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2017年1月30日 第11回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録
健康局健康課
○日時
平成29年1月30日(月)14:00~16:00
○場所
厚生労働省 講堂
○議事
○大林室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第11回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催します。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。
本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。
続きまして、出欠状況について御報告いたします。
池田委員、中山委員、中野委員、沼尾委員から御欠席の連絡を受けております。現在、委員16名のうち12名に御出席をいただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、倉根参考人、多屋参考人、畑参考人にも御出席をいただいております。
冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○大林室長補佐 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
座席表、議事次第と配付資料一覧、委員名簿がくっついたものと、資料1から資料4、参考資料1から4、また、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。
配付資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は岡部分科会長にお願いいたします。
○岡部分科会長 お忙しいところ、お集まりいただいてありがとうございました。第11回になります「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催します。いつもより、省議室でも大きいなと思っておりますけれども、もっと大きいところになってしまって、傍聴の方も、聞こえますか、この声は。大丈夫ですね。
全体に聞こえるように、また、大きいといっても、いつものように、忌憚のない御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、お手元にあるところの議題、審議事項、報告事項に従って進行していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
事務局から審議参加に関する遵守事項、ここからよろしくお願いします。
○大林室長補佐 本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、申請資料への関与について御申告いただきました。
各委員からの申告内容については、机上に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の審議事項は、日本脳炎ワクチン、化学及血清療法研究所製エンセバック、阪大微生物病研究会製、ジェービックを予定しております。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、森委員が、日本脳炎ワクチンの審議の際、「退室」に該当することから、この取扱いについてお諮りいたします。
なお、このほか、「退室」や「議決に参加しない」に該当される委員はいらっしゃいません。
以上です。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。今、事務局のほうから審議参加について御説明がありましたけれども、本日は日本脳炎ワクチンが審議事項になっていて、森委員が、寄附金等の受取状況から、参加規程により退室ということになります。
ただ、本部会では、当部会が必要を認めた場合には意見を述べることができるとなっております。森先生は、日本脳炎ワクチン、あるいは日本脳炎という病気に対する基礎的な方面から非常に御造詣が深くて、ウイルス学の分野ということでこちらの委員会にも入っていただいているので、そういう意味では非常に公平に意見をお伺いできるのではないかと思いますので、もしよろしければ、審議には参加いただいて意見を述べていただく。ただ、議決には入らないということだと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡部分科会長 ありがとうございます。では、森先生、どうぞよろしくお願いします。
それでは、議題に入りたいと思います。議題が、今ちょっと申し上げました日本脳炎で、平成29年度勧奨接種の中心になって、また再開になって、それ以後の状況ということでの2期接種の対応、これについての審議事項になります。
それでは、事務局のほうから資料の御説明その他、お願いします。
○芳川室長補佐 それでは、事務局から資料1並びに参考資料1に基づいて御説明させていただきます。平成29年度以降における日本脳炎ワクチンの積極的勧奨の差し控えに対する2期接種の対応につきまして、この2つの資料を使って御説明させていただきます。
過去の差し控えの経緯及び勧奨再開後の行政の対応という形で、参考資料のほうで図としてまとめさせていただいておりますので、適宜御参照ください。
日本脳炎ワクチンにつきましては、過去に平成17年5月30日から積極的勧奨の差し控えを行ってございまして、平成22年3月31日に差し控えを終了し、以後、積極的勧奨の再開を行うとともに、差し控えの影響を受けた者について、年度ごとに対象者を定めて勧奨を行ってきたと、このような背景がございます。
参考資料1を見ていただきたいのですけれども、中ほどに示した図がございますけれども、これは一つの四角が1学年だとお考えいただいて、生まれた年度ごとに差し控えの影響に応じて色分けを行って図に示したものでございます。
図の左中ほどにございますオレンジ色のBの方というのは平成17年から平成22年当時に3~4歳であった方、ブルーのAの方、一番左に示してございますけれども、差し控え当時、9歳であった方というのを示してございます。無色の平成19年以降のお生まれの方につきましては、勧奨の差し控えの影響は受けていないということを図で示してございます。
これまでに行った対応ということで、この四角の上ほどの小さな四角の中に「26・1期追加」とか「25・1期」というような形で記載してございますけれども、年度ごとに勧奨の機会を設けるということを行ってきたところでございます。2期の勧奨につきましても、これまで平成25年度以降、当該年度に18歳となる者につきまして勧奨を行っているというような状況でございまして、今年度平成28年度につきましては、左から2番目の四角の方、平成10年にお生まれになった今年度18歳になられる方につきまして勧奨を行っていただいている、このような状況でございます。
この勧奨の差し控えの影響を受けた方、すなわち、AとBに該当する者につきましては、1期及び1期追加の勧奨は受けてございますけれども、この28年で平成10年よりも以降にお生まれで色のついていらっしゃる方というのは2期の勧奨は現状受けていらっしゃらないと、このような状況になってございます。
資料1に戻っていただきまして、今、その経緯のあたりを御説明させていただいたところでございます。中段の下のあたりですけれども、平成29年度以降の日本脳炎の積極的勧奨の差し控えに対する対応につきまして、この四角で囲んであるとおりとしてはどうかと考えてございます。すなわち、平成25年度以降、毎年度、当該年度に18歳となる者に対して積極的な勧奨を行うこととしてきたことを踏まえまして、平成29年度についてだけではなく、平成36年度末まで、すなわち、参考資料1でお示しした色のついた方の一番若い年度にお生まれの方、すなわち、平成18年度にお生まれの方が18歳となるまでの間、すなわち、平成36年度末まで、当該年度に18歳となる者について2期接種の積極的な勧奨を行う。2つ目として、そのほか、積極的勧奨の差し控えが行われた期間に、定期の予防接種の対象者であった者のうち1期接種を完了している者について、市町村長等が実施可能な範囲で2期接種の積極的勧奨を行っても差し支えない、このような形で御提案させていただきます。
御審議のほどよろしくお願いいたします。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。芳川補佐からの御説明がありましたけれども、ディスカッションをちょっと後にしまして、今回の日本脳炎につきましては、傍聴者の方々からの発言希望がありました。これまでも分科会では、それぞれの審議にかかわることについて、傍聴される方から御希望があれば発言をいただく。我々のほうは、その意見を伺いながらいろいろな参考にさせていただければというような趣旨で、この傍聴人の発言という時間を設けてあります。
もう何回かやっているので御存じだと思いますけれども、申し込んだ方には、時間は短いので申しわけないのですけれども、2分間で御意見をおっしゃっていただいて、もちろん簡単な自己紹介はその2分間の中に含めないということにしていますので、簡単な自己紹介に続いて2分間のプレゼンテーション、御意見をおっしゃっていただければと思います。
きょうはお二人おいでになりまして、お一人目が母里啓子氏、お二人目が古賀真子氏ですので、順番で、最初に母里啓子様からお願いいたします。
○母里氏 母里啓子と申します。今回の日本脳炎ワクチンの積極的勧奨を差し控えていた者に対する接種、積極的勧奨ということでちょっと意見を述べさせていただきたいと思います。
実は私、1960年代に、日本脳炎ワクチンの開発といいますか、研究に携わっておりました。当時の伝染病研究所で。それで、その後もずうっと日本脳炎という病気に関して注意して見守ってまいりました。前の予防接種法では、日本脳炎というのは臨時予防接種の扱いで、北は北海道は一切やってない、東北地方でも基礎免疫だけ、関東でも横浜、東京あたりは赤ちゃんのときだけで、追加免疫はないという状況の中で、九州は毎年毎年、学童の義務教育の間中、接種をしているというような、日本全国で大変ばらつきのある予防接種でした。
その中で、それでは病気はどうなっていったかということをずっと追跡していきますと、本当にワクチンをつくらなければならないと一生懸命になっていたころは1,000人オーダーの患者が出ていたものが、どんどん減ってまいりまして、現在では1桁前後だと思います。その中で、積極的勧奨を差し控えていた5年間の間に、それではどれぐらい患者さんが出て、それがどういう状況だったのかということも、この再開に当たって、あるいは積極的勧奨をするに当たって、そのデータを十分に国民に知らせていっていただきたいと思います。
