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- 2021年4月27日 第88回社会保障審議会年金数理部会 議事録
2021年4月27日 第88回社会保障審議会年金数理部会 議事録
年金局総務課首席年金数理官室
日時
令和3年4月27日 13時00分~15時00分
場所
全国都市会館 大ホール
出席者
(委員)
翁部会長、浅野部会長代理、小野委員、駒村委員、関委員、永瀬委員、野呂委員、枇杷委員、山口委員
議題
- (1)令和元年度財政状況について-国家公務員共済組合-
- (2)令和元年度財政状況について-地方公務員共済組合-
- (3)令和元年度財政状況について-私立学校教職員共済制度-その他
- (4)その他
議事
- 議事内容
- ○鎌田首席年金数理官 定刻には若干早いですけれども、委員の皆様がお集まりですので、ただいまより第88回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
画面オフの委員も画面を表示していただければ幸いです。
審議に入ります前に、資料の確認をいたします。
本日準備している資料は、議事次第、委員名簿、座席図のほか、
資料1 令和元年度財政状況-国家公務員共済組合-
資料2 令和元年度財政状況-地方公務員共済組合-
資料3 令和元年度財政状況-私立学校教職員共済制度-
資料4 令和元年度実績と財政検証における将来見通しとの比較
でございます。
タブレットの中には参考としてファイル08、09で前回の資料も格納しております。
次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全委員御出席でございます。出席いただいた委員が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
なお、駒村委員、関委員、永瀬委員、野呂委員につきましては、オンラインでの御参加でございます。
また、前回の部会開催以降に事務局の異動がございましたので、紹介いたします。
年金局数理課長の佐藤でございます。
○年金課長 佐藤です。よろしくお願いします。
○鎌田首席年金数理官 加えて、私、鎌田が首席年金数理官に着任してございます。よろしくお願いいたします。
それでは、以後の進行につきましては、翁部会長にお願いいたします。
○翁部会長 委員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
社会保障審議会年金数理部会では、年金制度の安定性確保に関し、毎年度報告を受けております。
本日は、令和元年度財政状況について、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度の報告を聴取いたします。
カメラの方がいらっしゃれば、ここで退室をお願いいたします。
本日の聴取に当たりまして、令和元年財政検証における実施体制を踏まえた資料の作成をお願いしております。具体的には資料4でございますが、資料1から3までの各共済組合等の財政状況に関する資料とは別に、各制度をまとめた形で御準備いただいております。
こちらの資料4につきましては、その他資料と併せて各共済所管省から御説明をいただきますが、皆様からの御質問に対しては、財政検証における役割分担も踏まえ、その実施について主要な役割を担う厚生労働省からも御説明をいただくことといたします。
それでは、議題(1)に入ります。
本日は、お忙しい中、財務省主計局給与共済課の大石共済調査官と西尾共済計理官、国家公務員共済組合連合会の辻年金企画部長、水村資金運用部長、宮島運用リスク管理室長と高橋年金企画部数理第一課長に御出席いただいております。
それでは、令和元年度の国家公務員共済組合の財政状況について、説明をお願いいたします。
○大石共済調査官 財務省でございます。本日はよろしくお願いいたします。
それでは、国家公務員共済組合の財政状況につきまして、資料に沿いまして順次御説明させていただきます。
資料1をお開きいただければと思います。1ページをご覧いただきます。厚生年金保険給付を取引する厚生年金保険経理の収支状況についての推移になります。右から2番目の列、令和元年度について御説明いたします。まず、収入でございますが、収入総額は3兆369億円となっております。国共済の会計につきましては、法令上、簿価ベースを原則としておりますが、預託金時価ベースでは、括弧書きになりますが、2兆5545億円となっております。収入の内訳をご覧いただきますと、まず保険料収入は1兆2901億円。国庫・公経済負担は2967億円。追加費用は1640億円。運用収入は1582億円となっております。なお、正味の運用収入では1517億円、預託金時価ベースの運用収入はマイナス3307億円となっております。これらを利回りにいたしますと、下段の積立金運用利回りにございますように、簿価ベースでは2.51%、預託金時価ベースではマイナス4.63%となります。このほか、基礎年金交付金は373億円、厚生年金交付金は1兆876億円、その他収入は30億円となっております。
次に、支出でございます。支出総額は3兆449億円となっております。その内訳でございますが、給付費は1兆2892億円、基礎年金拠出金は5785億円、厚生年金拠出金は1兆595億円となっております。
地方公務員共済とは平成16年度以降、財政単位の一元化により財政調整の仕組みが導入されておりますが、これに伴う地方公務員共済への財政調整拠出金1066億円が計上されております。その他支出は111億円となっております。
令和元年度には以上のような収入及び支出がございました結果、収支残はマイナス80億円であり、また、毎年度積立金は6兆1766億円となっております。
また、預託金時価ベースでは収支残はマイナス4903億円、年度末積立金は6兆7805億円でございます。
2ページは、経過的職域加算額等を取引する経過的長期経理になります。まず、こちらも令和元年度の収入でございますが、収入総額は230億円となっております。国共済の会計につきましては、法令上、簿価ベースを原則としておりますが、預託金時価ベースでは213億円となっております。
事業主負担金、これは一元化前の公務上給付に充てる負担金ですが、23億円。国庫・公経済負担金は6億円、追加費用は152億円、運用収入は45億円となっております。なお、正味の運用収入では36億円、預託金時価ベースの運用収入は20億円となっております。これらを利回りにいたしますと、簿価ベースでは0.79%、預託金時価ベースでは0.42%となります。このほか、基礎年金交付金は1億円、その他収入は3億円となっております。
次に、支出でございますが、支出総額は1689億円となっております。その内訳でございますが、給付費は1663億円、その他の支出は26億円となっております。
令和元年度には以上のような収入及び支出がございました結果、収支残はマイナス1458億円であり、また、年度末積立金は3921億円となっております。また、預託金時価ベースでは収支残はマイナス1475億円、年度末積立金は3930億円でございます。
次に、給付状況について御説明いたします。3ページをご覧願います。まずは被用者年金一元化前に受給権が発生した共済年金受給権者と被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金受給権者の合計ですが、令和2年3月末の国共済の受給権者は、右から2番目の列の一番上の欄にございますように、合計で130万3000人でありまして、前年度に比べマイナス1万1000人、0.9%の減少となっております。
年金総額につきましては、欄外の注にございますように、4ページのロから5ページのハまでの小計に、6ページのニ、経過的職域加算の額も加えまして、受給権者数の下の欄になりますが、合計で1兆5725億円でありまして、前年度に比べマイナス339億円、2.1%の減少となっております。
4ページは、被用者年金一元化前に受給権が発生した共済年金受給権者の状況です。令和2年3月末の国共済の受給権者は、右から2番目の列の一番上の欄にありますように、合計で94万4000人でありまして、前年度に比べマイナス6万2000人、6.1%の減少となっております。
年金総額につきましては、その下の欄になりますが、合計で1兆2020億円であり、前年度に比べマイナス878億円、6.8%の減少となっております。この年金総額には日本年金機構が支払っている基礎年金給付費は含まれていませんが、昭和61年3月までに裁定された方の基礎年金に相当する分は含まれております。
5ページは、被用者年金一元化後に受給権が発生した厚生年金受給権者の状況です。令和2年3月末の国共済の受給権者数は、右から2番目の列の一番上の欄にありますように、合計で35万9000人であり、前年度に比べプラス5万1000人、16.3%の増加となっております。
年金総額につきましては、その下の欄になりますが、合計で3229億円であり、前年度に比べプラス476億円、17.3%の増加となっております。この年金総額には日本年金機構が支払っている基礎年金給付費は含まれておりません。
なお、下段の特記事項の注2にございますように、平成29年8月に施行された受給資格期間短縮の対象者は8,454人であります。
6ページは、被用者年金一元化後に受給権が発生した経過的職域加算の受給権者の状況です。令和2年3月末の国共済の受給権者数は、右から2番目の列の一番上の欄にありますように、合計35万人であり、前年度に比べプラス5万1000人、16.8%の増加となっております。
年金総額につきましては、その下の欄になりますが、合計で476億円であり、前年度に比べプラス64億円、15.5%の増加となっております。
7ページは、共済年金の減額支給、増額支給の状況、
8ページは、厚生年金の繰上げ、繰下げ支給の状況ですが、説明は割愛させていただきたいと思います。
9ページは、老齢・退職年金受給権者の平均年金額及び平均加入期間になります。受給権者計の令和2年3月末をご覧いただきますと、一番上の男女合計の老齢・退年相当で13万2059円であり、前年度に比べマイナス1,313円、1.0%の減少となっております。
