「10年以上」にピーク。20代は約半数が「1年未満」で、「2〜3年未満」を含むと85%に及ぶ。
 在宅就業を始めた理由としては、男性は「自分のペースで働ける」「自分のやった分だけ報われる」が上位。女性は「育児や介護等、家事と仕事の両立」が6割。

 在宅就業を始めてからの期間を見ると、「2〜3年未満」(23.5%)と「10年以上」(22.7%)がやや高い割合を示しているが、ほぼ全カテゴリに均等に分布していた。男女別では、それほど顕著な差は見られなかった。【図表1-2-1
 年齢別で見ると、20代では「1年未満」(47.6%)が最多で、「2〜3年未満」(38.1%)がこれに続き、両者を合わせると20代全体の85.7%に及ぶ。一方、50代及び60歳以上ではいずれも「10年以上」が半数近くを占める。【図表1-2-2
 在宅就業を始めた理由としては、「自分のペースで柔軟・弾力的に働けるため」(48.3%)及び「育児や介護等、家事と仕事の両立のため」(44.8%)を、それぞれ回答者の半数近くが上げた。【図表1-2-3
 男女別で見ると、男性では「自分のペースで柔軟・弾力的に働けるため」(55.5%)、「自分がやった分だけ報われ、働きがいがあるから」(42.7%)、「会社勤務からの独立のため」(40.0%)が上位を占めたが、女性では「育児や介護等、家事と仕事の両立のため」(59.7%)、「自分のペースで柔軟・弾力的に働けるため」(45.2%)が多く、特に配偶者あり女性では「育児や介護等、家事と仕事の両立のため」が68.5%を占めた。【図表1-2-4


2 在宅就業に関する事項

2−1 現在の主な職種及び当該職種に係る業務経験

 男性は「設計、製図、デザイン」「システム設計、プログラミング」が多く、女性は「文書入力」「設計、製図、デザイン」「データ入力」が多い。
 当該職種に係る業務経験は、4人に3人が「ある」と回答しているが、「文書入力」「テープ起こし」「データ入力」等ではその割合が低い。

 現在実施している職種のうち主なもの(以下「現在の主な職種」という。)を男女別で見ると、男性では「設計、製図、デザイン」(38.2%)、「システム設計、プログラミング」(20.9%)が多く、女性では「文書入力」(30.4%)、「設計、製図、デザイン」(15.6%)、「データ入力」(14.8%)が多い。【図表2-1-1
 当該職種の業務経験については、およそ74.1%が「ある」と回答している。職種別に見ると、「システム設計、プログラミング」(90.0%)、「設計、製図、デザイン」(89.2%)等、専門性の高い職種では「業務経験あり」の割合が高く、「文書入力」(56.3%)、「テープ起こし」(57.1%)、「データ入力」(58.5%)などは「業務経験あり」の割合が低かった。【図表2-1-2

2−2 在宅就業を始めるに当たっての準備状況

 準備内容は「OA機器の購入」「ソフトウエアの購入」が上位を占め、いずれも男性の回答率が高い。女性は「机等備品の購入」を上げた者の率が高い。
 情報通信機器は、受注に当たり貸与されたケースが1割あるが、大多数は受注前後に全額個人負担で購入。

 在宅就業を始めるに当たっての準備内容を複数回答で尋ねたところ、「OA機器の購入」(男性79.1%、女性62.4%)、ついで「ソフトウエアの購入」(男性56.4%、女性25.1%)が多かった。また、女性で多かったのは「机等備品の購入」(男性11.8%、女性26.6%)であった。【図表2-2-1
 準備にかかった費用はばらつきが見られるが、全体的に男性の方がかかった費用は高い。100万円を超える者は男性29.1%、女性8.0%であった。【図表2-2-2
 情報通信機器については、回答者の87.5%がパソコンを所有しており、受注前から所有していた者も含め、個人で購入した割合は85.6%に及ぶ。【図表2-2-3】【図表2-2-4

2−3 仕事の確保状況

 仕事の確保状況は、「継続的にある」、「とぎれるときがある」がほぼ同数。男性より女性の方が「継続的にある」の割合が高い。

 仕事の確保状況は、「継続的にある」(44.3%)、「とぎれるときがある」(45.3%)がほぼ同数であり、「ないときの方が多い」と回答した者は10.1%であった。
 男女別で見ると、男性は「とぎれるときがある」(55.5%)が多かったのに対し、女性は「継続的にある」(47.1%)が多かった。【図表2-3-1

