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III 医療費適正化の総合的な推進

III 医療費適正化の総合的な推進

1.医療給付費の伸びと国民の負担との均衡の確保

医療給付費の伸びと国民の負担との均衡の確保の図



2.医療費適正化計画の推進

(医療費適正化の総合的な推進)
 医療費の伸びが過大とならないよう、糖尿病等の患者・予備群の減少、平均在院日数の短縮を図るなど、計画的な医療費の適正化対策を推進する。

(医療費適正化計画の推進)
(1)国の責任のもと、国及び都道府県等が協力し、生活習慣病対策や長期入院の是正などの計画的な医療費適正化に取り組む。
(2)計画の推進のための支援措置を講ずる。健康増進計画や医療計画、介護保険事業支援計画と整合のとれたものとして作成し、施策の連携を図る。
(3)計画を確実に実施するための検証を行う。

  医療制度改革大綱より抜粋



(1) 医療費の伸びの抑制(中長期的対策)

基本的考え方

 ◎   平成20年度を初年度とする医療費適正化計画(5年計画)において、政策目標を掲げ、医療費の伸びを適正化
  生活習慣病予防の徹底→政策目標:生活習慣病有病者・予備群を25%減少(平成27(2015)年度)
  平均在院日数の短縮→政策目標:全国平均(36日)と最短の長野県(27日)の差を半分に縮小(同上)

図



(2) 生活習慣病対策の取組

基本的な方向
 医療保険者(国保・被用者保険)に対し、40歳以上の被保険者・被扶養者を対象とする、内臓脂肪型肥満に着目した健診及び保健指導の事業実施を義務づける。

主な内容
 各医療保険者は、国の指針に従って計画的に実施する。(平成20年度より)

 健診によって発見された要保健指導者に対する保健指導の徹底を図る。→指針において明示

 被用者保険の被扶養者等については、地元の市町村国保で健診や保健指導を受けられるようにする。
  医療保険者は市町村国保における事業提供を活用することも可能。(費用負担及びデータ管理は、利用者の属する医療保険者が行う。)
  都道府県ごとに設置される保険者協議会において、都道府県が中心になって、効率的なサービス提供がなされるよう、各医療保険者間の調整や助言を行う。

 医療保険者は、健診結果のデータを有効に活用し、保健指導を受ける者を効率的に選定するとともに、事業評価を行う。また、被保険者・被扶養者に対して、健診等の結果の情報を保存しやすい形で提供する。

 市町村国保等の健診事業等に対して、一部公費による支援措置を行う。



(3) 平均在院日数短縮に向けた取組

基本的な方向
  各都道府県は、医療機関その他の関係者と協力の下、住民が疾患の状態や時期に応じた適切な医療を受けることができるよう、医療機能の分化・連携、在宅療養の推進、療養病床の転換支援の取組を行う。

  こうした都道府県の取組に対して、国は、次のような各種支援措置を講じる。
 医療計画制度の見直しに関する基本指針の策定及びマニュアルの作成
 医療機能の分化・連携、在宅療養の推進に係る診療報酬上の評価
 保健医療提供体制の統合補助金や整備交付金の活用
 医療保険財源を活用した転換整備事業

主な内容
(1)  医療機能の分化・連携
  医療計画の見直しを通じ、脳卒中対策などの事業ごとに、急性期から回復期、療養、介護等に関係する各機関による具体的な連携体制を形成し、状態や時期に応じた、切れ目のない適切な医療が受けられるようにする。

(2)  在宅療養の推進
  病院から在宅への復帰が円滑にできるよう、退院時における主治医やケアマネジャーとの連携を図り、看取りまで含めた在宅医療の支援体制を構築する。また、高齢者向けの自宅以外の多様な居住の場や療養・介護の場となる住宅の整備を推進する。

(3)  療養病床の転換支援
  高齢者の療養病床について、老人保健施設や居住系サービス施設(有料老人ホーム、ケアハウス等)への転換を支援する。



(4) 医療費適正化計画の期間終了時の措置

【都道府県における取組】
 各都道府県計画の各事業の進捗状況を把握
 都道府県計画の政策目標及び医療費見通しと、把握した実績との比較を行い、差異が生じた要因を分析
 要因分析を踏まえた対応策の案を検討
 以上を国に報告

【国における取組】
 国全体としての評価及び都道府県ごとの評価を実施
 国全体としての評価を踏まえ、診療報酬体系の見直し
 都道府県と協議した上で、都道府県ごとの特例的な診療報酬の設定

