ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会)> 第25回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(2017年11月8日)
2017年11月8日 第25回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会
○日時
平成29年11月8日(水)10:00~12:00
○場所
労働委員会会館 講堂
○議事
○田中難病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「第25回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」を開会いたします。なお、井田委員、小幡委員、尾花委員、坂上委員、春名委員より本日所用により御欠席の旨、御連絡をいただいております。また、石川委員、益子委員におかれましては、少し遅れての御参加となる御連絡をいただいておりますので御報告をさせていただきます。参考人といたしまして、前回に引き続き、埼玉医科大学小児科教授で、日本小児科学会小児慢性疾病委員会の大竹明先生に御出席をいただいております。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項をお守りいただきますよう、お願い申し上げます。
それでは、議事に移ります。以降の議事進行につきましては、五十嵐委員長にお願いいたします。
○五十嵐委員長 皆さん、おはようございます。早速、議事に入ります。まず、お手元に配られております資料につきまして、事務局から御確認をお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 お手元の資料ですが、1枚目に「議事次第」、2枚目に「委員名簿」、3枚目に「座席表」がございます。続いて本体資料として、資料1-1、「前回(第24回)委員会の議論の整理」、資料1-2、「小児慢性特定疾病(平成30年度実施分)として検討を行う疾病(疾患群別一覧)」。資料2として、「疾患群の追加と重症患者認定基準について」、続きまして、資料3-1、「児童福祉法第6条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める小児慢性特定疾病及び同条第2項の規定に基づき当該小児慢性特定疾病ごとに厚生労働大臣が定める疾病の状態の程度の修正案のポイント」、資料3-2、「児童福祉法第6条の2第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める小児慢性特定疾病及び同条第2項の規定に基づき当該小児慢性特定疾病ごとに厚生労働大臣が定める疾病の状態の程度(平成26年厚生労働省告示第475号)の修正案」となっております。また、参考資料といたしまして、参考資料1、「『超低出生体重児』に関する指摘事項についての整理」、参考資料2、「『痙攣重積型(二相性)脳症』の診断の手引き(案)」、参考資料3、「『若年性ポリポーシス』の診断の手引き(案)」、参考資料4、「厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業『間脳下垂体機能障害における診療ガイドライン作成に関する研究』研究班作成の成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引き」、参考資料5、「小児慢性特定疾病の選定に関する検討の進め方について」。以上の資料を準備させていただいております。資料の欠落等ございましたら、事務局までお申し出ください。
○五十嵐委員長 ありがとうございます。皆さん、資料につきましてはよろしいでしょうか。では、議事に入ります。議題1といたしまして、前回に引き続き疾病ごとの個別の検討をしたいと思います。前回の委員会の議論の整理について、事務局から説明をお願いいたします。
○遠藤難病対策課長補佐 資料1-1、1-2、参考資料2、3を用いて御説明させていただきます。まず、資料1-1を御覧ください。前回(第24回)委員会の議論の整理です。1つ目、前回の委員会では、研究班や関係学会から情報提供のあった36疾病について、小児慢性特定疾病の要件に該当するかどうか個別に検討を行いました。2つ目、その結果、資料1-2の1~35の35疾病について、本委員会として小児慢性特定疾病の要件を満たすと判断することが妥当と考えるものとされました。3つ目、資料1-2の36、「超低出生体重児」については、支援の必要性は認められるものの、疾病の特性に着目して指定を行う小児慢性特定疾病の制度趣旨に馴染むものか慎重に検討するべきではないか、他制度も含めて、現在どのような支援が行われているのか整理した上で、再検討してはどうかという御意見がございました。これについては、後ほど説明させていただきます。
4つ目、その他、主な指摘事項になります。1です。診断について遺伝子検査が必要かという御指摘がありました。これに関しましては、小児慢性特定疾病の診断の手引きについて、これまで遺伝子検査を必須としなくとも診断ができるよう、研究班や学会に依頼して各疾病の診断の手引きを作成してきておりました。今回要望のあった36疾病についても、研究班や学会に確認したところ、全ての疾病について、遺伝子検査を必須としなくても診断ができるように、診断の手引きを作成することができるとの回答を頂いております。また、遺伝子検査については、適宜注釈等で保険収載の有無などの情報は記載させていただこうと思っております。
指摘事項の2、「痙攣重積型(二相性)脳症」は、外傷や軽症患者まで対象とならないよう、区別が可能かという御指摘がありました。これは、診断の手引き(案)、参考資料2を御参照ください。御覧いただきますと、研究班から提出いただきました、「痙攣重積型(二相性)脳症」の診断の手引き(案)があります。診断方法について、➀➁、双方を満たし、さらに➂➃➄のいずれかを満たす場合を対象とするとなっております。➀は小児で、感染症の有熱期に発症する。頭部外傷など他の誘因に基づくもの及び脳炎は除外するとなっております。➁は発熱当日又は翌日に痙攣(early seizure、多くは痙攣重積)で発症。それから➂➃➄のいずれかを満たすというものですので、外傷や他の軽症の脳炎などは除外されるのではないと思います。
