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2023年7月6日 令和5年度第3回入院・外来医療等の調査・評価分科会・議事録
15:00~17:00
○場所:日比谷国際ビルコンファレンススクエア 8F
○出席者
【委員】
尾形分科会長、秋山委員 飯島委員、井川委員
池田委員、猪口委員、小池委員、武井委員、田宮委員
津留委員、鳥海委員、中野委員、林田委員、牧野委員
眞野委員、山本委員
【事務局】
加藤医療課長補佐 他
○尾形分科会長
こんにちは。ただいまから、令和5年度第3回「診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会」を開催いたします。
本日の開催につきましては、対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。
また、今回の会議の公開については、YouTubeによるライブ配信で行うことといたしております。
委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全委員が御出席であります。
それでは、早速議事に入らせていただきます。
まずは、1つ目の議題であります「急性期入院医療について(その1)」でございます。
まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
事務局でございます。
それでは、資料「1.急性期入院医療について(その1)」から御説明させていただきたいと思います。
見開いていただいて、3ページ目から、前回の診療報酬改定におきましては、高度かつ専門的な急性期医療の提供体制に関して、そういった地域における急性期・高度急性期医療を集中的・効率的に提供する体制を確保する観点から、急性期充実体制加算の新設を行っております。
4ページ目、評価の新設ということで、青字になっているところでございますが、新設、急性期充実体制加算(1日につき)ということで、非常に高い点数が今回新設されたということでございまして、5ページ目を御覧いただきますと、その評価の中身を御覧いただきますと、特に手術等の実績、24時間の救急医療の提供というところで高度な診療実績を求めていると、そのような新たな評価がなされたということでございます。
これに伴って、6ページ目を御覧いただきますと、これまで急性期の上乗せの加算として位置づけられていました総合入院体制加算及び急性期充実体制加算の届出状況をまとめてございますが、こちら、中医協の総会にもお出ししておりますが、令和3年におきましては、総合入院体制加算1・2・3とございますが、総計で395あったところが、令和4年に関しては254ということで減少しておりますが、その分、急性期充実体制加算が157ということで新規届出があったということでございます。
7ページ目、8ページ目、御覧いただきますと、総合入院体制加算の概要をお示しさせていただいております。急性期充実体制加算と比べますと、特徴的なのは、共通の施設基準というところで標榜すべき診療科が並べられておりますのと、特に表の中ほどでございます精神科要件というところで、総合入院体制加算1に関しては精神患者の入院受入れ体制があることということで要件を設けております。同じように、実績要件のところに関しまして、アからございますが、こちらは急性期充実体制加算に近しい実績要件がございますが、急性期充実体制加算に比べると、実績のハードルは総合入院体制加算のほうが低くなっている現状でございます。
8ページ目を御覧いただきますと、こちらは総合入院体制加算の特徴でもございますが、医療従事者の勤務環境改善の取組ということで、こちらに要件が並べられております。
9ページ目以降、急性期充実体制加算の届出状況ということで、前回のこちらの分科会におきましても速報として御報告させていただきましたが、今回急性期充実体制加算の入・外分科会の調査におきましては、92施設が「加算の届出あり」ということで御報告いただきました。その医療機関の中で、左下でございますが、届出ありとなしを比較してみますと、急性期一般入院料1の届出病床数におきましては、届出ありのところが400床以上の平均を中央値として示しておりますが、特徴的なのは、200床未満においてもその届出があったということでもございます。
9ページ目、右半分を御覧いただきますと、実績の状況ということで、加算ありとなしで比較しておりますが、飛び抜けてこの加算ありのところが突出しているのが「全身麻酔による手術件数」「化学療法の件数」「救急自動車等による搬送件数」ということで、こういったところの実績がより高い傾向が当然ながら示されたわけでございます。
10ページ目、届出状況のマル2ということで、届け出ていない理由について並べてございます。今回その理由の分析に関しましては、200床未満、200床から399床、400床以上ということで分けてお示しさせていただいておりますが、特に届出のありが多い医療機関として400床以上を先ほど御覧いただきましたが、注目していただきますと、一番下のレーンになります。一番理由として挙がっているのは「手術等に係る実績」ということで46.9%ある一方で、右から6つ目のレーンで「特定の保険薬局との間で不動産取引等その他の特別な関係の賃貸借取引がないこと」ということで、いわゆる敷地内薬局が要件として、それを理由に届け出られていないところも21.9%あったということでございます。
11ページ目に移っていただきますと、今回の急性期入院医療の類型別の小児医療等の実施状況ということで、急性期充実体制加算と総合入院体制加算2の届出のある医療機関におけるこの小児、周産期、精神科の診療実績について分析させていただいております。左下を御覧いただきますと、急性期1かつ許可病床数200床以上の医療機関に関しては、約4割がどちらかの届出を行っていたということで、DPCデータではございますが、示されております。その中で、右のほうへ行っていただきますと、診療実績に関しまして、青が小児入管ですね。赤が帝王切開の実施の有無、そして、緑が精神科入院料の算定ということで、当然ながら要件にもなってございますが、下から3つ目、総合入院体制加算1は精神科の入院料の算定が100%ある一方で、今回新設されている急性期充実体制加算届出におきましては、165のところ、およそ30%弱が精神科入院料の算定を行っているということが傾向として見てとれます。
12ページ目を御覧いただきますと、時系列でその傾向をお示ししていますが、上から3つ目が急性期充実体制加算の算定、nイコール165ということでお示ししていますが、大きな傾向として、平成30年以降、例えば精神科の入院料の算定が減ったという傾向が特段今回の状況では見てとれるわけではないことをお示しさせていただいております。急性期充実体制加算が新設されましたが、現行においては、この3つの領域において大きな影響がないのではないかという結果になっております。
13ページ目を御覧いただきますと、急性期充実体制加算の届出施設における転換元についてお示ししています。一番上にございます転換元の割合ということで御覧いただきますと、R2との比較になりますが、令和2年では総合入院体制加算を届け出ていた施設は、今回の急性期充実体制加算を届け出ている施設の中の9割がこの届出を行っていたという結果で、逆に言いますと、10%はもともと総合入院体制加算ではなかったということでございます。総合入院体制加算1のところが33、この急性期充実体制加算に移行しているという結果でございます。
こちら、転換元で御覧いただきますと、下側でございますが、当然ながら総合入院体制加算1の届出がnイコール33ということでございますが、精神科入院料の算定が100%切ってはございますが、高いと。精神科充実体制加算の届出も9割を切っておりますが、算定されているという傾向でございます。
14ページ目は、この急性期充実体制加算を新設しましたが、都道府県ごとでどの程度届け出られているかということで分析しております。実際に地域によって当然ながらばらつきはございますが、5つの県で昨年の9月のDPCデータの時点では届出はなかったということでございます。
15ページ目、16ページ目で、今回医療課調べということで、この総合入院体制加算、急性期充実体制加算届出施設に対してヒアリングを行いました。今後こういった小児、周産期、精神科、医療計画にも位置づけられるそういった医療に関して、どのような方向性を考えているのかということでヒアリングを行っております。
II.でございますが、総合入院体制加算、急性期充実体制加算の今後の届出見込みということで、少しおまとめしておりますが、1つ目のポツでは、重症心身障害児の病棟を維持するために急性期充実体制加算の届出は見送っているというところ、こちら、病床の合計が9割以上は一般病床である必要があるため、その要件に引っかかっているということでございます。2つ目に特徴的だったのが、総合入院体制加算2の届出医療機関が1を目指していたものの、急性期充実体制加算が新設されたため精神科病床を持たない決断をし、急性期充実体制加算の届出を行った施設があったということでございます。このような形で、幾らかそういった新設における影響あるいは急性期充実体制加算の現状の要件に基づいて届出を控えているような施設があるという傾向が見てとれました。
総合入院体制加算は、当然ながらその施設要件にもなっておりますので、小児、周産期、精神科に関しては、一定程度それぞれの領域において実績があるとともに、16ページ目に移っていただきますと、急性期充実体制加算の届出をしている医療機関においても、例えば小児に関しては、1つ目にあります重症心身障害児へのメディカルショートステイの受入れを行っていたり、あるいは周産期に関しても一番下のポツですね。精神症状を有する妊婦等の複合的な疾患を有する患者の診療体制があるということや、あるいは精神科の入院医療に関して、これは一番下にございますが、一部精神科専門病床を持っていないので精神科が主科の患者を受け入れられないという傾向があったものの、それ以外に関しては精神科疾患、妊婦も含めて受け入れている傾向があるということが、nは少ないわけではございますが、今回の調査で見てとれるという結果でございました。
限定的ではございますが、こうしたヒアリングも含めて、17ページ目、課題と論点ということでまとめさせていただいております。論点としましては、今回令和4年度の診療報酬改定におきまして急性期充実体制加算が新設されたことを踏まえ、急性期病棟における手術や救急医療等の高度かつ専門的な医療に係る実績を一定程度有していることや総合的に幅広い診療を行う体制に対する評価についてどのように考えるのかということで御議論いただきたいと思っております。
説明は以上になります。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、資料でいいますと2ページから17ページまでのところでございますが、御意見、御質問等を承りたいと思います。
猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
ありがとうございます。
急性期の今の御説明をいただきまして、とても気になるところがあります。6ページにあります届出の状況ですけれども、総合入院体制加算の1がかなり急減していることが読み取れます。これが減るということは、次のページを見るに、精神科の入院体制がどうなるのかということです。特に精神疾患の患者さんの重度合併症がある場合に、それらを診る病棟が減ることは非常に大きい問題になるのではないかと思います。ですから、ここをどうするかというのは、この精神疾患の合併症がある場合に診られるような基幹病院とか特定機能病院になってくるのでしょうけれども、そこを維持するためのDPCの在り方とか、平均在院日数の考え方とか、そういうことを少し考えていく必要が出てきているのではないかと思います。そうしないと、すぐではなくて数年の間にだんだん高度な医療を行える中での精神科病棟がこれから減っていくのではないかという気がしましたので、とても気になりました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
事務局からの回答はまとめて後でお願いしたいと思います。
それでは、牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
