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2017年11月30日 第6回 厚生科学審議会 臨床研究部会 議事録
医政局研究開発振興課
○日時
平成29年11月30日(木)
10:00~12:00
○場所
航空会館 702+703会議室(7階)
○議事
○森光研究開発振興課長 定刻になりましたので、ただいまから第6回厚生科学審議会臨床研究部会を開催いたします。本日は部会の定数14名に対して、11名の方の御出席を頂いております。羽鳥委員につきましては、30分ほど遅れるという御連絡を頂いております。また、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達していることを御報告します。
続きまして、本日の会議資料の確認をさせていただきます。まず議事次第です。それから座席表、委員名簿、本日の資料1として「疾病等報告・定期報告」の資料があります。それから、資料2として「臨床研究に関する資金等の提供」というものです。また、参考資料8としまして「その他補足事項」です。参考資料1~7は机上のファイル綴じていますが、今回の会議の補足説明を参考資料8ということで、配布をさせていただいております。資料の過不足等はありませんか。よろしいでしょうか。
それでは、円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。以後の進行につきましては、楠岡部会長にお願いします。よろしくお願いします。
○楠岡部会長 お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。時間の関係もありますので、早速議事に入らせていただきます。まず議事1は疾病等報告・定期報告についてです。事務局より資料1の説明をお願いします。
○吉高研究開発振興課長補佐 それでは、資料1に基づき説明させていただきます。まず疾病等報告と定期報告ということで、臨床研究法の関係条文を抜粋しています。なお、本資料につきましては前回資料と同様、今後のパブリックコメントや省令の内容を見据えたものになっておりまして、省内法令審査等の過程で変更があり得ることについて、御承知いただければと思います。
2ページです。まず疾病等の報告に関してですが、全体として報告事項と期限につきましては、医薬品医療機器等法と並びをそろえています。初めに、未承認又は適応外の医薬品等を用いた特定臨床研究で発生した疾病等の認定臨床研究審査委員会での報告期限についてですが、治験の副作用報告と同様です。1の死亡又は死亡につながるおそれのある疾病等であって、未知のものについては7日。2の死亡又は死亡につながるおそれのある疾病等であって、1のものを除いていますので既知のものについては15日。3の(1)から(5)までに掲げる重篤な疾病等であって、未知のものについては15日としています。
3ページです。こちらは承認内の医薬品等を用いた特定臨床研究で発生した疾病等の認定臨床研究審査委員会への報告についてですが、市販薬等の副作用報告と同様で、1の未知・既知にかかわらず、感染症によるものを除く死亡については15日。それから、2の感染症を除く重篤な疾病等のうち、未知のものや、既知の中でも発生傾向を予測できないもの、あるいは発生傾向の変化が保健衛生上の危害や拡大のおそれを示すものについては15日。それから4ページに続きますが、3の感染症による疾病等の発生であって、未知のものについては15日。それから、4の感染症による疾病等の発生であって、死亡又は重篤のもの、3を除いているので既知のものになりますが、こちらについても15日。それから、5の感染症を除く重篤な疾病等であって、2以外のもの、つまり既知の重篤なものになりますが、こちらについては30日。以上のとおり定めています。それから、その他疾病等報告ということで、これまでに触れてきたもの以外の軽微な疾病等の発生状況につきましては、実施計画を提出した日から起算して1年ごとに、2か月以内ということで、こちらは定期報告の中で報告を依頼したいと考えています。
続いて5ページです。こちらは医療機器・再生医療等製品の不具合に関する認定臨床研究審査委員会への報告についてですが、医薬品医療機器等法と並びをそろえ、1の死亡のおそれ、2の死亡につながるおそれのある疾病等のおそれ、それから3~7までの重篤な疾病等が発生するおそれのあるものを知った日から30日以内の報告を求めることとしています。
次に6ページです。こちらは厚生労働大臣への疾病等報告になりますが、1のとおり未承認・適応外の医薬品等による疾病等で、未知の死亡又は死亡につながるおそれのあるものについては7日。それから、2のとおり未承認・適応外の医薬品等による疾病等で、未知の重篤なものについては15日を期限として、報告を求めることとしています。
続いて7ページです。こちらは先ほども触れた定期報告の関係です。まず、認定臨床研究審査委員会への定期報告についてですが、報告事項としては、まず1つ目のポツに記載していますとおり、対象者の数、こちらは※書にありますが、予定数、同意取得数、完了中止の内訳を含めた実施数を想定しています。それから、2ポツ目以降になりますが、疾病等の発生状況とその後の経過、不適合事案の発生状況とその後の対応、研究の安全性・科学的妥当性の評価、利益相反管理に関する事項について、報告を求めていくこととしています。報告の時期につきましては、実施計画を提出した日から起算して1年ごとに2か月以内の報告を行うこととしています。また、定期報告の審査意見業務ということで、定期報告を受けた認定臨床研究審査委員会において、研究の安全性や科学的妥当性について確認していただいた上で、継続の可否について意見を述べ、結論を得なければならないこととしています。
次に8ページです。こちらは厚生労働大臣への定期報告についてですが、報告事項については下のポツにありますとおり、委員会の名称、委員会による研究の継続の適否の審査結果、それから対象者の数について報告を求めていくこととし、その報告の時期につきましては、委員会の結論を得た日から1か月以内としています。事務局からの説明は以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。これに関して御質問、コメントはありますか。1点だけ、4ページの「その他疾病報告」の一番下の「実施計画を提出した日」というのは、これは具体的にはどこへ提出した日ですか。
○森光研究開発振興課長 国への届出になります。
○楠岡部会長 国への届出ですね。だから、認定臨床研究委員会に提出ではなくて、その承認を得た後に、国へ届け出た日ということ。
○森光研究開発振興課長 そうなります。
○楠岡部会長 ほかによろしいですか。
○掛江委員 些末なことですが、大臣への報告に関しては、「特定臨床研究を実施する者」が主語で、それ以外は「研究責任医師」でした。この主語を変えるのは、もしかしたら法令で決まり事なのかもしれないですが、この「研究責任医師」は普通に分かるのですが、「特定臨床研究を実施する者」というのはどなたのことで、こういう使い分けをされるものなのかということを確認できればと思います。
○井本治験推進室長 すみません。現時点では必ずしも用語を正確に使いわけできていないかもしれないのですが、実施計画を登録していただいた研究責任者が出すということを想定しています。
○楠岡部会長 補足ですが、「研究責任医師」と書かれている場合には、個別の施設で実施担当されている方。厚生労働大臣への報告は、それを取りまとめて出すことを可能としているという意味で、「実施する者」という、いわゆる前の代表責任医師でしたか。
○森光研究開発振興課長 代表責任医師です。
○楠岡部会長 それが出すのでも構わないという。
○森光研究開発振興課長 そうなります。
○楠岡部会長 その両方を含めて、「実施する者」という考え方。
○森光研究開発振興課長 そうなります。
○楠岡部会長 そういう書き分けになっています。
○掛江委員 ありがとうございます。
○楠岡部会長 山口委員、藤原委員、どうぞ。
○山口委員 いろいろ期限が書かれているわけですが、もし期限が守られなかった場合には、何か規定されるのでしょうか。特に定期報告について、大体、今も年次報告は1年ごとにとあるのですが、結構それが守られていない実態もあるように思うのですが、守られなかった場合がどうなるのかということを教えていただければと思います。
○井本治験推進室長 基本的には認定臨床研究審査委員会が行程管理をしていますので、委員会御自身のほうで研究を裁可して登録された日も知っていますので、そのときになったら認定臨床研究審査委員会のほうからも声掛けを期待したいと思っていますので、後のほうの参考資料にも、そのループというか、フィードバックのような監視体制について説明しますが、基本的には研究責任者のほうも忘れないし、医療機関のほうも管理していただくし、裁可した認定臨床研究審査委員会のほうからも、そろそろですよという話とか、来なければそういった話をしていただくことを想定していますが、それでもなお、法律が遵守されないようなことがあるようであれば、我々のほうから行政指導あるいは改善命令ということはできることになっていますので、基本的にはそういったものについては遵守されていくものと考えています。
○楠岡部会長 疾病報告や定期報告を怠った場合は、罰則規定の対象になっているという。
○井本治験推進室長 行政指導、改善命令等がありますが、それでも従わない場合には罰則に該当することになります。
○楠岡部会長 分かりました。藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 実務的なところで、3つほど教えていただきたい。2ページです。認定臨床研究審査委員会への疾病等の報告、薬機法並びにしていただいてありがとうございます。ただ、この認定臨床研究審査委員会の報告と、それからPMDAの報告という、今、治験でも2種類あるのですが、書式が異なっていて、今回の場合も認定臨床研究審査委員会とPMDAの報告が異なると、また更に書類が増えてくるので、これが実際に発行される際には、今は治験審査委員会に出すときは書式の12とあるのですが、その辺をしっかり全部一緒にしてほしいなと。というのは、抗がん剤というのはものすごく重篤な副作用が多くて、毎日のようにやっているので、かなり違ってくるというのがあります。
もう1つは、7日報告や15日報告は土日などにどうするかとか、ワーキングデーの解釈というのは、例えばEUのクリニカル・トライアル・レギュレーション等ではしっかり書いてあったりするので、通知でワーキングデーをどのようにするかというのは書いてほしい。今のPMDAの運用などでも、正月休みなどのときの運用は割としっかりしているのですが、土日をどうするかというのは書いてほしいなと思います。最後に、これは以前にも聞いたかもしれませんが、今回、特定臨床研究の実施によるものと疑われるものというように限定的に運用していただいて、多分、書類の量はすごく減るのではないかと思うのですが、その際に薬機法のほうでは因果関係が不明なものも、この「副作用が疑われるもの」の中に入っているので、通知レベルで結構ですので、同じような解釈をちゃんと示していただきたいという3点です。
○楠岡部会長 事務局、お願いします。
○井本治験推進室長 まず1点目の統一書式については、現在も医師会のほうを通じて、統一の方法を進めていただいておりますが、できるだけ現場でのワークロードを下げるためにも、統一書式を一層推進していって、法律が違っても基本的には同じ様式でいけるものは、統一書式をより一層調整していきたいと思っています。ワーキングデーと提出日については、細かい話の解釈になるかもしれませんが、できるだけ整合性がとれるような解釈なり御案内をさせていただくことを想定しています。また、通知等において当然ながら、今回は省令レベルのもの等を主に出していますが、解釈通知等もそこで整備していきたいと思っています。
○花井委員 3ページの、今、藤原委員がお話された、いわゆる有害事象と疑われるものという話です。これは難しい問題でもあるのですが、要は上ぶれ、下ぶれの話があって、下ぶれされるところもある。有害事象全部というのが大変だというのはよく分かるのですが、まず1つ確認しておきたいのは、この疑われるものというのは、今まででいうと完全に否定し得ないというのと同じ概念という理解でよろしいですか。
○井本治験推進室長 ここら辺の世界になると、はっきり言って判定する人の世界になってくるので、正に花井委員がおっしゃったように、矮小化するつもりもありません。ただ、一方で国際的な整合を考えると、アメリカも御案内のとおり、当初は全部という形で、マウデ報告のような形で全ての有害事象を報告対象としていたのですが、ホワイトノイズがあり過ぎて、非効率ということで見直しが行われ、アメリカはかなりストリクトに因果関係が推定できるものに限定して報告を求めるという、積極的推定に切り替えてはいるのですが、我が国においてはその中間的なところで運用されていると思います。現場の運用についても先ほど藤原委員がおっしゃったようなものが継続されることを期待してはいます。
○花井委員 この3ページ、既存のものについては発生傾向を予測できないとか、発生傾向の変化がうんぬんというものがあって、既存のものでもある程度、例えば頻度がすごく少ないと書いてあったはずなのに、こんなに起こるなんてみたいなものが、多分ここに入ってくるのだと思うのですが、このときに添付文書という、いわゆる審査報告書やリスク管理計画なんていうのがありますよね。こういった文書は、もう参照しなくていいのですか。
