2015年10月7日 第66回社会保障審議会年金数理部会 議事録

年金局総務課首席年金数理官室

日時

平成27年10月7日(水)10:00~12:00

場所

厚生労働省 専用第15・16会議室(21階)

出席者

(委員)
 山崎部会長、宮武部会長代理、浅野委員、牛丸委員、翁委員、佐々木委員、田中委員、野上委員

議題

  1. (1)平成26年財政再計算のヒアリング-国家公務員共済組合-
  2. (2)平成26年財政再計算のヒアリング-地方公務員共済組合-
  3. (3)その他

議事

 
○下島首席年金数理官 定刻になりましたので、ただいまより第66回「社会保障審議会年金数理部会」を開催させていただきます。
 私は、10月1日の異動で首席年金数理官に就任いたしました下島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 前回の部会開催以降に事務局で異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 年金局長の鈴木でございます。
 大臣官房審議官の伊原でございます。
 年金局総務課長の度山でございます。
 年金局年金課長の間でございます。
 大臣官房参事官(資金運用担当)の宮崎でございます。
 それでは、審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。
 議事次第、座席図のほか、次のとおりでございます。
 資料1は「平成26年財政検証結果等について-国家公務員共済組合-」。
 資料2は「平成26年財政検証結果等について-地方公務員共済組合-」。
 資料3は「委員からの要求のあった資料(厚生年金・国民年金)」。
 このほか、参考資料といたしまして「被用者年金一元化法の施行に伴う積立金の概算仕分けについて(平成27年10月1日実施)」をお配りしております。
 配付資料は以上でございます。
 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、駒村委員が御都合により御欠席との連絡を受けております。御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
 それでは、以降の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。

○山崎部会長 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。社会保障審議会年金数理部会は、被用者年金制度の安定性及び公平性の確保の観点から、財政検証・財政再計算時における検証を行うこととされております。本日は、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の平成26年財政再計算につきまして、財務省と総務省に御出席をいただき、ヒアリングを行いたいと思います。
 カメラの方はここで退室をお願いします。

(報道関係者退室)

○山崎部会長 それでは、議題1「平成26年財政再計算のヒアリング-国家公務員共済組合-」及び議題2「平成26年財政再計算のヒアリング-地方公務員共済組合-」に入ります。
 説明者の方は、どうぞ席をお移りください。

(財務省大臣官房 関口企画官、同 相澤共済計理官、国家公務員共済組合連合会 工藤年金企画部長、同 小林数理第一課長、総務省自治行政局公務員部福利課 佐藤理事官、同 福嶋数理官、地方公務員共済組合連合会 荒井上席審議役 報告者席へ移動)

○山崎部会長 本日は御多忙の中、財務省大臣官房の関口企画官と相澤共済計理官、国家公務員共済組合連合会の工藤年金企画部長と小林数理第一課長、総務省自治行政局公務員部福利課の佐藤理事官と福嶋数理官、地方公務員共済組合連合会の荒井上席審議役にお越しいただいております。どうもありがとうございます。
 先日の部会でも申し上げましたとおり、今回のレビューに当たり、昨年12月19日の当部会において審議した資料の内容に基づきまして、レビューに必要な資料を作成、提出していただくよう、私から制度所管各省にお願いしておりました。財務省、総務省におかれましては、お忙しいところ対応していただき、ありがとうございました。
 それでは、説明をお願いいたします。

○関口企画官 財務省で共済制度を担当させていただいております企画官の関口祐司でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 国家公務員共済組合制度におきましては、国家公務員共済組合法第99条1項の規定に基づきまして、5年に1度、財政再計算を実施することになっているところでございます。その規定に基づきまして、平成26年6月に財政再計算を実施させていただいたところでございます。今回の財政再計算のポイントといたしましては、まず、平成27年10月、まさに今月から被用者年金一元化が始まることを前提にしまして、平成26年9月から27年9月までの期間の保険料率を計算するものであること。次に、国家公務員共済年金としての財政再計算は今回が最後となること。被用者年金一元化以降は、厚生年金部分につきましては、厚生年金制度の枠組みにおいて財政検証が行われることとなるものでございます。
 被用者年金一元化を前提としていることを踏まえまして、今回の財政再計算におきましては、前回の財政再計算と同様に、国家公務員共済組合連合会と地方公務員共済組合連合会との間で連携するとともに、厚生年金を所管します厚生労働省とも連携して行っているところでございます。なお、具体的な作業につきましては、組合員数の見通しの推計作業につきましては国家公務員共済組合連合会で行いましたものの、それ以外の部分、例えば給付費の見通し等の推計作業につきましては、厚生労働省において行っているところでございます。
 資料の説明につきましては、年金数理の専門分野にかかわることでございますので、共済計理官のほうからさせていただきたいと思います。