資料1-1、その他、指摘事項の3、「若年性ポリポーシス」は他の疾病の患者まで対象とならないよう、区別が可能かといった御指摘を頂いておりました。これも参考資料3になりますが、診断の手引き(案)を研究班、学会から頂いております。参考資料3を御覧いただきますと、「若年性ポリポーシス」の診断の手引き(案)があります。Aのうち1項目以上、かつ、Bの組織学的所見を全て満たしCの鑑別すべき疾患を除外したもの、という診断の手引き(案)を頂いております。また、参考所見として、必須ではありませんが遺伝子検査の情報も載っております。この中でAの主要所見の1項目以上ということですが、大腸に5個以上、又は全消化管(2臓器以上)に複数の若年性ポリープが認められ、家族歴が認められる。又は胃に10個以上という診断の手引き(案)ですので、ほかの疾患と区別が可能ではないかと考えております。
資料1-1、その他指摘事項の4、「VATER症候群」の疾病の状態の程度に「排尿、排便障害」を追加してはどうかと御指摘がありました。このことに関しまして、小児科学会にも確認の上、追加するのが妥当ということで、追加しております。資料1-2の18ページになりますが、修正した箇所が赤字で下線が引いてあります。
資料1-1、指摘事項5、大分類「脈管奇形」の疾病の状態の程度が「頻回に治療が必要な場合」となっておりましたが、「頻回」は表現が曖昧であり不明確ではないかと御指摘を頂いておりました。こちらも小児科学会に確認の上、「疾病による症状がある場合、又は治療が必要な場合」に統一するのが妥当ではないかという御意見を頂いております。資料1-2の中では、33~35ページで修正しております。
また、最後の※の所ですが、委員会では指摘がありませんでしたが、前回の委員会から今回の委員会の間に小児科学会から修正意見を頂いております。資料1-2の22番、「ファイファー症候群」と23の「メビウス症候群」、それぞれ23、24ページになりますが、痙攣を発症するので、疾病の状態の程度に染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群の基準の(ア)、「症状として、痙攣発作、意識障害、体温調節異常、骨折又は脱臼のうち1つ以上続く場合であること」を追加したほうがいいのではないかとの御意見を頂いております。これに関しましては、資料1-2の中でも修正して提案させていただいております。事務局からの説明は、以上になります。
○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。前回の委員会の総意では、今御説明いただきましたように、1~35までの疾患については、小児慢性特定疾病として追加するのが妥当であるという御意見を頂いていたものと思います。それで、36の「超低出生体重児」につきましては、後ほど議論をすることにいたしたいと思います。ということで、1~35までの疾患につきまして、修正案が今、出ているわけですが、皆さんの御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。特に御質問、あるいは追加の御意見等ございますか。よろしいですか。そうしますと、修正された、この1~35までにつきましては、小児慢性特定疾病の要件を満たしていると御判断いただけますでしょうか。よろしいですか。
(異議なし)
○五十嵐委員長 では、異議なしということですので、35までは要件を満たしているものと、この委員会の総意として決めたいと思います。ありがとうございます。それでは、これらの疾患は追加することになりますので、必要な手続をこれから進めていただきたいと考えております。
次に、前回問題になりました36番目の「低出生体重児」について宿題が出ておりましたので、これについて事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○遠藤難病対策課長補佐 参考資料1を御覧ください。参考資料1、1ページ目は、「『超低出生体重児』に関する指摘事項についての整理」ということで、事務局でまとめさせていただいております。2、3ページ目は「超低出生体重児の状況について」ということで、前回指摘がありましたことを日本小児科学会・日本新生児成育医学会のほうから意見ということで頂いております。この意見を基に、1ページ目で事務局で整理させていただいております。
それでは、1ページで説明させていただきます。「超低出生体重児」に関する指摘事項についての整理になります。1、指摘事項ですが、先ほどの繰返しになりますが、支援の必要性は認められるものの、疾病の特性に着目して指定を行う小児慢性特定疾病の制度趣旨に馴染むものか慎重に検討するべきではないか。他制度も含めて、現在どのような支援が行われているのか整理した上で、再検討してはどうかということでした。
2、3ページで、学会のほうで調べていただいた意見をまとめますと、2番のようになるかと思います。「超低出生体重児」に合併する病態、疾病になります。「超低出生体重児」は以下のような複数の臓器にわたる疾病や障害の合併が見られ、患者によって症状の程度は異なるものの、それぞれに対して医療や支援が必要となる場合があるということになるかと思います。具体的には、この下にあります➀~➇まで、腎機能不全や喘息、慢性肺疾患、心筋梗塞、糖尿病、肝芽腫、脳性麻痺、発達障害、視力障害、こういったものの複数の合併が、患者によって程度は異なるものの、見られるかと思います。
3に移ります。それぞれの医療費助成の支援の状況をまとめさせていただきました。➀~➄までは、各疾病は小児慢性特定疾病に既に指定されており、各疾病において定められている疾病の状態の程度を満たせば、現在医療費が助成されております。また、➅~➇に関しましては、これまで小児慢性特定疾病の制度では、一部の神経・筋疾患で合併する場合を除き、これらの障害に対しては医療費の助成対象にはしておりませんでした。ただ、一方、障害の状態を軽減するための手術等の治療により確実な治療の効果を期待できる者に対しては、障害者総合支援法に基づく自立支援医療により医療費の一部が助成されております。また、超低出生体重児の全体の患者の1割は身体障害者手帳1級又は2級に認定されているということであります。したがいまして、➀~➇までは、何らかの支援がされているということになります。
