ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会社会的養育専門委員会)> 第22回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録(2017年12月22日)
2017年12月22日 第22回社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会 議事録
子ども家庭局家庭福祉課
○日時
平成29年12月22日(金)14:00~16:15
○場所
労働委員会会館(中央労働委員会)7階講堂
○出席者
委員
柏女委員長 | 相澤委員 | 青木委員 | 安部委員 |
犬塚委員 | 井上委員 | 江口委員 | 奥山委員 |
桑原委員 | 菅田委員 | 竹中委員 | 中村委員 |
橋本委員 | 林委員 | 平井委員 | 平田委員 |
卜蔵委員 | 松本委員 | 宮島委員 | 三代川委員 |
森下委員 | 山本委員 | 吉田委員 |
事務局
吉田子ども家庭局長 | 山本内閣官房審議官 | 長田総務課長 |
成松家庭福祉課長 | 宮腰虐待防止対策推進室長 |
○議題
(1)都道府県計画の見直し要領の骨子案について
(2)その他
○配布資料
資料1 | 都道府県計画の見直し要領(骨子案) |
資料2 | 委員提出資料 |
参考資料1 | 里親等委託児童数について |
参考資料2 | 社会的養育専門委員会における主な御意見(第21回)【未定稿】 |
参考資料3 | 児童福祉法等の一部を改正する法律の公布について |
参考資料4 | 里親委託ガイドラインについて |
参考資料5 | 乳児院・児童養護施設の多機能化等及びフォスタリング機関に関する |
プロジェクトチームについて |
○議事
○成松家庭福祉課長
定刻となりましたので、ただいまから第22回「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しいところ、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、増田委員、横田委員は御欠席と伺っております。また、平田委員が少しおくれているようですが、もうじきお越しになると思います。
初めに、資料の確認をさせていただければと思います。
配付資料は、右上に番号を付しておりますが、資料1、資料2、資料2-マル1、資料2-マル2、参考資料1~5という形になっています。資料の欠落等ございましたら事務局まで、その都度でも結構ですのでお申しつけください。
カメラの撮影はここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。
それでは、これより先の議事は柏女委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○柏女委員長
皆さん、こんにちは。
年末の慌ただしいところ、お集まりをいただきまして、本当にありがとうございました。
これまで集中的に議論を進めてきました今回の社会的養育専門委員会、ことし最後の会になります。第22回をこれから開催させていただきたいと思います。
きょうは事務局が作成した「都道府県計画の見直し要領骨子案について」の厚労省からの説明、それを受けて、これについての御意見を頂戴したいと思います。
まずは事務局から、今後のスケジュールについて、説明をお願いしたいと思います。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。
今後のスケジュールについて、御説明をさせていただければと思います。
本日は、先ほど委員長がおっしゃっていただいたように、都道府県計画の見直し要領の骨子案という形で案を提示させていただいておりますが、これまで各委員会において、各論点について、さまざまな角度から御意見を頂戴しております。本日も提出いただいている委員の方々の御意見書を見ると、今回もさまざまな議論が見込まれるところでございます。
これまで年内をめどに見直し要領を提示させていただこうと思っておりましたけれども、そういう中でさまざまな意見が出ているという状況でございますので、委員の皆様、お忙しい中、大変恐縮でございますが、年明けにもう一度、会議を開催させていただければと思います。この年明けの会議の中で、本日いただいた御意見等を踏まえ、必要な修正を行った上で、改めて提示をし、御意見をいただきたいと思っております。
以上でございます。
○柏女委員長
事務局として、これまで1回目、2回目、かなり多様な御意見を頂戴しました。また、きょうも骨子案で行くという形であれば、それはそれでいいのですけれども、そうでもなさそうで、御意見がたくさん出そうだということもあって、直前ではありますけれども、今回の取りまとめというよりは、もう一度議論をして、そして1月に骨子案を取りまとめるという形で衆議を尽くしていきたいという事務局の意見だと思います。私もそう思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、議事を進めていきたいと思います。
きょうもできるだけ多くの委員の方から御意見、御発言を頂戴できますように、ポイントを絞って御発言くださいますよう、御協力をぜひお願いしたいと思います。
それでは、まず、都道府県計画の見直し要領骨子案について、事務局から説明をお願いいしたいと思います。
○成松家庭福祉課長
家庭福祉課長でございます。
資料1につきまして、まず、御説明させていただければと思います。「都道府県計画の見直し要領(骨子案)」でございます。
米印に書いてございますように、この骨子案は、平成28年児童福祉法改正等を踏まえて行われるべき都道府県計画の見直しに当たっての基本的考え方や留意点などのポイントをまとめたものでございます。この見直し要領(骨子案)を参考に各都道府県において、計画の見直しに向けた準備や検討を進めていただくことになります。今後、各都道府県への説明等を行っていく中でいただいた御意見も出てくるでしょうから、それも踏まえて追加・補足等を行った上で反映し、都道府県計画の見直し要領として発出したいと考えております。その際にフォスタリング機関事業のガイドラインあるいは多機能化も盛り込んだ見直し要領を年度内にお示していくということを、※という形で書かせていただいております。
それでは、1ページ目「1.今回の計画の見直しの位置付け」でございます。
1つ目の○のところでございますが、家庭福祉施策については、これまで、累次の制度改正を行っており、平成16年児童福祉法改正においては、市町村が児童家庭相談に応ずる義務を追加、都道府県が市町村へ必要な援助を行う業務を追加、要保護児童対策地域協議会の法定化、児童養護施設等の目的として施設退所児童に対する相談援助を規定することになっています。
また、2つ目の○でございますが、近年では、課題と将来像を踏まえた都道府県計画に基づいて、里親の委託の推進あるいは施設の小規模化・地域分散化の取り組みを進めているという状況でございます。
これらによって、家庭的養護の推進が図られ、職員配置の改善や小規模化という意味では前進が見られたというところでございますが、一方で里親の委託率については、直近でも2割弱となっております。そういった中で、さらに家庭における養育を進めるためには里親支援の充実、特別養子縁組の推進が課題となっております。また、市区町村における在宅支援の充実、児童相談所のソーシャルワーク、一時保護のあり方について、現在の都道府県計画には記載されていない、推進計画には記載をされていないという状況になっていると。
このような中、これまでの取り組みをさらに進めるために、平成28年の児童福祉法改正が全会一致で成立いたしました。改正児童福祉法においては、児童が権利の主体であることを位置づけるとともに、児童が家庭において健やかに養育されるよう、保護者を支援することを原則した上で、家庭における養育が困難または適当ではない場合には、パーマネンシー保障となる養子縁組、代替養育のうち「家庭における養育環境と同様の養育環境」である里親等への委託を進める(家庭養育優先原則)とともに、これらが適当でない場合は、できる限り、児童養護施設等における小規模グループケアなど「良好な家庭的環境」で養育されるよう、必要な措置を講ずることとされたということになっています。
また、最後の○でございますが、本年には、いわゆる新しい社会的養育ビジョンが取りまとめられたところでございます。この中では、市区町村における子ども家庭支援体制の構築、里親への包括支援体制の構築、児童の自立支援など、改正児童福祉法の理念等を具体化するとともに、実現に向けた改革の工程が提言されたところでございます。
2ページ目、上のほうの○でございますが、各都道府県で行われてきた取り組みについても、こうした改正法の理念あるいは「新しい社会的養育ビジョン」で示された基本的な考え方が踏まえられ、児童の権利保障のためにも、できるだけより充実したものになることが求められています。また、その過程においては、子どもが不利益をこうむることがないよう十分な配慮が必要。
そのような取り組みが計画的に進められるよう、平成30年度(2018年度)中をめどとする都道府県計画の見直しについて、国として、その見直しのための要領を示すというのが、今回の計画の見直しの位置づけとなっています。
次に「2.基本的考え方」をお示ししております。
1つ目の○、今回の見直しの対象は、次に見られるように、在宅の支援から代替養育、養子縁組が網羅されている。これらの項目は全て緊密につながっており、一体的かつ全体的な視点をしっかり持って進めていく必要がある。
まず、在宅の関係でございますが、在宅で生活している子どもや家庭の支援については、地域あるいは家族の変化により、社会による家庭への養育支援の構築が求められている。児童の権利、ニーズを優先し、家庭のニーズも考慮して全ての児童と家庭を支援するため、市区町村子ども家庭総合支援拠点の普及を図るとともに、身近な市区町村におけるソーシャルワーク体制の構築と支援メニューの充実を図ることが求められている。
3つ目の○でございますが、また、虐待の危険が高いなどの理由で集中的な在宅支援が必要な家庭には、児童相談所の在宅指導措置下において、市区町村が委託を受けて集中的に支援を行うなど、在宅の社会的養育としての支援を構築し、児童への直接支援サービスや親子入所機能の創設など、メニューを充実されて親子を分離しないケアの充実を図ることが求められている。
4つ目の○でございますが、代替養育について書いてございます。まずは保護者の支援等により家庭復帰を最大限努力する。それが不適当な場合にはパーマネンシー保障の観点から養子縁組の活用、代替養育のうちの家庭と同様の養育環境である里親やファミリーホームへの委託を優先して検討するなど、そのようなソーシャルワークが児相で行われるよう徹底する。
5つ目の○でございますが、代替養育につきましては、家庭と同様の養育環境である里親やファミリーホームでの養育を原則とした上で、専門的なケアを要するなど、施設での養育が必要な場合には、子どもへの個別対応を基盤とした「できる限り良好な家庭的環境」を提供し、児童のニーズに合った養育となる必要な措置が講ぜられることが求められる。
これまで、施設の専門性を生かし、児童を保護し、養育する重要な役割を担ってきた乳児院や児童養護施設等については、上記のように家庭養育優先を進める中においても、これらの施設の専門性は、引き続き施設での養育を必要とする児童の養育のみならず、里親養育を含む在宅家庭への支援等を行うなど、施設の多機能化を図る中で発揮されることが期待されています。
3ページ、1つ目の○でございます。今後、家庭養育優先原則を実現するためには、その受け皿となる里親をふやすとともに、質の高い里親支援体制を実現することが不可欠。このため、どの地域においても、質の高い里親養育をフォスタリング機関を含めたチームで行う体制が確保されることが求められている。こうした体制は、児童相談所のみならず、NPO等の民間機関あるいは乳児院、児童養護施設、里親会等の「強み」を最大限に活用しながら、地域の実情に応じて構築していくことが求められている。
2つ目の○で、代替養育を経験した子どもの自立支援については、社会的養護自立支援事業に取り組むなどにより、代替養育を離れた後も、個々の子どものニーズに応じた支援を提供することが必要である。
3つ目の○、児童相談所においては、体制あるいは専門性を計画的に強化するため、改正法や児童相談所強化プランも踏まえつつ、職員配置を行うとともに、人材の確保や育成のための研修等を行うことが必要。また、一時保護ガイドラインを踏まえ、一時保護が適切に行われるよう、その見直しや体制整備を図ることが必要。
4つ目の○でございますが、都道府県計画の見直しに当たっては、里親や児童養護施設など、支援を提供する当事者のみならず、児童(社会的養護経験者を含む)や保護者などの支援の対象となる当事者の意見が適切に反映される必要がある。
最後の○でございますが、今般の見直しは、地域により事情が異なっていること等、現場の実態を踏まえるとともに、都道府県や里親、乳児院、児童養護施設など、関係者とともに着実に進めていくことが必要である。
このような基本的な考え方を示しまして、同じ3ページの下のほうに、それぞれの都道府県計画における記載事項を並べております。
順次御説明しますので、4ページに移っていただければと思います。「4.項目ごとの見直し要領(骨子案)」でございます。
「(1)都道府県における社会的養育の体制整備の基本的考え方及び全体像」でございますが、改正児童福祉法の理念及び前記の基本的な考え方を踏まえて、各都道府県における社会的養育の体制整備の基本的考え方と全体像を策定する。
留意点といたしましては、市区町村における在宅サービスの取り組み等に対する都道府県の支援あるいは包括的里親支援、施設の多機能化等への支援、児童の自立支援等に対する取り組みの充実を図ることなどの、各都道府県において基本的な考え方を記載していく。
各都道府県内の社会的養育の体制整備の全体像を記載するというものになってございます。
「(2)各年度における代替養育を必要とする児童数の見込み」ということで、書いていただくものとしては、現行計画における代替養育を必要とする児童の見込みというものを時点修正をしていただく。
