Ministry of Health, Labour and Welfare

English
SARS

重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報

健感発第0312002号
平成15年3月12日


都道府県
政令市
特別区


衛生主管部(局)長 殿
厚生労働省健康局結核感染症課長

ハノイ・香港等における病院内での原因不明の重症呼吸器疾患の
集団発生に関するWHOの緊急情報について

 標記について、WHO本部が別添の緊急情報を発表しました(日本時間3月12日夜)ので、管内の医療機関、医師会等の関係機関に周知方お願いします。
 またWHOでは、本通知発出時には本疾患の定義等を示しておらず、当課においては、WHO等からの一層の情報収集に努めていますが、別添のWHOの情報では、2月中旬以降、ベトナム、香港、中国広東省で重症の呼吸器疾患の集団発生があったとされていることから、当面貴管内の医療機関において、2月中旬以降同地域からの帰国者に原因不明の重症の肺炎患者発生があった場合には、その旨当課あて報告いただくようお願いします。



(仮訳)
原因不明の肺炎に関するWHOの緊急情報
医療従事者における重症肺炎のまん延

 2月中旬以来、WHOはベトナム、香港及び中国広東省における重症肺炎の集団発生報告の確認作業を積極的に進めているところである。

 ベトナムの集団発生は原因不明の重症急性呼吸器症状の治療で入院した1名の患者から始まった。患者は旅行中に具合が悪くなり、上海、香港からハノイに到着後まもなく発病した。病院に入院後、約20名の病院スタッフが同様の症状を呈するに至った。

 ハノイにおけるこの病気の自他覚症状はインフルエンザの初期症状(急激な発熱とそれに続く筋肉痛、頭痛、咽頭痛)を含んでいる。これらが最も共通した症状である。初期の検査所見には血小板減少症(血小板の減少)と白血球減少症(白血球の減少)が含まれることがある。全てではないが、何人かの患者では両肺野にまたがる肺炎を呈するようになったり、人工呼吸器による呼吸管理が必要となる急性呼吸不全に至っている例もある。回復しつつある患者もいれば、依然として重態の患者もいる。

 本日、香港保健省では1つの公立病院における呼吸器疾患の集団発生を報告した。3月11日深夜現在、50名の医療従事者に検診が行われ、このうち23名に発熱性疾患が認められた。予防的措置として、これらの医療従事者は経過観察のため同病院に入院している。これらのうち、8名が胸部レントゲンで肺炎の初期所見を呈している。これらの患者の状態は安定している。他の3名の医療従事者は発熱性疾患で自ら病院を受診した。このうち2名が胸部レントゲンで肺炎の所見を呈している。

 香港政府公衆衛生当局による調査が進行中である。病院当局では、院内におけるこの疾病のまん延を防止するため、感染防止対策に力を入れている。これまでのところ、これらの症例とハノイにおける集団感染との関係は認められていない。

 2月中旬、中国政府は、広東省において5名の死亡例を含む、305名の原因不明の肺炎の発生を報告している。亡くなった2名においてクラミジア感染が認められた。この集団感染の原因究明のさらなる調査は、進行中である。全体としてハノイと香港における集団感染は、病院内に限られているようにみられる。最も危険の高いのは、これらの患者の治療に携わったスタッフと思われる。

 これまでのところハノイと香港の急性呼吸器疾患のこれらの集団感染と2月19日に報告された香港におけるトリインフルエンザA(H5N1)の集団感染との関係については認められていない。さらなる調査が続けられており、ベトナムと香港からの検体の検査が日本と米国のWHO協力センターで行なわれている。

 これらの集団感染の原因についてより詳細が明らかになるまでWHOは、これらの集団感染に関連すると思われる原因不明肺炎の患者は、バリアナーシング手技による隔離を勧める。同時にWHOは疑わしい症例について国の保健当局に報告することを勧めている。

 WHOでは、関係各国と連携を密にし、疫学、検査ならびに臨床体制の支援も申し出ている。WHOでは、各国当局とともにこれらの集団感染の調査、報告、封じ込めが適切に実施されるよう努めている。



原因不明の肺炎に関するWHOの緊急情報
医療従事者における重症肺炎のまん延

【概要】


 上海、香港からハノイに到着後まもなく発病した、原因不明で重症の急性呼吸器症状を呈する患者が発生した。
 この患者が入院したハノイにある病院では、約20名の病院スタッフが同様の症状を呈している。
 この患者とは別に、香港においても、1つの病院において、原因不明の呼吸器疾患の病院スタッフの間での集団発生が報告されている。
 これらの集団感染は、病院内に限られているようにみられており、また、以前報告された香港におけるトリインフルエンザA(H5N1)患者の発生との関係については認められていない。
 WHOにおいて、さらなる調査が続けられており、ベトナムと香港からの検体の検査が日本と米国のWHO協力センターで行なわれている。
 WHOでは、各国当局とともにこれらの集団感染の調査、報告、封じ込めが適切に実施されるよう努めている。
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