先ほど申し上げたとおり、この平均年金金額には日本年金機構から支払われる基礎年金が含まれておりません。そこで、厚生労働省から提供されたデータを用いて基礎年金額を含む平均年金月額を推計したところ、その下の欄にありますように、18万5330円となり、前年度に比べプラス904円、0.5%の増加となっております。平均加入期間は432月であり、前年度に比べ1月の増加となっております。
下段の男女別の説明は割愛させていただきます。
10ページをご覧願います。共済年金受給権者の令和2年3月末をご覧いただきますと、一番上の男女合計の退年相当で13万7943円であり、前年度に比べマイナス888円、0.6%の減少となっております。厚生労働省から提供されたデータを用いて基礎年金額を含む平均年金月額を推計したところ、その下の欄にありますように、19万3540円となり、前年度に比べプラス995円、0.5%の増加となっております。平均加入期間は429月であり、前年度と同じとなっております。
下段の男女別の説明は割愛させていただきます。
11ページをご覧願います。厚生年金受給権者の令和2年3月末をご覧いただきますと、一番上の男女合計の老齢相当で11万3736円であり、前年度に比べプラス904円、0.8%の増加となっております。
厚生労働省から提供されたデータを用いて基礎年金額を含む平均年金月額を推計したところ、その下の欄にありますように、15万9761円となり、前年度に比べプラス5,881円、3.8%の増加となっております。平均加入期間は441月であり、前年度に比べ1月の増加となっております。
12ページは、新規裁定者に係る平均年金額及び平均加入期間になりますが、説明は割愛させていただきたいと思います。
13ページから21ページは、老齢・退年相当受給権者の給付状況を年齢別にお示ししておりますが、説明は割愛させていただきます。
22ページから24ページは、老齢・退年相当の受給権者について、年齢構成と平均年齢をお示ししたものでございますが、こちらも説明は割愛させていただきたいと思います。
25ページから28ページは、老齢・退年相当、通老・通退相当の受給権者数について、年金額階級別の分布をお示ししたものでございますが、こちらも説明は割愛させていただきたいと思います。
次に、被保険者の状況について御説明いたします。29ページをご覧願います。令和2年3月末の欄をご覧いただきますと、一番上の107万8000人が被保険者数であり、前年度に比べプラス5000人、0.5%の増加となっております。男女別では、男性78万6000人、女性29万2000人となっており、全体の約7割を男性被保険者が占めておりますが、徐々にですが女性被保険者の割合が増加してきております。被保険者の平均年齢は41.7歳です。標準報酬月額の平均は41万7812円であり、前年度に比べマイナス376円の減少となっております。
標準報酬月額総額は5兆3777億円であり、前年度に比べプラス183億円、0.3%の増加となっております。また、標準賞与総額は1兆7328億円であり、前年度に比べプラス81億円、0.5%の増加となっております。標準報酬月額総額と標準賞与総額を合算した標準報酬総額は7兆1105億円となり、前年度に比べプラス264億円、0.4%の増加となっております。1つ飛んで、この表の一番下にあるとおり、総報酬の被保険者1人当たり月額は、男女計で55万1096円であり、前年度に比べプラス733円、0.1%の増加となっております。
30ページから32ページは、被保険者の年齢階級別、加入期間階級別の分布表でございますが、説明は割愛させていただきます。
33ページは、被保険者の標準報酬月額等級の分布表でございますが、こちらも説明は割愛させていただきます。
34ページは、厚生年金保険経理の積立金の資産構成を示しております。このページは預託金時価ベースの欄の数値で御説明申し上げます。令和元年度末における年金積立金の合計は6兆7805億円ですが、そのほとんどを固定資産として運用を行っております。固定資産の内訳は、財政融資資金への預託金2兆3789億円、有価証券等4兆750億円となっております。なお、預託金の時価については財投預託金と同じ残存期間である国債の市場における利回りを基に算出しております。
35ページは、資産区分別の内訳を示しております。年金積立金総額に占める割合は、国内債券が38.3%、国内株式は22.3%、外国債券12.1%、外国株式22.2%、短期資産が5.0%となっております。
以上が資料1の説明になります。
続きまして、資料4について御説明申し上げます。資料4をご覧いただければと思います。令和元年度財政検証については厚生労働省で作成されたものですが、将来見通しとの比較を行うため、共済組合から実績推計を提供させていただいております。右下の通し番号7ページから11ページが国共済分の資料4-1になります。それでは、資料4-1の通し番号8ページをご覧いただきますと、収支状況について、実績及び実績推計と令和元年財政検証に基づく将来見通しとの比較を示しております。なお、比較については、上から2段目、実績推計と、上から3段目の真ん中、将来見通しのケースⅢと比較して御説明申し上げます。まず、収入の計をご覧いただきますと、3段目、将来見通しのケースⅢでは2兆7832億円であったのに対し、2段目、実績推計の時価ベースでは2兆3506億円と、マイナス4325億円となっております。この乖離の主な要因ですが、時価ベースの運用収入がマイナス2082億円となったことによるものです。運用収入のマイナスは見通しと運用利回りの差によるものです。
次に、支出でございますが、計の欄をご覧いただきますと、3段目真ん中、将来見通しのケースⅢでは2兆7843億円であったのに対し、2段目、実績推計は2兆8410億円と、プラス567億円となっております。この乖離の要因ですが、厚生年金拠出金がマイナス226億円となったものの、その他支出がプラス523億円、基礎年金拠出金がプラス297億円となったことが挙げられます。その他支出のプラスは、見通しと国共済、地共済間で行われている財政調整拠出金の差によるものです。
続きまして、通し番号9は、被保険者数及び受給権者について、将来見通しと実績の比較表でございます。令和元年度の被保険者数は、将来見通しが106万5000人であったのに対し、実績は107万5000人と、プラス1万人となっております。
受給者数につきましては、将来見通しが126万4000人となっているのに対し、実績は126万7000人と、3000人多くなっております。
通し番号10ページ以降では、各種財政指標について、実績と財政検証の比較をしております。10ページは年金扶養比率について比較しております。令和元年度の年金扶養比率の実績は、上の表の一番左下の欄にありますように、1.67となっております。財政検証結果では1.69となっており、実績のほうがマイナス0.02となってございます。
最後になりますが、11ページをご覧いただきますと、積立比率でございます。令和元年度につきましては、実績は簿価ベースで4.3、時価ベースで5.0でございます。財政検証結果ではケースⅠとⅢの労働参加が進むケース、ケースⅤの労働参加が一定程度進むケース全てで5.2となっており、実績時価ベースで比較しますと、いずれも財政検証結果のほうが高くなっております。
国共済の説明は以上でございます。
○翁部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして御質問がございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。枇杷委員、お願いいたします。
○枇杷委員 御説明ありがとうございました。2つ、被保険者の動きと受給権者の動き、給付と掛金に関しての確認ですけれども、保険料収入ということでは、1.2%の増加と1ページ目でお示しいただいておりまして、被保険者の動きを拝見しておったのですが、標準報酬の合計だと0.4%から0.5%ぐらいの増加、被保険者数の増加も同じなので、平均の給与は伸びていないという状況とお見受けしたのですけれども、これに若干乖離がある理由というのは分かりますでしょうか。保険料率は変わっていないと理解しているのですが、その点を教えていただきたいというのが1点です。
もう一点は、給付がここ2年ぐらい減少傾向になってきているのかなとお見受けをしたのですが、これは予想されているものと違和感がないか、受給権者のこぶの状況などからして予想されている範囲のものという理解でよろしいのかどうか。今後そこをどういうふうに予想されていらっしゃったか教えていただければと思います。
以上です。
○西尾共済計理官 お答えさせていただきます。1点目、保険料収入が増加した要因というところで、委員御指摘のような人数の増加がございますけれども、一方で、若干細かいことですが、人事院勧告で期末手当が0.05月、令和元年としては増えている。パーセント換算はしておりませんけれども、そういった背景と、それから、実は保険料引上げが年度途中サイクル、9月-8月サイクルでたしか行われていますことから17.986%から18.3%への引上げの影響が半年分ほどあるかと思われますので、その点で少し上ぶれすると考えてございます。
もう一点、給付の減少傾向というのは想定の範囲内かということにつきましては、共済年金は、旧共済年金の時代で、いわゆる1~2階部分込みで給付を受けていらっしゃる方がいらっしゃいます。そうした方というのはもう高齢の方でして、そういった方が亡くなりますと、1~2階分まとめて年金額が失権するということになりますので、そういう意味で、人数の減りに比べて金額の減りは大きい、この傾向は今後も続くであろう、と考えてございます。
○翁部会長 よろしいですね。
○枇杷委員 はい。
○翁部会長 そのほかいかがでしょうか。野呂委員、お願いいたします。
○野呂委員 まず、2ページ目の経過的長期経理のところですが、収支残がマイナス1458億ということで、昨年もほぼ同額なのですけれども、積立金残高につきましては3900億ということで、あと2~3年で枯渇の可能性も高いと思われます。その場合の財政的手当てといいますか、枯渇分をどこから補填するか等につきまして教えてほしいというのが1点目でございます。
もう一つは、1ページ目の令和元年度の支出のところとの財政調整拠出金ですが、1066億で、そのうちの拠出金Bについて脚注を見ますと566億円ということで、これは国共から地共に拠出されている金かと思うのですけれども、地共の話になりますが、実は地共のほうは黒字、国共のほうは赤字なのに、何で赤字から黒字のほうに補填が行くのかなという質問でございます。
