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クリーニング業の振興指針

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厚生労働省健康局生活衛生課


(平成26年3月13日)
(厚生労働省告示第75号)

 生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号)第56条の2第1項の規定に基づき、クリーニング業の振興指針(平成21年厚生労働省告示第39号)の全部を次のように改正し、平成26年4月1日から適用する。

 クリーニング業の営業者が、クリーニング業法(昭和25年法律第207号)等の衛生規制に的確に対応しつつ、現下の諸課題にも適切に対応し、経営の安定及び改善を図ることは、国民生活の向上に資するものである。
 このため、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号。以下「生衛法」という。)第56条の2第1項に基づき、クリーニング業の振興指針を定めてきたところであるが、今般、営業者、生活衛生同業組合(生活衛生同業小組合を含む。以下「組合」という。)等の事業の実施状況等を踏まえ、営業者、組合等の具体的活用に資するよう、実践的かつ戦略的な指針として全部改正を行った。
 今後、営業者、組合等において本指針が十分に活用されることを期待するとともに、新たな衛生上の課題や経済社会情勢の変化、営業者及び消費者等のニーズを反映して、適時かつ適切に指針を改定するものとする。

第一 クリーニング業を取り巻く状況
クリーニング業の事業者の動向
 

クリーニング業は、国民の衛生的で快適な衣料及び住環境を確保するとともに、家事労働の代替サービスを提供することにより、国民生活の向上に大いに寄与してきたところである。しかし、近年、家庭用洗濯機及び洗剤の進歩、コインランドリーの普及、形態安定素材を使用した衣料の普及、大規模企業による取次チェーン店の展開や無店舗型取次サービスといった新しい営業形態を採る企業との競争の激化など、クリーニング業を取り巻く経営環境は大きく変化している。
クリーニング業の施設数は118,188施設(平成24年度末)であり、10年前と比較して38,924施設の減となっている。従業クリーニング師数は51,190人であり、10年前と比較して14,102人の減となっている(厚生労働省『衛生行政報告例』による)。従業者数5人未満の事業者が70.6%で、経営者の年齢については、60歳から69歳の者の割合が38.0%、70歳以上の者の割合が35.4%となっている(厚生労働省『生活衛生関係営業経営実態調査』による)。
経営上の課題としては(複数回答)、「客数の減少」を最も多くあげており、次に多い問題点としては、「客単価の減少」、「材料費の上昇」、「燃料費の上昇」、「施設・設備の老朽化」等となっている(厚生労働省『生活衛生関係営業経営実態調査』による)。

消費動向
 

 平成24年の1世帯(2人以上の世帯)の洗濯代の支出額は7,372円で前年比91円の増で、平成14年の支出額を100とした場合、平成24年の支出額は68.8となっている(総務省『家計調査報告』による)。

営業者の考える今後の経営方針
  営業者の考える今後の経営方針としては(複数回答)、「接客サービスの充実」28.6%、「廃業」26.3%、「価格の見直し」15.1%、「広告・宣伝等の強化」12.9%、「専門店化・高級店化」12.0%となっている(厚生労働省『生活衛生関係営業経営実態調査』による)。
第二 前期の振興計画の実施状況
 

  都道府県別に設立されたクリーニング業の組合(平成25年12月末現在で47都道府県で設立)においては、前期のクリーニング業の振興指針(平成21年厚生労働省告示第39号)を踏まえ、振興計画を策定、実施しているところであるが、当該振興計画について、全5ヵ年のうち4ヵ年終了時である平成24年度末に実施した自己評価は次表のとおりである。
 なお、国による予算措置(補助金)については、政策目的の達成状況の検証及び事業の適切かつ効果的な実施の観点から、「生活衛生関係営業の振興に関する検討会」の下に設けられた「生活衛生関係営業対策事業費補助金審査・評価会」において、審査から評価まで一貫して行う等、必要な見直し措置を講じている。
 このため、組合及び生活衛生同業組合連合会(以下「連合会」という。)等においても、振興計画に基づき事業を実施する際は、成果目標及び事業目標を可能な限り明確化した上で、達成状況についても評価を行う必要がある。
 当該振興計画等の実現に向けて、組合及び連合会においては、振興指針、振興計画の内容について広く広報を図り、組合未加入営業者への加入勧誘を図ることが期待されている。
 組合への加入、非加入は営業者の任意であるが、生衛法の趣旨、組合の活動内容等を詳しく知らない新規開設者等の営業者がいることも考えられるため、都道府県、保健所設置市への営業の許可申請、届出等の際に、営業者に対して、生衛法の趣旨、関係する組合の内容、所在地、連絡先等について情報提供等の取組の実施が求められる。

