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第62回WHO総会結果(概要)

第62回WHO総会結果(概要)

大臣官房国際課

1 概要

期間:平成21年5月18日(月)〜22日(金)
* 新型インフルエンザへの各国の対応を踏まえ、当初予定期間を短縮。

参加国:193ヶ国

日本政府代表団:渡辺厚生労働副大臣、横幕国際企画室長、井上国際協力室長等(その他、外務省より早川専門機関課長、寿府代北島大使等)
* WHO総会は、全加盟国代表で構成される最高意思決定機関であり、毎年1回5月に開催され、保健医療に関わる重要な政策決定を行うもの。

2 主な議題等

(1) 政府代表演説(渡辺孝男副大臣)
  • 新型インフルエンザA(H1N1)について、我が国では、直近数日間で急速に感染が拡大しており、拡大防止策を講じるための調査を実施している。
  • 今回の各国の対応にあたっては、H5N1型鳥インフルエンザの脅威を受けて2005年以来各国及び国際社会が取り組んできたパンデミックへの備えが、大きく役立っていると評価。
  • 関係各国が発生情報を速やかにWHOに報告し、また、検体をWHOと共有することにより、情勢の評価やワクチン株の開発が迅速に進められ、WHOのネットワークが十分に機能していることを評価。
  • ミレニアム・ディベロップメント・ゴールズ(MDGs)を前進させるためには、感染症や母子保健対策のみならず、保健システム強化等の包括的な取組が不可欠。
(2)新型インフルエンザ対策

新型インフルエンザの検体共有及び利益供与

  • 今後の調整手続きについて、決議案を採択。(直前まで行われた政府間協議は、未解決のまま終了。)

事務局長主催パネルディスカッション(ハイレベル・コンサルテーション)

  • メキシコ、アメリカ、カナダが自国の状況を報告し、さらに、感染の多い国としてイギリス、スペイン、日本が発言。
  • 渡辺副大臣からは、国際的な協調の重要性や、サーベイランスなど日本における取組について言及。
  • イギリスから、「弱毒性の今回のインフルエンザについて、強毒性を前提とした現在のフェーズの仕組みにおけるフェーズ6への引き上げは、柔軟にすべき」との発言があり、当方、スイス、中国、ニュージーランドが支持。
    * 委員会においても、同旨発言がスイスからあり、ナイジェリア等が支持。

渡辺副大臣とチャン事務局長との会談(事務局長コメント)

  • 日本のまじめで責任感のある対応を評価。感染が学校にとどまり、外の地域に出ない限り、フェーズの上昇を宣言するつもりはない。フェーズの引き上げについて、他の要素を考慮し、柔軟性を事務局長に与えるようにすべきと発言した日本、英国、中国、ニュージーランド等に感謝。
  • フェーズ6に引き上げるべきというWHO内部の技術的な人々の意見もあるが、引き上げは現時点では考えていない。

チャン事務局長の閉会時の演説等

  • フェーズ5と6は、取られる対策という点において、ほぼ同じものである。信頼と柔軟性が私に与えられたが、フェーズに関する判断は易しい仕事ではない。科学がどう役割を果たすか、バランスを取らなくてはならない。南半球を含めた感染規模にも着目。

米保健長官主催朝食会 (世界健康安全保障イニシアティブ(GHSI)として、G7、メキシコ、EC等が参加)

  • アメリカ:ワクチンに関する課題が多い(生産制約、製造手法、季節インフルとの配分等)。
  • イギリス:フェーズ6への引き上げは実質的意味に疑問。
  • ドイツ:ワクチンの利用可能量が各国間で大きく異なることは問題。
  • メキシコ:今回の経験により、医療機関に簡易に受診できるなど、保健システムの重要性が明確になった。
  • 日本:サーベイランス、情報共有、柔軟な対応の必要性について発言。

* GHSI:アメリカでの同時多発テロを受け、バイオテロ脅威への国際的対応等を背景に、保健担当大臣同士の連携を深めるため、2001年11月に発足。日本、カナダ、アメリカ、メキシコ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア及び欧州委員会がメンバー、WHOはオブザーバー。継続的に意見交換や専門家の交流、国際合同訓練等を実施。

その他

  • ワクチンの生産・確保に関し、WHO、国連(バン事務総長)、製造業者により、意見交換等を行う会合が開催された。(日本から4業者参加)
(3)WHO2010‐2011年予算

各国の拠出金負担を増やさないとする事務局原案を、了承。任意拠出金については約7%増で、事業強化の必要性や地域間格差を考慮し、非感染性疾患や母子保健、健康の社会的決定要因に関係する予算の減額率を抑えている。

