ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活保護基準部会)> 第35回 社会保障審議会生活保護基準部会(2017年12月8日)




2017年12月8日 第35回 社会保障審議会生活保護基準部会

社会・援護局

○日時

平成29年12月8日(金)13:30~16:30


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○出席者

駒村 康平 (部会長)
岩田 正美 (部会長代理)
阿部 彩 (委員)
岡部 卓 (委員)
栃本 一三郎 (委員)
山田 篤裕 (委員)

○議題

・生活扶助基準の検証
・有子世帯の扶助・加算の検証
・その他

○議事

■駒村部会長 こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第35回「社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。

 まず、本日の委員の出欠状況について事務局より説明をお願いいたします。

■鈴木社会・援護局保護課長 本日の委員の皆様の御出欠の状況でございますけれども、宮本委員と小塩委員より御欠席との御連絡をいただいております。その他の皆様は御出席いただいております。

 それでは、部会長、議事進行をよろしくお願いいたします。

■駒村部会長 では、これから議事に入りたいと思います。カメラの方はこの辺で御遠慮いただければと思います。お願いいたします。

(カメラ撮り終了)

■駒村部会長 それでは、本日の議事に入ります。

 まず、生活扶助基準につきまして、前回の部会で確認した折れ線回帰分析によって消費動向が変化する分位について、生活扶助基準の水準の検証を行ったということで、事務局から報告をいただきます。

 また、有子世帯に対する扶助・加算に関する検証結果についても、事務局から御報告いただきたいと思います。

 本日は、折れ線回帰分析における消費動向の分位の議論と、有子世帯に対する扶助・加算に関する検証結果の2つについて議論を進めていきたいと思います。

 まず、事務局から資料1について御報告をお願いいたします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料1「生活扶助基準の検証結果(案)」という資料に基づきまして御説明させていただきます。

 1ページ目、お開きいただければと思います。

 まず、生活扶助基準の水準の妥当性の検証ということで、これは前回部会におきまして、夫婦子1人世帯、また高齢夫婦世帯における年収階級五十分位、また消費支出階級五十分位別のデータについて回帰分析を行った結果の御報告をさせていただきました。その結果でございますけれども、まず、夫婦子1人世帯につきましては、現状の年収階級第1・十分位の消費支出と比較するのが妥当であろうということで、前回 に整理 いただいたところでございます。

 今回、1ページ目の真ん中でございますけれども、年収階級第1・十分位の生活扶助相当支出額というものを計算させていただきました。その結果、外れ値±3σということで、少し極端な支出をしている世帯とか、逆に極端に支出が少ない世帯を除いた結果として136,638円ということで、これは一番右に現行の生活扶助基準額を出してございますけれども、136,495円ということで、ほぼ妥当な水準であることが確認されたところでございます。

 続いて、2ページ目、高齢夫婦世帯でございますけれども、こちらについては、消費支出階級第6~7・五十分位で比較対象してはどうかということで、前回部会でお示しさせていただいたところでございます。そこの分位の生活扶助相当支出額を計算させていただきますと、左側の109,245円という結果でございました。こちらを現行の生活扶助基準額と比べますと、現行の生活扶助基準額は101,835円ということで、これは生活扶助相当支出額のほうが高い結果になってございます。

 2ページ目の一番下、水準の検証結果のまとめのところでも書いてございますけれども、夫婦子1人世帯の生活扶助基準額につきましては、比較 対象 とする年収階級第1・十分位の生活扶助相当支出額とおおむね均衡しているという結果になりました。

 また、高齢夫婦世帯の生活扶助基準額につきましては、消費支出階級になりますけれども、第6~7・五十分位の生活扶助相当支出額より低いという結果になってございます。なお書きでございますけれども、この消費支出階級の分位につきましては、低分位であっても、同一の分位間に中所得階層の方も含まれるという可能性がございまして、これまで比較 対象 としてきた一般低所得世帯との比較とは考え方が若干異なる点については、留意が必要であると思ってございます。

 続いて、3ページでございます。こちらについては、今、水準の検証結果と、それに引き続いて、年齢・世帯人員別、また級地別の基準額への展開についてです。

 水準の検証について、今、夫婦子1人世帯と高齢夫婦世帯の2つのモデル世帯を設定したところでございますけれども、この年齢 世帯人員、級地別の基準額に展開する場合の基軸として用いるモデル世帯として、どちらを用いるかというところでございます。

 1点目、若年者と高齢者で基軸を分けることにつきましては、現行の体系では2類費について年齢差を設けていないことですとか、生活保護受給世帯でもいろいろな世帯がございますので、若年者と高齢者との組み合わせの世帯に関する設定方法の考え方等について、これは整理するまでの議論ができていないところもございまして、課題があるところでございます。

 また、2点目につきましては、では、どちらかで展開する場合で考えた場合、夫婦子1人世帯と高齢夫婦世帯のいずれのモデルで展開したほうがいいかということになりますと、子どもの費用なども含む夫婦子1人世帯から展開することが妥当ではないかということで考えたところでございます。また、従来から、基準の展開については、夫婦子1人世帯(標準3人世帯)を基軸としてきたところから、今回の検証においても夫婦子1人世帯を基軸として考えてはどうかということで記載してございます。

 また、下の丸でございますけれども、高齢夫婦世帯の水準の検証結果につきましては、これは夫婦子1人世帯を基軸として展開を行った上で、年齢・世帯人員・級地別の展開後 算定される高齢夫婦世帯の基準額との乖離がないかというところで、検証・確認を行ってはどうかということで考えてございます。

 以下、3ページの点線のところで具体的な展開作業の内容、作業手順等を記載してございますけれども、右側の年齢・世帯人員・級地別の指数の算定方法というところでございますけれども、これから御説明させていただきますとおり、サンプルデータから、それぞれ年齢別の消費の差、また級地別の消費の差等を指数により算定する。そうしますと、それぞれ組み合わせによる指数が算定されるということになります。

 一方、左側ですけれども、モデル世帯の消費実態から基準単価を算定するということで、全体のモデル世帯、例えば夫婦子1人世帯の第1・十分位の消費実態から、1類費であれば1類費相当支出を全体平均したもの。また、該当する世帯について、それぞれ年齢等によって指数を足し上げると、該当世帯の計算される指数というものが出てまいりますので、これを合計した平均の全体の指数が出てきます。割り戻すと、1指数当たりの単価が算出されることになってございます。基本的には、これは前回の考え方を踏襲して、こういった作業を実施するということで進めていきたいと思っております。

 4ページ目でございますけれども、それぞれ指数の算定方法について、これまでの部会における議論を踏まえて幾つかパターンを用意させていただきまして、作業を実施しているところでございます。

 まず、指数を算出する所得階層でありますけれども、大きく分けて2つ、低所得者層と全所得階層で、低所得者層ですと、低所得世帯の実態を捉えることができるというメリットがある一方で、全所得層にしますと、標準的な家計構造を捉えることができるという特性があるかと思ってございます。

 また、低所得者層でも、どういった低所得分位を捉えるかということで、今回、データの用意を2つさせていただいてございます。1つは、世帯員単位年収第1・十分位ということで、世帯員1人当たりの年収の第1・十分位のデータを抽出した場合。また、これは前回の部会でやってみてはということで御指摘がございました、等価年収を第1・十分位でサンプルを集めてきた場合ということで、2種類のデータを用意してございます。

 また、世帯人員別の指数(スケールメリット)の算出方法というところでございますけれども、これは前回、消費実態、実データによる算出法というのは御紹介させていただきましたけれども、算出方法としては次の5ページにございますとおり、それぞれ単身世帯、2人世帯、3人世帯の実際の消費支出額を集計いたしまして、その差を指数化するという手法でございます。

 もう一つ、スケールメリットの算出方法といたしましては、回帰分析による算定方法ということで、これは今回、新たに算出させていただいた部分でございます。それぞれ回帰式から、世帯人員数のほう、また世帯人員数の2乗のほうから、それぞれの世帯人員に応じた支出の差の理論値を算出したものでございます。

 4ページ目、戻っていただきまして、それぞれ指数を算出する所得階層とスケールメリットの算出方法の組み合わせによりまして、下の表にございますパターン1からパターン5の分類を準備いたしまして作業を行ったところでございます。

 その結果をそれぞれ7ページ以降にグラフをつけてございますので、順次御説明させていただきます。

 これは、前回、現行基準額についても比較するために線を入れていただきたいという御指摘をいただいたところでございますので、現行基準額の線も 記載して ございます。青い線の丸でドットが打っている線が、現行基準額の線でございます。それぞれの手法の違いによって、幾つか特徴的なところを少し御説明させていただければと思います。

 まず、オレンジの線と緑の点線、ひし形の のある線でございますけれども、こちらについては、ほかの手法と比べまして、6~11歳のところが0~5歳に比べて、指数が若干ですが、下がる結果になってございまして、ほかの手法とは少し特異な傾向が見られる部分かなというところでございます。

 一方、全年収が水色の線で三角の を打っている線でございますけれども、こちらにつきましては、特に1864歳のところを見ていただきますと、三角の線がほかの手法と比べて少し特異な傾向を示しているということで、隣の1217歳、また6574歳の指数と比べても低い水準になっているというところがございます。なぜ、こういった状況になっているのかというのは、 はっきりと 解明できていない部分ではございますけれども、他の手法と比べて少し特異な傾向が見られるところでございます。

 続いて、8ページ目につきましては、それぞれ世帯人員別の指数の算定結果になっております。左側が第1類費の指数、右側が第2類費の指数でございます。

 まず、第1類費のほうを見ていただきますと、一番下のほうに線が2本ございますけれども、オレンジのひし形の線、また水色の三角の線につきましては、それぞれ等価年収の第1・十分位 実データではかったものと、全年収ではかったものというものでございます。こちらについては、傾斜が非常になだらかということは、スケールメリットがきくというところでございますので、逆に多人数になっても、それほど支出が増加しないという結果になっている線ということが言えるかと思ってございます。

 一方、点線の2本でございますけれども、紫色の四角の が打っている線は、世帯員1人当たりの第1・十分位の回帰分析によって算定した指数の線でございます。緑色のひし形の線は、等価年収第1・十分位の回帰式で算出した結果ということになってございます。こちらについては、逆に割と直線的に伸びているところで、世帯人員が増えますと、その分、支出が増加している傾向にございます。

 もう一つ、赤い線、四角の実線でございますけれども、こちらについては、世帯員1人当たり第1・十分位の実データではかった線になります。特徴的なところで言いますと、2人世帯の指数というのがこの手法の中では一番高くて、そこから若干カーブといいますか、世帯人員が増えるに従ってスケールメリットが若干きいてくるという線になっているかと思ってございます。こちらが第1類費の主な特徴ということで考えてございます。

 続いて、右側のグラフが第2類費のグラフでございますけれども、こちらを見ていただきますと、多人数になりますと一番下の線になりますけれども、水色の三角の線につきましては、これは全年収の線であります。これは、2人世帯、3人世帯から人数が増えますと指数が減るという線になってございまして、数値としては少し外れている線になるかなと思ってございます。

 一方、オレンジのひし形の線につきましても、2人世帯、3人世帯から4、5人世帯になりましても、それほど指数が増加しないという結果になってございます。

 一方、赤い線、四角の実線でございますけれども、2人世帯、3人世帯と増加しまして、4人世帯で落ち込んでいるという傾向にございます。5人世帯で少し上がるということで、4人世帯の指数の動きに一部特異な傾向が見られるという状況になってございます。点線のそれぞれ回帰分析で出したものについては、これは1類費と同じように、割とほかの手法に比べて直線的な増加をしているということで、世帯人員が増えますと、その分、指数が増加するという結果になってございます。

 続いて、9ページでございますけれども、こちらについては級地別の分析でございます。左側が級地別の指数、第1類費のものでございますけれども、こちらも現行基準額は青い丸のドットの線で書いてございますけれども、どの手法を用いましても、現行基準額より級地差というものは比較的なだらかな状況になってございます。

 特徴的な特異傾向を示す線といたしましては、等価年収第1・十分位でとった線でございますけれども、1級地2のところが有意な値にならなかったということで、グラフ上、2級地の1と差がないとなってございます。したがいまして、等価年収については、1級地の2から2級地の2までが全てフラットな線になっているというところが、他の手法と比べての特異な点ということになるかと思ってございます。

 9ページの右側のところが第2類費の線でございますけれども、これもいずれの手法をとりましても、現行基準よりかなりフラットというか、ほとんど差が見られない状況になってございます。唯一、四角の実線、赤い線でございますけれども、世帯員1人当たり第1・十分位の線は、1級地の1で少し有意に上昇している傾向が見られるところでございます。

 一方、全年収、水色の三角の値については、他の手法と違って、3級地の1、3級地の2、地方になるほど支出が上がる、指数が上がるという結果になったという状況でございます。

10ページ以降、それぞれ年齢別・世帯人員別・級地別に他の分析手法との比較ということで、今、グラフを説明しながら、口頭で申し上げたようなものを文字化したものが主でございますので、またごらんいただきながら御議論いただければと思ってございます。

