Ministry of Health, Labour and Welfare

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G8労働大臣会合/議長総括のポイント

平成20年5月13日
厚生労働省国際課

1. 議長総括の構成

(1)  導入部(出席者・副議題紹介、現状認識)〔パラ1−4〕

(2)  副議題1「長寿化と調和したバランスよい人生の実現」〔5−6〕

(3)  副議題2「労働弱者・地域間格差に対する政策的寄与」〔7−12〕

(4)  副議題3「持続可能なグローバル社会への課題とG8の貢献」〔13−17〕

(5)  北海道洞爺湖サミットへの貢献と将来への進展〔18−19〕

2. ポイント

今次会合においては、グローバル化と長寿化を背景に、個人の人生の充実を図るための方策を議論。G8各国の経済・生活は平均としては高水準であるものの、一方では格差が拡大していることから、平均像ではなく個別の労働者一人ひとりに着目した対応が必要という点で合意。

現下の経済情勢、金融市場の動向、労働分配率の低下等を踏まえ、生活・賃金水準や格差解消が課題であることが示された。その意味で、この議長総括は、「格差解消に向けたG8労働・雇用大臣の決意」であると言える。

労働者個人に対する取り組みとしては、仕事と生活の調和、労働安全衛生、生涯キャリア形成の重要性を認識。(副議題1関係)

労働市場・雇用政策の使命は、労働弱者や雇用情勢の悪い地域への支援であることについて意見が一致。このため、労働市場の需給調整機能を果たす組織を全国ネットワークとして維持すること、全ての人々に職業能力開発の機会を保障することの必要性について意見が一致。(副議題2関係)

また、持続可能な社会を実現するためには経済的発展、社会的発展、環境保護の3要素が柱になるとの認識のもと、グローバル社会が直面する諸課題に共に取り組むことを確認。ILOの「グリーン・ジョブ・イニシアティブ」に注目するとともに、ディーセント・ワークの推進やグローバル化の社会的側面に取り組むドレスデンG8労働大臣会合及びハイリゲンダムサミットの成果を確認。とりわけ、環境問題に対応した労働政策の遂行を、G8の枠組みでは初めて取り上げた。(副議題3関係)

3. 概要

(1)  労働の世界を取り巻く現状に係る共通認識

[1]  G8各国の所得・生活水準は平均的には高いものの、国民所得に占める賃金割合は低下。所得格差の拡大やグローバル化の恩恵に与れない地域への対応が必要。

[2] 現下の経済減速と金融市場の不安定性が雇用にもたらしうる影響に懸念。G8各国政府は労働市場の強化等に共同して取り組む必要。

[3] 労働・雇用担当大臣は、グローバル社会のニーズに対応し、スキルの高い労働力を確保するとともに、柔軟性と安定性を備えた包括的な労働市場を整備することが必要。

[4] 上記課題への対応に当たっては、個人が柔軟性と選択肢のもとで仕事と生活の調和を図ることのできる社会を促進することが必要。

(2)  副議題1

長寿化が進展する中、労働者一人ひとりが充実した人生を可能にし、持てる可能性を発揮することができるよう、以下の雇用・労働市場政策に取り組む。

[1] 仕事と生活の調和

柔軟性と労働市場の安定性を組み合わせた手法により、人生の各ステージに合った雇用形態と働き方の多様性を促進するとともに、ライフサイクルを通じた転職可能性、ファミリー・フレンドリー政策などを推進すること、

[2] 労働者の安全衛生と退職後の生活の安定

労働安全衛生関係法令の遵守を確保するとともに、業務関連ストレスに係る認識を高めることとそれにより退職後の健康な生活を確保すること、

[3] 生涯キャリア形成

キャリアコンサルティングの機会やキャリア形成等を通じ、生涯にわたるエンプロイアビリティを高めること。

(3)  副議題2

グローバル化は世界経済に富、成長、雇用、よりよい生活の潜在的な機会をもたらすとともに、格差や適応困難という結果も導き得るものであり、労働者の不安定性の強まりや、経済成長の鈍化といった結果が生じている。これらを踏まえ、労働市場・雇用政策を通じ、労働弱者や停滞地域の経済的発展を支援することを合意した。このため、以下を推進する。

[1] 職業紹介、失業給付、積極的労働市場施策を十分に統合することを通じて、労働市場の需給調整機能を強化するとともに、これらの機能を果たす組織を全国ネットワークとして維持すること、

[2] 関係者と協力して地方主導の雇用創出を支援するとともに、公共の職業紹介機関や職業訓練機関が就職希望者に適切な支援を提供すること、

[3] 全ての人の能力開発機会を確保することの重要性を再確認し、労働弱者の能力開発システムへの組みこみ、職業能力評価制度の向上、キャリアコンサルティングやキャリア教育の更なる高度化などを推進すること。

(4)  副議題3

グローバル社会全体を溌溂とした持続可能なものとするために、環境問題に起因する雇用・社会の課題への対応に貢献する意思があることを宣言する。持続可能な社会に必要な3つの柱、すなわち経済的発展、社会的発展、環境保護の3要素が柱になるとの認識のもと、グローバル社会が直面する諸課題に取り組むことを確認。

環境問題に関係した労働市場・雇用政策については、気候変動による労働移動に対応すること、環境に優しい技術革新に対応できる能力開発を進めることについて合意するとともに、各職場において労使が協力して環境に優しい働き方を促進するとの「新潟宣言」を行った。

ILOの「グリーン・ジョブ・イニシアティブ」に注目するとともに、ディーセント・ワークの推進やグローバル化の社会的側面に取り組むドレスデンG8労働大臣会合及びハイリゲンダムサミットの成果を確認。

新 潟 宣 言(全文)

政府、使用者、労働者は成長、雇用、生産性及び環境問題の相互のバランスをとるために協力する必要がある。職場レベルの社会対話、社会協力はこの目的に向けた重要な寄与となる。この活動を促進することが、我々の「新潟宣言」である。

(5)  北海道洞爺湖サミットへの貢献と将来への進展

G8首脳が溌溂とした持続可能な社会を実現することの重要性を以下によって認識するよう要請する。

・ 長寿化と調和したバランスよい人生の実現

・ 労働弱者・地域間格差の是正

・ 新潟宣言の推進

次回のG8労働大臣会合を主催し、新潟会合のフォローアップを検討するというイタリア政府の提案を歓迎する。


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