厚生労働省

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未払賃金の立替払事業(平成20年度)の実施状況について

今般、平成20年度における未払賃金の立替払事業の実施状況をとりまとめた。その概要は、以下のとおりである。





* 未払賃金の立替払制度は、企業倒産に伴い、賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対して、未払賃金の一部を国が事業主に代わって立替払する制度であり、独立行政法人労働者健康福祉機構が支払等の業務を行っている(参考1)。





概要

(1) 平成20年度の立替払状況

平成20年度の立替払状況は、企業数は3,639件(対前年度比8.7%増加)、支給者数は54,422人(対前年度比6.0%増加)、立替払額は248億21百万円(対前年度比6.0%増加)といずれも前年度を上回った(表1)。

支給者一人あたりの平均立替払額は、45万6千円であった。

立替払額は、平成17年度以降3年連続で増加している(図1、表5)。

(2) 半期別の状況

平成20年度の立替払状況を半期別にみると、支給者数は下半期(10月〜3月)が29,209人、立替払額は138億81百万円で、上半期(4月〜9月)と比べ、支給者数で15.8%増加、立替払額で26.9%増加となった(表2―1)。

なお、これを立替払の請求状況についてみると、下半期は上半期に比べ、請求者数では35.0%、請求額では37.4%の大幅な増加となっている(表2−2)。

(3) 企業規模別の立替払状況

企業規模別の立替払状況をみると、労働者数が30人未満の企業が企業数全体の85.9%を占めている。

立替払額は、30人〜299人規模の企業が最も多く、30人未満の企業と併せると、全体の92.5%を占めている(表3)。

(4) 業種別の立替払状況

業種別の立替払状況をみると、立替払額では製造業が全体の24.6%を占めており最も多く、建設業、商業の順になっている(表4)。

表1 平成20年度の立替払状況

 

企業数

(件)

支給者数

(人)

立替払額

(百万円)

平成20年度 3,639 54,422 24,821
前年度との差 290件増加
(8.7%増加)
3,100人増加
(6.0%増加)
1,404百万円増加
(6.0%増加)

※ 支給者一人あたりの立替払額は、45万6千円である。

図1 未払賃金の立替払の推移 (制度発足当時からの推移は、表5参照)

図1 未払賃金の立替払の推移

表2 半期別の状況

表2−1 平成20年度の上半期・下半期の立替払状況
    上半期 下半期 下半期/
上半期×100
年度計
平成20年度

支給者数

(人)

25,213 29,209 115.8% 54,422

立替払額

(百万円)

10,940 13,881 126.9% 24,821
表2−2 平成20年度の上半期・下半期の立替払の請求状況
    上半期 下半期 下半期/
上半期×100
年度計
平成20年度

請求者数

(人)

26,127 35,271 135.0% 61,398

立替払額

(百万円)

12,219 16,789 137.4% 29,008

表3 企業規模別の立替払状況

  平成19年度 構成比(%) 平成20年度 構成比(%)



30人未満 企業数(件) 2,876 85.9% 3,092 84.9%
支給者数(人) 20,278 39.5% 22,521 41.4%
立替払額(百万円) 9,125 39.0% 10,578 42.6%
30〜299人 企業数(件) 453 13.5% 530 14.6%
支給者数(人) 21,460 41.8% 25,903 47.6%
立替払額(百万円) 10,347 44.2% 12,386 49.9%
300人以上 企業数(件) 20 0.6% 17 0.5%
支給者数(人) 9,584 18.7% 5,998 11.0%
立替払額(百万円) 3,945 16.8% 1,857 7.5%
合計 企業数(件) 3,349 100.0% 3,639 100.0%
支給者数(人) 51,322 100.0% 54,422 100.0%
立替払額(百万円) 23,417 100.0% 24,821 100.0%