逆にこういう予測し得る、疑いというのを添付文書からだけで推定するよりは、現場ではそういう文書も当たったほうが、それを疑いなのかそうなのかというのは検討しやすいと思うのですが、これは特に添付文書に限っての表に見えるのですが、その辺の文書の扱いというのはどう考えているのですか。
○井本治験推進室長 御指摘のとおり、厳格に言い始めると、何パーセントだったら予測不能で、何パーセントだったらいいというような基準を明確にすることはほとんど事務局としては無理だろうと思っています。ただ、実際には添付文書を作り込むときには、御案内のとおり承認審査のときの臨床試験の成績であるとか、海外で使用されていれば、そのときの市場の成績等を折り込んで、発生頻度に応じた記載として注意喚起をなされているものなので、また、アップ・トゥー・デートで添付文書も改定作業が行われていることを考えると、原則的には添付文書を見ていただければ、基本的な情報としてはそうそう外さないとは思っています。
ただ、おっしゃるように審査報告書とか、あるいはリスクマネージメントプランとか、PMDAにはかなり事細かに作っていただいているので、何かの折にそういったものも参照していただければ、より重厚な精度の高いものが出来るとは思いますが、そこまでを全ての試験でモニターするとしたところで何パーセントという厳格な閾値が書いてあるわけではないので、そこら辺は現場での発生間隔と、ドクターの感覚を大事にしてまれにとか時々という副作用について、こんな間隔では発生しないよねというようなものをここでは拾いあげていただきたいと思っています。
また、御覧になっている3ページは承認内の話ですので、もともと薬事法の中でも運用がなされているものを並行して裏支えするものになっていて、使用量に関して言うのであれば、臨床研究の数百倍、数万倍以上のものが通常の医療で使用されていることを考えると、そこで大きく外すものはないのではないかなとは思っています。
○花井委員 よく分かりました。RMPについては、一生懸命作っている割には余り利用されていない面もあるので、この機会にまた「みんな使ってね」みたいな話があればなと思います。以上です。
○楠岡部会長 ほかにありますか。よろしいですか。もし特に御意見がないようでしたら、疾病等報告・定期報告に関しては、お示しいただいた形で本部会として了解するということでよろしいですか。ありがとうございます。
それでは、次の議題に移っていきたいと思います。議事2は「臨床研究に関する資金等の提供について」です。資料2について、事務局から御説明をお願いします。
○阿部経済課長補佐 事務局です。32条と33条、資金提供に関する事項です。まず1ページ目、契約の締結事項を省令で定めることとしていまして、契約内容としましては、契約を締結した年月日であったり、研究内容、期間、製販業者の名称、所在地、医師の氏名、資金等の額、内容、支払いの時期、公表に関する事項、成果の取扱いに関する事項と、今回、副作用と有効性及び安全性に関する情報の提供に関する事項も、契約内容に入れていただこうとしています。
また、データベースの登録による公表に関する事項、健康被害があった場合の関係する事項、利益相反。第3回の部会でも議論がありましたが、研究の管理等を行う団体における、実施医療機関に対する資金提供の情報提供に関する事項ということで、企業から団体等のお金が入る場合、企業と団体でまずは契約していただくこととしています。
次のページに、公表の対象となる資金の提供先ですが、まず1つは情報公表の対象となる提供先は、その責任医師が所属する機関と、その上位の組織に資金が流れる場合も、公開する整理です。上位の機関として、医療機関であったり、大学であったり、法人があるということです。また、研究責任医師が所属していない場合であっても、先ほど申し上げた研究管理等を行う団体についても、公表対象としていこうという整理です。
次のページに、公表対象となる情報は何かということです。3つありまして、メインは研究資金等についてですが、これは公表事項として研究ごとに追えるようにしていこうということで、データベースに記録されているID。あと、提供先と実施医療機関、契約件数と資金の額ということです。寄附金につきましては、提供先ごとの件数と額。また、最後に医師個人に関する原稿執筆料、講演報酬、その他業務に要する費用については、寄附金同様、提供先と件数、額を公表事項とさせていただいております。
最後に公表時期についてですが、毎事業年度終了後1年以内に公表していただくということです。公表する機関ですが、公表後5年間としたいと思います。また、経過措置としては平成30年10月以後に開始する事業年度分から、公表の対象とすることとしたいということです。資金提供に関する説明は以上です。
○楠岡部会長 ありがとうございました。これに関して御質問はありますか。
○清水委員 契約の締結の所で、この事項にあることを記載した契約書を作れということだと思うのですが、まず大学等で研究が行われる場合、医療機関の長が契約の一方の当事者になるケースがほとんどだと思うのです。その中に、契約に基づいて実施する臨床研究の、その機関における責任医師の名前と、多施設研究である場合は、全体を統括する代表責任医師の氏名が入った形での契約書を作れと、そういう意味と理解しましたが、契約の当事者になる必要は必ずしもないと思うのですが、そういう意味ですね。
○阿部経済課長補佐 その整理でいいと思います。
○藤原委員 資金の提供、3ページの欄で、一番下の原稿執筆及び講演の報酬、その他の業務に要する費用の所で確認しておきたいのですが、医薬品業界にはよくあるのですが、商業雑誌を買い取ったり、ページを買い取って、その部分だけの特定の座談会などをやって記事にするというのがあるのですが、その場合、依頼上は出版社から来るので、その後ろに製薬企業が入っているというのはよく分からないこともあるのですが、その場合はどのように解釈するのですか。
○森光研究開発振興課長 確かにそういうことが明白な場合はあれですが、正直に申し上げて、これは法律で一歩一歩、そういうものを進めていこうというところですので、基本的にそれが本当に非常に常態化して、大変な状況になっているというのであれば、今後、検討する必要はあると思いますが、まずは明らかに先生に払われているものについて、きちんと明確にしていくということを、今回はさせていただきたいと思います。
その後、先生のおっしゃるようなことが非常に問題になってくるというようなことがあれば、今後、検討になるとは思います。
○藤原委員 高血圧のときも十分問題になったと思いますが、今後に期待します。
○楠岡部会長 ほかにありますか。
○清水委員 意見ですが、結局今の作り込みだと、資金提供団体みたいな所と契約するときは、そこから先、誰に行くかということが、明確な契約書を作れということなのですが、今のような形で出版社など、必ずしも資金提供団体でない所を通じて提供されるものについては、現状では捕捉のしようがないと言えばないということですよね。
○森光研究開発振興課長 そのとおりです。
○楠岡部会長 今回の法律では、資金提供が製薬企業等と、それと財団、公益財団にしろ、特定の財団にしろ、それ以外の所は、この法律の対象にならないという。
○森光研究開発振興課長 具体的にどういうところを想定していますか。一応、私どもが「団体」と書いたのは、例えば何とか法人とか、何とか学会とか、そういうものはもちろん対象と考えています。そのほかに例えばCROなど、いわゆる治験の推進を請け負っているような所に関しても、団体ということで含めると考えています。
○楠岡部会長 非常に極端な例ですが、個人の篤志家が財源を提供して、この研究をしてくれみたいな場合は、どういう形になるのか。
○井本治験推進室長 結局、この法律に戻ることになると思うのですが、「製造販売業者又は、その特殊関係者は」という話になっていて、製販業許可を持っている者は基本的に入ってきますので、製販業については薬機法でも個人でも取れますので、個人がそれをお持ちになっていれば、当然この要件を満たすことはあり得ると思います。また、特許権や開発権を持っている者という、それぞれの条項における薬機法の解釈と連動すると思いますので、個人のことも引っ掛けるものはあると思います。
○楠岡部会長 そうすると、全くそういうことと関係ない方が出される場合は、一応、この資金提供の形からは外れるというような。
○井本治験推進室長 そうですね。例がいいかは分かりませんが、例えばビルゲイツがドネーションしたいとか、そういう話であれば、恐らく関係ないというように見えると思うのですが、少なくとも知財権を持っていたり、それで業をなそうとする方が、あるいは当然ながら外形的なものとして製販業許可を持っているとなると、それはもはや完全に引っ掛かってくるということだと思います。
○清水委員 ということは、欧米などでよくあるチャリティとか、そういったものであれば、要するに製販業者又は特殊関係者からの資金提供ではないので、そのことをもって特定臨床研究とするということにはならないと。ただし、それが未承認のものを使うような研究であれば、当然、そっちで引っ掛かってくるわけですが、そういう解釈でよろしいですか。
○森光研究開発振興課長 そのとおりです。
○楠岡部会長 もう一点、頭の整理ですが、製薬メーカーが未承認薬を使う研究に対して資金提供する場合は、当然、第1項の未承認薬のほうで掛かった上で、更に契約としてこれが掛かってくるという、二重に掛かってくるということですか。
○森光研究開発振興課長 そのとおりです。
○楠岡部会長 その場合は、ここにある副作用というのは、それより前に行われた臨床試験等における有害事象というか、疾病等をそれと見なすというような形という、いわゆる治験薬概要書に書かれているようなものということですね。
○森光研究開発振興課長 そうなります。
○楠岡部会長 ほかはよろしいですか。では、資金提供元になる所に関しては、特に御意見はなく、これでよろしいですか。
○国忠委員 特にございません。
○楠岡部会長 そうしましたら、臨床研究に関する資金等の提供につきましても、この形で部会としては了解するということにしたいと思います。ありがとうございました。そうしましたら、その他の事項につきまして、参考資料8に関しての御説明をお願いします。
○吉高研究開発振興課長補佐 それでは、その他補足説明ということで、参考資料8について御説明させていただきます。2ページです。「臨床研究における補償保険について」ということで、前回部会の中で、口頭で補足させていただいた内容を資料で御説明させていただければと思います。経緯でございますが、現状、医薬品企業法務研究会が策定したガイドラインでは、治験で発生した健康被害に対する補償内容として、医療費、医療手当、補償金の3種類が示されております。その一方で、臨床研究においては、平成20年に全部改正された倫理指針の中で、介入を伴う医薬品等を用いた臨床研究を実施する場合には、健康被害の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならないとされたことを受け、各保険会社から補償のための保険商品が提供されているところです。しかしながら、この保険商品については、死亡や重篤な後遺障害を伴う健康被害を補償する補償金に限定されていることから、高率で死亡・重篤な障害が見込まれる抗がん剤等の臨床研究が対象外とされているのが現状です。
3ページです。左上の問題意識の部分になりますが、このように致死的な疾患等に関する臨床研究に当たっては、従来の保険商品を活用して補償を行うことができず、また、研究者の自己資金での支払いもできないため、事実上補償がない状況ですが、仮に補償金のほかに医療費・医療手当を対象とした選択可能な保険商品が導入されれば、何らかの類型での補償が研究対象者に対して可能になるのではないかと考えております。ただし、その一方で、多額の加入資金を要する制度にしてしまうと、事実上研究が不可能になってしまい、補償保険の加入を一般化することができないといった問題点もあるかと思います。したがって、対応案の部分になりますが、補償対象の健康被害については、未知の副作用、具体的には説明同意文書の中に記載され、同意説明を受けたもの以外の副作用に限定した医療費・医療手当の保険商品を、1つの選択肢として設定することを前提としつつ、今後、何らかの補償保険への加入を原則としてはどうかと考えているところです。
○清水委員 待ってください。大分違う話題になるので、1回、補償について質問というか。
○楠岡部会長 テーマが少し変わるので、まず補償の所で。
○清水委員 補償の所について、まとめてお話を。
○楠岡部会長 では、まず補償に関して御意見はありますか。
○藤原委員 2点あります。1つ目は、私どもがんをやっている人間にとって気になるのは、以前、抗がん剤による健康被害の補償をどうするかと、厚労省で検討会を設けて、がん関連の主要3学会もいろいろな意見を申し上げた上で、結局、補償制度の抗がん剤分野への導入は見送りになった過去があるというところです。今回、補償保険商品の導入の中で医療費・医療手当をカバーするものができるというところで、進歩的な判断をしていただいたとは思うのですが、運用上2つ気になります。
