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2016年6月10日 第17回厚生労働科学審議会感染症部会
健康局結核感染症課
○日時
平成28年6月10日9:30~11:30
○場所
厚生労働省 共用第6会議室(3階)
○議題
(1) 薬剤耐性(AMR)に関する小委員会の設置について
(2)ポリオウイルスの封じ込めに向けた我が国の対応について
(3)報告事項
1. 一類感染症に関する検討会
2. ジカウイルス感染症への対応状況
3. 黄熱への対応状況
4. 熊本地震における関連施設被災状況と対応
5. 日本ビーシージー製造株式会社に対する行政処分
(4)その他
○議事
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 それでは、第17回厚生科学審議会感染症部会を開催させていただきます。はじめに、委員の出欠状況を御報告いたします。本日は荒川委員、岩破委員、賀来委員、笹井委員、戸部委員より御欠席の連絡を頂いております。現時点で定足数以上の委員に御出席いただいておりますので、会議が成立しますことを御報告いたします。また、本日は国立感染症研究所の西條部長と国立感染症研究所の清水室長に、参考人として御出席いただいております。よろしくお願いします。
次に事務局より、資料の確認をいたします。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席図のほか、資料1から資料12まであります。参考資料1はナンバーを振っておりませんが、こちらの冊子のAMR対策アクションプランです。そのほかに、参考資料2から参考資料7まで準備しております。不足等がありましたら随時、事務局にお申し付けください。
それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。以降の議事運営については、倉根部会長にお願いいたします。
○倉根部会長 まず、本日の議題を確認いたします。議題1が薬剤耐性(AMR)に関する小委員会の設置について、議題2がポリオウイルスの封じ込めに向けた我が国の対応について、議題3が報告事項として、1.一類感染症に関する検討会、2.ジカウイルス感染症への対応状況、3.黄熱への対応状況、4.熊本地震における関連施設被災状況と対応、5.日本ビーシージー製造株式会社に対する行政処分、議題4として、その他を予定しております。委員の皆様には、円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
それでは議題1、薬剤耐性(AMR)に関する小委員会の設置についてに入ります。これについて、事務局より資料の説明をお願いいたします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 使用する資料は資料1~4と、参考資料1のアクションプランです。まず資料1を御覧ください。薬剤耐性(AMR)の経緯について、簡単に御説明させていただきます。資料1の2ページを御覧ください。薬剤耐性はAntimicrobial Resistanceですので、AMRと呼んでおります。この背景としては、抗菌薬が効かなくなる薬剤耐性の感染症が世界的にも拡大しており、公衆衛生及び社会経済的に重大な影響を与えています。一方で、新たな効菌薬の開発が停滞しており、このままではAMRに対する対抗手段が枯渇してしまうという懸念が広がっております。
国際社会の動向としては、昨年5月のWHOの総会でAMRに対するグローバルアクションプランが採択され、加盟国は2年以内に各国のナショナルアクションプランを作ることが要求されているとともに、昨年のドイツのG7エルマウサミット及び今年のG7伊勢志摩サミットでも、AMRが議論されたということです。また、今年9月の国連総会でも、AMRに関してのハイレベル会合が開催される見込みとなっております。
我が国の対応としては、AMRは医療だけでなく、農畜水産、食品安全の分野も関係しますので、そのサーベイランスや抗菌薬の適正使用の取組を実施するという内容を盛り込んだ我が国のナショナルアクションプランを、4月5日の関係閣僚会議で取りまとめております。それがこちらの冊子です。また、今年4月16日にはアジア太平洋地域の保健大臣が、日本を含めて約12か国ですけれども、WHOと共催でアジアAMR東京閣僚会議を開催し、AMR対策を推進するということを確認しているところです。
3ページを御覧ください。薬剤耐性の仕組みとしては、大きく2つあります。左側が自然耐性です。もともと自然に耐性遺伝子を持っている菌が存在する、ないしは耐性遺伝子の獲得ということで、その耐性遺伝子が持っている菌が持っていない菌のほうに移って、耐性を新たに獲得するという仕組みが考えられております。そして右側が、耐性菌の選択と増加です。環境下には必ず一定数の耐性菌が存在していますので、抗菌薬を投与することで耐性菌のみが残るということです。選択圧という言い方もしておりますけれども、そういった機構で耐性菌が広がって、時には重篤な感染症を起こすということです。
4ページを御覧ください。耐性菌の伝播経路です。一番上に医薬品等とあります。ヒトに対して医薬品が使われるほか、下の部分にありますように、主に畜産動物ということで、牛や豚や鶏といった動物の病気の治療、及び添加物として餌の中に混ぜるといったことがあります。そういった選択圧もあって、それが食品や環境を介して伝播しているということが考えられております。
6ページを御覧ください。現状として抗菌薬の使用量はどうなっているかということです。6ページはEUの国々のデータと日本のデータを比較した一覧表で、このグラフで日本は一番下です。3つの棒グラフの中身が、左からセファロスポリン、キノロン、マクロライド等という、いわば幅広い細菌に有効な3系統の抗菌薬です。日本は、全体量としてはそんなに多くはないのですけれども、幅の広い有効な3系統で見ると、かなり量が多いということで、この使い方について我が国は課題があるという認識です。
7ページを御覧ください。耐性菌の検出率について、他国との比較で、主な3つの耐性菌を見ています。一番左が肺炎球菌のペニシリンの耐性、中央が黄色ブドウ球菌のメチシリンの耐性率、右側が緑膿菌のカルバペネム耐性率です。肺炎球菌のペニシリン耐性が、日本はかなり高い水準となっております。
8ページを御覧ください。畜産分野における耐性菌の検出割合です。一番左のグラフがテトラサイクリンの耐性率で、牛と豚と肉用鶏となっております。日本はそこに示しておりますように、ほかの国に比して同じぐらいか、少し多いところです。テトラサイクリン耐性が、畜産分野では大きなポイントですが、右のグラフによりますと徐々に減っているという傾向です。
12ページを御覧ください。冒頭に申し上げた国際社会の動向です。中央より少し下にありますように、アジアAMR東京閣僚会議が4月16日にあり、その関連としてG7新潟農業大臣会合でもAMRが取り上げられ、取組を推進することが確認されております。また、G7伊勢志摩サミットでは、AMRに関するハイレベル会合における政治的コミットメントを支持する、サポートするということがまとめられております。
13ページを御覧ください。昨年5月に出たWHOのグローバルアクションプランです。各国はWHOが示した5本柱の対策を推進するようにと指示されております。
14ページを御覧ください。こちらの冊子のほうのアクションプランは、後ほど御覧いただければと思うのですが、ポイントとして我が国のアクションプランは、WHOが示した5本柱にプラスし、6番目として国際協力という柱を立てております。
15ページを御覧ください。このアクションプランを策定し、集中的に対策を講ずる期間を5年間、2020年までということで、この中に様々なアクションを詰めております。我が国は既に様々な取組をしておりますが、特にこれから新たに進めることとして、15ページの上に1から5までまとめております。1.抗菌薬の使用動向の把握をしていくこと、2.ワンヘルス・サーベイランスの仕組みを構築すること、3.抗微生物薬の適正使用ガイドラインを作り、適正使用を支援するシステムを作る、4.「感染症教育コンソーシアム」の設立をする、5.「地域の感染症対策ネットワーク(仮称)」の普及モデル研究をしていくということです。