近年、全然なかった北海道まで脅されて、ここで審議もしていただいたのですが、結局、北海道のことは北海道に任せるという形で、北海道で一昨年から接種が始まりました。その中で、日本脳炎という病気がどれほどの社会的なインパクトがあり、予防する必要があるのかということもあわせてきちんと国民に知らせていただかないと、積極的勧奨を差し控えていた間の方たちが脅されて、またということにもなりかねません。病気というものを、年とともに、年代とともに社会の中でどう扱っていくかということに対してきちんとこの審議会の中でも議論して国民に伝えていただきたいと思います。
以上です。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。歴史的な経緯も含めて大変貴重な御意見をありがとうございました。
もう一方申し込みをいただいているので、古賀真子さん、どうぞよろしくお願いします。
○古賀氏 発言の機会をいただきまして、ありがとうございました。コンシューマーネットジャパンの古賀真子と申します。よろしくお願いします。
本日のテーマなのですが、今回対象とされております2の積極的勧奨を控えていた時期の人というのは、おおむね20代前半の人かとも思われますけれども、現状の日本脳炎の病気の流行状況、発生状況から見ますと、またワクチンで病気を抑えているのではなくて、接種しているから感染しないということでもなく、未接種者でも、抗体ジョウシュを見ると、患者が発生していない状況であるというような状況の中で、あえてこの世代に、副作用の発生を危惧しながら接種を行うことは大変無意味、かつ、有害であると考えています。
こちらの下の部会か上の部会かわからないのですが、副反応検討部会の資料によりますと、2016年3月から10月までの直近の9カ月間でも、約10万人に1人の重篤な副作用が出ておりまして、中にはADEM、ギランバレー、スティーブン・ジョンソン症候群なども発生しています。それに引きかえて、この5年間で患者は、子供が1人発生しているとされていますが、その詳細は不明です。
こうした同年齢時期の2期の接種ワクチンとしてはDTワクチンがございますが、DTワクチンはそもそも日本脳炎ワクチンに比べると接種の対象数は少ないとはいえ、こちらは重篤な副作用は10万人に1人程度とされていますので、その倍の数の副作用の発生率ということは十分考慮するに値することだと考えています。
それから、北海道で2016年の4月から定期接種化が始まりました。北海道では、2016年6月までの接種数が2万80件、7月末で3万4,000件が接種されたと聞いています。そもそも北海道では、日本脳炎の接種、11万件程度と予定され、予算も7億7,000万円組まれていたそうですけれども、実際にはそれより少ない接種がされていると聞いています。
こうした中で、北海道でも接種期間の間違いや、北海道の議会で判明しているだけでも3件の副作用の報告が出ております。このように、定期接種化により、2歳の子供たちまでも接種に行くような状況も出ており、現場が非常に混乱しているというようにも聞いています。全年齢層を通じての接種が進められることにより、必要性について、いま一度立ちどまって考える必要があると思います。この上、2期の接種の必要性が強調されることは非常に問題であると思っています。
以上です。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。
それでは審議のほうに入りたいと思いますけれども、ディスカッションには参加していただけませんけれども今の傍聴人のお二人の意見も踏まえて、含めて議論を進めていきたいと思います。主には、御説明いただいたように、29年度の特例対象者の対応案ということのプランですけれども、日本脳炎というもののワクチンの重要性、必要性、あるいは、もしかするともう役割は果たしたのではないかというような意見もあり、接種再開のときも、一応そういう議論を経て勧奨接種を行うというふうには至ったのですけれども、そのことを含めて何か御意見をいただければと思います。
それから、参考までにですけれども、接種勧奨中止になった例のADEMの疑いの患者さんが発生する前のちょうど前ぐらいですけれども、そのADEM例を意識はしてなかったのですけれども、日本脳炎ワクチンが必要かどうかという議論を、それぞれ賛成も反対も含めていろいろな分野の方とのディスカッションが厚労省で行われて、報告書が出ております。私も加わっていたのですけれども、非常にいいまとめ方をしているのではないかと思います。いわば教科書的なものとして何らかのときに目を通していただければと思います。
それでは、御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
どうぞ、澁谷委員。
○澁谷委員 事務局に質問なのですけれども、北海道の日本脳炎の予防接種は今どんな状況になっているのか、お教えいただきたいと思います。
○岡部分科会長 事務局、お願いします。
○芳川室長補佐 先ほど冒頭に発言をいただいたように、今年度から定期接種という形で実施をしていただいていると認識しています。実施の状況ということですけれども、すなわち、どの程度接種を受けていただいているかということについては、こちらとしてはちょっと、現状、把握していないという状況でございます。
○澁谷委員 本年度からということは28年度からですね。一昨年でなくて、昨年からということですね。
○岡部分科会長 ほかはいかがでしょうか。
多屋先生は日本脳炎の参考人としてお呼びしているのではないので、また日本脳炎のほうは倉根先生にお願いをしているのですけれども、申しわけありませんがまず今の国内の日本脳炎の疫学状況みたいなものをちょっと参考までにお話しいただけますか。
○多屋参考人 毎年10人未満の患者発生数であったところですけれども、昨年1年間は久しぶりに10人を少し超えまして、11人の患者さんの報告がありました。お子さんの発症者はいらっしゃいませんでした。
ただ、2015年に0歳の赤ちゃんが発症されまして、後遺症が残っているという学会発表等もございました。積極的勧奨が差し控えられている間に、お子さんで発症された方もいらっしゃいました。積極的勧奨が再開された後、抗体保有率につきましては、3歳、4歳で10~20%ぐらいまで低下していたのが、今は、積極的勧奨の差し控え前より少し高い、4歳以上だとかなり高い抗体保有率が回復してきたというのが、今の現状かと思います。
○岡部分科会長 ありがとうございます。参考人としてお出でいただいた倉根先生には、日本脳炎という疾患・ウイルスの立場から御意見、コメントがあればよろしくお願いします。
○倉根参考人 まず、今、多屋先生おっしゃらなかったけれども、どのぐらい日本脳炎感染蚊のアクティビティ、活動があるかということで、毎年、地方衛生研究所、それから感染研で調査しております。そうしますと、豚の日本脳炎抗体は、これが日本脳炎感染蚊の活性を示すわけですけれども、ほぼ関東以西は陽転する。それから東北も、率は低いのですけれども、豚の陽転が見られるということになります。北海道も、陽転という意味ではたまに見られるということであります。ということは、少なくとも東北までは日本脳炎感染蚊の活動というのはほぼ毎年見られるということであります。
それからもう一つは、これはなかなかデータとしていろいろ出てこないかもしれませんが、ワクチンを接種していない小児でも、陽転が起こる。つまり、感染は起こっていると。ただし、病気にならないというだけである。これは日本脳炎ウイルスの性質で、脳炎になる率は比較的低いのですが、しかし、感染はしているというデータがあります。ただ、年によって少し陽転率は違うということであります。
それから、これも論文になっているのですが、日本脳炎になった方、発症した方のワクチン接種歴を見てみますと、ほぼ100%、圧倒的にワクチン接種がない人が多い。逆に言うと、ワクチン接種した方には日本脳炎発症というのはほぼ見られない、ほとんど見られないということになります。
それからもう一つは、比較的発症は高齢者に多い。つまり、10~20歳からいわゆる成人層は日本脳炎の発症はないかもしれないけれども、そこで免疫をきちんとつけるということが、高齢者になってから日本脳炎にならない、ということを防止するということであろうと思います。
そういう意味では、私は、日本脳炎ワクチンというのは、日本脳炎感染蚊の活動がある、日本脳炎ウイルスの感染が起こり得る地域では当然基礎免疫としてつけておくべきだろうと思います。それから北海道については、北海道の方、ずうっと北海道にいるわけではありませんし、いろいろ動きます。それから、将来的に、時に豚において日本脳炎陽転が見られるということも考えれば、ワクチン接種はいい決断ではないかと私自身は思っております。
ちょっと長くなりました。
○岡部分科会長 ありがとうございます。それと、倉根先生は、たしかWHOのSAGEではなかったでしたか、TAGのほうかな、日本脳炎にはWHOのほうで絡んでいたのではないかと思いますが、そういう意味で、アジアにおける日本脳炎ということで何か御意見がありましたらお願いします。
○倉根参考人 アジアにおける日本脳炎の患者数というのは、なかなかこれまでよくわからなかった部分があって、恐らく、かなり低く見積もられていた。それは検査が十分されていなかったので、日本脳炎という診断がついてなかったということであります。それを各国やり始めますと、やはり多くの国で日本脳炎というのは非常に発生が多いということがわかって、それは国ごとに少し違います。
一方、WHOでは、とにかく、天然痘が終わり、それから麻疹、風疹をターゲットにし、そして次、ポリオをターゲットにする。日本脳炎も、その次の段階として十分WHO西太平洋事務局ではそこに力を注いでいくべきであるという方針で、今後、日本脳炎のワクチン接種というのは世界的にもかなりまた強く推奨されてくるだろうと思っています。
○岡部分科会長 ありがとうございます。私も、WHOのマニラの会議には出ているのですけれども、その中では、日本脳炎ワクチンはアジア全体においては重要なワクチンとして位置づけて、インドに本部があるSEARO、それから、マニラに本部のあるWPRO、ともに日本脳炎というのは、北アメリカ、南アメリカとは違う状況、あるいはヨーロッパと違うので、今後さらに必要になっていくというような声明も出しているというのは聞いております。
どうぞ、大石先生。
○大石委員 感染研の大石です。
ちょっと追加で申し上げさせていただきますけれども、倉根所長のほうから、日本で発症している患者さんは高齢者が多いという話でありましたけれども、昨年秋口、10月ごろに長崎県の対馬で4例のクラスターが発生しておりまして、いずれも高齢者ですけれども、そういうクラスターに対して実地疫学調査を今進めておるところであります。また詳しい、できれば住民の血清疫学状況というのを把握したいとは思っておりますけれども、またそういったことを報告できると思います。
現場ではやはり日本脳炎の経験あるお医者さんが大分少なくなって、診断ができてない症例がたくさんあるのではないかということで、少しさかのぼった調査もしているところです。