1つは、対応案の1行目の右端のほうにある未知の副作用です。対象になるものです。補償対象が未知の副作用という記載があるので、ここは未知だけなのか、あるいは未知プラス重篤という所を補償対象にするかによって、大分対応が違ってきます。ここで書いてある副作用は、有害事象とは別の用語としてちゃんと書き分けていて、因果関係ありと判断した健康被害を副作用として定義しているのであれば、よくもめるのは、患者さんは副作用だと思っていても、それは医療的に見ると因果関係はないという話になると、そこは必ず平行線になってもめるので、その際に最終的に副作用と判断するのはどこがやるのかというところも、通知に盛り込まれるのだと思うのですが、教えていただきたい。
もう1つは、未知の解釈で、今回の場合は、説明同意文書に記載され、同意説明を受けたもの以外の副作用を未知と定義されています。一方で、治験では、治験薬概要書とか添付文書に載っていないものなどを未知と解釈するのですが、IC文書の中で書いていないということを未知とされると、がんの領域は、患者さんに膨大な量のIC文書を読んでいただくことになって、多分、生命保険などの約款みたいな小さい字がざあっと並んでいるものを読んでいただくことになると思うのです。
例えば治験薬概要書などを見て、1例から発生している有害事象を並べると、数ページにわたって非常に小さな字で書いてある事象が並んでいるのです。我々が実際にそれを運用するときには、IC文書の中では5件以上とか10件以上にその有害事象を一応スクリーニングして絞り、ある程度の頻度があるものに関して説明はするのですが、一例一例やると非常に大変な作業になります。もし、これがこのまま流れると、説明文書に、例えば添付文書を付けるとか、概要書の副作用の欄を全部コピーして付けて、御自宅に帰ってまず全部よく読んできてくださいということをせざるを得なくなります。それは、例えばよく井本さんが引用されるコモンルールというアメリカの法令の直近の改正でも、IC文書は短くしなさい、誰でも分かるようにしなさいというふうにしている、世界の潮流といつもおっしゃっているので、そことかなり逆行することになるので、今のままでは運用上非常に難しいかと思っています。だから、そこはしょうがないけれども、患者さんに対して、1例でもいいから発生したものは全部教えてくださいというスタンスであれば、それはしょうがない。ただ、その際には、長文のIC文書になることは御容赦いただきたいというところです。
○井本治験推進室長 まず、どこから説明させていただこうかと思いますが、結局、この部分、補償保険を作るときというのは、なかなか調整できないという非常に難しい領域だということを、まずお話しておきたいと思います。
もともとこの補償保険商品自身を認可する立場にもありませんし、こういったいろいろな御意見を拾い取って、企業にお願いをして検討を頂くというのが限界であることを予めご理解いただきたい。最終的には、保険商品を取り扱っている企業がその気になるかどうかというのもある中で、また運用がどうなるのかを、バランスを見ながらお願いしているのが実際です。ですから、逆に変な話、ここでの御議論で合議に至らなければ、どのような商品を作ってもらいたいのか明確に示すことができず、結果として補償保険商品について一歩も進めないというのが前提にあることを御理解いただきたいと思います。
そういった中で、いろいろな関係者の方々の歩み寄りが必要だと思います。補償は手厚ければ手厚いほどいいという人もいれば、補償は非常に負担だけで大変、手間ばかりかかるから不要だという人もいます。平成20年の臨床研究指針の改定の際に補償保険を整備したときには、企業の治験と違って研究者個人に、高額な補償金を出すのは無理だということで、保険商品なら研究費でも支弁できるということを考慮して、保険商品の設計を保険会社に依頼したという経緯があります。
その際、頻繁に死亡・重篤な副作用が発生する領域については補償保険の掛金が高騰し、結果として補償保険に加入できないということで、抗がん剤関係の臨床研究が除外され、運用されて現在に至っているわけです。ただ、補償金が難しいと言うことはやむを得ないとしても補償が何もないのはどうなのか、何かできるのではないのという御意見をずっと頂いた中で、医療費・医療手当みたいなものであれば可能性はあるのではないかということで調整が始められた。調整の過程で明らかになってきた問題としては例えば頻繁に発生する軽微な副作用について、既知のものまで含めて全部を保険償還の対象としていたら、事案の確定や支払額の確定、支払い業務と言った多くの業務が大量に発生し、管理費だけでも大変だし、先生方も副作用の認定行為が必要になって来ると言うことです。保険商品の運営管理費が多くなり、臨床現場での手続きが膨大になると臨床研究の実行が不可能になるのではないかという御議論もありました。
私たちとしては、そういった問題を解決する案として御提出させていただいているわけですが、少なくとも患者さんが納得されて「はい」ということを前提にするのであれば、1回は補償保険対象外とされる範囲を開示してもらうべきであろうということで記載させていただきました。同意文書自身の本体がすごく厚くなることは本意ではないので、もしそうであれば詳細は別添でもいいので、添付文書とかそういったものが分かっているのであれば、同意書本体でなくても良いので別途文書としてお示しいただきたいと。患者さんもそこをよく分かった上で参加いただくし、それでもそういった副作用は起きるわけですから、そういったものが嫌であればそこには参加しないという議論も、最初にちゃんと正々堂々とインフォームド・コンセントしていただくスタンスでどうかと考えております。
御指摘のあったコモンルールで、患者さんへのインフォームド・コンセント・シートをできるだけ簡略化しろという、御指摘のとおりどんどん情報開示とか裁判対応で文書が重厚化していくし、専門用語が乱立すると読みにくいという御批判があった中で、できるだけ分かりやすいものに努めなさいというのがあるのは存じ上げていますが、それはそれとして、、別添でもいいので開示していただくというスタンスではないのかと思います。同意文書本体であることにこだわりがあるわけではありませんが、保険会社も既知・未知、要するに償還対象なのかどうか分からないというのは、保険商品を作る上で非常に困るという御指摘を頂いたので、また患者さんから見たときにも、事前に知っているか知らないかという状況の中で、何らかの形で提示いただくものを、ある意味で償還対象としない領域として明確にしていきたいということで、ここはこのようにさせていただいております。
判定については、もちろんどのようなものも意見の食い違いはありえるのですが、最後は医師等の専門家における判定がないと不可能ということで、現状の補償保険の場合でも同様にやられていると意識しておりますので、判定委員会で判定していただくスキームを横滑りするという認識をしています。また、頻繁にその会議を開くと大変なことになるので、そういう意味からしても、このような形で、説明同意文書等でちゃんと御説明して、納得いただいたもの以外のものについて補償保険の対象としてはどうかと考えています。
さらに、医療費・医療手当について重篤や後遺障害に限定してしまうと補償対象がかなり限定されてしまって、医療費・医療手当が支給されるものは、そもそも障害一時金の対象ではないものをターゲットにしていることからもどうなのでしょうか。また、実際に重篤な副賞が起きてしまった場合、完全に治癒するとは限りません。そういった場合、補償として無制限ということにはならないので、当然ながら限界値はあると思います。ただ、限界値まではお支払いする設計にしかならないのだと思います。そういう観点からすると、基本的には、今、御指摘いただきましたが、まず説明同意文書は簡略化する方向の上で、別添でもいいのでお示ししていただきたいのが1つ目です。
2つ目については、重篤なものに限定するのはなかなかしんどいのではないでしょうか。あと、判定についてもの言いが付いたときには、それも含めて公平にやっていただくような、今の運用と同じものの対応を契約書として作っていただくのが、今の考え方になるのではないかと思っております。
○楠岡部会長 藤原委員、現状として今のでよろしいですか。
○藤原委員 皆様方に知っていただきたいと思っているのは、そういう運用はこれまで大分違う様相を呈していて、読む量もすごく増えますし、医者の側もものすごい説明の量をやっていきますので、そういう世界になったのだなと。ただ、従前から患者さん団体から、抗がん剤領域とか免疫抑制剤を使う臨床試験に補償がないのはおかしいという御意見をたくさん頂いているので、今回、それを一歩踏み込んでいただいた保険会社とか厚労省の方々の頑張りには感謝したいところですが、我々としては運用がスムーズに行くことを望んでいます。
○楠岡部会長 保険会社も実績を積まないと、掛金としてどの辺が妥当なのか、判らないと思います。最初に商品ができたときは、すごく高いものではないかと危惧したのですが、それほど高いものではなかったということで、保険会社もそれで運用を受けたのですが、最近になってかなり高額の保障が出たという話もあって、その辺も見直しが出るかもしれないという状況です。とにかく一歩進んで実績を積まないことには、商品としてもなかなか成熟しないと思いますので、その辺は今後も継続してお願いしていきたいと思います。
○山口委員 これまで抗がん剤等への保険がが何もなかったという中で、今回、先ほどおっしゃったような生命保険の約款のような大量な書類が出てくるのは避けていただきたいですが、何か了解した以外のことが出てきたときに補償があることは1つの安心になると思いますので、妥当な保険額で、そして救済の道を一歩進めた形ということで、今回、是非これは進めていただきたいと思っております。
○花井委員 今の議論ですが、確か説明同意文書に記載すべきことと患者に絶対説明しなくてはいけない事項がここに書いてあると思うのですが、そのために副作用はこういう場合には保険が利きますという説明をするとして、それがどれだけかと聞いたときに、別添である話とは少しニュアンスが違うというか。
それで、どんどん細かくなることは望ましくないとは言うのですが、結局、基本的には説明を絶対にしなくてはいけないことは割と分かりやすい話で、エクスキューズのためにそれほど細いことまで書かなくていいだろうというのは、みんな思うと思うのです。ただ、そうやって緩くすると、では説明が落ちるからということで、悩ましいところでもあるのですが、1つは、救済がどうされるか、どの場合に医療手当は出なくてとか、そういうことがちゃんと説明されている必要はあると思います。今まで結構そういったことが明示的でない場合が多いのです。
ですので、例えば、今、抗がん剤の話だと、抗がん剤はかなり特殊な領域で、一般的には、既存のものであれば、承認されているものであれば、副作用被害救済基金があるのですよね。その制度の説明で、こういう場合はこれでカバーしていますとか、そういう話も含めて、実際、どういう場合にどうなるのかを説明できて、それで患者が納得すればよいと。
もちろん、要するに、説明に手を抜かず、添付文書にあるもの以外というのはどのようなものですかと聞かれたら、そこでは説明側は、結構すごく膨大です、それは全部御覧になりますか、と言って出してくれたらいい話だと思うのです。だから、同意文書にあればいいとかではなしに、その取り方の中身として、患者にちゃんと理解を得てやるためのツールとして、別添になるのか、ならないのかという議論だと思うのです。
だから、どこまでこのハードルをというか、それでこれは絶対書けというかという問題と、本来、必要な所をちゃんと理解してもらって同意してもらうという実態を、どのように担保するかという議論は、必ずしも一致しないというところがある。今の議論からすると、藤原委員が言ったとおり、添付文書は別添とか副作用一覧表みたいなものを用意しておいてもらえばいいのかとは思いますし、説明の仕方は今言ったようなものではないかと。それについて一つ一つ。患者が、これはどのぐらい起こるのですか、これを見て、このようなことはよくあるのですかと言うときに、これは頻度は0.0何パーセントになりますよという説明がそこでやり取りされて、説明になるのだと思うのです。
だから、私は、治験なり臨床研究の現場でICの質については、相当幅があると承知していて、むしろ説明の在り方の幅をもう少しちゃんとしていくことが、今回、非常に期待されるので、そういう方向でお願いしたいと思います。だから、特にどういう場合に救済され、何が出るかということは、今後はちゃんと説明同意文書には書いてほしいと。今までないものが結構ありましたので、それは書いてほしいと思います。
○清水委員 今の点で、確かに花井委員がおっしゃるように、どういう場合に補償がありますということは、きちんと説明する必要があって、それが本当に過去に1例しかなかったようなものまで全部事細かに説明する必要があるかと言ったら、必ずしもそうではなくて、代表的なものはこういうものがあって、それ以外にも知られている、過去に起こったことがあるものであれば、補償の対象になりませんという説明をした上で、では、どういうものがあるのですかということが問われたときに、こういうものがありますという一覧が出て、きちんと説明できれば私は十分なのではないかと。あらかじめそこまで全て説明するとなると、本当に、特に抗がん剤の領域などでは数が非常に多くなって、何の説明を聞いているのか、そのうち分からなくなるという事態になりかねないので、そこはそういうスムーズな運用ができるルール作りをしていただくのが、妥当なのではないかと思います。
