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2018年1月29日 第13回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録
健康局健康課
○日時
平成30年1月29日(金)16:00~18:00
○場所
厚生労働省 専用22会議室
○議事
○大林予防接種室長補佐 定刻になりましたので、第13回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を開催します。本日は御多忙のところ、御出席いただき誠にありがとうございます。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方におかれましては、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
続きまして、出欠状況について御報告いたします。池田委員、亀井委員、川西委員から御欠席の連絡を受けております。また、館林委員から遅れていらっしゃる旨の連絡を受けております。現在、18名のうち14名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規程により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。また、戸田委員におかれましては、兵庫県多可町長でいらっしゃいましたが、町長退任に伴いまして本分科会委員を退任されております。後任として山本委員に、本日御出席を頂いておりますので御紹介いたします。全国町村会副会長(岩手県軽米町長)の山本賢一委員です。御挨拶をお願いします。
○山本委員 山本です。よろしくお願いいたします。
○大林予防接種室長補佐 それでは、議事に先立ちまして、配布資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、配布資料一覧、委員名簿、資料1と2、参考資料1~6、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。資料等の不足がございましたら、事務局にお申し出ください。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
それでは、ここからの進行は、倉根分科会長にお願いいたします。
○分科会長(倉根) 皆様、今日もよろしくお願いをいたします。まず、事務局から審議参加に関する遵守事項等について、報告をお願いします。
○大林予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、申請資料への関与について申告を頂きました。各委員からの申告内容については、机上に配布しておりますので、御確認いただければと思います。本日の出席委員の申出状況及び本日の議事内容から、今回の審議への不参加委員及び参考人はおりませんことを御報告いたします。以上です。
○分科会長 ありがとうございました。それでは、議題(1)の報告事項に入りたいと思います。本日は報告事項が3点ございます。まず1点目、「各部会からの審議状況の報告」について、事務局より説明をお願いいたします。
○黒崎予防接種室長補佐 事務局より説明をいたします。資料1を御覧ください。資料1の1ページですが、予防接種基本方針部会の開催状況について御報告申し上げます。平成29年12月8日に開催されました第20回基本方針部会においては、4つの議題について御議論いただきました。1つ目ですが、「予防接種に関する基本的な計画」におけるPDCAサイクルに係るヒアリングとして、自治体における予防接種に関する取組状況等について、秋田市、つくば市、足立区、名古屋市、神戸市の方から、それぞれ御報告を頂きました。
2番目の議題といたしまして、風しんに関する特定感染症予防指針の改正について御議論いただきました。改正案の主なポイントといたしましては、風しんの届出に関しまして、現行の「診断後7日以内」から「診断後直ちに」に変更すること。風しん発生時の迅速な対応といたしまして、感染経路の把握と積極的な疫学調査を、現行の「集団発生した場合等」から「一例でも発生した場合」に変更すること。ウイルス遺伝子検査等の実施につきまして、現行の「可能な限り」から、「原則として全例にウイルス検査を実施」に変更すること。これらの改正について御了承いただきました。また、平成30年度中を目途に、現状の風しん対策を総覧し、再度指針の改正を行うことについて御了承いただきました。
3番目の議題といたしまして、定期接種化を検討しているワクチンの審議内容につきまして御報告をさせていただきました。この件につきましては、前回の本分科会におきまして、この分科会で今まで懸案事項に上がってきたことが、今、どの程度の進行状況であるのかという御意見を頂戴いたしましたので、現在、議論を行っているワクチンにつきまして、現状をまとめて御報告させていただきました。
参考資料1を御覧ください。定期接種化を検討しているワクチンの審議内容という資料ですが、現在、定期接種化を検討しているワクチンとして6つのワクチンがございます。それぞれについて直近の審議会での審議内容と検討方針を示しております。上から順番に、おたふくかぜワクチンに関しては、第3回予防接種基本方針部会におきまして、仮に広く接種をするに当たっては、より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提であり、新たなMMRワクチンの開発が望まれるとされています。また、ここには記載されていませんが、MMRワクチンの開発状況については、研究開発及び生産流通部会において、各メーカーの方々より数次にわたりヒアリングを行っております。
次に、不活化ポリオワクチンの審議状況につきましては、平成25年7月に開催されました第3回研究開発及び生産流通部会におきまして、不活化ポリオワクチンの5回目の接種の必要性が議論され、改めて、抗体保有率の経年変化について調査を継続し、その結果に基づき5回目の接種の必要性を検討するとされております。
続きまして、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンにつきましては、第2回ワクチン評価に関する小委員会におきまして、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種として使用することの是非について議論され、13価ワクチンの評価に必要となる科学的知見をできるだけ早期に研究班等で収集した上で、実施する可能性のある施策について、費用対効果等の分析・評価を実施することとされています。
続きまして、ロタウイルスワクチンについてですが、第5回ワクチン評価に関する小委員会におきまして、ここに書いてございますように以下の3つの課題について、これまで収集された科学的知見が報告され、広く接種を勧めていくための検討を進めていくためには幾つかの課題が依然残っていることから、引き続き、研究班のデータや他の知見を収集した上で、一定の整理ができた段階で審議会に報告することとされています。
