ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第23回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2018年1月31日)
2018年1月31日 第23回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録
子ども家庭局家庭福祉課
○日時
平成30年1月31日(水)10:00~12:00
○場所
労働委員会会館(中央労働委員会)7階講堂
○出席者
委員
柏女委員長 | 相澤委員 | 青木委員 | 安部委員 |
犬塚委員 | 井上委員 | 江口委員 | 奥山委員 |
桑原委員 | 菅田委員 | 竹中委員 | 中村委員 |
橋本委員 | 林委員 | 平井委員 | 平田委員 |
卜蔵委員 | 増田委員 | 松本委員 | 宮島委員 |
三代川委員 | 森下委員 | 山本委員 | 吉田委員 |
事務局
吉田子ども家庭局長 | 山本内閣官房審議官 |
成松家庭福祉課長 | 宮腰虐待防止対策推進室長 |
○議題
(1)都道府県計画の見直し要領の骨子案について
(2)その他
○配布資料
資料1 | 都道府県計画の見直し要領(骨子案) |
資料2-1 | 一時保護ガイドライン案(概要) |
資料2-2 | 一時保護ガイドライン案 |
資料3 | 委員提出資料 |
資料4 | 自由民主党「児童の養護と未来を考える議員連盟」資料 |
1.修正提案の考え方(平成30年1月23日 衆議院議員 塩崎恭久議員、衆議院議員 牧島かれん議員) | |
2.資料(2018年1月23日 衆議院議員 塩崎恭久議員) | |
参考資料1 | 社会的養育専門委員会における主な御意見(第22回)【未定稿】 |
参考資料2 | 推進計画と子ども・子育て支援事業支援計画との関係 |
○議事
○成松家庭福祉課長
定刻より少し早いですが、出席予定の方皆さんおそろいですので、ただいまから、第23回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、横田委員は御欠席と伺っております。
初めに、資料の確認をさせていただきます。お手元の資料をごらんになっていただければと思いますが、右上に番号を付しております。資料1、見直し要領(骨子案)、資料2-1、2-2として、一時保護ガイドライン案、資料3として委員の皆様から提出いただいた資料、資料3は追加もございます。資料4として、自由民主党、与党の「児童の養護と未来を考える議員連盟」の資料ということで、前の厚生労働大臣、かつ、議員連盟の会長である塩崎恭久先生、あるいは牧島かれん先生の資料を、塩崎先生から御要請がありましたので配付させていただいているところでございます。
参考資料1として、前回の主な意見【未定稿】、参考資料2としては、前回少し話題になりました各計画との関係というものを配付させていただいております。
欠落等ありましたら、その都度でも結構ですので、事務局までお申しつけいただければと思います。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。カメラの方、よろしくお願いいたします。
それでは、これより先の議事は柏女委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○柏女委員長
皆さん、おはようございます。
昨年末に開催して、早1月もきょうは最終日になりました。改めまして、ことしもぜひ、皆様方、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。
きょうは、前回までの議論を踏まえて、事務局が修正した部分を中心に「都道府県計画の見直し要領(骨子案)」、それとあわせて一時保護ガイドラインの案について説明をしていただきまして、これについて御意見を頂戴したいと思います。前回までは骨子の骨子のような形でしたけれども、今回は割と文章に引き落としていただきまして、皆様方から出た御意見、かなりのところまで踏み込んで記載していただいております。これをもとに議論を進めていければと思っております。
まずは、事務局から今後のスケジュールがあれば御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○成松家庭福祉課長
ありがとうございます。
先日来御議論を頂戴しているところでございまして、前回のところはまだいろいろと論点があったと承知しております。いずれにしても、今回また御議論をいただいて、その上で、今後、その状況次第であると思いますので、まずは御議論をお願いしたいと思っております。
○柏女委員長
ありがとうございます。それでは、議事を進めていきたいと思います。
きょうもできれば多くの委員から御発言をいただきたいと思っておりますので、御発言についてはポイントを絞って御発言をいただきますようお願いしたいと思います。また、意見書を出していただいていらっしゃる委員の方もいらっしゃいますので、その御意見を述べていただく中で、意見書にも触れながら意見を述べていただければと思います。よろしくお願いいたします。
それではまず、「都道府県計画の見直し要領(骨子案)」と、「一時保護ガイドライン案」について、簡潔に事務局のほうから御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。
資料1、あるいは資料2-1、2-2の御説明を簡潔にさせていただければと。既に委員の皆様に事前配付して、お読みいただいていることと、あるいは議論のお時間をできるだけとりたいということもございますので、簡潔に、前回12月22日からの変更点を中心に御説明させていただければと思います。
資料1の1ページ目から7ページまでにかけて、「今回の計画見直しの位置付け」、あるいは2の「基本的考え方」の中でございますが、先ほど委員長からございましたとおり、前回の御意見を踏まえて、例えば平成28年の改正法、あるいは29年の改正法の理念とか内容、あるいは国会審議等々について、丁寧に書き込ませていただいたと考えております。
それが1と2の部分で、さらに7ページの上のほうに、国においても、あるいは各都道府県においてもしっかりとしたPDCAサイクルを回していくという観点から、都道府県、あるいは国としての進捗状況の評価とかそういったものについて記載しているということが7ページの上のほうにございます。
また、全体を通じて、7ページ以降の各論の部分でも書いてございますが、各論の部分でも評価のための指標例というものを、これも御意見ございましたので書き込ませていただいているということで、さらに評価で申しますと、ちょっと飛ばしていただいて19ページの部分でございます。「(11)留意事項」の2つ目のポツのところで、中間評価という形で、中間年に中間評価を行うということで、こういう形でしっかりと進捗状況等を検証、あるいは評価していくということが全体のサイクルのお話でございます。
すみません。7ページに、恐縮ですが、戻っていただきまして、7ページの3に各論の目次みたいなのが書いてございますけれども、先日いただいた御意見、各論の順番、子どもの権利擁護の関係が大事だということ、あるいは一時保護の関係と児童相談所の関係はちょっと別に立てたほうがいいのではないかという御意見もございましたので、各項目の順番につきましても変更させていただいているということになっております。
もう一つ、大きな変更点で申しますと里親委託の関係ですが、10ページでございます。「(4)各年度における代替養育を必要とする児童数の見込み」の中に、iiiの(イ)というところがございます。こちらのほうは、里親等委託が必要な児童数を算定してくださいということをお願いしております。こちらのほうは里親の養育が必要な児童数のニーズをしっかり都道府県で把握していただくということを入れさせていただいた上で、12ページの下から13ページの部分にございますけれども、ニーズをしっかりと踏まえた上で里親の関係の施策を推進していただくということを書かせていただいているところでございます。
さらに、16ページ、一時保護の関係の記述を加えておりますが、これは別途ワーキングで御議論いただいた一時保護ガイドライン案でございますけれども、こちらを踏まえて、一時保護に関する記述を記載しているということです。これは資料2-1、資料2-2のものと連動しておりますけれども、そういう形で書かせていただいているというものでございます。
駆け足になりましたが、主な変更点を申し上げました。以上でございます。
○柏女委員長
一時保護のガイドラインについてはよろしいですか。
○成松家庭福祉課長
はい。こちらのほうに少し書かせていただいていますので、また御議論の中で御検討いただければと思います。
○柏女委員長
簡潔に御説明していただきました。ありがとうございました。2時間弱、時間がございますので、できれば全体を議論に充てたいと思います。
前回は、やや無理無理切って、7ページまでのところで御意見ください、20ページまでのところで御意見くださいという形でやりましたが、割と無理無理やってしまったことを少し反省いたしまして、今回は区切らずに、全体を通じて御意見を頂戴していこうと思います。それぞれがつながったりいたしますので、先ほどお話がありましたように、まずニーズの把握があって、そして里親数の供給の話が出たり、それは連動する話になりますので、これを区切るのは余り適切ではないかなとも思いましたので、全体を通じての御意見を頂戴したいと思います。
見直し要領の骨子案に対する意見をいただくのが中心になるかと思いますけれども、一時保護ガイドラインも、きょうは初めてお目見えしておりますので、そちらについての御意見でも結構でございますので、100分ぐらい、1時間40分ほど時間がとれるかと思いますので、皆様方から御意見を頂戴できればと思います。
それでは御意見をお願いしたいと思いますが、どなたからでも。
では、奥山委員、お願いいたします。
○奥山委員
ありがとうございます。
提出資料を出させていただいているので、短い限られた時間で全部は話し切れないので、提出資料も意見として取り入れていただくようにお願いしたいと思います。
私が一番お話ししたいことは、ここに書いてありますように、国の地域差があるから数値目標が出せないとよくおっしゃるのですけれども、地域差をなくすこと自体が条約を批准している国の責務なわけです。ですから、そこをきちんと認識・把握していただきたいです。この間もある国会議員さんで、もともと知事をされていた方が、きちんとした数値目標がなければ、どこに向かってどうやっていいのかわからないのだというお話をされました。そのとおりだと思いますので、都道府県がわかりやすく、そして明確な数値目標が持てる、そしてその達成のあり方もある程度提示されるような骨子案でないといけないと思います。
例えば一番重要なものの一つ、里親推進に関しても、全面的にゼロから推進計画を見直すということで骨子案ができているはずなのに、上乗せするというな書き方になっているわけです。これはよく読むと、33%を34%にして、「できるだけ早期に」も 1000年に比べれば100年は早いというような形でも受け取られかねないような書き方です。いや、そんな意図ではありませんと事務局はおっしゃるかもしれませんけれども、実際、骨子案の前提を議論したワーキンググループの会議で、中核市の問題に関して、附則の中では「希望するところに」と書いてあるから、希望したというところだけにやればいいのだと事務局はおっしゃったわけです。国会の答弁の中ではそれは違ったのが明確になったわけですけれども、やはり文字にしたら字義のとおりになります。ですから、そうでないのだということを明確に数値を挙げなければ、このままでは、県が 34%、100年でよいと受け取りかねない書き方だと思います。
もう一つは、都道府県の推進計画の全面見直しがどうして必要になったのかという経緯を明確にわかるように書かなければいけない。これは2のところに書かせていただいておりますので、それを見ていただければと思います。
それから、非常に重要なのは、前回もお話ししましたように、国会の答弁に基づいて設置された検討会でできたビジョン、そのビジョンの「考え方」に基づくのではだめなのです。ビジョンの中身に「則って」変えていただかなければならないのです。全て、「考え方を踏まえる」とかいう書き方になっているのは、「ビジョンに則って」と書き直していただきたい。この専門委員会の去年の10月に出された資料でも、「新しい社会的養育ビジョンの実現に向けた主な進め方」と書かれていました。ですから、実現することが重要なのであって、考え方を踏まえればいいだけの話ではないということを明確にしていただきたい。
それから、非常に重要な一時保護に関してです。今回、ガイドライン案も出されていますけれども、一時保護に関しても、一番重要なのはビジョンに則ることなのです。それをまず言って、そしてガイドラインはその細かいところを書いてあるわけですから、それを参考にして、改革を進めてくださいということを明確にすべきです。ガイドラインを読んでも改革をどう進めたらいいのかわかりません。ビジョンには改革の方向が書いてあります。その方向性をしっかり県に伝えてほしいです。つい数日前も、「友達に聞いたら、保護されるととってもつらいから、行かないほうがいいよと言われたので、一時保護嫌です」と言った子がいます。そんな一時保護所では困るのです。家で虐待されたら、あそこへ行って守ってほしいと思えるような一時保護をしてほしいわけです。そのための改革です。子どもの権利保障のために、ビジョンの中に書かれていることを遵守すべきです。