もう1つ、ここは既知のというところで既知の副作用ということになっているのですが、未承認とか適応外のものであると、適応外であると、既知の部分はもちろん一定ある、通常の適応内で使ったときに、こういうことが起こっていますというのは御説明できると思いますが、未承認のものの場合であると概要書等に記載されていて、非臨床なり何なり、あるいは、それまでに行われた臨床試験などで起こったことはちゃんと把握されていて、説明できる形になっていることが非常に重要だと思うので、むしろこういった形のものがあると、実施する側もそういうことを真面目にきちっと調べて、概要書等に盛り込んでおかないといけないことになるので、そういう方向で推進していただければと思います。
○井本治験推進室長 御指摘ありがとうございます。事務局も同じ認識でおります。基本的には2つほど重要なことを考えていて、1つは、そもそも補償ありきではないはずです。本来、副作用等のリスクを被験者にお伝えするのは、一番頻度が高いもの、より重篤なものから先に伝えるのが当たり前で、今回の研究に参加されるに当たってのリスクはどういうものですというのを、本来お伝えするのがメインなので、レアケースのレアケース、このようなことも報告がありますということをお伝えするのに時間を割くのは、本来のものではないことは承知しています。だから、基本的にこの取組については、もともと重篤なもの、あるいは、高頻度なものからインフォームド・コンセントなどで御説明頂くものと理解しています。
さらに、その網羅性の観点から、最終的に別添でもいいですし、最終的に網羅的なものをお示しいただく形によって、いわゆる既知・未知を明確にする観点で御提示させていただく案として、ここでは同意文書等に書きましたが、そういうことを想定していますので、最初からレアケースの取扱いを前面に出して何時間も説明してくれという意味ではないと思っています。
そういう意味からすると、一番大事なのは、リスクとして、副作用はどのぐらいの頻度で、どういったものが起きるのかを、まず説明していただく。そういった中でも、最善の注意を払っても一定の確率で起きてしまうかもしれないものがあって、更にアンノウンなものがもしかしたらあるかもしれない。そのものについては、補償金があれば、非常に重篤になった場合の補償金をお支払いすることが保険商品として可能となっています。
それでは、既存の補償金の補償保険に加入できない場合にあっては、せめて医療費・医療手当の上限までの話は、加入していますので、患者さんについての御負担を軽減できるのではないでしょうかと、こういうストーリーになるのではないかと思っております。基本的に全ての制度が完全であるわけはないし、どこまでできるかは、当然ながら限界もあります。そういう観点からすると、今回の話も実際には保険商品の立案を企業にお願いせざるを得なくて、幾ら見積もられるのか、設計が常識の範囲に収まるかは、今お願いしているところなので、これはあくまでも通知レベル等で原則お願いするということが言えるかどうかも、その結果次第ではあるのですが、それが具現化できた場合にあっては、こういう設計で進めさせていただけないかと考えているものです。
○掛江委員 事務局の趣旨は非常に理解ができていているのですが、委員の先生方からも御指摘があったように、恐らく事務局の意図とは違う形で説明文書が分かりにくくなる方向に進んでしまう可能性が危惧されるわけですので、個人的には、今回、補償の対象となる既知の副作用に関しては、インフォームド・コンセントの説明文書に記載されている、されていないという切り分けではなくて、別の定義できっちりと定めていただいた上で、ICの説明の更に別添として補償保険の詳細なところについて、こういうものは既知の副作用としてあるので、これは対象ではないけれども、これ以外の未知のものとかという御説明をしていただくほうが、説明、IC自体の趣旨も崩れず、良いのではないか。今までいろいろな先生方の御経験の中でIC文書が分かりにくくなっていて、日本でも煙に巻くような長文のIC文書は適切でないと考えてくださっている研究者が増えて、説明文書の質も非常によくなっていると感じるところも一部あるところなので、それがまた逆行しないように、IC文書で定義するのではなくて、別途していただけたらいいのではないかと感じています。
○森光研究開発振興課長 もちろん我々も同意説明が本来の趣旨から外れることに関しては、非常に危惧をしている部分はあるのですが、患者さんに試験に入っていただくときに、ちゃんと納得をしていただいたもの以外のところで生じたものに関して、補償をしていただくというところでどうかというところがありますので、それが同意説明文書というもので規定するのか、掛江先生がおっしゃった補償というところを説明するときに使った文書になるのか、そこはまた運用になりますので、証券会社との話にはなりますが、基本的に事前にちゃんと提示をしたもの以外というところでお話を持っていきたいと思っております。
○羽鳥委員 補償保険のことですが、生活習慣病などの医師主導自主研究のような研究を含めてすべての研究において補償保険に入らなくてはいけないのでしょうか。医師主導研究の高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満などの薬のように大きな副作用が出るとは考えにくいものもあるし、また循環器のNOACのように副作用が生じると寝たきりになってしまうことも想定される研究もあるかもしれません。ですから、藤原先生が説明された、抗がん剤みたいに生命の死と直結する事例の研究でないものや重篤な副作用が出るものもあります。その商品のモデルはいくらぐらいでしょうか。例えば、患者1人当たり1,000円ぐらいのレベルで済むのか、あるいは1人の研究に参加してくる人に1万円、何万円も払うなどのモデルも幾つか出ているのでしょうか。
○井本治験推進室長 基本的には、指針を平成20年から運用して現状に至るまで、抗がん剤とか、高確率で死亡、重篤症例が起きる領域以外は、原則として加入商品が存在しているので、それをお使いいただいているという整理になっておりますので、今回、御議論いただいているものは余り影響を与えるものではないと思っています。今回、御説明させていただいたものは、今まで保険商品がないために、補償を研究者個人に転稼されてもどうしようもないということがあったので、できなかった領域について、新しい保険商品を作ってもらえないかと。単に保険に加入ということは簡単ですが、一時金型のものと今言った医療費・医療手当型は、内容が全然違うものになりますので、まずは一時金型の死亡とか重篤で、御遺族あるいは患者さんが、後遺障害が起こった場合についての補償金型の商品は既に動いているものがあります。これはこれでよろしいかと思うのですが、今回、そうではない領域について、パッチを当てる整理ですので、御懸念のところについては、正に新しい商品を作るに当たって高額になり過ぎないようにということを考えているものになります。先生が御指摘になった循環器とかの話については、既に普通の保険商品が売られていて、そこに加入されているということですので、今回、御議論いただくものの対象ではないと思っております。
○羽鳥委員 例えば、NOACドラッグみたいに臨床研究に入ったがために寝たきりになってしまうこともあり得ると思うのですが、その場合でも、今存在する保険で十分だという御認識ですか。
○井本治験推進室長 そちらについては、死亡、重篤、後遺障害については、既に補償金型の商品があって、数千万円の補償金が払える保険が動いているので、それを今までどおり加入いただければ何の問題もないのではないかと思います。
○楠岡部会長 1点、これは確認ですが、今回の法の対象になっている1番目の未承認・適応外に関して、これの補償に関しては今のところ保険しかないと。2番目の、製薬会社がスポンサーの資金を提供しているもので、適応の範囲内で実施されている研究に関しては、しばしば副作用救済基金が使えるのではないかという議論があって、そこのところに多少誤解があるのですが。この辺に関しては、通常診療であれば副作用救済基金の対象になるものであっても、この法の下で行う場合に関しては、必ずその補償若しくはそれに伴う保険に加入という、掛金は未承認とはかなり違うだろうけれどもという解釈というか理解でよろしいのでしょうか。
○井本治験推進室長 この話については、そもそも人医学系研究指針の解釈の上で大分前から言われていたことです。救済基金の運用については、基本的に適正使用という話で切っていますので、時系列的にずれが発生していることを御認識いただきたい。研究を始める段階で適正に使用されたかどうかは、誰も保証できない。計画としては適当であったとしても、その患者さんに適正使用されたかどうかを予め保証することはできない中で、必ず救済基金の救済が発動すると約束できる人はいないと思います。ですから、当然、救済基金の対象になり得ることがあるとは思います。つまり、承認の範囲内で通常の診療と同じように使われているので、適正使用に使いましたという主治医なりの判定があって、諸般の手続を踏めば結果的に償還される可能性はあると思います。そこは正しいと思います。
ただ、その制度があるからといって、個々の症例が必ず補償されるかというとそれは間違っていると思います。その話は指針運用のときからずっと申し上げていて、救済基金の補償制度に漫然と依存する考え方は危ないです。というのは、実際には通常の診療が行われている診療においても、救済基金でお支払いできる場合とできない場合が起きていることを考えると、個々の症例において、判定委員会の手続の中で適正に使用したと言えるかどうかというのは、個々の事例について判定委員会にかけてみないと分からないところがあるというのが正しい理解ではないでしょうか。したがって、救済基金の救済制度があるから大丈夫でしょうというのは、ちょっと無責任ではないのではないですかということを、事務局としては申し上げてきた経緯があります。
○楠岡部会長 そうしますと、救済基金で補償されるケースもあるけれども、全てがそうではないので、救済されない場合においてはこの保険を使うと、そういう2段構えという考え方でよいということですか。
○井本治験推進室長 重篤な副作用が起きてしまった後からだと、研究費でも医療費等を払うことができませんので、あくまでも副作用が起きないうちに一定確率で発生するものとして、リスクを均霑化した保険として予め保険に加入するということが保険制度の考え方ですので、臨床研究を実施前に重篤な副作用が起きたときのために皆さんに入っていただくという整理になっています。補償保険への加入の他に、救済基金の救済が可能になれば更にハッピーだとは思いますが、繰り返しになりますが、時系列的に救済基金の補償は事後的に確定するもので、予め救済決定が確約できないことから、まずは可能な補償保険をご利用いただいた上で救済制度に申請いただくという形で御理解いただけると、現場では混乱がないのかとは思っております。
○藤原委員 追加で1点だけ質問です。経過措置がいろいろ適用されると思うのです。そうすると、今、抗がん剤領域の臨床試験は、大半が補償保険には入らずに対応しているのですが、今回、この法律が施行になった後、来年、認定臨床研究審査委員会で書き直しますよね。そのときに補償はずっとチェックするというふうになっていたと思うのですが、今走っているものは、補償保険は加入するのでしょうか。
○井本治験推進室長 基本的にできないと思います。ここは最初からさじを投げて申し訳ないのですが、何点かの観点から、今、継続中の研究について、あらためて保険に入ることは不可能だと認識しています。その1つ目の理由は、この手の補償保険への加入は臨床研究をやる前に契約するものですので、スタートしてから追加契約は、症例数が増加といった特殊なケースは別ですが、新たな主契約を結ぶことはほとんど不可能ではないかと思われます。また、症例ベースで見ますと、既に補償がない状態で組入れが終わった方と新しく組み入れられる方が同一プロトコールでありながら、補償の対象の可否を変更することは、同一プロトコールにおける平等の原則に反するということもあって、倫理的にも問題視されると思われます。それ以外にも実際に途中でそういった条件を一気に切り換えることは、以上のような問題点もありますので、申し訳ないのですが、新規に臨床研究を実施するものから順次適用していただく形が現実的ではないかと私は思っております。
○楠岡部会長 その辺では、通知の中で示すということですね。ほかはありますか。では、補償の点に関してあるいは補償保険に関しては以上のところで、また最後もし何かありましたら、御質問をお願いします。では、次、2番目の利益相反管理基準についてお願いします。
○吉高研究開発振興課長補佐 4ページです。「利益相反管理基準等について」ということで、前回部会で触れた関係で、国が推奨するものとして現在考えているものをお示しするものです。まず、前回資料を流用した全体の流れの確認です。まず、図の真ん中の研究責任医師が、1のとおり利益相反管理基準を作成し、研究に関わる企業を確認します。それから、左側の所属機関・実施医療機関で、2のとおり各研究者の企業との利益相反状況について、研究責任医師からの依頼に基づき各研究者が作成した申告内容を確認し、3のとおり結果を研究責任医師に報告書で報告する。そして、それを受け取った研究責任医師が、4のとおり利益相反管理基準と報告書に記載された事実関係の確認結果を踏まえて、具体的に何をしていくのかを定めた利益相反管理計画を作成し、その右にあるとおり、利益相反管理計画と利益相反管理基準を認定臨床研究審査委員会に提出するといった流れです。
