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2021年11月5日 社会保障審議会障害者部会(第121回)議事録
社会・援護局障害保健福祉部
○日時
令和3年11月5日(金)15:00~17:45
○場所
ベルサール飯田橋駅前
東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル1階
○出席者
菊池馨実部会長、阿部一彦委員、阿由葉寛委員、安藤信哉委員、石野富志三郎委員、井上博委員、江澤和彦委員、岡田久実子委員、菊本圭一委員、久保厚子委員、小﨑慶介委員、小林真理子委員、齋藤訓子委員、酒井大介委員、櫻木章司委員、白江浩委員、新保美香委員、陶山えつ子委員、飛松好子委員、丹羽彩文委員、藤井千代委員、小阪参考人、高橋参考人、吉泉参考人、渡辺参考人
○議事
○菊池部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第121回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
皆様、こんにちは。本日も、御多忙のところ集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
議事に入る前に、本日の会議については、こちらの会場とオンラインで開催いたします。事務局においては、資料説明はできるだけ分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
いつもながら恐縮ですが、各委員からの発言についてお願いがございます。最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方は、Zoomの「手を挙げる」機能を使用してください。私の指名により発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言をいただきたいと存じます。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお話しください。また、会場の方はできるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は、必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
それでは、事務局より委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○矢田貝企画課長 企画課長の矢田貝です。
委員の状況についてでございますが、本日の出席状況につきまして、沖倉委員、野澤委員、吉川委員より、御都合により欠席との御連絡をいただいております。
また、内布委員の代理として小阪参考人、黒岩委員の代理として高橋参考人、竹下委員の代理として吉泉参考人、永松委員の代理として渡辺参考人に御出席いただいております。
なお、阿部委員、岡田委員につきましては、遅れて御出席いただく予定となっております。
本日の資料でございますが、議事次第のほか、資料1と2の資料となります。
万が一これらの資料が表示されないなどの場合がございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
事務局からは以上でございます。
○菊池部会長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
議題1の資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○河村地域生活支援推進室長 地域生活支援推進室長でございます。
資料1に基づきまして、地域生活支援拠点関係の御説明をさせていただきます。
まず2ページでございます。現状と課題と検討事項の論点について書かせていただいておりますが、こちらの資料は7月の障害者部会でお出ししたものと基本は同じでございます。アンダーラインを引かせていただいている箇所のみ更新させていただいておりまして、直近の地域生活支援拠点の整備状況ですけれども、令和3年4月時点で922市町村が整備済みとなっております。ほかの整備未定等となっている市町村についての詳細は、後ほど後ろのページで御説明させていただきたいと思います。
3ページ以降が今回新たに追加させていただいている内容でございます。
地域生活支援拠点の整備の推進に向けてどう進めていくかという点について、まず1つ目の○ですけれども、法令上の位置づけの明確化等に取り組んではどうかということで書かせていただいております。現在、拠点については、障害福祉計画の基本指針や、基本的な備えるべき機能等については通知でお示しして整備を推進してきたところでございます。その一方で、一部の市町村での整備にとどまっている状況がございまして、私どもも市町村現場の方になかなか整備が進まない状況についていろいろとお伺いいたしますと、当然ながら市町村さんとしても新たに拠点を整備していろいろなコーディネーターさん等の財政負担をしていこうとしますと、市町村の役場の中で財政当局に対して説明をして予算を取ってくるという工程が必要になるわけですけれども、そういった一方で、拠点の位置づけというのが、基本通知でいろいろと果たすべき機能等を書いている中でなかなか伝わりづらいというようなお話も聞くところであります。
こういった状況の中で、下線の部分でございますけれども、さらなる整備の推進に向けて、拠点について法令上の位置づけの明確化を検討してはどうかと。その際に、現行の障害福祉計画の基本指針の中で、令和5年度末までの間、各市町村または各圏域に1つ以上の拠点の確保を求めてきているということ。また、その機能の充実に向けて、年1回以上の運用状況の検証、検討を基本とするとしてきているというこれまでの経過も踏まえて、市町村における整備の努力義務化についてまず検討してはどうかという提案をさせていただいております。
次の○ですけれども、地域生活支援拠点のもともとの果たすべき役割ですけれども、障害者等の重度化・高齢化、また、親亡き後に備えるということが大変重要なコンセプトとして設けられてきているところでございます。障害のある方の入所施設や病院からの地域移行を進めるというために、きちんと重度障害の方にも対応できる専門性を有した上で、地域の生活の中で生じる様々な緊急事態に対応を行っていくというものであること。
具体的には、(1)として緊急時の相談やショートステイの活用を可能にすることによって、地域における生活の安心感を担保する機能を備える。
また、(2)ですけれども、体験の機会提供等を通じて、施設、親元からのグループホームや一人暮らし等、生活の場を変えていくことの移行をしやすくする体制を整備するということを通じて、障害のある方が地域で生活し続けられる、また、地域で生活することにシフトしていくことができるようにするということを目的としてきているところですけれども、こうした目的を十分に踏まえて、拠点が備えるべき具体的な機能・役割について、地域の関係機関との関係整理も含めて十分にさらに検討してはどうかと。
ここは、自治体さん等の声を聴く中で、基幹相談支援センターや協議会等、言ってみれば一部重なる機能を持っている関係機関との関係において、逆に言いますと、基幹相談支援センターがあるから拠点は要らないのではないかとかといった議論が役場の中でも起こりやすいというお声も聴く中で、こういった様々な役割に関して、場合によっては濃淡ということもあるかもしれませんが、地域の関係機関との関係整理を含めてきちんと検討していってはどうかということをまず書かせていただいております。
その上で、最後の○でございますけれども、これまで地域生活支援拠点に対しては、基本的に報酬上の加算や地域生活支援事業の補助金の中での補助の活用をベースにやってきておりますけれども、やはり財政的なところ、特に財政力が相対的に厳しい小規模市町村さんにおいてなかなか進んでいないという現状も踏まえますと、市町村が自分から主導的に拠点の整備、機能強化を図るという観点、また、何よりも、先ほど御説明したような地域生活支援拠点に期待されている地域生活を支えるという役割をきちんと果たしていくことができるような体制整備を図るという観点で、報酬も含めて必要な財政的なバックアップを検討していく必要があるのではないかという視点を書かせていただいております。
続きまして、4ページです。地域生活支援拠点の標準的な評価指標あるいは評価プロセスの提示として、1つ目の○でございますけれども、委員の皆様からもいただいておりますが、拠点についてまずはつくろうということで、つくったのだけれども形式的な整備にとどまっているという御指摘がございます。こういった観点から、市町村が地域の利用者や家族等からきちんとニーズを把握して、把握したニーズに沿った機能を兼ね備えているのかどうかということを検証して、機能強化を図っていくということは、設置をしたところがゴールではなくて、そこからさらに進めていかないといけませんので、現在、令和3年度の推進事業の中でこういったPDCAサイクルを通じて継続的に検証・検討をするというための標準的な評価指標や評価のプロセスの検討を進めているところでございます。
この研究事業の成果も踏まえて、こういった検証や評価の仕組みについて、きちんと拠点の機能の充実に向けて仕組み上も取り込んでいくということが必要なのではないかという問題提起をさせていただいております。
また、その次の○です。市町村に対する働きかけとして、引き続き国としても地域生活支援拠点の整備、機能の充実等の働きかけをするということと、やはり好事例として、私どもは地域生活支援拠点を創設した当時にいち早く整備をされたところの好事例はつくっているところでございますけれども、直近の状況変化も踏まえた上で、改めてそういう事例提供等も含めて国としても働きかける必要があるのではないかと考えているところでございます。
後ろのページにつけさせていただいているものは以前もお出ししたものが多いのですけれども、一部御紹介させていただきますと、7ページは今年4月1日時点の整備状況等の調査の結果でございます。
まずマル1が地域生活支援拠点の整備数ですけれども、全国1,741あるうち、4月1日時点で整備済みが先ほど御紹介させていただいた922市町村で、特に小規模のところが多いのですが、圏域で整備をするといってみんなで寄り合って一つのものを設置するということも可能でございますので、そういった形で整備をしているというところは118圏域の501市町村が含まれております。令和3年度末までに整備予定というところは1割ぐらい、4年度に整備をしようというところも1割弱あるわけですけれども、その他というなかなか整備予定を決めかねていらっしゃる市町村さんも3割ぐらいある現状になっております。
続いて、その次のマル2ですけれども、整備類型でございます。多機能拠点整備型という基本ワンストップで一か所で多機能でやっていくというところが4%ぐらいになっておりまして、多くのところは面的整備型というそれぞれの拠点に参画してもらう事業者さんとネットワークを組んで様々な機能を果たしていくというタイプになっております。ですので、こういった面的整備の場合に、上手にネットワークを組んで機能を果たしていくというためのいろいろな事例の収集等も今後必要になってくると思っております。
一番下のところ、整備に当たって備えるのが難しい課題として、専門的人材の養成・確保、また、緊急時の受入・対応という回答が多くなっている現状がございます。
9ページが、今、御紹介を申し上げました整備状況について人口規模別に見たものでございます。先日の部会のときにも御指摘をいただきましたが、改めて数字を集計し直してみますと、一番下の50万人以上のような大規模なところはかなり整備が進んでいるのに対して、1万人未満ですと整備が非常に厳しい状況にあるというのが現状になっております。
御説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明につきまして、皆様から御意見、御質問などを承りたいと思います。挙手をお願いいたします。
御発言についてはできるだけ簡潔にお願いいたします。
この関係では3時45分をめどとして議論をしたいと考えております。
それではまず、会場からいかがでしょうか。
それでは、丹羽委員、小阪参考人、石野委員の順番でお願いします。
まず丹羽委員からお願いします。
○丹羽委員 ありがとうございます。全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。
以前の部会の中でも、地域生活支援拠点の重要性については、緊急時だけではなく、地域移行の拠点となるべきであり、また、移行した後の受皿として体制整備や相談支援の機能をきちんと整備するものであるということで進めていただきたいというようなお話をさせていただいたことと、やはり法令上にきちんと位置づけを持つべきであるというような意見をさせていただいておりましたので、今回、この資料の中に論点として含まれていましたので、私どもとしましては、この方向性で進めていくことに賛同したいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小阪参考人、お願いします。
○小阪参考人 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
検討の方向性として示されている事柄について、おおむね賛成いたします。
少しだけ付け加えますと、地域生活支援拠点等の整備推進と併せて、いま一度地域移行の一層の促進を国としても改めて後押しできるように、具体的な方策を御検討いただきたいと思っています。
私は、各自治体ごとの障害福祉計画どおりに推移したとしても、長期入院等の問題解消にはほど遠いと思っています。御本人たちの一度きりの人生について、入所施設や病院等以外の暮らしが実現できるように、そうした希望を持てるように、そして、その希望がかなえられるように、例えばピアサポートの一層の活用など、人的資源の手立てなども併せて、具体的に地域移行の促進をいま一度本気で取り組むべきであると考えています。
なお、1点だけ確認ですが、資料4ページに記載のある令和3年度障害者総合福祉推進事業において、地域生活支援拠点等の標準的な評価指標や評価のプロセスを検討するとありますが、その検討に当たっての構成員等に各障害領域の当事者の方は参画していますでしょうか。その点だけ確認させてください。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局からいかがでしょうか。
○河村地域生活支援推進室長 御指摘ありがとうございます。
こちらの推進事業でございますけれども、有識者の方と支援者を中心とする関係団体の方にお入りいただいているので、当事者の方そのものにお入りいただいている状況にはないところでございます。
○菊池部会長 小阪参考人から何かございますか。
○小阪参考人 もう少しだけ付け加えると、地域生活支援拠点等は、実は支援者から見ても分かりづらくて、当事者から見たらもっと分かりづらいと思うのです。こういった新しい当事者のための支援を整備していくに当たっては、分かりやすさというのはとても大事なのではないかと思うと同時に、そういったことを検討するにおいてはぜひ当事者の声を拾っていただきたいなと思います。
