2016年5月30日 第70回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局総務課首席年金数理官室

日時

平成28年5月30日(月)10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用第22会議室(18階)

出席者

(委員)
 菊池部会長、佐々木部会長代理、猪熊委員、駒村委員、関委員、田中委員、野上委員

議題

  1. (1)平成26年度財政状況について-厚生年金保険-
  2. (2)平成26年度財政状況について-国民年金(基礎年金)-
  3. (3)その他

議事

 
○下島首席年金数理官 それでは、全員おそろいになりましたので、ただいまより第70回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席図のほか、次のとおりでございます。
 資料1は「平成26年度財政状況-厚生年金保険-」。
 資料2は「平成26年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」。
 資料3は「被用者年金一元化後の年金積立金運用について」。
 参考資料1は「公的年金制度一覧」。
 参考資料2は「公的年金各制度の財政収支状況(平成26年度)」。
 配付資料は以上でございます。
 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、浅野委員、翁委員が御都合により御欠席でございます。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 それでは、以降の進行につきましては菊池部会長にお願いいたします。

○菊池部会長 おはようございます。委員の皆様方におかれましては、御多忙の折お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 社会保障審議会年金数理部会では、被用者年金制度の安定性及び公平性の確保の観点から、毎年度、財政状況の報告を受けることとなっております。本日は、厚生年金保険、国民年金(基礎年金)の平成26年度財政状況について報告を聴取いたします。
 カメラの方はおられないようですね。
 それでは、説明者の方々はどうぞ、説明者席へお移りください。

(厚生労働省年金局 武藤数理課長、同 村田調査室長 説明者席へ移動)

○菊池部会長 本日は、お忙しい中、年金局数理課の武藤課長と調査室の村田室長にお越しいただいております。
 それではまず、厚生年金保険の報告を聴取いたしますので、よろしくお願いいたします。

○武藤数理課長 数理課長の武藤でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 まず、平成26年度の厚生年金保険の財政状況でございますが、年金財政の関係に関しましては私、武藤から、受給者、被保険者の実績統計の関係につきましては隣におります事業企画課調査室長の村田から御説明申し上げます。よろしくお願いいたします。
 早速ですけれども、お手元にございます資料1「平成26年度財政状況-厚生年金保険-」をおめくりいただきまして、1ページ、平成26年度の財政状況等の概要、「1.収支状況」でございます。平成22年度から時系列で26年度までございまして、右のほうの平成26年度をご覧いただけますでしょうか。
 最初に、収入総額でございますけれども、基本的に積立金の運用に関しましては時価ベースで整理してございますので、ここでかぎ括弧つきの時価ベースの数字を見ていただきますと、収入総額が52兆5,888億円です。時価運用収入が平成26年度と同様に大きかった前年度と比べましても5兆7,508億円の増になっているところでございます。
 収入の内訳で主なところを申し上げますと、まず保険料が26兆3,196億円で、前年度と比べまして1兆2,724億円、5.1%の増でございます。この要因といたしましては、保険料率の毎年度の0.354%の引き上げによる影響が一番大きくて、5.1%のうち2.1%相当。あと、被保険者数の増加による寄与が1.8%ぐらいと分析しているところでございまして、残り、平均報酬の増加による寄与につきましては0.8%ぐらいと見ているところでございます。
 次に、国庫負担でございますが、8兆7,690億円ということで、4,632億円の増になっているところでございます。国庫負担の主なところは、基礎年金に関する国庫負担ですので、下の支出の欄にあります基礎年金拠出金の増に伴って国庫負担が増加しているということになります。
 上の収入に戻っていただきまして、運用収入も基本的に時価で考えるということでございますので、かぎ括弧のついた時価ベースで見ていただきますと14兆2,762億円で、前年度に比べまして4兆7,433億円の増となっているところでございます。
 あと、基礎年金交付金が6,749億円で、これは4,256億円の減でございます。
 下のほうに行きまして、積立金より受け入れが平成26年度についてはございません。これは資金繰りのために積立金から受け入れるというものでございますけれども、平成25年度までの累積運用益が増加したことから、GPIFからの納付金がふえたこと。つまり、運用収入の欄の再掲のGPIFからの納付金の欄が3兆1億円となってございますが、これらのことを受けたものでございます。
 また、平成26年度の特徴として、解散厚生年金基金等徴収金の額が2兆1,103億円と例年より大きくなってございます。これは平成26年4月から厚生年金基金制度が見直されたことの影響によるものと考えてございます。
 支出の総額でございますが、39兆5,497億円でございまして、6,301億円の増になっているということでございます。このうち給付費が23兆3,036億円でございまして、対前年度で4,778億円の減。基礎年金拠出金が16兆1,290億円でございまして、対前年度で1兆980億円の増になっているところでございます。
 給付費につきましては、平成26年4月の年金改定率がマイナス0.7%であったことや、平成25年10月に特例水準の解消でマイナス1.0%の年金改定が行われたこと、また、平成25年度に男子の支給開始年齢が引き上がったことなどが要因となって、平成26年度はマイナスとなってございます。
 全体をトータルいたしまして、時価ベースで見ていただきますと、13兆391億円の収支残で、前年度に比べまして5兆1,207億円の増になるわけでございます。これらの点を踏まえて年度末の積立金の時価ベースの額がどれだけとなっているかを見ていただきますと、136兆6,656億円となっておりまして、これは前の年に比べまして13兆517億円の増となってございます。この数字は、先ほどの時価ベースの収支差引残に加えて、あと業務勘定から積立金への繰り入れというのが収支残のすぐ下にございますけれども、この126億円を足したものとちょうど一致しているということでございまして、これが実質的な意味での収支残と申しますか、積立金の変化をあらわすものになるわけでございます。
 最後に、積立金運用利回り、時価ベースの数字でございますが、これが一番下の欄にございます11.61%になっているところでございます。
 おめくりいただきまして、次のページは、今、申し上げましたものを図解したものでございまして、逐一の御説明は省略させていただきたいと存じます。