続きまして、4に移ります。ただ、2に掲げる病態のほかに、組織の発育不全や低形成を原因とした潜在的な複数臓器障害の可能性も指摘されておりますが、「超低出生体重児」の中で、現在上記の支援がされていない児童のうち、どのくらいの児童が、現在小児慢性特定疾病の対象となる状態かどうか。それらの患者数などは、現状では把握できていないということであります。事務局からは以上です。
○五十嵐委員長 参考資料1の1ページの説明を頂きました。その2ページから3ページにかけては、小児科学会と日本新生児成育医学会合同の御説明の文章もありますが、これを全部御覧いただきながら、ただいま説明のありました36番目の超低出生体重児についての今後の取扱いについて、皆様の御意見を頂きたいと思います。
○小林委員 小林です。超低出生体重児の議論なのですけれども、これ1つに限らないで全体を俯瞰した場合に、前回も何度か話が出ましたけれども、小慢の制度は福祉的な制度であるという性格があります。これは前のときにも、例えばダウン症でも心臓病やがんを併発していないと、小慢の対象にはならないというようなことでした。それが対象になったいきさつの1つには、お母さんたち、患者さんたちから、これは昔からよく聞いていたのですけれども、こんなに私たちは大変な病気なのに、全然いろいろな支援の仕組みの対象の中に入っていないのだという話をよく耳にしていました。
制度の趣旨などを考えると、当時は児童家庭局の母子保健課で、そういうお母さんや子どもさんたちの日々の暮らしに近づけるような制度で、小慢の制度はずっと来たわけです。そういう意味では、もし仮にここに1番から5番が医療費の対象になっているとか、医療費がいろいろな形で障害者の対象になっているかというようなことなのです。医療費がかからないのであれば、別にこの中に入れたって大きな問題はないわけです。趣旨は、今までの指定難病などとは、小慢はかなり性格が違うわけです。そうした小慢の制度の持っている趣旨などもよく理解していただいて、これから先将来にこの制度をつないでいっていただきたいという感じがします。
早い話が、スパスパスパと学問的に、医学的に切り分けていくのではなくて、そういう患者さんたちや子どもさんたちやお母さんたちを支えられるような、気持ちの面でも支えられるような、そんな制度であったらいいと思っています。一言意見を申し上げました。
○五十嵐委員長 ありがとうございます。以前のダウン症の例を挙げられて、それと似たような意味合いがあるのではないかということで、できれば認めていただきたいという御趣旨ですね。
○小林委員 そうです。個人的にはそう思いますけれども、しかし今回はこういう形で、皆さんの御意見として挙がっているのであれば、それはそれで。
○五十嵐委員長 ありがとうございます、他にいかがでしょうか。
○賀藤委員 成育の賀藤です。小林委員の御発言の内容はしごくごもっともだと思います。ただ、ダウン症候群の形で、合併症はいろいろ出ますけれども、その他に親御さんが悩んでいるのは育て方とか、日常の細々なことも大変重要なことだと思います。大きくなったら大きくなったで、またいろいろな問題が出てきます。それは、また別制度で何か補助してあげないと、多分小慢だけではやっていけないだろうと思います。今の議論は、小慢はどうあるべきかというところまでいってしまって、大きくなってしまうだろうと思うのです。
参考資料1の身体的課題で、例えば、ここで出ている喘息の発症率が3倍になるというようなことまで議論の内容に含めてしまうと、つい最近うちから出た論文で、ウテメリンを使えば喘息の危険が数倍になってしまいます。そういうことも出始めましたので、こういう議論でいってしまうと、どこまで広げていくのですかということになってしまう。私自身はそのように思っています。小林委員の御発言は、小慢とは別制度を作れるかどうか分かりませんけれども、別の助成、ヘルプ、制度が必要なのかと私自身は思っています。
医学的に医療費がどのぐらいかかるか。話はちょっとずれるのですけれども、今後はどんどん高額な薬が出てくる可能性が高い。そうすると、医療費助成が本当にこのまま持つのですかということまで含めていかないと、多分小慢は破綻してしまう可能性もあるというぐらいの危機感を私は感じています。私自身は、今回の超低出生体重児の問題は置いておいて、もう一回きちんと考え直していかないと、将来小慢は持つのかというぐらいのことまで考えています。ここは、立ち止まって考えたほうがいいかなと私自身は思っています。あやふやですみません。
○五十嵐委員長 ありがとうございます。その他の御意見はいかがでしょうか。
○岡委員 東大の岡です。先ほど小林委員が言われたように、この制度は福祉的な要素があるというのは、私もそのとおりだと思っています。この制度の立ち上がりのところでは、そういうことでスタートしたというところはとても大事だと思っています。
一方で今回の提案に関しては、十分練れていないという感じは否めないかと思っています。私も、超低出生体重児で生まれたお子さんを診療しています。私の立場で言うと、そのお子さんの持っている発達障害とか、そういう側面を見ながらトータルにも、腎臓がどうかとか、そういうことも併せて診療させていただいています。それで、自立支援のほうの支援を受けていると。そういう意味で言うと、ある程度現時点で、いろいろな形での支援が入っていて、資料の整理の最後の所に書いてあるように、現在、小児慢性特定疾患の対象となる状態で、今回は確か2つの条件がある方ということでの御提案だったと思います。
そういう方でカバーされていない方がどのぐらいいるのかは、私も分からないなと正直思います。その辺りは調査研究的なものでもしていただくと、よりどういう点でのニーズがあって、皆さんにしてあげるといいのかということがもっと明らかになるかと思います。現場にいても、まだそこのところが頭の中で、最もこういう方にしてあげたらいい支援というのが、私たちにも見えていない部分があるのではないかという気がしております。
○五十嵐委員長 ありがとうございます。他にはいかがでしょうか。
○笹井委員 東京都の笹井です。この制度の本来あるべき姿を明確にする必要はあるかと思います。それは議論に少し時間がかかることなのかと思うので、そのことは置いておいて、仮に超低出生体重児を対象とするのであれば、今回病態や疾病について整理していただきましたけれども、対象とする助成の範囲をかなり明確にしておく必要があるだろうと思います。
