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2016年2月22日 第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録
健康局健康課
○日時
平成28年2月22日(月)16:00~18:00
○場所
厚生労働省 専用第22会議室
○議事
○事務局 それでは、定刻になりましたので「第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
また、傍聴の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。
本日は、会議に先立ちまして、健康課長から御報告がございます。
○正林健康課長 大変悲しいお知らせがございます。当分科会の委員でもあられ、それから「研究開発及び生産・流通部会」の部会長でもあられた庵原俊昭先生、国立病院機構三重病院の名誉院長ですけれども、去る19日、先週の金曜日に御逝去されました。
私自身も、ここ10年ぐらい感染症の仕事に携わっていますが、この10年間、庵原先生にはいろいろな場面で非常に数多くの御指導をいただき、本当に感謝を申し上げたいと思っています。
昨日は、私も三重までお通夜に行ってまいりましたが、非常にたくさんの方が御焼香に来られていて、多分1,000人を優に超えていたのではないかと思います。まさに庵原先生の御人徳のなせるわざかなと思っております。この場で、ご冥福をお祈りしたいと思います。
以上です。
○事務局 それでは初めに、新任の委員の方を御紹介させていただきます。
蒲生委員の後任としまして、読売新聞医療部、館林牧子委員でございます。
○館林委員 館林でございます。よろしくお願いします。
○事務局 続きまして、出欠状況について御報告いたします。
戸田委員、中山委員、沼尾委員、福島委員から御欠席の連絡を受けております。現在、委員16名のうち12名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
また、阿真参考人にも御出席をいただいております。
申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○事務局 それでは、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1~6、参考資料1~5と、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配付資料一覧と御確認いただき、不足の資料等がございましたら、事務局にお申し出ください。
それでは、ここからの進行は岡部分科会長にお願いいたします。
○岡部分科会長 ありがとうございます。それでは、これから「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催したいと思います。お忙しいところ、お集まりいただいて、ありがとうございました。
先ほど、正林課長から悲しい知らせということで御報告いただいたのですが、この分科会のみならず、先ほど御紹介がありましたように、庵原先生にこの会では副委員長をやっていただき、そのほかの会でも数々の御指導、また非常にシャープな、アカデミックな意見をいただいていました。もし、差し支えなかったら私の提案として、ここで1分間黙祷をささげたいと思うのですけれども、よろしければ皆さまお立ちください。
それでは、黙祷。
(黙祷)
○岡部分科会長 ありがとうございました。お直りください。御着席ください。
それでは、会議を開催したいと思います。庵原先生は、こういうときでもきちんとやるようにというようなことは常々おっしゃっているので、この会は粛々と進行していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、審議参加の取り扱いについて御報告をお願いします。
○事務局 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。
本日、御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与について申告をいただきました。各委員からの申告内容については机上に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の審議事項は、B型肝炎ワクチン、財団法人化学及血清療法研究所、MSD株式会社。日本脳炎ワクチン、財団法人化学及血清療法研究所、財団法人阪大微生物病研究会を予定しております。
本日の出席委員の寄附金等の受け取り状況から、中野委員がB型肝炎ワクチンの審議の際「議決に参加しない」、森委員が日本脳炎ワクチンの審議の際「退室」に該当いたします。また、中野委員が日本脳炎ワクチンの薬事承認に係る申請書類に関与されておりますので、日本脳炎ワクチンの審議時に「退室」に該当することから、この取り扱いについてお諮りいたします。なお、このほか「退室」や「議決に参加しない」に該当される委員はいらっしゃいません。
以上でございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。今、事務局から以上のような審議参加について御説明がありましたけれども、日本脳炎ワクチンの審議については、中野委員が申請書類に関与しているという点、それから、森委員が寄附金等の受け取り状況から参加規程により「退室」になりますけれども、当部会が必要と認めた場合は意見を述べることが可能であるとなっております。議決には参加できないということですが、両委員ともに臨床あるいは研究を通じてワクチンの分野については大変ご造詣が深いので、中野委員については議題1の議決には参加いただけませんが、本日の会議に御参加いただいて、両委員ともに議題2の審議にも引き続き御参加いただきたい。そして、公平な立場での意見を述べていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡部分科会長 では、そのようにさせていただきます。
それでは、議題に入りたいと思います。きょうの議題は議事次第にありますように、B型肝炎、日本脳炎、そして報告事項となっておりますので、この議事次第に沿って進めたいと思います。
議題(1)は、B型肝炎ワクチンの定期接種化になります。これについては、平成27年1月に「予防接種・ワクチン分科会」において審議しておりますけれども、先日2月5日に「基本方針部会」が行われておりまして、そこでも審議を行っております。その内容については、部会として了承されております。
本日は、引き続き分科会において、それらの事項についての審議を行いたいと思います。部会はかなり専門分野からの議論ということで、今回の分科会は広い分野の委員の御意見を承ることになります。
最初に事務局から内容の説明をいただいてから、全体のディスカッションに入りたいと思います。また、この会では傍聴の方からあらかじめ申し込んでいただいた場合には発言をしていただくとなっております。これも広い分野からの御意見をいただきたいということですので、事務局の説明の後で傍聴人お三方おいでになりますので発言をいただいて、その意見を伺い、質疑応答を委員の中でやっていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、事務局から資料の説明をよろしくお願いします。
○氏家課長補佐 事務局から、資料1-1~1-6まで御説明させていただきたいと思います。まず、お手元に資料1-1を御準備ください。
「B型肝炎ワクチンの定期接種化について」ということで、まず、ここに示していますのがこれまでの経緯でございますが、1986年1月よりB型肝炎の母子感染防止事業として、乳児に対する感染防止事業を開始してございます。この資料につきまして、先日行いました「基本方針部会」では4月と記載されていましたが、記載が誤っていたため修正させていただいています。
1992年3月には、WHOでB型肝炎ワクチンを出生後に接種することを全ての出生児に推奨するようになりました。
その後、2012年5月、予防接種法改正の提言の中でB型肝炎を含む7つのワクチンを広く接種を促進すべきワクチンとして指定していただいてございます。
その後、予防接種法改正におきましても、衆・参厚労委での附帯決議で、この定期接種化の結論を得ることが求められました。
先ほど岡部分科会長から御説明がありましたように、昨年1月、この分科会で広く接種を促進するための技術的検討結果ということで、具体的にどの年齢に何回、いつから接種するのかといったことがとりまとめられたところでございまして、そのとりまとめ状況につきましては、次ページの別添をごらんいただきたいと思いますが、このような3点の形でとりまとめをいただいてございました。ただし、定期接種化のような広く接種の機会を提供する仕組みとして実施するためには、前提としまして、ワクチンの供給実施体制の確保や必要となる財源の捻出、関係者の理解、副反応を含めた予防接種施策に対する国民の理解といったことが必要ということもあわせて議論していただいたところでございまして、関係者と協議の上、一定の体制が整ったということで今回の審議を進めさせていただきたいと考えてございます。
そこで今回の審議事項でございますが、1番に記載されていますように、これまでの技術的検討等を踏まえて予防接種部会の第二次提言において、広く接種することが望ましいとされてきたB型肝炎ワクチンについて、平成28年10月に定期の予防接種に導入してよいか。この点について御審議いただきたいと考えてございます。
また、この定期接種化を進めるに際しましては、予防接種法の政省令の改正が必要となってございますので、(1)~(5)、資料1-2~1-6でそれぞれの政省令改正に伴う検討を実施していただきたいと考えてございます。
また、昨年の審議の中におきまして、技術的検討の中で決めていただきました要件を現在の政省令に置きかえた場合に、こういったイメージになるということで記載させていただいてございます。対象年齢としましては、生後1歳に至るまでの間にある者を施行令で規定いたします。
接種方法につきましては、組換え沈降B型肝炎ワクチンを27日以上の間隔をおいて2回。さらに、初回接種から140日以上経過した後に1回を皮下に注射するものとする。接種量は0.25mLとする。これを実施規則に規定することを検討しています。
また、標準的な接種期間としましては、生後二月に達したときから生後八月に達するまでの期間とする。これを実施要領で規定することを検討してございます。
また、前回の基本方針部会開催後、幾つかの自治体等から問い合わせをいただいていますが、「140日以上を経過した後に」と記載されている文言につきましては、これまでの実施規則の中で他のワクチンで用いられている表現がない記載になりますので、こちらにつきましては、実際の省令改正の際にはこれまでの製剤と合わせて「139日以上の間隔を置いて」などの表現に置きかえることを考えてございます。
続きまして、資料1-2に進ませていただきます。「B型肝炎ワクチンの定期接種化に伴う分類の規定について」ということで、具体的な政省令改正に伴う検討課題ということで1つ目でございます。
現在の予防接種法においての類型としましては、委員の先生方もよく御存じのとおり、A類疾病とB類疾病ということで規定がございまして、予防接種法上はA類疾病を「人から人に伝染することによるその発生及び蔓延を予防するため、又はかかった場合の病状の程度が重篤になり、若しくは重篤になるおそれがあることからその発生及び蔓延を予防するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病」と定義がされてございます。
