ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会)> 第18回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(議事録)(2016年12月20日)




2016年12月20日 第18回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(議事録)

健康局難病対策課

○日時

平成28年12月20日(火) 17:00~


○場所

労働委員会会館 講堂


○出席者

五十嵐委員長
安達委員
石川委員
及川委員
小国委員
尾花委員
賀藤委員
小林委員
春名委員
益子委員

塚越参考人 (栃木県保健福祉部健康増進課)
薄井参考人 (栃木県保健福祉部健康増進課)
竹内参考人 (愛媛県保健福祉部健康増進課)
篠崎参考人 (愛媛県保健福祉部健康増進課)
内野参考人 (神戸市こども家庭局こども家庭支援課)

○議題

(1)小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係るパブリックコメントの結果について
(2)小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係る検討結果について
(3)小児慢性特定疾病児童等自立支援事業について
(4)その他

○議事

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○徳本難病対策課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、「第18回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会」を開催いたします。委員の皆様方には、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は井田委員、岡委員、小幡委員、坂上委員、笹井委員、松原委員から欠席の御連絡を頂いております。

 なお、前回の委員会で御紹介できなかった委員の先生を御紹介申し上げます。東京家政大学の及川委員です。愛育病院の尾花委員です。また、本日はオブザーバーとして、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の磯谷係長が出席する予定ですが、公務のため遅れて到着する旨、連絡が入っております。

 本日はどうぞよろしくお願いいたします。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。傍聴される皆様方におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。議事の進行についてですが、視覚、聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から、御発言等をされる場合には、1つ目、発言者が必ず挙手をする。2つ目、挙手をした発言者に対し、委員長から指名をする。3つ目、指名を受けた発言者は、氏名を名乗ってから発言する。以上の形で進めていただきますよう、お願い申し上げます。

 それでは、議事に移りたいと思います。五十嵐委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○五十嵐委員長 早速、議事に入りたいと思います。はじめに、お手元に既にお配りしております資料につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○徳本難病対策課長補佐 お手元の資料ですが、議事次第、座席表、本体資料として、まず、資料1「児童福祉法第6条の21項の規定に基づき厚生労働大臣が定める小児慢性特定疾病及び同条第2項の規定に基づき当該小児慢性特定疾病ごとに厚生労働大臣が定める疾病の状態の程度(平成26年厚生労働省告示第475)の一部を改正する件()に対する御意見募集の結果について」、資料2「小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係る検討結果について(児童部会への報告案)」、続いて別添1「小児慢性特定疾病の選定に関する平成28年度の検討の進め方について」、別添2「小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)及び疾病(一覧)」、資料3「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の取組状況について」、参考資料1「小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係る今後のスケジュール」、参考資料2「小児慢性特定疾病として新たに追加すべきと判断した疾病の推定患者数」、参考資料3「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」、参考資料4「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業に関する児童福祉法条文()」です。資料の欠落等ありましたら、事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。

○五十嵐委員長 皆さん、欠落等はありませんか。それでは、議事に入りたいと思います。本日ははじめに議事の(1)(2)について、事務局から資料の御説明を頂いた後に、委員の先生方から御意見、御質問を頂きたいと思います。それが終わってから議事(3)について、同じように進めたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 では、議事(1)小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係るパブリックコメントの結果について、議事(2)小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係る検討結果について(児童部会への報告案)を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

○遠藤難病対策課長補佐 資料1になりますが、前回第17回の本委員会において、平成29年度実施分として、医療費助成の対象となる小児慢性特定疾病に18疾病を追加するという結論が出されたことに対し、平成281017日から1115日までパブリックコメントを募集しておりましたので、その結果になります。資料2はそれを受け、まとめたものとして児童部会への報告案となります。資料2に別添12が付いております。

 それでは、資料1から説明します。パブリックコメントで寄せられた御意見は全部で12件になります。お寄せいただいた御意見の内容と、それに対する考え方を適宜要約の上大きく4つにまとめました。
 1つ目は今回検討した疾病以外も検討して医療費助成の対象としてほしいという御意見になりますが、この御意見に対する考え方になります。今回の委員会では日本小児科学会からトランジションの観点で指定難病への追加の要望のあった104疾病のうち、16疾病がまだ小児慢性特定疾病の対象となっていなかったことから、この部分に関して小児慢性特定疾病の追加検討を行いました。今後の小児慢性特定疾病に係る検討に当たっては、引き続き、基礎的な情報を、厚生労働科学研究費補助金事業における研究班及び関係学会等で収集、整理を行った上で、本委員会で検討を行っていくこととしております。

 2つ目の御意見になります。疾病の「状態の程度」を変更してほしい。もっと軽症から認定の範囲にしてほしいという御意見ですが、この御意見に対する考え方になります。疾病の「状態の程度」については、公平な医療費助成の観点から、既存の小児慢性特定疾病の「状態の程度」と整合性を保てるように、関係学会の御意見を踏まえながら定めさせていただきました。頂いた御意見については今後の施策の参考にしたいと考えております。

 3つ目の御意見になります。前回委員会で明示化した「神経症状を伴う脊髄脂肪腫」を他制度との整合性を確保するため、国際疾病分類(ICD10)での表記と同じ「脊髄脂肪腫」のみに変更してほしいという御意見を頂きました。これに関しては、横長の資料、資料2の別添2を御覧ください。これは今回追加される18疾病のリストになります。2ページの「神経・筋疾患群」の赤で修正されている部分が、今回、変更を検討した部分になります。変更前と対象患者さんの範囲が変わらないよう関係学会と調整し、病名の部分から、「神経症状を伴う」を削除して、その代わりとして「状態の程度」の中から、「明らかな神経症状」のみを残し、それ以外の神経症状以外は削除させていただく形で事務局で修正案を作成しました。この案に関して委員の先生方から後ほど御意見を賜れればと思います。

 資料1に戻ります。パブリックコメントの4つ目の御意見ですが、「疾患群の見直しを検討してほしい」という御意見を頂きました。頂いた御意見については、疾患群全体の対象疾病の状況を踏まえながら、今後の施策の参考としたいと考えております。資料1は以上となります。

 次に資料2の説明をいたします。「小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)に係る検討結果について(児童部会への報告案)」になります。読み上げます。

 1.はじめに。児童福祉法(以下、「法」という)の規定に基づき、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いて小児慢性特定疾病(法第6条の21項に規定する小児慢性特定疾病をいう。以下同じ。)を定めるに当たり、小児慢性特定疾病とすべき疾病の案及び法第6条の22項に規定する当該小児慢性特定疾病の状態の程度に係る案を以下のとおり取りまとめた。

 2.小児慢性特定疾病に係る検討の進め方。本委員会では、別添1のとおり日本小児科学会からトランジションの観点で指定難病への追加の要望のあった104疾病のうち16疾病が、まだ小児慢性特定疾病の対象となっていないことから、小児慢性特定疾病への追加検討を行った。個々の疾病について、小児慢性特定疾病の各要件を満たすかどうかの検討を行うに当たっては、「慢性に経過する疾病であること」、「生命を長期にわたって脅かす疾病であること」、「症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾患であること」、「長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾患であること」の4要件を確認した。

 3.小児慢性特定疾病とすべき疾病の案及び当該疾病の状態の程度の案。本委員会では16の疾病を検討の対象とし、そのうち14疾病について小児慢性特定疾病の各要件を満たすと判断し、1疾病について既存の小児慢性特定疾病に含まれる疾病と判断し、1疾病について上記「生命を長期にわたって脅かす疾病であること」の要件を満たさないと判断した。また、これまでほかの小児慢性特定疾病に含まれる疾病として医療費助成の対象と整理していた4疾病についても、併せて検討し、疾病の性質上4疾病とも疾病名を明示化すべきと判断した。したがって既に小児慢性特定疾病として指定されている704疾病に加えて、別添218疾病を小児慢性特定疾病(平成29年度実施分)とすべきことを本委員会の結論とした。

 4.今後の検討の進め方。これまでの検討で既存の704疾病と合わせて計722疾病について小児慢性特定疾病とすべきとしたこととなる。今回は検討の俎上に上らなかった疾病や、検討はしたものの要件を満たさないとされた疾病については、厚生労働科学研究費補助金事業難治性疾患政策研究事業等で研究を支援し、小児慢性特定疾病として検討を行うための要件に関する情報が得られた段階で、改めて小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会において議論する。その際には検討対象となる疾病について、小児慢性特定疾病の検討や状態の程度に係る検討を行うとともに、平成29年度実施分を含めた722疾病の認定について、医学の進歩に合わせ、必要に応じて適宜見直しを行うこととする。

 以上のような報告案で児童部会に報告したいと考えております。具体的なスケジュールは参考資料1を御覧ください。本日取りまとめたものを来年1月の児童部会で報告させていただきます。3月中予算成立後速やかに告示し、4月から実際の医療費助成が開始される予定となります。事務局からの説明は以上になります。