あるいは、最近の児童虐待相談件数の増加等を踏まえた時点修正あるいは市区町村の取り組み、あるいは親子再統合に向けた取り組みの推進の効果を踏まえて算出していただいて、その算出していただいた児童数につきまして、年齢区分ごとに算出していただくというようなことが4ページでございます。
5ページ「(3)里親等委託の推進に向けた取組」ということで、「マル1包括的な里親等支援体制の構築」。包括的な里親等支援体制の構築に向けた計画を策定していただく。
この内容や留意点といたしましては、平成32年度までに、各都道府県において、里親の開拓から研修あるいは委託後の支援までの一連の過程において、質の高い里親養育をフォスタリング機関を含めたチームで行う体制を構築していただく。その際、以下の点に留意をしていただくということです。
1つ目の留意点といたしましては、児童相談所の職員体制や、管轄する地域の人口規模等を踏まえて、民間機関の積極的活用を含め、実施機関やその配置を検討する。
2つ目の留意点といたしましては、民間機関にフォスタリング機関を委託する場合には、できるだけ包括的に業務を委託することが望ましいということとともに、NPO法人等の民間機関、多機能化に向けた取り組みを行う児童養護施設等、里親支援に取り組む児童家庭支援センターの活用も考えられる。
このように民間機関に委託する場合でも、民間機関と児童相談所の連携が重要であり、児童相談所の体制と役割分担についてもあわせて検討することということでございます。
米印として、フォスタリング機関の具体的なあり方については、現在、プロジェクトチームで検討させていただいているところでございますので、それを踏まえて補足させていただければと思います。
「マル2里親やファミリーホームで養育可能な児童数の見込み」ということで、各年度における里親やファミリーホームで養育可能な児童数の見込みを推計していただくことになります。
それに当たっての留意点ということで、こちらのほうは先ほどの包括的な里親等支援体制の構築に向けた取り組みあるいは改正児童福祉法における家庭養育優先の理念、あるいはその理念を反映した里親委託ガイドラインを踏まえた里親等委託の推進などの取り組みにより、現行計画における里親等の委託児童数に、里親家庭で養育可能な児童数を上乗せし、現行計画を上回る里親委託率の目標を設定していただくということでございます。
2つ目としては、国全体としては、できる限り早く「乳幼児の里親等委託率75%以上」あるいは「学童期以降の里親等委託率50%」できるよう、各都道府県の取り組み状況を逐次把握しながら、国が支援策等を講じていく。
3つ目といたしましては、里親の開拓においては、児童が生活している地域で里親委託を受けることができるなど、地域ごとの里親の確保にも配慮して行う。
4つ目といたしましては、ファミリーホームについては養育者が里親登録を受けている場合に限る。
5つ目としては、国においても各都道府県の計画策定段階、策定過程においてヒアリングの実施あるいは助言などを行わせていただきます。また、意欲的な目標を設定し、達成しようとする取り組みに関しては、国の里親支援事業において達成度合いにおいて重点的な補助金の配分を行うことを検討するとともに、その成果が出た場合には、その取り組みを横展開していきたいと考えてございます。また、都道府県において包括的里親支援体制を構築するためにも、国において支援チームを結成させていただきまして、助言等の支援を講じていきたいと思っております。
6ページ「(4)養子縁組の推進のための支援体制の構築に向けた取組」でございます。
各都道府県において養子縁組の推進のための支援計画の構築に向けた計画を作成していただく。
その内容や留意点といたしましては、パーマネンシー保障の観点から、特別養子縁組というのは有力・有効な選択肢であり、その活用を十分考慮したソーシャルワークを行っていただきたい。
2つ目といたしましては、改正児童福祉法により養子縁組に関する相談・支援が児童相談所の業務として位置づけられたことを踏まえ、児童相談所における養子縁組に関する相談支援体制を検討し、養子縁組が適当と考えられる児童について積極的に養子縁組を検討していただく。また、地域の実情に応じて、民間あっせん機関に対する支援や連携方策を検討していただくということでございます。
3つ目、なお、国といたしましても、各都道府県における特別養子縁組の成立件数の集計・公表を行うとともに、年間1,000件を目指して、それらの情報をもとに、制度への理解を進めるための広報の展開、養子縁組にかかわる制度のあり方の検討、民間機関への支援などの施策を講じていきたいと思っております。
「(5)施設の小規模化・地域分散化及び多機能化等に向けた取組」でございます。
まず「マル1施設で養育可能な児童の見込み」ということで、各年度における施設で養育可能な児童数の見込みを推計していただくと。内容や留意点といたしましては、施設で養育可能な児童数の見込みにつきましては、包括的里親支援体制の構築に向けた取り組みの効果あるいは里親ガイドラインを踏まえた里親等への委託の推進の取り組みを踏まえて、算出していただく。
2つ目として、その際、各年度とも、里親等や施設で養育可能な児童数の見込みが代替養育を必要とする児童の数を満たし、保護が必要な児童の行き場がなくなることのないよう十分な受け皿を確保することに留意。
3つ目といたしましては、改正児童福祉法の公布通知の内容が書かれてございますが、その内容は「特に就学前の乳幼児期は、愛着関係の基礎をつくる時期であり、児童が安心できる、温かく安定した家庭で養育されることが重要であることから、養子縁組や里親・ファミリーホームへの委託を原則とする」ということが書かれております。
4つ目、児童のニーズに的確に応えられるように、ケアの個別化、里親委託、親子関係再統合などのさまざまの取り組みを進めてきたところでございますが、さらに総合的に取り組みを進めることにより、結果として、施設への在所期間の短縮が想定されることから、推計に当たっては、このことも踏まえていただきたいとなってございます。
続いて、7ページ「マル2施設の小規模化・地域分散化及び多機能化等に向けた取組」ということで、都道府県において施設の多機能化等に向けた計画をつくっていただくということでございます。
計画の見直しの内容や留意点でございますが、都道府県においては在宅家庭あるいは里親家庭の支援体制の充実といった、施設による多機能化等の見込みを把握し、多機能化に向けた計画を策定していただく。これに伴い、各施設との協議の結果、必要に応じて小規模化・地域分散化を進める計画についても見直しを行っていただく。
都道府県においては、多機能化に向けた計画の検討状況・課題について随時、施設からヒアリングを行う。個々の実情に応じて、適宜、適切な助言を行っていただく。
3つ目としては、その際、各都道府県における代替養育を必要とする児童数の見込み、包括的な里親支援体制の構築や、それを踏まえた里親等で委託可能な児童数など勘案し、各施設において具体的かつ実現可能な計画が策定されるよう配慮する。
国においては、乳児院・児童養護施設の多機能化等に向けた検討に資するため、プロジェクトチームで「手引書」を策定中でございます。そして、小規模化・地域分散化の取り組みを推進するために優先的な施設整備費補助の配分をやっていきたいと思っています。
5番目として、児童心理治療施設、児童自立支援のあり方については、その性質や実態に鑑み、国において関係者と意見交換を十分に重ねていく。また、児童心理治療施設については、これまでもそうでございますが、引き続き、各都道府県、最低1カ所の設置を求めていきたいと思っています。
6つ目、母子生活支援施設の関係でございますが、これまでも母子を入所させ、家庭養育の支援を実践してきた施設でございますので、そのニーズに応じて利用が適切になされるように周知を図っていきたいと考えてございます。
「(6)社会的養護自立支援事業等の実施に向けた取組」でございますが、社会的養護自立支援事業や就学者自立生活援助事業を実施していない各都道府県において、事業の実施に向けた計画というのを策定していただく。
「(7)児童相談所・一時保護改革に向けた取組」ということで、「マル1中核市・特別区の児童相談所設置に向けた取組」でございます。
管内の中核市・特別区が児童相談所を設定する場合の、各都道府県における具体的な計画を。
○柏女委員長
申しわけないのですけれども、議論の時間を多くとりたいので。
○成松家庭福祉課長
策定していただくということでございます。
内容、留意点についてはこちらのほうに書かせていただいているとおりでございます。
また「マル2都道府県(児童相談所)における人材確保・育成に向けた取組」でございます。
それも、職員の配置等々について計画を策定していただく。
「マル3一時保護の適正化に向けた取組」については、こちらのほうで「一時保護ガイドライン」を踏まえて、適正化に向けた計画を策定していただくということでございます。
「(8)市区町村の子ども家庭支援体制の構築等に向けた都道府県の取組」でございます。
こちらのほうは現在、子ども・子育て支援事業計画の中間見直しをしていただいている状況でございますので、そういった状況も踏まえて、都道府県でも書いていただく。あるいは下のマル1、マル2というものを書いていただくということでございます。
「マル1市区町村子ども家庭総合支援拠点の普及等に向けた取組」。
あるいは「マル2児童家庭支援センターの設置促進に向けた取組」というのを書いていただくということでございます。
10ページ「(9)その他」でございますが、サービスを利用する子どもからの意見聴取(アドボカシー)ということでございます。
それも、地域、都道府県の実情に応じた取り組みを推進していただくということでございます。
これが資料1の内容でございます。
長くなって恐縮でございますが、参考資料1のほうで「里親委託児童数について」を書かせていただいております。ビジョンで示された目標値に到達した場合の「里親等委託児童数」を機械的に試算すると、こういった形で、現行、6,546人、里親委託児童がいらっしゃいますけれども、それが2万人程度になるということで、プラス1.4万人というのを機械的に試算させていただいた資料を置かせていただいております。
参考資料2は、前回の主な御意見。
参考資料3として、公布通知です。
参考資料4として、里親委託ガイドラインをつけさせていただいております。
参考資料5として、先ほど申し上げた、それぞれのプロジェクトチームの開催状況についてつけさせていただいております。
長くなりましたが以上でございます。失礼いたしました。
○柏女委員長
ありがとうございました。
途中からスピードを上げていただきましたけれども、児童相談所や市町村のあり方を軽視する意味では全然ありませんので、御了解を賜りたいと思います。
議論を資料1に基づいて行っていきたいのですけれども、便宜上、山を5つぐらいの固まり分けて議論をさせていただければと思います。
提案をさせていただきますけれども、最初に、1の今回の計画の見直しのところから、3ページの3の都道府県計画の記載事項まで、いわば基本的な視点関係のところを一固まりにしてはどうかということです。
2つ目が、4ページの(1)の都道府県における社会的養育の体制整備、(2)の児童数の見込みといった体制上の問題を2つ目の山にしてはどうか。
3つ目が一番議論が出るところではないかと思います。5ページの(3)と(4)、家庭養育のところを3つ目の固まりにさせていただく。
4つ目が、6ページの(5)と(6)、いわゆる施設のあり方、自立支援のあり方を、一つの山にさせていただく。
最後が、先ほどはしょってしまった8ページから10ページまで、児童相談所・一時保護、区市町村の改革のあたりを5つ目の山にさせていただければと思います。
時間配分なのですけれども、あと1時間半ぐらいありますので、それを考えますと、全体の議論があると思いますので、均等に20分ずつというわけにもなかなかいかないので、最初の2つを10分、そしてあとの3つを20分ずつぐらいの、一応の目安で、そこに来たらベルが鳴って発言を遮るとかではありませんので、10、10、20、20、20ぐらいの雰囲気で、余れば、また、そこでたくさん議論を頂戴できればと思います。
それでよろしいでしょうか。
それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
それでは、最初に、基本的視点関係、1ページから3ページのところまでで何かございましたらお願いします。
奥山委員、お願いします。
○奥山委員
資料の14ページを開けていただきたいと思います。
まず、位置づけの件ですけれども、今回の大きな流れの最初のところ、私の資料の別冊2の4ページの下を見ていただくとわかりいいかと思うのですけれども、まずは「社会保障審議会 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」というのが開かれました。ここで抜本的な法改正の下地に関しての意見を皆さんで出し合い、こういう方向に抜本的に改正すべきだというのを議論したわけです。その報告書と法改正と新しい社会的養育ビジョンというのは3点セットです。この報告書の資料がここに配られていないこと自体おかしな話なのです。きょう、私の資料としてお配りさせていただきました。
その後ですけれども、まず、審議会でそういう話があり、法改正があり、その法改正の国会の議論の中で法改正の意味と今後の方向性が示されました。本専門委員会の最初から「国会でのお約束です」と私は何回も言いましたし、「国会での答弁というのは法律と同じぐらい重要なことです」というのもお話しさせてきていただきました。なかなかおわかりいただけないので、国会の議事録を全部調べました。
ここに書いてあるように、衆議院では「新たな社会的養育のあり方に関する検討チーム」をつくって、「社会的養護の課題と将来像」をゼロから考え直すということを衆議院で大臣がおっしゃっていまして、それに基づいて参議院のほうではそこに対する質問が出ているのです。そこに対する質問に関して、哲学が転換したのだから、「全面的に見直すと同時に、数値目標を見直すのか」ということに関して、「家庭養育をどういう割合でやっていくかという中長期目標を掲げる」とはっきり言っているわけです。しかも、これには全く反対意見はなく、全会一致で通っているのです。ということは、国会として「哲学の転換があって、それ以前のビジョンである「社会的養護の課題と将来像」は、全面的にゼロからの見直しをするということです。つまり、延長とか推進ではないのです。置きかえなのです。それに加えて、「新しい社会的養育に関する検討チームをつくって見直す」とされており、これが新しい社会的養育ビジョンを出した「新しい社会的養育に関する検討会」です。
