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2016年1月14日 第47回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局雇用開発部建設・港湾対策室

○日時

平成28年1月14日(木)10:00~12:00


○場所

厚生労働省 共用第9会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

公益代表

鎌田座長、大橋委員、柴田委員

労働者代表

時枝委員、勝野委員、小倉委員

使用者代表

大木委員、福田委員、鈴木委員

事務局

広畑雇用開発部長、谷建設・港湾対策室長、富永建設・港湾対策室長補佐、佐藤建設・港湾対策室長補佐

○議題

(1)第9次建設雇用改善計画について
(2)その他

○議事

○富永補佐 定刻となりましたので、皆様おそろいですので、ただいまから第47回「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会」を開催させていただきます。

 まず、配付資料の確認をお願いいたします。

 お配りしております資料は、資料1及び参考資料として1~6となっております。

 それに加えまして、平成21年3月の建設産業専門団体連合会の調査報告書の抜粋というものを机上配付させていただいております。

 お手元にもし足りない資料がございましたら、お申し出いただければと思います。

 続いて、本日の委員の出欠状況の報告をさせていただきます。

 本日は、労働側委員の曾根崎委員、使用者側委員の土屋委員から御欠席の御連絡をいただいております。

 それでは、以後の進行は座長からお願いいたします。

○鎌田座長 それでは、議事に入ります。

 議事次第にありますとおり、本日の議題は「第9次建設雇用改善計画について」として、前回に引き続き、第9次建設雇用改善計画に関する論点について議論をしていただきたいと思います。

 それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○佐藤補佐 資料1ですが、「論点(案)」につきまして、前回の議論を踏まえまして修正をいたしておりますので、修正箇所に沿って御説明したいと思います。

 初めに「総論」の部分でございますけれども、前回の委員会で、PDCAについてしっかりやっていくべきだと御意見をいただいたところでございます。前回の委員会では、PDCAについて、毎年事業の評価をした上で予算措置をどうするか議論しているという御回答をさせていただいたところでございますけれども、それにつきまして資料を用意しておりますので、参考資料1をごらんいただきたいと思いますが、こちらで御説明したいと思います。

 建設雇用改善計画に関連する多くの事業が、雇用保険二事業という事業で実施されておりますが、この「雇用保険二事業の目標管理サイクル」の資料でございます。

 この図のとおり目標設定、効果の把握、適正な評価をPDCAサイクルで回していきまして、概算要求、予算案の提出ということに反映されているというところでございます。

 この目標管理サイクルの中では、公労使3者構成での労働政策審議会で報告・確認する、外部のチェックも通っているということでございます。

 2ページ目の評価方法についてでございますが、事業の執行率、縦の軸ですね。それと政策効果、横の軸。この2本で評価しておりまして、政策効果につきましては個別の事業ごとに目標を立て、その達成度を評価しているということでございます。

 目標達成度、事業執行率、両方とも高い場合はa。目標達成度が高いけれども執行率が低い場合はb。両方とも低い場合はc。執行率が高いけれども目標が未達成。この場合はdという評価になっております。

 下に評価結果の類型がありますが、c、dについては「事業の見直し又は廃止が必要」ということになっております。

 3ページ目は雇用保険二事業の目標管理について、建設関連施策を抜粋したものでございます。どのような目標を立てているかということと、26年度の評価について記載しております。

 1つ目の「建設労働者確保育成助成金」。こちらにつきましては、26'の目標のところをごらんいただきたいのですけれども、この助成金、助成措置があったことによりまして、教育訓練、若年労働者の確保・育成に資する取り組みを実施したとする評価を受ける割合が80%以上という目標を立てております。これについて、助成金利用者にアンケートをとりまして、こういった評価をいただいているというところで、これが80%以上という目標です。

 ➁ですが、助成金利用者から、本助成金の活用によって建設労働者の技能の向上または若年労働者の確保・育成の重要性について理解が図られた旨の評価を受ける割合が90%以上。

 それから、助成金の中の雇用管理制度コース及び若年者に魅力ある職場づくり事業コースの支給を受けた中小建設事業主の事業所における支給後6カ月を経過した時点の労働者の離職率を10.8%未満ということで、建設業の平均の離職率10.8%よりも低い離職率になるという目標を立てているところでございます。

 こうしたアウトカム目標と事業執行率に係る指標を合わせまして評価をして、26年度評価についてはaという評価を受けているところでございます。

 下の「建設労働者雇用安定支援事業」は、建設業に係る雇用管理研修の事業でございますが、こちらの目標は、研修を受けて教育訓練、労働移動、人材確保育成の推進等、具体的な措置を講ずることとした建設事業主の割合が80%以上ということです。また、離職率については10%未満、それから、アンケートの役に立ったという3つの評価が90%以上という目標を立てまして、これもaという評価を受けているところでございます。

 裏面に行きまして「人材不足分野における雇用管理指導援助業務推進費」でございますが、こちらはことしの新規事業であります雇用管理改善の促進事業。委託して行う事業でございますが、こちらについては、27年度からの新規事業ですので26年度の目標についての記載ありませんが、27年度は目標を立ててやっているところでございます。

 以下、業種横断的な事業で、建設業に関連するものをピックアップいたしまして記載しているところでありまして、「高年齢者雇用安定助成金」につきましては、26年度目標といたしまして、記載のとおりの目標を立てているところでございます。

 こちらについては、評価につきましては、目標につきましては達成しているところですけれども、事業執行率について低いということで、b評価を受けているところでございます。

 執行率が低いということでb評価を受けたということで、今年度、27年度につきましては予算額を減らして行っているところでございます。

 次に、認定職業訓練。こちらにつきましては、認定職業訓練などを行う事業でございますけれども、➁のところで、今年から始まりました「建設労働者緊急育成支援事業」、こちらの事業を新規で行っておりまして、こちらも訓練終了後の3カ月の訓練生の就職率70%以上といった目標を立てて、実施しているところでございます。

 以下「キャリア形成促進助成金」ですとか「職業能力評価の基盤整備」。これは技能検定の事業になります。それから、最後「技能継承・振興対策費」。こちらは技能五輪など、各種競技大会の開催などを行う事業でありますけれども、こういった事業につきましても、しっかりと目標を立てて評価しているところでございます。

 資料1に戻っていただきたいと思います。今後におきましても、このPDCAサイクルの中で取り組みを検証しながら各種事業を実施していくということで、「総論」のところに赤字で記載しておりますけれども、「これまでの取組を検証しつつ」ということで、しっかりやっていくということを「総論」の中で明記しているところでございます。

 続きまして、資料1の3ページ目をごらんいただきたいと思います。

 黒ポツの1つ目の二重線で消しているところなのですけれども、1つ目のブロックがわかりにくいという御意見をいただいたところでございます。

 3ページ目の一番下のところなのですけれども、こちらのほうに、建設業が社会資本の維持や災害対策に多大な役割を果たしており、地域に不可欠な産業であるということが記載されているところでございまして、こうした建設業の役割を述べた上で、この記述につなげまして4ページ目になりますけれども、「若年者に建設業の役割やその魅力を伝え、建設業で働くことに対する意識や関心を高めるため、小学校、中学校、高校等の教育現場や関係機関と連携した取組の推進」というわかりやすい記載に改めてございます。

 若年者の関係につきましては、参考資料2になりますけれども、昨年10月から「青少年の雇用の促進等に関する法律」が順次施行されております。前回、大臣表彰を復活させてはどうかという御意見もございまして、その際に厚生労働大臣によるこの法律の新たな認定制度につきましても御説明いたしたところでございますけれども、この参考資料2につきまして、富永のほうから御説明させていただきたいと思います。

○富永補佐 参考資料2についてご説明いたします。

 参考資料2は「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律」となっておりますが、これは法律の名前が改正によって変わりまして、「青少年の雇用の促進等に関する法律」となったわけですけれども、この法律、改正内容について記載されております。

 内容につきましては、青少年、若者の雇用の促進等を図る、能力を有効に発揮できる環境を整備するためということで書かれておりますけれども、まず、1の(1)に、関係者の責務の明確化をした。国、地方公共団体、事業主等の関係者の責務を明確化したということが1点。

 その次(2)に「適職選択のための取組促進」ということで、職場情報については、会社の職場情報につきましては、新卒者の募集を行う企業に対して、企業規模を問わずに幅広い情報提供を努力義務化したというのが1点。

それから、応募者等から求めがあったときは3類型。すぐ下にありますけれども、「募集・採用に関する状況」「労働時間等に関する状況」「職業能力の開発・向上に関する状況」について、1つ以上の情報提供を義務化したということが1点あります。

 それから、ハローワークでは一定の労働関係法令違反の求人者に対して、新卒者の求人申し込みを受理しないことができる。これはもともと職業安定法で、ハローワークは求人申し込みを全て受理しなければならないとされておりますけれども、法律で、特例として申し込みを受理しないことができるようになります。