以上です。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。御意見として承らせていただきます。
それでは、石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野でございます。
基本的な方向性につきましては、私どもとしても問題ないと賛成をいたします。
ただ、各市町村に対しての働きかけの方策もぜひ考えていただきたい。市町村におきまして、財政面で充実したところとそうでない格差というのはそれぞれありまして、努力義務といいましても、どこまで後押しができるかどうかも大きな課題だと。その場合には、障害者自立支援協議会等、いろいろな会議体と役割があると思います。ただ、協議会と申しましても、役割の後押しというのはまだまだ十分充実していないという意味で、今後も後押しできるような体制整備も考慮すべきだと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
あとはよろしいですか。
それでは、オンラインで御参加の皆様にお願いいたします。
まず白江委員、お願いします。
○白江委員 ありがとうございます。全国身体障害者施設協議会の白江と申します。
基本的に方向性につきましては賛成いたします。その上で何点か意見を申し上げたいのですけれども、一つは、この後議論されるグループホーム、それから、先ほど来話も出ておりますが、施設入所です。それから、いろいろな機関との関係を見直すということなのですが、こういったものを一体的に見直していかないと、本当の意味での見直しにならないのではないかと思っておりますので、来年度に向けてなかなか時間がないと思いますけれども、改めてしっかりしたそういった議論の場というものを検討いただければなと思っております。
拠点全体像として、市町村における格差というのは感じております。これは地域特性ということではなくて、市町村の意識であったり、財政力というもので差がついてしまっていると感じておりますので、その辺りを含めた事例を集めるときに、それぞれの状況に合わせたようなものを集めていくといいのかなと思いますが、ただ、先ほど大都市での整備率が高いということですけれども、私の知っている限りでいうと、大都市であってもコーディネーターを配置して緊急ショートに対応するだけで終わらせているというようなところもありますので、その辺り、しっかり見極めができるような対応をしていただくといいと思います。
なお、面的整備が非常に多いわけですけれども、先ほど来、冒頭でもお話があったように、ネットワーク機能が十分発揮されていない、機能されていない。本来目指した地域生活支援拠点というものが実現できなければ、いくら形だけつくっても仕方がありませんので、そういったところ、例えば拠点型と面的整備がセットになったような形のほうが私は個人的には非常に機能するであろうと思っておるのですけれども、様々な事例をぜひ集めていただきたいなと思っております。
また、いろいろな関係機関あるいは機能を見直すということについても賛成ですが、2010年頃ですか。この拠点の話の議論の中に委員として参加させていただきましたけれども、当時は東日本大震災前でした。また、障害者虐待防止法もまだ施行されていませんでした。そういった意味では、災害対応あるいは人権、虐待対応といった機能も、虐待防止センターとの関係、基幹相談支援センターとの関係といったものも併せて十分見直していけるようにぜひお願いしたいと思います。
最後に、財政面についても、今、社会福祉法人の社会貢献といったことが言われているわけですけれども、こういったネットワークも含めて、社会福祉法人の社会貢献あるいは法人連携なども積極的に絡んでいけるような制度設計というか見直しをしていただければと思っておりますので、お願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、菊本委員、お願いします。
○菊本委員 ありがとうございます。日本相談支援専門員協会の菊本でございます。よろしくお願いいたします。
まず、本日の資料1の9ページに人口規模別の整備状況をお示しいただきましてありがとうございました。前回の障害者部会の中で、この辺の数字が必要ではないかということに応えていただきましてありがとうございます。
9ページの資料を見ますと、あのとき私の肌感覚で意見をさせていただいたことの裏づけがここにあったと思っています。ですので、大枠の議論は今日示していただいたもので異論はございませんけれども、そうすると、ねじの巻き直しというか、地域生活支援拠点の整備に向けた議論の中でぜひ取り入れていただきたいのは、地域生活支援拠点の整備というのは、相談支援体制であったり、それから、一番重要なのは自立支援協議会の在り方だったと思っていますが、これが時期が別々、ばらばらで徐々に整備されてきたという背景があると思います。
ですから、地域生活支援拠点を整備して充実したものにしていこうということを基礎自治体レベルで議論を始めますと、必ず相談支援体制が今のままでいいのかどうか、それから、自立支援協議会の在り方が今のままでいいのかどうかということになっていくと思うのです。要するに、人口規模が少ないところは、運営費も少ないということはありますけれども、プラス社会資源の不足も目立つ地域になっていくのではないかと。そうしますと、地域生活支援拠点を考えていくときに、今までの自立支援協議会の在り方でよかったのか、相談支援体制の在り方がよかったのか、もしかすると単独でやるよりは圏域で整備したほうが地域住民の実態に合っていくのではないかということで、今もう一度議論が必要になっていると思うのです。
その点を議論していくために非常に重要なのは、都道府県の自立支援協議会、都道府県の役割だと思っています。この問題を基礎自治体レベル、市町村レベルだけで考えさせるということになると、今の状況はそんなに大きく変わらなくて、ここに県が一定程度関与したり、アドバイスを市町村にしていくということで、圏域整備等の視点が出てくれば、一層進んでいくのではないかと思いますので、その点を踏まえてぜひ検討、それから、意見にしていっていただければありがたいかなと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、陶山委員、お願いします。
○陶山委員 日本難病・疾病団体協議会の陶山です。
皆さんおっしゃっていますように、検討の方向性につきましては、明確化すること、努力義務化することについてはおおむね賛成します。しかし、小児慢性特定疾患や指定難病に関しましては、申請が都道府県とか政令市になっておりますので、市町村がそのニーズを把握することは難しいと考えられます。そこで、法令上の明確化の中に、先ほど菊本委員も言われましたけれども、都道府県との連携を図ることというのをぜひ明記していただきたいと思います。
また、全国の整備状況から、多機能拠点整備型よりも多面的な整備型が多くて、行政との連携というのは欠かせないと思います。第6期の障害福祉計画に係る基本指針においては、機能の充実のために年1回以上運用状況を検証及び検討することを基本としていると書いてありますけれども、年1回の協議会だけではとてもできないと思いますので、当事者団体を含めたワーキンググループ、実際に動けるような実行部隊をつくっていただき、いつでも動けるサービス提供体制をつくっていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、小﨑委員、お願いします。
○小﨑委員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑です。
先ほど菊本委員が触れられた資料の9ページの人口規模別の市町村での整備状況について、追加の少し素朴な質問になるのですが、人口の多い自治体では確かに整備は容易かもしれないのですけれども、1施設当たりの対象人口が多い場合には十分に整備できているとは言い難いのかなとも思って、単位人口当たり、例えば人口の多い自治体では複数整備されているとか、そういった状況がもしお分かりになるようでしたら教えていただきたいと思いました。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局からいかがでしょうか。
○河村地域生活支援推進室長 一般的に大規模な都市ですと、当然やはり複数設置をしているところが多いですけれども、ただ、確かに全国的に定量的に見たときにどうかというのは我々も把握し切れていないところで、単位人口当たりで見ていくというのは大変重要な視点だと思いますので、再集計等で工夫ができないかやってみたいと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、可能な範囲でまた検討いただくということでお願いいたします。
それでは、櫻木委員、お願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
各委員がおっしゃっているように、地域生活支援拠点が地域生活を応援していく上では非常に重要であるということに関しては私も同意見です。
今年4月の段階で922市町村で整備されている。これが53%ということなのですけれども、実際の我々の実感としては、本当にこんなに整備されているのかなと、ほど遠い感じがします。中身を見ると118圏域、これは501市町村になるわけですけれども、これは圏域で整備されているということです。ですから、整備をされた市町村のうち、半分以上は圏域で整備しているということになります。
この圏域が、今、小﨑委員もおっしゃっていましたけれども、単位人口がどうなのか。大体これは日常生活圏域ぐらいのところで整備をしないと、実際には有効に働かないのではないかという感じがしています。圏域整備というのも、当然、財政力の弱い市町村が連携、連合して整備をしていくということになるわけでしょうけれども、これは実際にどういった圏域単位なのか。いわゆる障害福祉圏域なのか、それとも私のところの県でいうと、県全体で3か所の整備という目標を立てています。これだと二次医療圏の範囲になります。これだと広過ぎるので、せめて障害福祉圏域、本当は日常生活圏域の中で整備をするということが必要だろうと。
実感とほど遠いといった中身はそういったものもありますし、それから、レジュメの中でも指摘されていましたように、形式的な整備が目的化しているという指摘がありましたけれども、まさにそのとおりだと思います。私が住んでいる市町村だと、それぞれの相談支援事業所に契約をまくというような形で任意に話が来て、契約をまいたところとまいていないところがあるのですけれども、どうもそれが面的整備ということで届けをしているような実態があるようです。
白江委員がおっしゃったように、私も多機能拠点整備型と面的整備がうまく結合した、ミックスしたような形で整備されるべきだと考えているわけですけれども、先ほどの都道府県の役割と市町村の役割が十分に整理がついていないのではないかと。圏域整備をするということになると、どうしても都道府県の役割というのは出てきますし、基本的な立てつけでいうと、それぞれ基礎自治体としての市町村が整備していくということになっていますので、その辺の役割分担というか役割の明確化が必要だろうなと思います。
面的整備と多機能拠点整備型の両方を併せ持った機能が必要なのではないかと考えたのは、10ページのスライドになりますけれども、緊急受入れというのが整備が困難な事由として一番に挙げられているわけです。確かにそれぞれの障害特性に応じたような形で緊急対応、緊急受入れというのが必要ですから、少なくともショートステイ機能に関して言えば、それぞれの障害特性に対応できるような形の面的整備が必要ではないかなと考えています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 日本知的障害者福祉協会の井上でございます。
まず、先ほど白江委員からもありましたけれども、居住支援の在り方については、やはりトータルで考えなければならないと思います。日本知的障害者福祉協会として、この度居住支援及び居住支援に関する各種支援の在り方をまとめました。本部会にも提出させていただきたいと思っていますので、御検討いただければありがたいと思っているところでございます。
地域生活支援拠点については、皆様方からの御意見のとおりで、基本的な方向性については賛同します。本人の意思に反して遠くに離れて暮らす人たちが住み慣れた身近なところで暮らすためにはこの拠点整備は大変重要であると思いますので、一層の整備をお願いしたいというのがまず一番肝心なところかと思っています。先ほどから他委員の御発言にもありましたけれども、一部市町村には緊急時の対応としてしか考えていないところもあって、この全体の重要性が十分に各市町村に伝わっているのだろうかという懸念がまだあるところですので、その意義等も含めて十分御検討のうえ、お伝えいただければありがたいなと思います。それが1点目です。
2点目も、各委員の方から出ているところですけれども、やはり各市町村の実態によって取組が大分違いますし、特に5万人以下の市町村辺りになるとなかなか整備が進んでいない状況がありますので、ぜひ人的な支援及び財政的な支援も含めてやっていただかないとなかなか進まないのではないかと思います。また、都道府県の関わりについても皆さんのおっしゃるとおりかと思っています。
もう一つは、やはりリーダーシップをとれる人材の育成が大事だと思いますので、各圏域でこの重要性を認識して、リーダーシップをとれるような人材の育成をどのようにするかということと、私たちも含めて、各団体のネットワークは随分あるわけなので、事業団体のネットワークも活用していただくという視点も大事かなと思いますので、御検討いただきたいと思います。
最後に、先ほど櫻木委員から圏域の話があったわけですが、私も日常生活の圏域ということを考えると、高齢の圏域より少し広い範囲の圏域設定ぐらいが障害福祉の圏域として適切なのではないだろうかと思いますので、その辺りでどのぐらいの資源があるのかというようなことも十分検討していかないと、障害を持つ人たちが地域で暮らしていくというのは難しいというようなことになろうかと思いますので、そちらのほうも御検討もいただければありがたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、阿由葉委員、お願いします。
○阿由葉委員 全国社会就労センター協議会の阿由葉です。
スライド3の「地域生活支援拠点等の法令上の位置づけの明確化等」について意見をさせていただきます。多くの皆さんがおっしゃっているとおり、この地域生活支援拠点等の整備を推進するために、市町村に努力義務を課すということについては賛成です。ただ、地域生活支援拠点等を整備することだけが目的化することがないように、地域の実情に合った拠点が整備できるように配慮をすることが必要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
地域生活支援拠点の整備を推進する方向感とか、前向きに進めていこうという方向につきましては評価をしたいと思いますし、特に法令上の位置づけを明確化して市町村における整備を努力義務化する方向についてはぜひ実現していただきたいと思っております。