一応追加で申し上げます。
○岡部分科会長 ありがとうございます。診断されない症例ってなかなか、症状として出ても、ウイルス学的な診断がついていなかったり、あるいはもうちょっと脳炎の手前の、髄膜炎を見てみると、原因不明の髄膜炎が日本脳炎であることがわかったというような報告は幾つかありますけれども、その辺、多屋先生、研究班で急性脳炎をやられていると思うのですけれども、何か御説明を加えていただければ。
○多屋参考人 数年前から、急性脳炎・脳症としてお届けいただいた患者さんの中で病原体が不明であった患者さんにつきまして、感染研のほうに検体を送っていただいて、病原体検索をしております。その中から日本脳炎の患者さんが1人見つかっております。もう一つは、急性脳炎は全数届け出疾患なのですけれども、半分が病原体不明のままとなっています。なので、その中に日本脳炎の患者さんがまぎれ込んでいる可能性は十分に考えておかなければならないと思います。
もう一つ、急性脳炎が全数届け出疾患になってからもう随分たつのですけれども、今回、先ほど大石先生が話されましたように、対馬で4人の日本脳炎が届出されました。急性脳炎が全数届け出疾患であるということが十分に伝わっていないところもあります。対馬がというわけではないですけれども、ということがあるので、もしかすると届けられていない患者さんもいらっしゃる可能性は否定できないと思います。なので、今年度も引き続きまして、原因不明の急性脳炎の患者さんについては必ず日本脳炎を鑑別診断の中に入れて、病原体検索を進めていきたいと考えております。
○岡部分科会長 ありがとうございました。どこの地域でも急性脳炎脳症、脳症はインフルエンザがほとんどなのですけれども、かなり多い中で、多屋委員おっしゃったような、半数ぐらいは原因不明のまま。これはやはりきちんと解明をしていったほうがいいので、今ここでは、日本脳炎のワクチンと直接関係ない話ですけれども、急性脳炎で原因不明の場合はぜひ地域の衛生研究所に連絡をいただいて、積極的な、私、その衛研の一つにいるのですけれども、検査をやっていただいて、さらに不明の場合、検査を一生懸命やってもなかなか病原体が出ない場合が結構ありますけれども、網羅的な方法といったようなこともあるので、そこは研究班でできますので、多屋先生のほうにちょっと連絡を入れていただければ、よりこの病気に対する理解がふえて、ほかの原因、あるいは日本脳炎が含まれているかどうか、いないのかということもわかってくると思いますので、ぜひ御協力をよろしくお願いします。
ちょっとここで日本脳炎に話を戻しますけれども、日本脳炎の現状その他について、もし御質問、御意見がありましたらどうぞよろしくお願いします。
どうぞ、館林委員。
○館林委員 予防接種法なのですけれども、ほかの人に広く伝染する病気については、接種の義務が努力義務の中でもより高くなると思うのですけれども、自己防衛の比重が大きいものについては、自分で判断することが重要になってくると思っています。法の趣旨を勝手に解釈しているだけかもしれません。日本脳炎の予防接種については、2期接種をするのがどれだけ必要なのか、1期に比べて2期接種をするとどれだけ抗体が上がるのかとか、高齢者の発症が多いということですけれども、長い経過の中で、どれぐらい抗体価が下がるのかとか、先ほど御意見があった副作用の話とか、あと、今回、18歳からということですけれども、本来であれば13歳未満でやっているところを、そこだけ延びたことによって何かリスクがふえるのかとか、そういうことがわかりやすく提供されていた上で判断できるようになっているといいのではないかと思います。
○岡部分科会長 事務局から、今のところ、少し御説明できますか。1つは、1類の定期接種対象疾患であるということと、それから血液学的なこともあるのではないかと思うので、多屋先生もちょっと後で加えていただければ。
では、芳川補佐。
○芳川室長補佐 今、館林委員のほうから御指摘のありましたA類疾病で努力義務を求めている疾病というものが、予防接種法、どのように、まず記載されているかということでございますけれども、当然、日本脳炎ワクチンもA類疾病ということですが、そのA類疾病の定義といたしまして、「人から人に伝染することによる、その発生及び蔓延を予防するため、又は」と書いてございまして、「かかった場合の病状の程度が重篤になり、もしくは重篤になるおそれがあることから、その発生及び蔓延を予防するために特に予防接種を行う必要がある」という形で、大きく分けると2つ書いてございます。前段のほうが、人から人に伝染することによる、その発生及び蔓延を予防するために予防接種を行うもの。もう一つといたしまして、かかった場合の病状の程度が重篤になり、もしくは重篤になるおそれがあるということでございます。日本脳炎ワクチンについては、この後段のところでA類の対象疾病となっていると、このように認識をしてございます。
○岡部分科会長 先ほど申し上げました勧奨接種の中止になる手前に行った議論の中でも、日本脳炎ワクチンは個人防衛なのか集団防衛なのか、当時の1類がいいのか、もうちょっと個人の意思を尊重する形の、2類に近いのかというような議論も行いましたけれども、結局は、公衆衛生対策というようなことと、全体の免疫の保持ということもやはり、人から人にうつる病気ではないけれども、多くの人の免疫が必要だということの結論が当時の議論だったと思います。その後、定期接種再開に当たったときに同様の議論はなされてはいたと思うのですけれども、血液学調査で免疫の維持とかいうことに関しては、多屋参考人、参考人で済みませんが、お願いします。
○多屋参考人 ありがとうございます。
結果をお持ちすればよかったのですけれども、現在のところの直近の抗体保有率について御説明しますと、予防接種法に基づいて感染症流行予測調査事業という事業が行われていまして、毎年、数千人の健康な方から血液をいただいて、全国の地方衛生研究所で日本脳炎ウイルスに対する中和抗体の測定が行われています。3歳から積極的勧奨が始まりますので、3歳で約6~7割、4歳でまたその10ポイントぐらい上がって、5歳以上だと、ほぼ90%の抗体保有率は維持されているのですけれども、今は40代、50代ぐらいのところから抗体価の保有率が下がってきておりまして、恐らくその方々というのは、小さいころに、私も含めてですけれども、日本脳炎ワクチンを受けていた世代です。
でも、大人になってから、なかなか追加接種というのを受けていない人が多いので、抗体価が減衰し抗体保有率が下がってきているという結果は、感染症流行予測調査事業の結果から出ています。もっともっと高齢の方になりますと、逆に、自然感染を受けていたのか、もう少し抗体保有率が高いということがあるのですけれども、今は成・壮年期から抗体価が少し減衰してきているというのが最も直近の抗体保有率の状況かと思います。
○岡部分科会長 ありがとうございます。ほかに。
どうぞ、森委員。
○森委員 もし高齢者で日本脳炎の発症が目立っていて、かつ、日本脳炎に対する抗体価が壮年期において落ちているということであれば、13歳までに追加接種をするという意味が少し理解し難いかと思います。また、先ほどワクチン未接種の子供において脳炎を発症しない場合でも、抗体陽転者があったとお伺いしました。そうなると、子供の場合、感染しても脳炎を発症する率が少ないということになりますが、この点は如何でしょうか?
○岡部分科会長 済みません。後のほうが聞こえにくかったのですが。
○森委員 ワクチン未接種者の抗体陽転者が子供に見られたということを倉根先生が言われておりました。この場合、日本脳炎ウイルスの顕性感染なのか不顕性感染なのか不明ではあるかと思いますが、先ほどお話に出たのは、高齢者において日本脳炎ウイルス感染による脳炎発症が多かったということです。小児では脳炎発症が少ないということになるのでしたら、13歳までの追加接種の意義が少しわからなくなってくるかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○岡部分科会長 倉根先生、よろしいですか。
○倉根参考人 まず1つは、恐らく疑問は、高齢者でかなり抗体陽性率が高いのになぜ日本脳炎が出るかということだと思いますが、それは、抗体陽性率が100%になっているわけではないので、抗体陽性でない方もやはり存在しているということだと僕は思っています。その中で、やはり感染して、十分防ぎ切れないという人がいるのだろうと思っています。
それから、実は、小児でワクチンを接種していない方でも陽転するということ。ただ、発生率というのが難しいかと思いますが、でも、その中である数の小児がいれば十分それは発生する可能性はある。
それからもう一つは、抗体陽性の方でも、抗体の値が高くなる人がいる。夏を過ぎるとですね。ということは、抗体陽性の方でも十分、ステライルイミュニティとして感染を防ぎ切れていない。つまり、感染は起こっている。ただ、病気にはならないということかと思います。ひょっとしたら、軽い病気、発熱ぐらいだと見逃されていると思いますが、ということを考えれば、小児でなぜ余り出ないのかというのはいろいろな考えがあると思います。もう1つは、最近の生活環境からして、感染蚊に吸血される人の率がやはりそれなりには少ないと。それから、本来、この病気自体が脳炎を発症する率というのはそれほど高いものではないというのがありますので、ですから、母数の問題等もあるのかなと私は考えております。
○岡部分科会長 ありがとうございます。
三田村先生、どうぞ。
○三田村委員 勧奨差し控えをやめるときの議論で、日本脳炎の患者数は少ないけれども、豚の抗体保有率を見ると高いとか、再開するときにいろいろ理由があったと思うのですけれども、その状況は余り変わらないということになると、現在の日本では、日本脳炎自体が少ないので、一般的にワクチンの効果を見るときに、感染、あるいは発症予防という点で評価できれば一番いいのですけれども、日本ではなかなかそれは難しい状態だと思います。そうすると、海外の状況をみて、ワクチンを接種していればかなり疾病の健康被害は防げているという判断であれば、今の状況ですと、豚の感染状況とか、あるいは国際的な活動が増えているとか、ということを考えると、小児期に基礎免疫をつけておくことはやはり意義があると考えてよろしいのではないかと思います。
ただ、小さいときにやったワクチンが、その後、抗体価がどうなっていくかという調査はぜひ続けていただきたいと思うということと、さらに、接種を差し控えるときのきっかけとなった症例は、たしか年齢の高いお子さんで、ADEMが重症だったからというふうに記憶しているのですが、その記憶間違えていたら済みません。そういうことから考えると、この差し控えを再開したことによって、また今後、学童以上の10代の方の接種が増えるという場合には、かなり厳密な副反応調査を続ける必要があるのではないかと考えます。ある程度そういう数が集積されるのであれば、その重症になったADEM症例と同じような年代の方でどうだったかということをぜひ集計していただきたいと思います。
以上です。
○岡部分科会長 どうぞ、大石先生。