表 振興計画の実施状況についての各組合による自己評価 (単位:%)
  事業名 達成 概ね達成 主な事業
1

 

衛生に関する知識及び意識の向上に関する事業 11%

 

35%

 

・衛生管理等に関する講習会の開催
・衛生管理マニュアルの作成・配布
・ドライチェッカーの普及
2 施設及び設備の改善に関する事業 0% 17% ・店舗特性を踏まえた改装や設備の導入投 資が見られる
3

 

 

利用者の利益の増進に関する事業

 

20%

 

 

59%

 

 

・講習会の開催
・消費者意識調査の実施
・ホームページの開設
・苦情相談窓口の開設
・標準営業約款の登録促進
4 経営管理の合理化及び効率化に関する事業 33% 41% ・経営講習会、各種研修会の開催
5 営業者及び従業員の技能の改善向上に関する事業 22% 48% ・技術講習会の開催
・ワイシャツ仕上げ競技大会の開催
6 事業の共同化及び協業化に関する事業 15% 24% ・共同購入の実施
・共同宣伝の実施
7 取引関係の改善に関する事業 26% 28% ・関係業界等との情報交換会の開催
8 従業者の福祉の充実に関する事業 6% 33% ・共済制度の加入促進
・定期健康診断の実施
9 事業の承継及び後継者支援に関する事業 22% 50% ・後継者育成支援のための研修会等の開催
・青年部の育成
10 環境の保全に関する事業 13% 28% ・講習会の開催
・VOC対策の実施
11 少子・高齢化社会への対応に関する事業 13% 13% ・高齢者住宅向け訪問サービスの研究
12

 

地域との共生に関する事業

 

20%

 

48%

 

