ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会)> 第53回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録(2019年3月8日)
2019年3月8日 第53回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録
職業安定局雇用開発部建設・港湾対策室
○日時
平成31年3月8日(金)10:00~12:00
○場所
中央労働委員会第205会議室(2階)
(東京都港区芝公園1-5-32)
○出席者
公益代表
鎌田座長、小野委員、勇上委員 |
労働者代表
大森委員、小倉委員、勝野委員、曽根崎委員 |
使用者代表
大木委員、土屋委員、最川委員、渡辺委員 |
事務局
吉野建設・港湾対策室長、藤井建設・港湾対策室長補佐 |
○議題
(1)建設雇用改善計画(第九次)の実施状況について
(2)建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条第1項の規定による実施計画の認定等について(非公開)
(3) その他
○議事
○藤井建設・港湾対策室長補佐 皆様、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから、第53回「建設労働専門委員会」を開催いたします。
私、厚生労働省建設・港湾対策室の藤井と申します。冒頭は、事務局が進行させていただきますので、よろしくお願いいたします。
会議に先立ちまして、1点御連絡ですが、今、皆様の前にタブレットを御用意しております。厚生労働省では、業務の効率化を図る目的で、昨年10月から、省内の会議あるいは審議会等につきまして、原則ペーパーレスで行うこととしております。この委員会におい
ても、資料は原則、お手元にあるタブレットを操作して御覧いただくことにしておりますので、御了承願います。
それでは、資料の確認をさせていただきます。タブレットの中に資料を保存しております。議事次第、資料1-1から資料3、及び参考資料1、2の資料を保存しております。画面を指で押さえると資料が開きます。左上のマイプライベートファイルを押していた
だければ、資料が閉じますので、よろしくお願いいたします。途中で操作方法がわからなくなった際には、事務局にお申し出をいただければと思います。
次に、今年度、新たに選任されました委員の方を御紹介させていただきます。参考資料1として、委員の名簿を載せておりますが、昨年8月1日付で、岩永委員にかわりまして、日本建設産業職員労働組合協議会政策企画局次長の大森一真委員が労働者代表委員として就任されております。どうぞよろしくお願いいたします。
○大森委員 日建協の大森でございます。よろしくお願いいたします。
○藤井建設・港湾対策室長補佐 なお、本日は、建設キャリアアップシステムの取組について、国土交通省土地・建設産業局の山影企画専門官から御説明いただくことになっております。
そして、本日、出席を予定していました雇用開発部長の北條ですが、急遽、国会用務のため欠席とさせていただきます。御了承ください。
それでは、開会に当たりまして、事務局を代表しまして、建設・港湾対策室室長の吉野より御挨拶申し上げます。
○吉野建設・港湾対策室長 改めまして、おはようございます。
今、申し上げたとおりで、本来であれば雇用開発部長、北條のほうから御挨拶をさせていただくところですけれども、急遽、出席することがかなわないことになりましたので、私のほうから御挨拶をさせていただきたいと思っております。
まず、本日は、年度末のお忙しいところ、皆様方には御参集を賜り、まことにありがとうございます。また、日ごろから労働行政の推進に多大な御協力、御尽力をいただいておりますことを、この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思っております。
最初に、昨今の統計の問題等々を含めて、国民の皆様方に非常に御迷惑をおかけしていることを、改めてお詫び申し上げたいと思います。我々としましても、今後の追加給付に向けての取組、そして再発防止を含めて対応していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
さて、建設業界のお話は、もう皆様方、十分御承知のことと思いますが、先日、国土交通省から公表している就業者数等々の状況を拝見させていただいております。本日も数値などは後ほど御説明申し上げますけれども、建設業就業者全体の伸びといいますか、いわゆる技能労働者の方々の数というのは減少しており、かつ高齢化が進んでいるということが見てとれるデータになっております。
当然ながら、労働力を確保して、産業自体を発展・維持させていくということが、我が国の共通の課題ということになりますが、特に建設業界に関しては、昨今の建設投資が増加傾向にあるという中で、他の産業よりも厳しい状況に置かれているということを、我々
も受けとめとして思っているところでございます。
また、加えて、昨今は、全国各地でさまざまな想定を超える災害が発生しております。
そういった中で、建設業界の皆様方には、本当に迅速な御対応をいただいていると我々も思っております。一方で、被災の都度、災害復旧・復興に力を尽くされておられます建設業界の社会的な役割というのは、ますます大きくなると思っておりますので、建設業が我が国の社会基盤を支えているということに加えた上で、こういった使命もまた強くなってくると思っているところでございます。我々厚生労働省としても、国土交通省を含めて関係機関と連携して、さまざまな施策を講じ、御支援していきたいと思います。
もう一つ申し上げると、働き方改革でございます。これに関しては、今年の4月からさまざまな法律施行が始まります。特に、建設業におきましては、人材確保の問題、長時間労働の是正を含めて、課題は山積していると思っております。この問題は、一長一短に解
決する問題でもございませんし、長時間労働の関係は5年間の猶予があると言いながらも、多分、5年はあっという間に過ぎていってしまうと思っております。こういったことを踏まえて、我々としましても、皆様方の御意見を頂戴しながら、これから施策に反映してい
きたいと思っているところでございます。
本日は議題にもございますとおり、この専門委員会で御議論いただき、策定しております第九次の建設雇用改善計画の施行状況、それから我々がこれから取り組みたいと思っている来年度の予算事業のお話、そして、国交省の方からは建設キャリアアップシステムなど、幾つか議題を提示させていただいておりますので、皆様方からの忌憚のない御意見を
頂戴できればありがたいと思っております。
本日は、よろしくお願いします。
○藤井建設・港湾対策室長補佐 それでは、本日の委員の出欠状況の御報告をいたします。
本日は、公益委員の大橋委員が御都合により欠席されております。
それでは、以後の進行は鎌田座長にお願いしたいと思います。
○鎌田座長 鎌田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
本日は、議事次第にありますとおり、議題が3つございます。1つ目の議題は「建設雇用改善計画(第九次)の実施状況について」であります。2つ目は「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条第1項の規定による実施計画の認定等について」であります。
3つ目の議題は「その他」でありまして、具体的には、1つ目は建設業の人材確保・育成に係る「平成31年度予算案の概要」について、2つ目は「建設キャリアアップシステム」について、3つ目は、「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」についてであります。
なお、2つ目の議題については、その審査につき、個別事業主の資産状況等に関する事項になりますので、審議会等会合の公開に関する指針の審議会等会合の公開に関する考え方のうち、個人に関する情報を保護する必要がある、及び公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある場合に該当するため、非公開の取り
扱いとさせていただきます。そのため、議事の進行上、3つ目の議題を先に行い、2つ目の議題を最後に行うこととさせていただきます。
それでは、1つ目の議題である「建設雇用改善計画(第九次)の実施状況について」、事務局より御報告をお願いいたします。
○藤井建設・港湾対策室長補佐 現行の第九次の計画は、平成28年度から32年度までの5か年の計画でありまして、本年度は中間年度となります。本年度の実施状況について御報告する前に、建設業の現状について触れたいと思います。資料1-1を御覧ください。グラフで現状を整理しております。
初めに、就業者数の推移について、中段左側のグラフを御覧ください。黄色の棒グラフ
で示しているのが就業者の数になります。平成30年は、前年から5万人増加し503万人とな
っております。
この503万人について、男性・女性の内訳として、女性就業者の推移をその下のグラフで整理しております。女性の就業者は、前年より6万人増え、82万人となり、就業者全体では5万人増えた中、女性の増加が目立つ結果になっております。男性の就業者は、前年より1万人減っているということになります。