○五十嵐委員長 それでは、委員の先生方皆様から御意見、御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。少し補足させていただきますと、資料22.小児慢性特定疾病に係る検討の進め方の1行目に、「日本小児科学会から要望があった」とありますけれども、これは小児科学会だけではなくて、小児科学会のこの委員会の中に外科系の疾患の学会等も加わっていただいて、ですから、ある意味、子供を診ている学会のオールジャパンの先生方の御意見を踏まえた上で、日本小児科学会のほうから要望を出させていただいたと御理解いただきたいと思います。これは補足です。いかがでしょうか。

○及川委員 前回出席しなかったので、ちょっと教えていただきたいのですが、今回は「切れ目のない支援をする」ということが前提で、多分、大人の指定難病に移行できるように小児の分を追加したということだと思うのですが、ほかにも、可能性として追加するべき疾患等がまだまだあるのでしょうか。その辺を、もし分かりましたらお教えいただきたいと思います。

○五十嵐委員長 これは事務局から御返事しますか。

○徳本難病対策課長補佐 今、頂いた御質問ですけれども、今回、指定難病の追加においては、平成271月に追加したもの、そして平成277月に追加したもの、今回追加したものと3回目になります。第2回目がいわゆる小児慢性特定疾病のトランジションの観点から、成人に関する診療科から御提案いただいたものをディスカッションした経緯があります。今回は、先ほど補足もありましたが、小児科学会さんから御提案いただいたものをやっていますので、一定程度、今回で拾うべきものは拾われたと認識しておりますが、今後、いわゆる研究班などで新たな知見が出ることによって、追加するべきという話になれば、改めてこの委員会の場で御議論いただくことになると思っております。

○及川委員 ありがとうございました。

○五十嵐委員長 よろしいですか。そのほか、いかがでしょうか。

○小林委員 2件ほどあるのですが、1つは「児童部会への報告案」の中の一番下に、「4疾病とも疾病名を明示化すべきと判断した」とあるのですが、それはどこかにどの病気かというのは書かれているのでしょうか。参考資料2の中には14なので、どこかに書かれているのだったら教えていただきたい。

 それと、パブリックコメントの中の4の「疾患群の見直しを検討してほしい」というのは、今ある疾患群の中の、具体的にはどういうことを言っておられるのでしょうか。

○遠藤難病対策課長補佐 1つ目の御質問からお答えいたします。別添218疾病の中に、明示化する4疾病が交ざるような形になってしまいましたが、具体的には脊髄脂肪腫、瀬川病、ハッチンソン・ギルフォード症候群、それから染色体又は遺伝子の変化に伴う症候群としてロイス・ディーツ症候群、この4疾病になります。別添2の中で混在するような形で記載しております。

○小林委員 分かりました。

○遠藤難病対策課長補佐 「疾患群」のことですが、具体的には「神経・筋疾患群」の中に、「骨系統疾患」というものが今回新しく加わっておりますが、前回の委員会でも委員の先生から御指摘があったかと思いますが、骨系統疾患はほかの疾患群にも散在しておりますので、分かりやすさという意味では、機会があれば新たに1つ疾患群を作ったほうがいいのではないかというような御意見を頂いております。

 ただ、疾患群に関しては全体を見て、整合性を取りながら定めていきたいと思いますので、関係学会などから意見を聴取しながら進めていきたいと思っております。

○五十嵐委員長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。脊髄髄膜瘤について、こういう改変が加えられているのですが、尾花先生、御意見はいかがでしょうか。

○尾花委員 こちらに関しては、改定していただいたとおりで大丈夫だと思っております。

○五十嵐委員長 自主的に適用される患者さんが変わるということは余りないだろうと判断してよろしいですね。

○尾花委員 はい、そう思っております。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、次の議題に移ってもよろしいでしょうか。議事(3)小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の取組状況について、事務局から資料3を中心に御説明を頂きたいと思います。

○竹内難病対策課長補佐 資料3です。基本的な方針を踏まえ、都道府県等の取組状況の調査を厚生労働省で行っており、今回その報告をいたします。

 下のスライドです。本事業の概要です。事業の目的・内容については幼少期から慢性的な疾病にかかっているため、学校生活での教育や社会性の涵養に遅れが見られ、自立を阻害されている児童等について、地域による支援の充実による自立の促進を図るものです。実施主体は都道府県・政令指定都市・中核市、国庫負担率は国が1/2となっております。根拠条文ですが、児童福祉法第19条の22及び第53条となっております。

 事業の構成です。必須事業として、児童福祉法第19条の221項に位置付けられているもので、具体的には自立に向けた相談支援、療育相談指導、巡回相談、ピアカウンセリング等の相談支援事業、また関係機関との連絡・調整、患児個人に対する各種支援策の活用の提案等を行う自立支援員の配置となっております。

 また、任意事業としては、児童福祉法第19条の222項に位置付けられているもので、レスパイト等を行う療養生活支援事業、患児同士の交流、ワークショップの開催等を行う相互交流支援事業、職場体験、就労相談会等を行う就職支援事業、通院の付き添い支援、患児のきょうだいへの支援等を行う介護者支援事業、学習支援、身体づくりなどを行うその他の事業で構成されております。

 3つ目のスライドですが、任意事業を行うに当たり、法律のほうでも関係機関、患児、その家族等関係者の意見を聞くこととされており、慢性疾病児童地域支援協議会の設置等、体制整備を進めているところです。4から6のスライドについては、今までの話を詳しく説明したものですので、お時間のあるときに御覧いただければと思います。

 続いて7番のスライドです。自立支援事業について、平成27年度の実施状況を把握するため、全112自治体に対して調査を行いました。8番のスライドです。ここからが調査結果の概要になります。必須事業である相談支援事業については全自治体で実施されております。また、自立支援員の配置については91自治体で配置済みということで、81%余りの自治体で配置済みとなっております。また、自立支援員を配置していない理由としては、準備中又は検討中、既存の人員・体制で対応可能、予算措置が困難といった理由が挙がってきております。

 続いて9枚目のスライドです。ここからは任意事業です。療養生活支援事業は5つの自治体での実施となっております。実施例としては、医療機関での患児の一時預り、訪問看護事業所による一時的な見守り支援となっております。課題としては、対象者が少なく、疾病症状も様々なため、個々のニーズへの対応が困難、事業の受託先がないなどの意見が来ております。

 続いて、相互交流支援事業ですが、こちらは20自治体での実施となっております。実施例としては、児童や家族同士の相談会、交流会やワークショップの開催となっております。課題としては、対象者が少なく、一定数の参加が見込める事業とすることが困難との意見が来ております。

 続いて、就職支援事業ですが、こちらは4自治体での実施となっております。実施例としては、就労に関する相談会開催、職能研修、職業体験活動の実施となっております。課題としては、ニーズの把握が困難である、支援を必要とする対象者が少ない等の意見が来ております。

 続いて、介護者支援事業ですが、こちらは4自治体での実施となっております。実施例としては、家政婦、ヘルパーによる育児・家事の援助、長期入院を必要とする児童の保護者に対する宿泊場所の提供となっております。明らかになった課題ですが、対象者が少なく、1自治体での実施とするには困難であるとの意見が来ております。

 最後です。その他の自立支援事業ですが、こちらは7自治体での実施となっております。実施例としては、人工呼吸器を装着した児童に対し、診療報酬で定められた回数を超える訪問看護費用の一部を補助、グループや在宅での個別学習支援などとなっております。以上です。

○五十嵐委員長 概要の御説明ありがとうございました。続いて、現在、既にこの事業を実施されていらっしゃる3つの自治体、栃木県、愛媛県、それから神戸市の担当の方が今日おいでいただいておりますので、順番にそれぞれの取組について、お話をしていただきたいと思います。それが終わってから、全体でもう一度質疑をしたいと思います。

 それでは、栃木県の担当の方から、はじめに御発表をお願いいたします。

○栃木県 皆様、初めまして。私は栃木県の保健福祉部健康増進課からまいりました塚越と申します。本日は栃木県の自立支援事業について、御紹介させていただく機会を賜りまして、ありがとうございました。

( スライド上映)

○栃木県 早速ですが、本県の事業について説明をさせていただきたいと思います。本県は皆様御存じの方も多いかと思うのですが、東京から約1時間ほど新幹線で北上した所にある、人口約196万人を抱える県となっておりまして、県庁所在地は宇都宮市となっております。小児慢性特定疾病の事業につきましては、栃木県と宇都宮市と2か所の自治体で実施をしている事業となります。

 早速、スライドの2枚目になります、自立支援事業という位置付けではありませんが、本県では小児慢性特定疾病医療費の助成事業の中でも、県単独事業を行っております。こちらの下の枠の中を御覧いただきたいのですが、国の制度では、保護者の市町村民税の課税額に応じた自己負担制度を導入しておりますが、栃木県と宇都宮市におきましては、自己負担分を県単独で助成しておりまして、基本的に認定された疾病に基づく傷病等につきましては、受給者の窓口負担がないように支援をしているところです。

 ただ、医療機関への入院時の食事療養費につきましては、もともと2分の1の自己負担分が生じているかと思いますが、この部分につきましては、自己負担をしていただくような対応としております。

 次のスライドでは、本県の受給者の状況を載せさせていただきました。平成27年度末の状況ですが、県のほうで助成をしております受給者は1,643名、そしてこちらは「宇都宮市を除く」と書いてありますが、宇都宮市の受給者数は約500名となっておりますので、県内全体で申し上げますと、2,000名強の方々が受給者となっている状況です。

