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2021年5月24日 社会保障審議会障害者部会(第111回)議事録
社会・援護局障害保健福祉部
○日時
令和3年5月24日(月)13:00~15:00
○場所
ベルサール御成門タワー
(東京都港区芝公園1-1-1 住友不動産御成門タワー4階)
○出席者
菊池馨実部会長、阿部一彦委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、井上博委員、内布智之委員、江澤和彦委員、大濱眞委員、岡田久実子委員、沖倉智美委員、菊本圭一委員、小﨑慶介委員、小林真理子委員、斉藤幸枝委員、酒井大介委員、櫻木章司委員、白江浩委員、新保美香委員、飛松好子委員、中込和幸委員、野澤和弘委員、吉川かおり委員、陣内参考人、又村参考人
○議事
○菊池部会長 定刻になりましたので、ただいまから第111回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきまして誠にありがとうございます。
議事に入る前に、本日の会議につきましては、いつもと同様、こちらの会場とオンラインで開催をいたします。
まず、事務局より、委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
本日の出席状況について、大原委員、齋藤訓子委員、竹下委員、中里委員、永松委員より御都合により欠席との御連絡をいただいています。また、久保委員の代理として又村参考人に、山口委員の代理として陣内参考人に御出席をいただいています。
なお、事務局の職員の出席につきまして、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、最小限にしています。出席していない者につきましては、配信の傍聴により御意見をお聴きしています。
では、本日の資料です。議事次第。資料1から資料7、団体の皆様から提出されましたヒアリング資料。資料8。参考資料1-1及び1-2です。
参考資料ですが、2月の障害者部会でデジタル改革法に関連して「マイナンバーの利用及び情報連携の拡大」について御説明させていただきました。そのデジタル改革法が今国会で成立したという御報告が参考資料1-1です。
関連して、参考資料1-2は「障害者手帳に関するマイナンバー制度の情報連携について」と題する内閣府大臣官房番号制度担当室の資料です。マイナンバー制度についてはまだよく分からないというお声も聞きますが、内閣府では視覚障害者の方や聴覚障害者の方向けの広報資料も作っているそうです。後ほど御覧いただいて御意見や御質問などがございましたら、内閣府にお伝えしますので、別途事務局にお寄せください。
万が一、これらの資料が表示されていないなどの状態となっておりましたら、事務局にお申しつけください。
では、カメラ撮りはここまでということで御協力をお願いします。
(カメラ撮り終了)
○源河企画課長 以上です。
○菊池部会長 議題に入ります前に、前回のヒアリングで大濱委員から日本ALS協会様への御質問に対する回答につきまして、事務局より代読をお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
事務局から日本ALS協会の嶋守会長の回答を代読いたします。
17日はヒアリング中に回答できず、申し訳ありませんでした。
大濱さんから「頑張らずに生きていける社会というが介助者の確保に大変な苦労をしているのではないか」との御質問をいただきました。まさに御指摘のとおりです。介助者を確保できているALS患者には、介助者が見つからないために、自ら介護事業所を設立したり、自分で介助者を求人して事業者に登録してもらう自薦ヘルパーを活用している方も多くいます。いずれも自分自身の努力と献身的にサポートしてくれる人にめぐり合うという幸運に支えられています。一方で、頑張るには病状が安定せず、幸運にも恵まれない方の中には、生きることを諦める患者もいます。高齢化に伴い、ALSでも老老介護が深刻になっている側面もあります。こうした状況を踏まえ、目指すべき方向として、願望も込めて、頑張らなくても生きていける社会の実現を挙げさせていただきました。
日本ALS協会 会長 嶋守恵之。
代読させていただきました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、本日の議事1に入ります。
本日も、関係団体のヒアリングを行わせていただきます。
事務局から進め方について説明をお願いします。
○源河企画課長 事務局です。
本日の進め方につきまして、タイムテーブルを御参照ください。1団体10分以内、時間厳守で御発言をいただきまして、グループごとに全体の発言終了後に意見交換を予定しています。
御発言が8分を超えた時点で事務局がベルを1回鳴らします。発言時間10分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合は速やかに御意見をまとめていただきますようお願いします。
以上です。
○菊池部会長 本日も貴重なヒアリングの機会ですので、団体の皆様との意見交換を進めさせていただきたいと思っております。
そこで、皆様からの御発言についてお願いがあります。
御発言の際は、私の指名により発言を開始してください。委員の皆様におかれましては、最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方は、Zoomの「手を挙げる」機能を使用してください。委員の皆様、団体の皆様、より多くの方の御発言の機会を確保するため、質問、回答ともできるだけ簡潔に御発言いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり、分かりやすくお話しください。
また、会場の方はできるだけマイクに近寄ってお話しください。御発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。円滑な会議運営に御協力をよろしくお願いいたします。
それでは、最初は3団体の皆様からヒアリングをさせていただきます。
まず、公益社団法人日本重症心身障害福祉協会様からお願いいたします。
○児玉氏 児玉と申します。日本重症心身障害福祉協会で理事長を務めております。
本日は、私の勤める職場があります大阪からオンラインで参加させていただいております。
本日の意見ということでは、現在のいろいろな報酬の改定であるとかそういうことというよりは、むしろ今の仕組み、制度の仕組みについて幾らか考えていることを述べさせていただきます。それがすぐ実現できるかどうかは別として、非常に考える対象として御検討いただければと思います。
私ども重症心身障害の施設というのは、平成24年までは重症心身障害児施設として、児も者も1つの施設の中でお世話させていただいていたのですけれども、平成24年から制度が分かれまして、18歳までが医療型障害児入所施設、主に重症心身障害、18歳を超えますと施設というよりは療養介護サービスを受けるという形になっております。
しかし、その療養介護サービスというのは日中における活動サービスでありまして、基本的には病院に入院している方についてのサービスということになっています。この場合の病院は、医療型障害児入所施設とほぼイコールでございます。
そこに大きな問題がありますけれども、まず、私ども重症心身障害施設として運営をあずかっているものとして、地域活動をいろいろさせていただいておりますけれども、その中で申し上げたいことがあります。地域においての重度障害者、医療的ケアを必要とする障害者が非常に増えてきております。もちろん障害児も増えてきております。
それに対しての今の支援の制度というものは、障害者についての、例えばグループホームにおきましての医療サービスについての支援であるとか、幾つか支援が増強されてきたことは事実ですけれども、しかし、例えば在宅におきましてあるいは自立生活を行っている方で胃瘻を伴っている方などで薬を1日3回必要とする場合は、今の制度では経口で設定された処方を飲ませることはヘルパーでもできますけれども、しかし、胃瘻から注入することはできない形になっておりますので、看護師が同乗するか家族が同乗するかあるいは本人が入れるしかない形になっております。1日に3回、4回と胃瘻から注入させるために、看護師が一々行かなければいけない、家族が行かなければいけないということが大きなネックになっております。
さらに、かん腸につきましても、指定された者しかかん腸ができない形になっております。こういうことも、医師が処方したかん腸薬であればそれができるという形で、サービスの枠を非常に広げていただかないと、これからますます増大する地域における医療的ケアを必要とする障害者の生活ということが、制度のために枠が非常に狭められているのではないかと思っております。そういう枠を広げていただきたい。
なお、そういう在宅の方々のいろいろな指示を一々仰がなければならないということは、これからのICTにおきまして、指示する医師が中央から指示を行ってそれに伴ってできるという形で、柔軟なシステムを構築していただきたいと思っております。
さらに、私どもの療養介護ということについて申し上げますと、療養介護サービスに入るということは、昔の重症障害児施設であれば入ったらほぼ一生そこにいるという形になっております。今の療養介護サービスにおきましても、医療型障害児入所施設に入院しながらサービスを受ける、基本的には期限はないという形になっております。そのために、ベッドが空かなければ次の方が入らないという形になっておりますけれども、地域において生活している方々の多くは、一生そこで預けるか否かをすぐに選択しなければいけないというよりは、そこを体験してみるということあるいは一定期間そこを利用するということが柔軟にできなければならないと思っております。そのためには、今、児童においては有期限・有目的の入所ということが認められておりますけれども、者におきましても、療養介護におきましても有期限や有目的に利用するということについて特別な加算を行う、あるいは配慮を行うという形において支援をしていただきたいと思っております。
さらに、療養介護についてですけれども、医療型障害児入所施設に入所していた児童たちが18歳を超えて次の進路を考えるときに、知的理解力はあるのだけれども呼吸器を背負っているからあなたは療養介護しか行くところがないのよという形になって入ってきた場合に、今までの療養介護のシステムというのは、基本的には寝たきりが中心で、知的理解は非常に乏しいという方々で医療的ケアを伴った方々の施設となっておりますので、そうではない方が入ってきたときのサービスということが非常に難しくなっております。本当にそこでいいのかということを考えるためにも、18歳を超えて療養介護というのを一度は利用してみると。そういうことによって施設選択の幅を広げるということをぜひ認めていただきたいと思っております。
同じく、療養介護についての問題点ですけれども、療養介護サービスというのは、日中において行われる支援という形になっております。しかし、日中において行われるという意味では、例えば、生活介護の支援も日中において行われるわけですけれども、生活介護の支援を利用する方々は、その曜日によって日によって、別にほかの支援を利用しに行ってもいいわけです。しかし、療養介護はあくまでも日中においてといいながら、施設あるいは医療型障害児入所施設に入院しているということを前提としていますので、ほかのところでは受けられない。実質的にはその施設の中のサービスしか受けられないという形になっております。
しかし、今出ておりますように医療的ケア児が増えてきており、医療的ケア者が増えてきますと、その施設の寝たきりの方々、あるいは理解が非常に乏しいために様々な支援を必要とする方々と同じ生活しかできないということであっていいのかどうかと。それが大きく問われることになってくると思います。