一方で、B類疾病につきましては「個人の発病又はその重症化を防止し、併せてこれによりその蔓延の予防に資するため特に予防接種を行う必要があると認められる疾病」と定義されてございます。
過去の審議状況におきましては、第二次提言の中でこのB型肝炎ワクチンにつきましては、重症度の観点からA類疾病とすることを議論いただいているところでございますが、第二次提言以降も議論を進めまして、少数ながら小児における水平感染が生じていることや、小児における集団感染が報告されていることなどから、予防接種によってヒトからヒトへの感染機会を減らすことによる直接的な集団予防を図る目的もあわせ持つ疾病であるとも考えられるところでございます。
これらのことから、このB型肝炎ワクチンの定期接種を行う際には、分類を下記のとおりとしてはいかがかと考えてございます。「B型肝炎は、人から人に伝染することによるその発生及び蔓延を予防するため、かつ、かかった場合の病状の程度が重篤になり、若しくは重篤になるおそれがあることからその発生及び蔓延を予防するため、特に予防接種を行う必要があると認められる疾病であることから、A類疾病とする」。
以上でございます。
続きまして、資料1-3に進めさせていただきます。「B型肝炎ワクチンの定期接種開始時における対象者について」の議論でございます。
これまでB型肝炎ワクチンの対象者に関する検討としましては、先ほど申し上げましたように、昨年1月15日に開催されたこの分科会において、技術的検討結果として、仮に国民に対して広く接種機会を提供する場合、予防接種対象年齢は生後1歳までとすること。そして、標準的には生後二月からB型肝炎ワクチンを接種し、生後2カ月、3カ月、7~8カ月での3回接種を行うことが了承されている状況でございます。
このB型肝炎を定期接種として開始するに当たりまして、開始時の対象者としましては、B型肝炎ワクチンの定期接種を必要となる回数、つまり3回の接種を適切な接種時期(1歳に至るまで)に完了することが求められるところでございます。この定期接種を平成28年10月に開始した場合、その要件を満たす対象者は同年4月以降に出生する者であることが言えるところでございます。
こういったことから、B型肝炎ワクチンを定期接種化して開始する際の対象者としましては、「平成28年4月以降に出生した者」としてはいかがかと考えているところでございます。
続きまして、資料1-4「B型肝炎の定期接種化に伴う母子感染予防の対象者の取扱いについて」御説明させていただきます。
次のページに参考がつけてございますので、そちらから御説明させていただきたいと思いますが、B型肝炎ウイルスの母子感染予防に関する現状としましては、HBs抗原陽性の妊婦から生まれた乳児に対するHBsヒト免疫グロブリン注射、そして、この沈降B型肝炎ワクチンの注射、HBs抗原抗体検査など、健康保険の給付の対象となっていまして、ワクチンのみならず免疫グロブリン、または抗体検査といったことが一つの柱となってございます。
この上記を目的としたB型肝炎ワクチンの用法・用量につきましては、通知等に規定がございまして、通常0.25mLを1回、生後12時間以内を目安に皮下に注射する。さらに、0.25mLずつを初回の注射の1カ月後及び6カ月後の2回、同様の用法で注射する。このように記載されているところでございます。
元のページに戻っていただきまして、この対象者の取り扱いにつきまして、論点が母子感染予防の対象者等の考え方でございますが、この母子感染予防の目的というのが母子感染によりキャリア化することを予防することであり、将来的な感染を予防する通常の予防接種の目的とは異なるということが言えます。
さらは、定期予防接種の対象者につきましては、標準的には生後二月からB型肝炎ワクチンを開始するとしているところでございますが、母子感染予防につきましては、その対象者に生後12時間以内を目安として接種を開始していただくこと、また、あわせて免疫グロブリン等の投与が必要であること、また、接種間隔も異なっていること、こういったことからB型肝炎の定期接種におきましては、母子感染予防の対象者の取り扱いを下記のとおりとしてはいかがか、このように考えてございます。「HBs抗原陽性の妊婦から生まれた乳児として、健康保険の給付によりB型肝炎ワクチンの投与(抗HBs人免疫グロブリンを併用)の全部又は一部を受けた者については、定期の予防接種の対象者から除くこととする」。
続きまして、資料1-5「B型肝炎ワクチンの定期接種化に伴う長期療養特例について」の説明でございます。
こちらにつきましても次のページに長期療養特例について説明がされたページがありますので、そちらをごらんください。
まず、制度の概要ですが、免疫機能の異常など、長期にわたり療養を必要とする疾病等により、接種対象年齢の間に定期接種を受けられなかった者が、当該事由が消滅してから2年以内に接種をすれば、定期接種として接種を受けることができるよう予防接種法施行令に設けられた特例措置ということでございます。
この特例措置が適用される要件としましては、施行令の第1条の3第2項に記載がございまして、接種の対象年齢の間に、疾病による予防接種不適当要因が生じ、接種期間が十分に確保できず、特別な事情によって予防接種を受けることができなかったと認められる場合であって、当該特別の事情が解消された後、2年以内に接種した場合は、定期の予防接種として取り扱うというものでございます。
特別の事情の具体的な事例等につきましては、予防接種法施行規則第2条の5に記載がございます。
戻りまして、資料1-5でございますが、このB型肝炎につきましても、定期接種化に当たり長期療養特例を規定するに当たって、このような特徴がございます。B型肝炎につきましては、罹患歴または予防接種歴がない場合は、どの年齢においても感染のリスクがあるということが言えます。
一方で、添付文書「ビームゲン」「ヘプタバックス2」いずれも10歳未満の者への接種量を0.25mL、そして、10歳以上の者への接種量を0.5mLと規定しておりますが、上限年齢については記載がございません。このことから、B型肝炎ワクチンの定期接種については、長期療養特例を下記のとおり取り扱うこととしてはいかがか、このように考えてございます。「接種の対象年齢の上限は設けない。なお、10歳以上の者に対する接種量は、0.5ミリリットルとする」。
続きまして、資料1-6「B型肝炎ワクチンの定期接種開始時における既接種者の取扱いについて」でございます。
これまで新規にワクチンを定期接種に開始する際、既接種者の取り扱いに関しましては平成25年度の予防接種法改正以降、同様の接種に相当する者については定期の予防接種を受けた者とみなしてきたという背景がございます。
また、B型肝炎ワクチンの既接種者への対応について検討する際、B型肝炎ワクチンにつきましては、必要な接種回数である3回の接種を受けていない場合においては、残りの回数の接種を受ける必要がある。0回であれば3回、1回であれば2回というような形でございます。
さらに、一方で、B型肝炎ワクチンについてもその他のワクチンと同様に、極めてまれではあるが予防接種の副反応による健康被害が不可避的に発生するという特殊性に鑑み、必要回数以上の接種は避けることが望ましい。このように考えてございます。
これらのことから、B型肝炎ワクチンの定期接種においても、導入に伴う既接種者の取り扱いを下記のとおりとしてはいかがか。「定期の予防接種が導入される以前に、定期の予防接種の規定に相当する方法でB型肝炎ワクチンの接種を受けた対象者については、定期接種に規定された接種を受けた者とみなして、残りのワクチンのみを接種していただく」、このように考えているところでございます。
事務局からは以上です。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、先ほども申し上げましたように、今回は傍聴の方からの発言の申し込みをいだたいております。お一人2分以内の発言なので限られた時間ですけれども、その2分とは別にお名前と御所属をおっしゃっていただいて、御発言をいただきたいと思います。
1人目の方、母里啓子氏、どうぞよろしくお願いいたします。
○母里氏 母里啓子と申します。今はワクチントーク全国の代表になっております。
B型肝炎に関しましては、母子間感染の導入より以前から疫学などを手がけておりまして、いち早く横浜市において母子間感染事業を国に先駆けて始めたといういきさつがございます。その中で、国が始めた後でWHOからユニバーサルワクチネーションの提案があったときに、私たちの中で議論があったのを今、思い出します。そのときに、日本におけるB型肝炎の制圧は母子間感染をきちんとやっていればなくなる、これだけちゃんとやっている中ではユニバーサルにやる必要はないのではないかという議論をした覚えがあります。
現在のB型肝炎の状況が30年たって当時と比べてどうかと申しますと、物すごく低い状態になり、WHOも目標を達成できていると。その中であえてなぜ今ユニバーサルワクチネーションをしなければならないのかという理由が私にはわかりません。
ユニバーサルワクチネーションを導入した場合、100万人の1年足らずの赤ちゃんに、ほかのワクチンも入れますと13回針を刺すことになります。それだけ赤ちゃんに対するワクチンの負荷が多くなっており、同時接種による乳児突然死症候群だと言われているような事例やいろいろなものがふえてきております。そちらの調査もきちんとできない中で、さらに3回の乳児に対する負荷を加えることに関して、皆さんがどう考えていらっしゃるかお聞きしたいと思っております。
次に、日本脳炎ですが、これも前回の改正のときに北海道だけが30年間日本脳炎の患者さんがいないから、今さらやる必要はないという動議を議決を経てやらない選択をしたということを覚えております。その中で日本全国一律ではないからおかしいという議論のもとに北海道でやる形になりましたけれども、その間に出ている日本脳炎の患者数及びその年齢を考えますと、現在、北海道でユニバーサルに日本脳炎のワクチンをやった場合の被害者、日本脳炎ワクチンでは健康被害者が多々出ております。その数と30年1人も患者の出なかったところでそれをやることのメリット・デメリットを、もう一度考えていただきたいと思います。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。日本脳炎の件は後での議事になるのですけれども、短い時間でこの後のことについても御意見をいただいたということになりますが、2番目のときにそのことを思い出しながら議論に入るようにしたいと思います。
2人目の方は、古賀真子氏。どうぞよろしくお願いいたします。
○古賀氏 コンシューマーネット・ジャパンの古賀真子と申します。以前もこちらの審議会で、日本脳炎ワクチンの北海道での区域指定の件で発言をさせていただいております。日本脳炎ワクチンも2016年4月からの区域指定解除が決まってしまいましたが、私たちは病気のない北海道での導入には大変疑問があると今でも考えております。
さて、第二次提言で導入を検討すべきとされた7つのワクチン、子宮頸がん予防ワクチン、Hib、小児用肺炎球菌、水疱瘡、おたふく風邪、成人用肺炎球菌、B型肝炎の中で、今現在残るものはおたふく風邪ワクチンのみとなりました。まず、このB型肝炎ワクチンのA類定期接種化ユニバーサルワクチン導入については問題があると考えております。
本日の参考資料1に、B型肝炎及びB型肝炎ワクチンに関する基本情報があります。これは費用対効果については、ほかのワクチンと比較して低いというデータが載せられております。これは先ほど母里さんが言われたように、日本における母子感染事業が成功をおさめたおかげであり、近年の成人での初感染でも一過性で症状がないまま治癒し、20~30%が急性肝炎発症とされてはいますが、推定入院患者も1,800人程度と多くはありません。かつて1960年代に2%の抗原陽性者がいたものの、今は100分の1以下になっているとされています。むしろ新規献血者の肝炎陽性率を徹底的に調べ、検討し直す必要があります。