ガイドライン案の中にも権利保障のところで問題あるところが幾つかありましたので、私のほうで資料に挙げさせていただきました。私も小学校のこのころに、一時うつになり、2階から飛び下りようかなあと思ったことがあります。ガイドライン案を読むと、入所理由としてそういう事象である、「事故または他人の生命、身体、財産に危害を及ぼす、もしくはそのおそれがある」場合と書かれています。「おそれがあるから、私も一時保護されちゃうの?」という話になるわけです。そうでなくて、そういうおそれがある子どもや、それから触法少年であっても、保護が必要かどうか判断をして、保護が必要な場合に一時保護されるということを明記すべきです。そのほかのところも資料に挙げております。閉鎖的な空間というのが一番子どもの権利制限に当たるわけですから、その時期というのも考え、それの延長に関してきちっとした手続をとって子どもに説明して、延長していくような方法というのをきちんと明記していただきたい。
先ほど申し上げました里親推進に関してですけれども、林先生のほうからも出ていますが、20ページですかね、これは日本財団のほうでおつくりいただきました資料を出していただきました。多分、これを見ると、国が出しているのとちょっと違うかもしれません。ただ、国が出しているのがどうもおかしいというのもあって、いろいろ入れて数値を出してあります。ただ、これを見ていただくとわかるように、秋田県、里親委託率、すごく低いと言われていて、秋田県が追いつくまで大変なんですよということをよく事務局から言われたのですけれども、よく見ていただくと、秋田県の1児相で1年間に乳幼児75%を達成するまでに必要な、ばさっと割った場合ですよ。今から必要な里親の開拓数は、一つの児相で年間1.5人ということです。
ですから、事務局のその説明はやはりおかしいなあと思います。これを見ていただいて、東京、大阪は必要数が多いと思うかもしれないですけれども、東京は、1,300万人いる中で、児相、11個しかないです。一つの児相が120万ぐらい抱えているわけですね。とすると、50万人に一つという国の基準の倍以上いるわけですから、そのことが影響していると考えます。こういう数字でお話しさせていただきましたけれども、本来こういう数字は国がきちんと出してほしいものです。国が計算して出してほしいし、もしそれができないとしても、データベースを公表してほしいと思います。データベースがきちんと公表されていれば、より正確な数字が出せます。
後で述べようと思ったのですけれども、この推進計画に必要な、前回、パラメータと申し上げましたけれども、「指標」に関してもきちんと全国統一でとって、それを公表すれば、ここに何人も大学の先生方がおられますけれども、大学の先生方等がその数値を使っていろんな分析ができるのです。ですから、数値の公表ということを是非やっていただきたい。
数値目標を立てるということと、それから、子どものニーズに合わせてということを前回申し上げたのに、まだそうでない書きぶりのところもあるので、そこは直すべきですし、明確な数値目標を出すということをすべきです。
もう一つ大きいのは、長期入所のお子さんたちについてしっかりとしたデータを提示して、長期入所をなくすのだという明確な目的を持って書き上げるべきです。どういうお子さんが施設に入所する必要があるのだ、だから、このぐらいの子どもが必要なのだという計算式も出したはずですので、そこを確実に入れてほしいということと、それに伴って施設がやはり高機能化をしっかりと果たしていかなければならないわけです。里親さんのことに関すると、いつも、里親ドリフトという話が出てきます。でも、施設の中で担当者がころころかわるというのも大きな問題なのです。
なぜ担当者がかわるのかというと、やはり自分たちがやっていることに本当にプロ意識を持って、自分たちの持っている能力に合わせた報酬が入って、私たちがやっていることは本当に難しいお子さん、あるいは大変なお子さん、里親さんでの養育を手助けする、本当にすばらしい仕事をしているのだと思えるような、そういう形が必要です。国は、多機能化、機能転換にちょっとくっつけたような形で、「検討します」程度のことを書いてあるのですけれども、これは1つの項目を立てて、ケアニーズに応じた加算を含めて高機能化に伴う職員配置き等に関してしっかりと見直していくのだということを明確にすべきです。
もう一つ、さっき一時保護で忘れていたのですけれども、どの国を見ても、一時保護というのは家庭で暮らしていない子どもたちの養育の場ですから、代替養育に含めます。それを明確にすべきです。代替養育の一つなのです。ですから、今回の改正児童福祉法3条の2に従う必要があります。それから、一時保護の中でいろんな事件が起きています。アルバイトの方が性的な加害をしたというような事件もありました。そういうことを考えると、無資格で研修を受けていないような方を雇うのであれば、人目のつかない夜に、人数の少ない夜に雇うなんていうことはやめてほしい。昼、ちょっとボランティアのような形で入ってくださって、それを活用する、それがいけないと言うわけではないですけれども、やはり適正な人数が一時保護所も必要です。
あと、アドボカシーに関しても、ビジョンで書いてあるような権利擁護のアドボカシー制度の構築ということをすべきです。そして指標に関しては、指標例ではなく、共通指標として、先ほど言ったように、公開もできるような形にすべきです。ここには塩崎・牧島案というのも参考に私が考えられる限りで考えたものを挙げていますけれども、これ以外のものも多くあると思います。そこをみんなで議論する機会も必要ではないかと思います。
お話ししきれなかったこともあるのですけれども、一応これで終わりにしたいと思います。
○柏女委員長
ほかにはいかがでしょうか。
では、宮島委員、それから吉田委員ですね。お願いします。
○宮島委員
ありがとうございます。
意見の前に、今、奥山先生がお話しくださったことの中で、奥山先生にもお聞きしたいし、林先生が同じ表を出されているので、その表ですね。あと、実際に自治体の方がいらっしゃるのでお聞きしたいのですけれども、奥山先生が里親委託、最も重要な一つだとおっしゃって、日本財団さんがつくられた資料、意見提出資料の20ページと、林先生の33ページを出してくださっています。わかりやすい表で、こういうものが本当に必要だと思いますが、この表を私なりに見させていただくとちょっと疑問な点があります。そのあたりについてお聞きしたいと思います。
まず、この0~6歳の委託児童数とか里親委託数とかは、基本的には、厚生労働省の福祉行政報告例を見れば全て載っているデータですので、あと児童相談所の箇所数も全て公開されていますので、これは公開されている基本データであると。ですから、存在しているとまず思っています。ただ、それを一つにまとめてわかりやすくするというのはとても重要なことだと思います。
御指摘してくださったように、教員とか研究者はそういった作業をしなければいけないと思うのですけれども、これで見ると、例えばここに参加してくださっている東京都ですと、150から859にふやさなければならない。これは5.7倍にしなければいけないということですね。それで、大阪府ですと、123から862にすると。7倍にしなければいけないということですね。
里親委託は福岡市がふえているわけで、福岡県分だけがふえているわけではありませんが、福岡県でも2.9倍にふやさなければいけないと。静岡県も、本当に伸びているところで有名ですけれども、77から200、2.6倍にふやさなければいけない。私がずっと勤務していた埼玉県でも、112から406ですので、3.6倍にふやさなければならない。
これはどのぐらい大変なことなのか、あるいは達成可能なことなのかをきちんと見ないといけないと思うのですけれども、この表ですと、1年間で増加が必要な、都道府県別に里親委託数ということと、1カ所の児童相談所で増加が必要な里親委託数とありますけれども、1カ所をベースにすると、10人に満たなくていいのかかのように見えてしまうのですけれども、果たしてそういう見方でいいのかというのが疑問です。もう少し補わせていただけますでしょうか。
里親委託をするとすれば、しかも、今後の里親委託はやはり社会的養護としての里親委託としなければいけませんので、短縮化をしなければいけませんよね。一旦委託したら、ずうっと里親に委託っぱなしにするわけにはいかないわけで、養子縁組ができる子はしなければいけないわけですね。もともと、この表は、0~6歳ということですから、1年ごとに齢が上がる、6歳児は超えていくわけなので、実際にこれを5倍とか7倍とかするということになると、それこそ新規に委託する子どもと委託解除になる子どもの差をそれだけふやしていかなければならないということなので、里親委託を増やすということはこんな簡単にこの表からイメージできるような数値では全然ないということをやはりきちんと受けとめることが必要、知っておかないといけないと思っておりますので、その辺で、私はそのようにこれを読んだのですけれども、そういう読み方でいいのかどうなのかを、当然、奥山先生と林先生にお聞きしたいと思いますし、江口先生や、また竹中先生にお聞きしたいと思うのです。これはとても根幹にかかわることかなあと思っておりまして、お願いしたいと思います。
○柏女委員長
では、質問がありましたので、奥山委員と林委員、簡潔にお願いできればと思います。
○奥山委員
まず、倍率のことをかなりおっしゃったのですけれども、幾ら倍率が高くても、元が小さければ、大きくなる量は少ないです。それを表したのがこれだと思います。ですから、1.何人とか5人とかいうことで見るのと、何倍だねというので見るのとかなり差がありますということです。
それからもう一つは、きょう配っていただいた資料ですが、きのうの夜、日本財団さんが調査研究されたものを記者発表されました。きのうの夜だったので慌てて事務局にお願いをして印刷していただきました。どのぐらいの世帯が里親に興味を持つ、潜在的にいるのかということを調査されています。
その中で、推定として、里親になろう、それに対して興味を持ってくださるという意味では、ざっと計算した限り、100万世帯ぐらいと。その10分の1でも10万世帯が興味を持つというところまではいってくれるわけですから、それをいかにリクルートして、いかに研修をしてやっていくかということになります。その点で一番重要なのはフォスタリング機関です。そのフォスタリング機関の検討を、今されていると思うのですけれども、それが今どこまでいっているのかというのはわかりませんが。この数値に関して言うと、先ほどおっしゃったような倍率というよりも、一体実数でどのぐらい必要なのかというイメージを持つことが大事なのと、それから、もちろん、解除ということはあると思うのですけれども、新しい委託という意味で考えても、恐らくそんなに変わってはこないだろうと思います。
というのは、0~6(歳)で措置されている子どもということになりますので、その委託が解除になったら、里親さんにもう一回別な方をお願いするということは当然できるわけですし、それからもう一つ、大きい子どもを今預かっておられる里親さんに小さい子どもをお願いすれば、里親さんが1人ふえなくても委託は可能です。逆に、年取られて、もう引退しますという里親さんがいると、それはまたプラスしなければならない。細かいところを言えばいろんなことがあります。でも、ざっと計算して推計するとこういうことになりますというのがこの数字だと思います。
○柏女委員長
林委員、つけ加えることがあればお願いしたいと思います。
○林委員
これはフローを考慮してないのですね。委託解除と新しく入ってくる子どもについて。この表の委託率というのも、18歳、あるいは20歳まで含めての平均委託率ですから、6歳未満はもっと多いかもしれない。少ないかもしれない。そういうことを考えると、あくまでも推計値ということで一つの目安にしていただく。それから、できるだけ「速やかに」にではなくて、年次ごとの目標を立てるということも大事かと。それから、委託したらそこに支援がついてくるわけですから、当然それに付加する業務もついてくるかと思います。ただし、決して達成が不可能ではない推計値であるということをお互いに共有もできるのではないかと思。
○柏女委員長
では、相澤委員、短くお願いします。
○相澤委員
ここの0~6の里親委託された児童というのは、29年3月1日現在ですね。ですので、入所してからある程度期間がたっている子もいるので、例えばこれ、もう一度統計で出してほしいと思うのは、児童養護施設入所児童等の調査結果で、児童の委託時、それから入所時の年齢というのを5年に1回ずつとっていて、それからするとかなり数字が違ってくるのではないかなと。そこら辺を見ないときちっとした推計値みたいなものは出てこないのではないかなと思っていて、そのデータも欲しいなと思いました。
○柏女委員長
すみません。この場はデータのよしあしを議論する場ではないので、ほかの意見をたくさん頂戴したいと思いますので、宮島委員、今あった御意見などを踏まえて、御自身の御意見をおっしゃっていただきたいと思います。
○宮島委員
まず、とにかく子どもたちの里親委託をふやさなければいけないと。それは全く私もそのように思っております。そして、各自治体も努力していると思います。その上で、でも、簡単なことではないということで苦しんでいるのです。ですから、これを、簡単なことだよ、達成、容易だよと見られてはたまらないと。江口委員と竹中委員に私がそこで求めたのは、実際どうなのかということ。