私はまず先に意見から述べさせていただきますけれども、6ページのところですね。総合入院体制加算と急性期充実体制加算の届出状況がここに出ているわけですけれども、高度かつ専門的急性期医療を提供する施設として考えたときに、総合入院体制加算を算定する施設は徐々に増加してきていて、令和3年には1から3を加えると395施設だったわけです。これが令和4年には総合入院体制加算が257に減って、急性期充実体制加算が157施設で、両方合わせると410施設になって、令和3年の施設より全体としては多くなるということになります。ただ、この増加の仕方なのですけれども、平成29年から徐々にこういった総合入院体制加算の施設が増えてきていて、その延長線上の増え方かと見えますので、極端に高度急性期医療に関する加算を算定した医療機関が多くなったわけではないのかと思って見ています。
次に、13ページを見ていただきたいのですけれども、総合入院体制加算というのは、小児、周産期から精神科医療まで含めたオールマイティーの病院を評価するのであるのに対して、急性期充実体制加算というのは、必ずしも小児、周産期の機能を持たなくても、手術件数や救急対応、がん診療等で高いパフォーマンスを維持することで、また、感染対策、医療安全などでも地域をリードしている病院が算定できるものと考えています。オールマイティーでなくても高度急性期医療機関として高い実績があれば算定できることの意義は、私は大きいと思います。ただ、総合入院体制加算からの移行が9割と多いのも事実ですけれども、その多くが加算2と、全ての要件を満たしている加算1ではないところからの移行が多かったのが特徴だと思います。小児、周産期を提供していないか要件を満たしていないために、総合入院体制加算を算定できなかった施設ですね。いずれも算定していなかったのが1割と15施設あるわけですけれども、そういった施設は小児、周産期を行っていなくても手術や救急、がん診療等で高い実績のある医療機関が存在していたということかと思います。
ここからは質問になるのですけれども、14ページ、これは依頼でもあるのですけれども、都道府県別の急性期充実体制加算の届出状況になっているのですけれども、ばらつきがあるということ、そして、5つの県で届出がないという説明があったわけです。ただ、ここには総合入院体制加算のことがどこにも書かれていないわけでして、全然届出のない5つの県でも、ひょっとしたら急性期充実体制加算ではなくて総合入院体制加算の届出はあるかもしれないと思って見ています。ですから、それも含めた形で提示していただけると、その地域の高度急性期医療の充足状況が分かるかと思います。これはお願いというか質問です。
次に、9ページに戻っていただきたいのですけれども、まず、この急性期充実体制加算というのは、300床未満だと加算の基準値が病床数によって変化するという基準になっています。左下を見ると、先ほどの説明でもあったのですけれども、200床以下の病院も存在しているようですし、当然300床未満の病院は存在しているわけです。ところが、右のグラフでnイコール508とありますので、多分このnには300床未満の病院も含まれているのだろうと推測するのですけれども、ただ、ここではそういった病院も含めた値が記載されていると見ました。一体何施設が300床未満なのかを教えていただきたいというのがまず一つ。
もう一つ気になったのが、この右のグラフの真ん中のところに「化学療法の件数のうち、造血器悪性腫瘍に係るもの」がぽつんと出ているのですけれども、実はこれだけ加算基準値がない項目なのですね。それが何でここに出てきたのか、その意図がよく分からなかったので、もしよければ教えていただきたいと思います。
次に、12ページに行きます。精神科医療のことでどうも出していただいたようなのですけれども、令和2年と令和4年を比較すると、小児救急医療管理料の算定と帝王切開の実施割合が、急性期1、地域医療支援病院のみならず、総合入院体制加算の算定病院でも少し下がっています。総合入院体制加算では、7ページに書いてあるのですけれども、地域医療構想調整会議ですね。この地域医療調整会議で合意を得た場合に限り、小児、産科または婦人科の標榜及び当該診療科に係る入院医療の提供を行っていなくてもよいと、これは実は令和2年の改定で変更になったのですね。それによって小児、周産期医療の集約化が進むと推測されるのですけれども、実際にこのように減っているのですけれども、地域医療調整会議での調整後にこういった医療の提供を中止したのかどうか、こういった事案を厚労省として把握しているのかどうか、これを教えていただきたいと思います。これは質問です。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
14ページに各都道府県別のデータをお示しいただきましたけれども、この急性期充実体制加算については、ある程度都道府県の人口構成とかも影響があるのかと思いますし、例えばこの中では大都市圏、大都市部で半径10キロ以内にこの急性期充実体制加算を届け出ている病院がひしめき合っているというところもあれば、一方では、申請をできていない都道府県がここに5つ存在しているということで、ある意味、一つは手術などの実績の要件が高過ぎるということもあろうかとは思うのですけれども、そうすると、この未申請の都道府県でも手挙げできるように要件を緩める、それも一つあるのかもしれません。例えば加算2をつくってということも、そういう必要もあるかもしれませんけれども、そうしますと、ますますそういった都市部にまた申請できる病院が増えてしまうという、こういった都道府県の格差がなかなか難しい問題だとは見ております。
あと、今、ずっと議論されていますけれども、今後増加するであろう高齢者の救急を地域包括ケアシステムの中でしっかりと対応できるような仕組み、そちらに重きを置いて、もちろん急性期充実体制加算も大事だとは思いますけれども、そちらの議論もしっかりやっていかなければいけないと思ったところです。これは意見でございます。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
中野委員、どうぞ。
○中野委員
2点申し上げます。まず、14ページ、県別に今回届出状況を把握ということで示されておりますけれども、今、津留委員からもありましたけれども、確かに届出のない都道府県という表現もありますけれども、これにつきましてもある程度目標設定があるべきだと考えられますし、それが都道府県毎に何か所というのではなく、人口何万人単位とか、医療圏ごととか、そういう目標値があってこその算定なのかと見てとりましたので、今後そういう機能の集約ができているかどうかも含め検討していかなければいけないと思いますので、その辺の検討要素になっていくのではないかと考えます。
それから、精神医療に関して、ヒアリングでもしっかり聞いていただいて、一部の施設からは本来申請しようと思ったところ、2から1の総合のほうの申請をしようとしたところ、結局こちらの急性期充実体制加算に移ったということであったというのもありましたけれども、今のところ、先ほど事務局から説明のあったとおり、がさっと落ちたというところもなさそうですので、しばらくここは推移をしっかり見て、直近のデータも把握しつつ、当然周産期と小児もありますけれども、特に精神科に関してはしっかりウオッチしていかなければいけないのではないかと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
山本委員、どうぞ。
○山本委員
既に多くの委員の皆さん、お話しになっていますが、14ページのこの地域ごとのばらつきというところですが、これは総合入院体制加算と急性期充実体制加算、併せて人口当たりの数は見る必要があるのではないか、人口10万単位でよろしいかと思います。
質問は、もともとのこの急性期充実体制加算の要件、特に手術などの設定において、例えば二次医療圏に1つを想定したものなのか、あるいはもうちょっと広域、人口の少ないところだと二次医療圏に1個も置けないのかというところはあると思いますが、その辺、もともとどういう想定でこの数字が設定されたのか、これは質問をしたいと思います。よろしくお願いします。
○尾形分科会長
ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、事務局から回答できる部分について回答してください。
○加藤補佐
多数の御意見、ありがとうございました。様々御意見いただきましたが、全てお答えできるものではございませんので、宿題としても持ち帰らせていただくものもあるかと思いますが、概観を御説明させていただきたいと思います。
まず、猪口委員からコメントいただきました精神科入院医療の部分に関しまして、DPCや平均在院日数、そういったところに関しても配慮していくべきではないかということで御意見を承りました。御意見を承って、今後の対応ぶりは検討していきたいと思っております。
牧野委員からは様々御意見いただきましたが、まず14ページ目、山本委員からも御意見いただきましたが、総合入院体制加算と併せて分析するべきではないかということで、こちらに関しましても、事務局で御指摘いただいたような分析に関しては検討してまいりたいと思っております。当然ながら人口対比で分析すべきものだと思っておりますので、そういった分析に関しても進めていきたいと思っています。
9ページ目でも御意見いただきました。nイコール508に関しては、これも300床未満が含まれております。こういった医療機関がどの程度あるのかということで、今回は箱ひげ図で左側にお示ししておりますけれども、もう少しそういったところも見えやすくするという観点から、御指摘を踏まえ分析を深めさせていただきたいと思います。
9ページ目の右側の質問の中で「化学療法の件数のうち、造血器悪性腫瘍に係るもの」ということで、ここが要件として入っていないのに今回聞いたのはなぜかということで御意見、御質問いただきましたけれども、前回の改定の中でこれは中に含まれていない部分もございますが、5ページ目の手術等の実績のところの化学療法の中に、外来腫瘍化学療法届出の1を行い、化学療法のレジメン4割は外来で実施可能であることということが記載されておりますけれども、前回の改定の中でもこの悪性腫瘍に対する化学療法に関しては検討がされておりまして、今後こういった急性期充実体制加算の中での実績として見るべきものではないかということで項目として含まれたと認識しております。
12ページ目、総合入院体制加算、小児、周産期に関しては、地域医療構想調整会議を経て診療を取りやめているところがどの程度あるのかということで御質問いただきました。正確な数字は把握しておりませんが、我々の見聞きしている中でも一定程度はそういった医療機関がございますし、こちらを御覧いただきましても、総合入院体制加算1・2・3、当然100%になってございませんので、前回の地域医療構想調整会議を経てやめられた医療機関は一定程度あるかと思っております。現状の我々のデータの中では、そういったところはどの程度あるのかは把握できませんが、そのように認識しています。
津留委員からは都心部においては半径10キロ以内にそういった急性期充実体制加算が多数存在しているのではないか、あるいはそういった都道府県のばらつきについても御意見をいただきました。そういった意見も踏まえて、また検討してまいりたいと思っております。
中野委員からは目標設定について御質問いただきました。こちらに関しては、そもそもの目的が冒頭御説明させていただきましたとおり、3ページ目にあるように、地域における急性期・高度急性期医療を集中的・効率的に提供する体制を確保する観点から、このような形で新設されたと認識しております。集約化という言葉もございましたが、どのような提供体制を構築していくかに関しましては、地域の構想調整会議の中でそれぞれ御議論いただくものと認識しておりますので、地域ごとに目標設定等をしていただくに当たって、こういった加算に関しては御活用いただくのかと思っております。また、精神科に関しても引き続き注視すべきということで、御意見を承りました。
山本委員からは医療圏ごとにおいて、すみません。先生、もう一度御質問をお願いいたします。
○山本委員
基準の設定がそもそもどれくらいのサイズを想定して行われたのかというところです。
○加藤補佐
ありがとうございます。
もともと明確に二次医療圏の中でどれぐらい行われるべきということで精緻に今回この要件設定を行ったわけではございませんが、当然ながら、この地域医療構想調整会議の中で位置づけられる急性期・高度急性期を担う医療機関がおおよそ果たすべきであろう実績の要件をイメージしながら要件を設定しましたので、こういった実績要件、それぞれの中を精緻に見ながら、今後どういった要件がより適切なのかは検討してまいりたいと思いますが、一旦このような形で実績もしっかりお示ししておりますので、大きくここから変更することは難しいかと思っております。