それから、拠点の機能を具体的に市町村へ示す方向、そして、PDCAサイクルによって整備済みの市町村も機能強化を図っていく方向も賛成いたします。資料にもありますとおり、残念ながら一部の市町村では本当に既存のサービスを単に羅列しただけの面的整備というようなことも多々聞こえてきます。そんな事例が報告されているということもこの数字で表れていると思いますので、整備手法を問わず必要な機能が確実に提供されるようにしていただきたいと思っております。
それから、拠点整備に関する財政支援も非常に重要になると思っております。特に緊急時の短期入所などを調整したり、新しい暮らしを模索する障害者を支援したりするコーディネーターの配置には確実な財政支援をぜひお願いしたいと思います。
先ほど皆さんがおっしゃいましたように、都道府県との連携も大変重要になってくると思いますので、そのことが進むような仕組みもつくっていただきたいと思っております。
そして、拠点の機能を拡充する際には、入所施設やグループホームはもちろんのことですけれども、障害者の住まいとして、特に知的障害は割合がとても多い家族同居というものがございます。家族同居からの独立、そして、地域生活に移行していくというところも十分に認識して進めていただきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小林委員、お願いします。
○小林委員 日本発達障害ネットワークの小林です。
皆さんがお話しされているように、地域生活支援拠点等の整備の推進についての法令上の位置づけの明確化、それから、努力義務化とか財政のバックアップということに関して賛成です。
これまでの現状についての共有をもう一回させていただきたいと考えていることが1点ありますのと同時に、7ページのパワポの下に書かれている内容で、緊急時の受入・対応というところなのですが、これについては最も課題となっているというのが現状かなと思っています。現在、在宅生活、特に強度行動障害の方でそのことが困難になってしまう、それから、破綻してしまったという人の受入先である入所施設やグループホームに入居できないということで、ショートステイを頻繫に利用せざるを得ないとか、結果として住み慣れた地域でない入所施設に入所せざるを得ないという状況があって、地域生活支援拠点の整備が進んでも同様の状況がいまだに続いていると考えております。なので、入所施設にしてもグループホームにしても、皆さんもおっしゃっていましたが、その先の移行先の地域体制づくり、サービス、報酬が手厚くないと、移行しても破綻し、結果、地域で支えられない状況であろうと考えております。
もう一点、すごく細かい点になるのかもしれませんけれども、グループホームの利用に関してというところで、当事者の体験という書かれ方がされておりますけれども、当事者が体験するだけではなくて、生活のスキルを含めた支援者によるアセスメント機能が果たされるということが重要だと思いますので、体験しただけにならないためにも、生活の評価ということが必要だと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
地域生活支援拠点等につきまして、市町村における整備の努力義務化については賛成ですけれども、冒頭の説明にもありましたが、整備することが目的ではないため、形骸化しないようにいかに実効性を担保するかが重要であると思います。都道府県がバックアップすることになっておりますが、特に市町村への支援、その中でも小規模市町村への支援、その中で専門性を有する人材の確保等、いろいろ支援をしながら進めていくことが重要ではないかなと思っています。
報酬等も含め、必要な検討も示されておりますけれども、報酬だけでは解決しないものだと思いますので、仕組みをどう考えていくのか、特に地域の実情、課題に応じてということが重要だと思います。
4ページにPDCAサイクルを通じて云々とありますけれども、ここでやはり重要なのは、各地域におけるニーズ、課題、地域住民における課題といったものを実態調査で把握して対応していくことではないかなと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 ありがとうございます。日本看護協会の齋藤でございます。
私どもも検討の方向性に示されている、地域生活支援拠点等の法令上の位置付けの明確化及び評価指標や評価プロセスの提示についてはおおよそ賛同します。小規模の自治体においては、既存の資源を活用し、面的整備型で進めていかざるを得ない状況下と推察します。久保委員もおっしゃっていましたが、面的整備型を機能させるためには、いわゆるコーディネーター、調整機能の発揮が非常に重要な役割を果たすのではないかと考えます。そのため、地域生活支援拠点の機能の明確化に際しては、より一層コーディネーターの役割がきちんと認識されるように示していただきたいと考えます。また、都道府県の役割の中に幾つか研修会という記載がありますが、コーディネーターのスキルアップ及び人材確保への多大なるバックアップをぜひお願いします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、渡辺参考人、お願いします。
○渡辺参考人 ありがとうございます。
全国市長会代表の大分県杵築市長代理として参加させていただいております、参考人の渡辺と申します。よろしくお願いします。
今回は地域生活支援拠点の検討ということで、自治体として何が求められているのかの検討が多くございますので、発言をさせていただきたいと思います。
地域生活支援拠点についての検討の方向性として、障害者の重度化・高齢化、親亡き後に対応するため、障害者の居住の確保はもちろんですが、地域における支援体制の整備についても重要と考えております。この点につきましては、障害者に限らず、高齢者や児童の分野にも共通することとは思いますが、地域における見守りや支援、誰に、どこに相談したら解決できるのかなど、誰もが孤立することなくお住まいの地域で安心して暮らせる体制を構築することが重要と考えます。そのためには、障害分野に限らず、都市計画や地域づくり、医療等を担う部署などが横断的に連携を図ることで、誰もが住みやすいまちづくりを図れると思います。その中では、都道府県とも連携を深めていくことも重要と思っております。
しかしながら、資料にもありますように、地域生活支援拠点については各自治体の規模などによって整備状況に大きな差が生じていると見受けられます。そこで、規模のあまり大きくない自治体において、先ほどからお話がありますように、圏域で整備をするといったことも含めて検討が必要なのではないかと感じております。
最後に、国の公的整備を行うことで、全国どこでも同じ状況になるということで平準化を目指し、そのために必要な報酬改定、より機能的な運用ができるよう、市町村が継続的に検証・検討ができるような評価基準等の作成が必要ではないかと考えております。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の安藤です。
5ページの地域生活支援拠点等の整備についてというところなのですが、こちらの図を見ていて思うのですけれども、面的整備のほうとか多機能拠点もそうですが、私もよい案だなと思うし、賛成なのですが、もうちょっと当事者の視点が欲しいなと。この絵を見ていると、特に面的整備には当事者の視点がないです。知的の障害者の人たちの絵もないし、精神障害の人たちの絵もないし、もちろん身体障害の絵もないのです。左には体験の機会というところに車椅子が小さく載っていますけれども、もちろんイメージとして地域生活支援拠点等なので、そういった社会資源を活用していくというイメージ図なのでよいのですけれども、ただ、一貫して、これに全部目を通しても、もう少し当事者の視点と親への啓発を入れてほしいなと。大前提なのかもしれないし、入れるまでもないのかもしれませんが、やはり当事者へのエンパワーメントと親への啓発が一番重要なのかなと思っているのです。どんなに社会資源がそろっていたって、本人に力がなかったら意味はないし、親が反対したら全然話にならない。社会資源を使わせないみたいな感じになっていると、本当に苦労するのです。
私もピアサポートとかいろいろな障害当事者の団体で活動していると、80過ぎのお母さんが面倒を見られなくなったから相談しにきて、そうすると、身体障害で車椅子の方なのですけれども、いい歳をしてATMでお金を下ろしたこともないなんていうこともあるわけです。そういった親の顔が見たいななんて思うときがあるわけです。そういったところを見たときに、親御さんへの啓発と当事者へのエンパワーメントを支援していくという視点を入れないと、やはり絵に描いた餅になるのではないかなと思うので、ぜひそういったことをこの中に組み込んでいただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、お手が挙がっておられる中で最後になります。吉泉参考人、お願いいたします。
○吉泉参考人 日本視覚障害者団体連合の吉泉です。よろしくお願いいたします。
視覚障害者の立場からすると、ほかの委員の方からもありましたけれども、市町村レベルだけではなかなか対応が難しい面があるというのが現状です。もちろん住み慣れた地域で暮らせるように図るというのはとても大事なことなので、拠点の充実というのは賛成なのですが、そこだけでは問題が解決しないところがあるというのも確かだと思います。
例えば視覚障害者に対応したグループホームというのはとても数が少ないです。ですから、都道府県レベルまで範囲を広げて考えていただくか、場合によっては都道府県も超えて地方ブロック単位ぐらいまで広げないとなかなか視覚障害者に本当の意味で対応してくれるグループホームが見つからないということもあるのが現実なのです。拠点の機能の一つに相談というのがあると思うのですが、そこを充実させていただくときに、地域での暮らしを一番に考えるというのはもちろんなのですけれども、現実問題としてそこが難しい場合に、広域にも目を広げていただくようにお願いしたいというのが一つです。
もう一点は、私どものところによくある相談は、65歳以上になると介護保険制度を基盤とする高齢者施策が原則として適用される。一方、それまでは障害者サービスというのを受けてきたのですが、その両制度の狭間でグループホームなどの選択をどうするかというのもとても悩まれる方がいらっしゃるのです。ですから、拠点を整備して、相談機能を充実させていただく場合に、両制度の狭間で悩まれている人にどう対応したらいいかという辺りを専門的な知識を基にして対応できるような相談の人材も充実してほしいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
一当たり御意見を伺いましたが、何かほかに御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
おおむねこの方向性については御異論はなかったと思います。ただ、様々な御意見をいただきまして、例えば市町村の格差の問題、基盤は整備されているとしても、中身の問題、質の問題と言ってもいいかもしれませんが、その中で圏域での整備というお話もありましたが、一方では圏域単位だと広過ぎるという御趣旨のお話もあったかと思いますし、逆に広域で捉えていくのが必要だという視点も示されたかと思います。そういう中で、都道府県の役割あるいは都道府県との連携というものの重要性はかなり多くの皆様からお話があったかと思います。
そして、私が重要だと思いましたのは、居住支援の在り方はトータルに考える必要があるのだと。これも複数の委員の皆様からお話があって、それは確かにそうだと私も思う次第でございます。
ということで、方向性については御承認いただいたと思いますので、引き続き取りまとめに向けて事務局には詰めていっていただきたいと思います。
ありがとうございます。
それでは、もう一つございます。資料2について事務局から御説明をお願いいたします。
○河村地域生活支援推進室長 資料2は共同生活援助について御議論いただきたいと思います。
2ページでございます。先ほどと同じように現状・課題や論点をお出しさせていただいておりますが、これは6月のときの障害者部会の資料と基本的に同じでございます。
今回新たに追加させていただいているのが3ページ以降になります。6月のときの御議論にも出ておりましたけれども、まず1つ目の検討の方向性として、グループホームの制度の在り方について、障害のある方が希望している地域生活を実現するという観点、また、重度の方の受入体制の整備をしていくという2つの観点を持って、グループホームの実態も踏まえて検討をしていく必要があるのではないかということで、その下に、参考として今年度の推進事業の中で取り組ませていただいておりますグループホームの実態調査の結果について、まだ3年度の事業ですので、最終的な精査をした上で報告書を出していくのは年度末になりますけれども、一部のこの検討に際して非常に有用であろうと思う数値について速報値でまとめておりますので、エッセンスを御紹介させていただければと思います。
まず、○の1つ目でございますけれども、グループホームを利用されている方の生活の満足度あるいは今後の生活の希望について、利用者の方に直接アンケートを取るという形と、事業者に対しても調査をするという形で取らせていただいております。利用者のアンケートの調査の中で、まずグループホームの生活について「満足」「まあまあ満足」というのを合わせますと7割に達しておりまして、「あまり満足していない」あるいは「満足していない」という御回答は1割ぐらいの現状にございました。グループホームでの生活でよい点というのは、困ったときの安心感であるとか、やはり仲間がいるということを挙げておられる方がいらっしゃる一方で、嫌な点として周りの人がうるさいときがあるですとか自由に外出できない等が挙げられている実情がございました。
あと、大変重要な今後の生活の希望でございますけれども、将来グループホームを出て一人暮らしをしてみたいですとか、パートナーと暮らしてみたいといういずれかを回答されている方が4割に上っておりました。こちらは詳細が下の小さな黒ポツのところに出ておりますけれども、黒ポツの2つ目に当たりますが、一人暮らしをしてみたいと御回答されている方が35.5%、また、パートナーと暮らしてみたいと御回答されている方が30.8%おありになって、それぞれ重複してお答えになる方もいらっしゃいますので、いずれか一方でも回答された方は44.7%という結果が出ております。
その上で、先ほどの上の太字のところに戻りますけれども、事業所さんによる一人暮らし等に向けた支援が一部の利用者さんに対しても行われているのですけれども、こういった将来一人暮らしをしたい、あるいはパートナーと暮らしたいという回答を持った方に対して、現に支援が行われている方をクロスで見ていきますと、支援が行われている割合が2割ほどであって、残りの8割の方にはこういった支援が特になされていない現状が現行制度の中でもあったということでございます。
グループホームの事業者さんのほうに、グループホームでの一定期間の支援があれば一人暮らしが可能と思われる方かどうかという見立てをお伺いしておりますけれども、一人暮らしが可能だと思われる方に対しての支援の実施割合でも4割ぐらいにとどまっていた実情がございました。