・地域イベントへの参加
・各種ボランティア事業への協力
第三 クリーニング業の振興の目標に関する事項
営業者の直面する課題と地域社会から期待される役割
  クリーニング業は、国民の衛生的で快適な衣料及び住環境を確保するとともに、家事労働の代替サービスを提供することにより、国民生活の向上に大いに寄与してきた。こうした重要な役割をクリーニング業が引き続き担い、国民生活の向上に貢献できるよう、経営環境や国民のニーズ、衛生課題に適切に対応しつつ、各々の営業者の経営戦略に基づき、その特性を活かし、事業の安定と活力ある発展を図ることが求められる。
  また、新たな素材による繊維製品の普及等により、クリーニング事故や苦情は多いため、事故等の防止のための取組みを推進し、利用者の信頼を得る営業を目指すことが必要である。さらに、環境保全についての国民の関心は一層高くなっており、ドライクリーニング溶剤等の化学物質を使用する機会が多いクリーニング業にとっては、ドライクリーニング溶剤等の化学物質に対する環境規制の強化も踏まえ、臭気、騒音等のクリーニング所の環境面での配慮、環境保全対策に積極的に取り組んでいくことが重要である。また、住居地域等において引火性溶剤を用いるクリーニング所については建築基準法(昭和25年法律第201号)への対応が求められている。
  あわせて、高齢者や障害者等のニーズに的確に即応することで、クリーニング業の営業者の地域住民が日常生活を送るために必要なセーフティーネットとしての役割や地域における重要な構成員としての位置づけが強化され、生活者の安心を支える役割を担うことが期待される。社会全体の少子高齢化の中で、営業者自身の高齢化による後継者問題に加え、従業者等への育児支援等も課題となっている。
  ISOへの整合化を図るための繊維製品の取扱いに関するJIS表示の見直しの動向に、適切に対応していく必要がある。
  各営業者は、これらを十分に認識し、衛生水準の向上、技術及びサービスの向上、クリーニング事故の防止及び利用者への情報提供、環境保全の推進等、各般の安全安心対策に積極的に取り組むことにより、クリーニング業に対する利用者の理解と信頼の向上を図ることを目標とすべきである。
今後5年間(平成26年度から平成30年度末まで)における営業の振興の目標
  1 衛生問題への対応
    クリーニング業は、人体の分泌物、ほこり、微生物等により汚染された衣料等を処理する営業であり、病原微生物に汚染されたおそれのある衣料等を洗濯することによる公衆衛生上の危害の発生を防止するため、その取扱い及び処理を衛生的かつ適正に行うことは、営業者の責務である。
    また、石油系溶剤等の残留による健康被害が生じないように留意することが必要である。衛生課題は、営業者の地道な取組が中心となる課題と、新型インフルエンザへの対応のように、営業者にとどまらず、保健所等衛生関係機関や都道府県生活衛生営業指導センター(以下「都道府県指導センター」という。)等との連携を密にして対応すべき課題とに大別される。衛生問題は、営業者が一定水準の衛生管理を行っている場合、通常、発生するものではないため、発生防止に必要な費用及び手間について判断しにくい特質がある。しかし、一旦、衛生上の問題が発生した場合には、多くの消費者に被害が及ぶことはもとより、営業自体の存続が困難になる可能性があることから、日頃からの地道な衛生管理の取組が重要である。また、こうした衛生問題は、個々の営業者の問題にとどまらず、業界全体に対する信頼を損ねることにもつながることから、組合及び連合会には、組合員、非組合員双方の営業者が自覚と責任感を持ち、衛生水準の向上が図られるよう、継続的に知識及び意識向上に資する普及啓発や適切な指導及び支援に努めることが求められる。
    とりわけ、零細な営業者は重要な公衆衛生情報の把握が困難となる場合が考えられるため、これら営業者に対する組合加入の促進や公衆衛生情報の提供が円滑に行われることが期待される。
    さらに、クリーニング師研修については、営業者のニーズを踏まえ、研修内容の充実や受講しやすい環境を図りながら、受講率の向上に向けた取組をさらに進めていく必要がある。
  2 経営方針の決定と消費者・地域社会への貢献
    家庭用洗濯機及び洗剤の進歩、コインランドリーの普及、形態安定素材を使用した衣料の普及等により利用者の家計支出に占めるクリーニングに関する支出も減少している。また、大規模企業による取次チェーン店の展開や無店舗型取次サービスといった新しい営業形態を採る企業の参入等による過当競争の激化が見られるとともに、原材料価格が高騰するなど、営業者を取り巻く経営環境は厳しいものとなっている。
    こうした中で、営業者は、消費者のニーズや世帯動向等を的確に把握し、専門性や地域密着、対面販売等の特性を活かし、競争軸となる強みを見出し、独自性を十分に発揮し、経営展開を行っていくことが求められる。