○大石委員 現在の日本脳炎の定期接種が重篤な疾病に対する基礎免疫をつけるという意味で実施されているということで意義はあると思うのですけれども、一方では、高齢者でかなり症例が最近は出ているという森委員の、それはどうなのかということがあると思います。それで、我々としても、高齢者、成人に対する予防接種ということも必要性は感じているわけで、私どものAMEDの予防接種班のほうでそれは検討を進めているところでありまして、また、今回の、昨年の10月に起こった対馬の事例とかの調査の結果も参考資料になると思います。後から出てくるかもしれませんが、日本脳炎ワクチンのワクチンそのものがちょっと足りなくなって研究ができない状況もあるので、少し時間はかかるかもしれませんけれども、結果を出していきたいと思っています。
以上です。
○岡部分科会長 抗体の維持については何か研究ありますか、多屋先生。ワクチン接種者における抗体の維持。
○多屋参考人 はい。先ほどの感染症流行予測調査事業ではずっと、どれぐらい抗体がもつかというのを見ているのですけれども、5年から10年は十分に免疫が維持されると言われていまして、ちょうど今、Vero細胞由来のワクチンを接種してからの抗体維持を見ているところです。
あともう一つは、ワクチンを一回も受けていない1歳から12歳のお子様の抗体保有率というのも検討したことがあるのですけれども、それですと、西日本だと10%ぐらいのお子さんが抗体を持っていた、いわゆる自然感染を受けていたというような結果も出てきておりますので、そういったことからも、日本脳炎ワクチンの必要性はあるだろうと思います。これは、以前、議論がなされたかと思います。先ほど、もしかして私がちょっと言い間違えたかもしれないのですけれども、今、患者さんが発生している年代の方は、抗体保有率で見るとそんなに高くありません。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
では、最後の質問で、館林委員、お願いします。
○館林委員 今、審議しようといていることは、18歳の追加接種を継続的にするかどうかというお話だと理解しているのですけれども、そうしたら、その通知を受けた人がこれを受けようかどうかというのがわかるようになっていてほしいと私は考えたわけです。だから、18歳の時期にやることで、本来13歳のときにやるのに、18歳になって損をするというか、リスクを受けることはないのかどうかということはまず1つあって、もう一つとしては、そもそも18歳の時期に受けて、高齢者が多いと言われている時期で、そうなったら、素人だったら、高齢者になってからインフルエンザワクチンみたいにしたらいいじゃんとかと思いますよね。この時期、受けるのが正しいのかどうかという話と、1回目受けていますよね。それで、2回目受けるのが本当に必要なのかどうか。どれぐらい抗体が上がって維持されているのか。日本脳炎がどんな病気で、どれぐらいのリスクがある、もしくは潜在的リスクがあるのか。あと、受けたときの副作用。この間のADEMの方が15歳だったという話はありますけれども、では大きくなって受けるとどこが違うのかとか、そういうことがわかって、それに基づいてみんなが判断できるようになっていればいいと思うのですけれども、その辺が、お話が難しくて、ちょっとフォローできなかったのです。
○岡部分科会長 わかりました。時間がそろそろなのでちょっとまとめておきたいと思うのですけれども、今議論していただいたのは、きょうは勧奨接種がいいかどうかの議論ではないので、しかし、そのバックグラウンドとしての今の日本脳炎の状況がわからないといけないと思いましたので、いろんな意見をいただきました。
それから、副反応については、三田村委員からも、さらに継続して調査すべきであるというのがありましたけれども、副反応検討部会のほうでは、定期接種、任意接種も含めて広く使われているワクチンについては調査方法が変わってきて、副反応の疑いというものに対してもっと広く広げる。その中に日本脳炎も入っていますので、ワクチンに対する副反応ということは、そこでモニターができるのではないかと思います。
それから、定期接種として本来やるべきだったのが接種勧奨中止になってそのままになっているので、5年から10年たつと免疫はだんだん低下してくるという事実から言えば、この18歳ぐらいの年齢層でも下がってくる可能性はあると。事実、全部下がっているかどうかという調査は多分ないと思うのですけれども、下がってくるときに、やはりブースターの機会はいつまでたってもほうっておくわけにはいかない。そこは年齢的に、今できる範囲のときにやろうではないか。特に余り大きくなってくるとワクチンを勧めることができないので、18歳という年齢のところでぎりぎりではないか。また、間隔から言っても、これがそろそろ接種年齢の妥当なところであろうということだろうと思います。
恐らく、館林委員からの注文も、特例対象者を対象にするに当たって、オートマティックにやりますよというだけではなくて、この人たちに本当の必要性や何かについて、リスクも含めてきちっと説明すべきではないかというのが館林委員の趣旨だろうと理解しました。それで、先ほども申し上げましたように、これで予防接種勧奨をやるかやらないかということがきょうの議論ではないので、一応これは前提です。それから、高齢者に対するのも、今後の課題であろうと。大石先生もおっしゃっていましたけれども、それならば還暦になったら日本脳炎のワクチンやるかといったようなことについての議論はまた別のところでやると思いますけれども、今のような背景をもとにして、きょうプランとして出していただいたこの18歳が中心になると思うのですけれども、平成29年度の特例対象者の対応、やり方については、館林委員から御意見あったことを事務局側が受けておいていただきたいと思うのですが、それについて、了承か、あるいは異論ありというところで御意見をいただければと思います。
どうぞ、坂元委員。
○坂元委員 きょうここで決めるというのは、この資料1の一番下の実線で囲んであるところに関してのことを、今まで、年度の対象者に勧奨接種という形をやっていたのですけれども、これを見ると、その対象者の前倒しという捉え方ができるのか、それをこの場で決めるということの理解でよろしいのでしょうか。
○岡部分科会長 事務局のほう、いかがですか。
○芳川室長補佐 済みません。ちょっと書き方がわかりづらいかもしれないですが、きょうお諮りいただきたいのは、29年度から36年度末まで8年度分について、当該年度に18歳になった方というものをそれぞれの年度で行っていただく2期勧奨接種をということについて御提案させていただいているという状況ですので、この8年度分を一気に前倒しをしてやっていただくということをお諮りいただいているわけではない。済みません。ここ、少し記載がわかりづらいかもしれないのですけれども、例えば29年度であれば平成11年生まれの方、平成30年度であれば平成12年生まれの方という形で、1年度ずつ、18歳になられる方というのを自治体がその方に対してお知らせをするというやり方をとってはどうかと、そういう御提案の内容です。
○坂元委員 そうすると、基本的に今までとやり方が変わりはないということで、法律上は例えば18歳に達してないが、17歳でも受けたいといった場合には、法律上はできるということも含むということですかね。
○芳川室長補佐 そのとおりです。現状、昨年度までは当該年度18歳になられる方という形でお諮りいただいていますので、そのとおりですし、それ以前の方、この平成18年度生まれまでの方というのは附則の対象者になってございまして、対象年齢は20歳までになってございますので、それまでの間であれば、18歳にならなくても、定期接種として実施していただくことは可能と、このように認識しています。
○岡部分科会長 よろしいですか。
自治体側としての負担が急にふえるということでもないようですけれども、いかがでしょうか。
そのほかに御意見、御質問がなければ、一応スケジュールに関しては、この委員会としては了承であるとなると思うのですが、この日本脳炎の問題に対する状況について、さらにワクチンをした場合のベネフィット、あるいはもう一方のリスク、これはもう少しわかりやすいような形での説明を続けていく。特に勧奨のここの部分については受ける人に対して説明ができるようにという注文もついていますので、どうぞよろしくお願いします。
というようなことで、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。では、事務局のほうで。
○芳川室長補佐 済みません。1点、情報提供というか、追加で、参考資料2を御説明するのをちょっと失念しておりまして、ちょうど大石先生のほうから、研究班のほうでもワクチンがというお話があったので、参考資料2をごらんください。
これは平成28年12月から平成29年5月までの今後の6カ月ですけれども、需給見込みと12月の時期をお示ししています。大石先生のところ、あるいは我々としても少し不足の感があるというような声をいただいているところですけれども、今後こういった形で供給の見込みが立っておりますので、情報提供させていただきます。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
それでは、次に進めていきたいと思いますけれども、次は(2)報告事項になります。最初に「各部会からの審議状況等報告」なので、これは事務局のほうから説明していただいた上で、各部会、あるいは小委員の先生もおられるので、補足説明があればしていただくというふうにしたいと思いますので、では、最初に事務局のほうからお願いいたします。
○坪井室長補佐 それでは、事務局より御説明させていただきます。
まず1つ目の部会ですけれども、研究開発及び生産・流通部会になります。資料2の1枚目の裏をごらんいただければと思います。
前回の分科会以降、研究開発及び生産・流通部会は、11月16日に第13回として1回開催されてございますので、その開催状況につき御報告申し上げます。
主な議題は、大きく4つでございました。1点目は「ワクチンの安定的な供給体制確保のための備蓄プログラム整備事業について」でございます。
大規模地震を含む自然災害が発生した場合におきましても、ワクチンの安定供給体制を確保し、予防接種法に基づく定期接種を持続させることができるよう、公募により選定した業者におきまして、いわゆる免震倉庫、免震機能を有し、かつ市場流通可能なワクチンを適切に保管管理可能な倉庫を整備するための補助金、額としては約21.57億円になりますけれども、こちらを含む予算が昨年の10月に成立いたしました。
この事業をより実効性のあるものとし、またワクチンの安定供給に資することができるよう最大限に有効活用するためということで、補助を実施する場合は一定の備蓄を条件とするといったこと等の補助要件を設定することといたしました。本部会では、この補助要件等について審議がなされまして御了承いただきました。