○村田調査室長 事業企画課調査室長でございます。
 3ページから御説明させていただきます。
 3ページは給付状況ということで、受給権者数と年金総額につきまして、過去5年度分を並べてございます。
 まず、受給権者数でございますが、一番右の欄、平成27年3月末、こちらが平成26年度末の数値になりますけれども、こちらをご覧いただきますと、受給権者数のトータルで3,525万8,000人となっておりまして、前年度と比べまして70万3,000人、2.0%の増加ということになってございます。このうち老齢相当の方が1,542万2,000人で1.3%増、それから、通老相当の方が1,366万2,000人で3.0%増という状況でございます。
 この受給権者の方々に対します年金総額でございますが、下の段になりますけれども、受給権者合計で26兆8,547億円となってございまして、前年度に比べまして0.5%の減少、このうちの老齢相当分につきましても18兆4,810億円ということで、こちらも0.9%の減少になってございます。
 比べていただきますと、受給権者数が伸びているのにもかかわらず、年金総額がマイナスになっているという状況でございますが、こちらの要因といたしましては、1つには、平成26年度にはマイナス0.7%の年金額の改定があったということが影響しております。それから、人の入れかえといいますか、特に高齢層を中心とした比較的年金額の高い方が抜けていく、その一方で、新しく裁定されるのは60歳代前半の方々ということで、こちらは定額部分の支給開始年齢が引き上げられて、今、なくなっている状況ですので、そういった意味で比較的年金額が低い方が入ってくるということで、この入れかえもマイナス要因になってございます。結果としまして、受給権者数が増加しているのにもかかわらず、全体として年金総額がマイナスになるという状況になってございます。
 次に、4ページをご覧ください。2つ囲みがあるうちの下の段でございますが、こちらは老齢相当、通老相当の平均年金月額の推移を示してございます。男女合計の老齢相当の平均年金月額を見ていただきますと、一番右、平成26年度末で9万9,862円となってございまして、こちらは昨年度に比べまして2.2%の減少ということでございます。この下がっている要因も、先ほど申しました年金額のマイナス改定の影響と、人の入れかわりによるマイナスということでございます。
 今申した額は、基礎年金額を含まない厚生年金部分だけの額ですので、こちらの額に基礎年金分を加算した平均年金月額というのもお示ししておりまして、こちらが今見たところの3段下の欄で、14万4,886円となっております。こちらが基礎年金分まで含めた平均年金月額ということで、0.5%の減少となってございます。
 次のページは、今見た平均年金月額について、男性、女性別に見たものですので、後でご覧ください。
 6ページは新規裁定の状況について示してございますので、こちらも御参考に見ていただければと思います。
 続きまして、7ページをご覧ください。7ページから9ページは、老齢相当の老齢年金につきまして給付状況を詳細に見たものです。特に60歳から64歳のところを各歳別に示しておりまして、支給開始年齢の引上げの状況等を見られるような形でお示ししております。幾つか御紹介させていただきますけれども、厚生年金の支給開始年齢の引上げは、厚年の場合、男性と女性でスケジュールがずれているということがございますので、男女別に見ていきたいと思いますが、8ページ、男性についての状況でございます。左から3つ目まで、22年度、23年度、24年度の欄を見ていただきますと、この3カ年は特別支給の定額部分の支給開始年齢が64歳だったということでございまして、ちょうど63歳と64歳の間のところで平均年金月額に段差があるという状況になっています。それから、25年度以降は定額部分の支給開始年齢が引き上がって、定額部分がなくなっているという状況になっておりまして、こちらは64歳の欄を横にずっと見ていただきますと、24年度末と25年度末の間に段差がございます。
 もう一方で、60歳の欄を左側から横に見ていただきますと、24年度末と25年度末のところで受給権者数ががくっと減っているかと思いますが、こちらは報酬比例部分の支給開始年齢を引き上げたことによる状況が反映されたものでございます。
 一方、女性の方を見ていただきますと、次の9ページでございます。女性の場合は支給開始年齢の引上げが男性より5年遅れのスケジュールとなっておりますので、ちょっと様相が異なっておりまして、平成22年度、23年度のところは定額部分の支給開始年齢が62歳だったということで、この2カ年につきましては61歳との間で段差がある。それから、24年度から26年度、右側3つの欄ですが、ここは定額部分の支給開始年齢が63歳であったということで、63歳と62歳の間に段差があるという状況になっておりまして、こちらの統計で基本的に支給開始年齢の引上げの状況の様子が見られるというものになっております。
 続きまして、10ページは、老齢年金の老齢相当の年齢構成を示してございます。昨年度に比べまして分布の形は大きく変わっていないのですけれども、平成26年度末にはいわゆる団塊の世代、昭和22年から24年に生まれた方々がちょうど65歳から67歳になったということで、こちらの方が全て65歳以上70歳未満の階級に移ってございます。そういうこともあって、65歳から70歳のところが全体の25.6%を占めておりまして、昨年が24.4%ですから、それに比べて1.2ポイント上がっているという状況でございます。
 次に、11ページからは被保険者の状況をお示ししております。まず、被保険者数ですが、平成26年度末には、一番右の欄でございますが、3,598万5,000人ということで、前年度に比べまして71万3,000人、2.0%の増加となってございます。特に女性の伸びが大きくて、2.8%の伸びを示しております。
 次に、被保険者の平均年齢ですが、こちらはそこにありますように、男性が43.8歳、女性が41.7歳、トータルで43.0歳ということで、いずれも前年度に比べて0.2歳程度伸びているという状況でございます。
 次に、下の囲みの中の中段でございますが、標準報酬額年度累計(総報酬ベース)という欄がございますけれども、こちらにつきましては156兆9,605億円、2.6%の増加になっています。しばらく前までは0.5%程度の伸びだったのですけれども、25年度で1.4%、26年度が2.6%ということで、増加の幅がちょっと大きくなってきております。こちらは近年の経済の状況ですとか雇用の環境がよかったこと等が反映されているのではないかと思っております。
 最後に、一番下の欄、一人あたり標準報酬額の総報酬ベースの月額でございますが、こちらはそこにありますように男性が41万5,979円、女性が27万1,132円、トータルで36万3,465円ということで、前年度に比べて0.8%の増加ということになっています。
 続きまして、12ページからは被保険者の分布を示しております。こちらも男性、女性別に見ていただきたいと思いますが、13ページ、男性についての状況でございます。男性につきましては、ちょうど真ん中あたり、40歳から45歳未満のところが最も多くて14.9%となっており、ここをピークとした一つ山のような形になってございます。
 一方で、女性の方が14ページにございますけれども、女性の場合はピークになる場所が2カ所ございまして、1つは25歳以上30歳未満のところの13.1%、それから、40歳以上45歳未満のところの13.5%ということで、いわゆるM字カーブといいますか、山が2つあるような形になっております。このような状況は例年と変わっていないということでございます。
 最後に15ページ、標準報酬の分布でございます。こちらは標準報酬月額につきまして、階級別に男性、女性の構成割合等を見たものでございます。まず男性を見ていきますと、一番多いのが一番下、62万円のところの階級でございまして、こちらに9.23%、1割弱いらっしゃいます。その次のところが26万円、28万円、30万円のあたり、こちらが6%台ということで、ここら辺が多くなってございます。
 女性に関しましては、22万円のところが一番多くて9.51%、その前後が8%台ということで多くなっております。
 私からは以上です。

○武藤数理課長 引き続きまして、16ページ、積立金の運用状況についてでございます。
 年度末積立金136兆6,656億円の構成割合、預託金が5.9%、市場運用分が90.7%、財投債が3.4%となっているところでございます。
 下の特記事項にございますように、GPIFにおきましては、厚生年金、国民年金をあわせて一体として運用しているところでございまして、これら全体の運用資産の平成26年度末の時価総額及び構成割合につきましては、こちらの特記事項欄に記載の数字のとおりということでございます。
 続きまして、17ページ、こちらは財政検証における将来見通しとの比較ということでございます。平成26年度につきましては、平成26年財政検証結果の初年度ということになりますので、今回の資料から将来見通し欄が平成26年財政検証ベースの数値に置きかえられております。なお、参考まで、平成21年財政検証結果の数値もあわせて掲載させていただいているところでございます。
 なお、平成26年財政検証につきましては、幅の広い経済前提を設定して複数の財政見通しを作成していますが、ここではそのうち女性や高齢者の労働市場への参加が進み、日本経済が再生するケース、いわゆるケースA~Eの数値を掲載しているところでございます。
 また、平成26年財政検証自体は被用者年金一元化がありましたので、それを踏まえて、足下から共済分も含んだ財政見通しをお示ししているところでございますけれども、ここでは平成26年度の厚生年金の実績と比較するということで、共済分を含まない数値を掲載してございます。
 表の一番上の段に基金代行が除かれているものの実績を掲げてございます。これがいわゆる特別会計の実績ということになりますけれども、将来見通しは基金代行分を含んだ形で行われていることになりますので、将来見通しと比較するためにベースをそろえるということで、実績の欄の1つ下に実績推計の欄を設けてございます。例年どおりではございますが、これと将来見通しを比較するということで御説明申し上げたいと思います。
 まず、この実績推計をどのように作成するかということについてでございますが、下の特記事項の欄を見ていただきますと、字が小さくなって恐縮ですけれども、基礎年金交付金を収入支出の両面から控除するということ。それから、保険料に厚生年金基金に係る免除保険料を加え、給付費には基金代行分を加えるということ。その他、幾つか細かい控除をしたほうが適切な費目を控除するということ。大きいところといたしましては、積立金に厚生年金基金の最低責任準備金等を加えるということでございまして、これが23.4兆円。それから、国庫負担繰延分3.7兆円を加えるということ。あと、運用収入に基金の分の運用収入を加えるなど、このような補正を行いまして、将来見通しと比較できる数字にしているところでございます。
 上の欄の表のほうに戻っていただきまして、まず保険料収入でございますけれども、平成26年財政検証の将来見通しは25.9兆円と見込んでいたところでございますが、この実績推計の数値で申し上げますと26.9兆円ということで、1兆円実績推計のほうが多いということになるわけでございます。こちらの差の主な要因といたしましては、被保険者数の増加ということで、具体的には下に書いておりますとおり、見通しでは3,479万人だったものが、実績では3,599万人ということで増加しているということがあります。これが大きな要因としまして、保険料収入に差が生じている状況でございます。
 一方、運用収入につきましては、将来見通しは2兆円と見込んでいたところが、時価ベースの数値で16.9兆円ということで、約15兆円のプラスとなっているところでございます。要因として書いてございますのは、見通しでは1.34%という運用利回りの見込みだったものが、実績では11.61%だったということでございます。
 その他のところで、こちらは主として国庫負担でございますけれども、実績推計が9.1兆円、将来見通しでは8.7兆円だったので、これは将来見通しより多くなっているということでございます。
 支出の欄で、まず合計でございますけれども、将来見通し39.9兆円に対して、実績推計は40.3兆円です。これは、給付費が将来見通し23.9兆円に対して、実績推計が24.1兆円、また、基礎年金拠出金が将来見通しは15.9兆円に対して、実績推計が16.1兆円という状況になっているところでございます。
 収支残を見ていただきますと、将来見通しではマイナス3.4兆円と見込んでおりましたが、運用収益が大きかったということで、実績推計はプラス12.6兆円になっており、大半は運用収入の収益の差によるところでございます。
 年度末積立金も、財政検証ベースでございますので、基金代行分を含んでいるということでございますが、145.9兆円という見込みだったものが163.8兆円ということで、見込みに比べて約18兆円、実績推計のほうが上回った姿になっているところでございます。
 続きまして、18ページ、被保険者数及び受給者数の将来見通しとの比較ということでございます。平成26年財政検証結果の初年度でございますので、結果を見てみますと、受給者数は近い数値になっておりまして、被保険者数につきましては、実績のほうがやや大きい数値ということでございます。
 19ページ、財政指標の比較ということで申し上げますと、まず、こちらのページは年金扶養比率でございます。何人で1人の受給者を支えるかという比率でございますけれども、これは括弧内の受給者ベースの数値で見ていただきたいのですが、平成26年度の欄では左上にありますように2.47ということでございますが、財政検証の見通しでは平成26年度は2.4であったということで、実績のほうがやや大きくなってございます。これは財政検証の見込みと実績との間で被保険者数の実績が大きいということによるものでございます。
 次の20ページは年金種別費用率で、年金扶養比率を補完する指標ということで、数字を後ほど御確認いただければと存じます。
 21ページに参りまして、総合費用率ということでございます。単年度ベースでの賦課方式の保険料率のようなものに当たりますので、こちらに関しまして、26年度の*印がついております数値、注5に書いてございますけれども、*印は厚生年金基金の代行部分等を補正した率で見ていただくことが適当かと存じますので、そちらでご覧いただきますと、決算の結果は、上の表の左下の数字でございますけれども、19.8%となっております。それに対しまして、財政検証結果は20.9%という見込みでございましたので、それより1.1ポイントほど低くなってございます。これは、先ほど来出ておりますように、主に被保険者数の実績が見込みよりも大きくなったことにより、標準報酬総額に差が出たことに起因するものと見ているところでございます。
 続きまして、22ページ、独自給付費用率でございます。これもやはり*印がついた平成26年度の数値を見ていただきますと、上の表の左下に出ております数字ですが、実績は14.6%に対しまして、財政検証では26年度は15.6%ということで、1.0ポイント実績のほうが下回っているということです。これも標準報酬総額の見込みと実績の差が主な要因と考えているところでございます。
 続きまして、23ページ、保険料比率です。これは国庫負担分を除く実質的な支出のうちに、どれだけの割合を保険料で賄っているかということで、分母が支出、分子が保険料となりますので、ある意味、数値が高いほど財政状況がいいと言えるような数値でございます。こちらにつきましても、26年度の*印の欄を見ていただきますと86.5となってございますが、財政検証では26年度は82.7と見込んでいたということで、これよりは高くなっております。これも標準報酬総額の見込みと実績の差に要因が求められるかと考えております。
 続きまして、24ページ、収支比率でございますけれども、保険料と運用収入から成る収入に対して国庫負担を除いた支出がどれだけの割合を占めているかということで、これは先ほどの数値とは違いまして、低いほど財政状況がいいということになるわけでございます。26年度の*印が71.0となっているところでございます。財政検証では26年度は112.4と見ていたということで、100を超えているということは、支出のほうが収入よりちょっと多くて、積立金は若干減少すると見込んでいたことに相当するわけでございますが、現実には運用収入が非常に大きかったということで、26年度単年度で見ますと71.0と、収入が実質的な支出よりも大きかったということで、こういう数値になっているということでございます。
 最後に25ページになりますけれども、積立比率ということで、これも26年度の*印を見ていただきますと4.8という数字でございまして、これが実績でございますが、平成26年財政検証における26年度の数値は下の欄、4.8でございましたので、これはほぼ同じ数値になっているところでございます。
 御説明は以上でございます。

