ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会)> 第17回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(議事録)(2016年9月28日)




2016年9月28日 第17回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(議事録)

健康局難病対策課

○日時

平成28年9月28日(水) 10:00~12:00


○場所

労働委員会会館 講堂


○出席者

五十嵐委員長
安達委員
石川委員
井田委員
岡委員
小國委員
小幡委員
賀藤委員
小林委員
坂上委員
笹井委員
春名委員
益子委員
松原委員

○議題

(1) 小児慢性特定疾病対策の現状について
(2) 小児慢性特定疾病の選定に関する検討の進め方について
(3) 平成29年度に追加等を検討する疾病について
(4) 移行期医療に関する今後の検討の進め方について
(5) その他

○議事

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○徳本難病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから、第17回小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。委員会の開催に際して、福島健康局長より御挨拶を申し上げます。

○福島健康局長 健康局長の福島です。委員の先生方には大変お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。また、日頃から小児慢性特定疾病対策のみならず健康施策全般にわたり御指導賜り、改めて御礼を申し上げたいと思います。

 小児慢性特定疾病の業務ですが、昨年の10月に雇用均等・児童家庭局から私ども健康局に移管されて、小児慢性特定疾病対策と難病対策で連携を図りながら実施するということで進めているところです。委員の先生方にも引き続き両制度の円滑な実施に御協力いただければと考えております。

 小児慢性特定疾病について、昨年の1月に改正児童福祉法が施行されて、現在それに基づいて医療費の助成、それから自立支援のための事業を行っております。また、昨年の10月に基本方針を策定して今進めております。本日は、その基本方針に基づく現在の小児慢性特定疾病対策の現状ということについて御報告して、その次に、新たに医療費助成の対象とする疾病の追加等を御検討いただきたいと考えております。

 特に今回、御議論いただこうと考えているものは、日本小児科学会からトランジションの観点から指定難病の追加の要望があった104の疾病のうちの、まだ小児慢性特定疾病の対象になっていない16疾病を議論の対象にしたいと考えております。先生方には、是非、これまで同様に精力的な御意見を頂戴できればと思います。

 また、今日の議題の4番目の「移行期医療に関する今後の検討の進め方について」という、これは小児慢性特定疾病から成人への移行期の医療をどのようにするのかということで、このことについて、今日は中身というよりも、今後どういう課題があって、どのようなことを議論していただきたいのかということを、イントロとして少しお話させていただければと考えております。是非、先生方には活発な御議論を頂戴できればと思います。開催に当たっての御挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

○徳本難病対策課長補佐 カメラの撮影は、ここまでとさせていただきます。傍聴される皆様方におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 本委員会は2年ぶりの開催です。その間、委員の方々が何人か変わりましたので、お手元に配布している委員名簿の順に委員の皆様を紹介いたします。明星大学特任准教授の安達委員、国立成育医療研究センター理事長の五十嵐委員、東京慈恵会医科大学教授の井田委員、東京大学大学院教授の岡委員、鎌倉女子大学教授の小國委員、上智大学法科大学院教授の小幡委員、国立成育医療研究センター病院長の賀藤委員、認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク会長の小林委員、読売新聞東京本社主任研究員の坂上委員、東京都福祉保健局技監の笹井委員、高齢・障害・求職者雇用支援機構主任研究員の春名委員、川崎市宮前区保健福祉センター所長の益子委員、明治学院大学学長の松原委員です。なお、公益社団法人日本医師会常任理事の石川委員は遅れて参加されると御連絡いただいております。また、東京家政大学の及川委員と愛育病院の尾花委員は、本日、所用により欠席の連絡を頂いております。また、小幡委員は業務の都合により途中で退席と伺っております。

 続いて、事務局側の職員を紹介いたします。健康局長の福島、総務課長の大西、難病対策課長の平岩、難病対策課長補佐の遠藤、難病対策課長補佐の上村、司会をしております私は難病対策課長補佐の徳本です。なお、福島局長は公務の関係で途中退席させていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、議事進行についてですが、視覚・聴覚障害をお持ちの方などへの情報保障の観点から、御発言等をされる場合には、まず、発言者に必ず挙手していただき、2つ目として、挙手した発言者に対して委員長から指名し、3つ目として、指名を受けた発言者は氏名を名乗ってから発言するという形で進めたいと思いますので、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に移りたいと思います。まず、新たに選任された委員の方々の中から委員長を選任したいと思います。どなたかお願いできますか。

○井田委員 前回までこの委員会の委員長をされていて、この領域に非常に造詣の深い五十嵐委員が、委員長にふさわしいと思いますので、推薦させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○徳本難病対策課長補佐 ただいま井田委員から五十嵐委員の推薦がありました。御異論がなければ五十嵐委員に委員長をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

( 異議なし)

○徳本難病対策課長補佐 それでは、本委員会の委員長は五十嵐委員にお願いしたいと思います。恐縮ですが、五十嵐委員は席の移動をお願いいたします。それでは、五十嵐委員長から一言御挨拶いただき、議事進行をお願いいたします。

○五十嵐委員長 委員長を仰せ付かりました五十嵐です。どうぞよろしくお願いいたします。この数年にわたり小児慢性特定疾病、あるいは指定難病については、非常に大きな動きがあり、改革と言ったらいいと思いますが、患者さんのためになる方針に向かっているのではないかと思います。しかしながら、どうしても限られた時間の中で作業いたしますので、全てのところに目配りしているものの、まだまだ不十分な点があります。

 日本小児科学会や患者の会から、厚生労働省に対して、小児慢性特定疾病の見直しや疾病の追加についてかねてからお願いしていたわけですが、それに応えていただく形で今回こうした会が開かれるに至ったことは、私も大変うれしいことで感謝申し上げたいと思います。石川先生がおいでになりましたので、御紹介していただけますか。

○徳本難病対策課長補佐 日本医師会の常任理事の石川委員です。

○石川委員 どうぞよろしくお願いします。

○五十嵐委員長 どうぞよろしくお願いいたします。

 では、議題に入ります。既にお手元に資料をお配りしておりますが、事務局から確認のための説明をお願いします。

○徳本難病対策課長補佐 本日の資料については、議事次第、座席表、委員名簿、専門委員会の設置要綱、資料1「「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」に対する取組状況」、資料2「小児慢性特定疾病の選定に関する検討の進め方について」、資料3「小児慢性特定疾病として平成29年度に追加を検討する疾病」、資料4「小児慢性特定疾病として明示化することを検討する疾病」、資料5「移行期医療の在り方について(基本方針等)」、参考資料1として先ほど説明した基本方針、参考資料2として雇児母発12181号平成261218日の母子保健課長通知、参考資料3として、第45回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会の資料の「難病の医療提供体制の在り方について(報告書案)」です。資料の欠落等がありましたら事務局までお申し付けください。よろしいでしょうか。

○五十嵐委員長 では、議題に入りたいと思います。今日は議題ごとに事務局から資料の説明をしていただき、その後に委員の先生方から御意見、御質問を頂くことにしたいと思います。4つ大きな議事がありますが、私の考えとしては3番目の平成29年度に追加を検討する疾病について時間をかけて検討したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 1番目の議題の「小児慢性特定疾病対策の現状について」事務局から説明をお願いします。

○徳本難病対策課長補佐 資料1を御覧ください。資料1については、参考資料1にある基本方針の取組状況です。第1は、施策の推進の基本的な方向を記しております。取組状況については第2からです。第2、医療費の支給に関する事項です。基本方針の概要として、適合性の判断や診断の手引きの検討等、小慢児童等データベースの構築が挙げられております。

 これらの取組状況として、まず適合性の判断については、本日の議題3にあるように、日本小児科学会から指定難病として要望のあった104疾病のうち、未だ小児慢性特定疾病ではない16疾病について追加の検討を行います。データベースの構築に関しては、現在、稼働に向けて準備を行っており、平成29年度中の運用開始を目指しているところです。

 次のページの第3は、医療支援の実施に関する事項です。基本方針の概要として、指定医の育成、診断の手引きの見直しと周知、身近な医療提供体制の確保、地域の実情に応じた医療提供体制の構築、成人期担当医移行のモデル事業実施、小児医療・成人医療の連携があります。これらの取組状況ですが、指定医の育成については、都道府県等が実施する研修の費用を国庫補助しております。また、研修プログラムの開発や教材の作成・改定を研究班において行っております。診断の手引きの見直しと周知についても、研究班により診断の手引きを見直し、平成281月に「小児慢性特定疾病ー診断の手引きー」を発行しました。成人期担当医移行のモデル事業については、平成27年度からモデル事業を実施しており、平成28年度中にその実証によりモデルを作成することで、移行期医療の体制整備を促進することを考えております。

