ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(障害者部会)> 社会保障審議会障害者部会(第114回)議事録(2021年7月16日)

 
 

2021年7月16日 社会保障審議会障害者部会(第114回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

令和3年7月16日(金)14:00~16:00

○場所

ベルサール飯田橋駅前
東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル1階

○出席者

菊池馨実部会長、阿部一彦委員、石野富志三郎委員、井上博委員、江澤和彦委員、大濱眞委員、岡田久実子委員、沖倉智美委員、久保厚子委員、小﨑慶介委員、小林真理子委員、齋藤訓子委員、斉藤幸枝委員、酒井大介委員、櫻木章司委員、新保美香委員、竹下義樹委員、中里道子委員、永松悟委員、野澤和弘委員、吉川かおり委員、江島参考人、大平参考人、小阪参考人、丹羽参考人

○議事

○菊池部会長 定刻になりましたので、ただいまから第114回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。
議事に入ります前に、本日の会議については、こちらの会場とオンラインで開催をいたします。事務局におかれましては、資料説明はできる限り分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
いつものお願いですが、御発言についてお願い申し上げます。
最初に、私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。
オンラインの方は、Zoomの「手を挙げる」機能を使用してください。
私の指名により、発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できる限り簡潔に御発言をお願いします。
御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、ゆっくり分かりやすくお話しください。また、会場の方はできるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は、必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。
円滑な会議運営に、御協力をお願いいたします。
それでは、事務局より、委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
本日の会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための対応としてオンライン開催をしております。
委員の状況について、報告させていただきます。本日の出席状況について、阿由葉委員、白江委員、飛松委員、中込委員より、御都合により欠席との御連絡をいただいています。
また、内布委員の代理として小阪参考人に、大原委員の代理として丹羽参考人に、菊本委員の代理として大平参考人に、山口委員の代理として江島参考人に御出席いただいています。
小崎委員につきましては、遅れて御出席いただく予定となっております。
では、本日の資料ですが、議事次第、資料1及び資料2、参考資料1、また本日御欠席の阿由葉委員及び白江委員より資料配付の求めがありましたので配付しております。
万が一、これらの資料が表示されていないなどの状態となっておりましたら、事務局にお申しつけください。
事務局からは以上です。
○菊池部会長 それでは、議事に入らせていただきます。
まず、議題1につきまして、資料1についての御説明を事務局からお願いいたします。
○河村地域生活支援推進室長 地域支援室長の河村でございます。資料1をお手元に御用意いただければと思います。
資料1は、障害者の相談支援と、後半では地域生活支援拠点について出てまいります。この2点について、本日御議論いただければと思います。
ページをおめくりいただきまして、1ページ目をお開きいただければと思います。
まず、相談支援のほうの現状と課題でございます。
○の1つ目ですが、障害者等の相談支援は、まず大きなくくりとして個別給付による相談支援、それから地域生活支援事業によって市町村が実施する相談支援という形で分かれておりまして、その中で基本相談と、計画相談と、あとは地域相談が行われている。それぞれの立てつけについては、後ほど別紙で御説明をさせていただきます。
○の2つ目、相談支援についての状況と課題でございますけれども、黒ポツの2つ目でございますが、計画相談と障害児相談については利用者数等、ずっと継続して増加傾向にございますが、相談支援専門員について地域によってはその人員の不足、またはさらなる資質の向上を求める御指摘がございます。
その次の黒ポツでございますけれども、市町村の相談も含んで基本相談支援についてはやはり一層の強化を求める御指摘をいろいろと頂戴しております。
それから、その1つ下の黒ポツですけれども、基幹相談支援センターについては増加傾向にはございますが、今、設置されている市町村数が45%ほどにとどまっている状況にございます。やはり未設置の自治体に関しては、域内で相談支援をしておられる相談支援専門員さんに対するスーパーバイズの機能ですとか域内での人材の育成、あとは支援者支援のような取組に少し課題があるというような実情があります。この辺りも、後ほど少し資料で出てまいります。
次の黒ポツのところでございますが、基幹相談支援センターが設置をされますといろいろ総合的、専門的な相談の実施、またはその地域としての相談の体制の強化が推進される傾向にありますけれども、なかなかそういった取組、地域づくりの機能が十分に果たせていないようなセンター、また設置はしてみたんだけれども、なかなかその役割がうまく発揮できていないようなケース等もございます。
あとは、一番下の黒ポツでございますが、自立支援協議会についてはほぼ全ての市町村、都道府県で設置されるに至っておりますけれども、具体的な部会の在り方、開催頻度等が多様であって、中には形骸化しているというような御指摘があることもございます。
その上で、次のページ、資料の2ページのほうに論点を書かせていただいておりますが、○の1つ目が相談支援の制度の在り方についてどう考えていくか。また、〇の2つ目は前回の部会でも御議論いただきましたけれども、サービスのほうである自立生活援助と、あとは地域相談の一部である地域定着支援について非常に連続的であるために、これらの制度の在り方としてどう考えるのかという論点を、再掲でございますけれども記載をさせていただいております。
本日、中心的に御議論いただく前者のほうについて、さらにかみ砕いた論点をその下に書かせていただいておりますけれども、複雑化している相談支援の体系について分かりやすく、アクセスしやすい仕組みにしていくことについてどう考えていくかという点。
それからまた、黒ポツの2つ目ですけれども、障害のある方が地域で御本人の希望する生活を続けていくという観点から、相談支援の充実強化としてどういったことが必要か。
具体的にその下に少しかみ砕いて書かせていただいておりますが、中には障害のサービスを必要とされている方であってもサービスに結びついていないような方もいらっしゃいますので、そういった方々へのアウトリーチであるとか、あとは本人の希望を形成するための関わり、または伴走型の支援を丁寧に行っていくような仕組みが必要なのではないかという観点。
また、その次のところですけれども、やはりサービスの利用調整のみにとどまらない支援が必要であって、地域にあるいろいろなサービス等を利活用した暮らしの実現をきちんと相談支援で形づくれるような体制整備が必要なのではないかということ。
また、その下の黒ポツですけれども、多様な支援が発生し得るのが相談支援でございますので、そういった相談支援の業務の範囲、またはその仕組みを改めて検討することが必要なのではないかということ。
それから、一番下の黒ポツでございますけれども、そういった相談支援専門員さんの支援、支援者の支援と、あとは支援の検証の取組、またはその相談支援を強化するための取組をさらに進めていく必要があるのではないかという観点を挙げさせていただいております。
また、その下の○のところでございますけれども、こちらは先ほどの協議会の活性化、または協議会を通した「地域づくり」(地域資源の改善・開発等)についてどう考えていくか。
下の黒ポツのところでございますけれども、形骸化しているという指摘もある協議会を活性化させるための方策としてどういったものが考えられるのかということ。
それから、やはり個別のケースを通じた、そういった個別ケースの集積から地域課題を抽出していくというような取組が有効と考える中で、そういったことを推進するための方策についてどういったものが考えられるのかということ等を記載させていただいております。
続きまして、参考資料のほうを幾つか、かいつまんで御説明させていただければと思います。
4ページをおめくりいただければと思います。障害者総合支援法における相談の体系が非常に複雑で分かりにくいというようなお声もヒアリング等でいただいておりますけれども、改めて整理したものがこちらの図でございます。こちらの図は、上半分が個別給付、個人に対する給付として提供されている相談支援のグループで、下の半分が事業としてサービスの給付ということではない相談支援の体系でございます。
それで、上半分の個別給付のところは、左側が障害者総合支援法に基づく成人のほうの相談支援で、右側に児童福祉法に基づく子供のほうの相談支援がございますが、大人のほうに関しては一般相談と言われているのが一番左側のブルーのところで、真ん中のところには特定相談と呼ばれている緑色のグループがございますが、一般相談と呼んでいるものがその下に二股に分かれておりますけれども、中核としてその地域相談支援と言われている、具体的にはさらにその下にある地域移行支援、施設や病院等からの地域への移行のサポートの相談支援と、あとはその後、地域に定着するための地域定着支援のところ、この2つをまとめて地域相談と呼んでいて、そこに当然、相談支援をしていますサービスの利用以外の部分も出てきますので、そこに基本相談がセットになっているというような体系になっておりまして、この地域相談支援の2つのサービスに対して個別の給付費が支給をされるという立てつけになっております。
さらに、その右側のグリーンのところに特定相談のグループを書かせていただいておりますが、こちらのほうは一番皆さんになじみのあるサービスの利用支援計画、計画相談支援を中心としてそこに基本相談がつく形で、それを下から矢印が書かれておりますけれども、計画相談支援給付費の支給として財政的に支援をする。子供に関しても、計画相談の部分が右側に障害児相談支援として同じように給付費の支給対象のようなものがございます。
これらについては、個別給付としてサービス利用に関して定められているものでございますが、その下半分のところ、こちらは障害福祉サービスを御利用される方に関わらないそれ以外のケースを中心とした相談の体系でございまして、いずれにしてもその実施主体は市町村であって、左側に障害者相談支援事業というものがございます。これは、その下の※印にありますとおり、個別給付の対象にならない方に対する基本相談部分を行うものが障害者相談支援でございます。
その右側に、基幹相談支援センターがございます。これは、同じように主にそのサービス利用じゃない方を念頭に置きつつ、総合的、専門的な相談支援、またはもう一つ別の顔として地域の体制強化をする機関として基幹相談支援センターがあるという状況になっております。
おめくりいただいた次のページに、こういった相談のそれぞれの事業所がどのぐらいの箇所数あるかというのをつけさせていただいておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
ちょっと飛ばさせていただきまして、8ページでございます。この辺りが計画相談の部分ですけれども、支給決定プロセスとしてサービス利用計画に関しては、平成27年度以降、市町村が支給決定を行う場合に全ての利用者について計画をつくる。
ただ、その下の※印にありますとおり、セルフプランであっても御本人が希望される場合、またはその近所でなかなか計画相談を受けられる状況にない場合には、そのセルフプランの提出も可能になっているということになっております。
