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- 2021年3月15日 第87回社会保障審議会年金数理部会 議事録
2021年3月15日 第87回社会保障審議会年金数理部会 議事録
年金局総務課首席年金数理官室
日時
令和3年3月15日 13時30分~15時30分
場所
全国都市会館 大ホール
出席者
(委員)
翁部会長、浅野部会長代理、小野委員、駒村委員、関委員、永瀬委員、野呂委員、枇杷委員、山口委員
議題
- (1)令和元年度財政状況について-厚生年金保険(第1号)-
- (2)令和元年度財政状況について-国民年金・基礎年金制度-
- (3)その他
議事
- 議事内容
- ○秋田首席年金数理官 定刻に若干早いのですけれども、ただいまより第87回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
審議に入ります前に、資料の確認をさせていただきます。
本日準備している資料は、議事次第、委員名簿、座席表のほか、資料1「令和元年度財政状況-厚生年金保険(第1号)-」、資料2「令和元年度財政状況-国民年金・基礎年金制度-」、参考資料「社会保障審議会関係法令」でございます。
次に、年金数理部会の委員の異動について、御報告いたします。
委員名簿を御参照いただければと思います。
本年1月29日付で、新たに山口由紀子委員に御就任いただきましたので、御紹介させていただきます。
山口由紀子相模女子大学副学長・教授でいらっしゃいます。
また、本年2月28日付で菊池委員が退任されております。
次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。
本日は、全委員御出席でございます。
小野委員におかれましては、途中で退席されるとの御連絡を受けておりますが、御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
なお、小野委員、駒村委員、関委員、永瀬委員につきましては、オンラインでの御参加でございます。
次に、部会長の選任について御報告を申し上げます。
菊池前部会長が御退任されましたので、部会長を選任していただく必要がございます。部会長の選任につきましては、社会保障審議会令の規定により、部会長は当該部会に属する社会保障審議会の委員の互選により選任するとされております。当部会に所属されている社会保障審議会の委員は翁委員と山口委員のお2人でございますので、事前にお2人で互選をしていただきましたところ、翁委員に部会長をお願いすることになりましたので、御報告させていただきます。
また、前回の部会開催以降に事務局の異動があり、私、秋田が首席年金数理官に着任してございます。
それでは、以降の進行につきましては、翁部会長にお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○翁部会長 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
今期から部会長を務めさせていただきます。微力ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、議事に先立ちまして、私から部会長代理の使命をさせていただきたいと存じます。
社会保障審議会令の規定により、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされております。
私といたしましては、浅野委員にお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○浅野部会長代理 よろしくお願いします。
○翁部会長 それでは、議事に入ります。
社会保障審議会年金数理部会では、年金制度の安定性の確保に関し、毎年度報告を受けております。本年は、令和元年度財政状況について、厚生年金保険(第1号)、国民年金・基礎年金制度の報告を聴取いたします。
カメラの方がいらっしゃれば、ここで退室をお願いいたします。
本日は、年金局数理課の山内課長と年金局事業企画課調査室の村田室長に御出席いただいております。
それでは、議題1に入りますが、令和元年度厚生年金保険第1号の財政状況について、御説明をお願いいたします。
○山内数理課長 数理課長でございます。
まず、令和元年度の厚生年金保険の財政状況でございますけれども、年金財政の関係につきましては私から、受給者・被保険者の実績の統計につきましては隣の事業企画課調査室長から御説明申し上げます。
また、例年と同様でございますが、本日は、厚生年金保険の第1号被保険者に係る分ということで、旧厚生年金保険の範囲での御報告になります。
資料1を御覧ください。
1ページ目でございます。収支状況でございます。
平成27年度から令和元年度まで時系列で並んでおりまして、右のほうの令和元年度の欄を御覧いただきたいと思います。
最初に、収入総額でございますけれども、基本的に積立金の運用に関しましては時価ベースで整理しておりますので、ここでは括弧つきの時価ベースの数字を見ていただきたいということでございます。そうしますと、収入総額が39兆9028億円となっておりまして、令和元年度につきましては、時価ベースの運用収入が比較的大きなマイナスだったことから、前年度の収入総額に比べて9兆8930億円減少していることになっております。主な収入の内訳でございますが、まず、保険料ですけれども、32兆6197億円で、前年度に比べまして、6909億円、2.2%の増となっております。この増の要因ですけれども、被保険者の増加による影響が大きくて、2.2%のうち大体1.6%程度、被保険者1人当たりの標準報酬額の増加の影響が0.6%程度になっています。保険料率の引上げについては、平成29年が引上げの最終年で、令和元年度からはその影響は生じないものになっております。次に、国庫負担ですけれども、10兆262億円で、2274億円の増になっています。また、運用収入ですけれども、括弧のついた時価ベースで御覧いただきますと、マイナス7兆8605億円ということで、10兆738億円の減になっております。なお、丸括弧がついている再掲でございますけれども、年金積立金管理運用独立行政法人納付金が4300億になっております。これは平成30年度末までの累積運用収益額の中から納付されたものになります。基礎年金交付金が4220億円となっています。その2つ下の段に、厚生年金拠出金収入4兆4300億円があります。これは平成27年10月の被用者年金の一元化によりまして、各実施機関が1・2階積立金や標準報酬などの負担能力に応じて厚生年金勘定に拠出することとなったものなのですけれども、平成28年度以降、おおむね4兆円台半ばで推移しています。収入欄の2つほど下に行っていただきまして、解散厚生年金基金等徴収金の額ですが、959億円と昨年度より6342億円の減となっています。これは、平成26年4月から厚生年金基金制度が見直されたことによりまして、特に、平成27年度、平成28年度の額が大きくなっておりましたが、基金の解散あるいは代行返上が落ち着いたということがありまして、それとともに減少してきているということになります。また、積立金より受入ですけれども、平成27年度以降は同じなのですけれども、令和元年度もないということになっております。これは資金繰りのために積立金から受け入れるものですが、令和元年度についても保険料収入が増えたことや先ほど申し上げた解散厚生年金基金等徴収金やGPIFからの納付金があることなどにより必要が生じなかったということになります。
支出でございます。続きまして、支出の総額ですけれども、47兆8619億円でして、4755億円の増になっています。このうち、給付費が23兆8446億円でありまして対前年度で401億円の増、基礎年金拠出金が19兆1929億円でして対前年度で4961億円の増になっています。基礎年金拠出金につきましては、被用者年金の一元化で基礎年金制度導入時に第3号被保険者となった者が国民年金に任意加入していたときに積み立てられていた積立金を充てていくことになっておりまして、その充てる額が厚生年金保険の第1号では約1300億円ありますけれども、この額を控除してこの値となっているということでございます。さらに、被用者年金一元化によりまして、平成27年度から各実施機関が行う厚生年金の保険給付に要する費用のために厚生年金交付金が交付されていますが、これが4兆6008億円。これも、厚生年金拠出金と同様、平成28年度以降、おおむね4兆円台半ばで推移しているということでございます。
全体のトータルとしての収支残は、時価ベースで見ますと、マイナス7兆9591億円で、前年度に比べまして10兆3685億円の減になっています。
以上を踏まえて、年度末の積立金の時価ベースの額がどれだけになっているかということでございますが、149兆3896億円になっておりまして、前年に比べて7兆9406億円の減になっています。この値は、先ほどの時価ベースの収支差引残をベースにしまして、これに収支残のすぐ下にある業務勘定から積立金への繰入の184億円を足したものでして、これが実質的な収支残といいますか、積立金の変化を表すものになっております。
最後に、積立金の運用利回りですけれども、一番下にありますように、時価ベースの数字でマイナス5.00%になっているところでございます。
収支状況につきましては、以上でございます。