あと、先ほど奥山先生がおっしゃったのですけれども、里親さんの平均年齢がどんなに高齢化しているか。今、50代、60代の里親が主流です。里親委託をふやすということは本当に血のにじむようなことだと思います。全国の児童相談所が悩んでいることはまさにそれで、今年、武蔵野学院で開催された里親担当者の研修会の講師をさせていただきましたけれども、その事前アンケートで、ほとんどの児童相談所がそこで苦しんでいると。リクルートも本当に簡単なことではなくて、福岡市も何年もかけてやってこられて、それでも頭打ちになって、キーアセットを入れたら少し伸びました。でも、キーアセットに入っていただいた堺市は実際なかなかリクルートがふえなくて、とどまっていると。その辺の難しさということをやはり踏まえて考えないといけないと考えています。
以上です。
○柏女委員長
では、竹中委員と江口委員、お願いします。
○竹中委員
ありがとうございます。
この数字はこの数字としてというところで、視点としては、子どもをとにかく委託すればというふうな数かなと思っております。都道府県というか、こちらのほうは児相も抱えながらやっている身としては、子どもだけをぱっと委託を、数として年間9人増すればいいではないかというところではなくて、そうするために、やはり社会全体で里親登録の数を増やしていくためどうしていくのか。それから、社会的養護の理解を得られるようにどうしていくのか。それから、今非常に難しいお子さんたちがふえていますので、里親さんたちの養育力の向上、それから不調も起こしたくないですから、そこへのフォロー。それから、そうしたことで私たちも支援するために児相の強化をどうしていくのか。それから、ことしの1月から東京は始めましたけれども、チーム養育、つまり里親さんも含めたチームで里親子をどう支えていくのか。それから、今後、フォスタリング機能をどうしていくのかといったところで、子どもを委託するに当たっての施策をたくさん考えなければいけないというところもあります。
そして、私も児相長をやっていたのですけれども、里親さんになる、申請する方の年齢って大体46~47歳、40代後半から、やりたいとおっしゃってくださっているのですけれども、2人目お願いしますと言っても、いや、もう高齢なので1人で十分という方もたくさんいます。1人目で本当に燃え尽きてしまう方もいっぱいいる中で、どうふやしていくか、そして理解していただくのか、養育力の向上、それからフォローみたいな形、全体を見ないとならないというのが現状です。そこも含めて財政支援等々考えていただきたいというところもあります。
○柏女委員長
では、江口委員、お願いします。
○江口委員
11月のこの委員会で大阪の現状を少し話させていただいたので、ポイントだけ再度お伝えします。
大阪府の場合、60人程度ふやしていかなければいけないという推計をしていました。今、50人の後半まで来ていますのでほぼ予定どおりふえてきていますが、一方、前もお伝えしました。里親登録をなくされる方、いわゆるお年になられたり、御家族の事情でやめられる方が約半数、30人ぐらい、毎年おやめになっていかれます。これは家族という場(環境)を提供していただくわけですから、その家族の状態が変化すれば里親としての活動が難しくなるという方がおられるのは当然でございまして、この抹消の数が余り推計の中に十分盛り込まれていないと感じております。
もう一点が、里親支援機関が充実していくというのは大阪府も全面的に取り組みたいと思っています。今、3カ所でスタートしているわけですけれども、これは毎年、ある一定程度のリクルート活動を縦断的にずうっと継続していく必要があります。これで、大阪の統計では、リクルートで問い合わせがあった方の3%ぐらいが何らかの登録にまでたどり着くだろうという推計を出しています。ということは、一定程度、里親支援機関をふやしていかなければならないと。
一方、里親養育を広げていく、対象の児童を広げていくということは、しっかり養育できる里親さんに、研修であるとかいろんなことを丁寧に進めていく必要がございます。一方、地域との関係もきちっとコミットしていく(つないでいく)必要があります。これはかなり強引にやってしまうと、結果はよくないと、私は、判断していますので、そういう意味で言えば、大阪では年間1カ所ずつぐらいをきちっと地域にフィットさせていくということを考えますと、大阪は12カ所ぐらいつくりたいと思っていますが、まだ相当の時間がかかるというのが現状かと思っています。
それからもう一点が、現状、12月末の里親の委託数を調べてきましたら、大阪で160人の子どもが里親さんのところでお世話になっております。例年140人でしたら、20人ふえているという自治体でございますけれども、その分、一時保護委託も100人を突破しておりますので、260~300近くの子どもたちを、専任の里親担当職員を、各児童相談所、1名配置していますが、もう(これ以上は現員で支援をきちんとするためには)無理やでと、所長、無理でっせというのが現場の声でございまして、里親委託がふえるに伴って、それに見合うだけの人員配置がないと、結果的に児童相談所がそれを進めていくことが困難だというのが現状でございます。
それから、きょうの提出資料の8ページに載せておりますけれども、この間急遽調査いたしまして、160人の子どもたちのうち、児童心理司とか保健師が継続的に子どもに会って、専門的なケアを提供している子どもたちの数を拾ってほしいと。拾いましたら、約33%という数が実際出てきております。ということは、ケアの必要な子どもたちにしっかり児童相談所もコミットしていく必要がございます。33%、かなり大きな数だと私は感じておりまして、児童心理司でございますとか保健師が必要だと。それも当然委託する子どもの数に合わせてそれを配置していくという方向性が出てくれば、これはもっと充実できるだろう。これは里親さんのところにスライドする子どもの対象の層がふえればふえるほどニーズは高まるはずなので、この辺も見据えた取組をぜひしていただきたい。そういう意味で、地方自治事務を担う各自治体がこのように前向きに取り組みながらも、実情に合った、現状を踏まえたできる範囲をしっかり明示しながら前向きに取り組んでいきたいと、そのように考えております。
○柏女委員長
ありがとうございます。では、桑原委員、お願いします。
○桑原委員
全養協の資料として21ページから出させていただいていますが、これをぜひ意見として取り上げていただきたいと思います。
私は、この委員会の流れが里親にシフトしていくということについて、何も否定の立場をとっているわけではありませんが、各府県の里親の伸び率のデータも示されていますが、これは施設側もそうですけれども、数イコール、質が担保されているということではないと思っています。
一昨年に児童福祉法の改正があり、子どもを権利の主体とする理念が掲げられ、この目標に沿って進んでいこうという大きな方向性について、私どもも非常に喜びを感じたわけでありますが、現実に、もう20年余り前に既に子どもの権利条約は批准され、この間、その理念に沿った子どもの政策が出てきたかというと、皆さん御承知のとおり、さほど変化はなかったと思います。
社会的養護にかかわるそれぞれの種別の施設がこの間を担ってきたと私は思っているわけです。施設では、昨今、特にネグレクトの傾向の強い子どもたちであるとか、性的課題を持った子どもたちであるとか、いろんな子どもたちが入所しています。社会的養護を必要とする子どもたちというのは生活知や経験知が非常に乏しい場合が多い。そのため、子どもにとっては、場合によっては初めてとも言えるような人との関係であるとか生活の知恵を施設で学ぶことになるわけです。
大人や子ども集団のありようでは、生活を通して相互に育ち合う、まさに治療的とも言えるそういう作用が生活の中で起こってきます。このような作用は、施設における養育の大事なポイントだと私は思っているのですね。しかも、それは無意識的にも、自立に必要なコミュニケーション能力を高めることにもつながっています。施設が培ってきたほどよい生活単位における養育というのは大きな効果があると自負しているので、今回、里親養育の推進と合わせて、養育というところにもっと焦点をあてて協議をしていただきたかったということがございます。
これまでの専門委員会の中で、子どもの育ちをどう担保するかという本質的なところにこれまでなかなか踏み込めなかったということは非常に残念だと思っています。また、児童養護施設は、高機能化してかなり課題の重い子どもを養育するという方向が示されているわけですが、現実にそういう子どもたちだけの集合体で、果たして生活が機能するだろうかということを感じます。
現に今、課題の重い子どもたちの入所もありますし、いろんなケースが混在はしていますが、そういう集団だけの固まりになってしまうと、従来、施設が地域化、社会化に努めてきたその努力にも関わらず、施設という場所は特殊な子どもたちが暮らす閉鎖的な空間だという社会の見方が、この委員会そのものでも、また、いろいろ報道されることによってつくられている心配をずうっとしながらかかわっています。
ことし、お正月に15名の子どもが私どもの施設には帰ってきました。成人式を迎える子どもたち、そして、途中で家庭に引き取られた子どもたちもいます。途中で家庭に引き取られたある人は、なぜ、京都から2時間もする舞鶴に来て成人式を迎えるのかという質問に、子ども時代に一番自分らしくいられた場所だから、だからここで成人式を迎えたかったと答えました。今の児童養護施設は、虐待を受けた子どもたち、特に帰る場所のない子どもたちにとっては帰ることのできる場所であり、そして帰りたい場所になっている。それはほとんど目に見えない部分ですが、そこで救われている子どもたちがたくさんいるということも御承知いただきたいと思います。
たびたび発言もできないので、今回のまとめで示された中で、7ページに評価の項目があります。上のほう、3行目からですが、評価に関して「当事者である社会的養護経験者や、専門家、里親等の支援者、都道府県等多方面からの参画」となっていますが、ここでは施設関係者という言葉が抜けています。私は児童養護施設の立場なのであえて申し上げるのですが、今回のこの養育ビジョンの中で、一貫して施設がやはり隅に追いやられているという、こういう表現を通しても非常に危機感を持っています。
とりあえずこの段階で以上です。
○柏女委員長
ありがとうございます。先ほど吉田委員を失念してしまったと思うので。ごめんなさい。吉田委員のほうでしていただいて、中村委員ということでお願いしたいと思います。どうも失礼しました。
○吉田委員
すみません。
私は里親の立場で、乳幼児75%の数値目標というのを書いてほしいという立場でお話ししたいと思います。なぜこの75%の数値目標を絶対入れてほしいのかというと、私の里親人生20年の中で、措置していただいたお子さんが40名、一時保護委託のお子さんが20名で、60人のお子さんをお預かりしてきたのです。その40名の措置児童の中で、児童養護施設からの不適応を理由にうちにやってきたお子さんが19名です。家庭からのお子さんが14名で、不適応でなくて、いろんなところからやってきたお子さんが残りですけれども、この19人の子どもたち、5年から10年、児童養護施設にいて、そこを自分のついの住みかみたいに、自分のふるさとと思ってきて、不適応を起こしてうちにやってくるのですね。
はっきり言うと、施設でいろいろ問題行動が多発するから、すみませんと一時保護所にやられ、それからうちにやってきた。ではこの子たちの人生、誰が保障してあげるのですか。誰も保障できないですよ。うちに来た19人の子どもたちの人生は取り返しがつかないわけです。うちにたった1年いて出ていって、それでもやはりうちに何かにつけ戻ってくる。これでも里親に来たからちょっとでも戻るところができるけれども、最初からこんなことにならないようにしてほしい。小さいうちに、児童養護施設でなくて、最初から一軒の里親さんに、それは里親に行ったって不適応を起こすかもしれないけれども、里親さんに委託していたら、不適応で、今になってうちに来るということはなかったのではないかと思います。それをお願いしたいのです。
ですから、何人もの、施設にいらっしゃるお子さん、75%だとか50%を里親にかえてくれと言っているわけではないのです。これから先、児童相談所が委託するお子さんを里親さんに、小さかったら75%、小学生ぐらいだったら50%のお子さん、里親さんを考えてくださいというだけです。そうすると、児童相談所が頑張っていただきたいのは、今いる新しい、リクルートして出てきた里親さんにどんどんお願いしていく。そして、その里親さんを支援していただくということが一番大事なのではないでしょうか。これが1点目。
それから2点目にお願いしたいのは、うちは一時保護で20人のお子さんをお預かりしてきました。何と8カ月のお子さんが小学生2名、7カ月の無職のお子さん1人、5カ月のお子さんが、高校生1人、3カ月のお子さんが1人と、2カ月以上というか、3カ月以上のお子さんが5人いるのです。20人中ですね。でも、里親にやってくれてよかったと思っているのです。
なぜかといいますと、うちから学校に通わせられたからです。一時保護であったらだめだとかでなくて、一時保護委託だったら学校に通えるのです。無職のお子さんはアルバイトさせました。最終的にどの子も家に帰って行きました。だから、私は児童相談所の判断は正しかったと思います。うちも、一時保護の期間が短いお子さんはどこにもやれないのです。1カ月以内にかわっていくお子さんはアルバイトを探せないし、学校にもという、そういう話もなりませんけれども、里親を一時保護委託で使っていただけると、学校とか仕事とかできるのですから、ぜひお願いしたいと、そのように思っております。
すみません。以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。では、中村委員、お待たせしました。