導入に当たって、ガンビアや台湾などの国でのユニバーサルワクチン効果と比較することは、日本の現状と比べ必要性に関する議論が尽くされているとは思えません。母子感染からユニバーサルワクチンとすることについて、費用対効果が低く、むしろ100万人の子どもに打つことで接種による被害者が出ることのほうが心配です。本当に感染症対策として必要なことなのか、いま一度、委員の皆様から国民にわかりやすく説明していただきたいと思っております。
次に、同時接種との関連についてですが、B型肝炎ワクチンの副反応と同時接種についての資料から発言をさせていただきます。B型肝炎ワクチンでは副反応検討部会、これは合同開催されているものですが、この資料によれば349万8,715回の接種の延べ接種数に対して、製造業者からの重篤報告が30例、このうちほかのワクチンとの同時接種22例でHibなどとの同時接種死亡例が3例。そして、医療機関からの重篤報告数は31例で、うちほかのワクチンとの同時接種29例、肺炎球菌との同時接種で死亡例1例の報告があります。仮に、B型肝炎ワクチンが本日の資料の26ページにあるように安全と評価されても、ユニバーサル化においてほかの接種との、とりわけ同時接種との関係をどう考えるべきかについては考える必要があると思います。
さて、同時接種後死亡について、つけ加えさせていただきます。Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンは当初、DPTワクチンとの同時接種による死亡や副反応が問題となっていました。ここでは詳細は避けますが、多くのワクチンが乳児期に大変多くなされるわけですので、同時接種後のことについては、より検討が必要だと考えます。
同時接種後死亡につきましては、Hibと肺炎球菌のものが多かったようですが、最近ではDPT-IPV、クアトロバックやロタとの同時接種がふえています。同時接種後死亡の一覧は合同開催の資料4にありますが、ほとんどのものが評価不能と判定されております。
本日議題のB型肝炎ワクチンの同時接種でも死亡例が発生しています。新しいワクチンがふえれば同時接種もふえ、副作用の発現確率も増加しますが、合同開催や「ワクチン分科会予防接種基本方針部会」でも同時接種についての議論は深くなされているとは感じられません。予防接種第二次提言その後の議論においても、副反応報告書に基づく有効性・安全性の再評価として、予防接種の意義やリスクなどについて、国民、報道機関、医療関係の専門家などに対する一元的な情報提供、予防接種の実施状況や健康被害救済制度のあり方の評価を含む予防接種の適正な実施の確保が提言されています。子宮頸がんワクチンのように、いち早く基金事業や定期接種化後すぐ実質的に中止になっている例があることも鑑み、ワクチンの定期接種化には慎重を期していただくことを希望します。
以上です。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。
では、3番目、梁井朱美氏、よろしくお願いいたします。
○梁井氏 全国B型肝炎訴訟原告の梁井朱美と申します。B型肝炎ワクチンの定期接種化の審議に当たりまして、一言発言させていただきます。
私は、予防接種によるB型肝炎に感染しましたが、2人の子どもにも母子感染させています。集団生活の中で、子どもたちが周囲に感染させないよう気を使って育ててきました。その思いからは、B型肝炎ワクチンが定期接種化されることはうれしく思います。しかし、予防接種によって被害を受けた者としては、予防接種による被害は二度と出してほしくないと強く思っております。
先般、国内でのB型肝炎ワクチンの約80%を製造しているという化血研が営業停止処分を受けました。ワクチンの安全性については問題ないとされていますが、不安を覚えます。みんなが安心して予防接種を受けられるよう、B型肝炎ワクチンを定期接種化するに当たって、安全性については徹底した審査を行うとともに、製造業者への立ち入り調査をより実効性のあるものにするなど、これまで以上にワクチンの安全管理に努めてください。さらに、安全な接種方法の徹底、副反応情報の収集と対応についても、万全の体制で取り組んでください。
また、B型肝炎患者は言われなき偏見・差別に苦しんできました。しかし、B型肝炎ウイルスは日常生活での通常の接触では感染しないものです。定期接種化によって、いたずらに感染の危険性が強調され偏見・差別が助長されることのないように、今まで以上に偏見・差別をなくすための方法・政策を実施してください。
以上です。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。大変短い時間で申しわけないのですけれども、まとめていただいてありがとうございました。貴重な御意見をいただきました。
事務局からの説明を聞いたわけですけれども、これらの御意見も参考にしながら、御意見・御質問をいただきたいと思います。予防接種部会の第二次提言のときから、B型肝炎については広く接種することが望ましいという大前提はあったわけですけれども、幾つか技術的な問題があり、あるいは細かい技術的な部分、予算の部分、供給の問題等々になって今に至っているわけですけれども、一番最初の確認ということになりますけれども、こういったこれまでの議論を踏まえた上でB型肝炎ワクチンについて、平成28年10月をもって定期の予防接種に導入してよいかどうか、この辺についてまず御意見をいただければと思います。大前提の部分ですけれども、これについて御異論は何かあるでしょうか。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡部分科会長 ありがとうございます。細部についての技術的なところは、これから議論したいと思います。
それから、接種方法は生後1歳に至るまでの間で、資料1-1の裏の別添にありますが、接種するときの日数の間隔は、今までもほかのワクチンでも問題になるところですけれども、一応わかりやすさから言えば、例えば、月曜日にやった人は、その翌週の月曜日を1週間置いたという形で見ると。したがって、140日以上というのも月曜日から20週たった月曜日ということで、そこを火曜日にしたり水曜日にしたりすることはないということになります。
それから、接種方法は3回接種であって、使用するワクチン製剤については遺伝子型A型、C型どちらでもいいということになります。ということで、これはよろしいということで了承にいたしたいと思います。
それでは、分類の規定、資料1-2については、ほかの多くのワクチン、今のところA類、B類のうち、B類は高齢者のインフルエンザ、高齢者の肺炎球菌ということになっているのですけれども、子どもさんへのB型ワクチンについてはA類疾病であるということで御意見ありますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡部分科会長 ありがとうございます。これも了承ということにしたいと思います。
資料1-3ですけれども、定期接種開始時における対象者、これは前の基本方針部会でも大分議論があったのですけれども、平成28年4月以降をスタートとして10月1日から実施するわけなので、平成28年4月以降に出生した方が10月1日から開始して、1、2と順調にいっても、3回目のときにちょっとした、かぜを引いたというようなこともあるかもしれませんし、都合がつかなかったというようなところでずれてしまった場合に、1歳を超えてしまうことについてどうかということも含めてですが、これについては部会では、余り超法規的なことはできないけれども、接種を受ける方にあまり不利にならないような形で、短期間のことなので、そういう検討をしてほしいということでペンディングになっています。これについて御意見を少しいただければと思います。そのときに、小森委員あるいは坂元委員からも御意見をいただいていたのですけれども、再度よろしいでしょうか。
小森委員。
○小森委員 今、岡部分科会長がおっしゃったとおりでございまして、今年につきましては10月1日に導入という、初めて導入するときについてのさまざまな問題が予想されるところです。まず、分科会長も御指摘のように、特に小さなお子様、3カ月を過ぎてまいりますと大変さまざまな疾病にかかりやすい年齢になってまいります上に、まだお弱い子どもさんでございますので、大切に庇護のもとに育てなければいけないという事情がございます。特に、3回目の接種について、1歳を超えてしまうというさまざまな条件が生まれてまいります。この初回の導入に当たりまして、そういった子どもさん、親御さんの御懸念を含め、ここは丁寧に対応していただきたいということを基本方針部会でも申し上げ、また同様の御意見をお持ちの方が多くいらっしゃると思ってございます。
これをどういう形で処理するか、事務的なさまざまな問題があると思いますけれども、そのあたりについて、ぜひ丁寧な対応をお願いしたいということをその場でも申し上げましたし、きょうも繰り返しお願いしたいと思っております。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。先般、自治体の立場からということで坂元委員からも意見があったのですけれども。
○坂元委員 小森委員のおっしゃられることは自治体としてもよく理解できるところでございますが、法律で規定されている事項でございますし、風邪程度となると先ほどの長期療養ということも該当しないということになりますが、ここは各自治体の判断で補助などを設けて接種するということは可能であると思います。ただし、その際は予防接種法の適用にはならないので、副作用が出た場合は医薬品副作用被害救済制度の適用なるということで、その説明を任意で受けられる方にしっかり説明した上で、各自治体が独自に施策を展開する可能性はあるかと思います。
費用的にはどのみち自治体は接種対象者の人数で予算立てをしますので、たまたまその人が受けられなかったからといって、計算上はその方に執行されなかった予算を使って行うというものなので、そこは各自治体にそういう要望があれば各自治体の判断でそういう方向で展開してもいいのではないかと考えているところでございます。
以上です。
○岡部分科会長 そこの部分だけは、従来の任意接種のところを行うといった形になりますね。というような御意見もございますが、ほかに何かありますか。
それでは、今の資料の1-3については、一応平成28年4月、これも取り決めなので、なぜ4月なのかというのはいろいろ理由が出てくると思いますが、5月、6月あるいは前年といったこともありますが、自治体側の準備であるとか、あるいはそれこそ接種担当者、保護者の方への説明の期間であるとか、後でも出てくると思いますけれども、供給の問題等々から総合的に平成28年4月生まれ以降を対象にして、実施が10月1日ということになります。そのしっぽ部分のちょっとずれるかもというところは、実施までにはもう少し間があるので、事務局で先般の部会の意見、きょう小森委員、坂元委員から御意見をいただいたようなことを参考にしていただいて、最終的な方針を決めていただければと思います。よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岡部分科会長 ありがとうございます。
それでは、資料1-4ですけれども、B型肝炎を定期接種化にしたときに、今まで母子感染予防でやっていた緊急にHBワクチン、免疫グロブリンをやるというものについては、出生後できるだけ早くやるので、その子は実は名前も何もなくて、定期接種の案内もできないということなので、出生のときは出産に伴うその子の状況ということで健康保険扱いになっているのですけれども、これについては従来どおり、つまり母子感染予防については継続であるという形になると思うのですけれども、これについての御意見もあれば、どうぞおっしゃってください。
大石委員どうぞ。
