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2015年12月10日 新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会(第4回)
○日時
平成27年12月10日(木) 17:00~19:00
○場所
厚生労働省専用第22会議室(18階)
○出席者
委員
松原委員 | 秋山委員 | 泉谷委員 | 磯谷委員 |
井上委員 | 奥山委員 | 加賀美委員 | 木ノ内委員 |
草間委員 | 作本委員 | 笹井委員 | 佐藤委員 |
塩田委員 | 菅野委員 | 辰田委員 | 中板委員 |
西澤委員 | 浜田委員 | 平井委員 | 平田委員 |
藤川委員 | 藤林委員 | 藤平委員 | 卜蔵委員 |
星委員 | 松本委員 | 武藤委員 |
参考人
久保 健二(福岡市子供総合相談センターこども緊急支援担当課長) |
オブザーバー
法務省 |
警察庁 |
厚生労働省
香取雇用均等・児童家庭局長 | 吉本大臣官房審議官(雇用均等・児童家庭、少子化対策担当) |
横幕総務課長 | 源河総務課調査官 |
大隈家庭福祉課長 | 一瀬母子保健課長 |
竹内子ども家庭福祉推進官 | 田村虐待防止対策室長 |
小松虐待防止対策室長補佐 | 芦田虐待防止対策室長補佐 |
野村少子化総合対策室長 | 大津総務課長補佐 |
○議題
(1)自治体からのヒアリングについて
(2)その他
○議事
○小松虐待防止対策室長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第4回「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
なお、本日は岩佐委員、岡井委員、加藤委員、山田委員からは御欠席の連絡をいただいております。
また、西澤委員におかれましては、若干遅れるとの御連絡をいただいております。
恐れ入りますが、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○小松虐待防止対策室長補佐 初めに、委員会の運営に当たり、委員の皆様へお願いがございます。
視覚・聴覚障害をお持ちの方などへ情報保障の観点から、御発言等をされる場合には、発言者は挙手をする。挙手をした発言者に対し、委員長から指名する。指名を受けた発言者は、氏名を名乗ってから発言するとしたいと考えておりますので、御協力をお願いいたします。
最初に資料の確認をさせていただきます。
配付資料は座席表、議事次第。
資料1「子ども家庭福祉専門委員会報告書に対する意見」。久保弁護士からの御提供でございます。
資料2、委員提出資料といたしまして井上委員、岩佐委員、中板委員、平田委員、武藤委員、山田委員から資料の御提供をいただいております。
資料の欠落等がございましたら事務局までお申しつけください。
なお、本専門委員会は公開で開催し、資料及び議事録も公開することを原則とさせていただきます。
それでは、この先の議事につきましては、松原委員長にお願い申し上げます。
○松原委員長 お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
第4回「新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会」を始めさせていただきます。
早速、議事に入ってまいりたいと思います。
本日の議事についてまず御説明をしたいと思います。前回の委員会において私から、本日12月10日が専門委員会として最終となるので報告案を御提示し、最終確認をお願いすると申し上げました。このことを踏まえて先日、大臣に報告書案をお見せしまして、現時点での検討状況をお話しましたところ、大臣から10日の取りまとめにこだわらないので、徹底的に議論を尽くしてほしいということと、2番目に、福岡市こども総合センターこども緊急支援担当課長の久保弁護士、本日これからお話をしていただきます。その話、御意見を聞いてほしいとの強い御要請がありました。大臣からの要請を踏まえて、急遽本日はヒアリングを実施することにいたしました。
また、最終報告案については大臣と調整させていただいた上で、改めて皆様にお諮りをいたしたいと思っております。
それでは、早速久保弁護士からお話を伺うことにしたいと思います。
○磯谷委員 今、委員長から御説明がありまして、本日は久保先生のお話を聞くということだそうでございます。
我々は厚生労働大臣の諮問機関ということですので、大臣の御指示ということであればそれは受け入れざるを得ないのだろうとは思っておりますけれども、本日の進行に関して基本的に私は異議があると考えておるので、最初に述べておきたいと思います。
審議の最終段階でヒアリングをするということ自体が非常に異例なことです。本来、先月27日が最終の会議でありました。そこで詰め切れなかったので予備日であった本日も会議を開くことになりました。そのように承知をしております。しかし、いずれにしても最終段階であることは間違いなく、この段階でヒアリングを行うというのは尋常ではありません。
それから、本日の久保先生のヒアリングは、主に司法関与に関することと聞いておりますけれども、そもそも報告書案でも司法関与については突っ込んだ議論のないまま、突然、前回の案で詳しい記述が滑り込みました。しかし、報告書の記述には根本的な疑問があります。一方、久保先生のレジュメを拝見すると条文が記載されております。報告書のスタンスですらまだ大きな疑義があるのに、条文をベースにした議論というのは時期尚早であり、方向を誤らせるおそれがあります。つまり、この最終段階ではもっと報告書の記述について議論をすべきではないかと思います。
委員長からの事前の通知文のなかに、大臣から久保先生の意見をしっかりと受けとめるという趣旨のお話があったとありました。大臣がどういう御趣旨でおっしゃったのか分かりませんけれども、本日配付されている具体的な条文を最終段階に示して、これを審議しろということは、この審議会の審議の内容に直接大臣が介入されているようにも見られかねないというリスクがあるようにも思います。
最後に、久保先生に本日お出しいただくレジュメ、恐縮ながら法的にはいろいろとまだ疑義があり、生成途上のものだと考えております。もしヒアリングを実施するということであれば、私もそれなりに法的な点で意見あるいは質問をさせていただかざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
○松原委員長 委員長として今の磯谷委員の発言について、少しコメントをさせていただきたいと思います。
まず磯谷委員のコメント、2点あったかと思います。1つは大臣の強い要請についてどう受けとめるか。2番目について、報告書の作りについての疑念があったと思います。具体的にこれからお話いただくお話の中身についての疑念がおありになるということでして、3番目は、是非ヒアリングを実施させていただいて、また磯谷委員の御意見も伺いたいところだと思います。
1点目ですが、この専門委員会は確かに専門委員会として機能していて、それなりの自立性は持っていると考えておりますが、しかし、もともとが社会保障審議会の中の児童部会、その中の専門委員会という位置づけでたどっていきますと、やはり厚生労働大臣の諮問を受けて議論をするところですので、大臣のおつもりとしても何らある結論についてありきということで我々の議論を変更していくというおつもりはない。徹底的に議論をしてほしいということでしたので、且つ、10日という日限についてもこだわらないということをいただきましたので、我々はかなり10日ということ、あるいは12月20何日を見据えてワーキンググループも随分頻回にやっていただきましたし、3時間を超えるような幹事会を委員会の間にやってまいりました。そういった中での10日を目指してきた中でまだまだ不十分な点があるとは私も思っておりますが、こういうことで徹底的に議論をしてほしいということで御要請がありましたので、是非時間が少しどのくらいかというのは調整をしていかなければいけないかと思いますけれども、ゆとりができましたので、これを機に多方面にわたっての御議論をいただきたいなと考えているのが1点目についてです。
2点目のところですけれども、実際にこの報告書の中身で法改正というところまでいかないのではないかということも含めて徹底的に議論をするとしたら、この専門委員会がベースでございますので、そこで本日いろいろ久保先生からも御提案、御意見をいただき、ここの委員会としても御議論をいただくということで、この委員会の中で議論を本日の御提案を踏まえてする中で、実際に報告書づくりをしていくというプロセスをとらせていただきたいと思っておりますので、是非磯谷委員には御理解をいただきたいと思います。よろしいでしょうか。武藤委員、どうぞ。
○武藤委員 徹底的に議論を尽くすということなのですけれども、スケジュール感を持っていかないとロードマップ等のまだ案の段階だと思うのですが、もう28年から実施しようということもあるわけで、そこのスケジュール感については委員長、どうお考えですか。
○松原委員長 これも大臣とのお話を少し詰めなければいけないのですけれども、しかし、武藤委員おっしゃったように、ゆっくりだらだらやっているという時間的余裕というつもりで私は申し上げたわけではなくて、早急に取組むべきことというのはかなり多く含まれておりますので、物理的なスケジュールというのは確かに年末に来ておりますので、これから年内に3回、4回開くというのはなかなか難しいことだろうと思いますし、あと何回開くかについてもこの専門委員会での議論によると思います。ただ、スケジュール感としては可及的速やかに専門委員会を開催させていただきながら、本日予定をしておりました最終報告案については、早く出していきたいと考えております。
浜田委員、どうぞ。
○浜田委員 私もスケジュール感の確認で、全体のスケジュールと本日のスケジュールをお聞きしたかったのですけれども、今、委員長のお話によりますと、本日より後にもまた専門委員会が恐らく開かれることになるであろうと理解してよろしいでしょうか。
○松原委員長 もちろん、これは専門委員会報告書でございますので、本日はそういう報告書案をお示ししておりませんから、少なくともこの報告書案をお示しして、また皆様の御意見を伺うということはしなければいけないと思っています。
○浜田委員 もう一点なのですけれども、本日の2時間の使い方なのですが、大まかな時間の心づもりのために腹案を教えていただければと思います。
○松原委員長 これから久保先生からお話をしていただいて、それに対する意見交換を含めて全体で30~40分を見込んでおります。それを踏まえてこれまでたたき台のところまで議論してきておりますので、全体に関わっての御意見があれば本日も伺って、それで一定の時間が来ましたら閉じさせていただきたいと思っております。
松本委員、どうぞ。
○松本委員 本日の進め方ということで後半、全体についての意見交換ということになります。そうするとそれは審議ができて時間があるというのはポジティブに受けとめたいと思いますけれども、そうすると、その審議のときの素材のようなものはどのように考えたらよろしいでしょうか。前回ここで出された案が中心になりましょうか。本日は配付されていないので、そこはどのように考えたら良いか。
○松原委員長 まずお手元に各委員からの御意見が出ております。これについて御発言いただいても結構ですし、このファイルの中には前回までの資料が入っておりますので、これを使っていただいて御議論いただくことになると思います。
○松本委員 分かりました。
○松原委員長 他にはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、改めて福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長の久保健二弁護士を御紹介し、久保先生から本委員会でも課題となっております子どもの権利、国、都道府県、基礎自治体の責任と役割、司法関与の強化について御意見を賜りたいと思います。
それでは、おおよそ10分程度ということで、そんなにリジッドにまとめていただく必要はありませんので、御意見を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 福岡市こども総合相談センター、児童相談所ですが,ここに平成23年度から常勤弁護士として仕事をさせていただいております久保でございます。よろしくお願いいたします。
先に、私がここでお話をするようになった経緯を若干お話させていただきたいと思います。
本専門委員会の委員をされている福岡市児童相談所長でもあります藤林から、専門委員会で議論されている論点について法律のイメージを作ってほしいと言われまして作成しておりましたところ、先日、当児童相談所に塩崎大臣が視察にお見えになりました。その際に、この法律のイメージを意見書としてお渡ししたいということで大臣にお渡ししたところです。そのことがきっかけで、本専門委員会でお話をさせていただくことになりました。まさかこういうことになるとは思っていませんでしたが、せっかくの機会ですので、こちらに来てお話をさせていただく次第でございます。
初めに、私どものセンター、福岡市児童相談所における虐待対応の体制についてお話をさせていただきます。
当所では部署を2つに分けております。
