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2016年10月26日 第8回水道事業の維持・向上に関する専門委員会 議事録

医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部水道課

○日時

平成28年10月26日(水) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室(中央合同庁舎第5号館3階)


○出席者

委員(50音順)

石井委員 浦上委員 岡部委員 滝沢委員長 永井委員
平井委員 藤野委員 山口委員 湯谷委員 吉田委員
渡辺委員

厚生労働省

北島部長 橋本審議官 長田課長 宮崎課長 松田室長
小柳補佐 久保補佐 倉吉補佐 山田補佐

○議題

(1) 台帳整備及び施設点検の実施状況の調査結果について(報告)
(2) 報告書の骨子案について
(3) その他

○議事

  ○久保補佐 おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまより第 8 回水道事業の維持・向上に関する専門委員会を開催したいと思います。委員の皆様におかれましては、御多用の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず、委員の皆様の出欠状況についてお知らせいたします。本日は、浅見委員、小幡委員、望月委員、松江市の渡部厚志委員が御都合により御欠席となっています。委員総数 15 名中 11 名の御出席ということで、過半数に達しておりますので、定足数は満たしていることを御報告申し上げます。

 続きまして、本日の配布資料の確認を行います。お手元に資料を配布しておりますが、まず一番上に議事次第、順に本専門委員会の委員名簿、横書きの資料 1 台帳整備及び施設点検の実施状況の調査結果について ( 速報 ) 、資料 2 報告書の骨子案 ( たたき台 ) です。さらに参考資料として、前回第 7 回の専門委員会の議事録を付けております。

 これらに加え、委員の方々には机の上に前回までと同様に、黄色のフラットファイルが置かれていると思います。その中身は水道事業の基盤強化方策に盛り込むべき事項の概要版と報告書本体、指定給水装置工事事業者制度に係る課題解決の方向性と対策案の概略版のイメージ図と報告書本体です。さらにその後ろに厚生科学審議会生活環境水道部会の運営細則、本専門委員会の設置についてという紙が付いております。これらの黄色いファイルは前回までと同様で、お帰りの際はそのまま机の上に置いていただければと思います。よろしくお願いします。

 資料に不足等ありましたら、事務局までお申し付けください。大丈夫であれば続けたいと思います。ここで傍聴の方にお願いですが、カメラ撮りはこれまでとしたいと思いますので、御協力お願いします。

 では、以降の議事進行を滝沢委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○滝沢委員長 皆様おはようございます。よろしくお願いいたします。本日は議事を 2 題用意しております。 1 つ目は台帳整備等の御報告、 2 つ目が報告書の骨子案についてです。重要な議案の御審議をお願いすることになっております。よろしくお願い申し上げます。

 それではまず、議事の 1 つ目、台帳整備及び施設点検の実施状況の調査結果について、事務局から報告をお願いします。

○山田補佐 それでは、資料 1 を用いて、台帳整備及び施設点検の実施状況の調査結果について報告します。 2 ページにアンケート調査の概要を示しております。アンケートについては上水道事業者、水道用水供給事業者、簡易水道事業者の全ての事業者を対象として実施しております。調査内容は水道施設のデータの保管・整理の状況、水道施設の点検の実施状況、その点検の内容です。その結果を次ページ以降に示しております。

3 ページ、水道施設データの保管状況のアンケートの結果について示しております。水道施設の維持管理や更新計画の検討に必要となる施設データの保管状況については、左下の円グラフに示しておりますが、全ての事業体のうち、約 8 割の事業体が保管できている、若しくは概ね保管できているといった状況でした。一方で保管できていないと回答した事業体の内訳を、管路や施設のデータについて確認したものが、右の棒グラフです。管路、施設に共通して修繕の状況のデータ、工事費、図面、布設年度といったデータの項目について不足しているという回答でした。

4 ページ、水道施設データの整理の状況についてのアンケートの結果を示しております。水道施設のデータの整理状況については、全ての水道事業者のうち、約 6 割の水道事業者が整理していると回答しております。この結果から水道事業者全体の台帳の整理率は 6 割であると考えております。その内訳を見ると、真ん中の円グラフですが、上水道事業者では 7 割がデータを整理できている状況であることが分かりました。

 一方で一番右の円グラフ、簡易水道事業者については 5 割にとどまっており、上水道事業者に比べて台帳の整理が遅れている状況であるといえます。なお、台帳データが不足している場合の主な理由としては、全てのデータが保管してあるか不明であるということ。また、市町村合併や事業統合で過去のデータが揃わないことが、上水道及び簡易水道の事業者に共通する理由でした。

5 ページ、水道施設の点検の実施状況について取りまとめております。左側の列、日常点検は 1 日から 1 か月程度の周期で巡視時に視覚などの五感を用いて行う点検で、その実施状況ですが、管路については 4 割、コンクリート構造物については 7 割、電気・機械・計装設備については 9 割が実施しているという結果でした。

 一方、右側の列ですが、定期点検についてです。こちらは 3 か月から 1 年程度の周期で外部からの点検や簡易な整備を行うという点検ですが、こちらについては管路が約 3 割、コンクリート構造物が約 1 割、機械・電気・計装設備が約 8 割という結果で、総体的にコンクリートの定期点検率が低いことが判明しました。

 最後に 6 ページです。水道施設の点検結果の保存状況及び施設の健全度の評価の状況についてです。左側の円グラフですが、定期点検の結果については、水道事業者全体で約 8 割の水道事業体が 3 年以上の期間にわたり保存しているという結果になっております。右側の施設の状態の把握や健全度の評価の実施状況については、全ての事業体のうち、約 4 割の事業者が実施しており、 6 割が実施できていないことが分かりました。以上でアンケートの結果の説明を終わります。

○滝沢委員長 資料は保管しているけれども、健全度の評価までは、まだなかなか十分至っていないという報告でした。これについては後ほど少し時間を取って、全体的な議論をさせていただきますので、そこでもし御質問、御意見等ありましたら、まとめていただくということでよろしいですか。では、そのように進めさせていただきます。

 それでは、本日の主題になりますが、 2 つ目の議題、報告書の骨子案に移らせていただきたいと思います。本日は報告書の取りまとめに向けて資料 2 として、前回までに委員の皆様に頂いた御意見を踏まえて、事務局で本専門委員会の報告書の骨子のたたき台を作成していただいております。はじめに骨子案について事務局から説明を頂き、その後、委員の皆様から御意見ないし御質問を頂戴したいと思います。それでは説明をお願いします。

○倉吉補佐 それでは、資料 2 の報告書の骨子案 ( たたき台 ) を御覧ください。こちらは各回においてテーマごとに提示した論点に対し、委員の皆様から頂いた御議論、御意見を踏まえ、本日、報告書の取りまとめに向けた御議論を頂くに当たり、骨子案 ( たたき台 ) として用意したものです。時間の関係もありますので、全体をかいつまんで説明しますが、これまでの議論から新たに追加された論点が若干あります。その点については、少し詳しく説明いたします。

 まず、全体の構成ですが、大きく 3 つに分かれております。冒頭に水道事業を巡る現状と課題、続いて、今後の水道行政において講ずべき施策の基本的な方向性、その後に課題に対する具体的な対応 ( ) としております。また、法律に位置付けることが考えられるといったものについては、義務付け又は法律上位置付ける、又は明記するといった言葉により明確化するよう努めております。

 水道事業を巡る現状と課題についてです。水道は、国民の生活の基盤として必要不可欠なものとなっている一方、人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化はますます進み、耐震化は遅れているということ、また、水道事業を担う職員の減少という課題に加え、約半数の上水道事業者では、給水原価が供給単価を上回っている、いわゆる原価割れの状況に陥っております。

 このほか、平成 8 年に創設された指定給水装置工事事業者制度では、指定工事事業者数が大幅に増えており、水道事業者による指定工事事業者の営業実態の把握などが困難となっており、工事事業者の違反行為や苦情等、住民との間にトラブルも生じているという状況です。

2 ページ、こうした現状と課題を踏まえ、今後の水道行政において講ずべき施策の基本的な方向性です。まず、水道の計画的な整備を中心とする時代から、人口減少社会や災害に対応した施設の維持管理や修繕、計画的な更新を行うことにより、将来にわたり持続可能な水道とすることが求められる時代へと大きく変化しております。

 このような時代におけるキーワードとして、水道事業の基盤の強化、具体的には、適切な管理による健全な施設の保持、財政基盤の確保及び技術職員をはじめとする人材の確保などを図ることが必要であり、また、事業基盤強化を図る有効な手段として、広域連携を図ることなどが必要としております。