2点目は「予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAについて」でございます。昨年9月に開催されました予防接種基本方針部会では、予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAの今後の進め方につきまして議論がなされまして、各部会に関する事項については各部会において検討を行うこと等とされましたことから、基本的な計画のうち研究開発部会に関連すると考えられる箇所、それから当面想定されるスケジュールについて御報告がなされたところでございます。
3点目は「『ワクチン・血液製剤タスクフォース』顧問からの提言について」でございますけれども、昨年10月にとりまとめられたこの顧問からの提言につきまして御報告がなされたところでございます。
4点目は、前回の研究開発部会以降に発出したワクチンの安定供給に係る通知等についてでございますけれども、3件の通知または事務連絡が発出されておりまして、その概要について御報告がなされたところでございます。
研究開発及び生産・流通部会に係る御報告は以上でございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。研究開発の先生はどなたでしたっけ。
伊藤先生でしたね。
○伊藤委員 伊藤でございます。
ここに述べられているとおりで、ワクチン、特に今年度は熊本地震がありましたので、そういったことも含めての対応と同時に、先ほど大石先生のほうから話がありましたように、ワクチンの供給が十分されないということが現場の人たちに対して大変不安を来すということも十分承知しておりますので、それに対する対応についての論議が進んでいるところでございます。
以上でございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。何か委員のほうから御意見かコメントありますでしょうか。
どうぞ、釜萢委員。
○釜萢委員 この11月のときにも、ワクチンがなかなか供給されないという不安の声が私ども日本医師会にも寄せられるのですが、厚労省を通じていろいろ個々に見てみると、そんなに足りなくはないような結果が出て、どうもその間のギャップが感じられるところでありますが、もともと、接種を担当する医療機関は、薬剤の卸しにワクチンを注文して、注文したとおり納入されるというのが当たり前と思っているわけなので、それがそのとおり、注文した数がなかなか入らないとなると、やはり不足感があるというのは現実にはそれを認めざるを得ないのだろうなと思います。
一方で、先ほど日本脳炎の参考資料2が出ましたけれども、これはMRのワクチンでも同様でありまして、月末の積み増しと、それから供給の予想というのは、その表を見ると大丈夫なのかなという印象を持って、そこのところのずれがなかなかうまく解消しないというもやもや感はずっと続いているということで、ちょっと感想になりますが、現状における認識でございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
どうぞ、畑参考人。
○畑参考人 参考人として、消費者というか、打つほうの立場から流通の問題についてちょっと御意見申し上げます。
昨年、はしかはミニ流行が起きまして、その関係で、一気に切迫して、打てないという状況になった。それから、定期外の人が打ちたいという人が随分ふえて、そういう人からの、どこへ行けば打てるかと、近くではどこも打ってくれないというようなことがあって、事務局への問い合わせが我々の会のほうにもありました。日本全国のレベルでいけばちゃんと量的には問題なかったのだと思いますけれども、一時的にはすごく偏った状態が起きる。そういうときに対する国民への情報提供といいますかね。私どもの会のほうでは、ネット上で調べて、神奈川県のほうの要求があった場合は、東京都の医療機関を紹介したり、打てるところの情報を会として提供はしましたけれども、そういう情報提供の手段を、消費者といいますか、打ちたい人からの声があった場合に、どこに行けば打つことができるという情報が手に入る何か手段を、その仕組みを考えていただければ、不均衡な状態、地域のばらつきの問題、それがある程度解消できるのではないかと思います。今その辺の情報が、どこに行けば打てるというのが、余りちゃんとした仕組みがないことが問題かと思いますので、その辺の御検討をよろしくお願いいたします。
○岡部分科会長 ありがとうございました。開発部会は開発、生産・流通部会なので、今の流通のことも含めて検討していただければと思います。継続してどうぞよろしくお願いします。
それでは、副反応検討部会のほうを、清宮専門官、お願いします。
○清宮予防接種専門官 続きまして、資料2の3ページ目にございます副反応検討部会の審議状況について御説明させていただきます。
前回の本分科会以降、副反応検討部会は3回開催されております。平成28年11月28日には、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、成人用肺炎球菌の各ワクチン、平成29年1月24日は百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、7価及び13価肺炎球菌、Hib、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルスの各ワクチンにつきまして、副反応の疑いとして報告された全ての症例の概要並びに後遺症症例、アナフィラキシー症例及び死亡症例の詳細な経過等に関する資料に基づいて審議が行われまして、これまでの報告において各ワクチンの安全性に重大な懸念は認められないと評価をされてございます。
また、平成28年12月26日の当部会においては、HPVワクチンについても、他のワクチンと同様に審議がされてございまして、安全性においては新たなシグナルの検出はなく、従前どおりの評価とされてございます。
また、厚生労働科学研究の子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究において行われてございます全国疫学調査について、研究代表者の祖父江友孝先生から、HPVワクチン接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に評価されている症状と同様の「『多様な症状』を呈する者が一定数存在した」との御報告がございました。
なお、当該調査の解析が引き続き行われることになっております。
副反応検討部会についての御報告は以上でございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。これは、委員長は桃井先生、補足がありましたらお願いします。
○桃井委員 御報告は以上でございますが、先ほども、予防接種のメリット、そしてリスクという議論がございました。これは言わずもがなですが、副反応として集められているのはあくまで、予防接種の接種から一定時間後に発症したため、時間的関連性があるからとして集められた副反応疑いであって、決して因果関係に基づいて集められた、集積されたデータではないということを改めて申し上げたいと思います。そういう理解の下に議論がされておりまして、「新たなシグナル」とここに書いてございますのは、例えば10万人に1人、予防接種の接種いかんにかかわらず発症する疾患があったとして、それが明らかに数倍以上というような状況になれば、新たな危険シグナルとして検出する、そういう議論でございます。
したがいまして、予防接種の接種後一定期間、例えば28日間に全く何の疾患も発症しないというのは、これはあり得ないことでございますので、予防接種の接種後も、予防接種を接種してない期間と同じ期間の発症率であらゆる疾患は当然発症するわけでございますので、それも含めて副反応疑いに集積されているという正しい御理解をいただければと思います。
もちろん、この場の委員の皆様方は御理解いただいていると思いますが、その辺が、マスコミも含めて一般社会には十分伝わってないというもどかしさを常に私どもは議論の中で感じております。この辺は厚生労働省が、用語的には副反応として集められておりますが、そのデータが何を意味するものかということを十分広報していただいて、国民がリスクというもののサイズを正しく理解していただくためにより一層御尽力いただきたいと思っております。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。ほかに何かコメントがありましたら。
どうぞ、戸田委員。
○戸田委員 理解できている者の一人だと私自身は思っています。今回、HPVワクチン接種していない場合でも多様な症状を呈する方が一定以上存在したという報告で、マスコミだけから受ける感覚なのですけれども、そしてまた、全くその疫学ということも素人ということで見たら、やはりちょっと、今回の調査ってどうやったのかなという思いを持たざるを得ないのです。自分の自治体に複数の被害者がいらっしゃるという立場で、ちょっと申しわけない言い方をするかもしれませんけれども、お許しいただきたいと思います。
まず、今回の疫学調査ですけれども、素人から見たときといいますのは、基礎調査的なことを真っ先にやっているのかなと。いわゆる副反応、その被害者の家族というのは一体どれぐらいあるのか、その実態把握なのかなと思っていました。そして、どのような症状があらわれているのかという分析もなされるのかなと思っていたのです。
私も、いろんな被害の方と出会いもさせていただいた。記憶障害があったり、歩行困難、そして目が見えない。さらに脱毛の状態というような方の実態等の把握ができております。ほかにもどんな症状があるのかということ。それと、どのような分類をされるのかなと思って見ておったところです。そして、その重篤な症状というのはどうすれば改善できるのかという、ここが一番ポイントと素人なりに思っておったところです。
しかし、今回のこの調査というのは、調査票をちょっと見させていただくと、12歳から18歳の男女、男の人も含めて、男女について多様な症状があるかどうか、またHPVワクチンの接種をしたかどうかの調査、また、調査票には発症前の既往歴や傷病名を聞く項目があったようでございます。今回は、男女の両方についてという調査となっておりますけれども、HPVワクチン接種対象年齢の女性のうち、他の病気等によるものでなく、多様な症状を発症している方はどれぐらいいるのか、それから、接種しておらず、多様な症状を呈する者とは具体的にどのような症状の方がどれぐらいいらっしゃるのか。これは報道です。報道しか私も知りませんけれども、本日の資料に記載されたような内容が示されておりますけれども、調査の方法や調査結果の詳細について、後日で結構ですので、お示しいただければありがたいなと思います。
それと、その後、引き続きという形での調査をされるということがここに記載されておりますけれども、どのような内容の調査が考えられるのかということも知りたい部分の一つと思ってございます。