 次のページです。第4は自立支援事業に関する事項です。基本方針の概要としては、小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業内容の充実、自立支援事業実施における方向性、各団体の協力、自立支援事業の取組支援、自立支援における実態調査等が記載されております。4つ目の取組支援や5つ目の実態調査等については、都道府県における取組について事業の実施状況や取組の先進的事例・課題等を調査しており、今後広く情報提供を行う予定としております。また、厚生労働科学研究事業において、生活実態及び社会支援等に関する調査を行う予定としております。

 次のページです。第5は成人移行に関する事項です。基本方針の概要は、成人移行後の切れ目ない支援の方向性、成人移行後の医療費助成の検討、成人後の実態把握と環境整備、自立支援事業の充実と取組支援が記載されております。それぞれについて、平成27年度からモデル事業を実施しており、モデルを作成することで移行期医療の体制整備を促進する。本日、議事4で御案内申し上げますが、「難病の医療提供体制の在り方について(報告書案)」、平成28914日難病対策委員会において議論が行われ、平成28年度中にモデルケースを都道府県宛て通知することを考えております。成人移行後の医療費助成の検討については、本日の議事3として、今年度の指定難病検討委員会の対象疾病の一部として16を議論するほか、現在、88疾病については小児慢性特定疾病ですので、指定難病としての検討を行っているところです。3つ目の、成人後の実態把握と環境整備については、厚生労働科学研究班において把握に努めております。また、自立支援事業の充実と取組支援については、事業の実施状況や取組の先進的事例・課題などを調査し、今後広く情報提供を行うことを考えております。

 次のページです。第6は調査及び研究に関する事項です。治療方法確立に向けた研究事業の実施等、小慢児童等データベースの構築、小慢児童等データベースの有効活用、データの活用における個人情報保護、小慢児童等の健全育成のための研究等、健全育成研究と実用化研究等との連携、国民への情報提供という形です。これらについては、これまで説明したものと重なる所もありますが、研究事業等により研究を実施しており、データベースについては平成29年度の運用開始を目指している等々です。また、国民への情報提供に関しては、小児慢性特定疾病情報センターに情報を掲載し、国民に対して広く情報提供を行っております。

 次のページです。第7は疾病児童等に対する学校教育、福祉サービスに関する施策及び就労の支援に関する施策との連携に関する事項です。健全育成施策の関係機関等の理解と参画、施策の状況把握と教育機関との協力、自立支援のための関連機関等との調整等、福祉サービス等との検討と内容の充実、福祉と医療のサービスの連携、疾病児童等の特別支援教育の推進、小慢児童等の就労支援、自立支援事業と成人支援策との連携強化です。

 これらについては、例えば4つ目ですが、障害福祉担当部局との情報共有を図る、6つ目であれば、文部科学省とも連携して特別支援教育を推進していく等を今後とも進めていくこととしております。

 次のページです。第8は、その他です。疾病に係る国民への啓発活動、小慢児童等への情報提供、小慢児童手帳取得促進のための検討です。これら関して、国民への啓発については、情報の一元化を図り関係者に情報提供を行うためのポータルサイト「小児慢性特定疾病情報センター」を運用しております。手帳取得促進のための検討については、平成297月以降にマイナンバーを用いた情報連携が開始されることに伴い、一部の添付書類が簡素化できる見込みです。

 資料1については以上です。

○五十嵐委員長 それでは、この現状について御質問、御意見はいかがでしょうか。

○坂上委員 今回の事業に当たっては、自立支援事業 うまく 行われているのかが、 今、関心があるところです。第4の自立支援事業に関する事項 に、 先進的事例・課題を調査すると 書いてあります。 この辺が実際出てきたら課題が見えてくるし、きっと自治体としても 参考になると思います。 いつぐらいになったら出てくる でしょうか。 今のところ、どのくらい 調査は進んでいるのでしょうか。 独自の取組はまだ 行われていないのでしょうか。お聞きしたいと思います

○徳本難病対策課長補佐 今、御質問いただいた自立支援事業に関することですが、実施状況や先進的事例・課題などの調査、広く情報提供を行うと答えている部分に関しては、今、事務局で取りまとめ中で、年内中を目指して作業を進めております。

○五十嵐委員長 自立支援の相談員を育成する事業を認定NPO法人難病のこども支援全国ネットワークと国立成育医療研究センターと合同でやっておりますが、もし、よろしければ、それについて小林委員から少し御紹介いただけますか。

○小林委員 前回の委員会以降、五十嵐先生と相談させていただいて自立支援員の研修会を年に1回ずつ開いて、もう既に3回開いております。150名ずつの募集で毎回満員でしたので延べ150人で、来年も開く予定でやっております。3年やってきた中で皆さん口をそろえておっしゃるのは、何をしていいのか分からないということです。その研修会では、患者団体の方たちが来られて、それぞれの子供の様子や家族の様子、どのようなことが問題だということを何人もの方が発表して、皆さんとグループディスカッションをしたりしているので、少しそういう取組は進んでいるのかもしれませんが、まだまだ十分ではない。

 私の所に入ってくる話は、地方にいらっしゃる保健師やソーシャルワーカーの方は、小児慢性特定疾病患者と接する機会が非常に少ないということから、皆さんおっしゃるのは、聞いただけで腰が引けるという表現の仕方をされます。それには、やはり子供たちと直接接してもらうのがいいと思っております。例えば、私どもや患者団体でやっているキャンプに誘うということもしております。

 小児慢性特定疾病も指定難病もそうなのですが、小児慢性特定疾病の場合、実施主体が都道府県、政令指定都市、中核市ですから、中核市になっていないそれ以外の市町村の場合には、小児慢性特定疾病患者がどれだけいるのかも分からないし、実態に触れる機会もほとんどないと思います。「そんな制度があることも知らない」と言われたという声も私たちの所に届いてきます。やはり、周知や子供たちに触れてもらう機会を作っていくということが必要かと思っております。

 ある県から依頼を受けて研修会をやってくれというので、今度、その地方の都市へ行って研修会を開かせていただくのですが、そこの場合は県でしか小児慢性特定疾病の自立支援事業に取り組んでおりません。県の自立支援員を担当する方も小児慢性特定疾病の患者は初めてというようなことを言っていて、実際にキャンプに呼んで受付をしてもらい、子供や家族と言葉を交わすわけですが、「初めて見ました」「初めて言葉を交わしました」ということをおっしゃっていたのです。そういう場をたくさん作っていくことも必要だと感じております。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。

○松原委員 今般、児童福祉法が改正されて、既に施行されている部分と、101日、来年の41日に施行の部分があります。全体をカバーする第1条と第2条の改正がされて、その中に、国際的な条約で日本も批准している「児童の権利に関する条約の精神にのっとり」という言葉や、子供の「最善の利益」という言葉が入りましたので、資料1の基本的な方向の所で少し改正の趣旨を生かして、何か記述していただけたらいいと思います。

 具体的には、坂上委員、小林委員が御発言になった47の所で、どのくらい子供の権利擁護ができるか、お子さんを育てていらっしゃる家族の声が聞こえるのかということ、実際に権利侵害はないと思いますが、権利侵害があった場合の対応も法改正との関係で気になるところですので、一言発言しておきたいと思います。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○益子委員 お伺いしたいのは、疾病児童等の特別支援教育です。私の管区には大学病院があり、ほかの自治体からも患者さんがいらっしゃいます。そうすると、病院内の学級は移籍しないと受けられないということがあり、住所を移せないなどで諦めてしまうということも聞いております。こういった文科省との連携はどの程度図られているのでしょうか。せっかく病院内に学級がありながら、そういう事情で教育につながらないということはすごく残念なことだと思い、質問しました。

○徳本難病対策課長補佐 この基本方針が定められたのが昨年の10月で、一つ一つ取組を進めているところです。この文言を記述するに当たっては、関係部局、省庁と調整しております。まだ具体的にどういう成果が出ているのかというところまで報告できる立場にありませんが、基本方針に書いてある内容は、これから着実に進めてまいりたいと思いますので、引き続き益子委員を含めて皆様方からの御助言を賜りながら進めてまいりたいと思います。

○賀藤委員 病院の学級についてです。去年、小児がん関係で調べたのですが、悪性腫瘍の患者で本来は病院の学級に移籍して教育を受けるべき人数と、実際に移籍して病院の学級で教育を受けた人の差を調べたことがあります。これは都道府県で大変大きな差があります。埼玉県はほぼ100%、東京都は少し少ないというように、地方公共団体の教育委員会の考えが大変大きな影響を及ぼしております。現場では100%院内学級を利用できたりとか、違う所もあったりとか、地方では大きな差があるようです。