    特に、利用者のニーズも高度化する中で、専門性や技術力を活かして、利用者の立場に立って付加価値を高めるとともに、仕上げ等のサービスの質やこれに対応した価格に関する認知度を高め、サービスの違いを明確に打ち出すことによって、差別化を図り、顧客を増やしていくことが重要である。
    また、衣類の素材が多様化する中で、衣類等の保全に係る総合的なサービス業として、地域の衣類に関する情報ステーションとしての役割を担い、衣類以外の洗濯物の取扱いや保管サービスなどサービスの多様化を図ることも重要である。
    安定した経営のためには、組合等が推進する共同事業やマシーン・リング方式の活用による経営の効率化に努めることも重要である。
    さらに、消費者の苦情や事故を防ぐために、受付を行う従業者の知識や説明の水準の向上、事故が生じた後の苦情処理の適正化、責任賠償保険への加入促進に業界をあげて取り組んでいくことが期待される。
    他方、人口減少、少子高齢化及び過疎化の進展は、営業者の経営環境を厳しくする一方、買い物の場所や移動手段など日常生活に不可欠な生活インフラそのものを弱体化させる側面があることから、高齢者や障害者、子育て・共働き世帯等が身近な買い物に不便・不安を感じさせる、いわゆる「買い物弱者」の問題を顕在化させる。地域に身近な営業者の存在は、買い物弱者になりがちな高齢者等から頼られる位置づけを確立し、中長期的な経営基盤の強化につながることが期待される。
    特に、高齢化が進展する中で、来店することが困難な高齢者が増加していくことが予想されることから、これらの者に対する集配サービスを推進していくことが期待される。こうしたシニア層向けのサービスの提供は、単に売上げを伸ばすだけでなく、地域社会が抱える問題の課題解決や地域経済の活性化にも貢献するものであり、これら取組を通じた経営基盤の強化により、大手資本によるチェーン店との差別化にもつながるものと期待できる。
  3 税制及び融資の支援措置
    クリーニング業の組合又は組合員には、税制優遇措置及び日本政策金融公庫を通した低利融資を受ける仕組みがある。
    税制措置については、組合が共同利用施設を取得した場合の特別償却制度が設けられており、組合において共同配送用車輌及び共同蓄電設備の購入時や組合の会館を建て替える際などに活用することができる。
    融資については、対象設備及び運転資金について、振興計画を策定している組合の組合員(営業者)が借りた場合に、対象設備については、日本政策金融公庫の基準金利よりも低率の融資を受けることができる。また、各都道府県の組合が作成した振興計画に基づき、一定の会計書類を備えている営業者が所定の事業計画を作成して設備資金及び運転資金を借りた場合、より低い低利融資の仕組み(振興事業促進支援融資制度)が設けられており、特に設備投資を検討する営業者には、積極的な活用が期待される。
関係機関に期待される役割
  1 組合及び連合会に期待される役割
    組合及び連合会には、独自の財源や国から受ける生活衛生関係営業対策事業費補助金を活用して、営業者の直面する衛生問題及び経営課題に対する適切な支援事業を実施することが期待される。
    事業の実施に際しては、有効性及び効率性(費用対効果)の観点から、計画期間に得られる成果目標を明確にしながら事業の企画立案・実施を行い、得られた成果については適切に効果測定する等、事業の適切かつ効果的な実施に努めることが求められる。
    また、事業効果を最大限発揮し事業成果を広く国民や社会に還元できるよう、都道府県指導センター、保健所等衛生関係機関、日本政策金融公庫支店等との連携及び調整を行うことが期待される。
  2 都道府県指導センター及び日本政策金融公庫に期待される役割
    多くの営業者が経営基盤が脆弱な中小零細事業者であることに鑑み、都道府県指導センター及び日本政策金融公庫において、営業者へのきめ細かな相談・指導その他必要な支援を行うなどし、予算措置(補助金)、金融措置(融資)、税制措置等の有効的な活用を図ることが期待される。
    とりわけ、金融措置(融資)については、審査・決定を行う日本政策金融公庫において営業者が利用しやすい融資の実施、生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握及び分析に努め、関係団体に情報提供するとともに、日本政策金融公庫と都道府県指導センターが協力して、手続きや計画作成に不慣れな営業者への支援の観点から、融資に係るきめ細かな相談及び融資手続きの簡素化を行うことが期待される。低利融資制度については、各営業者の事業計画作成が前提とされることから、本指針の内容を踏まえ、営業者の戦略性を引き出す形での指導を行うことが求められる。
  3 国及び公益財団法人全国生活衛生営業指導センターに期待される役割