したがいまして、療養介護サービス、日中支援ということとの枠組みは非常に難しいのですけれども、複雑ですけれども、そこを使用しながら、しかし、曜日によって日によってはほかの日中活動支援のサービスを受けに出かけられるとか、そういうことができるような仕組みをぜひつくっていただきたいと思います。医療的ケアが重いからその施設から出られないだろうかということであれば、今の地域生活を行っているかなりの方々は呼吸器を背負いながら日中活動でいろいろなところに出かけて行っている現状があるわけです。療養介護サービスにおきましても、そういう柔軟性をぜひ取り入れられるようにしていただきたいということが一つの要望であります。
さらに、医療型障害児入所施設の小児におきましては小規模ユニットということが推奨されております。そのための支援ということも行われております。
では、療養介護においてはどうかといいますと、日中支援ということで、その住居環境につきましてはあまり大きくは取り上げられていないわけです。しかし、その施設にしかいられない形でサービスを受けるわけですから、者におきましても小グループ、あるいは個別のいろいろな支援ということが望ましいわけです。
そういう意味で、者においての療養介護サービスにおきましても、そのための空間を整備する、あるいは小グループ化する、ユニット制にする、そういうことについても児と同じような形の支援をぜひお願いしたいと思います。
そういうことによって、施設内生活におきまして多様な方々のお世話ができるし、また、多様な方々が施設内生活だけではなくて外のサービスも利用できる、あるいは私どもが支援に出向いたところで、医師、看護師以外の方々も支援に参加し、それを私たちが、例えばICT等々で施設としてお世話するという仕組みをしていって、ぜひこれからますます増大するであろう重度、あるいは医療的ケアを伴った方々へのサービスが深化するような仕組みということをぜひ御検討いただきたいと思います。それが今日、私どもから提案したいことでございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、社会福祉法人全国盲ろう者協会様からお願いいたします。
○門川氏 こんにちは。全国盲ろう者協会理事であります門川紳一郎と申します。よろしくお願いいたします。
私自身、盲ろう者ですので、私の声を通訳者が復唱します。通訳者の声を聞いてください。よろしくお願いいたします。
私からは、主に2つのポイントをお話しさせていただきたいと思います。
1つ目は、就労に関することでありまして、通勤の支援、そして、職場内での支援ということです。
2つ目のお話は、同行援護における外出時の条件の見直しというか緩和についてお話しさせていただきたいと思います。
まず、1番目の通勤についてですけれども、これは通勤の支援、職場内の支援ということでまとめてお話しさせていただきます。
通勤ですが、自力通勤がうたわれています。もちろん自力通勤が可能な人はたくさんいらっしゃると思います。ですが、自力で通勤ができていても、障害があるために何らかの病気とかで具合が悪くなったりして安全に通勤ができなくなってしまうケースもあると思います。
また、健康な人であれば通勤途中に走ったりタクシーに飛び乗り乗車することだってできると思いますが、障害者の場合はそんなことはできません。
また、個人的なことで恐縮ですが、私自身は盲導犬のユーザーでもあります。盲導犬といえども所詮犬は犬なので、犬は何をしでかすか分からない。もしかすると、脱走、暴走してしまってその場からいなくなってしまい、私自身、立ち尽くすということもあるかもしれません。犬で通勤していても何が起きるか分かりません。なので、自力通勤が可能であっても、やはり人による通勤支援は必要不可欠かと考えます。
それから、職場内の支援についてですけれども、例えば、学校教育に例えてみることができると思います。
どういうことかというと、学校の学級の中に障害者が1人いて、ほかは健常の児童、生徒がいるとします。そんな障害者が1人ほったらかされている。本当はちゃんと教師がつくことによって勉強ができて、そして、成績もそこそこ上げていくことはできるでしょう。でも、先生とか教師とか支援者とかがつかないために勉強ができなくて1人取り残されて、ぽつんと孤独な毎日を過ごす。実は私自身がそうでした。
私自身、12年間、盲学校に通っていましたが、盲学校でのほとんどの時間はほかの級友とは離れて1人ぽつんと過ごすことが多かったです。これは職場にも当てはまることができるのではないかと考えます。つまり職場においても、その職務を遂行するだけの知識とか技術とかは持ち合わせていても、自分自身でできることは限られています。
例えば、今はパソコンをはじめとする情報機器のすばらしい発達のおかげで、高いレベルまで障害者自身が自力で職務を全うすることができるようになってきています。ですが、情報機器にも限界はありまして、どうしても最後は見える人、聞こえる人、健常者の支援が必要となります。なので、職場においても支援体制は必須です。
また、職場内ではコミュニケーションを必要とすることも多いです。ミーティング、会議とか朝礼だとか、また、ちょっとした雑談においてもコミュニケーションの支援は必要です。職場支援については、非常に重要なことだと思っています。これは一般就労だけではなく、福祉的就労においても同じです。就労継続支援のB型事業所においても、1人の盲ろう者につき1人の支援者がつく状態になるといいと思います。
次に、同行援護についてなのですけれども、今のところ、居宅内での利用が認められていないというか非常に厳しく制限されています。しかし、よく考えると、同行援護は自宅で出発し、自宅で完結する。なので、家を出る前の準備が必要ですし、外出して帰ってきてから家で作業がしたいけれども、1人では作業ができない。
一つ例を挙げると、電化製品を買ってきた。お店ではうまく使うことができたけれども、家に持って帰っていざ自分で使ってみようとしたら動かないということがあって、そういうときには支援者がいると助かります。ですので、外出時の要件というか同行援護の居宅内での利用についても見直していただきたいと思います。
今日は以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、特定非営利活動法人DPI日本会議様からお願いいたします。
○今村氏 DPI日本会議の今村と申します。本日は、白井とともに参加させていたただきます。本日は、このような機会をいただきまして誠にありがとうございます。
私どもの資料は、資料3として提出させていただいています。
この主立った意見を申し上げますと、どんなに障害が重くても、どのような障害があっても、そして何歳であっても、本人の望む地域で生活し続けられる支援の確立と、どの自治体に住んでいても、家族介護に依存せず無理なく在宅生活が成り立つ仕組みと運用が必要不可欠と考えます。
地域で自立生活を実現・継続するためには、施設からの地域移行と親元からの地域移行の2つの地域移行を実現・継続可能にする必要があります。これを着実に実行するためには、施設入所者、施設入所待機者及び家族に対し、自立生活が可能であることを示す十分な情報提供が行われた上で、丁寧な意向調査を行い、エンパワーメント支援、意思形成支援を含む意思決定支援、家族の支援、住宅の確保のための支援などを伴う地域移行のための地域基盤整備を法律で定める必要があります。
日本は、国連の障害者権利条約の締約国である以上、条約の、特に第19条及び一般的意見第5号と総合支援法及びその運用などにそごがないかを十分に検証する仕組みが必要と考えますので、テーマ別に障害当事者、関係者を交えた検討会を立ち上げ、検証の上に立った見直しを求めます。
当団体の意見の詳細は提出した意見書に書いてありますので、今日この時間は、それを補足する意味で、ある事例をお話ししたいと思います。
まず私は、法律をつくったり見直しがなされるとき、その法律によって笑顔になれる人、救われる人の顔と名前が具体的に思い描けることが重要だと思っています。
これは、家族と暮らすある難病の兄弟のことです。兄は30代、弟は20代でした。障害の進行に伴って呼吸器も必要とする重度の肢体不自由者で、食事や排泄はもちろん、生活全般に常時介護を必要としておりました。日中は生活介護に通所していましたので、その時間は抜いたとしても、家族同居とはいえ、個々に1日24時間の重度訪問介護など途切れのない支援サービスが認められても何ら不思議ではない状態の2人でしたが、支給決定は1日に換算して約5時間程度と、それはそれは厳しいものでした。そのため、親のレスパイト目的で、年に1~2回、約1か月間の定期的入院をしていました。
兄が同居家族の元を離れて自立生活を考えてみたいと、ある支援団体を訪れ、定期的に話をすることになりました。その兄に引っ張られるように、弟も来るようになりました。家族は2人の自立生活には反対の姿勢でしたが、支援団体に話しに来るのは止めませんでした。家族は家族で様々な心配と葛藤があったようです。非常にゆっくりなペースではありましたが、彼らのペースに合わせて一緒に自立生活について考える機会をつくっていきました。
途中、自分たちはハードルが高いと感じてしまったのか、彼らの足が遠のいたときがあったようですが、今度は弟のほうが積極的な姿勢になり、弟だけが来るようになり、まずは弟から自立生活の実現に向けて歩みを再開しました。
そんな矢先、弟が呼吸器関係のトラブルで亡くなってしまいました。隣で寝ていた兄は、弟の異変に気づきながらもどうすることもできず、同居家族も寝てしまって気づけなかった自分を責めていました。
その後、兄はより一層気力を失い、通っていた生活介護事業所とはかねてからあまり関係はよくなかったようですが、弟の死後、より一層関係が悪化し、追い出されるように通所をやめ、支給量不足とコロナ禍が相まって、日中の外出の機会を失い、ひきこもり状態が続いていました。
その間、ピアカウンセラー、コーディネーター、ヘルパーなどが声をかけ続けた結果、兄は久しぶりに外出し、コーディネーターと一緒に、地域で重度訪問介護を利用している独居の自立生活当事者の自宅を訪問し、それをきっかけに、コロナ禍が落ち着いたらいろいろなところへ一緒に外出してみたいと言い出し、ようやくちょっと前に踏み出せそうな兆しが出てきたところでした。
そんな兄もつい先日、家族が少し離れている間に車椅子から落ちてしまい、急逝してしまいました。
もっと早くに一人暮らしが実現でき、家族介護にも頼らずとも1日24時間介護の体制が取れていれば、このような事態は100%防げたとまでは言い切れないかもしれませんが、2人ともこのような形で最期を迎えるようなリスクは相当下がっていただろうと思います。本人たちの無念、家族の苦悩を思うと、非常にやるせない悔しい思いでいっぱいになります。
かといって、施設に入っていれば問題が回避できたとも思いません。彼らはそれを望んでいませんでした。
この事例からも、総合支援法は、障害支援区分と連動した国庫負担基準の在り方や医療的ケアや夜間介護の有無を無視した基準額の低さなどが原因で、十分な支給決定が受けられないという問題、地域移行に必要なサービスが不足している問題、本人はもとより、家族の不安を払拭できるサービスや仕組みが不足している問題、訪問系サービスの区分や種類が複雑で規制も多過ぎて、担い手不足が解消できず、行政の間接コストもかかり過ぎる問題など、まだまだ見直すべき課題が山積しています。
設問に挙げられた障害の重度化については、医療の進歩等により、傷病による重度の障害があっても命が救われるようになっていること、高齢化についても障害者だけが高齢化しているわけではなく、人類全体が長寿化していることによるものと考えます。つまり、重度化、高齢化が問題なのではなく、施設入所者も親元にいる者も、それぞれからの地域移行の機会が奪われたり、チャンスを逃したり、チャンスをつかみにくい状況に留め置かれた結果、本人も家族も高齢化し、にっちもさっちもいかない重度障害者が取り残されていってしまうという制度不備の問題だと思います。