○大石委員 こういったHBs抗原陽性の妊婦さんから生まれた乳児さんに対してワクチンを打って、免疫グロブリンを併用するということを一つの制度として実施されるのでしょうが、こういった患児については、その後、HBs抗原フリーで生まれた赤ちゃんに定期接種した場合と同等の感染防御が得られるという理解でよろしいのでしょうか。その辺もし、おわかりでしたら教えていただきたいのですが。
○岡部分科会長 事務局から氏家補佐どうぞ。
○氏家課長補佐 御指摘の母子感染防止事業に関する免疫を付与するための治療の一環としての措置でございますが、御指摘のように、既にハイリスク者として感染を受けたことを想定する形で生まれてきた方に対するワクチン接種ということになりますので、より確実に予防をするということでグロブリンを併用するであるとか、これは抗体検査で抗体が陽転するところまで確認して、必要があれば追加接種等も含めて実施する、こういったことが規定されてございます。また、3回の接種でも、これまでのデータにおいては出生直後であっても0歳児の抗体陽転率が非常に高いものであるということが技術的検討で検討されてきた結果もございますので、母子感染防止事業につきましても同様の抗体陽転率があると考えられていますが、さらに、母子感染防止のためには、より確実な予防のための抗体検査等の措置が実施されると理解してございます。
○大石委員 ありがとうございました。
○岡部分科会長 三田村委員どうぞ。
○三田村委員 保険でカバーできているので実質はもう大丈夫だと思うのですけれども、ただ、何かあったときの補償制度が2つで大分違ってきてしまうので、そこのところを何かできる余地はあるのでしょうか。
○岡部分科会長 これは事務局からよろしいですか。室長、お願いします。
○石川予防接種室長 基本方針部会でも同様のお尋ねがありましたけれども、今、担当補佐からも申し上げたとおり、この母子感染防止事業と定期の予防接種というのは、まず対象者目的が違うものです。同じワクチンを利用しているので、そういうお話になる部分もあるかと思いますけれども、こちらの母子感染予防というのはハイリスクの新生児に出生直後から健康保険を使って、ある意味医療の一環として実施するもので、ワクチンだけではなくて免疫グロブリンも使いますし、検査も実施します。場合によっては3回接種のところ、6ページの一番最後に記載しておりますけれども、追加接種もできるといった制度になっています。ですので、そこはやはり健康なリスクのないお子さんに定期接種、努力義務をかけて実施するものと、医療の一環で実施されたものに対しての補償制度というのは分けて考える必要があると思っています。
○岡部分科会長 PMDAに行った場合もワクチンとしての救済ではなくて、医薬品を使ったときの事故の救済という形で枠組みが全然違ってくるだろうと思います。もちろん、ほとんどそういうことはないということでいいと思いますけれども、ただ、医療機関の中で定期接種と母子感染事業との混乱を避けなくてはいけないという説明の部分、それから、一度出生直後に母子感染事業でスタートした人が、その後の分は定期接種だということではなくて、これは一シリーズで母子保健事業であるということになるので、その辺従来、母子保健事業でやって出生直後にはやったけれども、これは医療側の問題ですが、産科から小児科への受け渡しであるとか、あるいはいろいろな書類のチェックというところで、後の追加接種を受けられなかったという方も中には少数ながらおいでになるので、そういうことをきちんとやっておくことも説明としてはあわせてこの中でやっておく必要があると思います。三田村委員、救済補償についてはそういったような説明になりますが、よろしいですか。
○三田村委員 はい。
○岡部分科会長 ほかに御意見はよろしいでしょうか。それでは、これについても了承ということでお願いいたします。
それでは、資料1-5になりますけれども、これもほかのワクチンと同様で長期療養特例を設けるわけですけれども、B型肝炎の場合、接種は小さいうちにやらなければいけないということはなくて、医学的には気づいたときにはいつでもということになります。したがって、年齢の上限もないだろうということになるわけですが、ただし、10歳以上になると用量が違ってくるので、従来の0.25 mlではなくて0.5 mlということになるので、この辺も医療機関に、もちろん受けられる方も急にふえたではないかということにならないように御説明をしていかなければいけないと思いますが、この長期療養特例に関しては何か御意見ございますか。
三田村委員どうぞ。
○三田村委員 期限なしというのは賛成です。お尋ねなのですけれども、長期療養特例の対象疾患の3番の1と2の疾病に準じて認められるものの中に、未熟児の場合は入りますか。1歳までに終わらなければいけないということもあるのですが、大体未熟児の方は予防接種の開始がおくれているのが通例だと思うのですが、そうしますと、3回目がおくれるという可能性も出てくるのではないかと思うのですが。
○岡部分科会長 これは事務局のほうがよろしいですか。室長、お願いします。
○石川予防接種室長 そこは個別の判断に最終的にはなろうかと思いますが、先生にごらんいただいた8ページの「特別の事情」、今は1の3番目をおっしゃられたかと思うのですが、大きな1、2、3の3に「医学的知見に基づき1又は2に準ずると認められるもの」も対象にしております。実際今もほかにたくさん予防接種がございまして、恐らく臨床現場の先生がお詳しいかと思いますが、こちらで御判断いただいているものと考えております。
○岡部分科会長 中野委員どうぞ。
○中野委員 現場の臨床の小児科医の1人として、三田村委員の御質問と室長からのお返事に私なりの理解を述べさせていただきたいと思いますけれども、特別な事情の中に挙がっている方は、キーワードは2つだと思います。長期にわたる療養、免疫機能の異常、それが回復する可能性のある疾病なり治療中の場合、そこが戻るまでワクチンは待ってあげたほうが、より有効かつ安全に接種できるのではないかと。ですから、恐らくはこれは早産児というのが入ってきて、免疫機能その他に異常を来しているような状態で、その時期にはせっかくワクチンを打っても十分に効果がないとか、安全性の点で懸念事項がある、例えば、人工呼吸管理をずっと長くしている方もいたり、いろいろな病状があると思いますので、基本方針部会で余り自治体に投げるとだめだと私は叱られたのですけれども、決して全て自治体に投げるという意味ではなくて、そこは個別に個々の患者さんにより有効で安全なワクチンをきちんと打つために、担当医と自治体と相談して、やりとりして決めていくということでよろしいのではないでしょうか。
○岡部分科会長 坂元委員どうぞ。
○坂元委員 自治体といたしましては、現実に主治医の先生からこういう医学的な理由で受けられなかったという診断書が出た場合、自治体の担当者というのは医療の専門家でもありませんし、特別な委員会を開いてそれを判断するわけではありませんので、あくまでも医師が出された医学的知見、判断に基づいて認めているということが現状かと思います。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。三田村委員、よろしいでしょうか。
○三田村委員 はい。
○岡部分科会長 事務局から何か追加はありますか。
○石川予防接種室長 特にはございませんが、実施要領でも総合的判断ということで記載させていただいております。
○岡部分科会長 そこは医学的に、主治医になった先生からきちんとしたアドバイスをしていただければ、自治体も受け入れるというようなことですので、よろしくお願いいたします。
それでは、ここも了承で、次は資料1-6になりますけれども、B型肝炎ワクチンの定期接種開始時における既接種者の取り扱い、さっきの母子保健事業は別にしてなるべく早く、例えばハイリスクの方は早くやったほうがいいので、その方に2回やった場合、それから定期接種になった3回目をやるといったときは、3回目を定期接種で扱うということで、もう2回やっているので全部任意でやってくださいということでもないし、定期接種だから改めて3回やりましょうということでもないということだと思いますが、御意見・御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、全般的なところで何か御意見がありましたら。中野委員どうぞ。
○中野委員 これも少し現場から質問事項が多いので確認だけさせていただきたいと思います。
資料1-1の1ページにございますように、接種方法として、組換え沈降B型肝炎ワクチンを用いると書いてございます。現在日本で使われる2つの製剤がございますけれども、2つとも生物学的製剤名、いわゆる一般名は組換え沈降B型肝炎ワクチンでございますので、恐らく治験の成績とか今までの臨床試験の成績は同じワクチンで3回打ったという成績がきちんとデータが整っていると思うのですけれども、少数例としては昨年のいろいろな会でも、3回のうち1回とか2回異なる商品名のワクチンが入っている場合でも有効性・安全性に懸念事項はなかったので、これが定期になって異なるものを打って誤接種になるというのは、また困ったことだと思いますし、転居したり、たまたまそのワクチンがないということもございますので、互換性という言葉で表されるのかもしれませんが、これまでにもDPTワクチンとか日本脳炎ワクチンとか一般名が同一のワクチンは互換性があるという形で使われておりますので、その理解でよろしいでしょうか。
○岡部分科会長 事務局いかがですか。
○石川予防接種室長 中野委員の御意見のとおりでございます。
○岡部分科会長 できるだけ同じ医療機関では同じものでやっていたほうが、それだけ大きいデータがあるので安全にできるだろうと、それから、有効性も確認できるだろうと。ただ、少数例の治験では互換性というものもあるので、違った場合に少なくとも誤接種ということではなくて、定期接種の取り扱いでやっていくということになろうかと思います。
ほかに御質問はありますか。桃井委員どうぞ。
○桃井委員 個々の新しいワクチンを定期接種化することに関しては特に異議はないのですが、傍聴の方からも御意見をいただいたように、世の中では新しい定期接種が生まれれば安全性に関してさまざまな御心配をされるのは当然のことであろうと思います。傍聴者の方の御意見を聞いても、あるいは今までのワクチンに関する副反応のさまざまな報道のされ方を見ても、我々が評価した数字に基づいた安全性の確認という科学的な判断と、一般の方、社会が受け止める副反応の数字、先ほど傍聴人の方は死亡例の数字を個々に述べられましたが、そういう絶対数をどのように理解するかということに大きな乖離があるということは今までもずっと言われてきたことです。この数字の誤解は、受益者としての国民には大変不幸なことで、この認識の乖離がありますと、さまざまな安全性に関する認知バイアスを生じて、どんどん膨らむという特徴を持ちます。
したがって、これも今まで申し上げてきたことですけれども、ワクチンに関する安全性の数字の意味の説明を、もう少し細かく丁寧に社会に伝える努力が必要であろうと思います。とかく一般の方は絶対数を受け取りがちです。我々は、安全性に関して絶対数ではなく、率に意味があると考えておりますが、その辺の違いがなかなか十分に御理解されないのは、ホームページにデータ、資料、数字を単に公表しているにとどまっているからで、その意味をもう少しかみ砕いて御説明する努力が行政には必要ではないかと思います。これは繰り返し申し上げてきたことです。
