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2021年7月28日 社会保障審議会障害者部会(第115回)議事録
社会・援護局障害保健福祉部
○日時
令和3年7月28日(水)10:00~12:00
○場所
ベルサール飯田橋駅前
東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル1階
○出席者
菊池馨実部会長、阿部一彦委員、阿由葉寛委員、安藤信哉委員、井上博委員、江澤和彦委員、岡田久実子委員、沖倉智美委員、菊本圭一委員、小﨑慶介委員、酒井大介委員、白江浩委員、陶山えつ子委員、竹下義樹委員、飛松好子委員、永松悟委員、丹羽彩文委員、藤井千代委員、大塚参考人、鎌田参考人、倉野参考人、小阪参考人、高橋参考人、田中参考人
○議事
○菊池部会長 定刻を過ぎておりますが、定足数に達しましたので、ただいまから第115回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
事務局のほうでZoomにお入りいただくに当たって少し手間取っているようで、皆様には御不便をおかけしておりまして、申し訳ございません。定刻を過ぎておりますので、始めさせていただきます。
皆様御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
議事に入る前に、本日の会議についてはこちらの会場とオンラインで開催いたします。事務局におかれましては、資料説明はできる限り分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
各委員からの発言についてお願いがございます。最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を御使用なさってください。私の指名により発言を開始してください。より多くの委員の皆様の発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言いただければと思います。御発言の際は、まずお名前を名のっていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお話しください。また、会場の方はできるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
それでは、事務局から委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
事務局のほうでZoomの関係がうまくいかなくてなかなか入れない状況が続いておりまして、大変申し訳ございません。本日の会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための対応としまして、オンライン開催をしております。
それでは、委員の状況について報告させていただきます。委員の交代がありましたので、お知らせいたします。
公益社団法人全国脊髄損傷者連合会、安藤信哉委員です。
一般社団法人日本難病・疾病団体協議会副代表理事、陶山えつ子委員です。
特定非営利法人全国地域生活支援ネットワーク事務局長、丹羽彩文委員です。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所、藤井千代委員です。
本日は御欠席でございますが、全国知事会(神奈川県知事)、黒岩祐治委員に御就任いただいております。
本日は、櫻木委員、新保委員、中里委員、吉川委員より御都合により欠席との御連絡を頂いております。
また、石野委員の代理として倉野参考人に、内布委員の代理として小阪参考人に、久保委員の代理として田中参考人に、黒岩委員の代理として高橋参考人に、小林委員の代理として大塚参考人に、齋藤委員の代理として鎌田参考人に御出席いただいております。
本日の資料でございますが、議事次第、資料1及び資料2、参考資料1から4、以上となります。万が一、これらの資料が表示されていないなどの状態となっておりましたら、事務局にお申しつけください。
カメラ撮りはここまでということで御協力をお願いいたします。
事務局からは以上です。
○菊池部会長 それでは、早速、議事に入ります。
まず、議題1について、資料1につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○河村障害児・発達障害者支援室長 資料1について御説明させていただきます障害児・発達障害者支援室長の河村でございます。
こちらの資料1に基づきまして、前半は、障害児入所施設における課題である18歳に到達しても障害児入所施設にとどまり続けておられる方々、いわゆる過齢児の方々の移行に関する課題について御議論いただきたいと思います。
ページをおめくりいただきまして、3ページに、昨年の秋にこちら障害者部会においてこの問題について御議論いただいたときの資料を御参考で添付しております。このときに、昨年の秋以降、新しい移行調整の枠組みを議論するために新しい会議体を設置するということで御議論いただいたところでございます。
その後、ページが飛びまして恐縮ですが、9ページに、設置させていただいた「障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議」の資料をつけております。
左の下にスケジュールがございますが、今年の1月に立ち上げをいたしまして、その後、調査や様々な論点の議論をしまして、ちょうど昨日の夜、実務者会議の第6回を行いまして、報告書(案)の取りまとめの座長一任に至ったところでございます。細かい文言等は部分的に御意見を頂いている箇所もございまして、一部、文言の修正をさせていただく予定でございますけれども、方向性はおおむね合意を得ておりますので、昨日おまとめいただいた内容を私のほうから御報告させていただきたいと思います。会議体の構成員は、9ページの右下にございますけれども、一部、部会の児童関係の方々にも御参画いただいているところでございます。
それでは、ページをお戻りいただきまして、1ページに行っていただければと思います。1ページは、昨年秋にも御紹介させていただいた内容と一部重複いたしますけれども、おさらいの意味で現状と課題について簡単に御説明させていただきます。
丸の1つ目ですけれども、平成24年施行の児童福祉法の改正の中で、18歳に達した児童に関してはより大人としてふさわしい適切な支援を行っていくということで、大人の施策で対応していこうという改正を行ったところです。
丸の2つ目でございますが、実際は既に障害児入所施設にとどまっておられた大人の方々がいらっしゃいますので、その方々が行き先が決まらないまま退所させられることがないようということで、平成30年3月末までの間、障害児の子供の施設の指定を受けているということをもって大人の基準を満たすものという、いわゆるみなし規定を置いて対応してきたところでございます。
その次の3つ目の丸ですけれども、その後、状況の改善がしっかり図られなかったことから、みなしの期限を3年間延長いたしまして、令和3年3月31日までとしたという経過がございました。
この状況で昨年秋の部会で御議論いただいたわけですけれども、実際その間に、丸の4つ目でございますが、「障害児入所施設の在り方に関する検討会」が令和2年2月に報告書をお出しいただいております。その中で、入所施設の中に子供と大人が混在することによって、子供にとって年齢に合った児童集団の形成が難しい、また年齢に合わせたきめ細かい支援体制の確保が難しいといった観点から、質の低下のおそれがあるなどの課題が指摘された上で、みなし期限については、これ以上延長することなくきちっと適切な支援を目指していくべきだというふうに提言を頂いたところでございます。
その際に、下から2つ目の丸でございますけれども、実際は3月31日の時点を想定してもなお移行困難な方が想定されておりました。
一番下の丸でございますが、こうした移行が困難な方の受入れ先の調整や、今後とも毎年18歳以上に達して大人になっていく方々がいらっしゃるわけで、そういった方々の移行を図っていく必要があることから、児童の入所施設だけではなく、都道府県や市町村、また移行先になり得る成人施設等の関係団体との連携をしっかりとした上で移行調整の枠組みをつくることが必要ではないかということです。
ページをおめくりいただきまして、2ページでございます。1つ目の丸ですが、また別の課題として、移行先の受け皿整備の有効な方策についても議論していくことが必要だということで、丸の2つ目でございますけれども、先ほど御紹介させていただきました実務者会議を設置して議論してきたという経過がございます。
一番下の米印ですけれども、昨年度末、今年の3月末の段階で、一旦、令和4年3月末、来年度末までこうしたみなし規定及びみなし規定に基づく経過的サービス費の支給について継続すると改正させていただいた上で、今回の新たな移行調整の枠組みの結論を得る中で最終的な期限を検討するというふうに昨年秋の部会で議論いただいてきたところでございます。
検討事項としましては、2ページ目の一番下のところに大きく2つ、新たな移行調整の枠組みをどうつくっていくか、移行準備のために必要な制度設計はどういうものがあるかということを書いておりますが、これについて実務者会議の中で御議論させていただいた内容を後ほど御紹介させていただきたいと思います。
続きまして、5ページは令和2年の夏の段階の数字でございまして、今年の2月に調査した結果については数字をまだ精査中なのですけれども、そんなに大きく状況が変わっていないところでございます。福祉型の入所施設に18歳以上で入所中の方で移行先が決まっていない方が446人いらっしゃった状況になっております。御覧になっていただきましたとおり、都道府県間の、また政令市間の格差が非常に大きい状況になっております。
6ページは、そういった移行先が決まっていない方々の年齢層がどうかというものをグラフに表したものでございます。実際は20歳までは入所施設の措置あるいは契約の延長が可能ですので、20歳以上の方がそういった意味では児童福祉法の枠を離れている過齢児の方々ですけれども、その方々がおおむね全体の半分ぐらいいらっしゃるという状況になっております。
