平成16年度 児童相談所における児童虐待相談処理件数等
(平成16年度社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)【平成17年11月14日公表】より抜粋)
【照会先:雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係 内線7829】
児童相談所は、市町村と適切な役割分担・連携を図りつつ、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題又は子どもの真のニーズ、子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効果的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護することを目的として設置された行政機関であり、平成17年4月1日現在、全国に187ヶ所設置されている。【照会先:雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係 内線7829】
平成16年度に全国の児童相談所が処理した児童虐待に関する相談件数等を平成14年度以降の件数とともにまとめたものである。
1 | 相談受付件数 |
児童相談所に寄せられる相談の種類は、大きく分けると養護相談(児童虐待相談を含む)、障害相談、非行関係相談、育成相談、その他の相談に分類される。 平成16年度の受付総数は352,614件で、前年度より約8千件近く増加している。内訳は、障害相談が157,326件(約45%)と最も多く、次いで養護相談が75,669件(約22%)となっている。 近年の傾向としては、養護相談、非行関係相談が増加傾向であるのに対し、障害相談は減少傾向となっている(障害相談が平成15年度において大幅に減少しているのは、市町村が実施主体となる障害者支援費制度が同年4月より施行された影響によるものと考えられる)。 |
種別
年度 |
総数 | 養護相談 | 非行関係相談 | 障害相談 | 育成相談 | その他の相談 |
平成14年度(2002) | (100%) 398,552 |
(16.0%) 63,859 |
(3.9%) 15,650 |
(56.3%) 224,294 |
(16.0%) 63,855 |
(7.8%) 30,894 |
平成15年度(2003) | (100%) 345,012 |
(19.6%) 67,773 |
(4.9%) 16,844 |
(46.3%) 159,787 |
(19.2%) 66,165 |
(10.0%) 34,443 |
平成16年度(2004) | (100%) 352,614 |
(21.5%) 75,669 |
(5.2%) 18,362 |
(44.6%) 157,326 |
(18.6%) 65,681 |
(10.1%) 35,576 |

2 | 虐待に関する相談処理件数の推移 |
平成16年度に全国の児童相談所で処理した児童虐待相談件数は33,408件で、統計を取り始めた平成2年度を1とした場合の約30倍、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ約3倍に増加している。また前年度に比べても約25%の増加となっているが、これは平成16年10月の改正児童虐待防止法の施行により、通告対象の範囲が「虐待を受けた子ども」から「虐待を受けたと思われる子ども」に拡大されたこと、また、社会的関心を集めた痛ましい事件の発生なども相まって、国民や関係機関に、児童虐待防止についての認識や理解の高まりが見られることなどが主な増加要因と考えられる。 |
平成16年度 |
〈30.34〉 33,408 |
平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | 平成5年度 | 平成6年度 | 平成7年度 | 平成8年度 |
〈1〉 1,101 |
〈1.06〉 1,171 |
〈1.25〉 1,372 |
〈1.46〉 1,611 |
〈1.78〉 1,961 |
〈2.47〉 2,722 |
〈3.73〉 4,102 |
平成9年度 | 平成10年度 | 平成11年度 | 平成12年度 | 平成13年度 | 平成14年度 | 平成15年度 |
〈4.86〉 5,352 |
〈6.3〉 6,932 |
〈10.56〉 11,631 |
〈16.1〉 17,725 |
〈21.13〉 23,274 |
〈21.56〉 23,738 |
〈24.13〉 26,569 |