これは去年もこの部会で同じような質問をしたのですが、そのときのお答えでは、実は国共は予算ベースでは赤字だったのだけれども、実際決算といいますか、実績を見たら逆転した。しかし、予算ベースで財政調整拠出金をやり取りをするという御説明で、それは後で精算をするという御回答だったのですが、今年も同じような状況なのか。また、昨年度の財政調整拠出金Bで拠出したのだけれども、翌年度以降、精算が要ると言われている部分については、今年度どうされているのか。そうした辺りについての仕組みを教えてほしいなというのが2点目でございます。よろしくお願いします。
○翁部会長 お願いいたします。
○西尾共済計理官 お答えさせていただきます。まず1点目、経過的長期経理における資金枯渇が想定されるのではないかということにつきましては、これは野呂委員御指摘のとおりでして、おおむね平年のキャッシュアウトフローが1500~1600億円あるのに対して、令和元年度末は4000億円でございますので、おそらく1~2年あるいは3年のうちに、これは資金が経過的長期としてはなくなるということでございます。こちらにつきましては、一元化の際の手当てによりまして、法令上、地共済から資金を拠出していただくという仕組みができておりますので、資金枯渇後は、法令の規定に従いまして地共済のほうから資金を拠出していただくということになってまいります。
2点目でございます。財政調整拠出金Bというのが出ているけれども、こちらは実績では見通しが逆転しているのではないかということにつきましては、こちらも委員御指摘のとおりでして、昨年577億円出たのは、当初の見通しでは国共済が黒字で、地共済が赤字だということだったのですが、結果的に赤字になっていたということで、今回も結局、事業計画時には国共済が566億円黒字であったのに対しまして地共済のほうが赤字となっていたため国共済から地共済に拠出したということで、結果的に、振り返ってみると赤字と黒字が逆になっていたということでございます。
昨年に出しております577億円につきましては、平成30年度の分ということですので、平成30年度から見た翌々年度であります令和2年度に精算されております。
以上でございます。
○翁部会長 野呂委員、いかがでしょうか。
○野呂委員 初めの質問につきましてもう少しお聞きしたいのですけれども、地共のほうから補填といいますか、国共の経過的長期経理に資金を持ってくるという話なのですが、それは地共全体から持ってくるのですか。地共の経過的長期経理から持ってくるという法令になっているのですか。
○春原数理官 お尋ねの件につきましては、経過的長期経理の地共済のほうから国共済のほうに補填をするという仕組みになってございます。
○野呂委員 分かりました。ありがとうございました。
○翁部会長 そのほかにいかがでしょうか。駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
運用の考え方について教えていただきたいと思います。運用については、GPIFの運用などは資金運用部会のほうでも議論されていると思いますが、各共済から運用に関しての考え方をお聞きできる機会というのはなかなかないので、この際伺いたいと思いますが、特にESG投資に関してどういう対応状況をされているか。GPIFはスチュワードシップ責任もあることから、ESG投資の際にエンゲージメントも重要な役割があると思います。運用に関しての考え方は、各共済、GPIFと考え方をある種そろえているのではないかなと思いますが、国共済の場合、ESG投資、現在どういう状況で、今後どういうふうに取り組んでいかれるのか、少し教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○大石共済調査官 財務省でございます。
今、ESG投資についての考え方ということで御質問いただきましたが、答えさせていただきたいと思います。国共済といたしましては、昨年、GPIFと各共済の共通に適用される積立金基本指針が改正され、ESG投資の一層の推進について検討し、必要な取組を行うとされました。これを踏まえまして、財務省では昨年12月の財政制度審議会国共済分科会で国共済の厚生年金積立金を運用する国共済連合会によるESG投資の推進について議論を行ったところでございます。
その際、財務省といたしましては、ESG投資によって中長期的なリスク・リターンの特性が改善する可能性があるとの認識の下に、GPIFの取組も参考にしながら、例えばグリーンボンド等への投資の推進や株式のESGインデックス投資の活用について速やかに検討すること。委託運用において、ESGへの取組も運用委託先の評価の要素とすることや、債券委託運用でのESG考慮を推進すること。気候関連財務情報開示、いわゆるTCFDの提言に賛同し、また、国連責任投資原則、いわゆるPRIへの署名を視野入れた検討を行うこと。以上が国共済連合会の積立金運用における今後の課題であるとしたところでございます。
また、議論の中では、国共済分科会委員の多くからも、KKRによるESG投資の推進を促す発言がございました。こうしたことを踏まえまして、財務省としては、引き続き国家公務員共済組合にESG投資の推進を働きかけてまいりたいと考えておるところでございます。
以上です。
○翁部会長 駒村委員、よろしいでしょうか。
○駒村委員 分かりました。ありがとうございます。
○翁部会長 そのほかにいかがでしょうか。関委員、お願いします。
○関委員 ありがとうございます。2点ございます。
1点は、今、駒村委員から御質問のあったESG投資についてもう少しお伺いしたいです。国共済は、ESG投資の推進方針が盛り込まれた骨太方針や成長戦略、さらには脱炭素目標といった政策の責任を負う政府の職員である国家公務員を構成員としている共済組合です。その場合、政府の政策に盛り込まれたESG投資を推進することに関して、GPIFよりも一層の社会的責任があるのではないかと考えております。この点、国共済連合会を所管する財務省はどのように考えているのかを伺いたいと思います。
もう一点は、資料4の10ページで、PDFでは8ページと書いてある収支状況の比較のところです。先ほど少し御説明もありましたが、将来見通しと現在の時価ベースのその他のところを比べますと、財政調整拠出金の差が予想よりも大きくなっております。予想と比べてなぜこれだけ大きくなっているのかという点について御説明をいただきたいと思います。
以上です。
○大石共済調査官 お答え申し上げます。まず、1点目の御質問でございましたESGについてお答えさせていただきます。委員御指摘のとおり、政府は骨太方針や成長戦略などESG投資を推進する方針を表明してございます。国共済組合はこうした政府の政策を実行する命を受けた国家公務員を組合員としてございますので、その年金積立金を運用する国共済連合会がESG投資を一層推進することは、政策実行の使命を負う組合員の意思にかなうものと考えてございます。
政府の成長戦略等にとってインベストメントチェーンの上流に位置するアセットオーナーの役割は重要であり、特に国共済連合会など公的アセットオーナーが動けば、市場へのアナウンス効果も含め効果が大きいと考えております。
また、政府の脱炭素目標につきましては、今後これに伴うグリーン成長戦略や、その基になったパリ協定を達成するための国際的な取組により投資収益機会が拡大することが予想されます。ここに投資資金が向けば、脱炭素目標にとっても、投資家にとっても互恵的な効果が期待できるという意味で、国共済連合会がESG投資に取り組むことは意義があると考えております。したがいまして、財務省としても国共済連合会にESG投資の一層の推進を促してまいりたいと考えてございます。
1点目の回答は以上でございます。
○西尾共済計理官 続いて2点目でございます。委員御指摘の資料4-1、8ページの支出で、その他の支出がずれているのはなぜかというところでございますが、こちらにつきましては、財政検証上の将来見通しということでは、先ほど野呂委員の御質問にありました財調拠出金Bが特段発生しないと見込まれていたと考えられますが、実績におきましては566億円の財調拠出金Bが発生しておりますので、おおむね566億円程度のずれというのは、財調拠出金Bが見通し上と実績上、あるなしの差であるということになろうかと考えております。
○翁部会長 よろしいでしょうか。
○関委員 ありがとうございます。
○翁部会長 よろしいでしょうか。永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬委員 資料1の10ページのところと11ページのところで質問があるのですが、10ページの基礎年金等も入れた平成2年の男女計の国家公務員共済年金受給権者の平均月額が19万3540円。一方、厚生年金との一元化後の同じものを見ますと、15万9761円。かなり金額が違うのですけれども、厚生年金との一元化後には職域という3階部分でしょうか、が入っていいことで説明できるのかしらと考えても、それにしても加入月数は前者のほうが429か月で、後者が441か月。随分加入月数も違うのに金額が大幅に低いのですが、この大きな差というのはどんな要因があると理解したらよろしいか教えていただけないでしょうか。
○西尾共済計理官 お答え申し上げます。厚生年金受給権者は、加入期間が長い方も短い方もいらっしゃるわけですが、一元化後、期間がそれほどたっていないことで、毎年毎年新しい受給権者が発生しております。そのため、額の多寡を含めまして少し傾向が一定しないのかなと考えておりまして、現状それ以上の分析は難しいかなと考えてございます。
○永瀬委員 でも、一元化後の国家公務員共済の方は加入期間が441か月で、一元化前の国家公務員共済のほうの加入期間は429か月ですから、平均加入期間とすると、厚年との一元化後のほうが平均加入期間が長くなっております。しかし金額的には大きく下落している。この辺。昔、共済は、たしか全期間の平均でなくて、最後の何年かに対して金額が来たと聞いたこともあるようにも思いますが、そういうことの影響でしょうか。その辺はどんなふうになっているのでしょうか。
○西尾共済計理官 こちらは1回整理させていただいて、後日お答えさせていただければと思います。