今回御紹介した事例は、相談を受けていた支援者側の力不足もあったかと思いますが、既に10年ほど前から指摘され続けている法制度の問題点が改善できていないことも大きく影響したと思います。
ほかにも、施設入所を選択するしかない状況に追い込まれて泣く泣く入所したという事例、40年以上入所していた人が自立に反対する後見人を裁判で外し、50代後半になってようやく自立生活を実現させたものの、長過ぎた施設生活によって失ったものが多く、一生涯重厚な支援が必要となるであろう事例、支援が必要な状況でも法の対象からこぼれ落ちてしまう制度の谷間で困窮している事例など、こうした制度の不備による困窮事例は、全国各地でまだまだ起き続けています。
繰り返しになりますが、どうかこの法律によって笑顔になる人、救われる人の顔と名前が具体的に思い描ける、そんな法改正を切に望みます。それこそが、人も制度も持続可能になると信じています。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの3団体様からの御意見につきまして、委員の皆様から御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。御発言についてはできるだけ簡潔にお願いいたします。13時45分を目途としてお願いしたく存じます。
まず、会場からいかがでしょうか。
それでは、お願いいたします。石野委員です。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野でございます。
全国盲ろう者協会の門川さんから御説明をいただきました。ありがとうございました。
私たちが伺いたいのは、盲ろう者の場合、移動支援、意思疎通支援の2つについては、個別給付事業という枠内で可能だという話だったと思いますが、やはり新しい意見として出てきたのは、今後、福祉、就労関係を踏まえた上で、盲ろう者の方も就労を実現するそのきっかけを増やしていくということ、これはもちろん当然必要なことだと思っております。その職場内、居宅内、いずれにしても同行援護の利用というものの支援があるべきだという意見もありました。それは個別給付の事業の範囲なのか、あるいは別途、例えば地域生活支援事業という枠組みの補助という形なのか。どちらなのかの意見を伺いたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 盲ろう者協会様、いかがでしょうか。
○門川氏 門川が答えます。御質問ありがとうございます。
私どもとしましても、地域生活支援事業は予算面でも不十分ということがありますので、個別給付事業のほうでぜひやっていただくようにお願いしたいと思っております。地域生活支援事業のままだと、情報が全国に行き渡らないということもありますし、予算面でも不十分です。しっかりと予算を確保した上で、先ほど申し上げたように、職場内の支援、居宅内支援についてもぜひしっかりとした義務的経費に基づいて実施していただきたいと考えております。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
続きまして、オンラインで、まず白江委員からお願いします。
○白江委員 全国身体障害者施設協議会の白江と申します。大変貴重な御意見をありがとうございました。
2団体にそれぞれ1問ずつお尋ねしたいと思います。
まず、重症心身障害福祉協会の児玉様につきましては、介護職員が行う医療的ケアの拡大について要望書に書かれておりますが、これを進めていくことについて私どもも賛成なのですが、いろいろ課題もあるかと思うのですが、どういった課題として認識されているのかということを教えていただければと思います。
それから、もう一つ、DPIの白井様につきましては、施設からの地域移行につきましての御意見をありがとうございました。その中で私どもが課題として感じておりますのは意思決定支援、自己決定支援というものの。
以上でございます。
○菊池部会長 白江委員、すみません。2つ目の質問がちょっと画面が固まってしまってよく聞こえなかったので、もう一度繰り返してください。
○白江委員 意思決定支援、自己決定支援につきまして、現状についてどう認識されているのか、また、これを進めていく上でどういう課題があるのかということについて教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 分かりました。
それではまず、児玉様からいかがでしょうか。
○児玉氏 御質問ありがとうございました。
医療と介護の境ということが非常に微妙になってきております。介護職員がどこまでのことができるかどうかということにつきましては、介護職員の研修ということも非常に大事になってきております。特に在宅ケアを中心とした介護職員の研修システムということが大事になってくるとともに、やはり個別に訪問したところでの変化ということに対して思いもがけない変化があることは十分あり得ることで、その変化をどうやって連絡し指示を仰げるかということで、ネットワークの問題がございます。その介護職員の教育、研修とネットワークの構築です。ネットワーク全体の保障をしていくようなことをどれだけ私たちができるかということが大きな課題だと思っております。
○菊池部会長 それでは、2つ目につきまして、白井様。
○今村氏 DPIの今村が答えさせていただきます。
○菊池部会長 失礼しました。今村様、ごめんなさい。
○今村氏 御質問ありがとうございます。
意思決定支援についてですけれども、まずどのような障害があっても自分の意思を表明するということはできるという前提で考えております。ただ、その意思決定のときに、こちらの支援する側なりの問いかけ方が、例えば選択肢をいっぱい示して、AなのかBなのかCなのか、これはどうですかと、そういう聞き方も方法としてはあると思うのですが、その生きてきた過程の中で自分で考えて自分の意思がどうだというのをすぐ決められるというのは非常に難しい場合がございます。そこに到達する前の自分の思いが本当はどこにあるのかというその意思を引き出すというか確認していくそこの部分、決定する前の自分の思いを固めていくというか確認していく、そこの段階の支援も必要だという意味合いで意思形成支援という言い方をしましたが、そういったところから支援が必要という、それは非常に多くあります。特に知的障害の方とかはそういった傾向があると思いますし、身体障害の人でも、やはり長年入所していたり、親元にずっといて自分で決めるということがなかなかなかった場合については、「あなたはどうしたいの」と言われてもすぐ決められない。それは障害者でなくても非常に、自分はこうしたいとすぐに自分の意思を表明するというのは難しいと思いますので、一緒になって自分の意思を形成していくところからの支援の必要性を感じております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、小崎委員、お願いします。
○小崎委員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小崎でございます。
日本重症心身障害福祉協会の児玉様に質問させていただきたいと思います。
御意見の中でその他のマル1で柔軟な制度利用を認めていただきたいという御要望がありまして、これは私どもの団体でも同じような要望を出させていただいたところであります。日中活動でいろいろなサービスに触れることによって、長期入所されている方も自分たちの生活の在りようというのを見直すきっかけになるのではないかと思います。
そして、最後の括弧内のところで、福祉サービスの二重使用を避ける方策ということをおっしゃっていますが、これはなかなか難しいのですけれども、例として何かお考えになるようなことがありましたら教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 児玉様、いかがでしょうか。
○児玉氏 ありがとうございました。
今の制度として、イコールではありませんけれども、医療型障害児入所施設に短期入所した場合、日中においてはほかの生活介護であるとか、あるいは極端に言えば学校に行くとか、そういうこともあり得る形になっております。その場合には、日中活動としての分だけ短期入所の支援サービス費から引かれた形の額が算定できる形になっております。同じように、療養介護におきましては24時間365日その病院に入院していることが前提ですので、一定の報酬を頂かなければいけませんけれども、その日中活動分のほかの部分につきましては、例えばほかの生活介護に行った場合はその生活介護の単位としてそちらのほうで請求していただいて、24時間入院しているという形での費用は別途また定めていただくという方針もあり得るかと思っております。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
では続きまして、大濱委員、お願いします。
○大濱委員 脊損連合会の大濱です。
DPIの今村さん、白井さんにお聞きします。難病の方が2人亡くなったという事例を挙げられましたが、そういった方々が亡くならないためには、現行制度のどこの部分を改善すれば一番いいのか。1点だけどこの部分か、重要なところを挙げていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○今村氏 DPIの今村です。御質問ありがとうございます。
1点だけというふうに絞り込むのは非常に難しいと思いますけれども、現行制度ですぐできそうなことでいうと、まず、十分な支給量が出ないという問題がありますので、それを出やすくするための、今でいうと国庫負担基準をもっと底上げするということであったり、重度訪問介護、行動援護とか同行援護等の外出の規制とかといったものをなくしてよりシームレスな制度にする、その辺が必要かと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、又村参考人、お願いします。
○又村参考人 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保の参考人で参加させていただいております又村でございます。
1点、日本重症心身障害福祉協会様にお尋ねします。御意見の中に、有期限・有目的の入所についての御意見がありました。先ほど、これはずっと入所ではなく、体験的に利用するということについて有効性があるというお話もあったのですが、それ以外に、具体的にこの有期限・有目的の利用で効果があると思われる内容がありましたらぜひ教えていただきたいのが1点です。
それに付随しまして、そういった有効性は、基本的には重症心身障害の方を中心とした医療型障害児入所施設でこのお話が出ているのですが、医療型ではない福祉型の障害児入所においてもその有効性があるとお考えになっているかどうかについてもお聞かせいただければと思います。
以上です。
○児玉氏 ありがとうございます。
福祉型については正直言いまして、私はちょっと答える資格がございません。私どもの特に療養介護におきましては、基本が一生入院ということを前提としておりますので、入ったら一生そこにいるということが大部分の方の宿命みたいになっております。果たしてそれでいいのかということと、そのために利用をまたちゅうちょするという方々もおられるわけです。ある県におきましては1つのベッドを4等分しまして3か月ずつ交代で入るというグループをつくっているところもございました。これをローリングベッド方式と申しますけれども、それが必ずしもそれぞれの自治体においてオーケーが得られないこともあります。ですから、そういうことを積極的に使うためには空白期間も生じてしまうことがありますので、施設にとっては減収になります。そういう意味で、それに対して加算ということを、医療型障害児入所施設の児童については加算が行われていますけれども、そういうことをもって、より一生いなければならないというよりは、やはり利用してみるという施設に生まれ変わるような形でぜひお願いしたいと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかには委員の皆様からはよろしいでしょうか。