○相澤共済計理官 財務省主計局給与共済課で共済計理官をしております相澤と申します。本日はよろしくお願いいたします。
 資料につきましては、私のほうから御説明いたします。その後の質問等につきましては、やや計算上細かい部分等がございますので、適宜、国家公務員共済組合連合会の工藤年金企画部長のほうからもお答えいただくことにいたします。
 早速でございますが、資料1「平成26年財政再計算結果等について-国家公務員共済組合-」をお開きください。まず目次がございまして、次に1ページ目、1-1「今回の財政検証・財政再計算の基本方針」でございます。こちらのページでは、財政再計算の目的、法令・通知上の根拠及び制約条件、対象期間・範囲、求められる結果等について記載しております。
 最初のパラグラフでございますが、今回の財政再計算の目的でございまして、今回は被用者年金制度の一元化を前提としておりますので、そうした前提で財政の見通しを作成いたしまして、平成26年9月から平成27年9月まで、すなわち27年10月の一元化前までの保険料率を算定すること、こちらが目的となってございます。
 実際には、後ほど出てきますが、通達上、要求されています最低限の掛け金の引き上げ率、すなわち厚生年金と同様である1,000分の3.54を引き上げて、財政上、問題なかったという結果となってございます。
 第2パラグラフでございますが、法令及び通知上の規定でございまして、国家公務員共済につきましては、まず、国家公務員共済組合法第99条第1項で規定がございます。さらにその下の細かい規定としまして、国家公務員共済組合法施行令第12条に規定がございまして、さらにもう少し細かいものとしまして、今回ですと、平成26年5月27日付で財務省主計局長から「国家公務員共済組合の長期給付に要する費用の計算について」という通達が出されてございます。
 続きまして、制約条件としましては、国共済と地共済の財政単位が一元化されていることでございまして、これは平成16年以降のことでございます。また、被用者年金一元化法が平成24年8月に公布されてございまして、その結果、平成27年10月から、まず職域部分が廃止されてございます。1・2階部分の保険料率は段階的に厚生年金の保険料率に統一されることとなっておりますが、こちらにつきましては、被用者年金一元化法の附則第83条に規定がございまして、27年10月の一元化から翌年8月までの間は1,000分の172.78でございまして、次の1年間につきましては1,000分の176.32、さらにもう一年間、1,000分の179.86となりまして、平成30年9月から、厚生年金の最終保険料率である1,000分の183に統一されるというような仕組みになってございます。
 さらにもう一つ、制約条件としまして、経済前提やマクロ経済スライドの給付調整期間及びスライド調整率ですが、こちらは一元化ということを念頭に置きまして、厚生年金の平成26年財政検証の前提と同様としてございます。
 第4パラグラフでございますが、対象期間につきましては、おおむね100年程度ということで、今回は2015年から2110年の間の95年間という期間について、検証してございます。
 対象範囲でございますが、今回は厚生年金部分と旧職域部分について、検証の対象としてございます。
 続きまして、2ページでございますが、こちらは先ほど読み上げました「財政再計算の根拠とした法令・通知、その他の具体的内容」でございまして、こちらにつきましては法令の内容をそのまま書いてございますので、省略させていただきます。
 5ページ「財政方式の考え方」でございます。今回の財政検証におきましては、保険料率につきましては段階保険料方式に基づいて計算しておりまして、おおむね100年間の有限均衡方式となってございます。
 前回との違いで申し上げますと、前回は、経済前提やマクロ経済スライド調整率、調整期間などにつきましては厚生年金と一致させておりまして、財政均衡が図られるよう最終保険料率を計算するということでございました。その結果、前回の最終保険料率は1,000分の198でございました。今回は、先ほど申し上げましたように、保険料率につきましては法令上決まってございますので、厚生年金と同様な経済前提等のもとで、一元化法に基づいた保険料率に統一されるというような計算となってございます。
 財政方式につきましては、厚生年金部分については、新規の加入者が見込まれるということで開放集団方式でございまして、旧職域部分につきましては、平成27年10月で廃止になりますので閉鎖集団方式で計算してございます。
 続きまして、6ページ、2-1「今回の財政検証・財政再計算にかかわる組織体制、担当職員の人数」ということで、これは財政再計算を行いました昨年6月ごろの国家公務員共済組合連合会における、実際に作業を担当しました年金企画部の体制でございます。部長以下、次長が1人おりまして、その下には課が2つございます。数理第一課で数理計算を担当しまして、企画課で統計を担当するということでございます。
 その下、2-2「担当職員等の経験年数、研修の実施状況等」でございます。こちらにつきましては、経験年数は長い人で19年、短い人で1年ですとか3年という年数もございます。研修状況でございますが、日本年金学会の総会等に定期的に参加してございます。
 続きまして、7ページ「推計作業における制度間の連携状況」ということで、まず基礎数につきましては、原則として国家公務員共済組合連合会のほうで作成してございます。基礎率につきましては、脱退率ですとか標準報酬等、主要なものにつきましては国家公務員共済組合連合会のほうで作成をいたしまして、それ以外の特段制度によって違いが余りなさそうなものにつきましては、厚生年金のものを使っております。
 それから、推計作業でございますが、先ほど企画官のほうから申し上げましたとおり、加入者数の推計につきましては、国家公務員共済組合連合会のほうで作業を行いまして、それ以外の厚生年金相当部分の推計作業につきましては、厚生労働省のほうで作業をしていただいているという状況でございます。
 続きまして、8ページにつきましては、基礎数・基礎率はどういうものを使っているかということを書いてございますので、省略させていただきます。
 9ページ「基礎率設定の基本的な考え方」ということでございまして、(i)「基礎率設定に対する考え方」ということで、具体的な設定方法につきましては10ページ以降にございますので、ここでは申し上げませんが、その下の(iv)「他の制度等で使用しているデータの準用」、こちらは先ほど申しましたとおり、一部厚生年金のデータを使っておりまして、子の遺族失権率ですとか振替加算の年齢相関、有子割合、障害・遺族の加給対象者等につきまして、厚生年金のデータを準用してございます。
 続きまして、3-2-3「基礎率の設定に至る検討の過程」ということで、3-2-3-1「人口設定の考え方と検討プロセス」では、加入者数の見込みについて記載してございます。国家公務員共済の加入者数でございますが、これは財務省からの通達で指示しておりまして、「日本の将来推計人口」の中位推計をベースとして推計することとしてございます。
 前回の財政再計算におきましては、組合員数につきまして、生産年齢人口に対する人数割合がほぼ一定であるというような前提を置いて計算をしてございました。こちらにつきましては以前の数理部会のレビューにおいて指摘がございまして、組合員数については、警察官ですとか、自衛隊員ですとか、人口が減少しましても一定数必要というような職種の組合員につきましては、そうそう減るものではないのではないかというような指摘ございました。そうしたことも踏まえまして、組合員数につきましては、労働力供給面より行政需要面の影響を受けやすいという考え方に立ちまして、総人口に対する組合員数の比率が将来にわたって一定であるというような前提を置いてございます。具体的には、平成24年度末の加入者数の総人口に対する割合が将来も続くものとして推計してございます。
 もう一点でございますが、女性の国家公務員の採用・登用の拡大につきまして、平成22年12月17日の第3次男女共同参画基本計画を勘案しまして、新規加入者に占める女性の割合を40%として推計してございます。計画のほうを見ますと、2020年に30%という目標が多かったのですが、最近の新規加入者の状況を見ますと、40%を超えている年度が多かったものですから、そういうことも勘案しまして、40%という設定をしてございます。
 その下、3-2-3-2「経済設定の考え方と検討プロセス」につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、厚生年金に準拠しております。
 その後、10ページ以降でございますが、具体的な基礎率等の考え方がございます。こちらはちょっと細かいですので、省略させていただきます。
 14ページ以降、実際に基礎率がどういう数字になっているかということがございます。こちらも細かいので省略させていただきます。
 27ページまで進んでいただきまして「基礎数・基礎率に関して特記すべき事項」ということで、まず基礎数についてですが、これは基本的に年度としては平成23年度末のいろいろな調査を使ってございます。組合員につきましては、平成23年度組合員動態統計調査というものがございまして、こちらは2割の抽出率でございますが、この調査結果を年齢別及び組合員期間別に集計して、合計が実績値に合うように抽出倍率を乗じて作成してございます。年金受給権者につきましては、平成23年度末の実績値を使ってございます。待期者につきましても、平成23年度末の実績値、こちらを一部補正しまして作成してございます。
 基礎率でございますが、基礎率のうち失権率につきまして、先ほど申し上げました「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の平成72年度の死亡率に次第に近づけるように設定してございます。有遺族率につきましては、厚生労働省が作成しました厚生年金の財政検証で使っております有遺族率の経年変化割合に合わせて経年変化させてございます。
 続きまして、28ページ「推計方法に関する資料」ということで、3-3-1「将来推計の全体構造がわかる資料」では、実際に作業を行うに当たりまして、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、厚生労働省、それぞれがどういう役割をしているかということを記載してございます。
 国家公務員共済組合連合会と地方公務員共済組合連合会、それぞれでまず基礎数・基礎率を作成いたしまして、厚生労働省、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会の間でデータの提供をして、共有いたします。国家公務員共済組合連合会と地方公務員共済組合連合会においては、それぞれ旧職域部分の推計を実施しまして、厚生労働省のほうで厚生年金部分の推計を行う。これらを合算いたしまして、国家公務員共済、地方公務員共済の財政見通しを作成して保険料率を計算、というように行っております。計算された保険料率をもとに、国家公務員共済、地方公務員共済それぞれ連合会におきまして、運営審議会の議を経まして、掛金率等の定款変更を行ってございます。
 続きまして、29ページ、3-3-3「個別事項への対応」でございますが、ここで書いていますのは、国家公務員共済と地方公務員共済との間で、先ほど財政が一元化されていますということを申しましたが、財政を一元化する仕組みとしまして財政調整という仕組みがございます。財政調整の仕組みにつきましては、一元化前は2種類ありまして、一つは独自給付の標準報酬総額に対する割合が揃うようにするという調整。もう一つは、赤字の保険者に対して黒字の保険者が黒字の範囲で赤字分を補填するという調整。これらの仕組みにつきましては、一元化後も残っておりまして、一元化後は、今申し上げた2種類のほかに、積立金が枯渇した場合に、枯渇していない保険者から補填するという財政調整を新たに設けてございます。これらの財政調整の仕組みにつきましては、厚生年金部分の財政調整として規定されておりまして、その他に、旧職域部分におきましても、積立金が枯渇した場合の財政調整の仕組みを設けてございます。
 こうした財政調整の仕組みが一元化前及び一元化後にあるのですが、財政再計算は国家公務員共済と地方公務員共済を合算して行っていますので、財政再計算への影響はないものと考えております。
 30ページ、3-3-6「その他推計方法に関して特記すべき事項」ですが、こちらでは厚生労働省から提供を受けている項目ということで、先ほども申し上げましたが、給付費等に関する部分ですとか、それ以外に基礎年金や厚生年金の交付金・拠出金、こういったデータについても厚生労働省のほうから提供を受けて計算してございます。
 続きまして、31ページからは推計結果の詳細でございます。こちらにつきましても、細かいですので、省略させていただきます。
 60ページまで進んでいただきまして、4-1「推計結果の分析及び結果の示し方に対する基本的な考え方」ということでございますが、今回の財政再計算で必要とされている結果につきましては、厚生年金部分と旧職域部分、これはそれぞれが計算対象でございますので、それぞれにつきまして、対象期間であるおおむね100年程度の期間で財政均衡が図られるかどうかということを確認するということでございます。実際に各ケースにおきまして確認をいたしました。
 結果の示し方に対する考え方ですが、経済前提等につきまして、厚生年金のほうの平成26年財政検証と同様の前提を置いておりますので、考え方につきましても、厚生年金の考え方に準拠していると言うことができるかと思います。
 61ページでございますが、4-8、4-9、4-10、それぞれ財政検証・財政再計算の結果につきまして、公表された資料・報告書ですとか公表の過程、制度加入者等への説明状況でございます。
 国家公務員共済組合の組合員に対してでございますが、まず、一般組合員向けの広報としましては、全組合員を対象としましてリーフレットを作成してございます。過去3回、リーフレットを作成して、配布してございます。
 また、組合員の代表者に対してということでございますが、これは国家公務員共済組合連合会内部の手続にも関連することでございますが、年金業務懇談会を3回開催いたしまして、説明をしてございますし、運営審議会も3回開催して、内容を説明してございます。また、先ほども申し上げましたが、保険料率の変更に関する定款変更、これは運営審議会の議を経ますので、こちらについても説明しております。
 国民一般に対してでございますが、これらの内容は国家公務員共済の組合員しか見られないわけではございませんで、国家公務員共済組合連合会のホームページに「財政再計算結果について」ということで掲載してございます。また、リーフレットにつきましても、随時ホームページのほうに掲載して、公表しております。
 62ページ以降は各種指標でございますが、こちらも細かいですので、省略させていただきます。
 91ページから「年金の財源と給付の内訳」ということで、運用利回りに基づいて平成26年度末時点の現価を計算したものが出てございます。こちらもケースAからケースGまでございます。こちらも細かい説明は省略させていただきます。
 98ページに進んでいただきまして、こちらから「旧職域部分の収支状況等」ということでございます。
 まず「旧職域部分の財政再計算の基本的考え方」でございますが、先ほど来、申し上げておりますとおり、平成27年10月の一元化に伴いまして、旧職域部分は廃止されるということでございます。廃止された後、どうなるかということでございますが、27年9月以前の過去期間に対する給付、これは引き続き行っていくわけですが、その財源につきましては、一元化の段階でいわゆる積立金の仕分けを行いまして、旧職域部分として仕分けられた積立金を財源としております。具体的に申し上げますと、一元化の段階で、国家公務員共済組合連合会で保有しています積立金のうち、厚生年金の積立金に相当する部分、つまり、平成26年度末の厚生年金の積立金が平成27年度の厚生年金の給付費の何年分に当たるかという率を計算しまして、それに相当する部分を厚生年金部分の積立金であるとして、積立金の仕分けをいたします。その結果、厚生年金部分の積立金以外の部分として残った部分を旧職域部分の積立金としまして、これを旧職域部分の財源として給付を賄っていくということになります。こうした条件のもとで、財政上問題ないかどうかについて検証いたしております。経済前提は、基本的に厚生年金のほうと同じ経済前提でやっております。
 (ii)の財政方式でございますが、こちらは先ほど申し上げたとおり、閉鎖集団で計算しております。また、厚生年金に存在しない公務上の障害年金や遺族年金につきましては、一元化以降も旧職域部分のほうで給付を行っていきます。従いまして、その財源は全額事業主負担でございますが、こちらが一元化以降も旧職域部分の収入として入ってきます。それ以外に給付を行いますときの追加費用ですとか国庫・公経済負担、また、運用した場合の運用収入、こちらも旧職域部分の収入として入ってきます。支出につきましては、給付費と事務費ということになります。
 (iii)の旧職域部分の前提でございますが、これは先ほども申しましたが、経済前提は厚生年金と同様ということでございます。
 (iv)の旧職域部分の収支状況で特筆すべき事項ということで、これは先ほど来、出ていますが、国家公務員共済と地方公務員共済の財政が一本化されており、財源不足は財政調整で補うということになってございます。
 99ページに進んでいただきますと、ここからケースごとに旧職域部分の収支状況の見通しになってございます。見方としましては、この表の一番上に独自財源積立金の額、これが旧職域部分につきましての国家公務員共済と地方公務員共済を合算した積立金になりますが、この積立金が各ケースの収支差の現価を超えるかどうかを確認します。現価を超えていますと、その積立金をもとに給付を行っていけるということになります。各ケースとも、収支差の現価、一番下の欄に現在価値の合計として計算してありますが、積立金の額が現在価値の規模を超えておりますので、給付は行っていける、つまり、財政上問題がないと言うことができるかと思います。
 100ページにつきましては、同様にケースFとGについて記載してございます。
 続きまして、6-1「前回のレビューで指摘した要注意・検討項目の反映状況」、これは先ほど御説明いたしました加入者数の見込みについて、前回と見込み方を変えています。前回、生産年齢人口比例だったものを、今回、総人口比例にしていますということでございます。
 おしまいの102ページ、「年金数理担当者の所見」ということでございまして、報告のもととなるデータの十分性・信頼性でございますが、使っていますデータはそれぞれ実際の事務に使われているデータベースから作成しておりますので、信頼性・十分性はともに満たしていると考えております。
 それから、前提の合理性・妥当性、手法の妥当性・数理的整合性、制度の持続可能性等々につきましては、厚生年金の考え方に準拠してございますので、厚生年金のほうを参照ということかと思います。
 私からは以上でございます。