○小幡委員 御説明いただいた資料1ですが、基本方針にいろいろ大事なことが書いてあります。今、都道府県ごとに差があるというお話がありましたが、ここで基本方針の概要の右側に取組状況と書いてあり、私が聞き漏らしたかもしれませんが、都道府県がやるというところは、ほとんど書かれていない ように思います 。それは国がやったという話ではなくて、都道府県ごと の話であるから だと思いますが、今後も含めて、都道府県がどのようにやっているのかは、 おそらく 差があると思いますので、非常に充実して取り組んでいる所があるということを各都道府県にできるだけ早めに示していくことにより、多少遅れている所も頑張らなければという思いに至るように促すという形で、早めにここの取組状況を明らかにしていくことが必要かと思いました。

 今の学校の話もそうですが、国としては第4の自立支援と、第7 学校教育・福祉サービス・就労支援に特化していますが、国がある程度連携してできることが第7にあり、そこ 文科省との連携があります。取りあえず国ができること として 、厚生労働省 自身 でできること、文科省との連携、 と、 まず国の機関同士で 可能な ことはできるだけ積極的にやっていただいて、そこから都道府県にという流れになると思いますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。

 移行期の話は、また後で出ると思うのですが、これも前に出 てい たと思うのですが 児童福祉法 は児童は18 まで ですね。成人期医療という場合は、今は成人年齢がいろいろありますが、通常ここで使っていたのは20歳ということですか。小児科という 場合の 対象 について、一般的な 常識 というのもあると思います が、そ のあたり ひとつを見ても 移行期の年齢は 、そもそも 個人差 あるの 、制度がひとつの境界を設けてしまった結果、それが18歳だったり20歳だったりするわけですから、ここを全体としてどのようにしていくかを考える必要があると思います。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。

○安達委員 まず、第4123の取組状況については、自立支援事業の制度設計上とても大切なところだと思います。特に12の取組状況等について、分かる範囲内で教えていただければと思います。

 第7に教育の問題のことについていろいろ出ておりますが、ひとつは特別支援学校等においては特別支援教育コーディネーターという役割の者がおりますので、学籍等については、是非、特別支援教育コーディネーターに相談していただければと思います。また、特別支援学校においてはセンター的機能を発揮しなさいとなっております。そのセンター的機能の一環として、例えば学籍移動を伴わない場合、学校によって呼び方は違いますが、いわゆる通級指導という形で特定の時間だけなのですが、空いている時間に学習支援を行っている学校もありますので、是非、参考にしていただければと思います。

 学籍の問題ですが、現実的に学籍を動かしたくないという保護者もいます。特に私立の学校では、一度学籍を戻してしまうと、また元の学校へ戻る場合については編入試験を受けて、ある程度の点数を取らないと編入できないという学校もあります。ですので、場合によっては学籍を移動させることをためらう保護者もいると聞いております。

 また、病院内にそのような学校、学級があるということ自体をよく分かっていない保護者もいらっしゃいますので、病院内の医療関係者の方に、病院内にはこういう学級、学校があるということを理解、あるいは啓発していただければと思います。

 先ほど小幡委員からもありましたが、文科省と厚労省はかなりいろいろな部分について重複している部分がありますので、一元化していただいて、特に関係機関との連携、これは教育機関だと個別の教育支援計画という形で、関係機関と連携をしながら子供の教育的なニーズに応じた形で支援していきなさいということでやっておりますので、是非、そこのところは厚労省と文科省で調整していただき、一元化していただければと思います。

 最後に、今年、地方に行ったときに厚生労働省の自立支援事業等について管理職の方とお話したのですが、ほとんど知られていない。すごくすばらしい事業だと思っておりますので、何らかの形で教育関係者にも周知、理解、啓発を図っていただき、学校教育の中で卒業後の進路のことについて授業等で実際に行っております。うまく連携が取れていないと、子供にとっても問題が出てきますので、是非、そういうところはお願いしたいと思います。以上です。

○五十嵐委員長 調査については現在実施しているところですので、今日お示しすることはできませんか。

○徳本難病対策課長補佐 簡単に御説明すると、必須事業については8割程度実施されており、任意事業に関しては、様々な御指摘がありますように、まだ伸び悩んでいるという状況です。この辺りがしっかりまとまりましたら御報告いたします。

○五十嵐委員長 まだまだ御意見はあると思うのです。この委員会のこれまでの御意見の中に文科省との連携が指摘されています。この委員会にオブザーバーとして御出席いただくことも御検討いただきたいと思います。

 それでは、時間も押しておりますので次の議事に移ります。小児慢性特定疾病の選定に関する検討の進め方についての説明をお願いします。

○徳本難病対策課長補佐 それでは、資料2に基づいて御説明いたします。1ページは、小児慢性特定疾病の追加等の検討の進め方()です。1.として、小児慢性特定疾病の検討に当たっては、研究班及び関係学会で情報収集をお願いしたいと思います。

 2.は、その内容について、当委員会において、医学的見地より個々の疾病について小児慢性特定疾病の各要件を満たすかどうかの検討を行うことといたします。ここで言います各要件については、3ページに「対象疾病及び症病の状態の程度の考え方」とありますが、児童福祉法においては下線のとおり「長期にわたり療養を必要とし、及びその生命に危険が及ぶおそれがあるものであって、療養のために多額の費用を要するもの」というものです。また、平成2512月にまとめられました「慢性疾患を抱える子どもとその家族への支援の在り方(報告)」において、医療費助成の対象疾患は、これまでの考え方を踏まえ、次の(1)~(4)の4要件を考慮して選定することが必要であると。(1)慢性に経過する疾病であること、(2)生命を長期にわたって脅かす疾病であること、(3)症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾患であること、(4)長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾患であること、ということです。

 1ページ目に戻り、これらの各要件を満たすかどうかの検討を、当専門委員会において行っていただき、当専門委員会での検討結果を社会保障審議会児童部会に報告するということです。4.は、児童部会において、その決定をし、児童部会の議決をもって社会保障審議会の決定といたします。5.は、厚生労働大臣が小児慢性特定疾病及び疾病の状態の程度を定めます。6.は、厚生労働大臣により定められた疾病及び状態の程度についても、研究等を継続し、各要件の評価に影響を及ぼすような新たな事実が明らかとなった場合には、当専門委員会において見直しを行います。

 図がその下に書いてあります。研究班及び関係学会による情報の収集及び整理をし、当専門委員会において検討を行い、要件を満たすものを医療費助成の対象とする。そして、要件を満たさない、若しくは不明のものについては研究の実施という形になります。さらに、研究等の実施により要件に関する新たな事実が明らかとなった場合には、改めて当専門委員会において見直しを行うこととしております。

 2ページ目は、今年度の検討の進め方()です。今回の委員会では、日本小児科学会からトランジションの観点で指定難病への追加の要望のあった104疾病のうち16疾病が、まだ小児慢性特定疾病の対象となっていないことから、小児慢性特定疾病への追加検討を行います。なお、指定難病への追加の検討は、平成28930日開催予定の指定難病検討委員会で行われる予定です。

 また、これまで他の小児慢性特定疾病に含まれる疾病として医療費助成の対象として整理していたが、疾病の性質上、明示化すべきと考えられる疾病についても併せて検討することとします。

 小児慢性特定疾病の対象疾病及び疾病の状態の程度については、児童福祉法及び「慢性疾患を抱える子供とその家族への支援の在り方(報告)」、先ほど御紹介したものにおいて、次ページのとおり整理されております。

 4ページ目は、今後のスケジュール()です。本日、第17回専門委員会において、個別疾病の検討及び対象とする疾病・疾病の状態の程度の新規及び明示化分についての一定の整理をしたいと思います。本専門委員会における整理の後、パブリックコメント・関係学会の意見聴取をし、第18回専門委員会で、11月中を考えておりますが、平成29年実施分についての取りまとめ、第43回児童部会において平成29年実施分についての意見聴取を行い、告示とすることを考えております。資料2については以上です。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。それでは、今後の進め方について御意見、御質問等いかがでしょうか。

○井田委員 この選定ということに関する作業としては、対象疾病をもちろん決めなければいけないというのはひとつあります。それから疾病の状態の程度も決めなければいけません。それからもうひとつ、実際、医療現場での重症患者の認定ということもあります。これらの点について疾患群の中の公平性を検証しなくてはいけないでしょう。それから、疾患群間の公平性についても検証することが重要だと思います。私の印象ではこれらが疾患群の中で一律になっていたり、疾患群間で少しニュアンスが違っていたりするので、その辺を少し検証していただければと思っています。

