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2014年12月25日 第14回社会保障審議会企業年金部会議事録
年金局企企業年金国民年金基金課
○日時
平成26年12月25日(木)13:00~15:01
○場所
航空会館7階大ホール
○出席者
山崎部会長、森戸部会長代理、井戸委員、臼杵委員、小林委員、白波瀬委員、鈴木委員、高崎委員、平川委員、山本委員、村瀬オブザーバー |
○議題
(1)企業年金のガバナンスについて
(2)現行制度の改善について
○議事
○山崎部会長
それでは、定刻になりましたので、ただいまより第14回「社会保障審議会企業年金部会」を開催いたします。お忙しいところをお集まりいただき、どうもありがとうございます。
本日、半沢委員からは御欠席の連絡をいただいております。
それから、白波瀬委員が少々おくれておられますが、既に御出席いただいている委員が3分の1を超えておりますので会議は成立しておりますことを御報告申し上げます。
それでは、議事に入らせていただきます。カメラの方は、ここで退室をお願いします。
(カメラ退室)
○山崎部会長
まずは、事務局から資料の確認をお願いします。
○内山課長
それでは、資料の確認をさせていただきます。
本日の資料ですが、資料1は「前回部会で各委員からいただいた御意見」というものがございます。
資料2は、前回と同じ資料でございますが、「企業年金のガバナンスについて」です。
資料3が新しい資料でございますが、「現行制度の改善について」です。
それから、参考資料が2つございまして、1つは参考資料1で名簿でございます。
また、参考資料2で今後の進め方ということでございます。
不足等がある場合には、事務局にお申しつけいただければと思います。
○山崎部会長
ありがとうございます。
本日は「企業年金のガバナンスについて」「現行制度の改善について」を主な議題といたします。
それでは、早速「企業年金のガバナンスについて」に入りたいと思います。
議論に入る前に、まず前回の部会において委員の皆様よりいただいた意見につきまして事務局より紹介をしていただきます。これを踏まえて、前回に続き、本議題につきまして委員の皆様より御意見を頂戴したいと思います。
それでは、事務局より説明をお願いします。
○内山課長
それでは、資料1をお開けください。前回、ガバナンス関係で皆様からいただいた御意見を事務局のほうでまとめさせていただいてございます。大きく3点に分けてまとめさせていただいてございます。
大きな1点目は「組織及び行為準則等に関する御意見」ということで、1つ目は「複数事業主で取り組んでいる場合は、加入者への制度内容の周知などが不十分なことがある」。
2つ目は、「基金型であれ規約型であれ単独企業であれば自社の労働条件を運営する仕組みとして相互牽制が働くためおかしなことは起こりにくいが、複数事業主の場合はチェックが働きにくいことを踏まえ、単独事業主の場合と複数事業主の場合で対応を分けてはどうか」という御意見。
それから、「規約型と基金型のイコールフッティングも意識すべきではないか」といった御意見。
また、「規約型DBにも企業型DCにも労使協議の場の設置を担保する必要があるのではないか」といった御意見をいただきました。
専門性に関してですけれども、「運用を外部委託する場合、理事には運用の専門知識が必須というよりは、委託先による運用状況を適切に確認できる資質が重要ではないか」といった御意見。
また、「代議員以外の者が理事になるのは問題があるのではないか」といった御意見。
それから、「理事に求められる専門性を整理すべき」といった御意見をいただきました。
大きな2つ目でございますけれども、「資産運用ルールに関する御意見」でございます。
1つ目は、「運用基本方針は小規模なものであろうと作成すべき」といった御意見。
一方で、「分散投資しにくい小規模なところまで規制する必要はないのではないか」といった御意見をいただきました。
大きな3つ目でございますけれども、「加入者への情報開示に関する御意見」としましては、「内容を充実させるとともに、より分かりやすい情報開示を行うべきではないか」といった御意見、それから「事務局提案の形で運用利回りを開示することには賛成」といった御意見をいただきました。
前回の御意見をまとめさせていただいた資料は、以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございます。
早速、これらの意見を踏まえて委員の皆様から御意見等をお願いしたいと思いますが、前回、時間の関係でまだ御発言が済んでいない方から先にお願いしたいと思います。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員
まず、前回出ている御意見の中で、複数事業主の場合と単独事業主の場合というのはいわゆる事情が違うので分けて検討したほうがいいんじゃないかという御意見に対しては、私は全くそのとおりだと思いますので、その御意見には賛成でございます。
一方でといいますか、前回ちょっと出ていなかった観点でひとつお願いをしたいのですけれども、それは年金財政に関するガバナンスということです。今回ずっと議論をしてきている中で、ポータビリティーを拡充拡大しようとか、これは皆さん賛成だったように思います。あるいは、DBについてもDCと同じように60歳の支給を原則とすればどうか。これは反対の意見が多かったわけですけれども、そういう検討をしてまいりました。
いずれの場合でも、DBの財政の健全性というのが確保されていないと、例えばポータビリティーを持っていった先の財政が非常に不健全であるとその加入者の権利が侵害される懼れが高まりますから、こういうことを実現しようと思うと今まで以上に年金財政の健全性の確保というものが重要になってくると考えます。
一方で、制度の運営そのものはできる限り労使合意に委ねるという方向性が出ていると感じております。
さらには、少しまたこれも観点が違いますが、DBの掛け金も恣意的にならない範囲で弾力的に認めようというお話もございました。つまり、財政の健全性がより重要になると同時に、財政運営に関しては、より自由度が増すといいますか、そういう方向性になっているのではないかと考えます。そういうことを前提にいたしますと、年金財政の健全性を確保するためのガバナンスというのが、より重要になってくると考えています。
お示しいただいている資料の中に、OECDのガイドラインというものがあります。29ページの7番目に「すべての確定給付型年金には、年金数理人が選任されるべき」と、これがどこまでどういうことを言われているのか、詳細を私は存じませんけれども、今後そのDBの運営については基本的に継続的に議論をしていくということになっていますので、その議論の中で年金数理人の今まで以上の関与とか、活用とか、そういうこともぜひ検討の視点に入れていただければと思います。
それだけです。だから、年金財政に関するガバナンスという観点でひとつそういうことをお願いしたいということでございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
では、村瀬オブザーバー。
○村瀬オブザーバー
前回発言がございませんでしたので、よろしくお願い申し上げます。
企業年金連合会では、企業年金の理事長並びに常務理事を対象としたセミナーを年4回開催しております。そのときの大きなテーマの一つが企業年金のガバナンスでございまして、そのときの視点を申し上げたいと思います。
1つは基金型と規約型との違い、これを前提に置いております。また、基金型でも単独型と総合型との違い、これも視点に入れた上で研修を行っております。具体的にどこが違うかという部分ですけれども、基金型の場合についていえば給付設計、積立方針は企業側にございます。一方、資産運用、年金給付は基金側にあるということで、業務プロセスは非常に明確化しやすい反面、母体企業の監視がなかなか届きにくい仕組みになっているという部分がゼロではないのだろうと思っております。
一方、規約型の場合は全ての責任が企業側にございます。したがいまして、企業の監視や、ある意味非常にやりやすい面がある反面、経営者に対する牽制機能はどうかという点に問題があるのだろうと思います。
一方、基金型でも総合型と単独型との違いがございまして、特に総合型の場合は企業が単一でなく業界団体等、複数になる場合もございます。したがいまして、その責任関係がなかなか明確化できないという部分も生まれております。
以上のような視点に基づき研修を行っておりまして、そういう点では前回御指摘があった部分も踏まえながら単独型と総合型との違いを加味し、かつまた基金型と規約型につきましてはやはり相違点を明確にしながらガバナンスをしっかりさせていく必要があるのではないかと考えております。
○山崎部会長
ありがとうございました。
事務局のほうから、ただいまのお2人の御意見につきましてお願いします。
○内山課長
ありがとうございました。確かに、年金財政、特にDBの健全化というのはもちろん大前提にあることだと思っております。今でも数理人の方は年金数理にかかわっていただいていますけれども、どういうふうにかかわっていくべきかというのは今後とも議論していくべき課題ではないかと思ってございます。
また、企業年金の皆様の集まりであります企業年金連合会でセミナーをしていただいているということですので、今後ともよりしっかりした健全な運営に資するような内容のセミナーを展開していただければと思ってございます。
○山崎部会長
平川委員、どうぞ。
○平川委員
私も「前回部会で各委員からいただいた御意見」で、臼杵委員、森戸部会長代理の御発言になっているガバナンスの問題について、これが一つの考え方だと思っているところであります。それゆえ、総合型や連合型の場合、代議員会が設置されていたとしても選定側、互選側ともに全ての事業所から代議員が参画しているわけではないという現状もあるかと思います。
したがいまして、重要事項の決定に当たりましては、代議員会で基本的に重要事項は決めるわけですけれども、極めて重要な事項に関しては事業所単位での労使協議を徹底し、そこでの合意というのも重要ではないかと考えているところであります。以上です。
○山崎部会長
山本委員。
○山本委員
基本的に、年金は将来の生活を維持していくための事前準備というふうに考えると、やはり企業年金に加入する企業が増え、その受益を受ける方がこれから増える方向で検討していくべきだろうと思います。日ごろより大企業と中小企業の立場の違いということも話をしておりますが、なるべく中小、零細であっても、これからの社会に対応して、年金制度を構築していけるような道筋が開けていく必要性があろうかと思います。