○永瀬委員 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○翁部会長 よろしくお願いいたします。
ほか。それでは、お願いいたします。
○浅野部会長代理 資料1の1ページなのですけれども、年度末積立金の時価ベースはかなり大きく減少しているのですが、過去にこのぐらい大きく減少したことがあるのでしょうかというのが1つ目の質問です。
あと、これで減少しているのは運用収支のところだと思うのですけれども、運用収支以外で制度の成熟度とかそういうことが減少の要因になっているようなことはあるのでしょうか。
以上です。よろしくお願いします。
○西尾共済計理官 お答え申し上げます。1つは、積立金の残高がこれほど大きく減ったことがあったかということにつきましては、一元化後の期間としましては、元年度の厳しい運用状況というのは初めてのことであったということでございます。
また、運用収益以外の成熟度などの面で影響することはなくはないと考えてございます。
○浅野部会長代理 積立金の減少は、一元化前はこれだけ大きく減ったことはあったのでしょうか。
○西尾共済計理官 恐縮でございますが、こちらも整理させていただいて、後日回答させていただきます。
○翁部会長 よろしいですか。
○浅野部会長代理 はい。
○翁部会長 よろしいでしょうか。
それでは、国家公務員共済組合についての報告の聴取は終わります。
続いて、議題(2)に移りまして、地方公務員共済組合について報告を聴取いたします。本日は総務省自治行政局公務員部福利課の野村課長と春原数理官、地方公務員共済組合連合会の佐藤資金運用部長、年金業務部の村上部長と山内数理課長に御出席いただいております。
それでは、御説明をお願いいたします。
○野村福利課長 総務省福利課長の野村でございます。本日は説明の機会をいただきましてありがとうございます。本日は、地方公務員共済組合連合会の担当者も同席しております。
それでは、地方公務員共済組合の令和元年度財政状況について、資料に沿って御説明申し上げます。資料2をお開きください。資料1ページ目からの収支状況をまず御説明申し上げます。厚生年金保険経理の令和元年度について御説明申し上げます。まず、収入でございます。右から2つ目の欄をご覧いただければと思いますが、一番上の欄の収入総額は8兆5014億円となってございます。また、時価ベースの収入総額は6兆9105億円となっております。以下、その内訳でございます。保険料は3兆3771億円となっております。国庫・公経済負担は7451億円となっております。追加費用は3661億円となってございます。運用収入は5832億円となっております。また、有価証券売却損等の費用を除いた正味運用収入は5772億円となっており、さらに正味運用収入に評価損益を加味した時価ベースでの運用収入はマイナス1兆138億円となっております。時価ベースの運用収入につきましては、元年度の年度末にかけて新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による景気や企業業績への懸念の高まりなどを背景に、内外の株式市況が悪化したことなどにより、昨年度よりも大幅に減少してございます。
次に、基礎年金交付金は896億円となっております。厚生年金交付金は3兆2316億円となっております。厚生年金保険経理では、国共済から地共済に1066億円の財政調整拠出金が拠出されております。その他は21億円でございます。
次に、支出でございます。支出総額は8兆3173億円となっております。以下、その内訳でございますが、給付費は3兆7955億円、基礎年金拠出金は1兆4541億円となっております。厚生年金拠出金は3兆537億円となっております。その他は141億円でございます。
収入総額から支出総額を差し引いた収支残は1841億円。時価ベースでの収支残はマイナス1兆4068億円となっております。その下の年度末積立金でございますが、19兆1149億円となっており、積立金運用利回りは3.08%となっております。また、時価ベースの年度末積立金は19兆8739億円、同じく時価ベースの積立金運用利回りはマイナス4.81%となっております。
以上が令和元年度の厚生年金保険経理の収支概要でございます。
続いて、2ページ目に参りまして、経過的長期経理に係る元年度分の状況について御説明申し上げます。まず、収入でございます。一番上の収入総額は、右から2つ目の欄で、令和元年度6212億円となっております。また、時価ベースの収入総額はマイナス9995億円となっております。以下、その内訳でございますが、事業主負担は21億円。追加費用は351億円。運用収入は5834億円となっております。このうち有価証券売却損等の費用を除いた正味運用収入は5778億円、さらに正味運用収入に評価損益を加味した時価ベースでの運用収入はマイナス1兆429億円となってございます。基礎年金交付金は1億円となってございます。その他は6億円となってございます。
次に、支出でございます。支出総額は5530億円となっております。以下、その内訳でございますが、給付費は5467億円。その他は64億円となってございます。
収入総額から支出総額を差し引いた収支残は682億円となってございます。時価ベースでの収支残はマイナス1兆5526億円となっております。その下の年度末積立金は19兆89億円となっており、積立金運用利回りは3.06%。また、時価ベースの年度末積立金は19兆9945億円となってございます。同じく時価ベースの積立金運用利回りはマイナス4.85%となっております。
以上が令和元年度の経過的長期経理の収支概要でございます。
3ページをお開きください。給付の状況についてでございます。3ページの共済年金、厚生年金を合計した受給権者計について御説明いたします。令和2年3月末の欄をご覧いただきますと、受給権者数の計は315万7000人となっており、前年度に比べて2万8000人、0.9%の減少ということになってございます。内訳は、老齢・退年相当は205万5000人。通老・通退相当は37万4000人。障害年金は5万6000人。遺族年金は67万2000人となっております。また、年金総額につきましては、経過的職域加算の額も合計した計が4兆6837億円で、前年度に比べて780億円、1.6%の減少となってございます。内訳等については記載しているとおりでございます。
次に、4ページをお開きください。被用者年金一元化前の共済年金受給権者について御説明いたします。令和2年3月末の欄をご覧いただきますと、受給権者数の計は214万3000人となっております。また、年金総額については3兆3092億円となっております。
次に、5ページの厚生年金受給権者について御説明いたします。令和2年3月末の欄をご覧ください。受給権者数の計は101万4000人となっております。また、年金総額については1兆1786億円となっております。
次に、6ページの経過的職域加算の受給権者について御説明いたします。受給権者数の計は99万2000人、年金総額は1959億円となってございます。
次に、7ページをご覧ください。7ページの表は、共済年金受給権者の退職給付について、減額、増額別に表したもの。繰上げ支給、繰下げ支給の状況を表したものでございます。減額支給、繰上げ支給の受給権者は、令和2年3月末で5万3000人。その年金総額は752億円となっております。また、増額支給、繰下げ支給の受給権者は、令和2年3月末で7000人、その年金総額は102億円となっております。
8ページは、厚生年金受給権者の老齢給付について、同じく繰上げ、繰下げ別に表したものでございます。繰上げ支給の受給権者は、令和2年3月末で8000人、年金総額は60億円となってございます。また、繰下げ支給の受給権者数は令和2年3月末で2000人、その年金総額は21億円となってございます。
9ページは、共済年金と厚生年金を合計した受給権者計の平均年金月額及び平均加入期間についての表でございます。令和2年3月末の老齢・退年相当の平均年金月額は13万6692円。前年度に比べ1839円、1.3%の減少となってございます。
その1段下に基礎年金を含めた平均年金月額を記載しております。金額は18万8357円。前年度に比べて873円、0.5%の増加となってございます。さらに2段下の平均加入期間については430月となってございます。
10ページをご覧ください。共済年金受給権者の平均年金月額及び平均加入期間についての表でございます。退年相当の平均年金月額は14万6327円。前年度に比べて1036円、0.7%の減少となってございます。その1段下に基礎年金を含めた平均年金月額を記載しております。金額は20万2563円。前年度に比べて1742円、0.9%の増加となってございます。さらに2段下の平均加入期間については425月となっております。
11ページは、厚生年金受給権者の平均年金月額及び平均加入期間についての表でございます。老齢相当の平均年金月額は11万6536円となっております。その1段下をご覧いただきますと、基礎年金を含めた平均年金月額を記載しております。この額が15万8637円となっております。さらに2段下、平均加入期間は440月となってございます。
12ページは、新規裁定者に係る平均年金月額及び平均加入期間についての表でございます。下の表の厚生年金受給権者の新規裁定に係るものをご覧ください。令和元年度における平均年金月額は11万3007円となっております。その1段下の平均加入期間は443月となっております。
13ページ以降は、老齢・退年相当に係る支給区分別、年齢別の表でございます。後ほどご覧いただければと思います。
次に、19ページにお進みいただければと思います。地共済における年金支給開始年齢は、いわゆる第一号厚生年金被保険者とは異なり、男女共通となっておりまして、報酬比例部分に関しては平成28年度から平成30年度までは62歳、令和元年度から63歳となっております。そのため、平成31年3月末までは受給権者数は61歳から62歳にかけて大幅に増加しておりましたが、令和2年3月末の欄をご覧いただきますと、表の中段辺りにある63歳の受給権者数は9万4000人となっておりまして、62歳の受給権者数と比べると大幅に増加してございます。
22ページは、受給権者計の老齢・退年相当に係る年齢階級別の表でございます。男性、女性共に65歳から70歳の階級が一番多くなってございます。その後は年齢階級が高くなるにつれて減少しております。平均年齢は男性が74.57歳、女性が75.50歳、男女合計が74.91歳となってございます。
