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1 市町村事務に関すること

(1)支援費の支給申請について

(問1)施設入所者で、精神上の障害により判断能力を欠く常況にあり、身寄りがない知的障害者の場合、支援費の支給申請についてどのように考えればよいか。

 このような場合は、市町村長の申立てによる成年後見制度の利用が考えられる。
 成年後見の開始の申立てを市町村長が行う場合、「成年後見利用支援事業」の活用についても検討することが必要である。

(問2)障害者(障害児を除く)の支援費の支給申請で親等が申請の代行を行うことは可能か。
 また、可能である場合、委任状は必要か。

 支援費支給申請の代行は、障害者本人の支援費支給申請の意思表示の内容を本人に代わり伝える行為であり、本人から申請の代行の依頼を受けたものであれば誰であっても可能である。また、必ずしも書面により依頼されている必要はない。
 委任状を求めるか、窓口でどのような対応をするか等については、基本的に市町村の判断と考えるが、障害者本人に実際の申請意思があるか否かについては、勘案事項の聴き取り等による支給決定手続の過程において確認できるから、必ずしも一律に委任状の提出を求める必要はないものと考える。

(問3)障害者(障害児を除く)の親が当該本人の代理人として支援費の支給申請を行うことは可能か。
 また、可能である場合、委任状は必要か。

 障害者本人が支援費支給の申請に係る法律行為を行うことを第三者に対して、代理権を授与した場合については、当該第三者は本人の「代理人」として支援費支給申請が可能である。
 代理の場合には、本人から代理権を授与されていることが必要であるが、問2の代行と同様に勘案事項の聴き取り等による支給決定手続の過程において、真に本人の意思表示に基づく代理権授与であるかどうかを確認することにより、申請時に一律に委任状の提出を求める必要はないものと考える。

(2)居住地等の変更の届出

(問4)他の市町村へ居住地を変更した場合、14日以内に届出をすることとなっているが、居宅支給決定取消時期は住民基本台帳での転出日としてよいか。

 転出日を取消日とすることができる。
サービスを切れ目なく継続的に必要とするケースについては、新旧居住地市町村間で連携をとり支給決定及び取消事務を行われたい。

(3)サービス提供困難時の対応について

(問5)1月10日会議資料別冊P122「5 サービス提供困難時の対応」において事業者の対応が示されているが、市町村の対応についてはどのように考えるのか。

 市町村は、利用者の求めに応じ、事業者と連携を図り、利用者にサービスが提供されるよう、サービスの利用に係るあっせん・調整、要請を行う必要がある。

(4)受給者証記載事項の報告について

(問6)別冊資料P177の指定基準の「5 入退所の記録の記載等」の中に、「指定施設は、施設受給者証記載事項について遅滞なく市町村へ報告すること。」となっているが、資料P22の「(3)施設支援の利用から支払いまで」の中ではその事務手続は記載されていない。施設からの報告を求めることになるのか。

 市町村は援護の実施者として、入退所に関する情報(施設名、入所日及び退所日)を把握する必要があるため、施設からの報告を受けることになる。
 また、知的障害者地域生活援助(グループホーム)においても、同様に事業者からの報告を受けることになる。

(5)支援費の支払について

(問7)代理受領によらず、支援費を本人に支給することは可能か。

 市町村は「居宅生活支援費として当該居宅支給決定身体障害者に支給すべき額の限度において、当該居宅支給決定身体障害者に代わり、当該指定居宅支援事業者に支払うことができる。」(新身障法第17条の5第8項等)とされているところであり、市町村の判断により、代理受領によらず支援費を本人に支給することは可能である。
 ただし、この場合、市町村は下記の要件を満たす必要がある。
(1) 当該利用者が償還払いを望んでいること
(2) 受給者証の特記事項欄への記載などにより、当該利用者が代理受領でなく、
 償還払いであることが事業者にとって判断できるようにしておくこと
 この場合、事業者は「サービス提供証明書」や領収証を利用者へ交付するとともに、利用者はこれらの書類を申請書に添付して請求することとなる。
 なお、償還払いは、一時的に障害者等が相当額の負担をすることとなり、特に低所得者の利用を困難なものにするおそれがある。
 一方、代理受領方式は、障害者等が一時的に費用の全額を負担する必要がなく、また、事業者においても複数の利用者に代わり市町村からまとめて支援費を受け取ることができ、さらに市町村においても、事業者に一括して支払うことができることから、事務的な負担の軽減にも資するものである。
 このように、利用者、事業者、市町村それぞれの利便に資することとなるので、代理受領方式を取り入れることとしたものであることに留意されたい。