なお、女性の技能労働者数については、グラフ上、前年より1万人増えて10万人となっているところですが、労働力調査を所管する総務省に実数値を確認したところ、1万人単位で調査・集計を行っているという回答でしたので、この増加した実人数、グラフでは万
人単位と表記している関係上、1万人増えているように見えますが、実際のところ、どれほど増えているのかということについては把握できない状況です。
就業者数の推移のグラフに戻っていただきまして、次に503万人の就業者を仕事別で見たときに、技能労働者については、2万ぶりに減少に転じ、3万人減の328万人という状況です。なお、グラフには掲載しておりませんが、この328万人のうち、60歳以上の方が約83万人、約4人に1人が60歳代以上ということになります。一方で、29歳以下は約37万人、建設技能労働者全体に占める割合は1割程度という状況です。
次に、就業者の年齢構成については、真ん中のグラフの年齢層の割合の推移を御覧ください。建設業において、55歳以上の割合については、最も上の赤の折れ線になりますが、就業者全体に占める割合は、昨年より0.7%増え、34.8%まで高まっております。なお、実数では、前年より5万人増え、175万人です。一方、29歳以下の若年者の割合は、一番下の折れ線で示しています。実数では、昨年より1万人増え、56万人、構成比については、全体の1割程度で推移している状況です。
ちなみに、29歳以下の若年者の就業者について、産業全体で見ますと、前年から45万人増えています。その増減を業種で見ると、建設業は先ほど申し上げましたとおり1万人増、製造業では3万人増、卸・小売は5万人増、宿泊業・飲食サービス業に至っては13万人増といった状況です。
次に、建設労働者の労働条件等の動向に関して、初めに年収額の推移について、平成30年の賃金構造基本統計調査の結果については、3月中に公表されるということで、昨年使用したグラフのままとなっております。建設業と製造業を業界比較しますと、建設業は一番下の赤の点線になりますが、製造業より低くなっております。しかし、業界単位の比較ではなく、従業員が10人から99人、100人から999人、1,000人以上と企業規模ごとで比較した場合、全ての企業規模において建設業は製造業より高い平均年収額となっております。
業界全体で比較した場合、製造業に比べて建設業の年収額が低くなるのは、建設業のほうが製造業と比べ規模の小さい企業の割合が圧倒的に高いためで、企業規模が大きいほど平均の年収額は高くなる中で、業界全体の平均値をとりますと、建設業は小さい企業規模の平均年収額に近づき、製造業は中程度の企業規模の平均年収額に近い金額となるといった結果が、このグラフの中で顕われているということになります。
続いて、週休2日制の導入状況についてです。建設業における完全週休2日制の導入状況については、事業所の規模として、常用の労働者を30人以上雇用している企業を対象とした就労条件総合調査の結果を載せておりますが、本年度、当室で実施した実態調査においても週休2日制の導入状況を確認しております。
この調査では、従業員数2人以上の全国の企業1万8,000社を対象として実施し、勤務時間制度に関する設問については、常用の技能労働者を1人以上雇用している企業のみ回答することと設定し、2,379社から回答を得ています。その結果を見ますと、完全週休2日制を導入している割合は、従業員29人以下ではおおよそ10%程度という結果となっています。
ちなみに、従業員30人以上の事業所では約19%という結果が出ております。
続いて、労働時間の推移については、毎月勤労統計調査の結果を掲載しているところですが、平成24年度以降分について、東京都の500人以上規模の事業所において抽出調査を行った際に行うべき統計的処理をした上で、再集計した値を載せております。なお、全産業の平均、製造業、建設業のいずれにつきましても、再集計前と再集計後の数値の大きな変化はなく、建設業は依然として全産業平均と比べ、年間300時間以上、実労働時間が長いという状況となっております。
最後に、労働災害の発生状況です。平成29年の休業4日以上の死傷者数につきましては、前年より71名増え、1万5,129名という状況です。また、死亡された方についても、前年を上回る323名、全産業に占める割合では33%という状況になっています。
建設業の現状については以上です。
引き続き、資料1-2を御覧ください。第九次計画に記載しています取組内容に沿って、その実施状況をまとめています。なお、平成30年度の実施状況については、昨年度の実施状況として整理した時期と同じ時点での状況を記載しております。
初めに「若年者等の建設業への入職・定着促進による技能労働者の確保・育成」(1)若年労働者の確保・育成については、マル2の建設業の魅力の発信の欄の2つ目のポツを御覧ください。本年度から、若年者の入職、そして入職後の定着促進を図ることを目的として、高校と建設業界をつなぐ取組をスタートしております。今年度の実績の見込みは、全国で66回の開催を予定しております。学校側からは、翌年度の事業カリキュラムについては、前年の12月ごろにおおよそ決めるため、新年度になってから現場見学会といった新たな取組を組み込むことは難しいといった意見を聞いているところです。
本年度の実施内容については、現場見学会や出前授業が最も多く、それぞれ4割強で、全体の8割以上を占めています。なお、この授業は委託事業で行っており、地域の要望に応じて柔軟に取組を進められるように仕様を設定しておりますが、例えば工業高校入学予定者を対象としたオープンキャンパス、体験入学を行ったところもあります。高校の種別ごとで見ますと、工業高校で29校、普通科の高校で10校、うち1校が女子校になります。あと、高等専門学校が1校、農業・林業高校が2校ということになっております。
続いて、(2)女性労働者の活躍の促進についてです。マル2の女性の入職の促進に関し、2ポツ目、建設事業主向けの助成金の中で、若年・女性建設労働者トライアルコースを設定しております。このコースは、35歳未満の若年者または女性、女性に関しましては
年齢の制限を設けておりませんが、こうした方を、主に現場作業者や施工管理者として試行的に雇用された事業主に対して助成を行うもので、このコースの利用が大きく伸びているところです。
続いて、2つ目の大項目の「魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備」についてです。
(1)の建設雇用改善の基礎的事項の達成ということで、一人親方等への対応についてです。一人親方等の死亡災害は、平成28年の75名から、平成29年には103名と大幅に増加しております。そのため、本年度から一人親方に対する安全衛生教育支援事業として、安全衛生研修会を全国の主要都市で25回実施することとしております。なお、研修会においては、現役の一人親方の意見も取り入れながら、一から研修テキストを作成し、研修を行っていると伺っております。
続いて、6ページ目になりますが、(2)マル1労働災害防止対策の推進についてです。東日本大震災の復旧・復興工事、あるいは東京オリンピック・パラリンピック関連施設における現場指導のほか、本年度から建設業労働災害防止協会(建災防)が行う安全教育、
パトロールに対する補助によって、安全衛生活動を支援しているところです。
これは、47都道府県にあります各協会支部で実施するものでございまして、それぞれの地域の建設業団体と技術研修会や勉強会を実施するほか、必要に応じて現場のパトロール、個別指導を行っているということで、例えば石川県では、電気設備の関係、熊本ではとび講習の関係で、団体と連携し、取組を進めていると聞いております。この事業につきまし
ては、来年度も継続する予定となっております。
続いて、次の大項目に移ります。8ページになりますが、「職業能力開発の促進、技能継承」のマル4、資格、教育訓練の関係です。これに関しましては、建設技能労働者の処遇向上に向けて、建設キャリアアップシステムの運用が4月から本格的に始まろうとして
いますが、厚生労働省では、現在、助成金により、建設キャリアアップシステムでは最上位のレベル4に位置づけられている登録基幹技能者への処遇向上への支援を行っております。今年度から支給要件を緩和しており、支給件数も実績が出始めています。
続いて、9ページになります。
3つ目の大項目「職業能力開発の促進、技能継承」の(3)熟練技能の維持・継承及び
活用、マル4の教育訓練の取組への支援を御覧ください。建設労働者緊急育成支援事業の実施状況を御紹介します。本事業は、平成27年度から5年間の時限で実施するもので、本年度が4年目となります。離職者や未就職卒業者などを対象に、建設業に従事するために必要な基礎技能を身につけてもらい、各種資格の取得のほか、最終的には、就職までをパッケージで支援するということで、平成27年度から29年度の3か年度で約2,700名が受講、うち約1,900人が就職に結びついたとの実績を聞いています。
最後になりますが、11ページになります。大項目6の外国人労働者への対応としまして、マル2ですが、外国人材の活用につきまして、2015年から国交省において外国人建設就労者受入事業を実施しております。この事業は、東京オリンピック・パラリンピック関連施設の整備による一時的な建設需要の増大に対応するための時限的な事業で、技能実習を修了された方を対象に、建設の特定活動従事者として受け入れるものです。新規の受け入れは2020年度まで、実施期間につきましては最長で2022年度末までとなっています。昨年11月の時点では4,244名の従事者であったところ、今年度末の時点で6,300名程度見込まれているということです。