 説明は省略させていただきまして、13ページをお開きいただければと思います。基準額体系の検証結果のまとめということで整理してございますけれども、それぞれ年齢・世帯人員・級地別の指数の展開方法の検証結果の全体を眺めてみますと、等価年収を用いた展開方法、特に年齢別指数の6~11歳のところで、0~5歳より少し減少傾向であったという特異な傾向が見られたところと、級地別の指数につきましては、1級地の2にも有意な差が見られないという、他の手法と比べて少し特異な傾向が見られたと思ってございます。

 また、世帯人員別の指数につきましても、実データを使用した場合は、他の手法に比べてスケールメリットが大きく働く結果となってございまして、これは逆に言いますと、多人数世帯には大きな影響を及ぼすおそれがあるということを記載してございます。

 また、全年収を用いた展開方法につきましては、こちらも年齢別の指数の1864歳のところで、他の年齢階層、手法と比べても指数が少し落ち込むという特異な傾向が見られたところ。また、級地別の指数でも、他の手法と違って、第2類費については、3級地になると費用が増加する結果となったというところでございます。

 一方、矢印のところに書いてございますけれども、世帯人員1人当たり年収を用いた展開方法では、他の手法と比べても大きな乖離が見られるような指標は比較的少なかったのではないか。また、現行基準額との乖離も穏やかであるというところもございまして、展開に用いるデータとしては、世帯人員1人当たり年収第1・十分位が適当ではないかということで整理してございます。等価年収、全年収のような特異な傾向が見られるところは、少し採用しづらい部分があるのかなということでまとめさせていただいております。

 その下の丸でございますけれども、世帯人員1人当たり年収を使った場合の世帯人員のスケールメリットの計算方法につきましては、それぞれ実データではかった場合と回帰分析ではかった場合という2種類がございます。どういう特徴があって、どういうメリット、デメリットがあるのか、どちらを採用すべきかを特に御議論いただければと思ってございます。

 2つの手法を用いて、それぞれの代表的な世帯類型の基準額を試算した結果が14ページ以降についてございます。左側に世帯類型と級地、現行基準額と、真ん中にありますのが実データではかった場合の基準額の試算結果、右側にありますのが回帰分析ではかった試算結果ということになってございます。

 少し特徴的なところを整理いたしますと、上のほうから申しますと、夫婦子2人世帯、4人の世帯でございますけれども、世帯人員別の指数のところで、回帰分析を用いてやったものについては、多人数になっても指数が割と直線的に増加するという傾向が見られたところから、多人数の費用については回帰分析のほうが上昇するという結果になってございます。

 一方、その下の母子世帯(子1人)世帯の2人世帯につきましては、実データではかった部分については、世帯人員別のスケールメリットのところで2人世帯の指数が少し高い結果になっているというところで、これが実データのほうが回帰分析より高い結果になっているという状況が見てとれるかと思います。なので、世帯人員別に見ますと、2人世帯につきましては実データのほうが結果としては高く、多人数になると回帰分析でやった結果のほうが高いという全体的な傾向は見てとれるかと思ってございます。

15ページは、それぞれ単身世帯、高齢夫婦世帯等についてまとめたものでございます。単身世帯で比べますと、1,000円程度の差が見られるという状況になってございます。また夫婦世帯、2人世帯につきましては、実データのほうが増加するような結果になってございます。単身世帯については、回帰分析のほうが指数は若干高くなる。したがって、基準額についても高いような結果になっているというところでございます。

 一方、先ほど水準の検証結果のところで申し上げましたとおり、高齢夫婦世帯の折れ線回帰分析によって確認した値については、109,000円でございますので、それを仮に近似する、より近い方法ということで言いますと、実データのほうが近い結果になっているという状況でございます。少し指数の状況、また基準額の試算結果等を見ていただいて、それぞれの特性、どちらをどう見るべきかを御議論いただければと思ってございます。

 説明は以上でございます。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 この部会は、扶助の基準の検証と、生活扶助 の指数 の構造を決めるという2つの一体的な役割を目指していたわけでして、どういう作業をやってきたかということで、今のお話を簡単に整理しますと、作業部会の皆さんはもちろん御承知だと思いますけれども、そうでない委員の方もいらっしゃいますので、簡単に御紹介しますと、まずどの水準と比較するのが適切なのかというのを選び出すという作業をずっとやってきた。

 これが171819202122の参考資料に、今回は消費の構造が変わっている部分をもって比較対象としようということで、折れ線回帰分析という手法を使った。その結果、従来どおりの十分の1のところを一つの比較の対象として見たときに、バランスがとれているのか、とれていないのかというのを確認した。そうすると、1ページから2ページのように、モデルの夫婦子1人世帯については均衡しているということを確認した。

 ここから先が、そうであるならば、具体的に扶助の 指数の 構造を決めていかなければならないということで、各世帯の消費構造に合わせて、それに近い形になるように各給付を決めていこうということになって、次に3ページから5ページまでの作業に入ってくるということになりました。

 その上で、ここは消費データそのものを使って構造まで決めていくということに関しては、前回、岩田先生からも留意すべき点がある という指摘があった 。現行制度は、過去からずっと使ってきた、特に1類の年齢水準などは、カロリー計算の時代からの跡が残っていて、ある種の理論値がある。その理論値を消費実態に合わせて修正していくということをやると、当然変化が出てくる。消費データそのものを使って扶助の細かい基準 、指数 を決めていく際には、データそのものに起因するさまざまな課題について、十分配慮しておく必要があるというコメントがついていたということですけれども、今回は、消費データそのものから扶助の構造を検証してみたということになる。

 その作業を次の3ページ以降、具体的にやった。作業の方法としては、回帰分析を行った。回帰分析は、モデル、変数をどう選ぶか、さまざまあるわけですけれども、回帰分析については、そのモデルは1つのままにして、あとはデータのとり方を何種類か考えたと。第1から等価第1、全収入と年収というように、何パターンか考えたということになります。もちろん、その方法によっては、メリット、デメリットがあるというのが6ページから9ページに書いてあるわけでありますけれども、これから出てきたパラメータを手がかりに、具体的に扶助の給付構造を決めていく。

 これが展開と言われている作業でありまして、その際に、パラメータを直接使う場合と、パラメータを一部反映した実データを使う場合と、幾つかの選択肢があり得る。結局、我々の分析は5パターンの分析結果が選択肢としては出ると。これが4ページに書いてあるということです。その5パターンのうち、一長一短、メリット、デメリットあるので、そのうちメリット、デメリットが比較的少なかろうと思われる2つのパターンを実際に扶助の係数として適用してみると、13ページから15ページのような結果になったというのが今の事務局の御説明ということになります。

 こういった作業をやっているわけですけれども、委員の皆様から、この一連の作業について、御質問あるいは御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

 岩田委員、お願いします。

■岩田部会長代理 確認ですけれども、3ページにモデルとしての夫婦と子 3人世帯の水準はほぼ妥当であったということを前提にして、ここからどういうふうに基準額表を、年齢別、世帯人員別、級地別に展開するかというやり方を書いていただいていると思うのですが。最初の水準均衡であるということは、1ページに夫婦子1人世帯については書いてありますね。これは、ほぼ妥当だと書いてあるわけですが、外れ値も含めて、ちょっと幅がありますね。それで、3ページで展開したときは、どれを使ったのでしょうかというのが質問1です。

■駒村部会長 先生、幾つかありますか。まず1つ目。

 では、事務局、お願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 1ページ目の外れ値±3σを使ってございますので、136,000円程度の支出額になります。したがいまして、3ページの作業手順のところで、モデル世帯、夫婦子1人世帯第1・十分位の消費実態ということで、この表自体は1類相当支出ということで書いてございますけれども、1類、2類費相当支出の合計額の平均値は、ほぼ13.6万円になるということでございまして、13.6万円を基軸としまして、ほかの年齢階層等に展開しているという作業手順を追っております。

■駒村部会長 岩田先生、お願いします。

■岩田部会長代理 ありがとうございます。

 もう一つは、7ページ、8ページ、9ページの指数を年齢別・世帯人員別・級地別に展開する。今、確認しましたように、モデルで言うと、今の基準は妥当だということですね。ところが、さっき御説明ありましたように、それを具体的な世帯類型や級地に当てはめてみますと、上がるところと下がるところがあるという形になっています。特に、結構下がるところがあるということは注意しなければいけないわけで、そこで、7ページ、8ページ、9ページについては、現行の基準、つまり指数と、この何種類かの展開との比較ができるような図を書いていただいたわけです。

 それで、前回、ちょっと違うのですけれども、ほぼ同じ理屈で指数化したのですね。それは、平成21年の全国消費実態調査を使っています。私、前回の図と比較してみたのですが、現行というのは、前回の消費実態と考えてよろしいですか。

■駒村部会長 一問一答で確認していきますか。

 では、お願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 現行基準額でございますけれども、前回、24年検証のときには、先生がおっしゃっていただいたような回帰分析で実施しましたけれども、実際、基準額に適用する際につきましては、現行基準額と回帰分析といいますか、検証結果のグラフがありまして、その中間値、間をとったというところでございます。したがいまして、現行基準額は前回検証の検証結果と、その前の基準額との間の線ということで御理解いただければと思います。

■駒村部会長 お願いします。

■岩田部会長代理 わかりました。というのは、つまり、前回も似たようなカーブを見ているわけですね。今回も見ているわけですね。もしも前回の実態が今回の基準だとすると、21年の全国消費実態調査と26年の全国消費実態調査に、5年間で著しい実態の差ができたのかということになりますね。中間なので、その残渣が残ったという感じで見ればよろしいですか。

■駒村部会長 お願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 同じような前回の回帰式の結果を当てはめてみますと、線といたしますと、前々回の現行基準があって、真ん中をとった現行基準額があって、前回の検証結果がありますけれども、先生がおっしゃるとおり、基本的には、前回の21年データで回帰式、検証した結果と、今回の検証した結果というのは、それぞれのものによってそれほど差がないことになりますので、どちらかというと現行基準額との差ということで言いますと、半分反映した残りの差というものの影響も大きいかと思っております。

■駒村部会長 はい。

■岩田部会長代理 続けてで恐縮ですけれども、これからは意見です。

 年齢と世帯人員は全国消費実態調査でやっていくことになるというのは、私も割合すんなり納得できるのですけれども、級地というのは級地ごとに集計した消費水準に差があるということが示されています。級地とは何かということになりますが、消費環境あるいは生活様式というものだとすると、もちろん消費水準にその差異があらわれる場合もあるし、必ずしもダイクレトにあらわれない場合もあります。その上、全国消費実態調査というのは、級地とはもちろん違う考え方で地域を設定しまして、そこから抽出しているわけですが、抽出率が地域によって違います。

 そこで、地域別の表章をする場合は、異なった抽出率の逆数を掛けて調整して使っているのですね。それでもなお、前回申し上げましたように、特に町村の調査結果について、昭和21年の調査結果についての論文ですけれども、かなり疑義が出ています。

 もう一つ、平均値でしかないのですけれども、表章結果で、地域別の標準消費支出とその構造について見たところ、例えば住宅とか一部の費目は1級地の1は際立って高いわけですが、3級地の2は、例えば交際費のようなものが高くなる。必ずしも水準だけではなくて、構造の違いみたいなものがあるのですね。だから、級地差がなくなったというのはどういうことかというと、その辺はなかなか難しいことになりますね。もちろん、それぞれの地域の消費の様式とか慣習とかということが大事になりますので、そういうものを生活保護基準の中で考慮するというのは非常に重要だと思うのですけれども、全国消費実態調査だけで、しかも修正もしないで級地の指数を使っていいかという疑問があります。

 それから、1級地の1でも、東京区部や神奈川の一部は非常に消費水準が高いので、それを1級地の1でならして平均でできるかという問題が出てくると思います。もちろん、それらは住宅扶助でかなり高い水準を保障するとか、そういうものがあればまた別ですけれども、この修正でいいかなという 懸念 るのです。それは、先ほどの現行基準額を見ますと、1級地の1のところで低下が大きい。大都市部で保護率はどうしても高くなりますので、その辺の現実的な影響が非常に出てしまうのではないかなと思います。

 それから、ちょっとついでに申し上げますと、全国消費実態調査はやや記入漏れがあるだろうという疑義がありまして、そういうこともあって、これは世帯人数とかかわるのですが、4人世帯で全データをやったものがちょっと下がっていますね。それはなぜかということも考えたのですが、1つは、個人別収支、小遣い部分の調査を全国消費実態調査はやっています。個人別収支のうちの全部を把握していないのですけれども、例えば平均で言うと4万ちょっとありまして、そのうち家計簿についていないものが2万ぐらいある。これが、もしかすると世帯規模や級地とかかわっている可能性もあるのですね。

 でも、これには反映されています。別の分類になるので、反映できないことはないのですが、書いていないものはもちろんできないわけですが、可能性としては、多人数世帯でそれを加味すればちょっと高くなるし、級地で言えば、都市部で高くなるのではないかという、これは類推でしかありません 。つまり、全国消費実態調査で出てくる消費水準というものが、国民の消費水準の典型になるかという話ですけれども、ならない部分がちょっとあって、全部ならないとはもちろん申し上げません。唯一頼りになる、非常に大規模調査ですので。