    国及び公益財団法人全国生活衛生営業指導センター(以下「全国指導センター」という。)は、公衆衛生の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、都道府県及び連合会と適切に連携を図り、信頼性の高い情報の発信、的確な政策ニーズの把握等を行う必要がある。また、予算措置(補助金)、金融措置(融資)、税制措置を中心とする政策支援措置については、営業者の衛生水準の確保、経営の安定に最大限の効果が発揮できるよう、安定的に所要の措置を講じるとともに、制度の活性化に向けた不断の改革の取組が必要である。
    また、全国指導センターにおいては、地域で孤立する小規模営業者のほか、大規模チェーン店に対しても、組合加入の働きかけや公衆衛生情報の提供機能の強化を行うため、関係の組合及び連合会との連携を促すための取組が求められる。
第四 クリーニング業の振興の目標を達成するために必要な事項
  クリーニング業の目標を達成するために必要な事項としては、次に掲げるように多岐にわたるが、営業者においては、衛生水準の向上等のために必須で取り組むべき事項と、戦略的経営を推進するために選択的に取り組むべき事項の区別を行うことで、課題解決と継続的な成長を可能にし、国民生活の向上に貢献することが期待される。
  また、組合及び連合会においては、組合員である営業者等に対する指導・支援、消費者のクリーニング業への信頼向上に資する事業の計画的な推進が求められる。
  このために必要となる具体的取組としては、次に掲げるとおりである。
営業者の取組
  1 衛生水準の向上に関する事項
    (1) 日常の衛生管理に関する事項
      近年のセレウス菌、ノロウィルス等の感染症の発生状況を踏まえ、クリーニング業においても、公衆衛生の見地から感染症対策の充実を図ることが要請されている。このため、洗濯前の衣料と洗濯後の衣料の適切な区分け、消毒等の処理、施設及び設備の清潔保持と従業者への衛生教育の徹底や健康管理を行うべきである。また、石油系溶剤の残留による化学やけどの防止のため、ドライチェッカー(石油系溶剤残留測定機)による溶剤の乾燥状態の確認の励行にも取り組むべきである。
    (2) 衛生面における施設及び設備の改善に関する事項
      営業者は、店舗の内外装を美しく、かつ、衛生的にすることが基本であり、取次所や洗濯物の集配車を含めて、洗濯前の衣料と洗濯後の衣料を区分するなど、一定の衛生水準を保つ構造設備にするよう留意するとともに、石油系溶剤の残留による健康被害が生じないような設備の点検及び整備に努めるものとする。
  2 経営課題への対処に関する事項
    個別の経営課題への対処については、営業者の自立的な取組が前提であるが、多様な消費者の要望に対応する良質なサービスを提供し、国民生活の向上に貢献する観点から、営業者においては、経営改革に積極的に取り組むことが期待される。特に、家族経営等の小規模店は、営業者や従業員が変わることはほとんどないため、経営手法が固定的になりやすい面があるが、経営意識の改革を図り、以下の事項を選択的に取り組んでいくことが期待される。
    (1) 経営方針の明確化及び独自性の発揮に関する事項
      現在置かれている経営環境や市場を十分に把握、分析し、専門性や技術力、立地条件等の特性を踏まえ、強みを見出し、経営方針を明確化し、自店の付加価値や独自性を高めていくとともに、経営管理の合理化及び効率化を図ることが必要である。
      自店の立地条件、顧客層、資本力、経営能力、技術力等の経営上の特質の把握
      周辺競合店に関する情報収集と比較
      ターゲットとする顧客層の特定
      重点サービスの明確化
      店のコンセプトの明確化
      経営手法、熟練技能、専門的知識の習得・伝承や後継者の育成
      若手人材の活用による経営手法の開拓
      共同仕入れや共同配送等の共同事業の推進
      都道府県指導センター等の経営指導機関による経営診断の積極的活用
    (2) サービスの見直し及び向上に関する事項
      多様化する消費者のニーズやライフスタイル、世帯構造の変化に適確に対応し、消費者が安心して利用できるよう、サービスや店づくりの充実や情報提供の推進に努め、消費者の満足度を向上させることが重要であることから、以下の事項を選択的に取り組むことが期待される。
      「技術」と「こだわり」による独自サービスの提供
      仕上がりの違いの体験のためのお試しサービス
      特殊なシミ抜き、丁寧な仕上げ等のサービスの見直し
      抗菌・UV加工等付加価値加工
      和服のクリーニング
      衣類以外のクリーニングサービスの提供
      季節外衣料の有料保管の実施
      リフォーム
      集配サービス
      衣料の特徴に合った洗濯・保管に関する知識の消費者への情報提供
      マニュアルを超えた「おもてなしの心(気配り・目配り・心配り)」による温もりのあるサービスの提供
      顧客との信頼関係の構築
      立地条件及び経営方針に照らした営業日及び営業時間の見直し