2−4 仕事の依頼主の見つけ方

 在宅就業を始めた当初は「以前の勤め先」が多く、経験を重ねるにつれて「仕事仲間の情報、紹介」が増加。
 1社のみから依頼を受ける者は半数弱。2割以上は5社以上から仕事を受ける。

 仕事の依頼主の見つけ方を3つ以内の複数回答で尋ねたところ、「以前の勤め先」(32.0%)が最も多く、ついで「仕事仲間の情報、紹介」(26.1%)、「以前の勤め先関係の知人の紹介」(22.9%)など、知人等を通じて仕事の依頼主を見つける者の割合が高かった。一方、「求人広告への応募」(15.2%)、「仲介的な会社・個人」(5.3%)、「インターネットの情報」(3.7%)など、不特定多数を対象とした募集媒体の利用率はあまり高くないなど、発注者調査における在宅就業者の募集ルートと同様の傾向が見られた。【図表2-4-1
 男女の違いが見られたものとしては、男性の方が多かったのは「以前の勤め先の取引企業」(26.4%)、「以前の勤め先関係の知人の紹介」(30.0%)、「自分で営業」(25.5%)、「勤め先関係以外の知人の紹介」(24.5%)などであるのに対し、女性の方が多かったのは「求人広告への応募」(19.4%)であった。【図表2-4-2
 経験年数別で見ると、「1年未満」の層では「以前の勤め先」が58.3%に及ぶが、徐々にその割合は低下し、一方、「仕事仲間の情報、紹介」「自分で営業」の占める割合は、経験が長くなると徐々に増加する。【図表2-4-3
 仕事の依頼主数について尋ねたところ、「1社」であるものが48.0%である一方で、5社以上の者が 21.1%見られた。男女別では、男性は「5〜9社」が32.7%で最多であったのに対し、女性では「1社」が 59.3%を占めた。【図表2-4-4
 複数の依頼主から仕事を受けている在宅就業者に最も仕事量の多い依頼主のウエイトを尋ねたところ、依頼主数が多くなるにつれてそのウエイトは低位にシフトしていた。【図表2-4-5


3 仕事の実施状況

3−1 年収・年商概算

 男性は4人に1人が500万円超、女性は7割が149万円以下。

 年収・年商の概算を男女別で見ると、男性は高所得層に、女性が低所得層にピークが存在しており、累積度数分布を見ると、149万円までの層が男性では21.8%であるのに対し、女性では68.1%に及ぶ。また、500万円を超える層を男女別で見ると、男性26.4%に対し、女性では3.8%に留まり、男女間格差が大きい。【図表3-1-1】【図表3-1-2

3−2 仕事を行う時間帯

 配偶者あり女性において、「夕方(17時〜20時)」のウエイトが他区分の者より大幅に低い。「夜(20〜24時)」に仕事を行う割合は、男性より女性の方が高い。

 仕事を行う時間帯について2つ以内の複数回答で尋ねたところ、「午後(13〜17時)」(68.8%)、「午前(8〜12時)」(49.9%)が多く、「夜(20〜24時)」(38.7%)がこれに続く。【図表3-2-1
 これを男女別・配偶者の有無別に見てみると、「午前(8〜12時)」の稼働率は配偶者のいない者(男性)42.1%、女性33.3%)よりいる者(男性58.3%、女性53.5%)の方が高く、「夜(20〜24時)」の稼働率は男性(配偶者あり27.8%、配偶者なし31.6%)より女性(配偶者あり42.5%、配偶者なし44.4%)の方が高い傾向が見られた。また、「夕方(17〜20時)」の稼働率は、配偶者有り女性が5.0%で、ほかの区分がいずれも18〜19%台であったのに比べて顕著に低かった。【図表3-2-2

3−3 2月中の在宅就業の仕事の実績

 就業日数は「14日〜21日」が最多で、「21日以上」がこれに続く。
 仕事をした日の1日当たりの平均就業時間は、男性は8時間以上の回答が半数を超えるのに対し、女性では8時間未満の回答が7割を超えた。
 2月中の月収額は、男性の半数が「30万円以上」であるのに対し、女性の4割は7万円未満であり、「7万円〜10万円未満」を加えると半数を超える。