特に、死亡というものは絶対数が3例、5例とありますと、一般の方は脅威を持ってその数を受け止めます。我々は、ある一定期間内に生じるSIDSなどの事象は、一定の確率を持って、どの期間を区切っても生じ得るということを十分理解して科学的な評価をするわけですが、一般の方はそういう受け取り方をなさいません。したがって、十分な数字の説明責任が果たせるように、特に死亡例ということは強い関心を引きますので、日本小児科学会でも日本学術会議の第22期でも答申がありましたように、日本の小児のデスレビューというものをきちんとすることが不可欠です。そうしますと、明確に年齢ごとの一定の期間内の原因不明の死亡頻度が今まで以上により詳細に出ますので、関連性解析がより科学的にできます。そんなことも含めて、より説明力のある数字を出す努力もしていただきたいと思います。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
今、副反応報告と言われている重篤な反応に関しては、医療側の義務として届けられているのですけれども、その数で見る限りは、今のところ例えば10万接種当たりに0.1件あるいは1件程度の届けがあると。それはあくまで、もし何かあったときのシグナルをキャッチするという意味で割に幅広くとらえているもので、その数字の範囲内である特定のワクチンが突出して具合が悪いというようなことはないというのが、桃井委員の検討部会での結論になっています。しかし、そのシグナルをとらえる必要はあるので、やはり幅を狭く受け取るのではなくて、届出としては幅広くとってその判断をやっていくので、その辺の説明もうまく、今後アカデミアの側も、あるいは行政側も説明していただきたいということだと思います。
ほかに何か御意見はありますか。館林委員どうぞ。
○館林委員 先ほどのお話にも出ていましたが、化血研のワクチンの安全性には問題がないとされていますが、10月からというとお母さんたちは混乱するかもしれないので、ワクチンがどういうものなのかをきちんと説明していただければと思います。
在庫も国が供給量が足りていると言っても、医療現場に行くと足りないという話をよく聞きますので、地域差や卸の問題があると思いますけれども、10月から定期接種開始ということで母子感染の方に絶対に回るように優先順位を明確にしていただき、なるべく混乱なくスタートさせていただけるとありがたいと思います。
○岡部分科会長 ありがとうございました。これは後で報告事項として出てくるので、そのときに供給量あるいは安全性の面についての御説明もあると思いますので、そのときにまた何かありましたら御質問ください。
ほかはよろしいでしょうか。三田村委員どうぞ。
○三田村委員 その安全性について、B型肝炎ワクチンだけではないのですけれども、もう既に使われているワクチンが定期化されたときにすごく数がふえるということになると思いますが、結局今、桃井委員がお話しされたように、基礎のデータが一般の方には見えない状態にあると思います。今は副作用が出れば報告するという形になっているのですけれども、例えば10年以上前、前の病院にいたときにはがきを配っていた時期があったと思うのですが、普通に接種に来た方にあらかじめアンケートのような前向き調査というのですか、そういう調査みたいなものがされているとか、あるいは副作用をこういう形でチェックしていますという、広く行われるようになったときに安全性のチェックをどのようにしているかというのが一般の方にはなかなか見えないので、ある程度そういうことをオープンに説明していただく形が必要なのではないかと思いますので、ちょっと意見を言わせていただきました。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
サンプリングであるワクチンをある一定期間やったときに、どういうものが来るかというのは別の副反応に関する検討、健康調査といったような形でやっているのですが、なかなかそれもオープンに、あるいは目につきにくいのかもしれないので、その辺をぜひ接種後の副反応が出たときの調査だけではなくて、積極的にやっているものも含めてわかりやすく説明していく必要があるだろうという御意見だと思います。これは行政のほうでよろしくお願いします。澁谷委員どうぞ。
○澁谷委員 事務局に質問なのですが、B型肝炎ワクチンを既に独自で実施している自治体というのは全国にどのくらいあって、そういったところが来年度から定期化されることについて何か御意見が寄せられているとか、スムーズにそちらに移行できるような手だてを考えているとか、その辺のことがあれば教えていただきたいのですが。
○岡部分科会長 これは事務局のほうで何かありますか。室長どうぞ。
○石川予防接種室長 今手元にはないのですが、以前、自治体に調査をしたときは、たしか10%弱ぐらいの数字だったと記憶しておりますが、市町村にB肝とそのほか3種類ほどのワクチンについての実施状況をお聞きしたことがあります。ただ、出荷量ベースで見ますと、やはりかなり増えているのではないかと思っており、大体推計ですけれども2割強ぐらいの方が任意で打たれている可能性があるのではないかと思っています。今、自治体の独自事業でされているところが、10月からの定期接種化に伴って、例えば4月以降はやめてしまうとか、そういう細かいところまでは具体的にお尋ねしていないのですが、今のところ幾つか私の知っているところに聞いた限りでは、なるべく10月までに独自事業で打っていただいて、10月からは定期に移行するといった自治体もあるようです。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
これは今までの議論の中でも随分あったのですけれども、わが国におけるHBウイルスの出生時の母子感染予防としては世界に誇るぐらいかなり成功していると思います。それは先ほど傍聴の方からも説明がありましたように、先輩たちの大変な努力で、日本はユニークな形ではあるけれども、かなり成功していると思います。ただ、その中でも、さらに感染者がかいまだ見られるというようなこと、それから、最大の目的は急性肝炎の予防ではなくて、将来の我々の子どもたちから肝硬変・肝がんが大人になって出てこないというところが一番の目的だと思います。そのための定期接種化であるということと、費用対効果で少し御意見が出たりしていましたけれども、今までの委員会の意見や何かで池田委員から何か一言あればお願いします。
○池田委員 これは以前の会議でも指摘がございましたけれども、費用対効果の値は確かに一般的な基準からすると、やや割高な部分がございますが、1つには、日本では母子感染事業というのが一定程度効果があるということで、それと比較した場合という数字になっているということでございます。例えば、アメリカのACIPなどでは1QALYs当たり大体5~10万ドル、大体1,200~1,300万円ぐらいまでが費用対効果がよい基準ということで一つの目安にしておりますが、それを桁違いに大きく上回るものでもございませんので、今回財源が確保できたということですので、ぜひ、これは適正化ということで進めていただければと思っております。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
そろそろ次の議論にいきたいので、B型肝炎については御意見を伺ったところでは、本日の審議事項として述べられていること、資料1-1、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6にかかわることについては分科会としては了承と。ただし、一部ペンディングのところがありました。一番最後の日数のところですが、10月実施であれば時間はあるわけですから、その間に多くの方々にきちんと説明をし、もしユニバーサルということになると、今までの特殊なところでやっていたワクチンということではなくなるので、一般の方だけではなくて医療関係者への説明等々も必要になってくると思います。それを含めてきっちり実施に向けて、また、自治体も大変でしょうけれども御協力いただいて、スムーズにいくようにお願いしたいと思います。
それでは、B型肝炎についての審議はこれで終了としたいと思います。
2番目の日本脳炎ワクチンについては、傍聴の方からも一部意見がありましたので、議論のときにはそのことも踏まえての議論をしたいと思います。
最初は、日本脳炎について事務局から御説明をお願いします。
○坂本課長補佐 それでは、資料2に基づいて説明させていただきます。
日本脳炎の予防接種は、平成17年5月30日から平成22年3月31日まで、積極的勧奨を差し控えていた関係で、予防接種実施規則、省令になりますけれども、そちらの附則に4条、5条ということで2つの特例措置を設けております。今回は4条の話でして、4条については現在、平成19年4月2日から平成21年10月1日までに生まれた方を対象としております。日本脳炎の第1期の接種1回目の積極的勧奨は3歳なのですけれども、政令上の接種対象期間というのは生後6月から90月までということになっておりますので、積極的勧奨を止めていた間に3歳にはなっていらっしゃらないけれども、第1期の接種が可能だった方について救済しているという規定になります。附則4条については簡単に規定の趣旨を申し上げますと、第2期の9~13歳の接種期間であっても第1期の接種の残りを打つことができるという規定です。
ただ、第1期のことは書いてあるのですけれども、実際に本則に基づいて第2期を接種することの規定がございませんので、例えば9歳になって第1期の残り何回あるかわからないですが、1回なり2回なり3回なりを受けた方が、そのまま引き続いて第2期の接種を受けることが想定されます。こういった方は平成19年4月2日からの方が対象ですので、今はまだ9歳になっておられませんが、4月以降順次9歳になられます。第1期の最後の接種をするときと、第2期の接種をするときの間の期間、全体でいうと3回目と4回目の接種間隔について現在明示がございませんので、こちらを省令に規定したいと思っております。
接種間隔をどう規定するかですけれども、第5条に4回接種する場合の接種間隔についての規定がございます。第5条第5項という規定がございまして、こちらの規定では4回目の接種は3回目から6日以上の間隔を開けて接種すると規定してございますので、附則第4条についてもそういった規定を適用するように省令を改正したいと思います。
こちらの省令改正につきましては、年度が変わると対象者が出てきますので、4月までには公布・施行できるように準備をさせていただきたいと思っております。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
非常に複雑なところでもあるのですけれども、延びたというところでのギャップの部分をどう埋めるかということになります。これについては御意見いかがでしょうか。
中野委員、現場のほうでも時々出てくると思うのですが。
○中野委員 発言の機会をいただきましたので話させていただきます。
せんだって基本方針部会でもお話し申し上げたのですが、先ほど事務局から御説明があったように、この子たちが2期の年齢を迎えたときの3回目の接種からの間隔という理解でございますので、医学的に6日以上の間隔を開ければいいということで、個々の方にどれくらいの間隔が医学的に一番適切かは、個々のケースで判断いただいたらいいということだと思います。
○岡部分科会長 早くやると6日過ぎればできるということですね。
ほかに御意見・御質問はよろしいでしょうか。
それでは、日本脳炎の今のことについては分科会として了承ということにしたいと思います。日本脳炎の北海道の問題については、後で報告事項として出てまいりますので、そのときに御意見があればと思います。
それでは、この審議事項については特段の異論がなかったということで、今申しましたように了承ということで、ぜひスムーズにいくように、なおかつ、有効性だけでなくて安全性も含めていろいろな方に説明もいくように、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、報告事項に入っていきたいと思います。報告事項の最初は、御存じのように、この分科会の中には部会が3つありますので、その3つの部会の現在の状況について事務局から御説明いただいて、そこに出席されている分科会長あるいは委員の先生がおられましたら、何か追加があればしていただくということにしたいと思います。