そのために、いろいろな管理、ガバナンスも非常に重要なことではありますけれども、同時にそれらを運営するコストを考慮し、簡素な運営ができる仕組みも整えていく必要があります。
本来、企業は事業を推進することが最も重要な目的です。そこに従業する方々の福利厚生も重要ではありますが、事業が推進されない限り、これも実現できないと考えますと、余り過大な時間やコストをこれらの管理にかけていくような仕組みでは、事業活動を阻害しかねないということも腐心すべきではないかと思います。特に公認会計士の監査を義務化するといった問題がございましたけれども、いいかげんな運営がなされないようにするチェック機能は重要だと思いますが、一企業で全部負担するのではなく、例えば公的な機関も活用して、複数の事業者たちが少人数の公認会計士を共有化できるような仕組みなど、経費的な過負担が発生しない方法を考えるなど、ガバナンスにかかわるコスト低減についても、十分御配慮が必要ではないかと思っております。以上です。
○山崎部会長
小林委員、どうぞ。
○小林委員
今の議論にもありましたように、各制度の運営形態、具体的には単独事業主制度か、複数事業主制度かによって対応を分けて考えるべきという点については賛成です。資産運用委員会の設置や、今もお話がありました監査の在り方は、それぞれの運営の形態を踏まえて、要否も含めて判断すべきだと思います。例えば同じ複数事業主であっても加入会社間の関係性はプランごとに違っているわけであり、それを無視して一律に適用する必要はないのではないかと思います。
加えて、事業主の立場で申し上げれば、例えば年金の運営で資産運用損が発生すれば、追加で掛け金の負担が発生しますし、企業会計上も積立不足の即時認識等を求められている中で、年金法以外の枠組みでもコーポレートガバナンスの観点で企業が合理的な行動をとる必然性がありますので、過度なリスクテイクはおのずと抑制されると思います。
例えば、以前の部会で御提示のあったDB年金の財政状況の推移等の中で、予定利率3.5%以上で運営しているプランが数年前と比較して半減している事実を見ても、企業の合理的な行動により、ある程度ガバナンスが効いていることが見て取れるのではないかと思います。
ただ、その一方で、先ほど来御議論が出ているように、資本関係のない会社で構成される総合型の制度については、企業間の連携が難しい面がありますし、会計上も債務認識を求められていない点も踏まえると、ガバナンス強化の必要性は相対的に高いのではないかと思います。
ただし、過度なガバナンスの負担を課すことについては、企業年金への取り組み意欲をそぐおそれもありますので、一律の義務づけや規制の強化ではなく、制度の普及に資するかどうかという観点も合わせて考える必要があると思います。
あと1点、情報の開示についてですが、法令で定められている情報、あるいは報告義務がある事項をそのまま加入者に提示しても理解するのは難しいかと思います。おそらく、それぞれのプランごとにいろいろ工夫をして情報を開示しているものと思います。例えばその中の好事例を御紹介いただいたり、あるいはテンプレートみたいなものを御提示いただくといった工夫も必要なのではないかと考えます。
○山崎部会長
事務局のほうからお願いします。
○内山課長
さまざまな御意見をありがとうございました。
まず、総合型と連合型のような形のもので、事業所単位で労使協議を徹底すべきという御意見をいただきました。これは前回御説明いたしましたとおり、代議員は加入者と互選になってございまして加入者の意思が反映する仕組みというふうになってございます。
ただ、当然のことながら加入者全員の同意を求めているわけでもございません。複数事業者からなります総合型等の基金におきましても互選のシステムはございますので、この中で主要な事業所の代表が入るなど、加入者の意思が反映する仕組みになっているのではないかと思ってございます。
先ほど御提案がありました、全ての事業所で事業所単位の合意を必須とするかどうかというのは今、全員の同意を求めているわけではないことも踏まえまして、少し今後検討していくことが必要ではないかと思いました。
あとは、中小企業にとって当然コストですとか、そういったことも重要だという御指摘がございまして、そのとおりだと思ってございます。前回御説明しましたように、現在では資産規模が小さいところは規約型を選ぶ傾向が大きく、やはり理事などのある程度、専任の人がいるポストがある基金などは大きな資産規模のところが多いのも現状でございます。
一方で、複数の企業から成り立っている企業でも、それぞれの事情を踏まえながら一律に規制するのはどうかという御意見もございましたので、そうしたことを事業主のコストの面も踏まえて今後どのようにしていくかというのは、これからまだまだ詰めて議論すべき課題があるかと思いました。
それから、情報開示につきまして、今それぞれの企業なり事業主なりで工夫されているということだと思いますので、これは投資教育のところでもありましたけれども、やはり私どもとしても好事例といいますか、グッドプラクティスを極力蓄積して皆様で共有できるようにしていくような工夫はこれからしていくべきではないかと思います。以上でございます。
○山崎部会長
そのほか、ございますでしょうか。
では、臼杵委員どうぞ。
○臼杵委員
大体、議論も出尽くしたので簡単に申し上げます。
1つは、会計監査などはやらないよりやったほうがいいのかもしれませんけれども、やはりコストのかかる問題でもありますし、基本は常務理事と数理人が責任を持って見ていくということかと思います。
それから、前回ちょっと議論のあった、専門家を例えば理事とかに入れられないかどうかという問題ですけれども、確かに労使合意で互選の代議員役員という形をとっているというのは一つの形ではあるのですが、特に今の総合型などを見ると、そういう専門的な人の知恵を借りるのも悪いことではないような気がするので、労使の協議で運営するという形を崩さない範囲で、例えばそれぞれ労使が外の専門家を理事に推薦できるという形をとるのかどうかわかりませんが、そういう形で何か必要があれば入れられるようにしてもいいのではないかと思いました。以上です。
○山崎部会長
ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。
事務局のほうから、どうぞ。
○内山課長
このガバナンスについては、前回に引き続きましてさまざまな御意見を頂戴してありがとうございました。まだまだ整理すべき課題などもあるかと思いますので、そうしたものを踏まえて少しまた事務局のほうで整理をさせていただければと思います。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、次の議題に移ります。「現行制度の改善について」に入ります。事務局より説明をお願いします。
○内山課長
それでは、資料3の「現行制度の改善について」という資料を1枚おめくりいただきたいと思います。
2ページに、この資料の全体像を整理してございます。この部会におきまして6月以来、DB、DCを中心に中小企業向けへの取り組み、企業年金の普及、それからライフコースの多様化、そういったテーマについて議論をしていただいてきてございます。
こうした制度のあり方に関する議論に加えまして、これまで現場のさまざまな皆様から出てきた手続などの制度の改善の御要望、あるいは規制改革の実施改革で指摘されているような事項、こうしたものについても加入者、あるいは企業年金の運営をされている方の利便性を向上するという意味、それからそれが企業年金の普及拡大につながるという意味では課題だと思ってございます。
そういう意味で、こうした規制改革実施計画等によって指摘されている、いわば制度のメンテナンス事項と言われるものの主なものを少し整理させていただきまして、そのうち特に議論が必要と考えられる事項について別途資料を用意してございます。
1ページを見ていただきますと、資料は大きく3つのブロックに分かれてございまして、後で御説明しますが、3のところで改善事項を一覧表にしてございます。特に重要と思われるものは1の「DC関係」、それから2の「DB関係」ということでまとめさせていただいてございます。
それでは、まず1の「DC関係」、3ページ、4ページをお開きいただきたいと思います。
4ページに書いてございますけれども、これまでの企業年金部会におきましてもDCにつきましては手続、それから手数料といった負担に関する課題に関します意見を頂戴してきているところでございます。
5ページをお開きください。DCの手続でございますけれども、DCを開始する場合ですが、事業主、個人にとって新規導入するとき、あるいは新規加入するとき、それから規約の変更の場合、資産移管の場合、資産のスイッチングの場合、それぞれ相当の手続を要することになってございます。
5ページの下の四角で書いていますけれども、そういう意味では業務委託費用、それから口座維持にかかる費用がかかるといったような御指摘、それからDCの改善点として「手続の簡素化」というところが挙げられているといったような調査がございます。
6ページ、7ページはこれまでもお出ししています事務フロー図ですので、8ページをおめくりいただきますと、企業がDCを導入しようとする場合には制度導入をしようと決めたときから始めるまで、手続としてはおおむね1年程度を要しているのが現状ということでございます。
1枚おめくりいただきまして、9ページは以前の第8回のこの部会にも提出した資料でございますけれども、DCを導入する場合には制度の規約、あるいは運営管理機関との契約、労使合意に関する資料などを掲げさせていただいているような資料を相当数用意をしていただいて承認を受ける必要がございます。
10ページは、今度は個人型DCの加入手続でございますが、現状では加入時には左側の「1」~「4」ですが加入の申出書や掛金配分の指定書、そういったものの資料の提出が必要となります。
右側のアンケートを見ていただきたいのですけれども、DCに期待することとしまして、やはり「手続きの簡素化」という声が相当数寄せられているところでございます。
11ページはDC間、企業から個人、あるいは個人から企業に資産移管をする場合の流れ図ですけれども、おおむね資産移管をする場合には2か月ほどかかっているというのが現状でございます。
