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2018年4月26日 第24回厚生科学審議会感染症部会

健康局 結核感染症課

○日時

平成30年4月26日(木)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○議題

(1)厚生科学審議会感染症部会審議参加規程の一部改正について
(2)インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改定について
(3)後天性免疫不全症候群及び梅毒における届出の改正について
(4)報告事項
   1 成人の新型インフルエンザ治療ガイドラインの改訂について
   2 抗インフルエンザウイルス備蓄薬の流通について
   3 今冬のインフルエンザの発生状況について
   4 愛知県知多半島の犬におけるエキノコックス感染事例について
   5 沖縄県における麻しんの発生状況について
   6 急性弛緩性麻痺の届出の開始について
   7 特定感染症予防指針の告示について
   8 結核患者の感染症病床への入院について
   9 日本HTLV-1学会関連疾患診療施設登録制度について
   10 SFTS相談医療機関について
   11 感染症対策に関する行政評価・監視について
(5)その他

○議事

○野田結核感染症課長補佐 それでは、定刻より早いですが、委員もおそろいになりましたので、 ただいまより第24回「厚生科学審議会感染症部会」を始めさせていただきたいと思います。

 開会に当たりまして、福田健康局長より御挨拶申し上げます。

○福田健康局長 健康局長の福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方には、大変御多用中のところ御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。また、日ごろから感染症対策の推進につきまして御指導賜り、厚く御礼を申し上げたいと思います。

 さて、最近の状況を振り返りますと、これまでにない季節性インフルエンザの患者数の増加がございました。また、沖縄、そして愛知県におきましても、今、麻しんが流行いたしてございます。これらの感染症危機管理事案に関しましては、迅速かつ適切な対策が必要になっていると思っております。

 また、この数年間の状況でございますけれども、先生方御承知のように、梅毒の届出が増加を続けているほか、エイズにつきましては、新規のHIV報告のうち、検査を受けないままエイズを発症して報告される、いわゆる「いきなりエイズ率」が依然として3割前後で推移いたしておりまして、新たな対策を行うためにも、現状の把握がますます重要になっていると考えてございます。

 本日は、今、申し上げました季節性インフルエンザ、さらにエイズ、梅毒などにつきまして先生方に御審議いただくほか、麻しんなどにつきましても報告を予定してございます。いずれも我が国の感染症対策につきまして、非常に重要な課題であり、委員の皆様方におかれましては、活発な御議論をいただきますよう、重ねてお願いしたいと思います。

 簡単ではございますが、開催に当たりましての御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○野田結核感染症課長補佐  続きまして、委員の出席状況を御報告いたします。

 今回より、新たに感染症部会の委員といたしまして、東京都福祉健康局技監の矢内委員、そして国立感染症研究所所長の脇田委員に御参画いただいております。本日、脇田委員につきましては御欠席と伺っており、また矢内委員は少しおくれると伺っております。

 また、本日は、味澤委員と岩本委員より御欠席の御連絡をいただいております。さらに、南委員より少しおくれると伺っております。

 現時点で定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことを御報告させていただきます。

 次に、資料等の確認をさせていただきます。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席図のほか、資料1~資料15、そして参考資料1~13を御用意しております。不足の資料等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

(カメラ撮影終了)

○野田結核感染症課長補佐 以降の議事運営につきましては、倉根部会長にお願いいたします。

○倉根部会長 それでは、きょうもよろしくお願いいたします。

 本日の議題の確認ですが、議題1が「厚生科学審議会感染症部会審議参加規程の一部改正について」、議題2が「インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改定について」、議題3「後天性免疫不全症候群及び梅毒における届出の改正について」、議題4として「報告事項」、本日は11ございます。それから、議題5「その他」となっております。

 委員の皆様には、円滑な議事進行にもぜひ御協力をお願いいたしたいと思います。

 それでは、早速ですが、議題に入りたいと思います。

 まず、議題1「厚生科学審議会感染症部会審議参加規程の一部改正について」、事務局より御説明をお願いいたします。

○野田結核感染症課長補佐 では、事務局の野田より御説明をさせていただきます。

 お手元に資料1を御用意ください。「厚生科学審議会感染症部会参加規程の改訂について」という資料でございます。

 改訂の内容でございます。2つございまして、1つ目といたしまして、本規程で定めております審議品目については、部会等の当該開催日において個別具体的に調査審議されない医薬品・医療機器等についても、過剰に適応されていることが今までございました。今回の改訂の1つ目のポイントといたしましては、そのような対応に対しまして、過剰に適応されることを防ぐために、今後の部会等の開催日におきまして、個別具体的に調査審議されるものに限定して取り扱うことにしたいと考えております。

 また、2つ目でございますけれども、今回の改訂を一番やらなければならかったところでございますけれども、現在の本規程の適用対象のものといたしましては、感染症部会並びに新型インフルエンザ対策に関する小委員会及び薬剤耐性に関する小委員会にかかわるものに限定していたということでございます。現在、そのほかにも、麻しん・風しんに関する小委員会なども設置しているというところがございますので、それらの小委員会につきましても、包括的に部会及び部会に設置された小委員会という形に対象を広げたいと考えております。

 内容でございます。2ポツ目をごらんください。改訂案でございますけれども、まず、先ほどの内容の部分の2ポツ目に関しまして、1条で「(以下『部会等』)」という形でまとめる記載を加えさせていただきたいと考えております。

 また、第2条に関しまして、これは先ほどの内容の2ポツ目の部分でございますけれども、この規程をこれまで「部会、新型インフルエンザ対策に関する小委員会及び薬剤耐性に関する小委員会」という形で対象を個別に書いていたものを、「部会等」という形で全て包括的に含める形にしたいと考えております。

 また、先ほどの内容の2ポツに関係する部分といたしまして、3条で、これまでは「新型インフルエンザに関するワクチン又は抗インフルエンザウイルス薬の備蓄の在り方及び薬剤耐性対策」という形で書いていたものを、「感染症対策」という形で包括的な記載にするということをしたいと考えております。

 また、それに関係いたしまして、「備蓄」という記載についても加えさせていただくことにしたいと考えております。

 また、先ほどの内容の2に関係いたしまして、裏のページの6条でも、「新型インフルエンザに関するワクチン又は抗インフルエンザウイルス薬及びAMR対策」という形で書いていたものを、「感染症対策」という形で包括的にこの規程に含める形にしたいと考えております。

 また、先ほど御説明いたしました内容の1ポツ目の関係の部分で言いますと、第5条の部分で「個別具体的に」という記載が今までなかったのですけれども、「個別具体的に」調査審議されるものについて、この調査品目とするという規程に変更したいと考えております。

 事務局からは以上になります。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 規程の改訂について、ただいまのような説明ですが、御意見いかがでしょうか。

 1つは、小委員会が今後もふえる可能性もあるだろうし、そういうことも含めての改訂でもあるということになりましょうか。

○野田結核感染症課長補佐 そのとおりでございます。

○倉根部会長 それから、もう一つ、私のほうから。「個別具体的に」というのは、こうすることによって、逆に規程が緩くなるということはないわけですね。

○野田結核感染症課長補佐 さようでございます。基本的に、これまでの規程の運用の仕方という問題もございますが、これまではすべからく利益相反という部分でとっていたところがございます。一方で、利益相反の部分で言いますと、一義的にはそこで審議される品目に関係する利益相反ということになりますので、そういう意味で言いますと、本質的な部分では何か緩くなるということはないと考えております。

○倉根部会長 いかがでしょうか。委員の皆様、特にありませんでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○倉根部会長 ないようでございます。そうしますと、この議題につきましては、この感染症部会として承認するという形をとりたいと思います。ありがとうございます。

 次に、議題2「インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改定について」、これも事務局からの御説明をお願いします。

○繁本結核感染症課長補佐 事務局の結核感染症課の繁本と申します。

 資料2と資料3について説明させていただきます。

 まず、資料2をごらんください。「インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改正について」ということでございます。

 まず、改正の経緯と概要ですけれども、このインフルエンザに関する特定感染症予防指針は、平成11年に告示されたものですが、平成12年、14年、17年、22年、26年と、それぞれ改正してまいりました。そして、今般、平成30年ですけれども、改正の主なポイントに沿って改正を行いたいということで、この部会で審議していただきたいと思います。

 主なポイントの1つは、原因の究明ということで、インフルエンザに関する情報の収集体制の強化に伴う修正を、感染症法の改正が平成28年4月にございましたが、これに伴って改正させていただきたいと思います。

 もう一つは、新型インフルエンザについてですけれども、新型インフルエンザ対策については、新型インフルエンザ等対策特別措置法と新型インフルエンザ等対策政府行動計画が、この最後の改正以降に、前回の改正より前ですけれども、施行されておりますので、それに伴った改正をこのたび行いたいと思います。

 資料3をごらんください。「インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改訂案」の概要になりますけれども、1枚目が、先ほどお示しいたしました第一の改正の主なポイントで、原因の究明のところになります。発生動向調査の強化ということで、平成28年の感染症法改正に伴いまして、情報収集体制の強化。具体的には、ウイルスの収集等の項目が法律に盛り込まれましたので、それをこの予防指針にも書き込みたいということでございます。

 めくっていただいて、次が改正の主なポイント2になるのですけれども、新型インフルエンザに関する項目でございます。第六に新型インフルエンザウイルスの項目がございまして、その中が大きく5つに分けられてございましたが、それにつきましては、現在のところ、政府行動計画にそれぞれ対応する記載がございますので、そちらを御参考いただくことにいたしまして、一から五、全て特定感染症予防指針から削除させていただきたいということでございます。

 ここまでの改正案の具体的な方向性につきましては、昨年6月の感染症部会でも諮らせていただいたところでございます。

 具体的にどこに変更があるかと申しますと、まず、ページ番号が振ってあります2ページ目でございます。上から3段落目に、「新型インフルエンザについては、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び新型インフルエンザ等対策政府行動計画に基づき、総合的な対策が進められている」ということを書き込みまして、12ページから14ページになりますが、もともとの第六になるところですが、これを削除させていただくということでございます。

 加えて、3ページ目でございますけれども、発生動向の調査の強化のところに、感染症法14条に基づく病原体の提出が義務づけられていることから、総合的に発生動向の調査を行うことが重要であるということを記載させていただきました。

 以上について審議のほど、よろしくお願いいたします。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 ただいま、事務局からインフルエンザに関する特定感染症予防指針の改定についての具体的な変更点も含めて説明がありました。

 何か御意見ございますでしょうか。あるいは、質問ございますでしょうか。

 これについて、他の委員会等でも何度か出ておりますので、委員の先生方はどこか違うところでお聞きになった方もおるかと思いますけれども、よろしいでしょうか。特にありませんか。

 特に御意見がなさそうですが、そうしますと、この改定案については、この委員会として承認するという形でよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○倉根部会長 ありがとうございます。そういうことで進めたいと思います。

 それでは、議題3に入りますが、「後天性免疫不全症候群及び梅毒における届出の改正について」、事務局からの説明をお願いします。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 事務局でございます。エイズ対策推進室の原澤が御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

 資料4をごらんください。「後天性免疫不全症候群及び梅毒に係る届出基準等の改正について」ということで、資料4の中に2つテーマがございますので、順に御説明させていただきます。

 まず、後天性免疫不全症候群、HIV・エイズについての御説明をさせていただきます。

 1枚おめくりいただき、1ページ目、我が国におけるHIV・エイズ発生動向というところをごらんください。現在、我が国における新規HIV感染者・エイズ患者の年次推移でございますが、ここ10年ぐらいは大体横ばいという形で経過してございまして、新規にHIVに感染している患者さんが見つかる数は年間1,400から1,500人の間で経過しています。そのうちエイズを発症した状態で見つかる方が400人強、HIV感染の状態、エイズ発症前に見つかる方が1,000人前後といった形で経過してございます。