まず緊急に安全確認が必要なものや一時保護、立入調査等の法的対応が必要なものについて、専任的に担当する部署。それと従来児童相談所が担ってきた相談業務及び法的対応後の子ども家庭支援を担当する部署に分かれております。
私は前者、虐待への法的対応を専任的に担当する部署に配置されて、およそ5年間、虐待対応、その他の子どもの福祉を担う現場の最前線でさまざまな児童福祉司、ケースワーカーとともに、まさに一丸となって子どものためにと励んでまいりました。
そのわずかな期間中ですが、たびたび保護者との激しいやりとりを繰り返したり、一時保護の現場に立ち会って保護者を説得したり、赤ちゃんを私みずから抱きかかえて保護したり、ケースワーカーとともに家庭訪問したり、また、長期間にわたって現家庭に戻れないまま自立せざるを得ない子どもを多く見たりしてきました。
現場の評価としては、虐待対応等に通告当初から法律家が関わることで、適切な法的対応と判断が可能になった。法的確信を持って毅然と保護者とも対応できるようになったなどの声をいただいております。
そして、さまざまな事案を通しまして、現場の職員、他のケースワーカーと日ごろから議論しておりますので、虐待対応の現場の思いは十分把握しているつもりです。本日も職場からまいりましたが、他の職員から頑張ってこいと応援をしていただいているところです。
本専門委員会では、子どもの福祉に関わるさまざまな問題について議論されていると聞いております。是非長き将来にわたって、さらに子どもの福祉が図られるような方向性を示していただきたいと思いますが、私ども現場の声として、私がこれからお話することについても御考慮いただければと思っております。
それでは、本題で、まず私が現場においてよく感じることですが、いまだに子どもを親、大人の持ち物のように、または子どもを自分より下の存在だという感覚を,少なくない保護者を含めた大人が有しているということです。そのため、ネグレクト事案で子どもを全く放置している親でも、子どもが一時保護された途端に子どもをとられるのは嫌だと言って、子どもを返せと激しく言ってくることが少なからずあります。そういった保護者の対応にも苦慮することもままあるところです。
このように、我が国が子どもの権利条約に批准してから20年以上経過するというのに、子どもが権利の主体であり、子どもと親、大人とが対等の地位にいるという、いわゆる子どもとのパートナーシップ観が世間一般にいま一つ広まっていないように思っております。その要因の1つとして、国内に子どもの権利及び子どもが権利の主体であることを明確にうたった基本法なるものが見当たらないことがあると思います。この点につきましては今後の法改正の議論において、是非子どもの権利及び子どもの権利主体性を明確にし、子どもの権利保障をあらゆる法令や関係機関の業務における基本理念とした法改正となるよう、切にお願いしたいと思っております。
次に、私たちは虐待事案に対して先ほども申し上げましたように法的対応をしていくわけなのですけれども、時には強制的に住居に立ち入り、子どもを一時保護することもあります。もちろんこういったことは子どもの福祉のためにやっていることなのですが、現行の制度は本当に子どもの福祉のために十分なものなのか。他のケースワーカーと一緒に考えてしまうことがございます。この点、世間一般には虐待環境から子どもが分離されて一時保護されれば、子どもは救われた、これで子どもは幸せになると思われているように感じるところがあります。
確かに子どもが虐待環境にいるのに何もせず放置することは許されません。しかし、子どもが一時保護された後、親子分離された後、児童相談所によって原家庭に対するさまざまな関わりがなされても、そういった原家庭の虐待環境が改善されない。そのため、子どもが家庭復帰できないことも、少なからずあります。私もそういった事例をよく見ておりました。
また、仮に施設に入所しても、被虐待体験を原因とした問題行動をしたり、パニックやかんしゃくを起こしたり、他者、他児を攻撃したりしたため施設にいられなくなり、また一時保護所に戻ってきて長期間、何カ月とか半年とか、長い方は1年といった長い期間、一時保護される子どももいます。
さらに、施設に入所しても現行法上は基本的には18歳になれば、その後の永続的で安定した環境が保障されていなくても社会に出ざるを得ないという現状がございます。冒頭でもお話しましたように、長期間にわたって,極端な例では生まれて間もなくから18歳になるまで、原家庭に戻れないまま自立せざるを得ない子どもも少なくありません。また、里親に委託されても必ずしも永続的なつながり、例えば養子縁組とかずっと里親さんとつながりを持っていくということが保障されているわけではありません。
そうした中で一定の成長、発達を遂げて自立していく子どももいますが、中途で自立が上手くいかなかったり、みずからが家庭を持っても虐待環境を再現してしまったりする子どもも少なからず見てきました。
こういった環境は子どもに限らず、大人でも永続性の保障されない生活環境に置かれたのでは先行きに不安を感じ、自分は将来、一体どうなるのだろうと心理的に相当の負担を感じるはずです。大人でもそうですので、子どもであればなおさらのことだと思います。
そのような状態で、子どもが健全な成長発達を遂げるのは至難の業だと思います。そのような状態にすることは、まさにネグレクトと言わざるを得ないと思います。子どもが健全な成長、発達を遂げるには将来を通して安心できる生活、永続的に安定した環境こそが必要だと考えています。
それでは、現行の制度はどうなのか。私も現行の制度が一概に悪いとは思いませんし、そういったことを言うつもりもありません。ただ、十分ではないと考えるゆえんとしては、今お話したような虐待環境から分離されたり、さまざまな理由により原家庭で生活できなかったりする子どもの、その後の永続的で安定した環境を前提とした支援がきちんと法制度化されていないのではないかということです。
そして、そのような環境を子どもの権利保障にも配慮しながら実現していくためには、司法が関与していくことが必要だと考えています。具体的に言いますと、子どもが原家庭で安心して生活し、健全に成長、発達することができるように、児童相談所等児童福祉機関の指導に従うよう裁判所が保護者に直接命令を下し、仮に命令を一定期間が経過しても子どもが原家庭において安心して生活し、健全な成長、発達をすることができない場合は、永続的で安定した環境に子どもが移れるように、きちんとした法的枠組みが必要だと考えます。
現行の制度でも、裁判所が児童相談所に対して保護者を指導するよう勧告する制度がありますが、あくまでこれは児童相談所に対する勧告であります。この制度は私どもとしては何かの足しにはなるかという程度でしか捉えておりませんので、当所では例がありませんし、全国的にもあまり例がないように統計上は見ております。
ちなみにイギリスの統計では、保護者指導に裁判所が関わった方が家庭復帰の成功率が高いとの結果が出ていると聞いております。もっとも、保護者指導に裁判所が関与するとしても、それは虐待対応の流れの中でほんの一部にすぎません。
ここで、現行制度で十分ではないと考えるもう一つの理由を述べますと、それは虐待対応等の一連の手続が法律で体系的には整理されたものではなく、これまでに起きた重篤な虐待被害事例の後に、対症療法的な法改正で何とかしのいできた感があること。また、虐待対応の一連の流れの中で一時保護は親子分離、安全確認手段としての立入調査は住居の侵害、面会通信制限等は面会交流の制限という子どもの権利に関わる重大な処分であるにも関わらず、国民の権利保障を担うべき司法が関与していないということです。
そして、ここで先に述べました裁判所が保護者に対して直接命令することが制度化されるときは、この点にのみ司法が関与する制度とするのではなく、虐待対応の一連の手続に包括的に司法が関わらなければ、基本理念となるべき子どもの権利を十分に保障することは難しいと考えます。
それは事案を把握した当初から、子ども及びその家庭について裁判所が積極的に関与することによって、その子どもにとって最適な処遇の方向性を時期に応じて適切に判断することができ、子どもの福祉、子どもの権利保障を十分に図ることができると考えるからです。
なお、一時保護への司法関与や裁判所命令についてもさらに詳細に述べたいところですが、時間もございませんので本日配付させていただいております日弁連の意見書、17ページ及び22ページをご覧いただき、詳細を見ていただければと思います。
このように一時保護や親指導に対する司法関与については、相当以前から指摘されております。ですので私だけが考えてこうやって申し述べている意見ではないということを御了解いただければと思います。
最後に、条約批准から20年以上が経過してしまいました。条約批准当時に生まれたお子さんは既に成人されております。今、子どもの権利保障を大きな柱とした抜本的改正に向けた動きを始めなければ、国、自治体、子どもに関わるあらゆる団体の,20年を超える子ども、また、子どもの福祉に対する責任放棄だと考えております。是非、あれはだめだ、これはだめだというような意見ではなく、建設的な議論をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○松原委員長 ありがとうございました。
それでは、久保先生の御発表に対しての質疑を始めたいと思います。どなたからでも結構でございます。
磯谷委員、松本委員、順番でお願いします。
○磯谷委員 久保先生のレジュメをベースにお尋ねをしていきたいと思います。
まず5ページの児童福祉法総則2条以下の改正案というところで、第2条で国が前条に定める児童の権利が全ての児童に等しく保障されるよう、あらゆる措置を講じる責務を有すると書かれておりますけれども、これは児童福祉法の規定に盛り込んでいるにも関わらず、児童の権利一般について国の一般的な責務を規定していて、他の法律の所轄事項との関係は、どのようにお考えになっておられるのでしょうか。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 先ほども申し上げましたように、本来であれば子どもの権利条約に沿った国内的な基本法が制定されるべきだろうとは考えているのですけれども、そういった基本法がない今、子どもの福祉にとって最も根本的な法令となります児童福祉法の中に盛り込みたいと考えたことと、専門委員会の報告にありますような中身を、先ほど言いましたイメージとしてここに記載させていただいたところです。
○磯谷委員 子どもの権利の基本法が必要だということはよく分かります。しかし、それを児童福祉法に入れ込むというのは、社会保障審議会というのは厚生労働大臣の、つまり厚生労働省の中での話です。そういったものに一般的なものを盛り込むことは妥当なのかどうか。その点をもう一度御確認させていただきたいと思います。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 その点につきまして妥当かと言われますと、今後もさらに,例えば先ほど言った基本法とかになれば、そういったことを議論していただければと思いますが、現時点ではそういったものがなければ所管事項を超えるといっても子どもの福祉、権利のためにこういった規定は必要かと思いますし、報告書でもその点に触れられているのであれば、やはりその点を最大限反映させるべきではなかろうかと思っております。
○磯谷委員 同じ第2条の2項のところで、国の責務として児童の権利が保障されていないという場合には、助言、指導、監督その他の必要な措置を講じなければならないという規律を設けるようになっておりますけれども、これは地方自治も対象にしているのでしょうか。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 報告書の中にあります、等しく子どもの権利が擁護されるようにという点が記載されてございましたので、地方自治体へのそういった助言等をということで書いておりますが、もちろん地方自治の本旨に従った国の関わりもあると思いますので、指導監督等までいくのはいささか勇み足だったかと思っております。ただ、助言については今でも児童相談所の運営指針等も技術的助言としてなされておりますので、できるのではなかろうかと思っております。
○松原委員長 すみません、大体一問一答になるとだんだん長くなるので、磯谷委員、少しまとめて御質問をいただけますか。
○西澤委員 その前に良いですか,関連して.私たちは素人なので、こんなやりとりを繰り返していたらたまらないなと思います。もう少し全体像で、これはあくまでも久保参考人が言ったようにイメージとして出されたものだと聞いています。参考資料程度だと私は理解をしました。
多分、今のは立法論とか技術論だと思うので、それはもっと別の機会でやっていただかないと、私たちは蚊帳の外です。
○松原委員長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 今、西澤さんがおっしゃったことを確認したのですけれども、資料として出された法文案についていろいろ議論の素材にするという確認で良いのかどうか。それならば、私も幾つか意見もあるしということなのですけれども、質問の前にそこを確認してから、別の意見もありますので、広い意見と法文の中の意見と両方ありますので、まずそこを確認してからと思います。
○松原委員長 西澤委員が、これは参考だとおっしゃった意図を聞きたいのですが。
○西澤委員 先ほど久保先生が言われたように、これは1つのイメージとして作ったものだと私は聞きましたので、ということは参考資料だろうと思いました。