続いて5ページです。先ほどの御説明とも重複する部分がありますが、縦軸にそれぞれの関係主体、横軸にやらなければならないことを整理した上で、それぞれに対応した様式をAからEまでとしております。本日御紹介するのが様式AのCOI管理基準、様式Bの研究に対する企業の関与を確認するためのチェック項目、それから様式Cの各研究者に対する企業の関与を確認するためのチェック項目の概要です。様式D、Eについては、様式Aから様式Cまでの内容をサマライズするものですので、本日は割愛させていただきます。
続いて6ページです。5ページの様式A「利益相反管理基準として推奨する具体的内容」を示したものです。まず、1.で、企業との利益相反については、直接、間接問わず、研究計画書に正確に記載し、IC時に明示するとともに、研究成果の公表時に開示すること。それから2.で、企業等からの研究資金の提供を受ける場合は契約を締結すること。3.で、原則として研究責任医師・研究代表医師から外れなければならない場合の要件として、1企業の寄附講座に所属し、かつ、企業が拠出した資金から給与を得ている、2企業から当該年度又は前年度に年間250万円以上の利益を得ている、3企業の役員に就任している、4ストックオプションを含め企業の株式を保有している、5研究に用いる医薬品等の特許権を保有していたり特許を出願している、このような内容をお示ししています。
7ページに利益相反管理基準が続きますが、4.で、先ほどの基準3に該当するにもかかわらず、研究責任医師・研究代表医師として研究に参加する場合には、データ管理、モニタリング、統計解析に関与する業務には従事しないものとし、監査を受けること。5.で、研究責任医師・研究代表医師、は生計を同じにする配偶者や一親等の親族が基準3に該当する場合においても、先ほどと同様、データ管理、モニタリング、統計解析に関与する業務には従事しないこと。6.で、研究分担医師は基準3に該当する場合には、データ管理、モニタリング、統計解析に関与する業務には従事しないこと。7.で、企業の研究者が研究に関与する場合は、原則として被験者のリクルートやデータの管理、モニタリング、統計解析に関与する業務には従事させないこと。ただし、やむを得ずデータの管理、統計解析に関与する業務に従事させる場合は監査を行うこと。8.で、研究開始後、研究と関わりのある企業が新たに生じた場合は、委員会に利益相反管理計画を再提出すること。また、研究に従事する者に新たな利益相反が発生した場合は様式Cを再度作成し、研究責任医師はそれが基準3から基準7までに抵触するに場合は、利益相反管理計画を認定臨床研究審査委員会に再提出し、それ以外の場合は定期報告の中で報告すること。以上のようなルールをお示ししております。
続いて8ページです。こちらは先ほどの様式B「研究に関係する企業を報告する際の確認事項」について示したものです。まず1.で、企業が製造・販売する医薬品等を対象とした研究かどうか。2.で、研究の実施に企業等から受け入れた研究費等を使用するかどうか。3.で、研究に使用する医薬品等が企業から無償あるいはディスカウントで受領・借用するものかどうか。4.で、企業から無償あるいはディスカウントで役務の提供を受けるものかどうか。5.で、企業等に在籍する者が参加する研究かどうか。以上のような内容について確認していただき、該当がある場合には、それぞれ詳細を記載していくことを考えています。
9ページは、先ほどの様式C「研究に携わる各研究者の利益相反に関する確認事項」についてお示ししたものです。まず1.で、申告者が実質的に使途を決定し得る寄附金の総額が年間200万円以上を超えているかどうか。2.で、企業が提供する寄附講座に所属しているかどうか。3.で、申告者あるいは申告者と生計を同じにする配偶者と一親等の親族が、年間合計で100万円以上の個人的な利益を受けているかどうか。4.で、企業の役員等に申告者あるいは申告者と生計を同じにする配偶者と一親等の親族が就任しているかどうか。5.で、申告者あるいは申告者と生計を同じにする配偶者と一親等の親族が企業の株式を保有していたり、出資を行っているかどうか。6.で、その他、企業との利益関係があるかどうか。以上のような内容について確認していただき、こちらも該当がある場合にはそれぞれ詳細を記載していくことを考えています。利益相反管理基準等については以上です。
○楠岡部会長 まず、ここまでのところで御意見をお願いいたします。
○山口委員 6ページの3の1から5に該当する場合は、「原則として研究責任医師、研究代表医師から外れる」と書いてあって、4に、外れるのだけれども該当する場合はこういうことをしないといけませんと書いてあるのは、何か理由があって1から5に相当するけれども、研究責任医師あるいは研究代表医師にならざるを得ない場合という想定だと解釈したのですが、それでいいのでしょうか。それと、「原則として」とあるのに、原則を外れる場合というのは、何か限定されるのでしょうか。
○森光研究開発振興課長 この場合については、推奨基準として、基本的には利益相反の管理としては、その前にこういう関係があるということを公表することが必要だと思っています。そして、基本的にこの目的はデータの信頼性をしっかりと担保していくということで考えています。データの信頼性を担保するという意味では、次に、個人的な利益の関係がある場合に関しては、できれば研究責任者から外れたほうがいいというところになります。
ただ、それでもこの研究に関してはこの先生が主導することが望ましいというような場合に関して、どうしても研究責任者として入られる場合に関しては、いろいろと研究には役割がありますから、役割分担のうち、それについては関わってもいいのではないか。ただし、そこに関しては、データの信頼性を担保するためには、そういう第三者の監査という形でデータの信頼性を確保するという形を取ってはどうかという基準になっています。
○山口委員 私は原則として利益相反はあってはいけないと思っているわけではなくて、あることをきちんと公表することが大事だと思っているのです。ということは、やむを得ない場合というのは、更に透明性を担保していって、モニタリング監査を受けることによって、その透明性を担保するのだと読んでよろしいのでしょうか。
○森光研究開発振興課長 そのとおりです。
○楠岡部会長 正に御指摘のとおりで、本来は利益相反がある人が携わらないのが一番間違いないわけですが、開発の早期段階で、研究者はすごくいいと思っているのだけれども誰も信じてくれなくて、自分でやらざるを得ないようなケース。ただ、その場合に自分でそれが効いた、効かないという判断をしたのでは意味がないので、それは効果安全性評価委員会を置くとか、監査を行うことで、そこの透明性を担保していく。ただ、フェーズが進んでいって、みんながある程度これは効きそうだということが分かれば、代わりにやっていただける方は出てくると思うので、その段階までは関わる必要はないだろうということになります。開発のフェーズによって、幾つかの条件の下の特例的なものとして考えるということになるかと思います。
○花井委員 今の所は私も引っ掛かっていて、これだったら最初から「下記の場合の者が研究責任者、研究代表医師になる場合は、モニタリング、統計解析ができず、監査を受ける」と書いたほうが、素直な気がするのですが。山口委員が言ったように、限定するならこういう場合だけできるというものがないと、ちょっと理屈が分からないのですが。
○井本治験推進室長 理屈としてはこうなります。基本的に3はゼネラルルール・原則として据えておきたい。我々としてはCOIがありながら当事者になることを望まないという意思表示をしたいと思います。ただ、実際には臨床研究のステージによってはやむを得ないこともあり得るだろうと。例がいいかどうか分かりませんが、難病などの非常にニッチな領域においては、研究者と患者団体あるいはそこを支援していただく企業がほぼ特定されているような場合は、これは全部できなくなるのです。当然ながらアーリーフェーズだけではなくて、特定のニッチな世界だったらそういうものが数多く存在してしまった場合に、我々は禁止したいわけではない。本来は人から疑われるような関係にあってほしくないけれども、そうでなければならないような事態は、きちんと申告してください。なぜそうなったかということも含めて認定臨床研究審査委員会に申告すれば、条項の1と2が発動しますので、事実を開示することをもって、社会として受け入れませんかというメッセージ性を持って、3で原則をうたった上で、そうではないときはしようがないですよね、きちんと申告してくださいという設計にしてみたという理解でおります。
○花井委員 よく分かりました。それは素晴らしいと思います。
もう1つは、3に挙げられているものがズラッと並んでいるのですが、利益相反性については微妙にレベルが違うというか、250万円以上というと、250万円から100億円まで入るということなのですかね。その程度というのが、地位とお金の両方だと思うのですが、地位にお金が付いてくる、お金だけだったらどうかというところで、確かにデータの信頼性の下で4に関わることなのですが、私が一番心配するのはリクルーティングです。リクルーティングをして説明してくれる先生が当該メーカーの役員で、年間3,000万円ぐらいもらっている人から説明を受けるのと、別に講演料で250万円前後を受け取っている先生というのは、相当違うと思うのです。リクルーティングについては、限定はみんなやっていいということなのでしょうか。
○森光研究開発振興課長 そこに関しては私どもも検討しましたが、花井先生がおっしゃるところは、同意取得をしようとするときに、その方が250万円をもらっているのか3,000万円をもらっているのかでは、違うだろうという話があるのですが、ここはデータの信頼性に関しての基準ということで、そこをこうやればデータの信頼性を担保できるのではないかという基準になります。
では、患者に対してそれをどのように誠実にしていくかということなのですが、まず、そこは「IC時に明示し」ということで、関わりがあるということはしっかりと言っていただくのですが、幾らの話とか、細かいところは、実はこの利益相反管理という意味ではなく、どのように患者に説明するかというところでの話だろうと思っています。
それで言うのであれば、各施設に利益相反管理委員会があると思います。基本的に、認定臨床研究審査委員会においては、この先生は幾らもらったというところまで個別に挙げていただくということではなくて、例えばこういう物差しがあったときに、この人はこれ以上もらっているから、このように外れてもらう、このように監査を入れるということは、データの信頼性として見ていただきます。
ただ、各施設において、実際にその方の所得だとか、そういうものを把握した上で、この方は外れてもらったほうがいいのではないかというようなアドバイスがあったり、この方に関してリクルートについてはプラスアルファを考えてはどうかというアドバイスなり助言をもらうことに関しては、全く規定しておりませんし、それをもって研究責任者がそれをどのように考えたかということに関しては、逆に、こういう指摘があったのにこのようにしませんというのは、認定臨床研究審査委員会で明らかに議論していただくということになると思います。少し回りくどい話になるかと思いますが、そこはプラスの各施設の利益相反管理委員会なりのアドバイスなり助言のところで、検討してもらうことになるのではないかと思います。
○花井委員 おっしゃるとおりとは思っているのですが、要は、各施設のCOI委員会の機能と、研究責任医師あるいは研究代表医師、これは具体的、個別的な話なので、この場合はこの先生がやるのでという話は、幾らでも研究計画などでできるわけです。それが、いわゆる被験者側の感覚に合致した形でやっていただければ、この規制で全部公開しろという話ではないと思うのです。現実の実態との関係です。
だから、今の実態として、各施設のCOI委員会が必要に応じてそういう助言・勧告できるような委員会ばかりではないということと、研究をしようとする代表者は、データ管理などは信頼性から規制されているけれども、患者の説明はやめたほうがいいという場合もあると思うのですが、そういったことがきちんとできるかというところなので、私は実は疑わしいと思っているのです。患者のインフォームド・コンセントの現場とリクルートの現場は、先ほどから言うと相当幅があって、それがこの法律によって適切になるような規制になっていないというところは懸念を示したいと思います。今後、運用の中でいろいろやっていく中で、それは治さなければいけないのかもしれません。
具体的に、例えば関わっている人がメーカーからどれだけというような、いわゆる製薬協の公開の話から分かるようにはなってきているのです。そういうことと併せて、そこの会社の役員で年収が1億円だから、あなたの研究には参加しませんというわけでもないと思うし、そういうことと併せて、見守っていくしかないかなと思います。ただ、COI委員会は、もう少し何とかなりませんか、もう少しきちんとするということで。