続いて、7ページをお開きいただければと思います。7ページが昨日の夜の実務者会議に報告書(案)として出させていただいたものでございます。最後に御意見を御紹介させていただきますが、報告書(案)のほうの御説明をこれからさせていただきたいと思います。7ページの前半は、先ほども御説明した検討の経緯と重複する点がございますので、割愛させていただきます。
中ほどにあります「基本的考え方」というところを御覧いただければと思います。基本的な考え方として、従来この問題の前進が難しかった大きな理由の一つとして、障害児入所施設の自助努力に相当の部分が委ねられてきた部分がございまして、関係するたくさんの方々が都道府県(政令市)の下でしっかりと協力していきながら連携していくことが重要という考え方をまずお示ししております。
その上で、丸の2つ目でございますけれども、何よりも障害のあるお子さん自身の意思決定をしっかりと支援して、その選択の結果を最大限に尊重するということ、また移行調整に関しましては、後ほど出てまいりますが、15歳ぐらいから準備していこうという議論をしております。15歳から18歳の間といいますと、多くのお子さんは特別支援学校の高等部に行かれている、まさに思春期の学生生活の真っただ中でございますので、そういった現時点の暮らしの充実が決しておろそかになってはならない、卒業以降のことばかりになってはいけないという点について基本的な考え方として整理させていただいております。
続きまして、下の「1.都道府県による新たな移行調整の枠組み」でございます。丸の1つ目として、まず、障害児入所施設において、ソーシャルワーカーの配置が今年の4月の報酬改定でできるようになっておりますが、ソーシャルワーカーを中心に全ての入所児童の移行支援、15歳になったら移行支援を開始する。その中で移行が難しいケースもございますので、全体的に都道府県(政令市)が移行調整の責任主体となった上で関係者の協議の場を設けて、関係者の協力の下で移行調整を進める。その上で、こちらの問題の実務的に難しい点は、18歳までの入所のところは都道府県(政令市)が入所あるいは措置の決定をしておるわけですが、実際に18歳以上になって成人のサービス、例えばグループホームに移行しようということになりますと、住所地特例との関係で18歳前日に保護者の方が居住しておられた市町村の市町村長が支給決定を行うということになって、都道府県と市町村にまたがる課題になってくるわけです。この点に関しては、括弧書きにございますとおり、移行先がある程度決まってきた段階で移行後の支給決定市町村に引継ぎを行っていくという整理をしたところでございます。
この辺りにつきまして、お時間の関係で細かい内容は省略させていただきますけれども、主な主体として「基本的考え方」の1つ目の丸にずらずらっと、都道府県(政令市)、市町村、これは成人の支給決定主体としての市町村でございますけれども、それから児童相談所、障害児入所施設、相談支援事業所、成人サービス関係者等がいろいろと関わった上で移行調整をしていくわけですが、それぞれの主体についての言わば役割分担表として、どのステージでどういった支援を行うということを今回こちらの報告書の別紙の中で整理させていただいたところです。報告書の本体は参考資料4でおつけしておりまして、4の後ろにございますので、御参照いただければと思います。
続きまして、ページをおめくりいただいて8ページでございます。2として移行先の確保、施設整備の在り方を書いております。丸の1つ目に、重要な考え方として、本人と保護者の状況等を踏まえた上で、まず家庭への復帰あるいはグループホーム等の地域移行が積極的に何よりも検討されるべきであるということを考え方としてお示ししております。その上で、専門的な手厚い支援が必要な方もいらっしゃいますので、新たな整備、例えば医療的ケアや行動障害に対応できるグループホーム等の要否や具体的な内容等について、これから毎年15歳以上になるお子さんがいらっしゃいますので、15歳以上の対象者数の中長期的な見通しを立てた上で、その見通しを考慮しながら各都道府県において新たな支援の要否等について検討いただくということを書いております。
丸の2つ目でございます。一方で、個別の施設の状況によりましては、定員のほとんどが大人になっている施設、また大人と子供が半々ぐらいであるような施設、いろいろな状況が個別によってあります。そういった状況を踏まえますと、実際には、児者転換と呼んでおります「児」の施設から「者」の施設への転換、あるいは児者併設と呼んでおります従来の「児」の入所施設を分割して「児」と「者」の施設を併設するということも選択肢の一つである。ただし、子供と大人それぞれにふさわしい環境支援、ケアをきっちりと考えていって、例えば動線をきちんと分ける、そういったことを考えなければいけないという留意点と、あともう一つ重要な留意点として、障害児入所施設は、概要の冒頭にもございますけれども、虐待のお子さんをたくさん受け入れている中で、地域の中では社会的養護の養護施設の中にも障害児のお子さんがいらっしゃって、双方の施設がある程度重複する対象像のお子さんを位置づけている現状がある中で、地域のセーフティーネットとしての定員の在り方、虐待によって入所が必要であるという状況のお子さんのセーフティーネットについてしっかりと障害児福祉計画の改定で見通しを持って検討した上でこういった判断をすることが必要であるという考え方を書いております。
丸の3つ目でございます。この問題の解決にとって非常に難しい点が行動障害の強い方のケアのための基盤の整備でございますが、それに関しては、ハード面の問題だけではなくて支援人材をいかに育成していくかというソフト面の問題が非常に難しく、かつ重要でございますので、この点に関してはこちらの過齢児の問題だけでなく、障害福祉全体として令和6年度報酬改定に向けて別途しっかりと検討を進めるということを書いております。
続きまして、3が移行支援のための新しい制度として必要なものでございます。丸の1つ目が、15歳頃から障害児入所施設の職員、ソーシャルワーカー等が本人の意思決定を支援する、ここが出発点になるわけでございますけれども、その上で、ある程度こういった暮らしがしたいという希望の形が見えてきた段階で相談支援事業所が入って、15歳頃の入所中から成人としての生活への移行・定着まで一貫して支援することを可能にすべきである。障害児入所施設に関しては、現行、相談が入らない仕組みになっておるわけですが、ここの見直しが必要ではないかという点です。
丸の2つ目でございますが、障害児入所施設の措置・給付の決定主体である都道府県等が、移行調整に必要となる相談支援、グループホーム等の体験利用について、入所の処遇の一環として一元的に決定できる仕組みが必要である。現行は、先ほど申し上げましたとおり、大人のサービスの体験利用になりますと市町村長の給付決定が必要ということになりまして、実際は親御さんが転々としている場合や、支給決定主体を探すのに事務的に難渋するという声をたくさん聞いておりますので、そういったことを解決するために都道府県で一元的にできる仕組みをお願いしていこうということです。
一番下の丸でございますが、実際、18歳近くになって入所されたお子さんや、行動障害等の症状が18歳近くになって強くなってきたという場合もございますので、そういった場合に18歳での移行を目指すのは現実的には難しいという実情を踏まえて、都道府県の協議の場の判断を経た上で、22歳満了時まで障害児入所施設での入所継続ができるように制度的な対応を図るということを書いております。
こういった対応等、関係者の御協力を得た上で、一番下でございますが、先ほど御紹介させていただきましたみなし規定に関しましては、令和5年度末まで継続する。その上で、令和5年度末には延長せずに完全に移行を目指していただくという形を報告書として書いております。
昨日、実務者会議の中では、表現形として県が責任主体であるという書き方があたかも一つ一つの事案の個別調整にまで県が踏み込む、県が手を動かすというふうに見えかねないのではないか、誤解を招かないような表現に工夫してもらえないかという御意見を頂いています。あと、児者転換について、決して報告書のとおりとして推奨しているというものではなくて、現実的な解決策の選択肢の一つであるということで、ただし、その場合の留意点としてお示ししているものでございますけれども、それが推奨しているかのように見えないように表現形を工夫してほしいという御意見を中心に、幾つかの表現の修正を頂戴いたしております。実務者会議としては、今、御説明させていただいた内容で合意いただいて、座長に一任いただいているところでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの事務局の説明について皆様から御意見、御質問がありましたら挙手をお願いいたします。途中からZoomに入られた委員もおられると思いますが、Zoomの手を挙げる機能を利用してお示しいただきたいと思います。まず、会場から何かございますでしょうか。小阪参考人、お願いします。
〇小阪参考人 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議報告書(案)について、移行調整の責任主体を都道府県等と明確にしたことは分かりやすく、あるべき方向性としてもとてもいいというふうに思います。もちろん移行調整に当たっては御本人の意向を最大限尊重する取組が同時に求められると思います。
一点、障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議と銘打たれているのですが、ここに当事者性を持つ立場の方は参画していますか。当事者性というのは家族を含んで表現されることもありますが、今、私が申し上げているのは障害当事者ということになります。いずれにしても、本件対象となるとされている446名のうち、一部でも意思決定支援等を加味しながら、じかにヒアリング等を実施し、本件に係る最終的な方向性決定の参考とする試みを検討していただきたい。当事者自身の言葉を聞くことを大切にしてほしいと思うところです。
私からは以上です。
○菊池部会長 一点、確認があったかと思いますが、いかがですか。