○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 私も西澤先生のおっしゃるところがまさに気になっておるのですけれども、これを一体どの程度のものと我々は考えて議論すべきなのかどうかが私もよく分からないのです。
つまりこれは先ほど冒頭でも申し上げたように、頑張って作られたとは思いますけれども、立法的には非常に疑義がたくさんあるものだと思っております。それをもしこのまま何か盛り込むような話であれば、当然これは議論しなければいけない、指摘をさせていただかなければいけないし、逆にこれは盛り込むことはないんだということで、要するに法文というものではなくて、もっと一般的なお話だけで良いんだということであれば、それはそれでそう言っていただければ、そのような質問をいたします。
○松原委員長 久保委員は最初、御発言の中で現場の中で働いてきていらっしゃって、さまざまなやりにくさを感じていてというお話をされて、最初に子どもの権利保障という、そこの理念のところからお話をされて、各項の条文についてはお触れにならないで、むしろ考え方、将来についての方向性のあり方についてはっきりここの専門委員会でもすべきだという御提案をされたと私は受けとめたのですが、久保先生、それでよろしいでしょうか。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 そのとおりでお願いします。
○松原委員長 井上委員、どうぞ。
○井上委員 今、委員長が言われたので少しほっとしたのですけれども、久保先生が言われているのはイメージのところと、子どもにとってどのようなことが必要かということを皆さん一緒に考えましょうという案を出してくださっていると思うのです。磯谷先生が今、言われているのは、一つ一つの言葉のきちんとしたところを確認されていますので、少しずれているので、もし磯谷先生が言われるようであれば、そういう方向で考えるならばこの条案のところはこのように考えなければいけないよ、こういうこともあるよという意見を出していただくと、すごく私たちもほっとするなと思うのですけれども、すみません、私も素人なもので。
○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 私はこれが報告書に盛り込まれないのであれば、それほど細かく申し上げるつもりはありません。もしこれが報告書に盛り込まれるのであれば、一層細かくなると思います。
○松原委員長 これはまさに専門委員会マターですので、ここの場で確認をしたいと思います。私は久保先生の本日の御発表は現場のしんどさと、こうあるべきだという御提案は真摯に受けとめなければいけないなと考えております。ただ、今、始まりかけていた各条文に対する一問一答については、恐らく他の弁護士の方もいらっしゃいますし、児童相談所の方もいらっしゃるので、さまざまな御議論があろうかと思います。本来であれば徹底的に議論するというのは、そこはやらなければいけないのかもしれませんが、西澤委員がおっしゃったようにそれは私たちは素人でなかなか分からなくて、別の機会を持つべきだという御意見も、まさにそのとおりだと思いますので、一応、本日はここに出された改正案については、1つの御意見として伺って、その取り扱いはこの専門委員会でさせていただくという、そういう位置づけでよろしいですか。
藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 今、報告書最終案の文言を整理していく段階になって、前回27日のたたき台が提示されたわけですけれども、その中に,各項目におきまして具体的な法改正のあり方といった項目があるわけなのですけれども、これが各項目によって非常に詳しく書いている部分と、ほとんど書いていないところがあるわけです。このばらつきのままで良いのだろうかということは以前から思っていたわけなのですけれども、今回で最終回でないということを考えれば、やはり同等に,具体的な法改正のあり方についてある程度書き込んでいくことが必要ではないかと思っています。
その意味で、本日久保さんが提示されたこの資料は、今後具体的な法改正のあり方を書いていく上での1つの大きな素材になっていくのではないかと私は思いますので、単なるイメージではないと思います。
○松原委員長 という御意見もありましたし、今、西澤先生のような御意見もあったし、私のまとめでうなずいていらっしゃった委員も何人かいらっしゃるので、私独断ではここは決めませんから、この位置づけ、それから、もし今の藤林委員のような御発言ですと、多分本日この場で逐条的なやりとりもしなければいけないかもしれません。
他の方の本日示された資料の取り扱いについて、中身ではなくて御意見を伺いたいと思います。
西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 今、私の名前でイメージではないと言われたので、イメージという言葉のイメージがまたいろいろ人によっては違うと思うのですが、本日はこれは1つの参考資料として私は出されたものだと思っています。これを今度の報告書に載せるも載せないもまだ議論していない。だからもし本当にそういう形で進むべきだというのであれば、これは別途機会を持って、扱う機会が必要だろう。しかも私たちがいてもあまり役には立たないと思います。だからそういう意味で、この扱いについてこれを報告書に載せないという結論も私は出しているつもりではないです。ですので、これが必要となれば今後どこかで大変なことですけれども、これを議論していただかなければいけないと思います。
以上です。
○松原委員長 では、先に浜田委員。
○浜田委員 今まさに西澤委員がおっしゃったとおりでして、これが報告書の中に残るとなりますと、特に我々としては言わねばならない。それは我々委員の職責として言わねばならないことが多分いろいろに大分かなり出てくるのかなと思っております。
そうなってまいりますと、やはり先にこれが乗るべきものなのか、乗らぬべきものなのかというところは、他の委員の皆さんの御意見も拝聴しながらですけれども、先に決めていただかないと、本日この後の議論にも影響するところかなと思います。
以上です。
○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 今回のこの案の中で、特に裁判規範になるようなもの。つまり裁判所の判断の要件になってくるようなものについて、これをこのような場で私は議論するのは全く反対であります。
私は平成23年の法改正にずっと関わりましたけれども、2年間かけて最高裁や法務省あるいは法律の研究者など、多数の中でもんで、議論して、そしてやっと作り上げていった。そのようなことを考えると、この短い時間で特に裁判規範となる部分を盛り込むということは、私は強く反対をいたします。
○松原委員長 発言されていない方で何か御意見がある方はいらっしゃいますか。
○合田法務省民事局付 法務省民事局付の合田と申します。
本日、参考人から伺った御意見は、司法関与の強化に関する部分が主だったわけですけれども、報告案のたたき台においては、司法関与の強化について今後検討をしていくということになっておりまして、たたき台に記載されている案でも現場でどのような問題が具体的に生じていて、どういう立法事実があるのかというのはまだそれほど整理されておらず、明らかになっていないと考えております。現状では、法務省として具体的な内容について検討するのは難しいと考えておりまして、特に司法関与の強化については、まず厚生労働省において立法事実の検討と整理をしていただいた上で、具体的な検討に入っていくべきだと考えております。
本日、参考人から伺った御意見の中には、具体的な改正提案についての御意見もありましたけれども、仮にこういった内容が報告書の中に盛り込まれるとすれば、個別の論点についてはまだ十分にこちらも検討ができておりませんので、改めて法務省から意見を述べさせていただく機会が必要であると感じております。
○松原委員長 ありがとうございます。
法務省からの御意見も重く受けとめなければいけないと思っておりますが、そうしましたら、ちょっと皆さんの御判断をいただきたいと思うのです。この専門委員会で法務省でこれから検討して御意見をいただくというような機会を設けることについてはいかがでしょうか。
○磯谷委員 すみません、御質問の趣旨が分かりません。
○松原委員長 合田さん、もう一度法務省の発言の趣旨を説明願います。
○合田法務省民事局付 今、申し上げた趣旨としましては、本日の参考人の意見があくまでイメージで、報告書にそのまま具体的に何か盛り込まれるというようなものではないとすれば、それはあくまで委員の皆様の検討材料ということで、書かれている具体的な提案について個別に法務省からまだ意見を申し上げる段階のものではないと思うのですけれども、仮にそれが報告書に入ってくるという可能性があるのであれば、それは法務省において中身をしっかりと検討して、意見を述べておく必要があるのではないかという趣旨でございます。
○松原委員長 ありがとうございます。ちょっと私が趣旨を上手く理解できておりませんでした。そうすると、やはりこの専門委員会で具体的な条文の提示をどう扱うか、そこから議論しなければいけないのですね。
そうだとして、どのように取り上げるかとか、あるいは取り上げるとしたらどういう形で議論をするかとか、そこのところについての御意見を伺いたいと思います。まだ一部の方しか御発言されておりません。専門委員会としての判断をするには少し早いかなと思いますので、いかがでしょうか。浜田委員、どうぞ。
○浜田委員 もちろん我々専門委員がどう捉えるかということもあるのですけれども、これを今回御提供いただきました久保参考人にもう一度、だからこれをどの程度のものとして詰めて御作成いただいたのかという、久保さんの御見解といいますか、作った御趣旨というものをもう一度確認させていただければと思うのです。
○松原委員長 どうぞ。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 当初の目的は、冒頭でも申し上げましたようにイメージを作ってくれということだったので、イメージとして作ったのはそのとおりでございますが、報告書に基づいてこれを条文に落としていったらこうなるだろうというように、私個人のこれは意見なので、磯谷先生から御指摘のあるように、まだまだ十分議論を尽くさなければならない部分もあると思います。
ただ、私としましてはイメージではありますけれども、少しでもこの趣旨を報告書の中に盛り込んでいただければと思います。条文をそのまま入れろというわけではありません。趣旨を酌みとっていただければと思います。
○浜田委員 そういたしますと、ゴシック体の法文の改正案というところと、明朝体の考え方というところに大きく分かれておるかと思うのですけれども、今おっしゃった御趣旨というところが、主には考え方の方にあらわれていると理解させていただいたらよろしいでしょうか。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 基本的にはそちらで良いかと思うのですけれども、細かい先ほど磯谷先生からもありました要件等については、まだ議論が十分なされないといけないと思いますので、ただ、方向性だけは入れていただければと思います。
○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 私は承知をしました。入れるかどうかというよりも、要するに条文そのものをここで詰めるということではどうもなく、今、久保先生の方もまだ十分な検討を踏まえていないというお話もございましたので、そういう意味では参考にさせていただきながら議論をしていくということであれば、私としては続けさせていただければと思います。
○松原委員長 それでは、方向性を是非酌みとっていただきたいという久保先生御自身の御提案もありましたので、それをこの専門委員会としてはとりたいと思います。その中で少し議論をしていくということでやっと入り口にたどり着きましたので、何か本日の御発言で、松本委員、どうぞ。
○松本委員 本日はどうも遠いところからありがとうございます。また、貴重な御意見をどうもありがとうございます。
全体の方向として、1つは子どもの権利ということを理念としてきちんと条文に盛り込むということを強く御主張されました。そのことが他の司法的な関与あるいは子どもの権利を守るという制度体系に大変大きく効くんだという御趣旨だったかと思います。その点については全く我が意を得たりというところもありますし、これまでこの専門委員会で議論を積み重ねてきたところだと考えておりますので、その点について現場の方からも同じように、むしろより強く感じておられることについて力強いと考えました。
2点目であります。特に司法関与という言葉で何をイメージするかということだと思いますけれども、特に体系的な手続といいますか、子ども虐待、子どもさんの保護と家族、子どもへの支援という一連のプロセスがあまり体系化されていない。あるいはその都度必要に迫られてできてきたということは経過として了解されていることだと思いますけれども、結果として体系化されていないのではないかという御指摘がありました。ですので、この際きちんと体系的に見直すという観点で整理をして、そこに司法関与、司法の後押しといいますか、司法がどのように絡むかという観点で議論をすべきだと私はお聞きをしたわけです。そのこと自体は考え方として大変説得的だと考えています。