それでは、ここまでとさせていただきます。3団体の皆様、本日は大変ありがとうございました。
それでは、次のグループに移りたいと思いますので、御準備をお願いいたします。
それでは、まず、特定非営利活動法人日本失語症協議会様からお願いいたします。
○園田氏 日本失語症協議会の園田と申します。このような機会を頂戴いたしましてありがとうございます。
私は、全失語症者の家族でございまして、夫がもう今は20年になりますが、全失語で右麻痺の患者でございます。もう70になりましたので、今日の視点としてはあまり夫には関係ないのですが、全体の失語症の若い方のために、今回は就労支援についてまとめさせていただきました。
まず簡単に、失語症とは「話す、聞いて理解する、読んで理解する、文字を書く、計算する」などの人間のコミュニケーション能力全般の障害を負う脳卒中や脳外傷等の後遺症で、脳の中枢神経、言語野の損傷によって生じる障害です。その障害特性から、医療、福祉、保健、社会的認知などのあらゆる分野で対策が遅れてきた疾患です。先ほどの意思決定に関しても非常に困難がございます。発症は40代から50代が多く、全国に約50万人いると推定されています。
失語症は人間らしい生活の喪失です。感情、気持ち、思考の整理、また、冗談を言い合ったり、会話自体を楽しんだりすることができません。言葉が有する内在的な多くの楽しみを喪失いたします。つまり、人間らしい生活の喪失です。人間の持つ14の基本的ニードの中にある人間関係の変化・自信の喪失です。
2、失語症者の就労の実態。
脳卒中患者は約117万人、あるいは225万人というところもありますが、取りあえず117万人いるとされ、この中で就労年齢にある65歳未満の方の割合は約35%と言われます。若年の脳卒中患者の復職率は、この20年間でおよそ40%にとどまっており、脳卒中患者の就労は医療だけではなく、福祉分野、職リハ、復職予定籍の企業等々との調整が必要であり、医療と福祉を超える高次の連携が必要でもあります。
その中で、失語症の後遺症のある者の就労率は、脳卒中患者の40%にははるかに及ばず、12あるいは13%にとどまっているという情報もございます。
失語症全国実態調査委員会が数年間隔で行っている実態調査によれば、医療機関利用後の失語症者の職場復帰率は5.5%から16.2%、現職復帰率は3.8%から8.5%となっています。失語症者の就業年代の就労率は、10%から15%と低く、健忘症等の高次脳機能障害者と比しても低値となっており、コミュニケーション能力は就業上に不可欠な場合が多いことを反映しています。失語症者は、切実に社会的支援を必要としている対象障害です。
3、失語症者の就労に向けて。
「1):失語症者の就労を考える時に必要な事」として、体力が回復し、生活のリズムが整うこと。一定時間の作業耐久力があること。公共交通機関等を利用して一人で通勤できること。これは甚だ困難であります。言葉が通じないこと、また、麻痺のある方が多いということもあります。そして最後に、自分の障害を把握していること。
「2):周囲の環境や支援が必要な事」として、復職に方向性を持ったリハビリテーション、雇用主の柔軟性、社会保障、家族や介護者からのサポートと言われます。このマル1の復職に方向性を持ったリハビリテーションを行うに当たって必要なことは、失語症者の社会参加、就労・復職に必要な言語機能訓練を専門職により長期間実施すること。失語症者のAPDLの困難を克服し、人間としての生活に自信を回復し、将来の生活に具体的目標を持てるように、一定期間の言語を含むコミュニケーション全般の能力を獲得する機能訓練を実施する期間、機関を設け、失語症者の社会参加、就労支援の基礎となる部分の充実を図ること。失語症者の社会復帰・復職就労前提に必要なことは、言語機能回復と言葉以外の手段を用いてコミュニケーションを可能とする能力を身につけることです。
現在、失語症のリハビリテーションは回復期病院で180日間実施されているのみであり、日常生活に有用な専門的な機能訓練は必要十分な質・量とも実施されておりません。回復期病院退院後すぐに就労移行支援などに移っても、中途半端な回復状態の失語症者には満足な就労支援が実施できている状態ではありません。専門家の報告にも、失語症者の機能回復は長期間に及ぶというエビデンスの報告がありますが、上下肢等のリハビリテーションにばかり視点が置かれ、脳機能の損傷部分、特にコミュニケーションに関する部分はなおざりにされています。失語症者の就労がはかばかしくないことも、このような要因があると推察されます。
現状、退院後、専門職による失語症の機能訓練が地域で行われている実態はないに等しく、さらに、機能訓練は1年半と期間が決められており、一生に1回しか使えないのですが、長期間の機能訓練が必要な失語症者にとり不利な条件となっています。その上、短い期間の中で、身体機能訓練も言語機能訓練も同期間に定められている上、機能訓練は身体のいろいろな部分で異なり、リハ専門職も異なるにもかかわらず、一くくりにされている弊害がございます。上下肢機能の回復訓練と、脳の機能障害である言語機能の訓練と同期間で異なる事業所での訓練が併用可能という設定としていただければ、有効な言語機能訓練ができるのではないかと思われます。
3)です。この情報社会にあって、種々の情報を十分に受け取ることが難しい失語症者の就労を促進するためにも、言語機能の回復・言語以外のコミュニケーション能力の構築は必要不可欠です。失語症者に対する就労に重点を置いた機能訓練の在り方を見直し、障害者総合支援法による機能訓練事業が、失語症者の社会参加・就労に向けた効果を出せるような現実的な機能訓練になりますようお願いいたします。さらに、事業所運営に当たりましては、十分な障害報酬加算などの政策的支援もお願いするものです。
まとめますと、退院後、失語症の自立訓練が地域で行われる実態はまれです。
機能訓練は1年半と期間が定められており、失語症者にとって十分ではありません。
機能訓練の内容も、この中に理学療法、作業療法等による上下肢機能訓練との併用になっており、言語聴覚士の専門的機能訓練を実施しているところがありません。
社会復帰に必要な失語症独自の機能訓練を定める必要があります。
身体の回復を終えた後に言語の訓練を期待しても、1年半では、自立訓練を利用した失語症者には、その後の機能訓練サービスを受けることができません。
4には、失語症の方からのアンケートの生の声を記載いたしました。
終わりに、失語症者の就労を促進する第一の要素は、言語機能・コミュニケーション力の回復です。失語症者の社会復帰、復職・就労に重点を置いた機能訓練の在り方を見直していただきたいと思います。必要十分な失語機能訓練期間があれば、失語症者自身が自分の障害を理解し、就労上困難が予想される事柄に対し、言語とその代償手段を用い、人に伝えられる技能を身につけることが可能になります。
失語症の合併症としましては、右上下肢麻痺、失行、失認、半側空間無視、うつ、易疲労などがございますが、社会的礼節や記憶などの面は保たれています。言葉をなくしたわけではありません。脳の中にはいつでも多くの言葉が残存しています。
脳の中に埋もれた言葉を少しでも引き出すために、専門職による必要十分な機能訓練を実施し、失語症者が当たり前の社会生活を送ることができますよう、施策に反映いただきたくお願いするものです。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、特定非営利活動法人日本相談支援専門員協会様からお願いいたします。
○菊本氏 日本相談支援専門員協会の菊本でございます。
本日は発言の機会をいただきまして誠にありがとうございます。
また、本日は限られた時間でございますので、主に4つほどの論点に絞って御意見を述べさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の報告、意見につきましては、理事の橋詰から述べさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、橋詰理事、よろしくお願いいたします。
○橋詰氏 日本相談支援専門員協会理事の橋詰でございます。「障害者総合支援法の見直しに関する意見書」ということで、資料に基づき、端的に御説明をさせていただきます。
まず、1番目の柱としまして、基幹相談支援センターの課題と今後に向けてということで、基幹相談支援センターの設置促進については、現状の中でなかなか小規模な市町村を含め今後設置をするというところが、6割から7割がまだ予定がないという統計も出ています。今回、令和3年度報酬改定の中で総合的な相談支援体制、専門的な指導・助言、人材育成等、基幹相談センターに求められている役割というのは非常に大きなものでありまして、実際に設置促進をするということが今後非常に重要になってくると考えています。
そのような中で、基幹相談支援センターの機能を強化していくという部分につきましても、「地域における相談支援の中核的な役割を担う機関」ということで位置づけられていますが、実際のところ、重要な役割が期待される中で、実態としては市町村の設置に伴う財源的な事由によって、そこに配置される職員の数というのは非常に大きな差が出ているということがあります。実際に設置に至る経過等を踏まえ、機能を発揮できるような環境整備というのが非常に重要になってくるかなということが一点です。
それと、機能強化という点でいうと、基幹相談支援センターの実績がきちんと評価指標が存在して、地域自立支援協議会等でその効果が周知されて中核的な役割を担えるような、そのような検討も今後進めていかなければならないのではないかと考えています。
一方、人材育成については、目指すべき共生社会の実現に向けて、高い専門性を有した人材の育成と確保が今後重要になってくる中で、基幹相談支援センターには相談支援の経過を踏まえ、一定の相談の質の担保を図った人材の配置ということが求められているのではないかと感じていますので、とりわけ、昨年度から都道府県の研修が始まっています主任相談支援専門員の育成と活躍の場所をきちんとこの中に位置づけていただく周知徹底をお願いしたいと思います。
それから、市町村との連携というところにつきましては、現在、基幹相談支援センターの機能の中の権利擁護機能の一つとして虐待防止センターが委託されているということが非常に多いのではないかと感じていますが、この虐待の案件について介入するという介入権は市町村にございますので、基幹相談支援センターをこの市町村虐待防止センターへの専門的な協力機関として位置づけることが効果をもたらすのではないかと考えています。
2つ目の柱としては、委託相談支援事業所の今後の展開に向けてということで、実際に委託相談支援事業所は潜在的要支援者の積極的なアウトリーチを含め相談の役割の重責を担っているのではないかということがありますが、これも非常に市町村の委託相談の中身によって大きく左右されている現状がありまして、基幹相談支援センター同様、一定の相談支援の経験等を踏まえた人材の確保、それから、配置ということを進めていく必要があるのではないかと感じています。
3番目の柱です。指定相談の状況のことについてですが、都道府県指定の指定一般相談支援事業所と言われているものと市町村指定の指定特定相談支援事業所のこの複雑な指定と、それから、市町村指定の中で指定特定相談支援事業所と障害児の相談支援の選択による指定という状況で、この現状が相談支援の複雑化をもたらしており、また、相談支援の窓口を限定化してしまっている現状があるのではないかと考えています。