 御覧のとおり、受給者の疾患群別割合を見ますと、慢性心疾患が最も多く、次いで成長ホルモンを使われているような内分泌疾患の方が多くなっております。それに続いて悪性新生物群という形で受給者が多くなっております。また、その中で人工呼吸器を装着している方は約2%、そして気管切開をされている方は約4%、在宅酸素療法をされている方は約5%ということで、中でも人工呼吸器と気管切開は重複している場合も、もちろんあるという状況です。

 次のスライドには年齢別の割合を載せさせていただきました。最も多いのが10歳から14歳ということで中学生、それに続きまして乳幼児(0歳から5)18%、それに次いで6歳から9歳までの小学生と、15歳から17歳の高校生が多いような状況となっております。そのような受給者を対象とした本県での自立支援事業ですが、必須事業につきましては(1)としまして、小児慢性特定疾病児童等総合支援事業という事業です。こちらは各保健所の保健師が行っている個別支援を主とする相談支援事業となっております。

 (2)につきましては、自立支援員による相談があります。任意事業といたしましては、4つの事業を行っておりまして、1つ目が一時入院支援事業、レスパイト事業といわれるものです。2点目が介助人派遣事業という家政婦の派遣事業、3点目が訪問看護事業でして、4点目に自立訓練事業という事業があります。

 次にそれぞれの事業について、簡単に載せさせていただいたスライドを御覧いただきたいと思います。「保健師等による相談支援事業」ということで、先ほど申し上げました(1)としまして、小児慢性特定疾病児童等総合支援事業ですが、こちらは各保健所で行っているものです。本県では小児慢性の医療費の助成申請があった際に、保護者とほぼ全数、窓口の保健師のほうが面接を行いまして、家庭での療養状況の確認をさせていただいております。

 この際は何を基に確認しているかと申しますと、医療費助成の申請書類をまず取りに来た方に対して、「療養生活のおたずね」というアンケートをお渡ししておりまして、その中で、今、学校に通っているのかというところですとか、障害福祉サービスを利用されているものは何かとか、あとは日頃お困りになられていることは何かという形で、A4サイズ2ページにわたるアンケート調査をしているところです。

 お出しいただいたそのアンケートを基に面接用紙というのを県で定めているのですけれども、その面接用紙に基づいて面接を行い、それを基に各保健所で月に1回、「受理会議」という会議を行って、それぞれの保健師が聴取した療養状況、そしてそこで得られたアセスメントを基に、各保健所としてどのような支援していくのかというのを決定する場を設けているところです。

 (2)小児慢性特定疾病児童自立支援員設置事業につきましては、現在、私が1名、健康増進課に配置されておりまして、保健師ということもありまして兼務をしている状況です。実施内容といたしましては、小児慢性特定疾病児童、そして家族への相談支援、支援に係る関係機関の連絡調整等といったような内容が含まれています。

 続きまして、「一時入院支援事業」です。(1)事業の内容ですが、医療依存度の高い小児慢性特定疾病児童が、県と契約を結んでいる医療機関に一時的に入院できるようにすることにより、介護者の負担の軽減を図るものです。こちらは患者さんが事業を利用した場合には、1日当たり17,000円の委託料を栃木県から契約している医療機関にお支払いをしております。

 また、患者さんが「一時入院支援事業を利用したい」と言った場合に、即日で利用できるものではありませんで、事前に各健康福祉センター、保健所になりますが、こちらに利用申請をしていただいて、栃木県が発行する「利用券」というものを持っていることが必要となります。利用券につきましては医療費助成を受けている際に県から発行しております受給者証と似たようなものになりますが、その利用券を持って、実際に御家族と契約を結んでいる病院とで直接交渉をしていただいて、そこに利用した日数を医療機関から書いていただくような形にしております。

 (2)利用限度ですが、原則として1回当たり7日以内の利用としております。そして1年度内において28日以内を利用限度としておりますが、1回当たり7日以内に利用日数が限定されるというのは、かなり利用者さんにとっては難しいところがあるようで、実際の利用としましては1年度内において28日を超えなければ、1回当たりの利用が7日を超えてしまっても差し支えないというところで運用しております。

 こちらの対象者になりますが、栃木県内に住所を有している方で、なおかつ20歳未満の方で、現段階で小児慢性特定疾病医療費を受給されている方。さらに過去に小児慢性特定疾病医療費の受給歴若しくはその前の古いほうの制度の小児慢性特定疾患治療研究事業のときの受給歴のある方の中で、20歳未満の方を主な対象としております。

 委託先が神経難病医療ネットワーク事業の拠点病院等です。実は、私の所属している担当では、難病医療費そして難病患者さんの支援をともに行っておりまして、「神経難病医療ネットワーク」という事業の中で、県内の60か所ぐらいの医療機関と提携を結んで、患者さんの支援について協力を頂いているところでして、その中でも今年度は8つの医療機関、小児に関してレスパイトを受け入れてもいいですよという意思表示を頂いている8つの医療機関と、実際は契約を結んでいる状況にあります。

 続きまして、「介助人派遣事業」です。こちらの事業内容ですが、在宅人工呼吸器の装着者と、気管切開をされている小児慢性特定疾病児童の介護者の休養のため家政婦による介護サービス等ということで、あくまでこちらは在宅において提供されるサービスに限定されておりますが、こちらを御家族が利用した際にその費用を助成すること。そして、介護者の負担を軽減することを目的として作られている事業です。こちらの対象者は、先ほどの一時入院支援事業とほぼ同じですが、一時入院支援事業は人工呼吸器装着者のみを対象としていたのに対しまして、こちらは気管切開を行っている方も対象としているところです。委託先は家政婦の事業所となっております。

 続いて、「訪問看護事業」です。こちらの事業内容ですが、診療報酬で定められた回数を超える訪問看護を利用した場合に、県から訪問看護ステーション等に対して費用の一部を助成するものです。こちらは人工呼吸器を装着した小児慢性特定疾病児童という形になっておりまして、利用限度は1年度内において100回を限度としておりまして、1週間当たりは原則として5回を限度としております。委託先は県と契約を結んでいる訪問看護ステーションという形になっております。

 続きまして、「自立訓練事業」です。こちらは医師や看護師による日常生活で必要とされる医学的管理技術などの健康教育と患者同士の交流会、この双方を実施可能な患者団体に事業を委託することで、小児慢性特定疾病児童のセルフケア能力ですとかコミュニケーション能力、そして社会的自立の促進を支援する事業となっております。対象者は現段階で小児慢性特定疾病医療費を受給している方ということです。こちらの委託先は患者団体となっておりまして、今年度も既に夏の時期に3団体に事業を委託して事業を実施しております。1型糖尿病の会(つぼみの会)と栃木県心臓病の子どもを守る会、そして喘息・アレルギー疾患をもつ子どもの会の3団体に事業委託して行っております。

 さらに、本県では任意事業を実施するに当たりまして、慢性疾病児童等地域支援協議会というのを立ち上げております。こちらが平成27年度に立ち上げたものですが、協議会の構成としましては、年に1回、協議会を行いまして、その下部組織として実務者レベルで構成されている地域支援検討部会というものを、年に1回から2回程度行っております。その中で、これから栃木県としても小児慢性特定疾病のお子さんたちを支援するための事業を、どういった形で拡充していったらいいかという議論もしているところです。

 最後に、こちら、「自立支援事業における課題」を載せさせていただきました。まず1点目です。保健師による個別の相談支援事業についてですが、「保健師の個別支援の質の向上」を挙げさせていただきました。先ほど、医療費助成を受け付ける際に、保健師がほぼ全数、面接をしているというお話をいたしましたが、県内では小児慢性特定疾病児童の支援を担当する保健師は比較的若手の保健師が従事することが多く、アセスメント力の向上というのがなかなか職場のOJTの中でも図られていない傾向があります。これに対しまして、県としましては県が主催をして、アセスメント力の向上を図れるような研修会を開催したりですとか、あとは保健師が苦手とする障害児福祉の制度についても勉強する機会を設けたり、「自立支援員研修会」といわれる難病のこども支援全国ネットワークさんのほうで行っているような研修会に保健所の保健師もそこで研さんを積む機会を設けられるような、そういった機会を今後作っていきたいと考えております。

 あとは「マンパワーの不足」というところで、栃木県内では9か所の保健所で医療費助成を受け付けているのですが、その約半数が同じ担当課で難病の医療費助成を受け付け、更にそこで難病の患者支援を行っているという現状でありまして、そういった所ではマンパワーの不足というものが目立ちます。どうしても、やはり小児慢性特定疾病のお子さんと難病の患者さんとなったときに、タイムリーに対応しなければいけないところに優先度を付けて支援するような、そういうような現状がありまして、特にALS患者さんですとか、神経筋疾患の患者さんについては、本当にタイムリーに対応しなければならない現状にあるもので、なおかつALS患者さんの数も県内では増えているというところもありまして、マンパワーの不足が目立ちます。ここにつきましては、本庁としましても、何とかそこを補えるような手立てを考えているところです。