その下の2つ、帯状疱疹ワクチンと百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンにつきましては、次のワクチン評価に関する小委員会開催状況の所で改めて説明させていただきたいと存じます。
資料1にお戻りください。1ページの(4)長期療養特例の実施状況についてです。平成28年4月から平成29年3月末までに御報告いただいた長期療養特例の実施状況について、御報告させていただきました。参考資料2を御覧ください。長期療養特例の実施状況についてという資料ですが、平成28年度の実施状況は1,352件で、疾病分離別報告数及びワクチン種類別報告数は記載のとおりとなっています。
再び資料1にお戻りください。資料1の2ページ、ワクチン評価に関する小委員会開催状況ということで御報告申し上げます。平成29年11月16日に開催された第7回ワクチン評価に関する小委員会においては、4つの議題について御議論いただきました。議題の(1)は帯状疱疹ワクチンについてですが、平成29年度厚生労働科学特別研究事業において、「診療情報データベースを用いた帯状疱疹の疫学等に関わる研究」を池田委員に開始していただき、帯状疱疹の疾病負荷及び医療経済的評価について検討いただいていることを、池田委員から御報告いただきました。その研究の結果も踏まえまして、論点とデータを整理し、再度議論可能となった段階で、改めてワクチン評価に関する小委員会で、定期接種で使用することの是非について検討を行っていくこととされています。
(2)百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについてですが、百日せきワクチンの必要性について、就学前、DT2期が行われている時期、それぞれの時期への導入について、御議論いただきました。就学前につきましては新規ワクチンの導入の必要性について、DT2期が行われている時期については既存のDTからDPTへ置き換えることによるリスク・ベネフィットについて、それぞれ御議論いただきました。その議論に加えまして、百日せきにつきましては、本年1月より届出基準が変更されまして、検査診断による全数届出が開始されたことから、その結果も踏まえつつ、論点とデータを整理し、引き続きワクチン評価に関する小委員会で、定期接種で使用することの是非について検討を行っていくこととされています。
(3)肺炎球菌ワクチンについてですが、23価肺炎球菌ワクチンに関するファクトシートを国立感染症研究所で作成いただくことが了承され、本ファクトシートをもとにワクチン評価に関する小委員会において検討を行うことが報告されています。
(4)ヴァクセムヒブについてですが、2017年5月に武田薬品工業よりヴァクセムヒブが発売中止となったことを受け、定期接種化の議論を終了することがこの場で報告されています。基本方針部会及びワクチン評価に関する小委員会の開催状況に関する報告は、以上となります。
○分科会長 引き続き、事務局からお願いします。
○清水主査 副反応検討部会の開催状況について御報告させていただきます。資料1の3ページになります。前回の分科会以降、副反応検討部会は第31回、第32回の2回開催しております。まず、平成29年11月29日に開催された第31回の副反応検討部会について御報告します。1点目の議題として、記載されたワクチンの安全性について、副反応疑い報告をもとに審議がなされました。HPVワクチンについては新たなシグナルの検出はなく、従前どおりの評価とされています。また、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌ワクチンについては、これまでの報告において安全性に重大な懸念は認められないと評価されております。
2点目の議題ですが、HPVワクチンについて、国内外におけるリスクとベネフィットに関する情報を整理した資料をもとに審議がなされました。HPVワクチン接種後に生じた症状については、平成26年1月の合同会議における検討以降、HPVワクチン接種後に生じた症状とワクチンとの因果関係を示唆する新しい質の高いエビデンスは報告されていない。臨床現場では医師の専門性の違い、主たる症状の違い等により、同一と思われる状態でも、様々な傷病名で診療が行われている実態があるものの、それらは、副反応検討部会で整理している「機能性身体症状」と同一のものであると考えられると整理されました。
また、ワクチンの安全性及び有効性に関する最新の知見を情報提供していくとともに、「機能性身体症状」については、医療関係者のなかでも、その病態に十分な理解があるといえる状態ではなく、医療従事者を始め、医学的知識のない方でも分かるように、機能性身体症状についての理解を深めていくことが必要であるとされました。
3点目に、報告事項として、厚生労働科学研究事業として実施しているHPVワクチンに係る診療体制における協力医療機関等を受診している方を対象とした調査研究の進捗状況について、研究代表者である大阪大学大学院の祖父江友孝教授から報告いただきました。
続きまして、平成29年12月22日に開催した第32回について御報告します。この回はHPVワクチンについて1点のみの議題でした。HPVワクチンに係るこれまでの審議会での議論の整理が行われるとともに、国民への情報提供のためのリーフレットの見直し案について議論が行われています。HPVワクチンの安全性及び有効性に関する国民への情報提供については、既に平成26年7月より、1保護者向けリーフレット、2被接種者向けリーフレット、3医療従事者向けリーフレットの3種類が厚生労働省のホームページに公表されており、各市町村からも同様に情報提供がなされているところです。先ほどの説明と重複しますが、第31回(11月)の部会において、「ワクチンの安全性及び有効性に関する最新の知見を情報提供していくとともに、『機能性身体症状』については、医療従事者のなかでも、その病態に十分な理解があるといえる状態ではなく、医療従事者を始め、医学的知識のない方でも分かるように、機能性身体症状についての理解を深めていくことが必要である」とされたことから、国民への情報提供について、安全性・有効性に関する内容を充実した上で、更なる情報提供をすすめることにについて、御意見を頂きました。
また、国民への情報提供については、科学コミュニケーション若しくは、ベネフィットリスクコミュニケーションが成立したと判断できる状態になることが重要である。情報提供しただけで伝わったということではなく、それが理解されたかどうか評価することも必要であるとの御意見も頂きました。
ここから先、資料上にはないのですが、12月の部会において提示したリーフレットの見直し案について、部会の中で頂いた御意見、また事後に委員から頂いた意見等を踏まえた完成版のリーフレットについて、1月18日に厚生労働省ホームページに掲載するとともに、同日、自治体に周知しております。また、医師会、医学会等の関係機関にもお知らせして、学会員等への周知を依頼したところですので、この場で御報告させていただきます。副反応検討部会については以上です。
○分科会長 ありがとうございました。引き続き、事務局からワクチンの供給関係について参考資料を用いて説明していただきます。