12ページは、DCにおきまして運用資産を商品変更、スイッチングする場合でございますけれども、加入者と商品提供機関、それから記録関連の運営管理機関や資産管理機関、そうしたものを手続上経なければいけないということでございますので、スイッチングを指図、指示してから1週間弱かかっているというのが現状でございます。
13ページからは、今度は手数料についてでございます。13ページの左側が「企業型DCにおいて発生する手数料」、右側が「個人型DCにおいて発生する手数料」ということでございます。それで、事業主、加入者はこうした手数料を支払う必要があるということでございまして、年1回のもの、それから新規加入時に払うもの、そうしたものがございます。
14ページはこれとは別に、運用商品に関します信託報酬等を掲げてございまして、個人型DCの場合ではこうした手数料、それから信託報酬を含めますと年金おおむね1万円程度の費用がかかっているというのが現状でございます。
15ページ、16ページは自動移換者についての課題でございます。企業型DCに入られている方が転職等によりまして企業型DCの資格を喪失した場合、6カ月以内に個人型DCへの移換申し出をされればよろしいのですけれども、そうでない場合には強制的にこの個人型DCの自動移換者となります。自動移換者となった場合には、この運用商品が現金化されまして当座預金として管理をされます。
ただ、16ページにありますように、手数料が毎月徴収されることになりますために積立額が運用されませんので目減りがしていくということになってございます。16ページは年額612円、月額51円の管理手数料を初め、自動移換者に関するこうした手数料が必要であるというものでございます。
17ページからはそうした手数料の開示でございますけれども、DC法におきまして加入者に対する開示が求められてございます。事業者については規約にその事務費負担のそうした事項を記載すること、それからその規約への記載事項、規約に記載した事項の周知といったことが求められてございます。運用の運営管理機関につきましては、運用の方法を選択・変更した場合の手数料等につきまして情報提供することが求められてございますし、記録関係の運営管理機関につきましては年1回以上通知することになってございます個人別管理資産額通知におきまして事務費その他費用負担、そうした費用の通知が求められてございます。
なお、こうした情報は加入者について決められてございまして、契約前の開示については特段の規定は現在では存在してございません。
18ページは諸外国における手数料ということですが、諸外国のDC制度におきましても手数料は一つの課題であるというふうに認識をされてございまして、手数料を抑えるための対策が講じられているところでございます。イギリスのNESTなどでは、まずその手数料水準をそもそも規制されているということでございますし、スウェーデンのプレミアム年金や、チリでは例えば資産の一定割合として課す手数料のみ可能ということが決まってございます。
また、そのほかの国でも、開示についてはかなり積極的に取り組まれているという状況かと存じます。
19ページ、20ページは運営管理機関に関してでございます。運営管理機関は、事業主の委託を受けまして記録の保存といった記録関連業務、それから運用方法の選定・提示や運用指図の取りまとめといった運用関連業務を代行する機関でございまして、事業主が選定を行います。そして、変更することも可能ということでございます。
現在、その運営管理機関は200社ほどとなってございますが、19ページの右下のアンケートを見ていただきますと、その評価は非常に高い評価をされている場合もありますが、「コストパフォーマンス」、あるいは「取引継続意向」、今後ともその運営機関と取引をしていくかという意向については否定的な評価も見られるところでございます。
20ページは、事業主が運営管理機関を選定する場合に私どもの通知では手数料、あるいは投資教育等のサービス内容の水準を比較して適正な評価を行った上で選定するように求めてございます。
ただ、加入者の利益とは少し離れて、長年の取引関係上の理由から運営管理機関を選定するといった課題も指摘されてございます。
「なお」という※印で書かれていますのは、仮に運営機関を変更されるというのが現状では年40件程度行われているのですけれども、運営管理機能を変更する場合には今1~2カ月運用指図を行えなくなる期間、いわゆるブラックアウト期間が発生しているのが現状でございますので、こうした期間を短くする努力もまた求められることになるかと思います。
21ページは今、御紹介いたしました年金局長の通知でございまして、運営機関を選ぶときにはきちんと比較考量して評価をした上で選んでいただくようなことが記載されてございます。
22ページはアメリカの401Kの状況でございますけれども、アメリカでは運営管理機関を適切に選定することが事業者の受託者責任の一部として明らかにされてございまして、おおむね3年~5年に1度は手数料体系等が適切に設定されているかモニタリングをして、必要に応じて運営管理機関を変更していると言われてございます。
そういう意味では、運営管理機関の変更が一定程度アメリカでは行われておりまして、その変更にかかる事務処理期間についても運営管理機関の努力などによりまして短縮化が図られているということでございます。
これは下の枠囲みで臼杵先生の論文から引かせていただいていますけれども、そうした手数料の管理について事業主が責任を果たしていないといった訴訟が既に起こったということもございまして、このような取り組みが行われるということでございます。
23ページからは、DBについてでございます。DB、これは特に複数事業主が集まって行われているDBからの御要望ということで寄せられているんですけれども、事業主が掛け金を滞納した場合は国税や厚年基金は公的な資金ということでございまして滞納処分が認められていますが、DBは滞納処分がございません。そのため、掛金が未納されたことによって欠損が生じた場合には原資が確保できないということになります。
25ページを開けていただきますと、こうした未納が生じまして掛金に穴が空いた場合には、基金全体の掛金を再計算して全ての事業所がその欠損、穴を埋めるというのが現在の原則になってございます。
一方で、未納期間がある事業主に対して、未納の事業主の加入者は給付減額を認めてほしいという御要望が寄せられているところでございます。
26ページは別の制度でございますけれども、中退共の扱いでございますが、中退共では未納が12カ月以上継続してあって正当な理由がないという場合には、契約が解除をされて解約手当金を支給するというような取り扱いになってございます。
27ページは、先ほど申し上げた厚年基金の場合には代行部分がございました関係もございまして、国税滞納処分の例によって処分ができるということになっているわけでございます。
28ページからは大きな3つ目のブロックでございますが、29ページから4ページにわたりまして各個別の御要望、あるいは規制改革で指摘されている事項を整理してございます。全ては御説明いたしませんけれども、29ページの例えば一番上、選択一時金の要件ということでございます。これは、老齢給付金を一時金とする場合に予定利率を使用していますが、その予定利率が前回の財政再計算時以降の下限予定率の最低か、老齢給付金支給開始要件を満たしたときの下限予定利率のいずれかになっているのが現状でございます。
このため、資格を喪失してから老齢給付金を支給開始するまでにこの下限予定利率が上昇した場合、支給を繰り下げると資格喪失のときの一時金が確保できなくなることがございます。そうしたことから、この支給を繰り下げても資格喪失の一時金の相当額を確保できるように見直してほしいという御要望でございます。これにつきましては、こうした予定利率の規制、今2つのうちから選択をすることになってございますが、厚年基金も含めてこうした資格喪失の一時金相当額を確保できるような見直しをする方向で検討したいと思ってございます。
こうした項目が、まず制度関係では29~31ページにかけて挙げさせていただいてございます。
32ページは手続関係ということで、一番上に書いてございますのは資産額通知につきまして、これは年1回以上通知するということになっているんですが、郵送だけではなくて電磁的方法によることを可能としてほしいという御要望が寄せられてございまして、こうしたものは電磁的方法によって通知することも可能とする方向で検討してはどうかということでございます。
33ページは今、御説明した事項に関します論点の整理でございます。
まず34ページでございますけれども、DCの手続、それから手数料のあり方ということでございます。DCの手続や手数料につきましては、手続が複雑である、あるいは諸手数料についても少し高目なのではないかという御指摘がございまして、DCの加入、普及というものを阻害しているという指摘がございます。
特に企業型DCの場合には手数料の負担、あるいは手続の負担を企業が担われている場合が多うございますけれども、個人型DCについてはそうした負担を全て個人が負わなければいけないということでございますので、負担感が高いと加入や継続をためらう要因になるのではないかということでございます。
そうしたことからDCの手続、それから手数料につきましてはできるだけ簡素に、そしてできるだけ低廉な手数料になるように関係者が努力すべきではないかということでございますし、また企業年金部会としてもそうした手続とか手数料の改善状況について確認していくことが望ましいのではないかというような論点を立てさせていただいてございます。
3つ目の○は自動移換者でございますが、先ほど御説明しましたように、それまで積み立てたDCの資産が自動移換者につきましては目減りをし続けるという状況にございます。そういう意味では、個人型DCの加入促進などでこの自動移換者対策について対応しながらやむを得ず自動移換者となる方については、例えば個人DCに加入や運用指図者になるまでの間については、2回ほど前に御議論いただいたようなデフォルト商品で運用することについてどう考えるかというような論点を立てさせていただいてございます。
35ページにつきまして、今度は手数料の開示についてでございます。手数料については情報開示を徹底することができますと加入者の理解、それから手数料自体の低廉化も進むのではないかと考えられます。そうした意味で、手数料についてより開示を進めるといった措置を講じてはどうかと考えてございます。※で書いていますように、例えば契約前の手数料の開示、あるいは手数料が記載されたDC契約の常時の周知義務、そんなことが考えられるのではないかと考えてございます。