 続いて、2ページ目をごらんください。そういった形で横ばい経過しており、引き続き対策が必要というところでございますが、冒頭、局長からも御発言いただいたところでございますが、いわゆる「いきなりエイズ率」と言われているものでございます。新規にHIV感染が見つかる方のうち、エイズを発症した状態で見つかる方の割合を「いきなりエイズ率」と呼んでございます。その値が高ければ高いほど、診断の遅れた方が相対的に多く、低ければ低いほど診断が比較的早くできている方が相対的に多いというものでございます。

 こちらの数値でございますが、国内ではここ10年強、ずっと横ばい経過をしておりまして、ここの数値をいかに下げていくか、新規の感染者を見つけるのをいかに早くして、治療介入していくかというところが重要だと考えておりまして、この対策を引き続き進めていきたいと考えているところでございます。

 しかしながら、新たに感染の診断がついた時期を評価する項目というものは、現時点ではこの「いきなりエイズ率」しか我々、持っていない状況でございまして、それ以外にこういった早期診断がいかにうまくいっているか、いっていないかというものを評価するための指標がない状況でございます。そういった状況の中で、このいきなりエイズというものは、患者さん個人個人の情報を見るという性質のものではなく、集団の中でどれぐらいエイズを発症した状態で見つかった人が多いか少ないかといった、集団に対する評価のみができる指標であるというところでございまして、個別のHIV感染者において、感染から診断までに要した時間の指標となるものは持っていないという状況でございます。

 今後の対策を進めていく上でも、そういった個別の感染者における感染から診断までに要した時間の推定に資する情報や、より客観性の高い情報の収集というものが追加的に必要なのではないかと考えているところでございます。

 続いて、3ページ目をごらんください。そういったHIV感染症の早期診断の指標ということで検討した中で、診断時のCD4陽性Tリンパ球数というものが活用できるのではないかと考えてございます。ここからその数字をCD4値と呼ばせていただきますが、CD4値はHIV陽性者の免疫力を反映する重要な指標であるというのは、先生方も御存じのところかと思います。

 そのCD4値というのは、減少の速度の個人差がかなり大きいと言われておりますが、HIV感染者のほとんどの中で、HIV感染症の進行とともに、経過が長ければ長いほどCD4値は下がっていく傾向になるとされておりますので、その診断時のCD4値を見ていくことで、診断時のCD4値が高ければ高いほど、その人は診断が早くできている。遅くなる、時間がたってから見つかるほどCD4値が低くなるという傾向が全体としては出てくると考えられますので、HIV感染症の早期診断の代替指標となるのではないかということを考えてございます。

 それで、HIV・エイズの診療の中で、HIVの確定診断がついたときに、CD4値というのは、ウイルス量とともに現場の先生方に基本的に測っていただいている数値ですので、診療の流れの中で必ずとっている数字となっておりますので、情報も収集しやすいのではないかと考えております。

 その情報を収集する手法につきましては、診断時のCD4値を追っていく上では、国内全体の情報を収集して、かつ継続的に変化を追っていくということが、HIV感染の早期診断がどの程度うまくいっているのかということを把握するためには必要だと考えておりますので、悉皆性が高く、かつ継続性が高い手法が望ましいのではないかと考えています。

 また、ほかの疫学情報、例えば感染経路等と突合して分析することによって、特定の特徴のある集団において、その早期診断がどのようにうまくいっているのか、うまくいっていないのかといった把握もあわせて可能となるということから、他の疫学情報と突合できる手法が望ましいと考えてございます。

 さらに、そういった情報を収集した後に、必要なものに関しては、公表して、広く情報提供していくという必要もあると考えられますので、そういったデータ利活用がしやすい手法で情報収集することが望ましいと考えてございます。

 以上のことから、診断時のCD4値を収集する手法としては、発生届の届出事項に追加することとしてはどうかと考えてございます。

 続いて、4ページ目をごらんください。今、申し上げたところをまとめたものでございます。

 早期診断の推進度合いの把握に向けては、HIV感染症の早期診断の代替指標として、診断時のCD4値を把握することとしてはどうか。また、診断時のCD4値を収集する手法としては、発生届の届出事項に追加することとしてはどうかと考えてございます。

 また、そういった中で、懸案事項として、保健所とか診療所、診断までは行うけれども、その後の治療をしないという診療所があった場合には、CD4値を直接測ることをしないケースが存在しますので、そういったところではCD4値が書けない届出が発生するのではないかということや、拠点病院等の治療する病院であった場合にも、CD4値を測定するタイミングは確定診断がついてからという形になりますので、届出をするタイミングとCD4値が出てくるタイミングが少しずれる可能性がございますので、届出の遅れや漏れにつながるのではないかといった懸念があると言われてございます。

 そういったところも踏まえまして、点線囲みの中でございますが、特に周知する事項として、そういった診断時のCD4値を記載するために、届出そのものが滞ることがないようにという、一般的に運用で行っていただいていることですけれども、改めて周知徹底をするということで、届出をきちんと7日以内に出していただくということが最初のところでございます。

 2つ目として、診断時のCD4値が欠損した届出が出た場合、その届出を受理した保健所のほうから、届出を行った医師に対して、診断時のCD4値の提供を依頼するということをやっていただきたいと、あわせて周知することとしてはどうかと考えております。

 最後に、分析結果等の公表についてというところでございますが、先ほども申し上げたとおり、こういったデータを収集した後には、可能な範囲で情報を公開していって、今後の対策に生かしていくことが必要でございます。その一方で、CD4値の欠損といったことも一定程度想定されますので、そのような集まった数字をどのように分析して、どう活用するかというところについては、エイズ動向委員会において有識者の意見交換を行った上で、必要に応じて公開することとしてはどうと考えてございます。

 最初に申し上げ忘れてしまいましたが、この議題2つ、HIVの件と梅毒の件につきましては、先日、4月17日に開催しましたエイズ・性感染症に関する小委員会のほうで一度御議論いただきまして、小委員会においてご了解いただいているということを申し添えさせていただきます。

HIVに関しては以上となります。

 続きまして、5ページ目から梅毒のほうの説明をさせていただきます。

 日本における梅毒報告数についてということで、現時点で届出のデータからある程度見えているところを、この1枚にまとめてございます。近年の梅毒報告数の動向についてでございますが、2010年以降、梅毒報告数は増加傾向でございまして、右上のグラフを見ていただきますと、2017年の暫定値でございますが、年間累積報告数は5,820件となっておりまして、44年ぶりに5,000件を超えている報告数となっているということでございます。

 また、左下のグラフを見ていただきますと、感染経路として少し変化が見られているところがございまして、男性・女性ともに異性間性交渉での感染が増加している傾向にございます。

 また、性別・年齢別の梅毒報告数という右下のグラフを見ていただきますと、こちらは2013年から2016年までの変化を見られるようにしたグラフでございますが、男性においては20代から50代と幅広い年齢層での増加が見られるという特徴がございますが、女性においては特に20代から30代。20代では、3年間で10倍になっているという数字になっておりますので、若年層に特化した増加が見られるというところが特徴として見られます。

 現時点での届出の情報等から見られる分析はこのぐらいですけれども、こういったところですと、これから先の介入ですとか、どういったところに普及啓発していったらよいのか、どういったところに注意喚起をしていけばいいのかというところが明確になりにくいという御指摘もいただいてございますので、今回、少し追加的に届出の項目からわかるところを分析して、届出事項として今後追加していくべきではないかという点を御提案させていただきたいと考えてございます。

 6ページ目をごらんください。梅毒の発生動向マル1、性風俗産業の従事歴・利用歴についてでございます。性風俗産業という表現は、エイズ予防指針の中に記載してある性風俗産業の従事者というのがキーポピュレーションになっていますという文脈からとっているものでございます。梅毒の届出の備考欄等に性風俗産業の従事歴や利用歴について記載された件数というものを個票におりてカウントして、その数字を計上したものが、オレンジ色の棒グラフでございます。その件数が2014年は13件、2015年は30件、2016年は127件という形で数がふえてきているという実態がございます。

 ただ、こちらはあくまでも各医師による任意的な記載事項でございますので、数字を単純に比較する性質ではないことを御理解いただきたいと思います。一方で、関心としては高まっているところがございますので、こういった実態がどうなっているか、より適切に把握できるように、こういったものを届出事項に追加することとしてはどうかと考えてございます。

 7ページ目をごらんください。梅毒の発生動向マル2、口腔咽頭病変についてでございます。こちらは、先ほどと同じように、届出の備考欄等に医師による任意記載事項として、口腔咽頭病変に関する症状や所見が書いてあったものをカウントしたものでございます。201429件、201558件、201674件という形で、少しずつですけれども、ふえてきているところでございます。

 1つは、医師が診察する際に口腔を見る機会がなかなかなかったり、注意して見ないという部分もございますが、梅毒の特徴として、性交渉だけではなくて、オーラルセックスでもうつりますといったところもございます。そういったところは、一般向けの注意喚起のメッセージにもつながっていくと考えておりますし、また医師が診察していく上で気をつけなければならないというメッセージにもつながっていくのではないかと考えておりますが、現行の届出の中の症状や病型の記載欄のところに口腔咽頭病変に関することはなくて、その他の病変として記載していただいているという状況でございます。

 ですので、こういった形で件数が少しずつふえているところなどを鑑みまして、より適切に実態を把握できるように、届出事項としてこちらも追加することとしてはどうかと考えてございます。

 続いて、8ページ目をごらんください。梅毒の発生動向マル3、先天梅毒及び妊婦における梅毒感染についてというところでございます。

 まず、先天梅毒の動向についてでございますが、こちらは現行の届出の中にも含まれている事項でございまして、右上の表を見ていただきますと、2012年から2016年にかけて増加傾向が認められるところでございます。先天梅毒は、梅毒に感染している妊婦の方から児に感染するといったものでございまして、妊婦が無治療の場合には、一定数の、40%の児が死産または出生後間もなく死亡する可能性があると言われているものでございます。

 そういった中で、先天梅毒の発生がふえているというところでございますが、その背景にある妊婦の梅毒というものの数字はわかっているのかというところでございますが、こちらは研究班において、先ほどの2つの項目と同じように、各個票におりて妊婦の梅毒であると想定されるようなものをカウントしたものを右上の表の2行目につけてございますが、漸増傾向になっていますが、これでも恐らく全数把握はできていない形だと考えております。

 また、妊婦における梅毒感染を把握するための方法論として、妊婦健康診査というものをやっているのであれば、そちらから数字がとれるのではないかといったことも御意見としていただくことがありますので、整理をここでさせていただきますと、妊婦健診については、あくまでも標準的なメニューを国から各自治体にお示しして、そちらのメニューを各自治体の判断で実施していただいているところでございます。

 ほとんどの自治体で梅毒の検査も妊娠初期から23週にかけてやっていただいていると理解しておりますが、その結果自体を国が収集してカウントするというスキームは持っていないという状況ですので、全妊婦の中でどれぐらいの妊婦さんが梅毒陽性だったかという情報をとるスキームには、今なっていないところでございます。

 梅毒につきましては、5類感染症の全数届出疾患という形になってございますので、梅毒の感染がわかった方については、全て届け出されるという形ができておりますので、そちらのほうから妊婦さんがその中にどれぐらいいるのかという情報を入れることによって、妊婦さんで実際に梅毒にかかっている人がどれぐらいいるのかという実態を把握することで、今後、先天梅毒を減らしていくという形の取り組みにつなげていくことができないかと考えてございます。

 続いて、9ページ目をごらんください。

 1つ目のの、過去の感染歴についてというところでございます。こちらは何かと申しますと、梅毒は、終生免疫を獲得しない感染症ですので、再感染をするという疾患でございます。ただ、現行の届出は匿名ですので、同じ人が何回か感染して、同じように届け出られても、初感染の人が何人か届け出られても、同じようにカウントされていくという形がございます。今の感染者の中で、初感染の方と再感染の方がどれぐらいずついるのかということは区別できていないという構造になっております。