25ページは、共済年金受給権者の年金月額階級別分布の表でございます。左側の退年相当でございますが、男性は月額14万円から17万円未満のところが50.3%と半数近くを占めております。より詳細に見ますと、15万円から16万円未満のところをピークとする山形となってございます。女性は月額12万円から16万円未満が全体の42.2%を占めてございます。より詳細に見ますと、13万円から16万円未満の階級を中心としたなだらかな山形となってございます。
26ページは、厚生年金受給権者の年金月額階級別分布の表でございます。左側の老齢相当の場合は、男性は月額10万円から13万円未満が57.4%と半数以上を占めてございます。その後は月額13万円から16万円未満でも25.5%を占めてございます。女性は月額11万円から12万円未満の階級が一番多く、男性と同じく10万円から13万円未満が62%と半数以上を占めているところでございます。
次に、29ページの被保険者の状況について御説明申し上げます。まず、被保険者数でございます。令和2年3月末現在で285万7000人、前年度に比べまして1万3000人の増加となっております。要因といたしましては、様々ございますが、例えば東京都ではオリンピック・パラリンピック関係の職員採用の増加とか、そういったことが要因として挙げられてございます。また、平均年齢は全体で42.8歳。うち男性が43.7歳、女性が41.4歳となってございます。標準報酬月額の平均については41万5574円、前年度から936円の増加となってございます。
下の表に移りまして、標準報酬月額総額が14兆1346億円。標準賞与総額が4兆6882億円。標準報酬総額が18兆8228億円となってございます。
30ページは、被保険者数を年齢階級別、加入期間別にクロスした表でございます。年齢階級別に見ますと、右側の合計のところで45歳から50歳未満が約40万人と一番多く、全体の14.1%を占めてございます。また、加入期間別で見ますと、10年未満の範囲が比較的多く、全体の32.6%となってございます。
31ページと32ページは男女別に区別したものでございます。男性については、50歳台の者の割合が比較的高く、女性につきましては20歳台後半の者と40歳台後半の者の割合が比較的高くなってございます。
33ページは標準報酬月額等級の分布でございます。標準報酬月額の平均は、下から3番目の欄にありますとおり、男性が43万8914円、女性が38万1390円。男女合わせて41万5574円となってございます。分布を見ますと、男性では47万円の等級に属する割合が最も高くなってございます。19万3000人で、全体の11.35%となってございます。女性では44万円の等級に属する割合が最も高く、14万7000人で、12.66%となってございます。男女を合計しますと、44万円の等級に属する割合が最も高く、31万6000人で、11.08%となります。
34ページは、積立金の運用状況について表したものでございます。令和元年度末における厚生年金保険給付積立金の総額は、表右側の合計欄ですが、簿価ベースで19兆1149億円、時価ベースで19兆8739億円となっております。
資産区分別の状況は35ページのとおりとなります。構成割合は、一番右の時価ベースで国内債券は33.9%、国内株式は22.1%、外国債券は16.4%、外国株式は22.3%、短期資産は5.3%となってございます。
以上が資料2の説明となります。
次に、資料4をお開きいただければと存じます。地方公務員共済組合については、資料4-2、13ページ以降となります。この資料は、先ほど財務省からもございましたが、令和元年度実績、令和元年の財政検証における将来見通しと比較したものでございますが、財政検証を実施した厚労省の数理課と連携し、共同で作成した資料となります。
まず、14ページ、収支状況の比較のところでございます。厚生年金財政検証結果との比較を行うに当たりましては、厚労省数理課にも御確認いただいて、下の特記事項に記載した方法により実績推計を作成しております。上から2段目の令和元年度実績推計と令和元年財政検証における将来見通しとしては、ケースⅢについて申し上げます。収入について申し上げます。保険料の令和元年財政検証の将来見通しでは、3兆3594億円に対し、実績推計は3兆3771億円でございます。また、運用収益について、将来見通しでは3540億円に対しまして、実績推計は5772億円でございます。これは運用利回りの差によるものでございます。
その他、将来見通しは650億円に対して、実績推計は1186億円でございます。これは先ほどからも御質問に出ておりますが、国共済からの財政調整拠出金収入が増加したことによるものでございます。このようなことから、収入の計は、将来見通しでは7兆7633億円に対しまして、実績推計は8兆495億円でございます。
続いて、表右側の支出でございます。給付費の将来見通しは3兆2742億円に対しまして、実績推計は3兆3397億円でございます。基礎年金拠出金の将来見通しでは、1兆4214億円に対しまして、実績推計は1兆4639億円。厚生年金拠出金の将来見通しは3兆916億円に対し、実績推計は3兆537億円でございます。このようなことから、支出の計は、将来見通しは7兆7936億円に対しまして、実績推計は7兆8654億円でございます。収支残の将来見通しではマイナス303億円に対し、実績推計はプラス1841億円でございます。
被保険者数及び受給者数の比較でございますが、15ページをご覧ください。こちらについても厚労省と確認の上、特記事項に記載した方法により作成してございます。被保険者数について、将来見通しは283万2000人。令和元年度の実績では286万2000人となってございます。受給者数については、将来見通しは297万8000人とされているところ、令和元年度の実績は303万1000人となってございます。年金種別ごとの数字につきましては、それぞれ右に記載しているとおりでございます。
16ページは、年金扶養比率に関して比較したものでございます。将来見通しでは1.44とされているところ、令和元年度の実績は1.41となってございます。
積立比率でございます。17ページをご覧ください。将来見通しは5.6とされているところ、令和元年度の実績は5.0、時価ベースでは5.7となってございます。
長くなりましたが、地方公務員共済組合の説明については以上でございます。
○翁部会長 どうもありがとうございました。
ただいまの説明に関しまして何か御質問がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。野呂委員、お願いいたします。
○野呂委員 先ほどと同じように財政調整拠出金Bの御質問で、ちょっと繰り返しになりますけれども、見込みといいますか、予算ベースでは赤字だったところが、実績、すなわち決算では黒字だったということで、同じようなことが昨年と今年と続いているような御説明だったのではないかと思うのですが、これは構造的にといいますか、ある収支項目の中で見込みや予算を策定される段階で、実際の決算とはどうしても乖離するような要因があるという理解でよろしいのでしょうか。そこそこ大きな金額ですので、なぜ2年続けて起こるかなという辺りを少し疑問に思っております。
以上です。
○春原数理官 お答えいたします。当初の赤字、黒字につきましては、年度当初における共済組合、地共済の場合は各実施機関がございますが、各実施機関の予算を合算した結果で令和元年度については当初赤字と見込んでいたところですけれども、なぜ結果的に黒字になったのかというところは1点ございまして、それは運用収益が当初見込んでいたよりもプラスになったからというのがその背景、理由でございます。
○翁部会長 野呂委員、いかがでしょうか。
○野呂委員 それは昨年も同様に運用収益の見込み段階と実際の決算段階の違いによって赤字だったところが黒字になったという、同じ理由だという理解でよろしいのでしょうか。
○春原数理官 お答えいたします。同じ理由でございます。
○野呂委員 分かりました。ありがとうございます。
○翁部会長 ほかにいかがでしょうか。駒村委員、お願いします。
○駒村委員 先ほど国共済に御質問したのと同じ趣旨でございますが、地共済のほうはESG投資についてどのような議論、対応をされるということか、お話しいただければと思います。よろしくお願いします。
○佐藤資金運用部長 地共連の資金運用部でございます。
ESG投資につきましては、当連合会としては、平成22年度から国内株式においてESG特化型のアクティブプロダクトに投資を開始しておりまして、その後、徐々に採用プロダクト数も増やしてきております。令和元年度時点におきましては4プロダクトで、国内株式においては3%程度の割合でございました。先ほど国共済からも説明がありましたとおり、ESG投資については、令和元年度末に改正されました積立金基本指針を受けまして、令和元年度までの取組をより強化するということで考えておりました。これまでの、受託者責任と社会的責任の両立を果たすことで、長期的なリターンの最大化を目指すという考え方に変わりはないのですが、ESG投資をより推進する、また、政府の取組方針とも整合性を合わせるという観点から、令和2年度におきましては、脱炭素社会の実現を目指すプロダクト、カーボン・エフィシェント指数というパッシブプロダクトの採用をしております。
加えて、ESG評価の高いESG総合型のパッシブ指数のプロダクトも採用しております。併せて、これまで取り組んできたアクティブプロダクト、超過収益をきっちり取り、収益を犠牲にしないアクティブプロダクトについてもさらに3つ採用したところでございまして、国内株式に占めるESGプロダクトの割合で言えば、13%程度まで拡大をしてきたというところでございます。
また、債券につきましても、国内債券については、令和元年度の9月から自家運用におきまして、地方公共団体や財投機関等が発行するESG債券に投資を行っておりまして、厚年経理では、令和元年度18億円、令和2年度20億円といった規模で投資を行ってきているというところでございます。また、TCFDの賛同に向けて今、議論を進めているという状況でございます。
○翁部会長 ありがとうございます。