➂として「青少年に係る雇用管理の状況が優良な中小企業について、厚生労働大臣による新たな認定制度を設ける」というのがございます。この認定制度については、その後ろに資料としてリーフレットをつけております。「若者の採用・育成に積極的で雇用管理の優良な中小企業を応援します!」というタイトルのリーフレットになります。この認定制度、「ユースエール認定企業」という名前になっておりますけれども、去年の10月からスタートしております。

 このユースエール認定企業というのは、一定の認定基準を満たす中小企業(常時雇用する労働者が300人以下の企業)が認定されるということになっております。その認定基準についてですけれども、1枚めくっていただいて、リーフレットの後ろ、2ページ目に認定基準が書かれております。この1~12まである認定基準を全て満たして労働局に申請していただくと、ユースエール認定企業として認定されるというものになります。

 そこに〈認定基準〉がありますが、

1 学卒求人など、若者対象の正社員の求人申込みまたは募集を行っていること

2 若者の採用や人材育成に積極的に取り組む企業であること

3 右の要件をすべて満たしていること

・「人材育成方針」と「教育訓練計画」を策定していること

・直近3事業年度の新卒者などの正社員として就職した人の離職率が20%以下

・前事業年度の正社員の月平均所定外労働時間が20時間以下または週労働時間が60時  

 間以上の正社員の割合が5%以下

・前事業年度の正社員の有給休暇の年平均取得率が70%以上または年平均取得日数が10日以上

・直近3事業年度において、男性労働者の育児休業などの取得者が1人以上または女 

 性労働者の育児休業等の取得率が75%以上

4 右の雇用情報項目について公表していること

・直近3事業年度の新卒者などの採用者数・離職者数、男女別採用者数、35歳未満の

採用者数・離職者数

・研修内容、メンター制度の有無、自己啓発支援・キャリアコンサルティング制度・

社内検定などの制度の有無とその内容、平均勤続年数、役員・管理職の女性割合

・前事業年度の月平均の所定外労働時間、有給休暇の平均取得日数、育児休業の取得

対象者数・取得者数(男女別)
5 過去3年間に認定企業の取消を受けていないこと
6 過去3年間に認定基準を満たさなくなったことによって認定を辞退していないこ 

   と

  7 過去3年間に新規学卒者の採用内定取消しを行っていないこと

  8 過去1年間に事業主都合による解雇または退職勧奨を行っていないこと

  9 暴力団関係事業主でないこと
10 風俗営業等関係事業主ではないこと
11 各種助成金の不正支給措置を受けていないこと
12 重大な労働関係等法令違反を行っていないこと

という認定基準を全て満たした企業がユースエール企業として認定されるわけですけれども、このユースエール企業に認定されるとどんなメリットがあるかというと、リーフレットの1枚目に戻って、

1 ハローワークなどで重点的にPRを実施

  2 認定企業限定の就職面接会などへの参加が可能

  3 自社の商品、広告などに認定マークの使用が可能

 また、キャリアアップ助成金、キャリア形成促進助成金、トライアル雇用助成金の受給を受ける際に、加算して受給をすることができるというメリットがあるというものになっております。

 こういった認定制度がスタートしているということでございます。

 もう一つ、表彰につきまして、参考資料3におつけしておりますが、「生産性向上と雇用管理改善の両立企業表彰(仮称)の創設」ということで、来年度予算で行う予定になっておりますが、タイトルのとおり生産性向上と雇用管理改善を両立した企業を募集して、表彰を行うという制度になっております。認定基準、表彰基準等は、これから詳細を詰めていくという段階ではございますが、こういった表彰制度も新しくスタートするということで、企業によっては活用できるのではないかと思っております。

 若者に関する法律と認定制度に関する表彰については、以上でございます。

○佐藤補佐 それでは、資料1の「論点」の4ページにお戻りいただければと思います。

 「➁女性労働者の活躍推進」でございますけれども、前回の委員会におきまして、女性が入ることによって新しい目線でよいものができると、こういったニュアンスを入れてはどうかといった御意見がございました。真ん中の赤字の部分でございますが「また」以下で「女性の力は、現場に多様な価値観や創意工夫をもたらし、建設業全体の活力につながるものと考えられる」といった文言を追加してございます。

 女性の関係につきましては、参考資料4になりますけれども、昨年8月に女性活躍推進法が成立しております。こちらにつきまして、また富永のほうから御説明させていただきたいと思います。

○富永補佐 参考資料4「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の概要(民間事業主関係部分)」という資料をお配りしております。

 この女性活躍推進法なのですけれども、趣旨としては、みずからの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性の個性と能力が十分に発揮されることが一層重要である。このため、女性の職業生活における活躍を推進し、豊かで活力ある社会の実現を図るという趣旨で定められたものでございます。この法律に基づいて、国が女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を策定する。そして地方公共団体が基本方針を勘案して、それぞれの地域における推進計画を策定するということになっております。

 各事業主さんにつきましては、資料の2番「事業主行動計画等」と書かれておりますけれども、これは301人以上の事業主については義務となっておりますが、300人以下の事業主については努力義務になっております。まず、自社の女性の活躍状況を把握し、課題分析を行う。具体的には、女性の作業比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、女性管理職の比率というものを把握して、課題分析を行うことが必要です。

 次の段階として、状況把握・課題分析を踏まえた行動計画を策定して、都道府県労働局への届け出を行う。その上で労働者への周知、外部への公表を行うということになっております。行動計画には、計画の期間、数値目標、取り組みの内容、実施時期を盛り込まないといけないということになっております。

 その次の段階として、自社の女性の活躍に関する情報を公表する。女性の職業選択に資するように、自社の女性の活躍に関する情報を公表する。女性の活躍状況に関する情報を厚生労働省のほうで集約しまして、データベース化して公表するという予定になっているようでございます。

 その後「認定制度」というのがございますけれども、女性が活躍している、できる企業に対して認定基準を設けて、認定を行っているというものがございます。資料には書いてございませんけれども、女性の男女別の採用における競争倍率が同程度であるか。あるいは女性労働者の平均継続勤務年数が、男性の平均継続勤務年数の7割以上であるか。雇用管理区分ごとの労働者の法定外時間、法定休日時間の平均が、直近の事業年度の各月ごとに全て45時間未満であるか。女性の管理職の割合が産業の平均値以上であるか。あるいは女性について、多様なキャリアコース、非正規社員から正社員への転換ですとか、キャリアアップに資する雇用管理区分の転換とか、30歳以上の女性の正社員としての採用について等、いろいろ評価基準、認定基準がありますが、その幾つを満たしているかによって、第1段階の認定、第2段階の認定、第3段階の認定として、女性が活躍できる企業として認定されるという制度になっております。

 行動計画の策定については、ことしの4月から施行となっております。

 女性の活躍推進法については、以上でございます。

○佐藤補佐 それでは、資料1の「論点」に戻りたいと思います。5ページをごらんいただきたいと思います。

 「➂労働時間・休暇制度」でございます。まず、長時間労働の解消が重要ということで、真ん中のところなのですけれども、文言について「更に」から「強力に」ということで表現を強めてございます。

 それから、前回の委員会で多能工の議論の中で、労働時間の詳細ですとか手待ち時間について議論がありまして、データについて宿題をいただいていたところでございますけれども、参考資料5をごらんいただきたいと思います。

 こちらの資料につきましては、産業の大分類別の常用労働者1人平均の月間/年間の実労働時間数でございます。総労働時間と所定内労働時間、所定外労働時間に分けてデータをとっております。

 まず初めに、合計の26年のところを見ていただきたいのですけれども、総労働時間、全調査産業計、全産業ですね。全産業では145.1時間、製造業では163.2時間となっておりますけれども、。これと比べますと、建設業の総労働時間の月平均でいきますと173.2時間ということで、全産業、製造業よりも長くなっているというところがわかります。

 特徴的なところといたしましては、建設業の所定内労働時間のところを見ていただきたいのですけれども、159.8時間となっておりまして、製造業が147.3時間、全産業が134.1時間ということで、所定内の労働時間がほかの産業よりも長い。所定外の労働時間で見ますと、製造業の15.9時間に比べまして建設業は13.4時間というところで、製造業よりも低くなっているという状況でございます。

 縦のほうには、規模別で500人以上、100人~499人、3099人、5~29人ということで、規模別にデータをとっておりますけれども、建設業で規模別で見ますと、まず所定内の労働時間、月平均で見ますと、500人以上が、26年に152.1時間。それから、だんだん規模が小さくなりますと、所定内の労働時間数がふえている。153.1時間、158.4時間、161.7時間と、そういう状況が見られ、所定外の労働時間につきましては、500人以上の大規模の企業が25.0時間。それから、規模が小さくなるにしたがって、所定外の労働時間が下がっていくという状況が見て取れると思います。

 2枚目の資料は月別の労働時間の比較となっておりまして、建設業で見てみますと、総労働時間で見ますと、11月が181.8時間ということで11月が長くなっておりまして、1月が153.1時間ということで、1月が少なくなっているという状況でございます。

 続きまして、3枚目でございます。建設業のうち中分類別の1人平均の月間/年間の総労働時間の比較でございます。

 総合工事業、職別工事業、設備工事業に分けて記載しておりますけれども、26年のところを見ていただきますと、総労働時間で比較いたしますと、26年、設備工事業が若干高いのですが、大きな違いは見られないのかなと思っております。

