
新型インフルエンザ対策関連情報(英語版はこちら)
新型インフルエンザ対策行動計画に関するQ&A
平成17年11月30日
厚生労働省
平成17年11月30日
厚生労働省
お問い合わせの多い質問
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I.行動計画の概要
I-1 どうして行動計画を作成したのですか。 |

最近では、高病原性鳥インフルエンザの発生が、東南アジアのみならず、ロシア、東欧においても拡がっており、さらには、平成15年(2003年)以降、東南アジアを中心にヒトにおける高病原性鳥インフルエンザ発症事例が報告されています(Q9参照)。
こうした状況を踏まえ、世界各国において高病原性鳥インフルエンザが変異した新型インフルエンザの発生に備えた対応をとる必要があり、わが国においても、「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定し、対策を推進することとしました。
I-2 行動計画はどのような内容になっているのですか。 |

行動計画では、流行(パンデミック)の状況を、それが起こる前からピークを迎えるまでを6つのフェーズ(段階)に分類し、それぞれに応じた対策を記載しています。対策は、「計画と連携」「サーベイランス」「予防と封じ込め」「医療」「情報提供・共有」の5分野に分かれています。
I-3 流行(パンデミック)はどのように6つのフェーズ(段階)が分かれているのですか。また、現在、どのフェーズですか。 |

フェーズは、トリとヒトの感染の有無、国内外での感染の発生の有無によって分けられています。現在は、トリからヒトへの感染が海外で認められている(国内で発生していない)フェーズ3となっています。
ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていないが、ヒトへ感染する可能性を持つ型のウイルスを動物に検出 フェーズ2 (前パンデミック期) ヒトから新しい亜型のインフルエンザは検出されていないが、動物からヒトへ感染するリスクが高いウイルスが検出 フェーズ3 (パンデミックアラート期) ヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、ヒトからヒトへの感染は基本的にない フェーズ4 (パンデミックアラート期) ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認されているが、感染集団は小さく限られている フェーズ5 (パンデミックアラート期) ヒトからヒトへの新しい亜型のインフルエンザ感染が確認され、パンデミック発生のリスクが大きな、より大きな集団発生がみられる フェーズ6 (パンデミック期) パンデミックが発生し、一般社会で急速に感染が拡大している 後パンデミック期 パンデミックが発生する前の状態へ、急速に回復している |
I-4 現在のフェーズで、国はどのようなことを行うのですか。 |

現在は、フェーズ3(QI-3参照)であり、新型インフルエンザが国内で発生していない現状においては、次のような対策を講じることとしています。
(抜粋)
・ | 海外渡航者に対する注意喚起を行う。 |
・ | 国内飼育家きんの高病原性鳥インフルエンザの発生防止対策の徹底、農場の従事者等に対する感染防御への支援、要請を行う。 |
・ | 抗インフルエンザウイルス薬の確保すべき量を決定し、備蓄を開始する。 |
・ | 新型インフルエンザ患者の診療・治療にあたる指定医療機関等の整備、必要な医療器材等の確保を進めるよう要請する。 |
・ | 高病原性鳥インフルエンザについて、発生国の在留邦人、国民向けに情報提供する。 |
I-5 世界的大流行(パンデミック)の時には、国はどのようなことを行うのですか。 |

世界的大流行(パンデミック)が、わが国にも及んできた場合、厚生労働大臣が非常事態宣言(国内対策強化宣言)を行った上で、場合によっては不特定多数の集まる活動の自粛勧告、新型インフルエンザ様症状が見られた者の出勤停止・受診勧告等の社会活動の制限など、対策を講じることとしています。
II.行動計画の具体的内容
II-1 フェーズ3に関する質問
(新)II-1-1 鳥インフルエンザが人に感染するのを予防するために、厚生労働省ではどのような対応をとっていますか。 |

東南アジア諸国において高病原性鳥インフルエンザが人に感染している事例があることを踏まえ、特に感染する可能性の高い養鶏場の従業員や防疫作業従事者に対して、個人感染防御を徹底するとともに、必要に応じて健康調査を実施しています。
具体的には、養鶏場の従業員の方々に対して、日頃の健康管理や、日常の飼育作業中の衛生対策の重要性を周知し、高病原性鳥インフルエンザの発生が疑われる場合はできる限り鶏舎への立ち入りを控えるとともに、立ち入る際には、マスクの着用等の個人感染防御に努めていただくこととしております。さらに、高病原性鳥インフルエンザが発生した養鶏場においては、その農場の従業員の方々に対しては必要な健康調査を実施しするとともに、鶏舎内に入る防疫作業従事者に対して感染防御措置を徹底する等、万が一の感染に備えて万全の対策をとることとしております。
(新)II-1-2 輸入鳥類はどのように取り扱われるのでしょうか。 |