○河村障害児・発達障害者支援室長 実際、施設に入っていらっしゃるお子さん方に、この間、正直に申し上げると、コロナ禍で私どももなかなか現場に入って直接お声を聞くですとか、そういったことがかなり難しかったこともございまして、こちらの実務者会議の中で直接お声を聞くという機会を設けてきているものではないのですけれども、まさに今、委員に御指摘いただいた意思決定支援をいかに行うかということや権利擁護の観点というのはこちらの会議体の中でも議論になりまして、報告書の中に一章設けて、そういった権利擁護、また意思決定支援のところについてこれからしっかりと別途検討していくべきだということになっております。そのときにコロナの状況がもっと改善しているはずだと思いますので、今、頂いた御指摘も踏まえて事務局のほうでよく考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 ほかに会場はよろしいですか。
それでは、オンライン参加の皆さん、お手が挙がった順になっていると思います。大塚参考人からお願いします。
〇大塚参考人 日本発達障害ネットワーク、小林副理事長の代理の大塚です。よろしくお願いいたします。
障害児入所施設における18歳以上の入所者、過齢児の取扱いというのは慎重にやるべきだと思っておりますし、御本人たちに利益があるような支援が必要だと思っております。
その際に、今までも過齢児の課題はあったわけですけれども、これがなかなか解決しなかったという背景には大人と同様の課題があると思っています。大人の入所施設から地域への移行というのがなかなか進まないのと全く同じ原因があるのではないか。また、18歳以上ということでありますので、まさにこの方たちは大人ですから、今までの検討会というのが子供の観点から、それは固有性があるということでやってきたのでしょうけれども、私は、大人の全体の施策と一緒に考えるべきだと、一体的に考えるべきだというふうに思っています。特に理想としては、次の入所施設ではなくて、グループホームなどの地域での生活ということを障害がある子供についても過齢児についても考えるのであれば、資源など地域の実情あるいは都道府県の関与、それから市町村の関与、その役割分担ということも含めて、大人の支援と一体的に考える必要があるのではないかと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。御意見として承っておきたいと思います。
それでは、丹羽委員、お願いします。
〇丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。私も実務者会議の委員ではありましたけれども、当ネットワークの中の意見として少しまとめましたので、3点ほどお伝えしたいと思います。
まずは、いわゆる過齢児の問題については、そもそもインクルーシブな子供の育ちと学びというところを含めて、根本的なところからきちっと考えていかなければならないと捉えております。インクルーシブな教育からしっかり見直すということがなければ今の口先の問題だけに終始してしまうであろうということです。今、大塚委員からもあったように、大人にも関わる住宅確保の問題でもあり、グループホーム等の地域生活での家賃とか住宅確保の問題であるということをしっかり含んで考えるべきだということです。
2点目は、地域の障害児の施設が児者転換になって地域の資源がなくなるというところで、その行き先がまた精神科病院等に入院するということで、場所が変わっただけで結局は中身が変わらないというような状況が起こることを懸念しているということです。
3点目が、今いらっしゃいます四百四十数名の方々の令和5年3月末までの移行先がさらに問われて、結局、移行はしたけれども、全員とは言わないけれども、大多数の方が障害者入所施設に移っただけだったり、児者転換が行われて施設の類型が変わったということにならないように、四百数十名の方の行き先についてもしっかり注視していく必要があるということが当ネットワークから出ていました。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。
それでは、田中参考人、お願いします。
〇田中参考人 一般社団法人全国手をつなぐ育成会連合会の田中です。久保委員の代理として発言させていただきます。
会としては以前の障害者部会において、今回の経過的施設入所支援サービス費や経過的生活介護サービス費の1年延長については、これで最後にしてほしいという趣旨をお伝えしてきましたところですので、今回の提案、遅くとも令和5年度末までに移行ルールを確立するということを明示したものについては賛同いたします。
また、都道府県や政令市が責任主体となることにも積極的に賛同して、令和5年度末を待たずにできる限り早く実施されることを希望しております。そのためにも、障害児相談の拡充と自立支援協議会の活性化は非常に重要です。特に知的障害の場合には計画相談についてはセルフプランで親御さんが立てることが多い状況がまだ続いておりますので、ここをきちんと整備することによって対応策がより具体的になっていくと思っております。
また、障害児入所支援の児童入所に関しては、虐待を受けているお子さんが多いので、地域の状況に応じた対応が不可欠だと思っております。
さらに、障害児入所施設からの移行が単純にそのまま入所施設の移行というふうにならないように工夫していただければと思っております。特に行動障害については人材育成をはじめとした資源の充実を目指すことがうたわれておりますので、そのことを頼りに地域生活が一刻も早く始まるような計画策定を年齢を待たずに対応していただくことも含めてお願いしたいと思っております。特に障害児入所施設が「者」のほうに転換する際に、特に短期入所に関しては積極的に受入れ先をつくっていくことを移行調整のための協議の場で十分検討して、充実する方向で整えていくことを求めたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、菊本委員、お願いします。
〇菊本委員 日本相談支援専門員協会の菊本でございます。私からは2点ほど御意見を述べさせていただければと思います。
まず、今回、参考資料4についております報告書、お疲れさまでしたというか、御苦労さまでした。ありがとうございました。大変な労力があってまとめられたものだと思っておりまして、感心しながら読ませていただきました。
その中で、少し気づいた点を2つお話しさせていただくのですが、まずは報告書の中の6ページにあります移行調整の枠組みのイメージが示されたことは非常にありがたいというか、実践につながるいいことだと思っているのですが、この中に一つは、ほかのところでは成年後見制度も使っていくということが書かれているのですけれども、今、地域で整備が進められています中核機関と、日常的な金銭管理を行う日常生活自立支援事業等、権利擁護支援につながるところの文言が全くないのが気になるところですので、御検討いただければいいかなと思っております。
同じく移行調整の枠組みのイメージが15歳から展開されるということで、それも私としては賛成したいところでありますが、先ほどの説明でありましたように、児者転換も一つのイメージとしては推進していくというお話の中では、既に児者転換した人たちの中にこの移行調整の枠組みのイメージを当てはめて、もう一度意思決定支援や御本人の意向がどこにあるかということを確認しないということは、これからの方々については移行調整の中で行われるわけですけれども、成人施設になってしまっているところではそこに触れられないというのも権利擁護支援の立場からいうと非常に弱いのではないかと思いますので、この点についても検討いただければと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
報告書(案)についての言及がございますけれども、その点、河村室長、何かコメントなどありますか。
○河村障害児・発達障害者支援室長 御指摘のとおり、成年後見の活用や日常生活支援事業の活用辺りについて特に報告書の中で触れているものではございませんので、もうちょっとどういったことが触れられるかを含めて、私どもこの後、実際に運用していただく都道府県(政令市)、市町村向けに通達を出して、どういった主体がどういうことをしていくというのを報告書に基づいて整理しようとしておりますので、その中で御指摘いただいた観点も踏まえて書けないかということを検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、引き続き、小崎委員、お願いします。
〇小崎委員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小崎でございます。
私も実務者会議のメンバーとして参加させていただきましたが、その中でも話題にはなっておりましたけれども、移行というのは、当然、御本人の意思も尊重してということになりますと、移行先について体験していくことが不可欠になろうかと思います。現行制度の下では複数の制度を併用するということが認められていないところでありますので、移行期間について、移行元の施設、移行先の施設やグループホーム等、複数の制度の併用を一時的には認めていただくことをきちっと決めていただきたいと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
では、続きまして、江澤委員、お願いします。
〇江澤委員 ありがとうございます。
まず、障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議の報告書の素案につきまして、その方向性について賛成でございます。
その中で指摘されておりますように、施設から退所することが目的化しないように、本人の意思決定支援に重きを置いて最善の選択ができるよう関係者の間で思いと果たすべき役割を共有することが大切であると考えております。
また、都道府県と市町村の連携や、移行調整の協議の場が重要となってきますけれども、人材確保に加えて、限られた人材の有効活用を各地域の実情に応じて工夫や検討を行って、絵に描いた餅とならないように実効性を担保することが重要ではないかと考えております。
続きまして、児者転換、児者併設についても触れられておりますけれども、真に本人のあるべき支援やケアを念頭に置いて、地域の将来ニーズも踏まえ、幅広い視点で柔軟に対応していくことが必要と考えております。
最後に、医療ニーズに対して、医療的ケアを要する者を受け入れるグループホーム、就労支援施設あるいは生活介護施設等が少ないため、医療行為ができる人材養成も含めて、医療的ケアの対応力向上を図っていくこと、さらに重症心身障害者や強度行動障害の急変時の救急受入れ先の医療機関との連携が課題でありますので、各地域で自治体や関係者で平素から話合いをして検討していくことが必要になると考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、白江委員、お願いします。