資料5にありますように「社会的養護の課題と将来像」を全面的に見直すというのが、「新しい社会的養育に関する検討会」の開催要項の趣旨に含まれているわけです。こういう流れがあったのだということを十分御理解いただく必要があります。つまり、新しい社会的養育ビジョンは国会での答弁に基づいて設置された検討会で作成されたのです。ですから、そのことがきちんと経緯の中に含まれて書かれていないというのはおかしな話です。そこはきちんと書いていただきたいと思います。
国会で約束したことに関して「新しい社会的養育の在り方に関する検討会」ができて「新しい社会的養育ビジョン」ができたのだと。また、数値目標も国会で約束したことなのです。「基本的考え方」の中に、法律の遵守が必要だということも入っていないし、数値目標も全く入っていないというのは、全く国会蔑視だと私は思います。
では、哲学の転換、パラダイム転換は何だったのかということですけれども、今までの児童福祉法は、子どもは愛護の対象だったわけです。それが今回の法律改正の中で、権利の主体が子どもであるとなっております。今までの考え方というのは、全てサービス提供者側の考え方が主になって進んできたのだと思います。社会的養護の課題と将来像をつくった委員会に私も出させていただきましたけれども、最初の委員会で、私は、子どもの側から保護される流れを中心にして考えたらどうかということを発言させていただきました。柏女先生に、にこっと笑って「貴重な御意見ですね」と言われてそれっきりになりました。
そのパラダイムの中での、その枠組みの中での話し合いだったわけですから、仕方ないと思うのです。でも、今回の法改正でパラダイムが変わったのです。そこのところを明確にみんなが位置づけていなければ、この都道府県推進計画もきちんとしたものが出てきません。「社会的養護の課題と将来像」が今のパラダイムから見ると何が問題かと考えると、いみじくも最初のこの会のときに、3割というのはどこでもできるはずだと思って入れましたと、柏女座長がおっしゃいました。でも、それは明らかにサービス提供者側の論理です。子どものニーズからは見て出てきた数値ではないのです。
結局、何が起きているかというと、別冊2の16ページを見ていただくと「里親委託率の年次推移」とありますけれども、推進計画が始まってから2年間、伸び率は返って少なくなっています。それは事実として捉えておいていただきたいと思います。
でも、一方、その後、福岡市の努力されたところの数値も出していますけれども、18ページの上ですけれども、伸びています。一生懸命頑張っておられて伸びたのですけれども、頭打ちになりました。頭打ちになったらどうしたのかというと、工夫したのです。それは、フォスタリング機関であるキーアセットさんを入れて攻めのリクルートをやった。それによってかなりふえているということがあります。ですから、子どものニーズに応えるために、私たちが変わらなければいけないというところが一番重要なところなのです。子どものニーズが何か、そして、今のリソースがここにある、それをどう変えていったらいいのかというのを考えていくのは、この推進計画であって、リソースの側だけ初めから考えて推進計画などということはあってはいけないのです。それにもかかわらず、里親のところとか施設のところに、どれぐらいのキャパがあるかが最初の話になっている。それはおかしいと思います。やはり子どものニーズはどのぐらいなのかということをきちんと算出し、そこに近づけるためにどうするのかということを考えるべきなのです。
ただ、もちろん、例えば、里親さんをふやしていくのに、毎年同じ率で行くのかというと、必ずしもそうではないのかもしれません。最初の2年間は少しゆっくりスタートでフォスタリング機関をきちんとつくりましょう、そこから何%ずつ伸ばしましょう。それはあってもいいと思うのですけれども、そういったことをきちんとやっていくべきだと思います。
「新しい社会的養育の在り方に関する検討会」が国会のお約束をもとに、立てた数値目標というのは、絶対にできない目標は立てていません。私たちも数値を見て、これならなんとかなると考えられる数値です。全国的な数値での推計なので、地域によっては違うと思いますけれども、現在の、日本全国で考えれば、120万都市で毎年9人ぐらいずつふやせば7年間で到達すると推計できます。人口120万都市で毎年9世帯のリクルートは何とかなりそうだということで、この数値目標が立っているのです。ですから、まるで実現不可能なことをおっしゃるような方がおられますけれども、それは問題だと思います。
課題と将来像では、子どものニーズを捉えていない、発達的ニーズも捉えていないわけです。どの年齢でもばさっと3割、そんなことはあり得ないのです。国際的に見ても乳幼児が一番家庭を必要としている、乳幼児は家庭養育が必要なのだということは実証されているわけです。だとしたら、年齢ごとにきちんと考えていかなければいけないと思います。子どもを中心に見ることでかなり変わっていくということが重要なことなのだろうと思います。
もう一つ、パーマネンシーが考えられないことに関しては、資料2の11ページを見ていただきますと、養護施設に3年以上入所している子どもが61%です。もっとびっくりするのが10年以上入所している子が何と15%以上いるのです。これも驚くべきことです。これをなんとかしなければいけないということなのだろうと思いますし、そういう意味できちんとした計画を立てるということが必要だと思います。
今回のビジョンの一番の重要なところは、市区町村の子ども家庭支援です。児童福祉法の三条の二の最初に、家庭を支援して、子どもが家庭でいい生活ができるようにしましょうということが書かれていて、ここが一番重要なところのはずです。推進計画も何だか最後になったら市町村が最後に行ってしまっているのです。これもおかしな話だと思います。
数値目標の実現可能性についてはお話ししました。
都道府県推進計画のあり方として、やはり重要なのはアウトカム指標をきちんとすることと、パラメーター(媒介変数)をきちんと設定することだと思うのです。ですから、アウトカム指標が達成できなかったときに、もう一度見直して、それを分析するためのパラメーターがちゃんとしていなければどうしようもないと思います。今、この2年間、前の推進計画で里親増加率が鈍っている。それを分析するための指標がきちんとしていなければいけないわけです。今回はそこをきちんとして、推進計画を出して行くべきです。特別養子縁組の推進計画をつくるときに、例えば、アウトカムとしては代替養育の場での長期滞在数の減少をアウトカムとするとしたら、それをどう持っていくかということを例として挙げていますので、ぜひ、お読みいただきたいと思います。
先ほど言いましたように、まず、今のところで言うと、基本的な考え方の中に、きちんと数値目標と法改正の趣旨というものを盛り込むということが非常に重要なことだろうと思います。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。
ほかはどうでしょうか。
松本委員、お願いします。
○松本委員
松本です。
今、奥山委員がおっしゃったことの方向としては重なるかと思うのですけれども、基本的考え方のところに権利の観点を入れるということと、家庭養育の原則というのは、代替養育の前に地域できちんと家庭を支えるという具体的な施策を強化していきましょうと。そのこと自体はこれまでも、いろいろな都道府県なり市町村の計画であったと思うのですけれども、そこと代替養育の計画を一緒にしてきちんと考えましょうということが、計画のつくり方として新しいところだと思うのです。ですので、そういう観点できちんとやっていくのだということがわかるような書き方なり、加えるのが大事なのだろうと思います。
もう一つは、今回なかったことは、自立支援で基本的考え方の最初のところに、在宅から代替養育、養子縁組とありますけれども、やはり自立支援というところも含めて全体像を書くと。中の後ろの○には入っていますので書くと。そうなってくると、これは意見ですけれども、記載事項のところは市区町村のところが一番大事で、そこをどう強化していくのかという観点で、それぞれの都道府県なり自治体の計画を立ててくださいということを前に出していくほうが、その後、児童相談所、一時保護、代替養育、自立支援というのが、この間の議論を踏まえた構成なのではないかと。あるいはこれまでと違う重点の置き方ということを示すことになるのではないかと考えています。
以上です。
あと、自立支援と市区町村のところはそれぞれ意見がありますけれども、それはまた後でということで。
○柏女委員長
では、桑原委員、お願いします。
○桑原委員
お二方の御発言をいただいたのですが、全養の立場からすると、相変わらずまだ腑に落ちない部分が実はございます。特に3年という施設の在所期間です。その辺の問題が、施設そのものが仕組みとして間違っているのではないかという御指摘のように聞こえて仕方がない。ケースとしては、現実に施設から帰せない状態が続いているという深刻な状況があるわけです。
全養協で開催したビジョンに関するセミナーでの説明のときに、奥山座長は、施設入所の長期化の弊害というところで、ハンセン病の施設を例に出しておっしゃったのですけれども、児童養護の現場がそういう段階にずっととどまっているように見られていたのだということは非常に驚きでした。アドボカシーの問題は、平成6年に子どもの権利条約を批准したときから、児童養護施設では子どもたちと一緒に権利擁護を考え、施設生活を考える動きも継続してやってきた歴史も持っているのです。現在の児童養護施設の状況と、今回おっしゃっていることと、なかなかかみ合わないことに、ちょっと違和感を覚えるのです。
例えば、私の施設に入所しているのは7割強が虐待を受けた子どもたちです。その子どもたちがやはり家に帰れない。もうすぐお正月を迎えるけれども、ほとんどが帰れない状況がある。こういう実態をどうやって拾いあげて、子どもたちそれぞれに最善の利益にかなった道筋をつくるのかということが根本なのではないかと私は思っています。したがって、施設が非常に特殊な空間であって、閉鎖されたあるいは隔離された場所として見られているのだとしたら、この議論はなかなか前に進まないだろうと思います。
例えば、高校1年生で児童養護施設に入所した子がいます。入所期間が3年になると高3で卒業するときに、次の進路は関わらなくていいということになるわけです。ところが現実にはそういうわけにはいかない。虐待を受けた子どもが世代間連鎖をしっかり乗り越えるために進学して力をつけたいと願うならば、少なくとも3年生の段階で奨学金の確保をして、暮らしの基盤を確保をして、田舎であればそこから大学へ通えないので、アパート暮らしの資金も確保して、それは個人では不可能なので、やはり施設側が中心になってそういう後ろ盾をつくりながら大学に通えるように支援する。その後も、通っている期間を考えて、短大で2年あるいは専門学校で3年、大学で4年間にわたって支援は続きます。、高1で入所した場合、それだけでも6~7年の時間がかかる。また、奨学金の申請は施設が責任を持って行っています。施設の口座に奨学金が振り込まれ、それを本人に渡しているわけです。無事に卒業して生活が落ちつき、いろいろな関係機関からの協力に対して、これで一件落着という状況を迎えるのに相当の時間がかかっている。これは私のところの施設だけではなくて全国の施設がそういうことをやっているわけです。だから、そういうところでこの養育の問題は語ってもらわないと子どもの姿が見えてこないです。
○奥山委員
一言だけ。
○柏女委員長
では、手短に。
○奥山委員
多分、桑原さんは私が全養協でお話ししたときに、ハンセン病施設の話を出したと。これは施設がそうだと言っているのではなくて、変わらないことの罪ということを言ったのです。だから、変わるときにはみんなで変えていかなければいけないのだということを強調したのであって、別に施設がハンセン病施設のようなというのも全然言っていません。
先ほどのパーマネンシーがうまくできないというのは、施設で今やっているのがどうだこうだではなくて、子どもの権利として、パーマネントな家庭が必要でしょうと言っているわけです。そのためには家庭復帰計画をしっかりと立てて実行し、それでも家庭復帰が望めないまたは不適切ならば養子縁組につなげるということをちゃんと考えておきましょうよというのが、今回の方向性のわけです。それでもなかなか難しい子が施設の中に残るのは当然のことです。だけれども、その方向に向かっていかなければいけないということを言っているので、漫然と施設にいるということの問題点を挙げているのです。
○柏女委員長
では、江口委員、お願いします。
これが終わったら、次の課題も入れながら進めていきたいと思います。発言は手短にお願いします。
○江口委員
ポイントをお伝えします。
基本的理念の方針について、基本的に進めていきたいという気持ちについては変わりはございません。ただ、都道府県計画に盛り込むということは、その実現可能性とか実効性についての一定の責任を負うということになります。そういたしましたら、財源確保が必要な事項とか新たな法改正が必要な事項について、現時点で方向性を示すものとしていただきたいというのが現場の意見でございます。
現場の実態を踏まえますと、乳児院年齢の子どもについては、この数年、積極的に里親委託を進めてまいりました。平成28年度で18%、この間、進めまして30%、私が所属長としております岸和田のセンターは40%というところまで来ました。しかしながら、これが現状の職員体制と里親の数から勘案してほぼ限界値と見ております。ということは、里親さんを支援するためのワーカーの配置の強化とか、また今後議論になると思いますけれどもフォスタリング機関の充実の方向性が見えない中、それを数値として示されるということは現時点では難しいと考えているところでございます。
以上です。