実施状況についての説明は以上になります。
○鎌田座長 では、ただいま事務局から説明がありました内容につきまして、御意見、御発言がございましたら、自由にお願いいたします。勝野委員、どうぞ。
○勝野委員 御説明いただいた中で、労災の発生状況等の数字等も報告いただきました。死傷者数については、全体としては漸減状況にあると。ただ、死亡者の数で申しますと、減っていないと申しましょうか、むしろ増えているという状況だと思っております。
特に、その中で、私、最近気になっておりますのは、先月にも東京の大田区の物流センターと申しましょうか、倉庫で火災が発生して、現場の作業員の方が亡くなっている。また、今年に入っても、1月には、新橋駅前のビルで同様に火災が起きて、これも4人程度、病院に搬送されている。実は、昨年もかなり大きな報道になりましたけれども、東京の多摩市で43人が病院に搬送されて5人が亡くなるという火災事故が発生している。その前の年にも江東区の物流センターで火災事故が発生しているということで、この一、二年の間でも4件、大きな火災事故が発生しているということであります。
詳細な原因等については、私も承知していないのですが、新聞報道等によれば、それぞれ鉄骨材を切断する際に、火花が近くにあった、または下にあったウレタンの断熱材に引火して火災が発生する。こういった状況になっている。この4つの現場の火災事故は、ほぼ同様の原因が指摘されているところなのです。
そういったことからしますと、こうした鉄骨材、当然火花が出るような作業の近くに断熱材があるということ自身が問題ではないのかと思っているのですけれども、そういったことも含めて、しっかりとした原因の解明・追及と対応・対策をとっていただく必要があ
るのではないかと思っています。かなり多くの現場の従事者が被害に遭っていることから考えても、しっかりとした対応をとっていただきたいと思っているところであります。
以上です。
○鎌田座長 ありがとうございます。
この件について、個別事例については難しいところがあると思いますが、もしコメントがあればお願いいたします。
○吉野建設・港湾対策室長 ありがとうございます。
今、勝野委員からお話のあった労災の関係ですけれども、まず、お亡くなりになった方々のご冥福と、負傷された方々にお見舞いを申し上げます。
一義的に思いますには、先ほど少しお話ししましたが、最近、建設投資が増えてきた、いわゆる現場が増えてきた。当然、これは業界にとって良いことだと思いますが、現場が増えると、どうしてもそれに比例して、こういった大きな事故から小さな事故まで増えて
くるというのが、これまでの状況だったと思っております。それを当然よしとするわけではないのですけれども、要因の一つとしてはあると思っているところであります。
それから、原因に関して、今、勝野委員から御紹介があった大きな事故等を含めて、我々も報道等で見る限りにおいては、いわゆるウレタン系の資材に引火する。これは、当然、労働基準局の所掌になりまして、我々としても本日のお話は担当に伝えさせていただきますけれども、元々労働安全衛生法上のいろいろな施策等々を含めて、ウレタン系には養生しなければいけないとか、現場で作業するときには外さなければいけないといった形での指導はしているはずですし、東京労働局でもこういった大きな事故が続く中で、その都度対策班を設けて集中的に指導・監督していると聞いております。
我々の状況としては、そういったことを続けるしかないと言ったら申し訳ないですけれども、先ずこれらから取り組まなければいけないと思っています。
一方で、これは私の個人的な感想になってしまうかもしれませんが、私も地方の労働局で、安全パトロールの経験がございます。正直言って、我々が行く現場はそれなりに対応していただいていますから、安全パトロールに行ってもきっちりやられているというとこ
ろはあるのですけれども、皆さん御存じの通り、建設の場合の労働災害の主な原因の一つは、転落・転倒の事故だと思っています。これも、昔からいろいろなことを申し上げ、いろいろな施策を打っているのですけれども、この部分はなかなかなくならないといいまし
ょうか、依然として死亡災害を含めて、いろいろな要因の大きな一つになっていると思っています。
従いまして、何度もしつこいぐらいに、現場に周知、パトロールするということがまず肝要かなと。マンパワー、人間のヒューマンミスということは非常に大きいと思っていますので、そういったところの認識を常に持っていただき、現場でもやっていただきたいと
思っていますし、我々行政も含めて、現場に行った際にはそういったことを注意喚起させていただくということが、まず肝要なのかなと思っております。
以上でございます。
○鎌田座長 勝野委員、どうぞ。
○勝野委員 何度も済みません。
先ほど御報告した幾つかの火災現場、私どもの組合員も、2つの現場で合わせると4人が亡くなっておりまして、ほかの現場を含めて多くの組合員が搬送されているところです。
実際に現場で火災が起きたときに従事していた組合員の話を聞いてみますと、火災が発生した際の対応と申しましょうか、火災が発生している、避難をしろといった指示がすぐに出されなかった、実際に何が起きているのかわからなかったという声も幾つか聞いているところであります。そういった点からしますと、そうした災害時なり非常時が発生した際の避難の指示でありますとか警告等々の対応も含めて、ぜひ徹底をお願いしたい。
あと、多摩の現場では建設中ということもあって、館内全体に対する放送設備、アナウンスの設備がついていなかったことが、1つ要因としてあるのではないかということが指摘されておりますので、そういったことも含めて、ぜひ対応の方をお願いしたいと思います。
どうもありがとうございます。
○鎌田座長 渡辺委員。
○渡辺委員 御指摘どうもありがとうございます。
今までこの問題は、10年以上前から死亡事故が発生してしまって、非常に痛ましい結果になっているわけですけれども、朝礼等で作業はどこだと毎朝言うわけですが、死亡に至る重大なことだという認識がどうしても薄れてしまう傾向があります。今、勝部委員がお
っしゃっていただいた、もし起きた場合の対処は、ただ消火器を置けばいいというものじゃありませんので、今、おっしゃった放送設備で全館にアナウンスするみたいなことを前もって決めておく必要は確かにあると思いますので、そこのところまでの対策というもの
は日本建設業連合会としても徹底したいと思います。御指摘ありがとうございました。
○鎌田座長 小倉委員、どうぞ。
○小倉委員 資料の8ページ、3で「職業能力開発の促進、技能継承」というところになりますが、そのマル4、資格、教育訓練、処遇を関連づけたキャリアパスの検討への支援ということで、右側の列の2ポツ目で、人材確保等支援助成金による登録基幹技能者の処
遇向上への支援という項目がございます。前年度同期で比較すると、ゼロから11件に件数は増えているわけですけれども、なかなか周知あるいは活用が進んでいないのではないかと思っております。
本年4月からCCUSが本運用、スタートするということで、活用が今後伸びていくことが当然想定されるわけですけれども、例えば、再来年度の概算要求に向けて、登録基幹技能者だけではなくて、他の資格も対象にするとか、CCUSにおける各レベルに応じて処遇改善を図った場合に支給対象にするとか、こういったことも含めて、技能者全体の処遇改善を図っていく視点をさらに強めていく必要があると思っているわけですけれども、その点について、厚労省としてどういうお考えがあるのかというのを教えていただければと思います。
○鎌田座長 よろしくお願いします。
○吉野建設・港湾対策室長 ありがとうございます。
まず、キャリアアップシステムの関係につきましては、この後、また国交省の方からいろいろ御説明いただけると思っております。
今、小倉委員がおっしゃったように、登録基幹技能者の処遇改善のコースをつくらせていただいておりますが、我々の周知不足もあって、なかなか利用が進んでいないのが現状だと思います。一方で、今年の4月からキャリアアップシステムが本格的に稼動するということを前提に考えますと、この登録基幹技能者、いわゆる4つの段階で言うと一番上、ゴールドになろうかと思いますけれども、それのみならず、それ以外の技能労働者の方々の処遇改善に関しても、我々の助成金の中で一定の御支援ができないかということは、これから考えていきたいと思っております。
技能労働者の方の賃金に関しては、先ほどの説明の中で、まだ今年度の数字が出ていないのですが、傾向としては、公共事業労務単価の引き上げ等々もここ数年、続いておりますし、そういった下支え、底上げという意味では、動いているのだろうということは想定しておりますが、さらに製造業を抜いて全産業に近づけるということの中で、このキャリアアップシステムの活用が我々としても一つのキーポイントであると思っています。
支援の中身をどのように助成金に仕込んでいくかということに関しては、これからキャリアアップ、進んでいくにしても、今年の4月からということになりますので、我々も加入状況等々も含めて、国費を投入するという意味では勘案しなければいけない部分もある
と思いますので、そういったところも横にらみをしながら、この処遇改善に関する建設労働者の助成金の支援の方法というのは、来年度要求に向けて考えていきたいと思っています。
○鎌田座長 よろしいですか。曽根崎委員。
○曽根崎委員 ありがとうございます。