以上でございます。
○尾形分科会長
ただいまの事務局の説明につきまして、何か追加的に御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、ほかに御質問等もないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りにしたいと思います。
続きまして、2つ目の議題でございます。「地域包括ケア病棟について(その1)」でございますが、こちらもまず事務局から資料の説明をお願いいたします。
○加藤補佐
ありがとうございます。
18ページ目から「地域包括ケア病棟について(その1)」ということで御説明させていただきたいと思います。
前回改定を踏まえて御議論いただきたいと思いますが、今回の診療報酬改定、令和6年度に向けて既に中医協において何点か地域包括ケア病棟に関連するであろう背景情報について御議論が既に進んでおりますので、まずはその点から19ページ目以降を御説明させていただきたいと思います。
こちらにお示ししておりますのは、第8次医療計画に関連する検討会における資料でございますが、5月17日の中医協総会においても既に医療計画の一部として御議論いただいたものでございます。19ページ目にお示ししていますのが、救急搬送に関して高齢者の割合が増えてきている、特に75歳以上あるいは85歳以上の救急搬送が増えてきているということでお示ししています。
20ページ目にお示ししていますのは、高齢者が増えている中でも軽症、中等症がより増えているということをお示しするとともに、21ページ目を御覧いただきますと、その内訳を御覧いただきますと、グラフの中では一番右にございます「症状・兆候・診断名不明確」というようなところで分類される救急搬送された患者さんの割合が増えているということでございます。
ここまでが救急搬送に関連した最新のデータをお示しさせていただいておりますが、22ページ目、2040年に向けては、様々な医療需要が減少傾向になる中で、この訪問診療に関しては、よりどの都道府県においてもニーズが高まってくるということでお示ししています。
23ページ目は、そういった地域包括ケアの中における救急医療の役割ということで、平成28年にまとめられた資料におかれましては、地域包括ケアにおける救急医療ということで、赤の矢印が引かれておりますが、介護施設やあるいは在宅から行われる緊急搬送は、病院は急性期、回復期、慢性期ということで記されております。特段、医療機関を明示的に示していないわけではございますが、こういった観点につきまして、24ページ目でお示ししておりますが、今回の同時報酬改定における意見交換会におきましては、高齢者の急性期、介護施設からの急性期搬送に関しては、より地域包括ケア病棟などを有する中小病院が主体となるべきではないかということで、(1)の3つ目の○でございますが、御意見がございました。
これに関しましては、昨日の中医協でも様々御議論いただいているところでございますが、25ページ目にお示ししていますのは、前回の5月17日の中医協の総会において、医療計画でこの救急搬送などについても御議論いただきましたし、前回のこの分科会におきましても、速報値に基づいて高齢者の急性期においての必要度の在り方に関しても御質問いただきましたし、患者像に関しては下から2つ目、急性期の2から6の入院患者と、地域包括ケア病棟においては患者像など全体像としても異なるのではないかということで御指摘をいただいていたところでございます。
こうした背景がございますが、26ページ目、前回の診療報酬改定のおさらいをさせていただきたいと思いますが、前回の改定においては、在宅復帰率、そして、実績等において一部改正を行ってございます。
27ページ目には、地域包括ケア病棟の施設基準の改正内容を青字でお示しさせていただいておりますが、救急の実施、在宅での実績、在宅復帰率、そういったところが主な改定項目として注目されたと認識しております。
28ページ目は、在宅医療の実績、そして、この後、データをお示しさせていただきますが、データを見ていただくに当たって、29ページ目と30ページ目にありますとおり、一部経過措置がかかっているということで、そこも加味して御覧いただければと思っています。
31ページ目以降、入・外分科会における実態調査の結果でございますが、まず、地ケア病棟を取り巻く環境として、入院料別の届出病床ということで、今回急性期の一般入院料も届けているような医療機関が7割から8割ということで多いことが結果として示されております。
32ページ目を御覧いただきますと、地域ケア病棟における平均職員数ということで、看護師、看護職員が当然ながら多いわけでございますが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に関しましては、33ページ目の急性期に比べても多く配置されているという結果が示されてございます。
34ページ目は、地ケアの患者の流れということで、右半分でお示ししています令和2年度と比較していただきますと、少し文字が小さくて恐縮ではございますが、入棟元、自宅からの入棟ということで、在宅提供なしに関しては25.4%が33.1%まで増えているということ、そして、自院の一般病床からの入棟が令和2年時点では40.8%が27.3%となったというところが大きな傾向として見てとれるかと思っております。
35ページ目以降、少し事務局の中で分析を進めましたので、御紹介させていただきたいと思います。
これまでの議論でもございましたが、35ページ目をお示しさせていただきますとおり、地ケアの入院患者に関しては、入棟元で分けますと、非常に多様な入棟元があるということで御覧いただけるかと思っています。自院の他病棟からの転棟等ということで青でお示しさせていただいているもの、他院からの転棟が赤でございます。一方、オレンジの部分が自宅等からの入棟割合ということでお示しさせていただいています。こういったところで大分傾向が異なりますので、それぞれどのような傾向を持っているのかということで、今回自院の一般病床からの転棟割合が8割以上という病棟と、自宅等からの転棟割合が8割以上の病棟を2群として分けて分析をさせていただいております。
まず、37ページ目、レセプト請求点数ということで、この2群を比較させていただいております。上にございますのが全体のレセプト請求点数でございますが、自宅等からの入棟割合が8割以上の群におきましては、入院基本料・特定入院料等のところが対照群に比べて350点ぐらい高いということと、手術等が730点分あるということが一つの傾向として見てとれます。点線枠囲みの中を御覧いただきますと、この包括対象の部分の出来高換算ということで御覧いただきますと、自宅等の入棟割合が8割以上に比べて、自院の一般病床からの入棟割合が8割以上のほうが、こちらの傾向としては濃い緑のリハの部分が290点ということで高くなっており、リハビリがより提供されている傾向が見てとれるかと思います。
38ページ目を御覧いただきますと、今回の改定の一つのポイントでございます地ケアにおける救急の状況ということでございますが、左側を御覧いただきますと、救急患者を受け入れている頻度ということで、週7受け入れているというところが6割程度ある一方で、右半分を見ていただきますと、これは地ケアを持っている医療機関全体の救急搬送の受入れ件数でございますが、2,000件以上のところも一定程度ある一方で、0から100というところも203ということで、非常に大きなばらつきがあるという結果になっております。
39ページ目を御覧いただきますと、この地ケアの救急受入れの判断基準ということで、御覧いただきますと、多くの医療機関においては患者の症状によって受入れの可否を判断している、あるいは半数ぐらいの医療機関においては通院歴・入院歴に基づいて判断しているということで、結果が示されております。
40ページ目に移っていただきますと、地ケアに入棟する患者の入棟経路ということで、緊急入院ということで、右3つが緊急入院に該当しますが、一番濃い部分が直接入棟ということで5.7%ということでお示ししております。
このような傾向でございますが、それぞれ41ページ目以降、それを少し入院料ごとで分析しておりますが、1から4まで入院料と管理料をお示ししていますが、大きな差異はなかったと見ております。下から3つはnが小さくなっておりますので、そういったところを加味すると、大きな差がなかったのではないかと思っています。
一方、42ページ目に移っていただきますと、これは許可病床数によって分類してみますと、病床数400床以上のところは直接入棟に関して10.8%ということで、より多い傾向があったというのが一つの傾向かと思っています。
43ページ目、44ページ目に関しましては、併設している病棟ごとでお示ししております。こちらに関しても大きな差はなかったという結果になるかと思います。
44ページ目は、救急部門の特性に応じて分けておりますが、当然ではございますが、救急部門を有していないところに関しては直接入棟が3.4%ということで、低いということでございます。
今回45ページ目、46ページ目に、傷病名ということで、その患者像を御覧いただいておりますが、入棟患者全てと他病棟を経由した救急搬送事例、救急搬送で直接入棟したという3群に分けて分析しておりますが、いずれにおいても誤嚥性肺炎等は多いわけではございますが、特に直接入棟したところに関しては、誤嚥性肺炎、尿路感染、腰椎圧迫骨折が1位、2位、3位になっておりますが、こちらは主病名の数で見ていますが、医療資源を最も投入した傷病名ということで、46ページ目を御覧いただきましても、同じ傾向が続いているということでございます。
47ページ目、これは昨日の中医協総会でお示しさせていただきました入院料ごとでの入院患者の主病名ということで内訳をお示しさせていただいております。上のほうを御覧いただきますと、いずれにおいても誤嚥性肺炎あるいは鬱血性心不全等がございまして、同じような傾向にも少し見てとれますが、下半分を御覧いただきますと、急性期の入院料1に関しては、大半ががんあるいは白血病等になっておりまして、当然ながら特徴がより出てくるという結果になっております。
48ページ目は、地ケアに入棟した患者の要介護度ということで、直接入棟している患者さんに関しては、僅かではございますが、要支援あるいは要介護の患者の割合が高かったという傾向にあります。
続いて、49ページ目は、地ケアに入棟した患者の入棟期間ということでございますが、こちらは入棟患者全て、あるいは他病棟を経由、直接入棟いずれも30日前後ということで、大きな差異はないという結果になっています。
50ページ目は、平均在院日数と病床率ということでお示しさせていただきました。
51ページ目、52ページ目、53ページ目が、医療的な必要性という観点で今回患者票を入れております。51ページ目は医療的監視の必要性とさせていただきましたが、患者の状態が不安定かどうかということで、当然ながら一番下の直接入棟に関しては「時々、不安定である」「常時、不安定である」という割合が高いことになっておりますし、52ページ目の医師による診察の必要性ということでは、直接入棟が高いという傾向、そして、53ページ目、看護師による看護の提供の必要性に関しても同様に直接入棟の割合が高いという傾向でございます。
54ページ目は、リハビリの実施状況ということでお示しさせていただいております。救急搬送後の入院、他病棟を経由というものと直接入棟を比較していただきますと、明らかな傾向が見えてまいりました。週5回以上、6回以上というところが半数を占めるのが他病棟からの経由である一方、直接入棟に関しましては、実施頻度が低い傾向が見てとれます。
55ページ目、誤嚥性肺炎に対するリハビリテーションということで、1枚スライドを入れさせていただいております。枠囲みの中の2つ目の○でございますが、早期リハビリテーションを実施する場合において、1日2単位以上のリハビリテーションを提供することが、死亡率の改善、自宅退院割合の向上、在院日数の短縮につながることが示されているということで、誤嚥性肺炎が非常に多くなっている状況でございますが、こうした誤嚥性肺炎などに対する急性期疾患に対するリハビリテーションも高齢者が増える中では重要性が増しているということが、このスライドからは示されていると認識しています。