 しかし、こういうふうに分解していくと、ちょっと気になる点があるわけです。その辺の補正を全然行わないで、今、比較していますので、それでまた一部が下がる。せっかく水準均衡しているということが検証されたのに、展開のところで下がるというのは、前の展開の指数がちょっとおかしかったのだと言えばそれまでですが、そこにデータの制約から来るさまざまな留意というものがないと、やはりおかしくなるのではないかという危惧があります。

 以上です。

■駒村部会長 幾つか大事な御指摘があったと思います。

 1つ目は、委員のお手元にも前回の報告書があるわけですけれども、8ページに前回の検証、年齢と世帯規模と両方出ていますけれども、最終的に検証と当時の基準の間の数字を使ったということで、そういう判断をした経緯も1つ確認したいわけでありますけれども、そういうことだと。

 それから、13.6万円。これは、どこの地域を指して13.6というのを出されているかという 確認です

 それから、データの構造的な課題がある以上、それをそのまま適用するといろいろ課題が出てくるのではないかという御指摘で、これもこれからの議論で詰めていきたいと思います。

 事務局、いかがでしょうか。私も2点ほど再確認になりますけれどもね。

■清水社会・援護局保護課長補佐 今の2点、事実関係のところを御説明させていただきたいと思います。

 まず、前回検証結果と当時の現行基準額の間をとったところでございますけれども、例えば、前回、年齢階級別に言いますと、今までカロリーベースで設定してきた基準額ですので、1219歳のところが高かった。あと、世帯人員別につきましても、1類費については、世帯人員が増えると1人分増加するという構成になっていましたので、現行基準額と実態と合わせると大きな差が出るというところで、激変緩和という意味もございまして、指数を半分、中間値をとったところでございます。

 もう一つ、13.6万円の地域ということでございますけれども、これは今、モデル世帯の夫婦子1人世帯の第1・十分位に属する世帯、外れ値を除外した全データを使ってございますので、全部の平均が13.6万円ということになります。

■駒村部会長 特定地域をということではないということですね。わかりました。

 今の前半部分は大変気になるところ。激変緩和的な部分と、消費データと理論の間の違いの部分が大幅に変わってしまうことをどう考えるのかというところが1つ課題なのかな。それで、前回はそれを中間値で少し修正したということだと。これは激変緩和の意味もあるということだと思います。

 ほかの委員、いかがでしょうか。

 山田委員、お願いします。

■山田委員 まず、14ページ、15ページですけれども、これが今回出てきた指数で2つのやり方で展開したらどうかという、あくまでも計算結果になると思うのですけれども、この中に、どういった こと を想定して、この世帯類型が選ばれているのかというのと、ここに含まれていない もの で、現行と比べて 何か大きな 影響があるような世帯類型はないのかというのが、確認で1点あります。大体 他の世帯類型も 似たようなものと考えていいのか、これはほぼ想定されるさまざまな世帯類型を網羅していると考えてよろしいかというのを1点、確認させていただければと思います。

■駒村部会長 ほかにも質問はありますか。

■山田委員 あと、コメントとしては、モデル世帯の消費水準の均衡というのは一応確認しているのですね。

 もう一つは、3ページに、今回やった高齢世帯のモデルということで、高齢夫婦世帯の水準検証結果については、展開後の高齢夫婦世帯の基準額との乖離がないか、確認すれば、高齢夫婦世帯については、展開後の水準については一応確認するということになります。

 そうすると、展開後の基準について均衡を確認しているのは、あくまでもモデル世帯と、もしこれが高齢夫婦世帯の基準額に高齢夫婦世帯の検証結果を用いるとすれば、高齢夫婦世帯の水準の均衡 一応確認するということになるのですけれども、展開した後の水準がさまざまな世帯 類型 14ページとか15ページの各金額について均衡しているかどうかというのは、また別の問題であるということですね。

 あくまでも均衡が確認されたモデル世帯から出発して、パラメータで当てはめて推計結果を出しているということで、各世帯類型 展開したらどうかというのを14ページ、15ページにあらわしているということ ですが 、非常に気をつけなければいけないのは、展開後の水準が各世帯類型にとって 均衡したものであるかどうかという点が非常に重要なポイントだと思っています。それは、先ほど岩田委員からも話があったように、多人数世帯の場合には、小遣いで不明だった部分がどうなっているのかというので、ひょっとしたら異なってくるかもしれないので、あくまでもこれは14ページ、15ページはパラメータからの単純な計算結果であって、各世帯類型について水準が均衡しているかどうかというのは、また別問題であるというのが私からのコメントです。

■駒村部会長 2つの質問で、まずこのパターンを選んだのはなぜか。ほかに何か留意すべきパターンがあるのかというのが1点目。

 それから、2つの軸で今回、水準を比較して、その結果、それは消費にどのような影響を与えて、どの程度の水準なのかというのは17ページのほうで出ていますけれども、これを実際に水準だけではなくて、これを展開した後、比較したらどうなっているのか、どれを見ればいいのか。例えば、2級地の1の夫婦子1人世帯を見ると、13.5万円、13.5万円、13.5万円という形になっている。この辺を見ればいいのかどうかという確認で、では、高齢者はどれを見ればいいのかという確認。山田委員、そういうことですね。

■山田委員 それ 確認できたところで、折れ線グラフで 使用した、 均衡の参照ポイントに使用した世帯類型でない世帯 、例えば若年単身といった世帯類型 については、展開後の水準というものが、これはあくまでも計算結果であって、本当に均衡しているかどうかはまた別問題であるということです。

■駒村部会長 求めているのは、そこに戻って、折れているか、折れていないかまで見ろということではない。

■山田委員 ではなくて、14ページ、15ページをどう見るかということについてのコメントとして、そういうことであるということです。

■駒村部会長 では、今の山田委員の質問にお答えいただけますか。

■清水社会・援護局保護課長補佐 まず、世帯類型でございますけれども、基本的には従来から、代表的に生活費がどうなのかという表示をする際によく用いてきた世帯類型でございますけれども、実態としても、例えば単身世帯であれば、高齢単身世帯が生活保護受給世帯の多くを占めますし、次いで若年単身世帯。2人世帯で言いますと、母子の子1人世帯、また高齢夫婦世帯というのが保護世帯の大半を占めます。3人世帯で言いますと、夫婦子1人世帯というのを従来からモデル世帯として使用してきたというところがございますので、まさに主な世帯ということで少し例示させていただいたというところでございます。

 ほかに注意すべき世帯でございますけれども、傾向としては、今回、大きく出ているのは、多人数世帯の違いとか、2人世帯の世帯人員の違いによって大きな差が出てきます。同様に、例えば2人世帯で言いますと、ここにも書いてあります若年夫婦世帯等もございますけれども、ほかの多人数世帯でも恐らく同様の結果、両方の差ということでいえば、そういったことになるかと思います。

■駒村部会長 山田委員、いいですか。

■山田委員 はい。

■駒村部会長 ちなみに、さっきの高齢のほうはどのモデルで見るのですか。

■清水社会・援護局保護課長補佐 高齢モデルでございますけれども、今回、高齢夫婦のモデルということで設定させていただきましたので、15ページの一番下の高齢夫婦世帯は、ともに65歳の世帯を抽出してございますけれども、先ほど 副部会長 がおっしゃっていただいたとおり、夫婦子1人世帯でも2級地の1というものが世帯の平均的な値に近いということになりますので、高齢夫婦世帯、65歳の2級地の1の数字を見ていただくということが一番近いかと思います。

 ちょっと試算はしておりませんので載せていないのですが、高齢夫婦世帯のモデル世帯でいきますと、これは65歳以上の世帯ということで設定してございますので、本当は高齢夫婦世帯でも75歳以上の方、また組み合わせの夫婦の世帯というものもございますので、そこは傾向としては高齢夫婦世帯の2級地の1が11万円になってございますけれども、少し指数計算をしますと、基準額は恐らくもう少し下がることになるかと思います。そういった意味でも、109,000円と11万円の差というものも必ずしもぴったり合致してございませんけれども、そこの間に存在するのかなと思ってございます。

■駒村部会長 阿部委員。

■阿部委員 私、質問というか、意見というか。1415ページの表をよく見ると、世帯タイプというよりも、ある年齢層の方がいる世帯が変わっている。級地と年齢層が大きいと思うのですね。具体的に言いますと、中高生がいる世帯、12歳~17歳ですね。それと、65歳の高齢者がいる世帯だと思います。高齢者だとわかりやすいですけれども、高齢単身世帯でも、65歳、70歳、75歳で試算結果がプラスになったり、マイナスになったりします。65歳だと全ての試算がマイナスですけれども、70歳以上だと2級地1以上はプラスになってくるのです。下がるのは1級地1だけなのです。75歳だと1級地と2級地1は下がりますけれども、3級地の2は上がっているということになります。

 ですので、なぜ65歳が押しなべてマイナスになったかというと、これは高齢者の年齢区分をどのように切ったかという、二、三回前だったと思いますけれども、そのときの影響だと思うので、この切り方というのは、私たちはそこまで検討しなかったというのがあったと思います。単純に後期高齢者と前期高齢者で分ければいいという形にしたということなので、そこはちょっと不安である。65歳の方々、もしかしたらそれより高齢の方のほうが圧倒的に生活保護世帯は多いのかなという気もいたしますけれども、そこのところが心配。

 もう一つは、中高生です。中高生がなぜこんなに下がるのかというと、以前は、先ほどおっしゃったように、栄養価でやっていたのを、この年齢層が非常に高いカーブとなっていた。それが、現行の制度にも半分ぐらい、その影響が残っているので、それを全く取り除いてしまうとなくなってしまう。でも、これは栄養価でやったというのはある意味理論値ですね。栄養という観点にすれば、水準均衡の考え方では健全育成は望めないというのもあったと思うのです。一般世帯の60%の栄養でいいというわけにはいきませんから。そういった意味で、理論的にこの年齢の子どもたちは幾ら必要だろうかという形でやられたと思います。

 今回、次の資料で健全育成ということを検討してくださっていることはわかるのですけれども、そこでは学校にかかる費用しか考えていなくて、そのほかの健全育成にかかる費用については、全部こちらで見ることになっていると思います。そうしたときに、一番最初の話では、均衡点を見るのでも、一番下のクロスのところと均衡する、こちら側の高いところを見るという、子どものある世帯に対しては、もう少し健全育成の要点を、この生活扶助本体のほうでも見るという話だったのですけれども、いつの間にかその話がなくなった。なので、栄養価から離れた年齢推計にしてしまったときに、生活本体も水準均衡でやるのです。健全育成の観点は全くなくしますと言っているということだと思います。

 そこで、市民感覚的にも中学生・高校生は一番お金がかかる。なのに、そこをピンポイントのように変えていくという状況になると思います。今、母子世帯の母1人、子1人の世帯が上がっているように見えますけれども、小学生は何年かすれば中学生になるわけで、必ず長い6年間を卒業するまで通るわけですね。ということを考えると、生活扶助を健全育成の観点を全く入れないでやってしまうというのは問題があるのではないかと私は意見したいと思います。

■駒村部会長 御意見ということですけれども、前々回までの扶助の構造が理論値の構造をずっと持っていたということで、前々回から消費実態で検証するという判断に全部起因する御意見ですね。

■阿部委員 消費実態で判断するにしても、消費実態をほかのものと全く同じような第1・十分位でやる。そこまでやってしまったわけですね。消費実態でやること自体が悪いと言っているわけではなくて、健全育成のときにはもう少し高いところの分位も考えなければいけないのではないかという話を、最初のほうはしていたと思うのですけれども、いつの間にか、それが学校にかかる経費だけになってしまいました。それは、ここでは合意されていないことだと思います。

■駒村部会長 10分の1とバランスがとれているから、10分の1の消費構造を反映すればいいと見方がある。選択肢は、もう一つ、パターンとして残っているわけで、全世帯というものがあるわけです。

■阿部委員 指数の計算ではなくて、もともと基準とするので子どものところも含めて第1・十分位を使っていますね。その指数の計算の話をしているのではなくて。

■駒村部会長 健全育成の話とカロリーの話と両方されているので整理しましょう。まず、カロリーの話からです。健全育成の話は、御指摘のとおり、わかりました。健全のほうは、阿部先生が従来から10分の1をベースにして、それを健全育成の一つとして考えるのはおかしいのではないかというのはそのとおりで、健全育成の話は後ほど。

■阿部委員 ただ、健全育成のためには学校にかかる経費だけではだめですよという話をしていて、そのほかの健全育成にかかる費用はどこで見るのかという話です。

■駒村部会長 それは、次の健全育成の話が終わらないと、そこの話にはちょっと入ってこられないと思う。多分、健全育成のほうのデータから見ると、そこの部分をちゃんと見ていないので、本体のほうでちゃんと見るべきだということになる。健全育成のほうでもう一回やります。今は、どちらかというと年齢の構造のところで、年齢区分の話がどうだったのかという御意見があったということだと思います。