○柏女委員長
それでは、まだ御意見もあると思いますので、それを引きずりながら4ページの終わりのところ、2つ目の山のところまででございましたら、どうぞ。
林委員、お願いします。
○林委員
1~3ページの部分で2点だけ。
1つは、ビジョンの措置の優先の順位の原則というのが記載をされているわけです。家庭復帰が困難な場合、親族・知人による養育、親族里親、親族・知人による養育里親等という表現があるわけです。ここの1ページにしろ2ページにしろ、そういう部分が生かされていなくて養子縁組に行ってしまっているのです。都道府県の親族里親あるいは親族の養育里親の活用率は極めて格差があって、それは要件の解釈に温度差があるということを反映していると思うのです。だから、そのあたりも含めて、友人・知人による養育里親、親族里親という記載を入れていただきたいということが1点目です。
2点目として、3ページの3行目に「包括的里親支援体制」という表現があるのですけれども、そのビジョンの中では非常にややこしいのですけれども、包括的は業務を担うフォスタリングエージェンシーという考え方と、包括的に分散化したものを固めてチーム養育として捉えるという考え方は、少なくともこのビジョンにはなかったのです。だから、基本的には最初の養育チームとしては、できるだけフォスタリングエージェンシーに複数の職員と最少の養育チームとして包括的な業務に基づいた複数の職員によるフォスタリングエージェンシーによるチーム養育というあたりを強調していただけたらどうか。
以上、2点です。
○柏女委員長
わかりました。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
宮島委員、お願いします。
○宮島委員
4ページのところでよろしいですね。
○柏女委員長
はい。大丈夫です。
○宮島委員
まず、この委員会は児童福祉法の第三条の二をどう具体化するかのための委員会だと。法律の改正を踏まえて、現実的にどうするのかを明らかにするための委員会だと認識しております。あと、その上で、市町村が主役だということは間違いないことだと思います。ただ、市町村にきちんと主体となって計画を練ってもらうには1年間はかなり厳しいのではないか。先送りすることはいけませんけれども、早くつくって内容のないものであってはいけないと思っております。
もう一点だけ、4ページの○の1つ目のところに「施設の多機能化等」というのがあるのですけれども、児童福祉法の三条の二は、施設にあってもできるだけ家庭的な養育を進めると。たとえ期間は短縮したとしても、施設は家庭的な養育でなければならない。後ろのほうの部分もそうなのですが、多機能化が全面に出過ぎてしまって、当たり前の生活を保障するというということが落ちてしまいかねないのではないか。この1のところには「多機能化等」とあって「等」に含まれるというのでは余りにも弱過ぎる。「家庭的な養育」という言葉をここには入れていただきたい。そのように要望します。
○柏女委員長
ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本委員
高知県です。よろしくお願いします。
今回、資料を事前にいただくのがぎりぎりだったもので、各県には照会できていないので、前回の全国知事会でまとめた意見の反映状況とか、高知県独自の意見という形で発言させていただきたいと思っております。
まず、基本的考え方のほうで最後の○のところでございますけれども「地域により実情が異なっていること等、現場の実態も踏まえるともに」という形で、地域の実情に応じた取り組みとか対応を基本的な考えとして、全体を通じた中で盛り込んでいただいたと考えているところで、ここはすごくありがたいと思っております。
一方で、そうした考えの下で位置づけ全体を見させていただいたときに、2ページの最後のところでございますけれども「平成30年度(2018年度)中を目途とする都道府県計画の見直し」という記載で、平成30年度という目標年次が前回と同じく残っております。これは前回も申し上げましたように、現在の都道府県計画は、皆さん御承知のように各施設の計画を県のほうで調整してつくっているものでございまして、前回も1年以上かけてやっておるということがございますし、今日の見直しにも調整が必要となってまいります。
また、今回は、3ページ、記載事項のところで「(9)その他」を抜きますと8項目を記載するという形になっておりまして、この中では、先ほど来、重要なものだということでいろいろと話も出ていました市区町村における子ども家庭支援体制の構築に向けた都道府県の取り組みなども新たに計画に盛り込んでいかなくてはならない。新たに盛り込む事項もかなり多くなっております。盛り込む計画について、都道府県の内部だけで調整がつくものであればいいのですけれども、市区町村との調整などは、また多くの時間がかかるのではないかと考えております。
そういったさまざまなことを踏まえますと、十分な時間、先ほどほかの委員さんもおっしゃられていましたけれども、平成30年度と言ったらあと1年ちょっとしかありませんので、それも厳しいのではないかと。できるだけ平成30年度と決めつけるのではなく、もうちょっと柔軟な対応ができるような記載にしていただければと考えております。
あとは、この計画を各都道府県が策定して、里親、乳児院、児童養護施設などの関係者や、市区町村等の関係機関と連携して、計画を実効あるものとして積極的に推進していくために、どうしても国においてさまざまな面でしっかりとした財政的な支援をしていただくことが必要であると考えております。国における財政的な支援につきましても、基本的考え方の中にぜひ明記をしていただいて、全体を通じての基本スタンスといった形で明記をしていただいて、国に確実かつ十分な財政支援をお願いしたいと考えているところでございます。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。
では、奥山委員、お願いします。
○奥山委員
私のほうで19ページ以降に意見書を書いております。これは全部をお話しする時間がございませんので、十分これを御検討いただきたいのですけれども、この中で非常に重要なことを2つだけ、後でまた、別の項目ごとのところではなくて、全体のところで2つだけあるのですけれども、1つは一時保護と児相を一緒にしないでほしい。一時保護の問題は非常に大きいですし、一時保護は代替養育の一部でもあるので、一時保護は特出しで別にしてほしいというのがあります。
基本的考え方の中に、どうも中核市、特別区の話が出ていないので、それは入れていただきたいと思いますし、あと細かいところはぜひお読みいただいて、これも今日私がここでお話ししたということにしてほしいと思います。ここの中に書いてあることは、私が時間があれば言いたかったこととしてお受け取りいただきたいと思います。
○柏女委員長
ありがとうございます。
ほかの委員も意見書を出されておりますけれども、時間の関係でなかなか全部お話しできないことがあると思います。今、奥山委員がおっしゃっていただいたように、この意見書の中に書かれていることは、事務局のほうで、ここで発言があったこととして十分に参考にさせていただきたいと思います。
ほかはどうでしょうか。
では、井上委員と中村委員、お願いします。
○井上委員
私のほうは2点ほどお願いします。
1つは「井上委員提出資料」の5ページなのですが、こういった基本の考え方を述べるときに、改めて柏女先生のものを利用させていただいているのですが、この家庭養護優先の原則ということに関しても、赤線のところで「今後、児童相談所は、保護した子どもの委託先、つまり生活の場所を考えるとき、まず『家庭』を優先しなければならなくなる」。なぜ適当ではないのかの理由を具体的に挙げた上で、家庭で養育できない子どもの養育云々のところは「一部、適当でないケースは、『適当でない』理由を検証したうえで」と、こういった何をきちんとしなければいけないのかということを、文章として都道府県のほうに国として出していただくと、そこのところを押さえて次に行くということが起こると思います。ですので、私、市町村のほうでずっと長くやってきておりまして、担当が交代するのです。交代するたびに、そこが抜けていって引き継ぎがうまくいかないと消えていってしまいます。それがとてもよくないなと思っておりますので、お伝えしておきたいと思います。
もう一点は、話が飛ぶように聞こえるかもしれませんが、「こんにちは赤ちゃん訪問事業」で、平成20年からスタートして、母子保健の中でずっといい訪問の形態が続いていたのですけれども、実は平成25~26年ぐらい、5~6年たったところで、今、お話しした継承が切れてきた市町村、それがきちんと続けられた市町村、それが現在、平成29年、この時点になってすごく格差が出てきているポイントになっております。ですので、それも何をしなければいけないということが明確に伝えることがされていなかったのです。ですから、今回、子育て世代の包括支援センターのところで、もう一度母子保健のところでやり直している理由の一つは、そこの業務内容を明確にわかりやすく、最低限これだけはするということをしましょうということが大事ですということをお伝えしたいと思います。
○柏女委員長
私の文章を引用していただいてありがとうございました。
中村委員、お願いします。次に橋本委員ですね。
○中村委員
3つあります。
1つ目が、基本的考え方の部分になるのですが、やはり松本先生もおっしゃったみたいに、子どもの権利の主体という部分は盛り込んでいただいたほうがいいのかなと。一応「児童の権利、ニーズを優先し」と書いていただいているのですけれども、この計画を進める中で、子どもがいつも中心に考えられないといけないと思います。そうでなくなる可能性がとても高いなと、とても心配に思っています。基本的考え方に書いていただくとなると、児童のニーズに合ったとか「児童のニーズ」という言葉がたくさん出てきていますが、この児童のニーズというのは、やはり子どもの声が反映されているということが必要なのではないかなと思うのです。そうなると、子どもの声を反映したという部分がどこかで入るといいなと。
あと、最後の3点目は、適切な声を反映しというような、当事者の意見が適切に反映される必要があると書いていただいているのですが、多分、この適切に反映されるという方法というものが、各自治体でかなり異なるだろうというところで、例えば複数名の当事者の意見を聞くとか、またはこの適切な部分に関しては、しっかり声を聞いていただけたらいいなというところで発言をさせていただきました。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。
橋本委員、どうぞ。
○橋本委員
ちょうど1時間ぐらいたちましたね。
今からの私の発言には、少々遡って最初のテーマである「基本的な視点」に絡む部分もあるかもしれませんが御容赦いただきたいと思います。
まず、数値目標についてですけれども、ビジョンが発出されてから、この間、里親委託率とか児童養護施設などへの在籍期間など、いわばアウトカム指標だけがずっと注目されて議論されてきました。ただ、本来はアウトカムを達成するための前提条件となるようなアウトプット指標とかインプット指標にこそ焦点を当てて優先的に議論すべきだったのかなと思います。
例えば、里親登録者の数的拡大に関する目標数値とか、市町村子ども家庭総合支援拠点あるいは児家センにかかる配置数、人員の拡大増加率、さらには退所児の社会的養護自立支援事業などの利用率、あるいは大学進学等の給付費制度などが最近新しく創出されましたけれども、こういう新たな制度の活用率みたいなものです。これらの数値目標も、利用者にとってはサービス選択権の保障や拡大、サービスの質の担保に直結する有効な指標なのではないかと思うのです。都道府県計画策定に当たって、衝撃的なアウトカムの数値目標を載せるか載せないか、激しい議論が続いていますけれども、アウトカム、アウトプット、インプットなど、多様な視点から段階を踏まえ、プライオリティーを勘案した総合的な検討が必要と考えます。
もう一点なのですけれども、前々回及び前回の専門委員会で、松本委員は、在宅児童、家庭へのさまざまな支援をパッケージにして、それに措置費という形でお金が回ってくる仕組みをつくるべきだと。しかも、この制度設計は、あくまで国の責任でなすべきであると提案されました。
また、宮島委員は、地域包括支援センターを例に挙げつつ、法的根拠や権限、財源を明示していくことで、子ども家庭総合支援拠点を飛躍的に充実させるべきである旨を訴えられました。
いずれもそのとおりであって、今後、ビジョンが絵に描いた餅とか蜃気楼にならないためには、国レベルでのこういう新たな社会資源の創出や、既存施策の応用、利活用を含めた施策効果を高めていくための継続的な検討が必要かなと思うところです。今回、都道府県に計画の策定をお願いするという際に、やはり国の責務というところもきちんと残した形で出していくべきと思います。
なお、その際には、近年、内閣府や文科省でも事業化されてきている子どもの貧困対策としての学習支援とか子ども食堂、さらには厚生労働省内でも部局間をまたいで議論されている地域包括ケアシステムとか地域共生社会実現に向けた議論をも視野に入れた検討が必要かなと思うところです。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございます。
今までのものも含めて、今、吉田委員が手を挙げていただいております。恐らく里親委託の関係ではないかと思うので、次にもいきたいと思います。
5ページの「(3)里親等委託の推進に向けた取組」、6ページの(4)、養子縁組関係、この2つのところに進めていき、かつ、前のところで御意見を申し上げたいという方がいらっしゃればお願いしたいと思います。
まず、吉田委員、それから相澤委員ということでお願いします。
○吉田委員
大きく3つ申し上げたいことがあります。
これから先、里親さんをたくさんふやしていくためには、地域の民生委員さん、特に児童委員さん、市町村でのソーシャルワークの人材、そういった方と里親との連携、今、民生委員さん、児童委員さんというのは、貧困家庭とかお年寄りももちろん含めてですけれども、そちらばかりに目を向けてありますので、実際に、今度は委託された里親さんへの支援のところで、そういう方を活用していただけたら里親としてはうれしいと思いますし、里親会ともそこでも連携をとっていただきたいと思います。