○坪井予防接種室長補佐 事務局より御説明をさせていただきます。前回、開催された第12回の分科会以降、ワクチンの供給の関係で事務連絡を発出したこと等について御報告をさせていただきます。まず日本脳炎ワクチンの関係ですが、参考資料3を御覧いただければと思います。乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン、いわゆる日本脳炎ワクチンにつきまして、国内では現在2者が製造販売をしていますけれども、このうちの1者である化血研の製剤が、平成28年の熊本地震の影響により、一定期間供給がなされない見込みであるということ等につきまして、昨年の5月に事務連絡を発出する形でお知らせをしていたところです。
今般、今年1月15日ですけれども、化血研から化血研製剤の出荷が再開される旨の公表がございました。このことも踏まえまして、日本脳炎ワクチン全体に関する供給の見込みを検討したところ、1月16日事務連絡発出時点の見込みですが、裏面にありますとおり、別添のようなグラフの状況となっています。このグラフの見方を簡単に御説明させていただきますと、薄い色の方の棒グラフが供給側の量というのを示していて、濃い方の棒グラフが需要側の量を示しています。同じ月で比較して、薄い色の供給側が濃い色の需要側を上回っている場合、需給バランスが保たれていると考えられます。この図では、昨年11月の実績と今年4月までの見込みを示していますけれども、今のところ需要と供給のバランスが逆転しているようなところはございません。
前のページの文章の所にお戻りいただければと思います。今後の供給の見込みにつきましては、今、御説明したとおりですが、一方で、日本脳炎の予防接種実施状況につきましては昨年の6月に別途事務連絡を発出していて、各自治体の御協力のもとで調査を実施しています。全自治体の情報がそろっていた8月時点までのデータを、4月から8月までの合算として暫定的に取りまとめたところ、昨年の同時期と比較して第1期の接種率が低下しており、より一層の対応に努める必要があるものと考えられました。このため、各都道府県に対し、接種を希望する者が適切な時期に接種を受けられるよう、日本脳炎ワクチンの流通状況を把握した上で、十分な配慮をお願いする旨等の事務連絡を、1月16日付けで参考資料3のとおり発出したということでございます。
次に、今シーズンの季節性インフルエンザワクチンの関係ですが、参考資料4と5の関係です。前回開催された分科会におきまして、今冬シーズンのインフルエンザワクチンの供給に関し、昨年7月現在の累積供給予定量、医療機関の需要予測を記載した見込みのグラフを提示いたしました。その際、更なる供給の前倒しを実施していること等について御説明させていただきましたが、その後、昨年10月時点の状況において更新し、その見込みのグラフをお示ししたのが、この参考資料4にお示しした11月6日の事務連絡です。7月の時点では、今年度のワクチン供給量の見込みを約2,528万本、これは1mL換算ということですが、お伝えしていましたけれども、これが10月時点、この事務連絡を発出した時点では約2,634万本に増加いたしました。また、この事務連絡におきましては、予防接種法に基づく定期接種の費用助成期間の延長につきまして、定期接種によるワクチンの接種を希望される方が4月以降も適切に接種できるよう、十分な配慮をお願いしたところです。
その後、時間が経過いたしまして、本年1月現在までの実績をお示ししたグラフが参考資料5です。この参考資料5のグラフは参考資料4のグラフと同様になりますが、青い四角が製造販売業者から供給された量の累積値を示しており、赤い三角が医療機関に納入された量の累積値を示しています。参考資料4に付いていたグラフは昨年10月時点の見込みでしたが、参考資料5のグラフはいずれも実績値ということになっています。
供給量の実績ですが、累積で約2,643万本となり、先ほど申し上げた事務連絡に記載した10月時点の数字よりも更に増加したところです。その結果として、昨シーズンの推定使用量である2,642万本という数字がありましたけれども、この2,642万本という数字を上回ることとなりました。また、赤い三角で示された医療機関の累積納入量の1月3週時点の実績ですが、こちらは2017/18年の当初の医療機関需要予測を、1月3週時点の値として上回っている状況になっています。
日本脳炎ワクチン及びインフルエンザワクチンにつきまして、御報告を申し上げました。ワクチンの供給に関する御報告は以上です。
○分科会長 ありがとうございました。次に、各委員会の委員長の先生に追加をお願いしたいと思いますが、その前に、私、先ほど報告事項が3つと申しましたが、議題を御覧いただくと分かるように報告事項としては2つであります。各部会の審議状況についてというのが1、2、3とございますので、審議状況についての報告は3つありますけれども、報告事項という意味では2つです。私、間違いでしたのでここで訂正いたします。
それでは、各部会の審議状況について、各部会の委員長あるいは小委員会の委員長の先生からお願いしたいと思いますが、私が実は予防接種基本方針部会の委員長もしています。資料1の1ページですが、先ほど事務局から説明してもらいましたことに追加することはございません。それと、今日、ワクチン評価に関する小委員会の委員長がおいでになっていませんので、特に評価委員会、小委員会からということもございません。各部会の審議状況の中の副反応検討部会ですが、部会長の桃井委員から追加がありましたらお願いします。
○桃井委員 御説明いただいたとおりです。特にHPVワクチンについては皆様の御関心も強く、また、必要性もあり、頻回に議論をし大変多くの御意見を頂いております。資料1の3ページの(2)、因果関係を示唆する新しい質の高いエビデンスうんぬんに関しては、この数年間の関連する論文をほとんど全ての委員の方が目を通されて、我々の結論を変えるべく質の高いエビデンスがあるかどうかということを議論いたしました。そういう意味で現時点では、私どもの結論を変えるべく質の高いエビデンスの報告はないという結論に至っております。
また、皆様御承知のように、ここで生じている問題は、例えばギランバレー症候群、ADEMのような病態、診断基準等々が、比較的分かりやすい器質的疾患と違う機能性身体症状ですので、症状も多様、そして、医療関係者は御承知のように、診断名もそのドクターの基盤となる専門性によって多様というところから、極めて疫学的なバックグラウンド頻度を得るのに困難な問題です。それでも祖父江班などで接種をしていない方々の有病率などを出していただいて、接種をしていない方々にも同様の問題が多々あるということが明確になりましたが、しかし、より科学的に議論を進めるには、例えばデンマークで出されているような全ての入院、そして、全ての退院時のICD-10病名等々の医療に関するビッグデータがありますと、このような疫学的調査を非常に何かの安全性を検討する上で広範な疫学的調査、特に有病率ではなくて、発生率に関する疫学的調査を必要とするときに、迅速に、より高い精度のデータが可能です。そういうような体制を是非、検討してほしいと、大変貴重な意見もこの分科会で頂いているところです。
また、御承知のように、HPVは現在3回接種ということもあり、今、多くのデータで2回接種で同様の効果があるというような検討もあるところから、いずれ、しかるべき部会で、2回接種についても検討を要するのではないかという御意見も頂戴しております。以上でございます。