〇白江委員 ありがとうございます。ウェブで途中から入って前段を聞き逃してしまいましたが、同じようなことを聞くとしたらお許しいただければと思います。
私から大きく2点、御意見を申し上げたいと思います。
まず、1点目です。協議の枠組みということですけれども、この報告書、それから今の御説明、後段の部分しか聞いていませんが、大変よくできていて、心から敬意を申し上げたいと思います。私ども全国身体障害者施設協議会と申しますが、「身体」とついておりますが、今や、行動障害の方、医療的ケアが必要な方の受入れもかなり多くなってきております。そういう意味では当事者意識を私どもも持っておりますので、今後は具体的に都道府県単位で枠組みを考えていく中ではぜひパートナーとして考えていただければと思っておりますし、今後、国のほうでもそういった場合はぜひお声がけいただきたいと思います。
あわせて、基幹相談や地域生活支援拠点との絡みというものももう一度整理してみてはいかがなのかと思っております。自立協とか様々なものが出ておりますけれども、当然、関係してくるとは思いますが、そういった部分での枠組みの見直しというか、地域に合わせた対応が今後必要になってくると思いますので、ぜひそういったことで進めていただければと思います。
2点目です。先ほどもお話がありましたけれども、意思決定支援の部分と、日中活動等、体験の部分ですが、児施設に入所されている段階からもっと障害福祉サービスの利用というか、体験を進めていく、あるいは交流していくという場がどんどんあっていいと思っております。私どもも医療的ケアだけでなく、行動障害の方の受入れもしておりますし、「児」の方の体験なども受けているのですが、そういった制度として仕組みとしてのバックアップがまだまだ十分ではないという意味ではなかなか進まないという実感を持っておりますので、ぜひそういったところも進めていただきたい、検討していただきたいと思います。
あわせて、その場合には、人材、職員、スタッフのほうも交流を進めていく中で、資格を取るだけではなくて、実際にいろんな現場で体験しながら受入れを進めていけるような体制をつくっていく必要があると思っておりますので、その辺りも含めて今後検討していただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、井上委員、お願いします。
〇井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上でございます。先ほどの白江委員と一緒で、ようやく参加できまして、今までの議論のながれをほとんど理解できていない状況での意見となりますが、御了承いただきたいと思います。
一つは、この問題には、障害者福祉の多くの課題が集約されているのではないかというふうに捉えています。今回の資料で、障害児の新たな意向調整の枠組みに向けた実務者会議の報告書を見せていただきましたが様々な視点で検討されており、基本的には報告の内容に賛成するところです。先ほど全国手をつなぐ育成会の田中統括からも発言がありましたが、令和5年末を待たずとも、障害児の方々の移行が多くの方々の関係者の御協力でなるべく早く進むよう対応いただければありがたいと思います。
また、各委員から御発言のあった地域生活支援拠点や基幹相談の関係、支援専門職の活用やスタッフの育成というのは、やはり地域の中で子供たちを見守り育てていくという視点では今後の焦点になると思いますので、ぜひ総合的に御検討いただければありがたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
数名の委員の皆様の、後からようやく入れたというお話がございましたが、大変失礼いたしました。最初にもおわび申し上げましたが、事務局のほうの不手際がございまして、お入りいただくのが遅れたということで失礼いたしました。
それでは、引き続き、安藤委員、お願いいたします。
○安藤委員 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の安藤です。本日から委員となりましたので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
一点ございます。資料8ページの2の丸の2個目です。「個々の施設の状況により、児者転換や、児者併設」と書いてあるところです。これが消極的な選択肢であるならば、その1個上に「本人・保護者の状況等を踏まえ、家庭復帰やグループホーム等の地域への移行を積極的に検討されるべき」と書いてあるにもかかわらず、こちらが次に書いてあるというのはちょっとどうなのかと思います。今週は、やまゆり園事件が起きてから5年たったということで、ああいう痛ましい事件が起きて、それでも施設にというような考え方というのは世界から見て周回遅れなのではないかと思うので、ぜひとも積極的にグループホーム等の整備をしていくということを御検討いただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、陶山委員、お願いします。
○陶山委員 日本難病・疾病団体協議会の陶山です。本日より委員として参加させていただいています。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、過齢児という文言というか、そういうものをもう少し認知度を上げる計画をしてはどうかという御提案をさせていただきたいと思います。今年の6月に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が公布されましたが、この医ケアという言葉、これが家具屋さんだけではないということが認知されつつあり、メディアでも取り上げられることが多くなってきました。こういう医ケア児が、結局、医療的ケアを必要としている子供たちが増えてきているという現状を社会の人たちに知っていただくということがとてもよかったと思いますが、それと同時に、過齢児、18歳以上の入所者の移行について、移行調整の重要性についての認知度を上げるためにも、社会にこういう過齢児という人たちがたくさんいるのだということの認知度を上げていく必要があるのではないかと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの藤井と申します。私も本日から委員として参加させていただいております。今後ともよろしくお願いいたします。
私のほうからは、支援者のメンタルヘルスケアという観点から発言させていただきたいと思います。資料の中の「移行先確保・施設整備のあり方」というところで、強度行動障害者のための基盤整備について、ソフト面の重要性について御指摘いただいていたかと思います。人材育成はもちろん非常に重要なものであって、進めていかなくてはいけないのですが、施設で一緒に働く支援者の方は常にストレスフルな状況に置かれているとよく伺います。そう考えますと、利用者にとってよい支援をするためには、支援者のメンタルケア、健康というものは非常に重要と思いますので、労働環境や、支援者が相談できるような環境、先ほどスタッフ間の交流というお話もありましたけれども、そのような交流等を通じて支援者が気持ちよく働けるような環境をつくることが、ひいては利用者にとっていい環境になっていくのではないかと思いますし、実際に虐待等々がある背景には支援する側がかなり追い込まれているという状況も少なからずあると伺っていますので、そのような支援者支援という観点からも検討を深める必要があるのではないかと考えます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、あとお一方、飛松委員からお手が挙がっております。ほかにはよろしいですか。それでは、最後の御発言ということで、飛松委員、よろしくお願いいたします。
○飛松委員 国立障害者リハビリテーションセンター顧問の飛松です。
途中からの参加なので、今、ここで発言することが妥当かどうかよく分からないのですが、一つ言いたいことは、福祉型障害児入所施設に関してです。福祉型障害児入所施設には医療がとても薄くて、先ほどそこで入所中の方々の医療が必要になったときの周辺の協力体制という御発言がありましたが、同時に、そこにいらっしゃる方の中で強度行動障害とか非常に難しい障害の方が増えているわけです。単なる知的障害とか、そういう方々だけではなくて、「単なる」なんて言ってしまってすみませんが、何が難しいという表現で言ったかというと、きちんとした診断と状態像の把握が必要で、それに基づいて一人一人に対するきめ細やかな支援、リハビリテーションということが必要になるわけであります。ですから、福祉型障害児入所施設においてもそういう医療とか専門スタッフの充実が必要なのではないかと感じておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
これでこの議題については御意見が出尽くしたと思います。
最後に、河村室長のほうから全体を通じて何かコメントはございますでしょうか。
○河村障害児・発達障害者支援室長 いろいろな観点の御指摘を頂きましたので、この後、私ども実行に移すための先ほど触れた通知の発出等に取り組んでまいりますが、そのときにしっかりと生かしてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 この議題は、また追って2巡目のところで議論されることになるのでしょうか。
○河村障害児・発達障害者支援室長 通知の発出は自治体との関係でできる限り速やかにと思っておりまして、8月を目指しておりますので、御議論いただいた上でというよりは、報告書に基づいてやることを整理したものを出していくということになるかと思いますが、2巡目に御議論いただくときにその辺りの検討の結果や残った課題なども出てくると思いますので、また御報告させていただいて御議論いただきたいと思っております。
○菊池部会長 様々な御指摘、御意見を頂いたので、いろんな角度からの御意見がありましたので、実務的に進められるとしても、どういう形になったとか、あるいは残された課題とか、そういったものはまたこの場で御報告いただければと思います。よろしくお願いします。