続いて、4ページはまた別のテーマでございますが、マル2としてグループホームの質の確保の取組について少し調査の中で数字を出しております。事業所における質の確保の大事な取組である事業所の協議会の設置、あるいは市町村の自立支援協議会等への報告・評価を受ける、第三者からの外部評価を受けるといった外の目を入れる取組について、それぞれ1割ぐらいの事業所さんでの実施率でございました。
そのほか、中ほどですけれども、自治体さんにおける質の確保の取組として、やはり一部の自治体さんでは自立支援協議会等において運営状況の報告を求めて評価をするといった取組、また、グループホームに訪問していって状況確認・助言をするといった取組が行われていたところがございます。
それから、自治体の調査の中で、やはり質の観点で問題があると考えられる事例として、障害の程度や特性を踏まえた支援のスキルが乏しい、あるいは重度の方の実質的な利用拒否になっているというような事例が挙げられているところでございます。
続いて、その下のマル3ですけれども、地域におけるニーズの状況について、同じように事業所と自治体さんに調査をさせていただいております。
事業所調査のほうですけれども、グループホームの空室状況についてお尋ねをしております。後ほど数字が出てまいりますけれども、空室が意外とあるというのが実感でございますが、空室がある理由について、一時的な空室や短期入所のために空室を確保しているというケースもありますけれども、利用希望者がいないですとか、利用希望者がいたのだけれども設備や支援スキルとマッチングしなかったということが多く挙げられております。
自治体さんの調査のほうでグループホームの供給が不足している障害のある方の状態像を具体的にお尋ねしたものの中では、先ほどの前半の御議論でも御指摘が挙がっておりましたけれども、重度の方に加えて強度行動障害の方、医療的ケアを有する方というのが多く挙げられた実情がございます。
市町村の整備に当たっての課題として挙げられている事項ですけれども、重たい方のグループホームの整備がなかなかいかないということと、自治体さんが知らない間に整備計画が進んでしまうといった課題等も挙げられているところでございます。
こういった今年度実施させていただいた調査の結果も踏まえまして、5ページ以降ですけれども、グループホームの制度の在り方について3点検討の方向性を提案させていただいております。
まず1点目、マル1として新たなグループホームのサービス類型の創設を検討してはどうかという点でございます。
○の1つ目ですけれども、先ほども御覧になっていただきましたとおり、現行制度上、一人暮らしに向けた支援として、サテライト型の住居や退去者に対しての支援を行った場合の報酬上の加算等はございますけれども、現実としてグループホームの現行の制度の下での事業者さんたちが一人暮らし等に向けた支援が十分に行えるような対応した、例えば人の配置や報酬といった制度には必ずしもなっていないのではないかという状況がございます。こういった現行制度の下において、実際に実態としての一人暮らしに向けた支援が現に行われているという割合が一部にとどまっている状況があったという点は、先ほど見ていただいたとおりでございます。
こういった状況を踏まえますと、障害のある方が希望している地域生活の実現を推進するという観点から、グループホームにおいて一定期間の中で御本人が希望する一人暮らし等の地域生活に向けた支援を行うということをしっかりと目的として位置づけた新しいグループホームのサービス類型の創設を検討してはどうかという点を挙げさせていただいております。
その下の○でございますけれども、検討に当たっては、利用の対象者については、例えば年齢や種別、障害支援区分等の何かしらの一律の基準によって決めるのではなく、御本人が希望して選択いただくという制度、括弧内で具体的に書かせていただいておりますが、グループホームの利用に際して、こういった新たなグループホームなのか、それとも継続的な支援を行うこれまでのグループホームなのかというのは選択できる、御本人の選択肢を増やすという方向で検討してはどうかという点。
また、その次のところでございますけれども、グループホームにおける継続的な支援を希望される方はこれまでどおり継続的な支援を行うグループホームの利用ができるということにしてはどうかという点を挙げさせていただいております。ただ、その上で、部会の中でも従前御指摘をいただいておりますけれども、継続的にグループホームを利用するという場合であっても、もちろんライフステージの進行に合わせて御本人の希望も変わるものですし、やはり適時に希望を把握していくということが必要ですので、相談支援専門員、また、サビ管が継続的に今後の生活の希望を御本人に対してきちんと把握するということが大事だという点に留意が必要であろうと考えております。
一番下の行でございますけれども、こういった新しいグループホームのサービス類型については、事業者さんのほうの立場としても事業者さんとして選択いただいて、申請によって指定をしていくという仕組みにしてはどうかという点を挙げさせていただいております。
続きまして、6ページでございます。こういった新たなグループホームの創設に際して、どういった支援をやっていただくかという点ですけれども、まず御本人の希望を踏まえて、一人暮らし等に向けた支援計画を作成する。そして、その支援計画を踏まえて、実際に一人暮らし等の生活への移行に向けた支援、家事や金銭管理といった支援者と共にトレーニングをしていくですとか、あと、実際には大変手間になって、しかも専門的なスキルが要ると思われる住居の確保でございます。住宅を見つけていって、大家さんと関係を築いて、近隣住民ともうまく関係を築いていくといったことを支援していくということ。
それから、2ポツ目でございますけれども、退去後の一人暮らしが円滑に定着していけるように、退去後においても一人暮らし等の定着を図るための支援、いろいろと一人暮らしを継続していく上での相談や見守りを実施していただくという方向で検討してはどうかという点を挙げさせていただいております。
人員体制につきましては、従来の日常生活上の援助を行っていただく人員として今配置をしておりますけれども、それらに加えて、こういった地域生活への移行に向けた支援、また、退去後の定着に向けた支援というのはプラスアルファの業務になってまいりますので、それらをきっちり実施していただく社会福祉士や精神保健福祉士等の専門職員の配置を要件とする方向で検討してはどうかと。報酬につきましては、こういった一人暮らしに向けた支援で、当然かかり増しの支援が必要になってまいりますので、それに対応した人員体制、あるいは御本人が一人暮らしにつながっていった実績等を適切に評価するという視点で検討していってはどうかという点を挙げさせていただいております。
その上で、その次の○でございますけれども、現行のグループホームについても重度化あるいは高齢化への対応、また、その質の向上・確保等の観点から必要な検討を今後の報酬改定に合わせて検討していくことが必要だと考えております。
続きまして、6ページの下半分のマル2の質の確保の点でございます。グループホームにつきましては、前回の御審議でもいただきましたけれども、なかなか経験が乏しい事業者さん等の参入が多く見られる中で、質の確保が今懸念されている状況がございます。
現行の取組状況は先ほど御覧になっていただいたとおりでございますが、こういった中で、下の○ですけれども、9月のときの部会においても、これは全サービス共通で御議論いただいた点ですが、点線の枠囲みの中にありますとおり、ガイドライン等に基づいて自己評価・利用者評価を受けて、それを公開するといったことを推進していくような取組、また、第三者の外の目の評価を活用していく。介護分野における運営推進会議のような事業者として外の方からの評価を受けるというようなことの導入も含めて、こういった第三者の目を入れることの検討を進めていってはどうかという点をグループホームに関しても共通的な事項として挙げさせていただいております。
続きまして7ページ、地域のニーズを踏まえたグループホームの整備として、先ほども出てまいりましたけれども、空室の状況を調査した際に、やはり利用希望者がいないですとか、あとはニーズがマッチングしないというような回答が多く見られた一方で、自治体さんに対する調査として、やはり重度の方あるいは強度行動障害の方、医療的ケアを有する方といった方の支援が足りないという回答もございます。市町村さんとしては、都道府県指定に際して、自分たちがあまりよく分かっていない間に計画が進んでしまうということも課題として挙げられていることも踏まえますと、同様に9月のときの障害者部会の御議論でもいただいたとおり、事業所の指定の在り方として、都道府県指定に際して市町村の関与を入れていくような仕組みをグループホームについても共通的に考えるべきではないかという点を挙げさせていただいております。
8ページ以降は参考資料でございますが、8ページに先ほど数字を御紹介申し上げました実態把握の調査のいろいろな方法等をまとめさせていただいておりまして、特に中央の利用者アンケート調査につきましては、今回調査に御協力いただいた事業所さんの中から、利用者アンケート調査に協力可能だという御回答をいただきました事業所の8,931人の中から4,000人の方を無作為抽出させていただいて、その下にございますけれども、回答率は6割に行っております。※の2つ目ですけれども、こちらは御自身で完全にお答えになられた方が34%、職員の方に手伝っていただいて回答されたという方が6割になっております。
9ページ以降は先ほどの御紹介申し上げた数字のエッセンスを御紹介しているものでございます。
13ページが、先ほど御紹介した一人暮らしをしたい、あるいはパートナーと暮らしたいと希望されている方が年齢階層としてどのようなところに分布されているのかと。当然、10代、20代に非常に多いわけですけれども、例えば40代、50代、60代になっても一定層の方がおられるということ。また、障害種別で見ましても、従来のイメージである精神の方以外の身体の方でも知的の方でも一定割合の方がこういった希望を持たれているという傾向が見てとれるところでございます。
14ページは、同様に先ほどの事業所の現実的になかなか支援ができていないという状況の詳細な集計でございます。
そのほか、参考資料は御参照いただければと思います。
事務局からの説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御質問、御意見などございましたら挙手をお願いいたします。
御発言についてはできるだけ簡潔にお願いいたします。
本日、5時までの会議を予定してございますので、5時前までということで御議論いただきたいと考えてございます。
それではまず、会場からいかがでしょうか。
全員お手が挙がっております。それでは、酒井委員からお願いします。
○酒井委員 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井でございます。
何点か意見を申し上げたいと思います。
まず、アンケート調査のことですけれども、将来グループホームを出て一人暮らしやパートナーと住みたいと答えた回答の割合と、それに対する職員が困難と判断している割合、見立てというのですか、その乖離が大きくて、ここをどう捉えるのか、非常に難しい問題だなというのが率直な感想なのですけれども、御本人が希望する将来についての将来の時期と、例えば通過型を想定するならば、通過型の制度をつくったときの標準利用期間のスピードが果たして合うのかなというような疑問が少しあります。多くは、例えば2~3年の短期的なスパンではなくて、もう少し中長期的に、将来は一人暮らしをしたいなとかパートナーと住みたいなという意見の方もたくさんいらっしゃるのではないかなと思いますので、ここだけを捉えて、通過型でこういう人たちがより自立した地域生活を送っていくと考えるのはちょっと安易なような気がします。
それから、通過型のグループホームは本人が選択することにするということと、事業所が申請により選択できる仕組みとするということですが、これは例えば私たちのところの就労移行支援事業もそうなのですけれども、インプットとアウトプットをうまくかみ合わせながら安定した事業運営を行って、これはかなり大変で、これがまた生活の部分の支援、サポートになるわけですから、そう考えたときに、実際に担い手となっていただく事業者が果たしてどれだけいるかなというのが、今のこの段階では実際に機能するかどうかというイメージがしづらいなと率直に思っているところです。一人暮らしで自立した地域生活に向けては、先ほどの地域生活支援拠点で一人暮らしの体験などを強化するということとか、本人がもっと自信を持ってグループホームから出ていくというインセンティブを違った形で高めていくということも必要なのではないかなと思いました。
それから、自治体アンケートでも重度の方あるいは強度行動障害の方のグループホームが不足しているということ、そういう中で支援の質の向上というのが課題であるということもよく理解しました。一つは、グループホームは空室があるところもあるという話ですけれども、例えば区分が3以下の方とかが多く利用されているグループホームの運営主体のところと、例えば強度行動障害のグループホームを運営していこうというところの層と、運営主体のタイプとして違うような気がするので、そこの空室に重度の人が入っていけるかというと、必ずしもそうではないのではないかなと思いますし、重度の方、強度行動障害の方のグループホームの整備についてはさらにどんなサポートが必要なのかとか、あるいは今の要件を見直す必要がないのかとか、そんな観点でもう少し議論を深めたいなと思ったところです。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。
先ほど来、居住支援については一体的に考えるというような御意見があったように、このグループホームの問題についてもそうかなと思います。アンケート調査の中で、御本人が将来グループホームを出て暮らしてみたいとか、パートナーと暮らしてみたいという将来が思い描けているのだったら、今すぐ支援を開始すべきと思います。将来もまだ描けない、だけれども一人暮らしをしたいという可能性を持っている方もいらっしゃる。そういった方について、今回、厚生労働省の河村室長から御説明のあった案というのは、一定進めていくべきではないかと思うところでございます。
また、御本人が自分でいろいろなことを段取って、一人暮らしだ、パートナーと一緒に暮らすんだというのをすぐ思い浮かべられることは、例えば先ほど申し上げたとおり、すぐに支援を始めて、その人のタイミングで一人暮らしや自立生活を進めればよいと思いますけれども、なかなかイメージがつかない、自分で意思を表明できないという方もたくさんいらっしゃいますので、やはり先ほどの地域生活支援拠点の体験の場であったり、相談機能であるコーディネーター機能であったりが御本人の意向や可能性について一緒に伴走していくような支援ができることが求められるかなと考えております。こうしたことを通じて、グループホームを出て、その後もきちんと支援をしていく。