 2月中に在宅就業の仕事をした日数を尋ねたところ、「14日〜21日未満」が39.7%を占め、ついで「21日以上」(24.0%)であった。男女別で見ると、男性は「21日以上」(32.7%)の割合が女性(20.2%)より10%以上高いのに対し、女性は「7日〜14日未満」(21.7%)の割合が男性(10.9%)に比べ10%以上高く、全体的に男性の方が仕事をした日数は多い。【図表3-3-1
 仕事をした日の1日の平均作業時間は、「5〜8時間未満」(36.0%)とする者が最も多く、「2〜5時間未満」(24.8%)がこれに続く。男女別で見ると、男性は「8〜10時間未満」(31.8%)が最多で、「10時間以上」(22.7%)の割合も女性(9.5%)に比較してかなり高く、その両者で半数を超える。一方、女性は「2〜5時間未満」(30.0%)が男性(11.8%)の3倍近いなど、1日当たりの平均就業時間も男性より女性の方が短い。【図表3-3-2
 2月の月収額については、「5万円未満」(24.5%)と「30万円以上」(21.9%)の2ヶ所にピークが見られた。これを男女別で見ると男性では51.8%が「30万円以上」と回答したのに対し、女性では29.7%が「5万円未満」と回答し、男女差が顕著に現れた。【図表3-3-3


4 契約に関する事項

4−1 契約条件の明確化

 書面での契約もなされているが、6割の回答者は口頭契約も実施。

 仕事の契約方法について複数回答で尋ねたところ、「口頭」が回答者の60.5%に及び、書面による契約(「契約書方式」(23.7%)、「伝票方式」(21.6%)、「メモ程度」(16.3%))はどの方式も同程度であった。また、「電子メール」と回答した者も26.9%見られた。これらの傾向は、発注者調査における結果と類似していた。【図表4-1-1
 これを男女別で見ると、男性では「書面(契約書方式)」(31.8%)と「口頭」と(70.0%)回答した割合が女性に比べ高い。【図表4-1-2


4−2 報酬の決定方法

 報酬単位は、「出来高」が67%、「実際の所要時間」が23%。「文書入力」「ライター、翻訳」「データ入力」などでは「出来高」の割合が高い。
 報酬決定手順は、「依頼主が設定する」が最も多く、「文書入力」「データ入力」等の単純作業においてその割合が高い。

 仕事の報酬単位を複数回答で尋ねたところ、「出来高」とする者が67.2%を占め、「実際の所要時間」(22.9%)がこれに続くなど、発注者調査における結果と同様の傾向を示した。現在の主な職種別では「文書入力」(86.2%)、「ライター、翻訳」(84.8%)、「データ入力」(73.2%)などで、「出来高」の割合が高い。【図表4-2-1】【図表4-2-2
 仕事の報酬決定手順を複数回答で尋ねたところ、53.1%は「依頼主が設定する」としており、「依頼主が設定し、必要があれば交渉」(31.5%)と「自分で提示し、依頼主と調整」(28.8%)が同程度であった。これも、発注者調査における傾向と類似していた。現在の主な職種別では、「テープ起こし」(85.7%)、「データ入力」(80.5%)、「文書入力」(67.8%)など、比較的単純な作業において「依頼主が設定する」の割合が高い。【図表4-2-3】【図表4-2-4

4−3 納期

 文書入力では半数が3日未満、データ入力では半数が5日未満。
 文書入力作業の成果物は、フロッピーディスク納品が6割、通信データが3割。フロッピーの納品は直接持参が主流。

 在宅ワークガイドラインに例示されている代表的な4職種について、以下の仕事に対する納期を尋ねたところ、「文書入力」では3日未満とする者は半数近くを占め、「データ入力」では5日未満とする者が半数を占めた。【図表4-3-1
 「テープ起こし」及び「HP作成」はデータ数が少なく、傾向を把握するには至らなかった。
  文書入力:400字詰め原稿用紙30枚(=12,000文字)
  テープ起こし:録音時間90分
  データ入力:100レコード
  HP作成:HTMLファイル1つ
 文書入力作業を行った在宅就業者に対して納品物の形態を尋ねたところ、60.4%が「フロッピーディスク」、31.3%が「通信データ」であった。【図表4-3-2
 また、納品方法を尋ねたところ、フロッピーディスクでは「自分で持っていく」が66.7%を占め、「宅急便、郵送」(19.8%)がこれに続く。【図表4-3-3