○山崎部会長 続いて、地共済のほうからお願いできますでしょうか。

○福嶋数理官 地方公務員共済組合制度につきまして、引き続き、財政再計算の内容について御説明をさせていただきます。
 私、総務省福利課で数理官をしております福嶋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 地方公務員共済組合制度につきましても、昨年、地方公務員等共済組合法及び関係法令に基づきまして、財政再計算を行いました。その目的や趣旨につきましては、先ほど冒頭に財務省さんのほうから御説明があったとおりでございますので、早速、資料2をご覧いただきまして、資料2に沿って御説明をさせていただきたいと思います。
 資料2の1-1「今回の財政検証・財政再計算の基本方針」ということで4点のポイントでございますが、まず、財政検証・財政再計算の目的につきましては、平成27年10月の被用者年金制度の一元化を前提といたしまして財政の見通しを作成し、一元化前までの保険料率を算定することが、今回の平成26年財政再計算の目的ということでございました。
 2番目の財政検証・財政再計算の根拠及び制約条件ということでございますが、根拠につきましては、1-2「財政再計算の根拠とした法令・通知、その他の具体的内容」をご覧いただきたいと思います。財政再計算につきましては、地方公務員等共済組合法第113条第1項の規定等によりまして、再計算を行う年以降おおむね100年間にわたって財政の均衡を保つことができるようにすること及び再計算を少なくとも5年ごとに行うことなどが定められているところでございます。その規定に基づきまして、昨年、再計算を行っているところでございます。
 制約条件につきましては3点ございますが、まず1点目は、平成16年10月から地方公務員共済組合及び国家公務員共済組合の財政単位の一元化が図られていることが挙げられます。
 2点目といたしましては、平成24年8月に公布されました被用者年金一元化法によりまして、この10月以降、職域部分が廃止され、1・2階部分の保険料率が、経過措置を設けて厚生年金保険の保険料率に統一されることの点でございます。料率につきましては、先ほど財務省さんから御説明のあったとおりでございますので、省略させていただきます。
 3点目につきましては、経済前提でございます。それから、マクロ経済スライドの給付調整期間及びスライド率が厚生年金保険の平成26年財政検証における前提と同様とされているところでございます。
 3番目、財政検証・財政再計算の対象期間・範囲の関係でございますが、対象期間につきましては、上記の制約条件のもとでおおむね100年間、具体的に申し上げますと平成122年度まででございまして、期間中の財政見通しを作成して、財政均衡が図られていることを検証したところでございます。
 4番目の財政検証・財政再計算において求められる結果についての点でございますが、財政見通しを作成する対象につきましては、平成27年10月以降の厚生年金保険部分及び旧職域部分でございまして、この厚生年金保険部分及び旧職域部分に関しまして、それぞれが対象期間内において財政均衡が図られていることを示すということが、今回の財政再計算で必要とされている結果ということでございます。
 続きまして、1-4「財政方式の考え方」でございます。財政方式の考え方につきましては、段階保険料方式に基づきまして財政運営を行うこととしております。有限均衡方式に基づき、おおむね100年間の財政均衡が図られているということでございます。前回、平成21年財政再計算までは、給付水準のもととなります経済前提、マクロスライド調整率及び調整期間を厚生年金保険に一致させまして、財政の均衡が図られるよう最終保険料率を決めておりましたが、被用者年金一元化法によりまして、保険料率につきましては経過措置を設けて、平成30年9月には厚生年金保険の保険料率に統一をするという運びになったところでございます。
 1・2階部分でございます厚生年金保険部分につきましては、今後も新たな加入者が見込まれることから、開放集団方式により財政見通しを作成いたしました。その一方で、旧職域部分の財政方式につきましては、平成27年10月以降はこの職域部分が廃止となりましたので、新たな加入者が発生しないということから、閉鎖集団方式により財政見通しを作成したところでございます。
 引き続き、地方公務員共済組合連合会のほうから御説明させていただきます。

○荒井上席審議役 地方公務員共済組合連合会の上席審議役を務めております荒井と申します。2以降について、私のほうから御説明します。前の財務省の御説明と結構ダブっているところがございますので、地共済独自のところについて、中心に御説明したいと思います。
 まずは組織体制でございますが、昨年6月時点、年金業務部の数理課を中心として作業を行っております。担当の部長と数理審議役、課長、数理係の係員5名でやってございます。具体的な経験年数につきましては、その下に書いてありますけれども、今回この経験年数としましては、年金業務関係のもの、法令だとか、企画だとか、そういうものを含めたものを年数として上げております。
 あと、浅野先生から御質問がございました研修のことについてなのですけれども、地共連の研修、教育制度の一環としまして、数理課の職員には個人会員資格として日本アクチュアリー会の会員となって資格試験に向けて勉強を行っている者がございます。また、数理課内で日本アクチュアリー会の正会員を講師としまして勉強会を実施しているところでございます。ただ、外部研修についてはやってございませんので、今後どうすべきかというのを検討していきたいと思ってございます。
 次に、4ページ、制度間の連携関係ですけれども、私どもは、組合員で言いますと300万人ございまして、国共済、私学共済と比べるとかなり大きな集団でございますので、原則として経験値を用いるというようなことで考えてございます。多少、経験値が求められないようなものについては、厚労省の数字を使用するというようなことはしてございますけれども、具体的には後のほうで御説明したいと思います。そのようなことで原則として、大きな集団のために、地共済独自の経験値を使うということをやってございます。
 将来推計作業につきましては、これも同じでございまして、組合員数の推計につきましては地共済でやって、そのデータを厚労省に提供している。本体の具体的なところは、厚労省のほうで計算をしたものをいただいている、ということでございます。
 ページを飛んでいただきまして、6ページでございます。先ほど、私どもは経験値を使っていると言いましたけれども、子供の遺族年金失権率につきましては、やはり私どもでもデータが非常に少ないというところもございますので、厚労省が採用している失権率をそのまま適用してございます。
 あと、将来加入者につきまして、今回、総人口比例にしたということなのですが、浅野先生のほうから、国家公務員は女性の割合を40%としているけれども、どうかということがございました。私どもは、直近の新規加入者における男性、女性の割合をつかまえまして、男性の割合が53%ぐらいになってございまして、女性で言いますと47%なのですが、新規加入者全体のうち47%が女性だというような格好で将来推計をしているところでございます。
 ちょっと横長になりますが、7ページ、これは前回と変わったところなのですが、最初の現在組合員につきまして、前回は20分の1の抽出でやってございましたけれども、全数調査に移行するような過程を伴いまして、今回は23年度末を使ったのですけれども、2組合ほどまだ事務的にできなかったのですが、残りの組合につきまして、おおむね3分の2弱ぐらいの組合員が全数調査になっております。現時点では全て全数調査になってございます。
 あと、年金待機者につきましては全数調査でございますが、一番右端の作成方法の欄のところを見ていただきますと、待機期間における、すなわち脱退してから現在の時点、23年度末の時点までは、かなり時間がたっている方もおられるものですので、その間の死亡を考慮して減員しているところでございます。これも厚労省からの御指摘でそのようなことになってございまして、厚労省に対して毎年1月に法定報告をしているのですが、その中にも待機者が含まれておりますが、その法定報告についても、このような死亡を考慮して報告をしているところでございます。
 9ページ、下の3つの年金失権率につきまして、変わったところにつきましては、一番端の欄のカ.のところですが、年度別失権率の将来的な経年変化を見るというところにつきましては、厚生年金と同様の方法を使いました。若干前回とは違っていたのですが、やはり整合的な面というところで、厚生年金と同じ手法でやってございます。
 一番下の遺族年金失権率の若年の部分、18歳未満のところにつきましては、あまりデータもないということですので、厚生年金と同じ率にすると整合性があるということで、こちらのほうも前回と変わったところでございます。
 次のページにいきまして、一番上の有遺族率ですけれども、これも厚生年金のほうで経年変化、年度別に変化させるということですので、私どもも同じような考え方というよりも、どちらかというと厚生年金の率をいただきまして、その同じ変化率をとるということで、年度によって変えているところでございます。
 あとは数表になりますので、飛ばしていただきまして、19ページでございます。ちょっとダブるのですけれども、まとめとして書いてございますので、御説明いたします。
 年金待機者のところにつきましては、脱退時から現時点までの死亡者につきましては、確率を用いまして調整して、減員させているということです。
 基礎率につきましては、有遺族率については、先ほど言ったとおり、厚生年金と同じように経年変化を考えているところでございます。
 あとは結果でございまして、それも飛ばしていただきまして、53ページの「組合員向け広報」というところになります。組合員向けの広報につきましては、私どもは傘下の構成組合がございまして、連合会はその上に立っているのですけれども、組合員と直接接しております各構成組合にいろいろなデータを提供して、それぞれの広報誌にいろいろ書いていただくということをとるほか、今回の再計算につきましては、全組合員を対象としましたリーフレットを1回だけ配布しております。その他に、各組合の広報誌を利用しまして、周知を図っているところでございます。
 (2)の組合員代表に対しては、運営審議会を1回開いておりまして、6月26日の運営審議会で再計算の結果及び定款変更、私どもの掛金率、負担金は定款に書かれておりますので、定款変更の議を進めたところでございます。
 2の「ホームページへの公表状況等」につきましては、記載のとおり、機会があるごとに、再計算結果を含めまして公表しているところでございます。
 また数表が続いておりますけれども、83ページを開いていただいて、浅野先生からは、国共済と地共済の最終年度の積立金が違うというようなことがあって、多分、資料の行き違いがあって、今日の朝見たところ同じ数字でございましたので、この辺のところは資料の差し替えとかがあったタイミングのずれによって生じた御質問かなと思ってございます。
 また飛びまして、93ページ、前回のレビューで御指摘を受けた点についてのところでございますが、これは先ほどの御説明のとおり、前回、生産年齢人口に対して比率一定というところで御指摘を受けて、今回は総人口一定というところで組合員数の推計をしたところでございます。