 所定内の労働時間で見ますと、総合工事業160.4時間、職別工事業163.6時間ということで、総合工事業よりも職別のほうが所定内の労働時間が長くなっている。設備につきましては156.1ということで、設備の所定内労働時間は少なくなっているという状況が見られます。

 4枚目は、中分類別の常用労働者1人平均の月間の出勤日数の資料でございます。先ほど、建設業は他産業に比べて所定内の労働時間が多くなっておりまして、その要因の1つといたしましては、やはり休日が少ないと推測されるのではないかと思っております。他産業と比較して、常用労働者1人平均の月間の出勤日数を見ると、25年のところで見ますと、調査産業計が18.9日、製造業が19.5日となっておりまして、建設業が21.2日ということで、ほかの産業よりもやはり建設業の出勤日数が多くなっている。休日が少ないということが見てとれるのではないかと思っております。

 今、お示しできる労働時間に関する資料はこういった資料でございますけれども、この中には、前回議論になりました手待ち時間という資料がありませんでした。そこで手待ち時間につきまして、第45回のヒアリングのときに、芝浦工大の蟹澤先生からヒアリングを行ったのですけれども、蟹澤先生に我々でお話を聞きに行ってまいりました。その際に蟹澤先生がされていたお話を少し紹介したいと思いますけれども、皆様のお手元に過去の資料のファイルがありますが、こちらに附箋をつけております。こちらがヒアリング時の蟹澤先生の資料になりますけれども、こちらの資料をごらんいただきながらお聞きいただければと思います。

 蟹澤先生のほうからは、まず、手待ちの問題。こちらを議論するに当たっては、まず初めに労働生産性のことを考えてほしいということでございました。

 先生の資料の6ページの下のほうでございますけれども、2012年時点で製造業との労働生産性を比較しますと、製造業の半分以下になっている。一番下の四角が建設業でございますけれども、製造業の半分以下で、全産業平均の60%と低い。建設業が、労働生産性がなぜ低いのかということをも考えてほしいということでございます。

 この労働生産性稼働率というのは論理的に考えることができるということで、先生の資料の7ページ目の下でございますけれども、労働生産性というのは、付加価値額を従業者数で割ったものでございますが、労働生産性の低い要因分析をいたしますと、次の8ページ目になりますが、まず分子が小さいということで、受注単価が低い。ダンピングなどによって受注単価が低くなっている。それから、作業に対する所要の労務量が多いために、稼働率が低いので歩掛かりが低いということで、下のほうに歩掛かりの式が載っておりますけれども、歩掛かりが低いということが要因として考えられるのではないか。

 稼働率、歩掛かりを向上させるためには、9ページ目でございますけれども、まず所用人数を減らすこと。それから、省力化により、現場に必要な作業時間を減らすこと。作業可能な数量をふやすこと。作業をふやすということで受け持つ仕事をふやす。多能工化ということが考えるのではないかということでございます。

 所要労務量がなぜ多いかということを考えていきますと、やはり手待ちという問題に到達するのではないか。現場に長くいるけれども稼働率が低いですとか、実労働時間といえども、実際に稼働しているかどうかということは疑問だということでございます。

 実際、建設現場の稼働率に関する具体的な調査データというものはないのですけれども、実感としては、業態によっても違ってくるのではないかということで、それほど重層化が深くない土木ですとか躯体のとびなどについては、仕事に入れば1日仕事があるということでございますが、重層化が深い内装設備関係につきましては、やはり手待ち時間があるのではないかということでございます。

それから、現場への移動時間ですとか、現場において作業場の確保のための待ち時間。前の業者が入っていたら、次の業者が中に入らずに外で待っているという慣習があるですとか、こういったことも稼働率を下げる要因となっているのではないか。こういうような先生からのお話がございました。

 本日、机上配付をしているのですけれども、平成21年に建設産業専門団体連合会のほうで「建設専門工事業の労働生産性に関する調査報告書(抜粋)」というものを出しております。この中で、手待ちですとか手戻りがどの程度発生しているかといった調査も行ってございます。

 こちらの資料なのですけれども、まず「工事計画上の問題とその対策について」ということで➀~➄に書いていますが、「事前調査不足による手待ち・手戻り」ですとか「図面間違いによる手待ち・手戻り」。こういったことに関する調査を行っておりまして、その結果が2ページ目以降に記載されているところでございます。ページは少ないのですけれども、裏面の2ページ目をごらんいただきたいと思います。

 まず「事前調査不足による手待ち・手戻り」でございますけれども、こちらの調査結果を見ますと、設備系が「頻繁にある」というのが13.0%、「時々ある」というのが78.3%ということで、9割以上がこうした手待ち・手戻りというのが「頻繁に」あるいは「時々ある」というような回答結果となってございます。

 それから、下の「『図面間違いによる手待ち・手戻り』の発生頻度」でございますけれども、こちらも設備系が13.0、「時々ある」が73.9ということで、設備系が多くなってございます。

 次のページ「頻繁な設計変更による手待ち・手戻り」ですけれども、「頻繁にある」というのが、躯体系が20.8%。それから、設備系。こういったところが多くなっておりまして、「時々ある」を合わせると、やはり設備系が多くなっております。

 4番の「不適切な工程計画による手待ち」でございますけれども、これは全般的に発生しているような状況でございます。

 次のページは「作業の細分化による効率低下」ということでございます。

こちらは仕上系が「頻繁にある」というところが回答が多くなってございます。逆に、土木系につきましては、「頻繁にある」「時々ある」含めましても半分以下という状況でございます。

 次のページは「工事管理上の問題とその対策について」ということで、手待ち関係については➀~➃になりますが、「指示間違い」「指示の遅れ」「前工程の未完了」「材料到着の遅れ」。こういったことを取り上げて調査をしております。

 次のページは「『指示間違いによる手待ち・手戻り』の発生頻度」ということで、「頻繁にある」というのが躯体系が多くなっております。全般的に多い回答になっております。

 2番「指示の遅れによる手待ち」でございますけれども、こちらも躯体系が「頻繁にある」という回答が多くなってございます。

 3番目「前工程の未完了による手待ち」でございますけれども、こちらにつきましては、仕上系が23.7%ということで多くなっておりまして、「時々ある」を合わせても、9割近くが前工程の未完了に手待ちがある。

 4番目「材料到着の遅れによる手待ち」でございますが、躯体系が多くなってございますけれども、ほかは少ないというような状況でございます。

 こうした調査結果もあるところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、資料1の「論点」にお戻りいただきたいのですけれども、➂の下のほうで、赤字で追加をしているのですが、「また」以下ですね。「また、建設業は、重層下請構造の中で、分業化が進み、現場に入るのべ人数が多く技能労働者の稼働率が低いため、他産業に比べて労働生産性が低くなっているとの指摘もある。稼働率向上のためには、手待ち時間の短縮が効果的であり、労働時間短縮の方策として一人の技能労働者が受け持つ仕事を増やす多能工化などの取組みを推進することも重要ではないか」という追記をしているところでございます。

 資料1「論点(案)」の修正につきましては、以上でございます。

○鎌田座長 以上ですか。どうもありがとうございました。

 それでは、これから御質問、御意見をいただきたいと思います。基本的には、資料1の各論点について御意見をいただければと思いますが、既に提出されました資料等についての御質問、御意見でも結構です。どうぞ自由に御発言をお願いいたします。

 どうぞ。

○柴田委員 資料のほうのユースエール認定企業とか、女性のほうは、まだ認定制度はできていないのでしたか。

○富永補佐 昨年の12月に認定マークができていますので、これから応募の段階にいくのではないかと思います。

○柴田委員 私がちょっとお聞きしたいのは、この制度自体がどうのこうのというのではなくて、この認定されている中に建設業はどのぐらいの割合で入っているのか。要するに、入れるような企業があるのかなというのが。

○富永補佐 ユースエール企業も女性の認定もまだこれからです。

○柴田委員 これからなのですね。

○富永補佐 ええ、これから募集です。

○柴田委員 こういうものがあると、建設業がまたおくれをとっていることが強調されて逆にイメージが悪いなと思ったものですから。

ありがとうございます。まだわからないのですね。

○鎌田座長 よろしいですか。

○柴田委員 はい。

○鎌田座長 大木委員、どうぞ。

○大木委員 手待ちの問題ですが、赤い線で書いてある「重層下請け」だとか「多能工化」というのは、それはそれでいいかなと思うのです。ただ、手待ちの問題と重層下請が直接リンクするのかなという感じもするのです。

 この建設連の調査によると、設計のミスだとか、あるいは手配のミスだとか、手戻りだとか、工程管理がよくないとか、技能者の問題ではなくて、技術者レベルの問題でもあるのかなという。重層下請をなくしたからって、手待ちが少なくなるとも思えない。重層下請は、賃金の問題とかいろいろな意味でなくしたほうがいいと思うのですけどもね。それはそれでなのですけれども、手待ちとリンクするのかなという感じはしてしまうのです。