1点確認させていただきたいのですが、最近は医療的ケアが必要な児童への支援ということを進めております。低出生体重児で人工呼吸器を付けたお子さんが在宅で生活をすることも進んでいます。長期入院を避けるために、それを推進している状況です。そういう場合の在宅での訪問診療とか、訪問看護、場合によってはショートステイとか、そういうものも仮に超低出生体重児を対象にすると、助成されるのかどうかを教えてください。
仮にこの小慢の制度で救えるのであれば、超低出生体重児の方が在宅で生活していくことを推進する1つの手段となるので、そういうことを含めると、将来的に議論をしっかり進める必要があると思います。
○遠藤難病対策課長補佐 小児慢性特定疾病の医療費助成の範囲は、現在は保険診療で行っている範囲の医療に限っておりますので、在宅の医療などもその範囲に入っていれば助成の対象になるかと思います。
○五十嵐委員長 ありがとうございます。その他にはいかがですか。
○石川委員 日本医師会の石川です。私はこの会議を8年間やらせていただいています。前から私が言っていることは、基本的にはこういうお子さんの家庭の生活支援をどうするのかという観点なのです。今は保険だということが大原則で、保険の範囲での支援なのです。要するに入院の食事の自己負担の話のときに、私は猛烈に反対して、こんなのは無料だと、絶対にそれでなければ支援にならないということで主張しましたけれども、残念ながら安い負担だということで、自己負担になってしまいました。
今回は、この間私が言いましたように、小慢が研究の扱いのところから大きく変わってきたのだと思うのです。何人かの方が言いましたように、福祉の関係だとか、生活支援の関係も少し入ってくるようになった。特に今回は筋ジスが、その他の筋ジストロフィーというような形でかなり範囲が広げられたというのは素晴らしいことだと思います。それと同時に、これは私が前から言っているように、ダウン症のお子さんの発達障害についてはなかなか該当しないのです。該当しないのですけれども、支援すれば、この子たちの自立支援については大きな進歩になるだろうということを前から言っています。
今回も低出生体重児の発達障害についてのところはすごく難しくて、発達障害の診断そのものも難しいし、どこまで我々が支援をしたらいいのかというのも大変難しい問題です。これは大きな課題になるのではないかと思っています。ただ、いずれにしても子育てのところとか、生活支援のところ、福祉の問題というところも大きく傾いてきていることは現実ですので、そういう形で広げていくことは大事かと思っています。そういう点で低出生体重児も、これだけ項目がある大変困難なお子さんであるならば、そこはいいかなと。ただ、その発達障害についてはもう少しきちんとしないと、発達障害の子どもというのは他にもいっぱいありますので、なかなか難しいと思います。
○五十嵐委員長 ありがとうございます。その他にはいかがでしょうか。日本は新生児医療が世界で最も均てん化という点も含めてですけれども、進んでいる国ではないかと思います。そして、世界的には24週までのお子さんを救命するのが1つの基準なのですけれども、日本は場合によっては22週まで踏み込んで、それだけ技術もあるということで新生児医療の専門の人たちが頑張っています。
その結果として、非常に救命率も良くはなっているわけですけれども、どうしても超低出生体重児のお子さんというのは、いろいろな障害が残ることも事実です。そして、その数も余り減らないのです。いろいろ技術が向上しても、患者さんは一定の程度で出てくるということで、現在は7,000人ぐらいの子どもがいるのではないかと推定されています。まだ実態が分からないという面があると思います。そういう意味で、特に超低出生体重児で生まれたお子さんたちが、今どのぐらいいて、そしてどのような医療的ケアも含めたニーズがあるのかということを、もう少し我々医療従事者も知らなければいけないのですけれども、残念ながら、まだそういうものは全貌が明らかになっているとは言えないのではないかと思います。
そういう状況の中で、今回は36番目の超低出生体重児を小児慢性特定疾病とすべきかどうかということの議論を、今までしてきました。なかなか、即認めるという御意見ばかりではないという印象を持っていますが、いかがでしょうか。そういうことになると、この委員会で即認めてしまうというのではなくて、もう少し情報をこれから、特に厚生労働省にお願いして、研究班などを立ち上げていただいて、超低出生体重児の現状と予後とか、そういうことも明らかにしてから、もう一度ここで議論をするという考え方もあるのではないかと思いますが、それでよろしいでしょうか。それでは、36番の超低出生体重児については、現時点で必要性は十分理解しているわけですけれども、今回対象疾患とすることはちょっと控えさせていただく。その代わり研究班や学会等で、現状を明らかにするような努力をしていただきたいという付帯事項を付けさせていただいて、次回の検討のときまでに、もしそういうデータが出てくれば、もう一度検討するという方向でよろしいでしょうか。
○大竹参考人 参考人の、埼玉医大の大竹です。五十嵐先生がおっしゃったように、データ不足ということが全てだと思います。日本は超低出生体重児の生まれる率はすごく高いので、すごく質の高い超コホート研究ができると思いますので、そのデータ整備に頑張らせていただきたいと思います。
1つ質問なのですけれども、前回も超低出生体重児に基づく何とか症候群とか、そういう臓器別に切り分けたほうがいいのではないかという御指摘もあったと思うのです。そういう方法にするのか、あるいは超低出生体重児全体として議論を進めていいのか、その辺のアドバイスを頂けたらと思います。
○石川委員 日本医師会の石川です。参考資料1のかなりデータ不足のものとしては、まず超低出生体重児の全体像、それから未来予測がどのようになっているのかということ。そうすると、この支援の必要性というのはもう少し浮き彫りになってくると思います。もちろん腎機能不全がどのぐらいの確率で起こって、それがどのぐらいの重症度なのかという一つ一つのデータも欲しいと思います。
私は、不妊治療の今後の動向とこの関係というのはすごくあると思うのです。その辺の推測というのはかなり大きな視野で、厚生労働省辺りがきちんと調査分析してもらわないと難しい話かと思うのです。そういう全体像もはっきりする必要があると思うし、個別の統計もお願いしたいと思います。