○中村委員
この前段までの意見の意見と、あと、資料を出させていただいているので、その意見も、両方とも説明させていただけたらと思います。
まず、既存の状態で里親が難しいのではないかという話をされていましたけれども、そのために、フォスタリングのPTで、どういう方法が良いかといった事も今話し合われていると思います。今回、そのフォスタリングPTの資料や進捗がかわらないので、議論しにくい状況であったのではないかと思いますが、並行してPT で具体的な話がされているのだろうなと受けています。
ここからが意見とも関係してきますし、一時保護のガイドラインの部分も含めてですけれども、資料の28ページの、まず、社会的養護の経験者の参画ということがない現在では、ガイドラインの子どもの権利や子どものニーズ、子どもの視点に沿ってという部分では、やはり経験者の声がとても重要なのではないかと思っています。
今後、都道府県推進計画を各自治体でつくられていくときには、この視点というところで、ではどうやって当事者参画を促していけばいいのかということで皆さん困られるのではないかと考え、具体的な方法として、マル1の部分で書かせていただいています。当事者複数人の構成員で話を聞くということがいいのではないかということです。あと、推進計画からは外れますが、この社会的養育専門委員会においても、今私が経験者としては1名の参加になっていますが、やはり2名以上、複数人で委員設置をお願いしたいと思っています。
この基本的な考え方のところに当事者参画というものを入れていただくということが重要かと思います。あと、骨子(2)の当事者である子どもの権利のアドボカシーの部分も、これまで私も発言させていただいていましたが、段階があると思います。入所されている今の段階、一時保護所のときに聞く段階、インケアの部分で聞く権利擁護、アドボカシーの部分と、保護者と児童相談所と本人の間で権利や意見が食い違っている場合のアドボカシーとか、幾つかの段階があるということをこの意見の中に書かせていただいています。
これを踏まえて、都道府県推進計画の子どもの権利擁護の取組ということを考えていただけるといいかと思っています。あと、今後、児童福祉審議会に、子どもの権利擁護を担う部分を置く為の研究事業を今されていると思いますが、やはり最終的には第三者機関、第三者が子どもの権利をきっちり擁護することが必要ではないかということも書かせていただいています。
3つ目ですが、社会的養護自立支援の推進に向けてということで、私も児童福祉関係の仕事に就いていますし、これまで私自身の施設経験からも、施設の職員さんとか児童相談所の職員さんが頑張っておられることを重々承知していますが、今の社会的養護施策のアウトカムとして、1つは退所者調査というのが参考になるのではないかということで載せさせていただいています。今後、施策を考える中で、実際、児童養護施設で育った若者、里親家庭で育った若者が今どういう状況にあるのかということを把握せずに施策を考えるというのは現状から離れてしまうのではないかとの思いで書かせていただいています。
実際に、東京都や大阪府等の大都市でも調査をされている中での調査家結果としては、私が読んでいる限りでもかなり厳しい実態かなと思います。今回、自立支援をしているところもあるし、してないところもあるから、してないところは進めていこうという方向で書かれているとは思いますが、これは急務なのではないかと捉えています。その状況が、既に本などで出版されているとは思いますが、意見書でも幾つか若者たちの状況を記載しています。かなり特別なニーズを抱えながら、18歳とか15歳で措置解除されて社会で生活していると状況にあります。
措置解除後にとても重要なのが市町村の窓口になるのではないかと思っています。都道府県推進計画の中でこの退所者のことを取り扱うということで、若者たち、市町村で生活しています。ですので、市長村における窓口の設置等も書かせていただいていますし、専門職の配置と書かせていただいていますが、この辺はできたら各自治体で検討していただけたらと思います。退所者調査は、自治体によってばらばらの調査項目だと思うので、それを国で統一したもので実施すると比較しやすいのではないかということも書かせていただいています。
一時保護のこのガイドラインであったり、第三者評価も今後していくという記載もあったと思うのですが、そのときの指標であったり評価項目に経験者の声というのが反映されることでより中身の伴ったものになるのではないかというところでは、28ページの1に戻りますけれども、当事者の参画ということはとても重要なことではないかと思っています。
実態がとても厳しい状況で、これまで皆さんが頑張ってきたことが、若者たちにどのようにその恩恵を受けているのかを考えたときには、もちろん、退所後サポートしてくれる施設があるのは知っていますし、「帰っておいで」と言う里親さんもおられるのですが、実際、そうではない若者たちもたくさんいます。3年以内に施設との連絡が途絶えるという数字も出ているというところで言うと、今この状況、このままでいいわけではないと思います。だから皆さんで話し合っているとは思います。しかし、現在の状況を本当に切実に思っていますし、ちょっと強引ですけれども、数字が伴わなければ改革ができないのだったら、数字もやはり必要なのではないかとも思っています。
すみません。長くなりましたが、以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。参考資料2の中で、きょう説明はありませんでしたけれども、事前にお配りされているものの中に、推進計画と子ども子育て支援事業支援計画との関係の整理がありますけれども、今の中村委員のお話を踏まえると、市町村の子ども子育て支援事業計画の中にも、こうした社会的養護のもとにいた方々の自立支援のための計画なども入れていくことがとても大事かなと思って聞かせていただきました。今後、第2期の子ども子育て支援事業計画の策定が行われるようになると思いますので、その見直しの中で、この策定指針の見直しなども必要かなと思いました。貴重な御意見ありがとうございました。
では、松本委員、それから平井委員、三代川委員と、山本委員、橋本委員ですね。最初に松本委員、よろしくお願いいたします。
○松本委員
松本です。
たくさんあるのですけれども、なるべく絞ってということですので。
1点目は、先ほど、特に代替養育の数値目標のことで幾つか意見が闘わされて、それはどうなったのかなと思っていたのです。基本的には、数値目標をきちっと入れていくということが大事ではないかという意見の表明をしておきたいと思います。それで、そのときに幾つかの数値目標にかかわる懸念があって、それが達成できるような条件が整うのかということが1つと、もう一つは、その処遇のあり方がそれによって歪められるのではないかという、数合わせのところでそのような御懸念もあるような気がするのです。
2つ目のほうから言うと、それは子どもサイドの利益を守るというのが大原則なので、その都度その都度、最善だということを判断していくということだと思うのですけれども、例えば里親支援のいろんな機関なりリクルートの体制が整わないとなかなか難しいときに、逆に数値目標を出すことでそれを整えていくという条件を整備することがとても全体として大事なことのように思うのです。そのように思うと、個別の処遇を縛るというよりは、体制整備をどう進めるかという観点で目標を立てていく。目標の捉え方ですね。そこの理解のされ方が間違うと、目標ありきの議論になってしまうので、そこの数値目標を入れるということと、その目標の意味ですね。そこはきちっと確認していくという作業が必要なのかなあと思うのです。
今回の里親委託のところで言うと、前と大分違うのは、もちろん、目標値を上げたということもありますけれども、年齢で区切ったということだと思うのです。子どもの処遇なり代替養育のときに、年齢という要素をきちっと加味して目標を立てていくというところが考え方の違いだと思いますので、そこの意味はきちっと踏まえるということがとても大事かなと思います。これは意見であります。
2つ目の指標のところですけれども、これは何人かの方から意見が出ましたけれども、ここはもうちょっとじっくり議論するべきだと思いますし、私も前に発言したかもしれないですけれども、全体的に統一した指標例、都道府県で出すのはいいですけれども、全国的に統一した指標が幾つかあって、それで全国の動向がきちっとわかるということがとても大事かなと思っています。
今、社会的養育にかかわる、あるいは代替養育にかかわるデータというのはかなり個別的な自治体にあるとか、全国的な動向で言うと件数とかはわかるのですけれども、中身がよくわからないようなものになっているので、そこに使えるような形で指標というものを整理していくことが大事かなあということと、もう一つ、退所後のところで、今、中村委員のほうからいろんなお話が出ましたが、退所後の様子というのも、もうちょっとここはきちっと議論して、例えば3年後とか5年後とか時期を切る。あるいは20歳のときとか、25歳がいいのか、時期を切って、どういう状況にあるかということがわかるようなデータベースをつくっていく。
そのときに、都道府県のところに入れていくというのは、今回のビジョンなり、その前の専門委員会との考え方で、都道府県、あるいは自治体のところで責任を持ってコミットしていくような体制をつくりましょうと。そのための予算事業はできたということですので、展開はこれからかと思いますけれども、その事業の中にきちっと、例えば退所後の支援計画をどう実行していって、それをモニタリングしていくかというようなことが当然含まれてくるので、そこと退所後の調査、データベースの構築が絡まないと、別途調査だけはする、一方で、その支援計画は支援計画で別途どうなったかわからんとなるとまずいので、退所後の支援計画をきちっと実行するという中に、きちっと年限を切った形での、あるいはポイントを絞った形での実態がわかると、それが全国的な動向でわかるという仕組みをどうつくるかという観点でこれは議論をすべきだろうと思います。
たくさんあるので、あと1点だけ。中村委員のほうから大変大事な御指摘があって、当事者参加の形で、複数名ということが出ました。それは国レベルの委員会でも、都道府県レベルのいろんな参画の中でも、やはり複数入るってとても大きいと思うので、参加が原則というだけでなくて、複数が原則ということと、もう一つは、正式な委員になるかどうかは別にして、当事者が参加されるときの支援者ですね。例えば第三者の弁護士さんであるとか、誰かほかの方、後見をやるような支援者がそこにきちっと後ろにつくということも含めての参加としておかないと、参加の形で当事者が入って、そこで逆にしんどい思いをするということがアリバイづくりに使われるということも含めてあるかもしれないので、例えば地域の弁護士会であるとか第三者機関のところがきちっと参加することを支援するという形をとるということも含めて、実質的な参加を保障する。それは原則として考えていくべきだと思います。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。では、続いて平井委員、お願いいたします。
○平井委員
平井でございます。
私も、自立援助ホームの立場から、今、中村委員、松本委員がおっしゃったのとちょっとあわさるところもございますが、自立保障という部分が少し弱い部分があるかなあと感じております。それで、施設や里親さん、解除された後の支援体制、これはやはりガイドラインも含めてですけれども、都道府県でしっかり体制整備してやっていくということが必要だと思います。
それと、先ほどのデータという部分でも、各県でその施設等の措置延長数とか、高校の中退率、大学の進学率、あと就職してから1年以内の離職数とか、そういったものも含めて少し実態の調査をしていくべきではなかろうかと思います。それとあと、松本委員もおっしゃっていましたけれども、とりあえずは22歳ということも出てきておりますので、22歳までの実態調査というのも含めて必要かと思います。
それともう一点は、これは一時保護のことも含めますけれども、一時保護中に18を超えた子どものケース、これを各都道府県ではどのような支援を行ってみえるのか、みえたのか、そのあたりもなかなか見えてこない部分がございますので、そういった部分もしっかり調査することも必要かと思います。
最後に、すみません。自立援助ホームの立場からと申しましたけれども、今、自立援助ホームのほうも、児相を通じてもちろん来るわけですけれども、うちは名古屋ですけれども、もう2年間ずっと満床状態なのですね。そういったことも含めると、昔は自立援助ホームの入居者というのは、もちろん児相を通じて、それで、施設の出身者が多かったのですが、今はもう逆転しまして、家庭から直接、いろんな家庭の境遇から、もちろん虐待の傷を負った子も多いです。そういった子も来ますので、そこらあたりも考えて、自立援助ホームの活用ということもぜひ含めていただければと思います。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。では、三代川委員、お願いします。
○三代川委員
