通知

中労委文発第221号
昭和27年5月26日
各地方労働委員会会長 あて
中央労働委員会会長

中労委規則の施行について

標記中労委規則は五月二十六日付官報で公布せられたところであるが、今次改正は第六回全国労働委員会連絡協議会特別委員会における不当労働行為に関する 緊急措置についての結論を具体化したものであり、これが施行に当つては左記に留意の上処理せられたく、通知します。

一、第三十七条の二関係
不当労働行為の審査継続中、経済的その他の原因のため、そのまま放置すれば労働者側の救済の実効が阻害され若しくは困難になるような事態が生じ、 あるいは制度の趣旨が没却されるおそれある場合がないとはいえない。これを避けるために第一につくすべき手段が審査の迅速化にあることは いうまでもないのであるが、さらに本条によつて、審査手続の一部として、審査中であつても労働委員会が当事者に対し、場合に応じて適宜、 必要な措置をとることを勧告できることとし、この面からも制度の実効を確保しようとしたものである。しかし、この勧告をするに当つては、 格別の注意を払い、かりそめにも当事者に予断を疑わしめるが如きことのないよう意を用いられたいこと。
二、第四十五条関係
救済につき、命令書の写が交付されたときは命令は効力を生じ、その効力が再審査を申し立てても停止されないことは労組法第二十七条第二項第三項 の規定するところであるが、本条は第一項において、使用者に命令履行の義務があることを重ねて宣明すると共に、第二項において命令を発した委員会の 会長は必要に応じ、命令の履行について使用者に対し報告を求めることができることとし、それにより将来命令確定後における事務の処理に備えると共に 併せて命令内容の実現につき、命令した地労委の職責の達成を意図するものであること。
三、第五十一条の二関係
初審命令に対して再審査が申し立てられたときは、行政訴訟が提起された場合における緊急命令に相当する制度がない故に、命令を履行しない 使用者がある場合には前記のように規則第四十五条が改正せられてもなお救済の実効を挙げるに充分でない場合がある。本条は中労委会長がその使用者に 対して、必要があれば、不履行の事情およびその理由について弁明を求め、その上で初審命令の履行を勧告することができるものとしたものである。
なお、この勧告は初審命令の履行の如何にだけ関するものであるから、中労委が処理しつつある再審査の結果とは、全く無関係であることはいうまでもないこと。

以上

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