今回、この部会で御議論いただきたいのは16ページです。この5つの取組のうち、まずは適正使用のガイドラインを作ることと、ワンヘルス・サーベイランスの耐性の内容を検討するという2つに着手したいと思い、感染症部会の下に、薬剤耐性に関する小委員会を設置したいと思います。小委員会の所掌としてはアクションプランの対策のうち、厚労省が所管する専門的・技術的事項を審議する場と考えており、審議結果は感染症部会に報告されることになります。また、その小委員会の下に、更にテクニカルな内容を検討する2つの作業部会を、それぞれ設置させていただければと思っております。
それらの設置の概要及び要綱については、資料2~4まであります。資料4は参加規程です。感染症部会で決定している参加規程ですが、この参加規程の適用も薬剤耐性の小委員会に適用したいと考えております。特に、AMR対策に資する医薬品・医療機器等の研究開発や適正使用の在り方で、その個別の品目を扱う場合には、利益相反に係る事項も適用する仕組みにしたいと思っております。説明は以上です。よろしくお願いします。
○倉根部会長 本日は小委員会の設置について、ここで委員の皆様の御了解を得たいということです。それに引き続き、作業部会の設置等の御了解も得たいということです。まず、資料1について事務局から説明していただきましたけれども、この資料について何か質問、あるいは御意見はありますか。これは非常にサマライズしてもらったものですが。この資料説明についてはよろしいですか。
○大石委員 AMRアクションプランが立ち上がって、具体的なプランのもとに対策が進むことは良いことだと思っています。感染症法上の5類全数届出疾患にカルバペネム耐性腸内細菌科感染症(CRE)が位置づけされてから、約1年間に1,000例以上の届け出がされています。プラスミドで伝播されるCREが一番注目すべき耐性菌だと思います。
世界的な状況から見ると、CREは確かに日本で増えていることが実態として分かってきたのですが、海外を見ますとNDM-1などのような高度耐性菌が圧倒的に多いのです。日本ではIMP-6などが多いのですけれども、体制のレベルが全然違います。現時点で高度耐性菌は日本でも少数は検出されていますが、高度耐性菌の蔓延状況をつくらないことが大事です。アンチバイオティクススチュワードシップをしっかり実施し、耐性菌のサーベイランスをして現状をしっかり把握することも大事だと思っております。
○倉根部会長 コメントをありがとうございます。
○小森委員 既に皆様も御存じだろうと思っておりますけれども、2013年に、日本獣医師会と日本医師会との間で学術協力に関する協定を結びました。世界医師会と世界獣医師会との協定がその前年にあって、これはそれを踏まえてということです。御紹介にもあったように、G7エルマウサミットあるいはWHOの世界行動計画の採択も踏まえ、これまでに4回の共同シンポジウムを行ってきて、4回目はワンヘルスに関するシンポジウムを開催したところです。
2015年5月21日、22日にマドリードにおいて、世界医師会と世界獣医師会との間でワンヘルス、特にAMLに関する共同シンポジウムを開催いたしましたが、実は本年の11月10・11日にこの問題に関して、第2回の世界医師会と世界獣医師会の共同シンポジウムを、北九州市の小倉において開催する予定としております。そういったことで、私どもは今から3年前から、こういったことに地道に取り組んできたことを御紹介申し上げるとともに、小委員会の設置は大いに結構ですし、大切なことだと思いますが、オブザーバーに農林水産省の方にも。この間、縦割りの弊害ということを私どもは常にシンポジウムで言っており、それは農水省も十分承知しています。そういったこともお考えいただきたいということを、あえて申し上げておきます。設置については賛成です。
○倉根部会長 小森委員から今、農水省ということがありましたが、そこについて事務局はいかがでしょうか。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 そのように農水省とも調整させていただきます。
○山田委員 今の小森委員のお話と関連します。農水省からオブザーバーを入れることには全く反対ではないのですが、一方で農林水産省側として、ワンヘルス・サーベイランスを実現していくための小委員会みたいなものはできているのでしょうか。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 農水省の中でも既に薬食審の関係で、動物分野の慎重使用などを議論する委員会があります。今回、AMRアクションプランができたので、それを検討する委員会を農水省としても考えています。我々のほうも、この小委員会ということで、厚労省所管事項を検討するのですが、やはりワンヘルスが重要だというのは、このアクションプランで縷々述べています。例えば、合同で開くのか、共同事務局にして、もう1つの会議にするのかは、今、両省で調整しているところです。一緒にやろうということは常にお話しているところです。
○結核感染症課長 補足いたします。このアクションプランは厚生労働省というより、は日本政府全体で作ったものです。特に、農林水産省の皆様方には、この策定に当たり、大変御協力を頂いたところです。それで内閣官房で取りまとめ、閣議で決定されたという、レベルの高いものです。今、小森委員からも山田委員からもお話がありましたけれども、ワンヘルスの推進というのは、大変重要なAMR対策のキーワードです。先ほど縦割りの弊害という御指摘もありましたが、この件については私どもも農林水産省とタッグを組んで、ほかにも関係省庁をきちんと巻き込んで進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○倉根部会長 小委員会について、先ほど小森委員からは既に御意見を頂きましたが、今日御参加のほかの委員も小委員会を設置することについて、何か御意見はありますか。特に御意見はないようですので、この委員会としては薬剤耐性(AMR)に関する小委員会の設置については、了承したいという御意見だと解釈いたしますが、そのような形でよろしいでしょうか。
(異議なし)
○倉根部会長 それでは、部会としては承認したいと思います。それから、その設置の細則あるいは規則等は、事務局のほうで現在出ているのですが、これ自体もここで了解する必要がありますか。それとも今、御意見を頂いて、また少し変える所があればということですか。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 資料3は既存のものですが、資料2と資料4については本日御了解いただいて、本日の日付で部会決定という形でいただきたいと思います。
○倉根部会長 分かりました。そうしたら、資料2の厚生科学審議会感染症部会の小委員会の設置についてということで、こういう書類として、ここで了解したいと思います。文言について、ここで何か御意見があれば伺えるかと思います。内容的にはよろしいでしょうか。
(異議なし)
○倉根部会長 それから、もう1つの資料4については、この規程は、本来あったものに追加したという形になります。特に2条は「この規程は、部会、新型インフルエンザ対策に関する小委員会及び薬剤耐性(AMR)に関する小委員会を対象とする」ということで、薬剤耐性(AMR)対策に資する形で、それを入れて追加しているというのが現状です。何か御意見はありますか。質問でも結構です。
特にないようですので、本委員会としては、資料2の薬剤耐性(AMR)に関する小委員会の設置についてと、資料4の厚生労働審議会感染症部会審議参加規程の変更についても、ここで了承したいと思います。それでは事務局として、どうぞよろしくお願いいたします。
次に議題2、ポリオウイルスの封じ込めに向けた我が国の対応に移ります。それでは事務局より、御説明をお願いいたします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 それでは資料5、資料6、参考資料2~5に基づいて御説明いたします。まず資料5を御覧ください。「ポリオウイルスの封じ込めに向けた我が国の対応について」です。
1.国際的な動向としては、昭和63年5月の世界保健総会における決議に基づき、ポリオの根絶に向けた取組が世界的に推進されております。今現在は「ポリオ根絶・最終段階戦略計画2013-2018」に基づいた対策を進めております。その中では、WHOが加盟国に対して、不必要なポリオウイルスの廃棄と、ポリオウイルスを保有している施設リストの提出を各国に求めております。