2 ページ目の最後の○ですが、上記の観点を踏まえて、関係者それぞれの責務を水道法の中で明確化すべきとしております。具体的に読み上げます。水道事業者 ( 簡易水道事業者を含む ) 及び水道用水供給事業者においては、自らの事業基盤の強化に取り組むよう努めなければならないこと。都道府県は広域連携の推進役として、水道事業者間、水道用水供給事業者間、水道事業者と水道用水供給事業者との間の調整を行うとともに、水道事業者及び水道用水供給事業者が行う事業基盤の強化に関し、情報の提供及び技術的な支援を行うよう努めなければならないこと。

 情報の提供及び技術的な支援とは、持続可能な水道事業の実現に向けた水道施設に関する台帳整備・維持修繕 ( 点検 ) ・更新需要等の試算・試算結果や給水需要を踏まえた計画的更新等の適切な資産管理や水道料金等についての情報提供。相談及び技術的助言並びに住民等に対する事業基盤強化の必要性に関する普及啓発等が考えられます。

 国は水道事業の基盤強化に関し、地方公共団体並びに水道事業者及び水道用水供給事業者に対する必要な支援を行うよう努めなければならないこと。関係者は災害時において相互に連携を図り、協力するよう努めなければならないこと。

 ここで都道府県については、これまで主に広域連携の推進役としての責務を御議論いただいておりましたが、水道事業の基盤強化を図っていくという、いわば最終ゴールに向かって関係者が取り組んでいく中で、都道府県においても基盤の強化に係る情報の提供や技術的な支援などを行っていただけないかということで追加しております。こちらについては、これまでの議論から少し踏み込んだものとなっていることもあり、注意書きによって都道府県の支援を詳細に記載しております。

3 ページ、課題に対する具体的な対応 ( ) として、 7 ページまで続いておりますが、テーマごとに、 (1) 適切な資産管理の推進、 (2) 持続可能なサービスに見合う水道料金の設定、 (3) 広域連携の推進、 (4) 官民連携の推進、 (5) 指定給水装置工事事業者制度の改善となっております。

(1) 適切な資産管理の推進ですが、台帳整備として 1 つ目の○、水道施設を適切に管理していくために、水道施設の位置、構造、設置時期等の施設管理上の基礎的事項を記載した台帳の整備を行うことを水道事業者及び水道用水供給事業者に義務付けるべきとしております。また、点検を含む維持・修繕として、老朽化等に起因する事故の防止や水道水の安定供給のため、また、施設の長寿命化を図り、設備費用を抑制するとともに、長期的な更新需要の把握に必要な施設の健全性を確認する観点から、こうした点検、維持・修繕というものが重要です。

 このため、水道事業者及び水道用水供給事業者は、水道施設を良好な状態に保つように維持・修繕及び点検をしなければならないこととすべきとしております。維持・修繕に関する 4 つ目、最後の○ですが、こちらも後半部分にこれまでの議論から更に踏み込んだ記載があります。読み上げます。

 具体的な点検内容 ( 頻度・項目等 ) は水道事業者及び水道用水供給事業者が、自ら保有する施設の種類・状況等を勘案して、日本水道協会が作成している水道維持管理指針や全国簡易水道協議会が策定している簡易水道維持管理マニュアルを参考に定めることが考えられるが、特に、損傷した場合に、給水への支障が甚大となる可能性があり、かつ、点検による健全性の評価が更新需要の平準化に有効である鉄筋コンクリート構造物については、一定の頻度 ( 例えば 5 年に 1 ) で近接目視等により劣化状況の確認を行うこととする基準を設けることも考えられるとしております。

 具体的な点検内容は、これまで各水道事業者において定めることを御議論いただいている中では提示しておりました。その基本的な考え方は変わらないのですが、損傷した場合の給水への影響が大きいこと。また、設備コストが多額で、更新する場合の水道事業者の負担も大きいと考えられる鉄筋コンクリート構造物については、現状の健全性を把握するために、例えば、年に 1 回等、近接目視といった方法により劣化の状況を確認いただくことなどが、最低限の基準として設けてはどうかということです。

 続いて、更新需要及び財政収支の見通しの試算並びに計画的な更新として、 3 4 ページに移ります。水道事業者及び水道用水供給事業者は、上記の台帳や点検を含む維持・修繕の結果を活用して、中長期的な水道施設の更新需要及び財政収支の見通しを試算し、施設の重要度や健全度を考慮して具体的な更新施設や更新時期をあらかじめ定める、いわゆるアセットマネジメントにより、計画的に施設を更新するよう努めなければならない旨を法律上位置付けるべきということ。

 また、将来にわたり水道を持続するため、施設更新及びそのための財源の確保が必要であることについて、住民等の理解を醸成していくために、更新需要と財政収支の見通しの試算を行った場合には、わかりやすい形で公表するよう努めなければならない旨を法律上位置付けるべきこととしております。

 最後に、給水需要に見合った施設規模への見直しです。 2 つ目の○ですが、認可の区域の縮小や現実の給水人口、給水量と、認可された給水人口、給水量との乖離への対応について、制度運用の改善などの具体的な措置を検討すべきこととしております。

 続いて 2 点目、持続可能なサービスに見合う水道料金の設定です。 2 つ目の○ですが、水道法における「清浄にして豊富低廉」という文言は維持しつつ、将来にわたり、健全な経営の下で、安定的な水の供給が確保されるべきことを水道法の体系において明確にすべき。また、持続可能な水道を保つための料金原価とするため、将来の施設更新に必要な財源として、資産維持費が計上されるべきことを併せて周知すべきとしております。

 また、 3 つ目の○ですが、将来の更新需要等を考慮した水道料金の設定について、認可権者は水道事業者に対し、定期的 (3 5 ) な見直しの議論を促すべき。

 また、 4 つ目の○ですが、先ほどの適切な試算管理の推進の所でも述べましたが、水道料金について、水道事業者たる市町村等が説明責任を果たすためにも、中長期的な更新需要と財政収支の見通しの試算を行った場合は、住民等に対して分かりやすい形で公表するよう努めなければならないことを、法律上位置付けるべきとしております。

5 ページ、 3 点目の広域連携の推進です。広域連携には、事業統合、経営の一体化、管理の一体化や施設の共同化のほか、事務代行や技術支援といった様々な形態が考えられること。 3 つ目の○ですが、都道府県は、広域連携の推進役を担うべきであること。また、都道府県が主体となり、広域連携を推進する協議の場を設けることができるということを、法律上明確にすべきとしております。

 さらに 4 つ目の○ですが、都道府県の積極的な関与による広域連携の推進のため、水道法の体系にチェックを 3 つ付けておりますが、厚生労働大臣が定める水道事業の基盤強化を図るための基本方針。また、都道府県が、関係市町村の同意を得て定める水道事業基盤強化計画を策定。また、広域連携を行おうとする水道事業者及び水道用水供給事業者が定める広域連携推進計画の枠組みを追加すべきとしています。

 こうした体系を補完する支援として、都道府県や水道事業者及び水道用水供給事業者が、水道事業基盤強化計画や広域連携推進計画に基づき実施する事業について、中核となる地方公共団体の果たす役割の重要性に配慮しつつ、必要な支援を行うべきとしております。

 次のページも支援が続きますが、また、台帳整備から更新需要と財政収支の見通しの試算に至る水道施設に関する情報の整理は広域連携の前提としても重要ですので、小規模な水道事業者を中心に、こうした情報の整理を自力で実施することが困難である場合には、必要な支援を行うべきとしております。

4 点目、官民連携の推進として、国は各水道事業者が様々な連携形態がある官民連携に、一層取り組みやすくなるよう、必要な情報や留意点を新たな先進事例等を踏まえながら、詳細に提供していくべきということ。

 また、 3 つ目の○ですが、官民連携のうち、コンセッション方式については、現実的な選択肢となり得るよう、官民の権利・義務関係の明確化や適切なモニタリング体制の確保を含め、事業の安定性、安全性、持続性を確保する観点から、水道法の趣旨・性格、関係法令間の法的整合性に十分留意するとともに、海外の先行事例の教訓も踏まえながら、法制的に必要な対応を行うべきとしております。

5 点目、指定給水装置工事事業者制度の改善として、トラブルの防止や指定後の実態を把握し、指定工事事業者の資質が継続して保持されるよう、指定に有効期間を設ける更新制を導入すべき。更新制の導入に当たっては、水道事業者や優良な指定工事事業にとって過度な負担とならないよう、留意すべきとしております。また、指定の有効期間は 5 年間とすることが適当としております。

 水道事業者は、指定更新の修正時に、指定工事事業者の講習会の参加実績等の情報を確認し、指定工事事業者に対して適切な指導をするほか、利用者への分かりやすい情報発信の 1 つとして活用することが有効としております。

 また、水道事業者の連携による広域的な指定、工事事業者講習会の開催の促進、主任技術者研修への e- ラーニング等の一層の活用等、実効性のある講習会の在り方についても検討すべきとしております。