○福嶋数理官 最後に7-1の所見でございますが、(i)資格・年金に関する統計データにつきまして、おのおの、実際の事務に用いられておりますデータベースと直結しておりますことから、十分性や信頼性をともに満たしていると考えております。
 (ii)から(iv)の点につきましては、厚生年金保険のほうを御参照いただければと思っております。
 以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等を委員の方からお受けしたいと思いますが、まず、浅野委員からメモ書きで質問事項をいただいております。既にただいまの説明の中でお答えいただいているものもありますが、浅野委員から、よろしくお願いします。

○浅野委員 それでは、今、両共済から御説明いただきましたので、同じような質問ですので、ワン・バイ・ワンで御両者からお答えいただければと思います。
 趣旨としましては、これだけの膨大な御報告をいただいて、なかなか数字の妥当性とかを一個一個確認はできないので、態勢面であるとか、どういうお考えでされているのかというところを確認させていただきたいと思います。資料としましては、国家公務員共済への確認事項ということを中心に御質問させていただきます。
 1点目の、6ページで、御担当者は数理的な研修は受けていないのかということで、地共済のほうは御報告いただいたのですが、国共済のほうはいかがでしょうか。

○工藤年金企画部長 国共済連合会の年金企画部でございます。
 国共済連合会におきましても、この資料では年金学会に出席ということで記載させていただいております。部内での研修は実施しているということでございますが、部外や部外者を入れての研修、講師等を招いての研修というところまでは行っていない状況でございます。

○浅野委員 ありがとうございます。
 続きまして、国共済の資料の7ページでありますが、将来推計というのは別々の組織が行って、別々のモデルで行っているということになると思うのですけれども、これは全体としての整合性は図られていると認識されているのでしょうか。それとも、両共済ではまだ余りまだそういうところまで検討というのがされていないということなのでしょうか。

○相澤共済計理官 今回の推計作業におきましては、先ほども説明の中で申し上げましたが、従来どおり、国家公務員共済、地方公務員共済で連携している部分もございますし、また、一元化ということもございますので、厚生労働省のほうと連携しながら作業をしています。実際の推計作業につきましても、基礎データの共有ですとか、厚生年金部分については厚生労働省のほうで推計作業をやっていただくとか、そういったところで連携をとっておりますので、全体の整合性は図られていると考えております。

○浅野委員 地共済さんも同じような認識ですか。

○福嶋数理官 同様でございます。

○浅野委員 ありがとうございます。
 3番目ですが、9ページの上のほうで、厚労省の率を用いたということですが、これについてはそれぞれの共済で、何かこの率に対する妥当性とか、そういうものは検証されているのでしょうか。それとも、来たものをそのまま、特に何の検証もせずに使っているのでしょうか。まず国共済さんのほうから。

○工藤年金企画部長 私どもは、御指示いただいた率をそのまま使っているということでございます。

○浅野委員 地共済さんは。

○荒井上席審議役 私どもは、前回私どもがやったものとちょっと違っておりましたので、厚労省に対してどうしてこのような考え方なのかというのを聞きまして、その根拠をいただきまして、そういうことであれば妥当だろうというようなチェックをいたしまして、18歳以下の失権率を使用させていただきました。

○浅野委員 ありがとうございます。
 続きまして、同じく9ページの基礎率に設定に至る検討の過程で、1つが、加入者について、これまでは労働人口比例だったのを総人口比例に変えたということなのですが、それでもまだ少し保守的なのではないかと思うのですけれども、そこは何か改善の余地とかというお考えはないのでしょうか。

○相澤共済計理官 今回の加入者数の見込み方につきましては、前回のレビューの指摘を受けまして、総人口比例としたわけでございますが、保守的かどうかということにつきましては、今後の検討であろうと考えます。今回の財政再計算の段階で見込み方が保守的かどうかという検証までは至っておりません。

○浅野委員 それともう一つ、新規加入者に占める女性の割合を40%にしたというのは、直近の実績を用いてやったという理解で、これは何か将来のトレンドみたいなものを見込んでいるということはないのでしょうか。

○相澤共済計理官 根拠につきましては、先ほど申し上げました男女共同参画基本計画について、2020年に30%という目標が多く見られましたが、最近の状況として40%を超えている年度が多かったことに基づいております。必ずしも増加傾向かどうかというところまでは読み取れませんでしたので、40%で一定という前提を置いてございます。

○浅野委員 わかりました。
 地共済さんについては、女性についてはそういう実績だということで理解しましたが、加入者数を総人口比例にするということが少し保守的ではないかと私は感じるのですけれども、そのあたりについてはどういう御認識でしょうか。

○福嶋数理官 先ほど財務省さんのほうからも御説明があったかと思いますが、前回の21年の財政再計算のときの見方が保守的だということで、まずは今回の26年財政再計算につきましては、総人口のほうで見直しをさせていただいたところでございます。今後の対応につきましては、それが保守的かどうか否かにつきましては検討させていただきたいと思っております。

○浅野委員 ありがとうございます。
 続いて、国共済さんの5番目なのですが、10ページの基礎数の作成方法で、待期者数については失権率から設定しているのですけれども、全数というのは把握されていないということなのでしょうか。

○工藤年金企画部長 把握しております。

○浅野委員 では、基本的に地共済さんと同じような、ある時点で待期者数を把握して、それ以降の死亡者数を推計しているということですか。

○工藤年金企画部長 そういうことでございます。

○浅野委員 わかりました。では、書きぶりが地共済さんと違うので、全数を使っているというのはこれに書いておいたほうがよいと思います。
 その次、6番目の基礎率の設定方法ということで、国共済さんと地共済さんで基礎率の設定方法が大分異なっているように思います。例えば総脱退率について、国共済さんは単純な3年平均に対して、地共済さんはグレヴィルの補正を使ったりされているということで、これは両共済の財政単位が一元化されているということで、そもそもどのような検討を経てこのように全く違う基礎率の設定方法になったのか。むしろ統一を図るべきではなかったのかと思うのですが、それぞれ、国共済さんから、どのようにお考えでしょうか。

○工藤年金企画部長 国共済のほうにおきましては、従来から大体3カ年平均を使用するという推計方法を採用してきております。推計方法につきましては、いろいろな推計の方法というのはあろうかと思っておりますけれども、これまでのやり方を踏襲するという考え方でやってきております。その組織、単位ごとによって個々の特性を反映させるという観点でいきますと、国家公務員の場合は直近の3カ年をとることが一番妥当ではないかという考え方に基づいてやってきておりますし、それが特段の事情がなければ、より実態に近いということではなかろうかと考えております。

○浅野委員 地共済さんはいかがでしょうか。

○荒井上席審議役 私どもも、データを使う年度については3カ年というところでございまして、今言われた補整をどうするかというところなのですけれども、脱退率につきましては、私どもは昔からグレヴィルを使って補整しております。平準化というのと同じような意味での手法の違いだと思っております。ほかのところについては最小二乗法を使ったりしておりますので、私どもとしては、平準化の一つの手法として、総脱退率であったら昔からグレヴィルを使っているということで、おそらくいろいろな違う手法をとったとしても、余り変わらないかなと、総脱退率などは結構きれいに出ておりますので、変わらないかなという印象を持っております。

○浅野委員 基本的に補正の仕方というのはいろいろな手法があるということだと思うのですけれども、一つの制度でこれから一元化が進む中では、そんなに影響もないのかどうかというのは確認する必要があると思うのですけれども、やはり一つ、同じような手法を今後少し検討されたほうがいいのではないかと感じております。
 それから、基礎率全般としまして、トレンドの反映とか異常値の排除、結果としてフォワードルッキングな基礎率になっているのかどうかということについてはいかがでしょうか。国共済さんから。

○工藤年金企画部長 国共済のほうにおきましては、もちろん、異常値を排除するという作業は行っております。それから、先ほど申し上げました直近3年平均を用いるということでいきますと、前回5年前の3年平均から比較すれば、今回直近の3年という意味ではフォワードルッキング的な視点になっているのではないかと思っております。

