Ministry of Health, Labour and Welfare

English
SARS

重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報

健感発第0722001号
食安検発第0722001号
平成15年7月22日


各検疫所長 殿

健康局結核感染症課長
(公印省略)


医薬食品局食品安全部
企画情報課検疫所業務管理室長
(公印省略)


重症急性呼吸器症候群の検疫法上の取扱いについて

 重症急性呼吸器症候群(病原体がSARSコロナウイルスであるものに限る。)(以下「SARS」という。)が検疫法(以下「法」という。)第34条に基づく感染症として指定されたことに伴い、SARSが流行し、又は流行するおそれのある地域から本邦に来航する船舶及び航空機の検疫法上の取扱いを下記のように定めたので通知します。


1. SARSが流行し、又は流行するおそれのある地域
 法第21条第1項第1号に規定するSARSが流行し、又は流行するおそれのある地域(以下「SARSの流行地域」という。)とは、WHO等により複数のSARS患者が同時期に発生した地域(地域内伝播が疑われる地域)として指定された地域であり、SARSの流行が起きた場合等においては、結核感染症課長より改めて通知することとする。
2. 仮検疫済証の交付
 SARSの流行地域を発航してから10日以内に本邦に来航する船舶及び航空機の乗組員及び乗客(以下「乗組員等」という。)については、検疫の結果、SARSコロナウイルスの国内への侵入のおそれがほとんどないと判断した場合は、10日間を超えない範囲で一定の期間を定めて仮検疫済証を交付する。
3. 航空機の検疫について
 (1) 質問票
 SARSの流行地域から来航する航空機については、SARSの質問票(別紙1)を予め機内で配布し、検疫ブース、機内、機側等で回収し、有症者、SARS患者との接触者等の確認を実施する。
 (2) 健康カード
 (1)の質問票を回収した場合は、質問票を提出した者に、健康カード(別紙2)を配布し、健康上の注意点、発症後の対応等について指示する。
 (3) 体温測定
 SARSの流行地域からの入国者を中心として、サーモグラフィー等により体温測定を実施し、発熱者の発見に努める。
 (4) 有症者等の取扱い
委託停留する場合
 次に示す要件のうち、(ア)及び(イ)いずれにも該当し、かつ、(ウ)又は(エ)に該当する者は、法第14条第1項第2号の規定に基づき、特定感染症指定医療機関、第一種感染症指定医療機関、その他の検疫所長が適当と認める医療機関に搬送し、委託停留を実施する。また、その旨を都道府県、政令市又は特別区の衛生主管部(局)長宛に通報する。
 医療機関での診察、病原体診断、血清学的診断により当該停留者がSARSの患者であることが確認された場合は、法第14条第1項第1号及び第15条第1項の規定に基づき委託隔離を実施する。
 なお、委託停留及び委託隔離を実施した場合は、検疫所業務管理室を通じ結核感染症課に報告する。
(ア) 38度以上の急な発熱(発熱後、解熱剤を服用した場合も含む。)
(イ) 呼吸困難などの重篤な呼吸器症状
(ウ) 発症前10日以内(発症していない者については、本邦到着前10日以内)に、SARSの流行地域に旅行した者
(エ) 発症前10日以内(発症していない者については、本邦到着前10日以内)に、SARS可能性患者と接触した者
委託停留しない場合
(1)  アの(ウ)又は(エ)に該当し、かつ(ア)のみに該当する者については、法第18条の規定に基づき、保健所その他の医療機関において診察を受け、その結果を検疫所に連絡するように指示する。連絡を受けた検疫所は、その内容を検疫所業務管理室を通じ結核感染症課に報告する。
(2)  アの(ウ)のみに該当し、かつ重篤でない呼吸器症状のみを有する者又は健康状態に異状のない者については、健康カード(別紙2)を配布し、10日間は個人で朝夕の体温測定等の健康状態の監視を行い、異状が現れた場合には、医療機関を受診し、その旨を検疫所に連絡するように指示を行う。連絡を受けた検疫所は、その内容を検疫所業務管理室を通じて結核感染症課に報告する。
(3)  アの(エ)に該当する者で、停留しない者については、別紙3について確認した後、別紙4を配布し、入国後10日間の朝夕の体温測定結果の報告の指示を行う。体温の報告を求めた場合には、当該者に係る別紙1を検疫所業務管理室を通じて結核感染症課にファクシミリにより報告する。
4.船舶の検疫について
 (1) 検疫前の通報
 SARSの流行地域を出港してから10日以内に来航する船舶については、検疫前通報において、通常の通報内容に加え、以下の内容の通報を求める。
日本到着前10日間のSARS流行地域への寄港の有無、上陸の有無、入港・出港年月日
日本到着前10日間のSARSの患者又は疑いのある者との接触者の有無
発熱者の有無
解熱剤の使用者の有無
咳、呼吸困難等の呼吸器症状を有する者の有無
 (2) 船舶への指示事項
 SARSの流行地域から10日以内に来航する船舶内で、38℃以上の発熱、呼吸器症状等のSARSに関連する症状を呈した乗組員又は乗客(以下「有症者」という。)がいる場合には、当該船舶に対して次の事項を要請する。
有症者は個室での隔離を実施する。
有症者との接触は最小かつ限定した者のみとし、感染防止対策(マスク、ゴム手袋、手洗い、うがい)を実施する。
朝夕の体温と症状、使用した薬剤の記録及び報告を行う。
有症者の使用するトイレを限定し、必要な場所の消毒を実施する。
 (3) 船舶代理店、水先人への指示及び情報提供
 船舶代理店及び水先人に対して、SARSの流行地域、流行状況、伝播様式、症状、予防方法等の詳細な情報を提供するとともに、SARSの流行地域から10日以内に本邦に来航する船舶を水先人に明確に指示し、乗船時の注意事項を指導する。
 (4) SARSに関する臨船検疫及び着岸検疫に関する事項
 SARSの流行地域から10日以内に本邦に来航する船舶については、検疫港において臨船検疫又は着岸検疫を実施する。質問票(別紙1)を配布し、回収するとともに、乗組員等全員の体温測定を実施する。
 本邦に上陸する者には健康カード(別紙2)を配布する。
 船舶内に有症者がいる場合には、3.(4)に従い対応するとともに、該当者及び他の乗組員等の船舶内における健康状態の監視を船舶の長に指示する。
 SARSの流行地域からの船舶の乗組員については、極力上陸を控えるように船舶の長に要請する。
 (5) 二次港等へ寄港を予定している船舶の対応
 検疫終了後二次港等において、船舶内で有症者が発生した場合は、船舶からの情報が速やかに検疫所に届くように船舶代理店等に対して要請するとともに、検疫所間の連携を密にし、適切な対応を実施する。また検疫港以外の場合においては、所管の保健所等に連絡するように要請する。
↑このページのトップへ