○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しまして、何か御質問などがございましたら、よろしくお願いいたします。
 では、駒村委員、お願いします。

○駒村委員 幾つか確認も含めてなのですけれども、この年金の受給額というのは既裁定部分だけで、新規裁定の人たちのデータというのはこの中には入ってこないのですね。入っているのですか。

○村田調査室長 今回お示ししました受給権者数等につきましては、当然、新規裁定された方も含めて、年度末に受給権者である方は全て入ってございます。

○駒村委員 新規裁定のみを知りたいということはできないということですね。

○村田調査室長 新規裁定につきましては、6ページのところに、全体ではないのですけれども、加入期間が20年以上の方につきまして平均年金月額等をお示ししてございます。

○駒村委員 わかりました。
 より詳細なデータというのは、事業年報か何かに出るのですか。

○村田調査室長 そうですね。毎年夏、6月とか7月に出します事業年報に、かなり細かいことは出させていただいております。

○駒村委員 わかりました。
 これはこちらで分析することなのかどうなのかということですけれども、4ページ、6ページあたりで平均年金額が落ちているという話があって、年金数理部会はどこまで守備範囲かという議論はあるかもしれませんが、財政はちゃんと持続性があるのかというのと、年金が年金としての機能を果たしているのかというのも見なければいけないと思うのですが、この年金額が落ちているわけですけれども、一方では加入期間は延びているわけですね。いろいろな要因が、要するに年金の高い方が死亡されているという要因だけではなくて、一方では伸びているというプラスの要因もあって、ただ一方では、スライド率や過去の改定の影響もあって変化している。全体としてはここ数年、下がっているということですけれども、どの要因によって平均額が落ちているかなどは分析されているのか、それとも数理部会で過去の影響がこういう形で出ているのだというのを見ると、これは何か見方があるのでしょうか。過去の政策、例えば乗率を下げたのが今から出ているとか、これはどこかで見方がありますか。

○村田調査室長 私どもというよりは、年金数理部会で毎年、公的年金財政状況報告を出していただいているかと思いますが、そちらの中で、定性的にはどういった要因で平均年金月額が下がっているかということを書いておりまして、御紹介させていただきますと、平均年金月額が減少する要因としましては、何個かあるのですけれども、定性的には、まず給付乗率がだんだん落ちていること、これがマイナス要因。それから、毎年物価スライドがございまして、最近ですとマイナスのスライドがあったときにはその要因で落ちている。それから、定額部分の支給開始年齢の引上げによってもやはり平均年金月額は下がります。そういった諸々で下がっているということではないかと思っております。
 ただ、どの要因でどれぐらい下がっているかというところまでは分析し切っていないということでございます。

○駒村委員 わかりました。
 先ほど分布の違いだとおっしゃったので、伸びる要因もありますねというところを踏まえて、おさまっているからいいのだよという見方もあれば、年金の機能としてどうなのかというのは、こちらも評価しなければいけないですし、そちらにもフィードバックしなければいけないということで、確認までに教えていただきました。今の2つは確認です。
 質問なのですけれども、A~Eの数値を将来見通しで使っているわけですが、一応これについては、8個あるうちのなぜA~Eなのかというのと、ちょっと細かい点なのですけれども、17ページの実績推計のところのその他の欄が、直感的に考えると実績推計のほうが代行部分を乗せてくるので全体的には数字がふえるのかと思っているのですが、その他の欄だけが減っているのは一体何なのでしょうか。その他は11兆円もあったり、9兆円になったり、これは一体何なのかというのを教えてもらえますか。

○武藤数理課長 御質問が2つございましたが、まず1点目につきまして、平成26年財政検証の結果、8ケースの前提があるのだけれども、それと実績は何を比較するのかというお話でございます。ここは御案内のとおりではございますけれども、8ケースにつきましては、足下10年間の話と、おおむね10年後から先の長期の話に分かれております。長期は8ケースに分かれるのですけれども、足下につきましては、労働市場への参加が進むケースと進まないケースと2通りあって、これは従来、御案内のとおりということでございます。
 そこで、平成26年度の決算ヒアリングではどちらで比べるかということを私どものほうでも検討はしてみたのですけれども、政府としては、労働市場への参加が進み経済が再生するケースのほうを目指していることなどがございますので、そちらのほうと比較しているということ。あと、見やすさの観点から、2つ書くというのももちろんあるとは思うのですけれども、そういったこともあってそちらのほうで比較しているところでございます。今後、どのケースと比較するのが妥当なのかという点につきましては、数理部会での御議論もあると思いますので、その点も踏まえながら対応していきたいと考えているところでございます。
 2点目の質問でございますけれども、その他、確かに補正したほうが小さくなるというのが一見わかりにくくなるということでございますが、実績推計につきましては、財政検証と比較するために、ある意味で実力ベースの収入支出にする必要がありますので、その年に起こった特別な支出項目については控除して比較しなければならないということになってきます。そういう意味で考えてみますと、平成26年度には解散厚生年金基金等の徴収金が2.1兆円ございまして、これがほとんど大きな要因として差の説明になるところでございます。

○駒村委員 その辺の数字は、この注1に簡単に一言書いてあるのですけれども、これは数理部会のほうには、要するに今の御説明をいただかないとわからないですね。その辺の数字は提出いただいているという理解でしたか。

○武藤数理課長 一応、先ほど申し上げましたのも、17ページの特記事項の欄に書いております。ここは本当に字が小さくて恐縮なのですけれども、1ページ目で申し上げました実績の決算結果には厚生年金基金の解散基金徴収金が含まれていましたが、これを補正をする、つまりその他収入から解散厚生年金基金等徴収金2.1兆円を控除すると書いております。ちょっとわかりにくくて申しわけございませんでしたけれども、一応そういうことになっているということです。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。
 今の駒村委員のお話の中で、26年財政検証の将来見通しの関係で、ケースA~Eと、あとF、G、Hと。駒村委員、場合によってはF、G、Hのほうも視野に入れた参考値というか、そういう出し方を考えてもいいのではないかという御示唆なのでしょうか。

○駒村委員 2つあったら混乱すると。だけれども、政府はいいほうをというか、そういう政策を行っているからそちらを使ったと、ここについてはそういう判断が入っている。判断が入っているところは、数理部会ではきちんと議論をしたほうがいいのではないかと思います。なるべくこちらは客観的に、あるいは手がたい議論をしたほうがいいのではないかと思いましたので、一応、なぜA~Eなのかという理由は説明いただいたので、これを受けて数理部会がどう考えるかは、こちらで考える話かと思います。

○菊池部会長 それを含めて数理部会でも、出し方も含めて考えていこうということかと思います。
 あとは、最初の御質問にございましたけれども、割と最近、年金部会でも中長期的な年金引き下げ要因、マクロ経済スライドということで議論されていますが、実は細かく見ていくと短期的、中期的にいろいろな要因が絡んでいて、数理部会ではそういうものを見ながら分析していくことが必要だという御示唆なのかなと承りました。