私どもの法人の中でもグループホームを11か所ほど運営していますけれども、グループホームの職員はどうしても利用されている方がその場で快適に暮らせることを精いっぱい頑張って支援をするというような傾向がありますので、やはり中から出そうという力というのはなかなか強くは出ないです。しかも、地域のプロではなくて、食事作りのおばさんとかという人たちもグループホームを支える一員になっていますので、なおさら快適にこの場所で暮らしていこうというような力が働いていく傾向もありますので、外からの働きかけが重要かと思います。そこで相談支援専門員が関わっているわけではあるのですけれども、その頻度というのはあまり高くなく、今、3か月に一遍とか、そういったモニタリングの中で確認をせざるを得ないので、もうちょっと頻繁に御本人に寄り添って、エンパワーメントをする支援ができるような役割としてのコーディネート機能を地域生活支援拠点に位置づけて、その両輪で新たなグループホームの類型とともに推進していけば、障害のある人たちの自立生活をもっともっと力強く後押しできるのではないかと考えます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小阪参考人、お願いします。
○小阪参考人 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
私からは一当事者として発言させていただきます。
示されている検討の方向性については、当事者にとって居住支援における選択肢、選択の機会が増えるという前提を確認させていただいた上でおおむね賛同いたします。どこで誰と生活するかについての選択の機会、その確保については、当事者の立場からはとても大事なことだと改めて思います。
なお、新たなグループホームのサービス類型の創設の検討などについてもおおむね賛成なのですが、3点ほど留意点がありますので申し添えておきたいと思います。
1点目、現にグループホームを利用している方や利用者となり得る各障害領域の障害当事者、あるいは当事者性を生かして支援に従事しているピアサポート活動従事者等に、改めて新たなグループホームに求める支援とはどういうものなのか、ユーザー目線や当事者の視点からの点検、整理を試み、十分に参考にする必要があると思います。
2点目、障害や疾病などの当事者経験を得ると、自分の可能性を信じられなくなることがあります。社会生活や日常生活の質やその幅について、縮小した形で捉える力学が当事者の中においては内的に働いている心理構造があり得ます。
少しだけ私のことを自己開示しますと、今、私は親元を離れて自立生活を営めているのです。でも、当事者となる転機のときまで遡れば、自立生活なんて到底想像できなかったです。自分の生活がままならない中で、自立生活なんてとても無理でした。
よって、障害者支援などに当たってはですね、全般として、リカバリーやエンパワーメント、ストレングス視点などを主眼としながら、ややもすると、御本人が信じられなくなっているような御本人自身の人生や社会生活、日常生活の可能性を広げられるような支援が求められます。
そうした観点を前提として、例えば一人暮らしなども、その可能性の一つになりますが、資料の11ページにおいて、一人暮らしなどに向けた支援の実施について、実施していないという割合が72.9%という調査結果については非常に驚きを持って受け止めました。必ずしも一人暮らしが求められるというわけではなく、もちろん御本人の御希望は様々であっていいのですが、どこで誰と生活するかについての選択の機会の確保の一環として、一人暮らしなども含めた可能性を模索する支援がきちんと提供されることについては必要なことではないかと思います。
以上をもって、現況におけるグループホームの支援の質について、改めてその点検や向上を図るための具体的な方策などが求められるものであり、その検討に当たっては、障害当事者や御家族、ピアサポーターなど、ユーザーに近しい立場の方たちの声を十二分に拝聴することが望ましいと思います。
3点目、新たなグループホームの人員配置については、ピアサポート活動従事者をその配置要件としてはどうかと思います。今般、主に相談支援等において、ピアサポートが報酬上も評価されたところですが、ピアサポートが有効に作用する支援の現場は、グループホームを含めてほかにも様々にあると考えています。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
石野委員、ちょっとお待ちいただいてよろしいでしょうか。今日は櫻木委員が途中退席されるとお聞きしていますので、その時間が迫っていると思いますので、櫻木委員、どうぞお先に御発言をお願いいたします。
○櫻木委員 すみません。ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
実はこの後、医療計画の検討会があるものですから、先に失礼させていただきます。
グループホームに関してですけれども、1順目の6月の議論のときに、今後の方向性というのはどうなのだろうかという疑問を表明させていただきました。片方には、日常サービス支援型を含めて、重度化あるいは高齢化に対して備えていくという方向性がありましたし、新たな類型として、一人暮らしに向けた支援ということである程度利用期間を限った形のグループホームというお話が出てきました。それが今回のいろいろな検討の方向性のお話を拝見すると、非常に整理がされてきたのではないかなと考えました。
一つは、小阪参考人もお話になりましたように、本人の希望によって選択できる仕組みをつくっていこうということです。場合によったら、重度化あるいは高齢化した方に関しては、継続的な支援を希望するというような場合には継続して支援を行っていくのだということも示されています。ですから、そういった意味では、方向性については非常に整理がついたのではないかなと考えました。
新たな類型としての一人暮らしに向けた支援というようなことで、例えば家事や金銭管理、あるいは居住の確保といった部分に関しては、専門的な要員も配置をするということも述べられておりましたけれども、場合によれば、例えば我々の精神の障害の領域でいけば、地域移行支援あるいは地域定着支援のような形で外部のほうから支援者が入ってくるというサービスの類型もありますので、そういった形も検討されたらいかがかなと考えました。
それから、ミスマッチの問題、実際には空室があるにもかかわらず、サービスが必要としている人に向けた類型になっていないというような部分に関して言えば、一つは地域の実情をよく知っている市町村がきちんと関与していく必要がありますし、それから、今後その方向性が整理されたという上において、その類型の変更というようなことも考えていったらどうかなと考えました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、お待たせして申し訳ございませんでした。石野委員、お願いいたします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野でございます。
この資料の10ページでございますが、今後の生活についてのアンケート調査のグラフがここに掲載されておりますが、「わからない」という回答があります。その中で、分からないということについてどのような視点で解釈するかいろいろと考えておりますが、3つのグループホーム、聞こえない人がいるグループホーム、そこは手話での会話で日常生活を送っているわけです。3か所、簡単にヒアリングをしたことがあるのですけれども、その中で、退所したいという希望を持っているかというとほとんどの方がそうではないのです。なぜかと言いますと、手話での会話ができる居場所であるという回答がほとんどでした。
ただ、共通している面は、職員の確保、人材確保の面が非常に厳しいということが同時にあったわけです。それぞれの中にサテライト型のグループホームがありまして、また、検討しているというところもありますけれども、制度面からはかなりハードルが高いと言えます。なかなか踏み切れないという部分もあると聞いておりますけれども、私が考えるには、サテライトというものにつきましては2年間、3年間ぐらいだと思います。期間限定で対処し、そして、どのような支援になっていくかというようなその後のデータはほとんど入っていない状況で、男女の割合も載っていない。これをどのように判断してみるかということが正直分からないわけです。
新しいグループホーム像というものは、社会資源の拡大につながるということは非常に一つの前進だと思っていますが、逆に新たなグループホームの類型の在り方をもう少し検討をすべきではないかと思っています。慎重検討していただきたいという意見です。
また、聞こえる方々のグループホームに入っている聴覚障害者の方もおられます。実際に親子が聾で二人暮らしをしていたという方でも、健康の問題があるということでグループホームに入居されたという例がありました。聞こえるグループホームというのは、なかなか手話で会話ができないということで退所してしまったと。でも、健康問題、健康管理がその中でできなくなってしまった。グループホームに入る前よりも生活がさらに悪化してしまったのです。ですから、グループホームについて、きちんと対応できる支援というものについて、障害種別も特性も含めて考えねばならないと思っています。
また、特にUターン現象が起こっています。しかし、戻れない。Uターンについてもいろいろ課題が出ておりますので、その辺りもきちんと検証すべき課題だと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインに移りたいと思います。
阿由葉委員、お願いします。
○阿由葉委員 全国社会就労センター協議会の阿由葉です。
まず1点目ですけれども、スライドの2ページの「現状・課題」の1つ目の○に、「グループホームは入所施設や精神科病院等からの地域移行を推進するために整備を推進してきた」という記載があるように、グループホームは地域生活であるということを確認させていただきたいと思います。
2点目ですが、今回の御提案の「新たな類型」を議論する前に、これまで障害のある方が一人暮らし等に結びついていない原因の検証が先決ではないかと考えます。資料で示されている調査結果で、利用者の収入状況や地域における支援体制、受入体制の整備状況が示されていませんが、一人暮らしを進める上では大変重要な要素となります。スライド12ページの「一人暮らし等の希望及び実現可能性に対する一人暮らし等に向けた支援実施の状況」について、「将来、一人暮らし、またはパートナーと暮らしてみたいか」という質問で、「はい」と回答した利用者の割合は44.7%でした。一方で、「一人暮らし等の実現可能性」について、「すぐに可能」「一定期間の支援があれば可能と思われる」と回答した事業所職員は18.1%であり、その間に乖離があります。利用者の収入状況や、地域における支援体制の整備状況等が、この乖離の原因になっている可能性もありますので、ぜひ分析をしていただきたいと思います。
3点目ですが、2点目で申し上げた分析をすることを踏まえての意見ですが、御提案の「新たな連携」について、「地域移行が進むほど、例えば就職させて利用者がいなくなってしまう就労移行支援事業のように、経営が困難になってしまう」、「地域では定員基準を満たせない」または「人材確保が困難」等の課題があるため、地域移行後の支援体制をしっかりと整備することを前提に、現行のグループホームで地域移行支援を実施することを検討してはどうでしょうか。その際に、どのように支援を実施するか等の観点で十分に検討が必要と考えます。
4点目ですが、仮に「新たな類型」を整備することになった場合でも、障害の程度によって一律にサービスが決められない仕組みにしていただきたいと思います。その際、どのサービスに振り分けるかという入り口の部分は大変重要な課題ですので、丁寧な議論をお願いします。あわせて、現行のグループホームの類型については、訓練等給付のままとしていただきたいと思っています。
最後に、「新たなグループホームサービス類型の創設」については、利用者にとっても、事業者にとっても、非常に影響の大きな制度変更となるため、拙速に進めるのではなく、当事者や障害者部会に参加されていない事業者団体も交えて議論を伺う必要があると考えます。よろしくお願いします。
また、グループホームにおける支援の質の確保についてですが、スライドの6ページの「支援の質の確保」について、自己評価や第三者評価等を活用して支援の質を確保する方向性については賛成です。しかし、職員配置の問題や夜間帯の休憩時間の問題等、課題は残っています。この点についても引き続き議論を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の安藤です。
3点ほどございます。
まず、6ページのマル2にグループホームにおける支援の質の確保とあるのですが、私、これを御説明いただいたときに、確かにそのとおりだとは思うのですけれども、金太郎あめみたいな事業所ばかりになるのはつまらないなと思ったのです。もちろん質の担保、質の確保は必要だと思いますが、私もいろいろな事業所の方とかにお会いすると、福祉にすごく情熱が熱くて、だけれども経営のスキルが足りなくてという方もいらっしゃるし、逆に経営のセンス、スキルはソフィスティケートされているけれども、福祉の情熱が「ん?」というような事業所も見受けられたりしまして、いろいろあると思うのです。
この話を伺ったときに、皆さん、御覧になったかどうかは分からないのですけれども、去年やっていたフランスの『スペシャルズ』という知的障害者の方たち、強度行動障害の方たちの自立生活の映画を見たときにすごく考えさせられたのですが、行政の評判はすごく悪いのです。だけれども、当事者の人たち、親御さんの評判はすごくいい事業所というか、なので、ああいう『スペシャルズ』のような事業所もあってもいいのかなと。そういうものを残しながら、事業者の中のダイバーシティーを生かしながら、いろいろな選択肢を当事者が選択できるような仕組みにしていただきたいなと思いました。だから、決して金太郎あめにならないでほしいなと思いました。
それと、19ページを見たときに、黄色い蛍光になっているところの1、2、3、重度の身体障害、重度の知的障害、重度の精神障害の供給が不足しているということは、ここにニーズがあるということなのだと思っています。そのときに、実際問題として、今、グループホームの中で重度訪問介護の利用というのは経過措置になっているのです。3年ごとに更新で今来ている。事業所運営をしていく上で、3年後にどうなるか分からないのに、重度訪問介護の利用がなくなってしまったらどうなるかということが、不安だったらやはりここに手をつけて参入していこうとする事業所の運営の人というのは少ないのではないかと思うのです。ですので、重度訪問介護の経過措置というのは、経過措置ではなくて、このニーズに対応していく社会資源の一つだという位置づけをしていただきたいなと思いました。
続いて、22ページです。新たなグループホームの骨格のイメージを左側に御提案いただいていて、すごくチャレンジングだなと思って、ぜひやっていただいて、いろいろなチャレンジがあっていいのかなと思って、いろいろな社会資源があったり、制度があるけれども、なかなか進んでないというのが現状であるので、また一つこういう調整もいいのかなと思いながらも伺っていたのですが、ここで気になったのが、人員体制のところで専門職(社会福祉士・精神保健福祉士等)と書いてあるのです。「等」とは何なのかな、等というと専門性の公認心理士さんかなとかいろいろ思いながら見ていたのですけれども、やはり私は障害当事者なので、ぜひここにピアサポート研修を受けた障害当事者の専門家も入れてほしいと思っています。