2点目に、前のページにありました包括的里親支援の中で、この中には里親会への支援も含めていただきたいと思います。里親の自助グループでありますので、そこに支援をしていただかないとなかなか機能するときに厳しいものがあるのではないかと思いますので、どこかにそういう文言を入れていただけたらありがたいと思います。
里親に委託される子どもへの支援、ここをぜひ大きく取り上げていただきたいのです。大人への支援もですけれども、子どもへの支援をどこかで入れていただきたいと思います。その点、児童の自立支援事業のことを次の6ページのところに書いていただきましたのは大変ありがたくて感謝いたします。
きのう、里親さんに会ったときに、養子縁組の里親さんたち、新たに2組の縁組さんと養育さんが研修を受けておりました。サロンにお見えになってお話しをしました。現実的には、縁組さんのほうが私の手応えの中では待っている方がたくさんいます。その方々へ実際に行く子どもがいるかどうか、やはりモチベーションが下がるので、皆さん、早く子どもと会いたいとおっしゃっていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○柏女委員長
ありがとうございます。
では、相澤委員、お願いします。
○相澤委員
私のほうからですけれども、私が出した資料の2ページ「これからの社会的養護における求められる専門性」ということで、現在の状況から将来の状況ということでございますけれども、やはりより困難な子どもたちを対象に里親委託が進められていく、推進されるということを考えたときには、やはり里親さん自身の専門性も高めていかなければいけないということになろうかと思います。そう考えたときには、例えば、専従里親というのがビジョンの中にありますけれども、今ですとマッチングをして、里親さんがちょっと難しいなと思うとお断りをするということができるわけです。実際にそういうことでは子どものニーズにきちんと応えることができるかどうかということを考えたときには、正当な理由がない限り委託を拒否しないようなプロフェッショナルな里親が必要になってくるだろうと。また、緊急一時保護とかに対応するようなことも考えていかなければいけないということになると、そういう里親さんもやはり必要になってくると。そういうことも今後は検討をきちんとしていかなければいけないのではないかということが1点。
次の3ページでございますけれども「留意事項:ゾーン整備による推進計画(記入例)」ということで、これは資料1の5ページのマル2の里親、ファミリーホームのiiiのところにも記されていますけれども「地域で里親委託を受けることができるなど、地域ごとの里親の確保にも配慮して行う」ということにもつながるわけでございますけれども、きちんとゾーンの整備による推進計画ということを考えていただいて、養育里親の登録数、例えば小学校区単位とか、専門里親の登録数は中学校区単位、里親の委託数がふえて、難しい子がふえれば、当然、専門里親の数をぐっとふやしていかなければいけない。そして、プロの里親も市町村単位ぐらいできちんと置いていくというようなシステムをきちんと考えた、ゾーンを考えた計画づくりも考えていただくということで、他の関係機関なども含め、そういうことも留意事項にきちんと入れていただきたいというのが2点目でございます。
もう一つ、P2の「2.基本的考え方」で「親子入所機能創設などのメニューも充実させて親子を分離しないケアの充実を図ることが求められる」と書いてあるわけです。やはり、今回の法改正で、良好な環境で生まれる権利を保障すべきということですので、生まれたときに全ての子どもが公平なスタートを切れるような保障が、本来ならば最も重要だと私は思うわけです。そうすると特定妊婦とか妊産婦、胎児期の子どもが分離されることなく、親子で出産前から自立まで受け入れられるような里親とか施設を整備するべきだと。私はこの課題への対応を一番優先すべきだと思っていまして、基本的な考え方としては書いてあるのですけれども、「4.項目ごとの見直し要領(骨子案)」のところにはその内容がほとんど書かれていないので具体的にそういう内容も入れ込んでいただくと、とてもありがたいということでございます。
以上でございます。
○柏女委員長
ありがとうございました。
ほかはございますか。
森下委員、それから卜藏委員、そして井上委員。
○森下委員
基本的な考え方のところに意見を述べます。子どもと家庭の状況によって、セーフティーネットとしての施設というあり方が大事になるので、それも基本的な考え方の中に含めていただきたいと思います。私の乳児院が預かっている状況でいいますと、ショートステイや一時保護、病後児保育という、家庭のいろいろな状況を乳児院は受け止めている状況があります。一時保護に関しては緊急で入る場合もありますし、ちょっと長くなるからショートステイから一時保護に変えてほしいという状況もあります。そういう子どもと家庭の状況をともらさず把握したという形にしていただきたいと思います。
また、入所の背景にある家庭の状況が変わってきているということも書いてほしいと思っています。先ほど桑原委員が発言なさったように、虐待が理由で入ってきている子どもは増えており、全国平均では乳児院の被虐待児の入所は3割ぐらいと言っていたのですけれども、私の乳児院では75%になっています。もとへ戻るかどうかはわかりませんが、乳児院で安心感を与えるなどして一時的に子どもの心を戻して、大人との信頼関係とか他人との信頼関係をこしらえて、それから次の段階へ移していくということを職員がみな必死にやっている状況なのです。そういうところも含んで書いていただきたいと思います。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございます。
では、卜藏委員、どうぞ。
○卜藏委員
ファミリーホーム協議会の卜藏です。
1点は、5ページのフォスタリング機関のところですけれども、これから家庭養護を広げていくために、当然、里親の開拓とともにファミリーホームの開設も進めていくことが必要になってくるのではないか。ここ何年かずっと見ると、毎年、ファミリーホームは30軒程度の増加になっています。ある程度の経験の長い里親さんからの立候補というのは少なくなって、施設職員の方であるとかあるいは比較的里親経験の短い中で、養育者の養育要件を満たしたという方の開設がふえています。フォスタリング機関の中で、ぜひ新しいファミリーホームの開拓というか、ある程度の経験を持って、この方はファミリーホームをやっていけるのではないかとかで、そういったところの呼び込みではないですけれども、そういった部分も担っていただけたらいいのかなというところと、あと、ファミリーホームならではのいろいろな課題とか心構えといった部分の基本的なところも研修の中で用意していただくとかいったことも、フォスタリング機関の中で考えていただけたらいいかと思います。
あと、里親を当然開拓していくわけですけれども、これまでですとほとんど登録希望者はそのまま、よほどのことがない限り通るということで、数ばかり多いけれどもなかなか委託されないという実態があったわけなのですけれども、そこの入り口を絞って、確実に委託できる方を登録に結びつけていくといった部分での入り口のところも考えていただきたいなと思います。
それともう一点、10月の委員会のときに申し上げたことなのですけれども、マル2のivのところで「ファミリーホームについては、養育者が里親登録を受けている場合に限ること」とありますけれども、なかなか家庭養護というところで、里親登録だけを条件にするというのは実際には少し不足するのではないかということです。一時的に養育者が住む家庭ではなくて、きちんと養育者が現に生活している家庭に迎え入れるのだというところもここにぜひ加えていただきたいというところがあります。
最後にもう一点なのですけれども、都道府県計画を立てていくに当たって、当然、今回の市町村の状況とか実態とかをきちんと把握した上で、それの積み上げで県が計画を立てていくということは必要になると思うのですけれども、そこの部分を件が計画を立てていくに当たって、市町村のそういった現状、実情をきちんと把握するというところを、言葉として何か入れ込んでいただきたいなというところを申し上げたいと思います。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。
では、井上委員、どうぞ。
○井上委員
今、卜藏委員が最後に言われたところにちょっと関係すると思うのですけども、私の資料の7ページをごらんください。
児童数の見込みのところの考え方なのですが、市町村の場合、これは母子保健のほうできちんと見ていくと、これぐらいパーセンテージで高く、その地域の子どもたちがフォローできるということなのです。その中から、実際に要対協に挙がっていった中で、市町村の中の要対協だけでフォローをやっていける分と、その後、児童相談所のほうに措置された方たちがどれぐらいいるのか、それをしっかり見ることによって初めて本当の数字というのが出てきます。
そして、必ずですが、その子どもたちあるいはその御家族は、市町村の中から必要に応じて措置をされて子ども分離という形になったとしても、その子どもはまた市町村に戻ってこられるわけなのです。ですので、そこの連携をきちんと押さえながら見ていって、そしてどうなったかというのを見ていかないと、なかなか本当の数字というのは出てこないのではないかと思います。
ですから、今の段階で、この平成29年、この時点での大まかな数字を出しなさいということでありますと、事務局が出してくださっているようなやり方で、今の数字を見ながらという格好になるのですが、これは国際のほうのISPCANが名古屋であったときに日本の統計のあり方の相談をしております。その中において、これはもう役に立たないということも、申しわけないのですけれどもはっきり言われているのです。ですので、今私がお話ししましたようなポピュレーションのほうで見ていったら初めて数字として使えるようになると思いますので、そして、この市町村の母子保健のところは、これだけフォローしていますので、このところにどのように見ればいいのかということをきちんとお伝えするだけで数字は出てくると思います。ですので、ぜひ盛り込んでいただけたらなと思います。
○柏女委員長
江口委員が先ほど視野の端に入りまして、それから桑原委員ですね。それから竹中委員。この3人が終わったら次のところに移っていきたいと思います。こちらばかり見ていて申しわけないです。
○江口委員
そうしたら簡潔に申し上げます。
里親委託の推進についてでございます。現場の実態を踏まえてと書いていただいておりますので、大阪府の実態を踏まえてずっとこの間、検証してまいりました。
フォスタリング機関が肝でございますので、これについては大阪では大体30~40万人に1カ所のフォスタリング機関が必要だと考えております。1支援機関が40家庭ぐらいを支援するのがほぼ限界かなと考えております。具体的に申しますと、フォスタリング機関が支援している里親さんが、夜中に子どもが物すごい高熱を出してどうしたらいいだろうというようなときに、現在、フォスタリング機関が夜中でも電話を受けて支援しております。そういったことも含めて考えますと、この程度の規模が大阪の実践を踏まえると必要なのではないかと考えております。
大阪の人口規模であれば、12カ所ということになるわけでございますけれども、先ほど出ておりますように、地域での連携体制、市町村とどうつないでいくのか、市町村の保健機関と丁寧なつなぎをしていっております。そうなると年度に1~2カ所設置していくのが限界と考えています。
ちなみに私の管内で機関を設立するときは、設立する前の半年間、児童相談所にそこの専従職員を受け入れまして、里親ケースワークを一緒にやっていくというプロセスを丁寧に踏みながらやってまいりました。そういうことが実態上担保できないと、質の高いフォスタリング機関が運営できないと考えています。
体制強化も必要でございまして、ケースワーカーの増員に加えて、心理士とか医療看護職の配置というところまで含めないと、これから里親委託に大きくスライドさせていくためには余りにも力不足と言わざるを得ないと考えております。
一方、前回申し上げましたように、里親はふやす数だけではなく、抹消されていく数も一定想定した形で推計しないとうまくいかないと考えております。何度も申し上げますように、里親さんの御家庭というのは実子の年齢が変わっていったり、御本人が高齢になられたりあるいは御病気になられたりと、さまざまな事情が細やかに変わっていきます。その辺を丁寧に追いかけないと、里親委託は実質的に保障されないと思いますので、その辺は丁寧な取り組みが必要だと考えております。
そういう意味において、現時点での体制、現時点での見込みとしては、引き続き現行計画の目標を上回る程度の数値目標を掲げるというのが、実効性のある、現時点での現実的な対応ではないかと考えております。
特別養子縁組につきましては、今、研究会も立ち上がっておりますので、法制度の改革にまずもって取り組んでいただきたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○柏女委員長
桑原委員、お願いします。
○桑原委員
私どもの地元では、子ども子育て支援事業計画の見直しのちょうど今中間見直しの作業をしていて、数日前にも会議がありましたが、その中でやはり社会的養育の問題がほとんど話題にも上がってこない、市町村の現場はそういう状況だと思います。
ただ、一方でこうやって里親にシフトしていくという流れは、当然これはその方向に動いていくのだろうと思うのですが、例えば、戦後に児童福祉法ができて、そして里親等の家庭養育の運営に関して通知が出されて、里親にシフトしていく動きがあったと思うのですが、結果的には1950年代の後半から集団養護に流れていった。1万人近くまで里親委託が進んだけれども、時代の背景は違うとしても、結果的にそこから集団養護の流れに切り替わった理由は何だったのかということでいきますと、やはり養子縁組が困難であるとかあるいは親のいるケースが多いことでなかなか調整が難しいだとか、課題を抱えた子どもの増加がそのころ言われて、不調に終わるケースが増え、里親へのシフトが前に進まなかったという苦い経験を持っているかと思います。