○駒村委員 事務局は、構成が変わったというのが主たる要因かもしれませんけれども、数理部会としては、過去の政策効果がどういう形で出てきていて、この状態で年金財政から見て、年金制度から見てちゃんとした年金の機能を果たしているのかどうかはモニターしておかないと、財政だけ安定していますよということで責任を果たしたかどうかというのは考えなければいけないということで、一応念のために事務局はこの変化についてどう理解されているのかということを聞きたかっただけです。

○菊池部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ほかの委員、ございませんか。
 野上委員、お願いします。

○野上委員 御説明ありがとうございます。
 今年は主に2つについて御質問したいと思います。まず、被保険者がふえたという点で、この辺に関する質問と、あと、運用の大きな見直しをされた年でもありますので、運用に関してお聞きしたいと思います。
 まず被保険者のほうですが、先ほど大きく伸びたということで、基本的にはいいことだったと思うのです。ただ、受給権者、被保険者の数が両方3,500万人でほぼ拮抗してしまった年でもあったかなということで、この辺はふえるのはいいのですけれども、どういうふえ方をしたかというのもおそらく財政状況を見るときには重要かと思います。
 先ほど御説明いただいた14ページの主に女性でふえたということで、どの辺の年齢の方がふえたかというのにかなり興味がございます。というのは、男性もそうなのですが、いわゆるロスジェネといいますか、正規につけなかった方々がどういう動きをしているのかというのは、やはり厚生年金という見方からしますと重要かなということで、14ページ、13ページあたりの表は、来年からでも結構ですので、各年齢層でどのぐらいの方が厚生年金に入っておられるかという観点も必要かと思います。
 といいますのは、先ほどM字カーブという御説明がありました。この辺、M字の2つのほうは多分、団塊ジュニアでふえている面もあるかと思いまして、何人入っているかというのも重要ですが、何%ぐらいが入っているかという見方も必要かなというのが1つでございます。
 もう一つ、運用のほうですが、今般、非常に大きなポートフォリオの変更がありまして、運用の仕方も変わったということで、それに対しての質問をさせていただきます。
 まず1点目、実務レベルの話としましては、実務的にはフォワードルッキングのリスク管理に基づく機動的運用がうまくいっているのかというのがまず一番の関心事でございます。将来見通しといいますか、フォワードルッキングがその都度当たったり外れたりというのは当たり前だと思っているのですが、民間でよくやりますPDCAサイクルといいますか、うまくいったときはどういう要因でうまくいったか、うまくいかなかったときはどういう要因でうまくいかなかったかという分析が重要だと思っています。
 今回の見直しは、主にまず債券を売るということで、これは将来金利が上がるという見通しのもとに売られたと思うのですが、結果的にはポートフォリオを見直してから日銀が、直後と、いわゆるバズーカ3つ目のもので金利がさらに下がったということで、売るタイミングをもう少し後ろずらししたほうがもしかしたらよかったかもしれないということがあります。
 2点目は、売った資金で何を買うかということで、これはおそらく都銀とかがやったように短期債を買うか、リスク資産を買うかということで、結果的にはリスク資産を買われたのですが、その辺の判断は今時点から見てよかったのか、悪かったのか。この辺のPDCAのチェックをやっておられるのかどうかという点が1つ目の質問でございます。
 2点目は、この辺のフォワードルッキングなやり方というのはなかなか難しい面があるのではないかと私自身思っておりまして、例えば最近、リーマン・ショックの2番目が来るのではないかというような話もありますが、この辺はおそらく政府部内でも見方が分かれているところではないかと。事ほどさように将来の見通しというのは見通しづらいわけで、それをもとに百数十兆円の運用をするというのは、言うは易し行うはかたしという点がございます。
 そういう点からしますと、従来やっておられたバイ・アンド・ホールドといいますか、一応基本ポートみたいなものを組みまして、それをじっくりつき合っていくみたいなやり方も、もう一回見直してもいいのではないかと思っております。欧米の年金もほとんどはそういうスタイルですし、運用で名高いバフェットさんとかもそういうスタイルだと理解しておりますので、その辺の評価を2年弱経験された段階でどのように考えておられるのかというのが2つ目の運用に関しての質問です。
 もう一つは、これはある程度、数理部会のほうもかかわっていかないといけないと思うのですが、政策レベルの話としましては、今の年金の制度は2004年の制度をやっておりまして、要は財政検証に基づいて必要利回りというのが出てきまして、それを目標に、できるだけリスクが少ないようなポートを組むという構造だと思っております。
 ですから、例えば、万一ですけれども、将来積立金が大きく毀損した場合、必要利回りは変わりませんので、利回りのほうをさらに高くしないといけないという構造になってございます。ただ、2004年以降どういう経済状況だったかというと、デフレが続きまして、昨今ですと長期金利のほうもマイナスになっているということです。民間のほうは、企業年金とか予定利率は1%台というのが大宗になってございまして、今みたいに4%、5%を目指して運用するというのはなかなか難しいのではないかと思ってございます。この辺は制度論なので、数理部会の範囲からは多分外れていると思うのですが、年金部会等で御議論を始められてもいいのではないかということを御質問したいと思います。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

○菊池部会長 それでは、事務局のほうからお願いします。

○村田調査室長 1点目でございますが、女性の被保険者につきまして、どの年齢層が増えたかということでございますが、一番大きく増えておりますのは、40歳以上45歳未満のところとなっておりまして、その上の層あたりも増えております。この40歳から45歳のところは、いわゆる団塊ジュニアとなりますけれども、この他、45歳から50歳、50歳から55歳のあたりが伸びています。それから、伸び率は少ないのですけれども、65歳以上のところもじりじり増えているという感じで、基本的に、比較的真ん中より上の層のところの増加が多いかと思います。

○宮崎大臣官房参事官 運用に関する御質問がございましたので、私から御説明させていただきます。
 まず、リスク管理につきましては、毎年の運用状況につきまして、業務概況書の中で1年間のリスクの状況を管理し公表しております。短期的には、毎月の運用委員会におきまして、直近のリスク管理の状況につきまして事務局から報告をし、御議論いただく形でリスク管理をしている状況で、その時々の市場状況につきましても、必要があれば運用委員会からの御提案なり、あるいは事務局からの提案という形でディスカッションしながら見ているという状況でございます。
 あわせて、リスク管理のシステムの刷新なども行いつつありまして、引き続きリスク管理体制の充実に努めていきたいと考えているところでございます。
 2点目のフォワードルッキングという考え方との関係でございますけれども、2014年10月に基本ポートフォリオを見直す際にフォワードルッキングという言い方をしておりますが、それは決して将来を何か一定の見込みを立てて短期で売買していくということではなくて、市場の動向、先行きというのは見通せないという前提のもとで2014年10月以降も、基本的には長期的な視点に立って、長期保有を前提として各資産を保有しているという状況でございます。
 ただ、フォワードルッキングと申しますのは、例えば債券、長期金利の見通しなどにつきまして、基本ポートフォリオを作成する際にどのような前提を置くかというときに、過去の数十年のトレンドだけで判断するということではなくて、一定の予想も盛り込んで判断するということでございまして、その基本ポートフォリオの策定に当たりましてはフォワードルッキングという考え方を導入しております。実際の運用に当たっては、ある種前提を置いてやっているということではなく、他の海外の年金と同様、長期的視点に立ってやっており、先ほど申し上げましたように、リスク管理を並行してやりまして、安全、効率的な運用に努めているところでございます。
 最後、政策レベルの話につきましては、今後の話ということで御意見として受けとめて、また年金部会なりの御議論の中でどうするかということを含め、受けとめさせていただければと思います。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。

○野上委員 ありがとうございました。

○菊池部会長 厚生年金に関しまして、あと御質問を用意されている委員は田中委員のほかに。ちょっとすみません、私の不手際で時間がかなり押してございまして、それでは、田中委員、関委員の順番にお二人に御質問いただいてから、まとめて事務局のほうから回答をお願いいたします。

○田中委員 では、お時間もないようなので、1点だけ御質問します。
 1ページのところ等なのですが、今回、解散厚生年金基金の動きがかなりありまして、これはいわゆる厚生年金基金の廃止に伴う動きだと思うのですが、今後、総合型厚生年金基金を含めて、このような動きがどれぐらい続くのか、あるいは、今回はどの程度の解散があり、どのような影響があったのかということについて、もうちょっと詳しく教えていただきたいと思います。

○菊池部会長 関委員。

○関委員 4ページの減額・繰上げ支給のところなのですけれども、この要因というのはわかりづらいのかもしれませんが、通老相当の減額・繰り上げ支給が相当多いので、もしその要因がわかれば教えていただければと思います。

○武藤数理課長 それでは、1点目の厚生年金基金制度の見直しに関する話ですけれども、先ほどから話が出ておりますように、平成26年4月から厚生年金基金の仕組みが見直されましたので、解散しやすくなったというところで、平成26年度につきましては、解散厚生年金基金等徴収金の額が大きくなっているということだと認識してございます。
 現状、どれぐらい代行されているのかということで考えてみますと、実績推計のところで申し上げましたとおり、厚生年金基金の最低責任準備金、いわゆる厚生年金代行相当の積立金につきましては23.4兆円となってございます。その範囲の額のものが今後どれくらい入ってくるかということでございますけれども、基本的に5年以内の時限をにらんで制度設計されているということでございますので、その間の動きについて、私どもとしては注視していきたいと考えているところでございます。