○浅野委員 地共済さんは。

○荒井上席審議役 私どもは、異常値のところについては、やはりグラフなどをとってみますと出てまいりますので、その原因をつかむというようなことをやってございまして、具体的には今回はそのような異常値と言われるものはございませんでした。将来のトレンドにつきましては、原則5年ごとに再計算をするようなプロセスを今までとっておりましたので、その都度その都度、直近のデータで固定してやったとしても、それほど問題ないのかなというところでやってきてございます。ただ、失権率だとか、有遺族率だとか、ある程度根拠があるものにつきまして将来の傾向を見込むのは妥当かと思いますが、根拠がないようなものについて、なかなか将来の傾向までを考慮してみるというのはできなかったという状況でございます。

○浅野委員 そういう意味ですと、根拠がないトレンドまたはフォワードルッキングな率をつくるというのは間違ったことだと思うのですが、やはりトレンドがあるのかないのか、そういうのはそれぞれ検討した上で、これはトレンドがないと判断されるのであればそれでいいと思うのですけれども、そこの検討をするということが大切ではないかと考えます。
 そういう意味では、その次の死力についてなのですけれども、先ほど御説明がありました年金開始の失権率については、将来数値に収れんされていくという意味ではトレンドを入れている、フォワードルッキングな率になっていると思うのですが、同じ死亡にかかわる率でも、死力についてはそうしたことを入れられていないというのは、逆に整合性に欠けるのではないかと思うのですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。国共済。

○工藤年金企画部長 ここの点につきましては、主に今回の財政再計算の対象期間は被用者年金一元化後がほとんどの期間になってくるということもございまして、厚生年金と同じものを使用させていただいたということでございます。

○山崎部会長 どうぞ。

○野上委員 すみません、ちょっと入らせていただきます。
 受給者の失権率なのですが、厚生年金と違って、従来から国共済さんも地共済さんも若干国民全体よりも長生きされるという傾向だと思うのです。そういう中で、72年以降、国民全体と一緒にするという点に関しては問題があるのではないかと思っているのですけれども、その点いかがでしょうか。

○相澤共済計理官 おっしゃるとおり、個別の制度について、傾向の違いは確かにあるのかもしれないと思いますが、今回の計算におきましては、一元化されるというほうに重点を置いて作業をしました。その結果について、それが良いか悪いかという検証は確かに今後必要かと思いますが、今回の作業としましては、一元化というところに重点を置いて作業しましたということかと思います。

○山崎部会長 よろしいですか。

○野上委員 理由としてはわかりました。問題はあるとは思いますが、今さらやり直してくださいとは言えないので。

○相澤共済計理官 確かに今回の作業、先ほど来、説明の中で、こちらからデータを渡して、そのまま厚生労働省のほうで全体推計をするといった連携もありますので、なかなか個別の部分について良し悪しを検証するのは難しい部分もあるかと思います。そうした検証をやらなくていいというつもりは全くございませんが、今回は違いを設ける等といったところまでいっていないということでございます。そういった課題はもちろん認識しているつもりでございますし、数理担当者がどこまでどうかかわるかという問題かとも思います。

○野上委員 私の整理としては、一元化後はむしろ制度間の死亡率の違いというよりも、受給額の違いによって、一般的に高額所得者というか、資産を持っておられる方のほうが長生きするという傾向もございますので、その辺の分析に基づいて推計されるのがいいのではないかと思っております。今後の話ですけれども。

○相澤共済計理官 一元化以降につきましては、厚生年金部分は厚生年金に一元化されておりますので、実際の計算作業そのものはおそらく厚生労働省主導で行われていくものと考えておりますが、どういう体制でやっていくかというのは今後の検討かと思います。その中で3共済それぞれどのような形で作業に携わっていくのかという問題はありますが、今おっしゃったような点については、今後の作業の中で問題点を検証していくのではないかと思います。

○山崎部会長 では、引き続いてお願いします。

○浅野委員 先ほどの死力と開始後の失権率について、地共済さんのほうはどのようにお考えでしょうか。

○荒井上席審議役 死力につきましては、言ってみれば、組合員が対象になっているというようなところで、組合員のデータをそのまま使っているところです。年金失権率の部分につきましては、そういう組合員のレベルの層という方は、一旦やめた方、年金待機者に対して考慮するような率になっております。そうしますと、年金待機者になりますと組合員ではないということになりますから、その部分は日本全体の失権率、死亡率に連動していてもいいのかなという感じはいたします。
 死力のほうは、先ほど、基本的には5年ごとにやって、3年間の実績データで更新していくというところが妥当なのかなというところでございまして、集団が違うので、多少そこら辺にも違ってもいい理由があるのかなと思っております。

○浅野委員 わかりました。
 続いて、新規加入者の発生割合は直近年度のデータのみを用いていると、国共済さんのほうはこういう御説明なのですが、新規加入者の属性、分布というのは年度によって大きくぶれるのではないかと思うのです。そうすると、むしろ複数年のデータを用いるとか、またはトレンドを用いるといった形のほうがいいのではないかと思うのですが、これはいかがでしょうか。

○相澤共済計理官 おっしゃるとおり、ここ数年のデータの変動がかなり激しいようであれば、その変動をある程度考慮することも必要かと思うのですが、女性公務員の新規加入割合を見ますと、40%前後であり、特に増加傾向や減少傾向といった特徴も見られませんでしたので、細かい分析ではないかもしれませんが、そういった傾向を見て40%と置いています。
 ですので、今後また動きを見ていって、変動があるようであれば、今後の計算のときに考慮すべきことかなと思っております。

○浅野委員 わかりました。
 地共済さんのほうでは新規加入者の前提は書かれていないのですが、これはないのですか。

○福嶋数理官 今のところ、26年財政再計算をした時点におきましては、もととなるようなものは特になかったものですから、特に記述はいたしておりません。

○浅野委員 わかりました。
 続いて、これは少しざっくりとした御質問なのですが、基礎率は全体としてどの程度保守性があると御担当者としては認識されているでしょうか。まず国共済さんのほうから。

○工藤年金企画部長 基礎率は、具体的な物によって多少めり張りがあるのだろうと思っております。まさに先ほどから御説明させていただいておりますように、過去3年平均の実績を基本的にはもとに算出しているということで、それが今後とも引き続いていくであろうという前提で今回計算はさせていただいております。率によってその度合いも違うということだろうと思いますので、なかなか保守的かどうかというところの判断は難しいかなと考えております。

○浅野委員 地共済さんは。

○荒井上席審議役 原則、経験値を使ってございますので、それに対して何か割り引いて保守的な要素を入れるということはしておりません。ただし、失権率のところの高齢部分、90歳以上だとかというのはなかなかデータが私どももないものですので、そういった場合について、ある程度、生命表の死亡率などを考慮しながら算定しているのです。それが保守的なのかどうなのか、どちらに行くかわからないですが、そういったような変動要素はちょっとあるかなと思っております。

○浅野委員 ありがとうございます。
 続いて、算出方法を前回から変更する場合のプロセスまたは妥当性の判断、それはどのように行われているのか。または、変更しない基礎率も変更の必要性について検証されているのかどうか、このあたりについてお伺いしたいと思います。国共済さん。

○工藤年金企画部長 先ほど申しましたとおり、算出方法について、今回は変更しておりません。従来のやり方も、ある程度実績も踏まえたという考え方での算出方法をやってきているということで、一定の妥当性はあるのだろうと考えておりますので、今回もそのやり方を維持しているということでございます。

○浅野委員 維持されているのはいいと思うのですけれども、そもそも変更したほうがいいのか、しないほうがいいのかという検討はされているのでしょうか。

○工藤年金企画部長 具体的に検討まではしておりません。ただ、やり方として3年平均がいいのかどうかということは、幾つかのいろいろな方法があろうかと思います。今後、状況を見ながら考えていくということが必要ではないかと考えております。

○浅野委員 地共済さんはいかがでしょうか。

○荒井上席審議役 大筋のところでは変更はしておりません。ものによっては3年平均にするのか、直近のものを使ったらいいのかというような検討はしてございます。例えばボーナスの割合というのは、ボーナスの支給月数に影響しますので、そういうものは3年平均すると変動している場合はおかしくなったりしますので、直近を使ったりというようなところは検討して、どう使うべきかというところはやってございます。大体原則、どちらかというと3年平均を使っているということです。

○浅野委員 各基礎率について、今回は変更しようか、変更しないかということについて、一つ一つ検討されているようなことはあるのでしょうか。

○荒井上席審議役 おそらく担当者の頭の中で瞬時に検討しているかと思いますが、このままで行こうというようなところで3年分のグラフを書いたりして、その辺を見て次のプロセスに進んでいくのですけれども、そのプロセスの中で、おそらく頭の中で検討して、すっと行ってしまっているのだろうと思います。

○浅野委員 ありがとうございます。
 7番目の、主な基礎率についてグラフで前回との比較などをあらわせないかということについては、今後こういうものをあらわしていただいて、どこに特徴的なことがあるのかというのがわかると思うので、これは今後、御検討いただきたいと思います。
 8番目ですが、41ページに厚労省から提供を受けている数値ということで一覧表がございますが、この辺は留意点の確認とか、それぞれの共済で何らかの検証、確認は行っているものなのかどうかということを教えていただければと思います。国共済さんはいかがでしょうか。

○工藤年金企画部長 国共済におきましては、厚労省さんのほうから数値を提供いただきまして、その提供いただいた数値につきましては、私どものほうで持っておりますこれまでのデータや経験値を踏まえて、異常値ではないというところはもちろん検証させていただいております。

○浅野委員 何かこういうところに気をつけないといけないとか、そういう話を厚労省さんとされたりするのですか。

○工藤年金企画部長 担当者レベルで多少そういう話はあるかもしれませんけれども、形としてというところまでは明示的にはやっておりません。

○浅野委員 地共済さんはいかがでしょうか。

○荒井上席審議役 私どもも、提供いただいたデータとこちらが持っているデータとの、それほど差があるかないかというところをチェックしまして、妥当である、当然ながらシステムとかが違ったりしますので、同じものは出てまいりませんので、そういうことのチェックはして使っております。