当時、児童養護もまだ生まれたばかりの時代だったと思うのです。今は戦争孤児を養育していた時代に比して虐待児童が増え、深刻で重篤な課題を抱える子どもたちが入所する時代になっています。そうした子どもたちが里親にシフトしていくということになると、先ほどから出ている相当な支援体制が必要になろうかと思います。児童養護施設は、戦後70年の歩みの中で一定の力を蓄えてきた一つの機関だと私は思っていて、そういうところをうまく利用しながら支援体制を作る必要があります。乳児院や児童養護施設をすべて脇に置いて、里親だけで養育できるものではない。社会資源としての乳児院や児童養護施設も大いに活用していただきながら、余り急ぎ過ぎてまた二の舞になることがないようにじっくりとやっていただきたいという気持ちです。
以上です。
○柏女委員長
竹中委員、お願いします。
○竹中委員
先ほど皆様、委員のほうからお話がありましたので端的にお話をしたいと思います。全体的な位置づけのところでは、児童の権利の保障のためにも、やはり財政支援や、市区長村や現場の施設の皆様からの意見というのを十分に伺って集約をしなければいけないというところがあります。計画を作成する立場としては、30年度中をめどというのは非常に厳しいのかなというのは実感です。
5ページの「(3)里親等委託の推進に向けた取組」の「マル2里親やファミリーホームで養育可能な児童数の見込み」の中で、一つ気になる点があります。ファミリーホームについてなのですけれども、「養育者が里親登録を受けている場合に限る」となっていますが、なぜ里親登録に限るのかというところが私としてはわかりません。実態がどうなっているのかといいますと、東京には法人型もありますけれども、特に問題などもなく、子どもからいろいろな意見を聞くこともない状況です。逆に里親の方がファミリーホームに移行して、その後、御高齢でやめられる、やっと増えたのにやめられて減っていくという状況もあります。このような現状から、拡大という意味では里親移行型だけでは足りないと思っています。「里親登録に限る」としたのは質の問題で、法人型も質を上げたほうがいいという意見であれば研修を受けるなど、さまざまなやり方があるのではないかと思っております。
もう一つ、その次の「なお、国においては、計画策定過程における都道府県からのヒアリングの実施や助言を行う。また、意欲的な目標を設定し、達成しようという取組に対しては」云々「重点的な配分を行うこと」とありますが、具体的に何を重点的な配分をされるのかがよくわかりません。これは財政的な支援を特別に配分されるという意味であれば、それぞれの地域で状況が違う中で、競わせるような表現は適正ではないと思っています。
先に進んで、6ページ、特別養子縁組のほうも、最後のiiiのところですけれども、「国としても成立件数の集計・公表を行うとともに、年間1,000人を目指す」としています。これは民間事業者が多い都道府県は必然的に多くなるわけで、公表は必要かもしれないのですけれども、そうした状況も踏まえて公表をしないと、違う意味に捉えられるというところが気になります。
私のほうからは以上です。
○柏女委員長
ありがとうございます。
それでは、次の6~7ページの施設関係のところも含めて、そこだけに限定はしませんけれども、御意見をいただきたい。
平井委員、平田委員、そして宮島委員、奥山委員、菅田委員。順番を忘れてしまうかもしれませんけれども、言ってください。
○平井委員
私のほうは(6)のあたりで、ここは2行しかないのですが、社会的養護自立支援事業、これは一応、今年度から既存の事業ということでございます。これは取り組んでいるところはまだまだ少ないと思うのですが、なかなか難しいという部分もございます。
それで、このビジョンも含めて、今回の推進計画の中に、この自立支援の体制強化ということであれば、各施設へ自立支援の担当職員を必置する。それと児相に自立支援の担当ワーカーをちゃんと必置する。それで、支援コーディネーターとも連携して、子どもの自立を図っていくということが必要だと思います。それに伴って、ビジョンにも少し出ていましたが、自立支援のガイドラインをきちんと作成していくということも必要かと思われます。
もう一点だけ、里親さんのことも出てきておりますので話しますが、やはり年齢の高い、特に高校生ぐらいの15歳を超えた子を、里親さんの委託がどれぐらいあるのかとう数字を私は存じ上げませんが、年齢の高い子はどうしても児童養護施設に措置が来るわけです。そうするとそこから児童養護施設も一生懸命、子どもの意見を尊重しながら自立へ向けてケアをしているわけです。そこから大学にも行かせたりということも現実にあるわけです。ですから、そこで計画の中には進学率を少し上げるとか、離職率を下げていく、もう一つは高校中退も下げていく。もう一点は、そういった社会の皆さん方で協力雇用主を開拓していくということも、子どもの自立に関しては私は必要かと思います。
以上でございます。
○柏女委員長
平田委員、お願いします。
○平田委員
まずは児童心理治療施設の特性のところに配慮していただきましてありがとうございます。前にも申しましたように、私たちはやはり、養護施設の本体施設に残るようなお子さんとか里親さんの支援というのをしっかりやっていきたいと思っております。
特に、私たちの施設に、ほかの養護施設から施設変更で来たお子さんと、里親さんでうまくいかなくて来たお子さんでいくと、里親から来たお子さんの傷つきがとてもひどいのです。奥山先生に怒られるかもしれませんけれども、3年ではなかなか大人に対する不信感みたいなのを回復するのには足りないぐらいのことがよくあります。
そういう中で、里親さんは理念としてはとてもいいと思うのです。特に乳児さんなどは本当に手厚くかかわることで成長していけると思うのですが、幼児さんぐらいになるともう記憶があって、僕はここにいなかったよねなどという話が出てきてしまいます。そういう中で、里親さんにお願いする以上、その支援体制というのは本当に幾らしてもし切れないぐらい手厚くきちんとやるべきだと思います。
なかなか将来的な計画がうまく立てられないのは、一つはどうしても人がたくさん要るのですが、その財政的なバックアップというのがどこまであるのかがちょっとわからない中で皆さん不安に思われて、なかなか計画が立てにくいところもあるのかと思うので、そこのあたりのところもきちんとしていただけるとありがたいなと思います。
以上です。
○柏女委員長
宮島委員、お願いします。
○宮島委員
ありがとうございます。里親のところで先ほどので残しているところと、あと施設のことで申し上げたいと思います。
里親委託の推進と養子縁組の推進のことに、この記述そのものには、私は特に問題ということはないのですけれども、また別途プロジェクトチームで検討して補足してくださるということですので、そこで補われることだと思っておりますが、3点、重なりますけれども申し上げたいところがあります。
1つは、支援から漏れる里親がないようにしなければならない。養育里親をとにかくふやさなければならない。そこを重点的に取り組むべきだと思いますけれども、養子縁組里親や親族里親や専門里親とかあるいはファミリーホームも含めて、支援から漏れる里親さんがないようにどうしてもしていかなければいけないと思っております。
あと、これは奥山先生が書いてくださっていますけれども、面会交流ができなければ、議員へ説明された時の資料の中にもあったと思うのですけれども、里親養育をふやすことはできないと思いますので、やはり面会交流の支援ということをきちんと踏まえたフォスタリング機関であるべきだと思っております。
もう一点は、先ほど他の先生からも御指摘がありましたけれども、里親は不調というのが現実問題で起こっている。これも奥山先生の資料でも措置変更等で25%ぐらいがそのように至っていると。非常に難しいものですし、子どもと里親さんを傷つけるものであると。里親を支援することの難しさや重さを前提にしたものであるべきだと思っております。
これも奥山先生の資料ですけれども、福岡市児相がこれだけ伸ばしたのですけれども、やはり12年、ある程度の水準まで行くのにかかっているのです。しかもここに選任のワーカーをちゃんと置いている。それでも頭打ちになっている。里親がふえればふえるほど問題がたくさん持ち込まれる。この里親養育を支援することの難しさ、重さを前提としたものとしなければならないと考えています。
以上が里親のことなのですけれども、施設のことに関しては、先ほども一度、総論のところで申し上げましたけれども、当たり前の生活を保障するというのがなくて、いきなり多機能化のような形になっておりますので、やはり施設養護の生活の重視ということ、当たり前の生活にするということをぜひともきちんと加えていただきたいと思います。
もう一点は、これから菅田先生がお話しになると思うのですけれども、母子生活支援施設の記述が2行でとても短いので、親子分離をしない母子生活支援施設の意義とか重要性をきちんと書くべきではないか、もう少し記述を充実させるべきではないかと思います。
以上です。
○柏女委員長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
社会的養護自立支援のところで意見を申し上げます。
自立支援のところの大きな問題あるいは代替養育の大きな問題、1つは年齢でぱちっと切れること。もう一つは、措置されたらそちらで頑張ってくださいねと言って、自治体なり公的機関の関与が切れがちであるということです。これはいろいろなばらつきがありますけれども、そんな中で、先ほどの桑原委員などの、施設でのいろいろな取り組みとか経験があるということだと思います。
一つは自立支援ところで、そういうことはずっと前の委員会あるいはビジョンのところでも議論されてきた。認識は共有されているだろうということを前提ですけれども、前のビジョンのところで54ページから55ページにかけて、こういうことをしていきましょうということが書いてあります。その中に、一つ自治体で行う自立支援に関するガイドラインの策定ということがあって、そこで自治体絡みのこともモデル事業も幾つかある。中でこういう検討を踏まえて、55ページでは「自治体レベルでの自立支援に関する検討組織の設置と『当事者』の参画」というようなことと、もう一つは「ケアリーバーの実態把握の自治体の責務化と毎年の公表の実施」というようにして、まず、出た後どうなっているのかということをきちんと自治体ごとに把握して、それを国レベルでも集約できるようにしましょうということと、そういうことを自治体レベルであるいは国レベルでもきちんと検討していけるあり方を考えるような組織をつくりましょうというようなことが提案であります。
その中で、もう一つは、前の専門委員会の松原委員会からの報告書あるいはビジョンのところでも、やはり公的関与をどうするかと。任せっぱなしにしないというところで、先ほどの御意見の中でも自治体のほうにきちんとワーカーなり担当者を置くということがありました。ですので、そのようなことをどのように進めていくかということをきちんと書くという中の一環として、例えばこういう支援事業があるとして、ここはもう少し丁寧に書かれるべきだと。特に自治体把握ということをきちんとやって、検討組織をつくるということを自治体レベル、国でもやっていくということからかと思います。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございます。
では、奥山委員、それから菅田委員でお願いします。
○奥山委員
里親さんのことも施設のこともそうなのですけれども、どのぐらいのニーズがあるのかということをまず先に考えて、そして今の数字からどのぐらい伸ばさなければいけないか、では、どういう計画で伸ばすのかというのを明確にするということを、22ページは里親さんの数で書いてありますが、23ページで「施設に入所しなければならないニーズがある子ども」というのは、2種類と限るべきであると言っています。これは家庭に対する拒否感が強い、特に大きなお子さんで、里親不調があったりと、先ほどの例などもそうだと思います。もう一種類が家庭ではケアが困難なお子さん、そういうお子さんに関してどのぐらい要るのかというところを、まずニーズを把握すべきだろうと思います。
そういうニーズがあり、現在があり、どうやって近づけるのだという議論が必要です。先ほど松本先生が、ケアリーバーの指標とおっしゃいましたけれども、では何で施設の入所が長期化になってしまうのかとかを含めて、例えば、里親さんあるいは養子縁組がうまく見つからないとかいろいろなことがあると思うので、そこがきちんとわかるように、年に1回、例えば、こういう理由で施設措置が継続になっているというのをチェックできるような1枚のシートで集計して、国として、なるほどここが今一番問題になっているのだなというのがわかるようなパラメーターをつくるというのが重要ではないかなと思います。
施設の小規模化については、小規模化かつ分散化が必要と言っていますけれども、「新しい社会的養育ビジョン」を読んでいただければわかるように、本当に養育が難しくて、例えば、医者とか心理士が何人もいなければならないようなお子さんたちに関しては、4人が1つのユニットになるようで、同じ場所に分散化しない形も一つ考えなければならないのではないかという提案もしておりますので、そこはきちんと把握をしていただきたいと思います。
そういう意味も含めて、ビジョンの中でも、今ある施設を潰して分散化しろとは言っていないのです。新しく施設をつくるときには、今までのようなまとまったところにあるのではなくて、地域に分散化した小規模施設をつくっていく方向でやってくださいということを書いてあるのです。
もう一つは、この中に児童心理施設に関しても書かれていますけれども、児童心理施設もやはり代替養育の施設ですから、増設をするときには小規模な生活単位ということをきちんと実行してくださいということを入れるべきではないかと思います。
○柏女委員長
菅田委員が先ですね。
○菅田委員
7ページのマル2のviに、何とか母子生活支援施設は2行潜り込めました。これは骨子案ですので、年度内に出す計画の見直し要領にはもうちょっと書き込んでいただけるとありがたいと思います。