 また、最後になりますが、水道事業者における指定の取消し等基準の整備を進めるため、様々な措置についても検討すべきとしております。骨子案の説明は以上です。

○滝沢委員長 それでは、この骨子案について御議論いただきたいと思います。初めに先ほど御説明いただいた台帳整備及び施設点検等について何か御質問はございますか。これについては、今回は報告だけということなのですが、特に御質問がなければ、こちらの骨子案について御議論いただきたいと思います。

 項目がいろいろあり、話が前後することをできるだけ避けたいと思います。大きな項目が 1.2.3. とありますので、その順番に御意見を頂き最後に全体に戻り御意見を頂くよう進めてまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、最初に背景になる現状と課題です。 1. 水道事業をめぐる現状と課題という所です。これは、これまで説明いただいた内容の整理の部分です。 1. ついて何か御質問、御意見はございますか。

○石井委員  1 点だけです。 2 つ目の○の最後の所です。「特に小規模な水道事業者において財政状況の急激な悪化が懸念される」。実態はこのとおりなのですが、外に出るとここだけが注目され、水道全体のことに帰因してしまうようなことになると困りますので、例えば、特に小規模な水道事業者において経営状況の悪化が懸念されているとかにした方が良いと思います。財政状況というとどこでも赤字のイメージになってしまいます。確かにそういう傾向は非常に強いのですが、経営状況とかのように直したほうが全体的にはいいのではないかと思います。

○滝沢委員長 では、御検討いただけますか。ほかに御意見ございますか。

○岡部委員 水団連の岡部です。私も 2 番目の「財政」状況ということに関してなのですが、やはり「財政」というと租税に関する支出みたいな形になるので、水道は水道料金でやっているので、財政という言葉よりも、先ほど石井委員がおっしゃった「経営」やほかの言葉のほうがいいかと思います。

 もう 1 つは、 4 つ目の○の耐震化についてです。水道の施設のハードについて触れています。今後を考えると昨今の台風とか、豪雨災害など風水害についても触れたほうがいいのではないかと思います。以上です。

○滝沢委員長 御検討ください。 1. の内容について、ほかに御意見ございますか。

○浦上委員  5 つ目の○の文章の最後の所に、「特に小規模事業者ほど職員数が少なく、災害時に自力で対処することが極めて厳しい」と。恐らく、災害時だけではなく管路の事故、あるいは老朽化した管による濁水等という突発的な事故に対しても、非常に小規模であるがゆえに対応が厳しいということもあります。ここは災害時ではなく将来起こり得る管路等の事故に対しても、対処することが極めて難しい状況になっておりますので、そこも加えていただければと思います。

○滝沢委員長  1. について、ほかに御意見ございますか。よろしければ、また戻りますので、 2. の今後の水道行政において講ずべき施策の基本的な方向性について御意見を頂きたいと思います。それでは、 2. についていかがでしょうか。

○平井委員 神奈川の平井です。 2. には都道府県についての記載がありますので、何点か意見を申し上げます。

 具体的には 4 つ目の○の、 2 つ目の・の部分です。ここで都道府県の広域連携の推進役、もう 1 点として事業基盤の強化に関して情報提供や技術的な支援を行うという役割を書いていただいております。基本的にその内容については全くそのとおりだと思っておりますが、この中で気になるのは、※で書いていただいている箇所で、都道府県が行う「情報提供及び技術的な支援」の具体例として、「水道施設に関する台帳整備・維持修善 ( 点検 ) ・更新需要等の試算・試算結果や給水需要を踏まえた計画的更新等の適切な資産管理や水道料金等についての情報提供、相談及び技術的助言並びに住民に対する事業基盤強化の必要に関する普及啓発等」という記述があります。

 この部分について、まず、 1 つは、許認可の問題があります。私は前回も少しだけ触れたと思いますが、計画給水人口が 5 万人を境にして、国認可と都道府県認可と分かれております。本県の場合は、かなり人口の多い市がたくさんありますが、果たしてそういう所に我々の立場で、こういうことをスムーズに行えるのか。要は国の認可になっているので、その辺は国との役割分担や県がどこまで踏み込むべきなのかということを、少し整理していただきたいと考えております。

2 点目は、※の中に水道料金に関する記述があります。これは個々の水道事業者の経営状況にかなり踏み込んでいかないと、水道料金の設定の是非は論じ得ないのではないか。一般論としては非常に分かるのですが、例えば、我々が認可権を持っている市町村に行ってお話するというときに、その市町村で本当に適切な料金は何かということを、我々が一目で看破して、それで具体的にこの料金水準はどうなのでしょうということを、申し上げるのは実際の局面を想像してみるとなかなか難しいのではないかと思います。

 ですから、この点について我々がもしこういう役割を進めていくというのであれば、例えば、経営の健全化の水準に関して、もう少し客観的な基準や、考え方、こういうものを用意していただけると有り難いです。そういったものが無いと、なかなか実効性が保てないのではないかと考えております。

3 点目は、※の最後に「普及啓発等が考えられる」という記述がありますが、この「等」という所にあと何が含まれるのか。要は、これが法定事項になるのか、一部要綱等で決まっていくことになるのかということは今後の議論になるかと思います。その中で、我々、都道府県として思うのは、重要、重大かつ本質的なことが、この場の話に出てこないで後出しになってしまわないようにお願いしたいです。その点を申し上げておきたいと思います。私からは以上です。

○滝沢委員長  3 点、御指摘がありました。

○久保補佐 お答えいたします。全体としては次のポツで、国についても「事業基盤強化に関して必要な支援を」という言葉があります。ここの中身は、都道府県に行っていただきたいものと我々がやるものが重なってくる部分が、確かにかなりあると思っております。御指摘の大臣認可事業体に対する技術的助言的なことについてどのように在るべきかというお話ですが、やはり都道府県として想定しているのは、恐らく県内を幾つかの圏域に分ける形を想定しながら、そこで広域連携を図っていくように市町村の調整をしていくという仕事が中心になっていくと思います。

 ただ、議論していく中で、例えば、ここの圏域は広域連携によって全体の事業基盤強化を図っていきますという方針になる場所もあれば、そうではなくて、もちろん部分的には広域連携するにせよ、かなりそれぞれ独立に事業を続けていきたいという意向が強いという場合もあると思います。そういうときに、県としてそれを放置するということは考えにくくて、ばらばらに独立した形で事業基盤強化を図るということが本当にできるのかどうかという辺りについて、引き続きフォローしていただきたいと思っております。

 圏域全体が、この後、将来本当に大丈夫なのかということを見ていく中で、場合によっては、大臣認可の事業体は、この後どのようになっていくのか、県認可の事業体がどのようになっていくのかということを見極めながら、方向性として疑問があるというものがあれば、いろいろ助言なりしていただければと考えております。国は国で必要な支援と書いており、大臣認可に対する事業基盤強化に向けた技術的な支援はこちらでやるという感じで考えているということです。

 料金の件について、 3. (2) に書いております。具体的にどういう料金設定ならこれが良いとか悪いとかを判断するということは、確かに認可権者において難しい部分はあろうかと思います。そうは言っても、例えば、 4 ページの (2) 2 つ目の○とか 3 つ目の○にあるとおり、料金設定が持続可能な水道を保つことができるようにするためには、将来の施設更新に必要な財源も原価に見込んでいなければおかしいはずなのですが、そこがそうなっていないということがあれば、そこについて指摘をする。あるいは、現行の規定でも 3 年間の財政均衡を見て料金を設定してくださいとなっておりますが、それが 3 年を過ぎて相当長期にわたって料金の見直しが全くされていないということがあれば、それはそれでおかしいということで御指摘していただく等、そういう辺りをまずはやっていただくという感じで考えております。

 最後の普及啓発「等」の所です。これは現時点で特に想定しているものはありませんが、本当に等抜きで、これだけに限られるのかというとそうでもないということで等と書いているだけで、特段ここで何か重い業務を想定しているというわけではありません。以上です。

○滝沢委員長 よろしいですか。最初の御質問に関しては、 5 ページの一番下の所の項目です。先ほど久保補佐から御説明いただいた基本的な方針でも「国は」ということで、「必要な支援を行う」と書いてありますし、 5 ページの一番下ですが、都道府県や水道事業者、水道用水供給事業者が基盤強化や広域連携に基づき実施する事業について必要な支援を行うべきということで、これは国がという意図ですか。

○久保補佐  5 ページの一番下にせよ、次のページにせよ明示はしておりませんが、まず、支援に財政支援も含むものと考えているというか、これまでの御議論の中でかなり求められているという認識でおります。もちろん、財政だけではなくて技術的支援もあるということで、まとめて裸で支援と書いております。財政支援については、これまで御意見があったとおり、国からということで考えております。

