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「児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」の施行について(平成20年3月14日雇児総発第0314001号)

雇児発第0314001号
平成20年3月14日



都道府県知事
指定都市市長
児童相談所設置市市長
  殿

厚生労働省雇用均等・児童家庭局長

 「児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」の施行について

平成12年に「児童虐待の防止等に関する法律」(平成12年法律第82号。以下「児童虐待防止法」という。)が施行されて以降、児童虐待防止に向けた取組は着実に進められてきたが、我が国においては、平成18年度に全国の児童相談所に寄せられた児童虐待相談対応件数は、3万7千件を超えているとともに、把握されているだけで年間50件前後の虐待による死亡事例が発生している。このような痛ましい事件を防ぐためにも、児童虐待は、今日なお、社会全体で早急に解決すべき重要な課題となっている。

一方で、平成16年の児童虐待防止法の改正法附則においては、法施行後3年以内に、児童の住所等における児童の安全の確認又は安全の確保を実効的に行うための方策、親権の喪失等の制度のあり方等について、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものと規定された。

先に述べた児童虐待を巡る状況やこの見直し規定を踏まえ、平成19年4月、児童の安全確認等のための立入調査等の強化、保護者に対する施設入所等の措置のとられた児童との面会又は通信等の制限の強化、児童虐待を行った保護者が指導に従わない場合の措置の明確化等のための規定の整備を行う「児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成19年法律第73号。別添参照。以下「改正法」という。)が国会に提出され、同年5月25日に全会一致で成立した。改正法は同年6月1日に公布され、本年4月1日に施行されることとなっている。

ついては、下記のとおり、改正法による改正後の児童虐待防止法及び児童福祉法の内容、運用上の留意事項についてご了知の上、管内の市町村並びに関係機関及び関係団体等に周知を図り、その運用に遺漏のないようお願いする。

なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言である。

第1 児童虐待防止法の一部改正関係

1 目的(第1条関係)

この法律の目的として、「児童の権利利益の擁護に資すること」を明記するものとされた。

2 国及び地方公共団体の責務等(第4条関係)

(1) 国及び地方公共団体の責務に、児童虐待を受けた児童等に対する「医療の提供体制の整備」を加えるものとされた。

(2) 国及び地方公共団体の責務に、「児童虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例の分析」を加えるものとされた。

(3) 児童の親権を行う者は、児童を心身ともに健やかに育成することについて第一義的責任を有するものであって、親権を行うに当たっては、できる限り児童の利益を尊重するよう努めなければならないものとされた。

3 安全確認義務(第8条関係)

(1) 市町村長、都道府県の設置する福祉事務所の長又は児童相談所長による児童虐待を受けたと思われる児童の安全確認が努力義務であったのを改め、安全確認のために必要な措置を講ずることを義務化するものとされた。

(2) 市町村長又は都道府県の設置する福祉事務所の長は、出頭要求、調査質問、立入調査又は一時保護の実施が適当であると判断した場合には、その旨を都道府県知事又は児童相談所長に通知するものとされた。

4 出頭要求(第8条の2関係)

(1) 都道府県知事は、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、保護者に対し、児童を同伴して出頭することを求め、児童相談所の職員等に必要な調査又は質問をさせることができるものとされた。

(2) 都道府県知事は、保護者が(1)の出頭の求めに応じない場合、立入調査その他の必要な措置を講ずるものとされた。

5 再出頭要求(第9条の2関係)

都道府県知事は、保護者が正当な理由なく立入調査を拒否した場合において、児童虐待が行われているおそれがあると認めるときは、当該保護者に対し、当該児童を同伴して出頭することを求め、児童相談所の職員等に必要な調査又は質問をさせることができるものとされた。

6 臨検等(第9条の3から第10条の6まで関係)

(1) 都道府県知事は、保護者が5の再出頭要求を拒否した場合において、児童虐待が行われている疑いがあるときは、児童の安全の確認を行い又はその安全を確保するため、児童の住所又は居所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官があらかじめ発する許可状により、児童相談所の職員等に児童の住所若しくは居所に臨検させ、又は児童を捜索させることができるものとされた。

(2) 警察署長に対する援助要請その他の臨検等に当たって必要な手続等を定めるものとされた。

7 児童虐待を行った保護者に対する指導(第11条関係)

(1) 児童虐待を行った保護者に対する指導に係る勧告に保護者が従わなかった場合には、当該保護者の児童について、都道府県知事が一時保護、同意に基づかない施設入所等の措置(以下「強制入所等」という。)その他の必要な措置を講ずる旨が明記された。