それでは、事務局からお願いします。
○氏家課長補佐 資料3「各部会の審議状況について」に基づいて順次、御報告させていただきたいと思います。
まず、ページをおめくりいただきまして「ワクチン分科会予防接種基本方針部会」に関してでございますが、第14回の部会を今年2月5日に開催しているところでございまして、この中で本日御議論いただいておりますB型肝炎ワクチンの定期接種化についてということで、本部会同様に開始時期、分類、接種開始時における対象者、母子感染予防の対象者の取り扱い、長期療養特例、既接種者の取り扱いということで御議論いただいた結果、了承をいただいているところでございます。
また、2番目の審議としまして日本脳炎ワクチンについてということで、先ほど御議論いただきましたように、予防接種実施規則附則第4条の接種間隔について議論いただき、同様に6日以上とすることについて了承をいただいているところでございます。
続きまして、ページをおめくりいただきまして、基本方針部会の下にございます「ワクチン評価に関する小委員会」でございますが、第2回の開催を昨年12月17日に実施しているところでございまして、その審議の中で沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを高齢者へ定期接種で使用することの是非に関する検討方針ということで審議が行われて、その方針について了承されているところでございますので、内容を御報告させていただきます。
まず、ワクチン評価小委員会でございますが、新たに薬事承認されたワクチンについて、有効性、安全性、費用対効果につきまして最新の知見に基づき結論づけ、基本方針部会に提言を行うというものでございます。
まず、有効性の議論でございますが、国内の予防接種における疾病抑制効果につきましては、こちらを評価することが望ましいわけですが、現在、我が国における高齢者でのPCV13(13価肺炎球菌)の単独接種による侵襲性肺炎球菌感染症及び市中肺炎における疾病抑制効果に関するデータはないところでございます。ただ、このデータを国内でとることになりますと下記のような問題があるということで、通常の前向き無作為化比較試験におきましては、既に23価の肺炎球菌ワクチンが定期接種化されているところでございますので、そういった影響が生じるということと、無作為化することによって定期接種の対象者となっている方に対する同意等の問題がある。また、推計しますと、接種対象者も莫大な人数になるというような問題点がございました。
その他の臨床比較試験で行った場合においても、コホート研究、そして症例対照研究同様に多数の研究対象者が必要になるということで、こういった問題点が議論されてございます。
安全性につきましては、これまでの報告の中で安全性に関する特段の懸念は報告されていないところでございますが、現在、定期接種として実施されている23価との併用の場合においては、こういったことについても議論が必要という結論になってございます。
費用対効果につきましては、国内における一般的な肺炎診療に関連する医療費やQOL値などに関する情報が不足しているという議論がございました。
こういった検討を踏まえて、今後の13価肺炎球菌コンジュゲートワクチンに関する検討方針としましては、下記のように了承されてございます。
まず、疾病抑制効果の評価につきましては、国内での前向きの評価が困難であることから、既存の調査、研究結果を用いて推計していくことを了承いただいています。
また、2番目としまして、国内の13価肺炎球菌コンジュゲートワクチンの評価として、下記のような評価がさらに必要であるということで、科学的知見をできるだけ早期に研究班等で収集し、実際に施行するであろう施策に基づいたモデル解析及び費用対効果等の分析評価を実施するとなってございまして、具体的な必要なデータとしましては、成人市中発症肺炎などの発症頻度、血清型の分布、免役原性及びその持続性、肺炎診療に係る医療費、QOL評価の指標といったデータを今後、研究班等で収集していくという議論がされているところでございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
ここまでは何かございますか。私は、この部会に所属しているのですけれども、きょうの議論とほぼ同じなので、特に追加することはありません。よろしいでしょうか。
それでは、次の開発・流通部会、これは滝補佐からよろしくお願いします。
○滝室長補佐 続きまして、平成28年2月19日に開催させていただきました「第11回研究開発及び生産・流通部会」について御報告申し上げます。
まずは、独立行政法人国立病院機構本部、当部会委員の伊藤委員より、小児臨床試験の環境整備について御報告をいただきました。資料につきましては、参考資料でも御用意させていただいております。参考資料2を御参照ください。
伊藤委員におかれましては、2009年のときにNHO、国立病院機構の施設間でH1N1と季節性インフルエンザワクチンの免役原性に関する小児医師主導治験を実施されましたが、これまでの御経験を踏まえ、参考資料2の5ページをご覧ください。小児、特に乳幼児のワクチン開発環境の問題点を整理していただきました。
まず、規模の大きな病院では臨床研究推進室など開発環境は整備されているが、健康な小児がいないなど、被験者の確保が困難である一方、クリニックでは夜間・休日など重篤な有害事象発現時に緊急対応できない、施設当たりの実施例数が少ないなど、小児、特に乳幼児のワクチン開発環境には問題点があるとの御報告をいただきました。
次に、6ページの下の四角の中をごらんください。その小児臨床試験の環境整備に向けた課題解決のためには、各実施施設における研究支援人材の配置に加えて、研究実施計画書策定のための感染症・疫学専門家、データセンター、中央倫理審査委員会の必要性や、疾患発症の確認のための抗体価測定やワクチン株による発症か自然発症かを区別するための病原体遺伝子解析など、感染研や地衛研などの協力が必要となることから、参考資料の最後の8ページに、小児ワクチン開発ネットワーク構想の絵を描いていただきました。これは、国立病院機構本部を中心としたネットワークになります。
部会委員の先生方からも賛同する意見が多々ございまして、引き続き本研究班において小児臨床試験の環境整備について御研究いただく予定としております。
戻っていただきまして、次に、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長の小田切参考人と同研究所インフルエンザウイルス研究センター第四室長の信澤参考人より、インフルエンザワクチンについて御報告をいただきました。
小田切参考人からは2015/2016シーズン、つまり今シーズンのインフルエンザの流行状況について国内の検体分離状況、国内で分離された株の遺伝子解析、抗原性解析の結果について御報告をいただきました。
今年の流行はAH1pdm09が51%で最も多く、続いて、AH3が21%、Bビクトリア系統が15%、B山形系統が13%でした。
抗原性解析の結果では、A(H1N1)pdm09ウイルス、B型インフルエンザウイルス、ビクトリア系統、山形系統の流行株のほとんどは、ワクチン株に類似し、抗原的遺伝的変化は見られていませんが、A(H3N2)ウイルスのウイルス株は、卵馴化による抗原変異の影響を受けており、89%の流行株はワクチン株から抗原性が乖離したとの報告をいただきました。
次に、信澤参考人からは、このようなA(H3N2)の卵馴化の問題を背景とした細胞培養季節性インフルエンザワクチンの実用化への取り組みについて御報告をいただきました。
・として挙げた細胞培養ワクチン株作製法の確立や細胞培養ワクチンのHA抗原量測定試薬作製法の確立は、細胞培養季節性インフルエンザワクチンを実用化するために解決すべき課題でございまして、NIID(国立感染症研究所)のMDCK細胞を用いて臨床検体からウイルスを分離するなど、新たな細胞培養ワクチン株作製までのプロセスの検討を進めておられまして、そのファーストトライアルの結果、感染研MDCK細胞分離株は各ワクチンメーカー細胞では一定の増殖性を示すことが確認できたとの御報告をいただきました。
また、細胞培養法のHA抗原量測定試薬作製法、つまりSRD試薬は現在、鶏卵培養のSRD試薬しかないことから、細胞培養SRD試薬の製法の確立と、両者による試験の比較検証を検討する予定との報告をいただきました。
次に、3.として世界に先駆けたワクチンの開発状況について、ファイザー株式会社から4抗原黄色ブドウ球菌ワクチン、クロストリジウム・ディフィシルワクチンの開発状況についての御報告をいただきました。
また、その他の議事として、乾燥弱毒性麻しん・風しん混合ワクチンの北里第一三共ワクチン株式会社による自主回収への対応についてと、化血研が製造販売するワクチンについて、昨年10月21日の感染症部会からこれまでの対応について事務局より御報告をさせていただきました。
「研究開発及び生産・流通部会」の報告は以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。こちらは坂元委員、小森委員が委員会に出席されていたので、何か追加することがありましたら。特によろしいですか。
ありがとうございました。ほかに何か御質問・御意見がなければ、もう一つの部会「副反応検討部会」を大澤専門官から御説明をお願いします。
○大澤専門官 続きまして「副反応検討部会」での審議状況について、事務局から御説明させていただきます。資料の10ページ、平成27年11月27日に開催されました「第16回副反応検討部会」での審議状況について御報告いたします。
(1)に記載されておりますけれども、議題1におきまして、麻しん、風しん、おたふく風邪、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザのワクチンの安全性について、平成27年6月30日までの副反応の疑い報告をもとに審議が行われました。副反応報告された全ての症例の概要と後遺症症例などの詳細な経過資料をもとに審議されまして、これまでの報告において各ワクチンの安全性に重大な懸念は認められないと評価されております。
続きまして(2)、議題2では「疼痛及び運動障害を中心とする多様な症状」についての疫学調査につきまして、大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座の祖父江友孝参考人から、「青少年における『疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状』の受療状況に関する全国疫学調査」の概要について報告がされました。
続きまして、11ページをごらんください。平成28年2月12日に開催されました「第17回副反応検討部会」での審議状況について御説明いたします。
(1)といたしまして、議題1におきましてB型肝炎ワクチンの定期接種化を検討するに当たりまして、B型肝炎ワクチンの副反応報告基準について審議されました。部会に提出いたしました資料を参考資料3としておつけしておりますので御参照ください。
まず、副反応報告基準に定める症状といたしまして、1つ目、ほかのワクチンの報告基準で既に設定されているアナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群については、B型肝炎ワクチンの報告基準として定める。
また、2つ目といたしまして、ほかのワクチンにおいて報告基準として設定されていない多発性硬化症、脊髄炎、視神経炎、末梢神経障害について、まれではありますが定期接種の対象者である小児においても発症し得るものであることから、B型肝炎ワクチンの副反応報告基準に定めるということで御承諾をいただきました。