また、運営管理機関につきましては変更が余り行われておらず、競争が働きにくいという状況にあります。また、運営管理機関について事業主側の事情により変更が行われない例もありますので、運営管理機関の見直しについて定期的な検討を促す措置を講じてはどうかということでございます。
具体的には、例えば3年ごとに運営管理機関の評価、見直しを検討するということを努力義務、変えることまでは求めてございませんので、例えば評価して見直し自体を検討するということを努力義務としてはどうかといったことを書かせていただいてございます。
36ページは、「DBの掛金未納時の給付のあり方」についてでございます。先ほど申しましたように、未納事業者につきましては給付減額を認める扱いをすべきではないかといった御意見がございます。しかし、こうした給付減額を可能とした場合には、本来基金や事業主がその未納の掛金の徴収を取りに行かなければいけないということなのですけれども、掛金の徴収や納付に関する運営努力を行うことなく、給付を減額することが可能となるおそれがあるのではないか。そういう意味からは、加入者の利益に忠実に運営をするという観点からは課題があるのではないかと考えてございます。
そういう意味で、複数事業所でDB基金を設立した場合には、従来どおり掛金徴収のための努力を行っていただく。その上で、仮に未納事業所が出て財政が毀損した場合には、その必要な掛金を全ての事業所で徴収する仕組み、この原則を守っていただくことが原則であって、給付減額は認めるべきではないのではないかと考えてございます。
一方で、中退共のほうは一定期間、掛金を滞納した場合には資格喪失をするという仕組みになっていますので、こうした仕組みについてはどういうふうに考えるべきかということで論点を出させていただいてございます。
最後に37ページでございますけれども、28ページから4ページにわたりまして改善事項を少し細かく挙げさせていただいてございますが、こうした御要望いただいている事項については関係機関と調整をしながら対応していってはどうかと考えてございます。
説明は、以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、皆様から御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
井戸委員、どうぞ。
○井戸委員
ありがとうございます。わかりやすい資料もありがとうございます。
34ページからの改善の論点の手続のところからお願いと御質問をしたいと思うのですけれども、これは以前のときにも手数料の比較が簡単にできるようなものをお願いしたいというふうにお話をさせていただいたのですが、運営管理機関の手数料はずっと継続的なコストなので、幾ら運用を頑張っても手数料にかかってしまうと全然ふえてはいかないので、今だと多分2,000円~7,500円くらいまでのすごく大きな差がございますので、これがやはり一覧で加入している人がすぐに見られるような見せ方ができるようなサイトというものをぜひつくっていただきたいと思います。
それで、手続とか手数料も部会でモニタリングするということなのですが、こういうふうな見せ方をすることによって競争の原理が働きますので、手数料も高いところが若干いろいろな企業努力で安くなる可能性もありますので、ぜひ比較のサイトというものをお願いしたいと思います。
それから、34ページの自動移換者についてなのですが、自動移換者が何もしないと手数料が一定目減りしていく、ゼロになる可能性も非常に高いのですが、デフォルト商品で運用するということもとてもいいと思いますが、自動移換者にならないようにその前段階として、すぐにできることだと思いますので何か広報していただくとか、これだけコストがずっとかかっていくんですよとか、とても大事な手続だということをぜひお示しいただくことを広報のほうでお願いしたいと思います。
あと1つだけなのですが、運営管理機関を変えるというのも競争の原理で比べていっていい運営管理機関、いいサービスをしているところに変わっていくというのはとても大事だと思います。ブラックアウトの期間というのも1~2カ月と書いてありますけれども、これもなるべく短くしていただきたいというのはそのとおりだと思います。
ただ、余り変え過ぎると一回全部入っている人が現金化してもう一度入り直すので、加入者にとってどうなのかとか、その辺のところもぜひ入れていただきたいですし、運営管理機関も取引のある会社のところを運営管理機関にしているわけですから、誰のための企業年金なのかというところをもう一度考えていただければと思います。以上です。
○山崎部会長
ありがとうございました。
では、高崎委員。
○高崎委員
私も今、井戸委員がおっしゃったことは本当にそのとおりだと思っていまして、手数料について今、各運営機関のサイトにいくとそれぞれの情報のみが出ているという状況で、全部個別に見ていこうとするとすごく大変です。これを何らかの形で一覧性のある情報としてまとめていただいて、それを常にアップデートしていただけるような形になれば非常にわかりやすいですし、手数料とかについては規制によって何か制限を設けるというのはやはり余り現実的ではないと私は正直思っていまして、それよりは各企業がそういった競争にさらされる中で自助努力で対応していくという流れにするのが非常にいいことかと思っております。
あとは、自動移換者に対してもそうならないようにするというのは本当にそのとおりだと思っていまして、要は34ページでもやむを得ない場合にはということになってはいますけれども、そのやむを得ない状況というのができるだけないように、例えば自動移換者になってしまうと加入期間としてカウントされない。そういうような情報というのも周知していただいたり、あるいは移換されることによって次に何か自分で運用指図したいと思ったときにまた新たな費用が生ずるとか、そういったことも周知していただければと思っております。
あとは質問ですけれども、20ページのところで運営管理機関を仮に変更する場合、ブラックアウト期間が生ずる。これは手続に伴って仕方ないと思うのですが、この期間というのは加入期間というものにカウントされるのか。例えば、自動移換者のようにその間、運用指図が行えないのでカウントされなくなってしまうのかということを教えていただければと思います。
もしそういった加入者に不利益な状況が発生するというのであれば、やはりそれはブラックアウト期間をできるだけ短くするということも必要でしょうし、そうならない措置というのも必要かと思いました。
それからもう一つ質問させていただきたいのですが、30ページの表の下から3つ目、「日本年金機構からの住所情報の提供範囲拡大」です。これは事業主が住所変更通知を行えない場合にということになっているのですが、これは事業主に対して最新の住所の情報の提供を求めれば済むのかなというふうに個人的にこれを読んでいて思ったのですけれども、現状なぜこのような要望が出てきているのかというところ背景などがわかれば教えていただければと思います。以上です。
○山崎部会長
では、質問がありましたのでどうぞ。
○内山課長
では、質問も踏まえまして幾つかお答えをさせていただければと思います。
先ほど、手数料は一覧性のあるもので比較ができるようにというお話がございました。現状では、確かに各運営管理機関の公表などに任されているところでございますので、そうしたものができるかどうか、関係機関とも少し御相談をしながら課題として受けとめさせていただきたいと思ってございます。
2つ目は、自動移換者に対しますそもそもの努力ということでございまして、現状でも例えば国民年金基金連合会から退職者に対しまして加入手続を勧奨したりすることの努力もされてございますし、また29ページの一番下の欄で書かせていただいてございますが、そうした資産移換手続についての事業主からの説明を、資格喪失するときだけではなくて在職中から実施してはどうかといった御意見もいただいているところでございますので、こうしたことに取り組むのもまず前提としては大切なのかと思ってございます、
御質問にありました20ページの期間ですけれども、現状では期間としてはカウントされているという状況であるということでございます。
それから住所情報の提供、30ページの下から3番目でございますけれども、これは事業主から記録関連の運営管理機関への住所の提供がないということでございます。当然、事業主で把握して連絡されている場合は結構なのですけれども、それがされていない場合もあるということですので、運営管理機関のほうに年金機構から住所情報を提供してほしいという御要望が寄せられているところでございます。
ただ、日本年金機構の住所情報の情報等も厳格に扱われているところでもございますので、どういうふうにこういうことができるかどうか、少し慎重な検討が必要ではないかというふうに整理をさせていただいています。
○山崎部会長
では、平川委員どうぞ。
○平川委員
手数料の関係であります。やはり加入者にとっても、払い手である基金にとっても、手数料というのは大変重要な問題ではないかと思いますが、基本的にはその透明性というのは極めて重要ではないかと思っています。基本的には、積算根拠も含めてその開示というのも必要ではないかと思います。また、個人型DCの場合は交渉力がほぼゼロでありますので、その観点から特に重要ではないかと思っているところであります。
それから、34ページの1つ目の○で、DCの手続の関係が複雑で書類の量が多いということも課題として挙げられているという状況であります。確かに、できるだけ簡素な手続という方向性は一つの考え方だと思いますけれども、9ページに「企業型DCを設立する際に必要な提出書類」が記載されておりますが、労使協議の過程であるとか、その結果にかかわるものというのはなかなか省略するのは困難ではないかと思っております。そのような意味で、簡素な手続ということだけにこだわって必要な書類まで省略してしまうということについては問題があるのではないかと考えているところであります。
それから、先ほど言いました個人型DCの自動移換者の問題であります。この自動移換者の中身をもうちょっと分析して、例えば一個人がどれだけの金額を自動移換しているのかという分析も必要かと思います。かなり少額な方も入っていると聞いておりますので、そういう問題です。
そして、一方でそれなりの額を移換している方もいるかと思いますけれども、その方々に対してはやはり積極的な働きかけを重点的にしていくことが重要ではないかと思っているところであります。