○森光研究開発振興課長 そこについては私どもも非常に懸念していることもあって、少し基準なりを示させていただいた部分ではあります。今後、各施設の利益相反管理委員会の質を高めていくところはすごく大事だと思っています。今まで、ある程度の物差しはあっても、どうすればいいかという助言や勧告に至るところについては、各施設によって質の差があったし、やっておくだけで中身の議論をきちんとしていない施設はかなりあったと聞いておりますので、そこについては今後しっかりと充実を図っていきたいと思っています。
○清水委員 原則はこのやり方でいいと思うのですが、信頼性担保ということから言うと、研究代表者及び責任医師にCOI関係がある場合は、データ管理、モニタリング、統計解析、結果の解釈を含む部分に従事するのを避けろというのは、当然だと思います。先ほど楠岡部会長からも御指摘があったように、非常にアーリーなところでやると、自ら見付けて患者に効くに違いないから何とか試したいというモチベーションで始まるような研究の場合には、少なくとも責任医師になる人はほかにいないので、それを推奨すると。一方、データ管理、モニタリング、統計解析、その他のところというのは、代表者でなければCOI関係がズブズブの人がやっていいかと言えば、むしろ逆だと思うのです。データの信頼性の担保という点で言うと、これに関与する人は、COI関係を持っていてはいけないのだと思うのです。分担医師なりデータマネジャーなり、統計解析をする者がきちんとCOI関係を明らかにして、公正にやっているところを担保しないと、代表者にCOI関係がなければいいかというと、そういうものではないのではないかと。そこは今回の趣旨と少し違うかもしれないのですが、COIマネジメントを考える点で言えば、むしろ私どもの大学などでは、そういうところは独立したサポーティングセンターがあって、そこでデータをハンドリングすると。特にCOI関係がズブズブの人がデータをいじっていたらいけないというのは、むしろそちらからいかないといけないので、これは必要要件とするのですが、むしろ本当に代表医師がやってはいけないとされた業務に携わる者のCOI関係というのをしっかりしておかないといけないと思います。
7の企業の関係している場合、どうしてもそうせざるを得ない場合があるのでというのは当然そうなので、これはこういう縛りを掛ければいいと思うのですが、そうでない研究ですよね。特に企業から資金提供を受けて、COI関係がはっきりしている、当然COI関係があるような状態の研究が進行する場合について、むしろここに従事する者のCOI関係は明確に明らかにして、そういうものが当たっていないということにしないといけないのではないかと思います。その辺はいかがでしょうか。
○井本治験推進室長 おっしゃるとおりです。ただ、2つのお話があろうかと思うのです。1つは、この法律においての責任者は誰かということです。研究責任者をピン止めして、その人に全権責任を負わせるので、その人の管理監督権限もある意味で認めた上で、その人が照会しなさいという話もあります。ただ、肝心の照会する研究責任者が利益相反がバリバリだとしたら、どうしようもないという観点がメインに置かれているというのは、まず御理解いただきたいと思います。
次に、利益相反関係について管理規定は置きますが、調査対象としてはデータを中心とする解析責任者であるとか、この研究自身にパテントを持っているとか、いわゆるフィクサー的な者についても調査対象としては調べていただいて、それについては研究責任者が管理計画の中でその人の関与を見てもらうことを想定はしているのですが、当の本人たちは、この様式Aの所で見ざるを得なくて、ここでしっかりと当事者たちは管理された上で、そういったメインキャストについてもきちんと目配りして、計画を掛けるものという形で発展するのかなと思っています。
○楠岡部会長 実務的に、統計解析が同じ施設内の方であれば、同じ施設の中でCOIは判断できると思うのですが、他施設の場合は、その方に当該施設のCOI委員会に資料を出してもらうというのは結構ハードルが高いところもあって、そういう意味では先ほどの事務局のおっしゃるとおり、責任医師がそこを自分で判断して排除していくなり、あるいはもし関係があるならどの程度の関係かを把握しておいていただくということで、今のところはやむを得ないところではないかと思います。
○新谷委員 前回だったと思うのですが、統計解析に関わる者もCOIがある場合は開示しなければいけないということだったと思いますので、他施設であってもそれは可能ではないかと思います。いかがでしょうか。
○森光研究開発振興課長 そこの部分については開示していただくことになっています。
○掛江委員 教えていただきたいのが1点とコメントを申します。7ページの下の※の1と2に、公安委員会への参画を含む、含まないという所があります。本文を拝見すると、要は基準3の1から5に該当する方は公安委員会の委員になれないというルールであるという理解でよろしいのですね。
○井本治験推進室長 はい。
○掛江委員 あとはコメントです。被験者のリクルートに関して、7ページの7で企業の研究者にはさせない行為としての記載があります。花井委員と似ている意見だと思うのですが、被験者のリクルートは倫理的な観点だけではなくて、信頼性の意味で影響があるのではないかと思います。もちろん、我々の領域のように患者の数が少ない病気の場合にはそのようなことは言っていられないのですが、患者の数が多いコモンな病気の場合には、リスクの低そうな患者を選ぶとか、効きそうな患者を選ぶとか、それはそもそも論として、昔は臨床で研究に協力してくれそうな患者を選ぶという取捨選択があったのと同じようにバイアスが発生すると思うのです。その部分が科学性や信頼性に影響を及ぼさないかと言われると、影響があるのではないかと考えるので、その観点からは、企業の研究者にだけさせない行為として被験者のリクルートを明記するというのに抵抗があるというか、基準3の1から5に該当する責任医師や代表医師においても、リクルートには関わるべきではないとしていただくことは、信頼性の担保という観点からもあっていいのではないかと感じました。
○井本治験推進室長 御指摘いただいたことについて、むしろ研究者の先生方にご意見を伺いたいと思います。というのは、私どもは冒頭にお話させていただいたとおり、利益相反管理の原点は研究の禁止ではないと考えています。基本的には疑いを晴らすために透明性を確保してくださいということを主眼に置いています。結果を捻じ曲げることのないように、諸般の手続を踏みましょうということを念頭に置いて、これを構築するために必要な手続きや基準をどのようにしたら良いかという観点で調整させていただいております。
先ほど「ニッチなときにはしようがないではないか」という議論があるように、特に黎明期の研究段階であるとか、非常に患者が少ない中で、ステイクホルダーと患者が一体化している場合にこれを完全に禁止してしまうと、研究自体をするなということに等しいのではないかという現場の批判が上がってしまって、結果的に患者に迷惑を掛けるのではないかと危惧していたことから、ここについては患者と医師の信頼関係の下に診療も行われている中で、研究としてではなくても未知の医薬品等を使った治療がなされることもあり得ることを考えると、そこまで踏み込んでしまって大丈夫かという不安があって、事務局としてはそこまで踏み込む勇気を持てなかったのですが、先生方の現場において、それは大丈夫だと。難病治療とかニッチの世界でも大丈夫だと言い切っていただけるかどうかというのは、むしろお聞きしたいところなのですが、いかがでしょうか。
○楠岡部会長 その点は先ほど幾つか議論があったように、特にリクルートというのは患者との信頼関係があるところなので、実際に患者を診ている方を外してしまうと、結局ほかの人が言っても全然患者が入ってくれない場合も十分にあり得るようなことがありますので、現段階においてリクルートまでを禁止してしまうと、一部の研究は進まなくなってしまう可能性がある。もし、何か特定の事例においてリクルートに関して問題が生じるならば、そのケースに関してはリクルートを、将来何か制限を加えるという、現状を見ながらのほうがいいのではないかと思います。いきなり最初から全部駄目としてしまいますと、かなり弊害が大きなところがあると思うのです。
○清水委員 全くおっしゃるとおりだと思うのです。リクルート行為というのは非常に幅の広い話なので、御説明して「どうですか」というところとか、それからそういう患者がいたら是非紹介してくださいという形で、ほかの医療機関の先生にお願いするとか、そういうことも全部含まれる行為なので、これを一切禁止してしまうと、かなりの研究が成り立たないということになると思います。
一方で、むしろデータの信頼性など、ある意味で効きそうな患者だけを集めるとか、そういう恣意的な行為ができるかどうかというのは、1つは選択基準、除外基準が的確に守られているかどうかという、モニタリングあるいは監査のレベルの問題です。それから、私どもの事例で恐縮ですが、本当に発明者本人が責任医師として治験をするような場合を考えたときに、当然、効きそうな患者だけを選んだのではないかと言われたら具合が悪いので、実際に打診したけれども、採択しなかった患者のデータも記録として残してくださいと。どういう理由でこれを採択しなかったのかということです。採択の声さえ掛からないという話まで持っていってしまうとどうしようもない話なのですが、一応説明しようかというところまでいった、あるいは紹介があった患者について、採択しなかった場合でも、どういう理由で採択しなかったのかを記録に残しておいて、これは効きそうもないからやめたのではないかと後で疑われないようにしておいてもらうことをお願いしたケースがあります。
ですから、リクルート行為を一律にCOI関係があるからと禁止してしまうと、成り立たない研究は数多くあると思うので、むしろそうではなくて、きちんとどういう経緯で採択された、あるいは採択されなかったということに関して記録が残るような形を推奨すべきではないかと。
そういうCOI関係のある方がそういうことに当たるというケース、特に知財を持っているというようなケースだろうと思うのですが、そういった場合には、後から結果がよかったからといっていいのだけを選んだのではないかと言われないように、きちんと証拠を残してくださいということが、研究者自身を守ることにもなると思うので、そういったことを別に担保する推奨はすべきだと思うのですが、行為そのものを禁止するということは避けていただくべきだと思います。
○楠岡部会長 極端な事例として、その病院でお一人だけが責任医師として登録されて、分担医師もいないような状況で、ほかの先生は患者に対して、実はこういう研究が走っているから参加を考えてはどうかと言えるのに対して、その責任医師の方はそれが言えないということは、ある意味で患者にとっての情報の提供にも不公平が出る可能性があるということもある。リクルートという言葉は非常に幅が広いので、どこまでを含むかによると思うのですが、少なくとも患者への情報提供などにおいても同じ病院にかかっていて情報をもらえる患者ともらえない患者がいるというのも不公平に思いますので、そういう意味においてもリクルートまではOKでいいのではないかと思います。
○新谷委員 今のリクルートの問題は、臨床試験研究にはビルトイン等を避けて通れないということがかなり周知されておりますので、それが起こらないように、そうあっても科学的に妥当な結果が得られるように、例えば無作為化を行うとか、デザインのステップで回避するようなステップもありますので、一概にこのリクルートが全部いけないというのは、ちょっと現場にとっては大変厳しいかなと思います。
○鹿野委員 ちょっと別の視点から確認をさせていただきたいのですが。COIに関して先ほど資料2で、資金提供等の情報の公表の御説明だったかと思います。このCOIについては、様式AあるいはB、Cがありますが、これは全て公開されるわけではないですよね。先ほどの、資金提供に関する情報等の公表に該当する項目のみが公表されるということですね。
○森光研究開発振興課長 はい、そうです。
○鹿野委員 ちょっと気になったのは、案外その先ほどニッチな領域であったりとか、あるいは非常に先進的な技術を使った治療法などは、割と研究者の先生がベンチャー企業を御自身で立ち上げて実施されるケースが少なくないということがあります。そうすると、これの3とか4とか、役員に就任している、あるいは株式を持っているというのに該当すると思うのです。そうすると原則として実際、基本的にはデータ管理、モニタリング、統計等は担当されないということなのですが、そういうこととか、あるいは配偶者、親族についても同じような条件が課されていますけれども、それについて公表はされないということですね。認定臨床審査委員会で、そこは適切にコントロールされているかを確認することでよしとする、そういう考え方ですか。
○森光研究開発振興課長 はい。基本的にはこういう会社と関係していますというような話は当然していただくのですが、その詳細な話についてはそれぞれの施設からこういう状態ですというのが上がってきて、これに関してこの基準のこれに当たりますよというのが出てきます。それは認定臨床研究審査委員会で、全体でそういう状況を見た上で、では代わりにこうしますよと、こういうふうに対応しますよというような対応策も一緒に出てきますので、それが十分であるかというのは認定の臨床研究審査委員会で見ていただくということになります。