この計画では1~3型のポリオウイルスのうち、特に2型のポリオウイルス(野生株とワクチン株)について、病原体バイオリスク管理の基本方針を定めており、これに加えて、施設におけるポリオウイルスの適正な管理を徹底するために、ワクチンの製造、診断、研究等に必要な機能を維持するための最小限の施設(Essential Poliovirus Facility)のみを限定して、ポリオウイルス保有施設として国が認定することを求めております。
2番目として、これまでの我が国の対応としては、参考資料2と3になります。参考資料2ですが、不必要なポリオウイルスの廃棄の依頼をするとともに、ポリオウイルスの保有継続を希望する施設は、その旨厚労省に報告するように依頼しています。また、参考資料3ですが、保有を継続する施設については保有の管理状況などについて調査をしております。現在、野生株のポリオウイルスについては10施設、ワクチン株のポリオウイルスについては31施設が保有している状況であることを把握しております。
3番、今後の対応としては、WHO西太平洋事務局がポリオ根絶計画を遂行するために各国に設置を求めている委員会として、日本では日本ポリオ根絶会議というのがあります。今日来ていただいている清水参考人もメンバーに入っていただいておりますが、この会議で(1)~(3)について対応したいと思っております。
(1)Essential Poliovirus Facilityの施設要件を検討する。(2)その要件を踏まえてEssential Poliovirus Facilityとして国が認定し、その施設のリストを作成する。(3)そのリストをWHOに報告をするということで御承認をいただければと思います。
続きまして、資料6です。この根絶計画の推進に伴って、現状2型経口ポリオウイルスワクチン接種は、今年の5月1日をもって中止されております。したがって、今後1年ぐらいは2型ワクチン由来ポリオウイルスが検出される可能性はありますが、基本的には2型ワクチン株のウイルスは出ないということで、もしそれが検出された場合は、WHOに公衆保健所の緊急事態として報告をする必要が今後は生じてきます。下に「対応案」とありますが、今現状のポリオの発生動向調査の届出基準は参考資料4になります。抜粋が資料6に入っています。無症状病原体保有者については届出対象になるのですが、左下の下線部分にあるように、「ただしワクチン株ポリオウイルスによるものは届出の対象ではない」とワクチン株だけを除外しています。今後、2型についても基本的に出ないということで、2型のワクチン株が出た場合は届出対象にする必要があります。この部分は右下にあるように、「ただし書き」から「2型のワクチン株を除く」ということで、1型及び3型のワクチン株は届出の対象ではないということです。この除外対象から2型のワクチン株を削除する変更をさせていただきます。以上、2点について御審議いただければと思います。よろしくお願いします。また、補足について清水参考人から何かありましたらよろしくお願いします。
○倉根部会長 清水先生、補足がありましたらお願いします。
○清水参考人 今御説明いただいたとおりですが、世界ポリオ根絶計画は、当初の目的よりは随分時間がかかっていますが、野生株ポリオウイルスの流行地域は非常に限局されていまして、1型の野生株ポリオウイルスがパキスタンとアフガニスタンのみで伝播しています。世界のほかの地域では野生株の地域固有株の流行は認められていないことになっています。3型の野生株ポリオウイルスも3年以上伝播が検出されていませんので、今残っているのは1型の野生株のみです。
そういうことを踏まえて、WHOは2型の野生株ポリオウイルスはだいぶ前に流行伝播はなくなっていますので、2型のポリオウイルスの管理をより厳格にする。今年の4月後半から5月1日にかけて、これは世界的に今まで3価のOPV、トライバレントOPV(tOPV)を使っていた国が全てtOPVの接種を停止して、バイバレント2価のbOPVに変更することを国際的に実施しました。そのため、今まで3価のワクチンに入っていた弱毒の2型株が全ての国のワクチンから除かれるということで、今後、ポリオの2型が検出されることは、今はまだワクチンを変更した直後ですので、しばらくはワクチン株の検出が数箇月、あるいは半年ぐらいは認められる可能性はありますが、その後は2型のワクチン株、もちろん野生株もですが、検出されることはなくなるだろうと。もし、そういうことがあるとすると、可能性としては保有施設に由来する伝播になります。例えば実験室とかワクチン製造所に由来する2型株が、万が一その施設から地域に伝播することはあってはいけないということで、WHOはGAP3というガイドラインと申しますか、行動計画を決めて、世界中のポリオウイルス保有施設の病原体管理、バイオリスク管理の厳格化をするということで、各国に対応を求めております。今お話をいただいたように、日本でもそのための対応を進めているところです。以上です。
○倉根部会長 今日、ここで委員の皆様にお考えをいただき、御了承いただきたいことは、まず御質問等を受けますが、資料5の3番目の今後の対応についてです。こういう対応を考えているが、それでよろしいだろうかということです。また、資料6の届出基準の改正について、こういう改正を考えているが、それでよろしいだろうかという、2点です。
まず、事務局及び清水参考人から資料の説明をしていただきましたが、これに関して御質問、あるいは御意見はありますか。
○渋谷委員 御説明ありがとうございました。資料5の中で、管理の調査をしたときに、国内では現在10施設で野生株を、ポリオウイルスのワクチン株は31施設で保有していることが出ていますが、今後の対応のところで、施設要件等を検討するとか、国が認める施設のリストを作成するということになると、この10施設あるいは31施設からもっと絞られて箇所数が少なくなってくるということが想定されるわけですか。要するに、まだこの数では、日本の拠点というか、株を持っている施設としては多いという考え方ですか。
○倉根部会長 事務局、お願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 今、野生株を持っているのが10施設、ワクチン株を持っているのが31施設ということで、WHOが求めている施設基準はかなり現状より高い管理を求める基準になっていますので、それを踏まえますと、恐らく減ってくる可能性が高いと考えています。
ただ、その施設要件の適用期間をその基準に合うように、実際本当に必要な施設は合うように、施設内の体制を整えていただく必要があるので、その期間を、我が国独自の環境によりますので、どのぐらいの期間を置いて、その要件に合致させるのが適当かといったことを、日本ポリオ根絶会議の委員で御検討いただきたいと思っています。もし補足があればお願いします。
○清水参考人 WHOの病原体管理のコンセプトの1つとして、やはりできるだけ持っている施設を減らすと。不要なものは廃棄して、持っている施設を減らすことが今後の病原体管理をする上で非常に大事だという考え方があります。そのために保有施設の施設要件や管理の基準のハードルをかなり高くするGAP3というガイドラインになっていますので、今後それに病原体管理の世界的な基準にできるだけ合わせていくことになると、保有施設自体の数は国内でも減り、最小限の数で機能させることになっていくと思われます。
○渋谷委員 ありがとうございました。
○倉根部会長 数を幾つにするかがありきではなくて、恐らく今の基準でやっていくと、かなり厳しい基準になるだろうから、必然的に減っていくという予想であろうということです。ほかに御質問はありますか。
○廣田委員 御説明いただいた封じ込めに向けた対応については異議ありません。ただ、1点注意のお願いですが、生から不活化に切り替えるときに、セービン株の不活化ワクチンというのが我が国独特のもので、まだデータが世界的にも少ない。当然、承認のときに抗体の誘導は調べられていますが、その後の抗体が維持されるかどうかというデータはまだないわけです。この抗体が維持されているかどうかというのをしっかりフォローしていただきたいということです。
もう1点は感受性調査です。要は、ポリオに対する抗体保有率の調査はなされておりますので、感染研に蓄積されていると思うのですが、これを出生コホート解析して何年生まれの人の抗体保有はどうかと。ちょうど不活化に切り替えた年と合致するコホートでの抗体の持続調査をお願いしたいと思います。1点目は抗体維持を調べることと、2点目は感受性調査のデータを解析するということです。お願いします。