先ほど宮島先生もおっしゃっていましたけれども、まず母子を分離することなく入所させて養育支援ができるということが母子生活支援施設の一つの強みですので、それを活かしてほしいと思います。あと特定妊婦のことについては見直し要領に載らないのですか。どうなのですか。そこが知りたいです。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございます。後でそれは答えていただく形にします。
では、桑原委員、短くお願いします。
○桑原委員
施設の外出しの問題、生活単位を地域に出すという話ですが、課題と将来像の前から、戦後ずっと小舎制でやってきた施設もあり、我が国の養育の形態というのもいろいろあると思うのです。課題と将来像で施設を小規模化していこうという流れが出て、そこに向かってずっと今歩いてきたという経緯があるわけですけれども、例えば、施設の敷地の塀の横に小規模児童養護施設があったりさまざまです。土地のないところはマンションスタイルだったり、そういう中で、一律に外出しという形でないと養育ができないのかということについては、もっと丁寧に議論していただきたい。
前回、私が申し上げたと思うのですが、同じ空間でやっておられるところなどは、本当に風通しさえよければ、職員が孤立せず相互にサポート体制ができているので、いろいろな困難児童でも対応できます。ただ、ビジョンで書かれているケアニーズが非常に高い児童については定員4人という数字が出てきていますが、重篤なケースばかりが1つの生活単位の中に4 人いると生活が成り立つのかという心配もあります。養育の形はいろいろあっていいと思うのです。外でなければだめ、本体施設の中ではおかしいというような根拠が私は腑に落ちないのです。
こういう形が自分の施設にとってはいいだろうという取り組みをすすめ、知恵を絞って施設づくりをしてこられた足跡がそれぞれの地域であるので、そのことをもうちょっとしっかり見届けた上で、最後のまとめをしてほしいと思います。
○柏女委員長
ありがとうございます。
それでは、時間の関係もありますので、最後、8~10ページのところ、児相、一時保護、そして区市町村の体制づくり、その他も含めて、そこに移りたいと思いますが、安部委員が手を挙げていらっしゃいましたのでお願いします。
○安部委員
市町村のほうで言おうか、今の施設の見込みのところで言おうかと思ったのですけれども、在宅支援を進める上でショートステイはとても大事な気がします。
江口先生の資料の12ページで、先生のところでショートステイで移行可能だったのが5%だったと言われたのですけれども、つまり、一時保護所がいっぱいなので、ぎりぎりにならないと一時保護をしてもらえない。そうなるとなかなか家に帰れないとか、家で見られないような状態になってから一時保護をするとなって施設に行くみたいな感じになってきてしまって、何が言いたいのかというと、レスパイト的な一時保護がもっと積極的にできると、逆に在宅支援も進むのではないかと思います。
そうすると、先ほどの6ページで、施設で養育可能な児童数ということとは逆に、施設を一時保護で使うという一方で、これから議論をされると思いますが、児童相談所、一時保護改革の話の中で、施設にそういうレスパイト的な機能をもっと持たせる、里親さんにもそれをお願いするということが、新しい社会福祉ビジョンの中にあったと思いますけれども、それを進めていくとなると、かなりの数が必要になっていくのではないかと思いました。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。
江口委員、それから奥山委員、林委員、松本委員、三代川委員、それでお願いします。
○江口委員
わかりました。
1つは市町村でございます。在宅のキーステーションであることは間違いないところでございますけれども、都道府県計画の中に市町村の計画をうまく取り込んでいけるというプロセスは、かなりの力量と市町村への支援の厚みが必要でございまして、単年度でできるのかというのは現場で非常に心配しているところでございます。
一方、ショートステイの問題は、安部委員が言っていただきましたように、これはこの間の委員会が終わった後、全センターの一時保護(委託含む)を調査しまして、全件点検せよということで拾いました。基準としては15日以内の一時保護で、かつ虐待以外の養護ケース、かなり絞って拾ったところでございます。7カ月間で56件、もう少し広がるのかなと。ショートステイをどこまでの範囲を拾うのかという問題がございますけれども、年間通算で行きますと約100件でございます。
この部分は非常にボリュームがあると理解しておりますので、これは強行性のある一時保護と、支援型のショートステイがうまく地域の中ですみ分けていくという体制がどうしても必要でございますので、この辺は十分考慮いただきたいなと考えております。例えば、お母さんが入院1週間であれば(ショートステイサービスで)いいのですけれども、2週間超になったら、それであれば一時保護所に切り替わるという、非常に子どもの生活の場所の継続性から考えても余りよろしくないという部分がございますので、この辺は上手に制度を拡充していただきたいなと思っているといるところでございます。
一時保護所でございますけれども、そういう意味で言いますと、今、さまざまなニーズを一挙に引き受けておるというところでございますし、虐待件数の急激な増加に伴って、前回もお伝えしましたように、夜間の保護がかなり続いております。中には子どもが非常に落ちつかないという場合には、前も言いましたように、うちの職員は月に数回、一時保護所に泊まり込んでおります。子どもが一時保護に納得するまであるいは子どもの自傷が非常に激しいがため、一時保護所で対応が非常に難しい子どもを何とか見ていくための体制のためには、ケースワーカーが泊まり込んで、そして翌日は普通の出勤をしなければならないということが恒常的に起こっております。
こういった一時保護所の現場の実情を踏まえまして、体制整備をどうするのかあるいは職員の配置基準をどうするのか、それに伴う財政措置をどうしていただけるのかあるいは一時保護専用施設という言葉も出てきておりましたけれども、実際、そこにどのような機能を持たせ、どのような課題に向き合っていくのかの緻密な積み上げがないと、私たち児童相談所としては一時保護というのが非常にケースワークの展開上、キーになる機能でございますので。もちろん別立てでやるべき(綿密に現場の意見を踏まえた検討が必要な)事項ではございますけれども、一方、児童相談所の一時保護の権限と非常に密接につながっておりますので、この辺は一体的に十分な議論をしていただきたいというのが強い希望でございます。
最後に、現在、大阪では1人のケースワーカーが大体60~70名の措置児童を担当しております。年に1回は必ず子どもに会いに行け、年に1回は子どもの施設に出向けということで徹底しておりますが、これを数回行きますと、ほぼ年間、毎日施設に行くという現状でございます。これにケアの厚みとか援助計画の見直しとかを丁寧にするだけの人員配置がされている状況ではございません。この辺を、それに見合った配置をぜひお願いしたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○柏女委員長
奥山委員、お願いします。
○奥山委員
まず、児童相談所と一時保護所を分けてほしいというのは先ほど言いました。
中核市、特別区は、国会の答弁を見ても、全ての中核市、特別区が持てるようになるために、この附則を置いたのだという目的が書かれていますから、その目的を明確にしていただきたいと思います。
一時保護に関しましては、今、お話があったように、一時保護が手厚くなっていないので、本当に手厚くしてほしいというのが私の思いなのです。それを前提として、例えば、委託一時保護になる率とか、どのぐらいの子どもが委託されているのかあるいは閉鎖空間に一時保護しなければならないのは、どのぐらいの日程で、どのぐらいの割合が要るのかといったことがきちんと、先ほど言ったようなパラメーターとして上がってくるような手法をとってほしいと考えます。その定義もきちんとしてやっていくべきだと。これは一時保護所における子どもの権利保障というところで非常に重要なことになってくると思います。
次へ行きまして、市区町村になぜか家庭総合支援拠点と児家センのことだけがぽんぽんと載っているのですけれども、市区町全体、もっと書くことがあると思います。
もう一つ、児家センに関してなのですけれども、児家センで一番重要なことは、児家センの機能強化であって、数だけふやせばいいというものではないと思うので、児家センの機能強化をきちんと書き込むべきと思います。
最後の「(9)その他」なのですけれども、アドボカシーの問題は非常に重要だと思っています。ビジョンの中でも言わせていただいていますけれども、ビジョンの中で取り上げているアドボカシー、特に代替養育の子どもあるいはもっと言えば、在宅措置あるいは在宅で支援している子どももそうだと思うのですけれども、アドボカシーとして子どもの意見を聞くのはサービス提供者が聞くのではない、第三者が聞く制度をきちんとつくっていくということが重要なので、そこは明確にしていただきたいと思います。
○柏女委員長
林委員、どうぞ。
○林委員
2点ほどです。
1つは、ショートステイについてです。現状の子ども・子育て支援制度に基づくショートステイという枠組みを超えて、要支援家庭に特化した、つまり現状のショートステイには利用料が発生したりあるいは利用対象児の年齢規定が限定化されている市町村が多いかと思います。そういうことで言うと、都道府県なども含めてショートステイ里親というのがビジョンの中で提言されていたりあるいはその市町村の中には宿泊機能つきの学童クラブなどもあるわけです。そういうことを考えたときにショートステイという名称をそのまま使うのがいいのか、新たな要支援ニーズに特化したショートステイという表現がいいのかなと思いました。
そのことと関連して、9ページの(8)の1つ目の○の下から3行目あたりの「市町村が中心となって実施している子どもに対する在宅支援サービス」という中に、恐らくここの表現が、市町村が中心となってあるいは都道府県と財政的に連携して実施している、子どもに特化した直接的な支援サービス及び保護者支援サービスの先駆事例などもたくさんあると思うのです。そういう先駆事例を明らかにしておかないと、現制度に基づいたものだけでは出てこない先駆的な事例集みたいなものも、その中で取り上げていただけたらなと思います。
最後の、アドボカシーのところなのですけれども、ビジョンの中では「アドボケイト」という表現をしていたと思うのですけれども、それはパーソナル・アドボケイトを意味していて、奥山委員が言われた第三者性を入れたような表現だったと思うのです。これは一時保護された後の子どもの不服申し立てという感じだと思うのです。でも、それは措置過程からずっと寄り添うようなパーソナル・アドボケイトを意味していていたのではないかなと思います。
以上です。
○柏女委員長
では、松本委員、お願いします。
○松本委員
2点です。1点は、市区町村の体制強化のことです。もう一つは、最後の「(9)その他」になっているアドボケイトのところであります
1点目のところで、ほかの何人の方からも出ていますけれども、これは2つとも事業で、これをどのように推進するかということが、それはそれで大事なことだと思うのですけれども、在宅支援をどう強化していくのか、そのために自治体がどういう責任を果たして仕事をしていくのかと。そこをきちんと考えないと、代替養育のことだけでは議論できませんというのが今回の大きな趣旨だと思いますので、そういう点で考えますと、在宅支援をどのように強化をしていくのか、そのときにそれぞれの自治体でどういうリソースを配置していくべきだと考えるのかという全体の計画があって、その中に拠点とかセンターをどう位置づけるのかと。あるいはほかのこともどう位置づけるのかという計画を立てるような枠組みを示すということが大事ではないかと思っています。
そのときに、先ほど相澤委員がゾーンというような言葉を出されましたけれども、どういう地区単位でそれを考えるのかと。それこそ都道府県の実情に応じてかなり違うかと思いますけれども、例えば学区とかあるいは幾つかの学校を組み合わせるとか、どういう地域を単位としてどういう資源が必要かということをきちんと考えてくださいと。その中に代替養育の資源もきちんと入れましょうという話が大事だと思います。
そういう在宅支援の強化がある、ないで、またそこの対象の自立支援のあり方も変わりますし、施設に預けっぱなしではなくて、そこは自治体とどのようにきちんと連携していけるのかと。在宅の支援があるかで、先ほどおっしゃったような施設の御苦労の中身も変わってくると思うのです。そこのところをどうするのかということが大きなことだと。それが1点です。
そうすると、その中で、これはビジョンのところで53ページなのですけれども、工程の市区町村の子ども支援家庭の構築というところで、かなり総合的な計画をいろいろ構想を立ててくださいねと。その構想を策定するに当たって、保健と福祉の協働、教育との連携、保健師の役割が適切に組み込まれているものとすると考えて「市町村は、上記構想を平成36年度までに実現することとし、都道府県はそれをモニタリングし、支援を行う」とありますので、それは先ほど奥山委員がパラメーターという言葉でおっしゃいましたけれども、どういう指標をきちんとつかまえていくのかということを、今ここでというよりも検討するような組織をつくって、きちんと推進体制を評価していけるような枠組みをつくるということはもう一つ残った大変大事な課題だと思っております。3月に向けていくのか、それとも少しおくれて来年度のどこかで出していくのかということは別にして、そこは先ほど自立支援のところで実態がわかるような枠組みをきちんとつくるということとも連動するかと思います。
2点目で、その他扱いでのアドボカシーと書いてあるのですけれども、これはその他ではなくて、アドボケイトの問題はきちんとそういう項目として入れるということと、もう一つは、私は当事者の参加ということを、それは例えば自立支援のところの委員会でそういうことをつくっていきましょうという方向を書く中で、やはりアドボケイトをきちんと制度として準備していくと。それを整備していきましょうという方向を出すということと、そのときに都道府県の実情に応じているわけではなくて、それはどこでも必要なことだと考えたほうがいいのではないかと私は思っています。
