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「我が国における新たな多剤耐性菌の実態調査」の結果について

多剤耐性菌

「我が国における新たな多剤耐性菌の実態調査」の結果について

平成23年1月21日

●目的

これまで、NDM-1やKPC型のカルバペネマーゼを産生する多剤耐性菌は、海外で感染が拡大していることが報告されてきましたが、国内においても、医療機関に入院していた患者においてこの種の多剤耐性菌の感染や保菌事例が確認されたため、国内での実態を明らかにし、医療関係者や国民に情報提供を行うとともに、今後の耐性菌対策に役立てることを目的として、調査を実施しました。

●調査方法

医療機関の診療において、腸内細菌科(注1)の多剤耐性菌(注2)が確認された場合には、国立感染症研究所に菌体を送付し、国立感染症研究所において、耐性の原因(注3)について解析を実施しました。

注1:腸内細菌科の細菌とは、大腸菌、肺炎桿菌、セラチア、エンテロバクター等の菌の総称です。

注2:カルバペネム系を含む広域β-ラクタム系、フルオロキノロン系、アミノ配糖体系の3系統の抗菌薬に対し広範な耐性を示す株を調査対象としました。

注3:NDM-1型メタロ-β-ラクタマーゼ産生型、KPC型カルバペネマーゼ産生型、IMP-1型メタロ-β-ラクタマーゼ産生型、IMP-2型メタロ-β-ラクタマーゼ産生型、VIM-2型メタロ-β-ラクタマーゼの5種類の型について遺伝子の有無を検査しました。

●調査期間

平成22年9月15日から12月28日

●調査結果

(1) 受け入れ菌株数

受付月 菌株受入数
9月 11
10月 45
11月 58
12月 39
153

※1人の患者について複数の菌株を受け入れた場合があるため、患者数とは一致しません。

(2) 耐性遺伝子解析結果

(1) 総計

耐性遺伝子 菌株数
IMP-1 72
KPC 2
NDM-1 2
すべて陰性 77
153

※ すべて陰性という結果は、NDM-1、KPC、IMP-1、IMP-2、VIM-2の5種類の耐性遺伝子がすべて陰性であった株を示します。

(2) 菌種別

菌種 IMP-1 KPC NDM-1 すべて陰性 合計
Escherichia coli
(大腸菌)
23     44 67
Klebsiella pneumoniae
(肺炎桿菌)
19 2 2 12 35
Enterobacter cloacae
(エンテロバクター・クロアカ)
22     6 28
Providencia spp.
(プロビデンシア属)
3     3 6
Serratia marcescens
(セラチア・マルセセンス)
3     3 6
Citrobacter spp.
(シトロバクター属)
2     3 5
Proteus mirabilis
(プロテウス・ミラビリス)
      2 2
Morganella morganii
(モルガネラ・モルガニイ)
      3 3
Klebsiella oxytoca
(クレブシエラ・オキシトカ)
      1 1
合計 72 2 2 77 153

(3) 都道府県別

調査期間中に、31都道府県より菌株が送付されました。

都道府県 IMP-1 KPC NDM-1 すべて陰性 合計
北海道 1     1 2
岩手県       1 1
群馬県 1     1 2
埼玉県 1   2   3
千葉県 4     4 8
東京都 16     8 24
神奈川県 6     4 10
富山県       1 1
長野県 1     1 2
岐阜県       3 3
静岡県       1 1
愛知県 2     6 8
三重県 1       1
京都府       1 1
大阪府 9 2   13 24
兵庫県 10     8 18
奈良県 4       4
和歌山県       2 2
岡山県       1 1
広島県       2 2
徳島県       2 2
香川県       3 3
愛媛県       1 1
高知県 9     2 11
福岡県 4     1 5
佐賀県 2       2
宮崎県 1     1 2
鹿児島県       1 1
沖縄県       8 8
総計 72 2 2 77 153

【参考】

NDM-1型メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌(第2例)の詳細について

(検査結果)

・菌種:肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)

・国立感染症研究所におけるPCR検査等遺伝子解析の結果:NDM-1型

(背景)

・埼玉県内の医療機関に、消化管出血の治療のため入院した80代女性患者の、10月中旬に採取した尿の検体から検出されました。尿には白血球増加がみられ、膀胱炎等の尿路感染症を併発していたものと考えられます。

・患者の症状は軽快し、10月下旬に退院となりました。(なお、その後、別の疾患に罹患され、お亡くなりになりました。)

・患者には、最近の海外渡航歴はありません。

・入院中の他の患者からは、同様の多剤耐性肺炎桿菌は検出されておりません。

※12月下旬に国立感染症研究所に連絡があり、菌株の送付を受け分析した結果、本日(1月21日)結果が確定しました。

※本調査におけるNDM−1型メタロ-β-ラクタマーゼ産生菌の報告としては2例目、国内での報告例としては3例目です。

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