    (3) 施設及び設備の改善に関する事項
      営業者は、施設及び設備の改善のため、以下の事項に取り組むことが期待される。
      定期的な内外装の改装
      各店舗の特性を踏まえた清潔な雰囲気の醸成
      高齢者、障害者等に配慮したバリアフリー対策の実施
      サービスの高付加価値化、生産性の向上
      従業者の安全衛生の確保、労働条件の改善
      環境保全の推進
      節電・省エネルギーの推進
      建築基準法への対応
    (4) 情報通信技術を利用した新規顧客の獲得及び顧客の確保に関する事項
      営業者は、情報セキュリティの管理に留意しつつ、インターネット等の情報通信技術を効果的に活用する等、以下の事項に選択的に取り組むことが期待される。
      インターネット等の活用による割引サービスの実施、異業種との提携
      ホームページの開設等、積極的な情報発信によるプロモーションの促進
      顧客情報のデータベース化等による適切な管理
      ダイレクトメールの郵送や広報チラシの配布
      クレジットカード決済、電子決済、クリーニングギフト券の導入・普及
    (5) 表示の適正化と苦情の適切な処理に関する事項
      営業者は、店外を始めとして、利用者の見やすい場所にサービスの項目及び料金並びに苦情の申出先を明示するものとする。
      また、営業者は、全国指導センターが定めるサービスの内容並びに施設及び設備の表示の適正化に関する事項等を内容とするクリーニング業の標準営業約款に従って営業を行う旨の登録をし、標識及び当該登録に係る約款の要旨を掲示するよう努めるものとする。さらに、クリーニング師研修及び業務従事者講習の修了の店頭表示に努めるものとする。クリーニング業は、受託した衣料の破損、仕上がりへの不満等事故や苦情が生じやすい業態である。このため、洗濯物の受取及び引渡しの際には、処理方法等について利用者に対する十分な説明に努めなければならない。そのため、新たな衣料に関する知識の取得等により、事故の未然防止に努めるとともに、事故が生じた場合には、適切かつ誠実な苦情処理と賠償責任保険等を活用した損害の補填により、利用者との信頼関係の維持向上に努めるものとする。
    (6) 従業員の資質の向上に関する事項
      クリーニング業の新たな発展を期するためには、技術力、情報収集力、人的能力等の質的な経営資源を充実し、経営力の強化を図る必要があるが、特に人材の育成は、経営上の重要な点である。
      したがって、営業者は、従業員の資質の向上に関する情報を収集し、繊維製品に関する知識を習得するなど、進んで自己研さんに努め、従業員が衣料の受取時に利用者に対して行う素材、色、デザイン、仕上がりに関する事前説明を徹底するなど、職場内指導を充実するとともに、自治体、都道府県指導センター、組合等の実施するクリーニング師研修会への積極的参加や講習会等あらゆる機会を活用して従業員の資質の向上を図り、その能力を効果的に発揮できるよう努めるとともに、適正な労働条件の確保に努めるものとする。
営業者に対する支援に関する事項
  1 組合及び連合会による営業者の支援
    組合及び連合会においては、営業者の自立的な経営改革を支援する都道府県指導センター等の関係機関との連携を密にし、次に掲げる事項を中心に積極的な支援に努めることが期待される。
    (1) 衛生に関する知識及び意識の向上に関する事項
      営業者に対して衛生管理を徹底するための研修会及び講習会の開催、営業者及びクリーニング師の衛生管理の手引の作成等による普及啓発、基礎的技術の改善、感染症、化学やけど等の新たな健康被害に関する研究の推進及び新技術の研究開発並びに衛生管理体制の整備充実に努めるものとする。
    (2) 施設及び設備の改善に関する事項
      衛生水準の向上、経営マネジメントの合理化及び効率化、消費者の利益の増進、建築基準法への対応等に資するための、施設及び設備の改善に関する指導、助言、情報提供等、必要な支援に努めること。
    (3) 消費者利益の増進に関する事項
      サービスの適正表示や苦情処理の対応に関するマニュアルの作成による普及啓発、クリーニング物の誤配防止のための取組の推進に努めるものとする。
      また、時代の変化を踏まえた「クリーニング事故賠償基準」の見直しを適宜行うとともに、クリーニング製品の安全・安心に係る危機管理マニュアルの作成、賠償責任保険への加入促進、利用者の意見等に関する情報の収集及び提供並びに消費者教育支援センター等との連携による利用者のクリーニング業に対する正しい知識の啓発普及に努めるものとする。
    (4) 経営マネジメントの合理化及び効率化に関する事項
      先駆的な経営事例等経営管理の合理化及び効率化に必要な情報、立地条件等経営環境に関する情報並びにクリーニング業界の将来の展望に関する情報の収集及び整理並びに営業者に対するこれらの情報提供に努めるものとする。