そのほかにいかがでしょうか。枇杷委員、お願いします。
○枇杷委員 御説明ありがとうございました。
ちょっと不勉強な部分もあるので教えていただきたいのですけれども、経過的長期経理の資産が意外に大きいのだなということに気がつきまして、それで、直接の御質問としては、先ほどの資産構成の御説明、最後のページのところには、厚年の部分の残高のみが載っていると理解したのですが、経過的長期経理についてはお示しいただかない理由が何かあるのでしょうかというのが1つ。利回りを見ると、何となく似たようなポートフォリオで運用されているのかなと想像したのですけれども、ちょっと規模が大きいのもありますので、開示されるほうがいいのではないかなと思った次第です。
もう一つは教えていただきたいことで、ちょっと不勉強なので恐縮ですが、国共済さんはここの厚年の部分と経過的長期経理の部分の資産の割合が全然違うのですけれども、地共済さんと私学さんは割と同じ規模ぐらいに資産があるということで、この辺の歴史的な背景が不勉強なので、教えていただけますと幸いです。
以上です。
○春原数理官 お答えいたします。経過的長期経理の資産構成の割合ということでよろしかったでしょうか。
○枇杷委員 それもそうなのですが、資料としておつけされてきていないということがちょっと不自然だなと思ったので、そこも併せてということです。
○春原数理官 かしこまりました。資料の取扱いにつきましては、また年金数理部会事務局とも御相談をさせていただきたいと思います。
2つ目のお尋ねになるかもしれませんけれども、厚年経理と経過的長期経理の資産構成の割合につきましては、地共済におきましては基本的に同じ基本ポートフォリオを用いておりますので、同じような資産構成割合になっているというのが事実関係でございます。
○翁部会長 よろしいですか。
○枇杷委員 最初の御質問という意味では理解できまして、2つ目に御質問した、なぜこの資産のバランスが各共済さんで違うのかというところは、何かお答えいただくことは可能ですか。
○西尾共済計理官 国共済のほうでは、流動性を重視した運用をする観点から債券あるいは短期資産中心といったことになってございます。
○枇杷委員 すみません。私の質問がよくなかったのですが、資産のポートフォリオという意味ではなくて、厚年の資産と経過的長期経理の資産の規模感が、国共済さんは経過的長期経理の資産はかなり小さな規模でいらっしゃるのですけれども、ほかの2つは経過的長期経理と厚年の経理が割と同じ規模であるという点です。この理由をお聞きしておりました。
○鎌田首席年金数理官 これは30年度の公的年金財政状況報告の43ページに、当時一元化法施行時にこう分けましたというページがあるので、後でご覧いただければと思うのですが、そのときに旧厚年の給付費の4.9年分を実施機関から取るという仕組みを導入しましたので、そのときに国共済は1,2階部分が7.1兆円、旧3階は0.7兆円と分けられて、地共済は20.1兆円と3階部分が21.1兆円。私学共済は2.1兆円と2兆円。そういった比率になっているので、それが今につながっているのではないかなと思っています。
○枇杷委員 分かりました。ちょっと勉強します。ありがとうございます。
○野村福利課長 総務省でございます。若干補足させていただきます。今、御説明のとおりでございますが、一元化のときにそれぞれの共済が積立金を持ってございました。共通の厚年部分については、厚年の積立金の割合に合わせて、先ほど4.9年分という御説明がありましたが、その部分のものを共通のものとして切り出すという作業をして、残りのものを各共済の積立金とした。そういう経緯がございます。
○翁部会長 それでは、ほかに。先ほどの1番目のほうはまだなのですね。お答えを次回事務局のほうにお伝えいただければ。
○春原数理官 はい。資産構成割合を出してほしいということであれば、また事務局と相談しましてお出しをしたいと思います。
○翁部会長 よろしくお願いします。
ほかにいかがでしょうか。関委員、お願いします。
○関委員 2点ございます。
1点目は先ほどと同じで、地方についてもGPIFよりも一層ESG投資において社会的責任があるのではないかと考えておりますが、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
2点目は、国共済のほうでは聞き忘れてしまったのですが、繰上げ、繰下げ支給のところで、特に一元化後に受給権が発生した受給者について、繰下げ支給が2倍ほど、それなりに増えているのですが、これについて要因や分析している点があれば教えていただきたいと思います。
○野村福利課長 1点目につきましては、先ほど地共連のほうからも御説明しましたように、積極的に取り組んでいるということでございますが、当然政府の様々な施策において方向性も示されておりますので、総務省としてもそれを踏まえてしっかりと取り組んでまいりたいということでございます。
2点目の新規裁定者における繰下げ支給ということで、今、手元に詳細な数字はございませんが、やはり働ける環境がかなり整ってきているということもあって、委員御指摘のような状況が出ているのではないかと思っております。
以上でございます。
○翁部会長 ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。浅野委員、お願いします。
○浅野部会長代理 この資料の内容というよりも、これを作成する上でのプロセスということですけれども、地共済の場合、多くの共済からいろいろなデータを集められてこういう作業をされているというお話を聞いておりまして、そこは非常に大変であるということをこれまで御報告いただいたと思うのですが、先日のピアレビューで指摘しましたようなデータの完全性に向けた対応ということを何か検討されているとか、または今回のこういう取りまとめにおいて具体化していることがあるのかどうか、この辺りについて少しお話しいただければなと思います。
○春原数理官 お答えいたします。前回御指摘をいただきまして、歴史的な経緯を申し上げますと、地共済組合は年金保険者がたくさんございますけれども、システムにつきましては、地方公務員共済組合連合会がシステムを開発しまして、それを共済組合のほうに提供して、システム自体は、今、全てがというわけではないのですが、徐々に同じシステムを使うような方向でこれまでずっと取組がなされております。
それに加えまして、これは前回のピアレビューのときにもお話をしたかもしれないのですけれども、あとはデータを取り扱う際、そういった共済組合間の集計に当たっては、まず共済組合のほうでしっかりチェックをしていただく。取りまとめに対し、地共連のほうでもその立場に応じてチェックをし、もちろん私ども総務省のほうでもそういった間違いがないかという複層的なチェックを重ねていく、これに尽きるのかなと考えております。
○翁部会長 よろしいですか。
○浅野部会長代理 はい。
○翁部会長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、地方公務員共済組合についての報告の聴取を終わります。
続いて、議題(3)に移りまして、私立学校教職員共済制度について報告を聴取いたします。
本日は、文部科学省高等教育局私学部私学行政課私学共済室の秋庭室長と徳成室長補佐、日本私立学校振興・共済事業団の松澤数理統計室長、大山数理統計室主幹、資産運用部の田代部長と小守林次長に御出席をいただいております。
それでは、説明をお願いいたします。
○秋庭私学共済室長 文部科学省でございます。本日、私学共済制度を管掌しております私学事業団の担当者も同席しております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、資料3「令和元年度財政状況-私立学校教職員共済制度-」について御説明いたします。1ページ目は、厚生年金勘定の厚生年金経理分の平成27年度から令和元年度までの収支状況をお示ししたものですが、令和元年度の状況についてでございます。収入総額については9757億円となっております。2段目の括弧書きは時価ベースで示しておりますが、8080億円でございます。内訳ですが、保険料については4578億円、国庫負担は1339億円となっております。運用収入につきましては、簿価ベースで611億円。これに年度末積立金の評価損益の増減分を加算した時価ベースの額がマイナス1066億円となっております。厚生年金交付金は2817億円となっております。その他の381億円は厚生年金勘定・職域年金経理からの保険料軽減分受入れに相当する額などを計上しております。
次に、中ほどの支出の欄でございます。令和元年度の支出総額は8713億円となっております。このうち給付費が2878億円、基礎年金拠出金は2638億円、厚生年金拠出金は3169億円となっております。その他については、事務費繰入れ等で28億円となっております。
次に、収支残の欄ですが、簿価ベースですと1044億円、時価ベースですとマイナス633億円となっております。
その下の年度末積立金につきましては、簿価ベースですと2兆1255億円、時価ベースですと2兆2246億円となっております。
積立金運用利回りについては、簿価ベースで3.05%、時価ベースですとマイナス4.69%になっております。
2ページは、厚生年金勘定・職域年金経理分の同じく収支状況をお示ししたものです。令和元年度分、収入総額は569億円。時価ベースですとマイナス553億円となっております。内訳ですが、国庫負担が過去の加入期間分に対する経過措置としての補助額として1億円。運用収入につきましては、簿価ベースで565億円となっておりますが、時価ベースにつきましてはマイナス556億円となっております。
中ほどの支出の欄でございます。元年度の支出総額は658億円となっております。このうち給付費が348億円。その他については310億円。これは先ほど出ましたが、厚生年金経理への保険料軽減分の繰入れ分が297億円を占めております。
次に、収支残の欄です。簿価ベースですとマイナス89億円、時価ベースですとマイナス1210億円となっております。
年度末積立金は、簿価ベースでは1兆9506億円、時価ベースですと2兆381億円となっております。