○岡委員 この医療費の助成の4つの条件の中の(2)の「生命を長期にわたって脅かす」というのは、なかなか解釈が難しいと思って、以前から考えています。小児医療の現場では、どちらかというと、そういう生命を脅かす状態にならないように、どうやって予防するかというところを、特に小児慢性疾患の場合には頑張っているところです。生命を脅かす状態になってしまった方は、正直、むしろ生じた障害に対してどのようにしていくかということになるのですが、できるだけ予防的な観点で取り組んでいるということが重要です。この(2)の条件について、少しその部分が分かりにくいかなと思います。

 それから、今、井田先生がおっしゃった意見に、私も全く同じ意見で、やはり重症度の点についても考慮していただくということも、今後、本当に大事な作業となります。それによって必要な方に必要な支援を十分受けられるようにするということが大事かなと思っています。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。いかがですか。何か御返事はありますか。

○徳本難病対策課長補佐 疾病間及び重症度による公平性の担保は重要な話だと思っており、これは小児慢性特定疾病だけではなく、指定難病にも共通する課題だと我々は認識しているところです。まずは、専門家や患者の皆様方からの御意見を聞きながら、今後どうあるべきかということを検討したいと思います。

○五十嵐委員長 小児慢性特定疾病の研究班がありますよね。そこで検討していただくということも将来はあり得ると考えてよろしいですか。

○徳本難病対策課長補佐 その辺は、まず、実態としてどういう御意見があるのかを聴取した上で、必要であれば当然、公平性は、この小児慢性特定疾病の制度の根幹に関わる部分でもあると思いますので、必要であればそういう取組もさせていただきたいと思います。

○賀藤委員 将来の検討事項としてお考えいただきたいのは、(4)の「高額な医療費の負担」です。今、抗がん剤のオプジーボがトピックスになっていますが、これは井田先生の専門の領域なのですが、モルキオ病や糖原病、ニーマンピック病、この酵素製剤のお金はものすごい、オプジーボと多分変わらないと思います。実質、私どもの病院の医薬品の購入金額の総額の3分の1がこちらのお金です。ですので、1人につき多分年間数千万円、五千万円以上かかります。ですので、これで亡くなる方は段々少なくなっていきますので、将来にわたって、この酵素製剤をどうするのかということも含めて、今、現時点でなかなか解決は難しいと思いますが、限られた予算の中でどうしていくかということも含めて、今後検討していただきたいと思います。

○井田委員 疾病状態の公平性や重症患者の認定の妥当性などを、まずは事務局で少し聴取されるということですが、これはやはりエキスパートがやらないと、なかなか難しいのではないかと思うのです。ですから、研究班でドクターが主導していったほうがいいという印象を持っています。

 酵素製剤に関しては、非常に高額です。ただし、患者数が少ないので、今、新聞紙上では話題にならないのですが、確かに考えていかなくてはいけない問題だと思います。がんの患者さんは多いので、当然、医療費×人数が多くなるので、ものすごいインパクトがありますが、酵素製剤の単価も相当高いです。

○五十嵐委員長 よろしいですか。

○徳本難病対策課長補佐 事務局です。先ほど回答させていただいた部分で、井田先生にもしかしたら誤解を与えてしまったかもしれませんが、先ほどお話したような重症度や疾病間の公平性を事務局で把握できるというような趣旨で御説明したわけではなくて、まず、そういった課題意識が皆様方にどの程度あるのかというところの肌感覚を確認させていただいた上で、実際に研究班にそういうものをお願いすべきなのかどうかを考えさせていただきたいというものです。

○五十嵐委員長 いろいろ課題はありますが、今日、資料2でお示しいただいた検討の進め方については、基本的にはここで御了解いただけるでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 では、議題3に移りたいと思います。平成29年度に追加等を検討する疾病についてです。事務局から御説明をお願いします。

○遠藤難病対策課長補佐 議題3に関しては、資料3と資料4を使って御説明します。まず資料3は、小児慢性特定疾病として平成29年度に追加を検討する疾病です。検討内容が多いので、1番から8番までの疾病について説明した後、皆様から御意見、御質問を頂き、その後に9番から16番までの疾病の検討を行う形で説明させていただきます。

 資料3の最初のページに提示しているのが、先ほど説明のありました16疾病の一覧になります。順番としては、数字、アルファベット、五十音順となっています。

 1ページです。この検討シートの見方について御説明します。左肩にある番号が通し番号になります。その下の1.疾病についてで、所属する疾患群と疾病の概要を記載してあります。また、診断のガイドライン等の所で、診断基準やそれに準ずるものがあるかどうかを記載しております。

 2.疾病の特徴において、先ほど説明のありました小児慢性特定疾病の医療助成の対象となる疾病の4つの要件について、それを満たしているかどうかを記載してあります。中ほどにある○の付いている所は、関連する専門領域の学会、研究者からの情報を集め、事務局案として整理し、要件に該当する場合には○、該当しない場合には×ということで記載しています。

 3.対象となる疾病の状態の程度については、これも専門領域の関連学会等に表記を検討していただいた結果を、事務局のほうで既存の小児慢性特定疾病と整合性が保たれるよう再検討させていただいて記載しています。

 通し番号1から説明いたします。疾病番号12型コラーゲン異常症関連疾患です。疾病については、疾患群は神経・筋疾患群で、大分類名は骨系統疾患になります。今回の検討では、骨系統疾患と思われる疾病が9つほどあります。関連学会等からは、新しい疾患群を作る案なども頂きましたが、神経・筋疾患群の中に、新しい大分類名として骨系統疾患を作り、そこで統一するということで対応させていただこうと考えております。

 疾病概要としては、多くは2型コラーゲン遺伝子変異が認められ、X線的に共通した所見がある多彩な臨床表現型を示す一連の疾患群であります。胎児期や出生直後に周産期死亡を起こす重症例から、小児期以降に診断される比較的軽症例まで幅広い症状を呈します。診断のガイドラインとしては、厚生労働省研究班で策定した「診断基準」、日本小児遺伝学会で承認したものがあります。

 2番の疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾患と考えており、新たに追加されてよい疾病と考えます。対象となる疾病の状態の程度については、骨折又は脱臼の症状が続く場合、重度の四肢変形、脊柱側弯、脊髄麻痺のうち1つ以上の症状に対する治療が必要な場合並びに治療で呼吸管理(人工呼吸器、気管切開術後、経鼻エアウェイ等の処置を必要とするものをいう)又は酸素療法を行う場合としております。

 2ページで通し番号2TRPV4異常症です。疾患群は先ほどと同様、神経・筋疾患群で、大分類は骨系統疾患になります。

 疾病概要は、カルシウムイオン透過性チャンネルであるTRPV4の遺伝子異常によって発症する症候群で、いずれの疾患においても扁平椎、関節の腫大及び拘縮、低身長など共通の表現型とします。重症度は様々ですが、四肢及び脊柱の変形、早発性の変形性関節症や、変形性脊椎症に対する整形外科的な対応を要することが多い疾病です。診断のガイドライン等については、「診断の手引」日本整形外科学会(文責)、日本小児科学会(監修)があります。

 疾病の特徴としては、こちらも4要件全てを満たす疾病と考えており、追加されてよい疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度については、先ほどの2型コラーゲン異常症関連疾患と同様の記載のとおりとしております。

 3ページで通し番号3WAGR症候群です。この疾病に関しては、その後、研究班より11p13欠失症候群に名称の変更の要望等もあり、よく事務局で検討したところ、右側の4ページに参考として掲載させていただきました、前回第16回委員会で認定された常染色体異常症に含まれる疾病概念であることが分かりました。この疾病の患者さんは、既に小児慢性特定疾病として認定できるということでしたので、WAGR症候群に関しては、新たにこの疾病名で追加することはせず、既存のままでよいかと考えております。

 5ページで通し番号4、カムラティ・エンゲルマン症候群です。疾病について、疾患群は染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群になります。疾病の概要としては、遺伝子異常による先天異常症候群で筋力低下、易疲労感、四肢の疼痛、体幹に比して長い四肢を4主徴とする疾病です。診断のガイドライン等については、厚生労働省研究班で策定した「診断基準」、日本小児遺伝学会が承認したものがあります。疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾病と考えております。

 対象となる疾病の状態の程度については、染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群では、18ページに参考として掲載しておりますが、既存の統一した基準()()()()というものがありますので、このカムラティ・エンゲルマン症候群に関しては、このうち基準()又は基準()を満たす場合としております。こちらも4要件を満たしますので、追加されてよい疾病かと考えております。