その上で、今回、デフォルト商品で対応していく、誘導していくという考え方を出されていますけれども、やはり意思を確認しないでデフォルト商品に誘導してしまうということは本当に制度的にクリアできるのかはわかりませんので、制度的にクリアできるのかどうかをお聞きしたいと思っているところであります。
あとは、36ページの3つ目の○で、複数事業所でDB基金を設立して運営を行う場合、掛金徴収のところで「改めて必要な掛金を未納事業所以外の事業所を含めて徴収する仕組みが原則であり、給付減額は認めるべきではないのではないか」という記載がありますけれども、まさにそうではないかと考えています。
※印にも書いてあるとおり、「基金全体であらかじめ給付を定め、そのために必要な掛金を納付する」ということが基本だと思いますし、そういうことからすれば受給権保護という観点からしてもこの記載のとおりになるのではないかと思います。
問題は、いかに未納を防いでいくかというのが大きな課題でありますので、その点を強化していくということが重要ではないかと思っているところであります。以上です。
○山崎部会長
質問がありましたので、とりあえずお答えください。
○内山課長
多岐にわたる御意見、御質問をどうもありがとうございました。
まず、手数料で積算根拠等も開示すべきではないかという御意見をいただきましたけれども、手数料についてさらに開示を進める努力をすべきということで書かせていただいてございますが、具体的にどのように開示していくのか、どのような開示をしていくのかにつきましては、御指摘いただいたような委員の方の御意見も踏まえて、さらに御議論、検討していく必要があると思ってございます。
2つ目に、労使協議関係の書類は省略すべきではないのではないかという御意見をいただきました。これも、できるだけ簡素な手続に向けて努力をするという方向性を出させていただいていますけれども、これも実際に具体的にどの書類を省略したり、簡素化できるのかということは、またさらに詰めさせていただければと思ってございます。
自動移換者につきましては、御指摘のように地道に粘り強く働きかけを行っていくことは大事だと思ってございます。御指摘いただきましたように、現状では自動移換者の資産額が1万5,000円未満の方が半分ぐらいを占めている一方で、100万円以上の方も1割程度はいらっしゃるという状況にございます。
そういうことも踏まえながら、まず地道な努力としては先ほど少し御説明したことを国企連のほうで取り組んでいることもございますし、今回も表の中で少し新たな取り組みということを御提案いただいていますし、その対応も必要かと思ってございます。
一方で、さはさりながら現状では当座預金に入っていて、手数料の額だけ目減りをしていっているという状態でございますので、こういう状態を何か改善できるのかどうか。そうした意味で、事務局としてはデフォルトファンドの活用ということをひとつ書かせていただいているのですけれども、実際にその選択をしていないという御指摘もいただきましたので、御指摘のような課題についても十分に検討させていただいた上で、この自動移換者対策というものはどういう方策があるかをさらに考えさせていただきたいと思っています。
○山崎部会長
それでは、鈴木委員。
○鈴木委員
今回、多岐にわたっているので言い出したら終わらない気もするんですけれども、時間の関係もありましょうから大きなところだけ申し上げたいと思います。
まず、手数料については手数料を決めている当事者である運営管理機関とか受託機関がいない席で余り言っても、現実的にもっと下げる努力をするのはしたらいいんですけれども、赤字になってやるはずもないというか、赤字になってやったら株主に説明できないですから、最後に書いてあるように、よく関係者と議論されるのがいいんじゃないかと思います。
それで、開示を進めるということですけれども、さっき井戸さんなどが言われて、高崎委員も言われていた、多分個人型のイメージですね。企業型だと手数料もほぼ相対で決まっていますから、開示といったら受託機関も困るだろうし、事業主のほうも多分困ると思います。だから、そういうことはできないんじゃないかと思います。
それで、さらにちょっとここにはないんですけれども、DCの手数料という観点でひとつ注意しなければいかんと思っていることがあります。それは企業型の話ですけれども、運営管理の手数料とか資産管理の手数料は別に法律上決まっているわけではないんですが、実態は企業が払っていますね。そして、運用に関する手数料というのは商品に組み込まれているので加入者負担になっているわけです。
一方、引き受ける側の受託機関側はトータルで採算が合えばいいので、どういうことが起こっているかというと、運営管理の手数料をどんどん下げていって、トータルで採算を合わせようと思うと、その分は加入者の負担に多分なっているはずですね。そうでないと、赤字になります。
そういうことがいいのか。つまり、提供しているサービスなり、業務の対価としての手数料という観点から見ると、そこはマッチしていないわけです。それで、放っておくと企業の負担が減って加入者の負担がふえるというようなことになりはしないか。だから、そこはDBと決定的に違うところで、DBは全ての手数料は事業主負担ですけれども、DCはそうじゃないはずです。むしろそういう観点での検討というのが重要ではないかと手数料に関しては思います。
次に、これは前から言っている話ですけれども、法律の第1条にありますように、DCというのは基本的には自己責任の制度であり、さらには高齢期の所得の確保にかかわる自主的な努力を支援すると書いてあります。私はそういう制度だというふうに理解をして今まで発言をしてきたんですけれども、その観点からいうと運営管理機関を3年に1度変えることを検討しろとかというのは、私は今はもう仕事をしていませんけれども、仕事をしている立場からすると大きなお世話という感じがします。
つまり、そのサービスのいい運営管理機関に労使が変えたいというならば変えればいいわけです。それで、我々がすべきことはその変えたいという労使、企業の負担といいますか、その変えたいと言っている人をできるだけ変えやすくするように支援するということであって、先ほどから出ているような、例えばブラックアウト期間をできるだけ短くしましょうとか、そういう努力はするべきなんですけれども、3年に1回必ず見直すことを検討しろなどというのは本当に大きなお世話だと思いますね。
そんなことを言われると、私はそういう仕事をやっていたからよくわかりますけれども、受託機関サイドは3年に1度山ほどコストがかかりますし、事業主のほうも3年に1度やらなければいかんというと、3年に1度またコンペみたいなものをやるんですかという話になって、受託サイドも事業主のほうも物すごいコストがかかる。そのコストは結局のところ、さっきの論理でいうと運営管理の手数料なのでしょうけれども、回り回って加入者の負担になるというようなことに私は恐らくなると思うので、こういう国民経済的に無駄なことはもうやらないでほしいということが2点目でございます。
それから、3点目は自動移換のところでデフォルトのファンドを設定するという話です。これも、どうしても皆さんがそのほうがいいとおっしゃるならば別に悪い理由はないんですけれども、これをすることにやはり少し問題を私は感じます。
1つは、もともと私はDC制度における一番の問題点はこの自動移換者が非常に多いということであると思っています。運用の方法がどうだとか、教育の問題よりも、自動移換者が多いということが一番の問題だと思っていました。しかし自動移換者になってしまう人に対して、具体的に説得する材料に欠けていた。
私は自動移換者の問題が多いのでそれの検討会の委員をやっていたことがありますけれども、その説得材料が欠けているというのは、つまりやめたときに継続できないという人ですね。要するに、行った先で専業主婦になりましたとか、行った先でDBしかなくて続けることができないという状態がある。そういう人に対して、余りお金もたまっていないし、継続もできないのに、何でわざわざ個人型に移換しないといけないんだと言われると、なかなか説得できる材料がなかったんですけれども、今回の御提案はそういう人がなくなるわけですから、画期的な御提案で高く高く評価をしますけれども、そういう法的な措置を講じてもなお自動移換にいく人について、さらにデフォルトのファンドのようなものを用意しなければいけないのか。やはり第1条にあるように、自分で努力する人を支援するのがこの制度のそもそもの趣旨ではないかと思います。
そんなことを仮にしますと、だんだんまたマニアックな話になってくるけれども、自動移換の手数料の方が個人型の運用指図者の手数料より安いでしょう。そうすると、今だと全然運用されないんだけれども、自動移換にいってデフォルトで運用してくれるということになると、ますます放っておく人が多くなるのではないかという気がするんですね。
だから私は努力をすれば続けられるという状況が実現した暁には、やはり自動移換にいく人は今の現金で利息がつかないということでいいと思うんです。それよりここにもありますようにそのお金は今は当座預金に全部入れているとなっていますね。それは、その人に対しては利息をつけないのはいいんですけれども、800億円以上あるらしいんですが、しかしそれを国企連のほうでなぜ全部当座預金で持っていないといけないのかというところがその検討会の当時からよくわからなくて、本当に安全な運用をすればちょっとくらい利息がついて、それで手数料の一部でも賄えるんじゃないかと言ったんですけれども、そのときはそういうことにはなっていないのでそれはできませんと言われたのでそれ以上は言いませんでした。私は民間との発想の違いをそのとき非常に感じましたけれども、800億円も当座預金にしておく必要はないんじゃないかと思います。
まだほかにもいっぱいありますけれども、とりあえず。
○山崎部会長
事務局からどうぞ。
○内山課長
多岐にわたる御意見、ありがとうございました。
まず手数料ですけれども、当然ながら関係機関等とも調整をしながら、関係機関とともに努力をするということが大切だと思っておりまして、また、安くなればということで赤字になることを求めているわけでは全くございませんので、逆に言うとこれまで手続の簡素化や手数料について余り議論がなかったというところもありますので、そういう意味では適切、適正な手数料となるべく、少しこの点にも着目して議論していくべきではないかというような観点でございます。
また、企業型につきましては交渉というお話も出ましたが、これは前回、今回と出してございますガバナンスの資料の運用の情報の開示というところで、例えば運用に係る情報で運用機関との交渉力、あるいは信頼関係をそぐおそれのあるもの、こういうものは開示義務づけという対象ではないのではないかという整理をさせていただいていますので、そういうものを踏まえて整理をしていければと思ってございます。