さらにこれは事務局にお願いなのですけれども、発達障害について、私も先ほど言いましたように、他の病気にもかかわるので、発達障害についてはどういう分類が必要なのかといった研究についても次回までにお願いしたいと思います。
○五十嵐委員長 よろしいですか。
○遠藤難病対策課長補佐 はい。
○五十嵐委員長 他にはいかがですか。
○小林委員 専門家でない人間が口出すことではないかもしれませんけれども、私が何人かそういうお子さんに出会ったときに、大抵問題が出てくるのはNICUに入っていて、そこから出てこられなくなってしまうのです。しかし、その病院は長くNICUに置いておかないために、そこの転院先をどうするかとか、在宅の移行にどうするかとか、こういうところでとても困難が生じているのを幾つも目にしています。そんな実態も分かるといいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○石川委員 先ほど在宅医療の話がありました。私の病院も在宅医療で少し地域に踏み出そうとしています。これは、いずれにしても私は30何年前から東京の築地産院のNICUで、そのときには500gの子どもを診ていました。その子たちが大きくなると、病院の子どもになってしまうのです。病院の子どもという表現は正しくないのですけれども、お母さんにも余り愛着がなくて、お母さん自身も愛着がない。そういうお子さんがいっぱい成育医療センターにもいらっしゃるでしょうし、どこのこども病院にもいっぱいいる。
在宅に早く帰したほうがいいのだけれども、その在宅への支援というのは極めて難しいと言いますか、誰がその在宅医療を担うのか、そういう専門のヘルパーさんみたいな生活支援をしてくれる人がいるのかとか、なかなか難しい問題があります。こういうことも整備していくのが、この難病の特定疾患の役割が少しあるのかなという感じが、先ほどの委員のお話の中でそういう感じがしました。それも、是非また検討していただきたいと思います。
○及川委員 及川です。今、委員の方々からおっしゃっていただいたように、次回までという意味では非常に難しいかと思うのですけれども、やはり臓器別というだけではなくて、生活困窮の状況からきちんとニーズを調査していただきたいと思います。確かに疾患もそれぞれ大事だと思うのですけれども、やはり小慢の趣旨から考えると、どういうところに御家族の方が困っているのかという側面からきちんとデータを出していただくことが必要かと思いますので、今後その点もよろしくお願いいたします。
○五十嵐委員長 これを調査するとなると、何年もかかるのではないかと思いますので、次回までに全てデータを出すことはできないと思います。ただ、そういうことが必要だということは、この委員会でも、皆さんの御意見は一致しているのではないかと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。その他にはいかがですか。
○安達委員 安達と申します。素人で分からないのですけれども、いわゆる最先端を行っているわけです。その子どもたちの追跡調査のデータが不足しているということです。なぜそのデータが不足しているのか何が阻害してデータが不足しているのか、教えていただけますか。
○五十嵐委員長 大竹先生、これはデータベースがないですよね。
○大竹参考人 ないです。
○五十嵐委員長 まずデータベースそのものがない。データベースを作るには労力と、維持するためにはお金も必要です。そういうものをしっかりやっていくことが、今までは残念ながら出来ていなかったというのが根本にあるのではないかと思います。
○大竹参考人 五十嵐先生のお声がけで、小児科の病気全体の患者レジストリーをしましょうというのを2年ぐらい前に始めたところなので、超低出生体重児に関しては、まだ患者登録制度すらできていないという状況だと思います。
○五十嵐委員長 厚生労働省が昨年の事業で、ちょうど小児科学会と産婦人科学会を対象に、疾患データベースの立ち上げの支援をされました。小児科学会の場合は小児の各サブスペの学会と、それから小児の外科系の学会に対して、データベースを作ることを依頼しました。かなりの数の疾患データベースが新しく立ち上がりましたが、残念ながらまだ完璧ではありません。
それでは次の議題に入ります。議題2として、「疾患群の追加の検討について」、事務局から説明をお願いします。
○遠藤難病対策課長補佐 資料2を御覧ください。「疾患群の追加と重症患者認定基準について」です。1番に現在の平成26年厚生労働省告示第475号から抜粋させていただいた文章が載っております。現行の疾患群は、第1表~第14表までに掲げるとおりとする、となっております。具体的には2番、疾患群の追加(案)として、現在1番の悪性新生物から14番の皮膚疾患までが小児慢性特定疾病における疾患群として告示に記載されております。昨年度と今年度の新規疾病の追加の状況や、また研究班や学会から疾患群を追加したほうがいいという情報提供を踏まえまして、現行のこの14疾患群から新規に、「骨系統疾患」と「脈管系疾患」を追加して、16疾患群へ見直してはどうかと提案させていただきたいと思います。
具体的には2、3ページになりますが、2ページ、(1)骨系統疾患になります。1、軟骨無形成、2、軟骨低形成、3、骨形成不全症、こちらは現在の内分泌疾患群から移動してきております。4、低フォスファターゼ症、5、大理石骨病、こちらは現在先天性代謝異常の疾患群に入っていますが、骨系統疾患群に移動してきたらどうかと提案を頂いております。その他、昨年小児慢性特定疾病に追加されて、神経・筋疾患群に入っています6から13のラーセン症候群まで、こちらも骨系統疾患群に移動してはどうかと提案を頂いております。その他14、進行性骨化性線維異形成症、15、骨硬化性疾患、16、胸郭不全症候群は今年度の検討で新規に追加される予定の疾病です。以上の16までをまとめて骨系統疾患群としてはどうかと、学会、研究班などから提案を頂いております。1から3に関しては、現在、内分泌疾患群に入っておりましたので、疾病の状態の程度がそちらに合わせた補充療法、機能抑制療法その他の薬物療法となっておりましたが、外科的治療を行う患者が多いということで、骨系統疾患に移動すると同時に、疾病の状態の程度もこの外科治療を含む患者を対象としてはどうかと提案を頂いております。