○倉根部会長 御意見ありがとうございます。事務局、あるいは清水参考人から、これに関して何かありますか。
○清水参考人 今、御指摘のあった不活化ワクチン導入後の血清学的検査、抗体価のチェック、フォローアップというのは非常に大事なことだと思います。ただ、その抗体価測定のためには、ポリオの場合は感染性のある生きたウイルスを使う必要があって、その中の2型株については、ワクチン株についても、これから病原体管理のGAP3に基づく管理、対象になるということで、その測定ができる施設自体も今までよりは限られてくると思います。
○大石委員 感染研の感染症疫学センターの大石です。今、廣田委員がおっしゃった一般住民の抗体の各年代の推移については、感染症流行予測調査事業で報告しております。それについて、さらに解析を加えるべきと先生はおっしゃっておられるのですか?公表は、もう既にしております。
○倉根部会長 あと、抗体の維持については、清水先生の御意見としては、できるということでしょう。
○清水参考人 できる所は限られてきますが、そこで継続する必要があると思います。
○倉根部会長 施設がかなり限られてくるということが起こるだろうということですね。廣田先生、何か御意見はありますか。
○廣田委員 なぜ、その発言をしたかと申しますと、私どもの研究班で生を不活化に変えるときに互換性試験をしたのです。そのときの対象者をずっと追跡しております。5年まで追跡する予定ですが、現在3年目の分の解析中で、2年目までで少し抗体が落ちている人がいましたので、これは警戒しないといけないなと考えたわけです。
なお、抗体価の測定ですが、私どもは、セービン株に対しては国内で不活化ポリオワクチンを開発したメーカーでの測定と、もう1つソーク株に対しては、サノフィのアメリカのラボで測定していただいております。以上です。
○調委員 施設基準の変更と流行予測調査ができるかどうかという話ですが、実際に今、流行予測調査でポリオの抗体価を調べているのは、地方衛生研究所ですが、今後できる所とできない所が出てくるということですか。
○結核感染症課感染症情報管理室長 流行予測調査事業は、確かに自治体に御協力をいただきながら進めているところです。今回お諮りしている施設の要件をどういうふうにするのかというのは、正にその辺りも関わるのかと考えます。他方、WHOが求めているGAP3は、バイオセーフティ上のレベルも高いということで、そこをどうするのかというのが大きな課題です。現在、ポリオはBSL-2で取り扱う病原体になっていますので、そのレベルを上げて、例えば3プラスという話になると、地方衛生研究所では、なかなか対応が難しくなる事態に陥るのではないかということはあります。
ただ、実際に調査をどういうふうな仕組みでやるのかというのは、マンパワーとかキャパシティの問題もありますので、そこも含めて検討していかないといけない。それらも含めて根絶会議のほうで検討していく形にさせていただきたいと思います。
○調委員 BSL-3プラスというのは、BSL-3と、どの程度違うのですか。
○清水参考人 かなり細かくて、WHOのGAP3という、いわゆるガイドラインに施設要件だけではなく、組織とか緊急時対応も含めて、マニュアル、SOPみたいなものは書かれているのですが、それは1つの考え方ということで、それにどれだけ国内基準を合わせるかということになるかと思いますが、施設的にはかなり厳しいです。BSL-3、今3プラスアルファというお話がありましたが、施設的に見ると、そのようなことが詳細に書かれたガイドラインになっていますので、余りそこから外れるのは国内基準が海外の基準と違うのはよくないと思いますので、できるだけ合わせて、ただ日本の現状に即した病原体管理をこれから進めていく必要があると思います。
○調委員 いずれにせよ、ワクチンが不活化ワクチンに切り替わってからの抗体保有率というのは非常に重要な調査になると思いますので、是非、今後検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山田委員 病原体の管理を1種から4種までやっていますが、その枠組みの中に入れるのではなくて、ポリオは別の枠組みでやるのかどうなのかということが1つです。
あとポリオは完全に遺伝子情報から合成された過去があります。そうした場合に、もし病原体として規制をかけるということであれば、遺伝子情報などについてはどういうふうにお考えになるのか、その2点を教えてください。
○結核感染症課感染症情報管理室長 病原体管理の感染症法での規制というのは、一種から四種までということで、許可や届出とかの要件が定められており、もともと生物テロへの対応ということで立法された部分です。法的な規制というところは状況を見ながら考えていく必要はあると思いますが、今の段階ではこちらにお示しをした方法で進めていきたいと思います。遺伝子の情報に関しては、清水先生に補足していただいたらいいのかもしれませんが、GAP3でそこまでやっていたのでしょうか。そこは私も余り定かではないですが。
○清水参考人 GAP3の中では、その前のGAP3の前のバージョンからですが、核酸自体、RNA自体、ポリオのカプシド遺伝子を持ったコンストラクト等については病原体と同じ扱いで管理をするということになっています。ただ情報自体をどのように規制したり、コントロールするかというところまでは踏み込んでは書かれてはいません。
○倉根部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいですか。詳細については今後、日本ポリオ根絶会議で議論していただいて詳細に詰めるということです。詰めた内容というのは、またここで委員の皆様に見ていただくことになるのですか。報告という形になるのか、了承という形になるのかも含めてお願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 この場で、その内容も含めて、ポリオ根絶会議で決めるということを御了承いただきたいと思います。あと結果については御報告という形でお願いできればと思います。
○倉根部会長 ということで、ポリオ根絶会議のほうで、その内容についても決めていただくということですね。ここには報告として上がってくるということです。そのような形でよろしいですか。それでは、今後の対応については、こういうプロセスで進めていくということを、この委員会として了承したということです。
もう1つ、基準の改正については、それに伴って資料6ですが、「ただし」の後が、変更前は「ワクチン株ポリオウイルスによる無症状病原体保有者は届出の対象ではない」が、それに伴って、「1型及び3型ワクチン株ポリオウイルスによる」という文言の変更があるということです。ここで何かどうしても御意見があればですが、よろしいですか。
(異議なし)
そうしましたら、この対応案といいますか、変更についても、ここの委員会としては了承したいと思います。
次は報告事項に入ります。1.一類感染症に関する検討会の報告です。これについては、まず事務局からの報告、説明をお願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 資料7と資料8で御説明いたします。資料7の概要を御覧ください。前回のこの部会でも、進捗状況を御報告させていただきました。昨年10月から「一類感染症に関する検討会」ということで、本日いらしていただいている西條参考人に座長をしていただいている検討会で、「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き」について内容の検討をしていただきました。そちらについて、本日は資料7の概要と本編ということでまとまりましたので、本日御報告させていただきますとともに、自治体等への周知をさせていただきたいと思います。
内容については概要にあるように、背景としては一昨年の西アフリカでエボラ出血熱のアウトブレイクがあり、国内対応では各種通知等を、「エボラ出血熱への対応」ということで出させていただきました。将来、このアウトブレイクや、類似の疾患が国内に入ってきたときにも、今回のエボラ出血熱で経験した対応等については応用できる部分もあるということで、今回はウイルス性出血熱、こちらの上に書いてあるように、エボラ、マールブルグ病、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱について、エボラ出血熱で縷々出した通達等を適用するという基本のコンセプトで問題がないかということも含め、検討会でレビューしていただき、今回この手引きとしてまとめさせていただきました。