 ・ その他、都道府県の基本計画の支援等必要な取り組みを進める。



(5) 都道府県における3計画と医療費適正化計画との関係

都道府県における3計画と医療費適正化計画との関係の図



今後のスケジュール(未定稿)

今後のスケジュール(未定稿)の図



(参考1)
医療費増加の構図

医療費増加の構図



(参考2) 各種取組と医療費適正化の関係

各種取組と医療費適正化の関係の図



(参考3)
関係当事者全員参加による医療費適正化

関係当事者全員参加による医療費適正化の図



(参考4)
医療給付費の将来見通し
(医療制度改革案ベース、平成18年1月)

  2006年度
(平成18)
予算ベース
2010年度
(平成22)
2015年度
(平成27)
2025年度
(平成37)
改革案 27.5兆円 31.2兆円 37兆円 48兆円
  国民所得比 7.3% 7.4%〜7.7% 8.0%〜8.5% 8.8%〜9.7%
GDP比 5.4% 5.4%〜5.6% 5.8%〜6.1% 6.4%〜7.0%
改革実施前 28.5兆円 33.2兆円 40兆円 56兆円
  国民所得比 7.6% 7.9%〜8.2% 8.7%〜9.2% 10.3%〜11.4%
GDP比 5.5% 5.8%〜5.9% 6.3%〜6.6% 7.5%〜8.2%
国民所得 375.6兆円 403〜420兆円 432〜461兆円 492〜540兆円
GDP 513.9兆円 558〜576兆円 601〜634兆円 684〜742兆円
(試算の前提)
 1. 「改革実施前」は、平成18年度の診療報酬改定及び健康保険法等改正を実施しなかった場合を起算点とし、1人当たり医療費の伸びについては従前通り、70歳未満2.1%、70歳以上3.2%と設定して試算している。
 2. 「改革案」は、平成18年度予算を起算点とし、平成18年度の診療報酬改定及び健康保険法等改正の効果を織り込んで試算したもの。
 3. 国民所得比及びGDP比の算出に用いた名目経済成長率は、2011年度までは「改革と展望2005(案)」参考試算、2012年度以降は平成16年年金財政再計算の前提を用いて、「基本ケース」及び「リスクケース」の2つのケースを設定している。
表



(参考資料1)
1人当たり老人医療費の診療種別内訳(全国平均との差)
〜平成15年度〜

1人当たり老人医療費は、最大(福岡県)と最小(長野県)で約30万円(約1.5倍)の格差が存在しており、都道府県格差の約7割は入院医療費が寄与している。

1人当たり老人医療費の診療種別内訳(全国平均との差)〜平成15年度〜のグラフ



(参考資料2)
病床別に見た全国平均と長野県の平均在院日数の比較
(平成16(2004)年)


病床別に見た全国平均と長野県の平均在院日数の比較(平成16(2004)年)のグラフ
 出典:平成16(2004)年病院報告



(参考資料3)
平均在院日数と1人当たり老人医療費(入院)の相関
平均在院日数と1人当たり老人医療費(入院)の相関のグラフ
資料出所: 保険局調査課調べ(厚生労働省大臣官房統計情報部「平成15年病院報告」、厚生労働省保険局「老人医療事業年報」(平成15年度)より作成)



(参考資料4)
人口10万対病床数と1人当たり老人医療費(入院)の相関
人口10万対病床数と1人当たり老人医療費(入院)の相関のグラフ
注: 病床数は、病院の病床数と一般診療所の病床数の合計から、介護療養型医療施設の病床数を減じたものである。
資料出所: 保険局調査課調べ(厚生労働省官房統計情報部「医療施設調査」、「介護サービス施設・事業所調査」(平成15年)、厚生労働省保険局「老人医療事業年報」(平成15年度)より作成)



(参考資料5)
医療提供体制の各国比較(2003年)

医療提供体制の各国比較(2003年)の表
 (出典):「OECD Health Data 2005」
  ※   病床百床当たり医師数、病床百床当たり看護職員数については医師数、看護職員数を病床数で単純に割って百をかけた数値である。
  ※   平均在院日数の算定の対象病床はOECDの統計上、以下の範囲となっている。
日本:全病院の病床 ドイツ:急性期病床、精神病床、予防治療施設及びリハビリ施設の病床(ナーシングホームの病床を除く)
フランス:急性期病床、長期病床、精神病床、その他の病床 イギリス:NHSの全病床(長期病床を除く)
アメリカ:AHA(American Hospital Association)に登録されている全病院の病床



3.医療費の伸びの抑制(短期的対策)