 2点目としまして、「自立支援員による相談支援事業」です。私自身、自立支援員を務めていながら、常日頃感じることなのですが、県民からしますと、県庁の中に1人しか相談員がいないというのは、どう考えても相談のしにくさがあるかと思います。私としましては、できれば各保健所の保健師にも自立支援員という看板を背負っていただいて、小児慢性特定疾病児童の支援を考えていただきたいなと思っているのですが、なにぶん、一部の健康福祉センターから、その業務量との兼ね合いで抵抗があるもので、なかなか複数配置というわけにはいかなくなってきております。ですので、そこについては検討を今後も継続しながら、あとは外部に委託をするというところも選択肢に含めながら、検討を続けていくところです。

 3点目の「一時入院支援事業」についてですが、現段階では人工呼吸器装着者を要件としております。このことについて、対象者の要件の拡大ということで、できれば、ひとまず気管切開を施行している方まで拡大していただけないかという医療機関からの御意見もありまして、現在、医療機関への調査を行いながら、その要件を拡大できるかどうか検証をしているところです。さらに、「協力医療機関の拡大」というところでは、神経難病医療ネットワーク事業に御協力いただいている医療機関の中でも、神経難病の患者さんの受入れはいいですが、小児については医師、そして特に夜勤帯の看護師の人手不足ということで協力ができないと言ってくる所が大多数なので、そこについては医療機関訪問という形で、個別に協力してくださりそうな医療機関を私どもが訪問しまして、事業への協力を求めているところです。

 4点目の「介助人派遣事業」です。実はこちらの事業はもともと難病事業の中で、当初、神経難病患者さんと小児慢性特定疾病の患者さんを対象として行っていたものを、自立支援事業に位置付けて切り分けた経緯がありまして、御家族のニーズとしては、介助人派遣事業の場合、あくまで在宅内でのサービスに限定されているのですが、ここの部分を例えば小児慢性特定疾病児童のきょうだいの保育園、幼稚園等の送迎、若しくはお買物に行っていただく人材として活用したいという御意見を多数伺います。ですので、そういうニーズに合った事業の検討というところで、今後、事業内容を検討していきたいと思っています。

 5番目の「訪問看護事業」と6番目の「自立訓練事業」につきましては、利用者の拡大ということで、今後、普及啓発をしていきたいと思っております。

 7番目で「その他」と載せました。「医療的ケア児支援部門との連携」とあります。今年度、医療的ケア児の支援というのが、今後もより一層図っていくべきというところでして、実は本県の場合、医療的ケア児支援部門につきましては、私の所属する課ではなく、障害福祉課という所で所管しております。なお、小児慢性特定疾病児童は難病担当課で所管しておりまして、それとは別に更に、母子保健部門があります。ですので、今後につきましては、それら、課はまたがっておりますが、適宜情報交換をしながら有機的な連携をしていくべきだろうなと考えております。2点目の「小慢児童の退院前からの支援体制の構築」というところでは、現段階で私のほうが考えておりますのが、難病ネットさんがやっているピアサポーターのスキームですが、可能であれば県内の大学病院の中にピアサポーターを配置いたしまして、患者さん若しくはお子さんが退院する前から、病院の中でピアの視点から支援を受けられるような体制を構築していきたいというところで、現在水面下で動いているところです。

 最後に、今年度に行いました自立訓練事業の様子を載せさせていただきましたので、御覧いただけたらと思います。本県は海なし県ですので、実は隣の茨城県に「海浜自然の家」という栃木県の施設を持っております。この「海浜自然の家」は海なし県である栃木県の子供たちがある一定期間、短期間であっても、海のある、海を傍に感じる所で生活をしていただけるようにということで、それをコンセプトに作られた施設なのですが、その海浜自然の家を会場として行っております。

 こちらは「1型糖尿病の会」ですが、前のほうにいる方が、もう20歳を超えた、過去に小児慢性特定疾病を受給していた先輩のピアの方です。この先輩ピアからこういった集団指導の場で、日頃、子供たちが生活していく上で、医学的なところとは別に、困っているところなどを個別に御相談を受けて、こういうときにはこのようにしていけばいいよねといったような御説明をしているところです。

 今回は、また、それ以外にセルフケア能力を高めるための自己管理技術の習得というところで、先輩のピアの方々がウォークラリー形式で、「1型糖尿病の管理の仕方について」、まず自分たちでできることは何かというのを勉強する機会を作りました。こちらに載せさせていただいたのは、そのウォークラリーで回った所については、そこの担当にいるスタッフが関与してくれている所なのですが、こういった形でウォークラリーは約5グループに分かれて行っていたかと思います。

 先輩ピアの方と、一番若い子ですと、5歳の子が親御さんから離れて宿泊型の、こちらの自立訓練事業23日で参加されていました。こちらは先輩ピアの方からインスリンポンプとは何か、こちらのメリットについて御説明を受けているところです。こちらウォークラリーでほかの場面について見学をしているところです。こちらはお昼にカレーを作っている場面です。いざ、出来上がったカレーを食べる前に1型糖尿病の子たちなので、まず血糖測定をしなければいけないということで、血糖測定をし、その後、記念撮影をしているところということになります。

 以上になります。長くなりましたが、御静聴ありがとうございました。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。大変先進的な取組を具体的に御説明していただきました。ありがとうございました。

 続いて、愛媛県の担当の方から御発表をお願いしたいと思います。

○愛媛県 愛媛県保健福祉部健康増進課長の竹内と申します。本日はこのような機会を設けていただき、ありがとうございます。それでは、愛媛県の本事業について御紹介いたします。配布資料にもありますように、実施体制といたしましては、事業一式を小児慢性特定疾病児童とその家族への支援の実績があります、特定非営利活動法人ラ・ファミリエを中心とするコンソーシアム、共同事業体に委託しております。また、この事業の活動拠点といたしまして、愛媛県松山市内にジョブサロンを設置いたしまして、そこに自立支援員として、非常勤ではありますが、平成27年度は5名、平成28年度は6名の配置がされておりまして、交替で勤務をしている状況です。また、そのコンソーシアム、共同事業体のメンバーを中心とするジョブプロジェクト委員会を設置いたしまして、そこにおいて事業内容や相談事例について検討、協議をしている状況です。

 特定非営利活動法人ラ・ファミリエについてですが、共同事業体の中心となっておりまして、この法人は平成14年に「愛媛ファミリーハウスをつくる会」を発展改組いたしまして設立されております。そして、「ファミリーハウスあい」が建設された後に、その指定管理者として運営に継続的に当たっておりまして、小児慢性特定疾患児支援相談事業の委託を県から受けて、平成16年度から平成26年度まで実施しておりました。また、この相談事業の実施を通じまして、小児慢性特定疾病児とその家族に関する情報や見識が蓄積されており、自立支援事業についても、当事者の心に寄り添い、より親密で効果的な事業の実施が期待できること、また当法人の理事として多くの小児科の医師が就任しておりまして、自立支援事業に対するサポートを期待できることから、当法人を中心とする共同事業体を設立しまして、事業を委託するという経緯になっております。

 「就労に関する相談~支援の流れ」といたしまして、サロンにおいて、電話、メール及び来所などで相談を受け付けております。また、ジョブプロジェクト委員会の委員長が愛媛大学医学部附属病院の小児循環器外来を担当されておりまして、そこに自立支援員や臨床心理士が出張して相談を受けております。それらの相談事例について、ジョブプロジェクト委員会において、問題点や課題を協議し、支援の方向性を検討し、方向性が決まれば、自立支援員が企業や事業所に出向き、就労体験や施設訪問につなげ、雇用に向けてフォローをしております。なお、平成27年度においては、3名を就労につなげることができたと報告を受けております。これがジョブプロジェクト委員会の実際の様子になります。この委員会には、共同事業体のメンバーである医師、家族会、企業の経営者、自立支援員のほか、オブザーバーといたしまして愛媛県と松山市の担当者も出席しておりまして、平成27年度は6回の開催をしております。

 次に、主な実施事業について御紹介いたします。相談支援、相互交流支援、就職支援及びその他の自立支援事業を実施しております。ここからはスライドを中心に御説明いたしますので、スクリーンを御覧ください。

( スライド上映)

○愛媛県 これは「ジョブサロンでの相談」の説明になります。左の写真の建物の2階を借りまして、サロンを設置しております。なお、1階はレストランになっております。右の写真がサロンの室内の様子です。サロンは平日及び第1、第3土曜日の10時から17時までオープンしておりまして、自立支援員が交替で相談に応じております。平成27年度は電話やメール等を含め232件の相談実績がありました。

 続いて、愛媛大学医学部附属病院小児科外来面談室での出張相談の様子です。左の写真が小児科外来での受付で、近くの部屋を外来面談室として使用させていただき、毎月第2、第4木曜日の11時から15時まで、右の写真のように相談を行っております。