○村田調査室長 2点目なのですけれども、御質問の趣旨をもう一回お願いしてもよろしいですか。

○関委員 なかなか要因はわかりづらいかと思うのですけれども、繰り上げ支給を選択した人がなぜ多かったのかということについて、その要因でわかるところがあれば、ご教示お願いいたします。

○村田調査室長 この減額・繰上げ支給につきましては、25年3月末までのところは旧共済の減額年金だけの統計になっているのですけれども、昨年度から男性の報酬比例部分の支給開始年齢が引き上がったということで、本体の方の通常の支給の繰上げが行われておりまして、この2年間についてはそちらも含めた数値になってございます。
 特に旧法の減額年金については全て老齢相当ということで、通老相当に入ってくるのは全て繰上げで通老の方となっていますので、ここ2年、新しく制度が創設されたということで増えています。対象になる方が、昨年は1年度分、今年は2年度分ということで倍に増えておりますので、その関係で、特に通老相当のところが目立って増えております。
 老齢相当の方は、もともとの減額年金の方と今回の繰上げの方が合わさっていますので、増加幅の見え方がちょっと小さく見えているということではないかと思います。
 以上です。

○菊池部会長 ありがとうございました。
 きょうは前回の宿題についても少し御説明いただくことになっておりますので、少し急がせていただきます。
 以上で厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。
 それでは、引き続き、国民年金(基礎年金)の報告を聴取いたします。御説明のほど、お願いいたします。

○武藤数理課長 それでは、引き続きまして御説明申し上げます。お手元の資料2「平成26年度財政状況-国民年金(基礎年金)-」をご覧ください。
 おめくりいただきまして、まず、基礎年金勘定の収支状況でございます。平成26年度の収入総額が22兆3,465億円で、前年度に比べまして2,581億円の増でございます。一方、支出の総額につきましては21兆6,327億円で、前年度に比べまして2,013億円の増でございます。その結果、収支残が7,138億円出ているということでございます。
 この収支残は、従来、具体的には平成24年度までですけれども、かなり大きい額が計上されていることがわかります。24年度が約2兆7,000億円ということですけれども、それに比べると今年度は2兆円ほど小さくなってございます。これは別の欄ですけれども、収入の項目に見たその他の収入の欄が減少しているということとも連動しているわけです。被用者年金一元化法による見直しが背景にあるということですけれども、今、申し上げましたとおり、24年度までの収支残のところはかなり大きな額が並んで、それが翌年度の収入のその他のところにほぼそのまま計上されるという構造で続いてきたところです。つまり、23年度の約3兆円の収支残が24年度のその他の3兆円のところに計上されているところでございましたが、先ほど申し上げました平成24年8月に成立いたしました被用者年金一元化法に伴う整理によりまして、基本的にはこの収支残は積立金に繰り入れるということで、かつ、必要なときにこの積立金を受け入れて収入のほうに入れていく仕組みに変更されたということでございます。
 その結果、下の欄の年度末積立金は、平成23年度までは7,246億円というずっと同じ額が計上されていたところですけれども、24年度以降、2兆円を超えるような数字が計上されているところでございます。この7,246億円という数字は、御案内のとおりですけれども、昭和60年改正のときに基礎年金制度が昭和61年度から導入されまして、国民年金勘定にあった積立金のうち、それまで任意加入だったが第3号に移った被用者の妻の分に相当するものということで、その分の積立金7,246億円、これは元本だけということになりますけれども、これが基礎年金勘定の積立金として置かれていたということでございます。一元化法の成立に伴いまして特会法が改正されまして、この積立金についても全体で整理していくことになったところでございまして、これが24年度以降の大きな変更点ということでございます。
 上の支出欄に戻っていただきまして、基礎年金給付費の本来分というところ、支出総額の下の欄でございますけれども、これが19兆9,860億円となってございまして、前年度に比べて7,157億円、3.7%の伸びということです。
 それから、拠出金算定対象者、下から3段目を見ていただきますと、5,405万6,000人ということで、前年度に比べまして56万2,000人の増になっているところでございます。年によって多少のでこぼこはございますけれども、長期的には20歳から59歳の人口の減少に伴って減少していく趨勢の中で、今回については主に被用者化の進展に伴い、第1号被保険者が減少して、第2号被保険者が増加したことによる影響と考えてございます。
 次に、2ページ目でございます。基礎年金の負担状況ということで、これは平成26年度の確定値でございますけれども、基礎年金給付費の本来分が19兆9,833億円、旧法分の交付金として算定される分が1兆8,461億円で、その両者を合計した分が右の欄にございます21兆8,294億円となっているところでございます。
 この中で下の欄に特別国庫負担が3,285億円ありまして、それを差し引いた残りが拠出金で各制度に分担されるということになります。これは左の欄にありますが、21兆5,008億円になっているところでございまして、それを各制度の下の欄にございます拠出金算定対象者数の比で按分して各制度に割り振るということになります。割り振った額がこちらにある額でございますが、平成26年度の拠出金算定対象者数の内訳につきましては、表の下のとおりでございます。
 次に、3ページに参りますが、国民年金勘定の財政状況でございます。平成26年度の欄を見ていただきますと、時価ベースの収入総額が5兆2,728億円でございます。このうち保険料が1兆6,255億円で、前年度に比べて77億円、0.5%の伸びとなっております。これにつきましては、保険料の月額が引き上げられ、納付率も上昇するなどの保険料増加要因がある一方、第1号被保険者そのものが減少していることなどの減少要因もございまして、結果的にほぼ横ばいとなったものと考えております。
 国庫負担につきましては1兆9,283億円で、1,836億円、8.7%の減になっているわけでございます。
 これにつきましては、下の支出の欄を見ていただきまして、基礎年金拠出金が26年度は3兆4,992億円ということで、前年度に比べて3,386億円、8.8%減ってございます。基礎年金拠出金のおおむね半分が国庫負担でございますので、これが国庫負担の減につながっている構造になっているということでございます。
 なお、この基礎年金拠出金等については、概算精算の仕組みで運営されているということですけれども、前年度に比べて概算拠出金が減少した影響などで減少したところでございます。
 収入で申し上げますと、時価ベースの運用収入が9,865億円ということで、前年度に比べて3,243億円の増加でございます。
 積立金より受け入れがなしとなったのは厚生年金同様ですけれども、これはGPIFからの納付金がふえたことを受けてのものでございます。
 結局の収支残のところですが、時価ベースで下の欄を見ていただきますと、8,046億円となっているわけでございます。これにその下の業務勘定から積立金への繰り入れ129兆円を足したものが、前年度との比較で書いてある積立金の欄の8,175億円、これが実質的な意味での収支残に当たるものでして、積立金は9兆2,667億円、時価ベースですけれども、前年度に比べて8,175億円増加している状況になっているということでございます。
 最後に運用利回りでございますが、11.79%という状況でございます。