56ページ目以降、在宅医療の提供状況ということで、在宅の実績を求めておりますが、左上でございます。マル1からマル6を満たしている割合が高いものに関しては、マル1の在宅患者の訪問診療料ということでお示ししていますが、こういった傾向でございます。マル1は大分満たしている一方で、マル2、マル3、マル4に関しては、このような形で比較的低調な傾向であるという結果になっています。
58ページ目に関しては、地ケアにおける訪看ステーション、こちらは設置一部要件になってもございますが、下半分ですね。併設があるところの分析をしてみますと、機能強化型の要件になっている項目を並べておりますが、地域における人材育成という観点からすると、病院併設ということでこういったところの実績が期待されているわけではございますが、これを実施できているところは比較的少ない結果であったのではないかと受け止めてございます。
59ページ目からは、緊急患者の受入れ数ということで、こちらは施設基準9名以上ということで要件を設けておりますが、多くの医療機関でそれを満たしているということでございます。一部コロナ特例によって実績要件が課されていない医療機関もございますが、このような結果になっております。
60ページ目は、在宅復帰率ということで、72.5%に上がってございますが、多くの医療機関でそれを満たしており、かつ令和4年に入りますと、在宅復帰率はより高い傾向にシフトしているということかと思います。
61ページ目、こちらは速報値になりますが、地ケアに関しては、経過措置が令和5年の3月31日で切れるものもございまして、こういった形をお示ししておりますが、在支病や在宅後方支援病院がこのような形で増えたということで、在宅をより提供できる状況にシフトしていることが見てとれるかと思います。
長くなりましたが、最後、62ページ目、論点でお示しさせていただいております。地域包括ケア病棟の現状、地域包括ケア病棟に求められる3つの役割、増加している高齢者救急搬送への対応及び今後も需要の増加が見込まれる在宅医療への対応が期待されていることを踏まえ、地域包括ケア病棟の在り方についてどのように考えるかということで御議論いただきたいと思っております。
説明は以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明、資料でいいますと18ページから62ページの部分につきまして、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょう。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
詳細な分析をしていただきまして、ありがとうございます。幾つか質問させていただくのですけれども、まず、36ページ目にございます地域包括ケア病棟の入棟元割合、これは前回の改定のときに出てきまして、左端のほうが真っ青という、自院の病棟からの転棟ばかりという方が多くおられて、そのうちの2割ぐらいを何とかしなければならないという議論になったことは記憶に新しいわけでございますけれども、今回これを両端の2割ずつを選ばれて、それとそれを比較されるということにされておられるのですね。地ケア病棟の感覚からいいますと、その3つの機能はそれぞれ独立してあって、それぞれ3つの輪があって、集約する部分はあるけれども、それぞれ単独でやっているところも全然オーケーだよというのが私の地域包括ケア病棟の感覚なのですけれども、この2つを比較してそれに合わせるような格好に持っていくと、結局真ん中の集約しているところだけに地ケアを持っていきたいという意図に見えてしまうのですけれども、それは角を全部取ってしまう、地域ケア病棟が真ん丸の形になってしまって、非常に自由の利かない病棟になりつつある気がいたして仕方がありません。これは私の個人的な意見ですけれども、そういう点でいうと、そういう意図がないのかどうかだけは知りたいと思っております。
それから、救急に関して、私が前回申し上げました救急は実際に地ケアにどの程度入っているのかというお話を聞かせていただきましたけれども、40ページに示していただいているように、地ケア病棟そのものに入っている量というのは5.7%しかおられずに、結局持っておられるほかの病棟、一般急性期などを持っておられるところがありましたら、そこに全部入っておられる、31ページにありましたように、急性期一般入院料、そういうところを多く持っておられるがために、そこに入っておられるわけですね。要するに、施設として救急を持っておられるというだけで、地ケアがあるから救急が存在するわけではない、今回お示しいただいたデータでは出てきたと考えております。そうしますと、果たして地ケアというものに100%全て救急が要件として必要なのかという論点が、もう一点出てくるのではないかと私は思っています。どういうことかといいますと、救急をするところは救急をやればいいし、59ページで自宅からの緊急入院もかなりの数を取っておられる。例えばそういうところは救急がなくても別にそれをしっかりやっていれば、一つの役目を果たしているのではないかと考えるわけでございますけれども、そうなると、全ての要件を満たさないといけないというのではなくて、例えば療養病棟から行ったときのように多少減算があったとしても、そういうものも認めてあげようというデータは出てこないかという気がいたしております。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、猪口委員、どうぞ。
○猪口委員
ありがとうございます。
幾つかあるのですが、最初、27ページの前回の診療報酬改定のことですが、多少変更がありましたという御説明をいただきましたけれども、これにつきましては多少ではなくて、大きな変更があったのではないかと。減算が非常に多く入って、非常に大きい変更だったと私は考えております。
幾つか論点としては、34ページを見ますと、明らかに現在自宅からの入院が増えて自院からの転棟が減っているというデータもここにありますし、35ページ、36ページ、そして、37ページあたりでは、非常に地域包括ケア病棟は多様性があるのだということがここで見てとれるわけです。そして、48ページを見ますと、どういう場合においても要介護の方たちが非常に多い、それをどちらも診ているという観点から見まして、地域包括ケア病棟の3つのお仕事というのは、それなりに皆さん、頑張ってこなしているのではないかと思います。
あと、54ページで救急搬送後入院の直接入棟でリハの適用が低いということが出て、さらに誤嚥性肺炎のリハビリの有効性が出ました。これはもちろんそのとおりだと思います。ただ、直接入院ですとすぐにリハを始められない状況はございますので、ある程度低いのはやむを得ないことで、むしろ誤嚥性肺炎等々で早期にリハビリを始めるというのは現場では当然のように行われていると考えております。したがいまして、地ケア病棟に関しては、前回の改定は非常に多くの面で改定がございましたので、これは少し完成されてきていて、あまり大きな変更は必要ないのではないかというのが私の意見です。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
ありがとうございます。
まず、21ページで、この救急搬送の詳細を御説明いただきました。高齢者救急の中でもこの一番上の右端「症状・兆候・診断名不明確」というものが非常に多いということで、これは総務省消防庁のデータですので、この前のページにも初診時における医師の診断に基づいてということで判断されているわけですけれども、高齢者の場合、症状・兆候・診断名が不明確というのは、決して症状が軽いというわけではなくて、搬送された場合に受け入れたときに高齢者は何となく元気がないとか、食事が入らないとか、何となくぼーっとしているという、ふだんと様子が違うということで救急搬送されたとしても、その後、診断にはちゃんと時間もかかりますし、それなりの検査も必要ということを意味していると私は理解しておりますので、これは意見でございます。
それと、先ほどもありましたが、36ページですね。ここでは入棟元の割合で、自院からの転棟割合8割以上ということでくくってデータをお示しいただいていますけれども、前回改定のときからこれは出てきたわけですけれども、ポストアキュート、そして、サブアキュート、在宅復帰支援ということで、3つの機能をバランスよくということで、そういった議論の中で自院からの転棟割合が8割というところが示されていますけれども、実際のところは改定では6割以下といった病院はマイナス15%の減算が設けられたわけで、これに関してはかなり医療現場にはインパクトを与えていると思うのです。50ページに病床利用率、平均在院日数がありますけれども、病床利用率も落ちていますけれども、平均在院日数もやや短くなっているということで、病床が空いたところに例えば短期滞在の手術の患者さんを直接入院で入れたりとか、いろいろな事情、ケースがあろうかと思います。そういったもので平均在院日数が非常にまた極端に短くなっているものもあろうかと思いますので、ここは赤枠が8割でくくっていますけれども、現実的には6割で診療報酬は切られていますので、この6割という枠でデータを見ると、より現実的な問題が見えてくるのではないかと思いますので、これは要望したいと思います。
そういった中で、ポストアキュートが悪者みたいな感じがしないでもないのですけれども、そういうものではなくて、これは必要な大切な3つの役割の中の1つだという意味で、その役割の重要性をしっかり評価しなければいけないのかと思っているところです。
最後、62ページに論点をまとめていただいていますが、その中で、地ケア直入の場合に、ここのポツの下から2つ目にまとめていただいていますけれども、誤嚥性肺炎、尿路感染が多い、医療的状態が不安定だ、医師による診察の頻度・必要性が高い、看護師による直接の看護提供頻度・必要性が高い、リハビリの単位数は低い傾向にあったというところで、高齢者にとっては直入することでのメリットがあまり見えないといいますか、特に看護に関しましては、7対1、10対1で見られるところを13対1で対応しなければいけないという問題もございますので、この辺り、昨日の中医協でも議論があったと思いますけれども、今、急性期から地ケアへというポストアキュートの機能がきちんと機能していると思いますので、ぜひその部分を評価できるような形で見ていかなければいけないと思っているところです。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
まず、今、津留委員からもお話がありましたけれども、21ページについてです。救急搬送の関係で、成人の「症状・兆候・診断名不明確」が増加しているとありました。津留委員の御説明で、どういう状態の方のことを言っているかは分かったのですが、ただ、ここのくだりのところは10年前と現在を比べたら激増している感じに見えますので、この辺り、どういう分析になっているのか。これは総務省の分析なので、途中で統計上変わったのかもしれませんけれども、どういうものかということについて、御教示いただけたらと思います。
それから、37ページでございますが、レセプト請求点数に関してでございます。先ほど事務局からも詳細な説明がございましたけれども、まず、上のグラフを見ますと、上のグラフの下、これは一般病床からの入棟患者さんについてですけれども、こちらで見ますと、自宅等から入るのに比べて包括以外の医療行為がほとんど算定されていない状態が見受けられます。それから、四角の点線囲みの中のグラフは、これは出来高換算ということでカウントされておりますけれども、自院の一般病棟からの入棟が多い病棟ではリハビリが多いということで、実際に上の棒グラフに比べて290ということで確かに多くなっている。一方で、155点、それから、89点のこの検査の関係ですね。こちらは自宅等から直接入棟したほうが多いということで出ております。これを見ますと、結局入棟の仕方によって算定、医療行為そのものに差異が生じていることが分かるので、これだけだとそれ以上何も言えなくなってしまうので、もうちょっと分析が必要かと思いますので、さらに分析できるように、データ等よろしくお願いしたいと思います。