積立金運用利回りについては、簿価ベースですと2.90%、時価ベースですとマイナス2.59%となってございます。いずれの経理におきましても時価ベースではマイナスとなっておりますが、国共済さん、地共済さんと同じですが、コロナウイルスの影響によるものと考えております。令和2年度はまだ数字が確定してございませんが、堅調に推移しているということを申し上げておきます。
給付状況でございます。3ページは、4~6ページの合計ですので省略させていただきます。
4ページは、給付状況のうち、一元化前に受給権が発生しました共済年金分の受給権者数、年金総額等の推移でございます。令和2年3月末分について御説明いたします。受給権者数は34万4700人で、前年度末と比較して2万1200人、5.8%減少しております。退年相当が10万400人、通退相当が18万100人となっております。幼稚園を中心に短期間での退職者が多いので、通退相当の人数が多くなっております。
年金総額は2722億円で、前年度末と比較して139億8000万円、4.9%減少しております。このうち退年相当につきましては1750億6000万円で、87億8000万円の減少。通退相当では489億1000万円で、32億7000万円減少でございます。
5ページをご覧ください。一元化後に発生しました4号厚年の受給権者につきまして、同様に令和2年3月末の状況でございます。受給権者数20万7500人で、3万2200人の増、うち老齢相当が3万7000人、通老相当が14万6900人という数になっております。
年金総額は860億6000万円で、前年度末と比較して147億5000万円の増でございます。老齢相当が493億8000万円、通老相当が213億1000万円となっております。
6ページでございます。一元化後に受給権が発生しました経過的に支給する職域加算部分の受給権者数等でございます。受給権者数が17万6100人、2万7600人の増。老齢相当が3万8500人、通老相当が11万4000人でございます。年金総額につきましては、119億1000万円で、17億6000万円の増。このうち老齢相当が88億円、通老相当が16億5000万円でございます。
7ページでございます。減額支給、増額支給の人員と総額をお示ししております。令和2年3月末では減額支給の人員が1400人、年金総額が9億6000万円。増額支給の人員が1万5900人、年金総額174億7000万円となっております。
8ページでございます。厚生年金における繰上げ、繰下げの人員と年金総額でございます。令和2年3月末、繰上げ支給が1900人、3億円、繰下げ支給が1700人、15億6000万円となっております。
9ページは平均ですので、省略させていただきます。
10ページは、共済年金における退職年金の平均年金月額と平均加入期間でございます。令和2年3月末、平均年金月額が14万5251円で、23円、0.02%の増加でございます。
1つ下、基礎年金を含めた平均年金月額では20万2292円、前年度末より1729円、0.9%の増でございます。
11ページは、厚生年金における老齢年金の平均年金月額と平均加入期間です。同じく令和2年3月末で、平均年金月額が11万1162円、前年度に比べまして1898円、1.7%の増でございます。
1つ下の欄、基礎年金分を足しますと15万4553円で、前年度末より6279円、4.2%の増でございます。
12ページが新規裁定の老齢退職年金の平均年金月額です。上段の表、共済年金における新規裁定の平均年金月額は、令和元年度は15万9164円、前年度末に比べまして4936円、3.2%の増。平均加入期間は395月となっております。
下段が厚生年金です。同じく平均年金月額11万6163円、6805円の増、6.2%の増。平均加入期間は418月となっております。
13ページから15ページは合計の欄ですので、省略させていただきます。
16ページは、共済年金における平均年金月額について、年齢別年金額の構成要素別の状況をお示ししております。
17ページ、18ページは今の男女別ですので、割愛させていただきます。
19ページは、同様に厚生年金における平均年金月額の年齢別年金額の構成要素別の状況をお示ししております。
20ページ、21ページは男女別ですので、省略させていただきます。
22ページは、23ページ、24ページの合計、平均ですので、これも省略させていただきます。
23ページは、共済年金における退職年金受給権者、退年相当の年齢構成です。右の計の欄、年金受給権者数は合計10万400人で、年齢構成は70歳以上75歳未満の割合が35.14%で、最も高くなっております。平均年齢につきましては、男性が77.7歳、女性が79.2歳になっております。
24ページは、厚生年金における老齢年金受給権者、老齢相当の年齢構成です。年金受給権者数は合計3万7000人です。65歳以上70歳未満の割合が72.47%でございます。平均年齢は、男性が66.5歳、女性も66.5歳でございます。
25ページは、共済年金における年金月額の分布状況でございます。退年相当では男性で17万円以上18万円未満を頂点として分布しておりまして、女性では7万円以上から14万円未満の各階級にそれぞれ7%近い割合で分布しております。また、通退相当では男性、女性共1万円未満の区分の人数が最も多いということになっております。
26ページは、同様に厚生年金における年金月額の分布です。老齢相当では男性で11万円以上12万円未満を頂点に分布しておりまして、女性では10万円以上11万円未満が頂点となって分布しております。通老相当では男女共1万円未満の区分が最も多くなっております。
27ページ、28ページは、特別支給を除いた月額を参考としてつけております。
29ページは、被保険者状況のうち、上の表で被保険者数、平均年齢、下の表で標報月額総額などをお示ししております。令和2年3月末の状況で、被保険者数57万人で、9400人、1.7%の増。特に女性の増加が大きくなっておりまして、女性だけで8700人、2.7%の増でございます。学種別ですと大学と幼稚園の加入者が増えておりまして、大学の主に看護師などの医療スタッフや認定こども園の教員などの増加が要因と考えております。
被保険者の平均年齢が42.7歳、男性47歳、女性39.6歳でございます。標報月額の平均が36万3186円で、前年度末に比べまして1506円増でございます。
下段の令和元年度の状況ですけれども、標準報酬月額総額が2兆4682億円、447億円の増。標準賞与総額については7017億円で、95億円の増。総額については3兆1699億円となっております。
被保険者数の年度間平均が57万1700人、9000人の増。標準報酬総額が1人当たり46万2020円で、608円の増となっております。
30ページは、被保険者の分布について、加入期間別、年齢階級別に示しております。右上の合計の欄、年齢階級で一番割合が高いのが25歳以上30歳未満、13.9%でございます。以降50歳台まで9から12%の割合です。60歳以上の加入者も相当程度おりまして、8.0%、3.9%ということで、合計11.9%でございます。加入期間別の分布ですと、加入期間5年未満の方が一番多く、32.9%。その隣、5年以上10年未満が22%。合わせますとここだけで54.9%ということでございます。
31ページは男性の加入者の分布状況です。
32ページが女性の加入者の分布状況でございます。
33ページは、標準報酬月額の等級別の分布状況でございます。上限62万円のところに男性が22.48%という状況で、最も高い割合になっております。女性は20万円台のところを中心に分布しておりまして、22万円のところが最も高い割合になっております。
34ページは、積立金の状況でございます。厚年勘定・厚年経理における積立金の運用状況。令和元年末の積立金は、簿価ベースで合計2兆1255億円、時価ベースで2兆2246億円でございます。このうち包括信託による運用が簿価ベースで86%、時価ベースで86.6%でございます。運用利回りにつきましては、簿価ベースで3.05%、時価ベースでマイナス4.69%となっております。
35ページに資産区分別の状況を記載しております。
続きまして、資料4でございます。私学共済部分は、19ページが目次で、20ページからになります。令和元年の財政検証における将来見通しとの比較ということで、特記事項にもありますように、実績について将来見通しと比較するために実績推計を作成しておりますので、そちらと将来見通しのうちケースⅢに沿って御説明いたします。
通し番号20ページは収支状況の比較でございます。収入の将来見通しは9526億円でしたけれども、令和元年度の実績推計では9744億円ということで、218億円多くなっております。内訳ですが、保険料については4951億円で、将来見通しよりも17億円少なくなっております。運用収益が611億円、将来見通しよりも213億円高い結果となっております。一方で、時価ベースではマイナス1066億円となっております。コロナウイルスの影響かと考えております。
支出の将来見通しは8774億円でしたけれども、元年度の実績推計では8701億円ということになっております。このうち給付費につきましては2848億円で、将来見通しよりも48億円少なくなっております。この結果、収支残は将来見通し上752億円あったものに対しまして、実績は1044億円ということになっております。年度末積立金につきましては、将来見通し上は2兆3986億円、実績推計では2兆1255億円となっております。
21ページは、被保険者数、受給権者数の比較です。被保険者数の令和元年度の実績は57万2000人で、将来見通しの56万5000人を7000人上回っております。受給者数の実績は52万4000人で、将来見通しの52万1000人より3000人多くなっております。
22ページは、財政指標の比較でございます。年金扶養比率は、実績は4.34で、下の将来見通しのところよりも0.11ポイント高くなっております。
通し番号23ページが積立比率。令和元年度の実績は4.5。時価ベースですと5.1ということで、財政検証結果の5.1と同じ結果となっております。
以上です。よろしくお願いいたします。
○翁部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして何か御質問などございましたら、よろしくお願いいたします。小野委員、お願いします。
○小野委員 ありがとうございます。