続きまして、副反応報告基準に定めます接種後に症状が発生するまでの期間の設定につきましては、ごらんいただいている参考資料3の6ページに案をお示ししております。このことに関しまして、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎、ギラン・バレ症候群については、ほかのワクチンの報告基準と同様とするということと、脊髄炎、視神経炎、末梢神経障害の3症状については、28日以内に確認されたものを報告対象とするということで承認をいただきました。
なお、6番にお示ししております多発性硬化症の報告を求める期間につきましては、参考資料3の5ページにお示ししておりますが、この案では理論上の発症機序から考えて報告基準となる期間を28日としておりますけれども、5ページにお示ししましたVAERSのデータをレビューした論文で、発症の中央値がワクチン接種から36.5日となっておりまして、本部会ではここをカバーするべきかどうかということが議論となりました。
この参考論文で示されているデータは中央値のみであることと、多発性硬化症という疾病のほとんどが成人で起こる疾患であると考えられることなども考え合わせまして、根拠となるデータは限られてはおるのですけれども、できるだけ参考となる資料を収集して次回の部会でお示ししまして、改めて御審議いただく予定でございます。
また、資料3の11ページに戻っていただきまして(2)、議題2におきまして、百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、生ポリオ、肺炎球菌(7価及び13価)、Hib、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルスのワクチンの安全性について、平成27年10月31日までの副反応の疑い報告をもとに審議が行われました。副反応の疑いとして報告された全ての症例の概要並びに後遺症症例、アナフィラキシー症例及び死亡症例のより詳細な経過等の資料をもとに審議され、これまでの報告において各ワクチンの安全性に重大な懸念は認められないと評価されております。
「副反応検討部会」につきましては以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございます。これは、部会長が桃井委員なので、桃井委員、何か追加することがありましたら。
○桃井委員 特にございません。今、御説明のあったとおりです。保留になった案件は文献で引用されたものの数字の科学的な質について、より詳細に次回検討しようということになったということでございます。
○岡部分科会長 ありがとうございます。
委員の先生方から何か御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは、報告事項の審議状況はこれで終了して、次は、先ほどもちょっと話題になりましたが、感染症部会で既に検討されて議論されていることですけれども、化血研の製造販売するワクチンの状況について報告をお願いいたします。
○氏家課長補佐 事務局から参考資料4-1~4-4に基づいて御説明させていただきます。参考資料4-1をお手元に御用意ください。
先ほど岡部分科会長から御説明がありましたように、10月21日開催の「第13回感染症部会」におきまして、化血研でのワクチン等に関する承認と製造実態の齟齬を報告されたことに関して議論をいただいてございます。
厚生労働省としましては、化血研に対する関連製品の出荷自粛を求めているところでございますが、10月時点でインフルエンザワクチンに関する品質及び安全性等に関する確認調査も実施してございました。その報告された齟齬に関しまして調査の結果、当該ワクチンの品質及び安全性等に重大な影響を及ぼすような齟齬ではないと判断したという背景がございまして、その他のインフルエンザワクチン以外を含めた化血研製剤でのワクチンに関して、感染症法及び予防接種法で規定される感染症と感染症の予防及び治療のために必要な製剤であって、他社製品での代替が困難または供給量が著しく不足する見込みがある製剤につきましては、公衆衛生対策上の必要性の観点から、速やかな出荷の必要性や緊急時における使用の必要性を議論していただいたところでございます。
まず、1番目のインフルエンザワクチンにつきましては、この後御説明させていただきます詳細な評価を「感染症部会」で実施していただきまして、品質及び安全性等には重大な影響を及ぼすような齟齬ではないことを厚生労働省が判断していること、また、国立感染症研究所による国家検定に合格している製剤であり、並びにインフルエンザの発生予防及び蔓延防止を推進する観点から、このインフルエンザワクチンの出荷を認め、供給不足を避けるべきとの結論をいただいたところでございます。
続きまして2番ですが、2ページをめくっていただきますと、分類が別紙で定められていますが、このDPT-IPVのワクチン、B型肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン、A型肝炎の4つの製剤のワクチンにつきまして議論をいただいたところでございまして、これらの4つのワクチンにつきましても、品質及び安全性等への重大な影響について、できるだけ速やかに確認調査を行うべきというような結論をいただいてございます。
また、3番目の項目としまして、危機管理の観点で必要性が高いワクチンということで、これも次ページの3番に書かれていますような、狂犬病ワクチンから始まります抗毒素等の製剤については、現在未発生の感染症や患者数が少ないけれども生命や健康に重篤な影響を及ぼすおそれのある感染症といったものが発生した場合に、その予防や治療への有効性が確認されており、必要な製剤であり、他社製品や他の治療薬等で代替が困難なもの、これらのものについては、危機管理の観点で感染症が発生した場合には、緊急的な使用または出荷が認められるべきといった結論をいただいているところでございます。
この結論に基づいて、同日に発出しましたのがプレスリリースでございまして、先ほど御説明させていただきましたように、厚生労働省による精査の結果を報告するとともに、このインフルエンザ発生の予防及び蔓延の防止の推進の観点から、出荷を認め、供給不足を避けるべきというような意見がまとめられ、出荷自粛の要請を解除するということを示したものでございます。
6ページの資料1に書かれてございますのは、安全性及び品質について確認した中身でございますが、大きく分けまして4つの項目について検討していただいているところでございます。
1番目としましては、化血研より報告された齟齬等に関する確認ということ。2番目につきましては、当該製剤の国家検定の結果。3番目は、インフルエンザワクチンにつきましては、今年度より価数が変更になったことに基づく、また地理調査等における実地の変更管理に関する妥当性の確認。4番目としまして、副反応の2012年以降の報告を確認し、他社製剤と比べて副反応が多いなどの有害事象がないこと、こういったことを議論してございます。
次のページをめくっていただきますと、化血研より報告された齟齬の具体的な内容が記載されているところでございますが、齟齬の箇所としましては、インフルエンザワクチン235カ所報告されたところでございますが、品質及び安全性等に重大な影響を及ぼす重大な齟齬については3点ございまして、こちらについていずれも専門家等の確認の結果、問題ないということが確認されてございまして、残りの齟齬につきましては大きく分けると4種類ございますが、単純な誤記であるとか、記載レベルに差が生じており記載整備が必要なもの、そして、承認書と製造実態に齟齬はあるが、製品の本質に影響を及ぼさないもの、また、記載よりもさらに厳格な対応、齟齬等に当たるものではないと判断されるもの、こういったところが報告されていたところでございまして、こういったことを総合的に判断し、インフルエンザワクチンの出荷自粛について解除を行ったところでございます。
続きまして、参考資料4-2でございますが、先ほど速やかに安全性の確認が必要とされたDPT-IPVについて結果がまとまりしたので、こちらを「感染症部会」の委員に別添資料に基づいて検討していただき、化血研の製品の出荷を認めるべきかどうかについて意見を伺ったものでございます。その意見の結果、インフルエンザワクチン同様に出荷自粛の要請を解除するということを行ってございます。
次のページには先ほどと同様に、検討を行った項目について記載されているところでございまして、詳細については割愛させていただきます。
続きまして、参考資料4-3につきましては先ほどと同様に、平成28年1月29日にB型肝炎、A型肝炎のワクチンについて安全性等の検討を行うための資料が整ったということで、同様に「感染症部会」の委員に意見をお伺いし、そちらの審議結果としまして、肝炎の発生及び予防及び蔓延の防止を推進する観点から出荷を認め、供給不足を避けるべきとの意見をいただき、同様に出荷自粛の要請を解除したというプレスリリースでございます。
今回審議いただいていますビームゲンにつきましても、ここで議論がされているところでございまして、先ほどのインフルエンザ同様に、報告された齟齬、国家検定、これまでの副反応、いずれについても議論が行われ、問題がないとされているところでございます。
齟齬は重大な箇所が1カ所ございましたが、そのほかのものも含めて特段問題がないということでございまして、需給の見込みも合わせてこういった結論をいただいたところでございます。
また、A型肝炎も同様に資料をおつけしてございますが、こちらについての詳細は割愛させていただきます。
現在、日本脳炎について同様に検討を進めているところでございまして、準備が整い次第「感染症部会」での審議を行いたいと考えているところでございます。
最後、参考資料4-4につきまして「医薬品医療機器法違反業者に対する行政処分について」という、これは医薬・生活衛生局からの通知でございますが、化血研に対し医薬品医療機器法第75条第1項の規定に基づき、平成28年1月18日から同年5月6日まで110日間の業務停止命令が行われたという報告でございまして、違反の事実としましては次ページにございますが、承認書の製造方法と整合させた虚偽の製造指図書及び製造記録等を作成し、厚生労働省等の査察に対して組織的欺罔及び隠蔽を図ってきたこと。
2番目としまして、厚生労働省が昨年9月1日に行ったワクチン等に関する報告命令に対して適切な報告を行わなかったこと等などが記載されてございます。
この業務停止の内容でございますが、除外品目が次ページに規定されてございまして、定期接種にかかわるワクチンであるとか、本日議論していただいたB型肝炎ワクチンについては除外項目となっていることから、安定供給に関しては問題が生じないという状況になっているところでございます。
事務局からは以上です。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。
「感染症部会」は私と大石委員、小森委員が出席しているのですけれども、小森委員、大石委員、何か追加することがありましたら。
○大石委員 特にございません。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
他の委員の先生から何か御質問・御意見がありましたら。よろしいでしょうか。「感染症部会」でもいろいろ議論はありましたけれども、最初にとにかくやらなければいけないからというので目をつぶったのではなくて、詳細な分析調査をして、あるいはものによっては再実験といったようなことを感染研で行った結果を「感染症部会」で了承したということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、今の化血研については御報告をいただいたということで、もう一つは北海道の日本脳炎をどうしようかということについて報告をいただきます。この分科会でも以前に議題として上がったことがありました。どうぞお願いいたします。