○分科会長 ありがとうございます。ただいま桃井委員から副反応部会に関して、ここには載っていない部分についても詳細に御説明いただきました。
先ほど、審議状況の説明、予防接種基本方針部会、ワクチン評価に関する小委員会、副反応検討部会、この3つの報告を行いましたけれども、まずはここに関して、御意見あるいは御質問がありましたら頂ければと思います。供給等のものについては、この3つの後に御意見、御質問を頂こうかと思っております。基本方針部会、ワクチン評価に関する小委員会、副反応検討部会に関して、何か御質問はありますでしょうか。
○中野委員 質問させていただきます。資料1では、1の予防接種基本方針部会の(4)と関係するかもしれませんが、副反応検討部会とも関係するかもしれません。
長期療養特例の実施状況ということで、頂いた参考資料2に、対象となる疾病の方々と、打たれたワクチンの種類別報告数を上げていただいております。これは恐らく自治体にとっても、事務局にとっても結構大変な作業で、毎回御報告いただいて有り難く思っております。いろいろな基礎疾患をお持ちの方に、定期接種として予防接種が行われる機会が増えてきたというのはすばらしいことでして、是非とも継続していただきたいと考えております。
それで、毎年、毎回報告されるデータを集積していて感じたのですが、やはり基礎疾患としては、御覧になってお分かりのように、膠原病や悪性新生物とか、免疫機能に影響する疾患の方が多いと思います。また、打たれているワクチンとしては、MR、BCG、水痘、少なくともトップ3つ200を超えているのは全て生ワクチンです。副反応検討部会からは、これら生ワクチンの定期接種状況に関して、特段問題となる副反応、頻度の点でも、いろいろな点でも問題となっていないということで、それで理解していいのかもしれないのですが、やはり免疫機能に異常を来したことがある疾患をお持ちの方の安全性に関する検討というのはとても大切なことだと思いますし、頻度が少なければいいということでもないと思いますし、かつ、国民の皆さんにも、医療者にもそれを分かりやすく、今後も情報提供をしていくことが大切かと思います。現状でどのようなデータがありますかという御質問ではもちろんないのですが、この集計を継続していただくとともに、これらの方々にとって生ワクチンを接種した場合にも、恐らく現在の接種は各学会の推奨とか、文献報告されたその接種基準とか、幾つかガイドラインも出ておりますので、それに基づいて行われていると理解しております。そういった安全性に関する検討も継続して行っていただくことを要望させていただきたいと思います。
○分科会長 ありがとうございます。それでは、まず、事務局から今の御意見に関してありますでしょうか。
○江浪予防接種室長 非常に大事な視点だと思います。どういった検討ができるのか、しっかり検討していきたいと思います。
○分科会長 桃井委員、何かありますでしょうか。
○桃井委員 大変重要な御意見を頂戴いたしました。我々が一定期間の副反応を副反応部会で検討している場合には、当然その一定期間に紛れ込みと俗に言いますが、たまたまそこにSLEが発症したとか、たまたまJIAが発症したとか、たまたまそこに悪性新生物が発症したとか、その接種後一定期間、多くの免疫的疾病に関しては28日でありますが、28日の間に何も疾患が発症しないということは医学的にはあり得ないわけで、ほかの非接種期間と同等に発生するわけです。ですから、本当はこの差を見られないといけないのですが、そういうビッグデータがありませんので、226というものの中のどれがバックグラウンドデータであって、どの部分が紛れ込みかという数字が必要なのだろうと思います。
私ども副反応部会で審議しておりますのは、一定の期間内にその一定のバックグラウンドデータを超える報告がないということをもって、安全性に新たなシグナルがないというような議論をしております。ですから、226あるいは220、194という慢性心疾患などもありますが、毎回の審議ではバックグラウンドを越えておりませんが、バックグラウンドを越えている部分がこの数字内に本当にないのか、については、やはり先ほど申し上げたような解析を可能にする何かシステムが必要なのではないかと考えた次第です。御意見ありがとうございました。
○分科会長 ありがとうございます。それでは、坂元委員どうぞ。
○坂元委員 HPVについてお伺いします。HPVの勧奨接種を再開するか否かということですが、このワクチンの勧奨接種を、今日本が差し控えているということで、WHOから批判されているという話を聞きました。WHOのほうから具体的に厚生労働省とかに、何か意見とか、そういうものが寄せられているのか、もし、寄せられているのであれば、どのような内容かお分かりになれば、お教えいただきたいと思います。
○分科会長 事務局、いかがですか。
○江浪予防接種室長 1点申し上げたいと思います。HPVワクチンに関しては、ワクチン接種後に疼痛、運動障害を中心とする多様な症状というものが報告されたということで、国民に適切な情報提供できるまでの間、積極的な勧奨を差し控えているという状態です。
今お尋ねのWHOからの批判という点ですが、これに関しては、その関連の資料も副反応検討部会のほうにも出させていただいております。恐らく指しておりますものは、WHOが設けているワクチンの安全性に関する専門家会議であるGACVSからの報告が定期的にいろいろワクチンについて評価が行われているというものの中に、日本の状況のことについて言及があるというものを指しているというものなのかと考えております。直接WHOのほうから、我々にこの問題についてどうするのだということで問合せがあるということで認識しておりません。WHOが設けている専門家の委員会が出しているまとめの中に入っているものということです。その内容については、少し量もありますので、別途、委員にお届けしたいと思います。
○分科会長 ほかに何か御質問、御意見はありますか。よろしいでしょうか。
○大石委員 基本方針部会の資料として提出された参考資料1について、事務局に質問です。平成25年7月、4年半前におたふくかぜワクチンの基本方針部会の答申意見、審議内容がまとめられています。それから4年半もたって記憶も少し薄れているところではありますが、ここの審議内容について、確認させてください。まだ、おたふくかぜワクチンは定期接種化がされていない現状があるわけですけれども、これ、どういうポイントをクリアすれば定期接種にもっていけるのかということを、明確にしておきたいと思います。
ここの審議内容で、より高い安全性が期待できるワクチン、もちろん有効性も前提となっていると思いますが、このが前提がクリアされればいいのか、あるいは新たなMMRワクチンの開発が必要なのか、この辺はどのように考えておられるのか。現状はMMRワクチンの開発が進んでいるところとは聞いていますが、国内のメーカーが全て、これに着手しているわけではないので、一体どういう着地点があるのかと思っているところです。事務局のほうはいかがでしょうか。
○分科会長 事務局、この点についてコメントをお願いします。
○江浪予防接種室長 参考資料1は、前回この分科会のほうで、今どういうワクチンが評価の俎上に乗っているのかということで、その検討状況を知りたいというお話がありましたので、まず基本方針部会のほうに、今、整理したものを御報告したという資料です。
