Ministry of Health, Labour and Welfare

English
肝炎
全国C型肝炎診療懇談会において、医療機関の方に向けた肝炎ウイルスキャリア診療の手引きのリーフレットの雛形を作成いたしましたので、各自治体におかれましてはこの雛形を活用し独自のリーフレットを作成いただけますようお願いいたします。

(医療機関向け)

      

肝炎ウイルスキャリア
診療の手引き

― 正しい理解のために ―



平成1○年○月
全国C型肝炎診療懇談会




「HBs抗原陽性」または「HCV抗体陽性」の方が来院したら?

「HBs抗原陽性」、「HCV抗体陽性」の意味

HBs抗原陽性ということは、「現在HBVに感染している」ことを意味します。健診などでHBV感染が判明した人のほとんどは、HBVキャリアと考えられます。
一方、HCV抗体陽性の人の中には、「現在HCVに感染している人」(HCVキャリア)と「過去にHCVに感染したが治った人」(感染既往者)とがいます。このため、HCVキャリアと感染既往者とを適切に区別するために、血液中のHCV抗体の量(HCV抗体価)の測定および核酸増幅検査(NAT)によりHCV RNAを検出することの2つの検査法を組み合わせて判断する方法が一般的に採用されています。

肝炎ウイルスキャリアと慢性肝炎の関係

B型でもC型でも肝炎ウイルスキャリアの肝生検組織を調べてみると、程度の差はあるものの、多くの場合肝臓に慢性の炎症(慢性肝炎)が認められます。肝炎ウイルスキャリアは、炎症の程度(活動度)や肝臓の線維化の程度(病期)により、
(1)定期的に検査を行い、経過を見ることから始めてよい人
(2)直ちに積極的な治療を始める必要がある人
とに分けられます。肝炎ウイルスキャリアであることがわかった人を、定期的な病態把握、必要に応じた治療をせずに放置した場合、肝硬変や肝がんに進展する場合もあるので、注意が必要です。

肝炎ウイルスキャリアの初診時の検査項目

初診時及び経過観察時に、少なくとも以下の項目を検査してください。
1. ALT(GPT)
2. 血小板数
3. ALP/γ-GTP
また、可能であれば、HBV DNAまたはHCV RNAを測定してください。なお、これらの検査で陰性と判定された場合でも、この方法による検出感度未満の微量のウイルス遺伝子が存在する場合がありますので、経過観察は継続する必要があります。キャリア状態からの離脱(完全治癒)が起こっているか否かの判断は、専門医療機関にご相談ください。

肝炎ウイルスキャリアの経過観察の手順

初診時の理学的所見、検査値等に異常を認めない場合でも、病期が進展していたり、既に小さな肝がんができていたりする場合もありますので、注意が必要です。肝炎ウイルスキャリアが受診したら、2〜3か月間検査を行いつつ経過を観察し、検査結果を紹介状にご記入の上、血小板数などの推移をみながら肝炎の活動度や病期を判定し、移行の健康管理や治療方針を決める精査(腫瘍マーカー測定、画像診断など)のために、肝疾患専門医療機関にご相談ください。
紹介先の医療機関から「定期的な検査による経過観察」が適当との返事を得た場合は、以降の検査は2か月に1回程度とし、患者さんには、病態の把握、健康管理方針のチェック等のため、少なくとも年に1度は専門医療機関を受診するように勧めてください。
なお、初診時の理学的所見、検査値等に異常を認めた場合には、検査結果等を紹介状にご記入の上専門医療機関にご相談し、以降は専門医療機関との連携の下に治療、経過観察等を行い、定期的に病期の判定、治療方針の確認等を行ってください。
参考: 厚生労働省科学研究費補助金 肝炎等克服緊急対策研究事業 「B型及びC型肝炎ウイルス感染者に対する治療の標準化に関する臨床的研究」平成17年度 総括・分担研究報告書(http://mhlw-grants.niph.go.jp/ から閲覧できます。)

行政における肝炎対策

検査で発見された肝炎患者を適切な医療に結びつけるために、厚生労働省においては、かかりつけ医と専門医療機関等との連携に基づいた地域における肝疾患診療ネットワークの構築を推進しています。
○○県における肝疾患診療連携拠点病院、専門医療機関については、次ページに掲載してありますので、肝疾患の診療に際してご活用ください。

肝疾患診療ネットワーク

肝疾患診療ネットワーク
※ 専門医療機関
(1) 専門的な知識を持つ医師による診断と治療方針の決定
(2) インターフェロンなどの抗ウイルス療法
(3) 肝がんの高危険群の同定と早期診断
 
※※ 肝疾患診療連携拠点病院(仮称)
(1) 肝疾患診療に係る一般的な医療情報の提供
(2) 都道府県内の専門医療機関等に関する情報の収集や紹介
(3) 医療従事者や地域住民を対象とした研修会、講演会の開催や肝疾患に関する相談支援
(4) 肝疾患に関する専門医療機関と協議の場の設定




○○県における肝疾患診療連携拠点病院は、以下のとおりです。



○○県における肝疾患に関する専門医療機関は、以下のとおりです。





↑このページのトップへ