そのような中で、地域で生活している障害者のライフステージに寄り添って応援する相談支援を目指している立場としては、全ての相談支援が包括的な相談支援事業所の指定がなされるという状況が好ましいのではないかということで、今後の法改正についての御検討をお願いしたいと思います。実際にそうなったところで、他分野の人材育成がその中でまた図られていくのではないかと感じています。
一方、緊急時支援の体制につきましては、相談支援事業所、それ以外にも巡回型の相談や同行支援というように、在宅障害者の地域支援サービスのところにつきましては、自立生活援助や地域定着支援、地域生活支援拠点の相談強化による制度化など、様々な加算も含めて非常に複雑な制度状況になっています。この部分の複雑さを解消していただき、相談支援機能の一部として整理する議論が必要ではないかと感じています。今期、令和3年度から始まりました福祉計画の中におきましても、地域包括ケアシステムの構築に向けてこの自立生活援助、地域定着支援体制整備というのは非常に重要な役割を地域の中で期待されているという状況がありますので、この事業がどの事業に位置づくかということの議論が、地域生活者の支援体制を整備する推進方向につながっていくのではないかと感じています。
4つ目の柱は、障害児の相談支援についてです。
児童期においても、障害が未確定な時期から寄り添い始めて、障害のある子供が大人になっていく過程に伴走していくことが、多くの不安やトラブル、それから、二次障害の軽減、移行期における様々な問題の解消等につながっていくのではないかと感じていますが、基本相談支援を基にした相談支援の展開と効果が期待できるという状況の中で、この障害児支援の中には、相談支援専門員の経験値とか地域の信頼が得られるほどの多くの時間と労力を費やすことになるその基本相談ということが十分な給付の対象になっている状況ではないということがあります。
この基本相談自体が相談支援事業から抜け落ちている現状では、児童期の通所支援の管理者や児童発達支援管理責任者からの申出によって、相談支援専門員が利用計画を作成するケースは後追いで行っていくという状況になりかねないこともあります。一方、その効果がなかなか理解されずにセルフプランで十分ではないかという逆の方向に向かっていかないかを懸念しております。
そのような中で、委託相談支援事業所の一体的な障害児支援の機能を有している地域というのもたくさん残されているというところがありますので、その部分も参考にしていただき、一方では取り残されている地域がそういう状況にならないためにも、児童期の相談体制の充実支援を今後図っていくために、基本相談について改めて議論を進めていただければと思います。
5つ目の柱です。地域自立支援協議会、協議会の設置数も非常に重要ですが、中身の議論が非常に重要な部分でありまして、この議論をしっかりと進めていくための事務局機能をどう発揮していただくかというのは、実際にはこの基幹相談支援センターがこの事務局機能を発揮するということが非常に大きなテーマではないかと感じていますので、繰り返しになりますが、基幹機能としての位置づけと同時に、基幹相談支援センターの設置推進というのを、協議会機能の発揮という部分でお願いしたいと思います。
資料は以上でございますが、最後に、相談支援専門員につきましても本法律改正の中で障害者の相談支援専門員というところの定義をしていただくということを加えさせていただければということをお願い申し上げて、御報告とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、全国自立生活センター協議会様からお願いいたします。
○岡本氏 本日はヒアリングのお時間をいただきありがとうございます。全国自立生活センター協議会の常任委員、岡本直樹と申します。
最初に、国からお示しのあった4つの柱について、全て回答できず申し訳ありません。
当会の重点項目の一つは、これまでも様々な場で要望している重度訪問介護の見直しについてです。ポイントとしては、1から7の記載のとおりです。特に、行動障害のない知的・精神障害者への対象拡大は悲願であり、社会的入院の解消につながります。
それから、医療的ケアが必要で24時間つきっきりで介護が必要な重心等の障害児の親から福祉サービスの支援が得られないといった事例が多数寄せられています。個別の問題ですが、ある家庭で父親の協力を得られずに母親が精神的に追い詰められ離婚、子供を重心施設に入所せざるを得なくなったというケースがありました。共働きが一般的な時代となり、重心等の親だけが負担を強いるという状況は大きな問題です。たとえゼロ歳でも丁寧な個別相談を充実させ、必要な福祉サービスや重度訪問介護等を認めるよう見直してください。
また、重度訪問介護のシームレス化も重要で、通勤や通学、職場内や学校内でも必要な介助を受けながら障害のない人と同じ場で働ける、そして、学べるよう見直してください。
それから、ベテランヘルパーによる同行支援について、特に行動障害を伴う知的・精神障害者においては、虐待等の予防の観点から、一定程度の経験があっても、長期間の研修が必要な事例があります。半年以内の新人ヘルパーといった対象の制限は外してください。
さらに、重度訪問介護の単価が著しく低いため、全国どこでも安定的な事業運営ができず、多くの地方で、支給決定を受けても担い手不足のため利用ができず命を落とすケースが後を絶ちません。処遇改善手当など、人件費に直接アプローチできる制度や、その額と同等の水準で基本的報酬を拡充すべきだと考えます。重度訪問介護は附帯決議にも積み残し課題が山積しています。障害者総合支援法をよりよいものにしていくためにも、重度訪問介護等の利用者を交えた検討の場を設置してください。
続いて、重点項目の2つ目は、改定低調な地域移行についてです。
本日、議場には差し替えたものをお渡ししております。2006年・平成18年から2017年・平成29年度まで、第1期から第4期の11年に及ぶ障害福祉計画のデータを基にした同志社大学の鈴木良准教授の調査によれば、地域移行者数は4万6866名、一方、新規入所者数は2万9089名、加えて、入院者、死亡者数が推定2万4530名、おおよそ5万3619名となっています。この結果から、新規入所者数のほうが6,753名多い状況となっており、地域移行が進んでいないのは明らかです。
なぜ推計値かというと、その情報がないからです。地域移行者数及び新規入所者数、入院、死亡者数など、より詳細な情報を得るためにも、障害者基本法に基づく障害者等の種別、年齢、性別などを含め情報を明らかにしてください。
本題に戻ります。
障害者権利条約第19条の一般的意見第5号のパラグラフ16の(c)において、「脱施設化のための政策には、単なる施設化された環境の閉鎖ということを超えて、構造的な変革が求められる」とある。また、パラグラフ98の(g)において、「特定の期間を設定し、十分な予算を確保した脱施設化のための明確且つ目的をもった戦略を採用し、障害者のあらゆる種類の孤立、隔離あるいは施設化の形態を解消しなければならない」とあり、国連障害者権利委員会から日本政府に対する地域移行積極策への強い関心は高まっていると思われます。ポイントについては、1から6の記載のとおりです。
当会としては、新規入所をゼロにすることが先決で、施設や病院のほか、親元からの地域移行を推進するため、空き家などを活用した一人暮らしや、重度身体障害者向け共同生活援助などの設定を促し、地域移行に本腰を入れるべきです。
それから、国及び自治体の責任で、より踏み込んだ地域移行戦略と具体的実行計画を策定し、それに基づき地域移行を進めてください。地域移行が進まない理由の一つに、地域移行支援事業の報酬が著しく低いことが挙げられます。地域移行を一層促進するため、諸外国と同等な報酬額の引上げをすべきです。
続いて、重点項目の3つ目は、意思決定支援の充実です。ここは、先ほどの地域移行に関連し、新たな報酬改定により強化されたピアサポート加算を活用し、自治体の責任で、入所者及び待機者への丁寧な地域移行の意向調査を一層充実させるべきです。なお、一部の精神病院ではピアサポーターの受入れを拒むケースがあり、神戸の精神病院事件の教訓を生かして、全件調査を義務づけてください。
そのほか、残りの課題は、障害の範囲と介護保険法についてです。
特に、介護保険の3つ目の課題については、平成30年より障害福祉サービス利用者が介護保険に移行する際、自己負担の軽減措置が設けられています。しかし、償還払いのため、一旦自己負担した後、最大でも2年遅れで返還されるため負担が厳しいそうです。住宅改修費等で実施している受領委任払い等も選択できるよう検討してください。
それから、居住地特例についてですが、当会としては賛成です。というのも、A市に住民票があり、県立病棟入院中の利用者が退院し、A市の実家に戻る予定でした。ただ、環境整備に時間がかかり、一時的にB市のサ高住へ地域移行したというケースがありました。サ高住だけのサービスでは生活を送ることが難しいため、夜間の泊まり介助が必要で、重度訪問介護を申請しています。ただ、B市で支給決定をするという状況のためか、審査が難航しています。A市で対応できることになればそうした問題が起きにくくなるのではと思われます。
以上のことから、障害福祉サービスから介護保険施設等への移行は、居住地特例の対象とすべきです。
当会からは以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、一般社団法人全国地域で暮らそうネットワーク様からお願いいたします。
○岩上氏 皆さん、こんにちは。全国地域で暮らそうネットワークの岩上洋一です。
このたびはヒアリングに追加招集していただきまして、本当にありがとうございます。御推薦いただきました櫻木委員、内布委員をはじめ、菊地部会長、そして、構成員の皆さんに感謝を申し上げます。
私たちは、社会的支援が必要な精神障害者が希望する地域で自分らしく生活することができる持続可能な社会づくりに寄与することを目的として活動しています。通称はチイクラといいます。
それでは、意見を述べさせていただきます。
「I 地域における障害者支援について」。
障害福祉サービス等事業者の責務を定義するということで、皆さんは就労継続支援C型を御存じでしょうか。実際にはございません。地域とともに活動する事業者をC型と名づけたもので、このCはコミュニティーの頭文字です。今日御出席の育成会連合会の又村さんや、全国地域生活支援ネットワークの皆さんと盛り上げてきた考え方です。今般のB型の新類型は、この要素を盛り込んでいただいていると思っています。しかし、これは就労系のサービスだけの話ではありません。公的な制度を活用して障害のある人の暮らしぶりを支援する障害福祉サービス等には、地域に必要とされ、地域を元気にする役割が秘められています。地域全体の幸せを考える社会福祉の思想を障害福祉サービス等において再構築する必要があります。
そこで、法第5条に「障害福祉サービス等事業者の責務」として、地域共生社会、地域づくりに向けた取組を行うことと定義してはどうかと考えます。
次に、地域生活支援拠点等を法律上位置づけること。
障害者の生活を地域全体で支えるサービス提供体制の要として、法律上明確に位置づける必要があると考えます。
相談支援と相談支援専門員を定義する。
相談支援のさらなる充実には、本人の意思を中核に据えた上で、相談支援専門員の権限(裁量)と専門性、相談支援事業者の社会的認知と財政的基盤が重要となります。
相談支援は、法第5条で定義されていますが、重要性を考えて、この際「障害福祉サービス」とは分離して定義していただくといいと思います。また、相談支援専門員については、介護支援専門員と同様に、法律上、位置づけてはどうかと考えています。
併せて、公正中立を担保するためには、これは社会福祉法関連となりますけれども、相談支援事業で社会福祉法人を設立する場合の資産要件等を緩和してはどうかということも考えていただきたいと思います。
相談支援を分かりやすくする。
基本相談支援、計画相談支援、地域相談支援は、それぞれがとても重要ですが、分かりにくさは否めません。