○浅野委員 ありがとうございます。
 9番目は、先ほど、もとのドラフトで違っていたということかと思います。
 10番目の質問も、今日の参考資料ということかと思います。
 最後の御質問ですが、年金数理担当者の所見で、まず1点目が、統計データの十分性・信頼性について言及されておりますが、これは数理担当者としてどのような検証を行っているのでしょうか。

○工藤年金企画部長 先ほど財務省さんのほうからの資料の中にもございましたように、年金のデータベースに直結させているというところで統計データのほうはこれに連動させているということが第1点でございます。
 それから、統計データの動向を見て奇異な数字の動きがないかどうかという点につきましては、当然ながらチェックさせていただいております。
 また、制度改正があったような場合には、そのシステムの変更内容を複数の担当部局でチェックを行うという形で検証を行っているということでございます。

○浅野委員 ありがとうございます。
 地共済さんのほうはどうでしょうか。

○福嶋数理官 書類上などで申しますと、例えばこちらの数理部会さんで毎年取りまとめられている公的年金財政状況報告ですとか、あるいは私どものほうでも毎年とっている年報的なものとの数値の整合性、それから最近のトレンドの動きと何か変わっているところはないかどうかというのは、書類上などでは確認しております。

○荒井上席審議役 国共済さんと同じなのですけれども、大体はデータベースが既に組合のほうででき上がっているところからデータをとってくるというようなところがございますので、そこら辺について、実際業務に使っているようなデータでございますので、妥当性、正確性は十分あると思っています。ただ、いろいろなミスみたいなものがございますので、出てきた内容については当然ながらチェックしております。

○浅野委員 ありがとうございます。
 次に、旧職域部分についての年金担当者としての所見とか、今回の財政再計算全般に対する年金数理担当者としての所見について、厚生年金と同じという1行しかないのですけれども、さはさりながら、実際に今回携わられたお立場として何らかの所見もあるのではないかと思うので、もしあれば、それをお聞かせいただきたいと思います。

○工藤年金企画部長 今回、被用者年金一元化ということで、昨年行いました財政再計算は、結果的には1年1カ月分の保険料を決定するための財政再計算になったわけでございます。共済年金としての財政再計算は今回で最後というところで、その作業に携われたということで、ある意味の感慨深いところはございます。
 以上でございます。

○相澤共済計理官 旧職域部分につきましては、仕組みとして、その前提については基本的に厚生年金と同等でありますので、旧職域部分単独ということでの所見ということはないと思うのですが、全般に関してということで申し上げれば、共済年金制度につきましては、例えば企業年金で言うところの年金数理人制度ですとか、保険業法における保険計理人制度ですとか、そういったアクチュアリーがきちんと関わりますというような制度には法令上なっておりません。
 今、工藤部長のほうからもお話がありましたけれども、共済年金として再計算を行うことは最後であるのですが、別途、新3階年金もございます。新3階年金は、特に公的年金との位置づけではないのですけれども、そういった共済制度においてどう数理担当者がかかわっていくかということについては、今後の検討課題であると思っております。

○浅野委員 ありがとうございます。
 地共済さんのほうはいかがでしょうか。

○福嶋数理官 今回の平成26年財政再計算を振り返ってのお話ということでございますけれども、先ほど来御説明いたしておりますとおり、今回は被用者年金一元化ということがございましたので、とりわけ元データとなります厚労省さんからの厚生年金保険制度の関係のデータですとか、この辺の提供に当たりましては、先ほど来申し上げているとおり、提供のあった段階で確認もさせていただき、必要に応じてその理由とかを確認しながら進めてきておりましたので、その範囲内では遺漏のないように対処させていただいたとは認識しております。
 以上でございます。

○浅野委員 ありがとうございます。
 これは数理計算ということだと思いますので、今の世の中の国際的な動きでは、やはり過去のデータをそのままというよりは、もう少しフォワードルッキングであるとか、または常に基礎率の設定方法とかが過去のとおりの踏襲でいいのかどうか、そういうものを見直す検証、またはそのプロセスを明確にするとか、そういうことが必要ではないかと思うので、今後もそういうあたり、不断の見直し、改善を図っていただければなと思います。
 長時間にわたり、ありがとうございました。

○山崎部会長 ほかの委員の方からいかがでしょうか。
 佐々木委員。

○佐々木委員 ちょっと質問のポイントが違うのかもしれませんが、報酬の水準というのは年金財政について非常に大きなウエートを占めているのですけれども、昇給のメカニズムについて教えていただければと思います。昇給というのは、いわゆる定期昇給とベースアップに区分されると思うのですが、具体的にどういう仕組みで行われているのか。特にベースアップです。これは具体的に毎年どういう基準でなされているのか、この辺、おわかりになれば教えていただければと思います。例えば民間企業ですと、物価であるとかその期の収益の向上とか、生産性とかですね。

○工藤年金企画部長 私どもの国共済の場合におきましては、組合員が国家公務員というのが大半でございます。国家公務員の給与につきましては、人事院が民間給与を調査いたしまして、官民格差を図るということで、その格差を解消するという形で人事院勧告が行われて、公務員の給与の引き上げまたは引き下げを勧告する。それを踏まえまして、政府においては、一般職給与法、特別職給与法等の改正案を作成して、改定率を何%とするという、その法律を国会に出された上で、審議の上、成立すれば公務員の給与の増額、減額の改定が決定する。もちろん、それにあわせて諸手当、ボーナス等の支給率等も決まるということでございます。そういうお答えでよろしゅうございますでしょうか。

○佐々木委員 わかりました。ありがとうございます。

○山崎部会長 野上委員。

○野上委員 運用利回りについて、国共済さんにお聞きしたいのですけれども、従来から国共済さんはかなり保守的な運用をされておりまして、それ自体私は実は大変リスペクトさせていただいていたのですけれども、今般、運用利回りは厚生年金と同じと設定されておりまして、その妥当性についてお聞きしたいということでございます。
 まず、実際のポートフォリオは、今時点も違いますし、例えばポートフォリオ見直しの資料を拝見しますと、資産クラスごとの上下のバッファーですね。国内債についてはプラス・マイナス30%ということで設定されていたと思うのですが、その辺、厚生年金、GPIFさんとは違う設定をされていますので、実際のポートフォリオは多分、今までどおり保守的にされるのかなと期待しておるわけです。そうすると、運用利回りを一緒にするということについてはどうなのかなと、これが1点目でございます。
 もう一つは、GPIFさんのほうは、先ほど来、フォワードルッキングなリスク管理ということで、要は必要利回りを設定いたしまして、それを賄うだけの制約条件の中で、できるだけリスクを減らそうという考えですけれども、従来、国共済さんはどちらかというと負債サイドのほうからの発想で、実際問題としてどのぐらいリスクがとれるのかなというような発想で運営されていたと思うのですが、その点、今後は考え方を変えられるのかどうかというのが2点目でございます。
 3点目としましては、従来は保守的な運営をされていたので、もしその辺を変えられるのであれば、リスク管理の体制としてはかなりの充実が必要ではないかなと。少なくとも見切り発車みたいなことはされないと思うのですが、その点について何か言及いただければ安心できると思います。よろしくお願いいたします。

○相澤共済計理官 まず1つ目の御質問で、運用利回りということでございますが、今回の財政再計算においては厚生年金の経済前提を用いておりますということで、利回りについても厚生年金と同等な前提を置いております。これは一元化ということを念頭に置いた設定でございまして、御案内とは思いますが、一元化後、GPIFを含めた4実施団体につきましては、共通の目線としてモデルポートフォリオというものをつくりまして、そのモデルポートフォリオの中心線範囲の幅に入るように基本ポートフォリオを設定するという仕組みになってございます。
 妥当性ということで申し上げますと、厚生年金のほうで、今般、リスクの見方について、全額国債で運用した場合よりも下振れ確率が少ないというような見方に変わったかと思いますが、国家公務員共済組合連合会の今回の基本ポートフォリオの設定においても同様な検証を行いまして、リスクの水準を満たしているというような確認を行っております。そもそもその考えがおかしいかどうかということは、こちらから申し上げるべきことではないと思いますので、済みません、お答えはしかねます。
 2つ目で、GPIFのほうでフォワードルッキングな見方をしていますということですが、2つ目と3つ目の御質問の御趣旨は同様と考えてよいでしょうか。

○野上委員 2つ目は、従来はどちらかというとALM的な発想で運営されていたと思うのです。要は金利リスクを少なくするということだと思うのですが、フォワードルッキングなリスク管理とは多分発想が180度違うと思うのですが、そのあたりは今後、変えられるのかどうかということでございます。