○氏家課長補佐 事務局より、資料4に基づいて御説明させていただきます。
先ほど岡部分科会長からも御説明いただきましたように、2014年に本分科会でも審議を行っていただきましたが、審議の背景としましては北海道が日本脳炎の定期接種を実施していないことに関して、住民の方から定期接種を行ってほしいというような要望が総務省にあったということで、現在、予防接種法上規定されている内容についての審議ということでございました。
その内容と申しますのは、予防接種法上、都道府県知事が当該疾病の発生状況等を勘案して、都道府県の区域のうち当該疾病に係る予防接種を行う必要がないと認められる区域を指定することができるという規定がございます。この予防接種を行う必要がないと認められる区域を指定できる疾病として、日本脳炎が規定されているところでございますので、予防接種法上の規定について審議をいただいたところでございました。
また、その審議の中では、北海道民が感染リスク及び副反応のリスク等を勘案して、北海道における日本脳炎の定期接種を行うことが知事の判断であるということと、また、当時北海道では専門委員会において疫学調査の結果や副反応頻度等を分析し、ワクチン接種の必要性を検討し、その当該年度内に報告書をとりまとめ、再開についての審議を行っているという現状がございましたので、そういった背景について御説明させていただき、結論として予防接種法上の規定は見直す必要がないという結論をいただいたところでございます。
その後の報告事項としまして、北海道におきましては北海道内での専門家による調査の結果、予防接種を行う必要がないと認められる区域として指定しないことになりましたので、裏を返すと4月1日から北海道でも定期接種が実施されるということを御報告いただいていますので、御報告させていただきます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
これについては何か御意見がありますか。坂元委員どうぞ。
○坂元委員 この当時の議論は、北海道の中で発生がないから、あるからという議論ではなくて、接種の実施を求められた方は、ほかに引っ越した場合、つまり感染区域に引っ越した場合にリスクを負うことになるからやってほしいという意見ではなかったかと思うのですが、いかがでしょうか。
○氏家課長補佐 御指摘のように、総務省に相談を行った住民の方の認識としましては、北海道で小児の間感染リスクがない状況であっても、昨今、いろいろな人の移動が多くされているような状況ですから、日本脳炎が流行しているような地域にその後引っ越したり、転勤したりすることで、日本脳炎に感染するリスクがあるということで、定期接種を実施していただきたいという認識があったと考えてございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
それでは、もう一つが、平成27年度地方分権改革における提案募集への対応ということで、予防接種室でどういう対応を行ったか、坂本補佐からお願いします。
○坂本課長補佐 それでは、資料5について説明させていただきます。
平成27年の地方分権改革提案募集の中で、複数の自治体から予防接種実施規則第5条の2に規定してございます予防接種を行う場合の保護者の同意要件について、例えば、児童相談所に一時保護されている児童、また、乳児院などの児童福祉施設に入所されている児童で保護者と連絡がとれない場合に、児童相談所長であるとか乳児院の施設長の同意で要件を満たすことができるようにしてほしいという要望がありました。
下の資料になりますけれども、保護者と連絡がとれない児童というのは二通りが考えられていまして、それぞれの対応をさせていただこうと考えております。
1つは、保護者が行方不明で居所が本当にわからない場合などですが、このような場合には児童福祉法上、児童相談所長や施設長が親権を行うこととされています。
一方で、上に戻りまして、予防接種法第2条第7項という条文がございまして、保護者には親権を行う者または後見人と規定がございます。なので、こういった場合には親権を行う者が児童相談所長や施設長ということになりますので、現行制度のまま法令改正等が不要で対応が可能になります。この点については昨年12月に通知を発出して、まず周知させていただいたところでございます。参考資料5という通知が後ろについてございますので、適宜、御確認いただければと思います。
もう一つ、こちらは法令上の対応をさせていただくものでございますが、保護者と連絡がとれないというのがございまして、これは行方不明とかではなく保護者がどこにいるかわかっているのですけれども、例えば、児童相談所とは話がしたくないといったような状況のときに、現行制度上は居場所はわかっているのですが話ができない保護者の同意をとらない限り予防接種が実施できない状況になってございます。ただ、児童福祉法には児童相談所長や施設長が「入所児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができる」という条文があります。この「監護」の中に予防接種は含まれるという解釈になってございますので、こういったことを踏まえまして、予防接種実施規則第5条の2の保護者の同意要件の条文を改正する方向で今、関係当局とほぼ調整はついております。こちらについては、平成28年4月1日の施行を目指しておりますので、それに向けて必要な手続を現在進めていることを御報告させていただきます。
以上です。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
これについては何か御意見ありますか。今まで児童相談所や何かでは相当悩んでいたところですけれども、その子どもたちの感染を予防する、あるいはその集団での予防ということについても、私は大変ありがたいことだと思っていますので、よろしくお願いいたします。
それでは、最後の報告事項としては、平成28年度予防接種対策予算案の概要について御説明をお願いいたします。
○石田室長補佐 資料6について御説明させていただきます。
平成28年度の予防接種対策の予算案につきましては、約16億2,000万円を計上しているところでございます。
その主な事業内容としては、予防接種法に基づく予防接種健康被害者への医療費・医療手当等の救済給付金のほか、公益財団法人の予防接種リサーチセンターが行っている予防接種健康被害者への保健福祉相談や訪問指導等の補助金。PMDAで予防接種副反応報告の情報整理・調査などを実施するための経費や予防接種後の副反応報告情報をリアルタイムに解析して、重篤または異常な副反応の集積を速やかに検出するための体制整備。自治体の予防接種従事者を対象に全国で行っている研修事業。予防接種に関する相談や医療従事者に対する安全技能研修を実施するための予防接種センターの運営費補助。予防接種の有効性・安全性について、国民に対する正確な情報や正しい知識の普及啓発などを行うための経費を計上しているところでございます。
以上でございます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。これはいかがでしょうか。特にございませんか。
いろいろな報告事項をありがとうございました。
その他は特に用意していないのですけれども、何か御意見はありますでしょうか。あるいは森委員、阿真参考人も今までのところで何かございますか。よろしいですか。ありがとうございました。
それでは、きょうの分科会としては終了したいと思いますが、ちょっとお時間をください。議事は以上なのですけれども、阿真参考人に一般参考人の参加として今までおいでいただいていたのですけれども、実は明確に任期というものを最初のときに設定していなくて、出席いただくようになったのは年度途中の第3回からということだったと思います。この分科会は私を含めて委員のメンバーが2年間という任期になっております。それで考えると、阿真参考人には今まで6回出席していただいて、スタートが平成25年12月なので2年少々になりましたけれども、これで任期を終了していただいたということにして、改めて参考人の公募を行えればと思っています。
公募に関する条件その他については、前回に準じた形になろうかと思いますけれども、これからは2年ごとに公募を行って広く御意見をいただくというふうにできればと、これは御提案です。よろしければ、そのようにしたいと思います。
公募の時期など詳細については事務局と調整しますので、その後に厚生労働省のホームページにてお知らせするということになろうかと思います。傍聴者からきょうはお三方に御発言いただいているのですけれども、これについても継続して、ぜひ幅広い意見をいただいて審議の中で参考にさせていただければと思います。これ自体は非常に画期的な取り組みではないかと思うのですけれども、今後もぜひよろしくお願いしたいと思います。
それから、阿真参考人には、一般の立場からということでいろいろご負担もあったのではないかと思うのですが、いろいろな立場、立場で御意見をいただきました。最後に、会全体として御礼申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。
阿真参考人から一言ありましたらどうぞ。
○阿真参考人 ありがとうございます。2年余りになりますけれども、大変お世話になりました。私が最初にこちらの分科会の参考人に手を挙げさせていただいた理由というのは、予防接種について有効性・安全性、副反応のことが一般にはとても難しくてよくわからなくて、大事なことが全く伝わっていないということを最初に思って、もっと勉強してもっと知りたいということと、それをきちんとお母さんたち、お父さんたちに伝えていきたいという思いで手を挙げさせていただきました。
こちらの分科会を通して、私は先生方の非常な御苦労ですとか、副反応についてはそれを整理するためにどれだけ身を削ってやってくださっている先生方がいるかといったこともよく理解することができました。ですが、まだ一般の方々が当たり前に予防接種のことについて、安全性や有効性、副反応について知ることができるとはとても思っていなくて、先ほど桃井先生がおっしゃっていたのですが、絶対数と確率の齟齬といったことは、このままですと起き続けるのではないかと思っています。
以前からこのお話は何度もしているかと思うのですけれども、医療機関で予防接種について1対1で伝えるということはかなり無理があると思っていまして、やはりせっかく健診の場でお母さんたち、お父さんたちを一度に集めてお伝えする機会がありますので、スケジュールだけではなくて、もう一歩メリット・デメリットについてお伝えいただくことが大事ではないかと思っています。厚生労働省からいきなり保護者の方に伝えるということではなくて、伝える人を厚労省なりどこなりが育てていただく、保健師さんとか伝える人を育てていただくということが重要ではないかと思っていまして、そうすることで、齟齬が生じなくなってきて、安全性も危険性もきちんと理解できる市民が育っていくということが大事ではないかと思います。
今までどうもありがとうございました。
○岡部分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、事務局から何かアナウンスがありましたら、お願いします。
○事務局 次回の開催につきましては、また追って連絡させていただきます。
○岡部分科会長 ありがとうございました。
それでは、「第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を終了したいと思います。御熱心な議論をいただきまして、ありがとうございました。
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