○滝沢委員長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。

○永井委員  2. 2 つ目の○です。最後のほうに括弧書きしている中身ですが、最後の行で、技術職員をはじめとする人材の確保に関してです。最近の傾向として、市役所内の市長部局との人事交流が盛んだというか頻繁だと言っていいのでしょうか。そういうところが多々見られます。そういう意味で、水道に愛情を持つ人材が少し薄れているのではないかという気がしております。したがって、今度、人材の確保・育成は不可欠だという少し強い表現を入れたほうがいいのではないかということで、意見を申し上げておきます。

○滝沢委員長 ありがとうございました。御意見ということで、よろしくお願いします。

○湯谷委員  2. 4 つ目の○です。今、平井委員からお話がありましたが、北海道の場合は、大臣認可の権限の委譲を受けておりますので、いいのですが、やはり他県のことを考えると、認可を持っていない県では広域連携への取組の助言はなかなか難しいところがあると思います。ここの表現はともかく、具体的に広域連携等を進めていくことに当たっては、権限を持つ国としての取組も是非お願いしたいということで、これは要望です。

 それと、平井委員から「等」のことがありました。最初のたたき台ということで仕方がないのかもしれませんが、全般的に「等」が多く見受けられるので、具体的にできるものは具体的に取りまとめていただけるようにお願いしたいと思います。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございます。よろしいですか。

○吉田委員 日本水道協会の吉田です。「 2. 今後の水道行政において講ずべき施策の基本的な方向性」についてです。ここに個別の事項が書かれておりますが、基本的な方向性の検討のベースは、平成 25 年に厚生労働省が策定した水道の理想像である「新水道ビジョン」の“安全”、“強靱”、“持続”の支店で会ったと思います。そうした視点を持って検討した…ということがあって、その後に個別の事項の話が入るのが良いのではないでしょうか。

 次に、 2 ページの下から 2 つ目のポツに国の責務についての記載があります。先ほども質問等がありましたが、国は必要な支援を行うということですが、できるだけイメージを持てるように都道府県の責務でも記載されていた情報の提供や、技術的な支援についても当然書いておいたほうが分かりやすいのではないかと思います。

 併せて、今回の委員会で取りまとめるいろいろな施策を推進するためには、安定的な財政支援が必要だという認識を持っています。報告書類をまとめるに当たっては、そうした視点を持っていただければと思っています。

 先ほど次の項目の 4 ページの下から 3 つ目の○の後半にある、「持続可能な水道を保つための料金原価とするため、将来の施設更新に必要な財源として資産維持費が計上されるべきことを併せて周知すべき」という所の議論が出ておりましたが、日本水道協会では、そういう視点も踏まえて水道料金算定要領を既に策定して、必要な改訂も随時行ってきています。改めて国からも水道事業者をはじめ、都道府県等の関係者へも、この要領の周知をお願いできれば有効に活用していただけるのではないかと思っています。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございます。特に御回答はよろしいですか。ほとんどが御要望ということであったと思います。国の責務も少し具体的に書いてほしいというところもありました。御検討いただくということで、よろしいですか。

○倉吉補佐 頂いた御意見について御検討いたします。少し戻ってしまいますが、先ほど湯谷委員から御指摘があったことと平井委員からもお話がありました所です。水道法上、水道事業の認可を国と都道府県が分割して持っているということがあり、都道府県全体における市町村の水道事業がうまくいっているのかどうかというところを見ていただき、必要に応じて技術的な助言等を行っていただくという権限と認可権を持つ水道事業者に対する助言等の権限が重複していて混同されやすいところがあるのかと思っております。

 水道法上、例えば、広域的水道整備計画であれば、都道府県が県内の市町村から要請を受けて広域的な水道整備計画を作るという規定がもともとあります。そういう意味で都道府県においても、きちんと都道府県全体の市町村の水道事業が提供されるようになっているのかということを見ていただくという権限も、あるということかと思います。ただ、なかなかそこの点が、これまでの水道行政上、余り着目されてきていなかったのではないのかと思っております。

 そういう実態を踏まえると、今まで国が認可を持っていた所について、いろいろなアドバイスや助言は、大変難しいというところがあるのかと認識しております。そういう中で、我々としても都道府県がどのような形で都道府県全体を見て、事業基盤の強化で全体的に底上げしていくことができるのか、どういうことが情報提供として考えられるのかということについては、より具体的なことを示していくことができればと思っております。

 また、国の認可の 5 万人以上のところだけを見るのではなくて、簡易水道事業も含めて全国の水道事業者の事業基盤の強化が、全体的に底上げして図られていくようにという視点から、今後の水道行政をやっていかなければいけないと認識しております。補足は以上です。

○滝沢委員長 よろしいですか。何か御意見ございますか。

○平井委員 分かりました。ありがとうございました。 1.2.3. の順番で意見を言うということだったので、後で言おうと思っていたのですが、先ほど久保補佐からもお話がありました、この報告書でいくと、 5 ページの一番下に、都道府県や水道事業者等に対して「必要な支援を行うべき」と書いてあります。この部分については、主語が欲しいですと言おうと思っておりました。正に国でやっていただけるということであれば、認可権を越えて必要な所も一緒にやっていただきたいと思っております。

 先行してしまうのですが、もしそういうことであれば我々としては、国から支援を頂くということだけではなく、内容として 5 ページの一番下の○の所に都道府県との連携といったこともきちんと書いていただけると、我々としても少し安心するのかと思っております。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございます。御検討ください。

○藤野委員 主婦連合会の藤野です。今の倉吉補佐の御回答を頂いて安心したのですが、そもそも資料 1 の調査結果において、簡易水道事業者の回答率が大変悪いです。 6,000 に対して 2,000 のような回答率しかなくて、つまり回答すらできないような簡易水道事業者があるのではないかと、それは人員的だったり、時間的であったりいろいろあるかと思います。そういう所が、どれだけの人口を押えているかというとかなり少ないのでしょうが、そういう所は広域連携も難しいような位置にあったりすることも考えられます。

 よって、そういう所が見捨てられることのないよう、特にアンケート調査で約 6 割は OK みたいな話ではなく、答えられない所をどのようにするのかということも考えられるような書き振りをどこかに入れてほしいと思います。もちろん、今、倉吉補佐の回答でそれらが含まれていると分かったので安心したのですが、どうしたらということが具体的に分からないので、そのことを心配しております。よろしくお願いいたします。

○滝沢委員長 御検討いただけますか、よろしくお願いします。

○久保補佐  2 点、お答えいたします。今の藤野委員の御懸念については、 6 ページの一番上の所の広域連携の一番最後の所に書いております。おっしゃるとおりで、台帳等の情報整理もなかなかという部分は、小規模な事業体についてアンケート結果からも多いと考えられます。そういう所に対しても必要な支援は確かに必要だろうと、これまでの御議論の中でもさんざん繰り返し御意見があったと思いますし、そのことについてはここでしっかり書いているつもりです。

 ただし、小規模な事業者に対して、広く全般的的に支援をするということが本当にいいのかということも考えると、少しお金を出して台帳が整備されたからといって、それだけでその小規模事業体は、ばら色の将来が待っているかというとそのようなことはありませんので、やはり、将来のことを考えれば広域連携にしっかり取り組んでもらうことも他方では必要であると考えております。

 そういうことで、広域連携の各論の中で小規模事業者に対する支援を位置付けております。いずれにせよ、小規模な所が見捨てられることがないようにということは非常に重要な視点だというのは我々も感じておりますので、このように書きたいと思っております。

 それから、幾つか前になりますが湯谷委員、平井委員からの、国から県に対しても支援をというお話です。 2 ページで国も必要な支援を行うと書いていて、中身には技術支援があると申しました。県が行う技術的支援と国が行う技術的支援の目的は多分同じなのですが、方法論に少し違いがあるというか役割分担みたいなものがあるかと思っております。国がやるものは、どちらかというと手引を作ったりマニュアルを作るという、全体に対して一般論としてこういうやり方ですという方法論を示す部分が、どちらかというと中心になっていて、都道府県になると、それがより具体的な個々の事業者に対してどうという話のウエイトが高くなってくるのかと思っております。

 今、ここの御意見を伺っていて何となく感じたことは、我々としてはどちらかというと事業者相手で作っているつもりなのですが、国が出すマニュアル類は、それ自体が実は都道府県に対してこういう考え方なのですということを示していくような、そういう位置付けにもなるのだなと。正に吉田委員が先ほどおっしゃったような料金算定要領も、当初、我々から事業者相手で周知と考えていたのですが、確かにおっしゃるとおりで、都道府県に対してもこういうものがあるということを周知していく、非常に大事な御指摘だと感じた次第です。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○浦上委員  2. の内容は、恐らく地方公共団体の首長や議会の理解が前提ということでの話かと思います。やはり、その理解が得られないと何も前に進まないので、そこはしっかりと文章に位置付けていただきたいと思っております。 1. の背景を 2. 1 つ目の○の所で受けて、 2 つ目の○から話が始まるわけですが、その 2 つ目の○の 2 行目の「国及び地方公共団体」は、その後に、できればこの厳しい状況をしっかりと理解した上で、更に中長期的な計画を踏まえた上で、その後で、それぞれの立場から水道事業の基盤強化に取り組むということ。