5 トラブルに関する事項

5−1 依頼主との間でのトラブル

 2割が依頼主とのトラブルを経験。内容は「報酬の支払い」が最多で、「仕事の納期」がこれに続く。対応としては、電話あるいは直接会って交渉するケースが多い。

 依頼主とのトラブルは「たまにある」(19.5%)、「よくある」(0.8%)を合わせると20.3%の者が経験しており、男性では「たまにある」(26.4%)、「よくある」(2.7%)の合計で3割近くに及ぶ。【図表5-1-1
 トラブルの内容としては「報酬の支払い」(男性71.9%、女性63.6%)が最多で、発注者調査での最多回答が「仕事の出来具合」であることと合わせて考えると、納品物の品質管理が報酬の支払いに影響を及ぼしていることが推測される。以下、「仕事の納期」(男性31.3%、女性36.4%)、「依頼される仕事の量」(男性21.9%、女性27.3%)がこれに続く。【図表5-1-2
 トラブル対応としては、男性は「直接会って交渉」(71.9%)、「電話で交渉」(65.6%)が多いが、女性は「電話で交渉」(59.1%)が最多で、「直接会って交渉」は31.8%である。【図表5-1-3

5−2 今困っていること

 「仕事の確保」「単価が安いこと」「ハード・ソフトウエアのレベルアップ」が上位を占める。

 今困っていることを尋ねたところ、「仕事の確保」(53.3%)が最多で、発注者調査での回答で「仕事の成果に個人差が大きい」「優秀な人材の確保が難しい」など、個人の能力に関連する事項が問題点として多く上げられたことと合わせて考えると、在宅就業市場で能力のミスマッチが生じていることが窺われる。ついで「単価が安いこと」(35.2%)、「ハード、ソフトウエアのレベルアップ」(26.7%)であった。【図表5-2-1
 男女別で見ると、男性では「大きな仕事を引き受けるための仲間、人材の確保」(20.9%)の、女性では「能力・知識の不足」(22.8%)の割合が高いのが特徴であった。【図表5-2-2


6 健康管理及び能力開発に関する事項

6−1 健康管理に関する事項

 「肩こり」は65%、「眼精疲労」は74%が自覚症状を持ち、女性の方がその率は高い。しかし、治療、通院をしている割合は低い。
 健康診断を受診した者は1割。VDT健康診断はほとんど行われていない。

 「肩こり」の自覚症状は、「かなり感じている」(男性18.2%、女性36.1%)、「やや感じている」(男性31.8%、女性35.7%)で、両者を併せると男性の半数、女性の7割が自覚症状を訴えている。「かなり感じている」と回答した者の中では、男性の15.0%、女性の26.3%が治療・通院をしている一方、「やや感じている」と回答した者の中で治療・通院しているのは、男性2.9%、女性6.4%であった。
 「眼精疲労」では、「かなり感じている」(男性25.5%、女性33.1%)、「やや感じている」(男性40.9%、女性43.7%)で、両者を併せると男女とも4分の3が自覚症状を訴えている。「かなり感じている」と回答した者の中では、男性の17.9%、女性の13.8%が治療・通院をしている一方、「やや感じている」と回答した者の中で治療・通院しているのは、男性6.7%、女性4.3%であり、「肩こり」と比較すると相対的に男性の治療・通院率が高い。
 「腰痛」では、「かなり感じている」(男性10.0%、女性13.7%)、「やや感じている」(男性31.8%、女性30.0%)で、両者を併せると男女とも4割が自覚症状を訴えている。「かなり感じている」と回答した者の中では男性の9.1%、女性の47.2%が治療・通院をしている一方、「やや感じている」と回答した者の中で治療・通院しているのは、男性8.5%、女性5.1%であり、「かなり感じている」女性の治療・通院率がかなり高かった。【図表6-1-1
 「その他」としては「精神的肉体的疲労」、「視力低下」、「老眼」、「ストレス」、「腱鞘炎」、「手や指の疲れ」などが上げられていた。
 健康診断は87.7%の回答者が受診していなかった。【図表6-1-2
 受診したと回答した37名の全員が「一般健康診断」を受けていたが、VDT健康診断を受診した者はわずか2名のみであった。