○村田調査室長 事業企画課調査室長の村田でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、受給権者及び被保険者の実績統計に関して御説明申し上げます。
まず、2ページを御覧ください。こちらは、給付状況に関する資料になります。平成27年10月より被用者年金制度が一元化されておりますけれども、この給付状況の資料では、厚生年金保険の第1号に係る数値を計上しておりまして、一元化により新たに厚生年金保険に含まれることになりました国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団の情報は含んでいないことに御留意いただければと思います。また、下のほう、特記事項4に記載しておりますが、新法老齢厚生年金のうち、旧法の老齢年金に相当するものは「老齢相当」に、それ以外のものは「通老相当・25年未満」に計上しております。平成29年8月施行の受給資格期間の短縮によりまして受給資格期間が10年以上25年未満の方も新たに年金の受給権が発生しておりますけれども、このような方々につきましては「通老相当・25年未満」のところに計上されております。厚生年金の受給権者数でございますが、令和2年3月末の欄が令和元年度末の数値になりますけれども、この一番上の段を御覧いただきますと、受給権者数は全体で3735万5000人となっております。前年度と比べまして、8,000人、0.0%の増加となっております。このうち、老齢相当が1598万7000人で前年度と比べまして0.6%の減少、通老相当・25年未満が1475万4000人で0.2%の増加という状況でございます。次に、年金総額につきましては、2段目になりますけれども、厚生年金の年金総額ですので、基礎年金分が含まれていないことに御留意願いたいと思います。令和元年度末の年金総額は、受給権者全体で26兆4361億円、前年度と比べまして1.0%の減少となってございます。このうち、老齢相当が17兆6993億円で1.7%の減少、また、通老相当・25年未満についても0.0%の減少となっております。これらの年金総額が減少した要因でございますけれども、1階部分込みで支給されている旧法の受給権者が抜けて報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権者が入ってきたこと、男子の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が63歳に引き上げられまして、平成30年度までは62歳の方に報酬比例部分が支給されていたのですけれども、令和元年度からはそういった方がいなくなるといったことによりまして、令和元年度の年金総額が減少したと考えられます。
続きまして、3ページでございます。こちらは、繰上げ支給及び繰下げ支給の状況でございます。まず、平成29年度より、繰下げの判定を精緻化しておりまして、繰下げの分類を変更しております。そのため、平成29年度以降の数値は従来の数値と直接比較することができなくなってございますので、統計表でもその趣旨が明確となりますように、平成29年度末以降の数値を掲載して、平成27年度末と平成28年度末の数値は参考表という形で分離してお示ししてございます。数字を見ていきますと、令和2年3月末の繰上げ支給の老齢厚生年金受給権者数は、10万2000人となってございます。一方、繰下げ支給の老齢厚生年金の受給権者数は、令和2年3月末で22万2000人となっております。また、老齢厚生年金の繰上げ制度は、報酬比例部分の支給開始年齢の引上げに伴って導入されておりますが、平成30年度に女性の報酬比例部分の支給開始年齢が61歳に引き上げられましたので、平成31年3月末のところから女性の繰下げ支給の欄に数値が計上され始めているということでございます。
次に、4ページです。老齢年金受給権者の平均年金月額などについてでございます。まず、男女合計の老齢相当の老齢年金の平均年金月額は、一番上の段にありますように、令和2年3月末で9万2259円となっておりまして、前年度に比べて1.1%の減少となってございます。ただ、こちらは基礎年金分を含まない厚生年金分だけの額でございますので、この額に老齢基礎年金月額を加算しました平均年金月額を御覧いただきますと、3段下になりますが、14万4268円となっております。こちらが基礎年金分まで含めた平均年金月額でございまして、前年度に比べて0.4%の増加となってございます。
続きまして、5ページは、新規裁定者に関する資料でございます。新規裁定者の年金は、基本的には特別支給の老齢厚生年金になりますので、定額部分のない報酬比例部分のみの年金となってございます。令和元年度の加入期間が20年以上の新規裁定者の平均年金月額は7万6621円となってございます。前年度と比べまして16.8%の減少となっておりますが、これは男性の支給開始年齢が63歳に引き上がったために、令和元年度に62歳を迎える男性が新規裁定の対象となりませんので、男性の新規裁定者が減少しまして、相対的に年金月額の水準の低い女性の割合が高まったことによるものと考えられます。男性の平均年金月額については10.3%増加しておりますけれども、こちらは支給開始年齢引上げの影響でございます。こちらにつきましては、次ページ以降でまた詳しく御説明したいと思います。
次に、6ページから8ページは、老齢相当の老齢年金につきまして給付状況を詳細に見たものでございます。特に60代前半につきましては各歳別のデータとなっておりまして、支給開始年齢の引上げの状況が見てとれる形でお示ししております。厚生年金の支給開始年齢の引上げに関しましては、報酬比例部分の引上げの影響と定額部分の引上げの影響の2種類がございます。支給開始年齢の引上げは先に定額部分が引き上げられまして、その後で報酬比例部分が引き上げられるといった形になっておりますので、報酬比例部分が引き上げられますと、それより下の年齢では基本的には繰上げを選択している方を除いて受給権者がいなくなることになります。6ページは男女計の数値ですが、男性と女性では支給開始年齢の引上げのスケジュールがずれておりますので、7ページ、8ページの男女別の数値を御覧ください。まずは、報酬比例部分の支給開始年齢引上げの影響について全体的に御説明いたします。7ページと8ページの両方を見ていただきたいのですが、まず、7ページ、男性、61歳の平成28年3月末と平成29年3月末の欄、62歳の平成31年3月末と令和2年3月末の欄、8ページ、女性、60歳の平成30年3月末と平成31年3月末の欄を見ていただきますと、これらの箇所ではいずれも受給権者数が大幅に減少して平均年金月額が大幅に増加するといった現象が起きております。8ページの女性の場合で申し上げますと、平成30年度に報酬比例部分の支給開始年齢が61歳に引き上げられたために、60歳の受給権者が減少する。その60歳のところに計上されていらっしゃいます方は、基本的に繰上げをしている方になります。厚生年金の繰上げを行いますと同時に基礎年金も繰り上げなければいけないことになっておりますので、両方の年金、基礎年金と報酬比例部分が出ることから、年金額が比較的高いということで、平均年金月額が上昇しているものと考えられます。男性についても、平成28年度に報酬比例部分の支給開始年齢が62歳に引き上げられ、61歳の受給権者数が減少しております。また、令和元年度には、63歳に引き上げられたことで、62歳のところの受給権者数が減少して、年金額が比較的高い坑内員や船員の受給権者が含まれていることなどもありまして、平均年金月額が上昇しているということでございます。次に、定額部分の支給開始年齢の引上げについて見ますと、8ページの女性につきまして、64歳の平成30年3月末と平成31年3月末の欄を御覧いただきたいと思います。この箇所で平均年金月額が大幅に減ってございますが、こちらは定額部分の支給開始年齢の引上げにより報酬比例部分のみの年金となったために平均年金月額が低下しているものです。
次に、9ページは、老齢相当の老齢年金受給権者の年齢構成でございます。令和元年度末は、いわゆる団塊の世代、昭和22年から昭和24年に生まれた方々が70歳から72歳になっていることもございまして、70歳から74歳の構成割合が24.3%とほかの年齢階級に比べて大きくなっている状況でございます。
次に、10ページは、老齢年金受給権者の年金月額の分布を示したものでございます。この年金月額は、基礎年金月額を含んだ金額となっております。左側のほうの老齢相当を見ていただきますと、男女計の平均年金月額が14.4万円なのですけれども、大体10万円前後の階級のところが最も多いことが見てとれるかと思います。一方、右側の通老相当・25年未満の分布を見ていただきますと、平均年金月額が6.1万円であり、老齢相当と比較しますと比較的低いところの金額に分布していることが見てとれます。