それから、51ページからですけれども、入棟した患者さんの医療の必要性ということで、直接入棟した患者さんについては医療的に不安定であること、また、看護の必要性が高い傾向にあったということで整理されております。ただし、一方、54ページを見ますと、今度はリハビリを見ますと、逆に直接という方のほうがリハビリ実施頻度、リハビリ実施単位数が低いとコメントがございます。ということで、実際、これはどういうことかということになるわけです。先ほど猪口委員からコメントをいただきましたけれども、現場では実際にしっかりやっていることも含め、55ページの3つの論文の引用を踏まえても、リハビリは積極的に早期からやるべきだと思いますので、この辺はしっかり整理が必要かと考えます。
61ページでございますが、地域ケア病棟における在宅療養支援病院等の届出の状況について、令和4年4月から令和5年4月にかけて、この1年間で激増しているというグラフでございます。これは在宅医療の提供の在り方に関係することだと思いますので、この辺はしっかりと精査が必要だと思います。これもこのグラフ以上何も言えないという感じもしますので、さらなる分析が必要と考えますので、その内容を踏まえてまた議論が必要かと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
牧野委員、どうぞ。
○牧野委員
ありがとうございます。
私は1点だけです。54ページになりますけれども、リハビリのところです。55ページの誤嚥性肺炎でのリハビリテーションの有用性が示されていて、2単位以上が有用ということがそこに書かれているわけです。一方で、54ページに戻りますけれども、地域包括ケア病棟のリハビリというのは、必要な患者さんに2単位以上というところで包括されているということで、3単位以上行っても診療報酬では評価されないということで、3単位以上のリハビリは少ないのかと思います。ただ、今後リハビリの重要性を考えると、このリハビリの単位数と転帰ですね。在宅復帰とか在院日数、こういったものの相関を見ていくことも重要ではないかと思います。そういったデータがつくれるかどうか、ぜひとも検討をお願いしたいと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
先ほども話題に出ました59ページと61ページ、特に61ページの在宅療養支援のことについて、かなり増えているということだったのですけれども、ここのことをもう少しいろいろ見てみたいと思いまして、これだけ機能強化型などが増えていますね。これは結局はアウトカム的には自宅からの緊急の受入れがきちんと訪問診療をすることで減るのではないかということがあると思うのです。住み慣れたところで療養につなげられるということで。
そうしますと、できれば59ページと61ページのクロス表といいますか、この救急搬送が在宅支援をやったことによってどのぐらい減っているのかとか、そういう数字が出ると非常にいいのかと思います。恐らく今のデータの中でできるのかと思うので、そこを伺いたいということ。
もう一つ、これは勉強不足ですみません。在宅後方支援病院というのはどういう役割を果たすのですか。御説明があったかもしれないのですけれども、61ページの左側はよく分かったのですけれども、右がすごく増えていますけれども、これは具体的にどういう機能が増えたということか教えていただけますか。質問とコメントです。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、飯島委員、どうぞ。
○飯島委員
ありがとうございます。
私のこれからのコメントは、あるページのあるデータに対する質問というよりは、物の見方ということで、やや俯瞰したお話になりますけれども、お許しください。ほかの委員の先生方がお話しされたように、3つの機能も含めてマルチファンクションで、それが確実に実現してくださっているというのがより網羅した解析でよく分かりました。ありがとうございます。その上で、今回全体をまとめての解析によって全体の傾向を見ることができたのですけれども、一方で、この地域包括ケア病棟、地ケアの存在及びそれがファンクションすることによって、ほかの医療面ですね。いろいろもっと救急の部分、もっと地域での在宅部分という、ほかの部分がどのように順回転に回るようになったのかとか、ほかの部分がどう助かるようになってきたのか。地ケアは歴史としてはまだまだそんなに長いものではないので、それが今、ファンクションしていることが大分分かってきた中で、それが存在して全体のバランスがどうなっているのかという視点が、今日の会議では答えが出ませんけれども、そういう視点も必要かと、逆にそういう視点が分かるようなデータの集め方や解析も必要なのかと思った次第です。それが1つ目です。
2つ目は、今回は全体の網羅的な解析ですので、傾向は分かるのですけれども、一つ一つの地ケアのデータを見ると、例えば何でもかんでも前後がアベレージになればいいわけではないのですけれども、個性とか、重きを置いている特徴は出てしかるべきなのですけれども、悪い意味で大きくかけ離れているところがあるならば、それをどのように底上げしていただいたり、微修正していただくことが、また地域の全体のトータルの医療に貢献できるのかという修正ポイントがどうポジティブなフィードバックにつながるのか、そういうところも重要ではないかということで、今日のディスカッションポイントになるかどうか分かりませんけれども、発言させていただきました。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
眞野委員、どうぞ。
○眞野委員
ありがとうございます。
51ページ、52ページには、地ケア病棟で医療的に不安定な患者が一定程度存在し、医師の診察の頻度が週2~3回、あるいは毎日必要な患者がかなりいるというデータが出ています。そうしますと、平均在院日数は27日ぐらいと思いますけれども、その間に恐らく薬物療法はかなり変化していると想像できます。先ほど来お話に出ていますように、退棟先では自宅が60%ほどであり、34ページのデータでは介護施設等の、数字を合わせると恐らく20%を超えるぐらいかと思いますけれども、多くの患者が退棟後に自宅や介護施設等に移るということですので、入院中の薬物療法の変化の状況などの情報を、保険薬局や、介護施設等にも連携すると、その後の診療がスムーズになると思いますので、その辺を考える必要があると思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
1点、地ケアという観点からは少し外れるのですけれども、救急搬送の件でございますけれども、これは毎回総務省がお出しになっておられて、必ず高齢者の軽症患者が非常に増えてきたという話で大問題になるのですけれども、そのために救急は逼迫しているというお話になるのですけれども、実は軽症とか中等症という話は昭和39年ぐらいですか、その規定のままですね。軽症というのはそのまま御自宅に帰れるという話なのですけれども、実際に今、高齢化がどんどん進んでいく中で、実は軽症が帰れないのですね。病院に収容せざるを得ない。特に施設などから来られた患者さんが非常に増えてくると、その方々は発熱しているだけで施設に帰れなくて、そのまま収容されてしまう。本来ですと軽症だから帰れるはずのものが帰れない。その数はどこかで把握していかないといけないのではないかと私は思っています。これが厚労省でされるのか、総務省でされるのかは分かりませんけれども、これは意見として入れておいていただければと思います。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本委員
いろいろ既に多くの委員が御意見をおっしゃっていますけれども、例えば52から53ページあたりで救急搬送後、直接地ケアに入棟した患者さんは状態が不安定であるということ、これは当然なのかと思います。それと37ページのこのレセプトの請求点数と一緒に見ていくと、特に下の点線で囲んだこの出来高換算の部分で見ると、自宅等からの入棟割合が多いほうが、検査とか、画像とか、当然のことながら初療というか、診断をつけているところにかなりエネルギーが注がれて、結果としてリハが少なくなっているのではないかということが、私はここからそう読み取ることもできるのではないかと。状態が落ち着かない、落ち着かせるのにかなり手間暇がかかってしまっているのではないかということが言えるように思います。ですから、逆に一旦一般病棟、急性期の病棟で受け入れて、院内転棟で地ケアに移すと、当然状態は落ち着いていますので、リハにしっかり回すことができているのではないかと思います。ただ、最終的に高齢者の救急をどこで取るべきかというのはアウトカムで見ないといけないと思うので、この辺は何かいい方法はないのか、同じ高齢者で例えば急性期で取った人と、何日かいて地ケアに行った人と、最初から地ケアで取った人の、特に最初の5日ないし7日ぐらいの重症度、医療・看護必要度がどれぐらい違うのかとか、そんな比較が出るともうちょっといいのではないかと感じました。最終的にアウトカムが重要なのだと思います。
一個質問というか、これはどのように見ればいいのかというのが、37ページのレセプトの請求点数の上のほうですね。自宅等からの入棟割合が8割以上の場合は手術が730乗っかってしまっているというのは、これは最初から短期入院の比較的重症度の低い手術を入れているがために点数が大きいのでここにどんどん乗ってしまったと見るべきなのかどうか、この辺は事務局の見解を伺いたいと思います。
もう一個、40ページの図で、患者の入院経路のところですけれども、予定入院と緊急入院に分けられていますが、いわゆる普通に急性期病棟から予定でそろそろ落ち着いたからポストアキュートで地ケアに移そうよという患者さんはどこに入るのか、予定入院に入るのでいいかどうか、それは確認をお願いいたします。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほかはいかがでしょう。よろしいですか。
それでは、これまでの御質問等に対しまして、事務局からお願いいたします。
○加藤補佐
事務局でございます。
多数御意見をいただきましたので、かいつまんでコメントさせていただきたいと思います。
まず、井川先生、そして、猪口委員からもこの地ケアの機能について、非常に重要なポイントをいただいたと思っております。また、前回の改定は非常に大きな改定だったということでコメントもいただきまして、まず御説明させていただきたいのは、我々としても前回の改定を踏まえて、今、まさに求められている地ケアの機能に対して実績としてどれぐらい応えられているのかという観点で今回資料を載せさせていただいておりましたので、必ずしもこのデータに基づいてどんどん変えていくがためにデータをお示ししているわけではないことは御理解いただければと思っています。
その上で、我々が注視しないといけないのは、今回冒頭でお示しさせていただきました人口動態が大きく今後2040年に向けて85歳以上が増えていくことを踏まえ、また、その前から救急搬送で高齢者がこれだけ増えていることを踏まえると、全体的な需要としては、高齢者救急に対して地ケアだけではなく医療提供体制全般としてどう受け止めていくかは検討しないといけないというのが1点。
もう一つは、22ページ目にお示しさせていただいていますとおり、在宅が今後かなり増えるであろうことを考えると、この在宅からの受皿といったところに関しては、前回の改定でも当然対応していますが、今後もより需要が増えていく観点からどうあるべきなのかは検討していかないといけないという観点でこの資料を載せさせていただいたとともに、今回の同時改定の意見交換会でもございましたが、高齢者の急性期はどこで受けるべきなのかという観点で申し上げますと、リハ、口腔、栄養ということで、そういった観点でのケアが充実したところが高齢者の急性期もできるだけ受けるべきではないかということに関しては、政府の骨太の方針にも記載されてございますし、様々なところでも同様の御意見をいただいていると認識しております。そういう観点で、今回改定を踏まえたデータを我々としては分析させていただいたというのが趣旨でございます。
ですから、井川先生からも御質問いただいておりますが、この地ケアにもともと課せられている3つの機能をどこかに集約したいのかという御指摘もいただきましたが、もともとのこの地ケアの3つの機能はいずれも重要であることは変更があるわけではないと思いますが、今後の需要に対応できるような地ケアの在り方がどうなのかは検討を深めていく必要があるというのと、これまでも御指摘いただいておりますが、今回レセプトの請求点数も載せさせていただきましたが、この3つの機能を果たすに当たって、初期加算等、いろいろとこれまでのレセプト点数に基づいた対応もしていますけれども、改めてこういった高齢者救急のニーズの受け止めをしていただく地ケアにおいて、そうしたレセプトの観点からどうかといったところは再度総点検する必要があるだろうということで資料を御準備させていただいたわけでございます。