○鎌田座長 この点についてはいかがですか。

○谷室長 蟹澤先生のところでお話をお伺いしたときに、蟹澤先生はやはり、特に設備系とか仕上系の話を言われていたのですけれども、そこでいわゆる作業が細分化されているので、それぞれの業者が現場に入るルールというか、次の業者が入るのを待っていなければいけないとか、作業場を確保するのに業者ごとにやっているとか、そういうのが、設備系とか仕上げ系では、手待ち時間を多くしている要因になっているのではないかと。まず、そこに着目して多能工化を進めるべきではないかということで、業態・業種によっても違うという話はあるのですけれども、多能工化が手待ち解消のために一方策として進めたらいいのではないかということでした。そういう観点でここに「多能工化など」ということで、一つの取り組みを進めるということで書かせていただいております。

 だから、それが全てということではないという御理解をしていただきたいと思うのです。

○広畑部長 国土交通省などでもちょっと議論をしていまして、まさしく現場の、例えば元請の施工管理とかそういった観点でも、今、例の杭の問題もあったりしていろいろ議論をしていますので、ちょっと多能工化だけではないと我々も思っておりますので、労働時間短縮のためにどういう方策があるのかというのは、もう少し幅広く検討させていただきます。時間はそんなにありませんけれども、盛り込めるものがあれば、盛り込んでみたいと思います。

○鎌田座長 その点で、ちょっと話は変わってしまうのですが、先ほどの年間の実労働時間数のデータを見ますと、少し私、不勉強で初めて知ったのですが、所定内労働時間が他産業と比べて長いのですね。何となく私は時間外が多いのかなと思っていたのですが、それも他産業と比べて多少は多いのですけれども、でも、時間外で言うと、製造業よりも建設が少ないのですね。だけれども、全体として見ると所定内労働時間は長い。製造業よりももちろん長いし、一般よりも長い。

 そうしますと、所定内労働時間が他産業より長い、製造業より長いというのは、原因はどういったところにあるのかなというのが私の疑問なのですが、先ほどの事務局の御説明だと、原因の1つは休日数の問題ではないかということですが、この点について何か思うところがあれば少し教えていただきたい。

つまり労働時間を縮減しよう、短縮しようというのは、課題としては当然のことだと思うのですが、今まで何となく時間外労働を、残業を規制するという発想が強かったのですが、所定内労働時間が長いというのは、少し違う観点も出てくるなと思ったものですから、その辺のところを、何かもしおわかりであれば教えていただきたいなと思うのですが、いかがでしょうか。

○時枝委員 いわゆる職人さんの労働時間の話になるかと思うのですけれども、単純に1年間で50週あって、現場はほとんど土曜日稼働していますので、ですから50掛ける8時間で、それだけで年間50×8で400時間多いわけですね。

 肉体労働ですから、1日の労働時間は15時間も働くということはありませんし、残業してもせいぜい12時間とかだと思いますし、それは定常的ということではなくてですね。

○鎌田座長 それはわかる。つまり、製造業などは週休2日というのはかなり定着していますので、それが定着していないということ。

 ただ、労基法は、週労働時間40時間という、所定時間をこれ以上つくるということはできないわけですから。所定労働時間のレベルで言えば。だから、休日出勤が多いというのはわかるのですが、さらにこの所定労働時間が多いというのは、休日だけの問題なのかなというふうに。

 例えば、変形労働時間だとかいろいろなものがかみ合わさって、少しふえている。所定労働時間が目いっぱいになっているというような。これは全く推測なのですけどもね。一つ、休日というのは言えるのだなということで。

○大木委員 よろしいですか。

○鎌田座長 どうぞ。

○大木委員 前回も出たのですが、この労働時間の問題、技術者と技能者と議論を一緒くたにしてしまっているという。参考資料5によると、規模別によって所定外と所定内が違うという。いわゆる職人というのとゼネコンの技術屋さんとでは、やはり労働時間が全く構成が違って、職人はそんなに時間外多くないです。土曜日は休まないですけれどもね。  

ただ、変形労働時間制でやっていますから、ここにありますように、1月とか正月とかお盆休みは休日が多いのですけれども、ほかの月は所定内が多くなってしまうというようなこともあるのですね。いわゆる職人は。

○鎌田座長 変形ですからね。

○大木委員 それで、技術屋さんはそうではないのだなという。それを一緒くたに論議しているから。ここでの論議は、技術屋さんではなくて、いわゆる技能者に対する問題なのかなという。

○谷室長 この間の座長からの技術者と技能者のデータが出ないかという話でちょっと調べたのですけれども、大変申しわけないのですが、データを見つけることができませんでした。

 それで、今、言われたとおり、我々の論点としましては、技能者ということで今、お話しさせていただいております。いわゆる多能工化という意味でですね。

○鎌田座長 ただ、どういうふうに文章化するかはわかりませんが、技能者・技術者の就労形態の違いに留意しながらとかね。やはりそこで混乱させないような議論をしたほうがいいと思うのですね。皆さんが共通、今、大木委員がおっしゃったように、やはりちょっと分けて考えたほうがいいのではないかという認識をお持ちであれば、少しターゲットをちゃんと明確にした上で長時間労働の短縮ということを盛り込んでいくといいのではないかと私は思うのですけれども、こういった点はどうですかね。

○時枝委員 よろしいかと思います。

○鎌田座長 ですから、事務局には申しわけなのですけれども、今後少しこの問題を考える場合に、技術者と技能者別の何か調査を、データをどこかで見ていただく。なければ、少しそれも考えて実態を把握しておく必要があるのではないかなと思うのですが、いかがでしょうかね。

○谷室長 表現ぶりなどをちょっとわかりやすいようにやっていきたいと思います。

○鎌田座長 しつこくて申しわけないのですけれどもね。

○広畑部長 そこは国土交通省などとも、あるいは関係団体とちょっと連携して何かやらなければいけないかなと思っていますし、両方に聞く話は、すぐにでもやらなければいけないのは、多分適正工期の設定とかですね。これは多分両方に聞く話なのでしょうけれども、今回のマンションの件もありましたので、公共発注だけではなくて、民間発注だとそういうことが問題になっているのだということを、例えばマンション関係の不動産協会も、ちょっとその点について会員周知を図るみたいなことも考え始めていますので、それは多分技術者・技能者に聞く話だと思います。

 あとは今、座長がおっしゃったように、もう少し詳細な調査みたいなことを国土交通省の中でも相談してみて、できるところから手をつけないと。若年者の入職促進ですので、悠長なことは言ってられないです。その辺はちょっと相談させていただければと思います。

○鎌田座長 では、あとワーディングについて、 何かつけ加えがあれば。

○福田委員 実態がどうなのかと言われるとすごくつらい部分もありますが、日建協さんでやっている運動で、年に2回なのですが、土曜の作業所閉所運動があります。それは年に2回土曜日を休みに、現場を休みにしよう。それも達成率はそんなに高くないですよね。

○時枝委員 閉所率これまで4割ぐらいで停留していたのですが、一昨年から改善傾向がみられ、昨年は約6割になりました。

○福田委員 高くなったと言っても、それは年に2回ですよ。それで、今、国交省さんなどでもいろいろやっている週休2日制にする。4週8休というのを打ち出しています。なかなかそれはハードルが高くて、やっと、せめて月に1回ぐらい土曜日を閉所にして、みんなが休むようなことができればすごくいいなと私などは思っているのですが、そこまでもなかなか到達できないという部分で労働時間が長くなっています。それは技術者も技能者も一緒です。

 ただ、労働時間というと、技術者が圧倒的に多いと思います。それこそ会社を背負って働いている。技能者のほうは、残業になりそうな時応援を出してもらったりして交代していると思うのですけれど、そういうやりくりはしていると聞いていますが、その辺で実態がなかなか難しい部分があると思っています。

○時枝委員 参考までに外勤技術者の年間総労働時間ですが、日建協の36加盟組合平均で一昨年11月は99時間と、100時間に迫るところだったのですけれども、昨年11月は改善して約80時間でした。過去10年ぐらいのオーダーで、80時間以上で常態化している状況ですので、それを単純に12カ月掛けると、年間総労働時間は2,700時間から2,800時間。ですから、職人さんの1,800時間とか1,900時間というオーダーとは次元が違うといえます。設計事務所やお客さんと打ち合わせをしながら、いろいろな物を決める。物が決まらないと図面が描けない。それが職人さんにも被害、迷惑をかけているという構図でございます。ですから、問題の諸元は上流、上流であるわけですけれども、その全体を改善しない限りは、どこもよくならないということになると思います。

 例え、適正な工期で契約したとしても、建設プロジェクトでは、不確定要素は付き物で、請けた後にいろいろな諸課題、トラブル、設計変更が発生します。それでも事業によっては事業スケジュールありきの工事も当然ありますから、そういうところにおいてはもう、そこで関わる者が負担してやりくりしているというのが現状でございます。その辺はいろいろ問題がありますので、ちょっと整理して議論しなければいけないと思います。