それから、なお、市長会、ちょっとまだわかりませんけれども、町村会、私のほうとしては、町村でその被害実態の調査とかいうことがもし必要であれば、それに積極的に応じさせていただこうと思っておりますので、もし何かあれば御指摘いただければと思います。
ちょっと素人なりの発言で申しわけないですけれども、以上、ちょっと感じたところを述べさせていただきました。
○岡部分科会長 ありがとうございました。今のような御意見と、ほかにも、この委員会の後、さらなる意見を求めたりしていますので、それを集約して、私もこの委員会は出ていたのですけれども、これは結論の段階ではなくて、その委員会でいろんな、戸田委員の意見も含めたような形でそしゃくをして、解釈が正しいかどうか、あるいはもう少し別の解釈の方法があるのかどうか、そういうことを再度検討して行うということで、決して最終報告ではないということで委員会は行ったと思います。引き続き検討というのはそういう意味で、また新たに何か調査を組み立ててということではないのではないかと、委員長としてはそのように受け取ったのですけれども、桃井先生、何か、よろしいですか。
○桃井委員 そのとおりでございます。疫学調査で結果が示されまして、ただ、疫学調査の、粗々と言うとおかしいですけれども、通常の解析をしていただいた結果が出ましたが、まだまだ解析の仕方によっては、その情報の解析の切り口によって見たい部分もございましたので、そのような御意見を委員会で多数出していただきまして、新たな解析をつけ加えていただき、また、疫学調査というのはスタディデザインによってさまざまな限界がございますので、この疫学調査で、言ってよいこと、あるいは言えないことをより明確にしていただき、新たな協議を進めたいと思っております。あくまで中間的な御報告をいただいたということで理解しております。
○岡部分科会長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
館林委員。最後です。
○館林委員 重い症状のある個人の方の問題はとても大きいと思います。一方で疫学調査で何がわかっていて何がわかってないかを十分吟味することも重要と思います。それに加えて、そもそもこの使われている言葉が、中立的でないので、発表資料を写してもなかなか伝わらない部分があるのではないかと思います。副反応疑いというと副反応が疑われている状況と思いますけれども、一定期間の間に起きた事象だということを伝えるのが、うまく伝えてくださいと言われても難しい状況がありますので、発信する側の工夫も必要だと思います。
○岡部分科会長 委員と我々、私も発信する側ですし、事務局のほうも、意見をよく伺って、よりわかりやすいというふうには努めたいと思います。ただ、中間報告でいろいろテクニカルタームが出ているのは、実は私も十分そしゃくできないぐらい、非常に細かいところがあるので、そういうことも含めて、最終報告のときにはもう少しそれぞれが説明できやすいような形でと、分析している方にお願いしているという状況です。ということで御了承いただければと思います。
それでは、もう少し次に進めたいと思いますが、ワクチン評価に関する小委員会の開催状況、これについては、芳川補佐、お願いします。
○芳川室長補佐 資料2の5ページ目を御説明させていただきます。「ワクチン評価に関する小委員会開催状況」ということで、平成28年12月8日に第5回ワクチン評価に関する小委員会が開催されてございます。
議題は3つございまして、1つ目といたしまして、ロタウイルスワクチンに関する審議がなされてございます。これにつきましては、ここに記載してございます腸重積ベースラインデータの整理、リスクベネフィット分析、費用対効果の推計ということ、この3つの課題というものについて、過去に整理をすべきとされてございまして、ロタウイルスワクチンについてはファクトシート、また作業班報告書、さらに最近の知見という形で、幾つか時点時点で知見を収集したものがございましたので、それをこの課題ごとに整理して、それに基づいた形で議論をしていただきました。
議論の結果としては、広く接種を進めていくための検討をさらに進めていくということには幾つかの課題が依然残っているということですので、引き続き研究班のデータや他の知見を収集した上で、一定の整理ができた段階で、審議会でまた改めて審議をしていただく、このような形になったところでございます。
2つ目といたしまして、沈降ヘモフィルスb型ワクチンでございます。これにつきましては、平成28年9月30日に国立感染症研究所によってファクトシートが作成されたこと。また、一方で、その後ですけれども、11月24日に薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会におきまして、この沈降ヘモフィルスb型ワクチンの用法の追加(筋注)について報告がされ、その後承認されたということでございまして、その当時、承認された場合には、その用法に関しての検討も必要となると。このような状況を踏まえまして、この12月8日の小委員会においてはファクトシートの報告をいただいたということでございます。
3つ目といたしまして、不活化ポリオワクチンの5回目の接種につきましては、事務局のほうから過去の審議会で検討された状況を整理して御報告してございます。内容といたしましては、不活化ポリオワクチンの5回目の接種につきまして、抗体保有率の経年変化等に基づいて調査を継続し、その結果に基づいて必要に応じて審議会で検討すると。このような方針についての御報告をさせていただいたところでございます。
事務局からは以上でございます。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。これは小委員会の委員長が倉根先生なので、補足がありましたらよろしくお願いします。
○倉根参考人 少し追加といいますか、今お話しいただいたとおりですが、ロタウイルスワクチンについては、腸重積がどのぐらい実際発生するのかという部分のデータと、それから、ワクチンを受けた小児での腸重積の発生を比較しなければならないわけですが、腸重積のデータ、ワクチン非接種者でどのぐらい出るかということについては、データないわけではないのだけれども、十分あるわけではないので、もう少しさらに集めて議論を進めるべきではないかと、そこであります。
それから、費用対効果を出すに当たって、もう少しいろいろな現在わかっている情報、例えば今言ったような腸重積のお話であるとか、そこら辺をきちんと、もう少し情報を集めようということであります。それから、リスクベネフィットについても、ワクチンを打った方が重症のロタウイルスワクチン感染症での入院が減った、あるいはどのぐらい減ったのか、あるいは変わらないのか、そういうデータをきちんともう少し集めていただけないかということで、委員会、あるいは多くの専門家の方々にお願いしたところであります。
それから、2番目の沈降ヘモフィルスb型ワクチンについては、最初の○に「国立感染症研究所によって」と書いてありますが、ここにあと、医療経済については、きょう、ここの委員でもあられます国際医療福祉大学の池田教授に参加いただいてつくっております。ここについては、こういうファクトシートができて、内容について粗々の説明を受けたところでありますが、それを踏まえて、次に今後どのように考えていくかを議論しましょうということで、ファクトシートの説明を受けたというところであります。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。小委員会に対して何か御質問がありましたら。
よろしいでしょうか。
あと、基本方針分科会も開かれているのですけれども、これは私が分科会会長ですが、主に基本的方針の見直しということで、今、意見を集約しているところです。事務局がいずれまとめてくるだろうと思いますので、御了解いただければと思います。
それでは、各部会の報告についてはよろしいでしょうか。
ではもう一つ進めさせていただきます。2点目になります。はしか、風疹ワクチンの2期接種の状況について、これまでの状況をまず事務局から御説明いただいて、参考人である多屋先生のほうから後で補足がありましたらお願いします。
では、芳川補佐。
○芳川室長補佐 それでは、資料3について御説明させていただきます。1月27日付の麻疹、風疹の定期接種に関する事務連絡。「麻しん及び風しんの定期接種(第2期)対象者に対する積極的な積極的勧奨並びにワクチンの供給等について」というものでございます。この事務連絡につきましては、先ほど畑参考人からもありましたけれども、現状の情報提供をさせていただくということで、自治体向けに出したと、そういう目的が1つと、未接種対象者及びその保護者に対する勧奨の協力であるとか、あるいはその供給に係る取組を関係者と周知協力する、そういった内容になってございます。
具体的にというところでございますが、麻疹、風疹の第2期の定期の予防接種につきましては、小学校入学前の1年間が対象となってございまして、3月31日までに接種を受けていただくと、このようにされてございます。例年、上半期時点での接種率を自治体から御報告をいただいているところでございまして、平成28年度上半期の全国の接種率は、この事務連絡の一番上の固まりの2段落目に書いてございますけれども、59.0%という状況でございました。
あわせて、平成27年度上半期については57.7%という状況であることも情報提供させていただいてございます。
また、ページめくっていただきますと、都道府県ごとに接種率を、今年度、昨年度というような形でお示しさせていただいているところでございます。
次、2つ目の固まりのところの御説明ですが、2期接種に関する積極的な接種勧奨につきましては平成28年9月1日に通知として発出してございまして、その内容を改めて周知するといった内容になってございます。
さらに3つ目といたしまして、MRワクチンの供給に関して、既に9月9日に事務連絡として、全国的な不足が生じない見込みであることや、関係者への取組をお願いしているといった状況ではございますけれども、現時点においても、本事務連絡の最後のページ、(別添3)という形でおつけしてございますけれども、MRワクチンの需給実績及び見込みという形で示させていただいてございます。これで十分量の供給量は確保されているというようなことをお示ししているところでございます。
3段落目の内容といたしましては、以下の内容を求めているところという形でございまして、「MRワクチンの偏在等が懸念される場合には、市区町村は、関係者と連携の上、管内の医療機関におけるMRワクチンの在庫状況の把握に努めるとともに、偏在等を確認した場合には、卸売販売業者等関係者との情報の共有、未接種対象者からの問い合わせに対する在庫を有する医療機関の紹介等の適切な措置をとること」。また、「各都道府県は、管内市区町村の1に掲げる取り組みを支援するとともに、卸売販売業者等関係者との積極的な連携を含む必要な対応を行い、偏在等の解消に努めること」。このようなことをお願いしているところでございます。
資料3の説明につきましては以上でございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。多屋先生、補足をお願いします。
