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既に「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査基準」に
基づき安全性審査が終了した食品に係る追加報告書

 これまで、厚生労働省において、「組換えDNA技術応用食品及び添加物の安全性審査基準」(以下、「審査基準」という。)に基づき、安全性審査を行ってきたところであるが、既に安全性審査が終了している次の2品種の食品について、今般、開発者から追加資料の提出があったことから、これら内容について、人の健康を損なうおそれがあるかどうか検討したところ、その結果は次のとおりであった。

1.大豆(ラウンドアップ・レディー・大豆(40-3-2系統))

 従来より感度の高い分析法を用いて分析を行った結果、副次的な転写産物(リードスルー転写産物)の存在が新たに確認されたことから、このことが、人の健康を損なうおそれがあるかどうか検討を行った。(別添1のとおり。)

2.とうもろこし(ラウンドアップ・レディー・トウモロコシNK603系統)

 CP4EPSPS蛋白質の1アミノ酸が変化していたこと、及び新たに感度の高い分析法を用いて分析を行った結果、副次的な転写産物(リードスルー転写産物)の存在が新たに確認されたことから、これらのことが、人の健康を損なうおそれがあるかどうか検討を行った。(別添2のとおり。)


別添1
追加報告書

品種:大豆(商品名:「ラウンドアップ・レディー大豆(40-3-2系統)」)
性質:除草剤(グリホサート)耐性
申請者:日本モンサント株式会社
開発者:Monsanto Company

 ラウンドアップ・レディー・大豆(40-3-2系統)については、平成13年3月30日に厚生労働省の安全性審査の手続きが終了し告示されたものであるが、平成14年2月18日に、その分子特性に関する追加資料が申請者より提出されたことから、その内容について検討したところ、結果は次のとおりである。

(1)新たな知見について

 ラウンドアップ・レディー・大豆の3'末端領域に関して、従来の分析法よりも感度の高いstrand-specific ノーザンブロット分析等を行ったところ、NOS3'ターミネーターをリードスルーしていると考えられる副次的な転写産物の存在が確認された。

(2)審査結果

 新たに確認された副次的な転写産物については、主たる転写産物と同一方向で転写されていること及び通常のNOS3'で終結する主たる転写産物と比べてその産物量がわずかであることが確認されている。また、この副次的な転写産物からCP4EPSPS蛋白質以外の蛋白質の翻訳が起こる可能性について検討した結果、ウェスタンブロット分析の結果からは、CP4EPSPS蛋白質(46kDa)よりも分子量の大きい蛋白質は検出されなかったこと等より、副次的な転写産物から産生される蛋白質もCP4EPSPS蛋白質であることが示唆された。さらに、推定されるポリペプチドに、既知のアレルゲン及び毒素蛋白質との相同性はなかった。

 なお、3'末端領域について、BACクローンライブラリーを構築し、解析を行った結果、3'末端領域は非組換え大豆のゲノムが再構築された領域であることが確認されている。

(3)結論

 以上のことから、リードスルーに伴う転写産物の存在は、これまでのラウンドアップ・レディー・大豆の安全性評価に影響するものではなく、人の健康を損なうおそれがあるとは認められないと判断される。


別添2
追加報告書

品種:とうもろこし
(商品名:「ラウンドアップ・レディー・トウモロコシNK603系統」)
性質:除草剤(グリホサート)耐性
申請者:日本モンサント株式会社
開発者:Monsanto Company

 ラウンドアップ・レディー・トウモロコシNK603系統については、平成13年3月30日に厚生労働省の安全性審査の手続きが終了し告示されたものであるが、平成14年2月18日に、その分子特性等に関する追加資料が申請者より提出されたことから、その内容について検討したところ、結果は次のとおりである。

(1)新たな知見について

 NK603における遺伝子解析の結果、CP4EPSPS蛋白質のN末端から214番目のアミノ酸がロイシンからプロリンに変わっていることが分かった。
 また、挿入遺伝子の3'末端領域に関して、従来の分析法よりも感度の高いstrand-specific RT-PCR分析を行ったところ、NOS3'ターミネーターをリードスルーしていると考えられる副次的な転写産物の存在が確認された。

(2)審査結果

 214番目のアミノ酸のプロリンへの変化については、この214番目のアミノ酸がCP4EPSPS蛋白質の活性部位及び三次元構造に影響を及ぼさないことが、三次元構造解析の結果から示されている。また、念のため、このアミノ酸が変化した蛋白質について、人工胃液中での感受性及びデータベース検索による既知アレルゲン・毒素蛋白質との相同性の有無を調べたところ、いずれも、CP4EPSPS蛋白質と同様、問題がないことが示されている。
 なお、この1アミノ酸の変化は、商品化された系統の交配母本など3つの世代で確認されていることから、パーティクルガン法による遺伝子導入の際に起こったものであると結論されている。

 新たに確認された副次的な転写産物については、主たる転写産物と同一方向で転写されていること及びノーザンブロット分析の結果より、通常のNOS3'で終結する主たる転写産物と比べてその産物量がわずかであることが確認されている。また、この副次的な転写産物からCP4EPSPS蛋白質以外の蛋白質の翻訳が起こる可能性について検討した結果、ウェスタンブロット分析の結果からは、CP4EPSPS蛋白質(46kDa)よりも分子量の大きい蛋白質は検出されなかったこと等より、副次的な転写産物から産生される蛋白質もCP4EPSPS蛋白質であることが示唆された。
 さらに、推定されるポリペプチドに、既知のアレルゲン及び毒素蛋白質との相同性はなかった。

(3)結論

 以上のことから、1アミノ酸の置換と、リードスルーに伴う転写産物の存在は、これまでのラウンドアップ・レディー・トウモロコシNK603系統の安全性評価に影響するものではなく、人の健康を損なうおそれがあるとは認められないと判断


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