 要するに、あえて首長あるいは議会がきちんと理解してほしいという思いをここに入れてもらいたいです。そうでないと、本当に首長や議会の理解が得られない中で、水道事業の改革が前に進まないというケースもあるとお聞きしております。やはり、そこは国が入っておりますが、地方公共団体が、まず現状をしっかりと理解した上で中長期的な計画を踏まえて、基盤強化に取り組むということを文章としてはっきり書いていただけないかということです。それが前提として書いてあるということであれば、それが理解されるのかというところが、きちんとそこを文章で表現したほうがいいのではないかということです。

 それと、先ほど永井委員からも人材の確保や育成というところもきちんと書いていただきたいというお話がありました。技術職員や事務職員もそうですが、育成もとても大切ですが、こういう不確かな将来の困難な状況をたくましく乗り切るためのマネジメント能力を持った経営者、管理者を育成していくことができるのかどうかは、また検討する必要があるかと思います。実際に水道事業を経営していく方の存在が、とても不可欠だと思いますので、どういう文章になるのかですが、技術者や事務職員を確保するというだけではなく、それらを取り仕切る、できればきちんとしたマネジメント能力を持った経営者も確保していくということを明記していただきたいと思っております。以上です。

○滝沢委員長  2 点、重要な御指摘だと思います。具体的にどのように書けるのかは、この場では回答できないと思いますが、何か回答はありますか。御検討いただくということで、よろしいですか。

○久保補佐 質問というわけではないのですが、市町村は中期の経営計画を踏まえて基盤強化に取り組むというのは、順番が逆かという気がしました。

○浦上委員 確かに財政計画や投資計画を作るのが、各市町村あるいは水道局に委ねられた仕事です。それをきちんと首長や議会が理解した上で、具体的に基盤強化に取り組む、少し順番が逆になるのか、少しそこは。要するに中長期的な状況を理解した上で、基盤強化に取り組まないといけないのではないかということです。

 そういう認識を持たなければ基盤強化自体が前に進まないと思いますし、その理解を是非、地方公共団体の首長や議会に持っていただきたい。何かそういう書き方をしていただけないかということです。

○久保補佐 私の理解としては中長期的な状況、恐らく悪くなるであろうという状況をきちんと理解して、その上で自らの事業基盤強化に取り組めと、その状況を理解しろというキーワードが抜けているのではないかという御指摘と受け止めましたが。

○浦上委員 でないと、前に進まないのではないかということですね。

○久保補佐 承知しました。表現振りを、また検討したいと思います。ありがとうございます。

○滝沢委員長 参考までに浦上先生の言われている中長期というのはどれぐらいですか。

○浦上委員 私の思うのは 40 50 年です。多くの場合は 10 年ぐらいでいいという思いが全国的にあるかと思います。やはり、そこは 50 年先を見据えて今何をすべきかということを考えていただきたい。それこそ、基盤強化ではないかという思いを持っております。厚生労働省もそういう数字を出しておられると思いますので、そこをきちんとここにその思いが込められるように、是非、報告書を書いていただきたいということです。

○滝沢委員長 ありがとうございます。 2. に関して、ほかに御意見ございますか。

○石井委員 一番最後の所の「関係者は災害時において、相互に連携を図り、協力するように努めなければならないこと」、これはそのとおりです。ただ、 1 行で余りにも簡潔に述べられているので、災害国日本において、もう少し言葉が欲しいと思います。それは、先ほども御指摘がありましたように安定的な財政支援もそうなのですが、災害というと我々はすぐに地震災害を想定します。やはり、ここは水道事業の所ですので、水道事業の災害はもう 1 つ、集中豪雨による被害は深刻な状況にあります。

 集中豪雨は、 1 つは最近の鬼怒川の氾濫もそうなのですが、水道施設がダメージを受けるということもあります。一方、そういう所と同時に今直面している課題としては、やはり首都圏、要するに集中豪雨の際に、都市部における合流式下水道で処理できない汚水がそのまま河川に放流されてしまうということです。

 これを国交省でも 4 5 年前から合流式の改築事業等に補助金を出してやっておりますが、昨年の水防法等の三法改正と同時に、ここのところでどこかもう 1 つポツを付けて、国は水道事業者においても上下水道事業に関して、関係省庁との連携を図りながら相互に協力するように努めなければならないとか、そういうことを書いて、今、水道事業が直面している課題はいかに下水しっかり処理してきれいな水を守っていくかです。上流に都市部がある所の下流域の都市は、その水を使わなければいけないというところで、更にそれを浄水するためには莫大なコストが掛かるという状況にあります。

 何かもう 1 つ災害対応の中で、これは 3 ページの点検を含む維持管理の○の 2 つ目に、「下水道や河川等の他の社会資本と同様に、水道事業者及び水道用水供給事業者は、水道施設を」と施設の話を書いているのですが、その前提となる、要するに施策の基本的な方向として、これだけ水災害、集中豪雨が多発しておりますので、何かそういう対応を、この前段の基本方向の所で書いていただけると良いと思います。国としても、相互に関係省庁が取り組むべき責務がここで出てくるのではないかと思います。これは厚生労働省だけの責任ではなくて、関係省庁はみんなでもっとしっかり対応しなければならないというメッセージにもなると思います。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございます。豪雨のことは、先ほど岡部委員からも御指摘がありました。それ以外に、水源事故、水質事故のようなことですか。そのようなこともあるのではないかという御指摘だと思います。「関係者は」と書いてある所がもう少し具体的に書けたらという御意見でしたが、これについて少し御検討いただくことは可能ですか。

○倉吉補佐 今回のこちらの責務について明確化することについては、あくまでも水道法の中での明確化ということで列挙していますので、水道事業を超えた、例えば下水道とか、河川とか、そういうことになってきますと、例えば災害に関係する法律における責務と関係してくることになってくるのかと思います。ただ、関係者というだけで書いていると何を指すかよく分からないということがありますので、水道法の中で、できる範囲で、こちらを明確化することを検討させていただければと思います。

○吉田委員  1 点確認ですが、ここで言っている関係者は、この項目の○の 3 行目にある、「関係者それぞれの責務を水道法の中で明確化」と書いてあって、国、それから都道府県も入っているわけですから、当然、関係者の中に国が入っているという理解でよろしいわけですね。

○倉吉補佐 当然入っています。

○吉田委員 分かりました。

○倉吉補佐 想定しているのは、国、都道府県、水道事業者、水道用水供給事業者等が入ると考えています。

○滝沢委員長 それでは、よろしければ先に進みます。 3. 課題に対する具体的な対応 ( ) というのが 3 ページ以降にありますので、こちらについて、御意見、御質問がありましたら御発言ください。

○岡部委員 この 3. 課題ですが、まず 1 つ目は構成についてです。やはり、今回の議論の中で、広域化というのは非常に重要だと考えています。 3. (1) の台帳整備とか、その後に続く料金の話もありますが、広域化することによってかなり解決される面も多いと思っていますので、構成として、この対応 ( ) の第 1 としてできれば広域化が、プライオリティが高いものということであれば、最初に持ってくるほうがいいのではないかと思います。

 それからもう 1 つ、 3. の中味です。広域化の推進というところで、具体策が列挙されているのですが、広域化の必要性を一番最初に少し整理して書かれたほうが、なぜこういう対策を取らなければいけないかというのが分かりやすくなるのではないかと思います。

 あともう 1 つ、 (3) 広域化の推進の中の 4 つ目の○の中に国のほうで「基本方針を定め」というのがあります。その中に、今までの議論が凝縮されてくるのだと思うのですが、現状からの改善策というのが非常に議論されやすいのですが、やはり将来の目指すべき方向とか、あるべき姿みたいなものを、今後の話になるのでしょうけれど、基本方針に書いていただければということと、あと、以前から申し上げていますが、やはり広域化については、ある一定規模ということで、将来の目指すべき規模的なものについても触れていただけたらと思います。

 それからあと、先ほども出ましたが、やはりどうしても取りこぼしがちな、自力では持続が難しいような、主に小さな事業体でしょうけれども、そういう事業体も、この基本方針の中で、どうやって持続可能にしていくかというような対策を書いていただければと思います。

 あと、大きな 3. 課題の一番最初に、台帳の整備があります。その一番最初の○に、「水道施設を適切に管理していくために」、この台帳整備が非常に必要だと書いてあるのですが、先ほどからもほかの所には出ているのですが、台帳整備というのがアセットマネジメントの基礎にもなりますし、災害復旧時にも活用できますし、今、話しました広域化の推進、それから後に出てくる官民連携、こういうものについても有用なデータになると思いますので、台帳整備の前段に、台帳整備の効果と言うか、目的などを少し書かれたほうがいいのではないかと思います。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございます。広域化は非常に重要な施策なので、前のほうに書いたらいいではないかという御提案でしたが、御検討いただけますか。