外国人労働者の対応についてですが、私も詳しく知っているわけではないですが、政府のほうで受け入れを拡大していくという方針が出されていて、今でも外国人労働者の方が大勢、国内で働いていて、ほかの産業から最低賃金以下で働かせられたりといった、いろいろな問題が発生していると思います。こちらのほうに、外国人労働者の雇用管理の改善等に関してということで、事業主が適切に対処するということでその指針がつくられているということで、私も不勉強で申し訳ない、中身を存じ上げないのですが、そういった外国から来られる方が劣悪な状況の中で働かせられるというか、そういった環境の下に置かれないように、しっかりとチェックしていくようなことをお願いしたいと思っています。
○鎌田座長 何かコメントありますか。
○吉野建設・港湾対策室長 ありがとうございます。
外国人労働者の関係は、今年の4月から入国管理法が改正されて、いわゆる特定技能という新たな資格ができるということでございます。そういった中で、幾つかの業界で手を挙げていただいており、建設業のほうも国交省が中心になって、監理団体等の設置も含めて、今年の4月に向けた取組をされていると承知しています。
ここに記載してある外国人労働者の雇用管理の改善の指針ですけれども、これも先般、労働政策審議会のほうで決定させていただき、今まで一部の事業主の方が安い労働力として活用していたということは、当然改めなければならないということがありますので、厚労省としては、全般的な外国人労働者の方々の指針というものを先般策定させていただい
ております。
一方、国交省で実施されている事業は、建設業の関係は、今までもオリンピック・パラリンピックの関係ですとか、技能実習も含めて、ある意味先行して建設業界は、外国人労働者の方々を活用されているのかなと見ております。そういった中で、今年の4月からの新たな特定技能ということでの外国人労働者の対応に関しましても、いわゆる日本人の方々の処遇がそれによって影響されることがないようにといったこと。そして、当然、外国の方ですから、文化も習慣も違うわけですので、そこに対応していかなければいけないということも含めて、さまざまな方向性をこの指針に書かせていただいたと思っております。
従いまして、この指針に基づいて、それぞれの省庁でいろいろと取組をしていただくことになりますが、我々厚労省としては、全般的なトータルな対応ということをこれから心がけていきたいと思っています。
○曽根崎委員 よろしくお願いします。
○鎌田座長 私のほうから、外国人のことでちょっとお聞きしたいのですが、いわゆる統計的なことですけれども、今、ここの資料1-1に主に建設業全般と若年者、女性、あるいは技能労働者という区分けでデータが出ていますが、建設業における外国人の推移とか、あるいは外国人の方に絞ったさまざまな労働条件、あるいは労災、被災率といったものは、データとして集めようと思えば出てくるものなのでしょうか。
○吉野建設・港湾対策室長 ありがとうございます。
済みません、今、手元にないので申し訳ないですが、外国人労働者全体の数ですとか、多分業界ごとの数値もあったと記憶していますので、それをまた皆様方に後ほど御紹介なり、メールなりで送らせていただきたいと思います。
ただ、労災事故の関係部分があったか、関係部署にも確認して情報提供させていただきたいと思っております。
○鎌田座長 いや、今すぐにということではなくて、例えば来年度以降、議論する際に、4月から新たに受け入れということが始まるわけですから。そうすると、人手不足の解消とか、いろいろなことがよく言われる中で、外国人の方の就労環境をどう向上させるかと
いうことが話題になるときに、今、ここに出されているデータですと、外国人のものが全然ないものですから、それは少し御用意いただくようなことができるのかどうかという趣旨でお聞きしたのです。
○吉野建設・港湾対策室長 わかりました。御用意はできますので、事務局でデータ収集していきたいと思います。
○鎌田座長 では、よろしくお願いしたいと思います。ほかにございますか。よろしいですか。
それでは、次の議題に移りたいと思います。先ほど御案内したとおり、3つ目の議題「その他」を先に行うことといたしたいと思います。それでは、建設業の人材確保・育成に係る平成31年度予算案の概要について、事務局から御報告をお願いいたします。
○藤井建設・港湾対策室長補佐 資料2-1になります。幾つかピックアップして御説明
いたします。
初めに、4ページを御覧ください。
建設事業主・建設事業主団体に特化した助成金の概要をまとめております。来年度、支援のコース自体に変更はございませんが、一部、助成率、支給要件を見直しておりますので、主な改正点について、御説明させていただきます。
まず、見直しの1点目ですけれども、人材開発支援助成金、認定訓練コースの賃金助成です。これにつきましては、受講者の実際の年齢層を踏まえ、受講者1人1日当たりの単価を、現在は4,750円のところ、3,800円に見直ししております。
続いて、見直しの2点目ですけれども、技能実習コースの助成対象についてです。e-ラーニング方式を含む通信制(新規)と記載しております。現在、建設業法で規定しています技術検定に関する講習も助成対象の一つとしておりますが、現在は訓練施設に通学する場合のみを助成対象としています。しかし、通信制の講座も開講されているということ、また通信制であっても履修の状況を確認できるということから、平成31年度から経費助成の対象とするものです。
見直しの3点目ですけれども、4月から本格運用が開始されます建設キャリアアップシステムの普及、技能者登録のインセンティブを図るといった趣旨で、賃金助成の単価を引き上げる措置を来年度、予定しております。これも支給申請時点におきまして、助成対象
となる受講者が既にシステムの登録を終えている方、あるいは技能者登録を申請している者であった場合に、賃金助成額を10%割り増しする改正を予定しております。
見直しの4点目になります。生産性向上助成ということで、認定訓練コース及び技能実習コースにおいて、生産性向上した場合の助成について、その取り扱いを見直します。現在、この助成金を含め、雇用関係の助成金の多くに、労働生産性が達成された場合に助成額を割り増しするメニューを設けております。現在、この労働生産性については、3年前との比較でその伸び率を確認しているところですが、次年度以降については、助成金を活用した企業活動の成果の一つとして、3年後において労働生産性が伸びているかを確認し、その要件が果たされていれば、割り増し分を別途支給するという成果主義型に移行することになります。
以上が助成金の改正点の主な概要になります。
続いて、8ページを御覧ください。
時間外労働等改善助成金についてです。労働基準法の改正に伴いまして、建設業においては、5年後の2024年4月以降、罰則つきの上限規制の一般則が適用されます。こうした中で、事業主あるいは事業主団体による長時間労働の是正に向けた取組を支援するもので、本年度から中小の建設事業主も支給対象となっております。
表の中の一番上のコースが中小事業主向けのコースで、一番下が団体推進コースとなっております。事業主団体に対する助成については、本年度の予算額を括弧で記載しておりますが、4億3,000万のところ、平成31年度は、多くの団体の利用を見据えまして30億円と、大幅に予算を増額する予定となっております。
続いて、最後になりますが、12ページから14ページまで、安全衛生活動の事業を載せております。継続的な取組ではありますが、1点、13ページになりますが、一人親方等の安全衛生活動支援事業について、新たに行う取組がございます。事業概要の3つ四角がある中の3番目で、平成31年度には、一人親方が入場しています現場に対する巡回指導を新たに行う予定ということです。この取組は委託事業になりますが、建設業の団体と情報を交換しながら現場を特定し、また実際に巡回指導する指導員については、委託先で責任者を選定、あるいは委託先から建設団体に協力を依頼するといったことを想定して実施していきたいと考えているところです。
駆け足になりましたけれども、説明については以上になります。
○鎌田座長 ありがとうございます。
それでは、この件につきまして、御質問、御意見がございましたら、自由に御発言ください。小倉委員、どうぞ。
○小倉委員 資料の4ページ、建設事業主等に対する助成金の概要ということで、右側に人材確保等支援助成金ということで囲まれておりますが、その下の赤字の※の2つ目のところです。人材開発支援助成金の賃金助成について、建設キャリアアップシステム技能者情報登録者の場合は、10%加算しますということで入っております。ここの部分については、来年度1年度限りとなっておりますけれども、CCUSにおいては、5年間の間に全技能者登録をしていくという形になっておりますので、例えば単年度ではなくて、複数年度の制度として運用していくといったことも、CCUSの登録のインセンティブとしては必要になってくるのではないかと思っているのですが、その辺、どのようなお考えを持たれているのか、もしあれば教えていただきたいと思います。
○鎌田座長 事務局、お願いします。
○藤井建設・港湾対策室長補佐 現在のところは、単年度と考えていますけれども、実際、31年度の登録者数の伸び等を見たときに、今回割り増しをするのは、登録の促進を図るというのが趣旨でありますので、その意味では、このコースを次年度以降も設けていくというのは、1つ考えとしてはあるかと思います。
ただ、一方で、こういった割り増しの助成金を設けたけれども、登録が進まないといった場合に、果たして助成金による支援が登録のインセンティブにつながっているのかといった効果の面についても見る必要があると思っています。