また、運営管理機関についての御意見も頂戴いたしましたが、これは書いてございますように現状でも年金局長の通知で評価をして選んでいただきたいということを言ってございます。そういう意味で3年ないし5年なのかもしれませんが、変えると言っているつもりはございませんで、少なくとも定期的には評価をしていただく必要があるのではないか。その結果、これまでと同じ運営管理機関を選ぶということはあって当然結構だと思いますし、それはいいと思いますけれども、定期的にその評価をするということはしていただく必要があるのではないかという思いでございます。
また、自動移換者についての御意見もいただきました。ここも確かに御議論があるところだと思いますけれども、事務局としてはまず自動移換者が現状でもふえているというところに問題意識を持ってございまして、そうした意味で何か対策ができないか。それは、現在国企連でもさまざまな対策に取り組んでおられますけれども、国企連の対策も含めて少し今後とも考えさせていただきたいと思っています。
○山崎部会長
小林委員、どうぞ。
○小林委員
先ほどの鈴木委員の御意見に賛成する部分が多くあります。まず運営管理機関の変更についてですが、鈴木委員から御指摘があったように、今の費用負担の構造については、私も非常に問題ではないかと思っています。また、サービスの良い運営管理機関に変更することは定期的に検討すべきだと思うのですが、実際にその検討結果を踏まえて運営管理機関を変えようと思うと、先ほど来指摘されているブラックアウト期間のようなものも含めて、非常に大きな負荷が事業主にかかりますし、加入者にも影響が及びます。
そうしたことを踏まえて考えると、現実的に運営管理機関の変更は、今の枠組みではとても難しいと思っていまして、プランの規模が大きくなるほどそのハードルは非常に高くなると思います。
仮に事業主の負担については許容したとしても、やはり加入者に一定の影響が及ぶとなると、よほどの理由がないと運営管理機関の変更に踏み切れないというのが実態だと思います。したがって、実際に運営管理機関を変更しようとしたときに、それが実現可能なものとなるよう、合わせて商品の入れかえをする場合の除外手続をもっと緩和するとか、あるいは商品の現物移換なども実施可能としていただく等、周辺環境が整備されない限り、定期的な見直しを努力義務にするだけでは、正直、事業主の負担感が増えるのみで、実質的な牽制効果はないのではないかと感じています。
また、個人型の手続や情報提供に関してですが、先ほど来ほかの委員の方々から出ている御意見に私も賛成です。手続そのものを簡素化することも重要かとは思いますが、今の状況を見ますと、それ以前の問題として案内が不十分であったり、情報へのアクセシビリティが極めて悪いことが大きな課題ではないかと思います。
例えば、企業型を実施する事業主の立場からすると、退職者について個人型への移換をサポートする必要も出てきますが、実際にやろうとするとなかなか必要な情報が得にくいという実態があります。そういう中で、個別に主だった金融機関さんにアクセスする必要があるなど、結構手間がかかることも事実です。
もう一つ、これは自動移換の問題にも一部絡んでいると思います。自動移換になった理由はさまざまあると思いますが、個人型への手続が面倒であるとか、よくわからないということが理由で自動移換者になっているケースもあり、どんなに情報提供や教育をしても一定数の自動移換がなくならないのが実態だと思います。
ですので、そもそも自動移換者をつくらないように改善するという意味でも、個人型の情報提供の方法については工夫が必要ではないかと思います。以上です。
○山崎部会長
山本委員、どうぞ。
○山本委員
運営管理機関の変更について、3年に1度程度など、時間的に定められた年限でこれを見直していくことが指摘されていますが、定期的な見直しというよりは、むしろ、運用の基本方針のようなものとの乖離が著しく生じた場合に、弾力的にその見直しが検討できるといった表現のほうが良いと思いました。一定期間で定期的に監査を入れていくという考え方ではなくて、必要に応じてというような部分があっても良いと思います。
それと、この運営管理機関というのは、本当に皆さんがおっしゃるように、変えようと思ってそう簡単に変えることは非常に困難ですし、実際にその成果はある程度経年で見ていかないと判断ができないということもあり、非常に難しいと思います。運用の基本方針と相当の乖離が出た場合には、見直しが可能になるということが必要かと思います。
それから2番の論点でございますけれども、複数で基金を設立した場合に、その未納期間がある事業所が出た場合、その加入者の給付を減額する扱いを認めるべきという意見と、それは認めるべきではないという2通りの意見が出ております。
まことにこれは悩ましいところでありますが、仮に複数事業所でDBが設立された場合、加入する事業所が掛金未納状態になった場合、残された企業に負担が発生するということが起こりますと、その残存している企業にとっては極めて過大な負担となってきますので、やはり掛金の未納期間があった場合には減額措置もある程度認められるような仕組みを組み込んでおいたほうが、他の加入企業に及ぼす影響度が軽く済むと思います。これは健康保険組合などもそうでございますけれども、結局残された企業で割られてしまうので、そういうことが起きるとどんどん残っている企業の負担がふえてくるということもございます。そのような点も加味するべきではないかと思います。以上です。
○山崎部会長
村瀬オブザーバー、お願いします。
○村瀬オブザーバー
今の山本委員に若干関連しますけれども、「DBの掛金未納時の給付のあり方」の問題でございますが、これは連合会としまして、前回中小企業の企業年金の受け皿として総合型DBが考えられるのではないかということを御提案申し上げたときの最大の難点といいますか、掛金が未納になりました中小企業の部分について、給付削減をどうするのかというのが最大のポイントだろうということで提案申し上げたわけでございます。
それで、一番いいのは厚生年金基金と同じように強制徴収できればいいわけですけれども、それは無理であり、次善の策として、当該企業の部分についてだけ減額できないのか、さらにもうひと工夫して、それでも駄目であれば中退共と同じような形である一定期間過ぎた後には退会をしていただく手続がとれるように、ただし、安易にこれをやるつもりはなくて、やはり一定の努力をした上で展開をするということでよろしいのではないかということで御提案申し上げたわけでございます。
もう一度、思い起こしていただきたいのですけれども、適格退職年金が廃止になりましたときに4割の基金が雲散霧消になったという部分、その受け皿をどうするかという中で、事務局においてさまざまな形でDC等を検討していただいていますが、やはり一番ポイントになるのは何かといいますと、現在の厚生年金基金でやられていますところの総合型について、できるだけ多く、特に中小企業の方々が加入できる仕組みをどうつくってあげるのかが最大のポイントだろうということで御提案申し上げたいと思います。
したがいまして、安易にやるということではなくて、その道を開いていただくということでぜひ検討をお願いしたいと思います。
○山崎部会長
では、ちょっとここでたくさん質問等もありましたから、事務局のほうからお願いします。
○内山課長
順不同になりますけれども、DBの掛金未納時なのですが、これは私どもとしても中退共のような資格喪失というのはあり得るかもしれないと思っていますが、基本的にはまさにそのための基金でありますので、基金のほうで掛金を取りに行っていただくということが大原則なのではないかと思っています。
そうした基金のほうで取りに行っていただくものを、加入者なり受給者の受給額を減額したりというようなことに結びつけていいのかどうかというのはもう少し御議論いただければと思いますし、やはり減額が認められるということであれば、どうしてもその基金が取りに行く努力というのは若干鈍るのではないかと思ってございます。
また、運営管理機関の変更につきまして、変えようとしたときに負荷がかかるというお話がございましたので、それはもちろん御指摘のように環境整備も含めて必要なのではないかと考えてございます。
それから、個人DCにつきまして情報提供、それからそのアクセス、それは自動移換にも関係するという御意見もいただきましたので、そうしたことも踏まえて個人DCの手続の簡素化、情報提供の充実、そうしたものにも取り組んでいく必要があるかと思ってございます。
また、先ほど運営機関の見直し、例示で3年としていますけれども、ここのところは3年は例示にすぎませんので、当然必要に応じてある程度定期的に評価をしていただくというのが主眼であるということを申し添えたいと思います。
○山本室長
確定給付につきまして、若干補足を申し上げます。
確定給付の企業年金は、給付側の計算式というものを決めて、それを前提に労使合意をもとに導入する制度でございますので、給付の減額をする場合には例えば加入者の3分の2以上の同意ですとか、受給者ですともう少し厳しい同意を求める前提で運営をしてきております。
それで、今のケースで未納をすると事業主は負担はしないのかもしれませんけれども、その分、受給者に年金がいかなくなりますが、給付減額をするときには非常に厳しい手続を課しているのに、こちらは未納すると自動的に減額されてしまうというのをどう考えるのかが一つの論点かと思っております。
○山崎部会長
では、白波瀬委員からどうぞ。
○白波瀬委員
では、私から少しぼんやりしとした質問になりますけれども、最初のところの報開示のことなんです。井戸委員のほうからも比較ということで、確かにちょっと考えると手数料などが比較できるといいなと思うんですが、そこでやはり仕組みとしてどういう比較可能な状況というものを想定されているのかがちょっとわからなくて質問です。事務局のほうからは関係機関と協議の上というお答えが続いているのですけれども、若干違うレベルの比較可能性というものがありますので、要するに何かそういう情報提供するようなある別箇の機関みたいなものを準備するような場面を想定されているのでしょうか。