    (5) 営業者及び従業員の技能の向上に関する事項
      クリーニング師等の資質の改善向上を図るための研修会、講習会及び技能コンテストの開催等教育研修制度の充実強化に努めるものとする。また、自治体が主催するクリーニング師研修会の受講の支援及び受講促進に努めるものとする。
    (6) 事業の共同化及び協業化に関する事項
      事業の共同化及び協業化の企画立案並びに実施に係る指導に努めるものとする。特に、経営環境の悪化や住宅密集地域におけるクリーニング所の立地の困難化及び営業者の高齢化が進む中で、組合や経営方針を同じくする営業者間でクリーニング工場の共同化、自店では特定の分野の商品の処理に特化し、それ以外の商品は各々の分野に特化した他の営業者へ依頼を行う方式(マシーン・リング方式)についての指導に努めるものとする。また、公害防止用設備及び付帯設備の導入においても、営業者間での協業化の推進及び指導に努めるものとする。
    (7) 取引関係の改善に関する事項
      共同購入等取引面の共同化の推進、クリーニング機械業界、資材業界等の関連業界の協力を得ながらの取引条件の合理的改善及び組合員等の経済的地位の向上に努めるものとする。また、関連業界と連携を深め、情報の収集及び交換の機会の確保に努めるものとする。
    (8) 従業員の福祉の充実に関する事項
      従業者の労働条件整備、作業環境の改善及び健康管理充実のための支援、医療保険(国民健康保険又は健康保険)、年金保険(国民年金又は厚生年金保険)及び労働保険(雇用保険及び労働者災害補償保険)の加入等に係る啓発、組合員等の大多数の利用に資する福利厚生の充実並びに共済制度(退職金、生命保険等)の整備及び強化に努めるものとする。
      さらに、男女共同参画社会の推進及び少子・高齢化社会への適切な対応に配慮した従業者の福祉の充実に努めるものとする。
    (9) 事業の承継及び後継者支援に関する事項
      事業の円滑な承継に関するケーススタディ及び成功事例等の経営知識の情報提供の促進を図るために必要な支援に努めること。
  2 行政施策及び政策金融による営業者の支援及び消費者の信頼の向上
    (1) 都道府県指導センター
      組合との連携を密にして、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
      営業者に対する経営改善の具体的指導、助言等の支援
      消費者からの苦情及び要望の営業者への伝達
      消費者の信頼の向上に向けた積極的な取組
      都道府県(保健所)と連携した組合加入促進に向けた取組
    (2) 全国指導センター
      都道府県指導センターの取組を推進するため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
      営業者の経営改革の取り組みに役立つ情報の収集・整理・情報提供
      危機管理マニュアルの作成
      苦情処理マニュアルの作成
      標準営業約款の登録の促進
      クリーニング師研修及び従事者講習の充実、受講しやすい環境の整備
      効果測定の支援及び政策提言機能の強化
      公衆衛生情報の提供機能の強化
    (3) 国及び都道府県
      クリーニング業に対する消費者の信頼の向上及び営業の健全な振興を図る観点から、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めること。
      クリーニング業法等関係法令の施行業務等を通じたクリーニング師研修及び従事者講習の実施、研修内容の充実、受講しやすい環境の整備、指導監督
      安全衛生に関する情報提供その他必要な支援
    (4) 日本政策金融公庫
      営業者の円滑な事業実施に資するため、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めることが期待される。
      営業者が利用しやすい融資の実施
      生活衛生関係営業に係る経済金融事情等の把握、分析及び情報提供
      災害時等における速やかな相談窓口の設置
第五 営業の振興に際し配慮すべき事項
  クリーニング業においては、他の生活衛生関係営業と同様に、衛生水準の確保と経営の安定のみならず、営業者の社会的責任として環境の保全や省エネルギーの強化、リサイクル対策の推進に努めるとともに、時代の要請である人口減少・高齢化等への対応、地域との共生、東日本大震災への対応といった課題に応えていくことが要請される。個々の営業者の取組が中心となる課題と、関係者が営業者を支援することで推進が図られる課題とがある。こうした課題に適切に対応することを通じて、地域社会に確固たる位置づけを確保することが期待される。