少し飛ばさせていただきまして11ページでございますけれども、実際にこういった計画の相談に関しましては、一番入り口のところで計画を策定した後に、一定の間隔でモニタリングとして状況を見させていただいて、必要があれば計画をつくり直すというサイクルになっているわけですが、このモニタリングの実施期間としてマル1からマル6まで掲げておりますけれども、新規だったり状況変更の著しい方は1か月でありますし、マル2の集中的な支援が必要な場合も1か月でございますが、一部のサービスは3か月で、マル5のところですけれども、多くのサービスについて標準の期間が6か月になっておりまして、実際のモニタリングの頻度の分布として12ページを御参照いただければと思いますが、左側の大人のほうの計画相談であっても、右側の障害児のほうの相談支援であっても、6か月が大きな山になっているのが現状でございます。
続きまして、地域相談支援の関係はちょっとお時間が厳しいので、17ページ等については前回もお出ししているものですので後ほど御参照いただければと思います。
続いて、31ページ以降が市町村相談の資料でございます。
32ページが、市町村の障害者相談支援についてどういう形態で市町村さんがやっておられるかという資料でございますけれども、一番左上の実施形態を見ていただきますと、市町村が単独でやっているというのが6割で、複数市町村が共同で設置しているというところが3割になっております。
また、一番中央の上の部分ですね。「障害者相談支援事業の実施方法」を御覧になっていただきますと、直営が9%で、指定特定あるいは指定一般で、計画の相談か地域の相談かをやっておられる事業所さんに委託をしているというところが7割強になっているという状況にございます。
また、おめくりいただいた次のページが、こういった市町村相談でどのような御相談事をお受けしているか。やはり主にはいろいろな福祉サービス、ここで言っておりますのは中心としては障害福祉以外のものですけれども、サービスの利用の援助、社会資源の活用、または御本人の生活力を高めるための支援といったような内容が多く寄せられているところでございます。
飛ばさせていただきまして、次は基幹相談支援センターに関する資料を36ページ以降におつけしております。
37ページのところに基幹相談支援センターの設置の推移、上半分を御覧になっていただきますと、着々と伸びてはいるのですけれども、直近の令和2年度のセンターの設置状況、下に都道府県別がございますが、100%に達している和歌山県さんのような状況から非常に設置率の低い自治体さんまで、かなり地域格差が大きくなっているのが現状でございます。
こういった機関の設置予定について、38ページの左上を御覧になっていただきますと、半数のところが令和2年度当時の調査結果として設置予定がないというような状況になってございます。
次のページをおめくりいただいたところに、市町村において基幹センターを設置していると、上半分にあるような地域の相談支援専門員に対するスーパーバイズでありますとか、下半分が地域の人材の育成でございますけれども、やはり基幹が設置されている市町村ほどそういったところにきちんと取り組まれているというのが現状としてございます。
また、次のページ以降が協議会の関係でございます。41ページに、「協議会の法定化」の資料をおつけしております。平成24年に自立支援協議会について法律上、明確に努力義務として規定をさせていただいております。
協議会の役割のほうは、42ページに記載をさせていただいております。
その次のページ以降には、市町村の協議会のいろいろな運営状況の資料をおつけしておりまして、44ページを御覧になっていただきますと、市町村の協議会に関しましては左上に開催実績がございますけれども、比較的回数を多く設定していろいろな専門部会を設置されているケースが多くなっております。
一方で46ページを御覧になっていただきますと、都道府県の協議会のほうは左上に開催実績がございますけれども、0回から1回のところが非常に多い割合を占めているところでございます。
それから、50ページ以降は相談支援専門員の資料をおつけしておりますけれども、51ページに【相談支援専門員の要件】を左下のところにつけさせていただいております。基本的に、実務経験として関連のベースとなる職種の実務経験を3年から10年積んでいただいた後に研修を受けていただいて、5年ごとにさらに現任研修を受けていただくという仕組みになっております。
資料をおめくりいただきまして、後半の地域生活支援拠点の関係が55ページ以降にございます。
56ページでございますけれども、まず地域生活支援拠点の現状と課題として○の1つ目でございますが、障害の重度化、高齢化、「親亡き後」を見据えて、障害のある方の生活を地域全体で支えるということで5つの機能、相談と緊急時の受入れ・対応、または体験の機会と場のセット、それから専門的人材の確保・養成、地域の体制づくりという5つの機能を定めさせていただいて、こちらの根拠は私どもの通知になっておりますけれども、市町村が中心になって地域の実情に応じて整備してください。
第6期の福祉計画の基本指針の中で、令和5年度末までの間に各市町村、または圏域に1つ以上の拠点の確保をして、その機能充実のための年に1回の運用状況の検証を基本とするということを掲げさせていただいております。
次の○のところでございますが、今般の報酬改定において地域生活支援拠点の整備の推進のために、拠点として位置づけたショートステイですとか訪問系サービスについて、独自にこういう役割を評価する加算を創設したところでございます。
一方で下の○でございますけれども、令和2年度末時点で整備予定としての計上でも1,100市町村にとどまっておりまして未整備のところがある。また、整備済みの市町村においても必要な機能が備わっているかの検証・検討が必要ではないかという状況になっております。
そうした中で一番下のところ、論点として拠点の整備の推進についてどう考えるか。未整備の市町村の整備を推進するということ、または整備済みの市町村に対して必要な機能が備わっているかどうかの検証・検討等が必要ではないかということを挙げさせていただいております。
60ページのところに、都道府県ごとの拠点の整備状況をつけさせていただいておりまして、こちらのほうも基幹相談支援センターと同様にかなり地域格差の大きな状況になってございます。
御説明のほうは、以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの事務局の説明に関しまして、皆様から御質問、御意見等ございましたら挙手をお願いいたします。御発言については、できるだけ簡潔にお願いいたします。この関係では、おおむね15時を目途として御議論いただきたいと考えております。
まず会場の皆様、いかがでしょうか。
お三方お手が挙がっていますが、まず斉藤幸枝委員からお願いします。
○斉藤(幸)委員 ありがとうございます。日本難病・疾病団体協議会の斉藤でございます。
難病相談事業は、御説明いただきました相談の仕組みと若干異なりますので、また少し外れた御意見になってしまうかもしれませんことをお断りさせていただきます。
3点ほど意見として述べさせていただきます。
1点目は、アクセスしやすい仕組みへの相談の再構築というのは本当に必要だし、大切だと思っております。特に難病の支援策は分かりにくいので、相談に行く前にぜひ分かりやすい公共機関による難病についての広報活動というのももう一度考え直しながらしていただければありがたいと考えております。
それと、特に難病患者は数が少ない、相談事業が始まってからの期間が短いということもありますので、相談の支援専門員の人員不足や質の問題が言われております。そのところにぜひ力を入れるような方策もとっていただきたい。このように考えております。
2点目です。難病患者の相談機関としては、御存じのとおり難病支援センターがあります。そこでは療養生活のことや病気ですが、この病気に占める割合が相談の中で結構多いのが特徴だと思います。介護等の相談やピアカウンセリング、就労相談や支援、患者会交流や研修会等、多岐にわたっております。
しかしながら、基本的には都道府県に1か所程度しかこのセンターはございません。相談はできる限り身近な場所で行われるのが望ましいとは誰しも思うところですが、地域にある基幹相談支援センターでも難病患者の相談を受けられるようにすることや、支援センターではオンラインによる相談も積極的に取り組んでいくような体制が必要だろうと思います。
また、難病の患者数はそう多くはありませんので、地域の基幹相談支援センターでの相談には病気特有の専門的な相談に応じる保健所、病院等のバックアップ体制が必要ですし、基幹相談支援センターで行っていただくようになったらなおさらバックアップ体制が重要だと思っております。
3つ目です。多様な協議会がいろんな分野で設置されております。自治体によっては、出席者の顔ぶれが同じ人が多いということまで伺っております。難病に関する地域の協議会だけでも、私が知っている数少ない知識の中でも自立支援協議会や難病対策地域協議会、小児慢性特定疾病対象の慢性疾病児童等地域支援協議会があります。合同開催や連携した運営も検討する必要があるのではないかと考えております。
また、患者会の代表を可能な限り委員に加えること、まだまだ実際にはそうなっていない協議会もありますので、ぜひ国のほうから働きかけていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 御意見ということで、承っておきたいと思います。事務局、よろしいですね。
それでは、小阪参考人お願いします。
○小阪参考人 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
私は一当事者の立場から本日参加させていただいていますが、当事者的感受性を常に自分の中で色あせることなく持っておきたいと思っていますし、公の場で言葉を紡ぐときには最も大事にしたいことの一つです。
それを踏まえまして議題に沿って述べますと、分かりづらい複雑化したとされる相談支援について、確かに利用者目線からしてもどこに相談したらいいのか、何を相談できるのか、相談したらどうなるのかなど、全くもって分かりづらいなと、実際の私自身の過去などを振り返って思うところでもあります。
感覚的な推測ですが、これまで利用者目線で形づくられたという力点よりも、支援提供者側等の目線からの考察、検討、構築となっており、わざわざこうして議題に挙げなければ本来求められるような実対応ができていない相談支援等について、相談支援に係る身近な足元を改めて本気で見つめ直すことや、ややもすると利用者目線による構築とはなっていない可能性があることを踏まえて、じかに利用者となる方や、利用者となり得る地域住民らを対象主体とした調査研究把握をもっての点検等をなさったほうがいいのではないかというふうに率直に感じました。
さらに、今回の論点として、相談支援のさらなる充実強化策が必要ではないかと示されていますが、個人的には先に述べたとおり、まず現在の相談支援の足元を適切に顧みたり、本当に求められている相談支援の充実や強化とはどのようなありようなのか、主に支援提供者や行政側等の目線からではなく、受け手である利用者や地域住民の目線から、利用者や地域住民を主語として本質的に点検をすることが求められていると思います。
付け加えれば、相談支援という形のないものを利用者目線から見える化をしてほしいということにもつながります。また、それらを踏まえつつ、本人主体として地域生活中心の支援を鑑みますに、アウトリーチ支援、あるいは伴走型支援を丁寧に行っていくのは一つのあるべき方向性かと思いますが、その際には当事者性を持ったピアサポート従事者を相談支援等に位置づけていくことは、相談支援の本質的充実実現に資するものになるだろうと思います。
また、同時に、例えば住民にとって身近な市町村等の相談窓口等にピアサポート活動従事者を配置することで相談支援へのアクセスのしやすさにもつながるものと考えます。
いずれにしても、相談支援においてはこれまでのいわゆる専門職だけで対応していくようなありようではなく、当事者性を持ったピアサポート活動従事者等との協働相談支援をスタンダードな形として展開していくことがユーザー目線から考えた一つの答えだと思うところです。
なお、自立支援協議会については年1回から2回の本会開催では形骸化するのは無理なく、地域ごとの状況に応じて柔軟に部会等を設置できるようなありようが必要だと考えます。
かつ、誰のための自立支援協議会なのか、何のための自立支援協議会なのかを鑑みまして、その部会設置の際には各障害領域の当事者やピアサポート活動従事者、家族等の構成員の配置促進が必要だと考えます。
私からは、以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。利用者の視点からの貴重な御意見かと思います。受け止めさせていただきます。
それでは、石野委員お願いします。
○石野委員 ろうあ連盟の石野です。