(問8)施設・事業者からの支援費請求に関する期限は、公法上の時効に従うというこになるのか。

 お見込みのとおり。地方自治法第236条の規定(時効は5年間)に従うことになる。

(6)特例居宅生活支援費の支給について

(問9)市町村は、基準該当事業者によるサービス提供に対する特例居宅生活支援費の支給を行わないとすることとできるか。

 特例居宅生活支援費は、市町村が必要と認める場合支給されるものであることから、市町村の判断により特例居宅生活支援費の支給を行わないとすることも可能である。
 その場合、利用者に対し事前にその旨を明確にしておくことが必要である。
なお、サービス供給体制が不十分な地域においては、基準該当事業者の活用を検討することが必要である。

(7)知的障害者地域生活援助(グループホーム)の援護の実施者について

(問10)知的障害者地域生活援助(グループホーム)の利用者の援護の実施者が現行の取扱いと同様になるとのことだが、その利用者が通所型の施設支援を利用する場合、援護の実施者は出身世帯と本人の住所地のどちらになるのか。

 新知的障害者福祉法第9条において、知的障害者に対する市町村による更生援護は、知的障害者の居住地の市町村が行うこととされており、援護の実施者が二つの市町村になることはない。
 利用者の居住地のある市町村が援護の実施者であり、1月10日全国会議資料でお示ししたとおり、グループホームについて支給決定を行った市町村が、通所の施設支援についても支給決定を行うこととなる。

(問11)グループホーム入所者の出身世帯が他の市町村に転居した場合、援護の実施者も変更されると考えてよいか。

 お見込みのとおり。

(問12)グループホームの利用者に係る援護の実施者については、現行どおりのことであるが、援護の実施者市町村から支払われる支援費の額は、グループホーム所在地市町村が定める支援費の額ではなく、援護の実施市町村が定める支援費の額となると考えてよろしいか。

 お見込みのとおり。

(8)支払事務委託について

(問13)都道府県下の市町村が共同で行う支払委託ではなく、一つの市町村が当該市町村のみの支払事務委託を行うことは差し支えないか。
 また、措置費について、支払事務委託が可能か。
 さらに、市が設立した外郭団体が、指定施設・指定事業所を運営している場合、支払委託を当該団体に対して行えるのか。

 一つの市町村が単独で支払事務委託を行うことは差し支えない。
なお、支払事務委託を身障法、知障法、児福法の各法に規定し明確にした趣旨は、事業者が支払請求を行う市町村が多数にわたったり、同様に市町村が支払を行う事業者も多数にわたったりすることがあるが、支払事務を都道府県単位等の広域市町村で一つの機関に委託すれば、事業者及び市町村両者の事務負担を軽減する効果があることから、その取り組みを促すことである。この点にご留意いただき、支払事務委託についてご検討いただきたい。
 また、措置費については、現在行われている措置費支払代行と同様であるから、支払委託が可能である。
 指定施設、指定事業所への支払事務委託については、一般的には、受託支払機関が支払業務を行う一方で、指定施設・指定事業所の業務を行うことは、支払事務が不公正になるおそれがあり、望ましくないものと考えている。

(9)施行前準備について

(問14)施行前準備行為としての支給申請受付と支給決定の開始時期は、全国で統一した設定となるのか、市町村ごとに設定することとなるのか。

 事務の大要P6「支援費制度施行までの日程(案)」において、平成14年度第III四半期から支給申請の受付と支給決定を開始することをお示ししているが、これはあくまでも目安であり、各市町村の判断により、平成15年度の支援費制度施行に支障のない適切な事務処理が行えるよう、支給申請の受付と支給決定の開始時期を設定していただきたい。
 なお、制度利用対象者に対して、設定した支給申請の受付と支給決定の開始時期の周知を十分に行っていただきたい。



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