 続いて、「媛っこすくすく愛キャンプ」という名称で、年に1回キャンプを行っております。平成278月に愛媛県の一番南の町の愛南町に12日でキャンプを行っております。ボランティアを含めて約80名が参加しております。そのキャンプの様子ですが、キャンプには医師や看護師のバックアップの下、病弱児にとっては、普段なかなか体験できない川遊び、酸素を付けての車いすでの散歩、大広間でのお泊りなどを思い切り楽しむことができる貴重な機会です。また、この仲間と一緒に、これからも闘病生活を頑張っていこうという意欲を養う機会であるとも考えております。川遊び、車いすでの移動、お泊り、ケーキ作りなどの写真があります。

 これは、バーベキューの時の写真です。バーベキューでは、ステーキやパスタなども作っているというふうに報告を受けております。また、このキャンプ時に、ネイチャービンゴといいまして、ビンゴカードにある各コマの自然物を探し出し、見つけた者はグループ全体で観察してから○を付けて、コマの指示を記録するものを行っています。自然がいっぱいの愛南町でビンゴを楽しみながら歩くのは、子供たちにとってもとても楽しかったということでした。

 また、これは平成27年度の様子ですが、その夜は企業の経営者と保護者が就労についての勉強会を実施しております。これは平成28年度の様子です。平成28年度は、特別支援教育など、教育関連の勉強会や子供の蘇生の実際を学ぶ救命救急の講習も実施したという報告を受けております。

 これは、サロンでのサロン交流会の様子になります。サロンを利用しまして、親の会同士の交流や、ほぼ毎月1回子供や保護者が参加する定期交流会を実施しております。また、「こどものゆめプロジェクト~子どもの命を守るお仕事体験~」という事業を実施いたしまして、医師、看護師、助産師、臨床検査技師、救命救急士の5つの仕事が体験できるブースを設置しまして、これは一般の方も含めて参加者は650名という大きなイベントになっております。自分たち子供の命を守っていただいている仕事の体験ができ、感謝の気持ちや仕事に対する興味を子供たち自身が感じられたのではないかと考えております。

 これは職業体験・見学の様子になります。カフェでの仕事体験を小学校1年生から中学校1年までの6名が参加し、パンケーキ作りを体験したと報告を受けております。

 これは病院見学会の様子です。これは、愛媛大学医学部附属病院の院内見学ツアーを実施いたしまして、この時は看護学科の名誉教授に案内をしていただきました。新生児室やICUなど、普段では見学できない所や実際の教材にも触れることができ、病院での仕事について理解を深めることができたと聞いております。このツアーは、平成27年度は2回実施しており、それぞれ2名が参加しているということでした。

 また、職能研修といたしまして、これはパソコン研修になります。2名が参加して、パワーポイントの資料を作成する手順、写真の挿入の仕方などを学んでおります。

 これは挨拶、接遇のマナー研修です。社会人として働く上で必要とされる基本的なマナー、挨拶の仕方、言葉遣い、電話対応などのロールプレイをしながら学んでおりました。初めはたどたどしさもありましたが、先生の御指導を受けまして、繰り返すうちにどのような相手にもスムーズに対応できるようになってきたと聞いております。平成27年度はこれも2回実施いたしまして、各2名が参加しております。

 続いて学習支援です。勉強したい意欲はあるものの、学校へのレポートの提出ができない通信制高校生への支援、パソコン作業が好きでパソコンのスキルを学びたい方への支援など、これは大学生のボランティアの協力を得て実施しております。また、これは「きょうだい支援」の様子になりますが、病弱児のきょうだいは親にかまってもらえず寂しい思いをするなど、様々な問題を抱えていると認識しております。これはピザ作り体験の様子で、5歳から12歳までの病児と、そのきょうだいが10名、そのほか保護者が参加してイベントを行っております。

 また、「きょうだい支援講演会」といたしまして、このときは講師としてきょうだい支援をライフワークにされております藤村真弓先生をお招きしております。当事者である病児の親、きょうだいをはじめ、保健師、看護師、心理士、教員など、23名が参加しております。

 また、これは成果報告会といたしまして、就労に関するシンポジウムを開催しております。仕事観や学習支援に関する講演をしていただくことで、その知識を深めるとともに、実際に就職した方や学習支援を受けた方がその体験を発表することにより、事業の成果をアピールすることができたと考えております。

 今後の課題といたしまして列記しておりますが、この事業そのものの周知がまだ不十分ではないかと認識しております。また、実際に小児慢性特定疾病児の把握に関しては、まだ不十分だという認識もあります。教育に関しては、学校との連携も十分ではないという中で、実際に教育委員会の方とも会を開いて意見交換をすることもありましたが、これからもまだまだ課題があるかと思います。学習支援等に関しては、大学生のボランティアの募集もしておりますが、その方向性と人材の確保については、まだ課題として認識しております。また、家族の悩みを解決するきょうだい支援や付き添い支援などのこともありますし、一般的なボランティアの確保も重要かと、まだ検討の余地があると認識しております。このような課題に取り組みながら、小児慢性特定疾病を持つ子供たちが成長、自立し、安心して社会に適応し、生きがいを持って生活できるよう支援していくために、今後とも充実した事業の実施に努めてまいりたいと考えております。

 最後にお配りいたしましたリーフレットがお手元にあります。今まで説明した事業を分かりやすくまとめた一枚ものとなっております。御清聴ありがとうございました。

○五十嵐委員長 NPOなどの民間の専門の方たちの力を非常に上手に使うというか、協力してこういう事業をしていくという1つの特徴的な活動ではないかと思いますが、どうもありがとうございました。

○神戸市 神戸市こども家庭局の内野です。本日はこういう機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。早速、神戸市の小児慢性特定疾病児童の自立支援事業の取組について、御報告させていただきます。

( スライド上映)

○神戸市 最初に神戸市の概要ですが、神戸市は兵庫県の南側にあり、南北に山と海があります。9行政区があり、人口は今1538,000人ということで、年間の出生数は12,000人ぐらいです。そのうち小児慢性特定疾病の医療費の助成受給者は897名となっています。これは制度改正の平成26年までは1,000人ぐらいいたのですが、制度改正後、少し減っております。今後どうなるかわかりませんが、乳児医療費のほうにかなり流れていると言いますか、そういう現状もあり、平成28年からは先ほどの栃木県のように神戸市の単独事業として、所得階層にかかわらず、一律上限月額800円にしております。一方で人工呼吸器の方は0円ということで、神戸市独自で医療費の助成の拡充をこの年度から始めておりますので、もう少し受給者が伸びて研究事業に参加する方が増えればいいと思っているところです。

 医療費の受給者の方々の疾病内訳ですが、これも平成271月以降の数字を比較することができませんでしたので、過去の4年間というところで疾病の給付状況の内訳を見ています。神戸市では内分泌疾患を一番たくさんの方が受けておられて、悪性新生物が2番になっています。その後が心疾患ということで、この辺りもセンター、医療センターが神戸市のポートアイランドにありますので、そこで小児の血液がんの方などもたくさんいらっしゃったりしますし、この度県立こども病院もポートアイランドのほうに移ってきましたが、そういったところも一定の影響があるのかも分かりませんが、そういった状況になっております。

 自立支援事業については、平成274月からスタートしております。目的は、先ほど事務局で説明のあったとおりですが、こちらの神戸市の事業の内容としましては、必須事業の相談支援事業、そして任意事業として通院・通学サポート事業、学習支援、就労支援ということをやっています。うちの実施体制としては、小児がん患者の支援実績のあるNPO法人チャイルド・ケモ・ハウスに事業委託をしており、神戸市、西宮市、尼崎市、この3市で一緒に、それぞれ経費は持つのですが、この団体に委託しています。一方で神戸市難病団体協議会がありますので、そちらとも連携をしながら自立支援事業を進めています。全体のイメージとしてはこういう形になりますが、チャイルド・ケモ・ハウスに自立支援員を1名置きまして、今、これは看護職となっておりますが、年によって看護職が必ず確保できるとは限りませんで、平成27年については、チャイルド・ケモ・ハウスのがんの子供を実際にケアした経験のある当事者の方が自立支援員になっていただいていましたが、今年度は看護職となっています。

 先ほどの相談支援事業の必須事業をはじめとして、通院・通学サポート支援、就労支援ということをやっております。就労支援はワークショップですので交流事業の中身も含めておりますが、相談支援事業を中心として各サービスにつないでおいたり、あとは関係機関で先ほどの9行政区の保健師につないだり、学校連携、医療機関連携、訪問看護ステーション連携というところで子供たちの支援を行っている状況です。

 チャイルド・ケモ・ハウスですが、2005年に小児血液、腫瘍分野における人材育成と患者のQOLに関する研究会を、そういう志しのある方々で設立をされ、今、NPO法人チャイルド・ケモ・ハウスとして法人格を取って活動しています。実際には、それ以降、2005年以降、小児がんの子供とその家族の支援を中心に、医療関係スタッフをそろえながら相談体制がある団体であるということで、この施設を我々の自立支援事業の拠点としてお願いしているところです。

 先ほどの図に示したとおりですが、内容としては、先ほどの相談支援事業を中心に連絡調整、支援計画の作成をしながら、主な相談内容としては、学習・進路相談、親の会、患者会の情報提供とか、病状・発達に応じた子育て相談みたいなことを、内容として支援計画を作り、それぞれの状況を聞き取りながら、問題点を確認しながら、支援計画を作っていくことをしております。