 ほかの委員、よろしいですか。

 栃本委員。

■栃本委員 検証をずっとされていた方は大変御苦労された。その議論に参加していないからお聞きするわけですけれども、非常に簡単な質問というか、一言でお答えいただければいいのですけれどもね。

 資料の13ページで、資料1を見ながら、一番下のところで世帯人員1人当たり年収第1・十分位が適当ではないかということが書かれて、その後、下の1、2によって展開を行った上で、展開後の具体的な数字を見てチェックしましょうということになって います。 上の、従来から議論されて、説明されていると思うのですけれども、もう一度、一言言っていただければいいのですけれども、現行基準額について、現行基準額との乖離が穏やかであることをもってよしとするという 書き方、表現の部分についての質問です。

 データの制約でいろいろな数字が出ているというのも1つありますね。もう一つは、実際にやってみたら、 良い カーブになっていない という場合もあります。 今まで と同じに なっていないから、これはおかしいというのは 如何でしょうか。 2つあって、要するにデータの精度がどうかということと、もう一つは、実態的にそういうふうになっているという2つの要素が、一般的に言えばあると思うのですね。 したがって、従来と違いカーブであったとしても良いわけです。

 これは、今までの議論の中で既に御説明を受けたり、専門の先生方からお話があったことでも説明があったのかもしれないけれども、現行基準額との乖離が一番穏やかなものを選ぶということは、それは正しいのか、正しくないのか、何をもってそれが適切だと言うのかということを一言でおっしゃってくれれば。

■駒村部会長 事務局に回答を求めているのですか。

■栃本委員 いや、先生に。

■駒村部会長 極めて本質的な質問ですね。

■栃本委員 そういうものが一番重要。

■駒村部会長 どっちとも言えない難しい判断です。そこを議論しなければいけないです。

■栃本委員 わかりました。明快な部会長からの御説明がありましたので、事務局にお尋ねします。

■駒村部会長 事務局の御意見を聞きたい。

■清水社会・援護局保護課長補佐 確かに検証結果をどう判断するかというところで言えば、現行基準からどうかというのは、検証結果がどちらが適切かという判断材料として、記載するのは余り適切ではなかったかもしれません。

■栃本委員 そうだと思うということは言いませんけれども、せっかくこれだけ長時間、事務局の方とか検証作業をする方がいろいろ見て、このカーブはなぜこうなっているか を考えたとき、 その因果関係というのは、考えても、考えてもなかなか難しいことが本当はあるわけですね。そのためもあって、阿部先生も違う観点からかもしれないけれども、慎重にというか、よく見ないと、ということ ですね

 まさに、13ページの下で1と2によって展開を行ったという形で、ここで制約というか、2つになっているのだけれども、その上で、このカーブは違うから真っすぐのほうがいいと選んだがために、全体的な保護世帯の類型からいったら、数的には多くなくても影響が出てしまうこともあるかもしれないので、その辺の表現とか、いい形にされるべきだと思います。

 以上です。

■駒村部会長 乖離が大きいところは、消費データが真実を示しているのか、むしろデータ的な問題があるのかというのは、識別は私もなかなか難しいと思います。ただ、先ほども岩田先生がおっしゃったように、データのアキレス腱があるところはありますので、そういうところは、我々の作業では消費構造に合わせて扶助の構造を見直していくという作業をしていたわけですけれども、それをそのまま使うかどうかは、データ的に不安がある部分については慎重にしなければいけないという意味で、どっちとも言えないという。

■栃本委員 それはわかりました。

 もう一つのほうも、結局、実態を反映していて、我々がロジカルに考えると、こうだと思っている常識というか、そういうものが案外違うものがあるのかもしれないということにも、少し留意しておく必要があると思います。これは、お答えはいいです。

■駒村部会長 ただ、これは部会長の立場を少し離れるかもしれませんけれども、10分の1の消費行動がそうであるからといって、仮に今後、格差が拡大した場合に、そうであるからといって、それを漫然と反映していって、生活保護の構造として本当にいいのかというのは、また別問題かもしれません。今回は、それは一つの課題としてあるだろうなと思います。

■栃本委員 ありがとうございました。

■駒村部会長 ほか、いかがでしょうか。

 岡部委員、お願いします。

■岡部委員  1 点目。 データの検証結果、14ページ、15ページのデータが 出ています 。私、これだけ下げ幅が大きい ことに 、非常に驚いているのが正直な 感想 です。これは、現行の基準額と比較対照した場合には、現行の基準を大幅に下回る、あるいは 一部 若干 増える ところもあります 、全体的に言えば下がる。その結果は、事務局作業班のほうでやっていただいて、このデータが出たということは尊重しなければいけないとは思っております。

 一方では、このデータに合わせて基準を考えるということについては、慎重にすべきではないかと考えております。それは、データの出し方とか制約の問題は別にして、実態に合わせて基準を考えた場合に、この水準均衡方式のそもそもの考え方としては、収入が下が れば 消費構造に反映する。消費の構造で急激に下がった場合については、それにあわせてすぐ対応できる消費構造にならない。それが傾向 として 変曲点としてあらわれて います ので、その基準の引き下げについては、消費の構造は急激に変化しないことを考えれば、 その ことを前提に基準の設定を考えなければいけない。

 2点目 生活保護基準は、当事者の消費に大きく影響すると同時に、もう一方ではいろいろな 制度・サービス の尺度になっています 税制もそうですし、社会福祉の制度 やサービス の目安になっています この点からも慎重を期すべきではないかと思います。慎重に期すというのはいろいろな方法があろうかと思います そのあたりのところは、先ほどデータのとり方 健全育成のお話をしました 、急激にその世帯で悪化するということは避けていただきたい。

これら 意見にあわせて、これは水準均衡方式の持っている、大きな課題でもある と考えます。 低所得の消費の実態に合わせて基準を考える方式のよさもあ りますが 、低所得世帯の消費水準が下がっていけば生活保護の基準にはね返ってくる。これは、現行の方式の水準均衡方式はそういう考え方に立っています 、低所得世帯の消費水準が下がったとしても、これだけは必要である額があると 考え ますので、その点からも慎重に精査してやっていただきたい。

 これは、この基準部会で何回もお話が出て、 今日 も出るかと思います 、算定方式の今後の検討 課題として いただく。今回の水準均衡方式ではこう いう結果となりますが 、今後は幾つかの方式をぜひ検討し、よりよい 方式 にしていただきたいと考えております。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 前検証からの一つの宿題に今回はまだ答えていないというのが、今の岡部先生のお話にあるわけですけれども、おっしゃるとおり、10分の1とのバランスは現行モデルではとれているわけですけれども、消費データで推計したもので、そのまま展開した場合は、個別世帯の構造を見れば、本当にそれで大丈夫なのですかと。これは、先ほど山田先生が御質問した留意点。余りにも大きく変化しているときに、それでついていけるのか、それで本当に適切な生活ができるのか、憲法で認めているような文化的な最低限度の生活ができるのかということは、また慎重に判断しなければいけないということ。

 それから、10分の1のバランスを見る場合も、10分の1の方が低下したら、合わせて低下し続けていていいのか。この水準均衡ができた時代、経済が上がっている時代と下がっている時代、格差が拡大している時代では違う。

 もう一つは、先ほども阿部先生の話でありましたけれども、10分の1の消費パターンに全部寄せていっていいのかということと、現行のやり方というのは幾つかのひずみが出てきているのではないか。それに、さらに先ほど栃本先生からもありましたように、データを判断していくのか、データの問題をどう考えていくのかという問題にかかわる問題ですけれども、そこにおいても課題があると。

 一方では、何らかの方法で検証もしなければいけない責務があります。この辺の問題を我々、どう考えていくのかというのが今後の課題、今から議論しなければいけない、あと数回でまとめなければいけない課題かなと思います。

 栃本委員、お願いします。

■栃本委員 今、岡部委員が話されたことに関係があるのですけれども、岡部委員がこのデータは多少上がっているものがあるけれども、全体的に下がっているものが多いという指摘と。それと、急激に変わるということは、従来、扶助で生活しているわけだから、それについての激変緩和をどうするかという2つの話がありました。

 後者については、本当にそうだと思います。前者についても、今、部会長が全体的なことをまとめられて御説明されたような懸念というか、そういうことを勘案しながらしていかなければいけないということだと思いますけれども、激変緩和というか、急激に下がるのをどうするのかということと。

 もう一つ、見てみると、下がるものが多い。少し下がるとか多く下がるとか、上がるのはほとんどない。それと激変緩和は別のことですね。つまり、データに基づいて政策とか、こういうものを定めるときに、場合によっては下がるということもありで、下がるのはゼロにして、プラスのほうだけプラスにするというわけには、こういうものはいかないわけだから。だからこそ、こういう公明正大な基準部会で議論しているわけですね。それで、今、部会長が整理されたように、これから個々を見ていく中で、まさにそのお金で生活されているわけですから、先月に比べてこれだけ下がるということは大変なことでありますから、その辺はまた、今日とか次回の議論になると思います。

 もう一つは、指数の部分、10分の1をとるか、これをとるかによって、指数の離れというか、上下幅とか、上のほうが多くて、0.9が多いとか、いろいろなものが出ますね。もちろん、それにも影響されますね。余り上下がないような、下のほうに行かないものを見定めると懸念みたいなものがなくなる。きれいに出るものをとると、指数のこういうものが出て、全体的なぶれがこっちに集まってみたいな、その辺のことも考えなければいけない。ただ、ここでは、先ほどの14ページに書いてあるような形でやってくださいねという合意が形成されているなら、それはそれでいいです。

■駒村部会長 データのとり方とか、指数の少しの変化でも幅が出てきてしまう。展開したときに差が出てきてしまうということと。

 それから、栃本委員から、この部会の難しいポイントを私にかわって御指摘いただいたなと思いました。

 ほか、いかがでしょうか。

 岩田委員、お願いします。

■岩田部会長代理 今のお話との関係で言いますと、展開がどれだけうまくいったとしても、展開後に14とか15のように出たときに、それが本当に生活できる基準なのかという、その意味をどうするかというのは残ると思うのですね。それで、全国消費実態調査はスタートラインかもしれないけれども、もう一つ、生活保護で生活している人たちの生活実態。特に、社会保障生計調査みたいなものの精度をもっと上げて。つまり、このままやったら、極端に言うと5,000円とか6,000円下がることもあるわけですね。では、6,000円ぐらい、いつも余裕があるのかということになります。

 私、いつも言っていますけれども、生活保護は 貯められる と課長はおっしゃるけれども、基本的にはもらったものをその月で消費するという生活が制度的 型にはめられているわけですね。もちろん、そこで平準化をどうしていくかというやり繰りが大事になってくるわけですけれども、やり繰りできるような額かというと、こういうやり方でやっていくと、多分そうはならないですね。だから、ぎりぎりのものだということになるのですね。

 通常は、若干の貯金といいますか、平準化資金というものを私たちの家計は持ってやっていくわけですが、そのこととかかわって、全国消費実態調査は9、1011の3カ月、単身は1011の2カ月で、季節調整をかけています。これは、私が家計調査を見た限り、この3カ月は全平均を100とすると95とか96ぐらいのレベルなのだそうです。つまり、お金のかかるお正月前後とか3月、4月が入っていないわけです。ボーナス月も入っていない。だから、全体に低く出るということは留意 しなければなりません

 それから、この間も影響調査をお願いしましたけれども、ああいう調査に加えて、実際の生活保護家計がどういうふうに影響を受けるかということが検証できるような、もっと実効性のある調査をぜひしていただきたいと思います。そうでないと、怖いですね。統計で指数 がこうだからといって、 1カ月、5,000円とか4,000円下がったら大きいですね。賃金だって100円単位で攻防があるわけですから、それが1つですね。

 もう一つは、さっき第1・十分位に固定するというお話がありましたけれども、結果的にそうなったわけですけれども、今回は五十分位でやりまして、それから、さっきの展開のところでも全データを使ったものもやっていて います それにもかかわらず 18 64であんなに下がった。だから、絶対、全国消費実態調査 データ の何かがおかしいと私は思っていますけれども、いずれにしても五十分 でやってみて、変曲点を統計的にも有意であるというところで見た。見たら、それが大体、第1・十分位と一致していたということと。

 それから、固定的・変動的経費が変化する。とりわけ固定的経費がぐっと上がるところで合わせた。これは、実質的にエンゲル係数に近い考え方なので、それをやって第1・十分位のところでやってもいいだろうという話になる。これは、水準の話です。だけれども、展開の話をどうするかということで、展開の中でも、どういう第1・十分位かということについても、1人当たりとか、全部でやってみようとか、いろいろな工夫はしてきたと思うのですね。

 それから、高齢モデルをつくろうという目論見があったわけです。これは、残念ながら頓挫したわけですが、その辺の課題を今後、いつも課題は盛りだくさんに言うわけですけれども、すぐにでもその辺をきちんと、前回検証と今回検証はほぼ同じ結果が出るようなことを物すごく時間をかけてやっているわけですね。