事務的なスケジュールのお話になってしまうのですけれども、この骨子案を見ますと、中には、市町村の在宅ニーズの見込みの把握とか、そういったことが記載されておりますし、市町村の子ども子育て支援事業計画、今、中間見直しの作業中ですけれども、次期の計画には、当然この計画内容というのを盛り込んでいかなければとは思うのですけれども、どの計画でも、策定するに当たり、年次計画とか、それから数値目標を立てるというのは当然ですし、今回これ、早急にということは理解はしているのですけれども、市町村の事務的な部分の話ということになりますと、現在の見直し計画案ですと、今回のタイミングで、この骨子案で3月ぐらいまでには恐らく見直し要領が示されて、現実的に都道府県は4月からの見直し要領に基づいた推進計画の準備・検討に入っていくことになると思われますが、そうしますと、市町村の部分のこの数値を入れ込むという作業があるということになりますと、都道府県からの依頼とか回答を考えますと、1年ないどころか、数カ月での作業という形になると思います。
市町村によって多少差はあるとは思うのですけれども、市町村の担当課の実態としましては、要対協のケースなどの実務対応にとらわれているというのが、ほとんどその時間に割かれているのですね。ですから、そういうことを考えますと、この作業の量的な部分もあるとは思いますけれども、この19ページ、最後の留意点に「実施可能なものから、順次」という表現はあるのですが、30年度中に余りいろいろな、このボリュームの多い作業が発生するということになると、市町村としてもなかなか全てについての対応は難しいのかなと考えています。
○柏女委員長
ありがとうございました。市町村への配慮が必要だということだろうと思います。では、山本委員、お願いいたします。
○山本委員
よろしくお願いします。
29日の月曜日に、成松課長、宮腰室長にも来ていただいて全国知事会のほうで協議させていただいて、その後、本日の意見をまとめさせていただきました。全国知事会でまとめた分としては5点ございます。
まず、先ほど浦安市さんもおっしゃられましたけれども、スケジュール感のところでございます。これはずっと言い続けてきたところでございますけれども、今の都道府県の計画、これが各施設の推進計画、を調整して、それを積み上げて、このときの作成要領では、都道府県が大体2年間の作業スケジュールで定めたものでございますけれども、今回またかなり大きく考え方が変わってくるということから、ひょっとしたら一から、また各施設との調整とかもしていかなければならない。そういうことを考えますと、前回が2年間の作業スケジュールでございましたが、前回同様、またはそれ以上に時間がかかるということも考えられます。
また、今回は、特に市区町村における子どもの家庭支援体制の構築とかさまざまなことを都道府県の取組として、関係機関との調整が必要な事項も多く計画に盛り込んでいくこととなっております。そういったことをしていくにも十分な時間がどうしても必要でございます。今回示されたスケジュールに合わせる、平成30年度目処ということでこちらのスケジュールに合わせるだけの計画になってしまいますと、逆に児童の権利を阻害することも十分考えられます。児童の権利の保障、これを最優先に各都道府県ではしっかりと計画を作成していきますので、見直しを平成30年度中を目処ということで定めるのではなくて、何度も申し上げますけれども、より柔軟に対応できるような記載等をお願いしたいということでございます。
次に財政的支援のところでございます。これは前回もお話しさせていただいたところですけれども、各都道府県が計画を策定して、里親、乳児院などさまざまな関係者や市区町村の関係機関などとしっかりと連携して計画を実効あるものとしていくためには、国によるさまざまな面でのしっかりとした財政的支援がどうしても不可欠と考えております。ぜひ国の財政支援についても、基本的考え方の中にでしっかり支援していただける形で明記していただきたいと思っております。
次に目標値のところでございます。今回の要領の6ページ5行目のところで、「出来るだけ早く『乳幼児の里親等委託率75%以上』、『学童期以降の里親等委託率50%以上』を実現できるよう、国が支援策等を講じていく」となっております。こちらについては、今回、都道府県ごとの目標値は要領には出ていないのですけれども、こういった書き方を見ると、目標値へ誘導するように見えるということでございます。
また、7ページ1行目では「各都道府県においては、国における目標を念頭に計画期間中の具体的な数値目標を設定し」となっておりまして、一方、13ページ6行目では、「現行計画における里親等委託児童数を上乗せし、現行計画を上回る里親等委託率の目標を設定する」となっております。都道府県の計画を作成する上で、現行計画を上回る目標設定という形に13ページのほうではなっておりますけれども、7ページでは「国における目標を念頭に」という形になっておりますので、「国における目標を念頭に」という表現についてはいかがなものかということを意見として申し上げさせていただきます。
併せて、各都道府県は、地域の実情を踏まえて計画の見直しを当然やっていきますし、目標もその計画の中で数字として考えていくことになりますので、各都道府県が地域の実情を踏まえて設定する目標、こちらについてはしっかりと尊重していただける旨を明記していただきたいと思っております。
次に、14ページの(計画策定に当たっての留意点の)ivのところで、「国としても、各都道府県における特別養子縁組の成立件数の集計・公表を行うとともに、特別養子縁組制度のより一層の活用の検討を促していく観点から年間1,000人程度を目指し」となっております。特別養子縁組というのは、家庭養護の中でも児童の様々な養育の可能性を検討した上で講じられる特別な手段でこの上なく慎重に対応しなければならないものと考えます。そういったことから年間1,000人程度を目指すのは国としての目標であり、児童人口など、地方により状況が異なる各都道府県ごとの成立件数まで公表する必要はないのではないかということでございます。
最後、中核市のところでございます。18ページ1行目で平成28年改正児童福祉法の附則第3条の趣旨が明記されておりますけれども、「政府は、中核市・特別区が児童相談所を設置できるよう、その設置に係る支援等の必要な措置を講ずる」というのが附則第3条でございます。ここのマル1の1ポツのところでは、主語がなくて、この趣旨が「全ての中核市・特別区が児童相談所を設置できるようにすることであることから、できるだけ設置を促す」という形になっておりますが、この附則の条文から考えますと、国がその設置を促すということであろうと思われますので、しっかりと「国においては」という形で、国の役割を明記していただきたいと考えています。
以上でございます。
○柏女委員長
ありがとうございました。では、橋本委員ですね。
○橋本委員
よろしくお願いします。
私は、これまでの専門委員会での論議について、ある種の論点の偏りを、正直、感じてきました。争点の狭隘さと言ってもいいのかもしれません。先ほど桑原委員が指摘された「養育の質に関する論議がとても弱かった。」という点もまさにその一つだと思います。そこで、残念ながら余り議論を深めてこられなかったけれども、ぜひ押さえておきたい論点について、全国に点在する児家センの実践を踏まえながら、2点言及させていただきたいと思います。
まず1点目ですけれども、具体的には、子どもたちの日常においてとても大きな存在である学校との連携対策や生活保護制度及びひとり親や生活困窮者自立支援制度、あるいは地域共生社会実現に向けた議論とのリンケージについてです。例えば学校教職員の方々は、どれほど里親制度を御存じでしょうか。岐阜県のある児家センでは里親さんにショートステイをお任せしているそうですが、当該の学校に出向いてそのことを説明しても、ほとんどの教員が里親制度自体のことを知らなかったそうです。都道府県計画が教育行政や生活困窮者自立支援事業など近接する行政施策にも目配りしたプランになるよう、あるいはそれらの実務の実施主体である市町村関連部局や学校、社協などを巻き込んだプランとなるよう、要望したいと思います。
次に2点目です。虐待通告があった子どもたちのうち、分離保護に至らず、いわゆる見守り対応されている子どもたちへの支援をいかに実効化するべきかという問題についてです。厳しい言い方かもしれませんが、財源や権限も、それから専門性を有する人材も与えられない見守りは、結局のところ、現実的には何もしないと言うに等しい状態です。ある児家センの所長は、「支援のネグレクト」とまで表現しています。都道府県計画の改定を自治体にお願いするこのタイミングで、国の責務として、在宅措置、ないし通所措置の制度設計と予算の手当て及び人材の育成を含む人材確保対策を早急に行うべきことを確認したいと思います。
ちなみに、児家センに支払われる現行の指導委託費は、ケースの軽重や活動頻度、内容にかかわらず、1件につき年間10万円程度ですが、果たしてそれで十分な支援体制が用意できるでしょうか。また、在宅措置ないし通所措置の制度を設計する際は、家庭維持のための支援、親子関係再構築を中核とする家庭復帰移行のための支援、里親支援をはじめとする家庭養育支援のそれぞれについて詳細に研究し、個々に指針や評価基準を設ける必要もあるでしょう。
以上、雑駁に話をさせていただきましたが、これらの検討と研究は「これからの課題」であり、そして「国の責任で」ということを強く主張して、私の発言とさせていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○柏女委員長
ありがとうございました。では、井上委員、お願いします。
○井上委員
井上です。
少しばらばらになるかもしれませんが、言いたいことをきちんとお話ししたいと思います。1つは、今、児家センのお話が出ましたので、そこからちょっとお伝えしたいのですけれども、先日の議連のときに、大分県の状態として、里親さんたちが非常に困っているという話が出たということだったのですが、私たち大分県で里親支援を一番メインにやっていて、きょうの午後にPTの代表としても出ている担当とも、僕ら、いつも話し合っているのですが、事情として、そこの児家センの里親支援の状況として、昨年度は100件以上のレスパイトをしているのですね。数年前までは非常に大変だったのですが、その里親との連携をきちっとして、レスパイトもきちんと受けて、そして本当に困りを相互で理解し合って支えていくという姿勢をとれば、先ほど里親担当の方も言われましたように、非常にいいシステムってできるのですね。現時点の児童養護施設の先生方たちも本当に一生懸命やっている方たちがおられて、私たちはその連携を進めていくということがいかに大切かということを頭に入れながら、次に向かった活動をしていくということが大切ではないかということをまず最初にお伝えしたいと思います。
私は、数値目標を入れることに関しては基本的には賛成の立場でいます。この数値目標の考え方のことでいろいろ言われていましたが、私自身、課題と将来像を見ましても、3分の1、3分の1、3分の1という数値目標は出ていたわけですね。今回の法改正、ビジョンが検討されて、先ほど松本委員も言われましたが、年齢区分と子どもさんたちの状態を検討して考えられた数値目標も出ておりますので、やはりそれは載せるべきではないかと思います。
ただ、地域によってその差があるのですが、専門性とかマンパワー、予算などでそろってないところもあるのですが、そのようなところでアップ率が本当に少ない状態であったとしても、そこに目標をちゃんと掲げて頑張ったのか、それを入れないで努力しましたと言うだけなのか、これは全然意味が違ってくると思うのですね。ですので、すごく人員がそろっているところはたくさんの伸び率を出したとしても、そろってないところは少ない率であったとしても、それをやはりきちんと出して、頑張ったという事実をみんなで認めていって、それを支援していくという作業が大切なのではないかと思いました。
最後になりますけれども、先ほどから三代川さんと山本さんが言われていたのですが、市町村の取組の中で、これは委員長が一番御存じだと思いますが、本年度は子ども子育ての中間見直し年になっております。その中で、私たち、きちんともう既に社会的養護のところの部分を取り組んだ上で数字を考えていく作業はどうだろうかということをお聞きしますと、ほとんどのところ、やっているのですね。
大事なのは、2年前のときは初めてのそういった考え方の導入だったのです。ですが、そこで非常に大変で、苦労して資料をつくった方たちはやはり優秀です。ここにこのこととこのことの考え方を足してすればいいのですねと言われて、それに向かっての努力と、ほんの3カ月ぐらいである程度の数字をきちっと出してくれました。ですから、何年もかけてというような話をここで持ってくるというのはちょっといかがなものかと思いますので、お伝えしておきたいと思います。
最後に、ぜひ山本さんに教えていただきたいのは、全国の知事会さんのほうで、平成28年改正児童福祉法、これの受け取り方、各知事さん、どのように捉えておられたのかということを、ちょっと最後に1点教えていただけたらなと思いますが、よろしくお願いします。
○柏女委員長
それでは、江口委員の御発言の次に山本委員に。先ほど松本委員がおっしゃっていた数値目標は既に6ページのところに入っているわけで、ただ、それは国がそこを目指すということで、松本委員は、そうではなくて、各県もそこを目指すことを明記する立場から、そして、低年齢の子どもたちをまずやると、そういう意義の明記を、説明を書いていったらどうかということをしっかりとおっしゃって、その上で各県にもそれを求めていくということをしたらどうかという御提案があったわけです。
とても大事なことだと思って、今の井上委員の山本委員への御質問は、各県の方々はその意義とか、どこまで把握した上でおっしゃっていらっしゃるのだろうかということも率直にお聞きになっただろうと思うのです。江口委員も8ページのところに、ビジョンの実現を目指しつつ、できる限り上回る数値目標を掲げることが現実的な対応だと書かれていらっしゃいますけれども、江口委員と山本委員に私も率直にお伺いしたいのですけれども、ここは各県、数値目標を入れるということは絶対に難しいということになるでしょうか。その趣旨を説明したとしても難しいということなのでしょうか。そのこともちょっと意見の中に含めていただけるとうれしいなと思いました。