(1) 公的医療保険の給付範囲の見直し等
(1) 高齢者の患者負担の見直し(現行:70歳未満3割、70歳以上1割(ただし、現役並み所得者2割))
 ア  平成18年度から現役並み所得の70歳以上の者は3割負担
 イ  平成20年度から新たな高齢者医療制度の創設に併せて高齢者の負担を見直し
70〜74歳 2割負担、75歳以上 1割負担(現行どおり)

(2) 療養病床に入院している高齢者の食費・居住費の負担引上げ

(3) 高額療養費の自己負担限度額の引上げ
高額療養費の自己負担限度額について、低所得者に配慮しつつ、賞与を含む報酬総額に見合った水準に引上げ。(現行72,300円→見直し後 80,100円)

(4) 出産育児一時金の見直し
出産育児一時金を現行の30万円から35万円に引き上げる。

(5) 乳幼児に対する自己負担軽減措置の拡大
高齢者医療制度の創設に併せて、乳幼児に対する自己負担軽減(2割負担)の対象年齢を3歳未満から義務教育就学前までに拡大する。
(6) レセプトオンライン化

(2) 診療報酬の適正化
平成18年度診療報酬改定→全体改定率 ▲3.16%(本体 ▲1.36% 薬価等 ▲1.8%)



高齢者の患者負担の見直し

1. 70歳以上の高齢者の患者負担(平成18年10月〜)
  現役並み所得者 2割→3割
(注) 公的年金等控除の縮減及び老年者控除の廃止に伴い、新たに現役並み所得者に移行する70歳以上の高齢者については、平成18年8月から2年間、自己負担限度額を一般並みに据え置く。
  現役並み所得者80,100円+<医療費>×1%→一般44,400円

2. 70歳以上の高齢者の患者負担(平成20年4月〜)
  70歳〜74歳の高齢者 1割→2割
(注) 70〜74歳の低所得者については、自己負担限度額を据え置く。



    《外来》


自己負担限度額   低所得者II 《8,000円》 24,600円
低所得者I 《8,000円》 15,000円
 (参考) 65〜69歳の3割負担、75歳以上の1割負担については、変更なし。

 (参考)
現役並み所得者… 月収28万円以上(サラリーマンの場合)・課税所得145万円以上の高齢者
 <現役並み所得となる世帯の収入>    改正前    改正後
高齢者 夫婦2人世帯   約620万円以上 約520万円以上(年収ベース)
単身世帯   約480万円以上 約380万円以上(年収ベース)



療養病床に入院する高齢者の食費・居住費の負担について

  見直しの概要

 医療保険適用の療養病床に入院する高齢者については、介護保険との負担の均衡を図るため、食費及び居住費の負担の見直しを図る。

(対象者)   療養病床に入院する70歳以上の高齢者(18年10月以降)



介護保険と同額
(負担額)   (1)食費 食材料費及び調理コスト相当を負担(4.2万円)
(2)居住費 光熱水費相当を負担(1.0万円)
   
   ※   現行は食材料費相当を負担(2.4万円)
   ※   1割の定率自己負担と合計した場合の平均的な負担額は、9.4万円(介護保険は8.9万円)

  低所得者対策

 所得の状況に応じて食費及び居住費の負担額を設定し、負担の軽減を図る。

<低所得者の食費・居住費負担額>   低所得者II (住民税非課税世帯) −3.0万円
低所得者I(2)(年金受給額80万円以下等) −2.2万円
低所得者I(1)(老齢福祉年金受給者) −1.0万円




介護保険と同じ水準

  負担の対象外となる患者

 入院医療の必要性の高い患者(人工呼吸器、中心静脈栄養等を要する患者や脊髄損傷(四肢麻痺が見られる状態)、難病等の患者)については、現行どおり食材料費相当のみを負担することとする。

  新たな高齢者医療制度の創設に伴う措置

 新たな高齢者医療制度の創設と併せて、65歳以上70歳未満の者について同様の負担の見直しを行う。
(平成20年4月〜)



自己負担限度額等の見直し
  【現行】 【平成18年10月以降】
70歳未満の者
上位所得者
(月収56万円以上)
139,800円+1%
(77,700円)
一般 72,300円+1%
(40,200円)
低所得者
(住民税非課税)
35,400円
(24,600円)
上位所得者
(月収53万円以上)
150,000円+1%
(83,400円)
一般 80,100円+1%
(44,400円)
低所得者
(住民税非課税)
35,400円
(24,600円)
70歳以上の者
  自己負担限度額
外来(個人ごと)  
現役並み所得者
(月収28万円以上、
課税所得145万円以上)
40,200円 72,300円+1%
(40,200円)
一般 12,000円 40,200円
低所得者
(住民税非課税)
II 8,000円 24,600円
I
(年金収入65万円以下等)
15,000円
  自己負担限度額
外来(個人ごと)  
現役並み所得者
(月収28万円以上、
課税所得145万円以上)
44,400円 80,100円+1%
(44,400円)
一般 12,000円 44,400円
低所得者
(住民税非課税)
II 8,000円 24,600円
I
(年金収入80万円以下等)
15,000円
(注)  金額は1月当たりの限度額。( )内の金額は、多数該当(過去12ヶ月に3回以上高額療養費の支給を受け4回目の支給に該当)の場合。