 事務局ももちろん、実際上、データを回された方も物すごい苦労をしていますが、ここまでしなくてもいい、あと10年ぐらい使えるような指数を決めておいて、ただし、実際当てはめたときにどういう影響が出るかというのを確認する手法がないと、どっちにしますかと言われても、こっちにすればこっちは上がるけれども、そうするとこちらがという形ですね。だから、私たちも決められないと思います。

■駒村部会長 先生、御存じのとおり、この部会は約5年間隔で現行の水準をどう評価するのかというのをやらなければいけない。これが宿題になっている。しかしながら、制約条件があるわけですね。まず、客観データを使いなさい。いかような数字もつくれるわけではない。高過ぎても低過ぎてもいけないし、皆さんが上がるか、皆さんが下がるかという、どっちか一方の結論が出てくるわけでもなく、客観データを使いなさいと。それから、水準均衡方式という、ある種の哲学というか、考え方は、その2つは縛られている部分がある。

 あと、お話があったように、データの解析方法をここ2回、非常に悩みながら、さらに難しくしていった。しかし、その結果出てきたものは、パラメータのとり方によって、ある世帯は有利になる、ある世帯は不利になる。全ての世帯がいいということもなかなか出てこない。どれがいいですかと言われても、なかなか決めがたい部分があるわけです。一方では、部会として何らかの結論を出さないといけない。しかも、それはなるべく客観的なよって立つ部分がここはある。しかし、ここは悩ましい部分ですよということを踏まえて、何らかの評価を行う必要はあるだろうと思います。

 ただ、今の議論でも見られたように、このやり方がかなり限界点まで来ていて、これからこのやり方、つまり現在のこのデータの中でと、そのデータ自体にデータが少ない部分がある。あるいは、先ほどの岡部委員がおっしゃったような、大きな総体的な課題もあることを踏まえると、今、岩田先生がおっしゃったように、よりシンプルな新しい進め方を早急にやらなければいけない。一方で、それをつくっている時間もないわけでありまして、今回は客観的な言えそうな部分と、それからデータ上の課題等々で留意する部分を識別してコメントを出すしかないと考えております。

 次回、恐らくまだ取りまとめに向かっての議論で、その辺をどうまとめるかというのはとても悩ましい点ですけれども、時間が今日は3時間コースで、先ほど阿部さんがおっしゃった健全育成、母子加算の話が丸々残っています。これも大事な点で、恐らくセットで議論しなければいけない部分だと思いますので、5分ほど一息つきたいと思います。5分たったら再開しようと思います。よろしいですか。

 では、とりあえず前半の資料1の議論はこの程度にして、これは今のような議論を取りまとめに反映するということで、資料2の議論に5分たったら入りたいと思います。一時、休みましょう。

(休  憩)

■駒村部会長 では、再開したいと思います。

 資料2について、事務局から説明をお願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料2「有子世帯に対する扶助・加算に関する検証結果」ということで、説明させていただければと思います。

 1ページ目、お開きいただければと思います。まず、先ほどもお話がございましたとおり、子どもの健全育成に関する費用の分析ということでございます。

 これは、前回資料から抜粋してございますけれども、前回の部会におきまして、その健全育成に関する費用ということで、学校外活動費として考えられる必要な費用というものを確認してはどうかということで挙げさせていただいてございます。その中で、学校外活動費として考えられる必要な費用ということで書いてございますけれども、例えば書籍代、また学習塾とか習いごとの月謝類。あと、子どもの社会活動費用としては、例えば映画を見に行ったり、スポーツ観戦に行ったりという費用。また、出かける場合の交通費等も必要であろうということで、そういった費目の支出状況がどういった形になっているのかというものをまず分析させていただいたところでございます。

 2番の検証作業の内容というところでありますけれども、これも前回の部会で御説明させていただきましたけれども、夫婦子1人世帯の年収十分位別に学校外活動費の費用を集計いたしまして、それぞれ標準的な世帯の支出額ということで、今回は全世帯の中位値と年収第1・十分位の支出額との比較ということにさせていただいたところでございます。

 その結果については、2ページの(1)をごらんいただければと思います。済みません、ちょっと資料の訂正がございまして、括弧書きが1つずれてございます。左側の第1・十分位6千円となってございますけれども、こちらの括弧にかかるのが、通常、生活扶助費本体の第1・2類の算定上含まれる額ということで考えてございます。

 一方、先ほど申しました第5・十分位の平均値、第6・十分位の平均値、間をとれば、中位階層における該当費目の支出額が確認できるだろうということで計算させていただきました。その結果、中位階層における支出額というのは月額約1万6,000円。第1・十分位に属する世帯の平均支出額は6,000円になりますので、差額としては1万円程度になるというところでございます。

 続いて、(2)は全国消費実態調査で集計した結果でありますけれども、あわせて文部科学省さんのほうで実施しております子どもの学習費調査での調査結果はどうだろうかということで確認させていただきました。おおむね中位所得階層と思われる年収400599万円ですから、600万円未満の方の支出状況を見まして、学校外活動費ということで平均額を見てみますと年額182,000円ということで、月額に換算しますと約1万5,000円で、ほぼ近似していたという状況でございます。

 4の検証結果でありますけれども、先ほど申しました中位階層の平均支出額と年収階級第1・十分位の学校外活動費の支出額の差、1万円程度の乖離が確認されました。同じく子どもの学習費調査でも、ほぼ同様の結果であったというところでありますけれども、下の矢印で、子どもの健全育成に係る費用につきましては、これまでの部会でも御意見、御議論いただいたとおり、生活保護受給世帯においても、標準的な家庭と同等の支出が必要ではないかということで、この差額分は加算として評価する必要があるのではないかと考えてございます。

 もう一つ下の矢印でございますけれども、これは従来、児童手当見合いの金額、また対象者について児童養育加算を支給していたという状況でございます。なので、支給対象につきましては、今まで児童手当と同じく中学生までとしてございました。今回、算定した、評価する学校外活動費、子どもの健全育成の費用の需要ということで考えますと、当然ながら高校生にも同じ需要は発生しているのではないかということで、対象世帯の高校生に対しても必要ではないかということで挙げてございます。

 続きまして、3ページに移りたいと思います。こちらについては、ひとり親世帯のかかり増し経費の分析ということで、従来の母子加算に当たる加算の考え方を整理させていただきたいというものでございます。

 これも前回の部会におきまして、ひとり親世帯とふたり親世帯の生活水準を合わせた場合に、必要な消費支出がどう変わるのかということで、今回、水準の検証のところで検証しました夫婦子1人世帯の固定的経費の割合をもとにしまして、ひとり親世帯でも同程度の固定的経費の支出割合にするためには、どの程度消費支出が必要かという観点から、ひとり親世帯とふたり親世帯の生活水準を合わせるということで、必要な費用を分析させていただいたところでございます。

 分析結果については、4ページをお開きいただければと思います。これは、今回の水準の検証の結果で、夫婦子1人世帯の消費構造が変化する点で評価した場合で分析してございますけれども、こちらについては、固定的経費の割合が変化した点の固定的経費の割合が52.6%であったということで、考え方としましては、この52.6%をひとり親・子1人世帯において満たすためには、どの程度の消費支出額が必要かということで、回帰分析等をもとにしまして計算させていただいたというところでございます。

 下の分析手順等を見ていただきますと、夫婦子1人世帯の52.6%をひとり親・子1人世帯に当てはめますと、右の真ん中のところでございますけれども、消費支出額全体としては178,000円必要だという計算結果になったという状況でございます。こちらは、全体の消費支出額でございますので、生活扶助相当支出額に換算しますと、ひとり親・子1人世帯で必要な費用を計算すると13万円になるところでございます。こちらは、夫婦子1人世帯と同程度の生活水準を合わせるために必要な費用、これだけ必要だということでございます。

 一方、先ほど資料1のほうでも御議論いただいているところでございますけれども、生活扶助基準本体1類・2類との計算結果との差額を加算として評価すれば、夫婦子1人世帯の生活水準に合わせるための費用が算定されるのではないかと考えてございます。

 5ページ目については、その回帰式から夫婦子1人世帯の52.6%を満たすためのひとり親・子1人世帯の消費支出を推計した回帰式でございますので、またごらんいただければと思ってございます。

 続いて、6ページでございます。こちらについては、教育にかかる費用ということで、教育扶助、また高等学校就学費などの分析、検討結果でございます。こちらも第32回部会でそれぞれ必要な範囲、必要な水準について御議論いただいたところで、学校の教育費については、平均的な費用が必要ではないかという御意見をいただいていたかと考えてございます。

 その上で、2.検討結果でございますけれども、学校教育費については平均的な費用が賄えるよう、子どもの学習費調査の結果に基づいた全体の平均支出額を参照して、その基準額。その他、入学準備にかかる費用の基準額の水準を設定してはどうかと考えてございます。

 また、体操服、楽器等の購入など、単発的に月に幾ら必要だという物品については、実費で支給できるようにしてはどうかということで挙げさせていただいております。

 また、3点目、従来、学習支援費として一部評価してございましたクラブ活動費でございますけれども、こちらについても、その活動の状況に応じた実費支給ができるようにしてはどうかということで、例えばユニフォームを買う、グローブを買うといった場合について、申請に基づいて必要な費用が支給できるようにしてはどうかということで挙げさせていただいております。

 また、一番下の4点目につきましては、高等学校の受験料については、教育にかかる費用の議論をしていただいたときにも御意見をいただきましたけれども、今、公立高校1回限りとしているものについては、進学の機会 を確保する という意味では複数回の支給が必要ではないかということで御意見をいただいておりましたので、複数回、支給できるようにしてはどうかということで挙げさせていただいております。

 最後のページにつきましては、参考ということでつけてございますけれども、こちらについては、それぞれ子どもの学習費調査の必要な基準額をどのように算定するかという項目の整理をしたものでございますので、またごらんいただいて、御質問、御意見等があればおっしゃっていただければと思ってございます。

 説明は以上でございます。

■駒村部会長 ありがとうございました。

 次のテーマについての御説明がありました。健全育成にかかる費用について、それからひとり親世帯のかかり増し経費に関する分析。これは、世帯構造によって支出にどのぐらいの差が出てくるのかというのを分析するための手法を使うということで、食費シェア方式を少し変えた固定経費の割合を使って分析した結果。

 4ページの分析は、後ろの5ページに回帰式を出していて、17.8万円が出てくるということで、この17.8万円から13万円が出されて、前半で議論した扶助の本体基準の数字が、まだ2通りあるわけですけれども、その1つを選んだ場合においてはAが決まるので、その差額がかかり増し費用という形で計算できるのではないかという話。

 それから、教育にかかる費用。これまで部会で議論した内容をこういう形で反映するという形で取りまとめていただいたということです。

 では、これから委員の皆さんから御質問、御意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。

 阿部委員、お願いします。

■阿部委員 まず、質問させてください。

 1つ目が、2ページで試算されている1万円は、今の児童養育加算のかわりにという形の加算になるのかということです。つまり、支給対象は拡大されるわけですけれども、その額的なものは児童手当から全く切り離すという形にするのかというのが1つ。それとも、追加で上に試算されているものが出されるようになるのかというのが単純な質問です。

 もう一つの質問が、4ページで出された13万円ですけれども、ここから今の母子加算をどうやって計算するのがわからないのですね。例えば、資料1の14で、1の展開方法が出されたときに、ひとり親・子1人世帯の2人世帯があった場合、ここに1級地の1が12280円、2級地の1がと書いてあるのですが、それとこの額の差が母子加算と一緒に出されるということなのか。そうすると、級地によって母子加算の考え方が違うのかという話と。それと、現行の母子加算と比べて幾らになるのか。つまり、母子加算も相当減額されるという理解でよろしいのかという話が2点目の質問です。

 3点目の質問ですけれども、これも実際どうなるのかというのがよく見えないのです。一番最後のページ、教育扶助及び高等学校等就学費の費目の整理ということですが、今の基準額である小学生2,210円、中学生4,290円、高校生5,450円から、見直し案は一体どれぐらいになるのか、まだ試算されていないということですか。全世帯平均ということなのか。これは、定期的にかかる教育費用なので、申請の有無にかかわらず出されるものなのかということが3点目の質問です。ですので、これも減額になるのですかという話と。

 学習支援費は実費支払いになるので、申請しなければゼロ円になるので、結局のところ、お財布の中に入ってくるものがそれだけ減額されるのかなと思いますけれども、それもそのような理解でよろしいでしょうか。

■駒村部会長 では、事務局から3点、お答えをお願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 まず、1点目でございますけれども、現行の児童手当との関係ということであります。現在の児童養育加算、児童手当の見合いの加算につきましても、基本的には子どもの養育に必要なためにという名目で加算していたということでございますので、結論から言いますと、今までの児童手当見合いの加算と考え方を変えたところでございますので、追加ということではなくて、 現行の加算の かわりに考え方を変えて給付されるということでございます。