グラフ

表4 業種別の立替払状況

業種区分 平成19年度 平成20年度
企業数 支給者数 立替払額 企業数 支給者数 立替払額
百万円 百万円
製造業 627 9,567 5,331 654 11,009 6,109
  構成比 18.7% 18.6% 22.7% 18.0% 20.3% 24.6%
鉱業 7 66 23 2 18 7
  構成比 0.2% 0.1% 0.1% 0.1% 0.0% 0.0%
建設業 916 7,729 4,116 1,004 9,684 5,495
  構成比 27.4% 15.1% 17.6% 27.6% 17.8% 22.1%
運輸交通・貨物取扱業 158 3,282 1,683 230 4,599 1,820
  構成比 4.7% 6.4% 7.2% 6.3% 8.5% 7.3%
農林・畜産水産業 16 236 185 30 281 95
  構成比 0.5% 0.5% 0.8% 0.8% 0.5% 0.4%
商業 715 10,139 4,127 684 9,812 4,131
  構成比 21.3% 19.7% 17.6% 18.8% 18.1% 16.7%
金融広告業 63 497 194 68 668 336
  構成比 1.9% 1.0% 0.8% 1.9% 1.2% 1.4%
映画・演劇業 9 87 40 5 167 68
  構成比 0.3% 0.2% 0.2% 0.1% 0.3% 0.3%
通信業 15 544 321 9 79 32
  構成比 0.4% 1.1% 1.4% 0.2% 0.1% 0.1%
教育研究業 96 6,942 3,063 93 3,374 1,471
  構成比 2.9% 13.5% 13.1% 2.6% 6.2% 5.9%
保健衛生業 65 1,762 932 44 1,039 412
  構成比 1.9% 3.4% 4.0% 1.2% 1.9% 1.7%
接客娯楽業 272 4,452 1,092 329 5,141 1,344
  構成比 8.1% 8.7% 4.7% 9.0% 9.4% 5.4%
清掃・と畜業 36 668 147 35 651 218
  構成比 1.1% 1.3% 0.6% 1.0% 1.2% 0.9%
その他事業 354 5,351 2,163 452 7,900 3,283
  構成比 10.6% 10.4% 9.2% 12.4% 14.5% 13.2%
3,349 51,322 23,417 3,639 54,422 24,821
  構成比 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

グラフ

表5

未払賃金の立替払事業の実施状況

年度 企業数

(件)

支給者数

(人)

立替払額

(百万円)

昭和51年度
(51.7-52.3)
565 11,076 1,432
昭和52年度 1,139 20,957 3,083
昭和53年度 1,020 21,345 3,388
昭和54年度 692 11,333 1,853
昭和55年度 834 15,560 2,700
昭和56年度 837 12,947 2,591
昭和57年度 901 15,285 3,609
昭和58年度 932 14,736 3,041
昭和59年度 1,048 14,410 2,786
昭和60年度 1,040 17,301 3,864
昭和61年度 975 16,332 3,650
昭和62年度 796 14,055 3,289
昭和63年度 559 7,496 1,734
平成元年度 377 4,776 1,185
平成2年度 250 3,215 688
平成3年度 353 5,650 1,979
平成4年度 517 7,468 2,268
平成5年度 772 14,437 4,809
平成6年度 1,084 18,747 6,964
平成7年度 1,274 21,574 8,351
平成8年度 1,376 22,699 8,657
平成9年度 1,636 27,489 10,867
平成10年度 2,406 42,304 17,335
平成11年度 2,773 46,402 20,149
平成12年度 3,538 51,437 20,792
平成13年度 3,900 56,895 25,565
平成14年度 4,734 72,823 47,642
平成15年度 4,313 61,309 34,190
平成16年度 3,527 46,211 26,504
平成17年度 3,259 42,474 18,399
平成18年度 3,014 40,888 20,436
平成19年度 3,349 51,322 23,417
平成20年度 3,639 54,422 24,821
累計 57,429 885,375 362,038

未払賃金の立替払制度の概要 参考1

○ 企業倒産により賃金未払のまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部を立替払する制度

○ 独立行政法人労働者健康福祉機構が事業を実施

1 要件

(1) 事業主に係る要件

[1] 労災保険の適用事業の事業主、かつ、1年以上事業を実施

[2] 倒産したこと

イ 法律上の倒産

破産手続開始の決定(破産法)、特別清算開始の命令(会社法)、
再生手続開始の決定(民事再生法)、更生手続開始の決定(会社更生法)

ロ 事実上の倒産(中小企業事業主のみ)

・ 事業活動停止、再開見込みなし、賃金支払能力なし(労働基準監督署長の認定)

※ 中小企業事業主とは、以下のいずれかに該当する事業主をいう







・資本金の額等が3億円以下又は労働者数が 300人以下で、以下の業種以外の業種

・資本金の額等が1億円以下又は労働者数が 100人以下の卸売業

・資本金の額等が5千万円以下又は労働者数が100人以下のサービス業

・資本金の額等が5千万円以下又は労働者数が50人以下の小売業

(2) 労働者に係る要件

[1] 破産手続開始等の申立て(事実上の倒産の認定申請)の6か月前の日から2年間に退職

[2] 未払賃金額等について、法律上の倒産の場合には、破産管財人等が証明(事実上の倒産 の場合には、労働基準監督署長が確認)

[3] 破産手続開始の決定等(事実上の倒産の認定)の日の翌日から2年以内に立替払請求

2 立替払の対象となる賃金

退職日の6か月前から立替払請求日の前日までに支払期日が到来している未払賃金
(定期給与と退職金(ボーナスは含まず。)。ただし、総額2万円未満のときは対象外。)

3 立替払の額

未払賃金総額の8割(限度あり)

退職日における年齢 未払賃金総額の限度額 立替払の上限額
45歳以上 370万円 370万円×0.8296万円
30歳以上45歳未満 220万円 220万円×0.8176万円
30歳未満 110万円 110万円×0.8 88万円
例) 退職日に35歳で未払賃金が 200万円 の場合は、立替払額 160万円
  300万円 176万円

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