あと、細かいところですけれども、仮に継続した場合に、既に事業主のほうで技能者の登録を済ませている場合、このコースがあることで、常に割り増しの助成が受けられるということになると、それは制度の趣旨に反してきますので、そこをどうやってチェックし
ていくか、これについては労働局の支給審査事務の負荷との兼ね合いになってきますので、そういったところも総合的に考えながら検討させていただければと思います。
○鎌田座長 追加でありますか。よろしいですか。ほかにございますか。よろしいですか。
それでは、続きまして、「建設キャリアアップシステム」についての御説明をお願いいたします。
○山影国交省専門官 国土交通省の山影でございます。
お手元の資料2-2を開いていただけますでしょうか。昨年度もこの場で建設キャリアアップシステムの状況を御説明させていただきました。その後、システム開発の進捗の遅れもありまして、リスケジュールも行いながら、また登録の手続には非常にお時間いただ
いてお待ちいただいた事業者の皆様、技能者の皆様がいると思っております。改めて、私のほうからもこの場でお詫びを申し上げたいと思っております。
そうしたいろいろな苦難の中でも、やっと建設キャリアアップシステムが今年の4月から本格運用という状況でございますので、改めまして、この場でキャリアアップシステムの状況、そして技能者の処遇改善に向けて、技能者の能力を4段階でレベル分けして、カ
ードも色分けしていく取組。これも、来年4月1日から制度がスタートする予定となっております。こうした状況もあわせて、本日はお話しをさせていただきたいと思ってございます。
まずは、資料2の3ページでございますが、建設キャリアアップシステムの構築ということで、その概要を載せております。
下半分にありますように、まずはそれぞれ正確な情報を登録していただいて、それで職人の方にはキャリアアップカードをお渡しして、これを現場入場の際にカードリーダーで読み取るということで、客観的に日々の経験を蓄積していく。そしてまた、マル1のとこ
ろで、保有資格などもこのキャリアアップシステムのほうに蓄積していくということで、客観的なデータを活用して、技能者の客観的な能力評価を行う。対外的にもPRできるような能力評価を行っていって、処遇改善の環境整備を図っていくというのがキャリアアップ
システムのコアな部分ということでございます。
上の箱の3つ目の○に書いておりますが、現在、4月の本格運用に向けまして、24の現場で限定運用という形で試験的な運用をやってございます。そして、31年度から本格運用ということで予定しております。また、運用開始初年度、来年度、100万人の技能者登録を目指し、5年で全ての職人の方の登録を目指すという目標を立ててやっているということでございます。
次の4ページでございますが、建設キャリアアップシステムのメリットということで、まず左側にありますけれども、技能者の処遇改善を実現するということであります。下のイラストに描いてありますように、キャリアアップシステムは、日々の就業日数、保有資格、また、日々の就業日数の中でも、職長や班長として従事した日数といったものがどんどん客観的な形でたまっていく。こうした情報に応じてレベル分けを行って、カード自体もレベルに応じたカードを発行していく。企業の方や職人の方が、カードの色で対外的に技能レベルをPRしていくことができるような仕組みということで、これをもって処遇改善の実現を目指していくというのが1つ、このシステムのメリットであります。
それから、右側の緑の部分でありますけれども、キャリアアップシステムには、正確な情報が登録されている、あるいは蓄積していくことになりますので、そうした情報を活用いたしまして、例えば、社会保険加入情報の確認ですとか書類作成、そして建退共関係事
務、建退共の必要な証紙の枚数の把握、こういった現場で生じるような事務の効率化にも活用できる、期待できるということであります。
続きまして、5ページがキャリアアップカードのデザインということでありまして、現在は一般のカードと、それから登録基幹技能者の方には真ん中のゴールドカードの2色のカードを発行している状況でございますけれども、この資料の下に書いてありますように、
キャリアアップシステムの情報を活用して、技能者を4段階にレベル分けする能力評価制度、詳細は後ほど説明しますが、これが来年度からスタートしていく予定となっております。この仕組みによってレベル分けがなされれば、レベルに応じて、ブルー、シルバー、
ゴールドのカードを発行していくことを予定しているということでございます。
6ページを御覧ください。
カードリーダーの設置例でございまして、キャリアアップカードを現場で読み取るカードリーダー、右上に幾つかの機器を御紹介しておりますけれども、そんなに大がかりなものではなくて、パソコンやタブレット端末と無線ないし有線で接続して使えるようなカードリーダーでカードを読み取ることができるということでございます。
また、例えば小規模な現場とかでは、どうしても一つ一つの現場にカードリーダーが置けないという状況もあろうかと思っています。この資料の左下に、ちょっと字が細かくて恐縮ですが、カードリーダーの設置についてというところに書いてありますように、例えば小規模現場については、一つのカードリーダーを現場監督の方が持ち回って使っていくということですとか、あるいはカードリーダーが設置できない現場では、事後的に情報を入力して、元請の事業者の方が承認するという形で就業履歴を蓄積するという仕組みも可
能としているところでございます。
7ページからが、今、まさに行われております限定運用の状況についてでございます。
8ページに限定運用とはということで書いておりますけれども、要は、建設現場、いろいろな現場があります。大きな現場から小さな現場、また、インターネットの環境がさまざまでありますので、まずは多様な建設工事の現場でキャリアアップシステムを実際に使ってみて、何か問題や工夫すべきところがないかといった検証を行っている。その検証を、また本格運用に生かしていくということで、限定運用をやっているということでございます。
具体的には、2.実施内容等のところにありますように、複数の現場でキャリアアップシステムを利用した就業履歴の蓄積を実施するということで、実際に現場でカードリーダーを置いてみて設定し、職人の方に持っていただいたキャリアアップカードを使って、カードリーダーを通じて読み取りができるかどうか、読み取った結果がちゃんとシステムのほうに蓄積されているかどうかといったところを検証しているところでございます。
9ページを御覧ください。
今、全部で24の現場、3月中にというものもありますので、今、動いているのは23の現場かと思いますけれども、見ていただけますように、建築、土木といったところのみならず、住宅の戸建ての工事ですとか、あるいは新築だけではなくて、改修系の工事、それから、場所についても、東京だけではなくて、長野や島根といった、それぞれ地元の建設企業様の御協力をいただきながら、多様な現場でまずはシステムを使ってみて、どういう工夫をしないといけないのかといったところの検証を行っているということでございます。
このうち、第1号として、ナンバー1、ナンバー3、それぞれ大成建設さんと鹿島建設さんの現場が1月15日、限定運用の現場として開始したところでございます。これを我々といたしましても、広くPRに活用しようということでございまして、その次のページ、御覧ください。この第1号の現場につきましては、限定運用を開始した15日に報道機関向けの現場見学会を開催したところでございます。上のオレンジの箱が麹町5丁目建設プロジェクト、大成さんの現場。下の緑の箱のほうが鹿島建設さんの赤坂のプロジェクトの現場
でございます。それぞれ見ていただきますと、現場の対応に応じまして工夫を講じているところでありまして、麹町5丁目建設プロジェクトにつきましては、かなり狭い現場ということもありまして、現場の外にこういったボックスを設けて、そこにパソコンとカードリーダーを設置して読み取ることをしているということでございます。また、外に置くということで、盗難防止といった観点から、ボックスの中にカードリーダー自体も置いてやるということで、そういった工夫もしながらやる。窓ガラス越しでも、カードリーダーとキャリアアップカードがちゃんと反応するかどうかということも検証しながらやるというのが、上の現場でございます。
下の鹿島の現場につきましては、職人の方の通る動線に、こういう形でカードリーダーを置いて、忘れずに就業履歴を蓄積してもらうという工夫を、これ以外の現場でも、現場に応じてカードリーダーの数なども工夫しながら、限定運用を行っているということでございます。
続きまして、11ページからでございますが、「建設技能者の能力評価制度」ということで、キャリアアップシステムの情報を活用して処遇改善につなげていくための取組の状況でございます。
12ページを御覧ください。
建設キャリアアップシステムを活用した技能者の処遇改善に向けた取組ということで、大きく2つの取組を進めているということでございます。1つは、左側のオレンジの箱にありますように、技能者個人の能力評価をしていく仕組み、そして、もう一つが、その職人の方を雇用する企業を評価していくような仕組み、緑の部分でございます。この大きく
2つの仕組みを国交省として検討を進めているところであります。
まず、左側でありますけれども、キャリアアップシステムによって客観的に把握できる就業日数、保有資格といった情報を活用して4段階のレベル分けを行って、カード自体の色分けも行っていく。客観的に蓄積されたデータに基づくレベル分けでありますので、対