続きまして、11ページからは、被保険者の状況でございます。被保険者の統計につきましては、被用者年金一元化後につきましては、第1号厚生年金被保険者、いわゆるもとからの厚生年金の部分に係る数値を計上しております。まず、被保険者数ですけれども、令和2年3月末、令和元年度末で、4037万4000人となっておりまして、前年度に比べて、56万8000人、1.4%の増加となってございます。特に女性の伸びが大きくて、2.5%の増加となってございます。被保険者の平均年齢は、男性が44.7歳、女性が42.8歳、男女計で44.0歳となっております。男女計では、前年度に比べて0.2歳上昇したという状況でございます。次に、下の囲みの中段ぐらいのところにあるのですけれども、標準報酬総額〈総報酬ベース〉、(年度累計)の数値を見ていただきますと、こちらにつきましては、180兆2599億円となっておりまして、前年度に比べて2.2%の増加でございます。続いて、1人当たりの標準報酬額の総報酬ベースの月額は、一番下の段にございますけれども、男性が42万5288円、女性が28万3172円、男女計で37万862円となっておりまして、男女計で前年度に比べて0.6%の増加となってございます。また、平成28年10月から、厚生年金保険の適用拡大が行われまして、一定の要件を満たす短時間労働者も加入対象となっております。これに伴いまして、平成29年3月末以降の列には短時間労働者の被保険者数等を再掲しております。令和2年3月末においては、短時間労働者の被保険者数は47万2000人となっておりまして、前年度に比べて、3万7000人、8.6%の増加となってございます。なお、平成29年4月から、従業員が500人以下の会社で働く方も労使で合意がなされれば社会保険に加入できるようになりましたが、そのような任意加入の被保険者数は、特記事項に記載しておりますように、令和2年3月末現在で8,000人となっております。また、短時間労働者の被保険者の平均年齢は50.0歳となっておりまして、前年度に比べて0.1歳上昇した状況でございます。
12ページからは、被保険者の分布でございます。上段が被保険者全体の分布で、下段が短時間労働者の分布になっております。こちらも、男性、女性別に御覧いただきたいのですが、まず、13ページの男性について、上段の分布を見ていただきます。こちらを見ますと、45歳以上50歳未満の人数が最も多くなっておりまして、14.5%でございます。ここをピークとした山の形になっています。一方、下段の短時間労働者の再掲を見ていだきますと、60歳以上65歳未満、65歳以上のところの人数が多くなっておりまして、高齢層にピークがあることが分かります。続いて、女性の分布でございますが、14ページでございますけれども、まず、上段の分布を見ていただきますと、女性の場合はピークになる箇所が2か所ありまして、1つは25歳以上30歳未満のところの12.0%、もう1つは45歳以上50歳未満のところの13.9%となっておりまして、いわゆるM字カーブの形、山が2つある形となっています。こちらの分布の傾向につきましては、従来とは変わりがないということでございます。一方、下段の短時間労働者の再掲を見ていただきますと、45歳以上50歳未満のところが14.7%と最も多くなっておりまして、ここをピークとした山の形となっております。
次に、15ページは、標準報酬月額別の被保険者の分布でございます。左側が被保険者全体の分布、右側が短時間労働者の再掲になっております。まず、男性につきましては、一番多いのが62万円の等級でございまして、こちらが全体の10.0%を占めています。次に多いのが26万円や28万円や30万円辺りのところでございまして、それぞれ、6.5%、6.2%、6.6%と6%台になっています。女性につきましては、その右隣の列でございますが、22万円のところが最も多く10.0%、その前後のところが8%台で多くなってございます。また、右側の短時間労働者の標準報酬月額の分布を見ていただきますと、男性のピークが11.8万円、女性のピークも11.8万円ということで、等級の低いところに山ができていることが見てとれます。
○山内数理課長 16ページ目でございます。積立金の運用状況ですけれども、昨年度までと少し表の形を変えておりまして、昨年の御議論もございましたので、当年度だけではなくて前年度も見られるようにしたことと、昨年までは、下の表、資産区分別の内訳につきましては、旧厚生年金+国民年金という形で見ておりましたが、今年度からは別々に表示するということで、上の表と下の表のベースが合っているということでございます。上の表の資産構成でございますが、右の令和元年度を御覧いただきますと、預託金4.6%、市場運用分94.8%、財投債0.6%、下の表の資産区分別の内訳を御覧いただきますと、国内債券23.5%、国内株式22.5%、外国債券23.1%、外国株式23.5%、短期資産7.4%などとなっております。
17ページからでございますが、財政検証における将来見通しとの比較でございます。
まず、17ページは、収支状況の比較でございます。今回からは令和元年財政検証との比較になります。ここでは旧厚生年金の実績を比較するということで、共済分を含まない数値でもって掲載しているということでございます。令和元年財政検証では経済前提を6通り置いておりますけれども、ここではケースⅠ、Ⅲ、Ⅴを表示しております。また、2019年度は財政検証のおおむね足元でございまして、大体ケースⅠ、Ⅲ、Ⅴ、いずれの数字でも、違うところもございますが、大体同じような数字になっているということでございます。表の一番上、令和元年度実績なのですけれども、財政検証と比べるために、厚生年金基金の代行部分などの処理をしておりまして、特記事項のマル1からマル8のように書いておりますけれども、そういった処理をしまして2段目の実績推計をつくりまして、これと将来見通しを見ることになっています。表でございますけれども、まず、保険料収入でございますが、令和元年度財政検証では、例えば、ケースⅢでございますが、32.1兆円と見込んでいたところ、実績推計では32.6兆円になっておりまして、実績推計のほうが若干多くなっているという形で見ていくということでございます。この主な要因といたしましては、下の「主な要因」に書いておりますが、被保険者数の上昇、見通しよりも実績のほうが少し多かったといったことが影響していると見ています。そのように、国庫負担の比較、厚生年金拠出金収入の比較、運用収入の比較などができるということでございます。運用収入を御覧いただきますと、将来見通しと実績推計との間でかなりの乖離があるわけなのですが、これは実績の運用利回りの低下ということがあるということでございます。そういった形でございます。
18ページでございますけれども、被保険者数及び受給者数の比較をしております。左から2つ目の欄の受給者数でございますが、受給者数をトータルで見ますと、実績と将来見通しとでそれほど変わらない値になっている。被保険者数については実績のほうが大きい値となっているということでございます。受給者数のうち老齢相当と通老相当などが分かれておりますけれども、この分かれるところは数字が微妙にぶれるところではございまして、老齢相当と通老相当の内訳の部分では実績と見通しに少し乖離が生じているということでございます。
19ページからは、財政指標の比較でございます。
19ページは、年金扶養比率、何人で1人の受給者を支えるかという比率でございますが、実績としましては、上の表の一番左の欄の一番下、令和元年度では2.63になっております。財政検証の見通しは、表の一番左の欄の一番上の行などを御覧いただきますと、令和元年度は2.67と見通していたということでございます。
20ページでございますけれども、積立比率の比較になっています。上の表の一番左の欄の一番下、令和元年度の実績推計で、存続厚生年金基金の代行部分を補正したものでございますが、積立比率で5.1となっています。財政検証の見通しでは、一番左のケースⅠ、Ⅲ、Ⅴ、いずれも同じなのですけれども、5.1になっているということでございます。
以上でございます。
○翁部会長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明に関しまして、御質問などがございましたらお願いいたします。オンラインの方は、手を挙げていただければ、指名させていただきます。
野呂委員、お願いします。
○野呂委員 御説明をありがとうございました。
細かい質問ですけれども、2点ほどお願いします。
1つは、少し感想めいたことですが、9ページ、年齢別に受給権者(老齢相当)が書かれておりますけれども、数字を見まして、女性の90歳以上が32万人ということで、そこだけ男性と逆転しているのですけれども、現在90歳以上の方の現役時代には25年以上働く女性は少なかったように思うのですけれども、女性の生存率というか、生命表上の生存率の高さを考慮しても、女性の90歳以上の受給権者が非常に多いのがやや印象的なので、単に女性の方のほうが寿命は長いということ以外にもし要因があるのならば教えてほしいと思います。これが1点。
2つ目が、11ページのところですけれども、今も御説明がありましたとおり、短時間労働者で着実に加入者が増えているということで、これは制度改正の目的どおりで非常によろしいかと思うのですが、この増えていることの要因といいますか、原因につきましては、1つは、制度的な適用拡大といいますか、該当する人の範囲を増やしたことによるものもあると思うのですけれども、もう1つは、これまでも加入すべきであったにもかかわらず加入していなかった人に対して、例えば、源泉徴収データを見たりしながら、加入勧奨、督促をされたことによるものもあり、多分その2つの理由で短時間労働者が増えているのではないかと思います。もしお分かりでしたら、適用拡大によって増えた部分と加入勧奨によってもともと加入対象だった人が増えた部分についての比率のようなもの教えてほしいというのが1点。
現下、コロナで特に中小の企業の方は経営も苦しいと聞いており、昨年の法改正で500名から50名にさらなる拡大をされている中で、まさに中堅・中小事業者が対象にとりまして、この段階での従業員の加入ということについて、かなりハードルの高いところもあろうかと思うのですけれども、その辺り、これは行政的な意味ですけれども、どのように対処を考えていらっしゃるかというのが質問でございます。