環境の保全及び省エネルギーの強化、リサイクル対策の推進
  営業者に期待される役割
    (1) 公害防止用設備の導入、産業廃棄物の適正処理
    (2) 省エネルギー対応のボイラー機器、空調設備、太陽光発電設備、低公害(ハイブリッド)車、電気自動車等の導入
    (3) 節電に資するLED照明、蓄電設備等の導入
    (4) 温室効果ガス排出の抑制
    (5) ハンガー、ポリ包装資材等の3R(廃棄物の発生抑制、再使用及び再資源化)の推進
  組合及び連合会に期待される役割
    (1) 公害防止、省エネルギー、リサイクルの各取組方法の構築・普及啓発
    (2) 業種を超えた組合間で相互に協力
  日本政策金融公庫に期待される役割
    融資の実施等による営業者の支援
少子・高齢化社会等への対応
  営業者に期待される役割
    営業者は、高齢者や障害者、子育て・共働き世帯が住み慣れた地域社会で安心かつ充実した日常生活を営むことができるよう、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めること。
    (1) バリアフリー対策の積極的な取組
    (2) 集荷・配達サービスの実施
    (3) 身体障害者補助犬を同伴する身体障害者等への適切な対応
    (4) 従業員に対する教育及び研修の充実・強化
    (5) 従業者の育児支援
    (6) 地域社会とのつながりを強化する観点も含めた地域の高齢者・障害者等の積極的雇用の推進
  組合及び連合会に期待される役割
    高齢者、障害者等の利便性を考慮した店舗設計やサービス提供に係る研究の実施
  日本政策金融公庫に期待される役割
    融資の実施等による営業者の支援
地域との共生(地域コミュニティの再生及び強化(商店街の活性化))
  営業者に期待される役割
    営業者は、地域住民に対してクリーニング業の存在、提供する商品やサービスの内容及び営業の社会的役割・意義をアピールするとともに、地域で増加する生活弱者(高齢者、障害者、子育て・共働き世帯)の新たなニーズに対応し、地域のセーフティーネットとしての役割や地域コミュニティの基盤である商店街における重要な構成員としての位置づけが強化されるよう、以下に掲げる事項を中心に積極的に取り組むことで、地域コミュニティの再生・強化や商店街の活性化につなげること。
    (1) 地域の街づくりへの積極的な参加
      祭りや商店街による手作りイベント等共同事業の立案及び参加
      商店街の活性化を通じた地域生活者の「ふれあい」、「憩い」、「賑わい」の創出
    (2) 「賑わい」、「つながり」を通じた豊かな人間関係(ソーシャル・キャピタル)の形成
    (3) 商店街の空き店舗の有効的活用(子育て支援施設、高齢者交流サロン、地域ブランド品販売等へ利用)
    (4) 共同ポイントサービス事業、スタンプ事業の実施
    (5) 地域の防犯、消防、防災、交通安全、環境保護活動の推進に対する協力
    (6) 災害対応能力及び危機管理能力の維持向上
  組合及び連合会に期待される役割
    (1) 地域の自治体等と連携し、社会活動の企画、指導・援助ができる指導者を育成
    (2) 業種を超えた相互協力の推進
    (3) 地域における特色ある取組の支援
    (4) 自治会、町内会、地区協議会、NPO、大学等との連携活動の推進
    (5) 商店街役員へのクリーニング業の若手経営者の登用
東日本大震災への対応
  東日本大震災は未曾有の国難であり、被災地域における営業再開及び被災営業者の生活の再建と活力ある地域の再生のため、総力を挙げて、東日本大震災からの復旧、将来を見据えた復興への取組を進めていくこと。
  営業者に期待される役割
    (1) 被災営業者のみならず営業者全体による相互扶助と連携の下での役割発揮
    (2) 被災営業者の営業再開を通じた被災者へのサービスの充実や地域コミュニティの復元
    (3) 節電・省エネへの適切な対応
  組合及び連合会に期待される役割
    (1) 同業者による支え合い(太い「絆」で再強化)
    (2) 節電啓発や節電行動に対する支援
    (3) 節電に資する共同利用施設(共同蓄電設備等)の設置
  国及び都道府県
    東日本大震災を乗り越えて復興を実現し、被災地域のコミュニティの維持回復を図るため、被災営業者及び被災組合の意向等を踏まえつつ、以下に掲げる事項を中心に積極的な取組に努めること。
    (1) 被災営業者の営業再開のための施策
    (2) 東日本大震災を教訓とした緊急に実施する必要性が高く、即効性の高い防災、減災等の施策
  日本政策金融公庫に期待される役割
    被災営業者に対するきめ細やかな相談・支援を通じた低利融資等の実施

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