 そういった再感染者を把握していくということは、梅毒が反復感染し得る疾患であることですとか、感染を防ぐために適切な予防行動が必要であるということを、再感染している本人に伝えることができるようになるということですので、感染者自身の医療のためにも有用であると考えられますし、また、より正確な感染者の実態把握等につながることから、感染の蔓延を防止するための施策においても、より有用であると考えられますので、こういった情報もあわせて集めてはどうかと考えてございます。

 続いて、○の2つ目でございますが、HIV感染症合併例についてというところでございます。HIV感染症の合併例というのは、HIVを感染した状態で梅毒に感染すると、梅毒そのものの進行が早くなったり、重症度が高くなったりするということが言われておりますので、梅毒の感染をした場合の重症化リスクが高い群・集団という形になります。そういったハイリスク群をしっかり同定していくということで、患者さん本人に対しては、早期の適切な治療介入につながるということですとか、そういった方で梅毒に感染している方が一定程度いるということが明確になってきた場合には、普及啓発等の対象群の把握につながっていき、より効果的な予防行動等の普及啓発につながっていくのではないかと考えておりますので、感染の蔓延の防止のためにも有用ではないかと考えてございます。

 以上のことから、過去の感染歴及びHIV感染の合併の有無についても、届出事項として追加することとしてはどうかと考えてございます。

 続いて、10ページ目をごらんください。その他記載様式等についてというところでございます。ここはテクニカルな内容でございますが、現行の届出の「診断方法」の記載事項について、梅毒には患者(確定例)の記載と無症状病原体保有者、いわゆるキャリアの方に関しまして、カルジオリピンを抗原とする検査においては診断基準が異なっているというところがございます。届出基準の本文のほうにはこちらは明記してございますが、届出の票自体にはこのことが明確に書いていないという部分があったりして、そういったことから誤記の原因になったりしていると現場から声をいただいているところでございます。

 また、それ以外にも病原体検出の具体的な方法の中で、現行、ほとんど行われていない墨汁法といった検査方法が含まれていることですとか、PCR法等、現行行われている方法が含まれていないということから、記載漏れだったり、記載ミスであったり、確認の手間が一定生じているという声もいただいております。そういった診断基準の違いを明確にすること等を含めて、記載様式についてもあわせて整理することとしてはどうかと考えてございます。

 最後、11ページ目でございます。今までお話しした内容をまとめて、このような改正をしてはどうかということを整理してございます。梅毒の発生動向の把握に向けてというところで、以下の点線囲みの中を発生届の届出事項として加えることとしてはどうかと考えてございます。

 また、一番下のポツでございますが、「診断方法」の記載様式等については、より適切な届出が行われるように、届出基準及び届出様式を整理することとしてはどうかと考えてございます。

 以上の議論を性感染症小委員会のほうで御議論いただいた中で、幾つか御指摘、御意見をいただいたことを少し御紹介させていただきます。

 まず、性風俗産業の従事歴・利用歴等については、利用したタイミングですとか従事していた時期といった情報もあわせて加えていく必要もあるのではないかといった御意見もいただいてございます。

 また、口腔咽頭病変につきましては、この記載様式を加えていくこととあわせて、その他の病型・病変の記載様式全体の整理が一定程度必要なのではないかという御意見もいただいてございます。

 あと、過去の感染歴については、単純に既往歴を聞くこととしますと、検査の結果から、何年前に感染したといった情報が全くわからない状況ですので、数十年前に感染していた人なのか、それとも半年前、1年前に感染した人なのかわからないということがありますので、例えば直近の治療歴があるかどうかといった聞き方をすることによって、直近に反復して感染している人を見分けられるのではないかといった御意見もいただいてございます。

 こういった御意見を踏まえまして、事務局のほうで専門の先生方と御相談しつつ、引き続き情報を整理しながら、具体的な改正の内容については事務局で整理していきたいと考えておりまして、この改正の方針について御了承がいただけるかどうかを、本日はお諮りしたいと考えてございます。

 事務局からは以上でございます。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 今、事務局から詳細に説明していただきまして、きょうはこの件に関してこのように改正していくという方向性についての御意見あるいは御質問をいただきたいということであります。エイズ・性感染症に関する小委員会の委員でもあられます荒川先生、何か追加のことはございますでしょうか。

○荒川委員 エイズ・HIV感染については、CD4がサロゲートマーカーということが小委員会の皆さんの御意見の一致を見ましたし、これは皆さんの御異論が恐らくないところかと存じます。

 梅毒のほうに関しまして、先ほど原澤室長補佐から御説明がありました、最後の11ページにございます、これらの5項目を届出票に入れることは基本的に有用だというのが小委員会の意見でありますが、最後に御説明がありましたように、少し縛りをかけないと正確なデータが出せないという懸念がございますので、そのあたり、さらにいろいろな整理が必要かと思います。

 さらに、一番下に書いてあります2行の「診断方法」の記載様式等について、より適切な届出が行われるよう、届出基準及び届出様式を整理することとしてはどうかということでございますが、これは現在の届出基準には、先ほどもお話がございましたように、届け出するべき患者さんと要治療の患者さんが一致しないという問題がございます。ここの中では、先ほど妊娠のところで梅毒血清反応という言葉が書いてありました。

 御存知のように、保険収載では、カルジオリピンを抗原とするSTS法、一般にはRPRといわれる検査法のことを梅毒血清反応とし、TP抗体のほうは梅毒トレポネーマ抗体という言葉で表現されています。要するに梅毒の抗体検査は大きく2種類あって、具体的にはRPR法とTP(梅毒トレポネーマ)抗体法があるわけですけれども、この2種の診断の上での解釈についても、今、学会等でも議論があるところで、従来の考え方と現実が一致しないことが分かってきております。

 具体的に申し上げますと、従来は梅毒初期に、まずRPRが上昇して、TP抗体が少しおくれて上昇すると言われておりました。これは、用手法のカットオフ値からそうなっていたのですけれども、昨今、この両者とも自動化法が普及してまいりまして、TP抗体の感度が上がってきており、RPR法よりも先に陽転化することが少なからずあります。いずれにしても、梅毒の診断のときに抗体検査をいかに正確に用いるかということが若干混乱しております。

 もっと言いますと、例えばごく早期の梅毒の場合は、このRPRTP抗体両者ともまだ陽転化していない場合もありますし、どちらか一方が陽性化しており、症状もあり治療が必要な梅毒、いわゆる顕症梅毒の場合でも、今の届出基準ですと、両者とも陽転化していなければ届出の必要はないということになっておりますので、要するに届出基準と要治療基準が一致しないことがあります。できれば、この機会に、先ほど来おっしゃっているように、届出票の記載事項の病型とか症状を整理するということとあわせて、届出基準そのものも見直していくべきと思われます。

 届出票の診断方法の箇所ですが、墨汁法とか、実質的にやられていない方法は、その記載を削除し、現状にあった梅毒トレポネーマ抗体とRPRに加えて、PCR法を追加するべきかと考えます。妊娠の有無とか、そういうことがいわゆる特記事項として、今度入ってくると思いますけれども、その際に、梅毒の届出票とHIV・エイズの届出票とが、その特記事項・追記事項の内容が微妙に違うのですね。似て非なるものになっているので、先ほど来、梅毒とHIVの合併のこともお話が出ておりますけれども、両方同時に届ける場合も多いことが想定されますので、そういった事項はなるべく両者をあわせていただくこともぜひ検討していきたいということでございます。

 要するに、先ほど原澤室長補佐がおっしゃいましたように、今後、いろいろなことをより詰めていく中で、届出票の全般的な整理と、そして届出基準をこの機会になるべく見直して、要治療基準と届出基準が合致する方向を模索すべきではないかと考える次第です。

○倉根部会長 詳細な御説明いただきまして、ありがとうございました。

 大石委員、どうぞ。

○大石委員 梅毒の最近の疫学状況については、大変懸念を持っているところであります。7ページの資料の疫学状況で、症例数が2016年にかなり増加しておりますが、3分の1ぐらいを東京都、その次に大阪が占める状況がありました。この東京都の占める割合は15年以降、少しずつ低下しており、むしろ地方中核都市で急速に増加している所見もあり、これから警戒していく必要があろうと思っております。

 この梅毒という疾患の診断は、抗体検査が主体になっていて、ゲノム検索が難しい状況があるので、人と人のリンクが不明であり、どこで発生しているのか不明ということで、対策の介入が難しい状況があります。このため、研究班で研究を進めておられるところですけれども、未だ十分に焦点が絞れないということがあるかと思います。

 もう一つ、注意したいのは、先天梅毒であり、妊婦梅毒の報告数が2016年に倍増しているということです。ここは、先ほどの女性の感染例の増加ということにもかなりリンクしています。詳細な調査の中では、妊婦さんのスクリーニングで、初回は陰性であっても、一定期間の後に陽性になっているといった事例もあったようです。この点は、産科・婦人科の学会と情報共有して連携していくということが大変大事になってくるのだろうと思っています。

 以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 ほかに御意見ございませんでしょうか。

 越田委員、どうぞ。

○越田委員 金沢市は人口47万の中核都市ですが、今回この案件を聞いたときに、実態は一体どうなっているのだろうと思い、少し調べてみました。

 まず、妊婦健診の話から致します。金沢市は年間4,000人弱の赤ちゃんが生まれ、出生届け時に、母子健康手帳をお渡しします。第1回目の妊婦検診時には、梅毒検査、HIV検査、等、いろいろな検査をすることになっていますが、これらの検査結果はほとんど吸い上げていない、集計していないのではないかと思っていたのです。ところが、金沢市では梅毒検査結果の陽性者数を集計してあったのです。平成26年は、3,882件の妊娠届があって、梅毒検査陽性が6人。平成27年は3,995件の母子手帳の交付がありまして、陽性が3人。平成28年度は3,954件の妊娠届があって、陽性が5人という結果でした。 

 一方、金沢市保健所で、梅毒として届け出られている人数も調べてみました。平成28年は11件で、この中に妊婦さんは1人もいない。平成29年は15件で、この中で1例だけ妊婦さんの届出があったということでした。

 加えて申し上げますと、金沢市の場合は、梅毒として届け出られるケースの中にHIVを合併している、いわゆるHIVの診療機関から届け出られているケースが多く、平成2811件のうち2件はHIVと一緒に報告されている。平成29年も、15件のうち5件はHIVと一緒に登録されているというのが実態でして、この2つの感染症は同時に考える必要があるということと、妊婦検診というツールを利用して、それをいかに次のステップにつなげるかということが大事ではないかと思っています。

 このことは、必ずしも梅毒だけじゃなくて、妊婦健診では、HIV検査もHCV検査行っていますが、必ずしも検査結果が母体の健康管理に還元されていない様に思います。特に、C型肝炎に関しては、近年、効果的な薬物治療が出て参りまして、お母さん方にきちんと検査結果をお伝えして、治療に繋ぐ必要があるのではないかと思い、2年ほど前から石川県の診療連携スキームにつなげること進めてきております。妊婦さんはほぼ100%、HCV検査を受けることになっているので、この機会を捕まえて、全国レベルで治療につなげる様な仕組みを考えるべきではないかと思います。もちろん風しん対策も同じですね。感受性者には、出産後のワクチン接種を勧奨せねばなりません。

 話を梅毒に戻しますが、実態としては、妊婦健診で血清抗体陽性の方は少なからずいらっしゃるということ。ただ、陽性者イコール本当に梅毒なのか、活動性かどうかわかりませんのでその検証も必要かと思います。しかも梅毒検査は初回の妊婦健診の検査項目ですから、その後の感染を拾い上げることはできないわけです。

 私は小児科医で、過去1例だけ先天梅毒を経験したことがございます。この方は妊娠初期の梅毒検査は陰性だったのですが、多分妊娠中にパートナーから梅毒の感染を受け、生まれた赤ちゃんは典型的な先天梅毒であった症例でした。妊婦の梅毒検査の時期を、初回検査時と妊娠経過中のどこかの時点で2回行った方がいいのかということも今後の検討課題なのかなということもちょっと思ったりしました。