私は、若いときから長年、生活相談員活動をやってきました。今はもう後輩に任せましたが、聴覚障害者情報提供施設の関わりについて意見を述べさせていただきたいと思います。
全国に、聞こえない人のための相談員のネットワークが構築されています。そのネットワークによれば、特に高齢者や重度障害者の問題の相談が年々増えています。当事者はもとより、障害者福祉サービスの現場、または行政からも相談を持ち込まれていることが増えております。
聴覚障害者の特性はなかなか理解されにくいので、その相談の支援をしております。
今、聴覚障害者の情報提供施設は全国に50か所ほどあります。相談員も職員としても設置され、確保されていますが、県の広域的な相談活動も、1人の相談員で対応しております。そういう状況があり、大変ですので、ぜひきめ細かい相談ができるように配慮を求めたいと思います。残念ながら、今も状況は変わっておりません。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、続きましてオンライン参加の皆様からお願いします。10名の方からお手が挙がっています。ほかの方はよろしいですか。
それでは、まず竹下委員からお願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。大きくは相談体制の強化と、地域拠点事業所のことについて意見を述べさせていただきたいと思います。
1点目の相談支援事業の強化ですけれども、ここで論点でも挙げられているように、私が重要だと思うのは、「本人の希望する暮らしを形づくり、継続するための相談支援の更なる充実」、これは抽象的過ぎるんだけれども、これが柱だと思うんです。その具体策として、伴走型の支援とか、地域の人・モノ・サービス等を利活用した暮らしの実現とあるんだけれども、現実にこういう支援をやろうと思うと、1人の障害者に対してずっと継続した形での相談員の配置というものが必要になることは言わずもがなだと思うんです。
しかし、現実にはいまだ相談体制というのはこの図を見て分かるように複雑だけではなくて、それぞれが相談員として多数の配置がされているけれども、現実に当該相談を担当した人が1人の当事者というか、障害者を継続的にサポートするというのは体制上あり得ないと思うんです。そうした体制をつくるときにどういう事業所の在り方、あるいは相談員の配置の仕方が適切なのか、もう少し抜本的に考えるべきだろうと私は思っています。
似て非なりかもしれませんが、昔の地域権利擁護事業、今は日常生活支援事業でしたか。何か専門員と、それからそれぞれの高齢者の支援をするための支援員というものの配置をバランスよくつくっていくという仕組みが想定されるかと思うんだけれども、現実に相談員と支援員というものを1人が全てを賄えるのか、そうではないのかというところも含めた体系的なものを少し議論していただくことが必要ではないかと思っております。
それから、論点のところで少し抜けているのではないかと思ったのは、資料には入っているし、これまで何人かの方も発言されているんだけれども、私はピアサポーター、あるいはピアカウンセリング、この人たちの支援というものを相談支援とどう体系づけるかというのが重要だと思っています。資料によると、634自治体でピアカウンセリングが行われているようだけれども、単にカウンセリングだけではなくて支援ということも含めて言うならば、継続的な支援ということも含めて言うならば、どういう体制で障害当事者を配置して継続させるのかというところも含めた論点を立てておくべきではないかと思っているのが一つです。
もう一つ、相談支援のところで私が欠けていると思うのは、ケース会議といいますか、カンファレンスの持ち方の問題が落ちているのではないかと思っております。私の自分の経験では、成年後見人を幾つかやる中で、身体障害者ではあまりその必要性は感じないのですが、精神障害者とか知的障害者の後見人などをやっていますと、その支援に関わる人たちに定期、不定期に集まっていただいて、お互いの情報や、あるいは支援の組み立て方について継続的な議論をしていかないとだめだと思っております。そういう意味では、カンファレンスを必要に応じてやるために、それが相談支援事業所でやるのかどうか。その位置づけをどうするのかということも項目として立てていただきたいというのが相談支援について思っていることです。
大きな2点目は、自立支援協議会と、それから実は併せて地域生活支援拠点のことを含めて発言したいと思います。
といいますのは、論点のところで自立支援協議会のところの役割として書かれているのは、「地域で真に必要とされる資源や取組を把握するため、個別のケースの集積から地域課題を抽出するような取組を推進するための方策」と書いているんです。
それと同時に、今度は拠点事業について見ると、私は理解していないのかもしれないんですけれども、そこは非常に重なる部分があるように感じるんです。拠点事業のところは、56ページにこう書いてあるわけです。「地域のニーズに応じた必要な機能が備わっているのか」という項目の上で5つの機能を書いているんだけれども、この5つの機能を考えるときに自立支援協議会がどうそれに関わるのか、あるいは無関係なのかというのがちょっと見えてこないわけです。少なくとも自立支援協議会の機能などを見ていますと、部会も含めてですけれども、当然課題の共有化とか、地域の課題解決とか、そういうことを言っているわけですが、地域拠点事業を見てみますと、そこは当然重なるのではないかということを感じるわけです。
さらには、拠点事業のところで5つの事業が書かれている中で非常に気になったのは、地域づくりということが機能の一つに入っているかと思うんですけれども、それは現実に可能なのだろうか。拠点事業ということと、その拠点事業所、いわば一つの中心事業所にその地域の全体を本当に見据えて地域づくりまで可能な機能と、人と、予算というものがそこに考えられているとは正直思えないんです。
そういう意味で、これは項目だけに終わらせるのではなくて、本当にそれが機能として果たそうとなれば、拠点事業所をもっと大がかりなものとして位置づけないとだめなのではないか。それよりは、場合によっては自立支援協議会にその機能を持たせることのほうが現実的なのかということを感じました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。今日のところは一巡目の議論ですので、論点の立て方についての御発言も含めて事務局では受け止めて、今後の議論に向けた参考にしていただくという形にしたいと思います。
それでは、さらにお手がお二人から挙がっていますので次々にいきたいと思います。11名の方からお手が挙がっていますので、お一人数分以内くらいでお願いできればと思います。
まず、大平参考人お願いいたします。
○大平参考人 ありがとうございます。日本相談支援専門員協会の大平です。今日は、代理で参考人として参加させていただいています。
相談支援事業と自立支援協議会さん、地域生活支援拠点について1点ずつ意見を述べさせていただきたいと思います。
まず相談支援の在り方ですけれども、これについては前回の3年目の法律の見直しのところを受けて実施された平成28年の相談支援の質の向上に向けた検討会である程度整理をされているのではないかとは捉えています。サービス利用ということを既に表明していただいているような方に対して、個別給付の相談支援などでしっかりとケアマネジメントを提供していくというようなことと、さらにはそのサービス利用はまだ何に困っているか分からないけれども、とにかく困っているのでしっかりと相談に乗ってほしいというようなことですね。そういった相談機能、しっかりとした受け止めの機能、あるいは伴走的な支援というところについては市町村の障害者相談支援事業のところに期待されているというふうに思っています。
さらには、そこを機能強化した形の総合相談であるとか、あるいは地域の相談支援事業所への人材育成、さらには地域づくりの機能というところを基幹相談支援センターに期待されているところというふうに整理をされているのではないかと思っているのですが、こうしたことが法律上もう少し明確になるというようなことが整理されていくといいのではないか。あるいは、それぞれの機能が独立しているものではなくて、重層的に関わりながら相互連携しながらやっているものだというようなことも少し分かるような形で、理解が進むような形で整理されていくとよいのではないかというふうに考えています。
個別給付のところで様々な相談支援というものが分類を分けて事業化されていますけれども、前回の議論でもあったと思うのですが、計画相談と地域移行支援などは一連の流れで同一のものを実施することも多いかと思いますが、そういったものであるとか、あるいは地域定着支援と自立生活援助についても同一のものが支援のボリュームを調整しながら実施をしていくようなサービスになると思うので、そういった辺りは整理をしていけてもいいのかなと思います。
また、今、申し上げたようなこと全てを包括的に実施していくような場合もありますので、そういったことがしやすいような整理などもされていくと、利用される方、あるいは支援を実施する側としても分かりやすくなるのではないかと考えています。
そういったことを整備していくに当たっては、基幹相談支援センターを整備する。基幹相談支援センターの機能を充実するということがとても大事と思っていますので、今、地域生活支援事業の中にあるような基幹相談支援センターと機能強化事業というものの在り方についてももう少し議論を深めていただけるとありがたいと思っています。
自立支援協議会につきましては形骸化しているというような声もたくさん上がっているとは聞いておりますけれども、やはり協議会を通じて新たな市町村、都道府県、あるいは国の制度ができていくということにとても期待が集まっているかと思っています。
ただ、協議会の機能としてはそれだけではなくて、地域の事業者がネットワークを組むことによって、いい支援をやっている事業者の支援が違う事業者にもつながっていくとか、あるいは自分のところの法人でやっているサービスに空きがある、あるいはもう少し適切な方が利用してもいいんじゃないかというようなことを情報交換しながら、支援の幅が広がっていく、深みが出ていくというようなことも協議会の大切な機能というふうに考えています。その辺りが実績としてなかなか積み上がらないというか、意識されない部分に形骸化の一因もあるかと思っています。
こうしたことを進めていくには、やはり協議会の事務局機能がとても重要になるかと思っていますので、これも基幹相談支援センターへの期待の部分は多いかと思いますけれども、そこについての研修なのか、制度なのかというのはありますが、もう少し強化される取組が必要かと思っています。
もう一つ、協議会については法律の89条の3で書かれているものですけれども、都道府県の協議会と市町村の協議会の書き分けがされていないんですね。地域の協議会の体制がしっかり整うための県の協議会の役割、都道府県協議会の役割というものももう少し明確に整理されてもよいのではないかと考えています。
最後に、地域生活支援拠点につきましては各地域で進められているところではあると思うのですが、やはりそれなりに大きな規模の地域だと整理しやすいところもありますが、とても小さな人口規模のところだとなかなか整備が進みにくい。今、国で進めていただいているような個別給付での対応というところではなかなか難しいと全国の相談員から聞いていますので、そういったところを少し協議いただければありがたいです。
あとは、どこまでやれればということですね。地域で障害のある人が地域生活だったり、地域移行に関して困らない状況をつくるということが最終目的だと思いますので、それについてどの程度整備をしていけばいいかというのは各地域によって異なると思うんです。その辺りをしっかり評価できるような分かりやすい指標があると、各市町村としても進めやすいのではないかと考えています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上です。
私は、3点ございます。
まず、相談支援事業についてはこのたびの報酬改定も含めて、徐々にではありますが大変充実してきており、様々な方々の努力に感謝申し上げたいと思います。しかしながら今回の資料を見せていただくと、まだ課題も多いという思いです。特に、地域移行支援や地域定着支援にかかる地域相談支援と自立生活援助の利用者数の低さは非常に大きな課題かと思います。相談支援の現場を見ると、恐らくほとんどの労力を計画づくりに費やされているのではないかと感じますので、なお一層の相談支援全体の体制についての御支援をよろしくお願いしたいと思いますし、基本的に一般相談をはじめ基本相談が有機的に機能する体制にしていただければありがたいということが1点目です。