 6ページで通し番号5、偽性軟骨無形成症です。疾患群は先ほど出てきた神経・筋疾患群の中で、大分類名は骨系統疾患になります。疾病の概要は、骨端と骨幹端の両方に異常がある四肢短縮型低身長症を呈する骨系統疾患です。診断のガイドライン等については、骨系統疾患ガイドライン、日本整形外科学会小児整形外科委員会監修のものがあります。疾病の特徴としては、4要件を全て満たす疾病と考えておりますので、こちらも追加されてよい疾病かと考えます。対象となる疾病の状態の程度については、先ほどの骨系統疾患と同様の記載のとおりとしております。

 7ページで通し番号6、色素失調症です。疾病については、疾患群は染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群です。疾病の概要としては、遺伝子の異常による先天異常症候群で、皮膚、髪、歯、爪、目、中枢神経に症状が現れる疾患です。診断のガイドライン等については、厚生労働省研究班で策定した診断基準、日本小児遺伝学会承認のものがあります。疾病の特徴としては、こちらも4要件全てを満たす疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度については、先ほどの18ページの参考に記載させていただきました、染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群の統一基準()を満たす場合としております。

 8ページで通し番号7、四肢形成不全です。疾病について、疾患群は神経・筋疾患群で、大分類名は骨系統疾患です。疾病概要としては、胎生期に生じ、出生時に四肢の形態異常を示す疾患の総称です。過去の疫学調査からは、日本で年間400名程度の患児が出生していると考えられますが、詳細な内容は明らかではなく、個人間で病状が異なります。疾病の特徴としては、(2)生命を長期にわたって脅かすというところですが、研究者や学会から頂いた情報では、この条件の因果関係が明らかでなく、一部で肺炎の合併があるとの報告もありますが、詳細な頻度等の情報が明らかでなく、今回は小児慢性特定疾病として追加することは見合わせたほうがよいのではないかと事務局では考えております。引き続き研究を実施していただく方針にするのがよいのではないかと考えております。

 9ページで通し番号8、先天性サイトメガロウイルス感染症です。疾病について、疾患群は神経・筋疾患群で、大分類名は先天性感染症になります。疾病概要は、多くは妊娠中の妊婦がサイトメガロウイルスによる初感染を起こし、胎児が感染することにより発症する疾病で、効果的な治療法は現時点では確立しておらず、出生時の症状の有無にかかわらず、その後難聴や発達障害など遅発性障害を合併する場合もある疾病です。診断のガイドラインとしては、産婦人科診療ガイドライン、日本産婦人科学会・日本産婦人科医会監修のものがあります。疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾病と考えておりますので、追加されてよい疾病と考えます。対象となる疾病の状態の程度については、既存の小児慢性特定疾病の先天性感染症と統一した記載にしてあります。

 8番までいきましたので、ここで事務局からの説明は一旦切らせていただきます。

○五十嵐委員長 8疾病の説明を頂き、そのうちのひとつの疾病である四肢形成不全については、小児慢性特定疾病として今回は認めずに、今後研究班等を立ち上げて研究していただいて、その成果をもってこれに入れるかどうかまた再検討したいという方針を承りました。先生方から御意見、御質問はいかがでしょうか。

○小林委員 3番のWAGR症候群なのですけれども、先ほどのお話では常染色体異常症に含まれるということなので、もう既にこれは指定されているということなのですよね。

○遠藤難病対策課長補佐 そうです。

○小林委員 そういうことですよね。資料を持っていないのですけれども、含まれる場合のこの病気とこの病気とこの病気というような病名というのはそこには書かれているのでしょうか。常染色体異常症の中には、これとこれとこれが含まれるという、そういう意味です。

○遠藤難病対策課長補佐 医療意見書ということで頂いていると思うのです。常染色体異常症の中で、個別の症候群を記載する欄はありませんので書かれてはいません。

○小林委員 そうすると、ここに含まれているというのを、お医者さんはどうやって分かるのでしょうか。

○賀藤委員 これは染色体検査をすると、11番目の染色体の単腕の所の欠損というのが出てきますので、検査をすればそのまま結果としてこれが出てきます。そして常染色体異常という結論が出ますので、そうするとここに入るということで、余り申請上は迷わないかと思います。

○小林委員 自動的に分かる。

○賀藤委員 はい、そう思います。

○五十嵐委員長 他にはいかがでしょうか。

○岡委員 8番の先天性サイトメガロウイルス感染症に関して、日本小児科学会のほうで議論がありました。視覚障害あるいは難聴が症状にあり、それが生命を長期にわたって脅かすかどうかというのは確かに議論があるかと思います。今まで対象となる疾病の状態の程度の中に、そういう感覚器障害が小児慢性特定疾病の場合には入っていませんでした。中にはその症状しかないという方もいらっしゃいます。両側の難聴で、人工内耳などが必要になったり、終生難聴でいろいろ生活に支障を来す方もいらっしゃいます。それに対する治療を今一生懸命考えているわけです。そういう感覚器の問題を合併するような患者さんもいます。そうすると、同じ先天性サイトメガロウイルス感染症の中で、医療的な必要があるのに対象にならないということで不公平感が生じるのでという議論がありました。

 今後こうした基準に関する項目を変えることになると、確かにかなり大きな作業になってしまうと思います。ただ、そうしたような声があったということを一応報告させていただきます。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。

○井田委員 2点あります。1点は、四肢形成不全です。(2)の項目で×で、今回は認められないとのことですが、恐らくこれは四肢形成不全の原因がいろいろバラバラで、四肢形成不全がその状態を示したものだからだと思います。色々な原因で四肢形成不全が発症します。その中で、条件を満たせば、本症を小児慢性特定疾病に将来的に入れることを考えていただきたいです。そのためには研究が必要です。どうやってその研究をしていくかという方策を立てて、四肢形成不全症を再分類化し、特定の原因で起こる四肢形成不全に関しては、4項目が満たされるので、将来的には移行ということも視野に入れておいていただければと思います。

 2点目は、今回提示された疾病では、骨系統疾患が結構多いです。しかし、現在の疾患群分類では骨系統疾患はありません。新しく疾患群分類を作るというのはなかなか難しいと思うのですが、将来的には骨系統疾患という分類を作って頂きたいと思います。というのも、骨系統疾患は、今まで代謝疾患に入っていたのを内分泌に移したり、内分泌から神経・筋疾患に移したり、医者側からすると、この疾患はどこになったのかちょっと分かりりにくいところがあるので、現場の混乱を防ぐような配慮をしていただくと幸いです。

○坂上委員 今ありました四肢形成不全を調べると、リハビリを含めていろいろお金もかかるよう です。しかも、 なかなか行き場がなくて、東大に外来がある ようですが、 全国から 患者が 来られているようです。大変そうな疾患です。患者さんが少ないからこそ、この(2)がどうだろうかというのが分からない状況で、何かここですぐ駄目と言ってしまって大丈夫なのかという心配があります。もともとこれは 日本 小児科学会から、入れたらいいのではないかという推薦があったものなのでしょうか。どういう経緯でこの疾患が上がってきたのでしょうか。

○遠藤難病対策課長補佐 小児科学会から指定難病のほうに要望があったもののうち、まだ小児慢性特定疾病になっていなかった疾病を、今回一緒に検討していただいております。

○坂上委員 指定難病のほうは30日に開かれますが、これはもう指定難病となっている疾患なのですか。それとも新たに追加されそうなのですか。

○遠藤難病対策課長補佐 今回もまだなっていないです。

○坂上委員 今度また検討されるのですか。

○遠藤難病対策課長補佐 検討されます。

○坂上委員 もともと小児慢性特定疾病というのは児童の健全育成という名目ならば、余り生命を脅かすというところを重視して考えるべきなのかなと、今言われてふと考えてしまったところがあります。是非とも 早く 研究を 進めて いただ きたいと思います。

○遠藤難病対策課長補佐 ありがとうございます。1点追加でコメントさせていただきます。医療費助成という面では、四肢形成不全の方々は、障害者総合支援法による育成医療の対象となる場合もあるかと思いますので、そちらではサポートができるかと思います。

○五十嵐委員長 他にはよろしいでしょうか。基本的にはこの8つのうちの7つは小児慢性特定疾病として認め、四肢形成不全についてはできるだけ早く研究をしていただいて見直しをするということで、今回は提出しないということで御了解いただけますでしょうか。ありがとうございます。それでは9番からの説明をお願いします。