条文等については幾つか意見がありますし、逆に疑問もありますけれども、そこについては控えます。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 とにかくまず司法関与というようにして、十把一絡げで議論するのはやめていただきたいと思います。
例えば先ほどの保護者指導について裁判所が絡むのと、一時保護について司法審査をするのは全く意味が違います。一時保護について司法審査をするというのは、児童相談所のバックアップではありません。これは児童相談所がやろうとすることをチェックするわけです。制御をするわけです。したがって、そこのところがごっちゃになって議論されているのが非常におかしいと思います。
その上で、まず全体的なお話をさせていただくと、今回の久保先生の案を拝見すると、基本的に児童相談所は法的な権限を行使するときに、裁判官あるいは裁判所の許可が必要になってきている。これは裏を返せば児童相談所が自分の判断でこういった権限を行使するのがなかなか難しくなっているように思うのです。
例えば立入調査について、これは私の読み方が違うかもしれませんけれども、拝見する限り原則として今までのような立入調査は認めないということです。今まで立入調査は児童相談所の判断でできていましたけれども、司法審査を必ず入れる。これはそうすると児童相談所が立入調査をする場合には、必ず司法に申し立てをして許可を得なければいけないという手続が必要になる。果たしてこれで良いのですか。
○松原委員長 辰田委員、どうぞ。
○辰田委員 八王子児童相談所の辰田です。
今、磯谷委員からも御意見があったところについて重複しますが2つ。
まず一時保護についてですが、司法関与の検討を進めていることは否定しませんが、家庭裁判所等をはじめ、他機関との調整や実施体制が整わない中では、事前審査を原則とすること、また、一時保護の決定後、72時間以内に家庭裁判所の許可を得る手続を行うことは極めて難しいと思います。児童相談所は、通告があって必要な場合に即時一時保護を行うことや、激増する警察からの身柄通告の即時対応が必要です。
東京都の例を挙げますと、身柄通告で保護されている子どもは平成26年度で911人。うち、夜間の身柄は749人でした。こうした具体的な要件を明確化するにあたっては、安全確認が後手に回ると危惧があります。
2つ目に立入調査についてです。立入調査について原則、司法関与し、裁判官の許可状により実施する。緊急の場合は裁判官の許可状によらず実施できることということですが、昨年度、東京都において約20件の立入調査を行いました。立入調査を行うことで児童の安全確認ができ、臨検捜索まで及ばなかったというケースがほとんどでした。立入調査についても司法関与となると逆に児童の安全が後手になる危惧になるかと思います。いかがでしょうか。
○松原委員長 久保先生への御質問のような形になっているのですが、久保先生の現場でお仕事をされていての感覚はいかがでしょうか。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 まず一時保護なのですけれども、これにつきましては先ほど言いました保護者に対して説得をしたりとかする場合がございます。そういった場合に裁判所の許可がありますということで説得をするということは1つの材料になるのかなと現場の視点から言えばそうです。ただ、理念から言えば子どもの権利条約上、親子分離には司法審査が条件とされておりますので、本来、入れるべきかどうかではなくて、入れなくてはならない。その制度をどうするかというように議論しなくてはならないと思っております。
それから、立入調査についてですが、他の行政目的の立入調査も法定されているものが幾つかあります。何故虐待対応だけそうやって裁判所の許可が原則要るのかということになろうと思いますけれども、今、立入調査に当たりましては警察に援助要請をすることが原則となっております。警察とともに現場に赴くことになっております。そして、虐待は基本的に犯罪だと私は考えておりますので、そうしますと警察とともに住居等に立ち入りますと、それはすなわち捜査に直結するものではなかろうかと考えております。そういった状況、住居の不可侵を定めております憲法上も問題があるのではなかろうかということで、原則、裁判所の許可を必要とした方がよかろうということでこう書いております。
ただ、いつも裁判所の許可が必要であるとすると、それこそ子どもの福祉が害された状態を放置してしまうことになるので、一定の場合、緊急の場合には立入調査がすぐできるということにしております。
このような緊急の場合だけに裁判所の許可が不要だという制度でも、十分、今の児童相談所の業務は成り立っていくのではなかろうかと思っております。
○松原委員長 他にいかがでしょうか。菅野委員、お願いします。
○菅野委員 児童相談所同士でやりとりをするのも変な感じなのですけれども、立入調査というものが前からあって、それの実効性というところで臨検捜索という制度が私は作られたという、まず第1段階があって、第2段階があるというステップで、家族にこちらと一緒にやりましょうという働きかけの、少し緩やかなものと強いものというようにして段階を踏んでいくというプロセスで臨検捜索ができたと感じています。これが1つの方法なのだなと思ったのです。そうすると、この立入調査と臨検捜索のところをどう整理していくのかと、頭の中で混乱している部分で、どう違うのかというのがいま一つ分からないところです。これは意見ですし、久保先生の御意見もあればお伺いしたいです。
○松原委員長 では、なかなかそこの区別がつきにくくなるのではないかという御意見で、その御意見に久保先生、何かコメントがあればお願いいたします。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 私は基本的に臨検捜索と立入調査は一体化させてやってよろしいのではなかろうかと思っています。臨検捜索の間には出頭要求とかいろいろと段階を踏んでいくということで、最終的に強制的にということですけれども、立入調査と臨検捜索が一体となったとしても、普通は家庭訪問する、手紙を出す、電話をかける、いろいろな方法をかけて子どもさんの安全確認をするために今でもやっているかと思います。あれば、そういった段階を現実的には踏んでいるわけです。ですから立入調査と臨検捜索を一体化させたとしても、それほど問題はなかろうかと私は思っています。
○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 一時保護の司法審査についてですけれども、1つ驚いたのは、この条文の中で一時保護の要件としてある意味、2つ目のカテゴリになりましょうか。児童が他人の生命、身体もしくは財産に危害を及ぼすおそれがあると認めるときは、家庭裁判所は要するに一時保護ができるということになっている。これは予防拘禁的に使われるおそれはないですか。つまり、例えば小学校のいじめなどで、いじめっ子について身柄を拘束するという使われ方をするおそれはないですか。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 確かに可能性はあるかと思います。
○松原委員長 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 また先ほど言ったことなのですが、そういう細かいところは、提案なのですけれども、この委員会に関わっておられる司法関係の方とか制度の関係者の方でワーキングを作っていただいて、徹夜ででもディスカッションをしていただいて、この久保先生の条文をたたいて、これは久保先生の労作だと思うのです。なのでこれを無駄にすることもないので、今みたいにそこである程度詰めていただいた方が効果的なのかなと思います。
もう一点は、いろいろな細かい話はあるかと思うのですけれども、基本的に子どもの権利条約違反になってしまっているということをどう捉えるのかとか、あるいはこれは法律家の方でないと分かりませんけれども、例えば民法が保障している親権であるとか、そういうものを行政権で制限できる仕組みになっているのは、果たして本当に正しいたてつけなのでしょうかというような、その辺のことをしっかり議論していただきたい。一部言われているような,司法審査が入ると児童相談所が一時保護をためらうとか、あるいは一時保護がしにくくなるというのは、国際的な取り決めではそれを前提としているのだから、そこから考えないといけないと思います。ずるをして稼ごうみたいな、良いたとえが見つからないのですけれども、それはやめましょうよと思います。
○松原委員長 藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 今、西澤委員の言われたとおりで、本来、一時保護にしても立入調査にしても司法の事前審査や、実施後速やかな審査が必要で、審査があるから児童相談所の保護を控えるとか立入調査をしないということが,もしあるのであれば、それに対して十分なリーガルサポートを提供していくことが本来の筋ではないかと思います。
現に5年間、久保課長が常勤でいていただくことによって、我々はこの司法審査がもし法的に導入されたとしても、何の問題もなく従来どおり一時保護を行っていけると私は確信を持って言いたいと思います。
○松原委員長 浜田委員、どうぞ。
○浜田委員 まず、もう既に出てきておりますけれども、子どもの権利条約上、司法審査が必要であるということもございますので、私は既にこのワーキングでも申し上げたとおり、司法審査、特にこの一時保護への司法審査というものは、これは導入されるべきであろうという意見を持っております。ただ、そのときにも申し上げたのですけれども、では現状で直ちにこれをということになりますと、それこそ児童相談所現場は、久保さんも現場でいらっしゃいますけれども、そこから懸念が示されているのは、やはりそこは軽視できないのであろうと思います。
今、藤林委員から福岡市はできるという形をおっしゃいました。ただ、例えば私の地元の大阪であればどうであろうかとか、それ以外の私も行ったことがないような、直接拝見したことのないような小規模な児童相談所における体制がどうなっているのかということは、まだここの場でもよく分かっていないのではないかと思います。
そういたしますと、何が言いたいかというと、福岡市さんは大丈夫かもしれないけれども、他の全国のあたりはどうだろうという御意見も是非拝聴しながら、我々としては議論を進めなければならないのかなと思いました。
○松原委員長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 どうぞ北海道にもおいでいただけると。それはもちろん各児童相談所でかなりのばらつきがあるだろう。特に司法審査といったときには逆に言うと弁護士さんがおられるかとか、あるいは近くの裁判所はどこまで行くのか等々ということは承知です。ただ、こちらの側から一定の手続というものをもう少し整備しなければいけないというときに、現状のままで、例えば今の家裁のままでこれができるかというと、とても難しいだろうという現実的な判断を持っているのですけれども、逆にここでこのように、本来こうあるべきだと示して、むしろ家庭裁判所としてはもう少しこのような形で動いてほしい、あるいは家庭裁判所もこうあるべきだということを言っていくというのも必要なのではないかと思っているのです。そこまでも含めた議論ということは、こういう専門委員会の場ではしても良いのではないかというのが私の意見であります。
それと個別の法文の改正をどうするかということは、少し距離があるということも認識をしております。
○藤林委員 浜田委員に私の趣旨がひょっとして誤解されているのではないかと思ったのですけれども、要するに福岡市を自慢しているわけではなくて、久保弁護士が入る前の福岡市はまだまだな児童相談所であったわけですけれども、弁護士が常勤でしっかり入ってくることによって、職員の法的な意識とか子どもの権利に関する意識というのは,自慢になるかもしれませんけれども、格段に上がったと思います。
みんな,福岡市のように常勤で弁護士を置くべきとまで言えるのかどうか分からないのですけれども、やはりそれぞれの児童相談所がこれだけ親権制限に関わっているのであれば、もっと弁護士はコミットメントして、常勤を置くなり非常勤を置くなり、大阪市、大阪府もかなり入っているのは知っているわけなのですけれども、もっと深く入っていっていいのではないか。あれだけの人数の方が入っているのであれば、常勤1人行けば十分やれるのではないかというように思っています。
現に,たしかイギリスの社会サービス局にはリーガルセクションがあると聞いておりますので、そういった形も全然夢物語ではないのではないかと思っておりますし、日弁連もこのような意見書を何年か前に出しているわけなのですから、是非日弁連の力も借りながら,児童相談所を応援するような弁護士を地方の児童相談所でも配置していけるような仕組みを是非みんなで作っていってほしいと思います。
○松原委員長 前回示したたたき台のところで、確かに児童相談所の職員構成の中に弁護士が抜けていたかと思うので、今、藤林委員はそのことを強くおっしゃったので、それは本日の司法関与とは別問題として、全体の作りとしては専門委員会の御発言があったということは受けとめたいと思います。
磯谷委員、逐条にならないようにお願いします。