2点目は、相談支援専門員の養成や位置づけについてですが、相談支援専門員には、基本的に国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士と同等のスキルや対応を求められるのだろうと私は思っていますが、現状ではそれぞれの仕組みとなっていることから、これらを相互に生かしていただくためには、国家資格である両資格と相談支援専門員に一層の関連性を持たせ、相互に活用するような仕組みを、ぜひ御検討いただければありがたいです。
3点目は、地域生活支援拠点の推進についてですが、基本的には私は協議会や基幹相談と同じような考え方で、非常に地域間格差が広がっているのではないかという思いがございます。一番のポイントは市町村の理解がまだまだ十分に行き渡っていないのではないかというところですので、ぜひ今後の御指導も含めてお願いしたいと思いますし、地域生活支援拠点の整備には、ネットワーク作りや専門性、共同の取組みといったほかの事業にはないような仕掛けがあることから十分な整備には少し時間もかかるものだと思います。全体的に広がっていくためには相応の時間も必要かといった思いです。
以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、阿部委員お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。よろしくお願いします。
まず、4ページで相談支援事業の体系について分かりやすく説明いただいてありがとうございます。それで、個別給付はサービスを利用している方々に対してということのように理解していますが、ただし、障害があっても必ずしも障害福祉サービスを利用している方だけではないわけですから、この基本相談支援というのは大事でありますし、地域生活支援事業での障害者相談支援事業というのは必須事業でもあるからとても大事なことだと思っています。
そこで、確認したいんですけれども、例えば特定相談支援事業についてなのですが、相談支援専門員はほかの業務を兼務してもよいというふうに示されているように思いますが、一方、十分にサービス等利用計画がつくられていないという指摘もあります。
さて、この特定相談支援事業所がどのような活動をしているのかというのが一つ分からないことです。今日のお話の中でも、計画相談だけではなくて、サービス等の利用調整だけではなくてということで、地域づくりとか様々な役割があるんだけれども、そもそも特定相談支援事業に対する報酬費などで考えてみた場合には、地域づくりとか様々な関連機関との連携を行うゆとりがあるかどうかという疑問があります。
また、それとの関係かもしれませんけれども、いただいた資料の中には障害者相談支援事業は必須事業ですが、これを市町村は委託可能ということですので、どのくらいの割合委託されているかというのもそれぞれの相談支援専門員の活動に関わるかなと思って、その確認をお願いしたいと思いました。
本当にこれは障害福祉領域の個別のケースを地域づくりの課題としてということでも大事な役割なので、相談支援事業所の役割の重要性と、その報酬費という言葉でいいのかどうか分かりませんけれども、そういうことについて教えていただきたいと思います。
もう一点は、先ほどの竹下委員のお話とも関わりますけれども、障害当事者が相談支援事業に関わっているということはすごく大事なことです。
ただ、ピアカウンセラーの配置とありますけれども、ピアカウンセラーと言うと何となく心理的な意味に捉えてしまうようなところもありながら、例えば小阪参考人はピアサポートという言葉も使われています。この当事者の関わりはどのような範囲で行われているのかということですね。
それから、それとの関係なのですけれども、市町村には身体障害者相談員、当事者相談員、または知的障害者相談員、精神障害者相談員、御本人や御家族も含めての仕組みがありますが、この仕組みと相談支援事業の関わりというのがよく分からないところでもありますし、ましてや自立支援協議会、様々な地域づくりということになりますと、家族も含めた当事者という意味ですけれども、既存の仕組みとの関わりが大事であるとともに、その活動の実態が十分ではない場合であればしっかりと取り組む必要があると思いました。やはり当事者の体験、御家族の体験ということは様々な意味で重要な意味を持つのではないかと思って発言させていただきました。
そういうことで、2点お話しさせていただきました。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
確認事項があるようですので、事務局からお願いできますか。
○河村地域生活支援推進室長 計画相談の事業所において、相談支援専門員さんはほかの事業との兼務は可能でございまして、そういった観点では先ほど御指摘いただいたような、ちゃんと計画に向き合ってしっかりつくれているのかどうか、またはその計画以外のいろいろな地域づくりを含めてやる余裕が果たしてあるのかどうかという御指摘であったかと思います。
先般来の報酬改定の中でも、やはり計画相談などの事業者では常勤専従できちんと計画に向き合うという方の一定の確保が必要だという考えの下で、常勤専従の相談支援専門員さんが1名なのか、2名なのか、3名なのかという規模に応じて加算をしていくような基本報酬の体系に組み直したところではございます。また、御指摘として、市町村の相談のほうが実際はどのぐらい委託をされているのかという御指摘があったかと思います。
本日の資料ですと、市町村相談の委託の状況につきまして、32ページの上のところの真ん中のグラフにございまして、実際は指定特定あるいは一般・障害児相談ですが、基本は計画か、地域移行等の事業所さんのほうに委託をしているというのが73%ですので、大勢を占めている状況にございます。
御質問のほうは、以上であったかと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。時間がございますので、進めさせていただきます。
それでは、続きまして丹羽参考人よろしくお願いします。
○丹羽参考人 ありがとうございます。全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。本日は、大原の代理ということで出席をさせていただいております。
私も相談支援事業と、あとは自立支援協議会、地域生活支援拠点について1点ずつ意見を申し上げたいと思います。
1点目、相談支援についてですけれども、本来は質問したかったのですが、時間の関係で、先ほど河村室長さんからも御説明のあった機能強化型サービスの利用支援は今年度から始まっていますが、その前から特定事業所加算も算定できるようになっております。現在、相談支援専門員の数が2万4000人くらいということで、事業者数が1万事業所程度に特定相談、障害相談支援はなっていますけれども、これを単純に割ると1事業所平均の相談員というのは2.24人で、1人当たりがサービス等利用計画を立てている数を割れば大体これくらいの人でやっているんだなということが分かるのですけれども、これだと機能強化や特定事業所加算自体に推移したところがどれくらいあるのかというのが分からなくて、その辺りは質の向上ということで1事業所に複数人置くようにというような仕組みに変えたので、そこはもうちょっと補足の資料をぜひいただきたいと思っています。
その上で、主任相談支援専門員も設置がされた中で、基幹相談支援事業所と、市町村の相談支援事業所と、この主任相談支援専門員の役割について少しきちんと整理をしていかないと、なかなか事業所のほうが分かりづらくなっているのではないかと思っています。特に、今のところは特定相談支援事業所に主任相談員がつくか、もしくは基幹相談支援センターのほうについていますけれども、本来、市町村の相談支援事業所のほうに主任相談員も配置されたほうが、より基幹相談支援センターとの連携の上での伴走型の支援というのもなし得るのではないかと思っています。
また、医療的ケア児等コーディネーターも創設されていますけれども、この位置づけについても少し曖昧なところがございまして、やはりそういった専門的な機能は一度、基幹相談支援センターに集約をするということがいいのではないかと考えます。
同様に、ピアカウンセラー、ピアサポーターについて、私も相談支援事業所をやっておりますけれども、1人のピアカウンセラーやピアサポーターだけではなかなか難しい部分もあって、やはり1つの事業所に複数人ピアサポーターやピアカウンセラーがいるような体制ができるといいなというふうに感じております。その辺りも、基幹相談支援センターでまずは抱えるというような形で、その後の支援について市町村相談支援事業所かサービスのケアマネジメントをする特定相談支援事業所等につなげていくというような仕組みができたらいいのではないかと考えております。相談支援事業についての意見としては、以上でございます。
続いて、市町村の自立支援協議会についてですが、私は埼玉の東松山市なのですけれども、我々のところも平成19年から自立支援協議会を設置してもう14年になりますか。早いところだと14年、15年くらいになります。この間、その市、町に合わせた体制というものをつくってきていますけれども、いわゆる基幹相談支援センターをやれ、地域生活支援拠点をやれとか、次々にいろいろお題がきていて、なかなか市町村担当者の理解が追いついていないということが現状としてあるのではないかと思います。その地域のマンパワーを確保していくためにも、障害福祉サービス事業所が指定を取るときには必ず自立支援協議会ときちんとコミットをしていくということを明確に記載していただけたらいいのかなと思います。そういう中で、指定を受けている以上、そこに参加していくというある意味の義務を課していけたらいいのではないかと考えます。
3つ目、地域生活支援拠点についてですが、私は埼玉県の相談支援体制整備のアドバイザーを現在もしておりますけれども、その中では基幹相談支援センターが立ち上がらないとなかなか拠点の話に移行できないというところが多くて、基幹相談支援センターが立ち上がると一段落してほっとしてしまって、次の拠点に移るということになかなか行けない。ファーレスになってしまっているというような状況もあります。
ただ、どうして拠点の整備が進まないのか、その阻害要因が何なのかというのをもうちょっとしっかり調査研究をしたらいいのではないかと考えます。とにかくやれやれと言っても、やれない理由とか、やらない理由が何かしらあって、そこをもうちょっと分析する必要があるのではないかと感じていますので、そこについて取り組んでいただけたらと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
資料の補足をできればというお話がありましたが、何かコメントいただけますか。
○河村地域生活支援推進室長 機能強化型の加算を設けたのは4月でございまして、それによってどれだけ常勤専従の拡充ができたのかという御趣旨の資料なのかと理解したのですが、まだ4月以降の算定状況が出ていない状況ですので、出てまいりましたら確認させていただいて部会長にも御相談させていただければと思います。
○菊池部会長 了解しました。
それでは、あと7名の方がいらっしゃいます。
酒井委員からお願います。
○酒井委員 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井でございます。
論点の一つにあります分かりやすい仕組みについてということですけれども、目的がはっきりしている人はよいのですが、これはどこの門をたたけばよいか、分からない人も多いと思いますので、いま一度、4ページのスライドの資料で示されておりますように、障害者相談支援事業並びに基幹相談支援センター並びに役所の障害福祉サービスの窓口が第一次の相談窓口であるということを明確に示すべきだと思います。
続いて、さらなる充実強化ということですけれども、相談支援事業などの対象エリアですが、やはり私は中学校区程度に整備しないと潜在的な要支援者までは把握できないのではないかと考えています。単に事業所の設置数を促進するだけではなくて、エリアを意識した整備を考える時期にきているのではないかと思います。
次に、多様な支援が発生し得る相談支援の業務の範囲や仕組みの検討についてということですけれども、そもそもその役割を基本相談に位置づけていたのではないかと思いますので、ここはなかなか報酬がつきにくいこともあります。そこも含めて、基本相談の在り方について再検討すべきだと思っています。
続いて、支援者支援や支援の検証の取組についてですけれども、これは次の自立支援協議会の在り方にもつながるものですが、ぜひ協議会の中にケース検討専門の部会を立ち上げて、これが機能すればおのずと自立支援協議会自身も活性化するのではないかと思います。