○遠藤難病対策課長補佐 通し番号9から16までを説明いたします。10ページで通し番号9、先天性トキソプラズマ感染症です。疾病については、先ほどの先天性サイトメガロウイルス感染症と同様、神経・筋疾患群、大分類名が先天性感染症です。疾病概要としては、妊娠中の妊婦がトキソプラズマによる初感染を起こし、胎児に感染することにより発症する。出生時の症状の有無にかかわらず、その後視力障害や精神運動発達遅滞など、遅発性障害を合併する場合がある疾病です。診断のガイドラインとしては、産婦人科診療ガイドライン、日本産婦人科学会・日本産婦人科医会監修のものがあります。疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾病と考えておりますので、今回追加されてよいものかと考えます。対象となる疾病の状態の程度については、先ほどと同様、既存の小児慢性特定疾病の先天性感染症と統一した場合の記載としております。

 11ページで通し番号10、先天性嚢胞性肺疾患です。疾病について、疾患群は慢性呼吸器疾患群になります。疾病概要は、肺実質内に先天性に気道以外に恒常的に嚢胞が存在する状態の疾病であり、反復する肺感染や、一部の症例では複数肺葉に病変が見られ、手術後も嚢胞性病変の遺残や呼吸障害などの症状を呈し、手術の反復や、内科的治療を要することがある疾病です。診断のガイドラインとしては、嚢胞性肺疾患の診断基準、日本小児外科学会承認のものがあります。疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度については、既存の慢性呼吸器疾患群と同様に、治療が必要な場合としております。

 12ページで通し番号11、多発性軟骨性外骨腫症です。疾患群は神経・筋疾患群で、大分類は骨系統疾患になります。疾病の概要は、良性腫瘍である外骨腫(骨軟骨腫)が全身の骨に多発する疾病で、希に軟骨肉腫等悪性転化の可能性がある疾病です。診断のガイドライン等については、「診断の手引き」日本整形外科学会(文責)、日本小児科学会(監修)のものがあります。疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度については、先ほどの骨系統疾患と同様の記載のとおりとしております。

 13ページで通し番号12、点状軟骨異形性症(ペルオキシソーム病を除く)です。疾患群は神経・筋疾患群で、大分類は骨系統疾患になります。疾病の概要としては、骨端軟骨とその周囲軟部組織の点状石灰化像を呈する疾患群の総称です。既に小児慢性特定疾病の対象になっているペルオキソーム病を除いた点状軟骨異形成症を対象としております。診断のガイドライン等については、「診断の手引き」日本小児整形外科学会(文責)、日本小児科学会(監修)のものがあります。疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度については、先ほどの骨系統疾患と同様の記載に加え、血液凝固異常に対する治療を行う場合が追加となっています。

 14ページで通し番号13、内軟骨腫症です。疾患群は神経・筋疾患群で、大分類は骨系統疾患です。疾病概要は、良性腫瘍である内軟骨腫(軟骨腫)が全身の骨に多発する疾患で、希に軟骨肉腫等、悪性転化の可能性がある疾病です。診断のガイドライン等については、骨系統疾患ガイドライン、日本整形外科学会小児整形外科委員会監修のものがあります。疾病の特徴としては、こちらも4要件全てを満たす疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度についても、先ほどの骨系統疾患と同様の記載のとおりとしております。

 15ページで通し番号14、ハーラマン・ストライフ症候群です。疾患群は染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群です。疾病の概要として、特徴的な顔貌、均衡型低身長、疎な毛髪、小眼球症や先天性白内障等の眼症状を特徴とする先天異常症候群です。診断のガイドライン等については、厚生労働省研究班で策定した「診断基準」、日本小児遺伝学会承認のものがあります。疾病の特徴としては4要件を満たす疾病と考えています。対象となる疾病の状態の程度については、先ほどの18ページに参考と記載させていただきました、統一基準の()を満たす場合としております。

 16ページで通し番号15、ビールズ症候群です。疾患群は神経・筋疾患群で、大分類は骨系統疾患です。疾病の概要とは、遺伝子異常により多発性関節拘縮・耳介の変形・長い四肢を伴った細く長い四肢を主徴とし、しばしば乏しい皮下脂肪組織・舟状頭を伴う先天異常症候群です。診断のガイドライン等については、厚生労働省研究班で策定した「診断基準」、日本小児遺伝学会が承認したものがあります。疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度については、先ほどの骨系統疾患と同様の記載のとおりとしております。

 17ページで通し番号16、ラーセン症候群です。疾患群は神経・筋疾患群で、大分類は骨系統疾患です。疾病の概要としては、顔貌異常を伴った多発性先天性脱臼を有する疾患で、先天性多発性の骨及び関節異常を来す疾病です。診断のガイドライン等については、骨系統疾患ガイドライン、日本整形外科学会小児整形外科委員会監修のものがあります。疾病の特徴としては、4要件全てを満たす疾病と考えております。疾病の状態の程度については、先ほど出ております骨系統疾患と同様の記載のとおりとしております。

 資料3については以上です。

○五十嵐委員長 後半の8つの疾病の御説明を頂きました。この8つの疾病ともに小児慢性特定疾病として認めたいという提案ですけれども、いかがでしょうか。

○井田委員 よろしいのではないかと。認めていただければ非常にうれしいです。

○岡委員 重度の四肢変形というのが入っていますが、これは何か学会のほうで基準みたいなものはあるのでしょうか。一般的な質問ですみません。

○遠藤難病対策課長補佐 これは、関連学会等に確認させていただきます。

○岡委員 何となく診断するほうも書きにくいかなと思ったのでお聞きしただけです。これを認めることについては賛成です。

○五十嵐委員長 その他はいかがですか。

○笹井委員 各疾病が該当するかどうかについては皆様の御意見に従いたいと思います。医療費助成を審査する立場の都道府県としては、やはり各疾病の推定患者数を参考に教えていただけると有り難いです。今でなくても結構ですので、よろしくお願いいたします。

○五十嵐委員長 本日でなくても結構ですから、できる限り各学会に問い合わせればある程度の患者さんの数は推測できますね。

○遠藤難病対策課長補佐 はい。

○五十嵐委員長 それは、後日資料として提供していただきたいと思います。よろしいでしょうか。この8つの疾病を、小児慢性特定疾病として承認する方向で基本的に御了解いただけますでしょうか。ありがとうございます。続いて資料4の説明をお願いします。

○遠藤難病対策課長補佐 資料4です。こちらは、本来異なる疾病概念でしたが、これまで他の小児慢性特定疾病に含まれる疾病として、医療費助成の対象としておりました。しかし、疾病の性質上、明示化すべきと考えられるため、今回検討させていただきたいとして提示いたしました。具体的には表紙に示す4疾病です。下のほうにあるのが、今まで通知で対応していた文章の抜粋です。例えば、第5「慢性心疾患」、3「マルファン症候群」にはロイスディーツ症候群を含む、という通知を出しておりましたが、実際は疾病概念が異なりますので、今回はロイスディーツ症候群のほうを明示化することを検討させていただきます。

 1ページで通し番号1、神経症状を伴う脊髄脂肪腫です。これは、従来、脊髄髄膜瘤に含まれると解釈しておりましたが、今回新たに明示化したほうがいいのではないかと考えております。疾病概要としては、脊髄脂肪腫は、広義の二分脊椎に属する先天異常です。4要件に関しては全て満たす疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度は、脊髄髄膜瘤と同様の程度で記載させていただいております。2ページは、参考として掲載させていただきました、前回委員会での脊髄髄膜瘤の資料です。

 3ページと4ページを御覧ください。通し番号2、瀬川病です。従来は、4ページに記載してあります変形性筋ジストニーに含まれると通知で対応しておりましたが、今回新たに明示化を検討したい疾病として提示させていただきました。疾病概要としては、14番染色体に存在するGTPシクロヒドロラーゼ1の遺伝的変異により発症する常染色体優性遺伝性疾患で、筋緊張異常によるジストニアを主徴といたします。小児期発症者には女性患者が多いが、成人発症例もある疾病です。瀬川病も4要件を満たす疾病と考えております。対象となる疾病の状態の程度は、変形性筋ジストニーと同様の記載とさせていただきました。

 5ページと6ページを御覧ください。5ページで通し番号3、ここには記載のミスがあります。ハッチンソン・ギルフォード症候群です。「ン」が抜けておりますので、修正をお願いいたします。これは従来、6ページに参考として記載させていただきましたウェルナー症候群に含まれるという通知を出しておりましたが、本来は異なる疾病概念でありますので、ハッチンソン・ギルフォード症候群を新たに追加したいと考えております。ハッチンソン・ギルフォード症候群の疾病概要は、早老症又は早期老化症で、全身の諸臓器に老化性変化が早発し、促進されたように見える疾患の総称です。4要件全て満たす疾病と考えております。疾病の状態の程度は、ウェルナー症候群のときと同様のものと考えております。

