多剤耐性菌についての一般の方向けの情報
(多剤耐性アシネトバクター、NDM-1産生多剤耐性菌についての情報です)
ポイント
● 多剤耐性菌とは、多くの抗菌薬(抗生剤)がきかなくなった細菌のことです。
● 健康な方については、一般的には、からだの中に入ったり、皮膚や粘膜の表面についたりするだけでは、すぐに病気になるわけではありません。
● しかし、からだの抵抗力が落ちているときなどには、多剤耐性菌による感染症にかかることがあり、この場合、抗菌薬(抗生剤)がきかないため、治療が難しくなります。
○ 多剤耐性菌とは?
- 細菌のうち、変異して、多くの抗菌薬(抗生剤)がきかなくなった細菌のことです。
- なお、耐性菌・多剤耐性菌については、1970年代以降、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が広がっており、2000年代に入って、多剤耐性結核菌など、さまざまなものが全国に広がっていることが知られています。
○ 感染経路について
- 手などについた細菌が、何かのきっかけで、口などから入って感染します。
○ 健康な方にとっての多剤耐性菌について
- 感染力や病気をおこす力は、耐性菌ではない細菌と同じです。したがって、一般的 には、健康な方のからだの中に入ったり、皮膚や粘膜の表面についたりするだけでは、すぐに病気になるわけではありません。
○ どのようなことが問題になっているのですか?
- からだの抵抗力が落ちているときなどには、多剤耐性菌による感染症にかかることがあり、この場合、抗菌薬(抗生剤)がきかないため、治療が難しくなります。
○ 感染しているかどうか心配なので、検査を受けたいのですが
- 症状がなければ、検査をする必要はありません。
- 膀胱炎や肺炎などの感染症にかかって、抗菌薬(抗生剤)などによる治療をしてもよくならない場合には、詳しい検査をする必要があります。
- 詳しい検査ができるところは、専門の検査機関などに限られています。主治医が詳しい検査が必要だと考えた場合に検査をします。
○ 体調が悪くて心配なときには?
- 熱がでるなど、体調が悪いときには、早めに医療機関に受診し、必要な検査を受け、正しく診断をしてもらい、適切な治療を受けることが重要です。
- 感染症にかかった人が、過去に飲み忘れて保管してあった抗菌薬(抗生剤)などを、自分の判断で飲むことは、多剤耐性菌を増やしてしまうことがあるので、とても危険 です。
○ 家族が多剤耐性菌による感染症と診断されたときに注意することはありますか?
- 患者さんのかかっている多剤耐性菌による感染症が、ご家族の方にうつることは、ほとんどありません。
- しかしながら、たとえば、手についた菌が口に入ってしまう場合などに、多剤耐性菌に感染することがあるので、患者さんに接触した後の手洗いはきちんとすることが大事です。
- 特に、トイレを使用した後は、きちんと手を洗ってください。
- 症状のないご家族の方には、日常の生活の中で、特別の対応をする必要はありません。
○ 多剤耐性菌が問題となっている地域から帰国しましたが、検査をする必要はありますか?
- 症状がなければ、検査をする必要はありません。
- 体調不良を感じたら、早めに医療機関を受診してください。受診するときには、渡航先などを医師に話してください。
○ 多剤耐性菌に有効な消毒方法はありますか?
- 腸管出血性大腸菌(O-157など)やサルモネラなどの食中毒をおこす菌の消毒と同じように、加熱やアルコール系などの一般的な消毒薬が有効です。