事件名 |
伏見織物加工(12年団交) |
事件番号 |
中労委平成13年(不再)第47号
中労委平成13年(不再)第46号
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再審査申立人 |
京都ー滋賀地域合同労働組合 |
再審査申立人 |
伏見織物加工株式会社 |
再審査被申立人 |
伏見織物加工株式会社 |
再審査被申立人 |
京都ー滋賀地域合同労働組合 |
命令年月日 |
平成17年10月19日 |
命令区分 |
再審査棄却(初審命令をそのまま維持) |
重要度 |
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事件概要 |
会社は、(1)組合から申入れのあった夏季賞与等を議題とする団
体交渉及び組合員X1の失業保険、退職金、夏季賞与、解雇予告手当等を議題とする団体交渉に応じなかったこと、(2)契約期
間が満了したX1に解雇予行手当等を支給せず、雇用保険等の加入手続を取らなかったこと、(3)本件救済申立て後において
も、不利益取扱いを是正しなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、京都府労委は、会社に対し、雇用保険の
届出を怠ったことによる受給額の減少相当分の取扱い及び厚生年金保険被保険者であることの確認を受けるために講ずべき措置に
ついての団交応諾を命じ、その余の申立ては棄却又は却下した。
会社及び組合は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4904 従業員中に組合員が存在しない場合
5144 不当労働行為でないことが明白
X1に対する、解雇予告手当の不支給、退職金の不支給、平成12年度夏季賞与の不支給及び雇用保険並びに厚生年金保険の加入
手続きをとらなかったことについては、同人が組合結成当初から組合員であったとの疎明はなく、また、当該行為が行われた時点
で、同人が組合員であったとは認められないから、組合には救済を求める適格がないとした初審判断は相当であるとされた例。
3201 不当労働行為とされなかった例
X1が組合員になったと推認される期間における組合の救済申立てを行ったことを理由とする報復的不利益取扱いの主張について
は、(1)会社はX1の退職予定日の30日前に雇用契約を更新しない旨を通知したことが認められ、解雇予告手当の支払義務は
生じないこと、(2)X1はパートタイム職員であり、雇用契約書には、退職金がないことが記載されていることが認められ、ま
た、会社が過去にパートタイム職員に対して退職金を支給した事実もないこと、(3)会社には、賞与について、支給日に在職し
ている者のみに支給するという慣行が成立していたことが認められ、平成12年度夏季賞与支給日に既に退職していたX1に対
し、会社は支払義務を負わないこと、(4)会社は、職安の指導に基づき速やかに、雇用保険手続きを行い、雇用保険の被保険者
の手続きを怠ったことによる減額相当分についても支払ったこと、厚生年金保険の手続きは行っていないが、社会保険事務所が会
社に対し指導したとの事実はなく、会社が労働委員会への申立てを行ったことを理由にX1の厚生年金保険の被保険者確認を妨害
しているとまではいえないことから、これらのことは報復的不利益取扱いに当たらないとされた例。
4504 他の救済と重畳的に団交の必要性を認めた例
平成12年10月の団交申入れについては、(1)X1は、退職後、社会通念上合理的な期間に労働組合に加入し、かつ、社会通
念上合理的な期間内に団交の申入れがなされており、同人は労組法第7条第2号の「雇用する労働者」と認められること、
(2)X1の失業保険、退職金、夏季賞与、解雇予告手当等の議題は、X1との労働関係の清算に関する事項であり、組合が団交
を申し入れている以上、会社は団交に応じる義務を負うものであること、(3)減額された雇用保険ついて、X1の要求額と会社
の支給額の差額に関して、会社には、少なくとも支払額の算定根拠についての説明を行う必要があること、(4)厚生年金保険に
ついては、団交申入書には明記されていないが、X1は同保険の加入を求めているのであるから、X1が厚生年金保険の被保険者
であることの確認を受けるために会社が講ずべき措置について団交を通じて説明を行う義務があること等から、会社には、当該団
交申入れに応じる義務があるが、審査の過程においてX1の退職金、解雇予告手当、平成12年度夏季賞与の支払いについては、
会社に支払義務がないことが組合に示されたというべきであり、この部分については、団交を行う意義は失われているため、雇用
保険及び厚生年金保険加入問題についての団交応諾を命じるとされた例。
4904 従業員中に組合員が存在しない場合
5144 不当労働行為でないことが明白
平成12年7月の団交申入れについては、X1が組合員であることを明らかにしたのは同年9月であり、その他会社と雇用関係に
ある組合員がいるとの事実もないことから、会社が当該団交申入れに応じなかったことは、不当労働行為に該当しないとされた
例。
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業種・規模 |
衣服・その他の繊維製品製造業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
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