それでは、続きまして、議題2の資料2につきまして、引き続き御説明をお願いいたします。
○河村障害児・発達障害者支援室長 資料2は「障害児通所支援について」の課題でございます。
まず、障害児通所支援に関しては、4ページをお開きいただければと思います。6月の部会でも簡単に御報告させていただきましたが、これまで障害者部会の中でも主に放課後等デイサービスについて様々な御指摘を頂戴してきたところでございまして、そういった観点も踏まえて、じっくり検討するための場としてこちらの「障害児通所支援の在り方に関する検討会」を6月に設置させていただいたところでございます。
検討のまさに中心的な題目としては「1.趣旨」の2つ目の丸に書いておりますけれども、平成24年施行の児童福祉法の改正で今の仕組みが出来上がってきているわけですが、10年近くたつこの時点で改めて障害児通所支援が担うべき役割、機能、対象、こういったことを今後の障害児通所支援の在り方として検討していくというために置いたものでございます。
左下にスケジュールを簡単に書いております。第1回を6月にいたしまして、第1回で児童発達支援センターを議論して、第2回で児童発達支援事業を議論して、第3回で放課後等デイサービスについて議論させていただいたところでございます。この後も数回議論して、残りのインクルージョンの推進や保育所等訪問、支給決定等について議論を頂いていこうと思っております。
議論に際しては、昨年の秋頃に幾つか御議論いただいた際の部会の御指摘を適宜御紹介しながら検討させていただいておりまして、本日頂戴した意見についても私どものほうから検討会で御紹介させていただいて、双方通行しながら検討を進めていければと思っているところでございます。
それでは、資料の1ページ目をお開きいただければと思います。これまで検討会の中でも議論してきたものについて同趣旨のものを簡単に御紹介させていただければと思います。
まず、現状と課題として幾つか観点をまとめております。
1つ目の丸ですけれども、障害児支援に関しては、平成24年施行の児童福祉法の改正の中で、障害のあるお子さん、家族にとって身近な地域で支援を受けられることを大切にするという観点から、それまでの障害種別ごとに細かく分かれていた給付体系を基本的に通所・入所という利用形態別に一元化するということを試みたところでございます。また、併せて放課後等デイサービス、保育所等訪問を創設いたしました。その後、平成30年施行の児童福祉法改正のときに、保育所等訪問の対象を乳児院、児童養護施設に拡大するとともに、居宅訪問型児童発達支援の創設を行ったところでございます。
こうした中で、現行のそれぞれのサービスごとの課題でございますが、2つ目の丸、児童発達支援センターの課題についてでございます。児童発達支援センターは、児童福祉法上は「日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与、集団生活への適応のための訓練及び治療」という書き方をしております。センターもこのように書かれておりますけれども、実は児童発達支援事業も同じように書かれておりまして、正直、一般の児童発達支援事業所との役割・機能の違いが明確でない。さらにセンターとして果たすべき機能がはっきりしておらず、事業所との役割分担も明確でないという課題が現状としてございます。
その次の丸です。平成24年のときに、コンセプトとして先ほどのような、できる限り身近な地域で支援を受けられるということ、また障害の重複化に対応していくという観点から、障害種別の区分をなくして一元化するということを目指したわけですが、その際、一部に併設の医療機関があるセンターがあることも考慮して、センターに関しては福祉型と医療型、医療型と呼んでおりますのは肢体不自由のお子さんを対象にしておりますけれども、分けて障害種別による類型が残された。その一方で、医療型が身近なところにあっても、肢体不自由以外のお子さんですと通えないことになるという形が今、残っております。
4つ目の丸でございます。児童発達支援・放課後等デイサービスの現状・課題ですが、平成24年の制度再編以降、サービス量が大きく拡大しております。この関係は後ほどデータで御覧になっていただこうと思います。この背景としては、肯定的な側面として、事業所の整備が進んでいって、従来対応できなかったニーズにも対応できるようになってきた、また発達障害の認知が広がってきたことによって、従来、障害として認識されずに育てづらさ・生きづらさを抱えていたお子さん方が発達支援につながるようになってきたという側面、あと女性の就業率の上昇に伴って通所ニーズの増加の側面が出てきたということが考えられるところでございます。
一番下の丸ですが、一方で、こういった児童発達支援・放課後等デイサービスで現実に行っている支援の中には、マル1といたしまして、1対1あるいはごく少人数のお子さんに対して一定時間、専門職がリハビリテーション等の個別支援を行うものといった類型、マル2でございますが、一定数のお子さんに対して複数の職員配置を行いながら、設定遊び、自由遊び等の集団行動を通じた支援を行うもの、マル3として、実態上、安全な預かりの役割になっているもの等が混在していて、それらが一律の報酬単価になっている。もちろん医療的ケアとか、一部のいろいろな側面に応じた加算等の単価がございますけれども、基本はこういったサービスの中身に応じた単価にはなっていない。このために、手間や専門性をかけない支援のほうが利益を生む状況があるのではないかということがこれまでも部会の委員の皆さんからも御指摘いただいたところでございます。
2ページ目の1つ目の丸でございます。女性の就業率の上昇とともに、保護者の就労に伴う長時間の利用ニーズが高まってきている中で、こうした就労に対する対応に関して自治体に委ねられ、居住市町村によって対応が異なっている実情がございます。
また、別の角度の観点として、2つ目の丸でございますが、近年の発達障害の認知の広がりによって、従来、障害と認識されずに一般施策(保育所・放課後児童クラブ等)で受け止められてきたお子さんが、その間に障害児の通所支援の事業所が大幅に増えたということも相まって、選択肢として一般施策への通所が検討されづらくなっている実情があるのではないかという指摘もございます。一般施策への通所を希望したとしても、現状抱えている行動上の課題等から、専門的な発達支援を受けながらでないと、なかなか一般施策のほうに通うことが難しいというケースもございます。
さらに別の角度の観点の課題として、3つ目の丸でございます。障害のあるお子さんの状態像に関しては、昨年の秋にも少し御議論いただきましたけれども、市町村による5領域11項目の調査の中で、日常生活動作の介助の必要性、移動や食事といった動作について全介助であるか、一部介助であるかという介助の必要度の面と、行動上の課題にどういったものがあるかということのみを基に判断しておりまして、発達支援の観点で発達支援としてどういったものをやるべきか、必要量はどうなのかといったような調査、勘案になっておりませんで、かつ給付決定の日数のみを決定するという現状になっております。こういった中で、保護者が選択した事業所のスタイル、例えば、後ほど御紹介いたしますけれども、一部のプログラムに特化したところもあるわけですが、そういった選択した事業所のスタイルによって提供する発達支援の種類・量が事実上決定づけられているのではないかという指摘もございます。
さらに、一番下の丸、放課後等デイサービスでございますけれども、部会でも秋に御議論いただきましたが、現行制度では「学校教育法第一条に規定する学校」ということで、中学校の後は、高等学校に通える状態であれば対象になるわけですけれども、高校進学がかなわなかった、あるいはフリースクール的な各種学校に行ったというようなケースですと法での対象にならないわけです。地方分権改革推進提案の中でこういった専修学校等に通う子供を対象にしてはどうかということで提案いただいて、昨年の秋の部会において、放課後等デイサービスが果たすべき役割、制度の根本をきちっと議論した上でこの論点も検討すべきではないかという御意見を頂戴したところでございます。
続きまして、3ページに論点としてお示ししております。障害児通所支援の在り方についてどう考えていくか、特に昨今の社会状況の変化として大きなものとしては女性の就業率の上昇がございますけれども、そういったものも踏まえて、さらにインクルージョンの観点も踏まえて、放課後等デイサービス、児童発達支援等がそれぞれ担うべき役割・機能をどう考えていくかということで書いております。
時間が限られておりまして、非常に簡単になりますけれども、5ページ以降にこれまで検討会の中で現状認識を深めるために出してきた資料がございますので、少し御紹介させていただきます。
5ページは、障害児サービスの利用児童数、また費用額の推移でございますが、平成26年以降、非常に大きく伸びております。
6ページに、さらに内訳を分けたものが右上に通所系の内訳としてございますけれども、特に放課後等デイサービスが高い伸びを示しています。御参考に、障害者福祉全体、医療費、介護費の伸びをおつけしておりますが、こういった他サービスの伸びに比べても非常に突出した高い伸びが見られるところでございます。
7ページでございます。こういった伸びがどういうところから生まれているかについて分解していきますと、上の表の中段ですけれども、利用者数の伸びがこの伸びをほぼ表している状況になっております。1人当たりの費用が伸びていたりするのではないという状況がございます。
その上で、こういった利用者数の大きな伸びの背景に何があるかという点について、8ページでございますが、文部科学省でお調べになっている、通常の学校で通級指導を受けておられるお子さんの推移を右側のグラフでお示ししたものでございます。左のほうが平成26年度から令和元年度ということで障害児サービス費の伸びを表しておりますが、ちょうど近しいカーブを描いているところでございます。緑、紫、ブルー、オレンジのところが発達障害のお子さんの伸びでございます。
また、9ページは、同じ趣旨でございますが、発達障害関係の検査の件数も同じ期間に高い伸びがあるということでございます。