過去にも質問があったかと思いますが、繰上げと繰下げ支給に関してお伺いしたいと思います。一元化前の表記で言うと、減額支給とか増額支給ということで、この2組の用語が同じ意味であるということを前提に質問申し上げたいのですが、旧厚生年金も含めて4つの制度を比較しますと、繰上げ比率が高いのが公務員共済の2つでございます。それから、繰下げの比率が高いのが私学共済ということになっております。前者につきまして何となく納得してしまうのは、被保険者の5歳階級別の人数を取っていきますと、50歳以降5歳増えるごとに公務員の被保険者数は顕著に少なくなっていくということがあって、その辺りが影響しているのかなという気がします。私学共済と厚生年金は顕著に減るということはなくて、それなりに推移していると思うのですが、その中で厚生年金の繰下げ比率はそれほど高くないですが、私学共済はかなり高いですね。それも一元化前の人たちが結構多いと拝見したのですけれども、この辺りの要因として何が考えられるかということについて御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○秋庭私学共済室長 ありがとうございます。
一元化前からですけれども、特に大学などで年金等給付が適用される年齢制限、70歳近くまで働く人などが多くいらっしゃいまして、働いていらっしゃると、その分の収入がありますので、年金をもらわなくてもある程度生活が成り立っていてという方が一定数いらっしゃっていて、大学なら大学をお辞めになったときに、では、繰り下げて年金をもらおうかというパターン、そういう方が一定数いらっしゃったということで、その傾向は今でもあるのかなと思っております。
それから、この表のつくりの話にもなってしまうのかもしれませんが、一元化前に65歳を迎えて、一元化後に繰り下げた人は共済年金でカウントしていますので、その辺りを含めますと、両方足し算してご覧になっていただくとちょうどいいのかなと思っております。
以上でございます。
○小野委員 ありがとうございます。
○翁部会長 そのほかはいかがでしょうか。駒村委員、お願いします。
○駒村委員 3共済共通で御質問させていただいています。先ほどからお聞きしているESG投資に関して、私学共済、現状どういう考え方で、実績はどういうふうにやられているか、今後の対応方針についてお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○田代資産運用部長 私学事業団資産運用部でございます。
ESGに関しましては、まず自家運用できる国内債券分野におきましては、最近発行が多くなっています財投機関債であるとか、あるいは企業債分野でもございますが、ソーシャルボンドであるとかグリーンボンド、あるいはサステーナビリティボンドという債券に投資をしまして、さらに発行体のホームページ等で投資表明をすることで一定の社会的責任を果たしていこうという考え方でおります。
一方で、委託運用資産であります国内外の株式であるとか外国債券におきましては、投資判断を一任しているものでありますので、ESGに関しては、運用受託機関がどのようにESG要素をその運用プロセスに取り入れているかというのをまずは確認をいたしました。ほぼ例外なくどこかの段階ではESG要素を一般的にはスコアをつけて、それを銘柄選択に反映させているという実態は把握できました。さらには、運用受託機関にはスチュワードシップ責任、具体的には株主議決権行使であるとか、投資先企業とのエンゲージメントを求めているわけですが、その中でもESG要素を考慮するように求め、さらにスチュワードシップ責任を果たした結果を定期的にヒアリングして、確認をしているというところです。
さらに、今後一歩進めていくに当たってどうするかというところにつきましては、事業団としての投資戦略としましては、パッシブ運用を中心にしながらも、アクティブ運用によって超過収益を獲得していくというのが被保険者の利益のためになると考えておりますので、被保険者の利益と事業団としての社会的責任をどのように両立していくかというところが重要だと思っておりまして、これにつきましては、近いところでコロナショックのような大幅な市場の下落局面等を経験した中で、ESG指数のようなものが下落相場における下値抵抗力があるのではないかとか、そのようなところも検討しておりまして、本当にそういう下値抵抗力が期待できるのか、あるいは政策ベンチマークとあまりかけ離れたリスク・リターン特性になっていないかというところも今後さらに研究をして、我々は資産運用検討委員会、皆さんが「運用委員会」と言われるような有識者の会議がございますので、そこでその検討した結果について御意見をいただいているといった現状でございます。
以上でございます。
○翁部会長 ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。永瀬委員、お願いします。
○永瀬委員 最初に質問したことの繰り返しのようになりますが、国家公務員共済も私学共済も地共済もみんな同じなのですが、被用者年金との一元化前の基礎年金込みの共済の平均年金額と、厚生年金との一元化後の基礎年金込みの共済の平均年金額が、どの制度においても、後者がかなり低くなっています。これは職域部分がないというだけでなくて、どういう要因があるのかというのをお分かりだったら教えていただきたいというのが1つ。
もう一つは、これは先ほどもご説明にありましたけれども、男性の被保険者をみると、私学共済の場合、その53%が標準報酬月額62万円以上階級の収入があるということに、大きい特徴があるなと思いました。私学共済の男性は大学教員などが多いからなのでしょうか。また地共済や国家公務員共済は年金額の男女差はそれほど大きくはないのですけれども、私学共済は男女差がとても大きいとも思いました。この理由について教えていただければと思います。
もう一つ、私学共済においては、短時間労働者の被保険者が比較的多いことが示されていますが、これは短時間で教えていらっしゃる方が多いということでしょうか。これも私学共済の特徴だと思いました。その辺についても教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○秋庭私学共済室長 最初の御質問につきましては、国共済のところでも御質問がありましたので、正式にはまとめて御回答になるかと思うのですけれども、御指摘のあった3階部分、職域部分のほか、60年改正前の給付乗率が高かった人や、その後、段階的に、経過的に給付乗率の高かった人が共済のほうにまだたくさんいらっしゃるということで、もともと高かったということなのかなと思っております。
2点目、男性の62万円の標報の方が多いというところも、御指摘のとおりでございまして、大学の先生などは長い期間勤められる方も多いですし、そういった方で占められているという状況でございます。
短時間勤務につきましても、今、いろんな大学や高校。高校、中学はそんなに多くないのですけれども、それまで掛け持ちみたいな感じで、どこにも有資格者にならなかったという方などが入ってきたということがあるかと思っております。
以上でございます。
○永瀬委員 前回のピアレビューにおいて、厚生年金を見ると、高齢者の中でも、生まれ年が遅い世代の方が給付が低くなっていることが図に示されていました。ただ、今回、共済年金を見ますと、その下がり方の金額が厚生年金以上に特に大きいと思いました。そうすると、共済組合では、生まれ年別の年金額の格差が厚生年金よりも一層大きいのでしょうか。同じ条件の下、例えば加入年数もほぼ同じで、標準報酬もほぼ同じなのだけれども、厚生年金において、生まれ年が遅い高齢者のほうが年金が下がっていることは、この間のピアレビューのグラフの中に出ていますが、共済年金ではその度合いがより大きいという理解で良いのでしょうか。そうしたことがより大きく出るような制度的な特徴をもっているのでしょうか。
○松澤数理統計室長 私学事業団数理統計室でございます。
今の御質問に対してお答えしたいと思うのですが、資料ですと23ページと24ページに年齢構成が出ておりまして、当然厚生年金のほうは最近の発生者のみですので、比較的年齢が若い方が多いということで、平均年齢も66.5歳。それに比べて共済年金のほうは古い年金を受給している方が非常にたくさんいらっしゃいますので、78.3歳ということで、年齢構成にかなり差があるということも年金の金額が高い低いということに影響を及ぼしているということが言えるかと思います。
以上でございます。
○永瀬委員 ありがとうございます。
つまり、一元化直前の例えば70代の方と一元化直後の60代の方で見ると、それほど差はないということですかね。
○秋庭私学共済室長 3階部分とかを除いてそろえて計算すれば、御指摘のような大きい差があるということではないのかなと思っております。
○永瀬委員 そうなのですね。ありがとうございます。
○翁部会長 ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。浅野委員、お願いいたします。
○浅野部会長代理 質問ではないのですが、コメントといいますか、資料4のところで受給権者の実績と将来推計の比較があったと思うのですけれども、私学共済はこれまでは結構この差が大きかったのですが、今回の令和元年の財政検証で、この辺りのやり方を見直されて精度が向上されたのかなと思いますので、大変いいことではないかと思いますので、引き続きこうした努力は続けていただければなと思います。
以上です。
○翁部会長 ありがとうございます。
そのほかはよろしいでしょうか。
それでは、以上で私立学校教職員共済制度についての報告の聴取を終わります。
本日、質問事項で後から回答するというものがございましたので、それは事務局のほうまで御回答いただければと思います。
また、今後、審議の過程で様々な疑問点とかがもし生じましたら、事務局を通じて照会いたしますので、ぜひ御協力をいただきますようお願いいたします。
今後ですけれども、令和元年度につきましても公的年金財政状況報告を取りまとめることとしております。その起草作業はこれまでと同様に作業班で進め、報告書の草案の準備ができれば、部会を開催して審議を行いたいと思っております。
最後に、事務局から連絡があればお願いいたします。
○鎌田首席年金数理官 次回の部会の開催日時等につきましては、改めて御連絡をいたします。
○翁部会長 それでは、第88回年金数理部会はこれにて終了いたします。どうもありがとうございました。