(2)脈管系疾患につきまして、1、リンパ管腫、2のリンパ管腫症、こちらは現在呼吸器疾患群に入っております。「リンパ管腫/リンパ管腫症」とスラッシュで1つの疾患になっておりますが、実際は病態が異なるので別々の疾病名としてはどうかと提案を頂いております。その他、3から7は今年度の検討で新規に追加される予定の疾病です。以上の1から7をまとめて脈管系疾患として1つの疾患群にしてはどうかという提案を頂いております。
続きまして、4、5ページの小児慢性特定疾病の重症患者認定基準の説明になります。この重症患者に認定されると、医療費助成の上限額がもう一段階低くなる患者の認定基準です。4ページの対象部位ごと、5ページの疾患群ごとで状態が定められております。
5ですが、今回新たに追加する疾患群でも重症患者認定基準を定めたいと思いますので、学会などから提案を頂いたものをまとめまして、骨系統疾患、脈管系疾患においては、現在の慢性呼吸器疾患群や神経・筋疾患群等における「治療状況等の状態」を踏まえ、「気管切開管理又は挿管を行っているもの、又は1歳以上の児において寝たきりのもの」、このような基準で定めてはどうかという案を頂いておりますので、このような形で提案させていただきたいと思います。以上になります。
○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明に対して、御質問、御意見はいかがでしょうか。
○小国副委員長 5ページの所で、説明にはなかったかもしれないのですが、悪性新生物の治療状況の状態の中に、「濃厚な治療」とあるのですけれども、曖昧な言い方なので、もう少し的確な状況説明にするか、具体的に書いたほうがよいのではないかと思います。どこからが濃厚で、どこからが濃厚ではないのかということが、問題になるといけないと思います。例えば「抗がん剤治療を行っている」とすれば、治療を行っていればどんな場合でもいいということになりますし、具体的に少し書いたほうがよろしいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○遠藤難病対策課長補佐 この重症患者認定基準は、平成17年から定められているものであります。文言について、もう少し適正化できないかというのは検討させていただきたいのと、もう一方で通知やQ&Aなどで、判定などで困らないように対応させていただきたいと思っております。
○賀藤委員 今の悪性新生物ですが、「転移又は再発があり」と書いてあるので、転移又は再発があったらこれは濃厚な治療が入ってきますので、新しい薬もどんどん入ってきますので、例えば「濃厚な治療を行っているもの」、この文言だけ外しても実態は変わらないと思います。
○小国副委員長 はい、そうですね。そのほうがいいと思います。
○賀藤委員 再発があったらものすごい治療が入ってきますので、絶対濃厚ですので、同じ内容のことを言っているのかなと。なので、「転移又は再発があり」とか、それだけでも同じことになってしまうだろうと思います。
○五十嵐委員長 そうですね、これは26年の厚労省の告示ですので、この場ですぐ変えるわけにはいかないのですよね。ですから、検討するということにしていただけますか。
○遠藤難病対策課長補佐 はい、そうですね。学会などからも意見を聞いて、検討させていただきたいと思います。
○五十嵐委員長 それでよろしいですか。
○小国副委員長 はい。
○五十嵐委員長 そのほかはいかがでしょうか。
○石川委員 日本医師会の石川です。この脈管系の疾患で2つ分からないところがありまして、1つは脈管系、これはリンパ管腫とかそういうものが該当しているのですけれども、例えば心疾患でこれが脈管系の問題というのが、心大血管系の分類になるのだと思うのですが、そこには血管というのはなくて、脈管というのがまたある。例えばモヤモヤ病というのも脈管系の病気だけれども、あれは神経に入っているとか、ちょっと分類上なかなか難しいところがあるかなと。慢性の心疾患の中に、脈管系はどこまで入るのか、あるいはこっちはどこまで入るのか、区別はきちんとしたほうがいいだろうというのが1つあります。
もう1つは、青色ゴムまり様母斑症候群は、恐らくは外表の問題がすごくあって、そういうのは保険が効くのかどうなのかと、非常に微妙なのですね。そういうのがこの小慢は保険診療ということに限りますので、どこまで該当するか、リンパの脈管系の場合には、皮膚の症状が出てくるようなものは、ほかの身体的には余りなくて皮膚の問題だけというのが結構あって、それは美容的な扱いになるので、どうなのかとかいうのが結構あると思うのです。そこら辺ははっきりしないといけないのではないかなと思っています。整理をよくしていただくということですね。
○大竹参考人 石川先生の、最初の脈管系と心疾患との区別ですけれども、心疾患のほうはやはり心臓自体に影響が及んで、心不全とかそういう状況が中心になっていると思いますし、それに対して脈管系の疾患は、ここに書いてあるのは大部分というか全てが血管やリンパ管の異常増生に基づく障害を来たす病態というように一応定義はできるのではないかと思います。
それから外表的な形成外科的な問題で悩む方が多いのは確かですけれども、それに伴って、結局血小板減少等いろいろな合併症も起こってきますので、例えば外表的な問題でも、そこのところが広い場合にはやはり治療の対象にしてあげなければいけないのだろうと。ただ、先生がおっしゃるように線引きが極めて難しいのは確かですけれども、脈管系はリンパ管、血管の増生を中心とする疾患群というように定義としてさせていただければと思っております。
○五十嵐委員長 この脈管系の疾患の意図するところが分かるように、どこかに※注でも入れて御理解いただけるようにしていただけますか。そうすると、より皆さんの理解が深まるのではないかと思います。よろしいでしょうか。
そうしますとこの骨系統疾患と脈管系疾患を新たに追加するという御提案ですけれども、これは御承認いただけますでしょうか。
(異議なし)
○五十嵐委員長 はい、ありがとうございます。それでは、3番目「児童福祉法第6の2第1項の規定うんぬん」、ちょっと長いので全部読みませんけれども、これを修正する案を今日御検討いただきたいと思います。説明をお願いいたします。
○遠藤難病対策課長補佐 資料3-1に修正案のポイントとして3点まとめております。資料3-2が告示からの原文になりますが、途中略となっております。両方見ながら参考にしていただければと思います。