おたふくかぜワクチンの関係に関しては、平成25年7月に1回予防接種基本方針部会で御議論いただいています。そのときにここに書いてあるのは、正に公開の場で行われて、議事録も公表になっている予防接種基本方針部会でのまとめの内容、整理をしたものを出しているわけですが、おたふくかぜワクチンに関しては、より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提であろうという中で、より高い安全性が期待できるワクチンというのが開発されるとすれば、単味ということではなくて、MMRというワクチンということで開発されることが望ましいということで、その2つが書かれているのかと考えております。
一方で、耳鼻咽喉科学会が、全国的におたふくかぜによる難聴の発生状況に関して調査を行ったということが昨年ありまして、その速報の内容に関しては、昨年に開かれた予防接種基本方針部会にも御報告を申し上げたところです。おたふくかぜワクチンに関しては、一体これから先、どのように議論ができるのか、このワクチンの開発状況も見ながら、基本方針部会の先生方とも御相談をしていきたいと考えております。
○大石委員 ということは、単味のおたふくかぜワクチン、現行のワクチンについては、その安全性のデータがしっかり取られても、単味では定期接種になる可能性はないということでよろしいのでしょうか。
○分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○江浪予防接種室長 平成25年7月のときの基本方針部会における議論は、もともとおたふくかぜワクチンに関しては、そのワクチン接種後の無菌性髄膜炎に関する懸念があるという中で、現在も使用されているそのワクチンに関しては、基本的に各地でその課題が指摘された基本的な株と同じ株が使用されているという中で、平成25年7月のときの予防接種基本方針部会においては、より高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提ではないかということで御議論があったものだと理解しております。
より質の高い安全性が期待できるワクチンが実際に開発されたとして、それを実際単身で開発されるのか、MMRという形でMRワクチンとの混合ということで開発されるのかというのは、その状況次第によってどうでなければならないという結論までが、この予防接種基本方針部会の中で決まったものではないと思っております。ただ一方では、研究開発、期待されるワクチンとして、混合ワクチンの開発ということが常に課題としてありますので、開発されるとすれば、恐らく混合ワクチンという形の開発になってくるのかと考えているところです。
○大石委員 ありがとうございます。
○分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○三田村委員 今と同じようなことですが、参考資料1のおたふくかぜワクチンについて、より高い安全性が期待できるワクチンということですけれども、実際は私どもの病院には、たくさんおたふくかぜワクチンを希望されている赤ちゃんが来ているのです。この委員会というか、この分科会自体が定期接種だけを対象にしているのではないと思いますので、実際広く行われているワクチンについてどのような調査が行われていて、現在どのような状況かというインフォメーションが、ある程度される形が望ましいのではないかと思います。昔は何千人かに1人、無菌性髄膜炎が出るというデータは皆さん御存じだと思います。一方で、その頃は、もうちょっと大きい年齢の方に接種されていたと思いますが、現在、1歳になってすぐに接種される方が多くて、小さいお子さんにやった場合は、もしかしたら、それほどの発生率はないのかもという意見も出ているようです。臨床医が、そういうところのリスクを説明して接種しておりますので、定期接種がもうちょっと先ということであれば、そういう部会といった所で検討されている情報で、ある程度有用なものは、外に出すような形にしていただけるといいのではないかと思います。
もう1つは、一番最後のDTaPワクチンについてです。これは小さいお子さんでの百日せきを防止するためにということが目標であるというように私は理解しているのですが、DTをDTaPにするということの最終的なというか、当面の目標というのはどこに設定されているのでしょうか。例えば海外ですと、もちろん追加接種のDTaPをするということもありますし、あるいは定期ではないと思いますが、妊婦に接種するというようなことも言われておりますので、そこの最終的な目標を、当面どこに置いていいのかということを伺いたいと思います。
○分科会長 事務局、よろしいですか。
○江浪予防接種室長 今回、参考資料1として、定期接種化を検討しているワクチンという審議状況ということで整理をさせていただきました。どうしても予防接種ワクチンの評価ということになると、議論の一番関心があるところが、まず定期接種、予防接種法上の対象とするかどうかというところの評価にあるのかということで、そういった形で整理したものであります。かつ、その多くのこれまでの予防接種の議論においては、どうしても予防接種法との関係で、定期接種との関係で議論することが多かったのではと考えております。
今、任意接種に関しても、何らかの情報提供ということで御指摘を頂いたところだと思いますので、その点について、どういったことで検討ができるのかと考えていきたいと思っております。
なお、おたふくかぜワクチンのことに関しては、先日、基本方針部会のほうにも耳鼻咽喉科学会が行った調査のことを御報告しておりまして、どのように検討が進められるかということに関しては、基本方針部会の先生方とも御相談をしていきたいと考えているところです。
次に、百日せき、DTの替わりにDTaPを用いるということを含めたDPTワクチン検討に関して、今、委員から御質問いただいた点が、非常に我々としても、引き続き小委員会のほうで御議論をしていただく際の重要なポイントであろうかと考えております。
現状を申し上げると、ここに明確には書いていないところでして、審議状況の中では少しあったと思いますが、百日せきの発生状況について、まずしっかり把握するということが、その感染症法に基づく届出基準の見直しによってできる状態になってきております。実際の患者さんの発生状況、一体何歳でどのように患者さんが発生していて、どこの時期に百日せきワクチンを追加することによって、どういうベネフィットが期待されるのかということを、今、頂いた御指摘も踏まえて、小委員会のほうでしっかり議論をしていきたいと考えております。以上でございます。
○分科会長 ありがとうございます。大石委員、どうぞ。
○大石委員 先ほどの三田村委員の御意見に関連することで、先ほど申しましたおたふくかぜワクチンを、これまでの基本方針部会の議論の中で得られていた無菌性髄膜炎の発生率については、年長の子供のデータではなかったのではなかったでしょうか?三田村委員がおっしゃったように1歳前後で接種すると、その頻度は低いのではないかという意見もありますので、おたふくかぜワクチンの、実際の接種年齢と副反応をしっかり見ていくべきだろうというように考えているところです。