そこで、例えば、基本相談支援はあえて定義せずに、計画相談支援、地域相談支援、自立生活援助に包含されるものとして規定する。次に、計画相談支援と地域移行支援を統合して、市町村指定による(仮称)「生活相談支援」に再編する。さらに、自立生活援助と地域定着支援は、自立生活援助に統合してはどうかと考えます。
書面にはございませんけれども、この際、基本相談支援、計画相談支援、地域相談支援、自立生活援助を包括化することも併せて御検討いただきたいと思います。
障害支援区分に社会生活支援の必要度を加えてはどうか。
障害支援区分の支援度合いについては疑義が述べられていますが、障害支援区分のマニュアルでは、「行動上の障害が現れた場合」と「行動上の障害が現れないように支援している場合」は同等の評価となると記載しています。しかし、説明は非常に淡白で、支援の例示もないため、調査員にとっては適正な評価をすることが難しい状況にあります。
また、例えば、長期入院者、ひきこもりがちな生活をしている人は、相当の支援を要しますけれども、現状で実情を反映するのは難しく、社会生活支援の必要度を加えることを検討することも、こういったことも法改正の上では重要なことではないでしょうか。
長期入院者の支援を市町村の地域生活支援事業の必須事業とする。
先にまとまった検討会の報告書では、精神科病院の長期在院者への支援は、障害福祉サービス等を含む地域の基盤整備が重要であり、精神科病院との連携を前提に、市町村の取組として制度上位置づける必要があるとしています。医療機関責任論や医療機関が責められていると感じていることを払拭して、社会的な支援体制の脆弱さに焦点を当てることで地域移行支援は格段に推進できます。先駆的な市町村の取組事例もあり、法律の第77条の地域生活支援事業における市町村の必須事業にこれはぜひ位置づけていただきたいと思います。
共同生活援助の利用が効果的である精神障害者の状態像を明らかにする。
入院中は精神症状が落ち着くが、地域生活を送ると病状が悪化して再入院する精神障害者がいます。このような人の中には、共同生活援助を利用することで生活が安定する人がいます。今後の議論の上では、共同生活援助の利用が極めて効果的である精神障害者の状態像を明らかにしておく必要があると思います。
その上で、通過を前提とした共同生活援助、または、宿泊支援つき自立生活援助、小規模宿泊型自立訓練といったものを創設してはどうかと。
長期入院者の支援では、退院に向けた障壁を下げる必要があります。そこで、通過を前提とした共同生活援助等を新たなサービスとして創設してはどうでしょうか。社会的な支援が必要な人が入院しながら今後の生活を考えるのではなく、時間が取られてしまいますからね、まずは退院してから自分の生活スタイルをつくるという考え方です。これは、御本人の望む暮らし方の選択を広げる効果も期待できることに加えて、児童養護施設退所者や社会的な支援が必要な18歳から25歳前後の障害者への支援としても効果的です。
なお、この提案は、本人の意思を中心に据えるもので、軽度の人は通過型という考え方ではありません。まずは丁寧な議論をお願いしたいと思います。
自分らしい暮らしのための地域活動支援センターの設置を推進する。
障害者が自分らしく暮らしていくためには、居場所、ピアサポート、地域との交流が重要です。地域生活支援事業に例示のある地域活動支援センターI型はその機能を持ち合わせていることから、推進してはどうかと考えます。
一方で、裁量的経費のため市町村も必要なサービスの拡充がしやすい状況にはありません。改めて、地域生活支援事業の在り方を議論する必要があると考えます。
3番目、障害者の就労支援について。
今般の報酬改定におけるA型のスコア方式、B型の類型化を評価しています。今後は、障害福祉サービスを利用しながら働き続けることができる仕組みや障害者雇用におけるキャリア形成の支援、及び20時間未満の短時間雇用を雇用率のカウント対象に追加することが必要と考えます。
その他でございますが、これも重要だと思っております。
障害福祉サービス等の制度の持続可能性について。
新型コロナウイルス感染症の終息後には、利用負担額の所得区分を自立支援医療重度かつ継続等に併せて再設定してはどうかと考えています。資料をつけておりますので御確認ください。本部会においては、財源の確保の在り方については、より積極的に議論をしていただきたい。
精神科医療と相談支援専門員及び障害福祉サービス事業所との連携については、相互に連携できる仕組みが必要です。
障害者虐待防止法の改正の際に、まずは既存の法律で対応することが適当と考えます。
都道府県のピアサポート養成研修の質を担保するため、国が指導者養成研修を実施することが望ましいと考えます。
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律は、いわゆる、大変失礼ですけれども、制度疲労を起こしているのではないでしょうか。今後、精神保健福祉法の福祉の部分は総合支援法で引き受けていただきたい。いずれ5疾病として精神疾患対策基本法で「精神保健」を定義し、精神保健福祉法は(仮称)精神医療法として、非自発的入院と権利擁護に重きを置いた法律にすることが望ましいと考えています。
このように、周辺法律の関連性についても議論して法改正の見直しを進めていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの御意見につきまして、委員の皆様から御質問等がございましたら挙手をお願いします。御発言はできるだけ簡潔にお願いいたします。14時45分を目途として御議論いただきたいと考えております。
まず、会場はいかがでしょうか。
では、石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野でございます。
それぞれの団体から御発言いただきました。本当にありがとうございます。
園田様に伺いたいことは、一つちょっと驚いたことは言語聴覚士、その機能を回復するためのということで、ほぼやっていないということも含めて驚いて、私の勉強不足ということで申し訳ないのですけれども、なぜそのような実情になったのかを知りたいということです。
2つ目は、機能の回復あるいはコミュニケーション力の回復という発言がありまして、これは非常に重要なことだという認識を持っております。私たちも情報コミュニケーションの面において似たような共通した側面がございまして、コミュニケーション力、これはどのような範囲なのかがちょっと私はイメージがつかめない部分がありますので、その辺を御教示いただきたいと思います。
それとは別に、ピアサポートの制度というのも必要だと感じております。ピアサポート制度につきましてどのようなお考えをお持ちなのかということも伺いたい。
以上です。
○菊池部会長 それでは、園田様、大体3点あったかと思いますけれども、よろしくお願いします。
○園田氏 御質問ありがとうございます。
まず第1点ですが、以前は病院でのいわゆる回復訓練というのが長期間行われていて、つい20年前のことなのですけれども、いわゆるリハビリテーションの期間が180日と定められてしまって、本来は失語症に関しては特例でそれ以上長くてもいいということなのですけれども、診療報酬が減っていくのでやはり病院としては経営ができないということで、ほかのいわゆるリハビリテーションと同じで180日で切られてみんな退院させられていると。したがって、そういう病院の環境があったものですから、地域にリハビリテーションをする機関、場所、事業というのがほとんどなかった。言語聴覚士自体が国家資格になってからまだ20年ちょっとなので人数が少ないということもあり、また、リハビリテーションを独自でできないという法律もありますので、地域で病院を退院した方が、いわゆる言語の機能訓練をする場所も時間もなかなかないということが最初の御質問のことだと思います。
2番目は何でしたか。
○石野委員 コミュニケーション力のことについてどのようなイメージをお持ちかということです。
○園田氏 コミュニケーション力ですね。ごめんなさい。ありがとうございます。
言語といいましても、失語症は脳の言語野が、いわゆるもう回復しない状態なので、もちろん言語野の部分によってはいろいろな言葉が残っているということもあるのですけれども、うちの夫のようにほとんど喪失というか言語野にダメージを受けていますと、あるいは「おはよう」「おやすみなさい」という簡単な言葉もできなくなってしまう。
それだったらいっそ家族とも意思疎通ができないのではないかと思われますが、20年も暮らしていますといろいろな条件がございまして、例えば、漢字ですと表意文字なので頭では理解できるので、漢字単語による意思の疎通をしたり、あるいは日本地図は頭に入っているので、例えば、自分はどこで生まれたという、夫に限らずほかの人もなのですけれども、そういう質問にしたら日本地図を指さしてと。
また、今はいろいろなアプリも開発されております。ただ、失語症の方御自身がアプリを活用するということはなかなか難しい。ただ、やはり介助者なり家族なりがそのアプリを利用して、いろいろな言葉なり写真なりを引き出してコミュニケーションをつないでいくという、そういう可能性を。何もしなければ失語症者自身もできませんが、そういう機能訓練の中でそういう練習をしていけばコミュニケーション力がついていくということになります。何もコミュニケーションというのは言葉だけではないということ、言葉はもう回復しないのでということがございます。
3番目は何でしたか。
○石野委員 ピアサポートの制度についてはいかがでしょうか。
○園田氏 ピアサポートですね。ごめんなさい。
実は私どもの団体は、以前は全国失語症友の会連合会といって、日本各地に150近くある友の会が連合してつくった団体なのです。友の会というのはほとんどが当事者と家族と、そして、サポートする言語聴覚士が三者一体となってつくられたもので、大体そこでは、昔の考えですけれども、ピアサポートが行われていたということではないでしょうか。もちろんピアサポートは大事なのですが、なかなか失語症の種類も千差万別でございまして、失語症の個人個人が1対1でコミュニケーションを、ピアサポートをするというのはなかなか難しい。そこで御家族なり言語聴覚士が中間に入って、また最近は、2018年からですが、意思疎通支援者、地域生活支援事業なのですけれども、まだなかなか広まってはいません。要請している段階なのですけれども、この方たちが大勢来れば、またそこでコミュニケーションの仲介をしていただいて、失語症者同士のピアサポートもやっていけるのではないかと希望的推察をしているところです。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで手を挙げておられる委員にお願いします。
まず、櫻木委員からお願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。よろしくお願いします。
各団体の皆様方から有意義な御提案をいただいてありがとうございました。
その中で、全国地域で暮らそうネットワークの岩上さんから幾つかの御提案がありました。
まず、障害福祉サービス等事業者の責務を法律に定義すべきであるという御提案がありました。障害福祉サービスにはいわゆる営利団体の参入、これは禁止をしているわけではありませんので、いろいろな方が障害福祉サービスに従事されていると私も思っています。その中でいろいろな問題が出てきているということも確かなのですけれども、これを法律の5条に定義するという精神性というかシンボリックなことであろうかと思いますけれども、果たしてこれでこういった内容のことが担保できるかいうことにはちょっと不十分ではないかという考えも持っています。医療保険サービスにしろ、あるいは介護保険サービスにしろ、行政のいわゆる監査があります。こういったものを活用するということについては御意見いかがでしょうか。お聞かせください。