10ページ、11ページは、同じ観点で文部科学省の調査でございます。調査時点が平成24年と少し古いのですけれども、11ページは、通常学級に在籍しておられるお子さんの中で発達障害の可能性があると考えられる、学習面、行動面で著しい困難があって特別な支援が必要と先生方のほうで感じられるお子さんの層として、全体として6.5%という数字が出ております。小学校のほうが比較的高くて、中学校になると少し数字が落ち着いてくる結果になっておりますが、それなりに大きな層のお子さんがいらっしゃいます。
12ページは、年齢別に障害児サービスの利用の伸びを分解していったものでございます。一番下の線が平成25年で、一番上の線が令和元年度、直近になっておりますが、それぞれの年齢層が全体的に持ち上がっていて、この時点での瞬間で見たときの利用率の一番高いところのゾーンは5歳、小学校就学前になっているというところがございます。
13ページは、女性の就業率の伸び、それに伴う保育所・放課後児童クラブの利用児童も大きく伸びていることを表しております。
15ページは、障害のあるお子さんがいらっしゃると考えられる、国民生活基礎調査の数字の中の手助けや見守りが必要なお子さん、末子で6歳以上の場合についての母親の就業率の伸びが平成25年以降、非常に高く見られるという数字でございます。
16ページは割愛させていただきまして、17ページは、先ほど見ていただきました、今の時点で令和元年度なら令和元年度で見ますと5歳をピークにしている利用者について、それをコーホート別に追っていった場合にどういうサービス利用の伸びのカーブになっているかというものです。瞬間で見ますと5歳のところがピークですが、5歳の後も、そのお子さんが、同じコーホートが翌年にいくと利用が続いていきまして、ピークになる年齢が11歳から15歳ぐらいのところにあるわけですけれども、少しずつピークになる年齢が下がってきているように利用の増としては見られるというものを表したものでございます。
都道府県別の事業所数について非常に大きな開きがあるということを18ページは児童発達支援、19ページが放課後等デイサービスでお示ししたものでございます。
21ページは、保育所・放課後児童クラブ等一般施策側での障害のお子さんの受入れが高いところが障害福祉サービスのほうの受入れが費用として低くなっている。両者の間でお子さんの行き来があって一定の相関があるということをお示ししたものでございます。
22ページは、放課後等デイサービスを考えるときに、居場所の意味合いとしての補完関係として重要になってくる日中一時支援について、現状の受入れの数字等をお示ししたものでございます。
23ページ以降は、検討会のほうでお示しした論点の資料でございますので、割愛させていただきます。
事務局からの御説明は以上でございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見、御質問がありましたら挙手をお願いいたします。御説明にありましたように、現在、検討会が動いているところで、ここでの皆様の御議論も検討会のほうに紹介していただけるということですので、皆様からぜひ積極的な御意見を頂ければと思います。まず、会場からいかがでしょうか。小阪参考人からお願いします。
○小阪参考人 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
私からは、端的に一点だけ申し上げたいと思います。地域社会への参加、包摂(インクルージョン)の推進は当然向かうべき方向性だと思いますが、障害児通所支援と一般施策への通所については、どちらかに誘導するものでもなく、個別性を大事にして丁寧に選択の機会を適切に適宜設けられるように、その選択機会の充実について工夫することが政策的には求められるのではないかと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、倉野参考人、会場からお願いします。
○倉野参考人 全日本ろうあ連盟の倉野です。
意見が3つあります。
1つ目は、聞こえない子供が放課後等デイサービスを使うケースが全国的に多くなっていると思います。聞こえない子供だけで集まる放課後等デイサービスの事業者もありますが、この事業所はまだまだ全国的に数が少ないという状況です。聞こえない子供のほとんどが地域の放課後等デイサービスに通っているのではないかと思います。
そこで心配していることは、地域の放課後等デイサービスに通っている聞こえない子供に、一人一人の特性に応じた発達支援、つまり特別に支援を必要とする言語またはコミュニケーション面での発達に応じた支援がきちっと適切に行われているのかどうか、非常に不安を持っています。それについては前々から十分議論はされていると思いますが、放課後等デイサービスになると、正直言って一時的な預け場所みたいになっている事業所もあるのが現実だと思います。その中で、聞こえない子供が通っている事業所では、インクルーシブまたは地域社会との関わりを考えますと、言語またはコミュニケーションの支援技術を持った支援者がきちっとそこにいるかどうかが大切になります。
その一方で、聞こえない子供だけ集まる放課後等デイサービスの事業所にも課題があります。言語・コミュニケーションの支援技術を持った支援者は、手話言語ができる聞こえる人だけではなく、同じピア的なサポートの観点を持った聞こえない支援者が支援するというところもあります。
その場合、問題になっているのは、様々な支援機関、関係機関が集まって連携しながら一人の子供に応じた支援計画を話し合うときに、今の私のように手話通訳等が必要になりますが、福祉制度として手話通訳は、障害者の個人利用制度になっていますが、事業者が利用する制度にはなっていないのです。このような場合、事業者の負担としてやることになるわけです。
聞こえない支援者が資格を取っていくことが今後重要になってきますが、これも資格を取ったり、学ぶときに手話通訳をつけた場合、全て事業者がそれを負担しなければならないとなると、経営的な負担がかなりかかってくることになります。
3つ目は、それぞれの地域の実情について、または聞こえない子供たちだけが集まる専門的な放課後等デイサービス、それぞれの課題を今後ぜひとも調査、分析していただきたいと思っています。今、この資料を見ますと、十分深く調査、検討されているようですが、残念なことに、今までの資料を見ても放課後等デイサービスに通う聞こえない子供の事業所、またその事業所に対する調査、分析を行っているということは聞いておりません。ぜひとも調査、分析、検討を進めていただきたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、オンライン参加の皆様からお願いします。まず、大塚参考人、お願いします。
○大塚参考人 日本発達障害ネットワークの大塚と申します。
障害児通所支援についての現状と課題ということで、これからの施策をつくるときにはやはり障害者権利条約に基づいてインクルーシブな環境を障害のある子供にもきちんと用意していく、そういう観点が必要かと思います。
現行の保育所や幼稚園あるいは放課後児童健全育成事業などについては、障害のある子供さんの受入れというのはまだまだ不十分であります。ですから、いかに一般施策の中で受け入れられるかということをまず考え、それを後方支援するような形で児童発達支援センターあるいは事業の役割があるのではないかと思います。また、保育所や放課後児童健全育成事業については、障害児を受け入れる十分な人材の配置と、そのスキル、知識、技術を高めていく必要があると思っています。
そして、児童発達支援や放課後等デイサービスの役割・機能を明確にする必要があります。今回のテーマであると思っていますけれども、そもそも児童福祉法などにおいて児童発達支援などについてのきちんとした法的定義がないということに課題があると思っています。児童発達支援の定義が日常生活における基本的な動作の指導となっていますが、指導は時代遅れの言葉であって、今の時代にふさわしくないです。あるいは知識・技能の付与、集団生活への適応訓練、放課後等デイサービスは生活能力向上のための必要な訓練、訓練という言葉も時代にふさわしくありません。特に発達障害のある子供さんについては、支援者の考えによって、訓練という言葉によって不適切な支援を強いる傾向がございます。様々な形で親御さんなどから課題が出ていると思っていますので、訓練という言葉、指導訓練という言葉も含めて、児童発達支援あるいは放課後等デイサービスは何をすることか、その法的定義をきちんと決める必要があると思っています。
特に児童発達支援などについては、発達支援、家族支援、地域支援、これを満遍なく行える、そういうセンターや事業所のスキル、技術、知識が求められていますし、そういう意味では、現行の児童指導員と保育士という言葉によってなされる、別に児童指導員と保育士が悪い言葉ではないのですけれども、この人たちが何をやるのか、何を指導するのか。そもそも生活指導を児童発達支援センターや放課後等デイサービスで行うということはあまり考えられないわけです。そういう意味では、この言葉も含めて考える必要があると思っています。
放課後等デイサービスについては、一義的には親御さんが働くことをきちんと確保する。その間に子供にとって質の高い支援がきちんと受けられるということが基本になるべきだと思っております。放課後等デイサービスについては多様な支援はあってもいいわけですけれども、そもそも公的なお金において福祉として何を行うべきかということと、学校との関係ですね。学校教育というものがありながら放課後において発達支援なども含めて何を行うのかというきちんとした整理がなされないと、放課後等デイサービスの法的定義も含めて曖昧になってくる。これを早急に進めるべきだと思っています。
また、児童発達支援や放課後等デイサービス、こういう障害児通所支援は障害児の相談支援と一体的なものだと思っております。児童の発達はともかく、家族支援あるいは地域支援という考え方が強くなっておりますので、コミュニティーソーシャルワーカーの仕事だと思っております。こういう意味では、障害児の相談支援と一体的に考えない限り、障害児通所支援というものの課題も残るのではないかと思っております。
最後に、児童発達支援、放課後等デイサービスについてのサービスの質の向上です。非常に右肩上がりに上がっているけれども、そのサービスの質に課題があるということがずっと言われております。事業者の自己評価、サービスの質の第三者評価に加えて、外部の認証機関によるシステム、そういうものを導入すべきだと考えております。日本発達障害ネットワークも外部の認証機関としてその役割を果たしていきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽です。