一方、現在の副反応サーベイランスの仕組みでは、接種年齢までの詳細のデータが取れないのだということを私は聞いております。そうなると、研究班とかで、しっかりしたデータを取る必要があるのかと考えた次第です。私が申し上げているのは、現行のおたふくかぜワクチンを使える状況にもっていくというのも1つの考えなのではないかということです。早く定期接種化にもっていけるような体制を考えるべきであって、必ずしも、新たなMMRワクチンの開発ということに固執しなくてもいいのではないかと考えた次第です。
○分科会長 ありがとうございます。ここは大石委員の御意見として伺いました。ほかによろしいでしょうか。
○館林委員 おたふくかぜのことですが、去年、耳鼻咽喉科学会の先生がムンプス難聴について発表されていました、ムンプス難聴になった方も大変ですし、おたふくかぜのことについて、もう少し社会的に情報提供とか議論喚起とかしたほうがいいのかと思います。一方で予防接種で無菌性髄膜炎になられ、大変だった方の話をお伺いしたことがあります。ただ、無菌性髄膜炎の多くは軽快するとも聞きます。外国では副反応の少ないジェリルリン株を使っているとも聞いています、リスクやベネフィットとか、では、みんなどうしたらいいのか、何か社会的に考えられるような情報提供、喚起とかがあったらもっといいかと思いました。
もう1点は、HPVワクチンのリーフレットの公開なのですが、その後どういう反響とか、何か理解が変わったといった反応というのは、厚生労働省の方は得てらっしゃるのでしょうか。
○分科会長 それでは、事務局からどうぞ。
○江浪予防接種室長 おたふくかぜワクチンの関係に関しては、先ほどから何回か申し上げておりますが、耳鼻咽喉科学会のほうで調査が行われてということもありまして、おたふくかぜという疾患に関して、これは、感染症研究所のほうで整理していただいているファクトシートにも、縷々重大な疾患であるということはもともと書かれているわけですが、改めて、難聴をはじめとする重い病態があるのだということで関心もあるのかと考えております。そういった調査も踏まえて、ワクチンの開発状況とかも踏まえて、一体どういうように検討が進められるのか、基本方針部会の先生方とまずはしっかりと御相談していきたいと考えております。
HPVワクチンのリーフレットの関係に関しては、先日、先ほどの事務局からの説明のとおり、ホームページのほうで公表するとともに、自治体のほうにもお送りしたというところですが、また、リーフレットそのものに関するフィードバックが我々のほうに届いてきている、実際にそれを御覧になられた一般の方々がどのように考えているかということについてのフィードバックが届いてきている状況ではありません。このリーフレットの関係に関しては、副反応検討部会のほうにおいても、実際にどのような受止めだったのかということを含めたモニタリングが必要ではないかということも御意見を頂いておりまして、どのような対応ができるか、副反応検討部会の先生方と御相談をしていきたいと考えております。
○分科会長 よろしいでしょうか。どうぞ、館林委員。
○館林委員 今の状況では、やはり一人一人が考えて、受けたい人は受けられ、受けたくない人は受けないというような情報提供が必要な時期なのかと少し思いました。よろしくお願いします。
○分科会長 ありがとうございます。釜萢委員どうぞ。
○釜萢委員 今の館林委員のお話と関連しますが、今日の資料1の4ページ、12月22日の副反応検討部会のところですが、下の2つのポツ、科学コミュニケーション若しくはベネフィットリスクコミュニケーションが成立したと判断できる状況になることが重要であるとあり、その次ですが、科学コミュニケーションが成立したか否かということが大事であり、理解されたかどうか評価することも必要であるという御指摘で、これはこのとおりで、丁寧に積み重ねて今日まできておりまして、平成25年に積極的な勧奨を差し控えた時期と今日とでは、いろいろな体制や、このことに関する国の施策も随分整ってきたと私は感じております。さらに、この御指摘の下の部分を、今後達成していく上において、国はどのような手順、あるいは方向を考えておられるのかお示しいただきたいと思います。
○分科会長 この点、事務局はいかがですか。
○江浪予防接種室長 HPVワクチンの安全性・有効性の評価に関しては、これまでも副反応検討部会の先生方と御相談をしながら進めてきたところです。昨年12月の審議会のときには、これまでの審議会での議論の整理が行われて、HPVワクチン接種後に症状がある方については、寄り添った支援を継続していくということと併せて、現段階での分かっている科学的な情報に関して、情報提供を進めていく取組というのを進めていくべきではないかという議論の整理であったということです。
この資料にありますとおり、実際に情報提供を進めていく中で、その情報がどのようにうまく届けられたのかということについて、評価をしていくことがまずは必要だということを、部会からの宿題として頂いておりますので、まずは、それをどのように評価できるかということを検討して、副反応検討部会の先生方とこのワクチンの在り方について、引き続き議論を進めていきたいと考えております。
○分科会長 釜萢委員、よろしいでしょうか。
○釜萢委員 はい。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○三田村委員 お伺いしたいのですが、PCVが話題に上がったときには、まだ海外の状況がデータ等もそろっていないからと記憶しています。私は勉強していなくて、その後、海外ではPCVは、23価なのか、13価のほうなのかというのは、どうなっているのか、もし分かったら教えていただきたいです。
もう1つ、ロタウイルスなのですが、かなり広く行われているような印象があり、保育園での流行なども減っていて、入院も減っているのではないかという個人的な印象もありますが、まだデータとしては不足という状況なのでしょうか。もう1つ、HPVについてですが、かなり接種されている方は少ないと思うのですが、現在、実際どのぐらいの数の方が接種されているのでしょうか。その方たちについての前方視的な調査はどのようにされているのか、もし分かれば教えていただきたいと思います。
○分科会長 今、3点、御質問を頂いたと思いますが、よろしくお願いします。
○江浪予防接種室長 まず、高齢者における肺炎球菌ワクチンの関係の検討ですが、現在、我が国においてはPPSV23、23価のワクチンによる1回接種の機会を設けるということで実施しており、更に5年間の経過措置ということで、今、対応しているところです。高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの関係に関して、実際にPPSV23価でいくのか、あるいはアメリカにおいてPCV13を使用することも勧告されていると承知しておりますが、PCV13との関係でどのように考えるかということについて、現在、感染症研究所において、ファクトシートを整理していただいているところです。このファクトシートに基づいて、小委員会のほうでこれから御議論していただく予定としておりますので、その結果を報告する中で、この分科会にも最新の情報をお届けするようにしたいと思います。
