資料3 |
平成14年度均等推進企業表彰紹介 |
(1)厚生労働大臣努力賞表彰企業一覧
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取組背景
平成10年に経営改革のための3か年にわたる「中期構造改革計画」を策定し、その計画の一環として平成12年4月に、人的資源の見直しを行う「フレッシュ・アンド・フェア・プログラム」(以下、FFプログラム)を導入した。このプログラムは、新しい時代に対応する人材処遇・雇用制度の再構築を目指す人的資源管理のプログラムであり、仕事を通じた個人と会社の「フェア」な関係を構築する(年齢、性別、学歴、入社年度等を人事評価・処遇の判断要素から排除する)ことを主目的としている。
また、FFプログラムの導入と相前後して、平成12年3月から4月にかけて第1回社員満足度調査を実施した結果、社員の満足度に男女間格差がみられ、全体として女性の満足度が低いことや、チャレンジの機会が少なく、男性ほどには仕事に面白味を感じていない女性社員の姿が明らかになった。
この調査結果を踏まえて、FFプログラムに基づき、平成12年9月に主任・係長を対象とした公募による管理職登用制度「新・役職者登用制度(プロチャレンジ制度)」を導入したが、女性の応募が少なかったため、当時の社長をトップとする人財委員会で「制度としてポジティブ・アクションを行うこと」を決定した。
取組体制
会長を委員長とし、その他社長、専務取締役、常務取締役や人事部長で構成される「人財委員会」が主となって推進している。
取組目標
管理職(課長職以上)に占める女性比率を、平成12年現在の1.2%から平成15年までに5%にする。
取組内容
(1) 女性管理職登用優遇制度
管理職に占める女性比率に注目し、男女間の格差を是正することを目的として、「プロチャレンジ制度」で女性のみを対象とした追加公募を実施した。
追加公募に際しては、趣旨を明確にするとともに、社内外への広報を徹底し、女性の応募を促した。また、エントリー資格を拡大し、勤続8年以上であれば誰でも応募できることとした。応募には上司の推薦は不要とし、自薦を原則としたが、上司に対しても女性の応募を促すよう呼びかけた。
(2)ポジティブ・アクション・キャリア研修の実施
「プロチャレンジ制度」の応募者全員を対象に行う研修に加えて、女性応募者のみを対象に能力開発支援のための研修を行った。研修内容は、(1)FFプログラムやポジティブ・アクションの説明、(2)管理職適性検査結果のフィードバック、(3)キャリアに関するディスカッション、(4)他企業の女性役職者によるキャリアに関するスピーチ、(5)今後のキャリアについての決意表明等である。
なお、この研修内容が好評であったため、平成13年からは、「プロチャレンジ制度」の応募者以外の女性希望者も研修対象に加えている。
(3)キャリア・ドライブ制度
FFプログラムの一環として、「キャリア・ドライブ制度」を導入した。これは、各社員が自己のキャリアについて明確な意識を持つことができるように、異動について社員の意思を尊重しながら運用するという制度である。この制度の定着により、「転勤できないから管理職になれない」という状況の改善が期待されている。
(4)女性支援の風土づくり
リーダー研修の中で、男性管理職に対しポジティブ・アクションの必要性や自社の取組内容について説明を行い、理解を促している。
また、女性支援の取組も積極的に周知するなど、女性が働きやすい風土づくりを目指している。
取組の結果
「プロチャレンジ制度」への初回応募者は、女性5名(男性155名)だったが、追加公募を行ったことにより、女性応募者は20名に増加した。応募者のうち、管理職に登用された者は、女性13名(男性46名)となっており、管理職(課長職以上)に占める女性比率は、平成12年度の1.2%から平成13年度は2.6%に増加した。新任女性管理職にはフォローアップを行うなど、ポジティブ・アクションのPDCA(Plan,Do,Check,Action)を徹底している。
また、管理職登用だけでなく、女性の積極的な採用にも努めており、平成14年度採用者の女性比率は30.3%(平成12年度13.3%)となっている。
今後の課題
FFプログラムの推進とポジティブ・アクションの定着のために、女性管理職が組織のリーダーとなるためのマネジメント・スキルの向上といった、更なる教育プログラムの充実を図り、また、女性の満足度を継続的に把握しつつ、ポジティブ・アクションの取組を進めていくこととしている。
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取組背景