(2) 児童虐待を行った保護者が、保護者に対する指導に係る勧告に従わず、その児童に対し親権を行わせることが著しく当該児童の福祉を害する場合には、必要に応じて、適切に、親権喪失宣告の請求を行うものとされた。

8 面会等の制限等(第12条から第12条の4まで及び第17条関係)

(1) 一時保護及び同意に基づく施設入所等の措置の場合にも、強制入所等の場合と同様に、児童相談所長等は、児童虐待を行った保護者について当該児童との面会又は通信を制限することができるものとされた。

(2) 都道府県知事は、強制入所等の場合において、(1)により面会及び通信の全部が制限されているときは、児童虐待を行った保護者に対し、当該児童の身辺へのつきまとい又はその住居等の付近でのはいかいを禁止することを命ずることができるものとされた。また、この命令の違反につき、罰則を設けるものとされた。

9 施設入所等の措置の解除(第13条関係)

都道府県知事は、施設入所等の措置を解除するに当たっては、児童虐待を行った保護者の指導に当たった児童福祉司等の意見を聴くとともに、当該保護者に対し採られた措置の効果、児童虐待が行われることを予防するために採られる措置について見込まれる効果等を勘案しなければならないものとされた。

10 関係機関等相互の情報提供(第13条の3関係)

地方公共団体の機関は、市町村長等から児童虐待の防止等に関する資料又は情報の提供を求められたときは、当該資料又は情報について、当該市町村長等が児童虐待の防止等に関する事務又は業務の遂行に必要な限度で利用し、かつ、利用することに相当の理由があるときは、これを提供することができるものとされた。ただし、当該資料又は情報を提供することによって、当該資料又は情報に係る児童等又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでないものとされた。

11 都道府県児童福祉審議会等への報告(第13条の4関係)

都道府県知事は、都道府県児童福祉審議会等に、立入調査、臨検・捜索及び一時保護の実施状況、児童の心身に著しく重大な被害を及ぼした事例等を報告しなければならないものとされた。

第2 児童福祉法(昭和22年法律第164号)の一部改正関係

1 要保護児童対策地域協議会(第25条の2関係)

地方公共団体は、要保護児童対策地域協議会を置くよう努めなければならないものとされた。

2 未成年後見人請求の間の親権の代行(第33条の7関係)

児童相談所長は、未成年後見人の選任の請求がされている児童等に対し、親権を行う者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行うものとされた。

3 罰則(第61条の5関係)

正当な理由がないのに立入調査を拒否した者に対する罰金の額を、30万円以下から50万円以下に引き上げるものとされた。

第3 施行期日(改正法附則第1条関係)

第1及び第2の内容は、平成20年4月1日から施行するものとされた。

第4 検討(改正法附則第2条関係)

1 政府は、この法律の施行後3年以内に、児童虐待の防止等を図り、児童の権利利益を擁護する観点から親権に係る制度の見直しについて検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされた。

2 政府は、児童虐待を受けた児童の社会的養護に関し、里親及び児童養護施設等の量的拡充に係る方策、児童養護施設等における虐待の防止を含む児童養護施設等の運営の質的向上に係る方策、児童養護施設等に入所した児童に対する教育及び自立の支援の更なる充実に係る方策その他必要な事項について速やかに検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされた。

第5 運用上の留意事項

1 改正法の施行に伴い、今般「児童相談所運営指針等の改正について」(平成20年3月14日雇児発第0314003号本職通知)をお示ししたところであるので、本通知と併せて、施行に当たって遺漏のないよう留意されたい。

2 改正法において、都道府県知事による保護者への指導の勧告に従わない場合の規定等が新たに設けられたことから、児童相談所における保護者への指導・支援に関する基本的事項を定める「児童虐待を行った保護者に対する指導・支援の充実について」(平成20年3月14日雇児総発第0314001号厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長通知)をお示ししたので、遺漏のないよう留意されたい。

3 また、改正法において、重大な児童虐待事例について、国及び地方公共団体が分析する責務が設けられたことから、今後の地方公共団体における事例の検証作業の参考となるよう、その基本的な考え方、検証の進め方等について、「地方公共団体における児童虐待による死亡事例等の検証について」(平成20年3月14日雇児総発第0314002号厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長通知)としてお示ししたので、併せて参考とされたい。

◆児童虐待防止法及び児童福祉法の一部を改正する法律(官報)(PDF:33KB)

◆児童虐待防止法・児童福祉法新旧対照表(PDF:217KB)

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