つまり、労使間の決定ということで情報がそこで規定される部分と、それを選択する個人がありますけれども、情報そのものは正確には横串では標準化されていない状況が現実問題としてありますので、そこでの情報の比較ということはどういう文脈の中で設定されているのかが私の中では制度的にはちょっとわかりにくいということがあります。個人としての比較は簡単にできればできるほどいいんですけれども、そこでやはり積算の問題は安いか高いかということを比較するのではなくて、その手数料自体がどういうふうに組み立てられているのかという説明責任という意味で情報開示だと思うので、もっと言うと異なる手数料の比較というのは厳密にはし難しいという状況ももしかしたら考えられるかもしれないというのが1点目のコメントです。
2点目は定期的な見直しについてなんですけれども、やはり私は随時見直すことによるコストが逆にかかるような気がしました。鈴木委員からはずっと自己責任であるし、自主努力であるので、努力をする人に限ってということは、まさしく原理原則という点からは正しいと思うんですけれども、ただ、そこでの自己責任の時点をどこに置くかによって、あるいは自己責任で決定した制度加入をした後のサービスの維持、あるいは確認の見直しということで定期的に入れるというのは、私は逆にコスト的に低くなるのではないかと感じました。以上です。
○山崎部会長
では、臼杵委員。
○臼杵委員
今、白波瀬委員からお話のあった点で2点と、もう一つは質問です。
最初の手数料ですけれども、多分さっき鈴木委員もおっしゃったように個人型と企業型では全然話が違って、これから個人型に非常に力を入れてある程度普及させるということであれば、これがそのままうまくできるのかどうかわかりませんけれども、例えば13ページの右側にあるようなフォーマットでなるべくできるのであれば、国企連さんのほうで運管ごとの手数料の比較みたいなものを試みる。それだけではなくて、もっと自動移換なども含めて啓蒙するような個人型の大きなサイトを国企連さんと厚労省さんで御協力いただいて、例えば井戸委員がどこかテレビで個人型というのはこういう仕組みで、ここにいくと全部わかりますと御説明いただけるようなサイトをぜひおつくりいただきたいと思います。
それから、2つ目は運管の見直しです。確かに私の論文もちょっと引いていただいたりして、今の運管の決め方というのが忠実義務とかに完全にのっとってはいないというのは事実だと思います。だから、今後見直すというのももっともですけれども、そもそも最初に決めるときの話のほうが多分大切な話で、例えばどういうところを見て決めたらいいかとか、中小企業の事業主でもわかるようなチェックリストとか、あるいはガイドラインなどを最初に運管を決めるときためにつくっていただいて、それがある程度世の中に浸透したら自然に,と言えるかどうかはわかりませんけれども、既存の事業主がそのガイドラインとかチェックリストから見ておかしな選び方をしていたら直していくということを期待したいと思います。だから、初期段階のほうが大事なのかなという気がします。
それから、3点目は質問なのですが、複数事業主のDBの話で、まず強制徴収は今の法律ではできないのですけれども、これは法律を変えたらできるのかどうかということが1点です。
それからもう一つは、例えば今、事業主がそこに掛金を払っていないということをそこの会社の加入者というのはわかっているのかどうか。それが2点目です。
移換
○山崎部会長
事務局からお願いします。
○内山課長
まず1点目の個人DC、企業DC、手数料の件ですけれども、基本的に比較とか、そういうことは個人DCに関するものだと思っていまして、私のほうで明確に分けて説明をしなかったことは少しお詫びをしたいと思っております。
2つ目の運営管理機関の見直しにつきまして、当然変更もそうですけれども、最初に決めるときというのも大切だと思ってございます。臼杵委員からも今、例えばそういう運営管理機関を決めるとき、あるいは変更のときに基準、チェックリストとかガイドラインのようなものをつくれないかという御提案もありましたので、そういうものの可能性についても少し考えてみたいと思ってございます。
それから、DBの未納時の扱いです。これは、厚生年金基金の場合は当然代行部分もあります。また、先ほど少しお話の出ました健保組合でも強制徴収ができるんですけれども、これは健康保険は強制適用であるといったところから由来しているものと考えます。
そうした意味では、DBはいわゆる上乗せ部分だけですので、仮に法律を変えればできるというものではなく、そうした強制徴収をするような法律改正は恐らくなじまないのではないかと考えてございます。
○山本室長
それから、DBを見直したときに、そこの事業所の加入者が未納していることを知っているかどうかということですけれども、その点は恐らくわからないのではないかと思います。
○村瀬オブザーバー
私のほうから、そこをお答えしていいですか。
基本的には事業主に対して対応していまして、加入者等まではいっていないと思います。
○臼杵委員
状況がわかっていないのにいきなり減額されるのはどうかとは思いますけれども、まずしつこいようですが、最初の強制徴収も例えば規約の中で未納したら強制徴収されてもしようがないという規約をつくるのかどうかという点はまだ検討の余地があるのかなというのが1点です。だから、そういう規約に各事業主が判を押していればそれはしようがないのかなという気が、法律というか、よくわかりませんけれども、それが1点です。
それから2つ目ですけれども、ある意味でこれは隠れた賃金不払いのようなところがもしかするとあるのかなと思います。だから、そこでまずいきなり減額されたり、いきなりあなたはもうここから追い出されますよというのでは、ちょっと従業員からみるとどうなのだろうという気がするので、まず払われていないことをきちんと従業員に知らせるというのが1つあります。それからもし仮にその契約を変えても取りに行けないということだと、やはり永遠にそれが続くというのはほかの事業主から見るとちょっとまずいのかなと思います。だから、仮にほかの事業主が負担するとしても3カ月なのか、6カ月なのかわかりませんけれども、ある一定期間までにして、そこから後については中退の例による、という考えもあるかもしれません。
ただ、中退の例によると言っても、ではどうやって一人当たりの払い出しの金額を計算するかというのは、またそれはそれで結構DBの場合は大変かなということがあるので、そうなると給付減額という道もやむを得ないのかなと、その辺の幾つかオプションはあると思うので、そこをうまく組み合せていくしかないかと思います。
やはり永遠にほかの事業主が負担するというのはただ乗りを許すということになりますから、それはどこかで期限は必要かということと、済みませんが、繰り返しになりますけれども、従業員のほうにもきちんと知らせて、そこから逆に従業員から事業主にちゃんと払ってねというような圧力をどこまでかけられるかはわかりませんが、そういう道もあるかと思います。
○山崎部会長
では、鈴木委員お願いします。
○鈴木委員
今のDBの未納の話ですけれども、一言でいうと気持ちはわからないでもないということなのですが、多分こういう要望が出てきているというのは、総合型でDBをやるときに事業主の方から払っていないところについては減額しろ、そのほうが公平じゃないかと言ってきているということだと思います。
しかし、そういうことを言う事業主はどうしてDCにしないのかがよくわからないところでありまして、これはDBか、DCかという割と本質的な話だと思うんです。つまり、別にこの掛金の未納ということだけではなくて、DBである限りは、例えば何らかの事情で積み立て不足が発生しました。それについては、現存の事業主で負担しましょうという仕組みになるわけですね。
だから、事業所ごとに平均年齢であるとか、受給者の数であるとか、さまざま要素が違うんだけれども、一応DBという制度の中ではそこにいる現存の事業主で負担しようという制度なので、これだけを認めるというとかなり違和感があるわけですね。突き詰めていけば、では事業所単位で全部収支を見ろよということに多分論理的になりますよね。
だから、気持ちはわかるんだけれども、本当にこうしたいんだったらDCにすべきじゃないかと私は思います。
○山崎部会長
では、森戸部会長代理お願いします。どうぞ。
○森戸部会長代理
皆さんがおっしゃったようなことと余り変わらないのですが、まず手数料の話が正面からここで出てきているというか、取り上げられているのは非常にいいことかとは思います。それで、既に御指摘があったように個人型と企業型DCの話は区別が必要だろうとは思います。個人DCに関しては拡大する方向で今、考えているわけですから、既にこれも出ましたように、個人だと交渉力がない、企業が関与しない分、皆さんの言葉を借りれば共通の尺度での、共通の見せ方での情報開示なりを図っていくことを比較できるような仕組みをつくるというのが大事だというのは言うまでもないことかと思います。
企業型DCに関しては、こちらも情報開示も手数料の問題も重要だと思いますが、鈴木委員御指摘のような問題というんでしょうか。鈴木委員が、こういう構造で加入者のほうの運用報酬とか、そちらのほうでいわば運管の手数料を安くした分、そちらに回ってきているのかもしれませんよ、そういう構造なんですよ。そのこと自体が情報開示というか、そういう現実を知ることも、私も含め社会にとって重要だと思いますので、そういうことも含め、情報開示、手数料の仕組みなり現実なりを含め、いろいろ情報を明らかにしていかなければいけないのだろうと思います。
そう考えると、企業型DCのほうは、例えば加入者負担になり得る部分についての比較とか、情報開示とか、そういう観点もあるでしょうし、これはどのくらいできるのかわかりませんが、例えばDC商品で出ているものと一般に出ている商品で同じようなものがあるかと思うんですけれども、それで手数料みたいなものを比較したときに、もし鈴木委員がおっしゃるようなことが事実ならば、外に一般に売っているものよりも高く手数料が取られているんじゃないか。つまり、運管のほうを安くしている分ですね。そういうことがあるのかとか、それはないのかもしれないんですけれども、そういう比較とか、これは国がここまでやる必要はないかもしれないですが、いずれにしても手数料の問題は大事だと思うので、いろいろ考えていくことは必要だと思います。
それから、自動移換の問題も鈴木委員とほぼ同じことを思っていまして、この部会での議論の流れからいうと、運用先を選ばない人にはデフォルトファンドみたいなものを入れてあげるのがいいよねという流れできていますので、最初は、それだったら出ている案のようなものはいいかなと思ったのですが、よくよく考えると、これは自動移換のままなんだけれども、デフォルトファンドに入れてあげるよという話なのか。それとも、デフォルトファンドに入れてあげるということはそもそも自動移換ではなくて個人DCに勝手に加入させてあげているのと同じ扱いにするのか。