○鎌田座長 ただ、今、ストレスチェックだとか、賃金の割増率とか、月60時間の時間外であると50%になるとか、かなり国を挙げて長時間労働に対する、言ってみればサンクションを強化している中で、そういったコストが当然相当にかかっているわけですね。その中で、なぜそれがなかなか改善されていないのか。今、10年間とおっしゃったけれどもね。

○時枝委員 すぐ出てくるオーダーとしては10年。

○鎌田座長 その辺の大きな原因というのは、どの辺にあるのですかね。要員が少ないとかいろいろなこともあるのでしょうけれどもね。

○時枝委員 やはりこれまで言われている価格ダンピングとか、工期のダンピングですね。、過当競争によって、民間はどんどんハードルが高くなってきてしまっている。公共工事のほうも、全体のパイが縮小してきていますから、そういうところでの過当な入札だったり、公共発注者では技術力低下の問題もありますね。3.11以降、例えば概略発注みたいなものも増え、東北の復興プロジェクトなどでは、受注者が相当な設計支援をやっていたりするということで、膨大な長時間労働をしているという実態もあります。

○鎌田座長 国交省で入札とかをかけるときに、いわば適正工期といいますかね。それは当然省としても考慮の中に入ってきているわけですね。そうした場合、労働時間の問題というのは何かチェックするような仕組みというのはない。

○広畑部長 前の経験でいきますと、率直に言ってしまうと、機能しているチェックはないです。いい悪いは別として、そういう実態になってしまっています。あとは何度も再入札をやったりして、ますます工期が短くなったりとかですね。低入札があったりとかいろいろな問題があったりして。さらに総合評価みたいなことをやってしまっているものですから、非常にチェックに時間がかかって、それがかえって応札者にも迷惑をかけているという実態は正直あると思います。

○鎌田座長 なかなか一口に改善といっても、いろいろなものが複雑に結びついているということですね。

 でも、今、言ったように、技術者と技能者というのを少し分けて、課題がちょっと違うような気もしますので、そこら辺のところは、今後データの集積も含めて検討してください。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員 先ほど部長からお話がありましたように、国土交通省は結構積算基準とかを見直されており、例えば稼働率は4週8休で積算していますとか、トンネル坑夫は今まで1日10時間労働だったのを8時間にしますとか、いろいろ改善していただいています。適正工期は入札の中でもいろいろ工夫しながらその意味を定義して頂いております。ただ、国土交通省に準じる準公共といいますか、NEXCO3社とかJR各社とか鉄道運輸機構とかがまだそこまで追いついてないのかなという感じがします。

 もう一つは、建築工事の民間ですね。それは民間の工事を受注する元請企業も悪いのでしょうけれども、やはりその辺で適正な工期が確保されていないのかなというのは非常に感じます。国土交通省がどこまで強力に指導していただけるかというのが注目点だと思います。

 あと、製造業と建設業というのは、建設業は企業先がいろいろ変わりますが、製造業はその会社内だけなので、やはり今言ったように、企業先が国土

交通省であったり地方公共団体だったり民間だったりということで、その辺で実労働時間が減らない等々があるのかなと考えられます。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 この点について何かほかにございますか。

 どうぞ。

○小倉委員 先ほど来の議論から、労働時間が中心的な議論がされているわけですけれども、生産性向上、多能工化の話で申し上げますと、時間短縮、手待ち時間がなくなるということも当然あるわけですが、多能工化することによって1人の技能労働者が複数の技能を身につける。その結果、賃金を含めた処遇改善につながるという側面もあります。今の議論ももちろん重要なわけですが、記載をされているところは「労働時間・休暇制度」というところになっておりますし、別の項目を立てるのか、どういう形がいいのかというのは、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 以上です。

○鎌田座長 あと、ほかにございませんですか。

 柴田さん、どうぞ。

○柴田委員 違うテーマでいいですか。

○鎌田座長 結構です。

○柴田委員 私は「賃金制度」のところの2段落目「40歳台をピークに下降することがあるとの指摘もされており」の後の、「職種別に優秀な建設技能者の技能と経験に見合った報酬の確保に向けた取組も行われている」の箇所が、すごく重要だと思うのですね。要するに、賃金カーブがすごく早目に下がってしまうというところで、ここをもうちょっと深目に書いていけないかなと。その後に「技能労働者が自らの職業生活の設計をできることが」といってさらっと書いてあるので、ここを、将来もっとお金がもらえるのだというような制度とか、能力が評価されるというところを何かもっと、アイデアがないのでちょっとあれなのですけれども、もうちょっと書き込めないかなと思って、希望です。

 これはIDの、いわゆる国交省さんとやっているビッグデータをつくることだけではなくて、ほかにもいろいろあるということですね。

○谷室長 ここは建設業振興基金のところで、今、コンソーシアムというのを立ち上げて、そこでこういった取り組みを行っていることを念頭に置いて記載した部分でございまして、それで「業界として」というふうに入れたのです。

 私どもとしては、助成金を活用していただいて、建設業だけではなく職種横断的なものもありますし、建設の助成金の中にも魅力ある職場づくりのための、そういう制度設計するための助成金などもあります。

○柴田委員 技能検定で上級資格取得の人は、ちょっとお給料が連動してもらえるとか、認定制度で、マイスターのような方は、お金がちゃんともらえるとか、団体でやっていることのほうに入っているのですか。

○谷室長 国としては、技能検定みたいな制度を活用してもらうとか、それに対する支援をするとか、そういうスタンスで施策を展開していくことになると思うのです。それと制度の周知、PR。それについては、後ほど来年度の予算の説明もありますので、そちらのほうでも御説明させていただきたいと思います。そういった面もこの中に書いていくことは可能ですので。

○柴田委員 はい、お願いします。

○谷室長 そこはもう少し検討させていただきたいと思います。

○鎌田座長 この点についてなのですけれども、今、柴田さんが御指摘いただいたこの点。例えば「技能労働者が自らの職業生活の設計ができることが、若年者の入職・定着に重要と考えられ、こうした取組は、技能労働者のキャリアパスと賃金体系の見える化に資する取組としても効果的であり」というふうなことなのですが、これはいわば企業というか業界というか、そういったところが当然考えていくことなのですが、先ほど御紹介いただいた若者雇用促進法の考え方をここで当てはめますと、1つは、今、言ったことなのですが、もう一つは、そもそも若者、若年者が、自分の生涯にわたっての職業生活を考える場合に、建設業に仮に入ったとしても、どんな将来があるのかということが、実はよくわからない。

 入ってみて、今まで皆さんの話を聞くと、人間関係だとかいろいろなことで悩んでやめるとかということもある。それは確かに建設業独特の問題もあるとは思いますが、他産業でも同じ問題で、とりわけ非正規。派遣だとかパードだとかアルバイトというのは、全く同じ問題なのですね。自分たちはこれからどうなっていくのだろうということで、確かに、雇用管理がしっかりしている常用労働者に対してはある程度の見える化というのはでてきいますけれども、不安定な日雇いだとか、あるいは期間を定めて働いている人たちにとっては、自分がどうしたらいいのか、資格を含めてよく見えないというか、ほとんど見えていない。

そこで、キャリアコンサルティングということをしっかり進めていこうと。それで、今度の派遣法は、事業者に相当怒られてもいるのですが、派遣元の負担でそれをやれというふうに義務化したのですね。建設業はそこまではあれでしょうけれども、やはり抱えている非正規というか、期間を定めた、あるいは比較的不安定な働き方をしている人たちに対するキャリアコンサルティング。あるいは生涯設計についてのどのような資格があるよとかということは、どういうふうに。進めておられるのではないかと思うのですが、現状においてはどういうふうな実態になっているのでしょうかね。

○谷室長 よろしいでしょうか。

○鎌田座長 どうぞ。

○谷室長 国土交通省と一緒になって、建設労働者の人手不足対策ということでここ2~3年やっておりますけれども、国土交通省がまとめる資料でも一丁目一番地は処遇改善という認識はしていただいていますので、大きな方向性については、今、座長がおっしゃるようなことは認識されていると思います。ですから問題はその次の各論がどこまで出していけるか。例えば、登録基幹技能者をどういうふうに処遇改善していくとか、キャリアパスを最初から向こう10年、20年見せろとか、そういったところを推進していくのは課題だと思っています。

○鎌田座長 それでも各企業においていろいろ努力はされているわけですね。そうすると、ちょっと変な言い方かもしれませんけれども、しっかりした企業と、ちょっと取り組みが遅い企業ということを労働者に見える化して、そういったものが、例えば業界横断的なキャリアコンサルティングとなるかどうかわかりませんが、そういったものを見える化していくというようなことは必要ないのでしょうかね。派遣ははっきりそういう発想はあるのですよ。要するに、業界として淘汰しようという。つまり、だめな企業は人は来ないよというふうに。