そういうことでございますので、もう一つ御質問いただいておりました救急の入院がなしでもいいのではないかという御指摘に関しましては、これは我々の置かれている現状から考えると、高齢者の急性期は、これまでの意見からは地ケアの持つ機能は高齢者の療養の環境として適しているだろうという観点から救急入院を地ケアで受けていただく、直接かどうかは別として、こういう急性期、軽症や中等症に関して受けていただくという観点でどのような役割を果たしていただけるのかというのは、引き続き議論が必要なのではないかと思っています。
猪口委員からはリハビリの観点で誤嚥性肺炎、非常に重要であるものの、すぐさまできる状況でない方もいらっしゃるということは当然我々としても理解しているところではございますが、今回示させていただいたような誤嚥性肺炎に対するリハも非常に重要な観点で、同時改定の意見交換会でも指摘されているところでございますので、まだ我々としてもデータは十分ではないものの、こういったところは適切に提供されているのかは引き続き注視していく必要があると認識しております。
津留委員から今回8割のところでデータを切っているが6割でのデータで見るべきではないかという点や、ポストアキュートの機能をしっかり評価していくべきではないかということで御指摘いただいております。6割のデータはデータとしては分析可能かと思いますが、どのような形でどのような観点で見ていくかに関しては、事務局としてもまた検討させていただきたいと思っております。
中野委員からは21ページ目の救急搬送のところで御意見を幾つかいただいておりまして、10年前との比較で、激増で、途中はどうなっているのかということでございますが、我々保険局としましては、こちらの分析は医政局の検討会で行われていたものでございますので、手元としてはこの2点でしか比較ができないということでございます。
この不明のところはどうかということでございますが、ほかの先生方からも御意見いただいておりますが、もう一つ注目していかないといけないポイントとしては、このDPCの作業グループでも部位不明・詳細不明コードが一定程度あって、ヒアリングの結果ではそもそも検査も必要なかったから診断がつかないのだというヒアリング結果もございましたが、そういった患者さんが一定程度増えていて、急性期のDPCの病床を持つ医療機関に搬送されているところは我々は注視しないといけない現状なのかと思っております。
また、中野委員からは37ページ目、こちらに関してはこの2群に限らずさらなる患者像に応じたさらなる分析をということで御要望いただいておりますし、同様の御指摘、ほかにもございましたので、さらなる分析を進めさせていただきたいと思っています。
54ページ目は、リハビリをアキュート早期から提供する重要性なども御指摘いただきました。
61ページ目に関しましては、田宮委員からもさらなる分析をということで御指摘いただいておりますが、この在宅療養支援病院や在宅後方支援病院に関してどのような役割を今後果たしていくのか、まだ転換されたばかりのところも多くございますので、現状あるデータでどのような分析が可能なのか検討してまいりたいと思っておりますけれども、注視していきたいと思っております。
順番が入れ替わってしまいますが、田宮委員から在宅後方支援病院について御質問いただきましたが、こちらに関しましては、200床以上の医療機関において入院受入れ等を担う医療機関ということで、在宅の後方ベッドを担っていただいている病院ということで御理解いただければと思っています。
また、牧野委員からはリハビリの重要性について御指摘いただきまして、3単位以上のところ、リハビリを提供されるための検討ということで御指摘いただいたと認識しています。これについても今後検討してまいりたいと思っています。
飯島委員からは3つの機能をもう少し俯瞰した解析が必要なのではないかということでございます。確かにこのポストアキュート機能が果たしている役割は、急性期病院においても影響は当然あるかと思っておりますし、医療提供体制全体においてこの地ケアが果たす役割は様々な分析があるかと思っています。これまでも3つの機能ということで、地域ごとで見てみますと、例えば回リハが多くある地域においては、果たしている役割、地ケアは異なると思いますし、そういった見方で、この地域のリソースに応じて地ケアが果たしている役割は様々だと思っています。この地ケアの要件は地域のニーズをいかに受け止めるのか、そこが一番重要なポイントだと思っておりますので、そういった観点で何かしらさらなる分析ができないか検討してまいりたいと思っております。
また、眞野委員からは情報連携で退院後スムーズにというメッセージをいただいております。こういった観点でも、今後の改定の中でどのような工夫ができるか検討していきたいと思っています。
また、井川委員からは救急搬送、軽症で帰れないという方がいらっしゃるのではないかということで、先ほどのDPCのヒアリングの結果ではございませんが、そのような患者さんたちが増えている傾向は間違いなくあると思っておりますし、昨日の中医協総会でも救急搬送をしなくてもいいように地域包括ケアの中で連携を深めていくことが重要なのではないかというコメントもいただいております。そういった地域包括ケアを充実させるために、この地ケア病棟を持つ医療機関が果たす役割が何であるか、そういったところも議論を深めていければと思っております。
また、山本委員からはアウトカムの重要性ですね。この地ケアを今後検討していくに当たっては、必要度とともに、これも指標等グループでも議論を深めておりますけれども、地ケアを評価するに当たってどのような観点で見ていくべきなのか、そういった点に関しては非常に難しい課題と受け止めておりますけれども、こちらについては引き続き検討してまいりたいと思っています。
また、最後、山本委員からは先ほどのレセプトの点数について短在が乗っているのではないかという御指摘もございましたので、そういった指摘も踏まえてさらなる分析をしていきたいと思っております。
長くなって大変失礼しました。コメントは以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ただいまの事務局からの回答ですが、いかがでしょうか。何か追加的にございますか。よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、ほかに御質問等もないようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りにしたいと思います。
それでは、今日の3つ目の最後の議題でございますが、「横断的事項等について(その1)」でございます。
これにつきましても、まず事務局から資料の説明をお願いします。
○加藤補佐
ありがとうございます。事務局でございます。
63ページ目から「横断的事項等について(その1)」ということで御説明させていただきたいと思います。
64ページ目、身体拘束ゼロへの取組ということで、認知症を通じて今回同時改定に向けた意見交換会の中でもこの身体拘束について御議論いただきましたけれども、これまでも平成12年以降、身体拘束ゼロに向けた様々な取組が国・都道府県レベル、市町村レベルあるいは各施設レベルで取り組まれてきたものをまとめさせていただいております。
65ページ目におきましては、介護保険では「緊急やむを得ない場合」に該当する3要件が明示的に示されておりまして、この拘束に対する意識が非常に高くなっております。
66ページ目でございますが、入院・外来の調査におきまして、身体拘束の実施状況ということで調べさせていただきました。急性期・回復期、慢性期、治療室ということでお示ししておりますけれども、いずれの入院料においても一定程度拘束されている現状と、一部非常に高い拘束率であるところもあるということで見ている一方、0%ということで拘束なしで取り組まれている医療機関もある、いずれの入院料においてもあるといったところが今回の結果の特徴だったと受け止めております。
67ページ目を御覧いただきますと、身体拘束の実施の有無に係るものとして、認知症、BPSD、せん妄の有無は、当然ではございますが、この拘束に大きく影響を与えている傾向がある一方、左下でございます要介護度のそれぞれの程度の影響よりも、右側の認知症に関して、その認知症の今の程度がより強く影響している傾向が見てとれるかと思っております。
68ページ目、入院料別における身体拘束の実施の有無ということで、御覧いただきますと、治療室は少し高くなっておりますが、いずれの病棟においても一定程度身体拘束の実施がなされていて、右側「認知症あり」の患者さんが多くなっている傾向が示されております。
69ページ目を御覧いただきますと、グレーの部分が「わからない」ということで御理解いただければと思っておりますが、認知症のありなしを見ていただきますと、「認知症あり」の割合が急性期入院料のところもおよそ半数ということで、いずれの入院料においても認知症への対応はより求められる時代になってきていることが見てとれるかと思っています。
70ページ目を御覧いただきますと、拘束の実施理由ということで、青が「ライン・チューブ類の自己抜去防止」のため、そして、赤の部分が「転倒・転落防止」によるものでございます。この2つが大きな理由になっているということかと認識しています。
71ページ目、入院料別の拘束時間ということで、この青色「常時(24時間連続)」という割合がいずれの入院料においても多いという結果が出てまいりました。こういったところに関してどのように考えるのかを、今後検討していきたいと思っています。
72ページ目、認知症ケア加算の概要ということで、現状、加算1・2・3がございますが、このような要件になってございます。
73ページ目、算定要件ということで、身体的拘束の定義も記載してございますが、この身体拘束を実施するに当たってやるべきものとして、このエのところで(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)ということで、取り組むべき事項が並べられているということでございます。また、施設基準加算1・2・3で、それぞれ異なる施設基準が設けられてございます。
74ページ目、加算の算定の推移ということで、1・2・3とございますが、その加算に基づく身体拘束を実施している割合が下にございます。
75ページ目、最小化マニュアル等について、入院料ごとで策定の割合に関しては急性期1や回リハなどに関しては高い策定率が見てとれますが、急性期の4から6あるいは地域一般などに関しては比較的低い実施状況になってございます。
具体的な取組としましては、76ページ目、後ほどもございますが、上から2つ目ですね。「院内の身体的拘束の実施状況の病院長との共有」ということで、トップマネジメントは非常に重要かと思いますが、現状としてはこのような形ということと、下から2つ目「病院外の者が関わる事例検討会や対策の検討の実施」ということで、こういった取組は重要視されておりますが、比較的取組状況としては低調だということでございます。
77ページ目、同時改定の意見交換会においても、低減・ゼロを目指すためには、組織的に取り組む重要性があるのではないかということ、療養の病棟では工夫すれば身体拘束が外せるというようなコメントもございました。
78ページ目、今回AとBということで取組事例ということでお示しさせていただいております。それぞれ目標を定め、取組の内容等をお示しさせていただきました。
79ページ目、身体拘束予防のガイドラインということで、まずやるべき5つの方針ということでお示ししております。このような形で、同時改定でございますので、介護報酬との並びも考えますと、診療報酬の改定の中においても認知症あるいは身体拘束に対する対応については御議論いただきたいと思っています。
80ページ目、最後に論点でございますが、必要な医療を提供し安全を確保するため緊急やむを得ない場合がある中においても、入院患者に対する身体的拘束を組織的に予防・最小化するために必要な取組や評価についてどのように考えるのかということで論点をお出しさせていただきました。
説明は以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、資料でいいますと63ページから最後の80ページまででございますが、御意見、御質問等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