自己負担限度額等の見直し
  【平成18年10月以降】   【平成20年度以降】
70歳未満の者
上位所得者
(月収53万円以上)
150,000円+1%
(83,400円)
一般 80,100円+1%
(44,400円)
低所得者
(住民税非課税)
35,400円
(24,600円)
70才未満の者
上位所得者
(月収53万円以上)
150,000円+1%
(83,400円)
一般 80,100円+1%
(44,400円)
低所得者
(住民税非課税)
35,400円
(24,600円)
70歳以上の者
  自己負担限度額
外来(個人ごと)  
現役並み所得者
(月収28万円以上、
課税所得145万円以上)
44,400円 80,100円+1%
(44,400円)
一般 12,000円 44,400円
低所得者
(住民税非課税)
II 8,000円 24,600円
I
(年金収入80万円以下等)
15,000円
70歳以上75歳未満の者
  自己負担限度額
外来(個人ごと)  
現役並み所得者
(月収28万円以上、
課税所得145万円以上)
44,400円 80,100円+1%
(44,400円)
一般 24,600円 62,100円
(44,400円)
低所得者
(住民税非課税)
II 8,000円 24,600円
I
(年金収入80万円以下等)
15,000円
75歳以上の者
現役並み所得者
(月収28万円以上
課税所得145万円以上)
44,400円 80,100円+1%
(44,400円)
一般 12,000円 44,400円
低所得者
(住民税非課税)
II 8,000円 24,600円
I
(年金収入80万円以下等)
15,000円
(注)  金額は1月当たりの限度額。( )内の金額は、多数該当(過去12ヶ月に3回以上高額療養費の支給を受け4回目の支給に該当)の場合。



現金給付の見直しについて

【現行】   【見直し後】
○ 出産育児一時金   【平成18年10月〜】
・30万円
→
・35万円に引上げ
○ 出産手当金   【平成19年4月〜】
・産休中の間、1日につき賃金の6割相当額を支給
→
・賃金の3分の2相当額を支給
(支給額にボーナスを反映)
 
 ※   資格喪失後6ヶ月以内に出産した場合や任意継続被保険者には支給しないこととする。
○ 傷病手当金   【平成19年4月〜】
・最長で1年6ヶ月間、1日につき賃金の6割相当額を支給
→
・賃金の3分の2相当額を支給
(支給額にボーナスを反映)
 
 ※   任意継続被保険者には支給しないこととする。
○ 埋葬料   【平成18年10月〜】
・被用者保険の場合、1ヶ月の賃金相当額(最低保障10万円)を支給
→
・定額5万円を支給



レセプトオンライン化

医療機関等
病院
診療所
薬局
レセプト
→
現行の取扱≫
紙又は電子媒体
当面の取扱≫
紙、電子媒体
又はオンライン
一定期間後の取扱≫
オンライン
審査支払機関
国民健康保険団体連合会
社会保険診療報酬支払基金
レセプト
→
現行の取扱≫
当面の取扱≫
紙、電子媒体
又はオンライン
一定期間後の取扱≫
オンライン
保険者
市町村国保
健康保険組合
政府管掌健康保険(公法人)

  「医療機関等」から「審査支払機関」へ、「審査支払機関」から「保険者」へという双方の流れにおいて、平成18年度から、オンラインによるレセプト提出を開始する。

その上で、医療機関の規模等に応じて、段階的に原則オンライン化していき、平成23年度(2011年度)からは、原則として全てのレセプトがオンラインで提出されるようにする。ただし、個人情報保護には十分な配慮が必要。

  ≪ 段階的な経過期間の設定≫
 第一段階  大病院、薬局
 第二段階  中病院
 第三段階  小病院、診療所

  レセプトオンライン化に向けた、医療機関に対する支援

 (1)   レセプトの電子請求化の際に必要となる、医療機関ごとの傷病名等コードから統一コードへの変換を支援するソフトの開発・配布(厚生労働省予算で今年度中に開発し、来年度から医療機関に配布)

 (2)   診療報酬におけるIT化推進のための方策の検討

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