個人的なお話をさせていただいて恐縮なのですが、私、18歳のときに交通事故で障害者になって、首の骨を折っていきなり手足が動かなくなって、どうやってこれから生きていけばいいのだろうと人生は絶望だったのです。皆さんもぜひイメージしていただきたいと思うのですけれども、手足がいきなり動かなくなって、お風呂もトイレも何もかもできなくなって、どうやって生きていけばいいのだろうと思っていたときに、先生からお話を伺ったり、OTやPTの先生からいろいろリハビリの御指導をいただいて、それも大変助かりましたけれども、障害の受容をして、一番これから一歩進んでいこうと思えたのは、やはり先輩の障害者だったのです。いろいろな先輩の障害者の人たちがいろいろ教えてくれて、うちの大濱代表理事などいろいろな人がスパルタで教えてくださって今があるのです。
そういったことを踏まえて、こういうふうに自立生活センターでいろいろ勉強させてもらったり、当事者の人にいろいろ教えてもらった恩があるというか、いろいろな経験をさせてもらった。ですので、やはりここに障害当事者の専門性というのを入れていただきたいのです。これはぜひお願いしたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
続きまして、小﨑委員、お願いします。
○小﨑委員 ありがとうございます。全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑でございます。
今まで各委員がおっしゃっていた、グループホームに地域で一人暮らしやパートナーと暮らすような生活スタイルへの移行を念頭に置いた新しいいわゆる通過型のサービス類型を創設するという提案については、基本的に賛成いたします。ただ、特に小さい自治体や地域、要するに資源が乏しい地域で新たに別に類型をつくろうということになると、実際にはやはり資源が足りなくて難しいのではないかなという心配があります。これは二者択一ではなくて、ほかの委員からも御提案があったように、従来のグループホームの中に通過型を意識したサービスを提供できるような枠組みというのも考えていいのではないかなと考えます。
それから、6ページの1番目の○で地域での移行実績を評価対象とすると書いてありますが、当事者の移行の困難さによる評価の重みづけを考えておかないと、言い方は悪いのですけれども、簡単な方ばかりを取るなんて現象が起こっても困るのではないかと思いました。
それから、21ページに今後の方向性についての解説図が載せられているのですが、河村室長が口頭でおっしゃってくださっているのですが、図の下半分のイメージですと、一旦方針が決まった場合、ほかに変更ができないのではないかと思われるようなイメージもあって、これは途中で御本人の考えが変わった場合も念頭に置いて、定期的なアセスメントや希望の再調査などを行いながら、その時々の御本人の希望に添えるような仕組みにしていただきたいなと考えます。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
グループホームについて、新たに地域移行を支援する類型を位置づける方向性と、そして、利用に際しては本人の希望に基づくことを明記する方向については理解をしておりますけれども、多くの懸念を持っております。
まず、今回の提案はグループホームからの地域生活移行に特化して提案されておりますけれども、知的障害者のライフステージに応じた住まいや暮らし、支援の全体像が見えていないと思っています。その中で、そのうちの一部のみを具体的に示されましても、不安が残る状態になっております。例えば入所施設からグループホームに行って、グループホームから一人暮らしに移行してという大きな流れの中で、一人暮らしがうまくいかなかったらどうなるのだろうかということです。その支援はどうなるのだろうかということとか、一人暮らしをされても必ず年を重ねていきますので、高齢期を迎えた人の支援は今度どうなっていくのだろうかと、どういう方向にどこに向かって行くのだろうなというように、トータルでのものを示していただかないと、今回、提案に疑問といいますか疑念があると考えております。
特に、地域生活へ移行した後の暮らしぶりを支えるサービスです。例えば地域定着支援だとか自立生活支援、居宅介護などがありますけれども、各地でそれが十分に整備されているとは決して言えないのではないかなと思っております。加えて、知的障害の場合ですけれども、年金額も不十分ではないですのに、グループホームの家賃補助が1万円ありますけれども、それも使えないという経済上の問題も改善していない中でグループホームから地域移行をする、お家賃を払っていかなければなりませんので、制度が十分に生かされないのではないかなと思っております。グループホームにおける世話人の役割のうち、地域における暮らしぶりを支えるための食事提供だとか洗濯、お掃除などという機能が担保される前提が必要ではないかなと思っております。
私の行っております法人の中でも、今まで何人か一人暮らしをグループホームからされました。支援をして、御本人がいけるだろうということで一人暮らしをしていただきましたけれども、どうしたらいい、どうしたらいいというお電話もしょっちゅうかかってきますし、2日に1回は覗きにいくみたいなことも必要になってきますし、これは買っていいのとかいろいろな相談もあります。御本人が年を重ねて行かれますと、お薬をちゃんと飲めているかということもありますし、ちょっとイレギュラーな電気製品の故障だとかということも全部支援をしていただかないと、特に知的障害の場合は一人暮らしというのはなかなか難しい。そういうものも抱えておりますので、そういうことが担保される前提がないとなかなか難しいなということも思っております。
次に、現状でもグループホームは地域生活移行の支援が求められておりますので、相談支援専門員がサービス等利用計画を立てて、そして、サテライト型住居の制度があるにもかかわらず、地域生活移行支援をしていないという事業所が73%あるというこの状況をどのように評価しておられるのかというのもお聞かせいただきたいなと思っております。
それから、現状の実態把握と分析をしてから制度化をしていかないと、よい結果が出られないのではないかというような懸念も思っております。例えば市町村がグループホームから地域移行を主体的に取り組むことについて、地域生活支援拠点の機能に組み入れて、確実に市町村が関与する仕組みにするといった対応も必要ではないかと思っております。仮に制度化する場合には、地域移行支援類型を利用したものの、地域移行の実現が難しかった場合に、確実に継続的支援型のグループホームに戻ることができる仕組みとかということも不可欠ではないかと思っております。
また、利用する類型の決定につきましては本人の意向によるとされておりますけれども、その意向を確認する前段で本人に体験とか経験が必要ではないかなと思っております。体験や経験をしていかないと、本人がなかなか選択しにくいというような状態がありますので、どんなことになるのか、どういうふうにしていくのかということと体験をセットにしていく必要があるかなと思っております。
そして、グループホームにおける支援の質の確保につきましては極めて重要であると思いますので、ぜひ進めていただきたいと思っております。特に支援スキル不足で受け入れられないという回答が相当数あるということに強い懸念を持っております。強度行動障害のある人や医療的ケアを要する人への支援については、課題提示だけではなくて具体的な支援策を検討していただきたいと思っております。
加えまして、重度化や高齢化に対応した類型があるはずの日中サービス支援型につきましても、各地で受入拒否などの課題が報告されておりますので、重点的なてこ入れをしていただきたいと思っています。また、その際には、全く活用が進んでいない重度障害者等包括支援の位置づけも含めて検討していただく必要があるのではないかなと思っております。
最後に、障害福祉サービスの全体像の見直しをしてきたわけですけれども、少し話はずれるのですが、令和6年度の施行に向けての法改正はいつごろになるのかという見込み、今後の予定があれば、分かる範囲で教えていただきたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
先ほど73%のところでお尋ねがあったかと思いますが、令和6年度に向けてというのは大きな話なので、最後に今後の予定のところでお話しいただいてもいいのかなと思うのですが、まず73%の件について。
○河村地域生活支援推進室長 御指摘ありがとうございます。
多くの委員から御発言がありましたけれども、御本人が既に意思を持てていて、地域に行きたい、一人暮らしをしたいという中でも支援がなされていない現状をどう考えるべきかということで、私どもも確たる答えが持てているものではなくて、あくまで議論の結果ですので、阿由葉委員からも御指摘いただいた、この後、同じ推進事業の中でヒアリングやさらに分析を深めるステージに入りますので、そこは定量的にも把握をしたいと思いますが、現時点でのこうではないかという考え方としては、やはり一人暮らしに向けた支援をしっかりとやっていくとなりますと、説明のときにも申し上げましたけれども、例えば買い物に行くですとか通院するといった外出することも含めて御本人に同行して支援をしていかないといけませんし、あとは家探し一つとりましても、障害のある方でいろいろな特性をお持ちの方をちゃんと理解して受け止めてくれる大家さんを探していくという住宅の確保自体が、例えば居住支援法人さんと連携をして家を探していくとか、一定のスキルとノウハウが当然必要になってくるのかと思います。そういった支援力がないとなかなか実際はつなげていくことが難しい中で、そういった時々生じる利用者の方に対して、先ほどほかの委員の方からも御指摘ありましたけれども、実際は食事づくりを中心にされる地域の住民のパートの方など、たくさんの方の支援で一般的なグループホームの日常が支えられている中で、そういった家探しも含めて、専門的なノウハウをみんなが持てるかというと、なかなかそうではありませんし、そこにしっかりとした人材をつけないと、実際問題ちょっと難しいということがあるのだろうと思います。
実際に10人いらっしゃるホームがあったとして、お一人の方、あるいはお二人ぐらいの方が地域への移行を御検討されているとしますと、その2人の方にかなりリソースを注入することになりますので、ほかの入居者の方との公平性や、実際に支援の現場としては難しい問題を抱えることになるのではないかと思います。
いずれにしましても、現に制度がそういった手厚いしっかりした支援をすることをサポートする体制になっていないのではないかという問題意識の下に、改めて今回新しい類型として、きちんと人をつけて、そこに報酬上のバックアップもしてということを考えないといけないのだとはないかという趣旨で提案をさせていただいているところでございます。
あと、この場を借りて、多くの委員の方に御指摘をいただきましたので。
○菊池部会長 大分時間が押しているので、短めに。
○河村地域生活支援推進室長 すみません。
冒頭で御説明が漏れてしまったのですのですけれども、全体のトータルの絵を描かないと、これはなかなか議論が深められないのはおっしゃるとおりでございまして、私どももこれまで断片的に自立生活援助と地域定着支援について、今、月4回みたいになっているものをさらに手厚い支援が必要な方への支援など、もうちょっとグラデーションをつけて設計しなくてはいけないのではないかという問題意識も過去の回で出してきましたし、今日の前半の拠点との関係でも、全部トータルで描いた上で、地域の支援力を高めた上でこの議論をしないといけないのだと思いますので、今後の部会の議論に向けて十分にその辺りのトータルの絵柄の御提示を努力していきたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 まとめのようなお話ですけれども、まだこれからも発言は続きますので。
今日、私も時間の管理をやや緩めにやっております関係で、かなり時間が押してございます。申し訳ございませんが、当初5時までということでしたので、皆様の中でこの後のお仕事の関係とか、最後まで御参加できないという方がおられたら、先に御発言いただきたいと思いますが、画面上でお手を挙げていただけますと。
おられませんか。よろしいですか。
では、申し訳ありませんが、もうしばらくお願いいたします。
続きまして、小林委員、お願いします。
○小林委員 日本発達障害ネットワークの小林です。
私、5時20分ぐらいに退出させていただく関係があります。よろしくお願いいたします。
検討の方向性について、とても丁寧に誠実に取りまとめていただいたなということに関しては感謝いたします。だけれども、考えれば考えるほど、やはり生活をする場所というところに関してのことですので、なかなか難しいなと思いながら、またそのことについて考えているところで、我々日本発達障害ネットワークのメンバーの中でも議論がまだまだ続いているところではあります。
少しまとまったこととしてはこんな感じのことですということでお伝えしておきたいと思います。
全ての障害福祉サービスに言えることですけれども、グループホームに関しても支援の質の確保と専門性の確保が重要であるということを強調したいということです。とりわけ、グループホームにおいては、その場で生活するわけだから、支援の質の確保に向けて、まずは生活の質の保障が重要だと。生活の質の保障とは、検討事項、論点に記されているように、障害者が希望する地域生活の実現であり、さらにはどう考えていくのかと考えますと、だから、誰しも暮らしの価値とは多元的であって、どのように生活を送るのかを選択ができることだと考えております。
先ほど安藤委員から『スペシャルズ』のお話が出ましたけれども、私も見ました。すごく考えさせられました。
例えば、共同生活援助、グループホームは、訓練等給付の枠組みでのサービスであって、生活の質の保障というよりは訓練をするための場所としての位置づけを想像してしまいます。また、グループホームによっては、向精神病の頓服を持たせないとショートステイを断る、少しでも興奮するとすぐに薬を要求する。成人でも偏食指導とか、みんなで一緒に食事を食べることを強要するなどといった現状も寄せられています。このようなことを踏まえて、支援の質の確保として、まずは本人の生活のアセスメントが重要となっていく。就労評価と同様に、一人暮らしや地域移行の際の生活環境、サービス利用、自立生活援助やヘルパーなどのマッチングのために必須であるのではないかなと考えております。
もう一つですが、生活の質を保障するための評価が必要で、少なくとも当事者の価値観を優先にしたものである外部評価の活用が重要であると思います。この外部評価は現状の指定基準等のサービス等の評価では不十分で、見直しをする必要があるのではないかなと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 日本知的障害者福祉協会の井上です。