○村田調査室長 続きまして、5ページをご覧ください。5ページは給付状況ということでございますが、こちらは新法の基礎年金と旧法の国民年金を合計したものを計上させていただいております。
 まず、受給権者数でございますけれども、平成26年度末はトータルで3,299万7,000人ということで、前年度と比べまして103万人、3.2%の増加ということでございます。そのうち老齢年金の方が3,006万9,000人、こちらが110万人、3.8%の増。通算老齢年金につきましては、こちらは旧法の年金でございますので年々減少しておりまして、26年度末に71万2,000人、11.2%の減少ということになってございます。
 平成26年度でございますが、この時期は団塊の世代の最後の方、昭和24年度生まれの方がちょうど65歳になる年でございまして、そういうこともあって、今年度、それから前年度、その前と3カ年ぐらい、通常よりも受給権者数の伸びが大きくなっているという状況になってございます。
 年金総額につきましては、次の段のところでございますけれども、26年度末で21兆6,663億円ということで、前年度に比べまして6,591億円、3.1%の増加となっています。
 この大部分を占めます老齢年金について見ますと、26年度末で19兆6,342億円、前年度に比べまして6,739億円、3.6%の増加ということでございます。
 続きまして、6ページでございますが、大変申しわけないのですけれども、このページは幾つか誤植がございまして、この場をかりて先に数字の訂正をさせていただきたいのですが、一番上の繰上げ支給の欄の年金総額の欄の右の方に幾つか「VALUE」となって数字が消えてしまっているところがございます。恐縮なのですけれども、数字を申し上げますが、右から3つ目の平成26年3月末の欄ですが、こちらの老齢年金の年金総額は2兆3,562億円となっております。右上の単位のところも「億円」と直していただければと思います。
 それから、右に行って、老齢年金の前年度との比較のところが「VALUE」になってしまっておりますが、こちらは△431でございます。伸び率のところは△1.8%ということでご訂正いただければと思います。
 恐縮なのですけれども、もう一カ所ございまして、下の囲みの男女合計の老齢年金平均年金月額の3つ目の段、繰上げ支給されたものの平均年金月額の平成24年3月末の数字が3円となっておりますが、こちらも誤植でございまして、4万80円ということでご訂正いただければと思います。不手際がございまして申しわけございません。
 説明に戻らせていただきますけれども、一番上の段、繰上げ支給、繰下げ支給の状況でございます。繰上げ支給につきましては、老齢年金の受給権者数が26年度末で470万8,000人ということで、前年度に比べまして10万7,000人、2.2%の減少となっています。旧法の通算老齢年金につきましては28万4,000人ということで、4万人の減少となっており、繰上げ支給は全体として減少しているという状況でございます。
 一方で、下の繰下げ支給の欄をご覧いただきますと、繰下げ支給の受給権者数は合計で36万4,000人ということで、1万3,000人、3.7%の増加となっており、繰下げ支給される方がじわじわと増えてきているような状況かと思います。
 下の囲みに行きまして、男女合計の老齢年金の平均年金月額でございますが、こちらは26年度末で5万4,414円、昨年度に比べまして0.2%の減少という結果になっています。
 老齢年金の平均加入期間でございますが、こちらは26年度末で373月ということで、5月ほど延びております。平均加入期間については年々だいたい5月ぐらい延びるペースで推移してございます。
 続いて、7ページは新規裁定分ですので説明を省略させていただきまして、8ページをご覧ください。8ページは老齢年金受給権者の年齢構成を示してございます。一番右の合計の欄の割合のところを見ていただきますと、一番多いのが65歳以上70歳未満の28.2%で、次いで70歳以上75歳未満の24.4%となってございます。
 平均年齢は、下の方の欄でございますが、男子が74.2歳、女子が75.8歳、合計で75.1歳ということで、昨年度末は合計で75.0歳でしたので、プラス0.1歳ということで、若干ながら年齢構成はわずかに上にシフトしたということではないかと思います。
 次に、9ページをご覧ください。9ページは被保険者数等の状況を示してございます。一番上、被保険者数でございますが、第1号被保険者数は合計で26年度末に1,742万人ということで、前年度に比べ約63万人、3.5%の減少となってございます。第3号被保険者につきましては、その下の段、931万9,000人ということで、こちらも1.4%の減少となってございます。
 免除等の状況につきまして、一番下のところに年度末時点での状況を整理させていただいておりますが、上の方から見ますと、法定免除の方が26年度末で134万4,000人ということで、こちらは対前年度0.2%でほぼ同水準ということでございます。
 それから、申請全額免除者の方が245万3,000人で、こちらは4万2,000人、1.7%減っておりますが、ここら辺は厚生年金のところでもお話ししましたように、最近比較的経済とか雇用環境がよい状況でございますので、免除の方も減少したのかなということで、前年度まで増加傾向にあったところが、26年度から減少したという状況に変わっているところかと思います。
 その下、申請の4分の3免除ですとか半額免除、4分の1免除がございまして、ここら辺は若干増えておりますが、こちらは全額の申請免除の方が、段階をもう少し、免除のパーセントが下がる形で移ってきている分もあるのではないかと思います。
 それから、一番下の段の若年者納付猶予のところです。こちらは主に30歳未満の若年層の方に納付を猶予する制度でございますが、1万6,000人、3.5%の減少となっておりまして、ここら辺も経済状態、雇用環境がよかったことのあらわれなのではないかと考えております。
 続きまして、10ページからは被保険者の分布を示してございます。こちらは第1号被保険者についての状況になっています。一番右の欄の割合のところを見ていただきますと、一番多いのが20歳以上25歳未満のところで20.7%、こちらの国民年金の第1号被保険者というのは、働いていない方、自営業の方、いろいろ入っておりますが、主にここの年齢層は学生さんとかが多いということでウエートが高くなってございます。次に多いのが、55歳以上60歳未満のところが13.5%になってございます。こちらも被用者の方が退職されて1号に移ってくるというような方もありますので、一番低い年齢層と高い方の年齢層のところに山がある形になってございます。この形はだいたい昨年度と同じような形になってございます。
 次は男女別になっていますので飛ばさせていただきまして、13ページが第3号被保険者の分布になってございます。第3号被保険者につきましては、一番多いのは40歳以上45歳未満のところの20.0%ということで、ここをピークとして山のような形となっておりまして、この形状も昨年度と変わらずといったような状況でございます。
 14ページ、15ページは男女別に見たものでございますので、説明は省略させていただきます。
 私からは以上でございます。

○武藤数理課長 続きまして、16ページ、積立金の運用状況でございます。資産の構成割合といたしましては、国民年金の場合は預託金が4.3%、市場運用分が92.0%、財投債が3.7%でございまして、運用利回りは11.79%でございます。
 次に、17ページに移りまして、財政検証における将来見通しとの比較でございます。厚生年金と同様、今回の資料から将来見通し欄が平成26年財政検証ベースの数値に置きかえられております。また、国民年金に関しましても、将来見通しとベースをそろえる必要がございますので、実績推計という欄をつくっております。こちらと将来見通しを比べるということで見ていただきますと、保険料収入は将来見通しで1.6兆円と見込んでいたものが1.6兆円でほぼ同じ数字でございます。細かい桁まで見ると、納付率等の上昇により微増しているという状況でございます。
 一方、運用収入でございますが、将来見通し上0.1兆円と見込んでいたものが1.0兆円の運用実績だったということで、0.9兆円プラスになっているということでございます。
 その他のところですけれども、基本的に国庫負担でございますが、将来見通しで2.1兆円と見込んでいたものが1.9兆円と0.2兆円少なくなっております。これは右側に支出の基礎年金拠出金という欄がございますけれども、3.8兆円と見込んでいたものが拠出金按分率の低下などの影響で3.5兆円という支出になってございまして、0.3兆円少なくなっています。これを反映して、2分の1国庫負担につきましても見通しよりも実績のほうが低くなっているところでございます。
 給付費につきましては、将来見通しで0.1兆円と見ているものが実績推計でも0.1兆円ということで、ほぼ同じ数値になっているところでございます。
 合計しましての収支残、将来見通しの上ではマイナス0.2兆円だったところでございますけれども、実績推計はプラス0.8兆円でございます。
 年度末積立金は、将来見通し上10.8兆円だったものが11.6兆円という数字になっているところで、今年度につきましては運用収益が多かったということで、結果的に大きくなっている状況でございます。
 続きまして、18ページ、基礎年金の被保険者数及び受給者数についてでございます。実績と将来見通しを見ていただきますと、大きな乖離はないのではないかと見ているところでございます。
19ページ、財政指標の比較で、まず年金扶養比率でございますけれども、これも厚生年金同様、括弧内の受給者ベースの数値を見ていただきますと、平成26年度は2.10で、財政検証上の見通し2.1とほぼ一致しているという状況でございます。
 20ページ、保険料比率につきましては、26年度は96.8という数字で、財政検証では87.0という数字でかなり乖離が大きく見えるわけでございますけれども、これは基礎年金拠出金等の支出が減少した一方、保険料が微増したことによる影響と考えてございます。
 次に、21ページでございます。収支比率ですが、こちらはかぎ括弧の中の時価ベースで見ていただくということでございますけれども、26年度は64.3という数字でございまして、財政検証の数字、105.2よりはよくなっている。分子が支出で分母が収入の収支比率でございますので、数値が低いほうが財政状況はよいということでございますけれども、こちらは運用収入が多かったことを要因してこのようになっているところでございます。
 最後、22ページの積み立て比率でございますけれども、財政検証ベースで補正したということで、繰り延べ分を積立金に加えて算定したもの、これが*印がついている欄でございますけれども、26年度の*印欄、上の表の左下の数字でございますが、積み立て比率はかぎ括弧の中の数字、6.4でございます。
 これに対して財政検証では6.1、左下の数字で見ていたということで、それに比べると積み立て比率は実績のほうが高くなっております。これは、右のほうに要素分解してございますけれども、前年度末の積立金そのものは財政検証の見込みとほぼ同じであったところに、実績の支出のほうが小さくなって、分母が小さくなっていることの影響と考えているところでございます。
 最後のほうは駆け足になって恐縮でしたが、私からの説明は以上でございます。

○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして、御質問がありましたらお願いいたします。
 駒村委員。

○駒村委員 細かいところで確認なのですけれども、6ページの繰り上げ支給をしている人の数というのは減っているのですが、これは既裁定の方も新規裁定の方も全部入っている状態ですので、これからは、新しい人が繰り上げ支給を受けているということはわからなくて、もしかしたら過去に繰り上げ支給を受けた人が亡くなっているので減っているという可能性はあるのですか。新規裁定で繰り上げ支給をしている人の数というのはどこを見ればよかったのですか。今、探しているのですけれども、教えてもらえますでしょうか。

○村田調査室長 新規裁定の方の繰上げの状況につきましては7ページにございます。ただ、御注意申し上げたいのは、7ページの注に書いてございますように、こちらの統計は、特別支給で老齢厚生年金を受け取られている方で65歳になって基礎年金になるような方については新規裁定という扱いをしておりませんので、あくまで国民年金の期間だけあって新規裁定される方と、それから、特別支給の老齢厚生年金の受給資格がないような厚年の期間が1年未満の短い方を入れたものだけでございますので、全体ではないのですけれども、傾向だけ見ていただきますと、男女合計の下の真ん中辺です。受給権者数の新規裁定というところがございますが、こちらが25年度に41万4,000人で、26年度に39万3,000人ということで2万2,000人減ってございますので、新規裁定の方だけ見ても減少しているような状況になっているかと思います。
 ただ、一部の統計でございますので、全体を説明するのには不十分かと思いますが、一応ここだけ御紹介させていただきたいと思います。