○鹿野委員 もし何か問題があるのであれば、議事録等が公表されて分かるというか、そういう形なのでしょうか。
○森光研究開発振興課長 もちろんそうですけれども。基本的にまずその推奨する様式Aの所、6ページを見ていただきますと、まず基本はCOIについては1の1、臨床研究に従事する者等は、本研究と関わりのある企業とのCOIについては直接・間接かかわらず、研究計画書に正確に記載をし、ICに明示し、研究成果を公表時に開示する、というところがまず大原則なのです。
○鹿野委員 はい、分かりました。そうすると、この資料2の3ページ等に書いてあるのは、そのうちの資金の部分のみが抽出されて御説明されたということですか。
○森光研究開発振興課長 はい。
○鹿野委員 分かりました。ありがとうございます。
○渡部委員 すみません、確認なのですけれども、今日お示しいただきました様式A~Eというのは今後統一の書式のような形で公開されるという認識でよろしいでしょうか。
○森光研究開発振興課長 はい、そのとおりです。
○楠岡部会長 統一書式的なものなのですか、それともこれはガイドライン的なものなのか。
○森光研究開発振興課長 これは参照ですので、全体として作りやすいように様式も含めて全部公表はしていきますけれども、基本的には省令に定めるとかそういうことではなく、こういうのを推奨していますよということで、厚生労働省として出していきたいと思っています。
○渡部委員 ありがとうございます。認定臨床研究の審査委員会はいろいろなフォーマットのものを見ることになると、かなり煩雑になってくるかと思いますので、是非具体的なものをお示しいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○花井委員 先ほどのリクルートの話を蒸し返すのですが、一応議論の帰結としてはいいと思うのですけれども、確か研究をするのに、患者との信頼関係の下で話をしていくのだろうということを言って話が流れたのですけれども、ちょっと私はそこにある種の警戒感を持っています。
もちろんリクルートという言葉に幅があるように、信頼関係という言葉にも結構幅があって、お世話になっている先生のお願いは断れないということもあり得るわけです。そういった意味ではやはり本来は、しかも信頼関係があると言いながら、もしこの臨床研究がうまく行けば、ある企業がかなり利益を上げる可能性があり、そこの役員になっているとなれば、これは信頼関係という形で語れる人間関係であるのか。
そういう根源的な問題が存在することは踏まえた上で、今はこれで運用するというのは妥当だと思うのですけれども、かつてパターナリズムという時代があって、今はでは本当にインフォームド・コンセントが対等になっているかというと、やはりいろいろな形式があって医師患者関係はとても私秘的な関係なのです。やはりそれが臨床研究にどういう影響を与えるかというのは、先ほど全体のデザインで何とかコントロールする、信頼性があるとおっしゃったのですが、まあ、そうなのだろうなとは思いますけれども、そこはちょっとそういう留保があっていいと思います。意見として、すみません言わせてください。
それともう1つだけ、細かいのですが、7の7で、企業の研究者がデータ管理はやっていいよとか、データ管理の中身ですよね。ディオバン事件をふっと思い出すと、データ管理って打ち込みなのですよね。本当はデータ管理が駄目なのではないかと、ちょっと思ってしまったりするのですけど、どうなのですか。
○森光研究開発振興課長 実際的にはこのデータ管理もいろいろ幅はありますけれども、企業と共同研究をして、例えば臨床研究を各病院でやるのだけれども、そこから出てきた検体なりを企業のいわゆる研究所なりで更に詳細に解析をして、そこのデータと例えば臨床のデータとを一緒に突き合せて、新たなシーズを探すとか、ターゲットポイントを探していくとか、そういうことも結構やられていると。これはやはり医学の進歩に関しては、必要な部分であろうというところはあります。
そうした場合に、正にその研究計画書の中にこういうふうに関与するというのは当然正確に記載をした上で、やっていただくことが必要であると思っています。そこはそういう場合を考えますと、データ管理という意味は正にそこで企業の研究所の中でその患者さんのある意味データが発生していきますし、最終的に一緒に突き合せをした上で、こういう場合にこういう反応が出てきているというようなところも見た上で研究していくことになります。そういう意味でこの場合、ただし効果安全衛生評価委員会への参加は含まないというのは、正にデータの信頼性という意味で判定には関わらない。そこを除いたと捉えていただきたい。
○花井委員 あのときも判定には関わっていないですよね。そこに出す資料を作っていたのですよね。
○森光研究開発振興課長 ですのでそこは、ディオバンのときはそのデータの正に元のCRFのデータの改ざんと、それから解析にも関わったというところです。判定はちょっと分かりませんけれども。
○花井委員 判定には関わっていないですよね、あれはね。ただ、管理、統計解析には関わったということです。それだったら同じではないかとちょっと半分懸念を示しつつ、これって監査で担保しようという話なのですよと。監査というのは結局中間的に突き合わせて、ちゃんとしているかとか、全部やるというイメージなのですか。データ信頼性監査というのは。
○井本治験推進室長 基本的には、モニタリングをやられている中で、そのモニタリングの堅牢性等をそれに従事しない人が見て、ちゃんとそのとおりに動いているかという形で、モニタリングの実効性の担保も併せて見ていただけると思っています。基本的には以前掛江先生から言われた、監査はいつやるのか、具体的なケースを示して欲しいという御指摘があったと思いますが、具体例を全てお示しできた訳ではありませんが、COI管理の中で監査が必要な場合としてお示しできたのではないかと思います。モニタリングで自分以外の人がチェックするダブルチェックで、データの信頼性を確保することが本来業務としてあると思います。
念のためそういうのに従事していない人が、そのモニタリングなりのデータをちゃんといっているのかどうかを見ていただくというのを、期間中にやっていただくことでもって、全部終わってからではなくてちゃんとデータ固定なり進捗状況を監視できるものと考えています。
○花井委員 ということは企業の研究者が例えば打ち込みをやっていて、それをまた別の人がモニタリングしているという概念ですか。
○井本治験推進室長 そうです。
○花井委員 企業が持ち帰ってそこでという話もあり得るということですか。データはどうなのですか。私は実際のイメージが湧かないのです。
○井本治験推進室長 多分データ自身が発生するのは、医療の現場で発生しますので、実際にはビジットのときに被験者が来院してドクターによる診察を受けて検査・問診をされる。その内容がカルテに記載されて、カルテからCRFへの転記という入力行為等が行われる。ドクター自らがこのCRF転記をやるのであればそれで結構ですし、ドクターの意を汲んだ者がそこに転記することはあろうかと思います。
そのデータについて、EDCみたいなインフラを使ってデータが委託企業に飛んでしまう場合もあろうかとは思いますが、基本的にはデータの真正性を管理されていれば、それ自身は問題ないだろう。でーたとして合っているかどうかはモニタリングでチェックされているはず。モニタリングがまず第1段階のチェックポイントがあり、そのモニタリングがちゃんとワークしているかどうかを監査していただくという形で、2段階でその真正性を担保できるのではないかと思っています。
○花井委員 分かりました。
○国忠委員 今ちょっと聞き取りにくかったので確認もあるのですが。共同研究などをやる場合には企業がどういうところに絡むのかということが明確にされているということは、すごく我々にとってもやりやすくていいのですけれども、森光課長はそれを契約書の中に記載するとおっしゃいましたか。
○森光研究開発振興課長 計画書に記載すると書いてあります。
○国忠委員 というのは、契約の締結事項というのは今日最初のほうに説明があったのですけれども、そういうことも契約として入れておいたほうが、透明性が高くなるのではないか。そこまで入れる必要はないですか。私は海外でAROと共同でやっていたときに、必ずお互いの役割分担を明記するのが一番重要なところで、そういう意味では結構データ管理、統計解析を企業がやるというのはちょっと重たいところでもあります。それは契約の中に、資金等の提供に必要な事項という、その他に入れるのかなと思いながら、もう少し明記したほうがいいのではないかと思います。
○森光研究開発振興課長 この場合、資金提供に関しての契約事項と共同研究とは、またある意味、意図が違う部分はあると思います。
共同研究というのは、例えばお金がなくても、共同研究という形で企業とアカデミアが結ばれることもあります。そういう場合でも何がどうするとか、誰がどういうふうに責任を持ちます、この部分についてはこちらが責任を持ちますというような、詳しい契約を結んだりとか、そういうふうにあると思います。先ほどのところは、契約や資金を提供するに当たって、これは絶対契約上結ばなければいけないとなっているかと思います。
今回、COIのここの部分の利益相反の管理の話については、それぞれの役割分担をちゃんと明確にすることは確かにまず大前提です。ただ、それをお金のほうで結ばなければいけないかどうかは、また別だと思っています。
○国忠委員 ただ、資料2の1ページ目、契約の締結事項の4行目の右端のところですが、「研究資金等の額、内容及び支払いの時期」という項目で、そうしますと役務提供なども「資金等」の「等」に入るので、そこで契約の中で誰がどれだけ関わるみたいなことは、入れていけるのではないか。逆に言うと、それはもうひょっとすると求められているのかもしれない。事務局はこの「等」の中でどこまで考えていますか。
○森光研究開発振興課長 基本的には、ここについては資金の中でどういうものを目的として、どういうふうにお金を払っていただくということを記載していただくことになると思います。
恐らくおっしゃっているのは更に詳細な計画に正に入っていく内容の部分だと思われるので、それを本当にお金や資金提供の契約、いろいろな契約のパターンがあるかと思いますので、ここで詳細に全部書くとは、私もそこまでは考えていません。基本的に恐らく共同研究になると、更に詳細に検体の管理を誰がして、どういうふうに検査をするとか、情報はどういうふうに管理するとか、そういうところまで入ってしまう。それをこの契約の中に入れるかというのは、ちょっとまた別の話だと思っています。
○楠岡部会長 よろしいですか。他には。
○藤原委員 1点確認したいところがあります。8ページ、当該臨床研究に関係する企業との内容を報告するところの項目の5ですけれども、本研究に企業等に在籍している者及び過去2年間在籍した者又は実施医療機関等への出向者等が参加している場合に、いろいろなCOIの開示義務が生じるように読めるのです。その研究に関係ない企業出身者、例えば今、全国のAROを見ても元企業OBというのはたくさん就職されていますけれども、そういう人たちがAROにいると、その研究とは関係のない元企業責任者がAROにいるだけで、あらゆる関連の企業名を全部COIの対象として見ていかなければいけなくて、膨大な数になるようにも思えるのですけれども、ここの企業というのは広めに見るのか、それともこの研究に資金提供、あるいは本当に密接に関係している企業のOBとか出向者との開示を示しているのかを教えてほしいのです。
そこに関連すると、今の薬機法はCOIの記載はすごくルーズで余りこんなことは書いていないのです。ここまでやるのだったら、薬機法関連でCOI開示を本当にやるのかどうかというのも考えてほしいです。
○井本治験推進室長 基本的にここは本研究に参加し、その一部を担当する者と読むと理解しております。関係ない所に行っているところをいちいち拾い出すことは不可能ですし、意味もないと理解しています。また薬機法については、私が約束できるものではないので、御意見があったことをお伝えしておきます。
○楠岡部会長 ちょっと時間の関係もありますので、取りあえずこの利益相反管理基準については、幾つか御意見が出た中で、特に重要な点に関して通知なりのところで明示していただくということで、よろしいですか。それでは残り2つに関しまして、一緒に御説明をお願いします。
○吉高研究開発振興課長補佐 それでは資料の10ページ、「認定臨床研究審査委員会の各種業務と改善スキーム」ということで、前回部会の御指摘を踏まえ、委員会が審査意見業務の中で研究責任医師に意見を述べた場合におけるその後の流れについてお示しさせていただいたものです。まず、左下の研究責任医師が行った緑の枠、実施計画の申請、疾病等報告、定期報告、不適合報告等に対し、上の認定臨床研究審査委員会が法第23条に基づき意見を述べた場合、研究責任医師は、法第13条や17条等の規定により、その意見を尊重し必要な措置を取らなければならないという義務が課されることになります。
また、認定臨床研究審査委員会は、研究責任医師に対して意見を述べたときは、青の枠にあるとおり法第29条に基づき、右下の、厚生労働大臣にその内容を報告しなければならないこととされています。この報告であったり、あるいは研究者から直接行われる疾病等報告や、定期報告等を受け、厚生労働大臣は不適合事案や法令違反事案、保健衛生上の危害の発生事案等について把握することになりますので、その内容に応じて法第19条に基づく緊急命令、第20条に基づく改善命令等を研究責任医師に対して行うこととなり、こういった全体の流れの中で臨床研究の実施の適正化が図られる仕組みとなっています。