 2点目、母子加算の金額の設定方法でございますけれども、これはあくまでも一般的にある程度標準的に必要な、これだけかかり増し費用が必要になるのではないかということで、標準的な費用ということで算定させていただきましたので、これは結果として、トータル的としては、平均的にはひとり親・子1人家庭で言いますと13万円必要ではないかということで提示しておるわけでございます。差額ということで加算を出す場合についても、平均的な母・子ひとり家庭の支出額との差を加算として評価できればと考えてございます。

■阿部委員 それは、13万円から算定されていないのですか。結局、母子加算は幾らになるのかという。

■清水社会・援護局保護課長補佐 なので、左側の今の1・2類費で評価される額との関係において加算額としては変わってきますけれども、今の前提で考えている費用としては、13万円の中の加算で評価される部分と、一般的な生活費の中で評価される部分が変わってくるということになるかと思います。なので、加算だけ取り出してどうかというよりも、トータルで母子家庭に支給される費用がどうなるかということで考えていく必要があるかなと思ってございます。

■駒村部会長 追加質問は確認しましょう。とりあえず説明を全部聞いて、阿部委員のほうから追加で質問すればいいわけですから。どうぞ、続けてください。

■清水社会・援護局保護課長補佐 続いて、3点目につきましては、教育にかかる具体的な費用でありますけれども、こちらについては平均的な費用ということで算出した結果がございますので、また必要であれば、次回、御提示させていただければと思ってございます。全体としましては、基本となる、例えば文房具とか、月々支給される基準額については、同等程度ということになります。また、クラブ活動費につきましては、そういった意味では必要なものについて申請していただいて、必要なものについて実費を支給するという形になるということでございます。

■駒村部会長 1回休んで整理してください。

■阿部委員 ほかの方に行っていただいて、また意見を言います。

■駒村部会長 ほかの委員の方、いかがでしょうか。

 岩田委員、お願いします。

■岩田部会長代理 このかかり増しという意味ですけれども、私もこの計算式はなるほどという感じで 拝見しましたが 、前の子どもの健全育成の費用というのは子どもにかかるということで、母子加算については母子家庭であるがゆえの、お母さんが1人で働いて養育していくわけですから、それに伴う母子加算がないと生活が回っていかないという意味合いでつけていたと思いますけれども、このかかり増しというのはそんな意味ですか。

■駒村部会長 お願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 具体的にひとり親家庭の費目の支出が、どういったところに大きいかというところを、検討作業の中で実際のデータを見てみたところですけれども、分析結果として具体的な費目で 支出が大きい項目 が必ずしも明確に出てこなかった部分がございます。その上で、生活水準を合わせた場合に、具体的な費目ということではなくて、同等程度の生活水準を保つためには、どこまで消費支出が必要なのかというところで、全体の消費支出の比較として金銭換算といった考え方をとってみたというところでございます。

■駒村部会長 岩田委員、今の説明でいいですか。はい。これも、いろいろな費目で差があるか、説明できるのか、検討をしたのですけれども、なかなか抽出できなかったということで、この3ページにあるような厚生水準というか、生活水準は、家計構造にかかわらず、同じようにするためには、どのくらい費用が必要になっているのかというのを理論的にやったということで、この費目ということには至らなかったということです。

 では、課長からも。補足ですか。今の関連。お願いします。

■鈴木社会・援護局保護課長 補足です。

 特定はできないのですけれども、よく見ますと、例えば光熱水費の割合が高いとか、いろいろな外での活動の費用が母子家庭のほうが小さいとか、そういう特徴は見られます。ただ、生活扶助以外の支出の影響もあるので、例えば家賃の割合が高いとか。これは持ち家率とかの関係もあるので、そういう意味で、今、御説明申し上げたように、一義的にどの費用だということを特定することはできないのですけれども、一方で、ある程度の圧迫があるのではないかということは推察されると考えております。

■駒村部会長 よろしいでしょうか。

 ほか、委員のほうから御質問とか確認事項ありましたら、御発言いただければと思います。

 阿部委員、お願いします。

■阿部委員 再度、済みません。

 意見としては、先ほども申し上げましたように、子どもの健全育成のためには、学習費以外の学校外活動費も必要なのです。ということで、生活扶助以外のものを、1ページ、2ページあたりは全く考慮していない状況になってしまうということで、そういう意味では本当に子どもの健全育成が担保できるのか、非常に怪しいのではないかなと思います。

 ただ、今までは母子加算というものがあり、生活保護世帯の多くのお子さんが母子加算の恩恵を受けていたわけですけれども、そこが限定的に言葉どおりに、ひとり親であることのかかり増し予算のみになってしまう。かかり増し予算ということは、それによって健全育成になるというわけではないので、そういった意味では、そこも担保されないのではないかと思います。なので、生活扶助本体をこのやり方でやるのであれば、健全育成のほうももう少し生活費を見るべきではないかと私は思っています。

 あと、学習支援費もそうですが、実費にするということ。これは、本当にワークするのか。一回一回、必要なものがあるたびにケースワーカーさんのところに言いに行かなければいけないわけです。それが、運用上の問題として、福祉事務所のほうでもこういったことをやっていくようになるのかなというのが非常に心配されるところかなと思います。その辺の運用面とかもちゃんと御検討なさったのでしょうか。

■駒村部会長 阿部委員、今、大きく2点ですね。運用面と。事務局、御回答いただけますか。

■清水社会・援護局保護課長補佐 まず1点、少し補足的な説明になると思うのですけれども、2つの加算、健全育成に関する加算とひとり親家庭のかかり増し経費の加算については、ひとり親家庭であれば、当然かかり増し経費と健全育成にかかる加算というのが、どちらも支給されることになります。その上で、今、確かにほかの生活費部分という御意見等もございましたけれども、今回、私どもで考えた子どもの健全育成の費用の範囲ということで、学校外活動費ということで挙げさせていただいた、まさに子どもの育成にかかる費用ということで考えさせていただいたというところでございます。

 また、学習支援費で、クラブ活動費のところで御意見がございました。1点、これも補足説明をさせていただければと思いますけれども、7ページの具体的な費目のところで御確認いただければと思います。一口にクラブ活動費といいましても、基準額のところに教科外活動費を平均額ということで載せてございます。プラス、学習支援費ということで、教科外活動費の中から、特に活動されている世帯に対する費用をもとにしまして上限額を設定するという形にしてございます。

 なので、運用上、例えばクラブ活動に要する費用といっても、日々のテーピング代といったものについては、この教科外活動費、基準額に入っている費用の算定の中で実施していただくということで、先ほど申しましたユニフォームとか主に物品の購入等にかかるものについては、こちらの学習支援費のほうで評価していくということで考えてございます。

 また、検討に当たりまして、自治体のほうにも 意見をいただいたりしていますが 、実施の際には運用等の通知の記載ぶりについても配慮させていただきたいということで考えてございます。

■駒村部会長 阿部委員、いかがですか。

■阿部委員 厚労省の考え方はわかるのですけれども、私の意見としては、まだ数値が出てきていないところがたくさんあるのですけれども、生活保護の生活扶助本体以外にも、さまざまなところで減額があるのではないかと思いますので、金額をきちんと次回の部会には出していただきたい。オープンな場で議論させていただければなと思います。

■駒村部会長 岡部委員、お願いします。

■岡部委員 貧困の連鎖解消という観点から、健全育成という考え方を出していただいて、標準的な世帯をベースにして考えていただくということで、幾つかの提案をしていただいたというのは非常によいことだと思います。これは、1つは、子どもの関係でいくと、この学習費用というのがどうしても注目されますけれども、社会的・文化的な機会の拡張という観点から、実費支給にいくこと。あるいは、クラブ活動等ということで、体操着、楽器とか。あるいは、6ページにありますけれども、これは教育のほうに関係しますけれども、複数回受験。こういうものは積極的な優遇策としてとっていただきたい。

 その観点からしますと、先ほど阿部委員からお話がありました 、この件については非常によろしいのです 、これとは別に、1類の年齢別の子どもにかかる費用、特に中学・高校のときの費用は、一定そういう考え方が入る余地はないのかどうか。生活保護制度が子どもの貧困対策に担う役割は非常に大きい ため 、その点 について 考える余地がないのかどうか 検討していただければと思います。

■駒村部会長 これは先ほどの阿部委員の話と通じるところで、1類に健全育成的な視点を入れることはできないかという御意見ですね。

 ほかの委員で関連する。栃本委員、関連しますか。では、ちょっと待ってください。栃本さん、次に当てますので。阿部委員も先ほどはそういう趣旨ですね。

■阿部委員 そうです。

■駒村部会長 事務局、今の御意見について何かありますか。

■鈴木社会・援護局保護課長 1類費につきましては、生活扶助本体につきましては、第1・十分位の夫婦子1人から展開して算定いたしております。そういう意味で、その考え方そのものが先ほどの資料1の基準額ということになります。その中には、この資料にもありますように、6,000円相当は社会活動費も入っている。

 ただ、そこでは十分に評価できていないであろう部分を、今回、私どもの考え方としては、そういう学校外活動費ということで提案させていただいているということでございます。そういう意味では、本体ではないかもしれませんけれども、それは生活扶助の一部の加算として考えたいと思っておりますので、そこは理論上の整理の違いであって、実質的にはそこは生活費ということにも当然なると考えております。

■駒村部会長 阿部委員。

■阿部委員 でも、それは、今までの児童養育加算というものがあったところから、それが変わるわけですので、場合によっては減額になっているところもあるわけですね。高校生は児童養育加算の対象ではないのでプラスになりますけれども、第3子とか小さいお子さんたちは1万5,000円から1万円に減額になったということですね。確認です。

■駒村部会長 栃本委員、お願いします。

■栃本委員 説明していただいたので、わかっていると思うのですけれども、3ページ目の食費シェア法による分析というので、検証作業についてはそこに書いてあるような形で行いましたということで、かかり増し費用そのものは、それだけを区分けして出すのは難しいということで、そのかわり、4ページ目に書かれていると思うのですね。

 それで、消費支出額、夫婦子1人世帯と、ひとり親・子1人世帯(2人世帯)ということで、回帰分析による理論値として178,000円で、これは消費支出額から生活扶助相当支出額を算定してみると、こういう額になるということですね。復習ですけれどもね。そうすると、Bで13万円になる。13万円と、先ほどの資料1の14ページで、例えばの話、母子世帯、子ども1人とありますね。これは、展開したらこういう数字になりますというものですね。だから、これが現行基準額で生活水準がこういう額になって、検証して展開するとこういう額になるということだから、13万円から12万円とか107,000円とか、引いた額。誤解しているかもしれないから、それはそれで明瞭にしてくださいということです。

■駒村部会長 お願いします。

■鈴木社会・援護局保護課長 資料1の14ページにある数字は、母子世帯は30代の親と小学生という特定の世帯類型について、1級地1、2級地の1、3級地の2の基準額として新しいものを算出していますので、これとはぴったり一致しないのですけれども、基本的には、もっと母子世帯一般に広げた人の平均的なものを計算すると 資料4ページの 左側 の数字 になる。一方で、 そのAに当たる金額 ですと固定的経費の割合がもっと高く、6割近くになってしまいますので、そうすると、固定的経費の割合を夫婦子1人世帯と同じぐらいの水準まで戻してあげるには、そこの差額を埋めなければいけないのではないかという考え方で設定しているものでございます。

■栃本委員 それで、BからAを引くということですね。BからAを引いたものを、表現に気をつけなければいけないのは、差額を、ひとり親世帯のかかり増し経費と考えてはどうかとなっているのだけれども、これは審議会にそういうことを考えたらどうですかと審議してもらいたいから、こういう表現になっているのだけれども、ひとり親世帯のかかり増し経費に相当するものとして考えるということだったので、細かいことだけれども、そうしないと、もともといろいろ尽力されたけれども、具体的に出すのが難しいから、それに相当する額はこう ですということを示した。 いう。

 とにかく全員一致しているのは、厚労省事務局も、我々委員も何回も議論して、できる限り、こういうワンペアレントファミリーで子どもにかかる費用。あと、お母さんもすごく無理して、お子さんは子どもの貧困の連鎖ということだけれども、前も言っているけれども、生活保護世帯だから世帯を見なければいけないので、その分、お母さんも苦労しているわけですね。そのこと全体に見てあげるということを何回も申し上げたので、その一環として、こういう形でされているというのはとても重要なこと です。

 部会長が資料1のところで、こういう課題もある、ああいう課題もある、これは難しいと。そういうことについて、このままでいいのかどうか。そういうことを入念に報告書の中に書き込む際にも、この部分は強調しなければいけないと思う。

 もう一つ、4ページ目の一番下の書き方を注意していただきたいということ。

 もう一つは、先ほど来、話がありますように、4ページ目の※の生活扶助基準本体(1・2類)の指数によって算定するため現時点で確定していないけれども、先ほども議論があったわけだけれども、仮に世帯員1人当たりの年収第1・十分位を用いた指数により算定した場合はということになっている。前半では、この第1・十分位は議論になっていたわけだけれども、これについては、議論はまだ1回ぐらいあるのでしょうけれども、これで決めたら、これでやらなければいけないということはよくわかるけれども、その上で意見というのはいろいろありますね。だから、次回以降も少し議論されたほうがいいのではないかと思いました。