私から3点ほどお話をさせていただきたいと思います。
それぞれの委員からも出ているように、インクルーシブな観点で子供の育ちと学びを支えるべきだと考えております。その中で、まず、児童発達支援センターと児童発達支援事業については、児童発達支援センターを実施しているところが通所機能を持つことによって、結局、そこに通ってくる方のみ支援する。少しは地域やほかのところにも支援することもあるでしょうけれども、中心的になるのは通ってきているところになっているという現状も鑑みて、児童発達支援センターについては、とにかくつなぐ支援とか間接支援を中心に行ったセンター的な機能として実施していただく。そのために相談支援は必須ですし、保育所等訪問支援など、そういった間接的な支援を行っていただく。通いの場については、地域の中に児童発達支援事業所があるのであれば、そこをスーパーバイズするような役割としてきちっと機能を果たしていただくという方向性でいけるといいのではないかと考えております。
児童発達支援事業所や放課後等デイサービスに共通しますけれども、両方とも地域の学校などと連携することについて加算をつけたり、地域の関係機関と連携することによって外からの目がきちっと入るということを担保しながら加算をつけて、もうちょっと適正な運営ができるような仕組みづくりが必要かと考えております。
3点目ですけれども、インクルーシブな観点から、今、放課後児童クラブもコロナ禍であっても、子供たちが過密な状態で過ごしているというような状況があります。一方、放課後等デイサービスは障害児に特化されていますので、比較的スペース等に余裕を持ちながら支援を受けているという状態にあります。
こんなことから考えても、地域の放課後等デイサービスが例えば障害児の定員と同数の健常児も受け入れることを必ず課すとか、その地域の中の子供に対しての支援機関として役割が果たせるようなものに転換していくということも発想としては必要ではないかと考えます。習い事や、限定的な英語とか特化した支援をしている塾や、ピアノのような代わりになっている放課後等デイサービスもあるとお聞きしていますけれども、生活困窮の方や外国人の方でそういったところにもなかなか行けないような方も利用できるようにするなど、結局、安価で習い事ができるということが目的になっている部分もありますので、そういった意味で、国が示している重層的な支援体制はむしろ子供のほうからしっかりやっていかなければ、大人の部分でそれを目指したところで絵空事であり、絵に描いた餅になりかねないので、そういった一般施策と障害児の施策がきちっと児童福祉法の中で融合できるような方向性で進んでいったらいいのではないかと考えます。
3点と言いましたが、もう一点だけ。放課後等デイサービスの31日支給というのをよく耳にします。丸々1か月利用するということを耳にします。こんなことによって大人になって、18歳以降、高校を卒業して地域の施設に通っても、なおかつ22日支給の中でもっと利用できないのかどうか、やはり預けるという対象にいつまでも障害のある人たちがなり続けますので、例えば31日の放課後等デイサービスの支給は絶対なくして、22日支給より以上使う部分については自己負担を少し割高にする、そういうことでの工夫も必要なのかなと考えております。
私から以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、田中参考人、お願いいたします。
○田中参考人 全国手をつなぐ育成会連合会の田中です。
特に障害児通所支援については、本会としては今までも機会を捉えて様々な提言を繰り返してきたところですので、今回の検討会においても実情を踏まえて、実態とは乖離しない方向で取りまとめていただきたいと思っております。
児童発達支援の役割については、対象児のお子さんたちが未就学児という発達期において重要な時期を担うことから、いわゆる営利主導の事業所の選出は可能な限り抑えていく必要があるのではないか。仮に民間事業所に託す場合でも、所在地の市町村、事業所指定を行う都道府県による適切な関わりを大前提とすべきと思っております。
児童発達支援センターについては、地域における障害児支援の中核機能となるわけですが、一般施策を支える後方支援としての役割も重視していただきながら、障害児相談支援や保育所等訪問支援、人材育成、保護者支援といった地域支援を積極的に展開するときのバックボーンとして機能していただければと思っております。
放課後等デイサービスの役割ですが、子供の発達支援のみならず、近年では保護者のレスパイトや就労支援にも重要な役割を果たしておりますので、特に保護者の就労向上にも一役買っていることについては、所得のあまり多くない家庭が大半を占める中では非常に重要だと思っております。ただし、小学生の年齢については、一般施策の活用を主とする共生社会の理念を推進するためにも放課後児童クラブの利用も推進すべきと思っておりますので、放課後等デイサービスと放課後児童クラブを子供の共生型として制度化するなど、新たな展開も一つの選択肢になるのではないかと思っております。
また、放課後等デイサービスの事業展開については、塾と思われるもの、運動や文化芸術の教室と思われるものが目立つようになってきております。これらは子供の育ちにおいては非常に重要ですが、民間の事業所を活用するということで合理的配慮を前提としながらも、塾やカルチャースクールに普通に月謝を支払っていくというようなことも一つの選択肢になるような対応が必要だろうと思っております。
支給決定の在り方についてですが、5領域11項目に関しては、会としては継続的に障害児の支援区分を制度化することを求めてきておりますので、障害児通所が原則として定員規模での報酬設定をされている現状は個別の対応に着目した報酬に切り替えられるように区分の導入を入れていただきたいと思っております。
また、通所の利用負担に関してですが、月額の上限設定が課題になっていないかについて、特に多くの世帯が月額の上限負担が4600円となっておりますので、この現状がサービス利用、また保護者の意識にどのような影響を与えているのかについても検証していく必要があると思っております。ぜひ検証項目として取り入れていただければと思います。
最後に、繰り返しになりますけれども、障害児相談の拡充は不可欠であるということを強調しておきたいと思います。特に学齢児、発達障害者支援センターから学校に行く段取りの中で十分な計画相談が立てられていないということは非常に課題になる事柄だと思っております。教育機関との連携を重視していく中で、特に学校においては個別教育支援計画が立てられていきますので、就学前に立てた計画が学校でも生かされ、そして放課後の過ごしようにも生かされることで密接な連携が取れるような関わりをする。途切れ目のない対応が重要です。先ほどもお伝えしましたが、子供とは人格の違う親であるのにセルフプランという矛盾がある中は、この現状が残念ながら多い状況ですので、本人の暮らしぶりを考えるという視点での意思決定支援をきちんと整えて相談の対応を進めていただければと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。知的障害者福祉協会の井上です。
基本的に障害を持つ子供たちのところで一番重要なのはやはり権利擁護の視点だろうと思っております。特に先ほどの放課後等デイサービスの課題なんかも非常にあるわけですけれども、権利擁護の視点から、先ほどあった指定時の対応や、指導監査の中身の問題、それから大塚先生からあった第三者による認証機関のチェックの問題、そういう総合的なところから障害を持つ子供たちが不適切な対応にならないような仕組みを再構築する必要があるのではないだろうかと思います。
もう一点だけ。先ほどのインクルーシブというか、方向性はそのとおりだと思いますけれども、障害の関係だと、まだまだ下支えするサービスが不足している地域もいっぱいあるわけで、その充実と方向性をどういうふうにうまく相互に調整していくかということが非常に大きな課題ではないかと思っているところでございます。
私からの意見は以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
まず、児童発達支援センターの福祉型と医療型の統合、あるいは分類の維持を継続するというような議論がございますけれども、両者の共通の役割・機能をいま一度整理した上で、どういった医療に対応しているのか、そこに対して何が不足なのか等、各地域で検討していく必要があるのではないかと思っています。その際に、併せまして、喀痰吸引等のできる従事者がもし不足しているのであれば、その地域においてそういった研修の受講の機会を増やすとか、受講者の費用負担の軽減を図るとか、できることはまだ多々あると思いますので、今後検討していただければと思います。
2点目は、児童発達支援と放課後等デイサービスにおいて行っている支援について、本日の資料にも個別支援あるいは集団行動を通じた支援、預かりの役割等のレスパイト的な支援等、いろいろ提供サービスの実態が示されておりますけれども、報酬体系といたしましては、まずはストラクチャー、プロセス、アウトカムに着目した上で、現状の一律の報酬単価から、いろいろな機能別にメリハリをつけた報酬体系も十分検討する状況ではないかと思っております。そのことによってサービスの質の向上が高まることが期待されると考えています。
また、住民を交えた運営推進会議に準じた、地域や外部の視点を入れて透明性を高めるということも方策ではないかと思っております。これらの課題を整理した上で、専修学校に通う児童の対処についても引き続き検討していく課題だと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、白江委員からお願いします。
○白江委員 全国身体障害者施設協議会の白江です。ほかの委員も発言されたので、迷ってしまって申し訳ございませんでした。
資料の2ページの丸の上から2つ目のところ、先ほどもインクルーシブの視点からの発言が何人かございましたけれども、私も同じでして、現在、発達支援センターから保育園に訪問とか、いろいろ施策としては打たれているのですけれども、いろんなパターンとかいろんなやり方がもっとあるのではないかと思います。ここに書かれてある課題認識は私も全く同感ですので、これを解決するための細かい部分での工夫をぜひこれからも御検討いただきたいということでございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