それから、地域活動支援拠点が進んでいないということについては私も共通の認識を持っています。例えば、これが進まない理由としては具体的にはどういうことをお考えでしょうか。法律上明確に位置づけるということでその問題というのは解決していくとお考えでしょうか。ただ、その御提案の中に宿泊型自立訓練を活用してはどうかということがありました。具体的な御提案だと評価をしたいと思います。
それから、3番目、障害支援区分についてはかなりその実情と乖離している部分があるのではないか。特に精神障害あるいは知的障害、発達障害の辺りでは、そういうことが言われています。どのような改善の方向性ということをお考えでしょうか。社会生活支援の必要度を加えるということですけれども、今は訪問調査の項目がかなり増えて、いわゆるサグラダ・ファミリア状態、かえって全体が見えないという状況も起こっています。具体的に何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
それからその次に、長期入院、精神障害者だと思いますけれども、その地域移行の支援ということについてです。これは地域の基盤整備が進んでいないということがかなり大きな理由になっていると思います。例えば、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの報告書の中には、いわゆる協議の場の活用ということもうたってあります。協議の場の活用ということについてどのようにお考えかをお聞かせいただきたいと思います。
それから、精神医療と相談支援専門員及び障害福祉サービス事業所の連携については、これも医療保険サービスあるいは介護保険サービスでは当然行われている主治医の意見書の活用ということを我々は御提案をさせていただいておりますけれども、それについてお考えはいかがかということをお伺いしたいと思います。
それから最後に、全国自立生活センター協議会さんから意思決定支援の充実についての御指摘がありました。赤字でかなり目立つような形で、精神科の病院ではピアサポーターの受入れを拒否するケースがありますと言われております。全ての病院とは言いませんけれども、かなりの病院では病院でピアサポーターの育成に力を入れておりますし、むしろどんどんその辺は拡充する方向で考えているということに御理解をいただきたいと思います。それとの関連で、いわゆる精神保健福祉法附則第8条という規定がございます。これに関しては精神科病院に係る入院中の処遇、退院等に関する精神障害者の意思決定及び意思の表明の支援の在り方ということが規定をしております。これについては精神保健福祉法の見直しが行われるということが予定されておりますので、障害者総合支援法における意思決定支援とは区別して論ずるべきだと我々は考えておりますことを申し添えたいと思います。この部分は意見ということですので、特に回答はいただかなくても結構です。
以上です。よろしくお願いします。
○菊池部会長 それではまず、岩上様から。たくさんありましたので、すみませんがちょっと整理して端的にお答えいただければと思います。
○岩上氏 はい、簡潔に。
○菊池部会長 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○岩上氏 櫻木委員、ありがとうございます。
最初の質問ですけれども、障害福祉サービス等事業者の責務で監査等の活用はというお話がありましたが、もちろんそのとおりだと思いますし、基準や省令等で整備していく話だと思うのですが、その大本となるところにきちんと位置づけておくということが必要かと思います。今まで厚労省はいろいろなことを性善説でやってきたのが、この頃、これは何か悪く取られてしまうのではないかということで、本来いいものがつくりにくくなっているのではないかと思いますので、そこの一番のところは法律に明記すべきだと思います。
地域生活支援拠点につきましては、これは本当にいいものだと思います。御本人さんたちが利用するサービスの在りようをみんなで考えていける絶好のチャンスなのです。相談支援は機関が中心になりますけれども、サービスの在りようは拠点が中心になると思いますので、法律上の位置づけが必要だと思います。
区分のことにつきましては様々な意見が出ておりますので、あるいは、以前、櫻木先生ともお話ししたときに、診断書のほうが分かりやすいところもあるのだという御指摘もいただきましたので、そういったことを議論していただければと思います。
協議の場の活用につきましては、精神障害にも対応した包括ケアシステムの協議の場は、保健を起点とした協議と医療を起点とした協議と福祉を起点とした協議でそれぞれの基盤整備を行っていくということだと思っていますので、そういったことをきちんと各自治体に普及啓発していただきたいと思っています。
医療と相談支援等の連携につきましては、先生からは主治医の意見書の御提案をいただいているのだと思いますけれども、それが一方通行にならないように相互のやり取りができるようなツールが必要ではないかと思っています。今、新しく地域定着と自立生活援助については、事業所のほうから医療機関に連携を求めることができるようになっておりますので、そういったことの相互の活用が必要かと認識しております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
後段部分で櫻木委員からの御意見ということでしたけれども、何か応答などはございますでしょうか。自立生活センター協議会様だったかと思いますが。
○岡本氏 御意見ありがとうございます。
全国自立生活センター協議会の中で精神プロジェクトというプロジェクトを行っておりまして、その精神障害のメンバーからメッセージをいただいています。ある精神病院においてはやはりピアサポートの受入れを拒否するケースがあるという報告があります。地域移行とか病院の透明性の確保のためにもピアサポート活動が病院間の格差なくどこの病院でもできるように、各市町村にさらなるピアサポートの促進をすべきであるというふうに御意見いただきました。先ほどの委員からの御指摘で、力を入れているということなので、そこら辺の実際がどうなっているかというのは多分、病院によって異なる気はしますが、これからピアサポートが充実していくことに、協力していくということになるというふうに受け止めますので、ぜひよろしくお願いしますということを添えさせていただきます。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、阿部委員からお願いいたします。
○阿部委員 ありがとうございます。日本身体障害者団体連合会の阿部でございます。
私は、日本失語症協議会の園田理事長さんに質問させていただきたいと思います。お話を伺う中で、失語症の方々の生活のしづらさ、そして課題、また、リハビリテーションの重要性ということが伝わりました。また、石野委員の質問へのお答えの中でも、そのことがさらに明確になってきたところです。
ところで、そもそも自立訓練、機能訓練事業の事業者の数は少ないし、少ないから利用している方々がまた少ないのかということと、もう一点は、脳血管疾患の方々の場合には40歳以上64歳までの方は介護保険の第2号被保険者ということですので、もしかしたら最初のときに介護保険事業を選ぶ方もいらっしゃるのかどうか。境界領域ということでもありますので、その辺のことも伺いながら、この自立訓練、機能訓練事業についてまだまだ課題はあるということではございますけれども、この事業の周知ということなどについてもお話を伺いたいと思いました。
さらに、地域によっては好事例もあるのかもしれません。この機能訓練事業などでの好事例などについてもありましたらお話ししていただきたいと思います。
以上、園田理事長さんへの質問です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 よろしくお願いします。
○園田氏 御質問ありがとうございます。
実は、もちろん脳血管疾患の方は第2号被保険者として、今は介護保険優先なので、なかなか障害者総合支援法ではなく、ケアマネさんがすぐついて介護保険事業のほうにふっと行ってしまって、いわゆるデイサービスなどで行かれる方が多いのですが、本来ならばいわゆる横出し、何と言っていいのか分かりませんけれども、いわゆる介護保険では今できない言語の回復訓練をしていただきたいという私どもの願いがあります。それは就労率、若い方は、うちの夫も50で疾患になって、結局、就労・復職できなかったのですけれども、そういうある程度機能訓練を、失語症の機能訓練を本格的にやってくだされば、ある程度福祉的就労でもいいし、いわゆる自分が社会で生活しているという自信を持つような就労体系に持っていってくれるのではないかと思います。
2号被保険者の制度はとてもありがたいのですが、やはりこれからという若い失語症者に関しては、世間全体が介護保険という方向に向いている関係上、機能訓練事業所に回していただけないということがございます。失語症者の支援状態も、支援というかコミュニケの支援状態も行き届かない現状です。社会参加するにも同行支援も使えないという現状が失語症者なので、千差万別という症状のこともあって、なかなか社会参加ができていけないという状況がございます。
○菊池部会長 あと、好事例があれば教えてください。
○園田氏 好事例は実は、一昨年ですか、いわゆる機能訓練事業所の研究集会にも参加させていただいたのですが、いわゆる理学療法、作業療法のほうの機能訓練事業の方々はいっぱいいらしたのですけれども、言語機能に関する機能訓練に関しては、その会場の中の何百人いらした中で言語聴覚士は1名しかいらっしゃらず、その方も言語機能訓練に携わっているわけではないということで、私もその現状に非常に驚愕いたしまして、これは失語症の方はやはり回復、コミュニケーションというか言葉が全部戻るわけではないのですけれども、コミュニケーション能力を構築するということで必要なのではないかということで、好事例というのを私は実は存じ上げません。残念ながら。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。今日もまた皆さんから貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。
私からは、全国地域で暮らそうネットワークの岩上様に1点質問させていただきたいと思います。
先ほど櫻木委員からも、精神科医療と相談支援専門員及び障害福祉サービス事業所との連携についてということで質問がありましたけれども、医療と福祉の連携、このことは、精神障害者にとっての地域における障害者支援についてとても重要な視点だと考えておりますが、家族の立場から見ても、精神科クリニックも含めた精神科医療機関と相談支援の機関あるいは障害福祉事業所との連携がどうもうまくいっていないのではないかという実感がありまして、このことが大変に重要な課題だと思っております。
特に、家族とともに暮らしている場合や、退院後に家族と同居といった場合に、家族と精神科医療機関のみのつながりでしかなくて、その状況が固定化されてしまうという現状が多く見られています。この状況を繰り返さないためにあるいは改善していくために、現在、取組が始まっています精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進が大きな鍵になると考えていますけれども、何がどう変わるのか具体的な動きが見えてこないもどかしさを感じているところです。
御意見にありました本人の意思を中心とした精神科医療と福祉が相互に連携できる仕組みについて、先ほどは診断書の扱いに関するツールという話がございましたけれども、それ以外に何か例えばここを改善したらいいのではないかとか、あるいはこういう仕組みが必要なのではないかというお考えがおありでしたらぜひ教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 岩上様、いかがでしょうか。