○久保補佐 書いて書けないことはないと思うのですが、順番としては、 2. の所にも書いたとおりで、まず大きな目的として基盤強化があって、基盤強化とはすなわち、施設、財政基盤、人材、要はヒト、モノ、カネです、これを確保することだということがまずあって、それを実現するための方策のかなり有力なものとして広域連携があるという位置付けかと思っていますので、その論理の流れが分かるように、順番でこう書いているというのが現状の姿です。最終的には、委員会としてどちらが良いというのに合わせて書くことになるかと思いますが、何と言うか、より論理構造として書きやすいのは、広域化が後で、その前に目的のようなものがある、あるいは義務付けのようなものがあるという形かと思って、今はこういう案にしています。

 それからついでになりますが、広域化の必要性とか、台帳整備の必要性について、もっときちんと書くべきという御意見についてはおっしゃるとおりと思いますので、その方向で言葉を付け加えることにしたいと思います。

 基本方針については、現時点で、基本方針にどこまで、何を書き込むかということの全体像が見えているわけではないですが、頂いた御意見も踏まえて、確かに、あるべき姿みたいなものが浮き上がるようなというのは重要な御指摘だと思いますので、考えていきたいと思います。以上です。

○滝沢委員長 今の久保補佐の御回答ですが、 2. の基本的な方向性に合わせて 3. も構成されているということで、まず、目的及び個々の事業者がやるべきこと、そして広域化へという流れになっているという説明でした。それでよろしいでしょうか。ではほかに御意見を頂きたいと思います。

○渡辺委員 全管連の渡辺です。 (3) の広域連携に関してなのです。 5 6 ページの項目に付け加えていただきたいと思われることがありますので、意見を申し上げたいと思います。例えば、複数の上下水道や簡易水道が、広域連携をしたり、あるいは市町村合併はしたものの、事業統合にまだ至っていないこともあるかと思います。その場合は、各事業単位で、管の材質の指定や、工事の手順が異なっていることもあると思われることから、事業統合が図られた場合には、統一した基準による工事とすることが望ましいのではないかと思っています。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございます。追加記述の御意見ですが、御検討ください。ほかにありますか。

○山口委員  (2) 持続可能なサービスに見合う水道料金の設定の一番最初の○で、「サービスの内容に見合った料金が設定される」ということなのですが、これから料金のことを住民に対して説明したり、危機的状況を訴えていくというときに、水道事業の採算の取り方の原則であるとか、それから、どういう費用が積み上がって料金が構成されているかというところをより明確にしていく必要があると思うのです。今まで余り意識されてこなかった部分として、持続性確保のための取組の費用も利用者が負担していくことも打ち出していくことになると思うので、持続性確保のための取組という部分を、もう少し具体的なキーワードで、どういうところも料金に含まれますという、何かこう、もう少し具体的なキーワードを入れられると分かりやすいかと思います。

 あとは、総括原価とか独立採算という用語とか、幾つか専門的な用語が出てくるので、これの報告書を、どのような方が読むことを想定されているか分からないのですが、専門的な用語とか基本的な用語の部分に、多少の説明があると読みやすいのではないかという印象を持ちました。以上です。

○滝沢委員長 いかがでしょうか。

○久保補佐 御意見のとおり検討したいと思います。ただ、このペーパーを主に読むのは誰かと言われれば、審議会は厚生労働大臣の諮問機関という位置付けから、おそらく、主に使うのは我々で、これを基に、今後の施策、あるいは制度作りみたいなものを考えていくという位置付けかと思います。ただ、もちろん、出来上がった文章は一般にも公開、それから都道府県や水道事業者にとっても重要な情報を持つものになりますので、そういう意味で、より分かりやすい表現に努めたいと思います。

○滝沢委員長 よろしくお願いします。ほかにいかがでしょう。

○石井委員 先ほどと関係しているのですが、 4 ページの (2) 持続可能なサービスに見合う水道料金の設定のところで、この委員会でも 2 回ほど料金をメインに議論したわけです。その時にもいろいろと出ましたが、水道事業者として、先ほど総括原価の話もありましたように、総括原価、特に費用積み上げの方式について議会や首長から御理解いただけないところもたくさんあって、せっかく適正な料金を設定しているのにそれが実現できないところもたくさんあるという御指摘もありました。

 そういうところも踏まえて、私からも御指摘申し上げたのですが、 (2)4 つ目の○の一番最後の所に、「水道料金について、水道事業者たる市町村等が説明責任を果たすためにも、中長期的な更新需要と財政収支の見通しの試算を行った場合は、住民等に対してはわかりやすい形で公表するよう努めなければならないことを法律上位置付けるべきである」。これは画期的なことだと思います。

 更に、国は、定期的に水道料金についても、本来であればモニタリング等を行うこととするとか、モニタリングと言うと非常に評判が悪いので、フォローするとか、もしもっと表現を柔らかくする場合には。何らかの形で、国の水道料金に対する関与です。こういうものを一文入れておいていただけると、水道事業者にとっても、これから様々な供給形態が考えられますので、非常にやりやすくなるのではないかと思います。以上です。

○滝沢委員長 ありがとうございます。御意見について、何か御回答はいかがですか。

○倉吉補佐 おっしゃるとおり、モニタリングという言葉が適当かどうかというところはありますが、水道料金の回での御議論でもございましたが、定期的な見直しの議論を促すに当たっては、こういうことで見直しをされていますかというフォローアップを、国である認可権者から実施することが考えられるかと思っていますので、そういう形での関与は可能かと思っています。

○吉田委員  5 ページの上から 4 つ目の○の記述についてです。広域連携を進めるための方策として議論されたことがここに書かれていると考えています。この新たな取組を具体的に進めていくためにも、法体系の中に位置付けていくとされていますので、法律ではなく、その後の政令や省令になるかもしれませんが、具体化に当たっては、都道府県や水道事業者等の関係者の、それぞれの責任と権限、そして策定された計画の法的な位置付けを分かりやすく関係者に周知する取組を行ってほしいと思います。例えば、 4 番目の○の中のレ点の 2 つ目の所で、「都道府県は、基本方針に基づき、関係市町村の同意を得て」という手続が書いてありますが、これが法手続として正式な首長の同意なのかなど、具体的に都道府県や水道事業者が動くときに、このフレームを活用しやすいような情報を法体系の中で位置付けてほしいということが 1 つです。

 もう 1 点は、 6 ページの一番下にあります、「指定給水装置工事事業者制度の改善」です。これは、「更新制度の導入」と、「導入に当たっては、水道事業者や優良な指定工事事業者にとって、過度な負担とならないように留意」ということで、これからの制度設計ということになると思います。水道事業者、工事事業者ともに多くいますので、更新制度の導入にあたっては、更新手続きが効率的でうまく機能できるような制度設計を関係者とともにしていっていただきたい。以上です。

○滝沢委員長  2 つ目は要望ということですが、 1 つ目は、法的な何らかの根拠も含めて御検討中でしょうかということ。

○久保補佐 責任と権限と言うと非常にフワッとしていて、なかなかお答えしにくいのですが、例えば、同意の手続の方法などについては、これは、県の計画にどこまでの広域連携の中身を書くかによって、県内でも、あるいは同意をする市町村側でも、どこまでの了解を取っていくのかというのは、結構ケースバイケースになると考えています。ですので、なかなか法律の中でこうしなさいと確定的に書くことは難しいと思うのですが、基本方針になるのか、施行通知になるのか分かりませんが、そういったところで典型的と考えられるようなケースについて、例えばこういうケースは市長本人の了解がないと具合悪いのではないかとか、そういうものを例示するようなやり方を検討していきたいと思います。

 それから、指定工事更新の制度の運用については全くおっしゃるとおりでして、過度な負担にならないようにということで、これから運用のやり方を詰めていく中で、またいろいろ御相談させていただければと思います。以上です。

○平井委員 それでは私から。先ほども少し触れましたが、 5 ページの一番下の○と、 6 ページの一番上の○についてです。ほかのところは、例えば 5 ページの 3 つ目の○などは、「都道府県は」ということではっきり始まっているのですが、今、申し上げたこのページの一番下と次ページの一番上については、主語がない。先ほど 2. の所でも意見を申し上げたとおりで、 5 ページの一番下の○については、国認可の水道事業者に、これから県としてもいろいろ調整のお話をしていかなければいけないということが想定されますので、ここについては、はっきりと国が必要な支援をする、それから我々都道府県と連携していくと、そのように主語を入れて連携という言葉を入れていただきたいということです。

 それから、我々にとっては更に重要ですが、 6 ページの一番上です。要は、この財政的な支援ということに着目した場合には、どうしても私どもの県のレベルでは、現状ですともう極めて困難な状況です。ここは 1 つ、力強く国はという主語を足していただきたいという、これは強い要望です。