ただし、それをするにはやはりスーパーバイズする人材が必要ですので、その人材養成にも力を入れるべきであります。スーパーバイズの専門性というところでは、相談支援の専門性が高いだけではなくて、やはりまとめ上げていく別の要素も必要な気がしますので、そういった人材の養成ということも考えてはどうかと思います。
それから、多様な協議の場が各分野において設置される中で、関係者の負担の軽減というようなことがあります。地域で実践していると、年に数回開催しているだけでメンバーも変わらず、何か意味があるのかなと思う会議体は確かにあります。そういうことの整理は必要ですけれども、もう一つは今回は相談支援がテーマですので私自身の感覚で申し上げますと、先ほどほかの委員の方もおっしゃられていましたが、あまりにも兼務の相談支援員が多いのではないかと思います。この辺り、1人当たりの事業所の人数や専従、兼務の状況が今後分かれば資料をお願いしたいと思います。
先ほど来、言われていますけれども、報酬改定で専従を評価する仕組みをつくってもらいました。兼務が多い事業所では、こういう会議体の参加もやはり負担が大きいですし、なかなか組織だった動きに相談支援事業所自身がなりにくいのかなとも思っています。報酬改定の影響がどうであるか、次の検討の際にはぜひ資料をお示しいただけるとありがたいと思います。
最後に、計画相談についてもう一点だけお話しさせてください。セルフプランです。若干改善はされてきていますけれども、やはり都市部ではまだまだセルフプランが多い状況です。特に、単体のサービス利用、具体的には通所サービスが中心だと思います。私どもは専門が就労系ですので、とりわけ就労系サービス単体で使っている利用者の方は非常にセルフプランが都市部では多いです。これをセルフプランではなく計画相談に乗せてということを目標にしているわけですけれども、若干改善はされているわけですが、まだまだ都市部では多い状況です。これを最終的には計画相談を目指していくという方向もいいのですけれども、私が危惧しているのは、セルフプランになることによってサービス提供者と御本人との間だけで完結してしまって、第三者の関与がないということを一番危惧しております。セルフプランを解消していくことも必要ですけれども、それまでに第三者が入る仕組み、関与できる仕組みを何か設けていただけないかと考えています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして櫻木委員お願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。4点ばかりお話をしたいと思います。
皆さんがおっしゃっているように、相談支援の体系が非常に複雑になっていて分かりにくい。これは確かなことだと思います。4ページのところに体系が示してありますけれども、総合支援法の中でも一般相談と特定相談がある。これは都道府県による指定なのか、それとも市町村による指定なのかというようなことで分けられているのでしょうか。そうだとすると、もう少しこの辺は分かりやすく再構築できるのではないかと思います。
一般相談支援の中の地域相談支援、これは地域移行支援とか地域定着支援が入っているわけですけれども、例えば精神障害などの場合には精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの中で、いわゆる市町村を主体とした協議の場の中で地域移行支援とか、あるいは地域定着支援、これは症例の選定を含めてやっていこうということになっていますので、この部分はどちらかというと、より利用者に近いところでやるべきかとも思っています。
それから、ずっと障害福祉サービスの提供に関する医療の関与ということでお話をしてきたのですけれども、11枚目のところに計画相談のモニタリングの期間、実施のイメージという図が示されています。この実施のところでやはり医療の関与、竹下委員がおっしゃったようにカンファレンスをきちんとやることは大事だと思いますけれども、なかなかカンファレンスというのがいわゆるスケジューリングの問題から難しいということになれば、やはりここで主治医の意見書なり、あるいは指示書というものをきちんと使っていただきたいと考えています。
それから、地域生活支援拠点の話が54枚目のところに出てきています。いわゆる多機能拠点整備というものと、それから面的整備ということで出てきていますけれども、それぞれの例えばショートステイであるとか、そういった機能の別に面的整備ということが挙げられていますが、これは場合によれば障害特性に応じたような形の面的整備というものもあり得るのではないかと考えています。
最後に、自立支援協議会について様々な委員のほうから御意見がありましたけれども、これも団体ヒアリングの中でも触れられておりましたが、今の自立支援協議会の構成が福祉の人たちにかなり偏った構成になっているということ自体がやはり問題ではないか。活性化をして形骸化を防いでいくというためにはほかの分野、医療であるとか、あるいは保健の分野、そういった人たちにも入っていただいて自立支援協議会を再構成するということが必要ではないかと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、続きまして岡田委員お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
相談支援事業について、お話をさせていただきます。私どもは、利用する立場からのことになります。精神障害者家族の感覚からいたしますと、相談すること自体のハードルの高さというのを痛感しておりまして、様々な生活上の困難を体験した末にようやく相談にたどり着くという経緯がありますし、また、福祉サービスを利用するときの場所というようにその相談の窓口を捉えている傾向もあります。
このことの根底には、御本人や家族が持つ偏見の問題もあると思いますけれども、分かりにくさ、つながりにくさという課題が大きいのではないかと考えています。論点にも、分かりやすくアクセスしやすい仕組みへの再構築とありますけれども、そのことに関連して、利用する立場から5点、簡単にお伝えしたいと思います。
1つ目は、相談窓口の周知の問題です。例えば精神の場合ですと、医療機関につながったときであったり、自立支援医療や障害者手帳の手続に行政の窓口に出向いたときであったり、保健所に相談を持ちかけたときなど、様々な機会に困ったときの相談窓口というのが分かるような資料とか、その説明をそこでしていただけたらいいのではないかと思っております。必要に応じてそこにつなげていただく。既に実施されている地域もあるとは思いますが、ここはなかなか徹底されていないという実感があります。制度や体制がつくられても、それが利用すべき人たちに適切に情報提供されるということがとても大事なのではないかと考えます。
2つ目は、ワンストップの相談窓口の設置です。どのような困り事であっても、あそこに行けばいいという場所があればとても分かりやすくて、つながりやすくなるというふうに思っています。
3点目としては、24時間365日対応の窓口ということです。仕事をしながら、働きながら障害がある方を支えている家族はたくさんいます。勤務時間後とか休日に相談ができる場所が必要で、その体制ができることでつながりやすさにつながっていくと思います。
4点目は、論点にもありますけれども、必要に応じて訪問するアウトリーチ支援が当たり前になること、これを希望したいと思います。これも、つながりやすさに直結すると思います。
最後に5つ目ですけれども、ピアカウンセリングの活用です。体験に基づく相談支援は、専門家の方とは異なる有効性があるものというふうに考えます。体験者としての当事者や家族のピアカウンセリングが、相談支援事業においてさらに活躍できるようになることが必要だというふうに考えています。よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、久保委員お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
私どもの団体は知的障害の団体でございますので、知的障害者にとりましては本人の意思を尊重して暮らしぶりを整え、そして必要な社会資源の開発を担う相談支援事業というのは不可欠なものだと考えております。それで、さらなる拡充が必要であるという前提でお話をさせていただきたいと思っております。
相談支援を分かりやすくアクセス、またはアクセスしやすい仕組みに再構築すること自体は賛成でございます。ただし、現行の相談支援は必要性があって少しずつ細分化されてきたのではないかなという理解もしておりますので、再構築した際に今より機能や報酬が低下することはないようにしていただきたいと思っております。
障害のある人が地域で本人の希望する暮らしを実現し、継続するためには、相談支援のさらなる充実、強化が不可欠だと思っております。その意味では、自分のことは自分で決めるという本来の意味でのセルフプランが広がることは有意義であると思っております。
しかし、現在の計画相談には、セルフプランの作成支援に関する報酬が設定されておりません。サービス等利用計画については、相談支援員にお任せかすべて自分でやるかの二択しかない。
この状況を改善するため次期の支援に関する報酬を設定していただきたいと考えております。
また、障害福祉サービスを利用していないなど、計画相談に結びつかない人へのアウトリーチは非常に重要であり、何らかの形で制度化することが必要だと考えています。
自立支援協議会の活性化につきましては、当会にも各所で協議会の形骸化が報告されておりますし、早急な改善が必要というふうに考えております。具体的には、国が示しておられる自立支援協議会の図があるんですけれども、この図に、設置が想定されている部会が市町村に大きく影響しているのではないかなというふうに考えております。
本来、部会は地域における課題の解決方策を協議するため、機動的に開催するものであるというふうに思っておりますので、国として改めて部会は機動的なものであること、仮に部会を設置するならば地域の課題を抽出していただいて、その課題の解決を目的として軌道的に部会を設置することが重要だということを強調していただきたいと考えております。
また、自立支援協議会に限らず、近年では法律が設置、改正されるたびに何らかの協議会を設置することになっているのが多くございます。地域における協議会が進む効果は期待されておりますけれども、また一方で負担も増大していると思っております。構成員も類似することが多く、地域共生社会における制度の縦割り解消の観点からも、各種の協議会の効率的な設置を検討すべきではないかと考えております。
次に、地域生活支援拠点についてお話しさせていただきます。地域生活支援拠点につきましても、知的障害者の地域生活を支える重要な仕組みであると考えております。改めて、拠点を制度化していただいたことに感謝したいと思っております。
その上で、多くの市町村が拠点整備を一旦終えたこの後こそが重要であるというふうに認識をしておりまして、特にPDCAサイクルによる拠点機能の段階的向上は極めて重要だと考えております。ぜひPDCAサイクルにより機能強化が図られた市町村の好事例を全国的に集めていただいて、そして水平に展開していただきたいと考えております。
また、強度行動障害や医療的ケアなどの専門性が高い支援対象につきましては都道府県の関わりが不可欠であると考えておりまして、この点につきましても国として明確に関わりを示す必要があるというふうに考えておりますので、ぜひお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
久保委員、ネット環境のせいだと思うんですけれども、後半部分で一部、聞き取りづらい部分がありまして、おおむね分かったのですが、後で事務局のほうからそこの部分を確認させていただきたいと思います。議事録にもしっかり残したいと思いますので、すみませんが、よろしくお願いいたします。おおむね聞き取れましたので、大丈夫です。
○久保委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、お待たせしました。野澤委員、お願いします。
○野澤委員 ありがとうございます。野澤です。時間が押しているので、できるだけ手短にお話ししたいと思います。
相談支援のことなんですけれども、障害福祉サービスが措置から契約になってもう15、16年になりますか。契約というのは、選ぶという機能が健全に適正に働かなければうまくいかないと思うんですけれども、やはり障害特性ゆえになかなかそういうものが働かない人たちもいる。そうすると、いわゆる市場原理のようなものが機能せずに、サービスを供給する側が優位になる場面があると思うんですね。放課後等デイサービスの乱立とか、A型事業のいろいろな問題とかというのも、やはり相談支援がきちんと機能していないからだという御指摘も時々聞きます。