6−2 能力開発に関する事項

 勤務先での仕事経験が在宅就業のベースになるケースが多い。知識・技能の向上のための取り組みには男女差が見られる。

 在宅就業に必要な能力の修得方法としては、「勤務先での仕事経験、研修」(男性75.5%、女性79.1%)が男女とも最も多かった。全体的に男女差はほとんど見られなかったが、「本などで自分で勉強」(男性66.4%、女性49.0%)が男性の方がやや高率であった。【図表6-2-1
 知識・技能の向上のための取り組みについては、男性では80.9%が「している」と回答したのに対し、女性では55.5%に留まった。これを現在の主な職種別で見ると、「文書入力」(47.1%)、「データ入力」 (36.6%)など、比較的簡便な作業を行う者でその割合が低かった。【図表6-2-2】【図表6-2-3
 能力開発の実施内容は、「ソフトウエアの学習」(男性の79.8%、女性の71.2%)が最多であった。【図表6-2-4
 能力開発の実施方法としては、「書籍、雑誌、関連情報などによる自己学習」(男性の88.8%、女性の84.2%)が最多で、「仕事関係者、仲間との情報交換」(男性62.9%、女性57.5%)がこれに続く。男女別で見ると、女性で「配偶者からの指導、助言」(18.5%)を上げた者が男性(2.2%)よりかなり多かったことが特徴的である。【図表6-2-5

6−3 他の在宅就業者との交流、情報交換に関する事項

 6割近くが交流の機会の必要性を認識するが、交流への積極性はあまり高くなく、近場あるいはインターネット上での交流を希望する者が多い。

 他の在宅就業者との交流の機会の必要性については、男性の64.5%、女性の53.6%が「必要だと思う」と回答した。交流の機会の具体的イメージを示さなかったためか、「どちらとも言えない」と回答した者も男性で25.5%、女性で33.8%見られた。【図表6-3-1
 「必要だと思う」と回答した者に対し交流への積極性を尋ねたところ、男性では「積極的」(14.1%)、「比較的積極的」(33.8%)の両者で半数近くを占めたのに対し、女性では「あまり積極的でない」(47.5%)、「消極的」(19.1%)の両者で3分の2に及んだ。【図表6-3-2】【図表6-3-3
 交流に「積極的」、「比較的積極的」と回答した者に仲間との接触方法を尋ねたところ、男性では「電話や電子メールによる接触」(50.0%)が主流であったが、女性では「仲間とグループを作って共同受注を行う等の活動をしている」(34.0%)が最も多く、年齢層が上がるほどその割合は増加した。【図表6-3-4】【図表6-3-5
 一方、「あまり積極的でない」、「消極的」と回答した者にグループ交流に参加する条件を尋ねたところ、「近くで行われる」(男性69.4%、女性51.1%)が最も多く、ついで「インターネット上での交流」(男性41.7%、女性38.3%)であった。【図表6-3-6
 インターネットは、男性の87.3%、女性の73.0%が利用していた。在宅就業のワン・ストップサービスサイトの利用については、サイトの具体的なイメージを示さなかったこともあり、回答者の約半数が「判らない」と回答した。しかし、現時点で「利用しない」と回答した者はどの区分でも数%に留まり、サイト利用の潜在的ニーズはあるものと考えられる。【図表6-3-7


7 在宅就業に係る将来展望

 在宅就業の継続希望は9割。やめたい理由は「収入が少ない、不安定だから」。
 子育て時期後の出勤は、出たくない者が6割。出たくない理由は「時間の自由がきかない」「家を空けたくない」が多い。

 在宅就業の継続希望については、55.5%が「ぜひ続けたい」と回答し、「できれば続けたい」(31.5%)も含めると、ほぼ9割が継続希望を持っていた。特に、末子が就学前の層では、継続希望が全般的に高かった。【図表7-1】【図表7-2
 一方、「迷っている」、「やめたい」と回答した者は合わせて11.2%おり、その理由を複数回答で尋ねたところ、「収入が少ない、不安定だから」(78.6%)が最多で、年齢の若い世代ほどその割合が高かった。【図表7-3】【図表7-4
 未就学児童がいる女性(末子年齢6歳以下)に対し、子育て時期後の出勤希望について尋ねたところ、「絶対出たくない」(1.3%)、「できれば出たくない」(57.7%)の合計で6割近くに及び、「出ると思う」と回答した者は35.9%であった。【図表7-5
 出たくないと回答した者にその理由を尋ねたところ、「時間の自由がきかない」(67.4%)、「家を空けたくない」(47.8%)が多かった。【図表7-6
 一方、「出ると思う」と回答した者にその理由を尋ねたところ、「外界と接触することができない」(46.4%)、「現在は外に出て働くことができない」(35.7%)、「十分な収入が得られない」(32.1%)が上位を占めた。【図表7-7



トップへ
戻る  前ページ  次ページ