次に11ページです。「公正な公募により実施される臨床研究について」ということで、こちらは製薬企業等から資金提供を受けた特定臨床研究に関して、過去の部会において、財団等を経由して資金が提供された場合もこれに該当するといった基本的な考え方を共有させていただいたたところですが、これに関連して、団体等が製薬企業等からの資金を原資に、公正に公募・選考を行っている研究の取扱いをどうすべきか、というものです。
下の対応案で、1つ目の四角のとおり、このような場合は製薬企業等から資金提供を受けて実施する特定臨床研究には該当しないことと整理したいと考えていますが、2つ目の四角のとおり、公正性の確認を行うための方法として、その下の9点を確認することとしています。
1に、不特定多数の者の利益の増進が主目的であることが、ホームページ等で公表されていること。2に、研究課題が特定の製薬企業等の医薬品等に限定されていないこと。3に、対象者が特定の研究者や医療機関に限定されないこと。4に、応募の機会が一般に開かれていること。5に、選考が公正に行われること。6に、選考に適切な者が関与していること。7に、対象者や研究内容等を公表していること。8に、対象者から成果の報告を得ていること。それから9に、1から8までの要件をいずれも満たしていることをきちんと公表していること。これらの全てを満たすことが確認できた場合は、特定臨床研究としては取り扱わないこととしたいと考えています。事務局からの御説明は以上です。
○楠岡部会長 ただいまの御説明に何か御質問はありますか。
○羽鳥委員 8のこの成果というのは、ネガティブなデータも成果ということでよろしいのですね。それもきちんと公表するということですね。
○森光研究開発振興課長 はい。
○楠岡部会長 よろしいですか。
○花井委員 最後の話なのですけれども、実務上誰が確認するのですか。例えばこれは特定臨床研究にならないと思ったら、そのまま普通に勝手に進むわけですね。認定臨床研究審査委員会にかけなければ、法でひも付いた特定臨床研究であっても、走ってしまえば、それまでということになるのです。そうすると普通は特定臨床研究でなくても、認定臨床研究審査委員会にかけるのが推奨されるようなので、そこでこれは特定臨床研究だと言ってくれる形になるのか。そういう判断は誰かがしなくてはいけないということです。それは研究者が判断して、これは大丈夫、大丈夫ではないというので終わりなのですか。どういう形の運用なのでしょう。
○井本治験推進室長 基本的にはまず今回トンネルみたいなのはひっかけないといけないというのがあったと思います。ただ逆に、トンネルではないものについて全部巻き込んでいくと、社会の活力を失わせてしまう危険性がある。特にこういったものについて一番大事なのは、やっぱり出捐金を適正に公募に使っていて、お金を出した企業とは関係なく公平なピアレビューで評価されて、そこにお金を分配されているようなものを、どうやって除外するかということに尽きるのではないかと思います。
そういう意味からすると、この1から8に挙げているものは、そういった公正な手続きが取られているかどいうかの外形的な手続要件として研究費を交付している団体なりに課そうと思っています。それをちゃんと自己点検した上で、自分で宣告してもらうのが9ということで、「私は厚生労働省が指定したとおり適切な管理を行った上で研究費の交付をしています」と、自己責任で宣告したものが外形的に見て誰からも明かな形で手を挙げていただきますので、それをもって研究者としては一義的には信じる。
もし裏切られた場合にあっては、その事後処理は厚生労働省をもってやろうかと。というのは、少なくとも外形的な予見可能性がない限りは、関係者は動きが取れないだろうということなので、少なくとも1から8は自己点検していただいた団体なりが、ちゃんとこれを守ったことを自己責任において標榜していただきます。標榜した限りにはそれを信頼して動かしてみますが、裏切られた場合にはそれについてはまた考えましょう。
だからそこについて瑕疵がないものであれば、それを信じた人に特段の過失はないと思いますので、では手続きを踏んでくださいという議論になろうかと思いますけれども、善意の人を罰するものではないので、基本的には円滑な社会活動をある意味で阻害しないためにも、まずはこういうことから始めてはどうかと。特に今回の法律自身は、直接財団等を管理する法律になっていませんので、老婆心ながらこういったセーフティネットで1回ひっかけた上で、通るものであればそこは、1回は留保してもいいのではないかというような趣旨です。
○清水委員 これ、9番は公表されていることというのは、公正な公募により実施される臨床研究に該当するものだということを、公募時等に公募する側が、要するにこの団体側が自らデクレアしろということですね。
○井本治験推進室長 そのとおりです。
○清水委員 だから公募要領等に、今回の公募の研究はこういう形で特定臨床研究に該当するものではないということを、明示した上で公募しろという意味ですよね。
○井本治験推進室長 基本的には我々が法律の網にかけていないものでこういうふうに峻別するためには、そういうものを宣告して、自己責任でやったものについては、うちはトンネルと見なさないで一義的にいこうという姿勢を示すということです。もちろん事実認定に誤りがあれば補正をしますが、基本的には当事者たち、実際には縁が切れている、公正に公募している団体等においては恐らく迷惑な話でしょうから、自身こういった基準を自ら点検し、基準該当性を開示し、それについてデクラレーションしてもらえるものと思っています。その程度はしていただくことを約束いただかないと、研究者なりやっている方が判別不可能に陥るので、そういったものを信頼関係の中でまず回してみましょう。それが違うのであれば、事実認定を改めてさせていただくことになるでしょうということでいかがでしょうかというものです。
○新谷委員 この2番の、公募対象となる研究課題が実質、製造販売業者の医薬品等に限定される設定となっていないこととあるのですけれども、公募段階では限定されなくても最終的に選択された課題が、当該業者、製薬企業の医薬品等の効能を評価するようなものであっても構わないということですか。
○森光研究開発振興課長 そのとおりです。
○楠岡部会長 他によろしいですか。
○羽鳥委員 10ページの3のほうに戻るのですが、認定臨床研究審査委員会を、森光課長も先週、東北のある大学に説明に伺っているとお聞きしましたが、日本医師会のある委員会に出ておられる大学教授から、この認定臨床研究審査委員会の数が余りにも少ない、当該大学にはどうも作れそうもないということになったときに、東北地方基幹の東北大学に全て審査にもっていかなければいけなくなってしまう。これから行おうとする臨床研究も不可能ではないかというおそれがあるということもあって、もう少し委員会の数を増やすとかしないと、研究が立ち行かないというおそれを言われたのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○森光研究開発振興課長 それは最初に想定が50ですという話だったので、御心配されているのかと思うのですが、実は基本的に法律の建付けを基準に要件を満たしている場合に関しては、国は承認することになっていますので、きちんと要件を整えて出されたものに関しては、私どもはきちんと承認していくことになります。ただ、3年後ちゃんとやられているかどうかによって、またそれは変わる可能性はあります。一応私どもでは、かなりの数の大学の方が手を挙げるように準備をされていると聞いていますので、そこに関して数にアッパーがあるというような誤解をされていることに関しては誤解ですので、そこは是非御理解頂きたいと思います。
○井本治験推進室長 あと、上限規定がないことは今申し上げたとおりですけれども、先日来、藤原委員からもお金はないのかとだいぶ言われました。財務省がある中でなかなかコミットメントはできませんけれども、調整費等でお金を付けられるめどが付いているものもありますので、大きな額を付けられるわけではないですけれども、今年度の調整費等でも実際に認定臨床研究審査委員会の準備を頂くところに支援金というか、準備に関する何らかの支援のプログラムを、予算として組める状況がありそうなので、そういったものも御利用いただきながら推進していただければと考えています。
○掛江委員 すみません、今のことに関連してなのですが、小児科領域の薬はほとんどが未承認薬や適応外使用になると思うのですけれども、そういった意味で恐らく小児領域で臨床研究を頑張ってこられた研究者の先生方が、最も負担が増えるのかなと思っています。もちろん小児の被験者が成人の被験者よりリスクにさらされることを望んでいるわけではないので、もちろん同等に規制がかかることは致し方ないというか、ウエルカムだと考えています。ただ、特定認定の審査の体制であるとか、諸々負担の増加で小児科領域の臨床研究が下火にならないように、何か御配慮を頂けないものかと感じているのですが、そういうのはなかなか御検討いただくのは難しいのでしょうか。
○森光研究開発振興課長 すみません、正直、小児科領域ですとかそういう形で特定の領域に関して何らか経過措置を持つということは、私どもは考えていません。基本的には難病にしても小児科の領域にしても、確かに臨床研究をしっかり支えていかなければいけないと、私どもは思っていますけれども、何の領域はこういうのを免除するとか、そういうのは若干、この臨床研究法においては信頼性を担保する、それから被験者の安全を確保するという意味では、やはり一定のものは守っていただきたいと思っています。
ただ、先ほど認定臨床研究審査委員会の話をしましたけれども、できるだけ多く手を挙げていただいた上で、例えば来年手を挙げていただいた審査委員会の先生方に集まっていただいて、審査がスムーズにいくように難しい領域の審査においてお互いに知恵を出しあうような会議ができないかとか、そういうような支援策というのは今検討しているところですので、それについても小児の領域についてもそういうことがあるかと思います。そういう支援策については考えさせていただきたいと思います。
○楠岡部会長 時間も過ぎております。手短に。
○清水委員 認定倫理委員会の数というか、設置のところなのですが、実際にこれを設置しようと思うとかなり大変だということが現場では認識されつつあります。各大学等で本当にこの特定臨床研究に相当するものがどのぐらい審査しなければいけないのかということを、早急に把握していただきたい。
これを一旦設立すると相当な資金が要るのです。事務局専従者を置かなければいけないとか、そういうことから考えると。年に数件しか審査がない、数件から10件とかそのぐらいの想定をしている所でこれを作ってしまうと、大変なお荷物に逆になると思います。お荷物という言い方はちょっと語弊があるかもしれないですけれども、ものすごく負担。やらなければいけない業務がものすごく大変なのです。手を挙げていただける所がたくさん出ることはむしろ歓迎なのですけれども、そこは慎重に考えていただかないと、実際にやろうと思ったら相当大変な業務になるということは現場では認識されつつあって、整備を進めている所ではどう担保しようか、人を安定的に雇用しなければいけないというところもあります。
研究ができなくなるから安易に自分の所で作りたいというような発想は、理解は可能なのですけれども、自分の所でやらなければいけないと必ずしも思っていただかないほうが、スムーズだと思います。手を挙げていただいた所にきちんと審査に出す。結局自分の所でとおっしゃっても、半数以上は外部委員にしなければいけないわけなので、結局自分の所でやるということのメリットは、実は余りない作り込みになっているので、あえて自分の所で自分の機関でとお考えになるよりは、きちんとどこに審査に出したら一番スムーズかということを調査されるほうが、実際には研究がスムーズに進むのではないかと思います。
○楠岡部会長 ありがとうございました。時間ですので本日の議事は一応ここで終了させていただきたいと思います。あと、事務局から何かありますか。
○森光研究開発振興課長 本年8月より6回にわたりまして御議論頂き、誠にありがとうございました。この部会で御議論いただいた内容を踏まえ、今後、臨床研究法の施行規則についてパブリックコメントを実施したいと思っております。部会長の楠岡先生をはじめとして、委員の先生方におかれましては、お忙しいところ御参集また御意見を頂きまして、感謝申し上げます。
次回の開催については、パブリックコメント実施後のタイミングを予定しています。現在候補日としては平成30年2月9日を考えています。開催場所、時間については事務局より改めて御連絡させていただきたいと思います。事務局からは以上です。
○楠岡部会長 それでは次回は平成30年2月9日ということで、それまでしばらく開催がないということです。そうしましたら、これで本日は閉会させていただきます。ちょっと時間を延長して申し訳ありませんでした。本日はどうもありがとうございました。
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