それでは、何が違うのか。もし全く何も違わないんだったら、鈴木委員がおっしゃるように、これは放っておくのが一番得じゃないか。一番デフォルトというよさそうなファンドに勝手に流してくれるというと何か変な話で、15ページか何かにあるものによれば、自動移換のペナルティー的なものは運用指図が行なえないとか、老齢給付金の請求可能年齢に通算加入者期間に参入されないとか書いてありますけれども、どういうペナルティーみたいなものがあるのかということで、どういう制度に仕組むのかによってこの話は大分変ってくるかと思います。
それで、私も鈴木委員がおっしゃるように、本来なるべく周りの制度を整備して自動移換みたいなものが起きないようにするという前提をとった場合、つまり今よりも変に個人型にも入れないという人が余り出ないような仕組みに今後していくとすれば、それでも自動移換しちゃう人が何か一番お勧めのファンドで勝手に運用してもらえるというのは非常においし過ぎるかなという気はちょっとしてしまうので、どういうペナルティーというか、どういう仕組みをつくるのかというのは、実はちょっとややこしいかなということを思いました。
それからもう一つは、総合型DBの話でしょうか。それは意外と皆さんが給付減額もやむなしみたいな意見でちょっとびっくりしたんですけれども、私はこの原案どおりといいますか、ちょっとそれはできないんじゃないかと思います。それは、まさにこういう問題が出てくること自体、要するに厚生年金基金で起きたことというんでしょうか、総合型というのはやはりガバナンスが効きづらいんですよ、こういうことも起きますよということを象徴しているような気がしまして、変な話、こういうことを言うと身もふたもないですが、こういうことが心配ならばやはり余り知らないというか、関係のない企業で集まって制度をやるべきじゃないということを示しているんじゃないかと思います。
鈴木委員がおっしゃるように、個人DCでやるとか、何とかDBを個々の企業でやるか、そちらを考えるべきだということで、やはりこの問題のツケを受給者とかに直接負わせてしまうというのは、法的にもさっき事務局から説明があったようにちょっと仕組みとして難しいと思いますし、つまり都合のいいところだけ総合で皆でやって、でも負担は企業ごとに分けようというのであれば、そもそもそれは一緒にやろうというつもりがないよねというふうにとれるのではないかと私は思ってしまいました。
臼杵委員がおっしゃっていた法律を強化してという話ですが、私も事務局がおっしゃるように厚年基金は滞納処分、つまり税金を取るのと同じような形で取れたという意味で強制力があったので、今は別にこの代行部分がなくても一応民事的には請求権はあるわけだから、究極的には訴訟を起こして債務名義をとれば金を取る手続はできるけれども、しかし、それはその税金の滞納処分とは違うよねというレベルなので、強制徴収できないわけではないといえばないですが、大分力が弱いのは事実ですね。
ただ、そんなに厚生年金基金が滞納処分をばんばんしていたのかという疑問もありますので、要は取れるようなお互いそういうところの信頼関係のある企業で集まってもらうか、あるいはそういう仕組みをちゃんと了解の上で総合型をやってもらうかということが必要だと思うので、余り給付減額でこれを解決しちゃうというのはどうかというのが私の正直な意見です。
そうすると、では退場していただくかという中退金方式ですか。そちらのほうがまだ理屈は、要するに一緒にやっていく資格がない事業所なんだから、もう出てもらいましょうというほうがまだ理屈としても現実にもあるかなと思うのですが、もちろんこちらはこちらでどういうふうに出てもらうかというのがありますので、強制的に脱退させるようなイメージなのかと思いますけれども、これはこれでまた考えなければいけないですが、いずれにしても給付減額で解決するというのは私は余り賛成はできないと思います。以上です。
○山崎部会長
それでは、事務局のほうからお願いします。
○内山課長
幾つか森戸委員からいただいた御意見も踏まえまして補足をさせていただきたいと思います。
今、信託報酬には一般向けのものとDC専用向けのものとありますけれども、一般的にはDC専用の信託報酬のほうが低いというのが現状であるようです。
また、厚年の滞納処分について今、手元に件数はございませんけれども、御指摘のとおりそれほど頻繁に行われていたわけではないということでございます。以上でございます。
○山崎部会長
一通り御意見をいただいたのですが。
では、平川委員どうぞ。
○平川委員
時間がない中で済みません。議論になっていない、「その他の現行制度の改善事項」について質問させていただきたいと思います。
29ページの3つ目の枠の「非継続基準に係る改善(DB)」のところです。「簡便な算式を可能とすることなどを検討」となっているところでありますけれども、これが財政基準を緩めることにつながるのではないかということがちょっと気になりますので、その点をまず確認したいと思います。
それから2つ目、その次の枠の「金融商品営業業務と運管業務の兼務禁止の緩和(DC)」です。そもそもこれが禁止されていたことの理由をまず明確にする必要があるのと、逆にこれは兼務が可能になることによって利益相反の懸念が出てくるのではないかと思いますけれども、その辺はどういうふうに考えているのでしょうか。
それから、31ページの一番上の枠で「DBから企業型DCへの移行要件の弾力化(DB)」というところになります。DCに移行しない加入者からの過半数の同意は、DBの財政への影響を考えた場合にやはり重要ではないかと思います。「DBの財政に影響を及ぼさないこと等を条件」とありますけれども、この辺の条件がしっかりと対応できるのかどうかということについてお聞きしたいと思います。
また、同じく31ページのその次の枠の「統合時等の減額同意要件の緩和(DB)」でありますけれども、これは「過半数代表者の同意があることを条件に」とあり、「慎重な検討が必要」というふうに記載されています。ただ、「労働組合」という表現が入っていないことがちょっと気になるところでありまして、これは私の見解ということにさせていただきたいと思います。
以上、4点です。
○山崎部会長
事務局からどうぞ。
○山本室長
まず非継続基準ですが、29ページの3つ目のところでございます。こちらは簡便な算式ということでわかりにくいのですけれども、少し例を申しますと、今、最低積立基準額の算定といいますか、要するに最低限積んでおくべき額というものを計算するときに、これまでの加入期間に対応する将来の給付を現時点まで割り引いて計算をするというのが現在の計算になっております。
それで、ここで要望されている簡便な算式というのは要支給額と呼んでおりますけれども、今、脱退したときに出る金額をそのまま使いたいというような要望があるということでございまして、現行の非継続基準よりも低い金額にしてしまいますと加入者にとって不利になりかねませんので、これまでよりも低くならないような範囲で認めるとか、あるいは低くなるのであれば何らかの措置を講じるとか、そういったようなことが必要になるのではないかと考えてございます。
○内山課長
2点目の「金融商品営業業務と運管業務の兼業禁止」でございますけれども、現状は運営管理機関、金融機関、多いわけでございますが、その中で金融商品の販売担当者、いわゆる営業職員と言われている方については運営管理業務との兼務が禁止されておりまして、別途その運営管理の職員を置かなければいけないというような規制になってございます。
それで、現在、右の欄で考えていますのは、その運用関連業務の中で特に運用の方法に係る情報提供といったところ、これはDC法の24条に書いてあることですけれども、その運用方法に係る情報提供というのは営業担当者がやっても特に中立性を欠かないのではないかということですので、その業務に限って兼務できるような方向で考えてはどうかということでございます。
○山本室長
それから、31ページの一番上の「DBから企業型DCへの移行要件の弾力化」は、DBの加入者の一部をDCに移しまして、一部はDBに引き続き残るという場合、今DCに移行する人の同意もとりますけれども、DCに移行しない人からも同意をとっているということなのですが、もともと移行する人だけではなくて移行しない人から同意をとるのは、残ったグループの財政が悪化して負担を押しつけられないようにという趣旨で同意をとることにしておりました。そういう意味で、残ったほうのDBの財政が悪化しないのであれば特に同意をとる必要はないのではないかということで、整理をしております。
それで、具体的にどのようにその辺を判断するのかというところでございますけれども、これは残った人の掛金が移行に伴って上がってしまうかどうかとか、そのようなところで判断は可能だと考えているところでございます。
それから、31ページの2つ目のところでございますけれども、企業再編の場合に全体の給付現価が下がらなければ過半数代表者の同意だけで個別の同意は不要とするということなのですけれども、こちらの場合、全体で給付現価が下がらなかったとしても、ある特定の人は下がり、あるいはそれ以外の人は上がる。全体としてみれば下がっていないというケースもあるかと思いますので、やはり引き続き個人ごとに見る必要があるのではないかと考えているところでございます。以上でございます。
○山崎部会長
ありがとうございました。
ちょうど予定の時間になりましたので、本日の審議を終了いたします。
次回の開催につきまして、事務局から連絡をお願いします。
○内山課長
7月にこの部会で設定をいただきました検討課題に沿った議論につきましては、今回の部会におきまして一定程度、一巡の議論をしていただいたものと存じます。したがいまして、次回はこれまでの部会における委員の皆様方の意見を踏まえて、進め方でも示させていただいていますとおり、議論の整理をさせていただければと思ってございます。
具体的な次回の部会の開催日時につきましては、改めて事務局から各委員の御都合をお伺いした上で御案内をお送りしたいと思ってございますので、よろしくお願いいたします。
○山崎部会長
ありがとうございました。
それでは、本日の審議は終了します。御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございました。
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