では、すみません。江口委員、お願いいたします。
○江口委員
今回のビジョンについては、社会的養護だけでなく、地域の養育力全体を含めたかなり幅広い計画になっていると理解しております。都道府県において実施計画をつくるというのは、実施をしていくということですし、その計画の実現性であるとか、それに見合う予算が担保されているのだろうかとかいうことをしっかり見定める必要がありまる。、また一定、計画は府民に対して責任を負うということになります。そのためには、現時点で財源の見通しがはっきりしていないものであるとか、あるいは法改正が今後されるであろうという場合については、その時点で都道府県は判断せざるを得ませんので、その辺の実情をしっかり踏まえた上で何らかの法改正、あるいは追加の財源処置が必要になるものを30年度にきちっと目標として提示するのが非常に難しい状態であるというのはぜひ御理解いただきたいというものでございます。
それから、地方自治の事務を担う都道府県としても、地方自治事務の趣旨を踏まえて、当然、大阪府はニーズ調査の準備をほぼ終えております。策定部会ももう間もなく設置の予定でございます。30 年度中に策定できるのか間に合わないのではないかということはわかっておりますので、早目早目に手を打ちたいというので動いてきております。ですから、先ほどから申し上げておりますように、ニーズをしっかり捉えて、現状をきっちり踏まえてまいりたい。それから、児童相談所をあずかる所長としては、現状の職員の体制のマンパワーを当然見た上で、実現可能性をしっかり把握していく。家庭養育を進めないと言っているのではないのです。進めるところはここまでが今現状で限界ですよというのをこの間この委員会で繰り返し申し上げてきたところでございます。その辺を踏まえて御判断いただきたいというのがまず1点でございます。
それから、2点目についてこの際もう言ってしまいますと、現在、全児童について、障害児施設も含めまして、年1回以上訪問して調査をし、援助計画の全部の点検を行い、児童との面接をするというのを大阪府は数十年前から続けております。一人60名から70名の子どもを担当していることを考えますと、もちろん、例えば進学を控えている、あるいは措置変更を控えている子どもは月1回施設等に担当者が行っている子どももおります。ということを考えますと、子どもの権利擁護を児童相談所のスタッフが真剣に取り組まなければならないという気持ちは現場でもかなり強いものがございますが。
ただ、今、この職員配置数で進めていくには、これ(この程度の頻度)が限界だということでございます。その意味でも、代替養育を受けている児童の数に応じた児童福祉司でございますとか児童心理司の配置をぜひお願いしていきたいと思っております。
3点目でございます。児童相談所と一時保護というのは一体的なものでございまして、この間、児童虐待を初め社会的な要請として、いわゆる権限を持っている児童相談所が速やかに一時保護してほしいという社会からの要請はかなり強いものがございます。そういう意味で言いますと、一時保護は待ったなしという状況でございまして、大阪府は年間2,000件を超えているという状況でございます。一人のワーカーが5人6人、一時保護、同時に並行して進めているというのが現状でございますので、この中で、かつ、前回にもお伝えしました、一時保護所は 24時間365日子どもを引き受けておりますので、特に前回データでお示ししたように、夜間と休日の入所のほうが平日昼間の入所より既に上回っているという現状から考えますと、一時保護所の置かれている状況は大変厳しいものがございます。一時保護所の特性を踏まえて、やはり設備運営の基準をぜひ示していただきたいということでございます。
私が今回提出した中で、かなりデータを調べました。一時保護された、まず子どものニーズを早急に把握できているのか、それからあわせて、その中で専門的ケアの必要性をどれぐらい的確に早期にアセスメントできているのか。児童相談所としては生命線でございます。そのために、調査しましたところ、一時保護所入所児童、29年度上半期630件でございますが、そのうち児童精神科医の医師等の診察を実施した件数は115件でございます。115件のうち、約半数が施設や里親のほうにお願いするに至っております。要するに、家庭から一定分離していく可能性のある子どもを優先的に、ドクターの受診も兼ねてスクリーニングをかけて、きちっと次の処遇の場につないでいくということが必須でございます。ただ、潜在的には、これでは(医師による診察等の割合は)全然足らないという実感でございます。専門的ケアの必要性というのは非常に簡単ではございますけれども、それを現場できちっとアセスメントをして、それに向かって取り組んでいくということをぎりぎりやっております。そのためには、ぜひ児童心理司や医師等の配置について政令等で定めていただくことが必ず必要になってくるのではないかというのが現場の意見でございます。
以上でございます。
○柏女委員長
ありがとうございました。ちょっと山本委員、補足でお願いできればと思います。
○山本委員
全国知事会のほうで意見をとりまとめていますけれども、先ほど井上委員が言われたように、各県の知事が集まってという話でなく、事務方レベルでいろいろと話をしているところでございます。児福法の改正につきましては、子どもの権利を優先するとか、大きなことが明記されておりまして、当然、県としても、各都道府県全てそうだと思いますけれども、方向性についてはその方向で当然いくべきだろうと理解しております。
ただ、このビジョンで示された75%とか50%、こちらのほうを各都道府県に、例えば高知県で75%とか50%というのを張りつけられて、そこから逆算したような形の計画となっては、子どもの将来に関わってまいりますし、極端な話、失敗は許されないところで、児童福祉の世界は動いていると自分は認識しているところでございまして、そういったことも踏まえますと、今回新たに作る計画では、各都道府県ごとの委託率というのは当然推計値として出していく形になりますけれども、国の75%とか50%、そういったところとの乖離度とかを単純に数字だけ見て評価されるのもいかがなものかと思います。
国のほうで累計・公表を計画されているようですけれども、その際には、その地域の実情とか、地域の社会資源とかの中で各都道府県がしっかりと努力した結果ですよということがわかるようにしていただかないと、いろんなところであらぬ誤解とかも出てくるのではないかと心配しているところです。できるだけ頑張るというのは、各都道府県、気持ちは一緒だと思います。
○柏女委員長
わかりました。ありがとうございました。
では、御発言がない方もまだいらっしゃるので、ぜひ、できるだけ大勢の方、ほぼ全員の方に御発言していただきたいと思っています。相澤委員、安部委員、犬塚委員。奥山委員、短く、それから、菅田委員。竹中委員も短くお願いします。
では、まずはこちら側からいきます。そちらも必ず御発言していただきます。ただ、そうはいっても、もう30分しか時間がないので、できるだけ手短にお願いしたいと思います。
○相澤委員
ありがとうございます。
私は、この議論をずうっと聞いていて、数値ありきか否かということでも2つに分かれているなという感じがあるのですけれども、子どもの最善の利益を優先して考慮するということを考えたときに、33%というその数値が、課題と将来像が出ているわけで、数値は私もあっていいのではないかと。ただ、いきなり75か50かというよりも、皆さん懸念しているように、財政的確保が本当になされるのかとか、それから、本当に一気に進んだときに子どもに不利益がこうむるのではないかとか、そういうことが懸念されているわけです。私は、例えば3年後の数値目標ぐらいをまず立てて、例えば10%なら10%を上乗せしようとか、そこで実際にやってみて、どういう課題があるのか。非常に促進されるような県もあるでしょうと。そういうときは、その促進要因って一体何なのか。逆に、なかなか進まない、そのときの阻害要因って何なのか。指標をいろいろ検討されるということですので、そういうことを検討しながら、次の計画のときの数値目標を考えるとか、そういうことが私は現実的だなあと。そのような計画。ですから、例えば都道府県推進計画の子どもと子育て支援の関係というと、例えば31年度から36年度まで中期計画とありますけれども、これを2つに分けてもう一度考えてみるとか、そういうやり方を考えることはできないのかなあと思いました。
以上です。
○柏女委員長
では、安部委員、お願いします。
○安部委員
原則として、都道府県の見直しと、それから一時保護のガイドライン、私も同意するものですけれども、一時保護ガイドラインの4ページの下から4行目に、一時保護所の閉鎖的環境と、そのページの一番下に開放的環境というのがあって、これは別のワーキングで話すことなのかもしれませんけれども、私の理解は、現状の一時保護所は全部この閉鎖的な環境に当たるだろうと理解しているのですけれども、その理解で正しいかどうかというところをちょっと確認しておきたいと思います。というか、そうなのかそうでないのかということで全然この一時保護所の計画を立てるときに違ってくるのではないかなあと思いました。
それともう一つ、5ページの上から3行目から、閉鎖的環境での保護については、その必要性を2週間以内など定期的に検討するということが書かれているのですけれども、そもそも一時保護、開放的な環境であったとしても、親から分離しているわけですので、全ての子どもの一時保護について定期的な検討が必要なのではないかなあと思いました。
以上2点です。
○柏女委員長
最後にちょっとだけ、事務局のほうで御質問については説明していただけるとありがたいです。
では、犬塚委員。
○犬塚委員
私のほうは、親子関係再構築支援の観点からお話ししたいと思います。
虐待の問題を抱えている家族に対しては、まずは養育機能を高めて親子関係を再構築して、家族の中で子どもが健全に育っていけるための支援が必要です。ここに書かれているように、児童相談所が関わった虐待事例の9割以上の子どもたちが家で暮らしているということですので、その支援のために、今回、子育て世代包括支援センターや市区町村子ども家庭総合支援拠点を普及するという方向性が出されたこと、そしてまた、虐待の危険の高い家族に対しては社会的養育と位置づけて支援をするという仕組みが作られたということは虐待対策の大きな前進と思います。
ただ、今までいろな方が御意見を述べられましたように、その中身をどうするかということが余りここでも議論されていません。勿論、その財源の問題や、どんな職種を配置するかということなどについては今後の検討でしょうが、そのことについて1つぜひ言っておきたいことがあります。それは保護者に対しても子どもに対しても、その回復には治療的支援が重要であるということです。今まで治療ということがどうしても、福祉の中で議論していくと最後になってしまっていますが、特に虐待の問題を抱える家族の中で育っている子どもたちは、トラウマを初めとした情緒行動上の問題を高率に抱えています。そして、トラウマは適切な治療的な支援を受けないと長期的に子どもに影響を及ぼし、いろな適応上の問題を引き起こし、子どもの心身の健康な発達を阻害することは、様々な研究で明らかにされています。つまり、子どもの心身の健やかな発達および成長の権利を奪っています。それに対していろな支援が必要で、適切な養育環境を与える、あるいは一緒に暮らしている家族を適切な養育環境にするという支援も、当然回復の基盤として必要ですが、それに加えて、子どもに対する治療的な支援がないとなかなか改善しないため、子どもの健やかな成長は阻害され続けてしまいます。
なので、これから普及を進める拠点施設の支援メニューの中に治療プログラムを入れるなどして、積極的に治療が提供できる体制を整える必要があります。これは実は「新しい社会的養育ビジョン」の中には書かれているのですけれども、だんだん縮小版になってくるとそれが落ちてしまうということが起こりがちです。事実、今回の骨子でも、トワイライトステイとかショートステイなどは9ページに書かれているのですが、それに加えてここに治療プログラムとか治療的支援とかいうことをきちんと書いて、その必要性を忘れないでいてほしいということが1つあります。
そして、この地域での在宅支援では改善されずに、その後、代替養育に入っていく子どもたちもいます。最初の回に数値を述べましたけれども、施設に入所後、2~3年目の子どもたちの調査をしたのですけれども、児童養護施設では3分の1ぐらいの子どもは家庭復帰しています。乳児院であれば5割近く、45%ぐらいが家庭復帰しています。親子関係再構築支援が、児童相談所などのいろいろな関係機関と連携しながら、施設の中で、体制としては不十分なところがありながら、非常に丁寧に実施されていて、子どものケアは勿論、子どもの生活を見ている立場から親と子どもをつなげたり、親との関係づくりをして、子育ての相談を一緒にしたり、子育てのモデルになったりという支援を実施する中で、家庭に復帰できているという現状があります。