○駒村委員 新規裁定で繰り上げ受給している人の数というのはどこでしたか。

○村田調査室長 大変失礼いたしました。今、申し上げたのは新規裁定の数でございますので、繰上げだけ取り出したものではございませんので、先生の御質問に返せていないかと思います。後でわかりましたら調べさせていただきたいと思います。申しわけございません。

○駒村委員 これも事業年報か何かに出るのですかね。新規裁定の中で繰り上げを選んでいる方で、6ページのほうは、既裁定も新規も全部足した中での繰り上げ受給者が減っている。これは、昔はすごく繰り上げ受給の方が多かったですから、その人たちが亡くなっていくので減っている。だから、これだけだと最近の動向はわからないという理解でいいのかどうか。

○村田調査室長 事業年報でわかるのかというお話でございますが、同じように一部の統計といいますか、主に国年のみの統計にはなりますけれども、事業年報では繰上げ受給者の数とかがわかるようになっています。
 ちなみに、今年の分がないので1年古くなりますけれども、25年度に老齢基礎年金を繰上げで新規裁定になった方が8万2,574人、その前年が11万7,852人ということで、こちらは減少しております。そういった形で、最近は減少傾向なのではないかと思います。今年度については、わかりましたら御連絡したいと思います。

○駒村委員 すみません、もう一問。これも事業年報か何かに出ているかどうかの確認なのですが、9ページの学生特例納付と若年者納付猶予の方が実際にどのくらい最終的には納付をしたのか、つまり後から払ったのかという納付状況もどこかで発表されるという理解でしょうか。

○村田調査室長 申しわけございませんが、学生納付特例ですとか若年者納付猶予等の追納の状況は統計をとってございませんので、こちらについては状況の把握ができないということでございます。

○駒村委員 はい。

○菊池部会長 必要な部分は、わかる範囲でまた後日、お願いできればと思います。

○村田調査室長 わかりました。

○菊池部会長 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、田中委員、お願いします。

○田中委員 それでは、短い質問ですが、今の9ページなのですが、免除等の状況ということで、申請全額免除者は減少しているのですが、それ以下の4分の3、半額、4分の1免除者というのはふえているのですね。これは免除の仕組みをよく知らないのですが、全額免除には至らないが、それ以下であれば免除の資格を持っているような人がふえていると思うのですけれども、何か原因とか考えられることがあるのでしょうか。

○村田調査室長 申請免除につきましては、御本人と世帯主、それから配偶者の方の所得がどれぐらいあるかということで、免除の割合がどれぐらいになるかというのが決まりまして、当然、所得が多ければ4分の1とかになりますけれども、少なければ半額、4分の3、全額というように、段階に応じて決定されるということでございます。
 近年、雇用の環境がよくて比較的所得がある方が相対的に増えてきているということで、全額免除の方が減って、ほかの階級に順次移ってきているような状況になっているのではないかと思っております。

○田中委員 わかりました。

○菊池部会長 猪熊委員、どうぞ。

○猪熊委員 すごくざっくりした質問で恐縮ですが、2点、質問させてください。
 1つは、9ページで第3号被保険者の数が減少傾向になっているのですけれども、この傾向が続くと、公的年金制度全体の財政状況にどのような影響を及ぼすと考えられるか。そのことがわかりましたら、教えてください。
 もう一つは、厚生年金のところで質問しそびれてしまったのですけれども、また、本日の資料に出てきている数字の話ではないのですけれども、お尋ねいたします。厚生年金の未加入事業者が79万事業所あり、約200万人の方が未加入と報道されています。政府は現在、一生懸命加入を進めていると思いますが、、200万人の加入をどんどん進めていった場合に、厚生年金財政にどのような影響が考えられるのか。このことについても、お伺いできるようでしたら聞かせてください。

○武藤数理課長 御質問は2点ございましたけれども、1点目、3号被保険者が減ったときの公的年金全体に与える財政影響ということですが、3号が仮に減ったときに、3号だった方がどういう被保険者になるか、つまり第1号か、第2号かということにもよるわけで、そこは一定の整理が必要ということでしょうけれども、例えば減っている人がパートで働いていらっしゃって、働き方を変えて厚生年金適用になったということで考えてみますと、これまで厚生年金グループで第3号被保険者としての基礎年金拠出金分とカウントしていたところは変わらず、3号被保険者だった方が保険料を払われるということになりますので、それは一定程度、財政的にはよくなるのではないかと考えております。
 ただ、新たに働かれる方の報酬水準とかも千差万別だとは思いますので、その仮定によってもいろいろ影響の程度は異なってくるのかなというところでございます。
 後者のほうもある意味で似たような話でございますけれども、厚生年金に今、未加入になっていらっしゃる方が厚生年金に適用されたときの影響がどうなるかということですが、具体的に200万人のケースに対応してどうなるかというのはやったことがないのですが、ある意味、平成26年財政検証でやりましたオプション試算の適用拡大のところは似ている側面があるかと思っております。思い出しますと、平成26年財政検証のときにやったオプション試算は2ケースございましたけれども、220万人で、現在の厚生年金適用事業所の短時間労働者の方を拾うというケースと、非適用事業所になっているところまで含めて適用拡大するというケースがございましたが、後者のほうは、現在適用になっていない人が含まれるということで、あれは完全に適用が拡大して1,200万人ベースということで、かなり大きなレベルではございましたけれども、そのうち一部の方が含まれてくることになるかと思っております。

○菊池部会長 あとはよろしいでしょうか。
 それでは、ラストということで、野上委員からお願いいたします。

○野上委員 先ほど、納付率が上がったということなのですが、要因とかでつかんでおられるものがあれば。といいますのは、被保険者自体はかなり減っているので、どういう状況で納付率が上がったのかというのを御説明いただければと思います。

○村田調査室長 納付率についての御質問でございます。国民年金の納付率でございますが、近年の傾向を見ていきますと、現年度納付率と言われるいわゆる3月まで終わった後の1カ月後の4月末の段階でどれぐらい納付しているかという状況でございますが、平成24年度が59.0%、25年度が60.9%、26年度が63.1%ということで、徐々に上昇してきている状況でございます。
 その要因として何かというのはなかなか難しいのでございますが、1つには、納付に関しては、私どもも頑張っているということもありますが、結果として、比較的若者である20代のあたりの納付の状況が上がってございますので、そこら辺の方の意識が高まってきたということもあるのかと考えております。
 以上です。

○菊池部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、以上で国民年金(基礎年金)の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。
 御説明どうもありがとうございました。それでは、どうぞ席のほうにお戻りください。

(厚生労働省年金局 武藤数理課長、同 村田調査室長 関係者席へ移動)

○菊池部会長 続きまして、前回出ておりました宿題に関しまして、文部科学省と事務局からそれぞれ御説明をお願いいたします。

○佐藤私学共済室長 文部科学省私学共済室長の佐藤でございます。
 前回の私学共済の説明の際に何点か宿題をいただいておりましたので、その説明をさせていただきます。前回資料の資料3をご覧ください。それの3ページでございます。

○下島首席年金数理官 お手元に会場用の過去資料というのがございます。こちらをご覧ください。前回の資料をとじてございます。

○佐藤私学共済室長 資料3の3ページ、給付状況についてでございます。受給権者について、全額支給の人数の伸び率が公務員共済に比べて大きいのはなぜかという御質問がありました。全額支給のみならず、受給権者全体が公務員共済よりも伸びております。この傾向は26年度だけではなくて、25年度以前も同様の傾向になっております。考えられる要因としましては、公務員の共済制度よりもまだ制度の成熟が進んでいないために、現在年金者の伸びが大きくなっているのではないかと考えております。
 少し乱暴な比較になるかもしれませんが、現在、年金を受給される方が共済制度に新卒で加入してくる年次であろう40年前、昭和50年代の加入者数と比べてみますと、私学共済は昭和50年度末で27万人の加入者でありましたが、現在は51万7,000人ということで、1.9倍に伸びております。同じように、国共済、地共済では、昭和50年度末の組合員数が現在よりも多く、現在のほうが逆に少なくなっているような状況にあり、制度の成熟の問題かと考えております。
 それから、昭和50年代前半で私学共済の加入者数は当時、毎年度約3%から4%ぐらいずつ増えているような状況がありましたので、その方が40年間私学共済のみ加入の方ばかりということではないと考えておりますが、そういうところが制度の成熟化に影響しており、この数字が現れてきているのではないかと考えております。
 2つ目が、同じ資料の4ページで増額支給の支給者数が伸びている理由ということでございました。伸び率だけで見ますと、公務員の共済制度とほとんど変わりはなく、30%台で伸びてきており、共済の増額支給については平成19年度から制度が施行されましたので、これがだんだん浸透されてきて、選択する人が増えてきているところかと思います。
 ただ、私学共済自体の増額支給の人数が公務員共済よりも多いのは、おそらくこれは公務員の定年年齢よりも私学の定年年齢が高く、定年後の選択肢が多いために、年金を繰り下げて受給しようと考えている方が多いのではないかと考えられます。
 最後にもう一つ、資料4で、被用者年金一元化に伴います共済組合の積立金の仕分けの資料について、その最後のページの私学共済の部分で、厚生年金経理に貸付金が含まれている理由とのお尋ねでございました。これは前回も申し上げましたが、私学の厚生年金経理の貸付金は、私立学校の設備整備に対する融資財源として、私学事業団が行っております私学助成のほうで共済とは別に助成勘定という勘定を設けておりまして、こちらの勘定への貸付金であります。
 私立学校への融資事業の財源は、主に財政融資金、それから政府の出資金を財源としておりまして、このほかに年金積立金からの貸付金を財源としているということであります。これは平成10年に当時の私立学校教職員共済組合と日本私学振興財団が統合いたしまして、今の私学事業団の運営形態になっておりますが、この統合前から共済組合から振興財団への貸付金ということが行われてきておりまして、これは共済のほうの年金積立金を財投への預託義務にかわるものとして、当時の大蔵省と文部省の間で取り決めて、こういう形で資金運用を行うことが決められたという経緯がございます。
 このような経緯を踏まえまして、一元化に伴う積立金の概算仕分けのときも、助成勘定への貸付金は、他の公的年金制度における預託金に限りなく近い性格を有するものであり、それから、私立学校への融資事業が将来的にも継続されていくということになりますので、これは保険料収入がある厚生年金経理のほうで融資をする、貸付金を整理するほうが、閉鎖されていく職域年金経理よりもふさわしいこと、それによって私学振興が図られることがあるということでございます。
 もう一つは、厚生年金経理から助成勘定に貸し付けを行った場合であっても、運用成績に大きくマイナスになるような可能性は低いということがありますので、助成勘定への貸付金は厚生年金経理に仕分けるように整理をしたところでございます。
 前回の宿題に対する説明は以上でございます。