手引きには大きく2つあります。1.「平常時の備え」ということで、流行状況の把握とリスク評価、想定すべき発生状況、組織体制、届出基準等を整理させていただきました。
2.「患者発生時対応」として、検疫、保健所、検査診断をどうするか。患者確定した後は、積極的疫学調査や消毒、医療機関での治療体制、更に退院に関することと、死亡した後の遺体の処理に関することもまとめさせていただきました。
右上は、患者が発生した場合のリスクコミュニケーションということで、広報や情報提供は、どのタイミングで、どの内容までするかということをまとめさせていただきました。
欄外で3.「調査・研究」として、こうした危機管理のときに、ゼロから調査研究をするのはなかなか大変ですので、例えば想定される新興感染症が来た場合の、まだ未承認の治療薬を使うときのプロトコールのひな形をあらかじめ用意しておくべきではないかといったことで、今回そうしたプロトコールを作ったということがありますので、その内容などを入れさせていただきました。今後、エボラ出血熱ではなくとも、過去にラッサ熱は日本国内で40症例出たこともありますので、これらウイルス性出血熱の患者が出た場合に、迅速・円滑な対応につなげるという趣旨の手引きです。
資料8を御覧ください。この手引きの作成に当たり、「はじめに」の下から3行目の所です。この手引きをまとめたのですが、「しかしながら手引きに盛り込まれなかった項目の中で、確認すべき項目や更なる検討を要する事項がなお残されている現状を踏まえ、検討会で議論されたこれまでの対応及び今後の検討課題を総括して報告する」と。検討会の委員から、今回手引きには盛り込んでいないけれども、今後検討が必要だという項目もまとめていただきました。
3ページの中央に、2.「今後の課題」とあります。例えば(1)「特定及び第一種感染症指定医療機関に求められる要件」として、下から3行目に、「現状では全ての第一種感染症指定医療機関が高度な感染管理と集中治療を同時に行えるような医療を実施することは困難と考えられる」と。
4ページの上にあるように、「ウイルス性出血熱患者が国内で発生する場合に備えて、第一種感染症指定医療機関に求められる要件や機能分担を行うなどして、役割を見直す必要がある」という御指摘を頂きました。それと併せて「また」の2行目で、「患者の移送体制を整備する必要がある。患者発生地域、患者報告数等の疫学情報を踏まえた対応方針を整備することが求められる」という御指摘を頂きました。
(2)「感染症指定医療機関における医療提供のあり方」の下から7行目に、「例えば、感染症指定医療機関間での診療支援体制や集中治療を専門とする医療関係者を外部から招聘できるよう登録制の医療チームを創設する」など、そうした新しいアイディアについても御意見を頂きました。
(3)「一般医療機関における対応」です。一般医療機関を直接受診することで見付かるケースが、実際に疑似症例でも今回経験いたしましたが、そういう場合の医療機関での対応とか、また、日頃から一般医師向けの研修会など、日本医師会と連携の下で、必要な研修・周知を図るという御意見を頂きました。
5ページで(4)「情報公開のあり方」です。エボラ出血熱の対応で情報公開の内容などについてまとめさせていただきました。一方でMERSについての取扱いと、エボラ出血熱では異なる部分もあるので、具体的に患者への配慮もした上で、情報開示のあり方などについて更に議論をする必要があるとの御意見を頂きました。
(5)病原体を保持していないことの確認方法と退院の目安ということです。今回、エボラ出血熱の患者が2万人以上出て、回復者ということのフォローアップがされて、新たな知見がいろいろ見付かったということです。それらを踏まえて、病原体を保有していなければ退院させなければならないというのが現行制度ですが、そうは言っても隔離が必要な状態でない場合には、やはり退院させることがそのQOLということもあるので、その辺りの目安を検討するべきではないかという御意見を頂きました。
6ページで(6)にBSL-4施設の指定が行われたということをまとめさせていただきました。
(7)は危機発生時の研究体制です。先ほど申し上げたような、事前にそうした進行感染症が来ることを想定したプロトコールの開発などが必要という御意見を頂きました。
(8)「外国人への対応」です。やはり旅行者等が増加しておりますので、そうした外国人が一類感染症を発症した場合の対応について、具体的な状況を想定した検討が必要だという御意見を頂きました。
7ページはこの検討会のメンバーです。西條参考人から補足がありましたらお願いいたします。
○倉根部会長 西條参考人お願いいたします。
○西條参考人 今回、「ウイルス性出血熱への行政対応の手引き」という内容の手引きをまとめさせていただきました。2014年、2015年と西アフリカで非常に大きなエボラ出血熱の流行がありました。実は、このことはこれまでのエボラ出血熱流行では比較的小さな流行であったわけですが、エボラ出血熱流行ではこのような大きな流行は特別なことではなくエボラ出血熱でもこのような大規模流行が起こり得ることを示した事例だと思っています。今後、日本国内においても一類感染症の患者が発生する事態が予想されることから、今後の行政対応がどうあるべきかということを、今回の経験を踏まえて、これを記録し、そして問題点を洗い、更に改善していくといった視点で、この手引きと報告書をまとめさせていただきました。
最近、西アフリカからドイツに輸送された重症の患者さんがおられて、搬送後にラッサ熱と診断されました。残念ながらその患者さんは亡くなられました。そして、その方の埋葬に関わった方がウイルスに感染しラッサ熱を発症しました。この方は、日本の製薬メーカーが開発したファビピラビル投与による治療もなされました。幸いその方は回復されています。このように実際にウイルス性出血熱患者が非流行地でも起こりうるという事実を踏まえて、今後の日本国内における1類感染症患者さんの発生に備えた内容が含まれている手引きを作成しました。
中谷室長から詳細な報告があったので、重複する説明は避けます。例えば、西アフリカでの大きなエボラ出血熱の流行で何が分かったかというと、対症療法をしっかりとすることにより、予後の改善につながることが明らかにされています。1類感染症の患者さんを日本において治療を行う場合に参考となる事実です。さらに欧米で治療を受けた患者さんが比較的多く、今回の西アフリカにおけるエボラ出血熱大規模流行において経験されたことですが、一人一人の患者に関する報告を読むと、結構積極的な、介入的な、対症療法とはいえ、例えば透析であったり、呼吸器管理であったり、そういう高度な治療がなされています。このことが死亡率の改善に寄与していることに繫がっている可能性が理解できています。今後、日本における1類感染症の患者が出た場合における、医療の在り方についても、今後検討する必要があるだろうといった考え方で、手引きと報告書をまとめさせていただきました。
資料8の3ページで、先ほど中谷室長からも報告がありましたように、有効性が認められているわけではないが、治療効果が期待できる抗ウイルス薬が日本にあるわけですから、こういう薬剤の投与の在り方等についても、あらかじめ検討しておくことの必要性を提言させていただきました。
4ページに、各県に指定医療機関等が記述されていますが、医療機関のスタッフへの教育の在り方、その維持のあり方、又は連携した診療を行うような体制を構築することの重要性を考えて、手引きと報告書に提言させていただきました。
5ページに重要な点として、以下の提案がなされています。これまでも一類感染症の患者さんが入院した場合に、退院の基準についてはしっかり明記されています。病原体が排出されないということが確認されることが基準のひとつですが、今回の西アフリカにおけるエボラ出血熱の大規模流行を経験して明らかにされたことの中に、回復した患者の精液中に相当長く病原体が存在する場合があるということが挙げられます。実際にドイツで発生した患者さんで、ドイツで治療を受けた患者さんが治って回復したのだけれども、遺伝子検査をすると精液の中にウイルス遺伝子が存在した事例が報告されています。しかし、ウイルス分離検査をして、感染性のウイルスは検出されないということで退院させています。
今後は人権を配慮した上で、こういう退院の基準等について、しっかりと知見を集めて退院の新たな基準を設ける必要があるだろうという問題点についても提言させていたただきました。