高病原性鳥インフルエンザが発生している国から鳥類を輸入することはできません。また、発生していない地域から鳥類を輸入する場合も、農林水産省動物検疫所における検疫(家きん等)や、厚生労働省検疫所への届出(ペット鳥等)により、疾病の侵入防止対策が講じられています。
(新)II-1-3 発生国・地域に対する支援で、厚生労働省で行うものは何ですか。 |

厚生労働省では、海外の研究者、医療関係者、動物衛生専門家、保健担当行政官などの人材育成のための研修員受け入れ、現地研修実施、関係省庁と連携して国際的な連携強化を含む調査研究を行っているところです。
(新)II-1-4 国と都道府県との連携はどうなっていますか。 |

必要な迅速かつ的確な対策が講じられるように、対策の実施に関係する部局との役割分担、必要な情報の集積、現地との連絡、厚生労働省に設置されている新型インフルエンザ推進対策本部との連携、報道機関対応、一般国民の問い合わせへの対応等の各担当の体制を明確にするとともに、各機関相互の連携に努めることなどが期待されています。
(新)II-1-5 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄計画はどのようになっているのか。 |

今年、タミフルは、インフルエンザシーズン前に1200万人分準備されており、通常のインフルエンザに対応するための十分な量が確保されています。この通常の使用とは別に、国および都道府県において、新型インフルエンザ対策として、抗インフルエンザウイルス剤の備蓄を開始することになりました。
新型インフルエンザが流行した場合の国内の受診患者数は2,500万人に上ると推定されています。備蓄量については、最低流通量(流行終期における残存の見込み量)の400万人分を差し引いた2,100万人分が必要と考えています。新型インフルエンザは、いつ発生するかは断定できないため、製造業者の供給体制に応じて、できる限り早急に備蓄を行っていく予定です。また、国と都道府県で半分(1,050万人分)ずつ負担することとしています。
(新)II-1-6 通常インフルエンザに対する抗インフルエンザウイルス薬の適正な使用方法について教えてください。 |

抗インフルエンザウイルス薬は、臨床症状や検査結果などによってインフルエンザと診断された患者などに使用するものです。新型インフルエンザ発生に備えて、通常インフルエンザに対して適正使用を行うよう、関係者に呼びかけてまいりたいと考えております。
なお、抗インフルエンザウイルス薬であるタミフルの効能・効果、副作用等については、「新型インフルエンザに関するQ&A 第IV章.リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)について」を御参照ください。
(新)II-1-7 現在のワクチン開発の状況について教えてください。 |

我が国も、米国、欧州、豪州と同様にWHOとの協力の下で、新型インフルエンザワクチンの開発を行っています。具体的には、平成16年度から国立感染症研究所が中心となり、国内製造4社が協力して行っている開発研究に対し、官民一体となって取組んでいます。
平成17年11月現在、試作ワクチンに対する非臨床試験(安全性を試験するための動物実験等)を実施しており、その結果を受けて平成17年度中には臨床試験を開始する予定です。
外国でのワクチン開発においても、本格的に臨床試験が実施されるのは概して平成18年であり、日本での開発も着実に進展しています。
(新)II-1-8 ヒトからヒトへの感染が発生した場合に、流行株を使用したワクチン生産にはどのくらいの時間がかかりますか。 |

ワクチンは、そもそも、防御すべき病原体が出現し、特定されてから生産されるものであり、本質的に、新しい疾病の発生後直ちに使用できる性格のものではありません。ヒトからヒトへの感染が発生した場合、まず、特定されたウイルス株をワクチンの生産に適した毒性の弱い形に調整します。これと並行してあらかじめワクチン生産に必要な鶏卵等の資材の確保を図り、これらの確保ができ次第、生産を開始し、約6ヶ月をかけてワクチンが生産されます。
(新)II-1-10 サーベイランスによって何がわかるのですか。 |

新型インフルエンザの流行に備えた国内体制を速やかにとるためには、新型インフルエンザの出現及びその前段階の高病原性鳥インフルエンザの発生をいち早く察知するための監視体制が重要です。
国内においては、以下のサーベイランスを実施します。
< | 厚生労働省>
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< | 農林水産省> 家きん飼養者等からの異常家きんの早期発見・早期通報 | ||||||
< | 農林水産省、厚生労働省> 家きん、ブタ等におけるインフルエンザサーベイランス(病原体サーベイランス) | ||||||
< | 環境省、農林水産省、厚生労働省、文部科学省> 日本に飛来する渡り鳥及び野鳥(留鳥)における鳥インフルエンザウイルス保有調査(病原体サーベイランス) |