 こういった広報紙を置いているのですが、周知の仕方としては、こういう医療費助成の申請をされるときに、個別に面談をして、チラシを渡したり、一方、「申請を送ってくださいね」というときの案内文と一緒にチラシを同封したりということで、個別に御案内をしているか、医療機関にも周知をして、こういうことをやっていますということをお知らせしていきます。あとは、ホームページでもお知らせをしています。

 しかしながら、通院・通学支援で、ボランティアの大学生等が自宅や学校、病院等を訪問して、通院・通学を支援しますという事業をやっているのですが、「医療行為の必要がない方」にしておりますので、今のところ実際にこのサービスを利用している人は0人です。実際にほかの障害福祉法でサービスを利用できている方はそちらに行くのですが、小児慢性特定疾病児童の通院・通学支援としては、今のところ実績がまだありません。

 学習支援が一番人気があると言いますか、ニーズが高いと言いますか、ほとんどがこのサービスの利用になっているのですが、これは病気とか治療のために学校に行けないということで、勉強が遅れがちな子供に支援員あるいはボランティア、大学生ですが、自宅とか病院に訪問して学習支援を実際にやるということで、写真のような形で家で支援をするということです。頻度は週2回程度になりますが、具体的な事例として2つ挙げています。対象としているのは、特別支援学校に移籍がされず、訪問学級が導入されていない子供が1つです。こちらについても今のところ実績はないですが、こういう子どもも対象にしているということです。もう一方で、退院後、疾病等によって季節の変わり目等で体調が不良になるとか、感染症の流行期などで在宅養療を余儀なくされるという子供たちに対して、訪問して学習支援をする事業です。

 これも就労支援という位置付けにしていますが、家族の交流ということの意味合いもあります。進学や就労についてのワークショップは平成27年に初めてやりました。実際に小児慢性特定疾病の経験者で就労した当事者の講演をしていただきまして、それと併せて小児慢性特定疾病患者及び家族の方の交流イベント、情報交換会をしました。しかしながら、これも参加組数が神戸市を入れて、西宮市、尼崎市を含んで4組と非常に少数な参加にとどまっているというところで、後の課題で少し申し上げたいと思っておりますが、現実的にはそういう状況になっております。

 実績については、相談支援事業を主の事業にしておりますが、これについては内容は重複しますが、延べ45件ぐらいで、保育とか、教育とか、福祉施策というもの、あるいは就労のことという個別相談が結構多いということです。サービス利用については、先ほど申し上げましたように、学習支援のみとなっておりますが、疾病名は悪性新生物、心疾患、神経・筋疾患という疾病の実質7件の方ですが、延べ件数としては100件ということで、少数の方ですが、頻回に使用しているという状況が見て取れるかなと思っています。

 一方で、慢性疾病児童地域支援協議会の運営ですが、これは年1回、大人の難病対策懇談会と共催ということで、私の所はこども家庭局ですが、保健福祉局という部署と一緒に年1回開催しております。構成員としては、教育機関、医療、当事者グループ、NPOという所が一堂に会しまして、それぞれ情報の共有であったり、専門員からのアドバイスであったり、行政情報の提供ということをやっている所です。

 最後に、「事業の成果と課題」ですが、相談事業については、50件ばかりの件数ですが、医療と福祉というところのはざまにいる方が多くて、窓口で納得のいく相談がなかなかできないことが多いということを聞かれているようです。それで、チャイルド・ケモ・ハウスがそういった制度のはざまを埋めたりということで、利用者が相談しやすかったり、サービスの導入支援が一定できたのではないかということを聞いております。

 学習支援、通院・通学支援については、長期の療養児童に対して学習の遅れの不安解消、あるいは生活面の活性化につながったかと思っております。教育関係機関と医療機関のチームアプローチというものが、この事業を通じてすることができたということで、利用者にとっては、安心な学習支援につながったかと思います。先ほどの就労支援は、4組と非常に少なかったのですが、当事者の就労経験を聞くというところで、疾病を持っていてもチャレンジするという気持ちにつながったりとか、将来の希望を育むという機会になったかと思っています。

 課題ですが、先ほどからも幾つか出ていますが、支援者の人材育成が非常に重要かと思っております。それと、希少疾患であったり、個別性が高いということですので、社会資源とか情報、そういったものが非常に限られているのが現状です。そういったところで、うちも西宮市、尼崎市と一緒にやっていますが、そういう広域連携と言いますか、そういうことが非常に重要かと思っております。

 最後ですが、利用者が非常に伸び悩んでいることがあります。先ほど栃木県さんとか愛媛県さんを見ていますと、たくさんの方が参加していることがありましたので、そういったノウハウなどもまた共有する機会があればいいかと思っております。一方でレスパイトのニーズも結構高いので、そういったことへの対応もできるようになっていけばなと思っております。利用者は非常に少ないのですが、個別の状態に応じてきめ細かくやっていく方向性も一方であるかと思っております。しかしながら費用対効果という点では、自治体の中では利用者が少ないことに対しては、理解を得ていくことはなかなか難しいので、利用者が一定、伸びていく工夫とか、ノウハウを研究していきたいと思っているところです。以上です。ありがとうございました。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。それでは、総論の御説明と3つの自治体の取組につきまして、全体で御意見、御質問を頂きたいと思います。

○小林委員 小林です。参加者の皆さんの御説明、どうも大変ありがとうございます。栃木県さんも愛媛県さんも、それから神戸市さんも取組が非常に積極的だということ、私たちは随分以前から存じ上げておりまして、その中身を今お聞きして、なるほどなと思いながら、本当に感心しながらお聞きしておりました。いい活動をされておられて、素晴らしいなと思っています。

 特に全国調査とこちらの今のお話の状況を合わせて考えてみると、調査の中で皆さんが書かれているのは「対象者が少なく」「対象者が少なく」「対象者が少ない」。皆、「対象者が少ない」と書いてあるのです。そうですね、小児慢性特定疾病患者の一人一人の病気というのは非常に患者数が少なく、ほかの障害者とか老人とは全然違う枠組みなわけです。少ないのは最初から分かりきっているわけです。そういう中で、一番最後に神戸市の方が、「個別の状態に応じたきめ細かな支援」というのをお聞きして、良かったなと今思ったのです。

 私はずっとこれまで思っているのは、一人一人の相談を受けていると、いろいろな相談が出て来て、本当にばらばら。それはそうですね、それぞれの人間が病気でありながら、地域で暮らしているわけだから。そこへ出て来るニーズや困ったこととかは千差万別で、いろいろなものがあるに決まっているわけです。そういう困っていることに、役所や医療、そういう経験の中から知恵をしぼって、あるいはいろいろな資源をうまく組み合わせて対策を取っていってもらいたい。そういうことを一つ一つの事例で取り組んでいくと、解決はできないかもしれないけれども、ここに挙がってくるような仕事は必然的にポンポンと出てくるように私は思っているわけです。そんなふうに取り組んでいっていただけたらいいなと。

 栃木県の御説明で、いろいろ羅列されておられましたが、これらの取組は本当にこれまでの県の住民のそういう人たちのニーズの中から出て来たのだろうと思います。だから、そういう取組をしていってもらえると、必然的に仕事の中身が充実してくるのだろうと思います。「対象者が少ないから」というのは、一つの枠を作るから、この枠に当てはまるのが少ない。それは当然のことなので、枠を取り除いて一人一人のニーズを拾い上げるように考え方を変えてもらうと、ここにある「少ないから」というようなことは出ないのではないかと思うのです。

 自治体の方といろいろなお話をすると時々感じるのが、国もそうかもしれないのですが、皆、自分のところの住民ですから、自分のところの国民ですから、そういうのを役所が救わなければ誰も救う人がいないわけです。是非そんなふうに一人一人のニーズをよく見ていただいて、いろいろな取組をしていただけるといいのではないかと。ちょっと偉そうなことを言って申し訳ないのですが、そんなふうに思いながら今お話を聞いておりました。本当に皆さんが積極的に取り組んでおられて、とてもありがたいと思います。どうもありがとうございました。

○安達委員 安達と申します。今、小林委員のほうから、利用者が少ないこと、私個人としては、知っている方が非常に少ないのではないかと理解しています。いわゆる理解・啓発ということで、もっともっと人々に知っていただく必要があるかと思います。

 これも何度もお話をしていますが、教育で行っている内容と、今御報告がありました福祉での取組内容がかなり重複しています。福祉で取り組んでいる様々な事業について教育関係者にはあまり知られていません。逆に教育で取り組んでいる事業は、福祉の関係者にはあまり知られていません。厚労省と文科省が垣根を低くし、お互いが連携、協働できるような形でしていただくといいかと思います。

 例えば個別の教育支援計画、これは特別支援学校に在籍している子供達には、作成が義務付けられています。福祉では、個別支援計画が作成されています。作成に関わる考え方、アセスメント等かなり相似する部分があると思いますので、是非そういうところでも連携が図られればと思います。就労支援でも、特に高等部段階になってきますと、いわゆるキャリア教育というような形で、先ほど御報告がありました挨拶とかマナー、接客態度等について授業の中で取り入れたりしています。是非、具体的な指導・支援まで含めてお互いに連携を取り合うことで効率良く、言葉が適切ではありませんがもっとうまくいくのかなと思いますので、ぜひそこは厚労省と文科省で連携、協働しながら推進していただくと、とても良いのかなと思います。以上です。