以上です。
○翁部会長 お願いいたします。
○村田調査室長 まず、1つ目の御質問について、ここの90歳以上の方のお話だと思うのですが、令和元年度に90歳の方が厚生年金の受給権を得られたのは、多くはその方が60歳になられた30年前の平成元年度だと思われるのですが、当時の統計を見てみますと、平成元年度の老齢相当の厚生年金新規裁定者の男女比がおよそ2対1の比率になってございました。また、第22回の生命表の生存数を比べてみますと、60歳の方が90歳まで生きる割合、すなわち、60歳の生存数に対する90歳の生存数を見ますと、男性が大体25%ぐらいで女性が50%ぐらいということで、30年後に生き残る割合がおよそ1対2、2対1と1対2ということで、現在90歳以上の厚生年金の受給権者が男女同程度おられるということは整合的な結果かと考えております。
2点目について、先生のおっしゃいましたように、厚生年金1号被保険者の短時間労働者は年々増加しておりまして、その増加の要因としては、実際の短時間労働者の条件を満たすパート労働者の方が増えていることや日本年金機構による加入勧奨の効果だということは分かるのですけれども、残念ながら定量的なことまでは分からない状況でございます。定性的にはどちらの効果もあるということなのですが、今の統計では切り分けができないということで、その点は申し訳ないと思っております。
以上です。
○翁部会長 お願いします。
○岡部年金課長 年金課長でございます。
最後にいただいた御質問、適用拡大への配慮でございます。まず、適用の順番でございまして、2段階に分けて施行するということでございます。2022年10月に100人超、2024年10月に50人超ということで、段階的な施行をしているということが1つでございます。特に中小企業の経営に影響があるということで、可能な限り支援の対応をしているということでございます。
具体的には、別の省、経済産業省の補助金になりますが、ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、これらのメニューの中で適用拡大を行う事業者についてポイントをつけるということで支援を図っているところでございます。
短時間労働者の被用者の保険加入のために処遇改善を行う事業者に対して、労働の政策の中でキャリアアップ助成金などにおいて支援をしているところでございます。
さらに、どちらかというとソフト面の支援になりますが、企業が適用拡大の意義を従業員の方に説明をうまくできるようにするという観点から、適用拡大の対象となります事業者に向けて説明会等によって周知をするとともに、これは日本年金機構から派遣する形になりますけれども、社会保険労務士などの専門家の派遣をするという支援事業を行う予定でございます。
これらによって中小企業の方の適用がスムーズにいくような支援をしていきたいと考えております。
以上でございます。
○翁部会長 よろしいですか。
どうぞお願いします。
○野呂委員 大変よく分かりました。
最初のところ、私もちょっと意外だったのですけれども、30年前で60歳になって25年以上勤務された方の男女比は、女性の方は割と短期で辞める人がもっと多いかと思ったのですけれども、2対1だったという御説明の理解でよろしいですか。
○村田調査室長 平成元年度の老齢相当の厚生年金新規裁定者の男女比がおよそ2対1であったということでございます。
○野呂委員 ありがとうございます。
○翁部会長 そのほかに御質問はいかがでしょうか。
枇杷委員、お願いします。
○枇杷委員 御説明をどうもありがとうございました。
19ページなのですけれども、年金扶養比率の数字を見ておりまして、財政検証では令和元年度2.67に対して実績が2.63という乖離がある。被保険者の数はむしろ増えているのに比率が下がっているということで、何でかなと思って見たときに、マル2の老齢年金受給権者のところが老齢相当だけとなっていると理解したのですね。まず、それがそういう理解でよろしいかということと、通老・25年未満の方も受給者だと考えると、本来、これはそれも含めた比率のほうがよかったのではないかと今さらながら思ったということで、その辺について事実確認とコメントをいただければと思います。
以上です。
○翁部会長 お願いします。
○山内数理課長 指標の分母と分子の関係については、御指摘のとおりでございます。年金扶養比率は、かなり以前からこの部会をはじめ開発されて活用されてきたということでありますので、そういった流れの中で、検討の結果としてこういう形になっているということかと思いますが、いろいろな考え方はあっていいのではないかとは思います。今後、いろいろと財政や年金の状況を見る中で、どういう見方をしたらいいかといったことも含めていろいろ御議論をいただければよいかと理解をしているところでございます。
○翁部会長 今度、その数字を出していただいたらいいかもしれませんね。
○枇杷委員 ありがとうございます。
10年に緩和されたタイミングでどういう議論があったか承知していないものですから、その辺の議論も併せて今後の検討の中で御披露いただければと思います。
○翁部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございますか。
小野委員、お願いいたします。
○小野委員 ありがとうございます。
今の枇杷委員の質問と関連して、18ページの老齢相当と通老相当の仕分ですが、将来予測と実績とを比べると、それぞれ50万人ぐらい入り繰っているのではないかと思うのです。それは技術的にどういうことが原因なのかを、もうすこし御説明いただきたいと思います。
以上です。
○翁部会長 ありがとうございます。
御説明をお願いいたします。
○山内数理課長 御存じのとおり、年次別のシミュレーションをしていって、昨年、財政検証のヒアリングの中でいろいろ基礎率の作成などについては御審議いただいたと思うのですけれども、2019年は、足元と言いつつ、実績の統計はそれよりもう少し前の統計がベースになるわけです。性や年齢とか、加入期間ごとの足元の統計をシミュレーションで動かしていくわけなのですけれども、足元の方々がいろいろ動いていく一方で、脱退率に応じて、一定の方が脱退される一方で、さらに将来の人口推計などから将来の被保険者数全体の枠みたいなものは決まっている中で、再加入などを仮定して再加入の方々を一体どのセルに当てはめるかといったことは、シミュレーションの計算をしていくということです。その計算をしていく中で基礎率などをたくさん使っていくわけなので、その中で実績との乖離みたいなものが生じるということかと思います。
もう1つなのですけれども、非常に細かいテクニカルな話なのですけれども、最近表示している実績の老齢相当と通老相当で、厚生年金の加入期間として旧厚生年金の方だけではなくて共済組合の加入期間のある方は共済組合の加入期間の部分も含めて老齢相当か通老相当か判定しているところがあるのが今使っている実績の統計なのですが、財政検証のほうは、数理レポートにも書かせてはいただいているのですけれども、元データが、さっき申し上げたように、2019年より前までのデータしかなくて、共済部分のデータなどを全部踏まえられるような形のデータをそろえることがなかなか難しいというテクニカルな面もあって、将来見通しのほうの老齢相当は旧厚生年金だけで見たときの老齢相当になっているので、そこら辺がずれに影響している可能性もあるかとは思っています。ただ、いずれにしても、その辺りは、次の財政検証などに向けてデータの整備や推計方法なども含めてよく考えていって、よりよいものしていくということで考えてございます。
○小野委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○翁部会長 ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。
浅野委員は、いかがですか。お願いします。
○浅野部会長代理 御説明をありがとうございました。
今のシミュレーションのところに関連するのですけれども、令和元年の財政検証と令和元年の実績ということで、令和元年の財政検証といっても、今、数理課長から御説明があったように、基礎数はもう少し前だというお話で、これだけずれているということだと思うのですが、今、表明いただいたように、例えば、被保険者数はベーシックなものですし、受給者数なども基礎中の基礎なので、これがシミュレーションの初年度からこれだけずれるというのは、もう少し改善の余地があるのではないかと思いますので、次回はぜひ精度向上に向けた対応をお願いしたいと思います。
17ページで、年度末の積立金も実績推計と将来見通しで運用が大きく違ったということで大きくずれているのですけれども、これも、先日のピアレビューのときに、スターティングポイントのシミュレーションはワンポイントではなくて少し平準化するとか、そんな提言も行っていたと思いますので、まさにそういうところの必要性を示唆した結果ではないかと思うので、その辺りの御検討も次回はぜひお願いできればと思います。
以上です。
○翁部会長 何かございますでしょうか。