○磯谷委員 逐条といっても、やはりここは考え方が反映されているので全く条文を離れることはできないと思います。
今の藤林委員のお話ですけれども、我々考えなければいけないのは、今回の改正提案の中で、まず1つは児童相談所を設置するところをより小規模化していこうということも行っていますね。一方、これを導入すると司法審査とかそういったところが過重になってくるのです。つまり負担を大きく増やしながら小規模のところでやっていくという話に今、流れとしてなっているのです。そこをよく認識する必要があると思います。つまり、それが本当に実現可能なのかということです。
それから、一時保護について72時間の限度で審査をするということが書かれていまして、72時間かどうかというのは確かに多分まだ詰めていないのだろうと思いますけれども、しかし、このような短時間で事後審査で、そして、許可が得られなければ子どもを戻さなければいけないということで、本当に大丈夫か。
例えば私自身の経験からしても、客観的な証拠が十分でないのだけれども、被害児、子どもの方がなかなか話してくれないようなことというのもあるのではないか。さらには医学的な問題が絡むもので、お医者さんの意見書などが必要だけれども、それがなかなか整わないということもあるのではないか。
それから、私自身の経験でいわゆる代理によるミュンヒハウゼンというケースがありましたけれども、これなどは分離によって初めて、これはこういうことだったのかということが分かるわけです。しかし、今回提案されているものには、そういった調査の目的での一時保護というものは抜け落ちているように考えられるのです。こういったところはどのようにお考えですか。
○藤林委員 また逐条になっていると思うのですけれども、もっと大きな方向性を議論するということではなかったのでしょうか。
○磯谷委員 いえ、ですからこのように短期間で事前審査をするという考え方について、どのように考えているのかということをお尋ねしているのです。
○松原委員長 久保先生、お願いします。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 72時間というのは、一応イギリスの法制度を参考にしてこの時間としました。イギリスでは警察が裁判所の命令で子どもを保護する場合もありますけれども、緊急の場合には警察の判断で保護をして、72時間以内までは警察に保護が許されるということだったので72時間としています。
先ほど言われている調査が必要だというのは、調査が必要な場合というのは結局、子どもの利益が害されるという要件に当てはまろうかと思いますので、最終的には裁判所の判断としてそういった場合には調査のための保護が必要だと考えれば良いだけかと思います。
○松原委員長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 72時間が何故72時間かということについて補足です。
金曜日の夜に、夕方に何かケースがあったときに、裁判所があくのが月曜日なので土日が使えないのです。月曜日の夕方までだと丸3日で72時間です。つまりイギリスの場合だとソーシャルワークの仕組みと家裁の仕組みはかなり連動しているというので裁判所が週末に閉まっても、その間はポリスプロテクションでやって司法的な手続が入るという仕組みです。ですので今それがすぐに日本でできるかどうかというのは別にして、福祉の側から司法の側にかなり連動を持ったような仕組みを作ってほしいということは言っていくべきだと考えています。
逐条的なことではなくて、むしろ大きな方向としてということです。
○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 本日のレジュメの最後10ページから11ページにかけてで、これは実は報告書案にもそれに類する記載があるのですけれども、どうもここの背景にある考え方というのは、裁判所が保護者指導を行う。そして、その保護者指導に従わない場合には自動的にといいますか、期限も切られていて、親権喪失をしなければならないとか、養子縁組に出さなければならないとか、そのような記載になっているように読めるのですけれども、まずその点はそういう考え方なのでしょうか。
○久保福岡市こども総合相談センターこども緊急支援担当課長 先ほど冒頭の発言で言いましたように、なかなか家庭に帰れないお子さんが少なからず、というか多くいらっしゃるということです。ずっと施設の中で育っていらっしゃるということが多いということです。できる限り短期間で原家庭に帰れるのであれば帰っていただく。それが難しいのであれば新たな永続的な安定した環境を子どもたちに与えるといった考えで、裁判所が入った場合には、こういったその後の子どもさんのためのパーマネンシーケアができるのではなかろうかと考えて、こういった記載にしております。
○松原委員長 専門委員会の中で期せずして西澤委員がおっしゃったミニワーキンググループ化をしていて、発言をされる方がかなり限られてきております。専門委員会ですので他の専門委員の方で関わって御発言があれば伺いたいと思うのですが、いかがですか。奥山委員、加賀美委員、お願いします。
○奥山委員 本当に素人の素人なので、この条文がどうのと言われても分からないのです。ただ、大分前に委員会で西澤委員がおっしゃったこととつながってくるのだろうと思うのですが、かなり私の印象としては、私も随分長い間この業界というか、虐待に関わってきていて、次々に児童相談所に武器を持たせてきたというイメージがあるのです。とにかくやれることを増やして、増やして、増やしてきた。でもそれを今、見ていて、それが功を奏しているのかという疑問がありますし、もう一つ、児童相談所に武器を持たせるだけというところで子どもの権利の問題が出てきているというところがります。ですので、もしこれが違う方向へ向かっているというのだったらば、ここで、ぐいっと方向転換しないと、結局あるべき姿と差が開いてきてしまうだけなのではないかと思います。そうなると、戻るのに時間がかかることになってしまうのではないかという危惧を持ちます。
○加賀美委員 感想です。大臣の思惑がそのとおりになったなと改めて思ったのです。つまりこれだけ司法関与のこと、それから、司法関与のことも含めて子どもの権利条約を批准しながら明確な子どもの権利を提示してこなかった。そのことが児童福祉法をして、結局子どもの権利の基本法になっていないというところを改めて感じたやりとりだったと思います。だから大臣が明確にそのことを、久保案をこの場に提起して、そして皆で徹底して議論しろ。まさに今まで出なかった意見も含めて盛んに出てきたということは、これから継続審議も含めて提示されていますので、今回の久保案を参考にしながら我々が本当に子どもの権利ということを明確にしないと、司法の問題も含めてこれからきちんとした法改正ができていかないということを改めて感じたということを申し上げておきます。
○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 まず、今、奥山委員がおっしゃった児童相談所に武器をどんどん与えてきたという趣旨ですけれども、それは一体何を指しているのでしょうか。つまり、確かに親権停止だとかそういったものはありますけれども、一方で28条については2年の期限化をしました。そして、2年ごとに司法のチェックが入るようになった。一時保護についても当初は何も期限はなかったけれども、2カ月の期限を切り、そしてさらには児童福祉審議会に意見を聞けという話になった。つまり与えられているものも確かにあると思いますけれども、一方で児童相談所の機能というものを制限してきたということもあるのだろうと思います。今のはそれで1つですけれども、我々が考えなければいけないのは、先ほども少し申しましたけれども、我々は子どもを守るというところからスタートしなければいけないのだと思うのです。今、現状認識として子どもが守られているのか。児童相談所が十分に機能しないで子どもをきちんと保護できないでいるのではないかというのが我々の共通認識なのではないでしょうか。ですから、児童相談所をもっと後押しするというのは理解できますけれども、児童相談所に足かせ、手かせをはめて、そのような形にして何を解決しようとするのでしょうか。今ある問題というのはきちんと認識しなければいけないと思うのです。理想は分かります。私も確かに一時保護については将来的には司法の審査が入るのが望ましいだろうと思います。しかし、これは岩佐先生もペーパーでもおっしゃっていますけれども、やはりそこに至るにはまだまだ時間がかかるだろうと思っています。
○奥山委員 そうすると1つ御質問なのですけれども、そこの時間がかかるプロセスをどういう方向に向けて、何をしていったらばそこにたどり着くということでしょうか。
○磯谷委員 まさにそれは児童相談所にまずきちんと専門性を持たせて、そして人数もきちんと確保する。そして確かに藤林先生がおっしゃったように、これから弁護士がもっと関わっていけば良いなと思っています。ですから、そういう意味では私は方向性は皆さんと多分共有していると思います。それは児童相談所が力をつけていかなければいけない。ただ、問題はそれの前に、あるいはそれと並行してこのようなことをやると、かえって子どもに不利益が生じることを恐れているわけなのです。これは前の23年の法改正のときの社会保障審議会の中で、現状では一時保護に司法審査を加えるのは時期尚早だという結論になっているのです。これは皆さん、全会一致でそのような結論になっている。それからまだ一体どれぐらい時間が経ちましたか。その間に我々は何をしてきたんですかというところです。我々はまだそこを何もしていないではないですか。だからそれをきちんとやって、そして、司法審査をやるのだったらそれをやっていただきたいと思うのです。
○奥山委員 結局今回いろいろ皆さんと議論させていただいてきたことの、例えば市区町村にできるだけ身近なところで支援をというのも10年以上前から考えられていたことですし、代替養育もできるだけ家庭養育でというのも10年以上前から考えられていたことが、なかなか進まないで、いつも出てくるのが「時期尚早」「時期尚早」「時期尚早」と繰り返されるだけなのです。「時期尚早」だけ言っていたら何も始まらないと思うのです。ですから、今回は、ここへたどり着くんだというところを提示しようとしているのです。ここへたどり着くんだというところを見据えて、そのロードマップを考えようよということを是非やろうということでスタートしてきたと思うのです。ですから、司法関与の問題が子どもの権利のことで重要だと思ったら、まずそこを見せて、そこへたどり着くロードマップをきちんと立てていかなければいけない。そのように思います。
○松原委員長 やりとりは最後にしてください。
○磯谷委員 ロードマップは分かります。だけれども、それに期限を決めたりそういう問題ではない。むしろ本当に司法関与をさせるときに児童相談所はちゃんと力を持っているかというところをきちんと検証しないと、それは子どもに不利益がこうむると思うのです。先生のおっしゃる趣旨は分かります。何でも時期尚早というのはおかしいというのは分かります。ただ、やはり問題はそれぞれ別々なのです。司法関与の問題と、今のように基礎自治体におろしていくという話と、それは別なのです。そこをみんな一緒に議論されるというのは私は違うと思います。
○松原委員長 西澤委員、浜田委員、藤林委員、松本委員、武藤委員。
○西澤委員 奥山先生が私の名前を出されたので。児童相談所に武器が与えられてきた。もちろん制限も加えてきたのですが、制限を加えたのは別の意図で、私なんかは28条の有期限化のときにはそういう意図でやりましたので、それは一緒にしてほしくない。それから、どんな武器を与えてきたか。例えば最初28条をやったときに親権を制限しているわけではないから子どもの居所は伝えなければいけないみたいなことで、子どもに居所を伝えていましたね。それもしなくても良いとか、さまざまな子どもに介入するための武器を与えてきたのは事実だと思います。これはもう一度、年表で整理してみたいと思います。
もう一つ、今のお話でもやはりチーターです。ずるして勝とうという。だから正々堂々とやって子どもを保護できるようにしなければいけないのだと思うのです。国際的な水準からすごく劣ったところで、でも日本は未熟だから認めてねと言うつもりかなと私は思います。それは社会正義ということを考えると、ソーシャルワークの価値観は社会正義の実現ですから、そういう問題は大きいと思うし、一時保護できない背景にはもっといろいろなタイプがある。例えば非常に大変な状況であっても、物すごく親が攻撃的で、どうしても児童相談所が一時保護できないというケースも一方であるわけです。片方ばかり見ているように思います。司法関与があれば一時保護ができるかもしれないという事例については何ら話題に上ってこないというのは、これはやはりおかしいなと思います。
以上です。
○浜田委員 磯谷委員と多分当面のところでは似ているのかなと思うのですけれども、先ほど御発言にあったとおり、多分、私などが申し上げていたのは奥山委員がおっしゃったような理想の最終的にたどり着くべき姿があり、そこに向けて一歩一歩歩んでいきましょうということになると、一時保護へのところの司法関与は必要だと考える。このようになるのだろうと思います。そういう意味で言うと、もしかすると児童相談所は動きがしにくくなったとしても、あらねばならない姿というのはあるのだろうと思います。