○倉根部会長 事務局からの説明、西條参考人からの説明がありましたけれども、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
○岡部委員 西條先生、御説明をありがとうございました。5ページの病原体を保持しているか、していないかということは前にも随分議論があったと思うのです。ちょっとおっしゃったように、そのウイルスの核酸が見られていることと感染性というのは、必ずしも同一ではないので、その辺の研究並びに調査がきちんとできるような体制が必要だろうと思います。今のところ、ウイルス検出ということがほとんどが核酸の検知で代用されているようなことになっているので、やり過ぎではないけれども、その読み方には十分な注意が必要だろうと思います。
それに関連するような形なのですけれども、6ページの6番のBSL-4施設のことです。これの最後の行には、「ウイルス性出血熱等の病原体を用いた診断、治療等の研究が国内で実施できるようになった」となっています。私が今承知している限りでは、「研究」が必ずしもまだオープンでできるような体制にはなっていないのではないかと思うのです。私は研究ができるようにしたほうがいいと思っているのですけれども、そういうことが明言できるような方向に速やかに持っていく必要があるだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
○倉根部会長 西條参考人どうぞ。
○西條参考人 最初のほうの意見で、感染性のウイルスが患者さんの体液の中に含まれるかどうかということについて、遺伝子検査だけでいいのかということだと思いますが、全くご指摘のとおりで、遺伝子検査成績と感染性ウイルスの排出とは区別する必要があると考えています。遺伝子があるかどうかを調べることも重要ですが、それ以上に感染性のウイルスが排出されているかどうかをしっかりと調べることが重要です。この検査は専門家から言えば、非常に感度の良い、PCR検査と同等またはそれ以上に感度の良いウイルス分離検査が必要で、(BSL-4施設内で)ウイルス分離検査が行えるようにする必要があります。
次の質問に関連することですが、そのためにはBSL-4施設がなければならないということで、患者の病原体の診断だけではなく、患者の体の中で起こっている現象をモニターして予後を調べたり、又は退院の基準が(ウイルス分離検査等の)そういう検査に基づくとするならばBSL-4施設がやはり必要ということになります。
それから、今回の手引きは「診断、治療等の研究」と、この「研究」という言葉が記述されています。実際には昨年8月1日に厚生労働大臣によって、感染研にある高度封じ込め施設がBSL-4としての指定を受けました。この指定において、行われる作業が「診断、治療等」といった業務・作業となっています。ですから、現状では診断だけがBSL-4施設内で行われるということではないと認識しています。
○倉根部会長 他に御意見はいかがですか。調委員どうぞ。
○調委員 退院の確認をするときに、遺伝子だけではなくて、ウイルスが存在する、感染性の病原体が存在するかどうかを確認することは非常に重要だと思います。これは、2009年のpdmの時に私も経験したというか、まだ措置入院をやっていたときに、患者さんを退院させるために、延々とリアルタイムPCRで、ウイルスの核酸の存在をずっとチェックして、なくなったら退院させるという対応を取らざるを得なかったので、そうしていました。これは一類感染症だけではなくて、二類感染症に関しても同じようなことが言えると思いますので、是非この際に方法論を確立していただきたいと思います。
もう1つは、第一種感染症指定医療機関は、ほとんどの都道府県に設置されていると思います。特定感染症医療機関というのは、関東圏と大阪、名古屋にあります。第一種しか持っていないような地域で患者さんが発生した場合に、治療が困難であることが考えられるという提言だったと思います。具体的にどういう対応を取るのかということも是非検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○倉根部会長 他に御質問はよろしいでしょうか。報告をありがとうございました。次は報告事項2の「ジカウイルス感染症への対応の状況」です。これについても事務局から説明をお願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 資料9及び参考資料6です。資料9については、ジカウイルス感染症に関する政府の対応について、今年の3月29日の関係省庁会議で提出した資料です。2月1日に、WHOがジカウイルス感染について、公衆の保健上の緊急事態を宣言し、以後様々な対応をしてまいりました。資料9の一番右側の3月29日の1つ目の○「蚊の活動時期に備えた対応」として、国民全体で「夏の蚊対策国民運動」を展開すること。また、6月を「夏の蚊対策広報強化月間」として、様々の対策、普及啓発を集中的に実施すること。また、妊婦からの電話等相談体制を全国的に整備すること。リオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックに向けた対応をすること。
資料9の裏面では特に6月の強化月間の対応についてまとめています。1番の広報内容としては、国内の居住者向けには、個人が実施できる蚊の対策ということで、水たまりの除去などを広報しております。2つ目の○として、感染の可能性がある男性に対しての性行為によるパートナーへの感染の可能性についての周知・啓発をしております。3つ目の○は、妊婦の電話等相談窓口の周知をしております。
右側の海外渡航者向けには、2つ目の○で、妊婦の方には渡航を控えることを呼びかけております。3つ目の○で、流行地域に滞在中、又は流行地域から帰国した男女は、症状がなくても最低8週間、パートナーが妊婦の場合は妊娠期間中に、性行為の際のコンドームの使用や、控えることなどを推奨しております。最後に、流行地域から帰国した人は、症状の有無にかかわらず、2週間程度は蚊に刺されないように特に注意を払っていただくということをPRさせていただいています。
2番目の広報手段は、こちらに縷々書いてあるようなことをしております。参考資料6に、その具体的なリーフレットのリンクとか、政府広報のオンラインについて紹介しております。参考資料6の5ページと6ページは、厚生労働省だけではなくて、政府全体で関係機関に周知をしているといった概要を載せております。説明は以上です。
○倉根部会長 御質問、御意見はありますか。海外渡航者向けの3つ目の○の「症状はなくても、最低8週間」というのは、以前はもう少し短い時間であったように記憶しているのですが、これは8週間を推奨するということになりますか。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 以前は4週間ということで、WHOのリコメンデーションを参考にして、そのように広報しておりました。様々なエビデンスが出てきたことや、他の国では少し長めに安全期間を取っていることもあり、今回のキャンペーンに当たっては8週間としています。来週の火曜日にWHOで緊急委員会が開かれて新たなリコメンデーションも出てきます。この辺りの数字は今後も多少変わる可能性があります。これが確実というのではなく、呼びかけとして、今は8週間とさせていただいています。今後も変わるものという位置付けです。
○倉根部会長 他に御質問、御意見はありますか。ないようですが、暑い時期に向かいつつあるので、是非この取組をよろしくお願いいたします。次は報告事項3「黄熱への対応状況」です。事務局から説明をお願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 資料10を御覧ください。これは5月19日にWHOで、黄熱に関して緊急委員会が開かれ、その緊急事態宣言を出すかどうかという検討がされて、結局は緊急事態宣言は出ませんでした。特に流行地域での黄熱ワクチン接種などのリコメンデーションが出されたこともあり、一連の状況についてこの場で御報告させていただくものです。
資料10の1枚目は「黄熱(Yellow Fever)」ということで、ネッタイシマカなどの蚊によって媒介されるもので、大半の感染者は全く症状を示さないか、軽い症状のみです。症状を示した人のうち15%が重篤化して、重篤化した場合には20~50%の患者が死亡するということで、感染症法上は、他の蚊媒介感染症と同様に四類感染症に指定しております。推計ですけれども、毎年20万人がかかって、3万人が命を落とすという推計もあります。黄熱ワクチンの予防接種で予防が可能ということで、流行地へ渡航する人は、黄熱の予防接種の接種証明書の提示が必要となっています。
