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科 発第467号
健総発第 66号
健感発第 61号
平成13年10月18日
各 都道府県
政 令 市
特 別 区
衛生主管部(局)長 殿
厚生労働省大臣官房 厚生科学課長
健 康 局 総務課長
結核感染症課長

炭疽菌等の汚染のおそれのある郵便物等の取扱いについて

 このたび、米国内において、多くの施設が炭疽菌等の汚染のおそれのある郵便物等を受け取っているところであり、国内においても同様の事件発生が危惧されているところである。
 厚生労働省においては、10月8日に緊急テロ対策本部を設置し、必要な対策の検討や調整を行っているところであるが、貴職における炭疽菌等の汚染のおそれのある郵便物等の取扱い方法等については、下記(参考1としてフロー図を示した)について十分に留意の上、適切に対応されたい。

 第1 郵便局等(郵便物の受取人が当該郵便物を発見し、郵便局に通報した場合を含む。)において炭疽菌等の汚染のおそれのある郵便物等が発見された場合

 当該郵便局等から所管の地方郵政監察局又は地区郵政監察室へ報告がされ、状況によっては、都道府県警察本部・警察署へ通報される。
 貴職に対して都道府県警察本部・警察署から検査又は鑑定依頼があった場合には、炭疽菌による脅迫郵便物等が社会的にも大きな問題となっている状況に鑑み、貴下地方衛生研究所等において速やかに検査を開始するとともに、その旨速やかに厚生労働省健康局総務課地域保健室まで報告されたい。

 第2 住民又は宅配業者等から炭疽菌等の汚染のおそれのある郵便物等が発見された旨通報があった場合

 住民又は宅配業者等から、都道府県・政令市・特別区の保健所等に直接通報があった場合には、当該事項について直ちに都道府県警察本部・警察署へ通報を行うよう指導されたい。
 住民等又は保健所から通報を受けた都道府県警察本部・警察署では、当該発見情報を確認することとしている。その後、貴職に対して、都道府県警察本部・警察署からの検査又は鑑定依頼があった場合には、貴下地方衛生研究所等において速やかに検査を開始するとともに、その旨速やかに厚生労働省健康局総務課地域保健室まで報告されたい。

 第3 上記のいずれの場合に関しても、検査又は鑑定依頼を受けた地方衛生研究所等においては、まず、P2注1又はこれと同等の施設において、炭疽菌等の基本的な検査(最低限グラム染色、可能であればギムザ染色及び芽胞染色を行い、顕微鏡で炭疽菌等の存在の有無注2を確認)を実施すること。(参考2として菌の同定手順の概説を示したので参照されたい。)
 その結果、

(1) 「陰性」と判定される場合には、速やかに厚生労働省健康局総務課地域保健室に報告するとともに、必要に応じて関係方面等に情報提供すること。

(2) 「陽性」又は「陰性か否かが判定できない」場合には、直ちに炭疽菌等の遺伝子解析等による検査を実施すること。

 なお、貴下地方衛生研究所等において、炭疽菌等の遺伝子解析等が実施できない場合には、近隣の地方衛生研究所等を含め、速やかに依頼可能な機関に検査を依頼すること。それでも技術的対応が困難である場合には、国立感染症研究所又は厚生労働省健康局結核感染症課に相談の上、同研究所に検体を送付し確認を依頼されたい。
 また、今回の事態に緊急に対応するため、平成13年10月25日に地方衛生研究所等の担当者を対象として、「炭疽菌の検査法に関する講習会」を実施することとしているので活用されたい。

 第4 上記の第1及び第2のいずれの場合においても、関係機関と連携の上、保健所等を中心として、炭疽菌等の汚染のおそれのある郵便物等が発見された際にその場所にいた全ての人をリストアップするとともに、必要に応じてそれらの方々に対し検体採取及び検体検査、消毒、炭疽菌に対する正確な情報の提供を行うこと。さらに、炭疽菌等により汚染された可能性のある場所の消毒等を適切に行うこと。

 以上については、警察庁、郵政事業庁、国土交通省とも協議済みである。
 なお、本通知は、炭疽菌等の生物剤への対処について示したものであり、化学剤への対処については別途適切に対応することが必要である。化学剤に関しては、都道府県警察の科学捜査研究所及び警察庁の科学警察研究所においても対応可能であることを申し添える。

注1:物理的封じ込め(Physical containment)のレベルに関することであり、分離培養を行う場合にはP3レベル又はこれと同等の施設で実施することが望ましい。なお、検査室内における消毒に関しては、以下の「炭疽菌の検査に際する消毒方法について」を参考されたい。


炭疽菌の検査に際する消毒方法について(検査室内の機器・器具等)

消毒の概要

●検査機関で使用されている芽胞に効果のある消毒薬を使用するか、又は、市販の塩素系漂白剤、0.5%次亜塩素酸塩(家庭用漂白剤を10倍に希釈したもの)を使用する
(ただし、腐食性があるので、腐食を避けるためには漂白剤をよく洗い流すこと。)

作業場の表面及び滅菌できない設備機器の消毒方法

●作業場の表面は使用前後に芽胞に効果のある消毒薬で拭き取る

●滅菌不可能な設備機器は定期的に消毒薬で消毒する

汚染した器具(ピペット、針、白金耳、スライドグラス)の消毒方法

●オートクレーブするまで消毒薬に浸しておく

炭疽菌で汚染されているか又は汚染されている可能性のある材料を誤ってこぼした場合の消毒方法

●新鮮臨床材料(例:痰、血液、痂皮等)で汚染した場合は、消毒薬を注ぎ5分間そのまま浸したのち、処分する

●大量に菌を含むと思われる培養皿、血液培養などの実験室材料による汚染に対する消毒や室温以下の場所で汚染物をこぼした場合の消毒は、

  • 汚染部位を囲み大量の消毒薬を注ぐ。一時間以上浸した後処分する
  • 処分の際に汚れたものは全てオートクレーブにかけるか焼却する

出典)米国CDCガイドライン(州政府厚生省向け)より抜粋
   CDC Guidelines for State Health Departments(Revised October 14,2001)

注2:仮に炭疽菌の場合、特徴のあるグラム陽性桿菌(竹の節状の配列)が見られる。


<炭疽菌に関する参考ホームページ>

※ 厚生労働省ホームページ

※ 治療法・Q&A等に関しては、日本医師会のホームページを参考にして下さい。
  (http://www.med.or.jp/etc/terro.html)


参考1 炭疽菌等の汚染のおそれのある郵便物等への対応の図


参考2 病原性細菌であることが疑われる粉末の検査方法 1から4の図

病原性細菌であることが疑われる粉末の検査方法 5から9の図



照会先:厚生労働省健康局総務課地域保健室
担当者:課長補佐 渡辺(内線2332)
           益山(内線2334)
連絡先:03−5253−1111
ダイヤルイン(夜間)03−3595−2190

照会先:厚生労働省健康局結核感染症課
担当者:課長補佐 中嶋(内線2376)
ダイヤルイン(夜間)03−3595−2190


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