従来から人事制度や配置等において男女均等な取扱いをする方針をとっており、男女雇用機会均等法施行前の昭和57年から大卒男女を同一区分で採用、育成している。また、昭和50年代には、既に外商部門で課長職に女性が登用されており、バイヤーへの女性の積極的配置も早い時期から行われてきた。
しかしながら、過去の学歴別採用や男女の役割分担意識などから、役職者比率等において男女間に事実上の差が生じている実態もあった。
そこで、21世紀に向けた経営戦略の一環として、学歴や性別、勤続年数に関わりなく社員が能力発揮できる人事制度への転換を図ることにより、事実上の格差を解消し、より一層女性が働きやすい職場づくりの実現が図られることとなった。
取組体制
株主総会でトップが女性を登用していくことを発言するなど、経営陣全体が女性の積極的活用の重要性を認識し、取組を行っている。
取組目標
性別や勤続年数に関わりなく、個人の意欲、能力、適性を重視し、女性の能力発揮促進が実現できる環境の整備を目的としている。
取組内容
(1)人事制度改革
平成12年度には、人事制度をこれまでの年功重視から能力・成果重視へ転換し、男女を対象とした人材育成、適性のある者の積極的登用という枠組みの中で、意識的に女性の人材に目を向け、女性の能力発揮促進を図っている。
具体的には、制度として、(1)意欲のある者を支援する仕組みの確立(社内公募制、FA<フリーエージェント>制の導入)、(2)抜擢登用を可能にする仕組みの確立(一定の資格ランクに対応する職位等級に達していなくとも、適性があると認められる者を当該ポストにつけ、実績を上げれば昇格させるというもの)、(3)新しい仕事へのチャレンジや能力アップを可能にするための教育制度の充実(「大丸スクール」を開設し、知識習得、実践、検証、フィードバックを継続的に行うことで知識とスキルを身につける)、などを導入している。
(2)社内公募制による女性の積極的登用
社内公募制には、女性も積極的に応募しており、それまで従事していた仕事とは全く違う分野への配転がかなった女性もいる。特に、専門店の運営の陣頭指揮の役割を担うショップ店長職を創設した際には、社内公募を行い、優先的に女性を登用した。
(3)バイヤーへの女性の積極的登用
従来は男性向きと考えられていた仕入れ業務への女性の配置に早くから取り組んでおり、仕入れ専任のバイヤー職掌が設けられた平成元年には15名の女性がバイヤーに登用されている。バイヤーに占める女性比率は年々高くなっている。
(4)母性健康管理への配慮
母性健康管理についても、管理職に通達を出して従業員に制度を周知するよう指示するなど、職場の理解を得るための配慮がなされている。
(5)セクシュアルハラスメント防止対策
全社的な取組の推進母体として「セクシュアルハラスメント防止対策委員会」を設置し、全店での状況管理や全社的に行うべき啓発、改善策を検討するなどの取組を行っている。
取組の結果
長年にわたって女性が働きやすい職場環境の土壌が形成されてきた結果、現在では、女性の平均勤続年数は16.9年と長く、10年以上の長期勤続者の女性が約8割、既婚者比率も3割を超える状況となっている。
女性管理職は、平成11年に部次長級の統括マネージャーへ4名の女性が初めて登用されており、その後、平成13年に新人事制度(抜擢登用)により女性のライン部長が誕生した。この成功事例をもとに、平成14年度には新たに2名の女性がライン部長に登用されることとなった。
また、バイヤーの女性比率は平成元年度には7.2%であったが、平成13年度には14.5%まで増加している。
今後の課題
制度面の整備は一応整ったが、業態の特性からも、一層の女性の活用と活躍が不可欠であると考えており、さらに一段と能力・適性・意欲のある人材の登用、抜擢を進めるため、平成14年度を「人材育成強化元年」と位置づけ、全社をあげて人材の育成・強化に取り組んでいくこととしている。
(2)都道府県労働局長賞表彰企業一覧
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以上 28企業 |
均等推進企業表彰について |
1 均等推進企業とは
(1) | 女性労働者の能力発揮を促進し、その活用を図るため、女性の採用や職域の拡大、登用、長期的育成、母性保護等に積極的に取り組んでおり、その取組、姿勢が評価できること |
(2) | 女性が能力発揮しやすい職場環境・風土を持っていること |
(3) | 雇用管理制度において、男女均等な取扱いが図られていること |
2 表彰の種類
(2) 都道府県労働局長賞
厚生労働大臣賞に準ずる取組がみられ、地域において、日頃から雇用均等行政の推進に理解があり、女性の活用に努力する姿勢が評価できる企業に対する表彰
なお、女性の能力発揮促進について積極的に取り組んでいる企業であって、その成果が優秀で他の模範であると認められる企業に対する厚生労働大臣優良賞があるが、今回は該当する企業がなかった。