私のほうからは3点ほど申し上げたいと思いますけれども、今、高齢重度化によって地域移行がなかなか進まない大きな要因の一つは、グループホームにおける受皿がそれに対応し切れていないのではないかというところではないかと私は思っています。やはり類型化を見直す時期に来ているのではないだろうかと思っております。特に障害の重い人たちのところについては、介護包括型というような形で私たち障害のほうで行っているわけですけれども、やはり世話人さんでは対応できないレベルに来ていて、生活支援員を中心とした配置でないとなかなか難しいということと、訓練等給付でなくて介護給付レベルでなければ受け切れない人たちが非常に多くなっている。そういった類型化をすることによって地域移行は進むのではないかと思いますので、重度化・高齢化に対応する地域の受皿づくりという面で、ぜひ整備を検討いただきたいというのが1点目でございます。
2点目は、今回提案された新たな類型についての意見でございます。やはりあくまでも本人の意思決定というのは御説明のとおりで、それが一定の期間の後に出ていかなくてはいけないという懸念が随分寄せられているようなので、そうではないのだというメッセージを発信していただいて、多様な選択肢の一つで、柔軟な対応もするのだということがメッセージとして必要なのではないかと思います。また、果たしてこれが新たな類型というところにいくのかというのは、先ほどのどなたかの御意見もありましたけれども、どうも地域の事情によって広がらないのではないかという懸念もあって、まずは従来の類型の中で対応してみてはどうかという意見でございます。確かに室長がおっしゃったような専門的な配置という部分は評価するわけですけれども、一つの類型化をするということについて、やはり慎重な検討が必要かなと思っております。
3点目は、今日の資料でいうと26ページになりますけれども、営利法人によるグループホームが大変な勢いで広がってきているのではないかと感じていますが、利用者の権利擁護やサービスの質の保障という点では懸念される状況があるのではないかと思いますので、一定の抑制なり、外部評価の実施なり等で十分質が担保できるような仕掛けでなければと危惧していますので、早急な検討が必要なのではないかということでございます。
以上の3点でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
私からは1点だけなのですけれども、新たなグループホームのサービス類型の創設の検討についてなのですけれども、本人の希望に添って選択できるということは大変に重要な視点だと思います。この選択ということを考えますと、人は様々な経験値を基に自分なりの思いや希望を見出して物事を選択すると考えられます。
精神障害がある人の多くは、若い世代、10代、20代に病気を発症する方が大変多いです。病気が安定するまでの一定期間、それも数年にわたったり、特に長期入院されている方はもっと長い期間になりますが、その間、学校生活や社会生活から切り離された生活を送るという現状の中で、病院や家庭から一歩踏み出す先の選択肢の一つとしてグループホームがあります。そう考えたときに、その一歩を踏み出す段階で、それぞれの異なる目的のグループホームのどれを選択するかということが大変難しい場合が多いのではないかと考えられます。まずは、病院から外に出た生活、家庭から自立した生活、暮らしを経験しながら、様々な体験を積み重ねる中で、思いが変化していったり、希望を見出したりということで、そこで初めて自分で選ぶ、決めるという行為に結びつくのではないかと思います。選ぶ、決めるための体験の積み重ねがない中で選択することの難しさというのをこの御提案に対して一番に思いました。
そのことと関連して、先ほどから御意見が出ていますけれども、一定の期間というところがあって、これも大きなハードルになるのではないかなと考えております。精神の方はいろいろなことに時間をかけながら慣れていったり、自分なりの思いを積み重ねていったりというところがありますので、期間を限定されるということにはちょっと抵抗があるなと思っています。精神障害者家族の立場からは、本人が地域生活をスタートする入り口での選ぶことの難しさ、そして、決められた期間内で、希望を実現することの難しさというものを危惧しております。
本来は、どのグループホームに入居したとしても、自分の力で何とかやっていきたいという希望を抱けるような支援環境があって、そこでそのような希望を抱くようになったら、一人暮らしに向けた方向での支援が受けられる。そういう環境があることが望ましいのではないかと考えています。そのためには現状のグループホームの人員配置の見直しであったり、ピアサポーターの活用であったり、グループホームと地域のネットワークづくりを進めるなど、一人一人の状況や心境の変化と希望に合わせた支援が実現できる環境づくりをまずは優先していただけたらと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、陶山委員、お願いします。
○陶山委員 日本難病・疾病団体協議会の陶山です。
グループホームの入居者のアンケートの結果から、一人暮らしやパートナーと暮らしたいと言われる方も多いのですけれども、一方で、実家に帰らずに一人暮らしを望まない方もいらっしゃいますし、60%以上の方がグループホームの生活で嫌だと思うことは特にないと答えていらっしゃるということからも、グループホームの制度の在り方を考えるときに、一人暮らしをするためあるいはパートナーと暮らすための通過地点と考えてしまうと、ついの住みかとしても考える選択肢を失ってしまうのではないかという気もします。
社会の高齢化とともに障害者の高齢化も進む中で、例えば富山県の共生型グループホームなどでは、障害や疾病、年齢にかかわらず、家庭的な雰囲気で多様な人が一緒に利用できる福祉サービスを行っているところもあります。本当にインクルーシブな社会の先駆けとなっているのではないかと思います。障害の枠にとらわれずに、専門職の配置はもちろんのことですけれども、ピアサポートをしている患者会やNPO法人、また、地域のボランティアの方の力を集めたグループホームという新しい形の類型とならないか、こういうものを検討してみてはどうかと思います。
また、強度行動障害や医療的ケアが必要な方など、重度障害者向けのグループホームの整備についてですけれども、難病の患者さんは進行性の疾患や日内変動のある疾患の方もいらっしゃり、症状が固定ではありません。高齢化による速度よりもより早く進行することもありますから、解消時から誰もが使いやすい設備を求めたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、菊本委員、お願いします。
○菊本委員 ありがとうございます。日本相談支援専門員協会の菊本でございます。
私からは3点ほど、なるべく絞ってお話をしたいと思います。
まず、今回のグループホームの新しい類型化については、グループホームの問題ではあるのですけれども、4割にも上る方が一人暮らしを希望しているという点については、相談支援にもかなり責任があるお話ではないかと感じております。
というのは、私の経験でもそうなのですが、計画相談が始まった段階で、グループホームにお邪魔をして、計画相談をつくってきた中で、当然一人暮らしを経験してみたいとか一人暮らしをしてみたいという方は、全国の相談員の中で、ニーズ把握ができたというか、そういう希望する方はたくさんあるということが、協会の中でも確認がされていました。ですけれども、その部分については相談支援専門員一人一人の力量に任せてきてしまった部分がありますので、今、この場をもっては非常に反省する気持ちもあります。
また、言い方を変えますと、こういった希望を持たれている方々に対して、まだまだ相談支援が届いていないという現状がこの数字からも見えるのではないかと。要するに、グループホームから一人暮らしをしたいといったときに、グループホームだけの責任で何かをしようとしても難しい状況にあるでしょうから、ぜひここには何らかの形で支援をしていくという方向で議論を進めていただければ非常にありがたいかなと思っております。
もう一点は、グループホームを利用した後、いわゆる出る、出ないという二極化の議論ではなくて、どなたかも御意見として挙げていましたけれども、選択肢が増えるということに関しては私は賛成ですし、選択肢が増えることによって質も一定程度確保されてくるのではないかと思っています。ですから、この点も踏まえながら、二極化で対立する意見ということではなく、選択肢を広げるという考え方で今後も議論をしていただければありがたいかなと思っています。
それから、最後になりますけれども、空きがあるグループホームが少しずつ出てきていまして、そこに見られる理由としては、支援スキルがないというようなものも今回の調査で分かってきていますので、そうしますと、いわゆる医療的ケアが必要な重度の障害をお持ちの方々に対してのグループホームの不足というのが一方で言われてきているわけですから、その点についてもぜひ議論を深めていただいて、重度の方、要するに障害の軽い重いで選択が狭まるというようなことがないように注意をして、引き続き議論していただければと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの藤井です。
新たなグループホームのサービス類型の創設につきまして、それを検討していくことについてはおおむね賛成なのですが、幾つか気になる点がございましたので、一部ほかの委員の方の御意見と重なるところもあるのですけれども、意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、グループホームに入居中の方が一人暮らしを目指す場合に、今回御提案の新たな類型に特化したグループホームを整備するというのは一つの方法だと思いますが、あとは既存のグループホームに入居中の方へのケアマネジメントを何らかの形で強化して、必要に応じてその他の支援を組み合わせて、新たな類型のグループホームと同じような支援を受けられるというような方法とかいろいろな運用が考えられると思います。
今回検討されているような機能に特化したグループホームを整備するとなった場合のあえてデメリットとなり得るような状況を考えてみますと、これも他の委員からも出ていましたが、資源の豊富な地域であればそういうことも可能かもしれないですけれども、地域によっては整備が困難になるということも考えられますし、あるいは、このような類型のグループホームというのは結果的に利用者さんの回転が速くなると思いますので、一旦整備しても安定的に利用者さんを確保できないというような問題で継続が難しくなるという状況もあり得ると思います。
あとは、機能を強化したグループホームに入居するために本人が住み慣れた地域を遠く離れなくてはいけないというようなことも起こり得るかと思いますので、こういったデメリットについても十分に検討する必要があるのかなと考えます。
例えば既存のグループホームの中で加算の形で給付をして人員を強化して、既存のグループホームの中で一人暮らしを希望される方に対して新たな類型と同じような支援を行えるようにするなど、何らかの柔軟な対応ができるようにすることも御検討いただきたいと思います。
例えば現在地域で自立した生活ができるように支援を行うことを目的とした類似のサービスとしては、宿泊型の自立訓練とかというものもあると思いますけれども、このサービスとの組み合わせ、住み分け、あるいは整理統合ということも検討する必要があるのかなと考えます。
新たな類型のグループホームを利用するかどうか、あるいはグループホームを出た後にどのような生活をするのかについて、御本人の希望を重視するというのはもちろん最も大事なことだと思います。これもほかの委員から御発言もございましたけれども、利用者さんの中には自ら意思表示をすることが難しい、あるいはその意思表示をするための経験が積み上がっていないというような方もいらっしゃいますので、意思決定支援の在り方というのが非常に重要になってくると思います。支援の質の確保にあたっては、そこに意思決定支援のスキルというのも重視していただきたいと考えます。それとともに、意思決定等、様々な場面でピアサポーターの方の力を生かすことが必要ではないかと思います。
あと、アウトカムに関してなのですけれども、一人暮らしに向けた支援を行うグループホームをつくるとなると、アウトカムを出すということが求められてくるのだと思います。それももちろん重要なことなのですけれども、そうしますと一部の就労移行支援事業所とかというところがある程度機能の高い利用者さんのみしか受け入れないというような問題も指摘されたりもしていますが、同様の状況、つまり、本人の希望ではなくて、利用者さんの機能で受入れの選別をしてしまうということも起こり得ることだと思いますので、実績評価をする際に、利用開始時の利用者さんの状態とか様々な観点を考慮に入れて評価基準を考えるということが必要になってくるかなと思います。
あとは、あまりに短い期間で拙速にアウトカムを求めてしまうことがないように、期間の設定についても慎重に検討すべきと思います。
最後に、事業所の選定について、一般の市町村が関与することの必要性につきまして、これは必要であると考えています。確かに市町村が関与することになれば、市町村の業務はその分増えることになるというのが懸念されるわけなのですけれども、市町村が知らないうちにグループホームができていて地域のニーズに合わないとか、その後の事業者さんとの連携が十分にできずに困っているというような状況は耳にします。当該のグループホームで何か問題が生じたといった場合に、実際に対応するのは市町村になりますので、初期段階で業務が増えたとしても、最初から市町村が関与することの意義というのは非常に大きいのではないかと考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、永松委員、お願いいたします。
○永松委員 全国市長会の永松です。発言の機会をいただきありがとうございます。
私は、20年以上前に障害福祉行政に携わってきましたが、当時は、入所施設から地域への移行を進めている段階で、グループホームは障害の軽度の人が対象であり、生活支援を受けながら働きに出かけていました。
この間、施策が本当に進歩してきたなと感動しています。といいますのも、もともと重度の方のグループホームは無理だというのが今から二十数年前の状況でした。それが、今は重度の知的障害、精神障害、身体障害、それから、強度行動障害の人もグループホームを利用しています。しかも、それはまだ過渡的なものであり、実際に一人で地域で生活したいと希望するご本人に応えようとする様々な取り組みに感動しております。
先ほど、グループホームに市町村が主体的に関与すべきとの御意見がございましたが、まさにそのとおりだと思います。市町村は、例えば生活保護であるとか、子供の問題、お年寄りの問題、ひきこもりの問題、いじめの問題や虐待の問題などに対して、様々な事業を実施し、また計画を持っています。地域包括ケアを進める市町村がこのグループホームの重要性を認識し、主体的に関与していくことは、地域での一人暮らしを望む障害のある人やグループホームで生活する人の情報をいち早くもらって、効果的なアドバイスや具体的な支援が可能になります。