外的にも交渉力として使えるような能力評価ができないかということ。
そして、もう一つ、職人の方の実際の処遇を決めるのは、雇用している事業主の方になりますので、高い評価を受けた職人さんを雇用して育てている企業が、取引の中で選ばれていく。そういった環境整備をしていくことが処遇改善と人材育成というものの好循環を
建設業界の中で生み出していくということで、緑枠の箇所にありますように、企業の施工力を見える化する取組についても進めているところであります。
まず、左側の能力評価につきまして、13ページを御覧ください。
こちらは、先行して昨年度から検討会を進めてまいりました。本日、この場にお集まりの皆様にも御協力いただきながら検討を進めてきたところでございます。こちらにつきましては、3月6日に検討会が開かれまして了承されたところでございまして、具体的には
14ページを御覧ください。
建設技能者の能力評価制度の概要ということでございますけれども、キャリアアップシステムに蓄積される就業履歴や保有資格を活用して技能者の能力評価基準を策定する。この基準に基づいて、技能者の技能について、4段階の客観的なレベル分けを行っていく。このレベルを活用して、技能水準を対外的にPRして、技能に見合った評価・処遇を実現していくというのが建設技能者の能力評価制度でありまして、これから御説明する内容につきましては、※印に書いておりますように、第6回の検討会におきまして了承されまして、年度内にこの仕組みに関する告示とガイドラインを定めまして、公布・発出し、4月1日から施行する予定で進めているところでございます。
その内容としましては、業界横断的な経験・技能の蓄積のところにありますように、キャリアアップシステムに登録されている、あるいはどんどん蓄積されていく就業日数や保有資格、マネジメント能力といったところにつきまして、能力評価基準を職種ごとに策定し、この基準に照らしてレベルを判定していく。レベルに応じて、カードの色分けも行っていく。そういった能力評価の仕組みでございます。この能力評価結果を使って、技能の対外的なPRやキャリアパスの明確化、そして企業の施工能力の評価といったところに活用
していくといった仕組みでございます。
この資料の中ほど右側、レベル分けのところ、経験年数や資格の欄が空白になっておりますが、ここは職種ごとに専門工事業団体の方に具体的な基準をつくってもらうという仕組みでございます。
そのイメージといたしまして、15ページを御覧ください。
団体の方に御協力いただきまして、鉄筋、とび、型枠、機械土工の4職種で先行して、その具体的な基準、使う資格とか具体的な日数といったところについて検討いただいているものが、この15ページでございます。見ていただきますと、評価する項目、日数、保有
資格というものは共通しておりますけれども、職種によって、具体的な年数や資格というものが異なっているというのがおわかりになるかと思っております。こうした能力評価基準ができて、その評価ができればということでありますけれども、例えば先ほど若年層の定着促進になるのではないかということを申し上げました。建設業ですと、3年たつと半分ぐらいの方が離職してしまうといったデータがございます。こうした基準ができれば、どういう経験を積んで、どういう資格をとれば、レベル2、一人前の技能者としてステップアップできるのか。あるいは、カード自体の色も変わるということで、それは業界に認められたということで、若い人の自信といいますか、定着促進にもつながっていくのではないかと思っております。
また、処遇改善という観点からは、これまで技能者の方の世界では、レベル4にあります登録基幹技能者というトップの資格はあったわけでありますが、そのトップの登録基幹技能者を支える、現場の要として支えている職長クラスのベテラン技能者の方を客観的に評価する資格といったもの、仕組みといったものがなかったところでございます。
この資料のレベル3のところをご覧いただければ、職長又は班長としての就業日数というものを基準として設定しているのがおわかりになるかと思います。キャリアアップシステムは、1作業員として従事したのか、あるいは職長や班長というマネジメントの立場と
して従事したのかということを区別して就業履歴を蓄積できますので、職長として3年、2年働いた人ということは客観的に把握することができるということであります。こういう形で、レベル3の職人さんを客観的に評価して把握することができれば、現場を支える
ベテランの技能者の方の処遇改善にも活用していくことができるのではないかと考えているところでございます。
16ページを御覧ください。
16ページは、この能力評価制度のスキームということで、誰が、どういう役割を担うのか、どうすればレベルの評価を受けられるのかということを表わしたものでございます。真ん中にありますように、評価基準は団体の方が職種ごとにつくって、これを国が認定
する。認定された基準に基づいて、団体の方が評価を実施するという仕組みとしております。業界横断的な制度としつつも、職種の特性を踏まえることで、こうしたスキームにしているところでございます。そして、評価を得ようとする技能者の方、あるいは代行して
所属事業者の方などが評価の申請を行って、キャリアアップシステムの情報と突き合わせて評価を行って、追って、レベルに応じて青、シルバー、ゴールドのカードが届くといったスキームであるということでございます。
一方で、こうした能力評価の仕組みでありますけれども、評価の申請や評価の実施といったところに手間や負担が生じるということであれば、それは技能者の方にとっても、あるいはこの評価事務を行う団体の方にとっても非常に負担になることだと考えておりまし
て、17ページを御覧ください。
今年度の二次補正予算の事業の概要でございますけれども、国土交通省といたしましても、こうした能力評価制度を広く普及させたいという観点で、この資料の右側オレンジの部分、処遇改善に向けた環境整備という箱、施策概要のところにありますように、キャリ
アアップシステムと連携して、技能水準を評価するシステムを構築するということとしております。
具体的には、18ページを御覧ください。
先ほど申し上げたような能力評価の申請や、キャリアアップシステムの情報と突き合わせて、その職人の方の評価をするといったところをオンラインで処理するようなレベル判定システムというものを、国として開発・構築を進めていきたいと思っております。こう
した仕組みができれば、職人の方あるいは会社の方がオンラインでこうしたシステムにログインして、最低限の情報だけ入力すれば、あらかじめ設定されている基準に照らし合わせてキャリアアップシステムと情報のやりとりをして、ある意味自動的に結果を通知する。
こうしたシステム開発を国としても講ずることで、この能力評価制度の普及を図っていきたいと思っているところでございます。
続きまして、19ページでございますが、建設業は職種が多いので、この具体的な職種ごとの基準をなるべく広く、多くの職種でつくっていただくことが大事だと思っております。
先ほど4職種の基準を御紹介いたしましたが、それ以外にも、まさにここにいらっしゃっている委員の方に非常に大変な御尽力をいただきまして、例えば大工さんの能力評価基準ですとか、土工さんの基準といった具体的な検討も始まっているところであります。
また、欄外にありますように、まずはゴールドのカードを職人の方に届けたいということで、登録基幹技能者がない職種でも、登録基幹技能者制度をまずはつくろうという具体的な動きもあろうところでございます。
20ページを御覧ください。
もう一つの取組ということで、企業を評価していく取組についてでございます。こちらは、昨年9月に中間的な取りまとめを行ったところでございます。一番大切なのは、先ほどから申し上げている技能者の能力評価とうまく連動させていくことで、高いレベルの職
人の方を一生懸命育てて雇用している会社がしっかりと評価されていくことが大事だと思っております。
そういった観点から、中ほどの右側、見える化する項目というところの施工能力というところに、建設技能者の人数、キャリアアップカードの保有人数とかレベルというものを位置づけているところでありまして、こちらにつきましても、早期にこうした制度を構築
すべく、引き続き検討を進めていきたいと思ってございます。
そういった観点から、21ページでございますが、これは来年度予算に計上している事業でございます。
まず、能力評価制度については、制度としては完成いたしましたけれども、この制度を実際に動かしていくためには、職種ごとの基準をつくっていただくことになります。ですので、今年度は、能力評価につきましては、できるだけ多くの職種で能力評価基準を検討
してもらえるような形で検討を進めていきたいと思っておりますし、また専門工事企業の見える化につきましては、まだ制度として構築されていないところでありますので、この予算を活用して、引き続き、専門工事企業の評価制度の構築に向けて検討していきたいと思っているところでございます。
それから、22ページ以降でありますけれども、「建設キャリアアップシステムの更なる活用」ということで、技能者の処遇改善のほか、このキャリアアップシステムは、建設業界を取り巻くさまざまな課題に対応していくことができるような、非常に強力なツールだと思っております。その幾つかを御紹介していきたいと思っております。