秋山委員、どうぞ。
○秋山委員
ありがとうございます。
身体的拘束の状況につきまして詳細に分析いただき、ありがとうございます。66ページでは「身体的拘束の実施率が50%を超える治療室や病棟が一定割合ある」ことや、71ページでは「身体的拘束を受けている患者の7割が一時的な拘束ではなく、24時間拘束されていた」など、にわかには信じ難いような結果が出てまいりましたので、現場でも少し聞いてみたのですが、どうも抑制帯や、ミトン手袋など、典型的な身体的拘束だけではなく、離床センサーの一部も身体的拘束の中にカウントされている可能性が見えてまいりました。
基本的には、73ページの定義、算定要件の(4)のアのところですが、「身体的拘束は、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して、一時的に当該患者の身体を拘束し、その運動を抑制する行動の制限をいうこと」とありまして、素直に読めば離床センサーのような行動を監視するようなものは決してその行動を制限するものではないと読めるわけですが、一方で、この「患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具」という文言があり、これが実際に様々な団体等で行われているQI事業、クオリティーインディケーターの中でのいわゆる身体的拘束の定義の中でも適用され、クリップセンサーやセンサー内蔵型のベッドなど、患者さんの身体やその身体についているもののセンサーは身体的拘束にカウントし、身体には接触していないマットセンサーのようなものはカウントしないといった解釈がどうも行われているようです。今回の調査でも同じようにこうした離床センサーがカウントされているとすれば、先ほどの50%以上や24時間といった数値もうなずけると思いました。そこは確かめようがないところですが、まずは身体的拘束に何が該当し、何が該当しないか、これまでの疑義解釈も含め、具体的にどれが該当するかといったことが示されてきませんでしたので、今後74ページにあるような認知症ケア加算の評価や、身体拘束ゼロに向けた取組を評価する上でも、まずは身体的拘束の定義を改めて議論し、実際に該当するものとしないものの区別を明確にする必要があると思います。
その上で、身体的拘束ゼロに向けての取組は決して手を緩めてはならないと考えています。高齢者の患者像に応じた職員配置はもちろんのこと、先ほど紹介いただきました78ページにあるような好事例についても広く周知、情報共有を図っていくことで、身体拘束に代わる代替的な手段の選択肢の幅が広がると思いますので、ぜひここのところは進めていただきたいと思います。
もう一点、医療安全という側面から、院内でひとたび患者の転倒・転落が起きますと、看護職が法的に責任を問われるケースもございます。そういったケースが身体的拘束ゼロに向けた取組の妨げにならないようにする必要もあると思います。高齢になれば自宅でも病院でも転倒のリスクはありますので、仮に転倒したとしても大事に至らないような床材の検討や、低床ベッド、プロテクターなどの取組も十分に考慮するとともに、そうした転ぶリスクも受け入れた上で、身体拘束をゼロにしていくことについて、社会全体にも理解を促すような取組が必要だと思います。患者、家族、そして、社会全体をも含めた議論がこれから必要になってくると思います。拘束しなかった、あるいは拘束を外した現場の医療従事者が個人として責任を問われることがないように、まずは、先ほどの資料の最後にもありましたように、病院全体として理念を掲げ、身体的拘束ゼロに向けた方針を明確にしていく必要があると思います。看護職だけでは絶対に達成できないと思いますので、多職種からなる職員全体で、組織一丸となって取り組んでいただきたいと思いますし、そうした取り組みが評価されるべきだと考えます。
以上、意見でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。
私は療養病棟においてのデータを見せていただいていて考えたのですけれども、例えば68ページの最初の実施の割合からいうと、治療室に次いで療養病棟が多い状況になっていまして、68ページの右の下を見ると、認知症のなしの患者における拘束が療養病棟に多い。そして、その後70ページ、71ページあたりを見ますと、24時間ずっとやっていて、その理由が「ライン・チューブ類の自己抜去防止」となっているのですね。療養病棟で一体何の自己抜去防止でこのように拘束しているのかという実態を把握したいと非常に思いました。これは数が多いと思うのですね。最後のほうの77ページに「療養病床では工夫すれば身体拘束が外せる」というコメントがあったので、光は見えているのですけれども、チューブの自己抜去だと、抜去すればそのチューブは使えないということなので、前に療養型でのIVHの議論とかもありましたけれども、IVHのポートの場合に拘束はしないでいいのではないかと思うのですけれども、一体どういう状況が24時間のこの拘束に療養でつながっているのかが非常に見たいと思いました。
関連して、今回改めて医療・介護の同時改定でこのようなテーマを深掘りしていただいていること、本当にすばらしいと思っていて、だからこそいろいろお話しさせていただくのですけれども、介護ではかなり拘束をやらないということが出てきていて、とてもいいとは思うのですけれども、逆に介護のような生活を支える場において、一時的に栄養チューブを入れるなど拘束が必要になったら、もう介護にはいられないから療養病棟に行ってくださいという話も聞くのですね。でも、そこで必要なのは医療よりは介護という状況にあるので、この拘束の話をもっても療養病棟の在り方と介護施設の在り方とその間のニーズみたいなもののギャップがまだまだあるような気がします。その一つのきっかけに、拘束が一体療養病棟ではどのように行われているのか。それから、介護でも逆に拘束はしないということになっていますけれども、必要な状況もあるので、ある程度会議をやったりすれば介護でも拘束はしていいことにはなっていますけれども、どうしてもそうしなくてはいけない状況もあるので、拘束は介護ではできないので療養に行ってくださいみたいな話は本末転倒かとは思うので、その辺をもう少し具体的に、この療養での拘束、それから、チューブ抜去の予防のための24時間の実態と、どうしたらいいのかを考えていく必要があるかと思いました。
以上です。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
武井委員、どうぞ。
○武井委員
ありがとうございます。
まず、先ほど皆様からもありましたが、身体拘束についてのデータおよび、検討する機会を頂きありがとうございます。身体拘束は認知症患者やせん妄状態の患者に限らず、治療上必要な場合もあることは事実だと思います。ただ、本当に必要な患者さんに実施しているのかは、今回出していただいたデータからは疑問に思いました。身体拘束の低減に取り組んでいる病院があるということで今回事例を出していただいており、そのような病院は一定程度の成果を上げていることがある反面、マニュアルの策定もできていない病院があることは、スライド75から分かるところだと思います。認知症ケア加算を取っていない病院もありますが、認知症ケア加算の要件には身体的拘束のマニュアル整備等についても含まれているので、この加算が取れる支援をしていくことが必要かと思います。
また、これは私見なのですが、感染対策や医療安全対策のように加算1の体制が充実している病院、加算2・3のように体制が充実していない病院との連携なども考えると、促進されるきっかけになるのかと思いました。私が今いる病院では抑制を絶対にしないというポリシーでケアをしていますが、実現は可能だと思っています。ですから、先ほど田宮委員からもあったように、スライド71の療養病棟で多い24時間拘束している患者の実態、本来ADLを上げるべき回リハ病棟での24時間身体拘束をしている実態について、もう少し詳細に分析して欲しいと思いました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、津留委員、どうぞ。
○津留委員
まず、67ページ以降、認知症のありなしで様々なデータをお示しいただいています。67ページでは、この認知症高齢者の日常生活自立度で見ますと、きれいな相関が見られると。ただ、要介護度で見ますと、要介護3の方のほうがむしろ5の方に比べると動きがあったりということで、3のほうが高いのかというのは現実に即しているのかと思いますので、この認知症のありなしを見ていく場合、認知症高齢者の日常生活自立度とのクロスで見ていったほうがより詳細が分かるのかと思いました。これは意見でございます。
74ページ、ここは細かな話ではありますけれども、下のほうで見ますと、認知症のケア加算1と2であまり身体拘束の実施の割合が変わらない、むしろ令和4年で見ますと認知症ケア加算1のほうが高かったりというのも見られますので、ケア加算の1と2は要件にかなり差があると思いますけれども、実態に見合っていないのかというのが気になるところでございます。
最後ですけれども、80ページ、論点をまとめていただきましたけれども、確かに組織としての取組も必要ですし、重要ですし、マニュアルを整備して、あとは拘束の実施、解除の基準もしっかりつくって、病院長の認識が足りないということで、情報の共有、管理をきちんとしなくてはいけないというところも非常に重要であることは分かります。ただ、その一方で、先ほどの離床センサーマットが拘束に当たるのかどうかというのは、私もそこは十分に把握できていないのですけれども、介護施設のほうの導入が進んでいるのかもしれませんけれども、マンパワーが限られる中で、各病院においても離床センサーマットをたくさん導入したりとか、あるいは認知症患者の見守りの介護ロボットを入れたりとか、AIとかロボットでかなり今後設備投資が必要になってくるのではないかと。それによって転倒・転落の事故が未然に防げればそれはいいわけで、今後病院に介護の人材が増えることは期待できませんし、もちろんスタッフが倍になればこういう拘束も必要なくなってくるのかもしれませんけれども、そういうことが現実的にはありませんので、こういうAIとか、ロボットとか、センサーマットも含めて、そういったものの評価が必要になってくるのではないかと思いますので、そこをどうやって見ていくのかは難しい問題だと思いますけれども、そこも検討していかなければいけないと思っているところです。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
それでは、中野委員、どうぞ。
○中野委員
今までの各委員の御意見と重複しますけれども、改めて意見を申し上げます。改めて言うまでもなく、認知症のありなしでかなり拘束の多寡が分かれていますので、医療の現場としても、認知症をさらに意識した上で、進めなければいけないと思った次第です。
既に出ていますけれども、拘束の実施の状況ということでありますけれども、68ページもそうですけれども、特に私は治療室のところを見ていましたけれども、治療室において20%超えの拘束ということで、これはどんなものかと思っておりましたが、ほかの介護の立場からもいろいろ御意見はあるかと思うのですけれども、ほかの24時間も含め、センサーのお話もございましたので、統計の取り方もあるのかもしれませんけれども、どうかと思った次第でございます。
あとは対応についてですけれども、マニュアルをつくったり、解除の仕方、それぞれ院内で決めているということが9割近くでありますけれども、ガイドライン的なものをつくって安心でそれで終わりではないと思いますので、これがどう実務として動いていくかということだと思います。
先ほど田宮委員からも同時改定ということが出ましたけれども、私も今回同時改定でありますので、特にこの拘束の話は医療よりも介護のほうが進んでいることが多々あると思いますので、大いに参考にすべきことは参考にして取り組んでいったほうがいいのかと思った次第です。
ガイドライン等もつくっておりますけれども、取組事例ということで78ページに示していただきました。その後、予防のガイドラインということでつけていただいています。その1行目に、トップが決断して、施設や病院が一丸となって取り組むとあります。今回の調査の結果、先ほども津留委員でしたか、触れていらっしゃいましたけれども、76ページの具体的な取組内容として、急性期において院内の身体的拘束の実施状況の病院長との共有が弱い、数値的には低めに出ているかというのが特徴になっておりますけれども、ちょうど当分科会には院長先生や院長OBの方々がいらっしゃるので、この辺り、逆に現場のお声として、せっかくですので、御所感があればお聞かせいただきたいと思います。