 最後に、教育にかかる費用で教育扶助。そして、特に私が申し上げた高等教育等の就学費とか。前もお話ししましたように、小・中学校は勉強するだけではなくて、お友達とか文化資本とか社会関係資本をつくる非常に重要なところですので、勉強外のお金。しかも、今は私立の高校とか行かれていることも、1校しか受けられないとか、その他もろもろ、各県の公立・私立の関係性は違いがあるから。そういうことから言って、私立に行くことが贅沢とか、そういうことでは全くないわけですね。

 その中で、文科省の資料だったのではないかと思うけれども、前に示されたいろいろな所得分布別にどのぐらいのお金が出ているかというデータは非常に重要なデータだと思うけれどもね。その中で、私立の場合、額が多少高くなっていますね。ただ、額が高いからといって、 いかな理由を おなかが痛いとかということで行くのをやめましたということは非常によくないことなのです。だから、通知とかを出されるのでしょうけれども、個別の福祉事務所において、ケースワーカーがこれは必要ですねという形で実額を出すことになっているから、先ほど御懸念の話もありましたけれども、そういう形できちんと現場に声をかけて、私立高校でも実際にかかる費用で、これは極めて大切な。

 ケースワーカーの人に社会資本とか文化資本と言ったかどうかわからないけれども、少なくともこういうものが審議会で重要視されて、そのことをきちんと理解していただけるような形で出していただきたいなということです。

 以上です。

■駒村部会長 表現のところは、そのとおりだと思います。

 実は、もう一個、今、栃本委員がおっしゃったような留意事項については、次の資料3の議論をやらなければいけない。今日は、さすがに4時半で後ろが切れていますので、その辺に留意していただいて、阿部委員、お願いします。

■阿部委員 今の説明でわからないのは、今、母子加算という形で、級地と子どもの人数で決められているものを、世帯ごとに52.6%を満たすラインを探して、生活扶助本体との差額を出すというのをやるということなのですか。なので、そうでないのだとすれば、母子加算の体系がどういうものになるのか、こうやって計算したらどうなるのかというのを見せていただきたいなと思います。

■駒村部会長 事務局、お願いします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 この計算に使った52.6%も、当然ながらいろいろな級地とか、子どもの年齢とかをコントロールしたものではございませんで、あくまでも算定の考え方、根拠として使ったものでございますので、基本的には標準的なひとり親家庭のかかる費用ということで設定したいと考えてございます。なので、具体的な考え方としては、その差額分ということになりますけれども、例えば個別の世帯で基準額が幾らだから残りということではなくて、標準的な世帯の差額分ということで単価を設定して、加算ということでお出しできればということで考えております。

■駒村部会長 報告書に具体的なところをどう書くかですね。今、考え方しか示していないわけです。

■阿部委員 次回には、その額を出していただける。今、見ると、11万ぐらいだと、母子加算として出されるのが平均的に見て1.7万円ぐらいということですね。今、2万幾ら出ていますので、母子加算も1万円ほど減額になると考えてもいいということかなと。

■駒村部会長 額まで出すのか、考え方でとどまるのかということですね。額まで出してほしいということ。

■阿部委員 はい。

■駒村部会長 事務局、どうですか。

■鈴木社会・援護局保護課長 根っこの額が決まれば、当然決まりますので、それは今、ここで言うと、1つ目の資料の左側の案をとった場合には、ここのAの値が11.3万円になりますので、この場合であれば、1人目のお子さんの場合は1.7万円になるという計算です。 ■駒村部会長 はい。

■栃本委員 これは、ずっと前の審議会のときもお話ししましたけれども、全員が読んでいる、生活保護制度をつくられた方の本を読めば、生活保護というのは、生活扶助並びにいろいろな扶助等々、そういう加算を合わせて、それで総合的・最終的に一人一人、世帯の生活をきちんと守るということですので、いろいろな考え方があっても、基本的な扶助と加算の組み合わせで、一番確実に守り切れる ということが重要。

 もう一つは、先ほどの実費に関する部分。これは、運用というか、そういうことに関することなのだけれども、これはしつこいですけれども、きちんとやっていただいて、担保できるような形にすることが必要だと思う。特に、住宅市場と似たようなものがあるという言い方は変だけれども、実際にかかる需要が、こういうものについては、基礎的な需要というか、世帯需要ということがきちんと認められることがすごく大事なことだと私は思う。その辺を、きちんと報告書に明記することが必要だと思います。

■駒村部会長 今の点を踏まえて。これは、最後に議論をまとめなければいけないところがありますので、資料3について、事務局より説明をお願いいたします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 それでは、資料3につきまして御説明させていただければと思います。これまで出された手法に関するご意見についてということで、1ページ目、お開きいただければと思います。

 本日の御議論の中でも、いろいろな御意見をいただきましたけれども、これまでにも御意見いただいた内容を事務局のほうで主なものを分類して、まとめさせていただいております。この中で、取りまとめに際して、報告書等に記載すべきもの、また追加すべきもの について、 御意見いただければ、取りまとめの際に記載した上で御議論いただくという形で考えてございます。

 資料のほうに今、記載しているものについて、幾つか御説明させていただきます。

 まず、水準の検証について、今回、いろいろな消費支出階級の分析と、複数の角度から分析を行ったところでありますけれども、今回、高齢夫婦世帯ということでモデル世帯を設定しましたけれども、そういったいろいろな貯蓄の加味の方法、構成、就労の状況など、どのようなモデル世帯を設定するのかという検討を引き続き重ねる必要があるのではないかということで、出してございます。

 また、これ今回も本部会でも御議論、御意見がございますけれども、今、全国消費実態調査のデータに基づいた検証手法についてというところで、一番上でございますけれども、消費実態のデータに基づいた検証方法をとる場合については、使用するデータが国民の実態を正しく捉えているという前提が必要ではないかという御意見をいただいていたとか思います。

 その上で、全国消費実態調査、データの特性等も考慮に入れつつ、必要な補正等を行うとか、またデータの分析結果のみで判断するのではなくて、理論的な考え方等の整理も必要ではないか。その上でデータの検証をすることが重要ではないかという、これまでの御意見ではなかったかと記載してございます。

 また、本日も御意見いただきましたけれども、級地による消費の差をどうはかるのかというところでございます。これについては、今後、級地制度のあり方についても検討を行っていくことにしてございますので、その際には、何をもって地域別の生活費の差をはかるべきか、その必要なデータ収集方法を含めて検討を行う必要があるのではないかと考えております。

 2ページ目に行っていただきまして、消費データ分析の精度向上。もとの調査を充実するというところでありますけれども、これも再三、御指摘いただいたとおり、特に単身データのサンプルの確保等についても課題ではないかと思ってございます。その中で、データの確保、分析の精度向上というものも、厚生労働省としても考えていくべきだという御意見をいただいていたかと思ってございます。

 また、検証結果の反映についても、今回も御意見をいただいておるかと思いますけれども、検証結果は一つの妥当な方法でありますけれども、その検証結果が唯一のものではないといいますか、いろいろなデータの制約等もあるということかと思います。その際に、それに基づいて、基準の見直しを検討する際には、現行の生活保護を受給している世帯、また一般低所得者世帯への影響にも配慮する必要があるのではないかという御意見を本日もいただいたと認識してございます。

 また、新たな検証手法の開発についてというところで、水準均衡方式の問題点等について記載してございます。同じように、一般低所得世帯との均衡のみで水準を捉えると、消費水準が低下すると、その水準自体が低下してしまう懸念があるということかと思っておりますので、その中で、どういった水準であれば、最低の生活保障水準を満たすものとなっているのかということの検証を実施することが必要ではないかというと思ってございます。

 また、その手法の開発というところで、最低限度の生活を送るために必要な水準とは何かというものを、改めて本質的に議論を行う必要があるのではないかというところで、そのためにも、データ収集、分析を継続的に行う体制が必要ではないかということで、これまでいただいた意見を記載してございますので、また追加等ございますれば、御意見をいただければと思ってございます。

 以上でございます。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 これまで、今日も含めて検証に関するさまざまな課題、あるいは検証に対する評価をまとめたものであります。報告書に向けて、こういうノート、説明をつけていくということになりますけれども、委員の皆様から御意見や御質問があればと思います。いかがでしょうか。

 岩田委員、お願いします。

■岩田部会長代理 基準部会では、これまでもこれに類したといいますか、ここに書いてあるかなりのものは報告書にいつも留意事項みたいな形でつけているのですけれども、もうここまでくると、 全国消費実態調査の 個票をただ使ってやるという分析では、もう限界にある。だから、基準部会を今後、有効に使っていくためには、こういう同じことをやって疲弊するのではなくて、ここに書いてあるようなことをどういう工程票でやっていくかということを示していただかないと、基準部会の委員とか、特に作業班は、もちろん事務局もそうだと思うので、大変になると思うのですね。全国消費実態調査について、ぜひ統計局ともよく相談されて、基本的には国勢調査とのきちんとした比較表というものをつくられるといいと思う。それで補正していく。だから、個票を使う場合の留意点みたいなものを統計局は当然持っているはずです。

 それから、単身がモニター調査に入ります。それから、小遣い調査がありますね。こういうものをどういうふうにくっつけてやっていくかということも、多人数世帯や子どものいる世帯の小遣いというのは、 かなり 落ちて いると思います 。ですから、実際の消費水準はもっと高いはずです。全国消費実態調査は、家計調査よりは高いのですけれども、その辺の比較をやる場合には、非常にデリケートな部分ですけれども、変なカーブが出てきますので、ぜひ補正をしながらモデルをつくってやるということを、どういうふうにやっていくかという工程表をぜひつくっていただきたいと思います。でないと、もう委員のなり手がなくなるかもしれないので、ぜひそれはお願いしたいと思う。

 それから、これでなくていいですか。

■駒村部会長 どうぞ、岩田委員、続けてください。

■岩田部会長代理 今、資料3ですが、資料1に戻っていいでしょうか。さっき見落としてしまったのですけれども、17ページこれは参考資料の最初ですけれども、第3・五分位、つまり大体平均のところに対して、第1・十分位の消費水準がどうかということで、夫婦子1人は66%で大体いい。高齢夫婦も6割超えています。しかし、高齢単身が50%ということになっていますね。実は、水準均衡というのは、第1・十分位あたりと、つまり低所得と比較して、ほぼ均衡しているやり方をやると同時に、平均の6割というものを目指していくわけです。これは、水準均衡の前の格差縮小の考え方です。

 では、なぜ6割かというと、先進国の公的扶助の水準がそのぐらいだという考え方です。そうすると、これが初めて50%と出てきた。今まで細かくやったかどうか、ちょっと記憶にないのですけれども、今回、モデルをつくっていますから、参照として、50%ということになると、これはかなり下げ過ぎだと私は思います。これは、水準均衡以前の格差縮小にもう一回戻らないと、縮小し過ぎという印象を持ちます。

 ですから、これは第1・十分位の平均ということだと思うのですけれども、今後の世帯類型、全部にやれとはいいませんけれども、 おもだった ところで6割をかなり大幅に切っている。50%というのは、半分以下になるというのを含んでいますから、一つの歯どめはここにもありますので、ぜひそこは御注意いただきたいと思います。

■駒村部会長 前半の工程表の議論は、まさにそのとおりかなと思いますし、検証する立場の人間が大変つらいというのも、私も同感するところであります。

 後半部分は具体的な御提案ですから、事務局より御回答願います。

■清水社会・援護局保護課長補佐 資料の説明を漏らしまして、済みません。資料1の17ページの第3・五分位と第1・十分位の消費水準というところでございますけれども、今、岩田先生のほうからお話がありましたとおり、あくまでも第1・十分位との比較というところでございます。今回、展開としましては、議論の経過で、夫婦子1人世帯と高齢夫婦世帯のモデルを設定して、そこから水準の検証を行ったというところでございます。また、もともと高齢単身世帯は、水準検証の際にはデータの脆弱性等もあって使用しないということにしたところでございます。

 ただ、いずれにせよ、全体の水準との比較というものも必要になってくるかと思いますので、また引き続き、モデル世帯の設定とか、それを展開した場合の水準というものについても注意していきたいと思っております。

■駒村部会長 岩田先生は、今回の見直しで、幾つかの世帯類型で気になるところについてはチェックしろということをおっしゃっているのでしょうか。

■岩田部会長代理 そうですね。つまり、さっきからの議論にありましたように、展開して指数化すると。そのやり方については、かなり統計的な手法も使って、やれるところまでやったと思うのですよ。だけれども、やった結果、これはデータ自体の持っているゆがみみたいなものもあると思いますし、そのように出したものを、また当てはめて組み合わせでつくっていくわけですね。そうなって出てきた基準が一般の国民の6割水準ぐらいは達成していないと困るということで来たわけですけれども、それが達成されているかというのはどうやって見たらいいかということです。