まず、23ページでございますけれども、先ほども幾つかお話が出ましたが、特定技能外国人の受入れということで、新しく創設される特定技能という在留資格に関しましては、国内の処遇改善の取組に影響を及ぼさないようにすることが大変重要だと思ってございま
す。したがいまして、この特定技能外国人につきましては、日本の国内人材と同様に、しっかりと技能を習熟してもらう、キャリアアップしてもらうという観点から、外国人とその事業者について、キャリアアップシステムの登録を義務づけるということで今、進めて
いるところでございます。
それから、24ページを御覧ください。
システムを活用した社会保険加入対策ということで、建設業は5年ほど前から社会保険加入対策を強力に進めてまいりました。特に、元請企業の方には、現場に入場する技能者の方の加入状況の確認・指導をお願いしているところでございます。この点、現状では、左下にありますように、必要書類のやりとりですとか、専任の担当者の方を置くなど、かなりの手間をかけてやられているとお聞きしております。このシステムを活用すると、右下にありますように、こうした事務の効率化、合理化がかなり図られるのではないかなと思っているところでございます。
それから、25ページでございますけれども、建退共事務の効率化ということでありまして、建退共制度は就業日数に応じて証紙を手帳に貼るという形で退職金の積み立てを行っているところであります。この就業日数といいますか、必要な証紙の枚数の確認について、現在、かなり手間をかけて、元請企業、下請企業の方、あるいは下請企業の方同士でやられているとお聞きしておりますけれども、今、建退共のほうでもキャリアアップと連携する形で、その効率化が図れないかということで、建退共のほうで就労実績報告書作成ツールというアプリケーションを開発してございます。
キャリアアップシステムからデータを出力して、これを読み込むと、下請企業の方は元請企業の方に対する共通の統一の請求書類を作成できる。元請企業の方は、さらにその提出されたものを取りまとめて、このアプリケーションを読み込むことで、必要な証紙の枚数を簡単に把握することができる。こういったアプリケーションを開発してもらっているところでございます。こうしたものを活用すると、建退共事務も相当程度、効率化が図られるのではないかと思っております。
それから、26ページでありますけれども、建設キャリアアップシステムは、正確な情報がどんどん蓄積されていく仕組みであります。こうした情報を活用すれば、例えば経営管理、賃金管理、入退場管理等々、ある意味事業者の方の日々の業務の改善などにも活用できるのではないかなと思っておりまして、実際にキャリアアップシステムと連携して、そういったサービスを提供しようという民間事業者の方の動きも始まっているところであり
ます。
そうしたキャリアアップシステムのデータをうまく活用した取組として、1つ考えられるのではないかと思っておりますのが27ページでございます。
働き方改革への対応ということでございます。4月1日より、改正労働基準法が施行されまして、建設業界でも5年後には罰則つきの時間外労働規制が適用されることになります。キャリアアップシステムは、日々の就業履歴を客観的に蓄積して、技能者の処遇改善
につなげていくというのが、その趣旨でございますけれども、副次的な機能といたしまして、入場時と退場時にキャリアアップカードをカードリーダーで読むと、入退場時刻を記録することができるような仕組みとなっております。
こうして把握した情報を民間システムと連携して、勤務時間管理に活用していくということができれば、特に中小企業の方にとっては、低いコストで働き方改革に対応していくこともできるのではないかと考えているところでありまして、我々としても、もう少し具体的な対応策について、検討していきたいと思っているところでございます。
28、29ページは、先ほど厚生労働省の方から御紹介がありました助成金の内容でございますので、説明については省略させていただきたいと思っております。
今、申し上げたように、キャリアアップシステム、まさに建設業界のさまざまな課題に対応していくための強力なツールだと思っております。できる限り多くの事業者の方に使っていただきたいと思っております。国土交通省としても、このシステムを活用して、そうした課題に対応していくための施策をしっかりと検討してまいりたいと思っております。
引き続き、皆様の御協力、御支援をいただきたいと思ってございます。
私からは以上でございます。
○鎌田座長 ありがとうございます。
大変画期的なシステムではないかと、私は今の御説明を聞いて感じました。労働者代表委員、使用者代表委員の皆さんは、恐らくかなり詳しく御存じなのかな。むしろ、公益代表委員が余りよくわかっていないということだと思います。もちろん、労働者代表委員、使用者代表委員の方でも結構ですけれども、御質問がありましたら、自由に御発言ください。
勇上委員、どうぞ。
○勇上委員 御説明ありがとうございました。全体としては、すばらしいシステムだということがわかりました。評価制度が一番胆か
と思いますが、それも職種別に広げていくということで、理解いたしました。
これは余談になるかもしれませんが、活用策について一点、確認させてください。先ほど外国人の方の議論がありました。特定技能の方についてもキャリアアップシステムへの登録を義務づけると承知していますが、技能実習生についてはどうでしょうか。技能実習
生は最長5年だと思いますので、先ほどのレベルで言うとレベル2ぐらいまで行くのかと思いますが、それについて何か情報がありましたら、御教示いただければと思います。
○山影国交省専門官 今の技能実習生についての取り扱いということの御質問かと思います。
建設業の場合、新しい仕組みのほかにも技能実習生という形と、それからオリンピック・パラリンピック需要に万全を期すということで、建設就労者受入事業という形で、先行して外国人材の受け入れを進めているところであります。
まず、特定技能外国人の受け入れについて、こういう形でキャリアアップシステムの義務づけを固めたところでありますけれども、並行して技能実習生と先行しております建設就労者受け入れ事業につきましても、同様にキャリアアップシステムを義務づける方向で
検討を進めているところでございます。
○鎌田座長 小野委員、どうぞ。
○小野委員 ありがとうございました。
とてもいいシステムで、これから可能性がすごくあると思っております。このシステムを今後どうフェアにつくっていくか、運用していくかというのが肝だと思っておりまして、要は、いかに労働者に支持されるシステムになるかということがとても大切なところだと思っております。これは、いわゆるキャリアラダーと言われるものなのですけれども、アメリカとか海外でも、こういうキャリアラダーを取り入れていくということは、今、取組まれてはいますが、全てが成功しているわけではありません。それはどういうことかといいますと、要はラダーをつくってレベル分けをしたときに、そのレベルを評価する。それを賃金に接続するに当たって、レベル分けをどこで行うかと
いうところで、必ず労働者側と使用者側でのもめごとというのがあるのですね。そこでうまくセトルダウンしていけば、いいシステムとして運用されていくのですけれども、決裂したり、そのシステム自体に労働者がうまく反応しなかったりということがあって、せっ
かくつくったのに見向きされないということもままあるわけです。
業界としては、サービス業とか医療というのは、結構うまく動いたりするのですけれども、古い業界ではうまくいかないことも多いということがあります。そういう中で、いかにこれをフェアに、見た目的にも、労働者のほうをちゃんと向いてつくったシステムだよ
ということをPRする必要があると思うのですね。
その中で、私が1つ非常に気になったのは、このシステムを運用する業界団体が一般財団法人であるということであります。なぜ公益財団法人にしないのか。いわゆる公益に資することをやろうとされているのであれば、法人形態も公益にする必要があると思います。一般の法人というのは、立ち上げがとても簡単です。NPO法人よりも立ち上げが簡単だと言われております。そういうところに国がお金を何億も出すということは、違和感があります。ですので、ここは早急に公益財団にしていただくということが必要だと思います。
公益財団になった場合には、税的な優遇措置がありますし、そして何よりも、この財団はこれから、先ほどおっしゃったように、社会保険や、勤怠のシステムもこの中で管理されていくということになりますね。このシステムは永続的にこの世の中にあるべきものだ
とするのであれば、法人格としても永続的に担保されているようなものでないといけないと思います。公益法人の事業はある程度永続性が担保されていないと法人認定されません。一般社団や、一般財団というのは、解散は自由です。ですので、ここは公益法人化していただくというのが妥当であろうと思っております。
それで、ここまでが私の意見ですけれども、1つ、質問もございまして、15ページの評価基準です。この評価というのは、ここを見ている限りは資格と日数なので、かなり定量的といいますか、ある、なしで判断できるものだけになっているのですけれども、それだ
けで判断するという意識でいいのか、それとももうちょっと、この評価者みたいなものも入って、定性的なその人のマネジメント能力とか腕のよさというものを評価するものも入ってくるのか、その辺をちょっとお聞かせ願いたいのですけれどもね。
○山影国交省専門官 意見、御質問ありがとうございます。