 それから、先ほど岡部委員からお話がありました、広域化を一番先に書いてもらったらどうかということなのです。我々は、実際に市町村とお話をしていくときに、やはり順番として、まず自分のところでしっかりと基盤を強化してくださいと。その中で、自分でできないときには一緒にやるのはいい方法ですと、そういう順番でお話をさせていただいているものですから、これは私としては、原案のとおりの順番のほうが、都道府県の役割に鑑みるとしっくりくるのかと思っています。以上です。

○滝沢委員長 御要望ということで御検討いただくということです。

○久保補佐 御要望ということで承りました。頑張ります。

○永井委員  5 ページの上から 2 つ目の○です。これは簡易水道事業のことも触れています。確かに、 6,000 近くある簡易水道事業、先ほどほかの委員からもあったように、データの回答も出されていない事業者もあるということです。それなりのいろいろな意味があるこの事業だと思っているのですが、上水道事業との統合も広域連携だということは間違いないと思います。今の置かれている簡易水道事業は、やはり何といっても財政問題なのです。私も、四国のある県内の町の実態も見させてもらっていますが、それこそ、住民にもうびっくりするような負担を求めながらも、長としては、何とかこれから先、町民の命の水を引き続き守っていきたいという強い意識があるから、いろいろな方策を含めてやっているのです。ほかを含めて考えるとするならば、簡易水道事業、その意味では広域連携だといったとしても、やはり財政的支援の裏付けがなかったら、都道府県にお任せするといっても相当困難性があるかと思いますから、その辺、最終的には国の必要な支援というような、どこかに言葉を入れておかなければ、ただあれやれ、これやれということだけではなかなか動かないのではないかという気がしますので、申し上げておきます。

○滝沢委員長 先ほどから出ている御意見だと思いますので、御検討ください。浦上委員、どうぞ。

○浦上委員 先ほど岡部委員からも広域連携と台帳整備の意義について、その 1 つ目の○を作ってというお話でした。官民連携の推進のところにも同じく意義のようなものはありますが、特に官民連携については、単なるコスト削減の手段ではないということを是非書いていただけないかということです。これまで官民連携をやってこられた中で、コスト削減の方法としていろいろと取り組んで、かなり厳しい状況に、むしろおかれてしまったという状況もあるかと思いますので、やはりここで官民連携の推進というのは、単なるコスト削減の手段ではなく、将来的に技術の継承とか、事業の継続的運営というところを担保するための有効な方法だというところの表現を何か込めていただければと思います。

 それと、同じく 6 ページの一番上の○で、「小規模な水道事業者を」という所で、「情報の整理を自力で実施することが困難」と書いてあるのは、恐らく今日お出しいただいた台帳整備の速報の結果を受けて書かれていることかと思うのですが、これは速報ですので、もう少し将来的に詳細なデータが出てくるのか。つまり、是非お願いしたいのは、特にデータの保管状況のところの整理状況について、上水道、簡易水道ごとには出ていますが、データの保管状況のところで、上水道と簡易水道別に、かつ上水道は規模別に。要するに、小規模の所が、データが保管されていないというところが非常に強く出てくるのではないかと。

 だから、それが非常に大きなエビデンスとなって、先ほどの 5 ページの上の所で、「小規模な事業者には情報の整理を自力で実施することが困難である場合には」という所で、やはり台帳の整備がまず手段で、その後の官民連携なのか、広域化なのかそういった基盤強化の本来取り組むべき方向に向かう。そういった方向付けができるかと思います。そこのデータをまずもう少し詳細なものを出していただいて、確認させていただきたいというところと。「余り保管していない」と、「概ね保管している」の中身というのは、そのアンケートを答えられた事業者がそう思っているから、そう回答されているとは思いますが、もしかしたら小規模であるほど、概ね保管しているという回答が、もしかしたら余り保管していないに近いような中身にもなっているのではないかという不安もありますので、それは今回の調査結果からは推測することは難しいかと思いますが、少なくとも規模ごとに出したときに、大規模な事業者は当然、保管されているでしょうし、小規模な所でも、もっともっと厳しい状況があるということをやはりデータで示すことができるかと思います。そこのデータを是非お出しいただければと思います。以上です。

○滝沢委員長 最後のデータの件については、これから。

○山田補佐 今回は速報ということでしたので、今後、上水、簡水、用供とあと規模別ということで、詳細な分析を進めていきたいと思います。

○滝沢委員長 浦上委員から官民連携について、コスト面、コスト削減のみではなくということで、長期的な視点に立ってということで御意見を頂きましたけれども、私も正にそのような視点が必要だろうと思います。コストの問題ももちろん重要ではありますが、官の側、水道事業体の側に、人材が減ってきているという現状、様々な補完関係をこれから模索していくという時期にかかっているのではないかと思います。やはり長期的な経営の視点に立って、どのような形の官民連携が可能なのか、ふさわしいのかということを御検討いただければと思います。ここに、正に様々な連携形態があるということで書かれている次第です。

6 ページの真ん中辺りですが、コンセッションについても前回、前々回に議論させていただきまして、書かれております。ここに書かれたとおり、たくさんの御意見を頂いた内容を、適切に短い文書でまとめていただいておりますが、「官民の権利・義務関係の明確化や適切なモニタリング体制」、それから、「関係法令間の法的整合性を十分留意する」ということで、正にこのとおりでございます。

 また、海外の先行事例も参考にしながら、教訓も踏まえながらということですが、最近ではジャカルタも民でやっていますけれども、民のいろいろな教訓を経て、また、官に戻す方向で検討が始まっているとお聞きしております。

 問題は何かというと、ここに書かれたとおりですが、権利・義務関係の明確化、適切なモニタリング体制というものが十分ない中で、コンセッションを始めてしまうと、非常に大きな混乱に直面してしまうということだろうと思います。そういう意味ではここに書かれたとおりですが、適切なモニタリング体制と、一言で書いてありますけれども、前例がない事例ですので、どういうモニタリング体制を築いていったらいいのかというのは、水道界の皆さんが知恵を結集して考えていかなければいけない課題だろうと思います。モニタリングの中に当然、施設の維持管理のモニタリングもありますし、中でも、我々が飲む水道水は飲み水ですので、安全性が担保されるようにしっかりとした水質検査体制も含めたモニタリング体制を築いていただくことが、安全・安心というものを確保する上でも重要だろうと思います。しっかりとした体制を作るということに留意していただければと思います。では、湯谷委員、どうぞ。

○湯谷委員  3. に関して、何点か意見等を述べさせていただきます。まず 3 ページの下から 2 つ目の○で、維持・修繕の点検内容の関係です。事業者がマニュアル等を参考に定めるということですが、事業者間でアンバランスがあってはまずいと思いますので、そこはできるだけ政令とか、省令とかで書いていただくのが基本かなと思います。ただ、どこまで書けるかということはあると思いますので、例えば、その事業者に判断を任せるのであれば、留意事項とか、ポイントになることを通知等で示していただく必要があるのではないかと考えております。

 それと、 4 ページの下から 2 つ目の○で、料金の設定の定期的な見直しの議論を促すということで、これは前々回でしたか、提示されて、具体的にどのような方向、どのようなやり方を想定しているのかという質問をさせていただいて、「通知等」ということでお返事を頂いています。これはこれでいいのですが、冒頭にありますように、総括原価で算定された適正な料金ということであれば、この見直しについては、認可権者が議論を促す前に、事業者自らが見直しに積極的に取り組んでいくことが必要ではないかと思います。その辺が少し資料では欠けているのではないかということです。

 それと、これは確認というか、教えていただきたいのですが、総括原価によって算定された料金ということで、現状では、しっかり料金を取っていないという所があると思いますが、ただ一方で、簡易水道については、取りたくても取れないというか、そもそも地方公営企業法が適用にならないということもあって、総括原価で料金を単純に決められないということがあると思います。ですから、その辺のところを、ここに書くかどうかは別にして、厚生労働省でどのように考えているかお聞きしたいというのがひとつです。

 それと、 5 ページの一番下の○です。先ほど来から意見が出てきていますけれども、「必要な支援を行うべき」の主語は何かということです。これについてはこれまでの議論を踏まえて整理していただきたいということと、同じ一番下の○の所で、「実施する事業」というのが、主語が都道府県になっています。これは例えば、上に書いてある協議会とかの取組が想定されると思いますが、そういうことであれば、事業というのは誤解を招くので、そこは取組とか、施策とか、少し違う表現を御検討いただきたいということ。

 もう 1 つは、「中核となる地方公共団体の果たす役割の重要性」ということはありますけれども、例えば事業統合にしても、中心になる都市があって、周りの事業体を巻き込んでやるというのはありまして、そういう場合の重要性というのは当然ありますが、広域連携ということで考えた場合ですと、様々な広域連携があって、必ずしも中核的なものがない所はあるので、ここも少し誤解のないような形で記載したほうがいいのではないかということです。以上です。