1点目、資料3-2の1ページになります。第5表内分泌疾患の告示番号34番、抗利尿ホルモン(ADH)不適合分泌症候群の修正案になります。こちらは「不適合分泌症候群」となっていたのを、「合」を「切」に直して、「不適切分泌症候群」としてほしいと小児科学会から要望を頂いております。現在、医学用語事典などでは「不適切」のほうが主に使われているということで、そちらに合わせてほしいということです。
2点目に、資料3-2の2、3ページになります。第5表内分泌疾患群の備考に書いてあるヒト成長ホルモン治療基準についてです。こちらは参考資料4になりますが、一番新しい研究班の成長ホルモン治療のガイドラインが改訂されておりますので、そちらに合わせた修正になります。具体的には参考資料4を参考にしていただければと思います。研究班作成の成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引き、平成26年度改訂版になります。一番下の判定基準を御覧ください。成長ホルモン分泌不全性低身長症の判定基準は1番と2番があります。このうち2番の主症候がIの2あるいは、Iの1➁と3を満たし、IIの1種類の分泌刺激試験において検査所見を満たすものですが、主症候Iの3の所に下線が引いてあります。頭蓋内器質性疾患や他の下垂体ホルモン分泌不全がある場合。この場合はIの1➁を同時に満たして、分泌刺激試験の1種類において検査所見を満たすものが判定されます。したがいまして、頭蓋内器質性疾患があるものやほかの下垂体ホルモン分泌不全がある場合は、成長速度が2年以上にわたるか否かを問わず標準値の-1.5SD以下で経過していることとなっております。従来は、「2年以上にわたって成長速度が低下していること」となっておりましたが、最近では2年待たなくてもいいというようにガイドラインがなっております。
これに合わせまして、告示のほうで成長ホルモン治療基準が書いてあるのですが、資料3-2の2ページになります。これまでは、開始基準の1番に「後天性下垂体機能低下症、先天性下垂体機能低下症」となっておりました。研究班のガイドラインでは、ほかの下垂体ホルモンや分泌不全がある場合がこれに該当しますが、これを2番に移し、「成長ホルモン分泌不全性低身長症(脳の器質的原因によるものに限る)」が、ガイドラインのほうでは「頭蓋内器質性疾患」に該当しますので、この2つを合わせます。その上で、2の(2)、「2年以上にわたって」を、「わたるか否かを問わず別表第3に掲げる値以下で経過していること」と修正をしております。ターナー症候群又はプラダー・ウィリ症候群に関しては変わりがありませんので、3のほうにスライドしてそのまま記載しているという変更です。
3つ目の修正事項は、資料3-2の4ページになります。眼皮膚白皮症(先天性白皮症)、皮膚疾患の告示番号1になります。疾病の状態の程度のイの所で、「症候型眼皮膚白皮症」、その中に「(ヘルマンスキーパドラック症候群、チェディアック・東症候群及びグリセリ症候群)でないこと」となっていましたが、この「ヘルマンスキーパドラック症候群でないこと」を削除したほうがいいのではないかと小児科学会から提案を頂いております。改訂理由ですが、これまでヘルマンスキーパドラック症候群は、血液疾患群にある血小板機能異常症の中に包含されていましたが、主となる症状が血液症状ではなく皮膚の症状であるため、眼皮膚白皮症のほうに包含したほうがいいのではないかという理由です。以上の3点が、小児科学会から要望を頂いている修正案です。以上です。
○五十嵐委員長 やや複雑な御説明だったのですが、よろしいでしょうか。何か御質問、御意見はありますか、よろしいですか。大竹先生、追加の御説明はありますか。
○大竹参考人 成長ホルモンの基準が非常にややこしくて申し訳ないのですが、簡単に申しますと、通常、成長ホルモンの分泌単独の欠損症の場合には2種類の負荷試験が必要で、先天性の遺伝子異常ないしは脳腫瘍による後天性の下垂体の複合ホルモン欠損症の場合には1種類の低下でよろしいと。そのほか開始の基準が分泌不全の場合には-2.5SD、脳腫瘍等の場合には-2.0SDと、少しこちらが緩くなっていて、かつ改正のポイントとしては、脳腫瘍の場合には成長率、2年以上待たなければいけなかったのですけれども、いろいろな知見が集まってきて、成長ホルモンは病気の再発にはほとんど関連しないというデータがそろってきていますので、2年待たなくても助けてあげましょうというのが今回の成長ホルモンの改正の要望の趣旨でございます。
○五十嵐委員長 今の御説明で、かなり御理解が深まったのではないかと思います。ありがとうございます。いかがでしょうか。この修正案について、特に御異議がないようですので、この委員会としてお認めするということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
○五十嵐委員長 はい、ありがとうございます。そのようにしたいと思います。
今日予定しておりました議事は一応終了したのですが、全体を通じて何か御意見等はありますか。
○賀藤委員 ちょっと最初に言わせていただいたところに係るのですが、大体全体として、私はまだ理解できていないところがあるのです。児童福祉法でのものなので福祉的な色合いが濃いというところの小慢の制度で、多分今度は脈管系、それで骨系統疾患が認められたとなると、多分どんどん新しい病気が出てくる可能性があって、あと今、バーッと進んでいるIRUD-P小児関係ですと、未診断の病気に対して無料で全部遺伝子検査をやっていますので、何%かは遺伝子が見つかってきて新しい疾患概念が出てくる。となると、今までちょっと別分野であったものが、きちんとした疾患概念で病気として出てくる。
あとは成育ですと、私の知らない病気がたくさんありまして、多分まだ小慢になっていないものもあるはずなので、そうすると、どんどん今後増えてきますし、あとは遺伝子レベルで治療薬がどんどん出てくる。例えば自己炎症性疾患とか免疫不全とか、どんどんそちらも疾患概念が改まって、それでかつ高額な医薬品がどんどん出てくる可能性がある。今すごくパラダイムシフトが起こっている時期なので、今回もたくさん病気が出てきていまして、それで小児科学会できちんと検討されて出てきていると思うのですが、こういう委員会、いわゆる厚労省の専門委員会として今後新しく出てくる病気についてどのように理解するのか、どのように考えたらいいのか。科学的にどのようにするのかということは、やはり厚労省としてもきちんと評価というか、考えるというか、そういう場所は必要なのかと。この専門委員会の下にワーキンググループでも何でもいいのですが、そういう場を設けることを御検討いただければなというのがお願いです。
