厚生労働省

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厚生労働大臣の認定(いわゆる原爆症認定)について

原爆症認定は、「被爆者であることの認定」(被爆者健康手帳の交付)とは別のものです。

(1)認定を受けることによって何が変わるのか。

[1]その病気の医療にかかる費用の全額を国が負担します。

その病気の医療にかかる費用の全額を国が負担します。

被爆者の方はすでに保険給付以外の自己負担分の医療費を現物給付されているため、認定の前後において自己負担がないことには変わりがありません。

[2]その病気について、「現に医療を要する状態」が続く期間に「医療特別手当」(137,430円)を受給することができます。

その病気が治った後には「特別手当」(50,750円)を受給することができます。

その病気の医療にかかる費用の全額を国が負担します。

(2)認定の対象について

認定申請については、疾病・傷害ごとに申請することができ、疾病・傷害ごとに認定または却下されます。つまり「人」に対する認定ではなく、「病気」に対する認定であるため、Aという病気で却下されたとしても、その後Bという病気になって申請すれば認定される可能性もあります。また、同じAという病気であっても、治癒しているという理由で一度却下になったあと、再発などにより病状が悪化し、治療状況が変化した場合には、再度申請すると認定となる可能性もあります。

申請が却下になっても、「病気」についての却下であって、「被爆者であること」を否定するものではないため、引き続き健康診断及び医療にかかる費用は無料であり、医療特別手当以外の被爆者援護サービスの多くを受けることができます。

(3)認定審査について

申請される疾病のほとんどは、がん、白内障など、被爆者以外の方も発症・罹患するような疾病であり、特に被爆者の平均年齢が75歳を超えるようになった現在では、生活習慣や加齢による発症であるのか、60年以上前に浴びた放射線に起因する発症なのかの判断が難しく、審査にあたっては、高度の医学・放射線学上の知識が必要になります。

このため、医学・放射線学の第一線の学者から成る合議制の審査会(疾病・障害認定審査会原子爆弾被爆者医療分科会)の意見を聴いて、審査が行われています。

現在、広島、長崎において、実際に被爆者医療に従事している医師、各疾病分野の専門家である医師、放射線医学の専門家及び法律家等26名で構成される審査会により「新しい審査の方針」に基づき審査が行われています。

新しい審査の方針

平成20年3月17日
疾病・障害認定審査会
原子爆弾被爆者医療分科会

疾病・障害認定審査会運営規程(平成13年2月2日疾病・障害認定審査会決定)第9条の規定に基づき、原爆症認定に関する審査の方針を次のように定める。

原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成6年法律第117号)第11条第1項の認定に係る審査に当たっては、被爆者援護法の精神に則り、より被爆者救済の立場に立ち、原因確率を改め、被爆の実態に一層即したものとするため、以下に定める方針を目安として、これを行うものとする。

第1放射線起因性の判断

積極的に認定する範囲

(1)被爆地点が爆心地より約3.5km以内である者

(2)原爆投下より約100時間以内に爆心地から約2km以内に入市した者

(3)原爆投下より約100時間経過後から、原爆投下より約2週間以内の期間に、爆心地から約2km以内の地点に1週間程度以上滞在した者

から、放射線起因性が推認される以下の疾病についての申請がある場合については、格段に反対すべき事由がない限り、当該申請疾病と被曝した放射線との関係を積極的に認定するものとする。

(1)悪性腫瘍(固形がんなど)

(2)白血病

(3)副甲状腺機能亢進症

(4)放射線白内障(加齢性白内障を除く)

(5)放射線起因性が認められる心筋梗塞

この場合、認定の判断に当たっては、積極的に認定を行うため、申請者から可能な限り客観的な資料を求めることとするが、客観的な資料が無い場合にも、申請書の記載内容の整合性やこれまでの認定例を参考にしつつ判断する。

1に該当する場合以外の申請について

1に該当する場合以外の申請についても、申請者に係る被曝線量、既往歴、環境因子、生活歴等を総合的に勘案して、個別にその起因性を総合的に判断するものとする。

第2要医療性の判断

要医療性については、当該疾病等の状況に基づき、個別に判断するものとする。

第3方針の見直し

この方針は、新しい科学的知見の集積等の状況を踏まえて随時必要な見直しを行うものとする。


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