2ページは、現在の黄熱のリスク地域ということで、サハラ以南のアフリカと、北中部の南アメリカとなっています。3ページは、今回WHOで検討されたアウトブレイクです。アフリカのアンゴラ、コンゴ民主共和国において、昨年12月以降に患者が爆発的に増えたということで、国内ではアウトブレイク宣言がされて、対策がされています。
4ページは、特にアンゴラのほうの流行状況です。●が付いている所で、海沿いの所が首都のルアンダです。アンゴラ国内全土的に患者が出ている状況です。5ページはその流行の患者さんの推移です。6ページは、WHO等の国際機関が、その現地に入って、6ページの上のアンゴラの欄ですけれども、2月3日から首都ルアンダを中心にして予防接種キャンペーンを開始していて、5月には予防接種のワクチンを約700万人に接種しているが、更に240万人分のワクチンを追加して、予防接種のキャンペーンを現地で展開しているという状況です。下から3行目で、WHOは5月19日に緊急委員会を開催し、黄熱についてアンゴラ及びコンゴ民主共和国に出入国する人は、黄熱の予防接種を受けるよう徹底してほしいというリコメンデーションを各国に対して出しております。
7ページは日本での対応です。国立感染症研究所で、リスクアセスメントを実施していただきました。自治体には、そういう啓発について情報提供させていただき、黄熱のページを新設し、Q&A等を出させていただいています。また、検疫では、こうした内容の啓発を、ポスター・リーフレットを作成して行っています。検疫所のほうで黄熱ワクチン接種をしております。リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックがありますので、いつもより多目に黄熱ワクチンを確保しています。今回はこのこともあるので、流行地へ行く方には接種の呼びかけをしております。
8ページ、9ページは昨年11月の事務連絡です。黄熱ワクチンについては、接種証明書の有効期限が10年だったのですが、WHOからリコメンデーションが出て、今年の7月11日以降は、この有効期限が生涯になることが予定されています。今後接種される方で、7月11日以降の渡航の人については追加接種は要らないということです。そういうことを周知させていただくとともに、今、WHOでこの施行日を前倒しするべきだというのが、緊急委員会でも出ています。追加接種の方はプライオリティが低いということで、ワクチンを初めて接種される方を優先している状況です。これからは、そういうこともキャンペーンをしていきたいと思っています。説明は以上です。
○倉根部会長 ただいまの黄熱の件について、御質問、御意見はありますか。黄熱は古い感染症という言い方は適切ではないかもしれませんが、随分前から知られている感染症でワクチンもありながら、一方では余り話題になっていませんでした。海外で患者さんは随分出ているのですけれども、注目を浴びる感染症ではなかったのです。今回のように、こういう事態があると、やはりきちんとした対策が必要だということかと思います。大石委員どうぞ。
○大石委員 アンゴラのYellow Feverの流行については特に異論はないのですけれども、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックに関連して、ブラジルに渡航される方々に対しても予防接種はしておいたほうがいいと思います。たしかに、地域的には推奨されない地域もあります。ただ、地図を見ると、ほとんどが予防接種が推奨される地域です。ブラジルに渡航される方もオリンピックだけではなくて、観光目的などいろいろあろうかと思いますし、ブラジル以外の地域に行く可能性もあります。実際に昨年にはブラジルでも黄熱が報告されていますし、隣のペルーでは25例の黄熱の報告がある地域なので、そういうリスクのある地域に渡航するのだということを国民にちゃんと周知する必要があるのかと思うのです。一方では、ワクチンの確保というものが十分なのかどうか。その辺はいかがですか。
○倉根部会長 事務局いかがでしょうか。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 今年については、オリンピックの関係ですけれども、検疫のほうでワクチン接種については事前に予約が必要なのですが、そのときに渡航地をよく聞いて、リオデジャネイロはリスク地域ではないので、そこしか行かないという方にはワクチンを勧めないようにしています。渡航地とか、旅行でアマゾン地域に行くのかどうかというのは、予約のときにヒアリングをして、説明させていただいていると聞いています。ワクチンの量については、ブラジルでサッカーのワールドカップがあったときも、やはり渡航者が増えたというデータがあります。それを、更にプラスアルファで、オリンピックで渡航する人の数をカバーできるだけのワクチンは、提供会社のほうから既に確保していると聞いております。アンゴラに渡航する人が急に増えるとか、何か我々の予想を超える事態がなければ、十分量は確保されていると聞いております。
○大石委員 検疫所にワクチンの予約をするために問合せをする方はいいのでしょうけれども、それをせずにいきなり行ってしまう方のほうに問題が起こる可能性があるのかと懸念するところです。
○倉根部会長 つまり、情報提供をきちんとするということなのですね。
○大石委員 はい。やはり何らかの形で、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックに対しての予防接種の準備と啓発をしていく必要があろうかと思います。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 ありがとうございます。前回の部会のときに、そのプレスリリースを出させていただきました。それも含めて、ブラジルの旅行会社の組合に、そういうことの提供のお願いを個別にしています。リオのパラに関しては、その委員会にもそういう説明会をさせていただいて、各選手とかいろいろやっている人たちにも、団体ベースでそれぞれ伝わるようにという対応はさせていただいています。いずれにしろ、啓発をしっかりやっていきたいと思います。
○倉根部会長 他にはありますか。調委員どうぞ。
○調委員 すごく細かいことで恐縮です。資料の1ページに、流行地では毎年20万人が罹患して、3万人が命を落とすと。これは、死亡率が15%ぐらいだということなのでしょうか。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 これは確か、非常にざっくりとした推計のデータで、この資料を作ったときに何万人ぐらいがかかるのかという規模を知りたいということで載せています。死亡率とは関係のない、かなりざっくりとした推計です。死亡率は、また別の、きちんとしたペーパーベースのデータになっていますので、別に考えていただければと思います。
○調委員 その上の「発病者は」という所で、15%が重篤化して、そのうち2割から半分ぐらいが亡くなるということです。これで考えると死亡率は最大7.5%になる。同じページに、食い違った記述があるので御検討をお願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 はい。
○倉根部会長 御意見をありがとうございます。これは、きちんとしたデータがないというのが現実かもしれませんので、文献の数値をとると少し齟齬が出てくるということです。1つの紙で、確かに計算すると合わなくなることになりますので、御検討をお願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 はい。
○倉根部会長 他にはよろしいでしょうか。ないようですので、次の議題に移ります。次は報告事項4「熊本地震における関連施設被災状況と対応」について、事務局からお願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 資料11を御覧ください。今般の熊本地震の関連事項について報告いたします。まず、熊本市民病院の被災についてです。熊本市民病院は、熊本県の第一種及び第二種感染症指定医療機関として指定されておりましたが、今回の熊本地震により病棟の災害、また、給水施設の被害等によって感染症に限らず全ての入院患者さんが県内外の別の病院に転院しており、現状ではこの医療機関が使えない状態になっております。