○五十嵐委員長 小児科学会と厚生労働省の小慢の研究班が一緒に協力してこれまで比較的短期間に非常に膨大な仕事をしていただきまして、それを支援してくださる方たちもたくさんおられて、ここまで来たわけですけれども、確かに新しい病気がどんどん増えてくるでしょうし、病気の原因も分かってくるでしょうし、治療薬もいろいろなものが多分出てくると思います。
そういう中で客観的に、特に科学的に病気を捉えて、厚労省と小児科学会が協力をして出してくる御意見に対して、専門家の立場としてチェックするというか評価するような、違う立場の組織というものもあったほうが確かにいいのではないかと思います。これは直ぐにはできないかもしれませんけれども、方向性としては、そういう検討をすることもお考えいただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。それで皆さんよろしいですよね。貴重な御意見を頂きまして、ありがとうございました。ほかに何かありますか。
○石川委員 先ほど、レジストリ研究とか一応この疾病のお子さんたちがどのようになっていくかということの追跡ですが、本日、社会保険医療部会で、恐らく保険番号の、要するに個別化といいますか、一人一人になって、その番号が、要するに保険者が変わっても変わらないという提案がされると思うのです。これは我々が進めている医療等IDという変更可能な医療分野でのIDに一歩進んだものなのですね。これができますと、追跡ができることになります。かなりオートマティカリにできるということになってくるのですが、ただ、本人が番号を変えたいと言えば、その履歴を残した形で番号を変えることはできます。それと別枠で、研究用IDというのも作ったりすることもできるという形になるので、そういう点では、この小慢の子供たちがどのような予後になっていくのかということも追跡できると思うのです。
それから先ほど賀藤委員のおっしゃったことについては、私はこれに出ていると、この小慢を使うのか、それともお母さん方は乳幼児医療費の助成を使うのか、そことの兼ね合いがいつもあるわけです。実はそちらのほうが遥かに恩恵があって、結構、今は中学生ぐらいまでほとんど医療費がかからないような状況になっていますから。
ということですが、ただ、この大きなところは、歴史的な経過を見ますと、そういう障害をもった、慢性の病気をもったお子さんの支援をどうやって国がやっていくかという、その姿勢をこれで示していると。非常に大事な制度であると思っているのです。それぞれの自治体が子供たちの病気に対して医療費助成をするというのと同時に、国はどういう姿勢をもつのかというので、この委員会ができているのではないかと私は考えていまして、それはそれで非常に大事だということです。行く末はやはりもっと大きな形での、先ほど言いました生活支援も含めた、お母さん方の家庭の支援みたいなところに、国がどうやって踏み込んでいくのかという、大きな枠組みになっていくのではないかと思っています。
○五十嵐委員長 ありがとうございます。
○賀藤委員 石川先生、ありがとうございます。もう1つ、石川先生が今地方自治体の医療費助成のことをおっしゃってくださったので、私の今の懸念なのですが、最近出てきている薬は大変高いですね。脊髄性筋萎縮症、ウェルドニッヒ・ホフマンは1本930万円ですので、初年度は6回です。5、6,000万円を地方自治体が今の制度で医療費の助成を続けるのですかと。もっともっと高い薬が出てくるかもしれない。これは違う制度でいきますが、あるどこかの大学が最近、日本で10人未満しかいない病気に対して遺伝子治療をやって、その遺伝子治療費は1億円です。これが保険医療でなるかどうかはまだ分かりませんけれども、どんどん高額医療になってくる。では、地方自治体はそこまでやっていく度胸があるのかと。ですので、小慢の医療費助成、地方自治体が行っている医療費の助成を含めて、多分今後大きな問題になってくる。持ち堪えられるのかと。ある小さな町で1人の患者さんに、年間7、8,000万円使えますかと。その医療をやっている人が数人いたらどうなるのかということも含めて、やはり、どこかではみんなで議論していかなくてはいけないのかなと思います。
あと、先ほど出たデータベース、なぜ小慢という制度があるのにデータベースは今の状況なのかというと、やはり地方自治体の医療費助成のほうに走ってしまう。東京都のホームページで小慢の申請の所を見ると、まあ、面倒な、ちょっと見ただけで、小慢の申請を投げてしまうような書類が必要になるのですね。だったら地方自治体がまだましだといって、助成を求めたほうがよっぽど簡単だと、親御さんは。そういうことがあるので、なかなか小慢のデータベースの悉皆調査ができていないということもあります。そこら辺をきちんと考えていかないと、長期的な視点でいかないと、いろいろな問題がいつまでたっても解決しないのかなと個人的には思っています。
○五十嵐委員長 大変重要な御指摘だと思います。この委員会は小児慢性特定疾病の病気を選別するだけの委員会ではありませんで、もう少し大きな枠組みについても、定期的に議論しなくてはいけないのではないかと思います。いずれまたそういう機会をもちたいと考えています。是非そのときに、また御意見を頂きたいと思います。
では、一応これで今日の議題は終了したいと思います。今後の予定について、事務局から御説明をお願いいたします。
○田中難病対策課長補佐 委員の皆様方、本日はお忙しい中、ありがとうございました。本日頂いた御意見につきましては、委員長と御相談の上、修正の後、パブリックコメント及び関係学会への意見聴取を行わせていただきたく存じます。よろしいでしょうか。また、事務局のほうにも、支援の在り方等様々な御意見を頂きました。これにつきましても検討すべき内容について、事務局でまとめ、また改めて御報告をさせていただきたいと思います。賀藤委員から出たワーキング等の検討も合わせて、事務局で検討後、お伝えさせていただきます。
次回第26回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の日程は、決まり次第御案内を申し上げます。事務局からは以上となります。本日はどうもありがとうございました。
○五十嵐委員長 これで終了いたします。どうもありがとうございました。
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