○宮崎大臣官房参事官 今、最後に説明のありました仕分けの関係で、先回、各運用主体の仕分けと厚生年金全体との関係についての御質問がございましたので、運用に関する各主体間の関係につきまして、本日お配りしております資料3に沿いまして、若干御説明をさせていただければと思います。
 御案内のように、厚生年金、被用者年金の一元化が行われたところでございますけれども、この積立金の管理運用につきましては、共済組合や私学事業団が引き続き行うということでございます。ただ、この被用者年金一元化にあわせまして、それぞれの主体が一義的には運用の主体になるわけではございますけれども、事前と事後に共通の枠組み、あるいは主務大臣たる厚生労働大臣の権限というものが定められております。
 資料3の2ページですが、まず、事前の関与として、この4主体の中で基本指針の作成・公表という形で、共通の指針のもとで運用していこうということを定めております。これは既に2014年7月に作成・公表しておりますけれども、厚生労働大臣が主体となって、他の3大臣に協議をした上で指針を作成しております。この中では、例えばリスク管理をきちんとやるということ、あるいは分散投資を基本とするということ、あるいは必要な流動性の確保に努めるというような基本的な点が定められているところでございます。
 この共通の基本指針に基づきまして、資産の構成の目標ということで、各主体がポートフォリオを定めるに当たりまして、しんしゃくすべき目標というものも共通で持つ形にしております。資産の構成の目標、モデルポートフォリオと呼んでおりますけれども、これを各管理運用主体、GPIFに加えまして各共済、私学共済の4主体が共同して作成しております。これは2015年3月に発表しているところでございます。こうした共通の指針、そして共通の資産構成の目標を持った上で、それぞれの管理主体で具体の基本ポートフォリオを作成し、運用に当たっていくということでございます。
 具体の運用に当たりまして、どのような資産を用い、どのように運用していくかという点は、それぞれの運用主体が責任を持ち、また、所管する各大臣がそれを管理しているということでございます。
 先ほどの仕分けに関して付言いたしますと、それぞれの基本ポートフォリオの中で具体的にどのような資産を持つかというところにつきましては、それぞれの管理運用主体あるいはそれを所管する大臣のほうで一義的には見ているということです。
 4ページの事後の関与では、それぞれの管理運用主体でそれぞれ業務概況書の作成・公表などを行い、また、それぞれの所管大臣がそれに対して基本方針等に適合しないようなときには措置命令を行い、あるいは運用状況についての評価をして、公表することに加え、これら4法人の分をあわせまして、厚生労働大臣が積立金全体の運用状況の評価を行い、それに関する評価の報告書の作成・公表等を行ってまいります。仮に評価結果に基づいて基本指針に適合しないような部分がありましたならば、厚生労働大臣からそれぞれの法人の所管大臣に対しまして、必要な措置を要求する仕組みとなっております。
 そのような形で、最後は厚生労働大臣が厚生年金全体を見て一定の権限を持っているということでございますけれども、基本的にはその前の段階で各管理運用主体、あるいはそれを所管する大臣のほうで必要な措置等が図られていく仕組みになっているということでございます。
 以上でございます。

○菊池部会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明に関しまして、何かございますでしょうか。
 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 今のところは私が前回御質問したところだと思いますので、確認させてください。
 事前関与のところですけれども、基本方針の作成・公表、資産の構成の目標でモデルポートフォリオ、ここが平成26年7月3日に交付された指針に関する検討会の考え方、これでよろしいのでしょうか。
 それで、これはどこに設置されているというか、場所ですね。年金部会のもとなのか、年金数理部会とのかかわりとか、要するに年金部会とのかかわりはどうなっているのかということと、この議論は定期的に見直されると。乖離幅は固定ではなくて、時々見直されるという理解でいいのかどうか、その見直されるプロセスは一体どうなのか。今回、最初だから多分こう設置されたのですけれども、今後はこの検討会はどのように設置されて、どのように見直しが行われるのかというのを教えてもらいたいというのが1点目。
 もう一点は、前回の質問はそのものなのですけれども、異なるポートを持っていれば、当然、運用成績に差が出てくると思うのですが、その運用成績の差は年金財政でどのように反映されていくのかというのを聞きたかったのです。この2点をお願いいたします。

○宮崎大臣官房参事官 まず1点目でありますけれども、検討会でございますが、検討会は2014年7月にこの基本指針の作成までかかわりまして、一旦作成をしたので、そこでその時点の役割としては終わっているということでございます。その上で、基本指針につきましては、その中に必要に応じて見直すという規定が入っておりますので、状況の変化に応じて見直しが必要になれば、改めて検討会なりを各省の間で持ってつくるという形になろうかと思います。現時点で恒常的な組織が別途あるというものではございません。
 その上で、各運用主体の運用の結果がどうなるのかということでございますけれども、基本的には共済組合等からの拠出金につきましては、拠出金の算定式が定まっておりまして、そこは激変の緩和措置などもございますけれども、基本的には運用の実績がある程度反映される形になっておりますので、運用で、ある主体がうまくいかなかった場合には、その分の拠出金が減る形で全体に反映されていく形になります。逆にそこが非常によければ、その分はプラスとなって厚生年金全体のほうに反映されるという仕組みになっています。
 ただ、先ほど申し上げましたように、各年度ごとにそれぞれの運用実績につきまして各運用主体が評価をし、各所管大臣が評価をし、そしてそれをまとめまして、年度全体の運用実績を厚生年金全体として評価して、仮にそこで各運用主体の運用の仕方につきまして何か問題があるといえば、事後的に厚生労働大臣から所管大臣のほうに改善の措置をお願いする。そういう仕組みになっているということでございます。

○駒村委員 前段部分のところはどこかに規定がありましたか。激変緩和措置はたしかどこかで議論があって、資料がどこかで出ていたような記憶もありますけれども、書いたものがあれば、ぜひとも教えていただければと思います。すみません。

○宮崎大臣官房参事官 お手元にある資料集の中に「公的年金財政状況報告-平成25年度-」というものがあろうかと思いますが、7ページの下から、被用者年金一元化の概要につきまして資料がございます。共済組合等からの拠出金の式などにつきましては、9ページの1-22というところにございますし、また、先ほど先生御指摘のありました基本的な指針につきましては、11ページに資料として載せているところでございます。

○菊池部会長 駒村委員、よろしいですか。

○駒村委員 はい。

○菊池部会長 それでは、以上をもちまして、平成26年度の財政状況についての報告の聴取が全て終了いたしました。この後の取り扱いですが、平成26年度につきましても、公的年金財政状況報告を取りまとめたいと思いますので、委員の皆様にはよろしくお願いいたします。具体的な作業は前回と同様、検討作業班、技術作業班で進めたいと思います。
 そのほか事務局から何かありましたらお願いいたします。

○下島首席年金数理官 参考資料1、参考資料2について御説明いたします。
 本資料は、通常毎年、財政状況のヒアリングが終了した際に、ヒアリング資料のデータを用いて事務局で取りまとめ、公表させていただいているものですが、例年はヒアリングを12月に行っていますので、取りまとめも12月ということでまいっておりますが、今回はこの時期のヒアリングということになりました。一方で、これらの資料は公的年金制度に係る基礎資料として大変有用な資料でございますので、各委員の御理解、また関係各省の御協力を得まして、昨年12月22日に事務局で取りまとめ、既に公表させていただいている資料でございます。御紹介させていただきます。

○菊池部会長 最後に、今後の日程などについて事務局から御説明をお願いいたします。

○下島首席年金数理官 次回の年金数理部会の開催日時につきましては、追って御連絡させていただきます。

○菊池部会長 それでは、本日はこれまでにさせていただきたいと思います。少し予定時間を延びてしまいまして申しわけございません。本日はどうもありがとうございました。