 以上です。

○倉根部会長 三宅課長、どうぞ。

○三宅結核感染症課長 すごくおもしろいお話があったと思いますけれども、梅毒がわかったら医師の届出の義務があるのですけれども、健診をしたお医者さんがやりっ放しで、国にも来ていないという以前に届出がされていないということですか。その辺のシステムを変えなければいけないのだったら大問題だと思ったのですけれどもね。

○倉根部会長 越田委員、どうぞ。

○越田委員 私もこのあたりは、きちんと確認はしていません。金沢市の場合は、医療機関が妊婦検診委託料を請求する際に、妊婦健診結果が記載された受診票が市役所に送付される仕組みになっています。この受診票は複写にはなっていないので、妊婦さんの手元には検診結果は残らず、母子手帳には種々の感染症の検査をしたか否かの記載のみのこともあります。従って、梅毒にせよ、HCVにせよ、風しんにせよ、検査結果が必ずしも個々の妊婦さんに伝わっているかは確実ではありません。

 

○三宅結核感染症課長 そうすると、金沢市だけが悪いわけじゃ全然ないと思いますけれども、全国的に大問題で。結局、母子保健手帳には梅毒陽性だよ、プラスと書いた後に医師の届出をしていないのを、医者が悪いのか、放置しておいた金沢市保健所が悪いのかわかりませんけれども、完全に義務がかかっているのにやっていないわけですね。だから、我々が集約していない以前に、我々の周知が足りないということを問題提起していただいたのかと思いますけれども、そういうことですか。

○倉根部会長 越田委員、どうぞ。

○越田委員 保健所の感染症対策は、母子保健と違うルートで動いています。妊婦検診で梅毒血清反応陽性のお母さんに対しての産婦人科の先生の認識までをお聞きする時間はありませんでした。

○倉根部会長 事務局、どうぞ。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 貴重な情報提供ありがとうございます。

 1点確認ですけれども、その血清反応で検査している項目というのは、RPRのみであるなど、より詳しい記載はあるでしょうか。

○越田委員 そこまで記載がないのです。あくまでも血清反応ですから、多くの医療機関は、外注しているのではないかと思いますが、どの様な抗体検査をしているのかという検査法までの記載はないわけです。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 承知いたしました。そうなってくると、荒川先生を初め、御専門の方、よくおわかりだと思いますが、既往の症例なのか、アクティブ感染なのかがわからないという部分、そもそもの構造としての問題もあるのかもしれないので、今の数字だけでは。

○三宅結核感染症課長 もう治ったけれども、昔の痕跡としてあったことが、今、治療は必要ないから届出は出さないとしたかもしれない。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 その区別が今の情報だけだとできないので、もう少し細かく調べる必要がある、という理解でよろしいでしょうか。

○倉根部会長 越田委員、どうぞ。

○越田委員 おっしゃるとおりだと思います。私も今回お電話いただきまして、大慌てで調べたデータなので、全て洗い直すことはできなかったのですけれども、個人情報も絡んでくるので、お聞きするのはなかなか難しいかなと思っているのです。

 ただ、金沢市はたまたま中核市ですので、母子保健事業と保健所を同時に持っておりますので、すぐ突合できるわけです。ところが、保健所設置市でない限り、感染症は都道府県所管の保健所業務になりますので、市町村事業の母子保健との突合が少し難しいと思います。また、梅毒血清反応の検査方法も明らかではなく、今後の課題であると思います。

○倉根部会長 今、金沢市の例を越田委員に御紹介いただきましたけれども、報告がなされず、とまっていたのか、あるいはアキュートな感染ではないという判断であったとか、そこも含めて、きちんとした整理を事務局も含めてお願いしたいと思います。

 ほかに何かございますでしょうか。

 私のほうから、本質的なところではない質問ですけれども、この「いきなりエイズ」という言葉は、これはオフィシャルな言葉として使ってよい用語となっているのですね。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 事務局でございます。

 エイズ動向委員会等では、こういうことを慣例的に使っていることがあるという程度でございまして、余り公式な文言としていないので、この資料に限って使っていて、カギ括弧で「いきなりエイズ率」という表現をさせていただいているので、余り一般的な表現とは言わずに、説明する場合には、年間の新規HIV感染者のうちエイズを発症した状態で発見された者の数という説明をしております。

○倉根部会長 そうすると、今回、専門家の先生が多いので問題ないのかもしれませんけれども、少しこの分野を外れた委員あるいは私などもそうですけれども、どこかで説明を入れておいていただけると。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 そのとおりでございます。資料の2ページ目を見ていただきますと、1ポツ目のところにそれを書いております。あくまでもこういうものでございますということを御理解いただければと思います。

○倉根部会長 はい。

 それから、もう一つ、4ページですけれども、HIV・エイズでCD4の記載が欠損していたとしても、受付受理はすると。ただ、その後でこの記載を入れてくれませんかというお願いをする。だから、それによって、届出そのものをなるべく滞らせないというか、遅らせないという配慮がここにあるということなのでしょうか。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 おっしゃるとおりでございます。

○倉根部会長 ほか、どなたか。

 山中委員、どうぞ。

○山中委員 現場のほうでHIVの検査と相談を実施して、発生届出も受ける立場の保健所ですけれども、保健所としてもHIVの検査率がなかなか上がってこない。それと、いわゆる「いきなりエイズ」というものがなかなか減らないことに関しては、大変問題視はしております。今回、CD4を入れたほうがいいという御意見につきましても、こちらとしては全く異存がございませんし、保健所が確認する作業はありますけれども、日ごろ、発生届出が上がった場合には、空欄であれば当然確認いたしますし、フォローアップもしますので、とりわけ作業として多くなるとは思っておりません。むしろ早期発見のほうに活用されれば、それが望ましいと思っております。

 また、梅毒の最後のページになりますけれども、HIVの感染症合併例についても、医療機関のほうでそれを検査していただくということは早期発見につながる場合もふえてきますし、検査する方も当然ふえていくことになろうかと思いますので、そういう点でもメリットは大きいのではないかと考えております。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 ほか、御意見いかがでしょうか。

 荒川委員、どうぞ。

○荒川委員 梅毒に関しまして、先ほど大石委員から産科・婦人科の先生方も交えた検討が必要という御発言がございましたけれども、今の段階では、担当学会レベルで先ほどのような、原澤室長補佐がおっしゃいました専門家として意見を述べる段階というか、必要な状況だと考えております。

 私が現在、理事長をしております日本性感染症学会では、学会のメンバーの中でも特に梅毒を専門にしている者で構成する委員会に産婦人科の先生も早々に入ってもらいました。その委員会で、医師を中心とする医療者に対する新しい診療ガイドといいますか、臨床現場で患者さんを目の前にしたときに、すぐにそれに対応できるようなコンパクトな指針が必要ということで議論を始めています。的確な診断をしてどういった治療をするか。そういったことをわかりやすく、すぐに理解できるようなものを早急に作成する必要があると考えます。届出基準や届出票についても、その委員会から提言いたします。

 これは、厚生労働科研の性感染症の研究班もございますので、そこと日本性感染症学会とが共同制作することが必要かと考えておりますので、そういう作業を早急にしていきたいと考えております。

○倉根部会長 ありがとうございます。

 越田委員、どうぞ。

○越田委員 荒川先生、ありがとうございます。

 追加ですけれども、梅毒を検査する時期についてもよろしくご検討下さればと思います。全国では年間に何人か先天梅毒の赤ちゃんがお生まれになっているのですけれども、この赤ちゃんのお母様は、初回の妊婦検診の検査で梅毒陽性だったのか、陰性だったのか、このあたりは非常に興味があります。もし陽性とわかっていたら、何らかの措置がとれたのではないかと思います。そこをスルーしてしまったということは、妊娠初期の検査は陰性でその後感染を受けた、あるいは陽性が見逃されていたのか、またご検討の上、御報告いただければと思います。

○倉根部会長 荒川委員、どうぞ。

○荒川委員 荒川です。

 おっしゃるとおり、これは国立感染症研究所の大石先生のグループが、先天梅毒で生まれられたところに調査に行かれまして、そのお母さんの背景因子とかを解析して、これはもう論文になっているしホームページにもアップされておりますけれども、どういう方々がハイリスクグループであるかといったこともある程度わかってきております。そういったことも考えあわせまして、どういう場合に反復検査が必要だろうとか、あるいは妊娠初期の梅毒抗体検査をどのように正確に判断して、必要な場合に反復検査するかとか、そういったことも含めたガイドが必要ではないかと考えております。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 調委員、どうぞ。

○調委員 先ほど「いきなりエイズ」という言葉の問題がありましたけれども、感染症法の届出の名称として、この資料名に書かれているように、後天性免疫不全症候群として届出ということだと思うのですが、今はHIV感染が起こっても、治療すれば免疫不全症候群にはならないということが常識になりつつある中で、こういう症候群として感染症法の届出になっていることは少し考え直していただいたほうがいいのではないかなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

○倉根部会長 事務局、いかがでしょうか。

○三宅結核感染症課長 名前をという、届出名ということですか。

○調委員 発生動向のあれを見ていて、いつもちょっと違和感を覚えていて、感染症の名前がエイズに。

○三宅結核感染症課長 ウイルスの名前、HIV感染症としたほうがより正確なのではないかということ。

○調委員 そうです。

○三宅結核感染症課長 それを変えるとしたら。ごもっともなところもありますので、それがいかほどのタイミングでできる。法律改正ですと5年に一度になりますし、できるか、できないか、経緯等を調べたいと思います。

○倉根部会長 調委員、どうぞ。

○調委員 名称のことは検討していただけるということで。

 もう一つ、この議題と直接関係あるかどうかわかりませんけれども、「いきなりエイズ」という状態が必ずしも減少傾向になっていないということで若干気になることがあって。今、郵送によるHIV検査が、恐らく保健所における検査と同じぐらい行われているということが以前の部会でも報告があったと思うのですけれども、そこで陽性になった方々の把握であるとか、医療へのアクセスというのはどうなっているのか。それがそのままになっているとすると、いきなりエイズということにつながるのではないかと思いましたので、御質問させていただきたいと思います。

○倉根部会長 事務局、どうぞ。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 事務局でございます。

 現状の御報告をさせていただきたいと思います。昨年の郵送検査の概数が9万件から10万件の間ぐらいということで、今、御指摘いただいた保健所の検査の件数が12万件ぐらいになっていますので、少し少ないぐらいという形になっています。

 今、研究班のほうで郵送検査自体の精度管理と、その医療機関へどういうふうにつなぐかという部分の研究を進めさせていただいているところで、研究班として、あくまでもあれはスクリーニング検査という、確定診断ではないプレ検査であるので、それをやって、あなたには確認検査が必要ですよというアナウンスにしていっていただく必要があるのではないかといったことですとか。

 そういった形でつないでいただくための医療機関への情報提供というのもきちんとやっていただける企業と、そうでないところをきちんと見ていく必要があるのではないかといった問題提起はしていけるのではないかと考えているところで、その整理を今、進めているところでございます。なので、御懸念の事項に何とか答えたいと考えております。

○倉根部会長 調委員、どうぞ。

○調委員 以前聞いた話ですと、特に妊婦さんで擬陽性が起こりやすいということも伺っていますので、その辺のところはきちんと対応したほうがいいと思っております。よろしくお願いします。

○倉根部会長 いろいろ意見もいただきましたが、三宅課長、どうぞ。

○三宅結核感染症課長 越田委員から先ほどもう一つ、いい御意見というか、いいアドバイスをいただいたと思うのですけれども、8ページを見ますと、僕も完全にわかっていないのですけれども、左を見ますと、左下で適切な抗菌薬治療を分娩4週間前までに完遂すれば予防できるということですけれども、一方、右側の妊婦の健康診査についてのスケジュール表は、あくまでも厚生労働省の標準的なものですけれども、例えば24週~35週のほうに梅毒血清反応を移したほうが現場は動きやすいものなのかどうか。それでデメリットがあるのか。