ただ、他方でそれが本当に手かせ、足かせになって身動きがとれなくなったら、その身動きがとれない間の子どもは救われないことになってしまうわけですから、そうなると適切な順番で物事が実現していくというのはとても大事なことなのかなと思います。
時期尚早という意見を見ていて、今まで外部からいろいろな報告書を拝見していたのは私も皆さんと同意見かなと思います。踏んでいくステップを正しく踏んでいく。しかもそれがどこぞの時点でちゃんと実現できるような絵を描くことは必要かなと思っています。それが1つのやり方としては具体的な年限を定めるというのは、その方法の1つのものであろうと私は考えています。
いずれにせよ、これをまた今後の課題であるという形だけで終わってしまうのは極めて残念なので、このままこの専門委員会が閉じられるときになったとしても、そのときには、その後の継続的な協議の場がちゃんとでき上がっているということができると良いなと考えています。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
私も今の浜田委員のお話に同感でして、大臣に説明をさせていただいたときに、これが10年たって、10年前にこんな報告書が出ていましたねでは困る。やはり10年前にこういう報告書が出て、こういう事態で改善されてきましたね。そういう形にしたいですというお話をしました。したがって、奥山委員がおっしゃったロードマップを作るということはすごく大切なことで、それに沿って適宜チェックをしていく体制というのはフォローアップ体制、できればこのフォローアップのための専門委員会みたいなことは作っていく必要があるのかなと思っております。ロードマップをどう書くかはまたいろいろ議論をしなければいけないと思いますが、我々が今までやってきたロードマップを書いて時期尚早ということで、あっという間に何年か過ぎてしまうということをしない等、そこの意図は私はすごく大切だなと考えております。
藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 そのあるべき姿に向けるロードマップの中で児童相談所の専門性を高めていくというのは前提と言われますけれども、では児童相談所の専門性とは何だろうかということを考えた場合に、先ほど磯谷先生が言われた「23年度民法改正から5年間何もしてこなかった」,でも我々はやってきました。福岡市は21年度に5件6人の虐待死亡が起き、その反省のもとに,我々は十分な与えられた武器である法的権限を行使してこなかったという反省のもとに,弁護士を入れることによって法的権限を最大限駆使するようになったわけです。専門性は単なるソーシャルワークの専門性だけではなくて、前にこの委員会でも御説明しましたように、リーガルとソーシャルワークが合体した専門性が必要である。そうであれば5年も10年もソーシャルワークの専門性を強化するのではなくて、先ほど言いましたように,しっかり弁護士がコミットメントして,リーガル、ソーシャルワークの連携の中で実現するとなると、そんなに時間はかからない。我々の経験でいくと多分1年、2年、3年で十分ではないかと思います。
以上です。
○松原委員長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 2つ言います。
1つは磯谷先生がおっしゃった御懸念はすごく分かるし、いろいろ司法的な手続を厳格にすると手かせ足かせをはめることになるのではないかというようなおっしゃり方をされたのも、感覚的には分かるのです。分かった上でですけれども、どういう手続をするかは別にして、適正な手続だというようになった、それができるように児童相談所の体制も整えなければいけないということが私はセットだと思うのです。ですので、何があるべき姿かということを示すことで、今の児童相談所の体制で良いのだろうかということと、今の家庭裁判所の体制なりやり方で良いのだろうかということを提起するという役割は、この委員会での議論あるいは報告書は持つべきだろうということが1点です。もちろんこの報告書の役割というのは1つは法改正の具体的なあり方を示すということと、もう一つは大きな絵を示すという2点があるかと思いますけれども、恐らく後者の方に関わっていると思います。
2点目のことを申し上げます。長くなって申し訳ありません。ここでは議論にならなかったので、本日参考人の方が御発言いただいたときの一番最初の論点は、子どもの権利ということをきちんと位置づけるというところです。そこについては私は最初にそういう方向で現場から御発言いただいたのは大変ありがたいという趣旨のことを思いました。そのことを確認したいということと、それとの関係でもし条文といいますか、話題にならなかったのですけれども、国民の責務のところで親の責務のようなことが書いてあるのですけれども、これはちょっと子どもの権利条約の規定からしても、親に責任を集中させるようなことになっているので、これは意見だけです。そういうことも含めて検討されるときには、むしろたしか子どもの権利一般への子どもの権利条約は養育ということでしたし、親あるいは法定養育者としてやや広げて、且つ、一義的に責任というだけではなくて、責任を果たすために国は支援をしなければいけないということをセットで書いていると思いますので、もしこういうことが今後この場で議論になるのであれば、そのような観点が必要だろうと思っています。これは意見です。
○松原委員長 武藤委員、どうぞ。
○武藤委員 基本的なことと、今後の進め方についてお話をしたいと思います。
1点については、松本委員がおっしゃるとおり、前半のところについては子どもの権利というものを前面に出しながら法制化していこうという本日のところに入っていて、私も同感だと思っています。ただし、後半の部分については相当議論が必要なのではないかと思っております。私も3年、4年前の議論の中にも部分的にも加わらせていただいたのですけれども、なかなか司法の介入と言っても体制的な部分だとか、司法側の体制の部分などを含めて非常に難しい部分もあるということもありました。そういうことで後半の部分については磯谷委員がおっしゃるとおり、今回児童相談所の機能の見直しというところで介入と支援を分離しながら、介入のところに対しても専門性を強めていくという流れですので、それを司法が介入していろいろな制限を担ってしまうと、それはいかがなものかと思っておりますので、後半の部分については是非、本日配られてありませんけれども、たたき台のところではロードマップということで直ちにやらなければいけない部分と、協議を十分関係諸機関とやりながら一定の結論を出すということを含めて整理されて提起されていると思いますので、是非項目的に整理していただいて、今後進めていったらどうかなと思っています。
是非継続的に、場合によっては法文なんかの問題になると、他の委員からも出されているようにワーキング等々を開きながら十分な法文検討ということもしていって良いのではないかと思っています。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
まさに加賀美委員が御発言されたように、徹底的に議論をしてほしいというところでいろいろな意見が出てきたと思います。
浜田先生の最初の御質問に私は答えたとおりになっていなくて、40分ぐらいで終わらせます。もうこれで1時間半使って議論をしてきたので、非常に機会を得られたのだろうと思います。
今までのところの整理をしますと、皆さん子どもを守るということ、そして権利保障をしていくこと、現場がきちんと動きやすいようにする。本日児童相談所の話になりましたけれども、これは恐らく市町村でもそうだと思います。そういうことを目指しているという大きな方向性は変わらないはずで、だからたたき台のところまででき上がってきたのだと思います。ただ、司法関与のところについてはこれだけの議論があって、本日お話の中では久保先生が提出されたこの資料については議論の参考にするということで、途中、逐条的になってしまった部分もありましたけれども、さまざまな意見が闘わされたと考えております。
また、これを整理しながら専門委員会にお諮りすることになるのかなと思います。もうあと半年、1年あれば西澤委員がおっしゃるようなワーキンググループを作るということもあり得るのかなと思うのですが、なかなかそこまでは日程的にはいかないかなと思います。そういう形でまとめさせていただくと、まだ言いたいことがあるという方がいらっしゃると思うので、私の方に視線が突き刺さってくるのも分かるので、では辰田委員からどうぞ。
○辰田委員 一時保護について司法の関与にしていくことの検討は否定しません。今後ロードマップの作成という話になったときに、当然児童相談所に弁護士を置けば解決するという話ではありませんし、機能強化、質・量ともに揃えていかなければいけない。72時間、何時間になるかわかりませんが、そうしたときには、児童相談所の調査権等も担保していかないと、十分裁判所に耐えられる材料がそろえられないと思います。
また、一時保護の判断を決定していただく家庭裁判所の方にも、福祉の視点で一時保護の決定をしていただくことを家庭裁判所側にも望みたいと思います。
今後、ロードマップがひとり歩きして、結局こういった体制が整えられないままに子どもの命が守れないということがないように、全国児童相談所長会の意見等も踏まえながら作成していただきたい思います。
○松原委員長 ちょっと報告書の中でも後で触れていくことになると思うのですけれども、児童相談所そのものの機能が変わっていく前提なのです。今までやっていた部分のある部分は市町村に委ねていくという提案をしておりますので、そのときに残った権限なり機能で何ができるかというところで本日の司法関与のことも議論しなければいけないのかなと思っております。
あとどなたか。藤林委員、どうぞ。
○藤林委員 実は司法関与の必要性は,今、虐待を受けながらも保護されないという問題を議論がされていたと思うのですけれども、実は久保さんが言ったのはそこだけではなくて、我々が虐待なり、または虐待ではなくて養護相談なりで保護した子どもが社会的養護に入ったときに、そのまま何年も、10年以上も社会的養護の中にとどめられているという、この問題も非常に大きな問題ではないかと思います。
この問題を解決していく1つのコンセプトは永続性。子どもにとって永続性という概念がなかなか一般の人に伝わりにくいのですけれども、砕けた言い方をするとある種の研究者は「実家」と言われますけれども、いわゆる子どもにとって永続的な,子ども時代が終わった後もずっと続く家族とのつながりといったものが失われてしまうという事態をどうするのか。そう考えた場合に、その観点からも司法関与が必要ではないかというのが久保さんの本日のプレゼンではなかったかなと思います。その観点から実は私、前回の専門委員会の後で気がついて言えなかったのですけれども、たたき台の中の理念のところに永続性の文言が入っていなかったのです。これはしまったなと思ったのですけれども、確認いただいたら良いと思うのですけれども、やはり子どもにとって単に虐待から守られるということだけではなくて、その後、速やかにもとの家庭に家庭復帰する、それがどうしても難しい場合には里親家庭。でも、里親家庭は先ほど言いましたように永続的な家庭ではないわけなので、そこには特別養子縁組といったより強固な法的な関係が保障されていくことが理念として書かれなければ、全体が成り立っていかないのではないかと思います。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
それでは、ちょうど司法関与のところから離れた理念のお話も出ましたので、7時ぐらいには閉じようかなと思っておりますので、全体的な今までの議論に関してここの部分をもう少し議論してほしいというところに移りたいのですが、今までの議論のやりとりを少し整理させていただきますと、やはりこの間のたたき台ではこの部分、ロードマップが抜けておりましたので、ロードマップについて議論をしましょう。本日は具体的な提案が出ておりません。ロードマップについて議論をしましょうということが1点。
そのときに、本日の久保先生の御提案いただいた条文そのものを法改正のあり方ということで書いてしまうにはなかなか疑義がいろいろ出ておりましたので、これは参考にさせていただくということで、武藤委員が御発言されたように最終的なスケジュール感の中で、ここはすぐ速やかにやるべきところというようなところ、それから、協議を始めるというようなところと、そこをきちんと分けるべきだという御発言がありましたので、それを受けて法改正のあり方、書けるか書けないかについても、本日結論は出なかった。宿題にさせていただきたいと思います。これでよろしいでしょうか。
○西澤委員 私はふざけて言ったわけではなくて、本当に制度関係者、法律関係者、弁護士さんが立法するのは多分ないと思うのですけれども、法律の専門家たちの委員で少し集まっていただいて、3日、4日合宿して、せっかく久保先生の労作だと思うのです。だからそれをもんでいただくというのは無駄ではないような気がするというか、もしかしたらとても良いものが生まれてくるのではないかと。だから年末の30日から3日くらいまでかけて合宿していただければと思うのですけれども、だめでしょうか。
○松原委員長 御提案としては承りますが。という意見もあったですね。
井上委員、どうぞ。