今後の対応として、熊本市では平成30年度を目途に移転再建を予定しており、また、感染症病床も確保する予定と伺っております。それまでの間、第一種感染症指定医療機関は熊本県ではここだけでしたので、もしそうした役割が必要になった場合は隣県への受入れを要請していると報告を受けております。
2ページです。「ワクチン・血液製剤等の供給について」という6月7日付けのプレスリリースです。こちらは熊本県にある化血研が被災したということで、その被災状況についてプレスリリースをされております。これに基づいて厚生労働省では、関係のワクチンや血液製剤の供給状況について、他社の供給も含めて全体の見込み数についてお知らせしました。
2ページの1番、B型肝炎ワクチンについては、国内において化血研を含めて2社から供給されており、現時点では、平成28年10月に定期接種化された場合であっても、他社の増産等により必要なワクチンの供給が確保できる見込みと考えております。
2.インフルエンザHAワクチンについては、いわゆる季節性インフルエンザワクチンですが、国内において化血研を含めて4社から供給されており、現時点では、昨シーズンの必要量を上回る供給量を今シーズンに確保できる見込みとなっております。
3番として、その他のワクチン・血液製剤等については、化血研が製造するその他のワクチン・血液製剤については、現時点では、不足しない見込みということでプレスリリースしております。
3ページ以降は、同社からプレスリリースされた内容です。需給の見通し、復旧状況についての関連は7ページです。横書きのパワーポイントの資料です。「生産設備復旧及び製品供給の見通し」ということで、インフルエンザ(HA)ワクチンと、B型肝炎ワクチンについては、こちらに出ている状況です。説明は以上です。
○倉根部会長 この件について、御意見や御質問はございますか。よろしいですか、特にありませんか。それでは、この点の報告、ありがとうございました。次は報告事項5です。「日本ビーシージー製造株式会社に対する行政処分」について事務局から説明をお願いします。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 それでは、資料12を御覧ください。4月26日付けのプレスリリースです。医薬品医療機器法違反業者についてということで、日本ビーシージー製造株式会社に対して医薬品医療機器法の規定に基づいて業務改善命令を行ったので、お知らせしますということです。
2ページです。日本ビーシージー製造株式会社が自社の中で自己点検を行った際に違反事項を発見したので自主的に報告された事案です。2.違反の事実について書いており、1.届出エリア外での製造、2.製造工程及び品質検査に係る承認書と実態との相違、3.輸出用医薬品について必要な対応をしていた、ないしは予定と違うことをしていたということです。4.製造販売責任者の適格性等について適当な是正措置が行われていなかったことが報告されております。
3.業務改善命令ということで、1~5にある内容の改善命令を出すとともに、4.その他として、発出後1か月以内に業務改善計画の提出を求めており、こちらは5月25日に既に計画を受理しております。報告は以上です。
○倉根部会長 ただいまの報告に関して、御意見や御質問はありますか。
○岡部委員 昨日、予防接種に関する分科会が開かれて同じようなことが議論されております。そこの委員会でも、幸いにして効果や安全性に関わる問題ではなかったということは安心材料ではあるのですが、やはり多くの方、特に一般の方に不安感やワクチンに対する不信感を持たれることのないように、そして、日本のワクチンは決して悪いものではないと思うのですが、世界に誇れるワクチンを作れるような努力をメーカーの方にお願いしたいということが昨日の委員会での1つのメッセージでもありました。
○倉根部会長 御意見ありがとうございます。
○岡部委員 この委員会でもそういうことを求めていただければと思います。
○倉根部会長 どうでしょうか。そのような委員会としてのメッセージを、ということでありますが、それに関しても御意見。
○小森委員 ワクチン基本方針部会で私が発言をさせていただいたと思っておりますが、今回の事例は化血研の例があって、そして、ある会社が自主点検をされて報告をなさったというように考えやすい。では、他社はどうなのだということで、日本医師会の会員の中から、これを機会にワクチン製造各社に対するサイトビジットを行ってはどうかという提言もありました。
そういうことについて、現在の薬機法等に基づきつつも、厚生労働省としての対応は、どのようになさるのかということを含めてお聞かせいただければと思います。
○倉根部会長 ただいまの御意見、御質問ですが、事務局いかがですか。
○結核感染症課長 化血研の事案を受けて医薬局で聞いた話です。各メーカーに一斉点検を自主的にかけて、そういう中で日本ビーシージー製造株式会社のような案件が出てきて各社が自主的に、例えば、承認書を変更する等しております。ですから、厳しい第三者の目できちんと確認したほうがいいということはごもっともだと思いますので、もし、小森委員のおっしゃるようなサイトビジットをやっていただけるのならば、それはそれでいいのではないかと思います。
今日は医薬・生活衛生局が同席していないのですが、これは感染症対策にも関係することですので、詳細については、また次回以降でも、報告できればと思います。よろしくお願いします。
○倉根部会長 ほかに御意見はございますか。よろしいですか。先ほど岡部先生から、この委員会としてメッセージといいますか、まず意見をまとめると。
○小森委員 それは全メーカーに対する意見です。
○結核感染症課長 ワクチンメーカーでよろしいのですか。
○岡部委員 はい。
○倉根部会長 このことについては、委員会として、皆様が御同意ということでよろしいでしょうか。是非、委員会としての意見を酌み取っていただくということを委員会としてのメッセージとしていただきたいと思います。ありがとうございます。
議題4「その他」です。何か委員からございますか。よろしいですか。それでは、特にその他の議題はないようですので、議事としては以上で終了です。事務局から何かありますか。
○結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室長 次回、18回の開催については日程調整の上、改めて連絡いたします。また、小森委員におかれましては、今日の部会を最後に御退任されることとなりましたので、一言、御挨拶を頂ければと思います。以上です。
○倉根部会長 小森委員どうぞ、お願いいたします。
○小森委員 どうもありがとうございました。日本医師会で感染症室長を拝命しましてから4年余りになります。この間、SARSは少し前でしたが、MARS、エボラ、ジカ、デング、SFTS、そして新型インフルエンザ特措法の成立、また、それに対する附帯決議、更には政府行動計画、ガイドラインの策定にもいろいろ携わらせていただきました。着実に、それぞれ我々、国が前回のそれまでの経験を踏まえながら感染症対策に着実に成長といいますか、実効を上げているということ等について目の当たりにさせていただくこともできました。
とはいえ、平時の安全保障ということだと思います。幾ら準備をしても十分ということはないわけであります。国民の方々の協力がなければ全ては成し得ないと思っております。この間、御指導を賜りました関係者の方々、大変御苦労された事務局の方々、リスクコミュニケーションも報道の方々の対応も、やはり年を経て謙抑的で、なおかつ正しい情報を迅速にという方向になっていっているのではないかと思います。全てがこれでいいということではありませんが、先生方と一緒にこの時間を過ごさせていただいたことを誇りに思います。お世話になりました、どうもありがとうございました。
○倉根部会長 それでは、私からも小森委員におかれましては、本部会だけではなく、本当に多くの委員会、小委員会、作業班も含めて御尽力いただきました。また、方向性をきちんと見定めた御意見を頂きました。ありがとうございます。また、今後ともますますの御活躍をお祈りいたしたいと思います。先生、どうもありがとうございました。
それでは、第17回厚生科学審議会感染症部会を終了いたします。ありがとうございました。
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