○山内数理課長 御指摘はいろいろと踏まえまして、先ほど御説明したように、実績統計との比べ方といいますか、つくり方とかも含めて、どのようなことができるか引き続き検討したいと思いますし、先ほど積立金で御指摘いただきました平準化みたいなお話は以前からあるわけなので、そういったことも含めてぜひ専門家の皆様方のお話も聞きながら検討していきたいと思います。
ただ、1つだけ、令和元年度の年度末の積立金につきましては、令和元年度の年度末に向けて、年明けから新型コロナウイルスの感染拡大で全体的な運用環境が一時的に大きく下がった影響もあるかとは思っています。今、今年度第3四半期ぐらいまでの状況は分かっているわけなのですけれども、その影響は今年度に入って一時的な分は大分解消しているという面もあって、よりよい数字をつくっていくものとよりきちんと説明するという両面から考えていきたいと考えております。
○翁部会長 よろしいですか。
そのほかに御意見や御質問はございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
特に追加的な御質問が今は出ませんので、次に進みたいと思います。厚生年金保険についての報告をどうもありがとうございました。
議題2、令和元年度の国民年金・基礎年金制度の財政状況について御説明をお願いいたします。
○山内数理課長 国民年金・基礎年金制度についてでございます。
資料2を御覧ください。
1ページ、「1.収支状況」でございます。(1)として基礎年金勘定の収支状況をお示ししております。令和元年度の収入総額は25兆6065億円になっておりまして、前年に比べて5076億円の増になっています。一方、支出の総額は24兆1847億円になっておりまして、前年度に比べて3203億円の増になっております。結果としまして、収支残が1兆4217億円でございまして、前年に比べて1873億円の増になっております。基礎年金勘定でございますが、収入の大部分は基礎年金拠出金でございます。また、積立金より受け入れている中には、先ほど厚生年金のところでも触れました被用者年金の一元化に伴って基礎年金拠出金の軽減に活用するとされた部分も含まれているということでございます。支出につきましては、基礎年金給付費の本来分が23兆3352億円となっておりまして、前年に比べて、4305億円、1.9%の伸びとなっております。下から3段目の拠出金算定対象者数を御覧いただきますと、5470万6000人でございまして、前年度に比べて、1万8000人、0.0%の増ということで、ほぼ横ばいになっています。基本的には、20歳から59歳の人口の動向に対応するということであるのですが、国民年金の第1号被保険者については、保険料納付月数を12で割って人数換算しますので、近年、被用者化の進展に伴いまして、1号被保険者が減少して、また、国民年金の保険料納付率が上昇していることなどもあって、20歳から59歳の人口自体は減少傾向にある中で、拠出金算定対象者数はほぼ横ばいで推移していると見られるということでございます。
2ページ目でございますけれども、令和元年度の基礎年金の制度別の給付及び負担の状況でございます。注1にありますとおり、拠出金や交付金には概算値と確定値がありまして、収支に出てくるのは概算値と前々年度の精算値の合計になりますけれども、この表は確定値のほうで整理しているということでございます。また、注2にありますとおり、先ほどから御説明しております基礎年金拠出金軽減のための積立金の受け入れ分は控除する前の数字になっておりまして、控除額を括弧で再掲しているということでございます。上の表でございますが、基礎年金給付費の本来分が23兆3290億円、旧法分の基礎年金相当給付費が8112億円で、その両者を足したものが一番右の欄の24兆1402億円となっております。これから下の表の右側のほうにある特別国庫負担の3799億円を差し引いたものが基礎年金拠出金の23兆7602億円でありまして、これを各制度が拠出金算定対象者数に応じて分担しているという構造をお示ししております。
3ページ目でございますが、国民年金勘定の収支状況をお示ししております。右側の令和元年度の欄を御覧いただきますと、時価ベースの収入総額が2兆9573億円になっております。内訳でございますが、保険料が1兆3458億円で、前年度に比べて、446億円、3.2%の減少になっております。平成16年改正に基づく国民年金の保険料額の引上げ自体は平成29年4月で終了していますので、保険料収入への影響を及ぼす要素としては、被保険者の減少という減要因、納付率の上昇といった増要因が影響しているということであります。国庫負担は1兆7684億円で、前年度に比べて、523億円、2.9%の減になっています。これは、下の支出の欄の基礎年金拠出金が令和元年度は3兆769億円でございまして、前年度に比べて、1333億円、4.2%の減になっていることに対応しているということでございます。収入に戻っていただきますと、時価ベースの運用収入が、マイナス4595億円で、前年度に比べて5924億円の減少になっています。また、丸括弧つきで再掲しておりますが、年金積立金管理運用独立行政法人納付金が3421億円になっております。支出の総額は3兆5958億円でございまして、収支残は時価ベースでマイナス6385億円となっております。これにその下にある業務勘定から積立金への繰入の74億円を足したものが、前年度との比較の欄にある時価ベースで見た年度末積立金のマイナス6311億円になりまして、これが実質的な意味での収支残に当たるものとなっています。年度末積立金は時価ベースで8兆5232億円となっておりまして、運用利回りはマイナス5.07%でございます。
4ページは、参考でございますけれども、3ページの保険料収入1兆3458億円の内訳でございまして、現年度保険料と過年度保険料別に見たものでございます。再掲の中で、前納保険料の欄を設けておりますけれども、この中には、令和元年度と令和2年度の2か年分の保険料を前納していただくいわゆる「2年前納」の総額に加えて、令和元年度分の保険料についての半年分や1年分をまとめてとか、あるいは、1か月前納といったものを全部含めてこの欄に計上されているということでございます。
収支状況につきましては、以上でございます。
○村田調査室長 続きまして、5ページを御覧ください。こちらは、給付状況についての資料でございます。掲載しております数値は、上のほうにありますように、新法の基礎年金と旧法の国民年金を合計したものとなっておりまして、被用者年金のいわゆるみなし基礎年金に係る分は含まれてございません。まず、受給権者でございますが、令和2年3月末は、合計で3628万7000人となっておりまして、前年度に比べて、35万5000人、1.0%の増加となってございます。このうち、老齢年金・25年以上は、3299万2000人となっておりまして、1.0%の増加でございます。通算老齢年金・25年未満につきましては、令和2年3月末で94万4000人、前年度に比べ0.1%の減少となってございます。次に、年金総額につきましては、1つ下の段のところになりますけれども、令和2年3月末で24兆3670億円となっておりまして、前年度に比べて、3373億円、1.4%の増加となっております。この大部分を占めております老齢年金・25年以上について見ますと、令和2年3月末で22兆1494億円、前年度に比べて1.4%の増加となってございます。
続きまして、6ページでございます。こちらは、繰上げ支給・繰下げ支給の状況についての資料でございます。まず、繰上げ支給の男女合計の受給権者数ですが、令和2年3月末で416万3000人となっておりまして、前年度に比べ、16万3000人、3.8%の減少となってございます。近年の状況を見ますと減少傾向で推移してございます。一方、繰下げ支給の受給権者数は、令和2年3月末で49万3000人となっておりまして、前年度に比べて、4万人、8.8%の増加となってございます。
続きまして、7ページでございます。上段と下段がございますけれども、上段につきましては老齢年金受給権者の平均年金月額及び平均加入期間についての資料になってございます。男女合計の老齢年金・25年以上の平均年金月額を見ていただきますと、令和2年3月末で5万5946円となっておりまして、前年度に比べて、238円、0.4%の増加となってございます。この増加の要因でございますけれども、令和元年度は年金額の改定が平成30年度からプラス0.1%ということがございます。また、平均加入期間が延びていることから平均年金月額が増加したということでございます。下段につきましては、新規裁定者についての資料でございます。まず、男女計の老齢年金・25年以上に係る新規裁定者の老齢年金の平均加入期間は、令和元年度で417月となっておりまして、前年度に比べて4月の増加となってございます。また、平均年金月額は5万3914円で、前年度に比べ342円の増加となってございます。
続きまして、8ページは、老齢年金受給権者の年齢構成でございます。男女合計で見ますと、割合が最も多いのが70歳以上75歳未満の25.4%、次いで65歳以上70歳未満の22.2%となってございます。平均年齢は、男性が75.6歳、女性が77.2歳、男女計で76.5歳となっております。前年度末は男女計で76.2歳だったので、プラス0.3歳の上昇ということで、若干ではございますけれども、年齢構成は高いほうにシフトをしているという状況でございます。
