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コリネバクテリウム・ウルセランスに関するQ&A

(平成21年7月22日作成)

コリネバクテリウム・ウルセランスとは

Q1 コリネバクテリウム・ウルセランスとは何ですか?

 コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans、以下、ウルセランス菌)は、ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)と同様にコリネバクテリウム属に分類される細菌の名前です。
 ジフテリアが疑われる患者からウルセランス菌が分離されており、ウルセランス菌の中にジフテリア毒素類似の毒素を産生するものがあることが知られています。

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Q2 人は、どのようにして感染するのですか?

 国内では、ウルセランス菌に感染している猫からの接触または飛沫による感染が強く疑われる事例の報告があります。
 海外では愛玩動物以外に牛等の畜産動物との接触、殺菌のされていない生乳の摂取による感染報告があります。
 人から人への明らかな感染事例の報告は、これまでのところありません。

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Q3 どのような症状になるのですか。

 病初期は、発熱、鼻汁など感冒と区別がつかないことがあります。
 その後、咽頭痛、咳などの症状が始まり、扁桃や咽頭などに偽膜が形成されます。
 また、頸部リンパ節腫脹がみられることがあります。

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Q4 診断方法は?

 臨床症状からジフテリア菌またはウルセランス菌による感染が疑われる場合に、以下のような検査を行い、ジフテリア菌との鑑別をします。なお、この検査は、都道府県等を通じて国立感染症研究所に依頼することができます。

(検査)・咽頭や鼻腔から採取された検体からコリネバクテリウム属菌の培養による分離同定
・PCR法によるジフテリア毒素遺伝子の検出

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Q5 治療方法は?

 治療方法は、ジフテリア菌と同様、抗毒素、抗菌剤療法が有効とされています。

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Q6 感染予防のために、どのようなことに注意すればよいですか。

 わが国では、DPT三種混合ワクチンとして1期初回を生後3ヶ月から開始しており(1期の接種率は90%以上)、大半の方は、DPT三種混合ワクチン接種後、すみやかに発症防御レベルに必要な抗毒素価を有します。このため、ウルセランス菌の感染にも効果が及ぶとされています。
 しかしながら、まれに、ウルセランス菌に感染した動物から人が感染し発症することがあります。動物ではウルセランス菌に感染し、くしゃみや鼻汁などの風邪様の症状や皮膚病を示すものがあり、この様な症状を呈している動物との接触を避けるようにします。ただし、外見上無症状の動物でもウルセランス菌を保有している場合があります。本菌だけでなく、一般的な感染症予防のためにも、日頃から動物と触れあった後は手洗いなどを確実に行うように心がけでください。

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Q7 ペットが感染したかもしれないと思われた時は、どうすればよいですか。

 飼われている犬や猫などが咳やクシャミ、鼻水などの風邪様症状、皮膚炎、皮膚や粘膜潰瘍などを示しているときは、早めに獣医師の診察を受けるようにしてください。
 また、こうした犬や猫に触る場合は、手袋やマスクをし、触った後は手洗いなどを励行してください。

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国内及び海外の発生状況

Q8 日本でのヒトの発生状況は?

 2001年から2009年6月末までに国立感染症研究所で発生を確認しているものは、以下の6例です。

  発症日 患者 症状等 その他
1 2001年2月 52歳、女性
(千葉県)
呼吸困難、嗄声、咽頭痛、咳、発熱、上咽頭と喉頭前庭に白色偽膜等の症状を呈した。 猫を20匹飼育しており、1匹の猫が皮膚炎および風邪様症状で死亡後に本人が発症
2 2002年10月 54歳、男性
(千葉県)
咽頭痛、発熱、上咽頭と右咽頭側索に偽膜等の症状を呈したが、比較的軽症 1例目の患者と同地区に住居
3 2005年9月 58歳、男性
(岡山県)
左耳下腺部腫脹、軽度の咳等の症状を呈した 飼育犬は慢性の皮膚疾患で死亡後に患者は発症
4 2005年10月 51歳、男性
(大分県)
肺に多発性空洞病変、咳、痰、発熱等の症状を呈した 猫を12匹飼育
5 2006年7月 57歳、女性
(神奈川県)
咽頭痛、鼻閉感、口蓋垂・上咽頭・鼻腔に白苔、喉頭腫脹、咳、嗄声、発熱等の症状を呈した。(S状結腸癌および慢性関節リウマチで加療中) 詳細情報なし
6 2009年1月 57歳、女性
(東京都)
くしゃみと水様性鼻漏、鼻かみにて左鼻出血、咽頭痛、嗄声、左鼻腔粘膜、上咽頭、中咽頭後壁に偽膜を伴う炎症性病変、左上不深頸リンパ節の腫脹と圧痛等の症状を呈した(関節リウマチで加療中(メトトレキサート、エタネルセプト投与))  自宅に集まる野良猫5匹中2匹から菌分離陽性。当該猫からの感染の可能性が高いとみられた。なお、室内・屋外で飼育している犬(計2匹)及び猫(計4匹)は陰性。

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Q9 諸外国での発生状況は?

 ジフテリア症の詳細な疫学調査を実施している英国では1986年から2007年までにジフテリア毒素産生性ウルセランス菌が56人から分離されており、そのうちの7人は典型的なジフテリア症と報告されています。米国では詳細な調査は実施されていませんが、1980年から1995年までの16年間にジフテリア症は41例の報告があり、1996年には1例のジフテリア毒素産生性ウルセランス菌が患者より分離されています。

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専門家、特に医療機関の方へ

Q10 ウルセランス菌とジフテリア菌の違いや相談窓口を教えてください。

 ウルセランス菌とジフテリア菌は分離培養時の血液平板培地上のコロニー性状は非常によく似ておりますが、生化学的性状ではウルセランス菌が尿素分解陽性であることからジフテリア菌との鑑別が可能です。
 実用的な菌株の同定試験としては、既存の検査キットを用いて菌の同定および鑑別を行うことは可能です。
 なお、両菌に関する情報についての相談窓口は、以下のリストのとおり窓口が設置されております。

衛生微生物技術協議会 レファレンスセンター窓口(ジフテリア関係)

機関名 住所 電話番号
秋田県健康環境センター 秋田市千秋久保田町6−6 018-832-5005
東京都健康安全研究センター 新宿区百人町3−24−1 03-3363-3231
千葉県衛生研究所 千葉市中央区仁戸名町666−2 043-266-6723
大阪府立公衆衛生研究所 大阪市東成区中道1−3−69 06-6972-1321
三重県保健環境研究所 四日市市桜町3690−1 059-329-2923
愛媛県立衛生環境研究所 松山市三番町8−234 089-931-8757
山口県環境保健センター 山口市葵2−5−67 083-922-7630
福岡県保健環境研究所 太宰府市大字向佐野字迎田39 092-921-9940
国立感染症研究所 細菌第二部 武蔵村山市学園4-7-1 042-561-0771

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Q11 鑑別の結果、ウルセランス菌であった場合、感染症法に基づく届出は必要ですか。

 感染症法上の届出の必要はありませんが、本菌の調査研究の進展のためにも、患者の同意を得た上で保健所への情報提供等にご協力をお願いします。
 なお、鑑別の結果、ジフテリア菌であった場合は、届出基準に従って、感染症法に基づく届出が必要になります。

(参考1)ジフテリア菌とウルセランス菌(培養皿の写真等)

C.diphtheriae C.ulcerans
C.diphtheriae C.ulcerans
いずれの菌も乳白色で光沢のあるコロニーとして観察される。
C.diphtheriae C.ulcerans
corynebacterium

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