 前回、小委員会で産婦人科の方から、妊娠初期にやったときには陰性だけれども、御主人が妊娠中に浮気とかをして、結局戻ってきて奥さんにうつす。それで陽性になってしまうような事例が実際にあるのだと。だから、実際問題、2回やったほうがいいというお話もあったのですが、2回やるというのを結核感染症課から母子保健課とかに言うのはなかなか大変だと思うのですけれども、1回で回数が変わらない中で、時期はこっちのほうがいいよというのを感染症の専門家の方からアドバイスいただいたということは十分に言えると思います。

 ただ、それでデメリットがあるのかどうかという、その辺がわからないので、また実態として、これはあくまでも標準的なものなので、現場ではどうやってもいいはずなのですけれども、これは非常に効果があるから移したほうがいいのか、その辺のことを専門家の視点からと現場の視点から、これがどの程度使われているのか、ちょっとわからなかったので教えていただければと思います。

○倉根部会長 荒川先生、何かこの点、ございますか。

○荒川委員 これは日本産婦人科学会でも別途に全国の妊婦さんのものを集計されていまして、報告されています。その中で、今は妊娠初期のB肝・C肝と一緒にやるというのがルーチンになっているのですけれども、その中で今後どういうふうにさらにプラスアルファで考えていくかということが論議されております。したがって、今、課長から御質問があったことに関しましても、しかるべき専門家の会議の中で何らかの見解を出して御報告したいと思っております。

○倉根部会長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○荒川委員 もう一点、つけ加えさせていただきます。今回は届出基準・届出票の見直しということのお話でありましたけれども、一方で、これだけ梅毒がふえていることに関する国民全般への啓発も非常に重要な課題だと思っております。現在、日本性感染症学会、日本感染症学会を初めとします感染症にかかわる学会等が中心に7学会で、梅毒血清反応に関する検討ワーキンググループというものを本年2月から立ち上げておりまして、この中でいろいろ論議をしております。

 その一つの国民への啓発という課題に関しましては、わかりやすい文面と病変写真なども交えたリーフレットすなわちA4の表裏1枚のカラーのものが今、ほぼ完成しておりまして、これをいろいろな機会と手段を使って皆様に周知するということを考えております。いろいろな周知ルートがあろうかと思いますけれども、例えば大学の学園祭であったり、各種の場があると思いますが、今後、そういったことに関しましても、皆様方にもぜひ御協力いただきたいと思っております。

○倉根部会長 ありがとうございます。

 種々御意見いただきましたけれども、今回、資料4も含めて、ここに示しました、改正していくという内容も含めた方向性については、この委員会として了承いただけるということでよろしいでしょうか。また、越田委員からの問題提起もございましたし、ほかの委員からの御質問もありましたけれども、そこも事務局としてもんでいただくということをお願いしたいと思いますが、この方向性については、これで了解することにいたしたいと思います。

 ありがとうございます。

 次に、「報告事項」に移りたいと思います。11ございますけれども、幾つかに区切って事務局から報告していただいて、そして議論する、質問するということにしたいと思います。

 まず、報告事項1~3、インフルエンザに関する件について事務局より御説明をお願いします。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室長補佐 新型インフルエンザ対策推進室の竹下でございます。

 それでは、報告事項1「成人の新型インフルエンザ治療ガイドラインの改訂について」、御報告させていただきます。資料につきましては、5番と、該当します参考資料は6番になりますので、あわせて適宜御参照いただければと思います。

 成人の新型インフルエンザ治療ガイドラインに関しましては、2014年に第1版。これは、2009年のパンデミックを受けて作成されたものでございますが、これに関しまして、今回、中国でH7N9の高病原性鳥インフルエンザの人への感染拡大等の事案等もございましたので、そういったことも踏まえまして情報を改訂させていただいております。

 改訂のポイントは、主に5点ございます。

 まず、1つ目が鳥インフルエンザの疫学情報の最新版へのアップデートが第II章にあります。資料6の5ページ目に該当いたします。

 また、ファビピラビルの備蓄が始まりましたので、ファビピラビルの具体的な使用方法について記載を追加しております。これは、第VI章 肺炎を合併した場合の抗インフルエンザ薬の使用ということで、23ページに該当しております。

 同じく第VI章になりますけれども、ノイラミニダーゼ阻害薬の異常行動に関する記述記載を追加させていただいてございます。

 また、もう一点、同じ第VI章に関しましてですが、これは昨年6月の感染症部会で審議いただいた内容になりますが、重症の新型インフルエンザ患者に対するノイラミニダーゼ阻害薬の増量(倍量、倍期間投与)についてはエビデンスがないことから、こちらに関しましては削除させていただいております。

 また、全章にわたってになりますが、成人肺炎診療ガイドライン2017を必要に応じて引用文献に追加という形で、研究班で201711月にまとめていただいております。こちらに関しましては、昨年1225日、第11回新型インフルエンザ対策に関する小委員会のほうで御報告させていただいておりますので、あわせて感染症部会のほうでも御報告させていただきたいと思います。

 続きまして、資料6「抗インフルエンザウイルス備蓄薬の流通について」ということで御説明させていただきます。こちらに関しましては、資料番号6番になります。この資料番号6番の抗インフルエンザウイルス薬に関しましては、ファビピラビルのことになりますので、あわせてこちらを説明いたします。

 1ページめくっていただいて、ファビピラビルの流通体制について、まず説明させていただきたいと思います。ファビピラビルに関しましては、薬事承認時に以下の承認条件を付与されております。

 1つ目が、使用実態下における有効性及び安全性について十分な検討が必要であることから、適切な製造販売後調査等を実施すること。

 もう一点が、製造販売する際には、通常のインフルエンザウイルス感染症に使用されることのないよう厳格な流通管理及び十分な安全対策を実施することということが承認条件に付与されております。

 また、新型インフルエンザ等対策ガイドラインにも記載がございまして、こちらのほうにも上記の承認条件を反映した形になっておりますが、1つ目として、発生後速やかに、安全性及び有効性の知見・情報を集積する体制(臨床試験等)を整備。

 もう一点が、国が備蓄・管理したアビガン、これはファビピラビルになりますが、これに関しては、国の指示に基づき指定された医療機関へ放出することになっております。

 そういったことを踏まえまして、今回の流通体制のほうはまとめてございます。

 次のページを見ていただきたいのですけれども、ファビピラビルの管理計画になります。5つ、計画の柱とさせていただいております。

 まず、1つ目が、製造販売業者による安全管理。製造販売業者である富山化学は、備蓄期間中の品質管理、発生時の流通管理、製造販売後調査報告等の方法を定めた安全管理手順を作成するとしております。

 2つ目が、アビガンを使用する医療機関に関しましては、新型インフルエンザ等対策ガイドラインにおいて、アビガンは「安全性及び有効性の知見が限られていることを踏まえて、新型インフルエンザ発生初期は、感染症指定医療機関に入院した患者に限定する」とされております。このことから、国が備蓄・管理したアビガンに関しては、特定及び第1種感染症指定医療機関に放出することとしております。

 下のに関しましては、第1種指定医療機関が未指定の都道府県がございますので、知事により当該医療機関が指定されるまで暫定的に当該医療機関に準ずる病院を指定することとしております。安全性及び有効性の知見が得られ、患者の発生状況に応じて使用できる医療機関を拡大することにしております。

 3つ目が、厚生労働省による供給指示としております。厳格に流通管理し、安全性、有効性の知見・情報を集積するため、アビガン使用に当たっては、厚生労働省が感染症指定医療機関から供給依頼を受け、保管業者、富山化学に出庫、配送指示を出すとしております。

 4つ目が、これも流通管理に伴うことになりますが、流通管理を厳格・迅速に行うため、アビガンの流通を行う医薬品販売業者は都道府県幹事卸とし、富山化学は都道府県幹事卸に十分な情報提供を行うこととしております。

 5つ目が、使用成績調査の実施体制ということになります。こちらに関しましては、新型インフルエンザ発生時に迅速に対応できるように、事前に富山化学は感染症指定医療機関と使用成績調査契約を結んでいただくことをお願いしております。

 また、発生後速やかに、安全性及び有効性の知見・情報を集積するため、製造販売業者は厚生労働省に速やかに、使用報告書を提出することを定めております。

 次のページを見ていただきたいのですけれども、今、御説明した内容がこちらの流通体制の図のほうにまとめてございます。

 以上になります。

○繁本結核感染症課長補佐 続きまして、資料7をごらんください。「今冬のインフルエンザの発生状況について」、御説明させていただきます。

 今シーズンのインフルエンザですけれども、第3週の時点で過去最高を記録いたしまして、その後も少しずつふえて、最終的に第5週時点で定点当たり54.33人ということで、過去最大になりました。推計値、おおよそですけれども、1週間当たり250万人程度、インフルエンザが発生したという計算になってございます。その後は順調に減少して、15週の時点で定点当たり1.66人で、かなり減少しているところでございます。

 推計の患者数ですけれども、まだシーズンが完全に終わっていないのですけれども、きのうの報道にもあったとおり、このシーズンのインフルエンザの患者数は約2,230万人ということで、総数においても過去最大を記録してございます。

 次点が、このグラフで言いますと赤紫色の線になるのですけれども、てっぺんが50のラインに届いているところが2004年-2005年シーズンということでございます。

 裏を見ていただきますと、今シーズンのインフルエンザのウイルスの分離状況を記載してございます。見ていただきたいのは、赤と緑がインフルエンザAです。青がインフルエンザBになります。2017年の50週あたりから2018年第3週あたりが山が上っていくところになるのですけれども、赤と青、同じようにピークが近接しているということで、このシーズンでピークが高くなったのは、例年であればシーズンの終わりぐらいに流行するインフルエンザBが、ちょうどインフルエンザAの流行と重なって流行したことが、このピークの高さになったのではないかと推測されております。

 これと同じような流行パターンを示したのが2004年-2005年シーズンで、そのときも大流行というか、比較的患者数が多かった年ということになってございます。

 補足の情報ですけれども、シーズン途中ではございますけれども、入院患者数はことしの第10週までに1万8,653例、全国500の施設から報告されてございまして、これもこの時点で例年を上回っております。

 ただ、一方で重症例の指標になると思いますけれども、急性脳炎に関しましては、例年と比較しても比較的多いのですが、去年を既に上回っていますけれども、おととしのレベルにはまだ到達していないということでございます。ですので、毒性というか、重症度については、例年と比べて特別強いわけではないだろうと推測しております。

 以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 今、報告事項3点いただきましたが、何か御質問、御意見ございますでしょうか。

 私から1つ伺いたいのですけれども、2番のアビガンの備蓄薬の流通の2ページの(3)で、供給依頼を受けて配送指示を出す。スピード感としては、どのくらいの日時でこれが完了すると計算されているのでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室長補佐 事務局からお答えさせていただきます。

 一番最後の図を見ていただきたいのですけれども、製造販売業者の保管場所から医療機関に現品送付と書いてありますが、ここに印を置いておりまして、現品送付は、都道府県幹事卸を経由せず医療機関へ直接送付するケースも想定されるということで、こちらに関しましては、保管場所から搬送するときに直接ということで、1日前後ぐらいで搬送できるのではないかと考えております。

○倉根部会長 搬送するときは、どういう形で搬送することになるのですか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室長補佐 製造販売業者の方が直接手持ちで持っていっていただくことも含めて、対応いただくことを検討しております。

○倉根部会長 ほか、いかがでしょうか。

 山田委員、どうぞ。

○山田委員 記憶は余り定かじゃないのですけれども、抗インフルエンザ薬の備蓄量の計算をするときに、季節性インフルエンザの推計方法が変更になったというのをこの部会でお聞きしたと思うのですけれども、今回のインフルエンザの発生状況の推計値に、その推計方法の変更の影響というのは全くないと理解してよろしいでしょうか。

○倉根部会長 事務局、どうぞ。

○繁本結核感染症課長補佐 事務局よりお答えさせていただきます。

 この資料7のグラフの書き方ですけれども、これは例年と同じ計算をしてございまして、前回、計算していただいた、3分の2ほど、実際には少ないはずというのは、ここにはまだ含まれてございません。