非常によくやっている相談支援の事業所の方々とお話ししますと、いろいろなことをやりたいんだけれども、法人本体がいい人を充ててくれない。兼務をさせられる。それで、配転とか人事異動で替わっていく。やはり継続的に専門性を高めていかないとなかなか難しい事業だと思うんですね。
ただ、その母体の法人を経営する側からすれば、なかなか収益につながっていかないところにいい人材を充てられないというジレンマもあると思うんです。
厚労省のいろいろな法改正や制度改正の中で、相談支援というのは毎回のように課題になって、工夫しながら、苦労しながらいろいろな制度改革がされてきていると思うんです。それで、いい方向にきていると思うんですけれども、ただ、ずっと継続して見ているとやはりエンジンが小さ過ぎて、なかなか目指すべき方向に動いていかないというような印象を持つんですね。やはりここは飛躍的に相談支援を強化拡充しないと、思った方向には行かないような気がしております。
先ほどのエビデンスをどう示せるのかということにもなると思いますけれども、相談支援がきちんと機能しているところというのは、放課後等デイサービスの乱立とかもないということをおっしゃる方もいるので、そういったエビデンスを示しながら、ぜひ財務省とも協議して拡充という方向に向かってほしいと思います。
もう一つは、地域共生社会の中で相談支援体制の一体的運用とか一本化というものがかなり目玉として打ち出されてきております。実際、現場でやっていると、障害の相談でも単に障害だけでは済まないようなケースが、特にコロナ禍で噴出しているというのは私自身も実感しています。家庭内でのDVとか、失業とか、ひきこもり、いじめ、不登校、それからリストカットとか触法行為とかたくさん持ち込まれてくるんですね。やはりどうしてもほかの地域包括とか、子供の支援の相談とか、そういったことを協働していくわけですけれども、障害の側が非常に頼りにされる。
それはそうだと思うんですね。やはり障害者福祉というのは年齢層が広いし、企業就労から医療から、触法の場合は警察から弁護士さんから、あらゆるところと連携しながらやっていかなければいけないというところで、いろいろな人脈ができたり、スキルの蓄積ができている。やはり、そういうところは頼りにされると思うんですね。
そうであるならば、いろいろな役割の再編というか、この一体的運用、むしろ障害者福祉の相談支援が中心に機能を担いながら、大きな、ただ単に障害者福祉の相談だけではなくてもっと地域全体の相談を再構築していくような役割を果たす。その辺りを目標において、いろいろな改革を進めていったらどうかと思います。
最後にもう一つ言わせていただくと、千葉県で中核地域生活支援センターというのがありまして、県の単独事業で15年ぐらいたつんですけれども、ここは13圏域に1つずつあるのですが、相談支援のような形で割と一定なんですね。母体のほうにも理解を示してくれたり、あるいは母体のほうからわざわざ独立してやっているところも出てきているわけで、各圏域の中核センターがお互いに連携し合って人材育成をやったり、あるいはスーパーバイズ機能をお互いにやったり、もう一つ私が関わっている評価委員会というものが年に1回開かれるんですけれども、それは民間主導でその評価をする。民間が民間の中核センターを評価するんですね。それで、それを県がまたさらにダブルチェックをするわけですけれども、最初のころは件数ばかり出てきていたのですが、その件数だけ言われてもどんな仕事ぶりをしているのか分からないんです。途中から、その年にあった事例を中心に幾つも幾つも挙げてもらうというナラティブな評価委員会になるわけですけれども、そうするとその委員のほうも十数年、ほとんどが継続していますので、大体、各センターの相談員の顔が分かるんですね。そうすると、その方々がどんなふうに成長していくのかとか、どんな困難事例に取り組んでいるのかというのがよく分かるようになってくるんです。
相談支援の仕事の評価というのはそんなふうにやらないと、なかなか真相に迫れていけないんじゃないかという気がしております。これは評価のところで、ぜひいろいろな工夫をするべきではないか。ただ単にチェックするというか、ちゃんとやっているかどうかを評価するだけじゃなくて、評価委員会のほうを育てていく、信頼していく。そのようなものが必要ではないとうことを思っております。
いずれにしましても、この相談支援というのは極めて重要な機能で、飛躍的な拡充と機能の再編、再構築というものを目指していっていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
今のお話は多分、次の議題にもかなり関わりのあるお話だったかと思いますが、字幕で石川県と出ていましたけれども、千葉県の基幹相談支援センターだと思います。ありがとうございました。
続きまして、江澤委員お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。時間が押しておりますので、簡潔に述べたいと思います。
まず、相談支援につきましてですが、複雑化した相談支援につきまして、できる限り当事者、関係者に分かりやすく明示する仕組みをさらに検討していくべきではないかと思います。特に、似たような名称があちこちに出てくるので、なかなか分かりづらいのかなというふうに感じています。
次に、相談支援制度につきまして、重複する機能があればそこの整理、それから都道府県と市町村の連携、あるいは地域包括支援センターとの連携を構築して、特にそういった中で過不足のない体制整備の視点が重要ではないかと思っています。
次に、相談支援専門員研修制度は令和2年4月1日から充実が図られ、あるいは主任相談支援専門員が創設されておりますけれども、これについて内容が即したものかどうか、走りながら見直しの効果を検証していくべきではないかと思います。
続いて、協議会につきまして、こういった協議会がいろいろな部門で、同じ市町村内でも似たようなものがたくさん今、乱立しているのではないかと思いますので、いかにこれの実効性を高めていくのかということが重要ではないかと思っております。特に開催することが目的化しないように、例えば必要に応じて各部会にワーキンググループを設置するなど、地域の実情に応じて工夫していくべきではないかと思います。
また、自治体には人事異動はつきものでございますので、もし自治体の職員の方が異動しても、そのDNAが残るように、継続的な取組ができるように工夫が必要ではないかと思います。
最後に、地域生活支援拠点等の整備につきまして、共通の課題は緊急時の対応、人材確保育成、あるいは夜間・休日のコーディネート、最近ではコロナ禍における社会的孤立のリスク等があろうかと思いますけれども、そういった中で62ページにもありますようにPDCAをいかに回すのかということが重要でありますから、取り組んだことはちゃんとデータを記録して収集、あるいは蓄積をして、こちらも拠点をつくることが目的化しないように、例えば医療ではその地域圏域の医療をどうするかということで地域医療構想調整会議があり、要は関係者が一堂に会していろいろ議論を定期的に継続的に行っておりますので、そういったことも参考にしながら、地域の社会資源等の実情に応じてどういうやり方がいいのかというのを定期的に協議していくことが必要ではないかと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
齋藤訓子委員、お願いします。
○齋藤(訓)委員 ありがとうございます。日本看護協会の齋藤でございます。
相談支援について、資料の2ページ目の「複雑化した」という点につきましては、相談の内容が複雑化したことと、仕組みが複雑化したことの二面性があるのではないかと思います。
そのため、入り口で相談の内容を精査して専門家につなげていく仕組みへと抜本的に変えていくことが必要ではないかと感じております。
また、自立支援協議会について、現在は効果的な運用になっておらず、役割機能も、評価する仕組みとなっていないように思います。活性化していくためには、協議会がどのような活動をし、どのような成果を挙げているのかという点を点検できる評価の仕組みがあると良いと感じているところです。
3点目の地域生活支援拠点等の整備ですが、整備が進んでいないところについて調査・
研究を進めていただいて、阻害要因を解消していく作業が必要ではないかと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、最後の御質問となります。大濱委員、よろしくお願いします。
○大濱委員 脊損連合会の大濱です。できるだけ簡潔に発言します。
相談支援についてですが、私のサービス等利用計画をつくってくれている相談支援事業所に、今度の報酬改定で実際にどう変わったのか、どれぐらい収入が多くなったかについて、5月提供分で数字を計算してもらいました。この事業所の規模は、職員の実人員は9人で常勤換算すると6.5人です。ですから、昨年度の経営実態調査の常勤換算人数1.71人と比べると事業規模としてはかなり大きいと思います。その事業所の収入を新しい報酬単価で計算すると約32万円で、改定前の単価で計算した約31万円に対して1万円強、若干増えましたという数字でしかないそうです。
はっきり言って、相談支援の事業所はかなり厳しいです。私はこの事業所に5年間くらい計画をつくってもらっていますが、事業所全体の累積赤字がこの5年間で相当たまっているのが現状だそうです。本当にいい相談支援を展開していくということであれば、やはり抜本的な改革をしていただかないとだめだと思っています。
そのための方策の一つとして、基本相談に対して何らかの形で報酬上の評価を行う仕組みを、団体ヒアリングでもご提案しました。基本相談はまさに基本であり入り口でもあります。また、障害福祉サービスの利用が終わって、計画相談支援も一回終わった後に、再び基本相談として相談に応じるというケースもあるそうです。当事者と相談窓口をつなぐ信頼関係をつくる上で基本相談は非常に重要だと思っていますので、そこに何らかの報酬で評価する工夫をしていただきたいというのが本日のお願いです。
以上です。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
かなり予定の時間を超えましたけれども、各委員から様々な御意見をいただきまして、今日は第一巡目なので、今後のまとめ方も含めて事務局には受け止めていただいて、今後また二巡目の議論に整理していただいたものをお出しいただくという形にしていただきたいと思います。皆さんから本当に様々な観点から御意見賜りまして、どうもありがとうございました。
それでは、続きまして議題2に移ります。資料2につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○奥出自立支援振興室長 自立支援振興室長の奥出と申します。私から、資料2「地域生活支援事業等による地域づくりと連携した支援等について」ということで説明させていただきます。
現在、福祉分野におきまして、地域共生社会の実現に向けて包括的な相談支援体制であるとか、社会とのつながりや参加の支援、あとは地域づくりに向けた支援ということで各種の取組が進められておりますので、そうした中で障害福祉分野についてどのように進めていくべきかということを議論いただければと思っております。
資料の1ページ目の「現状・課題」に記載しておりますが、現状として、障害福祉分野におきましては今、就労系福祉サービスなどの中で社会参加支援、あとは居宅介護などの訪問系サービス、短期入所などの日中活動系サービスにおいて日常生活上の支援というものが行われております。
2つ目の○でございますが、障害を持つ方々の地域の生活というのを支えていくためには、こうした個別給付による支援のみではなく、地域共生社会の実現に向けた取組を踏まえまして、地域づくりと連携した支援を通じた、例えば居場所づくりであるとか社会参加支援といった地域との関係性の中での支援というものが必要になっているのではないかと考えております。
3つ目の○でございますけれども、現在、障害者福祉分野の中で地域づくりなどの役割を果たしているものの一つに地域生活支援事業というものがございます。御案内のとおりですけれども、地域生活支援事業につきましては事業創設以降、任意事業において各種メニュー等の追加であるとか、「地域生活支援促進事業」を創設するなど、各自治体が地域の実情に応じて障害を持つ方々の地域生活の支援体制を構築するための措置をこれまで講じてきたところでございます。