お待たせしました。阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
私の質問というか、意見はすごく基本的なことなのですけれども、まずは障害がある子供たちの発達を支援するということで様々な関係機関の連携はとても大事なことだと思います。子供の発達には、もちろん福祉的領域もあれば、学校教育の場もあるということですけれども、今回、障害児通所支援の在り方などについて検討する場合、もう一歩学校での学びというのも子供たちの発達にとってとても重要なことだと思います。その連携といいますか、そもそも学校を終えてから放課後等デイサービスを活用しているということで、放課後等デイサービスには生活に必要なスキルの獲得とか地域との交流という大きな目的もあって、これらは学校教育でも同じだと思います。それぞれの連携の実際というか、そのツールとか、その辺を教えていただきたいと思いました。
先ほども田中参考人から教育の個別支援計画についてとありましたけれども、実際にこのような学校側でも、福祉領域の生活支援ということ、地域との交流ということでの連携するツールとして十分に活用されていると思いますが、今回はその辺のところでは多分ポイントはないからお話が出なかったと思います。その辺について学校教育との関係、そして障害児通所支援というのはやはり教育とも関係するというか、お互いに子供たちを中心に置けば関係しているわけだけれども、障害児通所支援について学校教育側の方はどのように見ているのかみたいなことで、簡単なことですが、教えていただければと思って手を挙げました。さらにこの連携の実際を確認するとともに、よりよい連携が大事だと思って発言したところです。よろしくお願いします。
○菊池部会長 教育側の状況は文科省に確認する必要があると思いますが、この時点で何かありますか。
○河村障害児・発達障害者支援室長 私どもの放課後等デイサービスのガイドラインの中でも、まさに今、阿部委員から御指摘いただいたような学校との連携について非常に重要な要素として位置づけた上で、先ほど田中参考人からもありましたけれども、学校側の個別支援教育の計画と私どもの法令側の個別支援計画の間でよく連携を取って、いつも同じ方向を向いて両者が支援することというのはガイドラインの中の在り方として位置づけておるところでございます。それについて個々の学校や個々の放課後等デイサービスによって恐らくは取組の濃淡があるのは実情かと思いますので、そこがしっかりなされていないという御指摘も同時に頂戴することがあるというところが現状かと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 阿部委員、何かございますか。
○阿部委員 そのような課題もあるという認識の下に、繰り返しですけれども、子供のよりよい発達を支援するということで、さらによりよい連携の仕組みを両方の側から、厚労省側、文科省側からしっかり構築していただきたいと思いました。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
あと、お三方、手が挙がっております。ほかにはおられませんでしょうか。
それでは、お三方に御発言いただくということにさせていただきます。まず、陶山委員、お願いします。
○陶山委員 日本難病・疾病団体協議会の陶山です。
私、難病・疾病団体協議会でもあるのですけれども、本業は実は合理的配慮コーディネーターといいまして、まさしく今、阿部委員が言われた部分をお答えできるのかなというところの仕事をしております。小学校、中学校を巡回して、今、一番多いのは発達の特性を持った子供たちなのですけれども、障害を持っている子なども含めたところでどのように学校で過ごしているのかということを先生たちと一緒に考えていく仕事をしています。そういう中で、3点ほどお話しさせていただきたいと思います。
ほとんど皆さんが言われているので、1つは、児童発達支援センターを核にしてしっかりとしたネットワークづくりがあれば、放課後等デイサービスもそれほど変なことはできないのではないかと思っております。
かつて認知症のグループホームがいっぱいできたときに、これではいけないということで第三者評価が入りました。それと同じように、先ほど何人も委員さんが言われておりましたけれども、第三者による評価を入れていくべきではないかと思います。
最後に、サービスの利用者の増加ということで予算が規模的にだんだん大きくなってきているのですけれども、私が現場で子供たちと接して思っていることは、放課後等デイサービスにしましても、療育センターにしましても、そういうところを活用している子たちは、大きくなって生きづらさを解消できている。逆にそういうところに一切関わっていなかった子たちはとても生きづらさを感じ、中にはひきこもりになっている子たちもたくさんいるのではないかと思います。そういう点で、予算がかかるからといって予算を減らすための施策ではなく、やはり子供たちの将来のために、使うところは使うというような施策になってほしいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 日本視覚障害者団体連合の竹下です。
一点に絞って発言させていただきます。江澤委員と若干重なるかと思っているのですけれども、児童発達支援事業といいますか、放課後等デイサービスも含めてですけれども、大事なのは機能・役割をどう位置づけるかだと思っております。
とりわけ放課後等デイサービスは非常に多様な実態になってきていることから、ぜひ検討いただきたいのは、現在、放課後等デイサービスでやられているような、先ほどどなたか発言したような、言わば学習塾か文化塾のようなところを否定するのではなくて、それはそれとして位置づけのできる体系づくりが必要なのだろうと思っております。すなわち、特に放課後等デイサービスを考えたときに、それが居場所として必要な場合もあり得るだろうと思っているわけです。ですから、そこでどういう支援を行うのか、特にリハビリ的な要素をどれだけ取り入れているのか、発達支援というものをどれだけ重視しているのか、どういうサービスがそこで実施されているのか、そういうサービス内容に十分に力点を置いた格付といいますか、体系づけがされて、それに見合った形での報酬が検討あるいは研究されるべきだろうと思います。単に重度障害児か、そうではないとか、定数だけで報酬体系を決めてしまうと、どうしても弊害が起こってくると思うのです。そうではなくて、その事業所で行われている支援の内容を十分に体系づけて、それに見合った報酬が位置づけられるということが子供の支援としては重要ではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、丹羽委員、お願いいたします。
○丹羽委員 すみません。2回目の発言でありますけれども、たしか田中委員の発言に関連するかもしれませんが、児童発達支援センターの相談機能について、一般の子育て支援の施策、子育て支援センターや保健センターのように誰もが利用できるところと別にするのではなくて、児童発達支援センター単独で行うのではなくて、そういった一般的な子育ての相談ができる部局と一緒に、深く連携するのか、併設するのかということはありますけれども、そういったことで子供こそワンストップで相談がきちっと受けられる、受け止められる機能の拡充として児童発達支援センターが活用されることが望ましいのではないかと考えます。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
ほかにはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
様々な意見を頂きまして、どうもありがとうございます。いろいろありましたけれども、複数御意見が出たと思いましたのは、例えばサービスの内容と、質をめぐる議論です。これは前からかなり御議論いただいているところですけれども、その辺りをどうしていくのか。あるいはこれも複数ありましたが、最後の丹羽委員からもございました他機関との連携といった視点、そして下支えとなるサービスの充実というのは前提ではあるけれども、その上でインクルーシブの視点あるいは一般施策との兼ね合いをしっかり考えていく、そういった示唆の御指摘もかなりあったかと思います。検討会とか必要に応じて開かれて、個別の施策、個別の論点について専門家が集まって議論されていくわけですけれども、ここは審議会でございますので、より大所高所といいますか、そういった広い視野から全体を見据えた御議論をお出しいただく。そういった意味では、それにかなうような御発言を多く頂けたと思います。ぜひ今日出た御意見をまた検討会のほうにもお示しいただければと思います。よろしくお願いします。
それ以外に何か河村室長のほうから全体を通じてございますか。
〇河村障害児・発達障害者支援室長 今、菊池部会長から御指摘いただいたとおり、検討会の中で話題に上って、これからしっかり議論していこうという事項もありましたし、検討会のほうは基本的に子供の関係者にお集まりいただいておりますので、違った視点での御意見もたくさん頂きました。次の回が8月になりますが、検討会のほうに本日頂いた御議論を整理して御報告させていただきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうぞよろしくお願いします。
それでは、少し早いのですが、ほぼ時間になりましたので、本日はここまでとさせていただきます。
最後に、今後のスケジュールなどにつきまして、事務局からお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
本日は御多忙の中、御議論いただきまして、ありがとうございました。
本日は接続の不手際がございまして、部会長をはじめとする皆様に御迷惑をおかけいたしまして、非常に申し訳ございませんでした。
次回の部会については日程が決まり次第お知らせいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しい中、どうもありがとうございました。
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