今後、里親養育を進めていく中で、この部分の機能をどこが担っていくのか。つまり、子どもたちはどんなに適切な代替養育が与えられていても、やはり親の問題を抱え続けていて、家に帰りたいと。思っています。勿論、支援を実施しても適切な養育機能を持ちえない家族もいますが、親の支援を実施し、親の養育が適切となり、親子関係が再構築されて、家庭に帰ることができるなら、それが子どものパーマネンシーという観点でもベストです。それから、長期的に親の、家族の養育機能が改善しないという状況の中でも、親との交流は保たれている場合が多いです。今、その親との交流の中で、親との関係を安全な距離を持ちながら改善していくとか、あるいは自分の生い立ちを整理して、自分の親との今までの関係をどのように自分の中に受け入れていくとかいう支援も、施設のを中心に少しづつ進められています。ですので、里親養育を増やしていく中で、こういった親子関係再構築支援をどこが担っていくのかということをきちんと並行して議論しないと、そして、実際どのようにしていくかという具体的なやり方をシステムの中に組み込んでいかないと、適切な代替養育は受けられたけれども、親との関係が切られてしまったということも起こりかねないという、危機感を持っています。今後、フォスタリング機能を持つ機関に、どういう機能を持たせるかという議論の中に、今述べたような親子関係再構築支援の機能を入れてほしいということがあります。親子関係再構築支援の中には、子どもに対する、先ほど述べた治療的な支援も含めて、親の支援や親子関係をつくるための支援にも治療的な支援が必要なので、その辺もぜひ今後の検討の中に入れていただきたいと思っています。
以上です。
○柏女委員長
では、奥山委員、お願いします。
○奥山委員
江口委員と山本委員のお話を聞いていてわけわからなくなってしまいました。自分たちに任せろと言って、国がちゃんとしろと両方なのです。どっちなのだと言いたくなります。実際に、例えば児童相談所の職員の数は、首長さんが頑張ればできないわけではないはずです。大阪に関して言えば、あれだけ死亡事例が多いのですから、大阪、先頭行って、職員数を多くしたとなれば、それで、みんな、ああ、やっぱりあれだけやればすごい、死亡事例もなくなったよとなるのではないかと思います。国として一番重要なことは、しっかりと均てん化するということです。どこの地域にいても子どもたちの権利がきちんと守られていること。そういうことを考えて、国は最低的な基準は出していると思いますけれども、各県で上乗せするのは全然大丈夫なのではないでしょうか。
もう一つ、ビジョンでは、均てん化ということを考えて、おおむね7年後までに少なくとも6歳未満の就学以前の子どもたちは全国どこでも少なくても 75%が里親さんに行きましょうというこの均てん化の目標を出しているわけです。各県でおおむね7年間にどういうスピードでやろうか、最初はゆっくりなのか、最初に飛ばすのか、それは各県で決めてくださいということなわけで、そこら辺のところが随分考え方が違うと思います。ですから、相澤委員が言っているように、10%上乗せでいいんだというのを国が見せてしまうのではなくて、国は均てん化のための最終目標をきちんと見せておいて、その間のやり方は各県が工夫なさるということが一番良い目標の決め方であると思います。
それから、一時保護のところでさっき言い忘れたのですけれども、やはりケアのことは非常に重要です。ケアの中で重要なことは、先ほど犬塚委員もおっしゃっていましたように、トラウマを受けているお子さんが多いということ、それから権利侵害を受けているお子さんが多いということ。心理教育と権利教育、これだけは絶対欠かせないと思いますので、一時保護ガイドラインの中のケアの中に特だしして、しっかりと位置づけてほしいと思います。
以上です。
○柏女委員長
では、菅田委員。
○菅田委員
骨子案の9ページに、都道府県の市区町村への支援・取組の4つ目に「母子生活支援施設の活用について」としっかり書いていただきました。これは前なかったですね。その下の(計画策定に当たっての留意点)にも「母子生活支援施設の活用」と入れていただいたし、16ページのと、地域の小規模化・地域分散化、高機能化及び多機能化・機能転換の取組でも、前回私がちょっと書き込みが短いねと話をしていたら、ボリュームアップしていただいて、3行になりました。それから、(評価のための指標例)というところにも、多機能化した母子生活支援施設数と具体例を入れていただきました。そういう形で、母子生活支援施設の活用についてはしっかり書き込まれたと思いますので、この骨子案については私は評価したいと思います。
以上です。
○柏女委員長
竹中委員。
○竹中委員
では簡単に。
先ほど山本委員や江口委員が御説明されていました財政的な支援とか、それから、私どもも、計画を策定するに当たってやはり実効性のあるものをつくりたいと思っておりますので、施設の皆さん、当事者の皆さん、区市町村の皆様のお声を反映したものをつくっていきたいと思っているということになると、やはりスケジュール感的には厳しいということは言わせていただきたいと思います。次回の子子計画の改定等に合わせていくというのも一つと思っています。
そして2点目ですけれども、今回新たに(評価のための指標例)という形で出ていますけれども、この指標例についても、なぜ設定するのか、何のためにするのか、やはり目的等を明らかにして、丁寧な議論を行うことが必要ではないかと思います。
例えば里親の不調率を出すようにと今回書いてありますけれども、その不調になる原因もさまざまであります。ただ、例えばですけれども、県の不調率を並べて、どこが不調が多いとか少ないとかいうような観点から議論するのではなくて、なぜそうなったのかというような視点で活用するならいいですけれども、この指標についても、新たに、なぜ本当に必要で、どう使っていくのかというところを、議論なく、単純にここに書くというのは危険と思っております。
そして3点目、最後ですけれども、一時保護ガイドラインの中ですけれども、先ほど江口委員もおっしゃいましたけれども、一時保護所独自の配置基準が絶対的に必要だと思っております。子どもの状況のケアとか、夜間、それから土日の入所、本当に多い状況です。児童養護施設とはまた違った視点の配置基準というのはぜひつくるべきだと思います。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。では、青木委員、お願いします。
○青木委員
すみません。
全国児童自立支援施設協議会の青木です。
数値目標云々に関しては、これはもう絶対入れるべきだと思います。その理由は、平成10年に児童福祉法が改正されたときに、児童自立支援施設、当時は教護院でしたけれども、学校教育の実施が言われながら、今、約 20年たってもまだ学校教育が実施されてない自治体があります。こうした意味からすると、やはり数値目標を入れるというのは当然かと思います。
自治体で差があっていいことと、あってはいけないことがあろうと思います。子どもの権利ですとか安全・安心の部分については差があってはいけないところだと思いますので、そこは明記するところだと思います。
ただ、そうはいいながらも、ここの議論の中で、やはり実現可能な数値目標やスケジュール、予算など、いろいろあろうかと思います。その意味では、今回の骨子案の中に、15ページの「施設の小規模化」のところに、「児童心理治療施設、児童自立支援施設についても、ケアニーズの非常に高い子ども」云々に続いて、「最終的には関係者と意見交換を十分に重ね」となっています。これは児童心理治療施設と児童自立支援施設だけでなく、ほかの関係施設、また里親さん、児童相談所、自治体など、さまざまな機関もありますので、そのあたりがまだ十分意見を重ねてないのではないかと思っています。そのあたりのスケジュール感も含めてもう一度見直しをお願いしたいと思います。
最後に、先ほど桑原委員からお話があった国の役割として、当事者である社会的養護経験者や専門家、里親等の支援者、都道府県、各方面の人たちとの議論をと言う、7ページのところで、専門家とは、どんな人が専門家で、これは施設の関係は入ってないのか、ということについてですが、私は施設の関係者は入っているのではないかと思います。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。
では、こちらのほうに移りますが、あと10分しか時間がないのですが、多少延長はできるとは思います。そんなに遅くはできないと思いますけれども、10分、15分延長すれば。1人、1~2分ぐらいという感じになるかと思いますが。
○林委員
1つは、数値目標に関して年次的に必要ではないかという立場からすると、特別養子縁組に関しては、32ページの2の2つ目に書きましたように、国のデータによると、300件、児相、210カ所で一児相 1.5という平均、そして、縁組前提とした里親委託が0である児相が4割弱という実態を踏まえて、おおよそのところどれぐらいの数値目標を掲げるべきかというのは、そういうデータをもとに設定できるのではないかというのが1点目と、それから、ビジョンの中で、あくまでも原則論として、里親委託も施設養護も一時的養育であり、有期限化するというところに問題意識を持って、これまでの自立支援計画以外にソーシャルワーク計画、パーマネンシー保障計画を個々の子どもについてつくるということが、ここでは抜け落ちているのかなと思いました。
そのために、入所期間を見える化していく。そして、ビジョンの検討会の中で、臨界期というのがあって、家庭復帰できる年数というのは、おおよそのところ、養護施設では3年だよな、乳児院だったら3カ月だったよなと。それを目安にして、毎年、保護者、できれば子どもを含めて将来的なパーマネンシーですね。永続的な居住場所がどこになるかということをきちっと計画するということの大切さが強調されていたように思います。それが2点目です。
3点目は、17ページのところで、一時保護の子どもの権利擁護という観点から、「児童福祉審議会や子どもの権利擁護に関する第三者機関」という表記がされています。ここは、こういう実践が先行している自治体もあるわけで、そういうところは審議会と別に、子どもの権利擁護、この第三者機関というところが大きいかと思うのですね。やはりここを審議会だけではなくて、施設養護、里親委託も含めて、こういうあたりの先駆的な事例を明記した上で、こういうものも促進していくことが必要ではないかということです。
以上3点。
○柏女委員長
では、平田委員。
○平田委員
先ほど養育の質という話がありましたけれども、家庭的な養育に関して、4人とか6人とか、そこの数値は、私、余りこだわりたくはないなと思っております。子どもを育てていくのに、近所のおじさん、おばさんみたいな人がかかわることが減ってきて、実際に養育が難しくなったという話もありますが、子どもが育っていくときにとてもたくさん大人がかかわっていくことというのはとても大事なことだと思います。そういう意味では、小規模化、小規模化というよりも、今新しく、この27年4月以降に、児童心理治療施設が 10施設ぐらいできておりますけれども、今どき大舎制というところはなくて、やはり中高生が入ってくることを考えれば、個室だったりユニット化だとか、いろいろそれぞれ工夫しながらやっております。それがユニット化であって、もっと小さくならないのは、たくさんの大人がかかわるときに、現状の職員配置ではこれがやはり限界だろうなと。その中でどのように養育をうまくやっていくかというのを考えていくと、ユニット化がやはり精いっぱいのところだったと思っております。
施設に関してどういうイメージを皆さんが持たれているのかよくわからないのですけれども、第三者評価基準というのがことしで6年目になるかと思いますが、毎年毎年、自分たちの日ごろの処遇を振り返っていろんなことを日々検討しながら変えてきているところでございますので、一生懸命頑張ってきた施設と、それから里親さんと、今ある社会資源をどのように上手に使っていくかということが大事ではないかなと思っております。
最後に1点ですが、財政支援、とても気になってはおりますけれども、実は保育士さんは、お金があっても幾ら募集をかけても集まらないという現状があります。待機児童対策で、保育士さんは本当に取り合いの状況ですので、そういう保育士さんもまた育てていかなければいけないというのもあって、これは本当に幅広く裾野を広げて考えていかなければいけない問題だなと思っております。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございます。では、ト蔵委員。
○ト蔵委員
ファミリーホーム協議会のト蔵です。ファミリーホームの立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
家庭養護代替養育については里親とファミリーホーム養育を原則とするということが書かれているわけですけれども、現状、ファミリーホーム、家庭養護の中でおよそ2割の割合を占めていて、それなりの働きをしているのかと考えています。
例えば5ページの一番下のポツとか見ると、「家庭養育優先原則を実現するためには、里親を増やすことが必要」と書かれているわけですけれども、前回のこの委員会でも申し上げたことですが、やはりファミリーホームの拡充ということもぜひしっかりと書き込んでいただきたいなと思います。
里親と同じように、ファミリーホームも高齢化ということが1つ大きな課題となっていて、これからの10年の計画を立てていく中で、恐らく少なくない数のファミリーホームがやめていくところも出てくるのではないかと思います。そういう意味では、ある種の危機感を持ってファミリーホームの拡充ということをしていかなくてはいけないというところで、里親型をベースとして考えていくならば、経験を積んだ里親からのファミリーホームへの移行支援とか、そういったことをフォスタリング機関等もやっていかなくてはいけないということで、里親をふやすということだけではなくて、ファミリーホームをふやす、拡充していく必要があるということを書いていただきたいなということが1つ。