先ほど申し上げました地域づくりと連携した支援の必要性ということも含めまして、現行の地域生活支援事業がどのような役割を果たせるかといった観点も踏まえ、地域生活支援事業の効果的、効率的な推進という検討も併せて行う必要があると考えております。
4つ目の○ですけれども、今、福祉分野における地域共生社会の実現に向けての取組として、先般の社会福祉法の改正により創設された重層的支援体制整備事業を軸としまして本年の4月から新たな取組がスタートしておりますので、そちらのほうも踏まえながら検討していくべきではないかと考えます。
こうした現状を踏まえまして、「検討事項(論点)」でございますけれども、1つ目はそこに記載のとおりでございますが、地域共生社会の実現に向けた参加支援や地域づくりといった観点も踏まえ、地域生活に必要な暮らしの支援についてどう考えるか。
地域生活支援事業等による地域づくりと連携した参加支援・生きがいづくり等の推進と掲げております。
さらにこの論点と併せまして、地域生活支援事業の効果的・効率的な推進方策についてどう考えるかという論点を掲げさせていただいております。
2ページ以降につきましては参考資料でございますが、時間の関係もございますのでかいつまんで説明させていただきます。
2ページを飛ばしまして、3ページ目は地域生活支援事業の概要でございます。ここは広く御周知されていると思いますけれども、一番下にこれまでの予算額の推移も掲載しておりますが、御案内のとおり、本補助金は裁量的経費という位置づけですので、毎年度、原則1割の縮減を求められているということですが、推移といたしましては毎年度、対前年度増額というものを確保はしているところでございます。この点は、多分これでもまだ足りないという御指摘はいただくと思いますけれども、引き続き所要の予算の確保に努めていくということでございます。
次の4ページ、5ページにつきましては総合支援法等の制定時の資料等でございますので飛ばしまして、6ページも令和3年度予算の中の見直しの内容ということで、既出の資料でございますので飛ばさせていただきます。
地域生活支援事業、各種メニューがございますが、7ページから9ページまで、それぞれの市町村事業の中の必須事業、任意事業と分かれておりまして、8ページ目は都道府県事業の必須事業、任意事業、9ページ目に地域生活支援促進事業と、ここにありますように各種メニューをそろえておりますけれども、こうしたメニューを自治体の地域の特性に応じて柔軟に使っていただくというような事業となっております。
続きまして10ページは実績関係でございますが、全てではございませんけれども、市町村の必須事業、または任意事業の中の実施率が高いものを抽出して掲載しているものでございます。
なお、本資料につきましては実施率と書いておりますが、あくまでもその事業にかかる費用が発生したということで、事業の実施体制はできているが対象がいなかったなどで費用が発生しなかったものについては実施ありとカウントされておりませんので、ひょっとしたら、ほかの個別に調査されている事業実施率とは若干異なる場合も、低く出てしまう場合もありますので、そこだけ御留意いただければと思います。
例えば任意事業でありますと、ここは数あるメニューのうち実施率が15%以上というものを抽出して出させていただいているということでございますので、御参考までにということです。
11ページ目でございますけれども、今回の論点であります地域づくりと連携した社会参加支援や生きがいづくりなどを推進していく方策として、現在地域において活動する様々な主体というものがございますが、そうした地域資源ともつながりながら既存の障害福祉の領域を広げていく対応というのも一つの方策ではないかと考えているところでございます。
この図ですけれども、中央にあるのが個別給付と地域生活支援事業によりカバーしている部分であります。「障害福祉の領域」と書いてありますけれども、この中央部が現行の施策の領域ということでございます。
地域の中には、その外側にありますように様々な主体の多様な活動というものが既に行われているということで、以前にこの部会の中でも御発言があったかと思いますけれども、障害分野におきましても、例えば法人であるとか当事者グループも含めまして先駆的な取組なども行われていると思いますし、地域共生の中で目指す包括的な支援体制の構築の中でもこうした地域力の活用というものが核となっておりますので、そうした方向性での検討が必要であると考えているところでございます。
次の12ページ、13ページにつきましては、「地域づくりと連携した支援例」として2つの自治体を紹介しているところでございます。
1つ目のところでございますけれども、要約して申し上げますと、これは滋賀県の東近江市の例でございますが、里山の整備という福祉分野以外の地域課題の解決というものを目指す中で、障害者であるとか生活困窮者、こういった方々の参加の場であるとか就労の場というものが生まれ、さらに地域経済の活性化にもつながったというような事例でございます。こうした多様な分野の課題を一つの地域の中でうまくマッチングさせることによって地域課題を解決していくと、こういった取組が各地でいろいろと生まれてきているという事例でございます。
ページ飛ばしまして、14ページ以降につきましては、これは今までも出ている資料でございますが、現在の地域共生社会の取組に関する資料を掲載しているということでございます。
最後のほうに参考で、先ほど申し上げました「重層的支援体制整備事業について」ということでつけさせていただいております。
17ページにありますように、この社会福祉法等の改正により導入されたものでございまして、具体的には18ページでございます。そこにありますように、市町村における包括的な支援体制を構築するために相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援というものを一体的に実施する事業となっております。
この事業につきましては、今のところ市町村の手挙げに基づく任意事業となっておりますが、下の図にある「新たな事業の全体像」のように、1つは相談支援、2つ目は参加支援、3つ目が地域づくりに向けた支援というもので、これを地域の中でパッケージで行っていくということであり、その右側にありますように、現行の高齢、障害、子供、困窮分野といったところの仕切りを取っ払って属性・世代を問わない実施体制をつくっていきましょうというものです。
最後の19ページにつきまして、この重層的支援体制整備事業に手を挙げた市町村においては、これまで各分野によって交付されていた補助金等を一括して使用できる、執行するということになっておりまして、障害福祉分野に関しましては相談支援の中で地域生活支援事業の中の障害者相談支援事業、地域づくりに向けた支援においては障害の地域活動支援センター事業についてはこちらのほうに交付金として拠出され、一体的な執行が可能だということになっていまして、これが本年の4月から一部の自治体でスタートしているということでございます。
資料の説明は以上とさせていただきます。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして御意見、御質問など承りたいと思います。かなり時間が押しておりまして、私の仕切りの悪さもあって申し訳ないのですが、いかがでしょうか。挙手をお願いできればと思います。会場の皆様、いかがですか。
それでは、石野委員からお願いします。
○石野委員 ろうあ連盟の石野です。
地域生活支援事業の予算についてですが、以前からお話ししていますが、なかなか増えません。意思疎通支援事業について、意見と質問があります。
まず意見です。意思疎通支援事業は地域生活支援事業では大切な位置づけとなっています。個人的には「意思疎通支援事業」という名称ではなく、「コミュニケーション支援事業」のほうがなじみやすいと思っています。
さて、意思疎通支援事業の手話通訳に関して4本の柱があります。1つ目として養成、2つ目として認定、3つ目は設置、4つ目として派遣です。地域生活支援事業の中にあるこの4本をまとめて一体にすることが、意思疎通支援です。ただ、派遣については全国的に広がっていますが、手話通訳の設置は遅れています。
また、人材も同様に、市町村、県において養成は広がっていますが、人材養成には時間がかかり、なかなか増えない状況になっています。派遣に関しましては、個人で手話通訳の依頼をしたり、要約筆記を依頼することは、以前に比べ間違いなく増えています。それは喜ばしいことですが、例えば自動車教習所、それからホームヘルパーの養成講座等、長期にわたる研修を受ける場合に意思疎通支援事業では対応できず、派遣ができないという市町村もあり、悩んだあげく、手話通訳のないまま、やむなく講習を受けるという人もたくさんおります。
大切なことは、障害差別解消法により事業者負担の義務化の考え方もありますが、自動車教習所やホームヘルパーの養成講座等では手話通訳の派遣の対象ではなく、情報保障がないことは、何とか解決しなければならないと思っております。
また、音声言語、手話言語は平等であると、今まで連盟としてずっと述べてまいりました。手話言語と音声言語の通訳の場合は、聞こえない人と聞こえる人の意思疎通をはかるというのが基本です。それをさらにどう発展させるかを考えなければなりません。
2つ目の質問です。9ページに、地域生活支援促進事業があります。その中の22番、意思疎通支援従事者キャリアパス構築支援事業は全国でなかなか広まっていないのではないかと思います。実施しているところは2県ほどと聞いていますが、その現状を教えていただきたいと思います。
○菊池部会長 事務局からいかがでしょうか。
○奥出自立支援振興室長 2点目の御質問のキャリアパス構築支援事業の実績ですけれども、今ちょっと手元にございませんので確認をしてお送りしたいと思います。
○菊池部会長 では、よろしくお願いします。
それでは、オンライン参加の方、竹下委員、阿部委員、久保委員、齋藤訓子委員、それから丹羽参考人、この5名の方で締め切らせていただきたいと思いますが、よろしいですか。時間の関係ですみません。
それでは、竹下委員からお願いします。
○竹下委員 日視連の竹下です。できるだけ短く終わります。
1点は、現状認識と問題点の指摘であります。地域生活支援事業は、それが必須事業であれ、任意事業であれ、あまりにも地域間格差が多過ぎるということが私の認識であります。そのために、単に実施率がどうのこうのというのではなくて、その地域における障害者の日常生活のありようというものが大きく影響を受けているというふうに理解しています。その点で、地域生活支援事業の在り方そのものについて、例えば一定の基準を示すといいますか、ナショナルミニマムのようなものを示すということが必要ではないかというふうな認識を持っております。
とりわけ、メニュー事業の中で、その性質によっては個別給付に切り替えるべきものがあるというふうにも思っております。特に今、石野委員が指摘したような意思疎通支援事業などはその典型例だと思っております。
2番目の質問でありますけれども、資料2の18ページの表のところにこういう表現があると思うのですが、「I~IIIを通じ・継続的な伴走支援・多機関協働による支援を実施」、これは極めて重層的支援では中心をなすものだと理解しているんです。
そうなってくると、具体的にそれをどういう形で具体化するかというときに、社会福祉法改正法の106条4の第2項3号で障害者のところを見ていただけると、地域活動支援センターはそれを担うということで考えているのかなと思うんですけれども、具体的にはどういう機能をこの地域活動支援センター事業で実施して、本当に伴走型や、多施設というか、多機関との連携を実現しようとしているのかについて教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○奥出自立支援振興室長 質問のほうですけれども、今の重層的支援体制整備事業の関係でございますが、あくまでも地域活動支援センター事業の関係は現行、障害福祉分野の中で地域づくりに向けた支援を担っている部分のメニュー、事業が地域活動支援センターの事業でございまして、これを実際に交付金として一括で渡すときに、今の予算をここに入れるということでございます。
それで、実際の体制づくりについてはもちろんその市町村の中で、障害のみならず考えていただくのですが、そうした中で障害にかかる分野は全て地域活動支援センターで支えるというものではございませんので、例えば相談支援体制のほうもございますし、地域の参加支援と、あとは地域づくりに向けた支援と、いろいろなプレーヤーもあると思いますので、そうしたものを総合的に使いながら、基礎自治体、市町村として進めていく。それは伴走的な支援であるとか、多機関協働となりますと先ほど前段のほうで御意見がございましたけれども、例えば障害のみならずいろいろな課題がその周辺にあるというときには、他分野との連携をしながら解決を見つけていくような体制をつくっていくということでございます。