○岩上氏 そういった課題をもう少し集約しておかないといけないかなというふうには思っています。どうしてその辺が精神科医療と相談支援、障害福祉がなかなか連携が取れないのかという、そういった統計もこの間、以前のヒアリングでも出ておりましたけれども、基本的には今、先ほどの協議の場の話もありましたけれども、協議の場というのは基盤整備もするのですが、併せて人材育成をして連携を強化していくということも取り組んでいるはずだと思っていますので、その辺はもう少しつまびらかにしていく必要があるかと思います。基本的に協議の場では御本人支援をどうやっていこうかといったことから始まって、その地域の課題が出てきて、今、岡田委員がおっしゃったような医療と福祉の連携がどうもうまくいっていないという話は必然として出てくる話なのです。それをどう解決していくかというのは、もう少し自治体にも力を持っていただく必要はあるかと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上です。各団体の皆さんから多くの提案をいただきましてありがとうございます。
私からは日本相談支援専門員協会の方々に1点質問がございます。私どもも相談支援の重要性に関しては同じ思いでございますし、それぞれの問題点についてもほとんど同じ認識でございますが、人材育成における相談というと、国家資格として社会福祉士や精神保健福祉士が位置づけられていますが、ある市町村では相談支援専門員と社会福祉士、精神保健福祉士の資格を持っていることが要件となっているような市町村もあるようにお聞きします。今後のことになりますが、従来の国家資格との関係をどのように現段階で考えていらっしゃるのか、ぜひ教えていただければと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 それでは、橋詰様でよろしいでしょうか。
○橋詰氏 橋詰でよろしいでしょうか。御質問ありがとうございます。
従来の国家資格の位置づけというのは、これまでも様々な議論や、実際にはそういったことで専門性の担保をするということで、今日、基幹相談支援センターのお話もさせていただきましたけれども、そういったところへ配置される社会福祉士であったり、それから、地域移行の取組については精神保健福祉士という資格の有資格者の配置ということで進めてきた経過は、実際にはこの日本の制度の中でも行ってきたということではないかと思っていますので、これについて大きくその方向性を反対したりとかというつもりはございません。
ただ、実際のところ、この有資格も資格試験を経てその資格を基に実践をする訳ですが、その実践が相談支援というテーマで、アウトリーチ型の相談支援をしながら地域を耕す実践をしてくる状況の中で、経験値が高まってくると思います。このたび、主任相談支援専門員という資格制度が相談支援の中に出てくるという状況になりますと、いわゆるベース資格としての国家資格はあったとしても、障害者の相談支援をするというところについては主任相談支援専門員というこの資格をしっかりと位置づけて、国家資格を取っても障害者の相談の経験であるとか、実際には臨床をどのぐらい培ってきたのかというところをベースに資格取得の新しいものが始まり出したということになると、いわゆる障害者の相談支援の部分につきましては、主任相談支援専門員の活躍の部分をどのように位置づけていくかというのが、今後すごく大きなテーマになってくるのかと思っています。
当協会としては、主任相談支援専門員が国家資格とどちらが優位なのかという議論ではなくて、そういった様々な国家資格制度を持つ方たちが障害者の相談支援の展開を継続的にして、この主任相談支援専門員の資格を有したときに発揮していただくことに期待をしていきたいと整理をさせていただいています。
以上でございます。
○井上委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 あと、大濱委員からお手が挙がっていますが、先ほどまで又村参考人からもお手が挙がっていたのですが、又村様はいかがですか。
○又村参考人 全国育成会連合会の又村でございます。
申し訳ありません。ちょっと所用がありましてそろそろ抜けなければならなくて取り下げさせていただいたのですが、質問の趣旨としては相談支援専門員協会さんへの御質問でして、小規模な自治体における基幹相談支援センターの設置に向けて必要な工夫は何かアイデアがあれば教えてくださいという趣旨でございました。もしお時間があればで結構でございます。ありがとうございます。
○菊池部会長 せっかくですので、では、今のご質問を受けまして、相談支援専門員協会様からお願いできますでしょうか。
○橋詰氏 そうしましたら、引き続き、橋詰から回答させていただきます。
これまでも自立支援協議会の設置をどのように機能強化していくかという部分であったり、相談体制をどのように強化していくかというような、国の指導者養成研修等でもお話をさせていただいたかと思いますが、財政基盤のことも背景にございますが、実際には人材確保という部分と、それから、ある一定の相談支援の方たちが集合体になって様々な研修をしたり機能強化を果たしていくという状況を鑑みると、一市町村で非常に厳しいといったところに諦めて設置はしないという方向ではなくて、隣接する市町村同士が共同体を組んで、実際にその中で一つの体制整備を図っていくということができると、また大きな支援が始まり出すのではないか。いわゆる障害福祉サービスの中でも市町村もしくは圏域設置ということがよく制度の中でうたわれていますけれども、まさに圏域を網羅した形での相談体制を構築していくということは、実際にはそこでお住まいになっている障害者の方たちが隣接する隣の市町村に行ったら相談があずかれないとか、隣の市町村に行くと福祉サービスの制度がなかなか違うのですということがないようにするためにも、この共同体制を図っていくというのは、今回、報酬の改定の中でも言われている相談支援事業者同士の連携ということだけではなくて、市町村連携ということも視野に入れた体制整備を図っていくということが重要ではないかと考えています。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、あとは大濱委員からお手が挙がっています。ほかの方はよろしいですか。
それでは、最後の御質問になります。大濱委員からお願いいたします。
○大濱委員 脊損連合会の大濱です。
全国自立生活センターの岡本さんにお聞きします。重度訪問介護の事業所が足りないということで、報酬単価が低いということを挙げられていますが、それ以外の事業所を増やす方法について、自立生活センターとしての御意見があればお伺いしたいと思っています。よろしくお願いします。
○菊池部会長 岡本様、いかがでしょうか。
○岡本氏 先ほどもお伝えしましたけれども、地域移行を積極的に進めていきたいということと、プラスして地域の基盤整備というところが重要だというお話をさせていただきました。なので、そこら辺の事業所をつくれるような、重度訪問介護のサービスのことをもうちょっと伝えていろいろな団体でやっていただけるようにするということと、やはり単価を増やすことによって事業経営がしっかりできるのだということを証明していくということが先決で、プラスしてその地域移行の促進策の中で応援できるようなこととか、例えば、地域移行をした場合には加算をつけるとか、そういう形でフォローアップできればいいのかなと思ったりします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、時間も参りましたのでこの辺で締めさせていただきます。後半の4つの団体の皆様、大変貴重な御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。
活発な御意見をいただきまして、委員の皆様におかれましてもどうもありがとうございました。御意見、御質問をいただきましてありがとうございました。
それでは、続きまして、議題2の資料8について事務局から説明をお願いします。
○源河企画課長 事務局です。資料8を御参照ください。
令和3年に予定しておりました生活のしづらさなどに関する調査でございますが、実施を延期させていただきたいと考えてございます。
資料で申しますと3ページ目、右下のページ数でいうと2ページ目を御参照ください。この生活のしづらさなどに関する調査というのは、在宅の障害児・者、それから、難病等により日常生活にしづらさが生じている方の生活実態とニーズを把握することを目的としております。
下のほうの調査手法に書いてございますが、この調査は調査員の方が調査区内の世帯を戸別に訪問し、調査対象者の有無を確認することにより始まるものでございます。
したがいまして、右下のページで申しますと1ページ目、実施の延期の理由でございますが、現在、自治体では新型コロナウイルス感染症対策が最優先でございまして調査員の確保が困難であること。それから、調査員の方が戸別に自宅を訪問するものであること。事務局の中で郵送調査も検討いたしましたが、郵送の調査では精度を確保することが困難であることでございまして、御理解いただきますようお願い申し上げます。
事務局からは以上です。
○菊池部会長 ただいまの事務局の御説明につきまして、皆様から御質問、御意見などはございますでしょうか。
飛松委員からお願いいたします。
○飛松委員 国リハ顧問の飛松です。
この調査によって日本は、障害者の数とか年齢分布を推計しています。ですから、この調査は取りあえずのところは非常に重要な調査であります。それが今回は中止ということであれば、今後について、これからもこのコロナの状況というのは続くと思います。来年は元どおりの調査ができるかどうかというのは非常に疑問があります。
しかしながら、施策を決める上で重要な障害者の数や種別やそういったことがこの調査から推計されるので、今後この調査をどのようにしていくのかを知りたいと思います。
以上質問します。
○菊池部会長 中止ではなく延期という御説明だったと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
○源河企画課長 飛松先生、御意見いただきましてありがとうございました。
先生からは、この調査は重要であるけれども今後どうすべきかというのを考えるべきというのは、折に触れ御意見をいただいていると承知しております。今回は延期でございますが、今後どのようにするかというのはまた御意見等を伺いながら考えていきたいと思います。ありがとうございました。
○菊池部会長 いずれにせよ、このコロナが終息した状況で、できるだけ可及的速やかに実施したいという基本的なスタンスではいるということでよろしいのですか。
○源河企画課長 はい、そうでございます。
○菊池部会長 という確認をさせていただきましたが、よろしいでしょうか。
○飛松委員 はい。
○菊池部会長 ほかにございませんでしょうか。
ないようでしたら、もう時間も過ぎましたので、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
最後に、今後のスケジュールなどを事務局からお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
本日は御多忙の中、御議論いただきましてありがとうございました。
次回の部会につきましては、日程が決まり次第お知らせいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 本日も含め多くの団体の皆様から貴重な御意見を多数お伺いし、また、委員の皆様等からの御質問も含めて、かなりいろいろな御知見をいただくことができたと考えてございます。
これからまた、ここまでのヒアリングを踏まえて次の議論に行くということになるかと思います。どうかよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。
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