それともう一つ、自分の経験ですと、グループホームをアパートの中にと言ったときに大反対されました。ところが、実際にグループホームで知的障害の人たちが生活をすると、一番の支援者になってくれたのは反対していた人たちです。自分たちは警戒していたけれども、ちゃんと挨拶もしてくれるし、いろいろな地域での活動もしてくれると評価してくれました。住民を変えたのは、知的障害、精神障害のある方御本人でした。
地域が変わらないと行政の仕事がどんどん増えるという御心配も先ほどありましたけれども、御本人に地域に積極的に出ていただく、暮らしていただく、またその希望について発言していただくことが、何より大切です。市民の皆さんに伝える言葉に力があるのは御本人しかおりませんので、反対する人も支援者になってくれる。支援してくれている人はもっとレベルの高い支援をしていただけるので、市町村の職員が増えたのと一緒になります。こういう方向でぜひ広げていただきたいと思います。
様々な課題はあるのですけれども、すごくいい方向でいっているなと思います。市町村の職員のやる気が起こりますし、大事な仕事をしているという自覚も育ち、そもそも御本人たちのニーズに応えるというのが公務員のやりがいでもありますので、ぜひ進めていっていただきたいし、いきたいと思っています。
ありがとうございます。
○菊池部会長 エールを送っていただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。よろしくお願いします。
まずは、一人暮らしを御希望される方、そして、その延長上に自分の家族を持ちたいという方のことに関しては、その実現のための取組の検討は十分に行っていく必要があると思います。それと同時に、現状でグループホームで生活されている方々の支援の充実というのも、当然ですけれども大事なことだと思います。
参考資料の39ページ、40ページ、41ページに、それぞれのグループホームについてサービス内容と書いていますけれども、もちろん相談、入浴、排泄または食事の介護でもありますけれども、そのほかに書いてあることで大事なことは、利用者の就労先または日中活動サービス等との連絡調整や余暇活動などの社会生活上の援助の実施ということで、余暇活動等に関するアンケート調査等について、さっきは見当たらなかったのですけれども、その辺のところも生活の充実ということではとても大事なことなのだと思います。そして、医療的ケアが必要な方、重度の障害の方が利用できるグループホームをしっかり充実させていただきたいと思います。
それから、グループホームの指定の在り方等については、藤井委員、永松委員もお話しされました。認知症グループホームは地域密着型で、まさに市町村が責任を持って関わるというものでもあります。そのようなことを考えると、外部評価とか、それから、市町村の関与ということで、身近な地域でのグループホームの在り方を考える場合には、市町村の関与というのはとても大事なことだと思いました。
最後なのですけれども、先ほど藤井委員から宿泊型自立訓練との関連というお話がありました。旧通勤寮、宿泊型自立訓練に関しても、一定の期間の利用ですが、これとの関連ということについて、また、宿泊型自立訓練にはいろいろな課題があるということもお伺いしていますけれども、これの充実、そして、さらには地域で生活するという検討も大事なことなのかなと思っています。
そのようなことで私の発言とさせていただきます。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 ありがとうございます。
私は、今回事務局から御提案があった、グループホームの新たな類型について、確かに課題は多いという御指摘がたくさんありましたが、非常に重層的に地域の資源等を活用・連携し、進めていくという方向で賛成したいと思います。
確かに入居者が地域生活に移行した後も、グループホームの職員等がかなり濃厚に関わることが必要になると推察されますが、自立生活援助等、地域にある様々なサービスと連動しながら、何とか利用者の希望に添っていくという方向をここで閉ざすべきではないと考えます。
資料の22ページの新たなグループホームの骨格のイメージ(案)の中に、報酬については実績等を評価するとの記載がありますが、先ほど藤井委員や小﨑委員からも発言がありましたように、障害の程度の軽い方のみを入所させて高い報酬を得るといったモラルハザードの問題が懸念されます。やはりプロセス評価をしっかりと反映した形での評価としていただきたいと思います。
それから、グループホームの整備に際し、市町村が関与することについても賛同します。やはり地域において、利用者にとって最も身近な基礎自治体がきっちりと関わり整備を進めていくという方向は非常に大事だと思います。そのため、何らかの形で市町村の関わりを入れていくということは非常に重要な視点ではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
新たなグループホームのサービス類型の創設の検討について申し上げたいと思います。
ここで示されております役割とか機能については極めて重要であると認識しておりますが、その点につきまして、新たな類型を創設する必要性についてより慎重な検討が必要であると思っています。新たな類型を創設するということは政策を打つというわけでございますので、やはり政策の企画立案についてはデータやエビデンスに基づいてしっかりと地に足をつけて行うべきだと思っています。例えば全国の地域で一律にこういった仕組みが可能かどうか、あるいは人口減少社会において新たな社会資源の導入が理にかなっているのかどうか。それから、一人暮らしの障害者の方を支えるということは大変な支援体制を要します。そういったことも勘案してどうであるのか。それから、そもそもニーズがどれほどあって、この新たな類型の経営がちゃんと成り立っていくほどのニーズが地域に存在するのかどうか、その辺りの慎重な検討が必要ではないかと思っています。
また、アンケート調査がいろいろございましたが、一人暮らしをしたいという願いをかなえることは極めて重要であることを前提で申し上げますが、例えば地域包括ケアシステムの住み慣れた地域は、自己の選択によるとされておりますので、したがいまして、本人の選択、すなわち、自己の意思決定が重要であるということになります。一方で、こういったアンケート調査におきまして、暮らしてみたいと聞かれて「はい」と答えていることが、御本人の最終的ないろいろな総合的なものを勘案した意思決定かどうか、そこに乖離がないのかどうかは慎重に考える必要があります。
また、地域包括ケアシステムの基本的なスタンスは、既存の社会資源を有効活用すると示されています。したがいまして、従来の既存のグループホームのケアの質が課題ということが多々出ておりますけれども、ということであれば、その辺りのケアの質の向上、特に重度者への対応、重度対応、それから、こういった地域移行の新たな機能をどう付加していくのかと考える必要があると思います。
事務局から先ほどサービスの公平性がどうかという意見もありましたけれども、そもそも支援を受ける方々、例えば認知症におきましても、BPSDを生じている場合には、当然その方に集中して手厚くケアを行ってまた落ち着いていただくということになりますし、そういったケアを行う提供施設というのはそういうもので、時系列とともに一人一人に支援するニーズは常に変わっていきますから、それは公平性という言葉とはまた異なるのではないかなと思っています。
今回の新類型を想定しますと、イメージでいうと通過型と、今後重度対応を強化する重度対応型の2類型のイメージのように将来的になるかどうか分かりませんが、そういったことも想像されますので、果たしてどうなのか。そもそも新たな類型をつくるに当たっては、これまでの既存の障害者居住支援、障害者のグループホームの役割、理念、あるいは事業所の機能の辺りをまず先に議論して、そして、新たな類型を検討することが順番的には望ましいかなと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
白江委員、お願いします。ありがとうございます。
○白江委員 全国身体障害者施設協議会の白江と申します。
端的に申し上げます。
大きな方向性、一人暮らしを希望する方を支援する、質を高める、それから、河村室長が先ほどおっしゃったような思いといったことに異論はないのですけれども、今、委員が多々おっしゃったように、検討しなければいけない問題が非常にたくさんあるかと思います。私どものグループホームでは、先ほども少しお話がありましたが、一人暮らしからグループホームに入ってこられる方が増えているように思っております。そういうことも含めて、また、施設入所の在り方も含めて、トータルに考えるという方向性、先ほども少し触れられましたけれども、ぜひその方向性で時間をかけて議論を進めていただければと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、お待たせしました。吉泉参考人、お願いいたします。
○吉泉参考人 日本視覚障害者団体連合の吉泉です。
私からは、支援の質の確保ということに関連して申し上げたいと思います。
地元にあるグループホームの支援の質が確保できれば、わざわざ遠方まで行かなくても済むわけですから、これがとても大事だと思うのですが、実際に視覚障害者で視覚障害の受入れを最初からうたってはいないグループホームに入った人の経験を伺ったりすると、外出するときの支援をきちんと受けられなくて、安全のためということで外出の機会が制限されてしまったり、あるいはほかの人たちのレクリエーションになかなか参加できなくて不満を感じるというようなことを伺います。ですので、グループホームの支援者の方が何らか視覚障害の支援の仕方を研修できるようなシステムが必要だと思います。支援者が出向いて研修を受けるというのはなかなか難しいのではないかと思いますので、外部の支援者に訪問してきてもらって、実地にこういうふうにすれば視覚障害者も外出できるよとか、レクリエーションを楽しめるよというようなことを教えてもらえば少しは変わってくるのではないかなと思います。
それと、支援者が研修を受けただけでは支援の質の確保が難しいという場合は、やはり外部の支援者の人の助力を得る必要があると思いますので、その辺の財政的な担保といったこともお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
大変長時間にわたりまして、非常に中身の濃い様々な御意見をいただきまして、ありがとうございます。2順目の御質問を受ける時間がなく、大変恐縮でございます。
様々な御意見をいただきまして、新たなグループホーム類型の創設に関しては、積極的な御意見も多くいただきましたが、それに対して慎重に考える必要があるといった御意見も少なからずいただいたかと思います。いずれにしても、様々な留意点あるいは課題があるということは、前向きな積極的な御意見の中でも、御指摘を賜ったということかと思います。
ということで、私のほうでどちらが多かったとか少なかったといった形でのまとめをここですることはできませんので、今日いただいた御意見を踏まえて、事務局のほうでまとめに向けてさらにお考えいただきたいということであります。
その中で、やる、やらないではないといった二項対立的な捉え方ではない形で考えられないかというような、そういうニーズがあるのであれば、それに対するアプローチというのはオール・オア・ナッシング的な発想ではないやり方で考えていくこともできるのではないかというようなお話も複数の委員からいただいていたかと思います。
また、2つ目の質の確保に関しては、安藤委員から多様性が大事であるとか、金太郎飴になってしまっては困るといった御指摘がございましたけれども、ただ、質の確保を図るという方向性についての反対ではないと受け止めましたし、ほかの方からも、この点は前向きな方向性に対しては御支持いただけたのではないかと思います。
3点目の指定の在り方については、積極的な賛成のお考えが複数述べられたかと思いまして、反対の方向の御異論はなかったかと思います。
また、以上3点以外についても様々な論点を御提示いただいて、例えば既存のグループホーム、実際のニーズに合っていない部分があるのではないかといった大変貴重な御指摘、ほかにもいろいろいただいたかと思います。それも事務局の方で引き取っていただいて、引き続き御検討いただきたいと思います。
最後に、河村室長から何かあればコメントを、大変長くなっていますので簡単にですけれども、いかがでしょう。
○河村地域生活支援推進室長 大変重要な多角的な御指摘をいただきましたので、それに触れているとまた時間が長くなってしまって御迷惑をおかけしますので、しっかり受け止めさせていただいて、また継続的に議論をさせていただく必要があるテーマだと思いましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、時間が大幅に過ぎまして大変申し訳ございませんでした。本日はここまでにしたいと思います。
また、先ほど久保委員からも御質問が出ていましたが、それも踏まえて、最後に矢田貝課長から今後のことについてお話しいただければと思います。
○矢田貝企画課長 企画課長の矢田貝でございます。
今後の進め方についてでございますが、まず法改正の関係で、久保委員からも御質問がございました。現在の議論というのは、30年施行の法改正、3年後の見直し規定というものがございまして、それを踏まえてこの障害者部会で御議論いただいています。当然、この議論である程度の方向性をまとめていただいて、その中に法改正が必要になる事項があれば、我々としては、それを政府提出の法案としてきちんと形にしていくというのが我々の役割であると考えているところでございます。
恐らくその法律については、児童福祉法、障害者総合福祉法、場合によっては精神保健福祉法などのほかの法律にも関係することがあろうかと思います。これらの法律案をいつのタイミングでどのようにまとめて出すのかというところを、まさに今、厚生労働省の中で事務的に検討整理をしているところでございますので、できますれば、次回は11月29日に予定されていますけれども、次回までに、事務局としてもその辺のことも今後の大きな進め方につきましても整理いたしまして、次回のこの障害者部会の場にもお示しできるように検討、調整を進めたいと考えているところでございます。
ただいま申し上げましたが、次回の部会は11月29日の月曜日、14時からここベルサール飯田橋駅前にて開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
そして、今後の進め方及び今日いただいた御意見、これまでいただいた御意見も踏まえて、さらにこの障害者部会で前向き、活発な御議論をいただけるように事務局としても資料を準備したいと思いますので、次回以降もよろしくお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
○菊池部会長 今日は大変重要な論点であったということもあり、時間を非常に超過してしまいまして、本当に申し訳ございませんでした。
今後ともよろしくお願いいたします。
それでは、今日はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
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