○福田委員 その件でいいですか。

○鎌田座長 どうぞ。

○福田委員 見える化して果たしていいのかなと思います。きょうもちょっと心配になったのは、ユースエール認定企業です。私は別の分科会に出ていて、このマークは、私は、これを選んでよかったと思っていて、その会議はそれでよかったのですけれど、これが建設業にどれだけ当てはまるのかなと思うと、建設業はどの企業も落っこちてしまって、逆に、なんだ、建設業というのはこんな状況なのかという逆効果になるとちょっと怖いなと思います。そのときは、若者はこれからこういう認定をされて、どんどんそういう会社に行くものだということで大分推奨したのですけれども、建設業に至っては逆効果だったかと思って、逆に怖いような感じがしました。

○鎌田座長 だから私が心配したのは、例えば建設業に離職率というのを今度、一応雇用情報で出してくださいとなったのだけれども、勝手な想像ですよ。離職率が結構高いのではないかという。

○福田委員 高いのですよ。だから、これは実際、ほとんど入らないのかなという気がしました。、これをずっと見ていて感じました。

○鎌田座長 今、学生などはすぐ聞くのですね、離職率。

○福田委員 昨年ですかね。やっと3万人若者がふえたと喜んでいたわけですけれども、こういうのが出てくると、また逆効果になってしまうのかなという感じがしました。
○鎌田座長 ちょっと後ろ向きになってもいけない。だから、言ってみれば建設業という業界の中で定着する、あるいは、せめて業界の中で移動するという仕組みで、建設業で働く若者が、自分たちの10年後、20年後が見えるようにするということが大切だろうと思うので、そういったような仕組みというのが、どういうふうになされているのかなという。余りわからないで聞いているので申しわけないのですけれども、非正規については、今、言ったように、かなり強力にその辺の改善を図ろうと考えているのですけれどもね。

○福田委員 今、我々が取り組んでいるのは処遇改善で、賃金もアップして、目標が40代で600万。それから30代で400万とか、そういう基準は設けているのです。それと週休2日制とか、技能を身につけるための支援策とか、いろいろなことをやっていますけれども、それが少しずつはよくなってきているのではないかなと思っているのですが、賃金はまだまだなのです。

 この間、高等学校の先生がおっしゃっていましたけれども、社会保険に入っていない会社には試験を受けさせないとおっしゃっていたので、そういうことも大分改善してきているので、よくなってきていると思いますが、まだまだと思います。

○鎌田座長 一方では、建設業というのが魅力のある。私のゼミの学生で、やはり土木建設に入った学生もいますので、それなりの気概というのを持って、おもしろいという。自分のつくったものがまさに現場で見えるというか、ここは私がつくったというふうに言うという醍醐味はあるということなので、魅力のある業界でもあるかとは思うのです。

○福田委員 ちょっと私見なのですけれども、私の勝手な意見で申しわけないのですが、昔は、例えばダムができたり、橋ができたり、超高層ができたりしたら、みんなですばらしいものができたと街の中でも褒め合って、それこそちょうちん行列して、みんな街中でお祭り騒ぎをしたりして、職人もすごく意気に感じてよかった。でも、最近はどうも、つくって当たり前だという感じになってしまった。そこが職人が建設業から離れていった大きな問題でもある様に思います。つくっても当たり前だし、本当に、そのときだけは役に立ったと思われるのでしょうけれども、昔みたいなすごく喜んでくれるということが大分減った様に思います。それは自分たちにも責任があります。技術者も職人を褒めたたえたりとかいうことをしなくなったというか、やはりお互いに助け合っていくような、つまり、人間的なつながりがなくなったかなというのはちょっと感じています。

 逆に、そういう待遇改善だけではなくて、メンタルな面もちょっと劣ってきたと感じています。

○鎌田座長 そこはまさに今後、特に新しい新卒者を受け入れる場合に、魅力づくりというのをしていかないとね。

○福田委員 そうですね。本当に育てていくのだという気で受け入れれば、大分違うのかと思います。

○谷室長 今のキャリアパスの関係を言うと、登録基幹技能者という制度がありまして、いわゆる現場の技能労働者の職長のトップ、総括職長みたいな方なのですけれども、やはり現場ではそこを目指す形でのキャリアアップのステップアップをですね。特に大木委員のところなど一生懸命進めてやっていらっしゃる。いろいろな業種がありまして、今は約5万人近くそれを取っている方がいらっしゃるのですけれども、そういう制度を普及していこうというのを、業界としても国交省のほうも進めています。これは28年度予算で、私どもも助成金で、そういった方の処遇を改善した場合には助成金を出していこうというのがあります。技能労働者の現場のキャリアアップ、そしてまた若者に対して見える化するというのも、非常に役立つのではないかと思って、今、進めています。

○鎌田座長 何か補足がありますか。大木委員、何か。

○大木委員 国のお墨つきではなくて、業界それぞれが、我々躯体組合だとか大工の組合とか、それぞれが認定した職長の中でさらにすばらしい者を基幹技能者として待遇しようという。ただ、それがまだ各ゼネコンさんも、評価してくれるゼネコンさんもあるし、よく理解してくれないゼネコンさんもあるので、これからもっともっと普及していかなければいけないなと、我々自身もっとアピールしなければいけないなと思っているのです。

○鎌田座長 わかりました。ちゃんとというか、前進しているのかなというふうに。

○鈴木委員 ちょっとよろしいですか。

○鎌田座長 どうぞ。

○鈴木委員 先ほど柴田先生がおっしゃった、職種別に優秀な建設技能者の技能と経験に見合った報酬の確保ということに関して、これは各社ゼネコンが、弊社もやっておりますが、優良技能者の認定制度を制定しております。弊社の場合は、上級職長と西松マイスターという制度を設けまして、現場に入場した日数に応じて、1日幾らという手当てを払います。このような制度を各社設定されています。それの認定条件として今、話がありました登録基幹技能者を持っていなければならないというのがあるのですが、その登録基幹技能者が5年でまた受け直さなければならない。最初はやはり国土交通省が提唱する上級職長という立場ですから受けるのですけれども、その5年後に再認定するときに、5年間メリットが余りないので、再度この資格を取得するモチベーションが上がらないと思われます。

これは大木委員に申しわけないのですけれども、5年たって再認定を受ける人がどのくらいいるかというのも、また一つの問題点かなとは思います。取った人はやはり再度受けるよね、となるのかどうかだと感じます。

○大木委員 その基幹技能者になることによるメリットというか、待遇がストレートにゼネコンさんによって評価される、待遇がよくなる基幹技能者もいますし、それがどうしたのという会社もあります。今回、振興基金からいろいろ助成金を受けたりなどして、直接的に待遇をよくすることができればメリットがあって、もっと基幹技能者が普及していくのだなというふうには思いはします。

○福田委員 前からちょっと思っているのですけれども、基幹技能者から職長になるということを決めればまた違うのかなと思うのですが、そうではなくて、基幹技能者になっているのだけれども、職長は職長でまた違う。それで、基幹技能者になった人、逆に言えば職長がばかにしたりとか、そういうことがなければ私はいいのではないかなと思うのですが、何かちょっと仕組みが変ですね。

○大木委員 そうですね。今までは余り国が関与してこなかったのですね。厚労省さんも国交省さんも。我々の独自の制度みたいなことはあった。今後、いろいろなこういう問題があって、厚労省さんも国交省さんもそれに対していろいろ言ってくるようになったので、我々自身も、ある意味、国のお墨つきみたいになれば、すごくレベルがアップするのだなという感じもするのです。

○柴田委員 組合はそういうキャリア、何か能力別のお給料のアップみたいな交渉はしないのですか。

○時枝委員 技術者にも様々な資格はありますが、ゆくゆくは国からそういうお墨つきができてくるといいかなというように思います。

 基幹登録の話は、才賀会長もたしかおっしゃっていました。やはり資格そのものにメリットがないとダメですね。ゼネコン各社は2009年ぐらいから職長認定制度をやり始めていますけれども、そういったところとのリンクも、今後必要かなと思います。

 あと、技術者のほうも、管理技術者講習を更新しないとか、どんどん歯抜けになっていくおそれがありますので、資格に対する評価というのを、公平性を保ちながら、人材の流動化とかいうことも踏まえてやっていくべきだと思います。

○福田委員 今の件で言うと、例えば建築などは1級建築士を取らないと、作業所長になれないというのがあるので、頑張って資格を取得します。だから、技能者のほうにも何か資格を取得しないと。職長に上がっていかれないというのを決めてもらえれば、全然違うと思うのですね。

○鎌田座長 ほかに何かありますか。

○福田委員 全然ちょっと違う、基本的なことで申しわけないのですけれども、この管理サイクルの表の中の、1枚めくった「雇用保険二事業の目標管理サイクル」ということで、評価というところがありますね。この評価のaとかbとかこういう、まあbをつけられたというような話もあったのですけれども、この評価ですが、これは誰が評価するのですか。

○佐藤補佐 評価につきましては、表のほうに出ていますけれども、労働政策審議会の雇用保険部会のほうで確認をしているというところです。

○福田委員 審議会のほうでという。

○佐藤補佐 はい。

○鎌田座長 私の理解ですと、まず、行政のほうでおつくりになるのですね。a、b、c、dと。

○佐藤補佐 原案は。

○鎌田座長 原案を。それを雇用保険分科会でどういうふうに議論されているかわかりませんが、雇用保険二事業というのは、要するに使用者側が出していますので、使用者側が集まった懇談会というのがあるのですね。これはかなり厳しく。建設も入っていないかな。経団連とか、要するに、出している企業の業界団体が入って、かなり厳しくチェックをされております。懇談会は年に2回ぐらいやっているのかな。