○山田委員 ありがとうございます。

○倉根部会長 大石委員、どうぞ。

○大石委員 インフルエンザ罹患数推計方法の改訂は、次のインフルエンザシーズンからだったと思います。ですから、今は入っていないという理解です。

○倉根部会長 事務局、どうぞ。

○磯貝結核感染症課感染症情報管理室長 感染症情報管理室でございます。

 インフルエンザの推計の見直しについては、大石委員が御説明いただきましたように、次期インフルエンザシーズンから、それを適用できるように、現在、必要な情報の収集、それから地方自治体への必要な手続といった準備を今、進めているところでございます。

 以上でございます。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 岡部委員、どうぞ。

○岡部委員 岡部ですけれども、それに関連して、できればお願いしたいのですけれども、新しいものに切りかえたときに、今までのものの修正値も一緒に出しておくということをやっていただきたいなと思うのですね。そうすると、今シーズンが何人でしたか。

○繁本結核感染症課長補佐 今のところ2,230万人。

○岡部委員 2,200万人。そうすると、前のピークが1,7001,800万人とかですね。パンデミックのときに2,2002,300万人という数が残ったまま、今度の新しい集計で比較されてしまうと、大きい誤解が出てくると思うので、修正値みたいなものも一緒に出していただければと思います。

○磯貝結核感染症課感染症情報管理室長 データの切りかえ時に誤解がないように、また適切に対応してまいりたいと思います。

○倉根部会長 岡部先生の御意見は、比較するときに同じ土俵で比較できるように配慮してほしいということですね。つまり、見る側が計算するのではなくて。

○岡部委員 それは、状況が違うので、一律に比較は難しいと思うのですけれども、単純に今までは多いと1,7001,800万人であるというのが、一気に3分の2ぐらいになると、ことしの患者数は何人ですねというのが広く一般に出たときに大きい誤解が出てくるのではないかと思うので、その辺の比較しやすいようなこともあわせて公表していただければと思います。

○倉根部会長 事務局、よろしくお願いします。

 ほか、よろしいですか。

 岡部委員、どうぞ。

○岡部委員 今のインフルエンザ全体の話ですけれども、小委員会でも私、ちょっと発言したのですけれども、もう20年ぐらい前になりますけれども、H3の流行でシドニー型というのが出たときに非常に大きい騒ぎになって、患者数はことしほどではなかったと思うのですけれども、高齢者施設での死亡とか院内感染が非常に大きい問題になりました。そのときは、例えばワクチンの高齢者への接種とか、まだタミフルなんかないころで昔話になってきましたけれども、それに比べると、20年ぐらいたっているのですが、今回は患者数は非常に多いし、入院数も一定あるけれども、施設内で物すごい流行が見られたとか、死亡例がものすごく増えているということはないと思うのです。

 そうすると、長い目で見ると、患者数のコントロールまでは行っていないけれども、インフルエンザの重症化を防ぐという公衆衛生的な考え方でのインフルエンザ対策というのは、まあまあうまくいっているのではないかと思うのです。それは我田引水的かもしれないけれども、以前よりも対策としては進んでいるのではないかと思った次第です。

○倉根部会長 調委員、どうぞ。

○調委員 今のことに関連してですけれども、先ほど事務局のほうから、患者数は多かったけれども、脳炎の患者数はそれほど多くなくて、重症度はそれほど高くないのではないかという御説明がありましたけれども、入院患者数がそれほど多くなっていないことはたしかだろうと思いますけれども、入院患者数はそれなりにあった。現場の先生のお話を伺うと、高齢者で結構長引いて、呼吸不全を起こして入院した方が今シーズン、多かったという話も伺っていますので、インフルエンザの重症度といったことを客観的にアセスメントして報告していただくのがいいのではないかとちょっと思いました。

○倉根部会長 大石委員、どうぞ。

○大石委員 調委員の御指摘はごもっともで、今シーズンの季節性インフルエンザではB型とA/H3の流行が重なったところで症例数が増加しました。また、今年の流行の特徴として気づかれたことは、入院サーベイランスの中で60歳以上の入院が増加していたという所見です。入院サーベイランスでは入院したインフルエンザ患者を見ているのですけれども、患者の臨床的な特徴というものが、今のサーベイランスではちょっと見えにくくて、結核感染症課とも相談しながら、もう少し入院サーベイランスの解析項目の改訂を検討しているところです。我々としてももう少し重症度を評価できるような形にしたいと考えておりますし、今シーズンのデータも詳細に分析する必要があると思っています。

○倉根部会長 調委員、どうぞ。

○調委員 ありがとうございます。

 脳炎は、比較的小児の重症度をはかる指標だと思いますけれども、高齢者についてどうだったかということについて、そういうアセスメントはぜひ必要ではないかと思いました。

○倉根部会長 よろしくお願いします。

 岡部委員、どうぞ。

○岡部委員 もう一つ、よろしいですか。資料7のグラフを拝見するといつも思うのですけれども、黄色い線の2009年の新型インフルエンザ発生というときのピークをはるかに超えるのが今年で、以前も同様な多数のことが1回あるわけです。入院数もかなり多かったということですが、パンデミック対策をやるときに入院数あるいは患者さんが一挙に押し寄せるというのが前提になりますが、これを見ると、むしろパンデミックが起きているよりもそういう面では落ち着いてやっていたと思うのですね。落ち着いてやることができれば、少なくともこの間の2009年の大騒ぎと言われましたけれども、あの患者数での対応というのは、現状の医療がうまく動いていればできるのではないかと言えるのではないでしょうか。

 ただ、それをうまくリスクコミュニケーションをやっていかないと、例えば今年、仮にこれが新型で危ないですよということになったら大パニックになっていたと思うのですけれども、そういったリスクコミュニケーションのやり方とか、もちろんウイルスの状況とか病原性は違うかもしれないけれども、今回のやり方というのは、新型インフルエンザ対策に対して十分な検討材料になっていくのではないかと思います。

○倉根部会長 御意見をいただきました。

 ほか、いかがでしょうか。

 では、次に移りたいと思いますが、よろしいですか。

 次は、報告事項4、5、6、7ですね。ここにつきまして、まとめた形で報告をいただきたいと思います。

○磯貝結核感染症課感染症情報管理室長 結核感染症情報課の感染情報室長から、資料8と参考資料7を使いまして御説明させていただきます。「愛知県知多半島の犬におけるエキノコックス感染症について」でございます。

 初めに、発生状況でございますが、動物由来感染症の一つでありますエキノコックス(多包条虫)は、北海道においてのみ野生動物のキツネでの常在が確認されておりました。愛知県では、平成26年に阿久比町で捕獲された野犬1頭でエキノコックス症の感染が確認されました。

 これを踏まえまして、愛知県衛生研究所において、愛知県知多半島地域で捕獲された野犬の糞便を使い、エキノコックスの虫卵の有無を顕微鏡検査を実施して確認しておりました。さらに、平成28年度からは、厚生労働科学研究による愛知県衛生研究所と国立感染症研究所との共同研究事業において、糞便の遺伝子検査を実施してまいりました。

 この研究事業における平成29年度に捕獲された野犬3頭の糞便の遺伝子検査によって、エキノコックス症の感染が確認されました。

 対応についてでございますが、お手元の参考資料7にございますように、本年3月28日に、国立感染症研究所より健康危険情報の提供がございました。その中で、愛知県の一部地域においてエキノコックスが常在していると評価されました。

 これを受けまして、厚生労働省では同日付で愛知県に対し、動物の調査を強化し、感染状況を把握すること。飼い犬の感染が不安な住民に対して、動物病院の受診を勧奨すること。住民からの健康相談に対し、受診を勧奨し、必要に応じて検査体制を整備すること等の指示を行うとともに、全自治体、医療関係及び関係団体に情報提供を行いました。

 北海道の野生動物のみで常在しておりましたエキノコックスが愛知県で確認されたことから、厚生労働省といたしましては、今後、厚生労働科学研究において全国で野犬が多い地域を調査し、エキノコックスが常在化するリスクが高い地域を評価し、当該地域におけるエキノコックスの調査を実施することとしております。

 2枚目、裏面でございますが、エキノコックス症の概要についてでございます。御説明は省略させていただきます。

 報告は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○倉根部会長 引き続いて、説明どうぞ。

○高倉結核感染症課長補佐 続きまして、「沖縄県における麻しんの発生状況について」で、資料9をごらんください。

 マスコミ等で御存じの方も多いと思われますが、沖縄県において麻しんの患者さんが多数発生しております。事例の概要といたしまして、台湾から沖縄へ観光で来られた30代の男性が17日に入国後、19日に発症、20日に麻しんと診断、届出がなされております。この時点で、届出を受けました沖縄県のほうでは、不特定多数の方との、接触が疑われる観光地を動かれた方であることを踏まえまして、プレスリリースを公表しております。

 その後、患者数がふえてくるのに伴いまして、この資料には4月24日の時点で70例と書いておりますが、本日午前中に確認しましたところ71例ということで、多数の患者さんが発生しているという状況です。

 この患者の増加を踏まえ、4月7日には那覇市の要請を受けまして、国立感染症研究所からFETPを対策支援として派遣しております。

 さらに、4月11日、厚生労働省のほうから各自治体と日本医師会のほうへ、広域発生の可能性がある旨の注意喚起をする事務連絡を発出いたしました。この事務連絡につきましては、参考資料8に示しております。

 その後、4月12日以降、沖縄県を推定感染地とする麻しん患者が、ほかの都道府県、愛知県から報告されているという状況にございます。

 本事例の特徴を下にまとめておりますけれども、特に一番下に書いておりますように、春休みの期間でもございましたので、同時期に沖縄県を旅行等で訪れた、他都道府県の沖縄に滞在歴のある方から麻しんが発生する可能性が全国的にあるということで、引き続き注意喚起を続けるとともに、動向と速やかな対応ということを自治体と連携して進めていきたいと考えております。

 資料9については以上です。

 続きまして、6番目の「急性弛緩性麻痺の届出の開始について」で、資料10と参考資料5をごらんいただきたいと思います。

 急性弛緩性麻痺(Acute Flaccid Paralysis)、AFPと略しますけれども、これは急性灰白髄炎、すなわちポリオあるいはポリオ様の麻痺であるとか急性弛緩性脊髄炎、ギラン・バレー症候群などを含みます急性の弛緩性麻痺を呈する疾患の総称でございます。

WHOでは、ポリオ対策の観点より、各国で15歳未満のAFPを把握して、それらに対してポリオでないことを確認することでポリオの根絶を進めようということで、各国にこのAFPのサーベイランスを求めております。

 日本では、それが従来なされておりませんでしたけれども、今回、平成2912月の厚生科学審議会感染症部会における議論を踏まえまして、15歳未満のAFP患者に対するポリオ検査の確実な実施を担保するために、規則についての改正を行いました。

 改正の内容といたしましては、このAFP、急性弛緩性麻痺を5類感染症に追加いたしまして、医師がAFPを発症した15歳未満の患者を診断した場合に、7日以内に届け出なければならないことにするという改正を行いました。

 公布を3月14日、施行を5月1日といたしまして、参考資料5にありますように、4月10日付で全国に通知を発出したところでございます。

 続きまして、7番の特定感染症予防指針の改正についてです。資料11を1枚めくっていただきますと、まず、風しんに関する特定感染症予防指針の改正についてでございます。

 従来は、平成26年に公布いたしました予防指針に基づいて、平成32年度までに風しんの排除を達成するということを目標に掲げて各種の対策が行われていたところでございますけれども、その後の風しんの患者数の減少を踏まえまして、32年度までの風しんの排除というものを具体的に確認していく上で障壁でありました点といたしまして、麻しんでは既に実施されているような積極的疫学調査であるとか、ウイルスの遺伝子検査の実施率が低いという状況にございましたので、このページの一番下にございますように、3つのポイント、診断した場合は直ちに届出、及び1例でも発生した場合の積極的疫学調査、及び全例に対してウイルス遺伝子検査をするという予防指針及び省令の改正をいたしました。