■駒村部会長 だから、モデルケースではいいけれども、さっきも議論がありましたけれども、パラメータを展開した後、それはどうなったのかを少しきめ細かく、もう一回皆さんに見てほしいと。そこが留意点として、今回の検証を反映するときに頭に入れておかなければいけない点ですねということです。事務局としては、それは取りまとめまでには見ていただける。その辺は大丈夫でしょうか。

■鈴木社会・援護局保護課長 何をすればよろしいですか。

■駒村部会長 66%、51%は、あくまでもあるモデルだけれども、パラメータを展開した後の結果が非常に落ちていないかということを、水準のレベルで見てみようということを岩田先生はおっしゃっているということですね。

 もし、作業を具体的にどうするかということであれば、後でまた確認したほうがいいと思いますけれども、留意事項として気になる点を検証しましょうということだと思います。結果を反映する前にもう一度慎重に、この展開が行き過ぎていないかを見ましょうということです。具体的なことは、後で確認しましょう。

 では、栃本委員、お願いします。

■栃本委員 今、事務局から御説明いただいた資料1の17ページのことですけれども、これは勤労者の夫婦で子ども1人の世帯類型の人がいて、それの第1・十分位の生活扶助としての範囲。それと、第3・五分位の比率表ということですね。確認です。その上で、高齢者の単身とか夫婦世帯を検討してやってみなければいけないということでやってみたらこうだとか、いろいろあるわけです。その際に、平均余命で割るかとか、2つありましたね。つまり、高齢者になると、自分の年金だけではなくて、ほかのものも取り崩す。これは、必ずしも高齢者だけではなくて、普通の一般世帯でも旅行に行ったりする場合は出るのだけれどもね。

 その上で、ここでは貯蓄加味になっているでしょう。これは、丁寧な書き方だとすると、貯蓄加味ではない部分も合わせて載せるべきだと僕は思う。審議の過程でなぜ貯蓄加味にしたかというと、消費の実態はきちんと見なければいけないから、繰り返しですけれども、高齢者も第9・十分位の人でも取り崩しをする。だけれども、それはどういう形になっているかというのを見て、なおかつ、それも精査するために加えるということだったので、それはそれできちんとしていると思うけれども、こういう表の場合、貯蓄加味でない場合も参考で載せるというのが妥当だと思います。

 もう一つは、先ほど追加で説明されたの ですが、 この表が持つ意味は、私が今、これはこういうことですねといったことだと思う。勤労者夫婦子1人の第3・五分位であると何%というものでしかないというものだから、その辺の説明をきちんとされないと。 これだと 活扶助相当支出という書きぶりになっているから、ちょっと印象が違う部分が出てくるから、それは注意されるといいと思います。

 以上2点です。

■駒村部会長 貯蓄加味を調整した部分は出せると思いますので、今の栃本委員の御意見を踏まえて、報告書にはそういう説明も加えてください。

 ほか、いかがでしょうか。

 阿部委員、お願いします。

■阿部委員 今の消費水準の話もそうですけれども、何遍も出てきていますけれども、消費水準で一般世帯の何%だから、それで最低限の健康で文化的な生活が保てるかどうかということが、今のやり方では全く保障できないということだと思います。ですので、違うやり方でやるというのは、毎回、話が出てきますけれども、例えば積み上げ方式をやってみるとか、そういった話を本当に真剣に取り組まなければいけない時期かなと思います。

 何年か前のときにこの場でも御紹介していただきましたけれども、山田先生、岩田先生もかかわって、厚生労働省の委託研究でMIS法というのもやりました。それによると非常に高い試算になるのですけれども、たくさんの人が本当に頭をひねって、何カ月もかけてやって、これが最低限だ、ここまでだという事実を受けとめなければいけないと思うのです。それと消費実態にはすごく差があるかもしれませんけれども、これは一体何なのかという出発点という形でもあるので、そういった資料をこの部会でもきちんと見ていくことをやるべきだと思うので、ぜひ出していただきたいなと思いました。

 一方で、それは今後の話ですけれども、現在の出されている試算を見ても、子どもの貧困の連鎖をとめるとか、文科省のほうも生活保護の子どもたちの進学率を高めるとか、そういったことを国の教育目標として掲げているのです。そういった中で、軒並み、特に中高生という一番進学とかが影響しているところで大きな減額が行われるというのも、これは国の目標として違う方向性を向いているのではないかなと思います。検証結果は、消費実態はそうだということがあるかもしれませんけれども、そこはぜひきちんと政治的な英断をしていただきたいなと思います。

■駒村部会長 報告書にその辺をきちんと反映していきたいと思います。

 山田委員、お願いします。

■山田委員 資料3については、改めていろいろな意見を拾っていただいて、ありがとうございます。

 ただ、最初の資料1に戻って、14ページ、15ページの機械的に推計結果を展開した結果で、こちらにも明記していただいているとおりですけれども。先ほど言った子どもの問題もありますけれども、級地間格差が統計的に有意に確認できなかったところで低くなっているというのが大変気になっていて、それは明らかにこちらの資料3の1ページの下にも書いていただきましたように、 市町村 合併の影響ですね。同じ級地でも、消費水準がもともと高いところと低いところがあるというのが平均化してしまっている部分があって、そこが出てきているのではないかというのが非常に気になっています。

 この機械的な試算を、そのまま実際の制度に反映すると、本来、本当に消費水準が高かったのだけれども、合併後の消費水準が低いところとの平均化された値で低くなり過ぎてしまうところがあるのではないかというのを非常に懸念していますので、そこの部分を中心的に、実態の消費水準と乖離しないように。特に、全国消費実態調査というのは、よって立つデータとしては貴重ですけれども、地域データ、地域の網羅性といったところでは限界がありますし、そういったところに本当に気をつけていただきたいというのが1点。

 2点目は、多人数世帯の扱いで、何度も出てきましたけれども、世帯の規模の経済性をどう把握するのかということで、データの小遣いの中の、ちゃんと計上されていないところが多人数世帯で出てきているのを拾ってしまっているのではないかという問題がありますので、こちらも実際の消費実態の兼ね合いでデータの乖離を丁寧に埋めていく作業が必要なので、機械的な試算をすぐに反映することにはならないことを、既に書いてあるとおりですけれども、もう一度懸念事項として表明しておきたいと思います。

 私からは以上です。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 ほか、委員のほうからいかがでしょう。

 岡部委員、お願いします。

■岡部委員 資料3の関係です。

1 点目。 先ほど新たな検証方法の開発について、ぜひお願いしたいということをお話させていただ きましたが 、その関連で、これは当然やられている、日本の中の検証方法の検討ということは1つあると思います もう一つは、海外でそれに類似するような検証がどのように行われているかということを 行って いただいて、その中 には 積極的に活用できる部分もあろうかと思いますので、それを参考にするということが必要と 考え ます。それも、ぜひお願いしたい。

 2点目 資料2の有子世帯の、貧困の連鎖解消で積極的に健全育成のことを出していただいたのは、これは非常にありがたいことだというお話をさせていただいたかと思います。

 もう一方で、有子世帯の中のひとり親世帯の方が、子どもの貧困と女性の貧困が重なり合ったのがひとり親世帯 、母子世帯 の問題と思います。そうなったときに、母子加算の問題のことで、これもぜひ資料1の中で慎重にやっていただきたい 要するに連鎖解消の中では、ひとり親の方々のお母さん、お父さんの問題と子どもの問題で、慎重にこれをやっていただきたい。

 資料1の14ページで出されてきたデータ、この比較対象では大幅な引き下げがないところもあれば、あるところもある。先ほどの健全育成に戻ります 、積極的な優遇策、第1・五分位で先ほど課長のほうで御説明があったかと思 いますが 、このあたりはより慎重にしていただ きたい

 先ほど児童養育加算が児童手当の足伸ばしをしたということがあ りますが、もう一方 ひとり親世帯の場合は児童扶養手当を参酌して、その中で相殺する以前は母子加算 考えられてきたと思います。

 資料3に戻ります 、それぞれの制度の中で算定の根拠にしていることを、例えば児童扶養手当 児童手当、あとは特別児童扶養手当とか、そういうものに関連 させ、また 先ほど海外の話でも、どういう根拠づけで 行って いるのかということを関連づけ、基準部会の中である程度お示ししていただ ければと考えます

 生活保護基準 考え方とか検証の方法 参考になることもあるのではないかと思っています 資料3で今回の検証という話から大分離れてしまいました が、 今後、考える場合については、そういう 資料 もいただ けたら と思います。

■駒村部会長 関連ですか。では、お願いします。

■栃本委員 この部会で、昔、話したと思いますけれども、児童手当とか児童扶養手当とか特別児童扶養手当の額が実際に出てきたのは、財源論、その他もろもろの関係でできているわけでして、それは積算して、これにかかる部分がどうこうというものでは決してないですね。だから、そのことが非常に重要なので。それとの関係で、こちらは真面目にかかり増し経費とか、そういうものでやっているわけだから、むしろ、こちららは非常に真面目にしているわけですから、児童手当とか児童扶養手当に引っ張られるという形で、その差額という発想から脱するべき。それが出ているからということで、どうしても勘案しなければいけないというのはあると思うけれども。

 もう一つは、扶養手当が出ているから、その分を引いてというのはごく普通のことであるから、それが1点。

 あと、簡単に。大分前に山田先生とか岩田先生その他で、科研費で研究されたり、何回目かの部会で、かわり得る方法とか、そういうものも含めて、主観を相対化するみたいな形でのサブの指標みたいなものが必要だという議論があったと思います。

 そのことを踏まえて、私もEUにおける貧困メジャー、メジャメントに関する分厚い、6cmぐらいの本を一生懸命読んだのです。それを見ると、EUの貧困メジャーについては、インカムで見るか、消費で見るかという2つがある。消費で見るというのは相当重要なことで、僕はすごくいいと思うのだけれども、その上でいろいろな多様なものがあるということは、EUの分厚い6cmぐらいの本の中に出ていた。

 もう一つは、各国がそれを踏まえて、それぞれの国における生活保護制度的なものの場合、それをどういう形で基準としているかということが書かれてある。そういうものも見てみて、日本の制度が逆にしっかりしているところもあることはたしか。ただ、繰り返し議論されているように、それだけでは足りないということの方法論はあるから、もう少し研究というか、それをさらに進めないといけないことと。

 もう一つ、その際、私、申し上げたけれども、日本では健康で文化的な最低限の生活を営む権利に対してということになっているけれども、例えばドイツでは憲法に書いてあるし、生活保護法の中にも書いてありますけれども、重要なのは、文化的資本とか社会文化的資本とか、その他もろもろのこと、相対的剥奪とか、生活を営む権利に対する額ということと同時に、ドイツでは明確に人間の尊厳を保持する水準と書いてある。この考え方は重要。ただ、人間の尊厳を保持する水準というのは、具体的にどうかということになると、その辺は難しいけれども、その尊厳を保持するというものが入ることによって、ある種の膨らみというと変だけれども、そういうものがある。

 また、それこそが生活保護を受けられている人についてのヒューマンライツ・アンド・ディグニティというものを確保することで、そういうことも僕は大事なことだと思います。

 以上です。

■駒村部会長 ありがとうございます。

 今の議論を間もなくつくらなければいけない報告書にどこまで反映するのか、あるいはその後の基準の検証に使っていくのかというのは、また御相談したいと思います。

 ほかに委員の皆様から御発言はありますか。よろしいですか。

 そろそろ時間も来ましたので、本日の審議は終了したいと思いますが、最後に事務局に一言申し上げたいことがあります。

 一部報道機関から、遺憾ながらこの部会の結論をあたかも先取りするかのような報道がありました。当然ながら、生活保護制度は大変重要な制度でありまして、国民の皆様、非常に関心があると思います。我々の議論の進め方も非常にテクニカルな部分が多くて、わかりづらい部分があるのも事実だと思いますが、今日の議論のように、課題を残しながら、あるいはさらに深掘りしなければいけないところを我々も非常に悩みながら進めているということでございます。

 事務局もこのパラメータが出てくれば、それに基づいて、何通りかの見通しを作っているのかもしれませんが、そういったデータが一部マスコミに出たのかもしれませんけれども、部会の結論を先取りするかのようなことになってしまうと、部会の存在意義、我々の議論の意義が失われてしまいます。また結果についても非常に不透明なものになると思います。厚生労働省の事務局におかれましても、今後は、この部会の議論を正確に御紹介いただくような姿勢でいていただきたい。

 間もなく、この報告書をまとめなければいけなくなるということですので、今後、まさに議論を詰めなければいけない。こういう大事な時期でありますので、事務局においても重々留意していただきたいと思います。

 次回の開催について、事務局から御連絡をお願いいたします。

■清水社会・援護局保護課長補佐 次回でございますけれども、来週早々になるかと思いますけれども、今、最終日程調整中でございますので、追って御連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

■駒村部会長 本日の議論は以上とさせていただきます。

 長い時間、ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活保護基準部会)> 第35回 社会保障審議会生活保護基準部会(2017年12月8日)

ページの先頭へ戻る