 7ページと8ページを御覧ください。通し番号4、ロイス・ディーツ症候群です。従来はマルファン症候群に含まれると対応しておりましたが、今回新たに明示化を検討していただきたい疾病となります。疾病概要としては、マルファン症候群に類似する大動脈、骨格病変を主所見とするが、口蓋裂・二分口蓋垂・眼間解離などの特徴的な顔貌、全身動脈の蛇行、頭蓋骨早期癒合、先天性心疾患、精神発達遅滞などを伴う疾病です。4要件全て満たす疾病です。対象となる疾病の状態の程度もマルファン症候群のときと同様のものとさせていただいております。

 以上の4疾病を新たに明示化するために追加すべきとして提案させていただきました。以上です。

○五十嵐委員長 この4つの疾病は外出しになりますから増えるわけですね。

○遠藤難病対策課長補佐 そうです。

○五十嵐委員長 小児慢性特定疾病として新たに明示するので数が増えると理解していいと思います。御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。診断する医師の立場からすると、このように明示していただいたほうが、申請書を書く上でも、患者さんにお伝えする上でも便利で有用だと思います。それでよろしいでしょうか。それでは、この4つの疾病についても御承認いただけたと理解してよろしいでしょうか。ありがとうございます。次は資料5の移行期医療に関する今後の検討の進め方についての説明をお願いします。

○遠藤難病対策課長補佐 議事4の資料5、移行期医療の在り方についての説明をさせていただきます。最初のページは、小児慢性特定疾病と難病のそれぞれの基本方針に関して、移行期医療が記載されている部分の抜粋となります。上段が「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の建全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」からの抜粋になります。第356に記載されております。こちらは先ほど説明がありましたので、次にいかせていただきます。

 下段は「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」からの抜粋になります。こちらの基本方針では、第3の、難病の患者に対する医療を提供する体制の確保に関する事項の(2)今後の取組の方向性についてのオで、「国は、小児慢性特定疾病児童等に対して、成人後も必要な医療等を切れ目なく行うため、小児期及び成人期をそれぞれ担当する医療従事者間の連携を推進するためのモデル事業を実施し、都道府県、指定都市及び中核市は、これらの連携の推進に努める」とあります。このように両基本方針に記載されております。

 現在、これらの基本方針に基づきモデル事業を実施しておりますが、移行期医療の適切な実施を進めていくためには、小児期診療科だけの問題ではなく、受入れ側の成人期診療科の問題でもありますので、先日の厚生科学審議会難病対策委員会でまとめさせていただきました「難病の医療提供体制の在り方について(報告書案)」の中でも、移行期医療について記載させていただきました。記載部分の抜粋と、スライドの抜粋を23ページ目に参考として提示しております。「難病の医療提供体制の在り方について(報告書案)」の中で、これから構築していくべき難病の医療提供体制を提示いたしましたが、その中で移行期医療についても、その医療提供体制の中で対応していってはどうかということを記載させていただきました。

 今後の移行期医療の検討の方針としましては、事務局の考えとして、具体的にどのように移行期医療を実施するかについて昨年度から実施しているモデル事業の結果を踏まえ、その報告などが可能となる適切な時期に、成人期診療科側の御意見もいただけるような形で御議論いただく機会を設けたいと考えておりますが、この件に関して、委員の皆様の御意見をいただければと考えております。資料5の説明は以上になります。

○五十嵐委員長 これからの大きな課題であります移行期医療について、基本的な方針を今御説明いただいたわけですが、先生方、御意見、御質問いかがでしょうか。

○松原委員 結果がどうなるか分かりませんが、今、民法の成年年齢の引下げの議論が始まっています。仮に民法が20歳から18歳になるとしたら、今回のこのテーマに限って言えばどんな影響を想定されるのか、伺いたいです。

○上村難病対策課長補佐 民法の成年年齢につきましては現在検討が行われているところですが、小児慢性特定疾病については18歳未満の方を対象にして、20歳まで医療費助成をしましょうと。自立支援事業は、広く小児慢性特定疾病の方 とその家族や関係者 を対象にしましょうということで対応させていただいていますので、特段影響はないのではないかと考えているところです。ですので、移行期医療に関しましても、年齢で何歳でバシッと区切るというよりは、適切な成人科への移行が必要と医療現場で判断するタイミングで、適切な移行がスムーズにいくようにということが望ましいと思いますので、余り成年年齢の引下げですとか、そういうことをもってこちらのほうに影響を与えるというようなことは、こちらとしては考えてはいません。

○五十嵐委員長 ほかにありますか。

○小林委員 整理してやはり考えていったほうがいいと思います。この中で言われているのは、小児慢性特定疾病は20歳で切れてしまうという、これはもうそのときにピシャリと区切られてしまうわけですが、通常の小児科から成人診療科への移行という問題は、これは切れないわけです。小児科年齢というのは15歳と言われているし、実際に現場では18歳ぐらいまでは小児科で診たり、それ以降も診ているケースもあるわけです。そういう両方を加味して考えていただく必要があると思っています。私たち患者の場合には、病気によってこういう考え方はかなり違っていて、病気によっては、早い時期に成人診療科へ変わっていったほうがいいと考える人たちが多い病気もあるし、このまま小児科でずっと診ていってほしいという考え方を持っている方たちもいて、成人診療科への移行については、患者さんや家庭環境や病気によっても相当違ってくると言えます。日本小児科学会が2年前にワーキンググループで提言をまとめていますが、そこでもその辺のことは詳しく述べさせてもらっているかと思います。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。

○井田委員 進め方につきましては、今、事務局から提示がありましたモデル事業の結果を、是非ここの会議で提示していただきたいと思います。現在の進捗状況を私も実際知りたいところでありますので、その進め方はすごくいいのではないかと思います。

 移行については小林さんがおっしゃったように、2年前に五十嵐先生が日本小児科学会の会長のときに、日本小児科学会の分科会にこのトランジション問題を検討することを依頼しました。その結果、循環器などはこの移行期医療がかなり進んでいるのですが、先天代謝異常症というのは遺伝の病気なので、移行が困難な場合が多いことが分かりました。移行期医療の問題は、専門分野によってバリエーションが大きいので一括して進めていくのか、各分野で考えていくのか方策をたてないとまとまらないと思います。小林さんがおっしゃったように、A学会はやはり小児科主体で診ていったほうがいいとか、B学会は早くから成人科に移行とか各分野で考えていった方がまとまりやすい印象です。提言は出ていますが集約には時間がかかると思います。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。ほかに何か御意見はありますか。

○石川委員 早朝から往診があったりして、頭がぼうっとしていたので、今かなりクリアーになりましたので御質問したいと思います。資料1の一番最後の取組状況のところに、「平成297月以降にマイナンバーを用いた」と書いてあるのですが、これは具体的に何のことを言っているのかよく分からないので、御説明いただきたい。

 それから前回のこの委員会で、新しく小児慢性特定疾病がなるというところで、入力の話だとか、データベースの話が随分されたと思うのですが、これを見ますと、「29年度中の運用開始」というようになっている。今まで何をしていたのかというのがひとつあると思うのです。それお聞きしたい。これが2つ目です。

 もうひとつは、今般、小児の悪性腫瘍と成年期の子どもたちの、要するにユーイング肉腫とかそういったものについての陽子線、重粒子線の治療が保険の適応になったのです。小児の場合には、悪性腫瘍ということで、それらはこの難病、小児慢性特定疾病の中に入ると思うのですけれども、18歳以降からの成人になっていないヤングアダルトといいますか、18歳から20歳ぐらいのときの発症のものについてはやはり適応にならないわけです。これは、AYA年齢のがんについて、がんの対策のところでもすごく問題になっている話なのです。そのことについては、ちょうど隙間の子どもたちで、何とかできないかなとずっと考えていたのです。もし、方策があれば、19歳とか18歳を越えた方の、これはどこも救えないで、結局、放射線治療とかそういったものは単純に保険適用というような形でやるということになるので、ちょっと子どもたちと違うので、不公平かなと思っているのですが、その辺りのところで何かお考えがあったら、お聞かせいただきたいと思います。

○五十嵐委員長 御返事いただけますか。

○上村難病対策課長補佐 基本方針の第8の三.でお示ししているマイナンバーに関しまして、答えさせていただきます。小児慢性特定疾病児童の保護者の方から医療受給者証の申請をしていただく際に、様々な資料、書類を提出していただく必要がございます。ただ、その中について課税証明書が自己負担額を決める際に必要になるのですが、そういった課税証明書が、マイナンバーを開始することによって、情報連携によって、わざわざ保護者の方が持ってこなくても受け付ける側が見ることができるので、そういった手続について患者さん側の負担が一部軽減されますということを書かせていただいております。