 以上につきましては、参考資料9にございますように、1221日に自治体向けに通知を発出いたしまして、参考資料10にございますように、全国の自治体及び医療機関に事務連絡を発出しているということでございます。

○原澤エイズ対策推進室長補佐 続きまして、資料11の2枚目以降、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針及び性感染症に関する特定感染症予防指針も改正いたしましたので、その御報告をさせていただきます。昨年6月に感染症部会のほうで御審議いただきまして、御了承いただいた方針で改正させていただきまして、平成30年1月18日に告示となりましたので、その概要を御説明させていただきます。

 後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針改正のポイントという資料でございまして、主なポイントとしては4つ。効果的な普及啓発、発生動向調査の強化、保健所等・医療機関での検査拡大、予後改善に伴う新たな課題へ対応するための医療の提供といった項目を改正しております。

 先ほど御指摘いただいた性感染症との同時の検査が必要であるという山中委員からの御発言の補足になるかと思いますが、○の3つ目の保健所等・医療機関での検査拡大の中で、ポツの2つ目、医療機関において、HIV感染症・エイズが疑われる者のみならず性感染症が疑われる者に対しての積極的なHIV検査の実施を促すということで、現状でも、ほかの性感染症に感染している人、または感染が疑われる人に対しても、保険診療上でHIVの検査は可能となってございますので、そういったところもあわせて周知していきたいと考えてございます。

 そういった点にあわせまして、参考資料1113に今回の予防指針の改正に関連して発出している通知がございますが、参考資料12を見ていただきますと、そういった検査の中で、検査の障壁にHIV検査に関する同意の取得が問題であるという御指摘をいただいたところでございますが、小委員会の中の議論で、必ずしも書面の同意でなくて、口頭の同意でもよいということを確認しております。

 ですので、そのこともあわせて、参考資料12のマル2、HIV抗体検査の際の同意の取得方法についてというところで、HIV抗体検査の際の同意の取得は、必ず書面でなくてはならないという趣旨ではなく、口頭による同意も可能であるということを明記して通知を発出しているというところで、あわせて情報提供していきたいと考えてございます。

 続きまして、資料11にお戻りいただきまして、最後のページの性感染症に関する特定感染症予防指針改正のポイントでございますが、こちらも同じように4つ書いてございますが、効果的な普及啓発、また現在の国内発生動向の把握ということで、本日御議論いただいたような内容について引き続き検討していくということ。また、医療の質の向上、検査や治療等に関する研究開発の推進といった項目を掲げて改正させていただきました。

 資料11については以上でございます。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 4つの項目を報告していただきましたけれども、何か御質問、御意見ございますか。

 岡部委員、どうぞ。

○岡部委員 ありがとうございます。

 一つ一つでいいですか。

○倉根部会長 特に順番は構いませんので。

○岡部委員 エキノコックスですけれども、3頭見つかったということもちょっとゆゆしい問題だと思うのですが、この3頭のうち2頭が駆虫薬を投与してから譲渡して、1頭は殺処分になっているというのがあるのですけれども、この殺処分と駆虫薬の投与というのは、何か違いが扱い上にあったのですか。

○磯貝結核感染症課感染症情報管理室長 エキノコックス自体は、御承知のように、犬にとっては全く症状がないものでございます。あと、通常、捕獲された犬については、動物愛護の観点から譲渡したりといったことを保健所と動物愛護センター等がやられております。聞いたところによると、たまたま引き取り手がなかったということで殺処分されてしまったということで、何か感染症上、重篤なものであったという背景はございません。

○岡部委員 自治体でも殺処分をゼロにしようという方向があるので、感染症に関連したのかどうかがちょっと気になったものですから、ありがとうございました。

○倉根部会長 続けて、どうぞ。

○岡部委員 資料9のはしかについてですけれども、疫学センターのほうが動いているというのはわかるのですけれども、広域になってきたときにもう少し広がってくる可能性がある場合に、国としてはどういうスタンスなのかというのが1点と。

 それから、4月11日の通知を拝見すると、これでは現場で早期診断のために早くはしかを意識してくださいということと。それから、院内感染に気をつけてください、とあります。いずれももっともだと思うのです。

 ただ、発生があったらということで、予防という観点からいえば、ワクチンを接種するということは非常に重要なので、それをどういう勧め方をするのかも重要かと思います。それから、その背景には、関空のときにも問題になりましたけれども、一瞬のワクチン不足感、あるいは現場では実際にワクチン不足ということになるので、そのときも供給の問題が随分課題になったので、それに対してどういう未然防止的な対策を考えておられるか、お尋ねしたいと思います。あるいは、現在、ワクチンのストックとして、どの辺まで勧めても大丈夫なものかという何か見通しのものがあるでしょうか。

○倉根部会長 事務局、どうぞ。

○高倉結核感染症課長補佐 御指摘いただきました点について、まず全国に対する注意喚起という観点でございます。この参考資料に示しましたような事務連絡を発出すると同時に、自治体からの届出例に関して、その背景とか感染のルートといった情報というのを密に連絡をとりながら、それと国立感染症研究所のほうでの情報収集とあわせまして、必要な支援、あるいは国からのさらなる情報提供が必要かどうかということを日々確認しながら、対応を考えているといったところでございます。

 現時点では、沖縄県以外の情報というのはかなり慎重に注視しながら、追加の支援ないし情報提供が必要かどうかというところではございますけれども、今のところ、沖縄県も含めて適切に対応いただいているように、こちらとしては認識しているところでございます。

 予防対策の根底にあります予防接種につきましては、定期予防接種とそれ以外の予防接種法に基づかない予防接種は、特定感染症予防指針に基づいてさまざまな推奨等を進めていく形になっておりまして、ちょうどと申しますか、現在は麻しん・風しんともに前回のメジャー改正から5年の年に当たりますので、麻しん・風しん小委員会のほうで予防指針の改正というものの作業を進めているところでございます。その点で、今回の事案からの注意点や問題点につきましては、この予防指針の改正の中で議論していきたいと考えております。

○倉根部会長 岡部委員どうぞ。

○岡部委員 今のは、よくわかりました。

 あとは、ワクチンのサプライの問題。当然ながら定期接種は十分にやれるようにしておかなければいけないのですけれども、例えば沖縄ではゼロ歳児での接種に対する補助が出た。それはそれでいいことだと思うのですけれども、全国的にやったら供給は間に合わなくなってしまうので、その辺のターゲットをある程度絞っていかなければいけないと思うのですが、実際のワクチンのサプライがどの程度まで十分なのかどうか。これを把握した上で対策をとらなければいけないと思います。

○倉根部会長 事務局、どうですか。ワクチンのサプライ。

○三宅結核感染症課長 予防接種室長以下、国会業務で3人ほど不在なのですけれども、基本的に沖縄の事例を聞いたとき、単身のMのほうはすぐ足りなくなりそうなの、MRについては十分あると聞いています。全国一律に推奨する分もありますし、更に、少なくともどこかで発生したら、そこに対して積極的疫学調査をし、その周りの人たちに推奨する分ぐらいはあると聞いております。また、予防接種室にきちんと把握して調査するように言っておきます。

○倉根部会長 岡部委員どうぞ。

○岡部委員 特に、アウトブレイクを起こしたところだけに足りなくなってきたり、前、申し上げたような供給の問題が出てくるので、そういうところがぜひスムーズにいくように動いていただければと思います。

 最後、もう一点お願いなのですけれども、かなりの方がワクチンを受けているという日本の状況だと、多分、これは物すごいアウトブレイクにはならずに、やがておさまっていくだろうと思うのです。でも、ポケットのようにこういう状況はいつでも起こり得るので、これがおさまったときにこそ、いろいろな未接種の方とか、もちろん定期接種もそうですけれども、そのポケットをなくしていくということを、風しんも含めて、ぜひ対策をやっていただきたいと思います。

○倉根部会長 御意見ありがとうございました。

 大石委員、どうぞ。

○大石委員 麻しんの話題に続いて発言しておきますが、今回の沖縄県における麻しんのアウトブレイクについては、感染研も支援しておりますけれども、基本的に沖縄県がかなり懸命に対応されておりまして、先ほどの予防接種も3万ドーズを接種したということを聞いています。これからゴールデンウィークを控えておりますので、まだまだ気を抜くところではなく、今後も経過を注視していく必要があろうと考えておるところであります。

 一方で、今回の麻しんの沖縄県のアウトブレイクにかかわらず、麻しんのアウトブレイクにおいて共通して言えることを、先ほど御紹介がありました麻しん・風しんの感染症特定指針改定の小委員会の中でも議論しているところであります。

 1点は、これまでも言われていることで、アウトブレイク発生時の患者さんの情報の共有の仕方を、一定の基準で各自治体がある程度足並みをそろえるということがあろうかと思います。

 もう一つは、医療関係者、児童福祉施設及び学校等の職員に対して予防接種の推奨を行う必要がある点です。これは、特定指針の中に既に書き込まれている文言ではあるのですが、もう一歩実効力を伴っていない。相変わらず医療機関、医療従事者、その受付の方も含めて、そこで感染拡大の機会をつくってしまっているというのは事実なので、もう少し踏み込んだ対策を指針の中に書き込むことも必要ですし。厚労省には具体的な施策実施の仕組みも考えていただく必要があるだろうと思います。

 以上でございます。

○倉根部会長 越田委員、どうぞ。

○越田委員 実は、金沢市はちょうど1年前に、麻しんのアウトブレイクが起こりましたが、幸いに最終的には3次感染に至ることなく、2次感染も含め4名の感染者で終了したという事案がございました。

 私はこの事案に直接かかわっておりまして、機会があったらお話しをしたいと思っていたことが3点あります。

1点目は、ワクチンとガンマグロブリン製剤の確保です。昨年のアウトブレイクの際には、石川県が中心になって下さいまして、県内の問屋さんの協力を得て、何とかワクチンを確保できました。ところが、妊婦さんや免疫不全状態の方にはワクチンを接種することはできません。この方々に、我々はガンマグロブリンの投与と考えたのですけれども、静注用製剤は保険適用がないこと、筋注用製剤がなかなか手に入らなかったことで、いろいろと議論を重ねました。妊婦さんに10ccもの筋注を行うのは如何なものかと。

 静注用製剤に保険適用あれば、より安全だと思いつつも、最終的には筋注致しました。何らかのリスクがあって麻しんの感染を受けたら大変なことになるという方に対して、ワクチン以外の手段、すなわちガンマグロブリン製剤の投与を速やかにかつ安全に行うことができればと思いました。どうか御検討いただければと思います。

 2点目は、患者さんの立ち寄り先の施設の公表です。我々の事案も発端は小学校の入学式でした。この小学校名をすぐに公表できなかったこと、その後も、患者さん達が立ち寄った店舗等の公表についても、公表先の了解を得ないと公表できないという状況でした。医療機関にとっては、迅速な診断のために、正確な疫学的情報が公開されるべきであると思います。根拠のない風評が立つことを防ぐためにも、立ち寄り先等の情報公開に関して何らかのガイダンスがあればと思いました。

 3点目は、教育関係への感染症対策です。今ほど岡部先生がおっしゃった、ワクチン接種についてです。今回インデックスケースの方が参列された入学式は結構大きな規模の小学校でした。684人の児童のうち、1回もワクチン接種していなかった児童は4人しかいませんでした。ところが、教職員は43人いらっしゃいまして、そのうち患者が2名出たのです。すなわち、二次感染者3名のうち2名が当該小学校の教員だったのです。43名の教職員のうち、2回のワクチン接種を済ませていたのは9人だけだったのです。これは大きな問題です。金沢市の教育長にもお話しさせて頂きましたが、教員採用試験で採用が決まった段階で、せめてVPDの4疾患(麻しん、風しん、水痘、流行性耳下腺炎)に対しては、教育現場に出る前に、対処をすべきではないかと思います。