○及川委員 及川です。3か所の御報告、本当にありがとうございました。とてもいい事業をされているのだなということを聞かせていただきました。8ページにあります必須事業に関してですが、これは法制化をする前と法制化をした後では増えているのですか、多分、相談事業は前々から行われている事業だと思うのですが。

○竹内難病対策課長補佐 すみません。今手元に資料がございませんので、法制化前との比較はちょっとできない状況です。

○及川委員 是非、少なくとも必須事業だけでも増やしていただきたいと思いました。それから、お子さんたちが非常に県の中でも点在していて、県で一つにまとめて何かをやろうというのはそもそも無理な部分があるのではないかと私は思っていまして。県で何か事業していただくときに、やはり地域にある様々な資源をできるだけ活用していただきたいと思います。

 先ほどのお話の中にもありましたように、例えば様々なキャンプで医療機関が主体にはなってはいるのかもしれないのですが、キャンプで子供たちのセルフケアを伸ばすとか、病院の中に親御さんたちの会などを持っていたりとか、いろいろな形で資源があると思うのです。そういうのをできるだけ拾い上げて、そこをバックアップするような形でやはり強化をしていっていただきたいし、ネットワークを広げていただくことによって、またその活動とか、そういうことも広く周知していただけるのではないかと思って聞かせていただきましたので、是非その点も県のほうで考えていただけるといいかと思います。

 もう1点ですが、支援員の方がやはり少ない。そういう支援員の方々の質の向上ということもおっしゃっていたのですが、小林さんの所では研修会などもして、バックアップしていただいていると思うのです。例えばそういう研修を受けた方々というのは、その後支援員として活動しているのですか。

○小林委員 小林です。自立支援員研修会は五十嵐先生のところの国立成育医療研究センターと共催でやっているのですが、そこを受講された方が、受講された方、今日いらっしゃっていますが、100%自立支援員をやっているかどうかは、こちらでは分からない。自立支援員は外の方に委託しているけれども、研修会は県の職員が受けに来たという方もいらっしゃる、いろいろのようです。

○及川委員 ありがとうございます。やはり自立支援員というのは非常に要になる方だろうと思いますので、そういう意味では医療機関などでは小児看護専門看護師が、在宅であるとか、外来での相談とか様々な形で役割を担うことも行っていますので、そういう者も支援員の仲間にちょっと入れていただけると、更に質も向上していくのかと思いました。

○賀藤委員 賀藤です。今日3つの自治体から御発表いただいて、2つはNPOの方々を介したというのが、ちょっと特徴的だったろうと思います。ニーズというのは医療現場、あとは小児慢性の病気の人たちを持った現場のほうがよく分かるのではないか。というのは、愛媛の檜垣先生、よく存じておりまして、とても周りからいろいろ言われているというか、こうして欲しいああして欲しい、親からこうして欲しい、僕はこうしたいというのを彼は真摯に受け止めて頑張ってきていたのです。ただ、現状として、それをサポートしてくれるものが何もなかった。彼は一生懸命やってきたのですが。ですので、自治体としては多分自治体だけで頑張るのではなく、自治体だからできるところと、ニーズとか細かいところは先ほどから出ているように、民間NPOで頑張っているところと提携してやっていただいたほうがより細かなニーズは掘り起こせるし、細かなところまでできる可能性があるのです。各自治体は自分だけで頑張るのではなく、そういうところを少しずつ、沖縄でも頑張っているボランティアの人がいましたし、各自治体の中ではどこかで民間の方で頑張っている方がいるはずなので、そこを協力してやっていかないと、多分駄目なのだろうと。

 というのは、先ほど小林委員から、総論で出た課題が「対象者が少ない、どうしようもない」というところが出ました。僕、小児がんのところでも、地方自治体のところで出てましたが、同じことでした。「少ないので動きようがない」と、各県庁が。当たり前なのです。子供は小児慢性疾患は大人と比べれば圧倒的に桁が違う。その数のオーダーで言われてしまうと、子供は数が少ないのは当たり前なのです。数が少ないところでどうするかということをやっていかないと、大人を基準としたサイズの数で配られたら、それはいつまでたっても子供には何も行かない。そこら辺の基本的な考え方を皆で根本的に変えていかないと駄目なのだろうと思います。そこら辺は認識を新たにしないと、多分前に進まないだろう。オーダーの問題ではない。少ないのは当たり前。だから予算もかけられない、予算も行かないというのはいろいろな所で聞いてきました。

 病気を持った子供たちをいかにして医療費だけではなく、生活、教育、多分、就労においても。「就労できない」と思っている親御さん、「僕は働けないのだ」と思っている子供も多いはずなので、「いや、違うのだ」と意識改革をしていくことも必要なのだろうと。そこが欠けているのだろうと思う。それは現場の人たちがよく分かっている。一番の医療は多分愛媛県なのだろうと思います。ケモ・ハウスもそうですね。ケモ・ハウスは一生懸命頑張っていらっしゃる所なので。だから、そういう民間の方と、民間だからできるところと、あとはやはり公的な地方自治体だからできるところと、そこをどうやってミックスしていくのかがこれからの課題かなと。オーダー、数は少ないのは当たり前で、地方自治体全体として根本的に考えを改めていただかないと、前に絶対進まないものだと思っています。

○石川委員 実例を今日いろいろとお聞きしまして、新しい、こういうイベントはとてもいいなと思ったのです。実は私、前から糖尿病とか喘息とかのサマーキャンプとか、そういうイベントはたくさんやっているのですが、一番思うことは、そういうイベントをやっても、障害を持っている子供のお母さんは地域に帰ると非常に孤独なのです。イベントのときは子供たちも生き生き、お母さんも生き生きやったりしても、地域がどうやってその子供たちを支えるかという視点をやはり持たないと駄目だと思うのです。今まで私も十何年ある種の、いわゆるマザーズホームをずっと担当してやっているのですが、マザーズホームなどに来ているときは親の支援とかそうなるのですが、地域に帰ると、とても子供も、親も孤独になってしまい、大変。そういう現象をずっと見ていたのです。

 このところヒントとしては、私、日本医師会で地域包括ケアシステムというのをやっていて、あれは高齢者のものだと皆思っていますが、私たちは全然そう思っていないのです。地域包括ケアシステムの中で、子育ても含めた、高齢者も含めた、まちづくりというようなことを私たちが展望していって、それを地域などで地区医師会を中心にやっていこうというところで、障害を持っているお子さんとか難病のお子さんとか、それから私はもう少し自閉の子供にも何とか手を差し伸べたいと思って、難病に漏れた子供たちがたくさんいるので、それを地域でどうやって一緒に生活していくかという視点を、是非皆さんの難病を扱う方は持っていただきたいと思っています。それを実際に実践をしようとしております。それでないと、根本的な支援はなかなかできないのではないかと思っていまして、是非、自治体もそうですし、スポット的にやるのも大事なのですが、そうではなくて、日頃どうやって地域の中で見るというキーワードをどうやって持っていくかということだと思うのです。そういうふうに考えます。

○益子委員 川崎市の益子です。先ほど石川先生がおっしゃったような地域包括ケアシステム、川崎市では高齢者に限らないで、全ての住民のための地域包括ケアシステムを構築していこうと、今頑張っているところです。地域の医師会の先生方、特に小児科の先生方がやはり子供の在宅がとても遅れているということで、レスパイトを含めて検討して、川崎は本当に1床しかなくて。先ほど栃木県の御発表で、8医療施設が手を挙げてくださっているということですが、ただ、事前に申込みをしておかないと駄目というようなことで、使い勝手がどうなのかということもあって、どのくらいの実績があるのかを教えていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○栃木県 栃木県の塚越です。一時入院支援事業の実績ですが、利用券を発券している患者さんの数は平成27年度で30名になります。そのうちの6名が平成27年度の実績になります。

○春名委員 春名です。せっかく今日、就労支援をやってくださっている貴重な御発表に少しお聞きしたいのです。やはり大人の難病の方の就労支援、ほんの5年前ぐらいなどでは、全国的に見ると、「就労支援の相談なんかありません」という地域も結構あったのです。最近になって、どんどんニーズが掘り起こされてきたということもあるのですが、今日御発表いただいた中で、隠れていたニーズ、こんなところにニーズがあるとか、そういうところをお聞きしたいと思いました。1つはやはり軽過ぎる。一見、軽過ぎて自分で何でもやっている方がいらっしゃるので、試行錯誤でやっている方に関してはワークショップとか、OB交流とかはとてもいい機会だと思います。もう1つは重過ぎる。こんな方は働けないと、家族の方も、御本人も思っているケースに対して、例えば先ほどのお医者さんの方とか企業の方など交じえた話合いの中で、その可能性を見出していくことができたとか。今後こういう支援のターゲットがあるみたいなことの参考になるような、何か隠れたニーズみたいなものがあったらお聞きしたいと思ったのですが、いかがですか。先ほど御発表があった神戸市、愛媛県ですか。あったらで結構です。