まず最初のところで、私の説明が足りなかった点があって恐縮でございます。実は、このキャリアアップシステムにつきましては、国費で開発を進めたものではございません。まさに、本日お集まりの労働者代表委員、使用者代表委員の業界の方々の出捐で構築を進めてきた仕組みでございます。
あと、一般財団法人建設業振興基金でございますけれども、このシステムの運営のために設立した法人ではございませんで、建設業の振興に関して従前からある組織でございまして、ここにシステムの運営主体を委ねているということでございます。
また、ガバナンスにつきましては、3ページに書いてありますように、労使ということで、日建連さん、全建さん、建専連さん、全建総連さん、そういった御出捐いただいた団体からなる運営協議会というものを設立いたしまして、そこでキャリアアップシステムの運営方針を決めて、その方針に基づいて建設業振興基金がシステムを運営していくという形で、業界の皆様の声を聞きながら運営していく仕組みとしているところでございます。
御質問のあった評価基準についてでございます。これは、まさにこの能力評価制度を設立する上でいろいろな検討があったところでございます。職人の方の能力というと、それは知識・技能・経験だけではなくて、現場での腕のよさとか、現場での働きぶりみたいな
ことも当然あるわけでございますが、我々、このキャリアアップシステムが始まるということと、客観的に、対外的にPRできるような評価基準をつくっていくことが大事じゃないかと。そういった考え方から、キャリアアップシステムで客観的に把握できるような資格
であったり、就業日数、まずはそういったものを使って、客観的・対外的にPRできるような評価をしていこうということで、こうした基準をつくったところでございます。
そういう意味では、実は現場での働きぶり、腕のよさみたいなところの定性的な部分につきましては、一部、資格とかには反映されているところがありますけれども、そういった定性的な部分を取り込めるような仕組みには、まだなっていないところでございます。
一方で、海外ですと、そういった現場での働きぶりなども評価するような仕組みも存在すると承知していますので、そういった形で、定性的ながらも何らかの客観的に評価できるような仕組みが日本国内でももし出てくるのであれば、そういったものをこういった評価基準の中に入れ込んでいくこともできるのではないかと思っています。もう一つ、そういう意味では、今回、就業日数・保有資格ということに加えて、職長または班長としての就業日数というものを基準にして設定しています。これは、まさにマネジメントする立場で従事したかどうかという日数でありまして、これ自体は定量的な評価でありますけれども、職長として現場に従事できるということは、その職長を従事させる事業主の方ですとか現場で受け入れる元請企業の方が、その人が職長として現場で機能できるということを評価しているからこそ、職長として数年の経験を積めるということであります。そういう意味では、この職長または班長としての就業日数というところは、そういう定性的な部分もある程度入っているような評価基準ではないかと思っているところでございます。
以上でございます。
○小野委員 ありがとうございます。
立ち上げに当たって、それぞれの建設の業界団体がお金を出されて立ち上げられて、このシステムをつくっていらっしゃるということは重々承知しておりますけれども、これから厚労省のほうも、このキャリアアップシステムに関連して、いろいろ助成金を出してい
くであろうとか。先ほど国交省のほうも、システムをこれから拡充する中でお金を出されるということもあると思うのですね。ですので、そういうことを申し上げているので、そこの部分が一般社団でいいよという話ではないと思いますので、強く公益法人化していただきたいと思います。ぜひ国民や労働者の人たちの見た目にもフェアな団体なのだということがわかるようにしていただきたいと思います。
それから、定量的と定性的な評価の話ですけれども、よくわかりました。むしろ、定量的にやられたほうがいいと思います。定性的にやった場合は、これは評価者というものの訓練をしっかりやっていかないと評価に差が出てくるので、別のシステムが必要になって
きますね。もし定性的な評価を入れるのであれば、そこから再構築していかなければならないだろうなと思っておりました。
ありがとうございました。
○鎌田座長 では、私からも1つだけお尋ねしたいのですが、大変画期的な制度で、これから普及を図っていくということでありまして、さまざまなチャンネルを使って、事業者・労働者の皆さんに周知していくだろうと思いますが、そのことにとどまらず、もう少しさ
まざまなインセンティブを考えていけるのではないかと思っています。
例えば、全く私の個人的な想像といいますか、思いつきですが、公共事業の発注などに関わるときに、このようなキャリアアップシステムを活用している事業主の方たちに何らかの優先的な取り扱いをするとか。具体的な方法論をイメージしているわけじゃ全然ない
のですけれども、そういったことは国交省のほうで何かお考えになっているでしょうか。
○山影国交省専門官 キャリアアップシステムを使うことによる公共工事でのインセンティブということは、いろいろな機会に我々もそういった御意見を聞いているところであります。まず、建設キャリアアップシステムというよりは、技能者の能力評価制度で高いレベルの評価を受けた技能者に対して、公共工事で評価することができないか、検討することとしておりますけれども、まだ具体的な案というものは出てきていないところであります。
インセンティブを設けてほしいという御意見については、我々も非常に強い問題意識を持っておりますので、公共工事のところも含めて、そういったインセンティブをどう講じられるのかというのは、しっかりと考えていきたいと思っております。
○鎌田座長 ありがとうございました。
最川委員、どうぞ。
○最川委員 いろいろな機会に要望させていただいているのですけれども、このキャリアアップカードを実際に社員の方が使うメリットとして、資格をせっかく登録していただいていて、その資格を証明できるというものが、特に労働安全衛生法の資格というものが、
このカードの中身が見られないといけないですけれども、しっかり提示することで持っていることになるという、そこがあれば持っているメリットがすぐ発揮できる。
これから登録していく中で、レベルができるのは何十年後になってしまうので、すぐ使えるメリットとしては、資格が提示できるというものを、検討していただいているというのは聞いているのですけれども、それがいつごろできるのかというのを、期限を切っていつまでにというか、そういうものがあれば御回答いただきたいと思います。
以上です。
○山影国交省専門官 昨年度もいろいろな場で御意見いただいたところでございます。厚生労働省とは協議しているところでありますけれども、いつまでにということは申し上げられませんが、職人の方にとっての大きなメリットだと認識しておりますので、引き続き厚生労働省ともしっかり検討してまいりたいと思っております。
○鎌田座長 ほかにございますか。なければ、この議題は、これまでとしたいと思います。
続きまして、「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰」について、御説明をお願いいたします。
○藤井建設・港湾対策室長補佐 資料2-3になります。
この表彰制度については、昨年も御報告させていただきました。本年度も最優秀賞に2社、そしてキラリと光る取り組み賞(職業安定局長賞)に1社、計3社が建設業から選ばれております。
この表彰については、経営理念のほか、雇用管理改善の状況あるいは労働生産性、取組による成果などを選定基準としまして、第1回目では建設会社の2社が優秀賞を受賞、昨年の第二回目においては、最優秀賞に1社、建設業から選ばれているということの御紹介です。
これまで受賞された企業の取り組みについては、表彰制度のポータルサイトの中で掲載されておりますので、あわせてお目通しいただければと思います。
なお、今回、最優秀賞を受賞されました会社の取組については、資料の中で掲載しておりますが、時間の都合上、御紹介は省略させていただきたいと思います。
以上になります。
○鎌田座長 ありがとうございます。
何かこの件について、御質問ございますか。よろしいですか。
それでは、最後の議題に移りたいと思います。最後の議題は、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律第12条第1項の規定による実施計画の認定等について」であります。こちらについては、冒頭にも申しましたように、非公開とさせていただきますので、傍
聴の方はここで御退席をお願いいたします。
〇鎌田座長 本日予定されていました議題は以上となりますが、事務局から、ほかに何かございますか。
○藤井建設・港湾対策室長補佐 本日、非公開として使用しました資料3は、後ほど事務局で破棄しますので、そのままにしておいていただければと思います。お願いいたします。
○鎌田座長 それでは、本日の委員会は、これで終了いたします。
最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員につきましては、労働者代表は勝野委員、使用者代表は土屋委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日は、お忙しいところ、大変ありがとうございました。
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