3 | 虐待の経路別相談件数 |
児童相談所に寄せられる虐待相談の経路は、家族、学校、近隣知人から 相談が多く、全体の約46%を占めている。また近隣知人からの相談については前年度から約41%増加しており、全体の伸び率(約25%)を大きく上回っている。 |
総数 | 家族 | 親戚 | 近隣知人 | 児童本人 | 福祉事務所 | 児童委員 | 保健所 | 医療機関 | 児童福祉施設 | 警察等 | 学校等 | その他 | |
14 年度 |
(100%) 23,738 |
(17%) 4,145 |
(3%) 742 |
(13%) 3,101 |
(1%) 325 |
(15%) 3,567 |
(3%) 619 |
(6%) 1,411 |
(5%) 1,152 |
(6%) 1,349 |
(6%) 1,401 |
(12%) 2,882 |
(13%) 3,044 |
15 年度 |
(100%) 26,569 |
(16%) 4,390 |
(3%) 823 |
(13%) 3,435 |
(1%) 351 |
(14%) 3,725 |
(2%) 639 |
(3%) 879 |
(5%) 1,235 |
(6%) 1,488 |
(6%) 1,478 |
(15%) 3,918 |
(16%) 4,208 |
16 年度 |
(100%) 33,408 |
(16%) 5,306 |
(2%) 785 |
(15%) 4,837 |
(1%) 410 |
(13%) 4,433 |
(2%) 639 |
(3%) 871 |
(4%) 1,408 |
(5%) 1,611 |
(6%) 2,034 |
(15%) 5,078 |
(18%) 5,996 |
4 | 虐待の内容別件数 |
内容相談別に見ると、身体的虐待が14,881件(44.6%)で最も多 く、次いでネグレクトが12,263件(36.7%)となっている。また、前年度との比較で見ると、心理的虐待が48%増加しており、突出した傾向を示している。 |
総数 | 身体的虐待 | 保護の怠慢 ないし拒否 (ネグレクト) |
性的虐待 | 心理的虐待 | |
平成14年度 | (100%) 23,738 |
(46.1%) 10,932 |
(37.7%) 8,940 |
(3.5%) 820 |
(12.8%) 3,046 |
平成15年度 | (100%) 26,569 |
(45.2%) 12,022 |
(38.2%) 10,140 |
(3.3%) 876 |
(13.3%) 3,531 |
平成16年度 | (100%) 33,408 |
(44.6%) 14,881 |
(36.7%) 12,263 |
(3.1%) 1,048 |
(15.6%) 5,216 |

5 | 主たる虐待者 |
主たる虐待者は、実母が20,864件(62.4%)と最も多く、次いで実父の6,969件(20.9%)となっている。 |
|

6 | 虐待相談の年齢構成 |
虐待相談の年齢構成別に見ると、小学生が12,483件(37.4%)、3歳〜学齢前が8,776件(26.3%)となっている。 |
総数 | 0〜3未満 | 3〜学齢前児童 | 小学生 | 中学生 | 高校生・ その他 |
|
平成14年度 | (100%) 23,738 |
(20.8%) 4,940 |
(29.2%) 6,928 |
(35.3%) 8,380 |
(10.5%) 2,495 |
(4.2%) 995 |
平成15年度 | (100%) 26,569 |
(20.1%) 5,346 |
(27.2%) 7,238 |
(36.5%) 9,708 |
(11.7%) 3,116 |
(4.4%) 1,161 |
平成16年度 | (100%) 33,408 |
(19.4%) 6,479 |
(26.3%) 8,776 |
(37.4%) 12,483 |
(12.5%) 4,187 |
(4.4%) 1,483 |

7 | 家庭への立入調査 |
平成16年度に立入調査した件数は287件、前年度に比べ約27%増加しており、調査を開始した平成10年度(13件)と比較すると約22倍に増加している。 |
年度 | 件数 |
平成14年度 | 184件 |
平成15年度 | 226件 |
平成16年度 | 287件 |