○神戸市 内野です。ワークショップの後に、相談も受けていたのですが、具体的に何かということはないのですが、それぞれの気持ちとして、病気で体力が低下していて、何か自信がないとか、面接しても落とされるのではないかみたいな、そういった不安の声を実際に打ち明けて、不採用になるようなことの心配事という御相談を受けているようです。その病状が重い・重くないにかかわらず、やはり体力に不安があることに対して就労できるかということを、企業のほうもどう支えていくかということになるのでしょうが、そういった就労の悩みを持つ人たちにとってどういう環境を作ったらいいのかということは課題と感じております。今のところそれぐらいのことしか分からないので、今後も模索したいと思います。

○尾花委員 尾花です。今、いろいろ御発表いただきまして、実際に周知を進める上で、現場の医師、実際に小児慢性に関わっている医師たちへの周知とか、その広がりというのがやはりちょっと見えてこない部分が今日の御発表の中でもありました。是非、今、小児慢性に関わっている医師というのは、各学会の専門医以上の人たちを指定ができるということになっていると思いますので、いろいろなシステムも変わる中で、「こういうこともやっています」ということを、例えば診断書を出した医師にも周知していただくと、少し広がっていくのではないか。どうしても患者さん、家族の方は医療の現場でちょっとずつ発信していかれることが多いと思いますので、そういったことをお願いできればと思いました。

○小国委員 小国です。私は教育現場で教職をしているのですが、今、教育のほうに興味のある学生たちがたくさんいる学校にいるわけです。その方たちというのは、かなりこういう支援事業に興味があると、私は感じております。ただ、そういう支援事業をどうやってやったらいいのかとか、プロセスとか、あるいはノウハウが全く現場には来ていなくて。つまり、安達委員もおっしゃっていましたが、文科省と厚労省が何か対立しているような形がありまして、例えば特別支援を勉強している学生たち、これは特別支援学級に行くとも限らずにこういう支援事業に行きたいと思っている学生もたくさんいるのですが、小児保健というような病気に関する授業を特別支援教諭課程の教科には認められないと、つい最近なのですが、文科省から言われました。そうしますと、そういう興味を持って勉強している学生たちが子供の病気を知らないで教育をされるというような形が現実に起きかけているという事ではないかと懸念されました。そうしますと、どうやってそこの現場に行くか、あるいはどういうものがニーズとなってあるのかが、教育現場で全く反映されないことが起こってきてしまうのではないかと非常に懸念をしております。学生と話しますと、かなりそういう支援事業に興味を持っている人たちがいる現状を考えますと、どうにか打開をしていただいて、若い人たちの力をそこの事業に還元できるようにしていただきたいと強く願っております。

○五十嵐委員長 文科省の特別支援教育課の方がおいでになっていますので、要望ということでよろしいですか。あるいは何か御意見ありますか。

○文部科学省特別支援教育課 文部科学省です。今お話いただいたのは、教員養成の関係でということですか。すみません、担当外になってしまうので、この場で申し上げることは致しかねる部分にはなってしまうのですが。こちらの小児慢性特定疾病のお子さんの支援につきましては、特別支援教育課と、それから厚労省さんのほうの担当課と日々連絡、連携を取りながらやっております。それから今回の自立支援事業に関しても、自治体レベルで協議会に教育関係者も入っていただいているというようなことですので、引き続き連携、協力しながら取り組んでまいりたいと思っております。

○小国委員 私が申し上げたのは、教科の中で、「保健」という教科といいますか、「小児科という病気に関する教科をことごとく特別支援教諭課程、特に専修免許状、の教科から外せ」というようなことを最近言われました。それはないだろうと。やはり病気に関することは特別支援の教育の中では必要なのではないかと思います。私はそれが懸念されるところでありました。それで教育現場で、学生に必要な知識を教える機会がありますと、特別支援教諭として現場で働かなくても、小児慢性特定疾病のような方たちの支援事業というようなところで働きたいとか、そういう考えも出てまいりますので、是非それは教育の中に入れていただきたいと思っております。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。ほかはよろしいですか。この小児慢性特定疾病児童たちが自立するためには自立支援が必要なわけですが、そのためには医療、福祉、教育、就労と様々な問題があって。それが有機的に働かなくてはいけないということが今日もよく分かったと思うのです。

 ちょっと話は違うのですが、小児在宅医療の推進のために厚生労働省と医師会が協力して、全国から実際に在宅医療をやっている先生方を集めて、国立成育医療研究センターで講習会等をしています。それを始めて、冊子を作ったりして全国にそれが更に広まっていくような動きに今なっているのです。そういう点で、この小児慢性特定疾病児童等自立支援事業、小林さんのところと国立成育医療研究センターで一緒にやっている取組は、毎年40人とか50人ぐらいの方たちがおいでになって、終わりますと、修了証を差し上げているという事業をしています。それだけではなくて、是非、医師や看護師あるいは福祉司の方などの代表に集まっていただいて、年に1回こういう活動、特に今日お話いただいたような先進的な取組を皆さんに御紹介するような機会も将来あるといいのではないかと、私は今日感じました。是非、将来検討していただきたいと思います。

○小林委員 ちょっとよろしいですか。もう1点ですが、この小児慢性特定疾病は実施主体が都道府県、政令指定都市、中核市なわけなので、それ以外の市や町村の職員の方たちというのは自分のところの自治体に小児慢性特定疾病患者、難病患者もそうなのですが、誰がいるかとか、どのぐらいいるかとかというようなことは全く把握してないですね。その地域の保健師さんなども、そういう子供さんたちに触れ合うというのも少ないのではないか。やはりいろいろな機会を通じて末端まで、都道府県から県全体に告知していただくようなPRを、より積極的にやっていっていただく必要があるのではないか。常々考えているものですから、一言申し上げました。

○及川委員 今回、この自立支援事業を行うにあたっては、やはり地域でどれくらいのニーズがあるのかということを調査して、その上でその地域ごとに合わせた事業をしていこうということが、当初話し合われていたかと思うのです。多分、これからそういうためのニーズ調査というか、行われるかと思うのです。そういう調査をすること自体が、やはりお子さんや患者さん、御家族にとっても、何かしらの次の希望につながっていくかなと思います。患者さんの状態とか、疾患によってかなりニーズが異なっていると思いますので、十分にその点が把握できるような調査を是非していただいて、事業に反映していただきたいと思います。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。いろいろと御要望も出てまいりましたが、よろしいですか。そろそろ時間になってまいりましたので、今日の議論はここまでにしたいと思います。

 では、今後の予定について事務局から御説明をお願いいたします。

○徳本難病対策課長補佐 委員の皆様、ありがとうございました。冒頭で資料の確認のときに説明し忘れましたが、本日、参考資料2として付けているもの、「小児慢性特定疾病として新たに追加すべきと判断した疾病の推定患者数」については、前回の委員会で委員の方から御質問のありました内容ですので、参考に付けております。御参照くださいますようお願いいたします。

 次回の開催日程については、改めて事務局から御連絡させていただきます。最後に、委員会の閉会に際しまして、福島健康局長より御挨拶申し上げます。

○福島健康局長 健康局長の福島です。委員の先生方には年末のお忙しいところ、また遅い時間まで御議論いただきまして、大変ありがとうございました。前回、今回と御議論いただきました結果、14疾病を新しく小児慢性特定疾病に追加すること、それから既存の対象疾病に含まれていると整理しました4疾病については疾病名を明示する、という御検討結果を頂戴しました。これにより、小児慢性特定疾病の対象疾病は722となるわけです。この点について、先ほど事務局からも途中で説明したと思いますが、来年1月に開催予定の児童部会に報告をさせていただき、ここではまた御審議いただき、御了解いただければ、早ければ来年4月から医療費の助成が開始できると考えております。そのように事務方としては今準備を進めてまいりたいと考えております。この間の御議論について、御礼を申し上げたいと思います。

 また、本日は小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業について、3つの自治体から御報告いただきまして、ありがとうございました。この自立支援事業について事務局から報告したように、特に任意事業につきましてはまだまだ進んでいないという状況にございます。一方で、今日御発表いただいた自治体のように、積極的に取り組んでいただいたところもある。それについていろいろ本日は先生方からも御意見を頂戴しましたが、それらを踏まえて、また内容を充実させていきたいと考えております。やはりこれはそれぞれの自治体に取り組んでいただかないといけないものですから、今回御発表いただいたような取組、こういうものをできるだけ発信し、私どものほうから、それぞれの未実施の自治体に御紹介して、それぞれ取組が進み、必要な支援が行われるように進めてまいりたいと考えておるところでございます。どうぞ委員の先生方にはまた引き続きの御支援をよろしくお願い申し上げます。以上、簡単ではございますけれども、内容が取りまとまったということでございましたので、御礼の御挨拶とさせていただきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。

○五十嵐委員長 それでは、何か特別御発言されたい方はいらっしゃいますか。よろしいですか。では、今日の専門委員会、これで終了といたします。御出席いただきまして、誠にありがとうございました。


(了)

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