○徳本難病対策課長補佐 データベースにつきましては、従前から運用について御議論、御意見いただいていたかと思います。当時はその現場のお医者さんに入力をしていただくといった手法も考えてはいたところでございますが、昨今の情報セキュリティに関連する社会的な情勢を考えて、どのように運用すれば個人情報の保護、今回の基本方針にも書いていますが、個人情報の保護という観点で、よりセキュリティを担保できるかということについて改めて考えているところでございます。難病のデータベースと小児慢性特定疾病のデータベースを一体的というか、同じスピード感で取組ができますように、29年度に向けて今作業しているところでございます。

 最後の御質問の、19歳発症の方ということに関しては、現行制度上はなかなか拾いづらいというようなところではあるかと思いますが、今お話にありました、例えば重粒子線ということで言うと、1300万円なり、数百万円という話を聞いていますが、この小児慢性特定疾病の長期の療養を必要とするというような基準から考えていくと、1クール300万円なりの処置に関しては、まずは高額療養費で対応していただくというように今の現行制度としてはなっているのかなと。大して解決策の提案にはなっておりませんが。

○石川委員 3番目は、それでしかないということが、よく分かりました。1番目のマイナンバーについては、これはよく検討していただかないと、お母さんにマイナンバーを提示させるとか、その書類にマイナンバーを記載させるとかいうことがないようになるべくしてもらいたいと思います。私はマイナンバーを医療の現場へ持ち込むというのはすごく反対しているほうなので、そのところで手続上の簡素化ということについて、マイナンバーの例えばお母さん方に全部マイナンバーカードのICチップの部分でやるのかとか、いろいろお考えになっているのだと思いますが、その辺できちんと保護者に子どものマイナンバーをいろいろな所で提示させるとかということのないようにしてもらいたいと思っております。

 2番目についてですが、基本的に、今、セキュリティの問題でできなかったとしたら、29年度中にどういうふうにできるのかということについて、お調べいただいて、また教えていただければと思います。予想としては、29年度中でも今の状況では全く変わらないと思うのです。だから、それが難病も含めて、セキュリティ高く、例えば病院のほうから発信するということは、今の状況ではないと考えております。よく調べて、お願いしたいと思います。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。この3つの御質問は今まで検討もしてきたわけですが、なかなか結論が出ないということです。医療側からすると、コンピューター、ITを使った入力ができれば便利になると思います。しかしながら、安全性や個人情報管理の問題等があるので、なかなかそれに踏み切れないというのが現状ではないかと思います。これは引き続き検討することが必要だと思います。そのほかはいかがでしょうか。

○笹井委員 東京都でも難病の医療連携ネットワークをこれから構築するところですが、疾病もいろいろあるので大変困難な課題になっているところです。各都道府県によって地域医療の状況が随分違うので、モデル事業におきましてはそういったところも考慮して、御報告いただきたいなということ。もうひとつは、先ほど井田委員がおっしゃったように、疾患によって移行の仕方も違うので、幾つかの疾患ごとのモデルケースというのですか、パターンのようなものを提示していただけるといいかと思っております。

○五十嵐委員長 大変貴重な御指摘ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。

○小國委員 東京女子医科大学小児科にも属しております小國でございます。東京女子医大の先生方から、是非言ってほしいと言われましたので、トランジションの問題で一言お願いしたいことがございます。やはり神経の病気でありますと、知的障害を伴いまして、コミュニケーションが非常にとりにくい患者様が多くいらっしゃいまして、その方を内科の先生方がなかなか受け入れてくださらなくて、今行き場に困っている患者様が非常に多いというところで、小児科で引き受けざるを得ない状況になっています。これがまた小児科になりますと、成人病というところも含めて診ていかなくてはいけないとか、あるいは何か問題が起こったときに、小児病棟では受入れができないというところがございまして、非常にジレンマに陥って、医者側も患者様側も非常に困っているという現状がございます。その辺りも酌んでいただいて、是非、その解消の取組をお願いしたいところです。海外では比較的それがうまくいっている事例もあるということを聞きましたので、その辺りも検証していただきながら、日本でも解消に向かって取り組んでいただくようお願いしたいと思います。

○五十嵐委員長 ありがとうございます。

○春名委員 今回、就労の支援に関するものとの連携ということも入っていて、小児慢性特定疾病の方の職業準備であるとか、成人への移行の問題というのはとても大切なことだと思います。今までなかなかその実態というものはデータが不足していると思っております。今回、研究班で実態調査をやっておられるということで非常に期待しているのですが、心積もりとして、いつ頃この結果が出るのかということをお聞きしたいということ。

 それと、やはり移行ということを考えますと、この方々が成人した後も対象に入れて、子どものときにどういう支援を受けていて、移行がうまくいった場合、うまくいかなかった場合、その準備の段階でどんなことが影響したのかとか、そういうデータもあるといいかなと思いました。今調査中なのか、調査準備中なのか分かりませんが、そういうことについて分かる状況がありましたら、少しお聞きしたいと思いました。

○徳本難病対策課長補佐 今、春名委員から御質問のありました研究班の研究成果の話ですが、委員も御案内のとおり、研究班は年度ごとに報告書等をまとめておりますので、そういったものがまとまりましたら、逐次、先生方に御提示できるものはしていって、それを基に先生方から御示唆をいただくという形で進めさせていただきたいと思います。

○益子委員 成人期への移行というのはすごく大切な問題なのですが、そもそも小児慢性特定疾病 には、 難病に指定されているものもあるし、そうでないものもあり、疾病によって、年齢でもうお仕舞いのもあるし、そのまま成人以降も違う形で医療費助成が受けられるというような、疾病によって不公平 がでて きていると思うのですが、その辺りはどのように調整されるおつもりでしょうか。

○徳本難病対策課長補佐 小児慢性特定疾病の制度と指定難病の制度とでは、その要件が異なりますので、現在704疾病ございますが、必ずしも一対一対応に全てが行えるものではないというのは、そもそも制度の話として御理解いただく必要があると思います。ただ、指定難病の要件に合致するものとしては、おおよそその半分ぐらい、704のうち350程度はもう既に指定をされているということで、そこら辺につきましては、要件を満たすものは、移行の観点からも、今回のように追加の要望を日本小児科学会等から頂いているところでございます。

○五十嵐委員長 その2つの事業がまだ一体化はされていないのですが、同じ部局で担当するようになった点が大きな改革だと思います。異なった2つの事業が、1つの部署で対応する方針になりましたが、まだまだいろいろな問題があります。それぞれの事業に歴史がありますので、2つの事業の一体的運営については少し時間がかかるのではないかと思います。しかし、このように2つの事業が共通の目で、あるいは公平な目で、運営していくという方針が少なくともできましたので、これからはそのいろいろな問題について指摘をすることによって、改善できるところはできるだけ改善していただけるように、皆様のお力で持っていきたいとは考えているところです。時間がかかる可能性があることを御理解いただきたいと思います。何かその点につきまして御意見がありますか。

○小林委員 ありがとうございます。この問題は随分昔から、もう10年も20年も前からずっとお願いしてきたことですが、今、委員長からお話がありましたが、これまでは私たち患者団体は、小児慢性特定疾病と指定難病で別々な所へ行って、つまり、別々な方に、別々な課長さんの所へ行ってお願いをしたのですけれども、今度同じ方ですから、是非また突っ込んだ話、検討をお願いしたいと思っています。

 1点、先ほどの教育の関連でよろしいでしょうか。これも以前から小児慢性特定疾病関係ではどうしても文科省との連携は欠かせないということをずっと申し上げていて、前回も、是非出て来てくださるようにしてほしいということで、委員会に途中からお越しになるようになったのです。その前もそうなのですけれども、そのときに、なかなか文科省の担当者が来てくれないので、私が聞いてみたら、いつも案内が来るのが直前なのだ、日程がなかなか合わないのだということで、私があらかじめ日程を教えて、予定を入れてもらったこともあるのです。

 やはり私たちの実感としては、同じ子どもたちを対象としている割に、どうも連携が取れているのかなというと、余り実感として感じないのですね。これは是非やはり壁を取り除いていただいて、別な省ですからなかなか大変かもしれませんが、連携を取っていただくように。今日も担当の方が来ていらっしゃいますけれど、是非、これからそういう取組をお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。それではそろそろ時間になりましたので、本日の議論はこれまでにしたいと思います。今後の予定につきまして、事務局から御説明をお願いします。

○徳本難病対策課長補佐 委員の皆様、ありがとうございました。次回の開催日程につきましては改めて事務局から御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。

○五十嵐委員長 それでは、本日の専門委員会はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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