続きまして、9ページは、老齢年金受給権者の年金月額の分布でございます。上側が受給権者全体に関する分布で、下側がいわゆる基礎のみの受給権者に関する分布となっております。さらに、それぞれについて、左側が老齢年金・25年以上、右側が通算老齢年金・25年未満の分布を示しております。上側の受給権者全体の左のほう、老齢年金・25年以上の分布を見ていただきますと、年金月額が6万円から7万円の階級が43.9%と最も多くなっています。一方、右側の通算老齢年金・25年未満の分布を見ますと、比較的低い水準の金額階級の割合が高くなってございます。
10ページは、被保険者の状況でございます。まず、被保険者数でございますが、第1号被保険者は引き続き減少傾向が続いておりまして、令和2年3月末で1453万3000人となっており、前年度に比べて、17万7000人、1.2%の減少となってございます。第3号被保険者につきましては、令和2年3月末で820万3000人となっておりまして、前年度に比べて、26万4000人、3.1%の減少となってございます。被保険者の平均年齢は、令和2年3月末で第1号被保険者が39.2歳、第3号被保険者が44.8歳となってございます。下のほう、免除等の状況につきましては、一番下の欄でございますが、令和2年3月末の免除者数は前年度に比べまして納付猶予者以外は人数が増加している状況でございます。また、平成31年4月から産前産後期間における国民年金保険料の免除制度が導入されておりますので、令和2年3月末の欄に産前産後免除者数を計上してございます。
次に、11ページは、第1号被保険者の分布でございます。一番右の割合の欄を御覧いただきますと、最も多いのが20歳以上25歳未満の23.2%となっております。国民年金の第1号被保険者には自営業の方や無職の方などいろいろな方がいらっしゃいますけれども、この20歳以上25歳未満のところは学生の方が多く、そういうことでウェイトが大きくなっているということでございます。
続く12ページと13ページは、今見た第1号被保険者の分布を男女別に見たものでございますので、説明は割愛させていただきます。
次に、14ページは、第3号被保険者の分布でございます。第3号被保険者につきましては、最も多いのが45歳以上50歳未満のところで19.7%となってございます。ここをピークとして、山のような形となっております。
15ページ、16ページは、今見た分布の男女別でございますので、説明は割愛させていただきます。
次の17ページは、国民年金保険料の納付状況を年齢階級別に見たものでございます。特記事項にも記載しておりますが、納付状況の途中経過を示すものとして、現年度納付率、過年度1年目納付率がありますけれども、最終的な納付状況を見るための指標としては最終納付率が適切だと考えております。直近の結果では、一番上の段を見ていただきますと、平成29年度分保険料の最終納付率が76.3%となっておりまして、これは7年連続で上昇となっております。統計を取り始めました平成14年度以降で最高の水準となってございます。下段のほうに、年齢階級別の最終納付率をお示ししておりますが、括弧内は年齢階級別の現年度の納付率となっております。どちらもおおむね年齢階級が高くなるにつれて納付率が上昇する傾向が見てとれます。なお、20歳以上25歳未満の納付率が、その隣の25歳以上30歳未満の納付率よりも高くなっておりますけれども、20歳代前半の場合は、学生納付特例で保険料の納付猶予を受けていたり、本人に代わって親が保険料を負担しているケースが多いことなどが影響してこういった形になっていると考えております。
○山内数理課長 18ページでございますが、先ほど厚生年金のところで御説明したように、本年度から様式などを変更しているということでございます。上の表の資産構成、右側の令和元年度でございますが、預託金が4.7%、市場運用分が94.5%、財投債が0.7%になっております。また、下の資産区分別の内訳でございますが、国内債券が23.6%、国内株式が22.5%、外国債券が23.0%、外国株式が23.5%、短期資産が7.5%などになっております。
19ページ以降が、財政検証における将来見通しとの比較になっております。
19ページが、まず、国民年金の収支状況の比較でございます。厚生年金と同様に、国民年金に関しましても、将来見通しとベースをそろえるということがありますので、下の特記事項にありますような調整を行って、一番上の段、令和元年度の実績から2段目の実績推計をつくって、その下の将来見通しと比較するということでございます。御覧いただきますと、保険料収入は、将来見通しで、例えば、ケースⅢの数字などを中心に見ていただきますと、将来見通しで1.30兆円を見込んでいたものが実績推計では1.35兆円になっています。言い忘れましたが、この19ページ目以降の表につきましては、桁数を何兆円単位で見たときに国民年金の場合は規模が小さくて見えにくいといったことがありますので、今年から少し桁数を増やすといった変更をしています。次に、国庫負担でございますけれども、将来見通しで1.86兆円と見込んでいたものが実績推計では1.77兆円になっております。右側に支出の基礎年金拠出金という欄がございますけれども、将来見通しで3.29兆円と見込んでいたものが、第1号被保険者が少なくなって拠出金按分率が低下したと主な要因のところに書いておりますけれども、そういった状況がありまして、実績推計では3.09兆円になっております。これに伴って、基礎年金の2分の1の国庫負担も見通しより実績のほうが少なくなっているということでございます。運用収入でございますけれども、厚生年金の主な要因と同じでございますけれども、将来見通しでは0.19兆円と見込んでいたものが、実績ではマイナス0.46兆円になっているということでございます。右の支出の給付費でございますけれども、将来見通しで0.10兆円であるものが実績推計で0.11兆円、右から2列目の収支残は、将来見通しでマイナス0.07兆円と見込んでいたものが実績推計ではマイナス0.58兆円になっておりまして、年度末積立金は、将来見通しでは11.44兆円と見込んでいたものが実績推計では10.92兆円でございます。
20ページ、(2)でございますけれども、国民年金の被保険者数及び基礎年金の受給者数の比較をしております。実績と将来見通しを見ると、被保険者数は将来見通しに比べて実績がやや少なくなっているということでございます。内訳のとおり、将来見通しに比べて実績のほうが全体的に少なくなっているということでございます。受給者数は将来見通しと実績との間で大きな差はないということになっております。
21ページ目以降の財政指標の比較でございます。
21ページは、国民年金・基礎年金全体で見た場合の年金扶養比率になります。令和元年度の数値でございますが、実績は、上の表、左側の一番下の数値で1.92になっておりまして、将来見通しは、下の表、各経済ケースの一番上で1.94になっており、比較的近い値になっています。
22ページ目でございますが、国民年金勘定の保険料比率になっています。令和元年度の数値は、実績は、上の表、左側の一番下の数字でございまして94.8、将来見通しは、下の表、ケースⅠの一番上の行で85.3になっております。将来見通しに比べると実績のほうがやや高めになっています。
23ページが、国民年金勘定の収支比率になっておりまして、括弧の中の時価ベースで御覧いただくということでございますが、令和元年度の数値でございますけれども、実績は、上の表、左側の一番下の数値で160.2でありまして、将来見通しは、下の表、ケースⅠとⅢの一番上の行では102.1になっております。実績のほうがかなり高くなっているということでございます。
最後となりますが、24ページが国民年金勘定の積立比率でございまして、令和元年度の実績は、上の表、左側の一番下の数字で8.1、将来見通しは、下の表、各経済ケースの一番上の行で7.5となっておりまして、実績のほうがやや高くなっているということでございます。
財政検証における将来見通しの比較ということでは、説明は以上でございます。
○翁部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの説明に関しまして御質問などがありましたらお願いいたします。
小野委員、お願いいたします。
○小野委員 ありがとうございます。
早めに退出してしまいますので、先に失礼します。
まず、19ページなのですけれども、注書きに国庫負担の繰延べ額として2.4兆円があって、それが資産に計上されています。この処理自体はいいと思うのですけれども、この国庫負担の繰延べは、回収の実績や将来の回収の見込みが分かりましたらお教えいただきたいというのが1点です。
もう1つは、22ページ以降のいろいろな指標の比較をしているページなのですけれども、実績の給付費が財政検証の給付費とかなり違っているというのは何かと思ったら、恐らくこれは実績ではなくて実績推計を表示するのが正しいのではないかと思っております。年金数理部会からの項目の要求がそうなっていたからということなのもしれないのですけれども、いかがでしょうか。
この2点でございます。
○翁部会長 御回答をお願いいたします。
○山内数理課長 繰延べのお話でございますけれども、国庫負担の繰延べにつきましては、厚生年金にも国民年金にもございます。昨年のピアレビューのときにも御報告の中に入れておりましたけれども、財政検証の積立金はこの繰延べも含めた積立金で将来見通しをしていますし、伝統的に従来からこの決算ヒアリングの中でもそういう形で実績推計をつくらせていただいて財政検証と比べているということでございます。