○事務局 結構、夏までぐらいに頻繁にやっています。

○鎌田座長 頻繁にやっていますか。そうですか。

○広畑部長 概算要求のときとかいろいろ、節目節目で。

○鎌田座長 懇談会というのは議事録は出しているのかな。要点みたいなのは出ていますけれども、議事録はないのかな。

 要点記録だけ見ますと相当激しく。やはりお金を出している側ですので、相当厳しいですね。

 あとほかにございませんですか。

○大橋委員 いいですか。

○鎌田座長 どうぞ。

○大橋委員 若干、今回の論点の趣旨と合うかどうかわからないのですけれども、ちょっと気づいた点なのですが、ある意味ちょっと目線を変えると、今後建設労働者というか、この労働の問題というのはいろいろな今まで必要というか、新しい領域が実は出てきているのだと思うのですね。ある意味つくるということよりも維持管理みたいな話というのも出てきて、それは全然違う能力が多分必要とされている領域というのが出てきている。

つくるというと、これは国内が多分すごく目線として入っているのですけれども、海外の建設市場のボリュームというのは物すごい勢いで実は、それこそアジアですね。パシフィックアジア地域は、多分アフリカよりも伸び率的には今のところ結構伸びている地域で、そういうところに一部のゼネコンさんは既にいろいろ出られていると思うのですけれども、そういうところでまた活躍できるような人材が、多分第10次の話になるのかもしれませんが、求められているのは間違いないと思うのです。

 また、国内でも今、PPPPFIはまたちょっと多分盛り上がってくる感もあるので、そうすると、そういうところというのは実は食い込める部分もあるのではないか。別に海外のコンサルにやらせる必要はないわけだから、いろいろそういうところの人材というのも育っていくことで、新しい市場を取り込むことはできると思うのですね。そうした新しい市場に若い人も引きつけられるという部分もあるかもしれないし。

 そういう意味でいうと、現状の路線というのは背骨としてすごく重要だと思うのですけれども、やはり新しいものを取り込んでいくという姿勢がないとなかなか活性化しないのかなというのは若干思ったところです。今回のこのところに入れるかどうかというのは、また別の論点だと思います。

○鎌田座長 今、先生がおっしゃったこと。例えば若者、若年労働者の確保のところで、そういう海外の展開を見据えた若年労働者の募集採用ということにまとめられませんかね。

○大橋委員 いや、それは書き過ぎかもしれません。

○鎌田座長 そうですか。

○大橋委員 合意がとれないと思うので。

○鎌田座長 そういう御意見があったので、皆さんにちょっとこの辺のところを御議論いただければ。

 フリートーキングのようなものですので、どうぞ自由に。

○小倉委員 よろしいですか。

○鎌田座長 どうぞ。

○小倉委員 本日の資料の中で、表彰制度のものが2つ出されております。

 1つは、ユースエール認定企業のものと、もう一つは、来年度から創設予定の両立企業表彰というふうになっておりますけれども、先ほど来御意見出されておりましたが、いずれの表彰制度も、建設に特化したものではなくて、業種横断的なものになっているわけですね。

 以前の雇用改善大臣表彰は、建設に特化したものであったわけですし、もう少し細かく申し上げますと、団体枠があって、その団体から推薦を受けて表彰するという形だったわけですね。そうしますと、今回出されている資料、先ほど御意見もありましたが、なかなか建設では活用されないだろうということもあります。従前の建設雇用大臣表彰については数年前に廃止をされたという経緯も承知をしておりますから、すぐということではないですけれども、再開に向けて、引き続き検討をお願いしたいと思っております。

○鎌田座長 この点について。

○谷室長 今、小倉委員からありましたとおり、平成25年に前回のものをやめたということですので、もうちょっと検討の時期をいただいて、今後検討させていただきたいと思います。来年とかいうのは、なかなか急には難しいのかなというのがちょっと時期的な問題としてあります。

○鎌田座長 そういう御意見ということで。

○勝野委員 ほかのこと、全体のことでもいいですか。

○鎌田座長 どうぞ。

○勝野委員 これ以降、多分この論点をもとに第9次の改善計画のたたき台が作成されていくということになると思うのですけれども、ぜひその際は、今回の第9次の策定に当たっての強弱というのでしょうかね。この5年間でどこを中心に取り組みを進めていくのかというところのめり張りをしっかりとつけた書きぶりをぜひお願いしたいなと思っています。

 この間、先ほど部長からもありましたとおり、やはり処遇改善と申しましょうか、そこのところが今、最も大きな課題となっているわけですから、それを具体的に改善していくための方策ということがやはりしっかりとわかるような形での、前回は順番のことでちょっと申し上げましたけれども、全体的な書きぶりをお願いしたいなと思います。

○時枝委員 済みません。

○鎌田座長 関連してですか。別な面ですか。

○時枝委員 ちょっとずれてしまうかもしれないです。

○鎌田座長 よろしいですか。今の勝野委員の御意見に対して、何か事務局のほうで。めり張りをつけるということに。

○谷室長 そういう意味で、若年労働の確保などを皆さん言われていますので、そういった面では事務局案をその辺を踏まえてつくっていきたいと思っておりますので、また御議論いただければと思います。

○鎌田座長 どういったところに建設業の魅力を高めていくのかということが基本だと思いますので、そういうことも少し考える必要があるなと私は思いました。

 時枝委員、どうぞ。

○時枝委員 すみません。先ほど多能工の話がございましたが、何か生産性向上ということで、その1人に対してもっと生産性を上げろという言葉使いというかイメージがあるとするならば、それはちょっと違うなということでありまして、やはり仕組みを変えていくということ。先ほどの設計の問題とか手戻りをなくすとか、ここなのですね。問題の根源は。こうした上流のところをきちっとしていただかない限り、その下流で働く者は幾らやろうとしても、手戻りがあって「今日はできないから帰っていいよ」と、こういうことではちっとも生産性は上がらないわけであります。

 多能工も、例えばハウスメーカーさんなどはもう随分前からやられております。戸建てはお客さんが1人しかいませんから与件も整理しやすく、設計がきちっとやって、もうパッケージになっているわけですね。そこで働く大工さんなどは何でもできるわけです。そういうよい生産システムのところには、優秀な職人、優秀な多能工が集まっているわけであります。多能工をきちっと制度化して教育していくというのはもちろん大事な話ではあるのですけれども、やはり論点は、手戻りとか手待ちのないような生産システムをどうやって構築して普及させていくべきか。これはプロジェクトによっていろいろなメリット、デメリットがありますので、国交省さんのほうでいろいろ研究されていると思いますけれども、やはりここを直していくということが大事になります。技術者もそうですし、設計者もそうです。この建専連さんの2009年資料はそのことを端的に表しています。これは職人さんの回答ですけれども、技術者や設計者にも関わる共通の課題であります。まずここを改善していくということが論点だと思っております。

○鎌田座長 今の時枝委員の御発言というのは、例えば手待ち時間の話というのは労働時間のところに書かれていますけれども、例えばもう一つ別立てにするとかそういうようなことでおっしゃったわけではなくて、場所はここでもよろしいのですかね。

○時枝委員 結構です。文章表現について論じたわけではありません。

○鎌田座長 一応きょうの段階で論点はまとめて、次回、計画案を出したいと思っていますので、ここで新しい項目をぽんと立てるとか、ここでというか、次の計画のところで新しい項目をと言われると、事務局としてもちょっと大変かなと思いましたので。

○福田委員 今、ちょっと改めて思い直したのですけれど、何で生産性向上を言っているのかというのは、日建連でもアウトジョブが来ないとお話ししましたが、やはり5年で100万人規模の人が離職して、高齢者もいなくなって、それを賄うためには人材もふやさなければいけないのだけれども、生産性を向上して30万人ぐらいはそれで賄わなければいけないという発想からそれが成り立っているので、やはりその辺が大きな問題だということを常に忘れないで議論していかなければいけないのかなと思います。

 生産性を向上すると、職人が少なくなってどうのこうのということではなくて、現実に職人が少なくなっていくのを賄うためには、もうこれしかないということをやはり心の中に入れて、これからは進めていってもらいたいなと思います。