○井上委員 松本委員が先ほど2回言われたのですけれども、この報告書にそこを載せるという方向性を示していけるという点はものすごく大事なところだと思うのです。ですから委員長としてその辺のところをそういう方向で考えていくというようにお考えになっていると考えてよろしいでしょうか。理念のところとか、そういったところの考え方をこの報告書に載せていきましょうという、理念だけれども、というのが、私、生意気ですけれども、イギリスにおりまして、1987年におったのです。チルドレンアクトが1989年に出る前のディスカッションのところ、マイケル・ラターのところでずっと見ていたのです。本日のディスカッションはまさにそれなのです。それの方向性を決めるときにむちゃくちゃいろいろ意見があったのですけれども、チルドレンアクトを1989年に作ったときに、えいやと出したのです。その後ずっとそれに戻りながらも、子どもに必要な改訂がどんどん出てきています。何かあったらそこに戻りながらまたやっている。それと同じぐらい大切な報告書が今回の報告書だと私は思っておりますので、一歩前に、是非それをお願いしたいと思います。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
これは私が踏み出すのではなくて、専門委員会が踏み出しますので、井上委員の御発言としてそういうことがあったということで、これは議事録にも残したいと思いますし、是非その方向で皆さんの御意見をいただきたいと思います。大勢の方のグループなのですけれども、それだけいろいろな方々の御意見、英知を集められるのがこの専門委員会の特徴だと思っておりますので、ここでの議論を大切にしながら進めてまいりたいと思っております。
では残り20分ぐらいなのですが、本日の論点に関わらず、今回の報告書、たたき台の段階でも非常に幅広の改革というものを提案しております。前回も一当たり御紹介をし、御意見は伺いましたが、時間は決して十分ではございませんでしたので、何かございましたらせっかくお集まりいただいた機会ですので、是非御発言、御意見をいただきたいと思います。各委員が出された意見書についても十分御披露できておりませんので、本日机上には配付していただきましたけれども、口頭で補足するようなことがあればそれでも結構でございます。いかがでしょうか。
松本委員、武藤委員、どうぞ。
○松本委員 ちょっと確認なのですけれども、前回ここでたたき台が出されました。それについていろいろ意見が出て、実はその後、幹事会で少し修正をするということがありました。それはまだここに出ておりませんけれども、今後は大臣と詰められて出てくるというのは、前回ここで出た発言というのは本日別に繰り返す必要はないと考えて良いのかということです。同じことをまたここでやると、前回出なかったことでまたということの理解で良いですか。
○松原委員長 そうですね。
磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 前回27日に確かに出ていた論点ではありますけれども、あまりに時間が短かったので十分検討ができなかったというのが、先ほどの司法関与のところも冒頭、申し上げましたけれども、非常に一方的な立場で冒頭部分が書いてあると思います。先ほどから申し上げているように、理念も重要だということが分かります。しかし、やはり子どもが本当に守れているのか。そして、子どもを守るためにはどうすれば良いのかという論理展開で書いていくということもとても重要だと思います。
この記述を見ると、ずっと司法関与について書いてあって、最後のところにちょっとだけこのような意見もあったという話でしたけれども、当初意見が分かれるところは両論併記というお話もあったと思いますので、是非この点については全体的に両論併記という形でさせていただきたいと思います。
○松原委員長 具体的にどうという御提案はありますか。
○磯谷委員 残念ながら本日ここでは持ってきていませんけれども、まだ続くと理解していますので、それまでには持っていきたいと思います。
○松原委員長 それはまた委員から出された御意見として受けとめたいと思います。
他にいかがでしょう。平井委員、どうぞ。
○平井委員 骨子の9ページで年齢要件の上限の問題が出ていまして、ロードマップでは28年度より20歳未満とする。あわせて措置延長を22歳未満とする。これは前も少し議論したのですけれども、未満というのと年度末という、そのあたりを少し御検討いただけないかと思っております。
○松原委員長 ありがとうございます。
他いかがでしょうか。武藤委員、星委員、どうぞ。
○武藤委員 1点は全体的に、本日は出されていませんけれども、報告案、たたき台についてロードマップが示されているのですけれども、非常にこれを見ると割と具体的に書いているところと非常に大ざっぱなところがあるのです。そういう点では文面もそうなのですけれども、非常に詳しい部分と大ざっぱな部分のばらつきが非常にあるような気がするのです。これについては一つ一つこの会で詰めていくのか、もっと幹事会だとかそういうことを含めてもっと具体的な提案も含めて出されるのかどうかについて1つお聞きしたいというのが1点です。
もう一点は、本日議論になっていないのですけれども、法改正のところでは私は社会的養護の分野からすると児童の20歳未満に引き上げるということに関しての非常に大きい改正だと思っているのです。そういう意味からするとこれは厚生労働省サイド、事務局の方にも相談になるかもしれないのですけれども、これをやるということであれば成人年齢だとか、他の法律との関係は非常に出てくるような気がしますけれども、他の省庁と少し議論みたいなもの、意見交換みたいなものをしているのかどうかをお聞きしたいと思っています。
○松原委員長 1点目は確かに拙速であるというのは幹事会でも認識しておりますが、幹事会が決めるものではなくて専門委員会の議論を経て決めていくものですから、議論がそこに至っていない部分については、そこは少し手薄になることについては、それはここの委員会全体的な時間の、ワーキングは随分やっていただきましたけれども、時間の制約だと受けとめていただきたいと思います。
それから、2点目は事務局、何か答えられますか。
○横幕総務課長 これまでも資料として一部お出ししていますけれども、20歳で例えば一律に引き上げた場合、どのような影響が考えられるかということは、厚労省の中だけでも相当大きな影響がありますので、整理してお出ししたということもありますので、そういう作業をさせていただいているということです。
○松原委員長 実際に直ちにやるべきことということで幾つか項目が挙がっていますから、そのことについてはまず庁内調整等を図っていっていただける、そういうスタートポイントあるいは少し始めているという受けとめでよろしいですか。
○横幕総務課長 それはこの点に限らず、どの点についても実際に進めていくときにどのようにやっていくかというのは、中で議論を重ねておりますけれども、今のところで言えばこれまでの議論の中でいただいているのは、一斉に全部上げるということではなくて、社会的養護の必要性の高いところからと受けとめていますので、そういう観点から検討を重ねているという状況です。
○松原委員長 ありがとうございます。
星委員、どうぞ。
○星委員 今さらなのですけれども、子どもシェルター全国ネットワーク会議から要望ということで預かってきましたので、手短に結論だけ申し上げますと、第1に、児童福祉法の対象となる子どもの年齢については、全面的に満20歳に満たないものとすること。
第2に、子どもシェルターの制度的、財政的根拠となり自立を目指す子どもの就業支援に重要な役割を果たしている児童自立支援事業の根拠規定である児童福祉法第6条第1項に規定される児童自立生活援助事業については、短期的には現行法の義務教育を修了した児童または児童以外の満20歳に満たないものを維持した上で、さらなる拡充を検討すること。
第3、児童養護施設の現場の声を組み上げて規定の充実及び制度運用のための環境整備を行うこと。
以上です。
○松原委員長 ありがとうございます。
関係団体からもたくさん意見書をいただいておりますので、その1つとして受けとめたいと思います。
木ノ内委員、どうぞ。
○木ノ内委員 報告書の中で社会的養護の部分なのですけれども、かなり家庭養護の推進ということで強化されるということなのですが、ファミリーホームについてあまり書かれていないのですが、国連の第3回政府報告への総括所見だったと思うのですが、家庭養護を基本にしたグループケアを進めなさいということで、ファミリーホームが進んできたと思うのです。ところが最近、施設の職員がファミリーホームを運営するということがあって、家庭養護をもう少しきちんと運用するようなファミリーホームのあり方をきちんと書かれるべきかなと思いました。
○松原委員長 ありがとうございました。
辰田委員、草間委員、泉谷委員、どうぞ。
○辰田委員 委員提出資料を説明させていただきたいと思います。29ページです。
児童相談所の機能に基づく機関の分化についてですが、当然、理念的には理解できますが、実態は機関ごとの連携体制、支援マネジメントの機関と地域子ども家庭拠点の役割分担など4元体制における時間のロスや機関ごとのリスクに対する認識の温度差が生じることが懸念されます。今回の見直しでは、激増するケース対応に影響が出ないよう、国で地域の実情を十分調査し、必要な人員数を示し、人員体制の確保に支障が出ないよう配慮する必要があると考えます。
30ページ、児童相談所の設置自治体の拡大についてです。前回も発言させていただきましたが、現状において中核市、特別区の児童家庭相談の実施体制に格差があり、児童相談所設置については、都道府県と十分協議し、実施の可否について検討すべきと考えます。
○松原委員長 草間委員、どうぞ。
○草間委員 2点あります。
1点目が、前回の委員会で申し上げたニードという表記です。ニードをニーズという表記にして頂ければと思います。全部で5カ所あります。
もう一点が、これも繰り返しになりますけれども、今後「(仮称)子ども家庭福祉士」という資格を作っていくということになりますが、専門医やケアマネ、教員資格などで制度化されている更新制の文言を盛り込んでいただきたいと思います。
○松原委員長 幹事会では受けとめておりまして、議論しております。
泉谷委員、どうぞ。
○泉谷委員 たたき台のところの文言を幾つか検討していただきたいと思うところがあって、お話をさせていただきます。
11ページマル6の特定妊婦への支援方法が未熟であり、支援を行いやすくするためというところ、あわせて14ページの真ん中辺に同じ特定妊婦のところで、入所・通所によって支援を行える産後産前母子ホームという記載があるのですけれども、基本的には今こういった支援を必要としている利用者がいても、適切なサービスがないために支援ができていないという、ニーズに応えられていないというところで新しくこういった制度を作っていくということだと思うのです。必ずしも私たち支援者側がやりやすいために作るのではなくて、ニーズに応えていくためなので、行いやすくするとか、行っていくという言葉というのは非常に上からの発言かなと思うので、支援型を推進するためにも、支援を実施するためにとか文言を変えていただければと思います。お願いします。
○松原委員長 秋山委員、どうぞ。
○秋山委員 私は本日ここに来る前に児童養護施設に行ってきたのですけれども、そこで23ページの上から2番目ですが、保護者と連絡がとれないとか、拒否をしているというところで適切な教育が受けられないという話がありました。マル2に教育を入れていただいたのは非常によかったと思います。ここに医療も入れていただければと思います。よろしくお願いいたします。
また、そこの施設を退園した子どもが住むところがないということで戻ってきておりました。そういう意味で藤林委員が言われました永続性というところはとても大事だと思います。よろしくお願いします。
○松原委員長 磯谷委員、どうぞ。
○磯谷委員 草間委員のおっしゃった更新制というところなのですけれども、私は更新制について反対ということではないのですけれども、1つは教員なんかでも更新制を導入して、少なくともいろいろと混乱も一時的にはあったようにも聞いておりますし、そのあたりの検証がどうなっているのかも分からないなということと、もともとこの資格というのがみんな是非取りたいというものなのかどうか。そこを考えるとあまり過重なことをやってしまうと負担感の方が増してしまうのではないかと思うので、決して反対というわけではないのですけれども、更新制というのは今ここで決め打ちというよりも、そのようなところも是非考えるということでどうなのかなと思います。
○奥山委員 更新制に関して出たので先にそちらに関して一言。
例えば私たち医者の世界なんかだと医師免許証は更新制がないのですけれども、専門医は必ず更新制があるのです。だから基礎資格には更新制度はあまりなくても、その上に乗るケアマネとか、そういうものは比較的更新制があるのではないかと思っています。
もともと、私が申し上げたかったのは、先ほど、今回の報告書で出すロードマップがちゃんと法改正にロードマップが乗るような形を考えていく必要があるのではないかということです。例えば最初は、自治体が機関を設置できる規定に、何年後かには努力義務になって、何年後かには必置になるというように、具体的に私たちがロードマップを書いたら、そのロードマップが法的に対応できていくようなロードマップも考えていかなければいけないのではないかと思います。
○松原委員長 西澤委員、どうぞ。
○西澤委員 小さな問題に触れて良い雰囲気になってきたので、あれほど物議を醸した久保先生の法文案なのですけれども、これだけラディカルなのだけれども、いまだに「児童」