2点目、ロタワクチンの関係ですが、日本でもロタウイルスワクチンの接種が、比較的幅広く、任意接種として普及してきているのではないかという御指摘については、我々としても、比較的接種率が高いのではないかと理解しているところです。このワクチンに関して、定期接種に位置付けるかどうかの議論としては、まだ宿題が残っておりますのが腸重積のベースラインデータの整理です。接種によって懸念される副反応としての腸重積について、まずベースラインデータをしっかり把握していこうというところで、まだ宿題が少し残っており、これに関しても、ワクチン評価に関する小委員会のほうでデータの整理をしながら、検討を進めていきたいと思っております。
HPVワクチンの接種者数の関係ですが、今、HPVワクチン積極的勧奨の差し控えが行われているという状況の中で、最新の数字としてお答えしておりますのは、平成27年度のHPVワクチンの接種者数ということです。例えば1回目の接種が行われた方の数を見ると、2,700人ぐらいという数字で、接種率で見ると1%を割ってきているという状況です。HPVワクチンの接種を受けた方についての前方視的調査という点について、どういった視点での調査のことを念頭に置いていらっしゃるのか、教えていただければとは思っておりますが、ワクチンを接種された方に関して、実際に我が国、日本において、例えばどういった効果が見られるかということについては、研究班のほうで研究が行われたりということが行われていることは承知しております。
○三田村委員 今の2,700人というのは、定期以外を含めてということですか。
○江浪予防接種室長 今申し上げました数字は、定期接種として行われた方の数ということです。
○三田村委員 ありがとうございました。
○分科会長 いろいろと質問を頂きました。御意見も頂きましたが、次に移りたいと思います。参考資料3、参考資料4、参考資料5を使って、先ほど事務局から日本脳炎ワクチン及びインフルエンザの接種時期及び納入量等の説明がありましたが、ここに関して御意見、御質問はありますか。
○釜萢委員 インフルエンザのワクチンについて質問いたします。経緯は、もう皆様御案内のとおりで、良い株を選んだと考えたところが、実際に製品を作る段階で、ウイルスの収量が非常に悪かったということで、株を変えなければならないという予想外の事態に立ち至って、ワクチンが供給される時期が非常に遅れてしまった。医療現場は、そのことに対してかなり混乱しましたし、いろいろ苦労があったわけですが、12月末の時点で、予定していた数量がほぼ供給され、需給は一気に改善したわけです。
今後の問題としては、今シーズンは比較的、インフルエンザの流行が早かったこともあって、予防接種を受けようと思っていたけれども、もう既に罹患してしまったという人がかなりありますので、予防接種の実際の接種者は当初の予想には至らないわけです。今日のデータは、生産量と納入量が書かれているわけですが、場合によっては接種できなくて、ワクチンが余るという事態になる可能性があり、このことは非常に不幸なことなのですが、場合によっては使われないで、またこれが廃棄に至ることになる可能性もあって、そのことについては国としてどのように考えておられるのか、ちょっと伺いたいと思います。
○分科会長 事務局、お願いします。
○江浪予防接種室長 今シーズンのインフルエンザシーズンに向けたインフルエンザワクチンの供給に関して、今、委員から御指摘があったような経緯で、供給が遅れたことに関しては、医療現場の方々に非常に多くの御負担をお掛けしたと思いますし、また接種を希望される国民の皆様にも、非常に大きな御迷惑をお掛けしたと考えております。今、我々が把握できるデータは、出荷量と医療機関に対する納入量ということで、その数字をお示ししているわけですが、実際、接種をどのぐらいの方が受けられたのかということに関しては、なかなかタイムリーな形で把握できる体制になっておりませんので、なかなか数字がお示しできないところです。
もともと供給の関係の遅れに関しては、例えば自治体のほうで、通常ですと12月末まで補助していただいているところを、自治体によっては、今回ワクチンが1月になってからまだ届くところもあるのではないかという中で、補助の期間を延ばしていただくなどの対応もしていただいている自治体もありまして、そういった中で、接種者数が最終的にどのぐらいになるのかということについては、少し時間はかかると思いますが、我々のほうでも確認をしていきたいと思います。
○釜萢委員 今、室長がお答えくださったとおりなのですが、このようなワクチンの製剤は、必要な量をなるべく過不足なく医療機関が注文して、速やかに納入していただくことが望ましいわけで、返品が非常に増えるという事態は極力避けなければいけないと私どもは思っております。そのことについては、厚生労働省からもそのように返品が非常に極端に多くなった場合については、公表とまではおっしゃっていなかったかもしれませんが、そのようなことについての検討も含めてというような通知が出ていたと記憶しております。今回については特殊な事情ですので、例年とは違いますが、返品が結果として非常に多くなってしまった場合に、その後の対応について、国として何か考えておられるところがあれば、伺いたいなと思った次第ですが、いかがでしょうか。
○分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○江浪予防接種室長 今回インフルエンザワクチンのシーズンを迎えるに当たり、ワクチンの供給が少し遅れるということが分かっておりましたので、効率的な接種に努めていただく必要があるだろうという中で、またワクチンの偏在などを防ぐという観点もありまして、今、委員から御指摘があったように、必要なワクチンを必要なタイミングで発注してくださいと。かつ、使用されなかったワクチンに関して返品が行われる、そういうものを返品するという前提で、たくさん発注されるということがあると、どうしても偏在を助長するのではないかという中で、今シーズン、効率的な接種を進めていく必要があるという中で、今、委員から御指摘があったように、返品のことについて実態把握をするということを通知の中でも明記しているところです。
今回、実際どういったデータが把握できるのかというところも含めて、しっかりと検討しながらということですが、非常に極端な返品が行われた場合には、一体それがどういった原因で起こったものなのか、その辺りも丁寧に調べながら、どういった対策が可能か考えていきたいと考えております。
○釜萢委員 ちなみに、返品があった場合には、そのワクチン代を負担するのは、どちらになるのでしょうか。
○分科会長 事務局、いかがですか。
○江浪予防接種室長 返品に関しては、いろいろな段階で行われる場合があるとは聞いており、医療機関が卸に返品をした場合に、また卸のほうでもそれをメーカーのほうに返品する場合もあると聞いており、もしそのように順次返品が行われた場合には、最終的にはメーカーのほうが負担する場合もあるのかなと考えているところです。
○分科会長 ほかにいかがでしょうか。特にないようですので、報告事項の2番目に移ります。「平成29年度麻しん風しんの定期接種の実施状況」について、事務局からの説明をお願いいたします。
○黒崎予防接種室長補佐 資料2、「平成29年度麻しん風しんの定期接種の実施状況(第2期)について(中間報告)」です。麻しん風しんについては、感染症法上の特定感染症予防指針に基づき、そのほかの定期接種対象とは別に、年に2回、予防接種の接種率について、それぞれの自治体への調査を行っております。麻しん風しんの第2期の接種に関しては、小学校就学前1年間が対象となるものですが、本日はその第2期の実施状況について、平成29年度上半期の実施状況をまとめた内容を報告いたします。