国民年金については、今、御指摘がありましたけれども、繰延べ自体は昭和50年代の後半から昭和60年代の前半にかけて行われていまして、平成の初めぐらいには分割して繰り戻されたということはありますけれども、そういう中で、まだ戻しが終わっていない、戻されていない元本の分と利息の分ということで、今、こういう形で計上しているということでございます。そういう意味で、御指摘の中で、過去に返済された実績ですが、それはあります。毎年というか、いろいろとこういうものがあるということは認識した上で、予算編成などのときにいろいろと相談をしながら対応をしているということでございまして、年金財政は長期的なものなので、一方で金額が大きいということもございますので、そういう中でどのように対応するかは常々御相談させていただきながら進めているものということで御理解いただければと思います。
○秋田首席年金数理官 2つ目の御質問でございます。
22ページ以降、給付費のところを見ていただきますと、財政検証の結果と実績の乖離が少し大きいのではないかと、それについての御質問かと思います。この財政指標の比較につきましては、財政指標の係数を比較することを重点としておりまして、右側の係数については参考として記載させていただくような形になってございます。したがいまして、この給付費の部分で、財政検証のほうは基礎年金交付金を控除した金額になっているのですけれども、実績のほうは控除する前の金額になっていたりということがございまして、一目で比較ができない部分もございます。こちらは、報告の形をどうするかといった問題も含まれますので、事務局で整理をさせていただいて、御相談させていただければと思ってございます。よろしくお願いいたします。
○小野委員 ありがとうございます。
○翁部会長 小野委員、よろしいですか。
それでは、ほかの御意見や御質問などがございましたらお願いいたします。
駒村委員、お願いいたします。
○駒村委員 細かいことなのですけれども、興味深いこともあって、男性3号が確実に増えてきている、しかも中高年のところで増えているのはなかなか面白い現象だなと思っています。それとは別ですが1ページ目の特別国庫負担相当額が増え続けているように見えるのですけれども、免除の方が増えるとほぼ連動して増えるのか。これはどういう構造でこの数字が出ているのか、説明していただけますでしょうか。
○翁部会長 お願いいたします。
○山内数理課長 傾向的に増加している部分は定量的に数字として分析して数でお答えすることは難しいのですけれども、特別国庫負担の大部分は20歳前障害の場合の国庫負担や免除に対応する部分でございます。今、基礎年金の受給者全体が増えていく中で、給付費全体が増加する中で、そうした給付も増えていると考えております。さらにそこから先の定量的な部分までは手元ではやっておりませんが、全体の高齢化の中での受給者の増加が影響しているかなといったことを考えております。
○翁部会長 駒村委員、よろしいですか。
○駒村委員 支出項目が、20歳前障害ということですね。では今の免除が増えているからこれが増えているということでもないということですね。そこだけ、確認まで。
○山内数理課長 免除者の増加というか、免除期間の増加との関係ということでは、そこまでは今は調べていないということなので、動向との関係はもう少し見てみたいと思います。
○翁部会長 そちらはチェックしていただくということで、3号のところは面白い状況ではありますが、特に情報が追加的にあるわけではないですよね。
○村田調査室長 はい。
○翁部会長 分かりました。ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。
野呂委員、お願いします。
○野呂委員 今も御説明がありました免除者の件も絡めての御質問です。17ページに、納付状況ということで、上にある3つの納付率はいずれも上がっていまして、過去最高という御説明もありました。それは非常に喜ばしいことだと思うのですけれども、たしか免除者になるとその分が分母から引かれて結果的に納付率が上がるということもあるので、先ほどの免除者が増えていることもひょっとしたら納付率の向上にある意味で要因となっているのではないかと思います。そういう意味で、この納付率が上がっていくことについて、因数分解といいますか、免除者等によって分母が減っている部分と、実際に納付している人が増えていることにより分子が増えている部分と、その辺りの要因の分析が分かれば教えてほしいというのが1点。
もう1つは、コロナが非常に広がっている中で、今後、免除者はさらに増える可能性も考えられ、その辺りの見通しを教えてほしいと思っています。
それと、これとは別件なのですが、少し感想といいますか、今後に向けての意見ですけれども、繰上げ・繰下げの関係で、去年の制度改正では75歳まで繰下げができるようになりましたが、実際に支給開始年齢に到達した人が、厚生年金もそうなのですけれども、どういう行動を取るか。すぐ年金をもらう人と、まだ働いているから繰下げをしようという人と、繰上げをして既に年金をもらっていたという人と3種類がいると思うのですけれども、今の資料の体裁だと、どこかで引き算や足し算をすれば分かるかも分からないのですけれども、なかなか見にくいので、来年以降になるかも分かりませんが、実際に開始年齢に到達した人が年金に対してどういう選択をしているか。特に65歳や70歳まで働くようになった中での変化が見られるような体裁にしたらいいなということを、感想として思いました。
○翁部会長 そうですね。だんだん増えていきますから、その辺りは重要ですよね。
それでは、今の御質問や御意見についてコメントをいただければと思います。
○村田調査室長 1つ目の問いでございますけれども、分子と分母の状況、納付率のことだと思うのですが、まず、分母である納付対象月数は、被保険者数が減少しているという影響がかなり大きくて、そういったことで、最終納付率で見ますと、前年度に比べて7.4%の減少になっています。一方で、分子である納付月数は、前年度と比べて5.3%の減少ということで、分母も分子もどちらも減少しているという状況なのですけれども、分子と分母で比べますと分子の減少幅のほうが小さいということで、納付率は増加しているといった構図になっております。
2つ目ですけれども、新型コロナの影響などで免除などの状況がどうなっていくかという御質問かと思いますが、定性的には、新型コロナウイルスの流行に伴って免除や猶予の方が増加していく方向に働くと考えているのですけれども、ここでまとまっているものが令和元年度末の状況ということで、まだその辺りが入っていない状況なので、今後、令和2年度末の状況を注視していきたいと思っております。
3番目の問いで、実際に繰上げや繰下げの選択がどのようになっていくかということを見ていけるような指標はないかということなのですが、こちらにはお示ししていないのですけれども、私どもが公表しております厚生年金保険・国民年金事業の概況で、支給の繰上げや繰下げを全て選択し終わった70歳のところで止めて、繰上げや繰下げはどうなっているかという状況を公表しておりますので、そういったものを来年度以降は取り入れて御報告できたらと思っております。
以上です。
○翁部会長 いかがですか。よろしいですか。
○野呂委員 初めのほうなのですが、分母、分子ともに減っているというのは、それはそもそもの人数が減っているということでは理解できたのですけれども、減っている中でも、割り算をすると、納付率が上がっている要因として、これまで払っていなかった人が本当に保険料を納めるようになった、すなわち納付の勧奨による部分と、いわゆる対象者が減る以上に免除によって分母が減る分とあると思います。何となく納付率が上がっている理由は、免除が増えて分母が減っているからということではないかという気がしたのですけれども、そうでもないのですか。
○村田調査室長 最終納付率の分析はないのですけれども、現年度納付率について分析したものがあるので御紹介したいのですけれども、平成30年度から令和元年度にかけて、現年度納付率が68.12%から69.25%に、1.13ポイント上昇しているのですが、被保険者の属性別に寄与を分析いたしますと、2年間引き続き第1号被保険者であった方の納付率が上昇しておりまして、それで1.04ポイントぐらいは説明できる状況でございます。一方で、免除の影響は、ずっと免除の方は納付率に影響しないので、新しく免除になった方と免除から戻ってきた方の両方の影響の差し引きみたいな形になるのですが、ざっくり計算しますと、大体0.78ポイント程度増加の要因になっているという分析をしております。
以上です。
○翁部会長 よろしいですか。
そのほかに御質問はいかがでしょうか。
駒村委員、お願いします。その後、永瀬委員、お願いします。
○駒村委員 免除の人たちは、現在、10ページを見ると、法定免除と申請免除と部分免除を加えると、340~350万人いるということでいいのですか。かなりの人数になってきているのですけれども、ピアレビューでも十分性の議論があったと思うのですけれども、こういう方たちの年齢や期間とかを少し詳しく分析されたほうがというか、今回は報告書なので通常どおりなのですけれども、今後、もう少し詳しくどこかで情報を見せていただきたいと思いました。
コメントになりましたが、すみません。
○村田調査室長 統計がどこまで取れるか、いろいろな制約がございますので、どこまでお示しできるかということも含めてまた検討させていただきたいと思います。
○翁部会長 よろしくお願いします。
永瀬委員、お願いいたします。