我が国からは、予算案を精査し、拠出金負担を増やさないようにした事務局の努力を評価するとともに、各事業の成果をより目に見える形にしていくことや、効率化により生み出された節約について具体的な成果を提示することを期待する旨を表明。

(4)国際保健規則(IHR2005)の実施

各国から、新型インフルエンザA(H1N1)によりIHR、情報共有の重要性を再確認したと発言があり、事務局報告が了承された。オブザーバーのチャイニーズ・タイペイが、IHRに継続的に関与することが重要である旨発言した。

(5)回避可能な失明と視力障害

回避可能な失明と視力障害の予防のための行動計画を承認し、加盟国に行動計画の実施を求め、WHO事務局に、加盟国の支援と第65回・第67回総会への進捗状況の報告を求める決議案が、一部修正の上、採択された。

(6)保健システム強化を含むプライマリ・ヘルスケア

我が国が中心になってまとめた決議案について、一部修正のうえ、採択された。

内容は、WHO加盟国に対し、包括的保健サービスや国家財政メカニズムの構築により、プライマリ・ヘルスケアへのユニバーサルアクセス確保に向けた行動を加速すること、適切な数の保健従事者の育成、プライマリ・ヘルスケアに関連した保健情報及びサーベイランス・システムの構築・強化などを求めるもの。

WHO加盟国に対して、北京宣言の実施や各国保健システムでの伝統医療の実施の検討を求める中国提案の伝統医療の決議案についても、一部修正のうえ、採択された。

(7)公衆衛生、イノベーションと知的財産

行動計画の利害関係者(2.3(c))にWHOを入れるか否かという点について加盟国間で意見が分かれたが、WHOを入れない形で行動計画を微修正の上承認し、資金ニーズについて留意し、進捗指標を受け入れ、WHO事務局長に戦略計画と行動計画実施のための更なる支援と継続的なモニタリングを行い、2014年にレビューを行い、2015年の総会に課題と勧告を整理して報告することを求める決議が採択された。

(8)健康の社会的決定要因

健康の社会的決定要因の重要性を各国ともに指摘し、これらに留意するよう国連機関を含む国際機関、政府機関、市民社会、プライベートセクターに呼びかけ、加盟国、WHO事務局長に必要な能力確保や協調を求める決議が採択された。

(9)多剤耐性結核

加盟国に多剤耐性結核の診断と治療へのユニバーサルアクセスの達成や質の担保された治療薬供給の確保、DOTSカバー率70%の達成、研究の促進を求め、WHO事務局長に加盟国の技術支援や治療薬アクセス改善のためのGreen Light Committeeの強化、モニタリングや検査の強化を求め、第63回・65回総会に進捗について報告を求める決議が採択された。

抗結核薬の質に関して“厳格な”国のスタンダードに基づくとするか、質の高い薬用量が決められたコンビネーション薬剤を優先させるか(prioritize)、奨励するか(encourage)、という点について意見が分かれた。

(10)東エルサレム、ゴラン高原を含むパレスチナ占領地域の保健状況

WHOで話し合われるべき保健についての決議案について投票が行われ、賛成92(含む我が国、EU他大多数)、反対6(米、イスラエル、豪州、ニュージーランド、カナダ、パプアニューギニア)、棄権5(シンガポール、クック諸島、エルサルバドル、サモア、バハマ)で採択された。

(11)執行理事の選任

任期満了(3年)に伴う一部改選において、執行理事指名国として日本等を選出。これを踏まえ、我が国は、尾身茂自治医科大学教授を指名。

3 二カ国間協議等

(1)メキシコ・コルトバ厚生大臣

各国・WHOと国際的な連携を図り、情報交換等を緊密に行うことにより、感染拡大の防止を行っていくことを確認。

メキシコからは、感染が既にコントロール下にあり、これ以上悪化することはないとの見解、また、WHOのフェーズは5を維持することが適当との認識が示された。

(2)台湾(チャイニーズ・タイペイ)葉衛生署長

今回、台湾(チャイニーズタイペイ)がはじめてWHO総会にオブザーバーとして参加。その点につき、日本側からお祝いの言葉を述べ、先方からは今後も支援をお願いしたいとの発言があった。

SARS発生以来、研究者の交流を進めており、今後もすすめていきたい旨、先方からコメントがあった。

(3)その他

チャンWHO事務局長(前述)

中谷WHO事務局長補

シンWHO西太平洋地域事務局長

米主催朝食会(前述)

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