○鎌田座長 項目的には特に新たに立てるということはなくて、前回も確認しましたけれども、よろしいですか。

 あと私のほうから、先ほど勝野委員からめり張りをつけてということで、処遇改善のというお話もありましたけれども、私の考えでは、実は私は国交省のタクシーのあり方検という委員もやっておりまして、タクシーと建設は全然違うのですが、似ているところもある。なぜかというと、業界としてのかなり人手不足感というのはすごく強くてですね。まず平均年齢が非常に高い、若者が入ってこないということで、しかも賃金というのはまずほぼ歩合給ということで、非常に苦しんでいる中でどう魅力をつくっていくのかということが大きな課題になっている。若い人たちを入れないと業界として生き残っていけないということで、今、いろいろな取り組みをやっているのですが、処遇の問題はもちろん全部いろいろあるのですが、何よりも、特に新しい若い人たちにアピールしなければいけないといったときに、煎じ詰めていうと、働き方として若い人、新卒者がいきいき働いている職場であるということ。入った人がね。それから、女性。女性が非常にいきいきと働いているということ。このことが、やはり外部に対するアピール力というのは非常に高い。実際に今、いろいろな社長さんたちがテレビに出て、実際自分の会社で雇っている新卒者が、今、1年、2年たってどういうふうに成長しているのかというところ。あるいは女性が入って、タクシーに女性というのがいろいろ危惧をされている向きもあるわけですが、いきいき働いている。そういうところを、マスコミを通じてかなり大々的に宣伝をしている。

 そういうことを考えますと、建設業の女性の活躍推進というのは非常に大きな課題ということになっていて、この文章を見ますとですね。資料1の4ページの➁ですけれども、こういったことで私としてはいいのではないか。

 ただ1点、やはりタクシーでもそうなのですが、初期は、例えばトイレの問題とか更衣室の問題とか、就業時間の問題とかということが問題になるのですが、その後定着。キャリアアップなのですね。入ってはくるのだけれどもやめていく。なので、このキャリアアップについての取り組みにも支援をしていく。恐らく業界としても取り込んでおられるのではないかと思うのですが、女性が入ってきて、一体定着ということがどれだけ行われているのか。私の想像では、なかなか定着率は高くないのではないか。

文章としますと「女性労働者の活躍推進」の段落の、下から、例えば3行目のところに「継続就業を推進するとともにキャリアアップ並びに作業方法や安全対策の配慮と職域拡大のための取り組みや以下のことについての支援が必要ではないか」という、キャリアアップということについての取り組みをやはり何らかの形で強化をしていく必要があるのではないかと思うのですが、これはちょっと私、余りよくわからないで言っているところもあるのですが、皆さん、いかがでしょうか。

○福田委員 女性のことに少し絡んで発言します。常にすごく感じているのは、仕事と家庭の両立を図ることができるということがすごく大きなこれからの課題になると思います。それには一つ、やはり男性の支援というのがすごく大事だと感じています。とかく女性だけのことを考えるのだけれども、やはり男性の育児の支援だとかそういうことがない限り、少子化はそのままずっと進んでしまうのではないでしょうか。やはり男性がそういう育児にかかわるということで、少子化も大分解消されるのではないかなと思うのです。

ここの書きぶりはこうなっているからいいのかなと思うのですが、何かその辺で一工夫あると良いと思います。厚労省以外ではなかなか言わない部分を入れて頂く、やはり男性のそういう支援が不可欠だとか何かを入れて頂ければ、このことが、すごく大事なのではないかなと私などは思うのです。

○鎌田座長 両立。仕事と家庭の両立ということですね。

○谷室長 イクメンとかというふうにですね。

○福田委員 そう。一億総活躍社会は、やはり男性の支援なくして女性はやはり働けないだろうなと思います。

○鎌田座長 ちょっとその辺、タクシーもそうなのですが、基本的には女性も圧倒的少数なのですよ。そして新卒者も少ないのです。だけれども、打ち出すときにはどうしてもそれを前面に出します。だって受けるほうはイメージが全然違いますよ。

 例えばタクシーのところでいくと、タクシー会社が、大学のキャリアセンターにうちでは新卒採用していますと言うと叱られるというのですね。何でうちの学生を、ぴかぴかの学生をタクシー会社なんかに入れなきゃいけないのだという。それこそ社会保険ではないけれども、どんな企業があるのですかという。それを、やはりどんどん魅力を出していく。そうすると、絶対数は少ないのですよ。

恐らく建設業も絶対数としてはそう多くないのではないかと思うのですけれども、だけれども、外部にやはり魅力を出してくというのはどうしても受け手のイメージがということがありますので、そういったところも少し考えながら進めていくという。今、タクシーは物すごい勢いで、やり過ぎではないかというぐらい女性と新卒者を打ち出している。

 心配なのは、数年後にその人たちがいなくなってしまうと嫌だなという、それは言っているのですよ。そうすると、そのときは業界全体がいわゆるブラック産業となりますからねという、そこだけは絶対失敗しないでくださいというふうに。

 もう時間も大分進んできていますが、何かございますでしょうか。

 はい、どうぞ。

○大木委員 労働保険、社会保険の問題ですか。学校の先生によると、保険も入っていないような会社には生徒を入れられないという。この文言をもう少し強い調子で書いたらいかがでしょうかという。6ページの「波及させていく必要がある」ではなく「波及させなければならない」とか。

 きのうも、実はテレビを見ていたら、安倍総理が、厚生年金に加入していない企業に対して徹底調査するというようなことを総理大臣自身も言っておられますので、その辺、社会保険の問題をもっとこの部分でもね。

実際、国交省が、国交大臣から、うちの下請の会社に保険に入っていないのと指導書が来まして、そうすると、大臣から指導書が来ると、慌ててうちの2次の下請も加入する。だから加入率はかなり高まっているのですね。行政からきちっと強い調子で言われるとやらざるを得ないみたいになってしまうので、厚労省さんも強い調子でやっていただければ、加入率はさらに高まるなと思うのです。

○鎌田座長 では、その辺の表現ぶりについては少し。

 今、この論点についての表現ぶりについても幾つか御注文がありましたけれども、次回、計画案のところで反映させるという形で、ここのところで今、修文をするということはしなくてもよろしい。

 大木委員、どうですか。この部分で今の点を修文するというのではなくて、計画案の中でそれを生かすというようなことでよろしいですか。

○大木委員 はい。

○谷室長 論点は、計画ができてしまえば、基本的には計画にかわるものですから、計画に皆さんの御意見が反映されていればそれで、そういう形にさせていただければと思います。

○鎌田座長 ということで、改めてこの論点についての修文したものを出すというのではなくて、計画案の中で改めて言葉、表現ぶりについては御検討いただければと思っています。

 ほかの皆さんもそれでよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、本日予定されていました議題は以上ということでございます。

 今回、御議論いただいた中での御意見を踏まえて、次回の委員会では計画案について議論をさせていただきたいと思います。

 では、事務局のほう、計画案の作成についての御準備をよろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 事務局からほかに何かありますでしょうか。

○佐藤補佐 参考資料6になりますけれども、来年度の予算案が固まりましたので、資料をお配りしております。

 参考資料6の1枚目につきましては、概算要求のときに一度説明したものでございますけれども、予算案として固まったということでこれをリバイスしたものでございます。若干金額について上下ありますけれども、内容としては大きく変わったところはございません。

 2枚目が、28年度に予定しております「建設労働者確保育成助成金の概要」でございます。変更点について御説明いたしたいと思います。

 ◆の2つ目「技能実習の実施を支援」というところでございますけれども、これの経費助成の対象者のところですが、現在は中小企業のみでございますが、これを女性を対象とする場合のみ中小以外5割ということにしております。そして女性の技能習得、職域拡大を支援していこうというものでございます。

 それから、「技能実習」の中の○で書いてあるメニューですけれども、これの下から2つ目ですが、「技能継承のための指導者養成実習」をメニューとして追加しております。

 次の「雇用管理制度の導入を支援」でございますけれども、(1)と(2)の部分。これは今年度までこの助成金の中のメニューでございましたけれども、職場定着支援助成金のほうに移行して実施するということにしております。

右上でございますけれども「登録基幹技能者の処遇向上を支援」。こちらは先ほど御説明いたしましたけれども、技能労働者のキャリアパスの最上位に位置づけられている登録基幹技能者の処遇を改善して、キャリアパスの魅力を高めるということで、1年ごとに3%以上かつ15万円以上引き上げた場合、賃金テーブルですとか資格手当を引き上げた場合に、1人当たり10万円を助成するというものでございます。

 最後「その他」の部分でございますけれども、「その他」の部分で、建設現場の女性専用トイレ、更衣室の整備。こういったものに対する支援も新たに実施していくというものでございます。

 概要につきましては以上でございます。

○鎌田座長 この点について、もし質問があれば受けてもいいのですね。

○佐藤補佐 はい。

○鎌田座長 はい、どうぞ。時間はそうありませんけれども、どうぞ御質問があればお願いいたします。

 よろしいですか。

 個別に御質問があれば、事務局のほうで多分お答えいただけると思いますので、よろしくお願いします。

 そのほか、事務局から何かございますか。

 はい、どうぞ。

○富永補佐 次回の委員会でございますけれども、2月10日水曜日の10時~12時とさせていただきたいと思っております。場所等の御案内は、また追ってメールで御連絡したいと思います。

 以上です。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 それでは、本日の委員会はこれで終了いたします。

 最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員につきましては、労働者代表は勝野委員、使用者代表は大木委員にお願いしたいと思います。

 本日は、お忙しいところどうもありがとうございました。


(了)

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