 このことは、保育関係者にもいえることです。2回目の定期接種時期は年長さんですので、保育所には1回しか接種していないお子さんが大半で、ゼロ歳児は未接種です。このような観点から、保育所や幼稚園等の先生方にも是非2回接種を行うなど、VPDに関しては、あらかじめ万全な対策をとっていただくという何らかのガイドラインがあるといいなということをつくづく感じた次第です。

 以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 事務局、いかがでしょうか。

○野田結核感染症課長補佐 ありがとうございます。

 先ほど大石委員からもございましたように、現状、大枠といたしましては、麻しん・風しんをあわせて予防指針の改定を行っているところで、その大きな方向性については、また小委員会の中で御議論いただいて、予防指針の改定案が作成された段階で、次、感染症部会に上げさせていただきたいと思っております。

 また、何回かございました公表の基準に関しましては、今、都道府県別にばらばらで、統一の基準なく公表されているところがございます。それは麻しんのみならず、あるいは1類感染症であってもそのような状況であるところがございます。そのようなこともございまして、現状は、昨年になりますけれども、まずは手始めという形で、1類感染症に関して、どのような形の公表の統一的な基準ができるかということの検討を始めたという状況でございます。

 基本的に感染症という観点で言いますと、さまざまな病原性とか感染のしやすさ、しにくさという観点で多少の違いはあるにせよ、ある程度公表の基準の方向性自体はそれほど違わないところもあろうかと思いますので、1類感染症の検討会でまず議論した上で、さらにそれを麻しんなどについても広げていきたいと考えております。

○倉根部会長 今、江浪室長、おいでになったのですけれども、麻しんのワクチンの供給はどうだということに関し、事務局からその状況のコメントをいただいて、次の8から11に移りたいと思いますが、振ってもよろしいですか。

○江浪健康課予防接種室長 ありがとうございます。

 先ほど三宅課長から既にお答えいただいたと聞いておりますけれども、麻しん・風しんのMRワクチンに関しましては、現時点で潤沢にございまして、これは2年前に同様に麻しんの局所的な発生によりまして、少しワクチンが足りないのではないかということになってしまった時点とは、大分異なる状況だと考えております。具体の供給量に関しましても、あるということだけをお伝えしても安心感はなかなか伝わらないかなと思いますので、しっかり数字を整理して、今後の供給見込みをお示しするようにしたいと考えております。

○倉根部会長 ありがとうございました。

 山田委員、どうぞ。最後の質問とします。

○山田委員 エキノコックスで1つ御質問があるのですけれども、ここに書いてあることだと動物の検査をするというのが犬になっていますが、基本的に中間宿主であるネズミ類がいなければ感染のサイクルは回らないはずであります。したがって、ここの3例にネズミとの接触云々でどういう疫学的リンクがあったか、これはなかなか難しいと思うのですけれども、そこを調べる必要もあると思うし、一方で、もしサイクルが回っているのだとすると、ネズミにおける保有率が結構上がっている可能性がある。ネズミを調べる必要があるし、そのネズミの種を特定する必要があると思うのですけれども、ぜひそういうことをお進めいただきたいと思います。

 それから、ここで野犬という表現をされているのですけれども、これはあくまでも愛護センター等で保護された放浪犬だと思うので、これも誤解を招く表現だと思いますので、そこはよく検討していただきたいと思います。

 それから、麻しんでも1つお願いがあるのですけれども、定年後、割とワイドショーなどを昼間、見る機会があって見ていますと、今回のアウトブレイクに関して、30代、40代の人たちが1回接種しか受けていないという言い方をするのですけれども、1回接種を受けた人の中のどのぐらいの割合に抗体がついていなくて、リスクがあるかという説明はまるでないし、それ以外の世代の人に関しては、調べてもわからないとか、母親が死んだからわからないという形で、やたら不安をあおるような番組形成がされている。

 先ほど岡部先生がおっしゃったように、日本の現状を考えれば、大きなアウトブレイクにつながる可能性は極めて低いと思いますし、多分、スポラディックに起こる。それから、どこかでハイリスクの患者さんがいても、ほとんどハードイミュニティができているので、御本人にワクチネーションできなくても、かなりの確率でプロテクトはいくと思うのですね。そういうこともきちんとメッセージとして出していただかないと、風評被害が生じて、沖縄への渡航キャンセルの人が出るとか、いろいろなことが起こってくると思うので、その辺、ぜひ注意していただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○倉根部会長 それでは、事務局からの今のコメントをもって、次に移りたいと思います。

○磯貝結核感染症課感染症情報管理室長 山田委員、ありがとうございます。

 愛知県のほうで今、動物関係の疫学調査をしております。私が聞いているのは、犬を中心にやられておるということで、中間宿主のネズミの調査の重要性についても、研究班、それから愛知県の動物疫学担当のほうに情報をインプットしたいと思っております。

 また、野犬の表現については、今後、留意していきたいと思います。

 ありがとうございます。

○倉根部会長 それでは、事務局から。

○高倉結核感染症課長補佐 麻しんについてですけれども、御指摘のとおりでして、流行予測調査といって抗体価を調べている調査がございます。そうすると、麻しんに対する抗体は、ほぼ全ての年齢で高い値が保たれております。そのようなことも含めた上でのいわゆる情報発信という意味では、確かにちょっと至らないところがあるのかもわかりませんので、そのあたりも情報共有やリスクコミュニケーションという観点で、予防指針の改定の中で議論していきたいと思います。

 ありがとうございました。

○倉根部会長 ありがとうございます。

 それでは、次に移ります。報告事項の8、9、11について事務局から御説明、報告をお願いいたします。

○高倉結核感染症課長補佐 8番の「結核患者の感染症病床への入院について」、資料12をごらんください。

 こちらは、「平成29年の地方からの提案等に対する対応方針」に対して対応したものでございます。地方から、結核患者を結核病床ではなく、感染症病床に入院させることができないかという提案がございました。それに対しまして、医療法の規定あるいは院内感染対策の観点等を踏まえまして、この資料12の下のほうにありますような通知を発出いたしました。

 すなわち、結核患者については、同室に入院させることによって病毒感染の危険のある患者を同室に入院させないことを遵守できている場合において、感染症病床に入院させることが可能である。

 ただし、院内感染防止の観点から、空気感染に対応できるような設備が必要である、という通知を全国に発出したところでございます。

○繁本結核感染症課長補佐 続きまして、報告事項の9「日本HTLV-1学会関連疾患診療施設登録制度について」、報告させていただきます。資料13をごらんください。

 先週通知させていただいた事務連絡ですけれども、日本HTLV-1学会が登録医療機関というものを設置いたしました。もともとHTLV-1の対策としては、HTLV-1総合対策に基づいて推進しておりまして、その重点対策の一つに相談支援の充実というのがあります。我々厚生労働省としましては、これまで厚生労働省のホームページに全国の相談窓口を公表しておりましたが、さらに専門的なキャリアの相談と支援ができる医療機関として、日本HTLV-1学会が中心となりまして、専門的な相談ができる医療機関というものを登録していくというシステムができました。

 現時点で、ここに記してあります6つの医療施設が登録されてございます。ですので、全国の保健所等でキャリアの相談に困ったときとかに、こうした医療機関に相談するとか患者さんを紹介するといった対応として利用していただきたく、このたび通知を出したところでございます。

 以上です。

 続きまして、報告事項の10SFTS相談医療機関について」、御説明させていただきます。

 資料14をごらんください。SFTS、重症熱性血小板減少症候群の相談体制ですけれども、西日本を中心に発生してございます。ちょうど今、暖かい季節になりまして、ダニもふえてきて、こうした感染症もふえてくる季節でございます。2年前から医師主導の臨床研究が施行されてございましたが、昨年度をもって、一応、結果が出たということで終了しております。

 これまでは、施設に患者さんを結びつけることによって臨床研究に参加することができたのですけれども、これからはそれができなくなってくるということでございますので、参加された医療機関を公表することで、そこにまず相談していただくと、臨床研究自体は終わっておりますが、これまで患者さんの診療に携わったSFTSに詳しい先生方がおられますので、どのように治療したらいいか、どういうふうに対応するのがいいかという御助言をいただけると考えて、別添になりますが、約30の医療機関を御紹介しております。

 以上でございます。

○嶋田結核感染症課専門官 報告事項11です。結核感染症課の嶋田です。

 資料15をごらんください。感染症対策に関する行政評価・監視の結果に基づき、昨年12月に勧告された内容と、その対応について御説明させていただきます。

 まず、行政評価とは、総務省行政評価局が、各府省の業務の現場における実施状況を調査し、各府省の課題や問題点を把握・分析し、見直し・改善方策を提示するものです。

 今回調査対象として感染症対策が選定された背景としては、近年、海外においてエボラ出血熱やMERSなどの国際的に脅威となる新興・再興感染症が発生したこと。グローバル化の進展に伴い、国境を越えた人や物資の移動がより迅速・大量となり、感染症が世界規模で広がりやすい状況であること。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、国は旅行者の受け入れ環境の整備を推進していることがあります。このようなことから、検疫感染症の国内侵入に備えた水際対策、国内の蔓延防止対策についての調査が行われました。

 主な結果・勧告の内容とこれらを受けた厚生労働省の対応方針については、次のページで説明させていただきます。

 主な調査結果としては、大きく分けて3つありまして、1つ目は、検疫についてです。入国時の渡航歴等の申告や健康状態の報告が遵守されていないことでした。2つ目は、感染症指定医療機関についてで、指定医療機関の診療体制等の整備状況がまちまちであること、院内感染防止措置が十分でないことでした。3つ目は、感染症患者等の搬送手段等の確保が十分でないことや、搬送訓練が十分でないことでした。

 厚生労働省としては、これらを受けまして、以下の対応を行うこととしています。

 1つ目の検疫としては、入国審査と連携した、渡航歴の申告の周知徹底等を行うこと。健康監査業務の適切な運用の確保として、罰則適用の取り扱いも含めた報告遵守方策の検討・運用徹底等を行うこと。

 2つ目の感染症指定医療機関については、指定医療機関の診療体制等の適切な整備については、指定医療機関の診療体制等の実態把握を行い、その結果に基づく改善措置を講じることや、制度の枠組みや指定基準等の見直しの検討を行うこと。

 最後に、搬送手段等の適切な確保につきましては、搬送手段等の総点検、改善指示・助言等を行うこと。搬送訓練の適切な実施として、検疫所への訓練の実施基準の提示、保健所への効果的な訓練の実施事例の紹介等を行うこととしています。

 厚生労働省では、総務省調査結果を真摯に受けとめ、全都道府県に対する実態把握等に着手しています。

 以上が説明となります。

○倉根部会長 どうもありがとうございました。4つの件について御説明いただきました。

 何かここでございましたら、受けたいと思いますが、よろしいですか。はい。

 では、この4点につきましては、特に御質問等、ないということかと思います。

 大石委員、どうぞ。

○大石委員 急性弛緩性麻痺の届出の開始について、発言させてください

 このサーベイランスが5月1日からスタートするということです。

 この届出の開始に関連して、急性弛緩性麻痺を認める疾患のサーベイランス・診断・検査・治療に関する手引が感染研のホームページに掲載されております。急性弛緩性麻痺の概念については、十分な周知が一般の医療機関にできていないのではないかと推察されますので、ぜひ利用していただければと思います。

 以上でございます。ありがとうございます。

○倉根部会長 事務局、何か今ございますか。

○高倉結核感染症課長補佐 手引が完成した点は御連絡いただいておりますので、その手引ができて公開されているということもあわせて情報を自治体のほうに提供したいと思います。

○倉根部会長 ありがとうございます。

 では、本日の議題につきましては、これで終了としたいと思いますが、事務局、何かございますでしょうか。

○野田結核感染症課長補佐 事務局からでございます。

 次回の開催でございますが、6月15日の金曜日、15時から17時で予定しております。

 事務局からは以上になります。

○倉根部会長 本日は、各委員の方々には大変活発に議論いただきまして、ありがとうございました。

 それでは、本日はこれで終了といたしたいと思います。ありがとうございます。


(了)

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