8 | 一時保護 |
児童福祉法第33条に規定する一時保護は、児童福祉法第27条に規定される施設入所等の措置をとるに至るまで、子どもを一時保護所に一時保護し、または児童福祉施設、警察等に一時保護を委託することができるものであり、虐待、放任等の理由により家庭から一時引き離す必要がある場合等に行われる。なお、一時保護所は全国に112か所設置されている(平成17年4月現在)。 平成16年度の一時保護件数は8,427件であり、前年度に比べ約7%の増加となっている。そのうち一時保護委託については2,213件であり、なかでも児童養護施設への委託が1,143件(51.6%)と一時保護委託の半数以上を占めている。 |
平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | ||
一時保護所 | 6,602 | 5,127 | 6,214 | |
一時保護委託 | 1,767(100%) | 2,730(100%) | 2,213(100%) | |
児童養護施設 | 1,027(58.1%) | 1,377(50.4%) | 1,143(51.6%) | |
乳児院 | 299(16.9%) | 462(16.9%) | 343(15.5%) | |
児童自立支援施設 | 19(1.1%) | 27(1.0%) | 44(2.0%) | |
情緒障害児短期治療施設 | 35(2.0%) | 55(2.0%) | 35(1.6%) | |
障害児関係施設 | 56(3.2%) | 144(5.3%) | 126(5.7%) | |
その他社会福祉施設 | 30(1.7%) | 66(2.4%) | 27(1.2%) | |
警察署 | 95(5.4%) | 211(7.7%) | 81(3.7%) | |
里親 | 95(5.4%) | 229(8.4%) | 185(8.4%) | |
その他 | 111(6.3%) | 159(5.8%) | 229(10.3%) | |
計 | 8,369 | 7,857 | 8,427 |
一時保護

一時保護委託

9 | 虐待相談の処理状況 |
虐待相談を受け付けた後の処理状況は、助言指導や継続指導等のいわゆる面接指導が27,251件(81.4%)と最も多く、施設入所については約1割の3,527件となっている。施設入所の内訳は、児童養護施設が2,405件(68.2%)と最も多くなっている。 |
総数 | 施設入所 | 里親等委託 | 面接指導 | その他 | |
平成14年度 | (100%) 23,857 |
(11.3%) 2,698 |
(0.7%) 172 |
(80.1%) 19,118 |
(7.8%) 1,869 |
平成15年度 | (100%) 26,620 |
(11.0%) 2,919 |
(0.8%) 213 |
(80.3%) 21,374 |
(7.9%) 2,114 |
平成16年度 | (100%) 33,476 |
(10.6%) 3,527 |
(0.7%) 243 |
(81.4%) 27,251 |
(7.3%) 2,455 |
(※1 | ひとつの事例に対して複数の処理をした場合は複数計上とした。) |
(※2 | その他は、児童委員指導、福祉事務所送致、訓戒・誓約など) |

● | 施設入所の内訳 |
平成14年度 | 平成15年度 | 平成16年度 | |
児童養護施設 | 1,936(71.8%) | 2,071(70.9%) | 2,405(68.2%) |
乳児院 | 454(16.8%) | 479(16.4%) | 602(17.1%) |
児童自立支援施設 | 88(3.3%) | 108(3.7%) | 123(3.5%) |
情緒障害児短期治療施設 | 88(3.3%) | 102(3.5%) | 155(4.4%) |
その他の施設 | 132(4.9%) | 159(5.4%) | 242(6.8%) |
計 | 2,698(100%) | 2,919(100%) | 3,527(100%) |

10 | 児童福祉法第28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)・第33条の6(家裁に対して児童相談所長が行う親権喪失請求)関係の請求・承認件数 |
平成16年度における28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)に基づく請求件数は186件、承認件数は147件であり、児童虐待防止法が制定される前の平成11年度(請求件数88件、承認件数48件)と比較するとそれぞれ2.1倍、3.1倍となっている。 |
年度 | 事項 | 法第28条による施設入所措置の承認申立 | 法第33条の6による親権喪失宣告の請求 |
平成14年度 | 請求件数 | 117 | 3 |
承認件数 | 87 | 3 | |
平成15年度 | 請求件数 | 140 | 3 |
承認件数 | 105 | 0 | |
平成16年度 | 請求件数 | 186 | 4 |
承認件数 | 147 | 1 |
(注) | 児童福祉法第28条では、保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、施設入所の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、家庭裁判所の承認を得て、施設入所措置をとることができることを規定している。 また第33条の6では、親権者が児童等に対して、その親権を濫用し、又はいちじるしく不行跡であるときは、児童相談所長が親権喪失の請求を家庭裁判所に対して行うことができることを規定している。 |
28条(家裁の承認を得て行う施設入所措置)に基づく請求・承認件数