それから、最後の論点の結論になりますけれども、先ほど申し上げたとおり、先ほど田宮委員からも介護が全てではない的な御発言もあったので、確かにそうだとも理解しましたけれども、いずれにしても介護のほうを大いに参考にして進んだほうがいいのではないかと思います。
以上でございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
林田委員、どうぞ。
○林田委員
ありがとうございます。
身体的拘束の実施状況に関して、割合的にも時間的にも非常に多かったということで、少し驚いていたのですけれども、先ほど秋山委員から定義の問題があるのではないかということで、少しすっきりしたのと同時に、定義をしっかり明確化しないとまずいと感じました。
また実際に身体的拘束を予防・最小化するための取組事例ということで、78ページ目のスライドにもいろいろなことが書かれていますけれども、上のA病棟であれば取組内容に例えば専門看護師がみたいな話があったり、B病棟であれば下のほうにリハビリ専門職などの協力も得ながらみたいなことがあったりしますので、そのようなさまざまな専門家の方々にも活躍していただきながら、さらに多職種あるいはチーム医療ということでやっていただければと思いました。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
ありがとうございます。
詳細な分析をいただきまして、ありがとうございます。身体拘束の実施状況、66ページを見てみますと、カーブ的には同じような形にはなっておるのですけれども、慢性期等と治療室というのは恐らく中身が違うといいますか、例えばAラインなどが入っている患者さんは本当の抑制といいますか、抑制帯を使ったような抑制をしないと場合によってはいけないですし、何よりも看護婦さんの体制が全然違うので、夜間、集中治療室であればほとんど看護婦さんはおられるわけですから、その分抑制はある程度緩められるということがあって、どのような抑制をしているのかの中身も結構違ってくるのではないかと思うのです。
その上で、幾つか確認なのですけれども、この66ページの右下に、この場合の拘束に関しては「身体的拘束は、抑制帯等、患者の身体又は衣服に触れる何らかの用具を使用して」と書かれておりますので、4点柵というのは当然入ってこないのですね。それから、先ほど秋山委員がおっしゃったセンサーマットもこの中には入ってこないカウントと認識していいのかがまず確認です。
もう一点の確認が何かといいますと、70ページの何をもって拘束をしているかという理由の答えなのですけれども、これは単一回答でしたか。複数回答ではなかったですか。例えば療養病床などですと「ライン・チューブ類の自己抜去防止」とか「転倒・転落防止」というのは常に表裏であるという格好がありますので、両方とも丸をつけたいという感じになることが多いと思うのですけれども、単一回答だったかどうかの御確認をいただければと思います。
その上で、田宮委員から療養病棟の拘束はどうなっているのだというお話をいただいたので、少し解説をさせていただきますけれども、そんなにめちゃくちゃ療養病棟がいっぱいやっているかといいますと、68ページを見ていただきますと、左側でありますように、療養病棟でも3割ぐらいしか実はされておられなくて、それほど多くはないのですね。その右側にあります認知症の有無別を見ていただくとよくお分かりかと思いますけれども、上の段と下の段、認知症ありなしで書かれているのですけれども、療養病棟だけが認知症のあるほうがひっくり返って多いのです。ほかの病棟は認知症なしのほうが多いのですね。つまり、認知症があるがためにそれだけ数はどうしても増えていってしまうというのが実態だろうと思います。ただ、その中身という点でいいますと、これは全ての拘束を一緒にしておられますけれども、先ほど申し上げたように、四肢抑制と言われるような非常に厳しい抑制から、例えばミトン、そのようなものまで入ってくる。その中で、療養病床も慢性期病床も抑制には気を遣うというか、できるだけしないでおきたいという意識もありますし、そういう点でいうと、できるだけ軽いものにしていきたいという判断の下、できるだけ弱めていくという方向は取っています。ただ、今回のデータの中にはそのようなことは全く出てこないので、恐らくそういうものは今後調べていっていただく必要があるかと思っております。
以上です。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
ほか、よろしいでしょうか。
それでは、ただいま出ました御質問等につきまして、事務局からお願いいたします。
○加藤補佐
事務局でございます。多数の御質問、御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。
秋山委員からはそもそもこの拘束の定義ということで、離床センサーが入っているのではないかということで、確かにそういった点、今後こういった定義についてはどのように示すのか、定義全体についてお示しするとともに、最後に井川委員からも御指摘いただきましたが、調査をするに当たって定義を明確にすることの重要性については御指摘いただいたと思っております。こういったところをどのように対応できるのか、今回の御議論も踏まえて対応を検討してまいりたいと思っております。
また、秋山委員からは転倒のリスクを看護職員個人が責任を負わないように病院全体として取り組むことの重要性について御指摘いただいたと思いますし、社会全体での取組ですね。転倒・転落というのは自宅にいらっしゃる方も当然起き得るのだ、それが起きないような環境の整備が重要なのだという非常に重要なポイントを御指摘いただいたと思っております。
また、田宮委員からは介護保険あるいは介護保険施設との兼ね合いから、拘束の今の取組の状況に応じて療養のほうに転院が必要なのではないかという事例も生じているのではないかということで、そちらも非常に重要なポイントを御指摘いただいたと思っております。中野委員からも御指摘いただきましたが、介護の中でどのように取り組まれているのか、また、参考にできる部分があるのではないかという御指摘もいただきましたので、我々としても検討を進めていきたいと思っています。
武井委員からは実際現場においては必要な場合があるのではないかという御指摘もございました。様々御指摘いただく中で、加算の1あるいは2・3との連携ということも御提案いただいたと思いますし、回リハにおける24時間の拘束の実態は分析が必要なのではないかということで御指摘いただきました。先ほどの定義の話とも少し関連するかと思いますが、こうしたところ、可能な範囲で検討を進めていきたいと思っております。
津留委員からは認知症と要介護度をクロス集計する必要があるのではないかという御指摘をいただいたのと、加算1と2の拘束の実績に関しては逆転しているところもあるのではないかということで御指摘もいただいています。こちら、認知症ケア加算が果たしてこの拘束率だけで評価すべきものなのかといったところに関しては検討が必要だと思うとともに、実際に加算1・2を取っている病棟においては、当然入院の治療室、急性期それぞれ拘束率が異なるわけでございまして、どういった入院料での加算1・2の届出なのかも見ていく必要があると思っております。御指摘ありがとうございます。
また、センサーマットの評価、介護からそういったところを学びながら、この認知症ケア加算だけに限らない評価の在り方も御指摘いただいたと思っております。
中野委員からはガイドラインをつくって終わりではなくてフォローアップするべきという非常に重要なポイントを御指摘いただきました。また、トップマネジメント、病院長の決断が重要だというところを御指摘いただいております。
林田委員からは定義の明確化、そして、専門看護師あるいはリハスタッフとの連携ということで、多職種連携はこういった拘束の観点からも非常に重要だと思っておりますし、そういったところは同時改定の意見交換会でも非常に重要性を議論していただいたところだと思っておりますので、こういった点に関しても検討を深めてまいりたいと思っております。
井川委員からは療養の実態について御説明いただきまして、ありがとうございます。こちらの調査票について御指摘いただいておりましたが、今回の設問に関しては単一での回答を求めていたということでございますので、確認させていただきました。また、定義について、その4点柵センサーというものに関してどうかということでございますが、今回の質問票に関しては、この点線枠囲みの中でこういったものがあるかないかということでお聞きしておりますので、秋山委員からも御指摘いただいたとおり、受け取り手がどういったものまで入るのかが若干明確でなかったところは御指摘のとおりかと思っていますので、そういったところに関して今後調査設計を再度する際においては留意していきたいと思っております。
コメントは以上になります。
○尾形分科会長
申し訳ありません。予定の時間を過ぎておりますけれども、もう少しだけお付き合いをいただければと思います。
ただいまの事務局の説明につきまして、何か追加的な御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
中野委員、どうぞ。
○中野委員
さっきの私の発言で、せっかくですので院長先生の御感想をお聞きしたいと申し上げてしまったのですけれども、御発言があればぜひお願いしたいと思います。拘束関係で。
○尾形分科会長
どなたかいかがでしょう。
井川委員、どうぞ。
○井川委員
院長というか、院長を全部束ねている統括の部長なのですけれども、民間病院に関していいますと、多くは民間病院が非常に多いと思うのですけれども、トップダウンといいますか、それがないとなかなか下は動いてくださらない。下から院長を動かすというのは非常に難しいという気はします。ですから、トップが本当にやる気があって、みんなにわーわー言いながらやっていただいている病院だけが日本慢性期医療協会のメンバーの中でもできている、それがちょっと弱いところはできていないというのが実態かと思います。相澤先生のところも頑張っておられると思います。
○尾形分科会長
よろしいでしょうか。
○中野委員
どうもありがとうございました。
○尾形分科会長
井川委員、どうぞ。
○井川委員
先ほど私がお願いしました拘束の質に関する検討はいかがでしょうか。それの御回答がなかったのです。
○尾形分科会長
事務局、お願いします。
○加藤補佐
大変失礼しました。そういったところをどのような形で把握できるのか、私、この時点では知識が十分にございませんので、また専門家の先生方からも意見をいろいろお聞きしながら、より実態を丁寧に把握できるような取組をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ほか、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
ほかに御質問等もないようですので、本件に係る質疑はこの辺りにしたいと思います。
本日は大変貴重な御意見を多数いただきました。本日の議論を踏まえまして、事務局とも相談の上で、必要に応じて資料を修正した上で、中医協診療報酬基本問題小委員会に報告をいたしたいと思います。
文言等につきましては、私に御一任いただけますでしょうか。
(委員首肯)
○尾形分科会長
ありがとうございます。
それでは、そのように取り扱わせていただきます。
事務局、次回の開催につきまして、お願いします。
○加藤補佐
日程は未定でございますが、決まり次第、早めに先生方にお伝えしたいと思います。ありがとうございます。
○尾形分科会長
ありがとうございました。
申し訳ありません。今日は座長の不手際もありまして、予定の時間をオーバーしてしまいましたけれども、以上をもちまして、令和5年度第3回「診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会」を終了させていただきたいと思います。
本日はお忙しい中、長時間にわたりまして、熱心な御議論をどうもありがとうございました。
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