以上です。
○柏女委員長
三代川委員、お願いします。
○三代川委員
大体、同じような意見が出されたのですけれども、児童福祉法の改正においても、市町村の役割の一つとして、この児童虐待の発生予防というところがうたわれておりますので、そのための妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援という形で、先般の千葉大会でも本市の取り組みとして、妊娠期からの虐待予防というのを発表させていただいております。
各市町村においては、例えば本市の状況ですと、本委員会の委員長でもあります柏女先生にも大変御尽力いただいて、千葉県初の虐待防止条例というのを浦安市のほうは平成24 年に制定しております。また、平成26年度からは、既に切れ目のない支援ということで、保健師とケアマネージャーによる子育てケアプランの作成ということでの予防ということをやらせていただいております。
こういった意味で、各現場の市町村はいろいろなアイデアを持って、第一にハイリスクに至る前の、実親の養育を基本とした親子分離をさせないということを前提とした予防に向けての取り組みを行っておりますので、この市町村の(8)の部分については、マル1、マル2というのももちろんなのですけれども、そのほかにも予防における取り組みというような部分を入れるように、都道府県のほうは十分その意見を反映したものにしてもらいたいというのが1つと、できれば基本的な考えの中に予防という部分を本来は入れてほしいなと思っております。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございます。
では、最後、相澤委員、お願いします。
○相澤委員
皆さんから意見が出ましたけれども、やはりアドボカシーがその他というのはいかがなものかなと私も思いまして、これまでの取組や今回の法改正などを踏まえますと、子どもが権利の主体ということを中心において考えるべきです。
子どもの権利主体について以前は全然考えていなかったかというと、そんなことはなくて、ずっと考えてきた問題でございます。それを一番大切にして我々はここまで議論してきたわけでございますので、それを中心に考えてきたということを踏まえて、都道府県計画の記載事項や項目ごとの見直し要領の最初のほうにきちんと掲げて、これは考え方の中心なのだ、子どもの権利擁護という観点を大切にし、新たにアドボカシーを加えようということで、そこを強調してもいいのではないかと思いました。
以上です。
○柏女委員長
では、青木委員、きょう御発言がないので、どうぞ。
○青木委員
全児協の青木です。
全児協としてということではないのですけれども、「代替養育を必要とする児童数の見込み」というところで、前々回の本委員会でも柏女委員長からもお話があったかと思いますけれども、障害児の数はどうするつもりか。例えば、今回は入れないとか、認識がないとか、今回は入れないけれども別の機会で検討するとか、何かしら障害児のことについての言及があっていいのかなと思いました。
以上です。
○柏女委員長
ありがとうございました。
もう時間が来ておりますけれども、では、この3人で終了という形にしたいと思います。
では、山本委員、どうぞ。
○山本委員
1点だけ。
5ページのマル2のvのところです。
国の財政的な支援のところですけれども、先ほど申し上げましたように、国のほうにしっかりと財政的支援はお願いしたいという前提のもとに立ってでございますけれども、このマル2のvのところには、意欲的な目標をまずは設定して、その達成度合いに応じて支援の重点的な配分を行うことを検討というような形になっております。この意欲的というのがどういったものになるのかとか、その重点的配分というのがどの程度を想定されているかいったところが具体的にわからない中での意見なのですけれども、自分らなりに考えたところでは、その上のiiのところの、国全体としてはできるだけ早く75%以上とか50%以上、これらの国の目標数値がありきと言ったらおかしいですけれども、そちらのほうへの誘導的な仕組みになるのではないかと考えておるところでございます。補助のスキームとして誘導的なものもいろいろございますが、この社会的養育の分野につきましては、地域によって資源とかもさまざまでございますので、そもそも現状でも目いっぱいの高い数字を掲げておられて、それ以上の高い目標が掲げられないといった場合にはどうなのかということもございます。
それよりも、まずはこの誘導と言いますかインセンティブが過度に働き過ぎますと、数値目標だったり達成度合いということで、結果が目的化してしまって、最優先に考えなければならない子どもの処遇とかが置き去りにされないかというところも若干危惧されるところでございます。里親不調が多くなるといったところが危惧されるところでございますので、基本は、通常、今やられているように、事業費に応じた補助スキームでやるのが社会的養育の世界では大事かなと考えているところでございます。
○柏女委員長
では、吉田委員、どうぞ。
○吉田委員
2点だけ言わせてください。
例えば、1人の子どもを預かっている里親宅に、地域の子どもが、うろうろしているから里子の子どもが泊まりに来たらいけないかと聞きます。里親は勝手には預かれないと言っていますので、ぜひ、ショートステイとか何かで活用できるようなことも考えていただきたいと思います。
2点目、よく子どもたちが児相に言いたいと。言っていいよ、言いたいことを言いなさいと言いますが、言ってもどうせ聞いてくれないものという答えをしょっちゅう言っておりますので、子どもの権利擁護から、訴える先みたいなものを1カ所、何か決めていただけたらいいのではないかというのが、守る立場からはそのように思っています。
○柏女委員長
では、奥山委員、どうぞ。
○奥山委員
あと2つ資料を持ってきていて、説明できていなかったので、37ページからはもう既に長野県では、かなり乳児院のほうで全県が一緒になって進めていく方向がとられていますということを、上鹿渡先生からの資料をいただいて挙げています。
次は横浜市のほうで、これは待機児童です。代替養育に入れなかった待機児童が平成25年は198人いたというのが47ページに出ているので、とりあえずこんなことも資料として必要と思ったので出しました。
私が最後に言いたいのは、先ほどアドボカシーのことを第三者と言ったのは、確かにここに書いてあることを言うと第三者性があるアドボカシー制度をきちんとしなければいけないと思います。それとは別に、新たな子ども家庭福祉に関する専門委員会で、児童福祉審議会のほうでそういう意見をきちんと受け取って、児童相談所が子どもの権利保障をしていない場合に審査できるような形にしてあるはずなのです。そのための法改正も行っているのです。その形は今後できていくと思うのですけれども、そのことがこの中に記載されていません。それは子どもだけではなくて関係機関もという形で考えらているものです。
もう一つは、ここで書いてあるのはパーソナルなアドボカシーと、先ほど林先生がおっしゃったそのままなのですけれども、もう一つ、都道府県が施策を決めていくときに、施策の決定にかかわるところも子どもの意見が反映されなければならないというのはやはりアドボカシーの考え方だと思いますので、そこも一つ入れておいたほうがいいのではないかと思いました。
○柏女委員長
ありがとうございます。
時間が5分オーバーしてしまいましたが、事務局のほうにも質問があったので、それも踏まえて総括的にコメントを頂戴できればと思います。
私のほうからもきょうの議論を聞いていて、混乱があるかなと思ったので、これも事務局に確認です。今回のものは見直しの骨子ということですので、これは何を見直すのかというと大きく2つあるわけですね。都道府県の養育計画、これが通知計画です。厚労省の家庭福祉課が中心になってやっているもの。
もう一つ、法定計画があって、それは都道府県子ども・子育て支援事業支援計画があって、そこの指針を出されているわけで、そこには権利擁護の問題とか自立支援の問題とかの計画をつくることが決まっているわけで、それに基づいて都道府県は計画をつくっていて、これは内閣府のほうで所管をしているということになりますので、この見直しがどこに反映するのかということです。これは見直しのあくまで案なので、見直しをしていくときに、もともとあるものを書きかえていくという形ですので、それを書きかえる場所が2つありますので、そこは整理をしていただきたいと思います。
もう一つは、市町村の計画が、今ちょうど見直しをされていて終わってしまう形になるわけですけれども、ここにどのように反映させていくのか、市町村計画の見直しについてはどのようにしていくのかということも、今わかれば、お考えがあれば出していただければ。検討するということであれば次回でも結構です。
もう一つは、障害児支援計画が今年度中に策定されることになります。先ほど青木委員が、障害児の入所施設の問題とか虐待の問題をどうしていくのかというお話がありました。これも今年度中に障害児入所施設の改革方法については3年間の計画が今年度中にもでき上ってしまうという形になるわけですけれども、そこに、ここでの議論が関与していくのかあるいは最初に私が申し上げましたけれども、障害児の入所施設関係をどうするのかということをどのように、今後反映させていくのか、その辺についても少し大枠をお知らせいただけるとありがたいなと思っております。
先ほど菅田委員のほうから質問がありましたけれども、それらも含めて包括的にコメントを頂戴できればと思います。
○成松家庭福祉課長
ありがとうございました。
柏女委員長から御質問のありました、都道府県の推進計画と子ども・子育て支援計画というのの関係と、今回の見直しの関係というお話がございました。
まず、最初に推進計画と法定計画の関係というのが、先生がおっしゃったように、施設の小規模化とかあるいは里親の推進という部分が、これまでの都道府県推進計画の主な内容でございまして、その部分と、先ほどの子ども・子育て計画が少し幅広くなっていると。権利擁護といったものが書いていてということになっています。
今回、見直しをさせていただくことになりますけれども、まずは推進計画にどういった項目を入れ込んでいくかということになると思います。まさしく今回御議論いただいているのは、これまでの施設の小規模化あるいは里親委託の推進以外にも、いろいろなアドボカシーとか自立支援の部分も含んで推進計画をつくっていこう、あるいはそれを見直していこうという形になっていますので、推進計画は推進計画で見直していただくとしても、子ども・子育て支援計画のほうも実際、この計画と整合性をとって見直していただくことになると思いますので、その辺は我々は内閣府ともしっかりと連携をして、子ども・子育て支援事業計画の基本指針とかもあわせて、この検討委員会で御議論いただいた内容を子ども・子育ての支援計画のほうにもどのように反映していくかというところはしっかり内閣府とも相談していきたいと思っております。
もう一つが、市町村の計画でございます。先ほど先生がおっしゃっていただいたように、ちょうど、今、子ども・子育て支援事業計画というのが市町村で施行後3年の中間見直しが行われたという状況でございます。施行後3年の中間見直しが行われたという現状と、今回、社会的養育の関係で見直していただくというのが相当連続するものですから、そういった中でどういった形、どういった見直しの仕方がいいのかなというところの論点があると思います。市町村さんに連続して、ことし見直ししていただいてあるいは来年度、社会的養育の関係で見直していただくとすると、また再来年度に、今度は計画のほうの5年間の周期を迎えますので、そういった意味で3年間の連続になるという形になりますので、そこは十分に見直しの方法について配慮しなければならないのではないかと思います。そのあたりも含めて、口頭で説明しましたけれども、また次回、わかりやすく資料等でお示しさせていただければと思います。
障害児の関係でございますが、青木先生あるいは柏女先生から以前から御指摘いただいているところでございますし、また、いろいろな方から、この関係も含めてしっかり考えていかなければならないという御指摘をいただいているところでございますが、非常に幅広い御議論というか、またこれはこれで非常に大きな議論をしなければならないと考えておりますので、最初に議論の仕方として仕分けをさせていただいたときに、障害児の関係は、今やっているような計画に関する議論が終わってから、障害児施策との連携についてはしっかり検討を深めていきましょうということで整理をさせていただいていますので、その整理の中で考えていきたいと思います。
それが柏女先生の御質問に対する回答になりますが、さらに菅田先生を初め特定妊婦の関係の御指摘がございました。少しその視点はまだ書けていないところでございますので、その辺、どこまで書けるかというところを整理させていただいて、次回の検討委員会に提示をさせていただければと思います。
それ以外にも、今回、いろいろな御指摘がございました。もう少し書き込むべきだとかつけ加えるべきだとか、まだまだ抜けている視点とかもいろいろございました。まだまだ委員の皆さんの中でも御意見が必ずしも一致していないという部分があると思います。そのあたりも含めて事務局のほうで整理をさせていただいて、次回の検討委員会のほうで骨子案第二版というか、修正した骨子案を御提示させていただければと思います。
以上でございます。
○柏女委員長
ありがとうございます。
きょうも建設的な御意見もたくさん頂戴いたしましたので、ぜひそれらも御検討いただければと思います。
それでは、最後に事務局のほうから、次回の日程等についての連絡事項がありましたら、お願いしたいと思います。
○成松家庭福祉課長
次回の日程につきましては、また調整の上で御連絡したいと思います。よろしくお願いいします。
○柏女委員長
それでは、きょうはこれで終了とさせていただきます。
15分オーバーしてしまいました。進行に不手際がございまして申しわけございませんでした。
それでは、どうぞ皆さん、よいお年をお迎えください。来年も熱い議論をしていきましょう。
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