○永瀬委員 7ページのところなのですが、国民年金・基礎年金の老齢年金の平均月額で、男性と女性で見ると、男性のほうが、加入期間は全体に長くて、5万8900円でやや金額が多い、女性は5万3700円という形です。一方、新規裁定のところを見ますと、例えば、加入月数がかなり上がっていまして、平成27年度から令和1年をみると、男性は417月から425月に、女性は392月から411月にと上がっていますが、女性のほうが給付が上がっているように見え、男性はそんなに上がっていないのですが、これは早くもらう人が増えているからとか、そんなことなのでしょうか。この辺の動きの差の理由について、平均加入月数が最新年度だと女性は411月で男性は425月と女性のほうがまだ短いのですけれども、新規裁定で見ると女性が5万4100円で男性が5万3700円ということで、やや女性が高い。この辺の動きについての説明を教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○村田調査室長 すみません。急でございますので、あまり分からないのですけれども、基本的に納付月数と年金額は普通は比例するのですけれども、平均加入期間の中には免除といった期間がございますので、その免除がどれぐらいかといったものが全部総合してこの結果になっているので、今、にわかに男女の違いがどこかというところまで分析ができないのですけれども、いろいろな状況でこんな形になっているのかなと思います。
○翁部会長 そこは調べていただくことはできますか。
○村田調査室長 すみません。時間をいただきまして、こちらで分析させていただいて、後で御報告させていただければと思います。
○翁部会長 ぜひお願いいたします。
ほかに御質問はございますでしょうか。
関委員、お願いします。
○関委員 先ほどの繰上げと繰下げの件、私自身がしっかりと理解できていないような気もするのですが、ホームページで先ほどおっしゃっていた事業の概況を拝見しました。そこには70歳の場合が出てはいますが、先ほどの御意見は、もっと細かく、それぞれの年齢の繰上げと繰下げの状況、どれぐらいの人数がどう変化しているのかという、年度ごとの比較があるといいのではないかという御指摘だったのではないでしょうか。私もどれだけの人が繰り下げているのかという点について特に関心がありますので、そこはもう少し細かい数字があってもいいのかなと思いました。
それと、国民年金ではなく厚生年金の話になってしまいますが、資料1の12ページで、被保険者数が65歳以上でまとまっています。確かに70歳からは任意加入だとしても、65歳以上の年齢を細かくを分けていただけますと、少しずつシニア層がどのぐらいどうなっているのかということが見えてくるかと思いました。
以上です。
○翁部会長 ありがとうございます。
今、コメントをお願いしていますので、少々お待ち下さい。
○村田調査室長 厚生年金の分布で、65歳以上のところを分けたほうがいいというお話だったかと思うのですけれども、厚生年金の70歳以上の方は、原則として老齢基礎年金の受給資格期間が満たせない方がもう少し納付して期間を満たそうと思って加入しているところですので、任意加入の方になります。数字で言うと、令和2年3月末現在で数百人程度の規模でございますので、来年度以降、ここを分けるというのもありますし、人数がそんなにでもないのでこのまま書くというのもあるかと思うので、そこら辺は来年度以降で検討したいと思います。
繰上げと繰下げの選択状況で年齢別に見たいというお話がありましたが、今、手元に厚生年金のデータしかないので恐縮なのですけれども、厚生年金の場合ですと、平成30年度末の数字ですが、大体66歳のところと70歳のところに繰り下げている方が多くて、最初と最後のところに少し山があるような形になっております。
○翁部会長 今の御指摘のように、そういった実態が分かるようになることは、これからシニア層もとても増えますので、どういう形で示していただくのがいいのか、少し御検討いただければと思います。
○村田調査室長 また来年度に向けて検討させていただきたいと思います。
○翁部会長 そのほかにございますでしょうか。
浅野委員、いかがですか。
○浅野部会長代理 2点ほど質問と、1点だけ感想めいたコメントです。
1つが、19ページ、20ページのところで、保険料については実績のほうが多くなっているのですけれども、20ページを見ますと被保険者数は実績のほうが少なくなっているという状況でして、人数は減っていて保険料は増えているというのはどういう要因なのかというのを教えていただければと思います。
2つ目が、20ページの表の受給者数の実績が3594万3000人で、21ページの令和元年度の受給権者数が3384万8000人ということで、これは注1のように控除した人数ですということなのですけれども、分母を変えている理由というか、これは何か意味があるのでしょうか。厚生年金のほうですと一致した数値になっているので、この考え方というか、何で変えているのか、理由を教えていただければと思います。
最後は、少し感想めいたコメントなのですけれども、22ページ以降のいろいろな比率を見て、これは普通ですと財政検証で示した財政の安定性を示している数値だと思うのですけれども、それに対して実績がシミュレーションのレンジを大きく逸脱している感じで、これですとシミュレーション結果が将来の安定性を示しているように見えないなという感じがするのですけれども、こういうものはどういうふうに考えておけばいいのでしょうか。または、何か改善する方法があるのかどうか。その辺りのお考えを少しお教えいただければと思います。
以上です。
○翁部会長 御回答をお願いいたします。
○山内数理課長 3つの御指摘だったと思うのですが、まず、1つは、被保険者は減っているのに保険料が伸びているのはなぜという話で、納付率が上がっているからといったことがプラスの要因としてあり得ると思います。ほかにも多分色々あるのだと思うのですが、そこまで定量的にはなかなかみていません。
20ページと21ページの受給者の乖離については、確認をします。
最後、22ページ目以降の指標だと思うのですが、指標でかなり乖離が大きく見えるというお話かとは思っています。ただ、見方もあるかと思っていまして、1つは、例えば、23ページなどだと、収支比率の分母などは保険料収入+運用収入なので、運用収入は結構振れますし、令和元年度の場合だと特に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で一時的に世界全体の運用状況がという要素があったりして振れるので、そういったところなども含めて、ずれたらずれたなりにどういうふうにその差を見るかみたいなことはあるかとは思っています。ただ、足元のところで、さっきの受給者の中、厚生年金の中でも、老齢相当の切り分けみたいな話もあるわけなので、そういう中で、この指標自体はかなり以前に開発されてずっと使っているものなので、最近の状況との関係でどういうふうにもう少しよりよいものにできるかどうかといったことは少し考えてみてよいのではないかと思います。
最後はコメントみたいな話ですが、以上でございます。すみません。
○翁部会長 よろしいですか。
○浅野部会長代理 最後のことについて、減少は、おっしゃるとおり、運用の多寡によって、もともと積立金とかの規模もあまり大きくないとか、そういうことだと思うのですが、それはそれで分かるのですけれども、国民年金でいうと、収支比率をこうやってシミュレーションで出して、こういう状況なので安心してくださいと財政検証で言うこと自体が、ある意味、正しい情報発信になっていない可能性があるのではないかという懸念があるので、今、おっしゃられたように、昔に開発された指標ということであれば、何か今日的に見直すとか、そういうことも今後は検討が必要なのかなという気がいたしました。
以上です。
○翁部会長 少しこの辺りも御検討いただいてということで、よろしくお願いいたします。
御質問をどうぞ。
山口委員。
○山口委員 17ページの国民年金保険料の納付状況でお伺いしたいのですが、先ほどの御説明で、20代前半と20代後半の元年度の保険料の納付率で多少数値に違いがあるのですけれども、20代前半は学特の適用があることと親が納付されていることが納付率を上げているのだろうということでした。今、若い人たちの年金に対する認知度を上げることが課題になっているのですけれども、学特も含めて6割を超えているというと、ある程度、学特に対する認知度も上がってきているということになるのでしょうか。
○村田調査室長 手元にデータがないのですが、以前調査で学特の認知度を聞いたものがあったような気がするので、また調べてお答えしたいと思います。
○翁部会長 御質問はよろしいでしょうか。
以上で、国民年金・基礎年金制度についての報告の聴取を終わります。
本日、たくさん、意見、御質問がありましたけれども、まだ宿題になっている項目もございますので、それについてはまた事務局まで御回答いただければと思っております。よろしくお願いいたします。
また、今後、いろいろ質問などが出ましたら、事務局を通じて照会いたしますので、委員の先生方ももし何かございましたらよろしくお願いいたします。
最後に、事務局から御連絡がありましたらお願いいたします。
○秋田首席年金数理官 次回の部会の開催日時等につきましては、改めて御連絡をさせていただきます。
○翁部会長 今日は、第87回年金数理部会ということでしたが、これで終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。