を使わなければいけないのかな。法律って「児童」を使わなければいけないのですか。というのは児童って今さら言うまでもなく、子どもを低く見た言葉であることは、その出自から明らかなので、そろそろ良い加減に変えたらどうかなと思います。
それとニーズの話は、この前、草間委員から出て幹事会でも話題になったのですが、でもこれは概念としての言葉なので不可算名詞だろうと思います。だから複数形はないということでのニードということに戻しました。検討する必要があるなら検討します。
以上です。
○松原委員長 それでは、卜蔵委員、松本委員、平田委員。
○卜蔵委員 1つは言葉の問題なのですが、前回の専門委員会でも一時保護のところでファミリーホームのことが抜けていたということがあるのですけれども、例えば3ページのところで(6)、この観点から里親委託の推進、児童養護施設の小規模化ということが出てくるのですけれども、これは家庭養護の推進ということで当然ファミリーホームの委託推進ということを含めてのことなのですけれども、あちらこちらで里親に代表されてファミリーホームの表現が抜けているようなところがあるので、その辺のところは課題と将来像と合わせた形でファミリーホームを入れていただく、あるいは里親等とかいう形でやっていただきたいという言葉の表現の問題です。
それと、先ほど木ノ内委員からファミリーホームの制度的な課題のことも出たのですけれども、この中で里親制度の抜本的改革であるとか、里親制度の強化ということが出ているのですけれども、その中であわせてファミリーホーム6年たっていろいろな制度的な課題とかも見えてきていますので、同時にその見直しも考えていただくようなことを意見の中に、本日の議事録の中に入れていただきたいと思います。
以上です。
○松原委員長 松本委員、どうぞ。
○松本委員 これは「はじめに」とか「おわりに」とかそういうところに関わると思うのですけれども、かなり大きな方向を示す。かなり広範にわたる提言だと思うのです。ただ、触れられていないとか、そもそも議論に乗っていないことが幾つかあって、それも私は具体的な法改正もあるのでそれを乗せるべきかどうかというのは躊躇して控えたということもありますけれども、1つは例えば大人の一般的な生活を支えるサービスとの関係なのです。例えば貧困対策であるとか、子どもの貧困を含めてそういうこととの関係を例えば子ども家庭福祉はどう考えるのかということは、児童福祉法の改正ということがスタートだったので、そこはあえて言わなかったのですけれども、それは全体の位置づけとしては大変大事であるとか、もう一点は障害施策だとか精神保健のことも含めて、例えば精神保健の施策とどのように関係するか、あるいは現実のところでは密接な関わりがあると思いますけれども、そこの充実強化であるとか、あるいは障害を持つ人あるいは子どもも含めた支援施策との関係ということは児童福祉法ということでしたのであえて言いませんでしたけれども、密接な関係があるだろうと思います。だから大きな絵を書くときに、そういうことを少し入れていただいた上で、今回は児童福祉法に関連するような問題だという仕切りが必要なのではないかと思います。これが1点です。
もう一つ抜けていることは、子どもなり親も含めた当事者の参加の観点はあまり議論されていないのです。それはまだ具体的な法改正というところに、あるいは法制度にどう乗せるかということはまだここで議論できるような、熟しているのかどうかという判断もあってあえて提案しなかったのですけれども、今後そのような観点も含めて議論すること、あるいは制度を作っていくことが必要だということは、どこかで「おわりに」でも「はじめに」でも触れていただけるとありがたいなと思っています。
以上です。
○松原委員長 平田委員、どうぞ。
○平田委員 この報告書にあって、多分乳児院で仕事をしているからこそ強く感じるのだと思うのですが、やはり実親への支援の重要性です。支援があればもう一度その家族に戻れる可能性がある、確かに一時保護では虐待ということであってもいえることです。この実親さんへの支援という視点が今回少ないと感じますので、その支援を具体的にどのようにやっていくのか、どこがやるのかという検討はとても大切だと思います。このことは養育家庭に移ったとしても、子どもにとっての実親の存在をどのように扱っていくかは、大切な視点なのだろうと思います。
それに虐待の予防の視点からは、秋山委員もおっしゃったように医療とどう組むかということを「はじめに」なのか「おわりに」になるのかはわかりませんが盛り込んでいただきたいと思います。
○松原委員長 私の目にとまったのは奥山委員、加賀美委員、木ノ内委員、菅野委員、中板委員。時間もございますので、そこまでで切りたいのですが、それでもという方は手を挙げてください。では佐藤委員、武藤委員。私、順番が分からなくなるので並び順でいきますね。
奥山委員からどうぞ御発言をしてください。武藤委員が最後になります。順番にお願いします。
○奥山委員 私の意見は松本委員への反応ということで、おっしゃるとおりだと思っていて、どこかで私も移行支援、トランジションということをきちんと考えるべきだと発言させていただいたと思います。それがなければ一生面倒を見るかという話になってしまいますし、それ以上に、子どもが自分で自立をしていくということはそういう違うシステムも利用できていくということが重要なのだろうと思います。そこのところは確かに報告書の中ではあまり取り上げられていないかなとは思うのです。例えば子若協議会と要保護児童対策地域協議会がどのように連携していくのかということも少し考えていくことは必要だと思います。
もう一つの参加の問題ですけれども、これはまず最初の理念のところに参加の権利、つまり意見表明権とか参加する権利というものを明確に書き込むことは、第1に必要ではないかと思っています。
○松本委員 参加というのは親も含めてです。
○加賀美委員 先ほど藤林委員と松本委員の発言とつながるところです。今の話にもつながります。支援の永続性の話と松本先生のおっしゃる自立支援全体の流れというのを明確に理念のところにうたっていかなければいけないと私は思ったので、ここには前回の27日のたたき台の中に発達の連続性を基本にした支援の連続性の保障という言い方をしているのです。これは私のアピールの仕方が弱かったのかもしれない。そういうもろもろの支援の永続性の問題も、自立支援の方略も含めて、理念にうたっておくということが結果としては制度施策に、あるいは法律にきちんと盛り込まれることなんだと先ほどの久保委員の提案を受けての私の感想を含めて申し上げておきます。
○木ノ内委員 特別養子縁組について担当委員もいませんのであえて言おうかなと思っているのですけれども、パーマネンシーの観点からとても特別養子縁組に踏み込んだというのは良いことだろうと思うのですけれども、現在までに民間のあっせん業者みたいなものが存在するわけですけれども、その辺をどうしていくのか。主に児童相談所が中心になってやるということなのですけれども、どうしていくのか。特に広範囲、県をまたぐような養子あっせんというものがあるわけで、この辺はもう少しイメージが膨らむと良いかなと思っております。
○松原委員長 佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 これも児童福祉法の改正が主だということで控えていましたが、この前の専門委員会のときからも何回か発言をさせていただいたのですけれども、やはりゼロ日死亡を救うには妊婦健診、出産の費用の問題というのは非常に大きいと思います。法改正のところには書き込めないかもしれないですけれども、非常にお金がないから妊婦健診を受けていなくて、あっと言う間に赤ちゃんが生まれる時期が来て、泣き声が聞こえてしまったらまずいから口をふさぐということで死亡しているような子どもたちも多いわけです。これだけゼロ日死亡の問題がクローズアップされてきているので、法には書けないとしても、何か胎児期からの子どもの存在に寄り添った支援をということでの負担軽減政策を是非お願いしたいと思います。
○松原委員長 菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 1点、この要するに計画なり何なりを進めていく上で専門性をどのように担保していくのかということが大きなテーマかなと思います。久保課長が入られたことによって法的対応がということがありましたように、1人の職員が専門性を上げるということももちろん必要なのでしょうけれども、それぞれの分野の専門職をどう配置していくのかということも議論の大きなテーマになるのかなということと、先ほどありましたいろいろここの場、本体会議だけで議論できなかったことも幹事会でいろいろ議論されたりしています。それらの意見が報告書に反映されることを願って私の意見としたいと思います。
以上です。
○松原委員長 中板委員、どうぞ。
○中板委員 個人的に今回のたたき台の中で児童虐待の予防ということについてかなり勉強していただいたということについては、これまで児童虐待対策においては児童相談所の機能強化というところが主な論点だったと思いますけれども、今回ワーキングを設定していただいたことによって支援という枠組みで議論できたということは大変充実していたなと思っております。
その支援という枠組みと介入という枠組み、両方を強化していくという方向性だと思っておりますけれども、支援と介入、両方を機能分化させながら強化していくに当たって、それぞれの市町村の役割というのもかなり増えていくだろうと考えますと、その専門性の向上といった点において任用要件ですとか、そういったところがまだ議論としては若干不十分だったのかなと思っております。
児童福祉司の任用要件といったことを見直すことについて、社会福祉士、精神保健福祉士というところがありますけれども、保健師もそういった意味ではソーシャルワークを専門としてきましたので、研修を社会福祉士、精神保健福祉士、保健師、保育士、全てにおいてそれぞれ研修等が必要なのではないかと思いますので、そこを踏まえた上での任用要件について検討していただきたいと思っております。
また、報告書ですけれども、ヒアリング等もしていただいてゲストからの意見も非常に重要な意見が出ていたと思っております。その現場の感覚での意見、人材確保、人材育成といったところでもかなり重要な意見が出されていたかなと思いますので、現場の意見も踏まえた上で先ほどどなたかもおっしゃっていましたけれども、両論併記の場合には両論とも意見をしっかりと述べた形で報告書を作成していただけるとありがたいなと思いました。
以上です。
○松原委員長 武藤委員、どうぞ。
○武藤委員 前回の11月27日に行われた委員会のまとめということで報告案、たたき台についての意見については47ページから49ページまで、3ページにわたって細部に意見を出させていただいています。その中で49ページの一番上に書かせていただいたのですけれども、社会的養護の分野については社会的養護の課題と将来像の実現に向けて今、家庭的養護推進計画、都道府県推進計画が今年度からスタートしたところなのです。それとの関係性だとかも含めて一定整理をしなければいけないのではないかと思っています。県によって、施設によってはスタートしているという状況ですので、方向性からすると今回の提言について大きく違う、相反するということにはならないのですけれども、スタートしている計画ですので、そこのあたりも含めて一定の整理が必要なのではないかと思っております。
最後に、今回一番最初に委員長に質問させていただきましたけれども、今後の進め方について可及的速やかに進めるということだったのですが、日程だとかそういうものを具体的に出して進めないと、どうもここまでいって無理だったらまたここまでという状況になってしまう可能性があると思いますので、是非今後のスケジュールを早急に決めて、諮っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○松原委員長 ありがとうございます。
本日は久保先生に来ていただいて非常に有意義なディスカッションができたと思いますし、その後いろいろな委員の方から御発言をいただきました。これをまた報告書の取りまとめに生かしていきたいと思うのですが、委員長としては次回が最終回というのはなかなか難しかろうと考えています。一定程度、本日の御議論等も踏まえてたたき台からたたき台のバージョン2ぐらいのものを出して、また委員会で御議論いただいてというようなことで複数回が必要かなと思っておるのですが、一方で法改正については通常国会を目指すという、そこはどうも変わっていないと私は理解をしておりますので、冒頭で申し上げましたように、別にそのことが大臣の介入ということではないのですけれども、大臣とも事務局で調整をしていただいて、今後の専門委員会の持ち方、報告書の取りまとめについては委員長の方で調整をさせていただきたいと思います。
いずれにしても次回の専門委員会については、事務局の方から日程調整をしていただくことになろうかと思います。
それでは、7時10分を過ぎましたので事務局にお返ししたいと思います。
○小松虐待防止対策室長補佐 本日はありがとうございました。
次回専門委員会の日程は、追って事務局より御連絡いたします。
○松原委員長 御出席ありがとうございました。これで閉じたいと思います。
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