その一つとして、今ある社会資源として地域活動支援センターというものが障害分野では地域づくりを担っておりますので、他分野のそういった支援と一緒になりながら検討を行っていただきたいというようなことでございます。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
それでは、阿部委員お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。よろしくお願いします。
おかげさまで、内閣府を含めた府省庁レベルでは、私たちなど、様々な団体が意見を申し上げることができて施策の中に参画させていただいているというのはとても大事なことだと思っております。
ただ、このようにしてつくられた施策が実際の地域にどう反映しているかというと、まだまだ不十分な部分があるのかなと思っています。様々な施策ですけれども、それは市町村の任意事業であったり、裁量的経費の中にあったり、必須事業としても取組の地域間格差がとても大きいというのは皆様から指摘されているところです。
そこでなのですけれども、やはりそれぞれの基礎自治体の中での当事者の意見というのはすごく大事なことだと思いますので、それぞれの基礎自治体の中での当事者グループ、自主グループ、家族のグループも含めた取組の充実が求められるのではないかと思います。
今日10ページでお示しいただきました市町村事業の実施状況で、自発的活動支援事業は27.9%、これが必ずしもその実状ではないという先ほどの室長の説明もいただきましたけれども、少ないと思います。このようなことも含めて中央団体として私たちは取り組ませていただいて、その成果というのは私たちはすごくありがたいと思いながらも、これが地域の中でしっかり取り組まれるかどうか心配です。やはりそれぞれの地域の中で発信していく力が必要なのかなと思いましたので、障害当事者団体、自主グループ、家族グループも含めて、そのような組織の構築というのが今、求められていますし、地域生活支援事業の必須事業として自発的活動支援事業というのがあるわけだけれども、これもあまり知られていないんじゃないかという指摘をさせていただきます。加えまして10ページの一番上に書いてあります障害理解促進研修・啓発ということも当事者、家族の団体の役割だと思いますので、地域で取り組まれることを願います。
それから、重層的支援体制整備事業の創設ということで、これはとても大事なことだと思います。分野別ではなくて、その地域の中では共有しながら取り組んでいくというのはすごく大事なことです。
ただ、これも手挙げ方式で、市町村の任意事業ということでありました。
これは質問なんですけれども、本年4月から取り組まれた中で、どのくらいの自治体が取り組んでいるかという実際の数字がお分かりでしたらお答えいただくとともに、これからの経緯ということに関して考えられていることについてお話しいただきたいと思います。
また、この地域づくりの中ではこの頃、頻発している災害の問題というのは大きいことだと思います。災害時の避難行動要支援者のうち、どうしても福祉領域の関わりが必要なことというのも検討されていたと思いますし、この個別避難計画作成を基に地域と共有していくことはすごく大事なことだと思います。
そのことなども含めて、地域づくりの中に福祉領域の参入が重要であることを認識しているということを申し上げて意見とさせていただきます。
先ほどの手挙げ方式で重層的支援体制整備に関してどのくらいの自治体が取り組んでいるかということだけは、分かりましたらお知らせいただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○奥出自立支援振興室長 お尋ねの重層的支援体制整備事業の実施自治体数ですが、令和3年度、今年度は42市町村となっております。これにつきましては、過去、スタートする前の何年間かはモデル事業等も行っていますし、今後はこういった42自治体が始めたところの事例等も展開しながら、また来年度に向けて手を挙げてもらうための取組というものを進めていくということかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
これは100以上あるんじゃないかと言われていましたけれども、恐らく様子見もあるでしょうし、準備している自治体もあると思いますので、今後増えていくと予想されます。ありがとうございます。
それでは、久保委員お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
地域生活支援事業に関しましては、市町村の判断で利用者を柔軟に設定できる地域活動支援センターは、例えば短時間労働で空き時間が多くなりがちな知的障害、精神障害者を含めたいわゆる居場所機能として活用できる可能性が高いというふうに考えております。
ただし、地域生活支援事業につきましては補助方式が基本的に総合補助金でございますので、市町村から見たら財源の負担が極めて不安定ではないかと思っております。
少し乱暴な表現の仕方をさせていただきますと、市町村としては頑張れば頑張るほど赤字になるというような仕組みであると思っておりますので、この点の改善なくして地域生活支援事業の活用の推進というのはなかなか困難ではないかと思っております。
私どもの会としましては、少なくとも個別給付的な性格が強い移動支援と、それから日中一時支援につきましては、地域生活支援事業から個別給付へ移行すべきではないかと考えております。特に日中一時支援につきましては、放課後等デイサービス等との役割分担におきましても重要でございますので、重点的に対応していただきたいと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、齋藤訓子委員お願いします。
○齋藤(訓)委員 10ページの「地域生活支援促進事業の市町村事業の実施状況」を見ますと、実施率が非常に高い事業からそうでないものまであり、ニーズが高いと想定されて実施されている事業が必須でない場合や、任意事業の中でも非常に実施率が高い事業がありますので、このようなデータを基に実施率の高い事業を必須にするなどして、事業の再編統合も検討すべきだと感じています。
また、利用する方々のありよう、あるいは地域の特徴等々によって必要とされる事業が異なる場合もあると思いますので、地域の特徴、あるいは利用される方々のありようによって、事業をカテゴライズしていくという作業も必要で、市町村がより一層自分の市町村に必要な事業を判断しやすいような資料提供についても検討すべきではないかと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、丹羽参考人はいらっしゃいますでしょうか。
○丹羽参考人 ちょっと移動していたところでしたので、すみません。もう駐車をしましたので。
○菊池部会長 では、お願いします。
○丹羽参考人 これまで、我々全国地域生活支援ネットではこの重層的な支援体制について、まず相談支援体制についてもこれまでの市町村の障害者相談支援事業が、言うなればつけ替えをされて重層的なところに含まれてしまうことで多い数の人たちにその相談が引っ張られてしまって、強度行動障害や医療的ケアという人たちに対して、人数の少ない人たちに対しての相談が届かなくなってしまうのではないかという懸念を持っていて、以前からこのポンチ絵に重層的ということで全部含めてしまうのではなくて、その中にもそれぞれの役割があるんだということをちゃんと残してほしいというふうに要望していたのですが、今回の資料を見ると全部それがなくなって重層的な相談支援体制として一括になってしまって、再度そういった障害のある中でも少数の方への相談支援の部分が手薄になってしまうのではないかというふうに改めて懸念を感じています。
その上で、地域生活支援事業についても同様に重層的と言いながら、なかなか数の少ない人に対してのお金だったり支援だったりというのが、高齢者であったり生活困窮者であったりという中に含まれていくことで、実態としてサービスが届かなくなるということになりはしないかという懸念は持っています。そういったところはしっかり注意をしていただいて、地域生活支援事業、地域活動支援センターの事業についての活用というものをお願いしたいと思います。
もう一方、今日、好事例のようなものを載せていただいていますけれども、やはりその好事例についてもいろいろなレベル、段階があると思います。いきなりこういうしっかりした事例を出されても、こんなことには取り組めないよというようなことが出てくるところもありますので、こういうことだったらどうだろうとか、こういう近隣とのコミュニティーのつながりの中で障害者がこういう役割を担っているとか、そういった幾つかのレベルでの体制というか、事例を提示していただけると、もうちょっと地域づくりの取組について障害のある人たち、また、その支援者についても取り組んでいきやすいのではないかと考えます。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
様々な御意見、ありがとうございます。実は、私は昨年の社会福祉法改正に関わる審議会、その前の検討会、さらに出だしの研究会からずっと議論に関わっており、かなり発言もしてきたわけですが、その中で今の丹羽参考人の御意見はしっかり肝に銘じておかなければいけないというふうに感じました。相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援とありますけれども、相談支援体制がやはり肝なんですよね。
先ほどの野澤委員の御質問にもありましたけれども、これは1つ目の論点にも深く関わってくるのですが、2つ目の1ページの論点、参加支援、地域づくりとの関係で述べられているのですけれども、ちょっとこれでは表面的というか、まさに検討されるべきは野澤委員が言われたように、行政も含めて地域資源は限られているので、その中で、児童もそうですし、高齢者については地域包括もそうですし、様々な相談支援体制が整備されていく中で、障害分野というのはやはりトップランナーなわけです。日本の中で非常に充実している。
ただ、充実しているとはいえ、足りない部分もあるので、今日も様々な御議論、御意見をいただいたように、更に充実させるべき部分はさせていかなければいけないし、あるいは利用する側にとって見えにくい、分かりにくい部分があれば、ひょっとするとその整理も必要になってくるかもしれない。そういう作業は必要なんですけれども、やはりここでも相談支援体制というものを全体的にどう考えていくのかという、その部分をしっかり取り上げていただきたい。
部会長の立場で差し出がましいとは思うのですが、日本のこの部分に関わる施策全体の在り方からいっても、障害者部会でもきちんとそこは受け止めて議論していく。その中には、先ほど丹羽参考人がおっしゃられたことで、私もなるほどと思いましたが、逆に困窮者とか高齢者とか、そちらが人数的にも多くなって、いろいろ複雑な問題を抱えた障害者の方の相談というものがちょっと置き去りになってしまう。確かにそういう懸念はあるなと思いましたけれども、しかし、全体的な議論は行っていく必要がありますので、今後の二巡目以降に向けてその点も含めて少し整理をしていただきたい。これは、私からのお願いということであります。私だけではなくて野澤委員、それから地域共生社会関連でほかの何人かの委員からも御発言はあったかと思います。時間をオーバーしているのに、また時間を使ってしまって申し訳ございませんでした。そういうことで、よろしくお願いいたします。ほかによろしいでしょうか。
特にございませんようでしたら、もう時間が過ぎておりますので本日はここまでにしたいと思います。
それでは、今後のスケジュールなどについて事務局からお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
本日は、御多忙の中、御議論いただきありがとうございました。また、部会長からも御指摘いただきましてありがとうございました。
次回の部会は7月28日水曜日10時より、こちらの会場にて開催いたしますのでどうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、本日はこれで閉会といたします。
長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(障害者部会)> 社会保障審議会障害者部会(第114回)議事録(2021年7月16日)

ページの先頭へ戻る