1枚めくって、2017年4月1日から9月30日までの期間における都道府県別の麻しんと風しんの第2期の接種率をお示ししております。左側のページが麻しんについて、右側のページが風しんについてとなっております。上半期の合計については、麻しん風しんともに59.5%となっております。
表1-1は、接種率の算出に関する詳細と、接種率を都道府県別に順位をつけて表示しております。隣の表2は、2016年の同時期と比較した結果を掲載しております。2016年の同時期の合計が59.0%でしたので、昨年とほぼ同様の接種率で推移してきている状況です。表3以降に関しては、政令指定都市、中核市、特例市、特別区のそれぞれの接種率のデータをまとめて記載しております。さらにその後ろには、参考として2016年のデータを掲載しております。事務局からは以上になります。
○分科会長 今、事務局から説明をしていただきましたが、これに関して何かありますか。
○三田村委員 詳細な報告、ありがとうございました。最終的には年度末での接種率は非常に重要だと思いますので、例えばどこか1つのデータでもいいのですが、9月の時点でこれで、3月の時点でこのように上がっていって、最終的にはどこだったとか、中間報告の上がり下がりだけでは、なかなか判定しにくいかと思いますので、そういうデータも頂けたらと思います。途中の経過で見ると、都市別に見ると、かなりの差が見られますので、例えば9月の時点で低い所は3月も低いとか、その前は9月が低くて3月も低かったのですが、今回は9月が高かったから、次は期待できるとか、一部でいいので、そのようにちょっと動きのあるデータを頂けたら見やすいかなと思いますので、よろしくお願いします。
○分科会長 事務局、そういうデータ、資料はいかがでしょうか。何かコメントはいかがでしょうか。
○江浪予防接種室長 MRワクチン、麻しん風しん対策に関しては、予防接種率95%以上に保つことが非常に大事だという中で、例年、中間段階での接種率を御報告頂き公表するとともに、各自治体に対しては、この年度中に目標である95%達成に一層御努力いただくということで整理をしているものです。今、御指摘のように、このデータをどのように解釈するのだという中で、中間時点での結果と最終的な予防接種率との関係がどのようになっているのかということを含めて、少しデータを整理した上で、またどういった対応ができるか考えていきたいと思います。
○分科会長 よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。
○中野委員 簡単に質問させていただきます。表2ですが、幾つかの都道府県で第2期の接種率が落ちている県ですが、私はいろいろな自治体のホームページなどをチェックしておりまして、先ほどの供給不足の問題ですが、一部の自治体ではMRワクチンの供給不足があるという所もあったようです。接種率が落ちている所が、供給不足のせいでこのようになったということは、今のところ情報としてはないという理解でよろしいでしょうか。
○分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○江浪予防接種室長 MRワクチンに関しては、2016年度において、局所的な流行の発生のようなものもありましたので、ワクチンの供給に関する関心が非常に高まったところです。あの時期においても、ワクチンの供給は非常にいろいろと課題はありましたが、関係者の努力により、ワクチンの接種率に関しては例年どおりの高さを維持できたということです。
今回、公表しております都道府県別の麻しんワクチンの接種率の関係ですが、昨年においてはMRワクチンの流通、これは引き続き課題があるという御意見ももちろんありましたが、供給全体を見ている中では、一昨年よりも状況としては基本的に改善をしていた状況ということで、この接種率の変化そのものが、ワクチン供給そのものによるものだとは認識をしておらないところです。
○中野委員 ありがとうございます。理解いたしました。
○畑参考人 SSPE青空の会の畑でございます。今回お示しいただいたワクチン接種率のデータに関して、自治体別の違いでちょっと気になったところがあります。全体的に沖縄県の接種率が、常に最下位に近いところにあるという状況になっています。沖縄県というのは、SSPEの患者も、我々の会の会員も非常に多いし、昔は麻しんも大きな流行があった県です。ですので、県として、過去に私が聞いている話では、いろいろな県独自の取組を随分盛んにされて、なぜ今の時期になって、このように全自治体の中に最下位に近いところになってしまったのか、非常に不可思議な感じがしております。北海道というのも出てきていますが、沖縄県辺りが、むしろ都市部よりも日本列島の端っこのほうのほうが、自治体の活動が鈍くなるような何かの原因があるのかどうか、心当たりがあれば教えていただきたく思います。
もう1つは、それがあったとして、今から接種率の低い県に対して、どのような働き掛けをされようとしているのか、それについて教えていただければと思います。
○分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○江浪予防接種室長 MRワクチンの接種率に関しては、都道府県別に見た場合に、他県に比べて接種率が低い自治体があります。そこの自治体に関しては、実際にどういった現状認識であるのか、これからどういった取組をしていくのかということについて、自治体の担当者からもヒアリングをして、その内容を、麻しん風しんの関係は別途専門会議がありますので、そういうところで報告をするなどしているところです。
これまで私が記憶している範囲で申し上げますと、各自治体ともMRワクチンの大事さということは認識をされており、一方でいろいろな人口の流動性であるとか、海外からいらっしゃる方々の把握であるとか、そういったいろいろな課題がある中で、各自治体、努力をされているところだというように認識をしているところです。MRワクチンの都道府県別の状況に関しては、引き続き麻しん風しん対策の一環として、都道府県別の接種状況についてはモニタリングしていくことになると思いますので、その中で今、御質問いただいたような点に関しても、改めて確認をしていきたいと思います。
○畑参考人 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○分科会長 ほかにいかがですか。それでは、報告事項の2つ目については、今、幾つかの御意見、質問を頂きましたが、ここで終わりまして、次に移ります。議題(2)その他、事務局から何かありますか。
○大林予防接種室長補佐 次回の開催については、追って御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○分科会長 それでは、特に委員の方々、あるいは参考人の方から質問等なければ、本日は本当にいろいろな意見、御質問を頂きましてありがとうございました。これで第13回の予防接種・ワクチン分科会を終了とします。ありがとうございました。
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