○相澤共済計理官 国家公務員共済組合連合会の基本ポートフォリオのつくり方ですが、これは先ほど野上委員がおっしゃいましたとおり、ALMということを念頭に置いてつくっております。ここにつきましては、これまでと同様に、ALMを念頭に置いた部分、つまり負債に対応させた部分と、もう一つ、必要な利回りを稼ぐための部分と、2通りのポートフォリオをつくりまして、それを合成するというやり方をとっております。
 合成に当たって、モデルポートフォリオを念頭に置いて、何対何で合成するか、という考え方をとっております。この考え方につきましては、今後とも変わらないと思っております。でき上がった結果につきまして、モデルポートフォリオの範囲内に入っているかどうかという必要性はもちろんありますが、策定するに当たって、考え方としては、従来どおりのやり方をやっていくのではないかと思います。結果について、リスク検証をきちんとやっていく必要はありますが。
 それから、基本ポートフォリオについて、例えば国内債券は、中心値が35%といいながら、乖離許容幅が30%もありますねということなのですけれども、こちらにつきましては、御案内のとおり、保守的かどうかはともかく、ALMを念頭に置いていたことで国内債券の割合が非常に多かったということもありまして、そうした状態から急激に国内債券の割合を下げるというのは難しいということを踏まえたものとなっております。と申しますのは、国内債券のうち大半が預託金でございますので、これを期限前に解約すると損が出てしまいますので、すぐに解約するわけにはいかないということから、ある程度時間がかかるのではないかと思っています。
 そういったこともありまして、30%というやや広い幅を持っております。これはずっと30%を据え置いて、ずっと国内債券の割合を高いままで置いておくという考えではございません。今後の国内債券の割合を見ながら、この30%の幅については適宜見直していくものと考えております。
 最後に、リスク管理についての御質問だったかと思いますが、おっしゃるとおり、今後、今回の基本ポートフォリオの見直しの結果、資産の入れかわりが進んでいきますと、株式の割合が多くなります。要するにリスク性資産が増えていくことなりますので、リスク管理は非常に重要になっていくものと思います。たしか昨年、決算の御説明のときにも、多少国家公務員共済組合連合会の資金運用部長のほうから話もありましたけれども、一定のシナリオを置いたストレステストの実施ですとか、今年度に入ってからですけれども、リスク指標を把握し分析するためのシステムの導入ですとか、一応リスク管理を進めつつあるところでございます。
 ただ、これで十分かどうかという問題は常につきまとうのかなと思いますし、また、監督サイドにおいても、どういうリスク管理をやっていればよしとするかといった基準が何もない状態ですので、そういったあたりは今後の検討課題であると考えております。

○野上委員 どうもありがとうございます。
 一言だけ、上下幅のバッファーですけれども、ある意味では国共済さんのやり方のほうが算数的には納得感がありまして、ほかの3つの資産の全体のバッファーはそれぞれプラス・マイナス10%ですので、債券がプラス・マイナス30%でないと算数が合わないと理解していたのです。

○山崎部会長 ほかにいかがでしょうか。
 田中委員、お願いします。

○田中委員 国共済、地共済の関連する分野ということで、国共済の資料では28ページの推計方法に関する資料のところです。現在、国共済と地共済がデータを提供し、相互に連携して作業されているという図ですね。それから、そこに厚生労働省が入っている。ここに提供、検証ということが書いてあるのですが、具体的にはどういう作業で、何をいつどうされたかがよくわからないのです。あと、新厚生年金については全て厚生労働省さんのほうで作業されるのでしょうか。となると、今後、国共済、地共済の仕事は厚生労働省にデータを渡し、旧職域年金の財政見通しのみをやるという、あるいは別個の年金ができると思うのですが、そちらの作業だけをされるということになるのか。その場合、それはもうこちらの財政再計算作業とはまた別の作業ということで、これはいわゆる公的年金ではないという位置づけになって、国民の目からは見えなくなる形になるのか、その辺がどうなるのかということです。
 それから、今現在、国共済と地共済の財政見通しを作成されているわけですが、今後は旧職域部分の財政見通しについては共同作業みたいなことが続くのかどうかについてお教えいただきたいというのが1点です。まずそのお答えをお願いします。

○相澤共済計理官 今、3つ御質問があったかと思います。2つ目と3つ目についてお答えします。
 まず2つ目の質問ですが、今後の一元化以降の財政再計算の作業についてでございますが、先ほど説明の中でも触れさせていただきましたけれども、必ずしも3共済、データをただ提供するだけということではないと思っております。具体的にどうやっていくのかにつきましては、おそらく今後、制度を所管する厚生労働省主導で作業の進め方を考えていくのだと思いますが、そうした中で、推計作業が今後一切発生しないということは考えにくいと思います。というのは、いくら厚生年金に統合されましたといっても、やはり国家公務員共済特有の動きのようなものがありますので、そうした部分はやはり国家公務員共済でしかわからないということもあります。そうしたこともありますので、実際に作業をどう進めていくかという体制については、今後の検討ですけれども、何らかやはりかかわっていくのだと思っております。
 それから、新3階については全然見えなくなるのではないかということは、これにつきましては今後どういった形で開示していくのかということについて、今後の検討かなと思っております。
 旧職域部分につきましては、財政再計算のもとになる掛金が存在しませんので、定期的な5年ごとの再計算という仕組みがございません。しかしながら、積立金がどんどん減っていく制度でございますので、例えばいつになったら危なくなりそうかとか、そういう検証が必要かと思います。ですので、今回、一元化の一連の政令、省令、通達等の改正の中で、旧職域部分につきましては、厚生年金のほうで財政検証を行いますというタイミングのときに、ある程度将来見通しをつくるというような仕組みにしてございます。そのときには、特に規定はしていませんけれども、当然ながら国家公務員共済と地方公務員共済で共同して作業を行っていくのだろうと思っております。

○田中委員 地共済で何か補足されることはありますか。

○福嶋数理官 地共済のほうにつきましても、国共済と制度設計は同じにひいておりますので、御回答の範囲は、今、御説明があったこととほぼ同じでございますので、今後の対応につきましては、こちらの事務局の方とも連携をとりながら進めさせていただくようなことでいいのかなと考えております。

○田中委員 もう一点あるのですが、国共済の資料では61ページの広報の件です。いずれの共済組合さんも、大体リーフレットとか業務懇談会、あるいはホームページ掲載ということで対応されているのですが、正直言って、これを見てわかる一般組合員というのは余りいないのではないかと思うのです。
 具体的には、一番心配しているのは、一元化において、結局、得をしたという言い方は変ですが、むしろ逆に制度的に不利な状況がないのかということが組合員にとっては多分心配だと思うのです。そういった状況にうまく対応されているのかということです。いわゆるこういう広報活動、あるいは一般の質問に対する対応マニュアルのようなものがもしあれば、組合としてどのような対応体制をつくっておられるかを、国共済、地共済からお伺いしたい。

○工藤年金企画部長 国共済のほうにおきましては、まさに被用者年金一元化ということで、これから共済組合員が厚生年金の被保険者になるということで、この一元化法が成立した以降、組合員に対して広報を続けてきております。おっしゃるとおり、特に有利、不利という視点での興味もあろうかと思いますけれども、少なくとも今まで共済年金としてもらっていたものは引き続き支払われる。それから、今後、受給権が発生する方については厚生年金が支給される。ただ、旧3階部分は廃止されますけれども、そこはこれまでの加入期間に応じたものは支給されますという形でも広報させていただいております。
 それから、これからの加入期間部分についての3階部分、これは新3階として新たに給付が行われる。ただ、もちろんそこの部分につきましては、新たな負担が生じるということで、その点につきましては、負担が増えるということがございましたので、そこについては私どもも非常に早い段階から組合員に対して周知しなければいけないという観点で、法律上、上限1.5%の保険料率と定めておりますので、その範囲内で御負担いただくことになりますという観点でのPRもさせていただいております。
 組合員等からの御質問につきましては、従来から私どもの中に年金相談コーナーを設けておりますので、そこで対応している。それから、各省庁に共済組合がございます。そちらの担当者の方々に対しても、こういう内容だということを御説明させていただくとともに、私どものホームページの中でも、例えば一元化はどういうものかとか、新3階とはどういうものかという内容のQ&A形式というものも載せた上で、広報誌をお配りしたりする形で周知に努めてきている状況でございます。

○田中委員 ありがとうございました。
 地共済も同じことですが、よろしくお願いします。

○荒井上席審議役 地共済においては、今回の大きな改正というのは旧制度の廃止と新制度の創設というところで、その辺につきまして、あわせながら、組合員に対して広報を、私どもは直接やるのはリーフレットとか、53ページに掲げたものだけなのですけれども、個々の組合で自分たちの広報誌を使って、そのような周知を図っているというところでございます。また、損得のところの意見につきましては、そのようなところなので、直接私どもが受けたというのはありませんが、各組合のほうでどうなっているかというところまでは把握しておりません。

○山崎部会長 では、宮武部会長代理。

○宮武部会長代理 国共済、地共済とも共通で、被保険者数の見込みが出ております。国共済資料ですと31ページでございました。これは、国共、地共合わせた被保険者数の推移なので、後で結構なのですが、国共済でいくら、地共済でいくらという内訳を参考にいただけませんでしょうか。
 それから、3号被保険者数は厚年の状況に合わせたということですが、基本的には3号被保険者は減っていくという形で見込んでおられるのでしょうか。その1つは質問なのですけれども。

○相澤共済計理官 まず、個別のデータにつきましては、別途対応させていただきます。
 被保険者数については国共済のほうで見込んでいるのですが、3号被保険者につきましては、厚労省のほうで全体として推計していただいていますので、減っていくような見通しになっているのかということにつきましては、減っているような見通しを作成していただきましたということでございます。

○宮武部会長代理 それから、国共済資料で前の29ページのときの御説明で、財政単位は一元化したわけですから、その中での積立金のやりとりなどは、財政再計算には影響を与えない。それはおっしゃるとおりでございますけれども、現実には国共済の積立金というのは大体いつごろ枯渇して、地共済から支援を受けることになっておりますか。

○相澤共済計理官 国家公務員共済の旧職域部分の積立金が、具体的にいつごろなくなるかということにつきましては、言い換えると、一元化の時点で積立金がいくらぐらい残っているのかという話になろうかと思います。先ほども積立金の仕分けをするタイミング、これは被用者年金一元化のタイミングですと申し上げましたが、一元化のタイミングと申しましても、特に決算を行うわけでもございませんが、決算を行う場合でも一、二カ月時間がかかりますので、積立金仕分け後の積立金につきましては、現在、集計中でございます。つまり、会計上の処理がある程度落ちつかないと、大体どのぐらいの規模がということがわかりませんので、現時点では集計中でありますと申し上げておきます。後日、数字がわかりましたところで別途御報告いたします。
 今後、こういった場で報告を仮にしないとしても、積立金につきましては、年度が終わりますと業務概況書というものを出すようになっておりまして、その中で積立金いくらということが報告されます。旧3階につきましては、初期値がいくらということは書かれませんが、年度末いくらということが書かれます。そうしたことから大体、規模感がそこで少なくとも把握できるのではないかと考えます。
 それから、これは決定事項ではありませんけれども、運用状況の四半期の速報を出そうかどうかという検討をしておりますが、四半期の速報を仮に出すとしますと、一元化後の最初の四半期は10月から12月、これが年度明け、例えばGPIFと同様ですと2月末ごろかと思いますが、四半期の速報を出すとすればそのぐらいになるのかなと思っております。当初額そのものはもうちょっと早くにわかると思いますが、わかりましたところで、別途資料提出なり御報告なりという形を取らせていただければと思っております。