○多屋参考人 ありがとうございました。
参考資料3のほうにも資料を幾つかつけていただいているのですけれども、あくまでもこれは上半期の接種状況ですので、また、第2期ということですので、3月31日までは定期接種として受けることができます。なので、今、1月の終わりですから、あと2カ月あります。まだ受けていらっしゃらない方については、3月31日までに受けていただきたいために、この時点で中間発表が出されたと理解していただければと思います。ですので、多くが70%未満となっていますが、半分の時期ですので、それは当然のことかなと思っています。
ただ、第2期は4月、5月、6月に積極的な勧奨といいますか、むしろその時期に受けてくださいというお勧めが出ておりますので、少なくとも半分以上の接種率に9月末時点ではなっていてほしいという思いはあります。なので、特に50%を切っている結果の自治体につきましては、ワクチンの流通のことも問題になっているようですけれども、今のところは、需給実績見込みからは、1月、2月、3月については大丈夫そうですので、ぜひ3月31日までに受けていただく資料として使っていただいて、最終的な結果としては、これが全部濃いオレンジの95%以上になれればという思いでつくられていることを御理解いただければと思います。
あともう一つ、2015年度と2016年度を比較しますと、多くのところで、2016年度の上半期のほうが接種率が高くなっています。その1年前はほとんどのところが前年よりも低くなってしまっていて、心配だという話をしたことがあると思うのですけれども、今年度については昨年度よりも接種率が高くなっているところが多かったというよい面もあったことをつけ加えさせていただきたいと思います。
○岡部分科会長 ありがとうございます。痛しかゆしで、ワクチン接種をうんと勧めたかったけれども、現実に流通量としては少なかったということもあったのであれですけれども、特に2期の場合は、3月末でその2期という時期は終了してしまうので、平易な言い方をすると、ただでできるのは今のうちといったような、何でもかんでもではないですけれども、しかし、昨年の麻疹のアウトブレイクがかなり小規模で抑えられているのは、やはり今までのはしかのワクチンの接種率が高く維持されていたためですので、WHOのはしかの eliminationというものに対しても、ことし開かれるWPROのTAG Meeting とか、そういうWHOの会議でも、胸を張って、コントロールができたのではないかということも言えると思います。
ただ、これ、手を抜いてしまうともとどおりになってしまうということがあるので、これまでのところどおり、あるいはそれ以上に、接種率の一定レベルの維持ということをぜひよろしくお願いしたいと思います。この点、釜萢先生、あるいは畑参考人、何か御意見がありましたら。
畑参考人、どうぞ。
○畑参考人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、昨年、ああいう小さなアウトブレイクがあって、そのことによってマスコミ等も随分広報していただいて、その結果、逆に言えば接種率ではいい方向に、維持できる方向に行っているのかなと思います。
昨年一番感じたことというのは、海外での麻疹の状況から見て、日本で完全に入ってくるのを防ぐことはできないと、今後もまた必ず続くだろうということ、そういう覚悟の上での体制といいますか、そういったものをつくっておく必要があるだろうと考えております。ああいうアウトブレイクがほとんど起きない年度に対しても、どうやってその意識づけといいますか、国民に対してこういうワクチン接種の必要性を訴えていくかというのが今後の課題で、その辺の持続的な広報というのをうまくやっていただくことをよろしくお願いしたいと思います。
○岡部分科会長 ありがとうございました。釜萢先生も、さっきコメントも出されていましたけれども、どうぞよろしくお願いします。
○釜萢委員 きょうお示しいただきましたのは、9月末までの接種率であります。これはどうしても集計をするのに時間的なずれがありますから、場合によっては10月末、11月末の情報などもその後出てくるのかもしれませんが、どうしても時期的にずれます。仮に3月31日の段階で、例年に比べてかなり積み残しが多かったということで接種率が仮に下がってしまうような事態、これはもうそうならないように全員でしっかり対応しなければならないわけですけれども、その場合のことも考えて、定期接種を少し先も可能にするというような手だてがとれないのかという意見は、私どものところにたくさん寄せられます。それは手続的にもそう簡単でないということも承知しておりますが、そのあたり、どうしたらよいのかという議論が、もう1月も末でありますので、そのあたりも遺漏なきようにしなければいけないなと感じております。
それからもう一点は、この接種率に関してはそういうずれがどうしても生じますけれども、メーカーから卸を通じて医療機関にどのぐらい納入されたのかということはもっとずっと早くわかるので、それをいろいろな協力を得て、厚労省のもとに情報がなるべくリアルタイムに集まるような体制は、私は、もう少し工夫の余地があって、可能なのではないかと思っております。
医療機関が不必要に注文してため込んでいるという事例に対する御懸念も一部にありましたけれども、私が調べ、知る範囲ではそのようなことは決してなくて、必要なもの、予約がとれるものについて、ようやく納入してもらえるというところがほとんどであります。先ほども申しましたが、医療機関は、患者さんからの予約が入ったときに、すぐに卸に頼んで、ストレスなくワクチンが入ってくるという体制こそ望ましいわけでありますので、ぜひそこはさらなる皆様の御協力を賜りたいと強く願うところでございます。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
それでは、次に移りたいと思いますけれども、次は資料4になります。予防接種関連の予算状況がどうなっているかという御説明を大林補佐のほうからよろしくお願いします。
○大林室長補佐 資料4をごらんください。平成29年度予防接種対策の予算(案)につきましては、総額約16億3,400万円となっております。金額は、28年度と比べ若干増額しておりますが、ほぼ同じで、各項目ごとの内容や金額も例年同様となっております。御存じのとおり、定期接種に関する費用につきましては地方財政措置がなされておりますため、予防接種そのものの費用以外の経費が主となります。
まず1つ目としましては、予防接種法に基づく健康被害者への医療費、医療手当等の救済給付金として、約11.7億円。新型インフルエンザ予防接種の健康被害給付金としまして約8,000万円、ポリオ2次感染者への健康被害給付費としまして約400万円など、合計約12億5,400万円を計上しております。
2番目としましては、公益財団法人予防接種リサーチセンターが行っております予防接種健康被害者への保健福祉相談事業や訪問指導等の補助金としまして、約1億3,000万円を計上しております。
3番目としまして、予防接種副反応報告整理・調査事業が6,000万円となっております。これは独立行政法人医薬品医療機器総合機構、PMDAですが、ここへの交付金です。これは副反応疑い報告の報告先がPMDAになっているための交付金となっております。
ほかに、厚生労働省と感染研とPMDAが副反応報告を即時に共有し、それぞれ調査等を実施するための経費としまして約500万円、予防接種後副反応健康状況調査の経費としまして約2,500万円、副反応報告に重篤な事例や異常な集積がないかを感染研で分析等を行う経費として約800万円を計上しております。
4番目としまして、自治体の予防接種従事者を対象に行っている研修事業について、約300万円を計上しているところでございます。
5番目といたしまして、予防接種に関する相談体制の充実や医療従事者に対する安全技能の研修実施のために都道府県に設置しております予防接種センター事業への補助金として約3,700万円を計上しているところでございます。
6番目といたしまして、予防接種に係る普及啓発費として約200万円を計上しているところでございます。
その他としましては、感染症流行予測調査に8,000万円を計上しているところでございます。
28年度と唯一異なる点としましては、新規の経費として、ワクチン価格調査のための経費を計上しております。1,100万円を盛り込んでおります。これは予防接種基本計画の中にワクチンに関する価格調査の実施をすることが必要とも記載されておりますが、これに対応するものです。
予算(案)については以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。これは予算(案)でなくて、予算ですね。決まったことですよね。
○大林室長補佐 国会でまだ審議されていないため今のところは予算(案)です。
○岡部分科会長 わかりました。御質問がありましたら、どうぞよろしくお願いします。
どうぞ、桃井委員。
○桃井委員 予防接種は国民の健康を守るために非常に重要な事業であることはもう言うまでもないことでありますが、国民の理解と納得、科学的な数字の理解のみならず、納得を得て初めて効果が上がるものですから、そういう意味で、先ほどから申し上げているように、厚労省のお立場から言うと普及啓発事業と言う呼び方になりますが、でも、国民の側から言うと適切な情報提供ということになるだろうと思うのです。それに関して、ああ、200万円かというふうに感じました。先ほどからこれを見て、少し桁が違うのかなと思っていたのですが、国民の理解と納得を得て初めて円滑にいくものでありますし、予防接種が効果があればあるほど疾患が見えなくなりますので、当然のことながら、疾患が社会から見えなくなれば、国民は、その効果を実感することがなかなか難しくなります。ですから、効果があればあるほど、国民に対する適切な情報提供、しかも継続的な情報提供というのが必要であります。
その意味で、従来の普及啓発という立場のみならず、国民に対する継続的な適切な情報提供という意味で、先ほどの副反応の話もそうですが、十分に情報提供が行き渡っているとはまだまだ言えない状況にあります。この辺をもう少しお考えいただいて、戦略的で適切な、継続的な情報提供のためにはどのような規模で何をしたらいいかということをお考えいただければ大変ありがたいと思います。
○岡部分科会長 貴重な御意見ありがとうございます。事務局は十分メモをとっておいていただければと思いますので、よろしくお願いします。ほかに御意見、御質問がありましたら。
どうぞ、館林委員。
○館林委員 この間、相模原の事件で措置入院の退院後のフォローのことが問題になったときに、個人情報なので、情報が伝達しなかったので、そこで分断されたという話があったのですけれども、副反応疑いがあったときに、相談窓口がつくられているところが、個人情報なので、自治体から情報がやりとりできなかったという話を聞いたことがあります。そういう保健福祉相談事業というのが適切かつ円滑に機能しているかどうかというのをチェックする機能というのはあるのでしょうか。