それと、ちょっと細かなことになりますけれども、例えば13ページを見ると、前のページから、「里親やファミリーホームへの委託児童数の見込み」の続きで、13ページの上から2行目のところで、「新たな確保が必要な里親数等を算出する」ということで、ファミリーホームはその「等」の中に含まれてしまいがちなのですけれども、こういったところも、里親数、ファミリーホーム数ということで言葉として入れていただきたいなということ。
そして、13ページの(評価のための指標例)というところでも、新規里親登録数の段の次に、ファミリーホーム数、新規のファミリーホーム設置数、またファミリーホームの委託児童数というところも挙げていく必要があるのではないかと思っております。
以上です。
○柏女委員長
では、増田委員。
○増田委員
伊奈町の増田と申します。よろしくお願いいたします。2点ほど。
先ほど三代川委員のほうから言っていただいたのですけれども、市町村の作業時間の確保について、ぜひ要望させていただきたいと思います。特に町村といたしましては、限られた職員でさまざまな業務を兼務しながらやっているという現状がございますので、ぜひ作業時間の確保につきましては御配慮いただければと思います。
もう一点、町村の立場からいたしますと、地域差、温度差というのはかなりあるのではないかと思いますので、目的達成のためにも、ぜひ計画策定に当たりましては丁寧な御説明をしていただければと思います。
以上2点でございます。
○柏女委員長
では、松本委員、手短にお願いします。
○松本委員
はい、手短に。
まず1点目。先ほど橋本委員のほうから、他制度とのリンク及び教育関係者を含むほかの子どもにかかわるような人たちへのということも含んだと思いますけれども、関連制度と計画の周知と理解の促進ということがありました。大変重要な点だと思います。その点は、やはり都道府県、自治体レベルでやっていかないとまずいと思いますので、どこかに書き込むということがまず提案です。賛同したいと思います。それが1点目です。
2点目は、この骨子案というか、見直し要領の当事者参加のところで、先ほど申し上げましたけれども、当事者参加するときのアドボケイト機能、あるいはその後見を含めて適切な配慮をとるということをちょっと明確に書くということが、これを促進するために大事なことかと思います。これは2点目です。
3点目ですけれども、養育の質ということについて議論が不足しているのではないかという御指摘がありました。その点については同感いたします。そのときに、この書き方のところで、高機能化及び多機能化として、高機能化と多機能化を並べているのですね。これはかなり違うことだろうと思いますので、ここは内容の書き方のところで、高機能化と言うときには何を目指すのか、多機能化と言うときにはどういうことを目指すのかというのを少し分けた形で整理していくことが今後の議論のためにも重要かと思います。これが3点目です。
4点目は指標のことについてですけれども、指標の意味ということをきちっと議論して理解しないと、これはひとり歩きするとまずいという御指摘があって、そのとおりであります。そのときに、私、先ほど申し上げたように、全国で統一的な指標でモニタリングできるということが大事かと思いますし、その上で、都道府県での何か上乗せのということがあるというとき、もうちょっと丁寧な議論をするような機会を持っていただくということが肝要かと思います。指標というのは大変大事なものだという立場からの発言であります。
5点目ですけれども、これは最後です。自立支援のところで、実はビジョンのところに、ガイドラインをつくるというようなことも含めて、ワーキンググループをつくって議論を継続するということが最後の工程のところに書かれております。それと含めて何か指標ということも策定しなければいけないだろうというときに、先ほど平井委員、あるいは中村委員からも御発言があったことの補強でございますけれども、この点については、これまでの都道府県計画になかったことを入れていくということでありますので、きちっと根づくためにも、都道府県で示すような自立支援のガイドラインが必要かと思います。それを策定するような議論の場というのを立ち上げていく、あるいは継続していくということを強く要望したいと思います。
以上であります。
○柏女委員長
ありがとうございました。丁寧な書きぶりを目指していくということと、やはり指標は一度動き出してしまうと、それをまた変えたりすると時系列ができなくなってしまうということで、最初しっかりということはそのとおりだと思います。ありがとうございました。
では、宮島委員、手短にお願いします。
○宮島委員
はい、手短に4点お願いしたいと思います。
国としてきちんと高い目標を維持した上で、都道府県には責任ある、きちんと本気の目標を出していただくようにお願いしたいと思います。これが1点目です。
次は一時保護のことですけれども、竹中委員、江口委員と重なりますけれども、自由な、緩やかな、子どもたちにとって家庭的な一時保護をするためには、10名ぐらいの規模で、しかも子ども2人か1人に1人ぐらいの職員が常時ついているようでないとやはり実現できない。これをちゃんと整備していくということをぜひともお願いしたいと思います。一時保護は代替的監護であると私も考えますので、それをぜひとも踏まえた上で出せるようにと。
あと3つ目ですけれども、これも一時保護についてですが、乳児の一時保護のことがどうもこのガイドラインだと余り見えていない。赤ちゃんにとって、一旦家庭から離れていくことは本当にずうっと離れっぱなしになる可能性がありますね。安全のために早く保護しなければいけない。でも、それは決定的な影響を及ぼすのだと。乳児院は、今、入所よりも、場合によっては一時保護のほうが実際に入る子が多かったりしますので、この辺のところが十分考慮されたものと今後していかなければいけないのではないかと思っています。
最後ですけれども、今回求めるのは数値計画で都道府県に求めるものですけれども、やはり市町村がきちんとした相談支援ができるようにするためには、法定計画である子ども子育て支援計画のほうにきちんとした社会的養護、社会的養育、これを踏まえたものとして充実したものを出していただく。今回のこの計画だけにとらわれるのではなくて、そちらの方向性をちゃんと求めていきたいと思います。
以上です。
○柏女委員長
では、森下委員ですね。
○森下委員
すみません。4点ほどあります。
1つは数値目標の里親委託率のことですけれども、委託率の計算の基礎の中に、一時保護の数とか特別養子縁組に移行した数が入っていないと思います。これは世界的に見てどのような計算の仕方をしているかというのが、私、わからないのですけれども、乳児院の現状を考えると、今、宮島委員がおっしゃったように、一時保護で入所してくる数が措置を超えているという状況です。その施設入所の期間をできるだけ短期にして養育していくということを考えると、一時保護の数もやはりその委託率の中に入れるべきではないか。入れると委託率が下がってしまうということがあると思います。里親さんにも一時保護しているということがありますので、その辺も検討していただいたらどうかなと思います。
それからあと、このビジョンは、まだまだこういう社会的養護を必要とする子どもがふえていくということを前提にされていると思います。委託率をまず下げようとしたら、施設の定員を少なくすれば一番簡単に下げられるということがあると思います。そのような形で都道府県が走ると、これ以上施設養育ができない。今、都市部はまだ乳児院ができているという状況があるのですけれども、和歌山県などは、過疎の県であり入所児も少なくなってきていますし一時保護も少なくなってきているというような状況で、大都市と地方とは少し状況が違うというところも踏まえていただきたいと思っています。
それから、乳児院の多機能化のプロジェクトチームがあるのですけれども、乳児院は、今現在、里親支援をしたり、いろんなことをやっています。だから、その機能を強化していくと乳児院では捉えています。それともう一点は、乳児院で高度なケアを必要とする子どもが入所するという話があるのですけれども、そういう子どもにとっては、できたら里親さんのところで濃密なケアを受けるというのがいいのではないかと思います。それを適切にできる里親さんの質を担保しなければいけないというのはあると思うのですけれども、その辺が少し気になっております。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。では、吉田委員、最後にお願いします。
○吉田委員
スピード化をしていただきたい。それは、事務処理は、大変だとは思いますが、今生きている子どもたちを一人でも早く救ってもらいたい。そのためには、大人が一生懸命頑張るしかないと思っています。そして、里親支援を児童養護施設にお願いしたい。ぜひ児童養護施設の専門性のある方に、里親さん1人につき児童養護施設から1人ついていただくぐらい、そのぐらい風通しよくしていただけると、子どもたちの幸せのためには最もそれがいいのではないかと思っています。そして、実親さんのところに帰られるお子さんはぜひとも早く帰してあげたい。それがだめなときに里親が出てくるわけですから、養子縁組あり、里親ありですから、その順番を間違えずに頑張っていきたいと思っておりますので、ぜひここにいる皆様方の御支援もお願いしたいと思います。
すみません。以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。
時間を8分過ぎてしまいました。皆様方からたくさんのさまざまな御意見も頂戴いたしましたが、今回出していただいた骨子案は、事務局のほうで我々委員の意見を最大限生かしながら、いわば2つの谷の間の狭い尾根を歩くような形でつくっていただきました。
なお、きょうの意見の中でも一致しない部分はあったかと思います。しかし、大部分については、方向性はみんな同じくして、そして心を一つにして、この社会的養護の問題について、改革について進めていける素地はできたのではないだろうかと思っております。率直な御意見を賜りましたことを心より感謝申し上げたいと思っています。
今後についてですけれども、厚労省のほうでこの骨子案を今後固めていくという形になるとは思いますけれども、たくさん出た御意見の扱い等について、事務局のほうから、どのように考えていらっしゃるのか説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○成松家庭福祉課長
昨年10月から4回にわたり、児童福祉法改正、あるいは「新しい社会的養育ビジョン」をどう受けとめて進めていくか、特に都道府県推進計画の見直し要領(骨子案)を中心に、これまで4回御議論いただいておりました。まことにありがとうございました。
先ほど委員長がおっしゃったように、家庭養育を進めるという大きな方向性については、皆さん思いを一つにしていただいているところでございますが、一方で、里親委託率など数値目標とか、あるいは期限の関係については委員の皆さんの意見の一致を見ていない部分というのもあったと思います。この専門委員会での議論、ある程度、今まで4回の間で出ていると考えますので、専門委員会でこの骨子案について意見をいただく機会は本日で一区切りとさせていただきたいと思います。
子ども家庭局といたしましては、この平成28年改正法に掲げられました、子どもが権利の主体であること、あるいは家庭養育優先の理念、あるいはビジョンで示された基本的な考え方を実現していくことが極めて重要と考えています。都道府県計画についても、都道府県を初めとする関係者がそれぞれの地域としっかり連携しつつ、着実かつスピード感を持って取り組むための計画が策定されることを目指して、委員の皆さんの意見を踏まえつつ、子ども家庭局として知恵を絞りながら、今回、前回と見直し要領の骨子案を提示してきたと思います。
本日いただいた意見も踏まえつつ、今後、子ども家庭局において関係者の皆さんと調整しながら、また、先ほど来出ております多機能化の関係、あるいはフォスタリングの関係のガイドライン、これから議論を煮詰めてまいりますので、それを含めた形で都道府県計画の見直し要領の作業を進めていきたいと思っているところでございます。
以上でございます。
○柏女委員長
ありがとうございました。では、今後、この専門委員会のスケジュールというのはどのようになりますでしょうか。
○成松家庭福祉課長
いずれにいたしましても、まだ関係者との意見調整というのを進めさせていただきたいと思っていますので、年度末の、先ほど申し上げた多機能化の手引、あるいはフォスタリングの関係もございますので、そこら辺、我々のほうでしっかりと検討させていただいて、この専門委員会にどうするかというところをまた検討させていただければと思います。
○柏女委員長
わかりました。以上の方針で進めていきたいということで、一度議論も子ども家庭局のほうで引き取るという形になるかと思います。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、次回等のことについて、今、ちょっと年度末というようなお話もありましたけれども、事務局から連絡事項があればお願いしたいと思います。
○成松家庭福祉課長
次回につきましても、先ほど申し上げたとおり、少し調整状況、あるいは作成状況を踏まえて、また皆さんのほうにお知らせしたいと思っております。
以上でございます。
○柏女委員長
それでは、きょうの「社会的養育専門委員会」を終了とさせていただきたいと思います。熱心な御議論、ありがとうございました。
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