○滝沢委員長 それでは、御質問いただいた総括原価について、今、お考えがもしありましたら、御回答いただけますでしょうか。

○久保補佐 水道法上、もちろん総括原価主義的なことが書いてあるわけですが、現実問題として、確かに料金収入だけで運営しているわけではなくて、かなり一般会計から繰り入れてという事業体があり、特に簡易水道ではそういう所も多いだろうというように認識しております。

 そのことについて、「今からはノーです。全部料金でやってください」というつもりはありません。それよりやはり今、大きく問題だなと思っているのは、そもそも原価として幾ら掛かるのかという部分をきちんと見積もっていないケースが多いのではないかと。言わば、原価を本来積むべきものを積まずに、低めに設定した上で、それに対して、料金収入と一般会計からの繰入れ等々で収支をとんとんにしているといったようなケースが、世の中には結構あるのではないかということで、それは問題だというところを今回指摘しているというつもりです。

○滝沢委員長 ほかに御意見はありますでしょうか。

○岡部委員  (4) の官民連携のところですが、 2 つ目の○で、「官民連携には、水道事業の個別の業務を委託するほか」という次に、包括的な第三者委託や PFI とありますが、以前にも確か申し上げたと思いますが、実際の現場では、管路の DBO なども始まっていますし、民間の力も少しずつ付けていただくために、やはり段階的なものも必要だと思います。この辺りにやはり DBB とか、そういったものを少し示していただいたほうがいいと思います。発注方式は、従来の個別方式のままでずっとやっていて、民間に例えば包括的なというと、まだちょっと無理があるのかと思います。

 もう 1 つは、新たな先進事例というのが 2 つ目の○にもありますし、 3 つ目の○の所にも海外の先行事例というのが、ありますけれども、これは多分、良い事例も、悪い事例も含めてという意味で先行事例というように書かれているかもしれませんけれども、 2 番目の先進事例であれば、これはどちらかというと、良い事例ということであれば、有用な事例とか、モデルとなる事例とかにしていただければと思います。この先行事例が良い事例、悪い事例も含むのであれば、その辺りを分かりやすく書いていただければと思います。

○滝沢委員長 表現ですので、御検討いただけますか。

○久保補佐 はい。

○滝沢委員長 ほかに御意見はありますでしょうか。

○石井委員 今までのずっと専門委員会の議論を聞いていて思ったのですが、先ほど浦上委員、永井委員からも御指摘がありましたように、特に水道事業に対してのマネジメントというか、人材ですね。それで、現場の第一線の方々はもちろんなのですが、それを全部統括して、経営として成り立っていくようなトータルな仕組みができる人は、特に地方というか、小規模事業体といった所では、非常に不足しているというのが事実だと思います。ですから、例えば、中小の三セク会社などでは、大赤字で経営が行き詰まって、どうにもならないような所は全国から社長を公募で採用している所もあります。例えば、いすみ鉄道とか、ひたちなか海浜鉄道とか、関東でもたくさん事例があります。全国的にもいろいろありますが、やはり経営のプロを雇って再建しています。規模の大小は別として、事業体の皆さんは命の水を供給しており、止めることは絶対できないわけです。それを経営としてきちんと持続可能なものに進めていかなければならないという、これは最大のミッションがあります。

 そういったことも含めて経営としてできるような、トップマネジメントがしっかりしていないと、これはもう無理なのです。村長や町長にそれをやれと言っても、これは、所詮無理な話で、ですから、しっかりとしたそういう財政支援も大事なのですが、経営のプロを育成するというところも今後の検討課題として考えていただければと思っております。これは、どこというところではありません。意見です。

○滝沢委員長 この中にどのように盛り込めるかはちょっと難しい面もあるかと思いますが、御意見として重要な御指摘だと思います。いかがでしょうか。

○久保補佐 近い表現としては、官民連携の一番上の所に「経営ノウハウの活用を図る」という表現を今、入れていまして、ただ、どこからかそういう人材を探してくるかと考えたときに、どこかの市の公務員を何とか町の公務員でトレードというやり方では、なかなかうまくいかないと思います。結局は民間からということになろうかと思います。という意味では、本当のトップという意味でノウハウと書いていたわけでは正直ないのですが、期せずしてこうやって書いてあるなということで、ここにはそういう意味もあるというようにこれから考えていきたいと思います。以上です。

○滝沢委員長 ほかに御意見はありますでしょうか。

○渡辺委員  (4) の官民連携の推進の中で、 1 つ目の○の中で、「民間企業の技術、経営ノウハウ」の後に、地域の精通状況という文言を追加してほしいと思っております。

 それから、 (5) の指定給水装置工事事業者制度の改善のことについて意見を述べさせていただきます。配管技能者の位置付けですが、 5 年ほど前に厚生労働省健康局水道課では、平成 23 8 30 日でしたけれども、「給水装置工事の適正な施工について」という文章を発出しております。

 その中で、「給水装置工事に際しては、給水装置工事に専任技術者を選任するとともに、配水管から分離して給水管を設ける工事等を施工する場合において、適切に作業を行うことができる技能を有する者を、従事又は監督させる」としております。そういった文書によりまして、全国の水道事業体では、配管技能者の資格等の供給規定への明示がされているところもあり非常によかったと思っている次第です。この文書の徹底をお願いします。

 それに付け加えて、今回は給水管を分岐している配水管の更新工事についても、水道事業者の工事発注仕様書の中の工事業者の条件として、配管技能者がいることを明示していただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 もう一点は、 (5) の最後の○ですが、「水道事業者における指定の取消し等の処分基準の整備」うんぬんとありますが、それと相対して、優良工事業者の表彰制度を作ることなど、工事業者のレベルアップを図るための方策についても検討すべきということを追加してほしいと思っております。例えば、水道協会、給水財団などが、ひな形を作って全国の水道事業体に活用を呼び掛けるなどの方法が考えられるのではないかと思っております。

 指定給水装置工事事業者制度の改善のことについて、私からのお願いの最後になりますが、指定更新申請時に確認すべき情報について、全国の事業体で取扱いがばらばらになると、工事業者の負担にもなるので、何らかの形で統一してほしい。この趣旨を記載することを是非お願いしたいと考えております。よろしくお願いします。

○滝沢委員長 幾つか御意見を頂きましたが、最初の御意見で、地域の事情に精通したというところを追加してほしいという話と、 2 つ目は、配水管と給水管の工事をする場合にも、配管技能の資格を有する者が従事するということを明示してほしいという話と、それから、指定の取消しとともにレベルアップのインセンティブになるような表彰制度等を提案されています。最後に、免許更新のときに、確認すべき情報をできるだけ統一してほしいという御意見でしたが、いかがでしょうか。

○久保補佐 いずれも重要な御指摘だと思います。最終的な報告書にどこまで書くか検討させていただきたいと思います。

 確認を行うときに、統一的にというのは今の文章では読みにくいかと思いますが、配管技能者の資格を重視することとか、優良事業者の表彰制度とは書いていませんが、利用者への分かりやすい情報発信のようなところでそういう趣旨は込めたつもりです。表現ぶりについては、今後、検討したいと思います。ありがとうございます。

○滝沢委員長 残りが 15 分足らずとなりましたが、まだ御発言いただいていない委員の方、あるいは、まだ重要事項がありましたら御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。全体を通してでも結構です。残り時間が少しになりましたので、前に戻ってということでも結構です。 1.2.3. の全項目を通してお気付きの点があれば御発言ください。

 もし追加の御意見がないようでしたら、皆様の御意見をお聞きしていて、これまで複数回にわたり熱心な御意見を頂戴しまして、事務局で本日、骨子案として御提示させていただきまして、また本日もいろいろな御意見を頂いたところです。今後、これまでの御意見並びに本日の御意見を参考にしつつ、事務局で更に骨子案を練り直していただければと思います。やや時間を残していますが、特に追加の発言がないようでしたら、審議についてはここまでという形にしたいと思います。それでは、今後の予定も含めて、進行を事務局にお返しして、御説明いただければと思います。

○久保補佐 本日も非常に貴重な御意見を、どうもありがとうございました。委員長から今お話があったとおりですが、本日頂いた意見を踏まえて、今回は骨子の案という形で、資料を提示しておりましたが、次には報告書の ( ) という形で御提案させていただきたいと考えております。次回の専門委員会は、そういうことで、報告書本体の取りまとめについて御議論いただきたいと思っております。日程としては、 11 22 日の 14 時半からを予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日の議事録については、前回までと同様で、議事録 ( ) について皆様に御確認いただいた後、修正してホームページで公開という形にしたいと思います。第 8 回の専門委員会は、これで閉会とさせていただきます。本日もお忙しいところ、どうもありがとうございました。


(了)

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