○岡部分科会長 御質問が具体的でないので、あったのかしらとか、ちょっとよくわからないのですが。
○館林委員 そうですね。つまり、副反応かなと思ってちょっとどこかに相談しようとしたときの保健福祉相談事業という事業のところが円滑に全国で動いているかをチェックする何か政策というのはあるのでしょうか。
○岡部分科会長 それでは、予防接種相談事業がどういうものか、ちょっと事務局のほうから御説明いただけますか。
○江浪予防接種室長 予防接種を受けた後に副反応かなという疑いが出た場合には、接種を受けた医療機関に御相談いただくということを一般的には申し上げておりまして、接種に御協力をいただいております医療機関でそこは御相談に乗っていただくということが基本だろうと考えております。
また、被害救済の関係で、もしその手続などについて詳細がわからないというようなことがございましたら、それは市町村が窓口になって相談に乗っていただけるというものであろうと考えてございます。
この予算上出てきております保健福祉相談事業というのは少し歴史的な経緯のある事業ということでございまして、現在の主な対象者の方に関しましては、副作用が疑われた方への被害救済で、救済の対象となった方々につきまして、一定程度以上、病状が重い方について、福祉上の相談でありますとか、そういったことについて自治体の協力も得ながら事業を実施しているというものでございます。
少し繰り返しになりますけれども、予防接種を受けられた後に、副反応かなという疑いがあるということがございましたら、まずは接種を受けられた医療機関に御相談いただくということと考えております。
以上でございます。
○館林委員 わかりました。多分、そこに相談に行ったときに、個人情報だからわかりませんということがあったのだと思います。そういう流れになっているのであれば、それはそれでいいと思います。ありがとうございます。
○岡部分科会長 まさしく個人情報そのものですけれども、個別の相談なので、もし具体的に本当に困っている例を委員がキャッチされているならば、自治体なり、あるいは厚労省のほうにおっしゃっていただければいいのではないかと思います。多少でも解決の役に立つのではないかと思います。あとはよろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。
1つ報告事項ですけれども、結核に関する特定感染症予防指針、結核に直接あるのはBCGになるわけですけれども、結核に関する特定感染症予防指針ということでちょっと御説明をいただけるのは、高倉補佐、よろしくお願いします。
○高倉課長補佐 結核感染症課でございます。
結核に関する特定感染症予防指針は、昨年11月に改正いたしました。改正の主なポイントについて参考資料4のほうにまとめてございますけれども、その中ほどに今回の改正の3つのポイントでありますところの1つ目が患者中心のDOTS、服薬確認療法ですけれども、これの推進。2番目が「病原体サーベイランスの推進」、3番目「低まん延国化に向けた体制の検討」、この3つでございまして、これらに取り組みまして、目標としております平成32年低まん延国化を目指しているということでございます。
BCGにつきましては、この図にはございませんけれども、指針の中の定期のBCG接種に関する内容は変更しておりません。引き続きBCGの定期接種については推進していくということでございます。
以上、報告いたします。
○岡部分科会長 ありがとうございました。結核の特定感染症予防指針については何か御意見がありますでしょうか。
どうぞ、澁谷委員。
○澁谷委員 この指針の8ページに、BCGが低まん延国化を見据えてということで、「定期のBCG接種の中止又は選択的接種の導入に関する将来の検討に資するため、諸外国の施策等の状況を収集するなど必要な研究を進めることとする」と書かれています。先ほどの説明で、まだまだBCGは必要だとは理解しておりますが、2020年という目標がこの指針の中でありますことから、この部分について、何か今具体的に動きがあるのでしょうか。お知らせください。
○高倉課長補佐 具体的にはございませんけれども、現在、諸外国の状況を見ますと、低まん延国化を達成されている国の中には、このBCGの定期接種というものも廃止して、ハイリスクの方のみという形の限定的な接種にされている国がございます。我が国におきましても、その可能性というものは今後考えていく必要が出てくるかもしれないということで、それに対する研究、検討を始めているという段階でございます。
○澁谷委員 ありがとうございました。誤解のないように、まだまだ、やはりBCGは乳幼児、小児の結核予防に重要だと考えておりますので伺いました。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。
どうもありがとうございました。それでは、きょうは審議事項、日本脳炎に関するスケジュールと問題と報告事項ということで幾つかの知見をご紹介いただいたり議論ができたと思います。傍聴者発言をしていただいた方々、それから、参考人としておいでいただいている三人の方々、ありがとうございました。
それでは、きょうはこのあたりで終了したいと思いますので、事務局のほう、どうぞあとのアナウンス等々、よろしくお願いします。
○大林室長補佐 2月は厚生科学審議会の改選の時期に当たっておりまして、今回が現在の任期の最後の回となります。岡部委員と澁谷委員が今回が最後ということで退任されることになりまして、こちらといたしましては残念なことでございますが、一言二言、もしよろしければ御挨拶をいただければと思います。
○澁谷委員 失礼いたします。愛知県一宮保健所長の澁谷でございます。
厚生科学審議会の委員として10年、この分科会にも出席させていただきました。特にこの間、感染症対策、とりわけ、この予防接種行政の新たな仕組みづくりに委員として携わらせていただいたことに大変感謝をしております。保健所長として、現場の保健所の意見を届けることができ、さらにさまざまなお立場の委員の皆さんと議論ができまして、改めてこの予防接種行政の難しさを考えさせられました。
しかしながら、例えばみずぼうそうのように、予防接種導入から劇的な成果を上げたものもございます。こういったところもぜひもっと啓発をしていただきまして、科学的な行政をするということの一端としてのこの予防接種行政、皆さんで発展的に守っていっていただきたいなと考えております。どうもありがとうございました。
(拍 手)
○岡部分科会長 分科会長をやらせていただいていました岡部です。現在は川崎市健康安全研究所で、その前は国立感染症研究所におり、大学から感染研にうつったころから、私は、この厚生科学審議会の前の公衆衛生審議会のときに委員として入れていただいていたので、もしかすると20年ぐらい、このようなことをさせていただいたのではないかと思います。
特に厚生科学審議会では神谷委員長の委員、それから厚生科学審議会のこの委員会になってから、加藤達夫委員長のときには副委員長というような形でやらせていただいて、その後、座長役を仰せつかったのですけれども、これまでつつがなくと言いたいのですけれども、本当に荒波の中にほうり込まれたような感じのいろいろなことがありました。
でも、おかげさまで、ここにおられる委員の方、あるいは今までの委員の方、それから事務局、あるいは後ろに傍聴として座っていらっしゃる方々、いろんな方の御意見をいただいたりしながら、何とか、あっち行ったりこっち行ったりもあるのですけれども、プラスマイナスで言えば、随分いろんなことが、予防接種はプラスに進んだなということは感じてはおります。とはいえ、まだやらなければいけないこと、やり残したことといえば多々あるのですけれども、この辺でそろそろ卒業させていただけるということですので、2月からの新しい審議会での審議を拝見したいと思います。
プラスのところでは、やはりこういう委員会がよりオープンに披露できるようになったことであるとか、個別のワクチンについても、適切に導入されたものもありますが、一方いろんな問題でつまずいているものもあったり、それをさらに科学的に進めていくということが必要ではないかとつくづく思いました。
ただ、個人的には本当に私の医学的な知識というか、そういったものは随分この会議の中で得られたような気がしますし、また、その医学が、特にこういう委員会をやっていますと、社会の中の医学ということを随分学ばせていただいたような気がします。その点は本当に厚く御礼申し上げます。
最後にですが、予防接種、こういうことをやっていると、「木を見て森を見ず」といったようなたとえがよく出ますけれども、やはり木だけ見てもだめだし、森も見なくてはだめだし、森を見ながら、木どころか、葉っぱまで見なくてはいけないというようなことを考えながら、結局、バランスをとって、どこで本当に森にとって必要なのか、あるいはそれぞれの葉っぱのところまで目が行くかといったようなことが常に課題だろうと思います。次回からはそっと後ろのほうの傍聴のほうに座らせていただいて勉強させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
長い間ありがとうございました。
(拍 手)
○福島健康局長 健康局長の福島でございます。閉会に当たり、一言御礼の言葉を申し上げたいと思います。
岡部先生、それから澁谷先生、本当に長い間ありがとうございました。岡部先生、特に2009年のパンデミックのときに、ちょうど私、感染症課長でございまして、そのときもいろんな形で御指導を賜りまして、ありがとうございました。
また、澁谷先生には、もっと昔の地域保健健康増進課の課長補佐時代に、私は保健所長会の担当もしておりまして、それ以来ずっといろんな形で御指導賜りまして、ありがとうございました。
今のこの予防接種の分科会、平成25年の大改正といいますか、予防接種の改正でこういう形になったわけでございますけれども、これも、予防接種行政を科学的に進めていこう、そして広くいろんな皆さんの声を聞いていこうと、こういう考え方によってこういう体制にしたということでございます。先生方の御指導で少しでもこういう形ができたのではないかと思っておりますけれども、お二人の先生方、これからまた別の形でございますけれども、引き続き御指導をお願い申し上げたいと思います。
そして、私ども、これから、今残っている先生方、それから新しく入る先生方に御指導いただきながら予防接種行政を進めてまいりたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げまして、簡単でございますけれども、御礼の御挨拶にさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。
○岡部分科会長 それでは、きょうはどうもありがとうございました。これにて閉会になります。
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