○山崎部会長 翁委員。

○翁委員 御説明ありがとうございました。
 私も御質問したかったりしたことは、浅野委員から、例えば両制度の手法のところが異なっていることについてお伺いしたかったのですが、それはぜひ前向きに、これから一元化するに当たって手法をどのように調整していくかということを御検討いただきたいと思っておりますし、また、トレンドの把握とかフォワードルッキングな考え方で基礎率その他を考えていくということについても、浅野委員がおっしゃったとおりだと考えております。
 また、野上委員から運用の点についても御指摘がありましたが、私も同じような問題意識を持っております。
 1つ、ちょっとだけコメントしたいと思ったのは、佐々木委員先ほど、標準報酬の決まり方について、人事院のほうで設定されると、多分こういう問題意識だったのではないかと思うのですが、国家公務員とか地方公務員というのは、その時々の財政状況とかで減額要請があったりして、標準報酬というのは民間の見通しと短期的に見ると異なるときがあります。そういったことが将来、今、日本の財政再建をしていくということを考えていくと、公務員の人件費をどのように見通していけばいいのかということは、長期的に見れば民間と同じような流れなのかもしれないですけれども、そこはやはり公務員独自の見通しも注意して見ておくべき点があるのではないかということだと思うのです。
 ですから、今回、一元化していくのでこういった見通しについては同じAからGまでの考え方でやって、いろいろ考えていくのだと思うのですが、担当者の所見として、例えば公務員ということに関して、標準報酬の見通しについて民間と比べてどういうことを注意して考えていけばいいのかというようなことについてお書きいただくと、非常に私たちとしては参考になるかなと思います。
 以上でございます。

○山崎部会長 政策的にかなり影響を受けることがあり得るということですね。ですから、最近であれば東日本大震災で公務員の給与が引き下げられたということもありましたし、高齢者の雇用で人事院がもっと積極的な雇用を進めるようにという勧告を今年行っておりますから、その辺も影響があるかもわかりませんね。
 そのほかございますでしょうか。
 牛丸委員、よろしいですか。

○牛丸委員 他の委員の方々からの質問に対するお答えの中に、私の聞きたいものが入っておりましたので、私からの質問は結構です。

○山崎部会長 ありがとうございました。
 それでは、あまり残り時間がありませんので、次に行きたいと思います。
 先月の部会で委員から要求のあった資料につきまして、厚生労働省で資料を作成していただいたようですので、その説明をお願いいたします。どうぞ。

○武藤数理課長 数理課長でございます。
 9月のヒアリングの際には、委員の皆様に大変お世話になりまして、ありがとうございました。3時間にわたり御議論いただきまして、十分御議論いただいたからこそ宿題をいっぱいいただいたということなのですけれども、そのときにも最後にお話しさせていただいたのですが、宿題のうち、比較的早期に対応できるものと、検討や相談が必要なのですぐにはできなさそうなものとに分けられそうに思いますというお話をさせていただきましたがけれども、とりあえず前者のほうについて、今日、御説明させていただきたいと思います。主に前回提出した資料の修正という部分になってございます。
 まず1枚おめくりいただきまして、1ページ「財政検証・財政再計算の実施体制に関する資料」でございます。これは9月のヒアリングのときを思い出してみますと、そのときのヒアリング資料に書いてある実施体制というのが、役職名と入省年次だけだったのですけれども、専門性を有していることがわかるような工夫ができないか、そういう記載にしてほしいという御依頼が浅野委員ほか2名の委員の方からありました。
 役職名は同じなのですけれども、ちょっと工夫してみて、入省後年数、これが前回お出しした入省年次に当たるもので、入省後年数とちょっと見やすい形にしてみましたが、そのうち再掲の欄を設けてみました。経験年数ということで、数理課固有の経験年数となりますと一番右の欄ということになります。ですが、9月のヒアリングの際にもお話ししましたように、関係の業務はあるのではないかということで、ここでその途中に年金関係の経験年数という欄を設けてみました。注に書いてございますけれども、厚生労働省の年金局内の数理課以外の部署でございますとか、あるいは財務省主計局給与共済課の経験、あるいはその他関係団体の経験を含めて書いてございます。
 入省後年数と年金関係年数の差が、その他、厚生労働省内を中心とした社会保障の数理業務等に関係して経験している年数ということでございまして、例えば医療とか介護の数理業務でございますとか、労災年金制度ということで年金数理に当たるようなものを経験する場合もございますけれども、それはここで言う年金関係年数には入っておらずに、入省後年数のほうには入っているという整理になってございます。
 続きまして、2ページ目でございますが、前回お出しした資料の一番上の行に総脱退力というのがございますが、駒村委員からの御質問で、支給開始年齢引き上げに応じた60歳以上の脱退率を下げていくという御説明をさせていただいたのですけれども、その記述がないではないかという御指摘がございましたので、ここで言う一番上の総脱退力の左から2つ目の列の「オ.年度等により用いる率を変えている場合、その方法」ということで御説明させていただいた記述を、書かせていただいております。
 あと1点、9月のヒアリングの際の自分の回答について補足、修正をさせていただきたい点があるのですけれども、今日も国共、地共のヒアリングのときに被保険者の死力の話が出ておりましたが、ここで言う上から3行目の死亡脱退力のところでオ.の欄を空欄にしておりますが、9月のヒアリングのときに翁委員より、被保険者の死亡脱退力は変えているのかという御質問がございまして、自分から、ちょっと勘違いがあったのですけれども、受給者の年金失権率は変えておりますという御回答をさせていただいて、ややかみ合わない質疑をさせていただいて、失礼いたしました。
 御説明したとおり、年金受給者の死亡率改善は影響が大きいので、改善はさせているのですけれども、被保険者のほうの死亡脱退力についてはそれとは影響が違うものだろうということで、変化をさせていないということでございます。事前に、ヒアリングの2日目のときに翁委員に御説明させていただいたとおりでございます。
 続きまして、3ページですが、20%ルールについて、これは裁定後の年金が物価スライドとなっているのだけれども、賃金改定していったものと20%の乖離が出たときには賃金改定に戻るという部分の推計についてでございますが、それも特記していないではないかということでございましたので、ここに書いてあるように記載させていただいております。下線部のとおりですけれども、国会審議における大臣答弁等を踏まえて、既裁定者の年金について、新規裁定者の年金水準との乖離幅が2割となった場合には、新規裁定者の年金と同じ賃金上昇率で改定するように推計しているということで、そのとき部会長等より御質問いただいたところの回答でございます。
 最後に、基礎年金の給付水準について、モデル世帯の所得代替率だけではわかりにくいではないかという御指摘がございましたので、これは既存の説明資料でこういうものを使っているということで、本日、入れさせていただいております。
 資料自体は「マクロ経済スライドによる給付水準調整見通しの変化」という資料になってございますが、4ページに線が3本出てございますけれども、これは過去3回の財政検証・財政再計算に当たって出発時点での所得代替率から、最終的な所得代替率の水準がどう変化するかというものを見た資料でございます。4ページをざっと見ますと、2004年の財政再計算のときは足下の所得代替率が59.3%だったものが、最終的に2023年に50.2%、今回の2014年の財政検証でいきますと、足下の水準が62.7%に上がって、最終的には50.6から51.0%になり、スライド調整期間の終了もケースによって異なるわけですけれども、2043年から2044年まで続くという見通しとなっております。
 これを報酬比例部分と基礎年金に分解したものが最後の5ページ目ということですけれども、この足下の水準の上昇等がいずれも基礎年金で生じている問題ということを御説明した資料でございます。つまり、ここでは線が6本出ていますけれども、下3本が厚生年金の2階報酬比例部分で、上3本が夫婦2人分の基礎年金の分ということです。報酬比例部分につきましては、その年金額の計算の構造が賃金掛ける給付乗率という構造になっておりますからこそ、賃金が下がれば、賃金が下がった分、給付水準は将来に向かって下がっていくところですけれども、基礎年金については定額でございますので、物価が下がって、下がったところまでは年金額は下げるのだけれども、物価が下がった以上に賃金が下がったときに、賃金が下がる水準までは年金額を下げないというルールが現行制度のルールでございますので、定額の基礎年金はその効果が将来にわたって続くということになりまして、足下の所得代替率の内訳は、基礎年金相当の部分が上がっているということでございまして、それを受けて給付水準調整期間が長期化しているということを御説明した資料でございます。
 私からは以上でございます。

○山崎部会長 ありがとうございました。
 それでは、ヒアリングは全て終了いたしました。
 今後の取り扱いですが、これまでヒアリングをした平成26年財政検証・財政再計算結果等について検討し、年金数理部会として公的年金制度全体の財政状況についてレビューを行い、その結果をまとめた報告書を作成していきたいと思います。
 最後に、今後の日程等につきまして、事務局からお願いいたします。

○下島首席年金数理官 次回の第67回年金数理部会は、11月30日月曜日午後2時から、全国都市会館大ホールにおいて、「被用者年金制度の一元化と年金財政について」をテーマにセミナー形式で開催する予定でございます。よろしくお願いいたします。

○山崎部会長 それでは、本日はこれまでにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。